説明

老化の皮膚徴候を治療するのに適した組成物

老化の皮膚徴候を治療するためのビタミンE、ビタミンCおよび白茶抽出物を含む組成物を開示する。該組成物は、しわの徴候を減少させ、皮膚の弾力性や皮膚の柔軟性の増加といった他の皮膚病状を改善する。さらに、老化皮膚および日光に過度に曝された皮膚のような不健康な皮膚の予防または治療は、本発明記載の組成物の投与によって好都合に達成されよう。該組成物は、皮膚に所望の改善をもたらすように相互作用する多くの異なる成分の組み合わせを含む。該組成物のさらに好都合な成分は、例えばブドウ種子およびトマトから抽出された天然の抗酸化剤、グリコサミノグリカンを含む抽出物、コラーゲンおよび弾性繊維と結合し、かつ皮膚を厚くするのに有効な量の中の遷移金属成分、および皮膚における抗コラーゲン酵素の存在を抑制するのに十分な量で存在するカテキンベースの成分を含んでよい。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、老化(加齢)の皮膚徴候を予防的および/または治癒的に治療するための、ビタミンE、ビタミンCおよび白茶抽出物を含む組成物に関する。好ましい態様では、本発明は、G1停止細胞の解放を増強することにより細胞をより急速に回復させる、老化の皮膚徴候を減少させるための、ビタミンE、ビタミンCおよび白茶抽出物またはそれらを含む組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトの皮膚は表皮と真皮の複合物質である。表皮の最上部分が角質層である。この層は、皮膚の最も堅い層であり、周囲環境により最も影響を受ける層である。角質層の下に表皮の内部部分がある。表皮の下の真皮の最上層は比較的緩い結合組織で作られている真皮乳頭層である。真皮乳頭層の下に配置された真皮網状層は空間的に組織された密な結合組織である。真皮網状層も粗いしわに関係している。真皮の底に皮下層がある。
【0003】
皮膚の主要機能は、保護、排泄、分泌、吸収、体温調節、色素産生(pigmentogenesis)、蓄積、知覚、および免疫学的プロセスの調節を含む。これら機能は老化(加齢)および過剰な日光への曝露による皮膚の構造変化により有害な影響を受ける。皮膚の老化に関連した生理学的変化は、例えば、障壁機能の障害および表皮細胞の代謝回転の低下を含む[Cerimele、D.ら、Br.J.Dermatol、122 Suppl.35、p.13〜20(1990年4月)]。
【0004】
弾性のような皮膚の機械的特性は、コラーゲンネットワークおよびその中の弾性繊維組織の密度および配置により制御される。損傷したコラーゲンおよびエラスチンは、その収縮特性を失い、皮膚のしわおよび皮膚表面の粗さを生じる。皮膚が老化するか、不健康になるにつれて、皮膚に、たるみ、皮膚線条、瘤、あざまたはしわができ、皮膚がザラザラになり、ビタミンDの合成能力が低下する。老化した皮膚は薄くなり、コラーゲン、エラスチンおよびグリコサミノグリカンの変性により真皮表皮境界面が平らになる[Fenske、N.A.およびLober、C.W.、J.Am.Acad.Dermatol.、15:571〜585(1986年10月);Montagna、W.、K. および、Carlisle、K.、Journal of Investigative Dermatol., 73(1):47〜53](1979)]。
【0005】
種々のビタミンおよびミネラルが、患者にビタミンまたはミネラルの欠乏がある時に生じるある種の皮膚および他の問題を治療するために個体に投与されてきた。例えばビタミンAは、にきびの治療を助け、傷の治癒を促し;ビタミンC(アスコルビン酸)は皮膚の損傷の予防と傷の治癒を助け;ビタミンEは抗酸化剤であり;銅は弾性組織の欠陥の治療を助ける[Neldner、K.H. Amer.Acad.Derm.Annl.Mtg., Wash D.C. 1993年12月6日]。ビタミンCの局所使用も、日焼けによる損傷を防ぎ、結合組織の崩壊を減少させ、恐らくコラーゲン合成を促すと考えられる[Dial, W.、Medical World News, p.12、1991年3月]。ビタミンEは、皮膚の湿潤の増強、細胞の紫外線からの保護、および早期皮膚老化の遅延のために抗炎症剤として局所使用される。
【0006】
プロアンタノール(proanthanol)およびプロアントシアニジン(proanthocyanidin)を含む、カテキンベースの製剤は強力な天然の抗酸化剤である。該化合物は、例えば、花、植物の葉およびブドウ種子にみられる[Lubell、A.、Cosmetic Dermatol. 9(7):58&60(1996年7月)]。老化プロセスに対する栄養の潜在的重要性は、何十年間にもわたり興味ある話題であり、細胞の老化および死に対する食事の影響だけでなく、免疫能、骨格の完全性、ホルモンバランス、およびしばしば生物の老化に関連する他の身体機能の低下の遅延に果たす栄養の役割が含まれる。ビタミンと必須無機質を含む種々の栄養がこれら障害と有益に関連していた。
【0007】
老化は、ヒトの身体的特性の変化および多くの生理機能の低下に連関している。老化現象はよく知られているが、老化の基本的性質はよく理解されていない。老化の種々の理論のうち、Harman(J.Gerontol. 1956、11、198〜300)によって1956年に最初に提唱された、老化のフリーラジカル理論は最近数十年間にますます注目を浴びている。該理論は、フリーラジカル反応が老化の原因となり、多くの加齢関連障害と密接に関連するかもしれない単一の共通のプロセスであると仮定する。この理論の現代的概念は、細胞機能の調節障害および老化をもたらす酸化ストレスを支持する抗酸化剤/酸化促進剤バランスの時間依存性変化を解明する近年の蓄積されたデータに支持される。
【0008】
ほとんどの好気性生物中に存在する複雑な固有の抗酸化剤防衛機構は、フリーラジカルを除去し、酸化ストレスを減少させる。フリーラジカルおよび酸化ストレスは細胞毒性をもたらし、老化プロセスの一因となるだろう。最大寿命と潜在的抗酸化剤能力の間の強い正相関が、種々の酸化に対する防衛メカニズムにおいてみいだされた(Cutler、R.G.、1991、Am.J.Clin.Nutr.、53、373S-379S)。さらに、哺乳動物において特定の抗酸化剤の組織濃度と固有の寿命の間の正相関が解明された。
【0009】
抗酸化剤活性は、ビタミンC、ビタミンE、グルタチオン、βカロチンおよびヒスタジンを含む、天然の物質によって提供される。さらに、スーパーオキシドジスムターゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ、チオレドキシン還元酵素、およびカタラーゼのような細胞内酵素も、活性化酸素ラジカルからの保護をもたらす。紫外線による老化の種々の臨床パターンがよく知られており、文献によく記載されている。主要な老化関連皮膚変化には、乾燥、しわ、弛緩、および様々の良性新生物の発現が含まれる。固有の老化、および紫外線および他の潜在的な外来性の危険への慢性曝露の両方の最終的な結果は、しわがより、黄色の、弛緩し、乾燥し、そしてガサガサの皮膚である。さらに、前癌および癌病変は反復する日射の結果として出現する。
【0010】
抗酸化剤のビタミンEおよびCならびにβカロチンは、癌および心血管疾患のような変性疾患の予防におけるそれらの潜在的な役割がかなりの注目されている。
【0011】
ビタミンCは正常な細胞代謝時に産生されたスーパーオキシド、ヒドロキシルラジカル、および一重項酸素と直接反応する抗酸化剤およびフリーラジカルスカベンジャーとして作用することが知られている。酸素は生命にとって必要である。また、酸素は、発癌性プロセスならびに侵入および転移プロセスの開始段階および開始後の段階の両方に関与する種々のラジカルの形で出現する。
【0012】
その抗酸化剤特性に加え、ビタミンCの癌に対抗する特性に対する単一の普遍的な容認され証明された説明はない。
(1)リンパ球産生の増加による免疫系の強化;
(2)細胞のフリーラジカル損傷の救援;
(3)ヒアルロニダーゼを阻害し、腫瘍のまわりの基質を完全に保ち、転移を抑制;
(4)食細胞活性の増強による発癌ウイルスの殺滅;
(5)癌患者で一般に見られるアスコビベート欠乏の修正;
(6)腫瘍を「取り囲む」のに必要なコラーゲン形成およびその安定化の刺激;および
(7)発癌性毒素の中和
を含む種々の経路が関与するようである。
【0013】
強い免疫反応に必要な重要な栄養および重要な脂溶性抗酸化剤として、ビタミンEの癌における予防的役割はよく証明されている。寛解している癌では、さらに酸化ストレスを防ぐ予防的栄養剤としてのビタミンEの使用は、あらゆる癌寛解栄養プロトコールに不可欠である。
【0014】
US 5,648,377は、脂溶性および親水性抗酸化剤の製剤および組み合わせ、および治療、食品、栄養、および化粧品の分野でのその使用を開示している。これら製剤は、カロテノイド、プロカロテノイド、およびそれらの誘導体をカテキック(catechic)構造のポリフェノールとともに使用することに基づく。これら製剤は、フリーラジカルの過剰産生、特に老化、アテローム性動脈硬化症、および癌と少なくとも一部関連する生理病理学的病状の予防に用いることができる。従って、驚くべきことに、脂溶性の抗酸化剤と親水性の抗酸化剤の組み合わせが等しい濃度で試験した単一化合物の合計よりはるかに大きい抗酸化作用を示すことが観察された。具体的に開示した抗酸化剤またはその供給源は、Vitis vinifera(ヴィティス・ヴィニフェラ)から抽出されたプロシアニドールオリゴマー、リコピン、ビタミンE、およびプロシアニジンA2である。
【0015】
US 5,156,852は、ビタミンEとC、酢酸亜鉛、銅、セレン、マンガン、ならびにL-システイン、ピリドキシン、およびリボフラビンの少なくとも1を含む眼疾患に関連するフリーラジカルおよび他の酸化剤を除去(scavenge)するための組成物を開示する。ビタミンCとEは抗酸化剤として働くが、酢酸亜鉛、銅、セレンおよびマンガンは酸化剤を除去する金属酵素の補助因子として働く。残りの3化合物は、グルタチオン濃度を増強する傾向がある。
【0016】
抗酸化剤は酸化ストレスに対する身体防御の重要な要素であり、一般的な抗老化特性および特定の疾患防御機能を有することが知られている。この点で、重要な抗酸化剤は、例えば、組み合わさって相乗的細胞保護をもたらすビタミンE、ビタミンCおよびカロチンである(Boehm、F.、Edge、R. McGarvey、D.J、FEBS Lett. 436,387-389、1998)。さらに、フラボノイド、ポリフェノールまたはリコピンのような食品に由来するビタミン機能を有しない他の抗酸化剤は、非常に重要な抗酸化機能を有する。
【0017】
ある種のビタミンおよびミネラル、抗酸化剤、および植物抽出物は一般に有益な健康効果を有することが知られている。例えば、抗酸化剤の種々の有益な局面は長年にわたり知られている。抗酸化剤は、ヒドロキシラジカルのようなフリーラジカルと反応し、ある種の生物系を保護する化学薬品である。身体からのフリーラジカルの除去はヒトの長寿を増加させることが示唆されており、特に、カロテノイド、ビタミンEおよび尿酸を含む抗酸化剤の存在は哺乳動物における組織の自発的自己酸化およびDNAに対する酸化的損傷と正の相関があることを示唆する(Cutler, R., J.Clin.Nutr. 53:373S-9S(1991))。抗酸化剤は、A、E、およびCおよびセレンのようなビタミンを用いて脳を蘇生させる方法によって示される、フリーラジカルによる頭脳組織の治癒の破壊を制限することも知られている(US 5,149,321)。
【0018】
それら抗酸化剤活性に加え、ビタミンA、CおよびEは他の有益な健康効果があることがよく知られている。例えば、ビタミンEは適切な血糖レベルを維持するのを助けることが知られている。別の例として、ビタミンCは、身体における結合組織および構造組織の完全性に不可欠な役割を果たすことが知られている。ビタミンAは、成長と発生および良好な視覚に役割を果たすことが知られている。従って、これらビタミンの適切な供給は最適な健康の維持に不可欠である。ビタミンA、E、Cおよびセレンの使用は、ある種の活性ペプチドと組み合わせて用いるとヒト皮膚におけるコラーゲン架橋を阻害または抑制する手段として提唱されてきた(WO 90/06102)。
【0019】
US 5,648,377は、相乗的抗酸化作用を示すリコピンとVitis vinifera抽出物(ブドウ種子抽出物)の併用に関する。US 6,627,231は、ブドウ種子抽出物、リコピン、ビタミンC、ビタミンE、およびβカロチンの併用が有意に相乗的に細胞保護を増大する驚くべき発見を開示する。この開示によれば、示した物質による細胞保護は、ブドウ種子抽出物とリコピンまたはビタミンEとリコピンの併用より統計的に大きい。
【0020】
WO 01/78674は、とりわけ、カプセルと錠剤の形の、皮膚の老化の治療に有用な組成物を開示する。これら組成物は活性主成分のリコピン、ブドウ種子抽出物、ビタミンCおよびビタミンEを含む。
【0021】
WO 99/48386は、ピクノゲノール、リコピン、ビタミンCおよびビタミンEを含む食物栄養補助食品を開示する。
【0022】
US 5,895,652は、正常な老化プロセス時に与えなければ欠乏により生じる損傷を、身体に固有の生化学経路を最大にすることにより制限する経口栄養補助プログラムに関する。この栄養補助食品の個々の成分は、数頁に及ぶ非常に長いリストに示され、それにはリコピン、ビタミンC、ビタミンEおよびブドウ種子抽出物が含まれる。
【0023】
WO 98/33494は、血管および毛細血管障害に有用な栄養素および治療用組成物を開示し、リコピン、ブドウ種子抽出物、ビタミンC、ビタミンEおよび茶ポリフェノールを含む抗酸化効果を有する種々の抗酸化剤または成分も組み合わされる。
【0024】
WO 01/51088は、心血管疾患のリスクを減らすための組成物を開示し、これにはリコピン、ビタミンE、ビタミンCおよびブドウ種子抽出物が含まれる。
【0025】
WO 02/071874は、哺乳動物における老化関連機能欠損を予防または回復するための組成物を開示し、これにはビタミンC、ビタミンE、リコピン、カモミール乾燥抽出物、ブドウ種子抽出物および茶カテキンが含まれる。
【0026】
このように先行技術は、細胞に対する酸化的損傷を減少させることにより種々の老化関連症状を抑制するための、少なくともビタミンC、ビタミンE、リコピン、およびブドウ種子抽出物の併用作用を開示する。
【0027】
抗酸化剤の主な役割は、反応性酸素種(ROS)または他のフリーラジカルによる酸化から細胞を保護することである。ROSは、不対電子を持つ、ヒト組織中の他の分子と容易に相互作用して酸化反応を生じる非常に活性な中間体である。ROSは、ミトコンドリアの呼吸による正常な副産物として生成され、正常な細胞機能に不可欠である。しかしながら、ROSは、外来因子により引き起こされる酸化ストレスからも生じることがあり、多くの疾患プロセスに関連し得る。通常、体内にみられる抗酸化剤はこれら不可欠でないROSを除去し、電子移動を通してそれらを安定した化合物に変換する。抗酸化剤のこの作用はROSによる細胞成分への酸化的損傷を防ぐ。しかしながら、酸化のストレスが過剰なときには身体の抗酸化剤は枯渇し、細胞損傷が生じうる。過剰の酸化ストレスは、癌自体およびある種の抗腫瘍薬(ROSを生成する)により引き起こされ得る。このため、癌細胞および抗腫瘍薬の作用に対する抗酸化剤の効果を検討するための研究が行なわれてきた。
【0028】
酸化ストレスの期間中、過剰なROSは脂質ペルオキシダーゼのより高い産生をもたらす。次いで、脂質ペルオキシダーゼは、G1期を延長するかまたは細胞をG0期に入らせることにより細胞周期に影響を与える。
【0029】
増殖細胞では、細胞周期は4期から成る。ギャップ1(G1)は、細胞増殖により特徴づけられる有糸分裂とDNA複製の間隔である。G1中の制限ポイント(R)で発生する移行は細胞を増殖サイクルにする。DNAの複製は合成(S)期に生じ、次いで増殖と細胞分裂のための準備が生じる第二ギャップ期(G2)が続く。有糸分裂および2つの娘細胞の生成がM期に生じる。
【0030】
細胞周期の4期の通過は、サイクリン依存性キナーゼ(cdks)の調節サブユニットとして作用するサイクリンファミリーにより調節される。細胞周期のG1-S-G2期の進行を調節する種々のサイクリン/cdk複合体の活性は、細胞周期の特定の期における適切なサイクリンの合成によって調節される。次に、サイクリン/cdk複合体は、主にcdkサブユニット上に位置する、該複合体の鍵となる残基の順次リン酸化および脱リン酸化により活性化される。
【0031】
G1初期のサイクリンcdk複合体は、サイクリンDイソフォームと結合したcdk2、cdk4、またはcdk6である。G1の細胞周期を阻害することができる種々のタンパク質がある。DNA損傷が起きると、p53が細胞中に蓄積し、サイクリンD/cdkのp21介在阻害を誘導する。Mdm2は、p53の核外輸送(nuclear export)/不活性化を促すことにより、p21介在G1停止を不活性化する阻害フィードバックループの一部になる。同様に、サイクリックAMPはp27を介してサイクリンD/cdk複合体を阻害するが、TGF-bレセプターの活性化はp15によるサイクリンD/cdkの阻害を引き起こす。サイクリンD/cdk複合体が阻害されると、網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)は低リン酸化の状態になり、転写調節因子E2Fと密接に結合し、その活性を阻害する。
【0032】
制限ポイントの通過およびS期への移行は、サイクリンD/cdk複合体の活性化によって引き起こされ、Rbをリン酸化する。リン酸化RbはE2Fから解離し、次いで自由にDNA複製を開始する。サイクリンE/cdk2はS期後期に蓄積し、S期への通過を引き起こす。全ゲノムはS期中に複製される。サイクリンB/cdc2の合成および蓄積もS期に始まるが、該複合体はThr14-Tyr15でリン酸化され、不活性である。サイクリンA/cdk2はS期中に蓄積し、その活性化は、サイクリンB/cdc2の蓄積、DNA複製の阻害、細胞増殖および新しいタンパク質合成によって特徴づけられる期であるG2への移行を引き起こす。
【0033】
概括した各細胞は、新規DNA合成(S期中)および有糸分裂中の細胞分裂(M期)の前にDNA損傷を修復する非常に精巧なメカニズムを備えている。DNA損傷に対する反応として、p16とp53のようなある主の細胞周期調節因子が増加し、特異的サイクリン依存性キナーゼ(cdk 4およびcdk2)の阻害による細胞周期進行の阻害をもたらす。これは、新規細胞合成が始まる前に細胞のG1からS期への移行を阻害するいわゆるG1/Sチェックポイントで細胞がDNA損傷を修復するのを可能にする(図1)。p53は皮膚生検で示されるUV誘発損傷後の皮膚で増加し、基礎レベルへの回復は皮膚の修復状態の指標である。p16は細胞老化段階で上昇する。
【0034】
初期の研究(Emriら、J.Invest Dermatol 115:435-440、2000)では、繊維芽細胞の用量依存性増加がUV照射後4日のG2/Mにみられた。
【0035】
G1停止細胞のS期への解放はDNAに対する損傷の程度に依存する。DNA損傷の程度は細胞の酸化レベルと直接関連するので、同様に、酸化レベルの最も効率的な低下がG1停止細胞のS期への最も急速な解放をもたらすと予期される。先行技術から判断して、これは少なくともビタミンC、ビタミンE、リコピンおよびブドウ種子抽出物の併用作用を示唆する。
【0036】
Abid-Essefiら(TOXICOLOGY、192(2-3):237-248 NOV 5 2003)は、ビタミンEがDNA修復が生じる細胞周期停止の延長を維持することにより作用するかもしれないと記載している。
【0037】
Galliら(ARCHIVES OF BIOCHEMISTRY AND BIOPHYSICS、423(1):97-102 MAR 1 2004)は、ビタミンEが細胞増殖の遅延と平行するサイクリンD1発現に対する阻害作用をもたらすと記載している。
【0038】
Gysinら(FASEB JOURNAL、16(12)、OCT 2002)は、ビタミンEがサイクリンD1およびサイクリンEレベルの低下により細胞周期の進行を阻害すると記載している。
【0039】
Panaroら(British Journal of Cancer(1999)80、1905-1911)は、細胞周期がビタミンCおよび多数のフラボノイドを含む種々の抗酸化剤によって阻害されることを示した。
【0040】
従って、先行技術は、抗酸化剤の投与が細胞周期の阻害の延長をもたらすことを示唆する。
【0041】
UV(UVBおよびUVA)照射が皮膚の種々のタイプの損傷を生じることが示されている。UVB照射(波長280〜315nm)は、連続的に我々の皮膚の皮膚上層、表皮に(DNA)損傷を引き起こす。UVA照射(315〜400nm)は皮膚下層の真皮に深く達するが、幸運にも、この種の放射線は、高エネルギーのUVB照射よりはるかに損傷が少ない。
【0042】
DNA損傷は、細胞の遺伝可能性に直接影響するので、おそらくUV照射により生じ得る最も重大な損傷である。UVB誘発DNA損傷は、細胞周期調節因子の誘導、次いでDNA修復が生じうる細胞周期停止をもたらす。細胞のUVA放射は、酸素ラジカルの形成を含む間接的メカニズムによってDNAの損傷をもたらし得る。これまでのところ、UVA誘発損傷がどのように細胞周期の調節に影響を及ぼし、酸化的損傷の予防が細胞周期の進行によい影響を与えるか否かについては完全に解明されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0043】
驚くべきことに、本願出願人は、好ましくは白茶抽出物と組み合わせたビタミンCおよびビタミンEの併用作用が細胞のG1停止からの速やかな解放をもたらすことを発見した。
【0044】
これは、細胞の酸化レベルおよび関連DNA損傷が細胞を再生し、S期に入らせるのに必要な時間と直接相関し得ないことを示す。老化の皮膚徴候を治療するための有効な投与計画は、酸化損傷が生じた後に細胞が増殖し続ける能力に確実に依存するだろう。
(発明の簡単な説明)
【0045】
本発明のある局面は、老化の皮膚徴候に罹患した個体を予防的または治療的に治療するためのビタミンE、ビタミンCおよび白茶抽出物を含む経口投与用組成物を指向する。特に、該組成物が繊維芽細胞に作用するとき、老化徴候が減少する。
【0046】
本発明によれば、皮膚の老化のある種の臨床的特徴(例えばしわ)の逆転における種々の植物抽出物、グルコサミンおよびミネラルとともにビタミンC、ビタミンEおよび白茶抽出物を含む経口栄養補助食品の潜在的利益が達成される。定義によれば、栄養補助食品は疾患の予防および治療を含む健康的利益を有する物質である。
【0047】
内因性因子と外因性因子の両方からの細胞保護における種々のミネラルの役割は先に記載されている。セレン、ケイ素、銅、亜鉛およびマンガンは本発明の製剤に含まれていてもよいミネラルである。亜鉛は、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)との補助因子として作用し、同様に、銅SOD、ミトコンドリアマンガンSOD、グルタチオンペルオキシダーゼおよびカタラーゼと協力して不可欠な細胞抗酸化剤として作用する。遷移金属のマンガンはコラーゲン繊維と結合し、コラーゲンと弾性組織の両方を破壊するエラスターゼ酵素を抑制する。マンガンは、コラーゲンと糖タンパク質の合成に重要な役割を果たし、グルコサミンのヒアルロン酸への転換を触媒する補助因子として作用する。さらに、マンガンは、UVAと過酸化水素による酸化損傷から培養ヒト皮膚繊維芽細胞を保護することが示されている。
【0048】
該組成物はさらに老化のプロセスを阻害することが知られている成分を含んでよい。特に、植物抽出物、例えば白茶抽出物、ブドウ種子抽出物、リコピンの含有量が高いトマト抽出物、ダイズ抽出物、ルリヂサ油、アマニ油、カモミール乾燥抽出物、および特別ヤシ油は、本発明に適している。さらに、軟骨を含む種々の組織からの抽出物に含まれているような成分が組成物に含まれていてよい。
【0049】
本発明の組成物は適切なあらゆる形に製剤化することができる。好ましくは、本発明の組成物は経口投与用に製剤化される。経口投与のための本発明の組成物は、あらゆる適切な形で、特に経口的に摂取するための溶液、錠剤、カプセル、栄養食品、または栄養補助食品の形で提供することができる。さらにそのような組成物は少なくとも1の適切な賦形剤および/または経口投与に適した補助アジュバントを含む。
【課題を解決するための手段】
【0050】
(好ましい態様)
しわを減少させ、皮膚の弾力性および皮膚の柔軟性を増加させるような他の皮膚病状を改善させるための製剤が今回発見された。さらに、老化した皮膚や日光に過度に曝露した皮膚のような不健康な皮膚の予防または治療は、治療を必要とするヒトへの本発明組成物の投与により好都合に達成されよう。該組成物は、皮膚に所望の改善をもたらすよう相互作用する多くの種々の成分の組み合わせを含む。
【0051】
本発明の好都合な医薬組成物は、皮膚細胞にG1停止を回避させるのに十分な量のビタミンEおよびビタミンCを用いることにより皮膚病状を予防および改善する。該組成物のさらに好都合な成分には、例えばブドウ種子およびトマトから抽出された天然の抗酸化剤、グリコサミノグリカンを含む抽出物、コラーゲンおよび弾性繊維と結合し、皮膚を厚くするのに有効な量の遷移金属成分、および皮膚の抗コラーゲン酵素の存在を阻害するのに十分な量のカテキンベースの成分が含まれよう。
【0052】
より厚い真皮は、しわ、および皮膚領域が薄くなるときに生じる発生する線を望ましいように減少させる。細胞周期のブロックを解除する驚くべき効果に加え、ビタミンCのような抗酸化剤はコラーゲンおよび弾性組織を破壊する酵素であるコラゲナーゼおよびエラスターゼを阻害する。これら抗酸化剤はさらなるしわの予防を助け、皮膚組織の回復を促す。最後に、遷移金属成分はコラーゲン線維と結合し、コラーゲンと弾性組織を破壊する酵素であるエラスターゼを阻害するために含まれる。
【0053】
該組成物は、典型的にはビタミンC供給源であり、好ましくはアスコルビン酸またはその医薬的に許容される塩またはエステル、より好ましくは、アスコルビン酸パルミテート、L-アスコルビン酸ジパルミテート、L-アスコルビン酸-2-硫酸ナトリウム、またはアスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カリウムまたはアスコルビン酸カルシウムのようなアスコルビン酸塩である一次酸化剤、またはそれらの混合物を含む。該組成物の経口製剤を用いるときは、酸形で用いる時に生じることがある胃炎症を減らすために、非酸形のビタミンCを用いることが好ましい。
【0054】
用語「グリコサミンを含む抽出物」は、軟骨から抽出可能な化合物の合成形および合成により製造される誘導体を含む、軟骨、それから抽出することができる成分、およびその誘導体を含むことを意図する。かかる化合物は結合組織を含む他の組織、例えば皮膚にも見られ、それから抽出することができよう。軟骨は、海生動物軟骨、魚軟骨、軟体動物軟骨、および陸上哺乳動物軟骨からなる群から選ばれてよい。海生動物は、クジラ、イルカおよびアザラシからなる群から選ばれてよく、魚は、サメ、サケ、マグロ、タラ、および他の既知の魚からなる群から選ばれてよく、軟体動物はイカであってよく、陸上動物は、ウシ、ブタ、ニワトリ、アヒル、および七面鳥からなる群から選ばれてよい。
【0055】
軟骨またはそれからの抽出物は、好ましくはウシ軟骨、ブタ軟骨、サメ軟骨、イカ軟骨、ニワトリ軟骨およびサケ軟骨から選ばれる。軟骨それ自身を用いてよい。軟骨は、典型的には乾燥、例えば凍結乾燥、粉砕軟骨の形で用いてよい。上記したタイプの軟骨または適切な成分を含む他の組織の有用な抽出物は、典型的には、加熱組織の部分的なタンパク質の酵素的加水分解、次いで、加水分解産物の濾過、および例えば噴霧乾燥または凍結乾燥による乾燥により製造してよい。軟骨抽出物は、典型的には軟骨から抽出可能な1またはそれ以上の化合物を含み、好ましくは、所望によりペプチドと結合したグリコサミノグリカンを含む。
【0056】
軟骨抽出物は、好ましくはコンドロイチン硫酸、ケラタン硫酸、ヒアルロン酸またはデルマタン硫酸、またはそれらの混合物を含む。用語軟骨抽出物は、軟骨から得ることができる化合物を含むことを意図するが、該化合物は実際には他の供給源から得てもよい。
【0057】
用語軟骨抽出物は、軟骨から抽出可能な化合物またはその誘導体に関することがある。記載したように、軟骨抽出物は他の天然供給源由来であってよいが、合成供給源由来、すなわち合成または半合成的に製造されてよい。
【0058】
軟骨抽出物は、好ましくはコンドロイチンエステル、ケラタンエステル、ヒアルロン酸またはそのエステル、デルマタンエステル、ヘパリン、およびヘパランエステルから選ばれるグリコサミノグリカンを含む。これらは、タンパク質またはペプチドと結合してよく、またはエピマーまたはポリマー形の、コンドロイチンエステル、ケラタンエステル、ヒアルロン酸またはそのエステル、デルマタンエステル、ヘパリン、ヘパラン硫酸、好ましくは、ヘパランエステル、好ましくはコンドロイチン硫酸、ケラタン硫酸、ヒアルロン酸またはそのエステル、デルマタン硫酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸であってよい。グリコサミノグリカンは、所望によりペプチドと結合してよい、コンドロイチン硫酸およびケラタン硫酸からなる群から選ばれてよい。最も好ましくは、本発明の組成物は所望によりペプチドと結合したコンドロイチン硫酸塩を含む5%軟骨抽出物を含む。
【0059】
好ましい態様では、本発明の組成物は、1%(重量/重量)未満のコラーゲン、好ましくは0.5%未満、特に好ましくは0.1%未満のコラーゲンタンパク質を含む。コラーゲン抽出物を製造する典型的な方法では、いかなる感知できる量のコラーゲンも含まない。該抽出物は、好ましくはタンパク質の酵素的加水分解、すなわちコラーゲンタンパク質のペプチドへの消化により製造される。コラーゲンまたはその供給源を本発明の組成物にさらに加えないことが好ましい。最も好ましい態様では、該組成物は本質的にコラーゲンを含まない。
【0060】
本発明の組成物は、皮膚密度を増加させるための1またはそれ以上のアミノ酸を含んでいてもよい。好ましくは、2またはそれ以上のアミノ酸を組み合わせて用いる。L-またはD-形のいずれのアミノ酸も許容される。リジンとプロリンは最も好ましいアミノ酸であり、好都合に組み合わせて用いる。所望の場合、システイン、メチオニンまたは他のアミノ酸を用いることもできる。該アミノ酸は塩酸、すなわち、L-リジン塩酸のような可溶性の形で含まれていてよい。アミノ酸は、各約2〜25重量%の量、好ましくは各約4〜20重量%、より好ましくは各約6〜15重量%で存在する。各アミノ酸の単位用量は、医薬組成物中に典型的には各約35mg〜200mg、好ましくは各約50mg〜150mg、より好ましくは各約70mg〜120mgである。アミノ酸のさらなる有用な形は以下のものを含む:システイン供給源、好ましくはN-アセチルシステインは、該組成物の約1〜10重量%、好ましくは約2〜8重量%、より好ましくは約3〜6重量%の量で存在しうる。メチオニン供給源、好ましくはL-セレノメチオニンは、該組成物の約0.1〜5重量%、好ましくは0.2〜3重量%、より好ましくは0.3〜1重量%で存在することができ、セレニウム成分はメチオニン供給源の約0.1〜3重量%である。
【0061】
1またはそれ以上の遷移金属化合物は、コラーゲンおよび弾性組織を結合し、皮膚を再構築するのに有効な量で含まれる。ある種の遷移金属化合物は、エラスターゼ酵素を阻害してコラーゲンおよび弾性組織の破壊を阻害する。好ましい遷移金属は亜鉛、マンガンおよび銅を含む。
【0062】
亜鉛成分は、しわの予防としわのよった皮膚の再構築を助けるコラーゲンおよび弾性繊維の結合を助けるために加えることができる。亜鉛は、強力な酸化剤のスーパーオキシドを除去する、スーパーオキシドジスムターゼではない多くの金属酵素の重要な補助因子であることが知られている。
【0063】
亜鉛成分は、あらゆる亜鉛化合物またはその医薬的に許容される塩、好ましくはグルコン酸亜鉛であってよく、ここで、亜鉛は典型的には組成物の約1〜30重量%で存在する。亜鉛成分は、該組成物の約1〜10重量%、より好ましくは約2〜7重量%、最も好ましくは約3〜5重量%で存在する。
【0064】
本発明の組成物の抗酸化剤は天然または合成供給源由来であってよい。典型的な態様では、天然供給源は、松樹皮、Vitis vinifera、Camelia sinensis、Aesculus hippocastanum、Gingo biloba、Cardus marianum、Vaccinium myrifilus、Silybum marianumからなる群から選ばれる。
【0065】
適切な態様では、1またはそれ以上の天然抗酸化剤はVitis viniferaのブドウ種子から抽出可能である。
【0066】
1またはそれ以上の抗酸化剤の天然供給源は、典型的には25%w/w以下のカテキン、エピカテキン、および没食子酸;90%w/w以下のエピカテキン二量体、三量体および/または四量体、および/またはその没食子酸塩(ガレート)、および10%w/w以下のエピカテキンペンタマー、ヘキサマー、および/またはヘプタマー、および/またはその没食子酸塩を含む。
【0067】
1またはそれ以上の天然の抗酸化剤は、ポリフェノールおよびそのエステル;アスコルビン酸(ビタミンC)およびそのエステル;およびその医薬的に許容される塩からなる群から選ばれてよい。ポリフェノールは典型的にカテキン、ロイコアントシアニジン、フラバノン;フラバニン、イソフラボン、およびアントシアニジン、フラボノール、フラボノリグナン、およびそのオリゴマーである。
【0068】
かかるポリフェノール、フラボリグナン、またはフラボノイドは、多くの植物中にある天然の抗酸化剤である。本発明において、イソフラボンはダイズから抽出され、フラボンはルリヂサ、タイムまたはパセリから抽出され、カテキンは茶(好ましくは白茶)から抽出され、プロアントシアニジンはブドウ(好ましくはブドウ種子)から抽出される。
【0069】
好ましい実施態様では、天然の抗酸化剤はプロアントシアニンA2およびオリゴマーのプロシアニドール(OPC)からなる群から選ばれるカテキン、最も好ましくはオリゴマーのプロシアニドールである。フラボノリグナンは、典型的にはシリマリンまたはその成分の1つ、例えばシリビン、シリジアニン、シリクリスチン、およびイソシリビンである。
【0070】
記載したように、特に好ましい天然の抗酸化剤はブドウ種子、すなわちVitis viniferaの種子からの抽出物であり、該抽出物は、典型的にはアセトンおよび/または酢酸エチルなどのような有機溶媒を用いてブドウ種子を抽出し、溶媒を蒸発させ、残渣を水に再溶解し、濾過し、ろ液を例えば噴霧乾燥または凍結乾燥により乾燥することのより得られる。特に好ましい態様では、かかる抽出物は、典型的には25%w/w以下のカテキン、エピカテキン、および没食子酸;90%w/w以下のエピカテキン二量体、三量体、および/または四量体、および/またはその没食子酸塩(ガレート);および10%w/w以下のエピカテキンペンタマー、ヘキサマー、および/またはヘプタマー、および/またはその没食子酸塩を含む。
【0071】
さらに、抗酸化剤は、典型的にカロテノイシス(carotenoicis)、プロカロテノイド、5トコフェロール、フィトステロイス(phytosterois)、およびユビキノンである。カロテノイドは特に興味深い脂肪親和性抗酸化剤であり、α-カロチン、β-カロチン、γ-カロチン、δ-カロチン、リコピン、ゼアキサンチン、クリプトキサンチン、ルテイン、およびキサントフィルからなる群から選ばれてよい。
【0072】
本発明の組成物は、典型的には、25重量%未満のβ-カロチン、好ましくは10%未満のβ-カロチン、特に0.1重量%未満のβ-カロチンを含む。すなわち、本発明の他の局面は、β-カロチンをほとんどまたは本質的に含まない、以下に記載の有益な効果を達成することができる組成物に関する。
【0073】
トマト抽出物はリコピンを含む。好ましくは、トマト抽出物は約5〜12重量%、典型的には約10重量%のリコピン(重量/重量)を含む。トマト抽出物は単一またはブレンドしたトマト由来であってよい。
【0074】
典型的な態様では、トマト抽出物を調製するために用いるトマトの品種はLycopersicum aesculentumである。
【0075】
本発明の好ましい態様では、該組成物は、0.1〜5重量%のリコピン(重量/重量)、好ましくは0.2〜4重量%のリコピン、例えば0.3〜2重量%リコピン、最も好ましくは0.3〜1重量%のリコピン、特に0.3〜0.8重量%のリコピン、例えば0.3〜0.6重量%のリコピンを含む。
【0076】
本発明の組成物の他の定義では、該組成物は植物抽出物および軟骨抽出物を含み、該植物抽出物はブドウ種子抽出物およびリコピンを重量/重量比約5:1〜15:1、好ましくは約10:1で含む。
【0077】
本発明のさらに適切な組成物は以下の多くの成分を含む:
10〜200mg、好ましくは20〜100mg、より好ましくは30〜80mg、さらにより好ましくは35〜65mg、最も好ましくは45〜55mgの軟骨抽出物;10〜200mg、好ましくは20〜100mg、より好ましくは30〜80mg、さらにより好ましくは35〜65mg、最も好ましくは45〜55mgの植物抽出物;1〜50mg、好ましくは3〜40mg、より好ましくは5〜30mg、さらにより好ましくは8〜25mg、最も好ましくは10〜20mgのビタミンC;0.1〜30mg、好ましくは0.5〜20mg、より好ましくは1〜15mg、さらにより好ましくは2〜10mg、および最も好ましくは3〜7mgのビタミンE;1〜50mg、好ましくは3〜40mg、より好ましくは5〜30mg、さらにより好ましくは8〜25mg、および最も好ましくは10〜20mgの白茶抽出物;および1〜40mg、好ましくは2〜30mg、より好ましくは3〜20mg、さらに好ましくは5〜15mg、および最も好ましくは7〜12mgのグルコン酸亜鉛。ここで、植物抽出物は、オリゴマーのプロシアニドールおよびリコピンを含み、軟骨抽出物はグリコサミノグリカンを含む。
【0078】
投与する単位用量は、50〜2000mg、好ましくは100〜1500mg、より好ましくは150〜900mg、さらにより好ましくは200〜700mg、最も好ましくは250〜600mgである。
【0079】
患者に本発明の組成物の有効量を提供するために、あらゆる適切な投与ルートを用いてよいが、経口投与が好ましい。適切な経路は、例えば、経口、直腸、非経口、静脈内、局所、経皮的、皮下、筋肉内などが含まれ、同様の投与の形を用いてよい。
【0080】
適切な剤形には、錠剤、トローチ、分散剤、サスペンジョン、溶液剤、カプセル剤、パッチ、坐薬などが含まれるが、経口用剤形が好ましい。本発明の方法に用いられる医薬組成物は、上記活性成分を含み、医薬的に許容される担体、賦形剤など、および所望により他の医薬成分も含んでよい。
【0081】
用語「医薬的に許容される塩」は、無機酸または有機酸を含む医薬的に許容される無毒な酸または塩基から製造される塩を表す。かかる無機酸の例には、塩化水素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、およびリン酸がある。適切な有機酸は、例えば脂肪族、芳香族、カルボン酸、およびスルホン酸のクラスの有機酸から選ばれてよく、その例には、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルクロン酸、マレイン酸、フル酸、グルタミン酸、安息香酸、アントラニル酸、サリチル酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボン酸(パモン酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、パントテン酸、ベンゼンスルホン酸、ステアリン酸、スルファニル酸、アルギン酸、およびガラクツロン酸がある。本発明のサルフェートまたはホスフェート化合物との可能な塩形成のためのそのような無機塩基の例には、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウムおよび亜鉛から作られる金属塩が含まれる。適切な有機塩基は、例えばN,N-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルマイン(N-メチルグルカミン)、およびプロカインから選ばれてよい。
【0082】
本発明で使用する組成物は、サスペンション、溶液剤およびエリキシル剤;エアロゾルのような組成物を含むか、または経口固体製剤(例えば粉末剤、カプセル剤、および錠剤)の場合はデンプン、糖、微晶質セルロースのような担体、希釈剤、顆粒化剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などを含み、経口固体製剤が経口液体製剤より好ましい。最も好ましい経口固体製剤は錠剤である。
【0083】
投与しやすさのために、錠剤とカプセル剤が最も好都合な経口投与剤形であり、その場合は固体医薬担体を用いる。所望により、錠剤を標準的水性または非水性技術によりコートしてよい。
【0084】
例えば、錠剤は所望により1またはそれ以上の補助成分と圧縮または成形することにより製造してよい。圧縮錠剤は、所望により結合剤、潤滑剤、不活性希釈剤、界面活性剤、または分散剤と混合した、粉末または顆粒のような流動形の活性成分を適切な機械で圧縮することにより製造してよい。成形錠剤は、適切な機械を用い、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末化合物の混合物を成形することにより製造してよい。
【実施例】
【0085】
実験例1:細胞周期に対する抗酸化剤組成物の影響
一連の実験において、培養皮膚繊維芽細胞における細胞周期分布に対するUVの影響をFACS分析により試験した。UVB(1kJ/m2)およびUVA(250kJ/m2)は共に、細胞周期の阻害をもたらすことがわかった。また、UVAでは、G1細胞の増加が照射の1日後にみられた。皮膚繊維芽細胞の細胞周期に対する抗酸化剤処置の効果が観察された。
材料および方法:
【0086】
細胞培養および照射(さらなる情報については、de Leeuw SM、Smit NP、Van Veldhoven M、Pennings EM、Pavel S、Simons JW、Schothorst AA: Melanin content of cultured human melanocytes and UV-induced cytotoxicity. J.Photochem.Photobiol.B 2001, 61:106-113)を参照):
ヒト皮膚由来の繊維芽細胞を、2.5%ウシ胎仔血清(Hyclone、Logan、Utah)および100IU/lペニシリン、および100μg/l ストレプトマイシンを添加したDulbecco変法Eagle培地中、5%二酸化炭素下37℃で培養した。二次培養では、細胞を0.25%トリプシン/EDTA溶液(Gibco)で分離し、1:5に分割し、90mm Greinerペトリ皿中、コントロール培地中で維持した。3日間後、異なる培地:コントロール;およびビタミンEおよびC(7および10μM)+白茶(5μg/mL)でインキュベーションした。3日間後、培地を除去し、細胞を4mlのPBSで洗浄し、5mlハンクス平衡塩類溶液中、蓋付き皿中で照射した。UV供給源のSellas太陽光ランプ、タイプ2.001(Sellas、Gevelsberg、Germany)を用い、線量250 kJ/m2のUVAを照射した。UVASUNブルーシートおよびUVASUNブルーフィルムフィルターで320nm以下の波長をカットした[2]。線量を、WBS320#801センサーを用いるIL700A Research放射線測定器(International Light Inc.、Newburyport、MA、USA)でモニターした。
FACS分析による細胞周期分布:
【0087】
UVA処理後、細胞をコントロール培地中で一晩維持した。回収1時間前に100μMのBrdU(5-ブロモ-デオキシウリジン、Sigma、B5002)を加えDNAに取り込ませた。細胞をトリプシン処理して回収し、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄後に70%エタノールで固定した。
【0088】
過剰のエタノールを除去後、細胞を2M HCl中の0.1%ペプシン0.9ml中で35分間インキュベーションした。1M Tris(2.1ml)を加え、細胞をPBS-Tween 0.5%で2回洗浄した。次に、細胞を5%新生子牛血清を含むPBS-Tweenで1:50に希釈したマウスαBrdU抗体(DAKO、Bu2OA)100μlで室温で1時間インキュベーションした。2回洗浄後、細胞を、PBS-Tween-NBCS中の抗マウスIgG1-FITC(Pharmingen、No.553443)(1:100)100μlで遮光下、4℃で1時間インキュベーションした。2回洗浄後、PBS中の20μg/mlヨウ化プロピジウム、0.1%リボヌクレアーゼ(RNアーゼ、Sigma)400μlを加え、細胞をFACS-Calibur 1(Beckton Dickinson)を用いるFACS分析により分析した。BrdUのFITC標識をFI-1中で、PIをFL-3で測定し、10000事象を記録し、Cell Questソフトウェア(Beckton Dickinson)で分析した。
結果:
【0089】
図1は、シャム照射繊維芽細胞培養(灰色)と比較した、UVA照射1日後(暗色)のG1およびG2期の細胞分布を示す。
【0090】
結果は、最終的にコントロール細胞と比較してビタミンC+ビタミンE+白茶処置細胞におけるG1期およびG2期に見られる細胞のパーセンテージの差を証明する。UVA照射はコントロール細胞におけるG1期に見られる細胞の増加をもたらした(G1停止)。ビタミンC+ビタミンE+白茶処置細胞におけるG1期の細胞の割合はかなり低く、コントロール培養に比べてG1期で停止した細胞が少ないことを示唆した。従って、ビタミンC+ビタミンE+白茶処置細胞におけるG2期にある細胞数はコントロール細胞に比べて高かった。
再構成皮膚等価物
実験例2:in vitro培養皮膚等価物を用いる真皮細胞外マトリックスおよび表皮の成長および構造に対する組成物の影響
【0091】
本実験は、3-D in vitro再構成皮膚等価物(SE)を用いる本発明の特定組成物(以後、本明細書では組成物高および組成物低または一般に組成物という)の効果を試験することを目的とした。
【0092】
19歳または49歳のドナーからの細胞で調製したSEを、低および高濃度の組成物(組成物高および組成物低)で処理するかまたは無処置とし、35、42または60日間培養した。その後、該培養の表皮および真皮層の構造および構成を検討した。さらに、フィブリリン、エラスチンおよびI型コラーゲンのような主な細胞外マトリックス(ECM)成分の合成をQ RT-PCRおよび免疫蛍光検査法を用いて測定した。
材料と方法:
細胞培養
【0093】
ケラチノサイトと繊維芽細胞の初代培養は、形成外科の手術残渣(residus operatoire)から得られるヒト皮膚から分離した。繊維芽細胞は、10%子牛血清(HyClone、Logan、Utah、USA)、20μg/mlゲンタマイシン(Panpharma、Fougeres、France)、100IU/mlペニシリン(Sarbach、Suresnes、France)、および1μg/mlアンホテリシンB(Bristol Myers Squibb、Puteaux、France)を添加したDulbecco改良Eagle培地(Glutamax-1含有DMEM、Life Technologies、Cergy Pontoise、FranceDMEM)中で増殖させた。SEについては、ケラチノサイトは、それぞれ10%子牛血清(FCS)(HyClone)、10ng/ml上皮成長因子(EGF)(Austral Biologic, San Ramon, California、USA)、0.12IU/mlインスリン(Lilly、Saint-Cloud、France)、0.4μg/mlハイドロコーチゾン(UpJohn、St Quentin en Yvelines、France)、5μg/mlトリヨード-L-チロニン(Sigma、St Quentin Fallavier、France)、24.3μg/mlアデニン(Sigma)、および抗生物質を添加したDMEMおよびHamのF12(Life Technologies)の3:1混合物中で増殖させた。ケラチノサイトの単層を調製するため、細胞をコンフルエント後5日間12mM CaCl2添加合成K-SFM培地(Life Technologies)中で増殖させた。
皮膚等価物および真皮等価物
【0094】
一般的実験技術を用いて3-D in vitro再構成皮膚等価物(SE)を実験室内で調製した。SEはともに、真皮、表皮および角質層が完全に発達した天然のヒト皮膚と形態学的および生化学的に非常によく似ている(Saintigny G、Bonnard M、Damour 0、Collombel C、Acta. Derm. Venereol、1993、73:175-180;Sahuc F、Nakazawa K、Bethod F、Collombel C、Damour O.、Wound Rep Reg、1996、4:93-102)。
【0095】
皮膚等価物(SE)を記載(Duplan-Perratら、2000)のごとく調製した。簡単には、真皮等価物(DE)を、コラーゲン-グリコサミノグリカン-キトサン多孔スポンジMimedisk(登録商標)(Coletica、Lyon)の上面に2×105個/cm2の繊維芽細胞浮遊液を加えることにより調製した。等価物はすべて、1mMアスコルビン酸2ホスフェート(Sigma)を含む繊維芽細胞培地中で21日間培養した。真皮等価物(DE)に毎日培地を供給した。ケラチノサイトを、250,000細胞/cm2の密度で、第14日に真皮等価物上に播いた。ケラチノサイト培地中で7日間液内培養後、SEを空気液体の界面に持ち上げ、10%子牛血清、10ng/ml EGF、0.12IU/mlインスリン、0.4μg/mlハイドロコーチゾンおよび抗生物質を添加したDMEMを含む簡易ケラチノサイト培地中で培養した。培地に50μg/ml L-アスコルビン酸を添加し、毎日交換した。SEを合計35、42または60日間培養した。
組成物の添加
【0096】
試験用組成物をSE成長の初期段階に(培地の最初の交換から)培養液に2濃度(用量反応関係を検討するため)で加えた。Mimedisk(登録商標)上に繊維芽細胞を播いた後の最初の培地交換から実験終了まで組成物を培養液に加えた。同時に、コントロール皮膚等価物を活性組成物化合物のテトラヒドロフラン(THF)の溶媒のみを含む培地で調製した。
【0097】
組成物を2濃度で加えた:

試料分析
【0098】
35、42または60日間培養後、SEを回収し、分析を行った。各SE条件の3試料をホルマリンで固定し、パラフィン包埋した。5μm切片をヘマトキシリン・フロキシン・サフランで染色し、光学顕微鏡下で観察して真皮と表皮の構造を評価した。さらに3試料を免疫蛍光検査法で測定するためtissue-tekに包埋し、また3試料を定量的RT-PCRのための-80℃で凍結した。
免疫組織学および免疫蛍光検査法
【0099】
皮膚等価物試料をOCT Tissue-Tek(Miles、Immunotech、Marseille、France)に包埋した。6μmの凍結切片をFrigocut 2800クリオトーム(Reichert-Jung、Paris、France)を用いて得、空気乾燥し、1%(wt/vol)ウシ血清アルブミンを含むリン酸緩衝液生理食塩水中でブロックした。この試験に用いた抗体を以下の表に記載する。

【0100】
ヒトコラーゲンに特異的なI型コラーゲン抗体は真皮基質を調製するのに使用したウシコラーゲンと交差反応しない(Noblesseら、J.Invest Dermatol.、2004;122(3):621-30)。
【0101】
第2抗体のFITC標識したヤギ抗ウサギIgG(1:50希釈、Sanofi Diagnostic Pasteur、France)またはヤギ抗マウスIgG(1:50希釈、Cedarlane、Canada)を該スポンジネットワークの非特異染色を減少させるために0.1%エバンスブルーと混合した(KienyおよびMauger、1984)。コントロールについては一次抗体を省略した。典型的試料であることを保証するため、各標本の複数の切片を処理した。
定量的RT-PCR
【0102】
第42および60日のエラスチン、フィブリリン1、およびI型コラーゲンのmRNAの産生を追うため定量的RT-PCRを用いた。皮膚等価物の総RNAを「SV96総RNA単離システム」(Promega)を用いて抽出した。各試料について100μlの精製総RNAを得、分光測光器(spectramax190;Molecular Devices)を用いて260nmで定量し、使用するまで-80℃に凍結保存した。
【0103】
定量的RT-PCR用に各遺伝子に特異的なプライマーを設計した。「QuantiTect SYBR Green RT-PCR」キット(Qiagen)を用い、特異的プライマーを用いるワンステップ定量的RT-PCRを行なった。反応混合物は、SYBR Green緩衝液1X;0.5μMの2種の特異的プライマー;1μlの酵素混合物;50ngの総試料RNA;RNアーゼ不含水でqsp 50μlを含んだ。反応をOPTICON(登録商標)サーモサイクラー(MJ Research)中で行った。実施後、PCR生成物が純粋であることを保証するため、試料を2%アガロースゲルで泳動した。
結果:
19歳ドナーから得た皮膚繊維芽細胞から再構成した皮膚等価物に対する組成物の影響
【0104】
濃度に関わらす、複合剤は表皮の老化を遅らせた。図2は、19歳ドナーから得た皮膚繊維芽細胞から再構成した皮膚等価物に対する高および低濃度の組成物の影響を示す。ヘマトキシリン・フロキシン・サフラン染色。倍率25x。
【0105】
42日間の培養で、コントロール試料の表皮は、数層の生存表皮細胞と角質層を有する典型的な構造を示した(図2、コントロール、42日間)。培養時間を延長すると(コントロール、60日間)、表皮は、やや薄くなり、完全に分化し、長時間培養中で維持したSEの老化(衰え)(表皮の老化)に典型的ないくつかの特徴を示した。複合剤による処置は、厚く多層の更新する表皮の形成によって証明されるような老化の遅れをもたらした。(図2、組成物高および低、60日間)。真皮に対する影響は明らかではなかった。
49歳ドナーから得た皮膚の繊維芽細胞から再構成した皮膚等価物に対する組成物の影響
【0106】
図3は、49歳ドナーから得た皮膚繊維芽細胞から再構成した皮膚等価物に対する高および低濃度の組成物の影響を示す。ヘマトキシロン・フロキシン・サフラン染色。倍率40x。
【0107】
複合剤は、49歳ドナーから得たSEにおいて表皮の老化を遅らせ、密な皮膚構造の形成を刺激し、皮膚の老化を遅らせた。低濃度の複合剤は優れた効果を示した(図3)。
【0108】
19歳ドナーと49歳ドナーから得た繊維芽細胞で調製したコントロールSEの間には明らかな差があった。49歳ドナーから得たコントロール試料は、19歳細胞からのコントロール試料より培養時間中の表皮構造と真皮構造の両方のより速い衰えを示した(図2および3の第42および60日のコントロールを比較)。第42および60日の両方で、49歳細胞からのSEのコントロール試料は、SE19の各コントロールと比較して角化表皮の残存を示し、より老化(衰え)し、分化しているように見えた。この効果は複合剤による治療により減少した。低濃度の複合剤は高濃度の複合剤と比較してより肯定的な結果をもたらした。得られたSEは、密な真皮と厚くよく層化した表皮を有しよく成長した。図3の第60日の低濃度の複合剤とコントロールを比較すること。
【0109】
結果は、皮膚等価物の複合剤による処置が表皮と真皮の両方の構造、質、および維持に肯定的な効果があることを完全に証明した。細胞ドナーの年齢に関わらず、複合剤は表皮ケラチノサイトの増殖を刺激することにより表皮の老化を遅らせ、厚く、よく構造化し、更新される表皮を生じた。49歳ドナーから得たSEにおける密な皮膚構造の形成と真皮の老化の遅延に対する顕著な効果もみられた。
【0110】
従って、組成物治療、すなわち、本発明の組成物による治療は、表皮に対する非常に肯定的な効果を示し、老齢細胞からのSEに対する効果がより顕著であったものの細胞の年齢に関わらず、表皮の老化を遅らせ、ケラチノサイトの成長と更新を刺激した。培養中で42日後に表皮の厚さの減少を示し、細胞更新を示さなかった非処置試料と比較して、複合剤による処置は厚く更新する表皮の維持をもたらした。真皮では、組成物は、ECM(細胞外マトリックス)成分の産生と蓄積を刺激した。
免疫組織化学および定量的RT-PCR
【0111】
組成物(低および高濃度)処置して調製したSEでは、49歳ドナーから得た繊維芽細胞は、60日間の培養後にmRNA I型コラーゲン、フィブリリン、およびエラスチン合成の有意な増加を示した。かかる効果は19歳ドナーから得た繊維芽細胞では観察されなかった。この効果は、I型コラーゲン、エラスチンおよびフィブリリンタンパク質の免疫組織化学染色により確認された。さらに、60日後の増殖マーカーKi67を発現する細胞数は、コントロールに比べて組成物処置繊維芽細胞で4倍高く、これは、19歳および49歳ドナーの両方から得た繊維芽細胞に当てはまった。
実験例3:in vivo実験
錠剤:
【0112】
錠剤は常套的方法により下記成分に従って製造した。
錠剤I
・アスコルビン酸ナトリウム
・d-α-トコフェリル酢酸
・白茶抽出物
・ダイズ抽出物
・軟骨抽出物
・ブドウ種子抽出物
・トマト抽出物
・グルコン酸亜鉛
・医薬的に許容される賦形剤

錠剤II
・アスコルビン酸ナトリウム
・d-α-トコフェリル酢酸
・白茶抽出物
・ダイズ抽出物
・軟骨抽出物
・カモミール抽出物
・ブドウ種子抽出物
・トマト抽出物
・グルコン酸亜鉛
・医薬的に許容される賦形剤

該生成物の試験:
【0113】
真皮密度、弾力、および皮膚の小じわおよびしわの存在に対する効果を検討するため50人の女性被検対象に該錠剤(朝に錠剤I、夜に錠剤II)を投与した。臨床試験は6か月後に完結した。プラセボ錠を服用したコントロール群でない被験者は、錠剤Iの被検物質を2錠および錠剤IIの被検物質を2錠を食事と共に毎日服用した。合計38人の対象が活性錠剤を用いる試験を完結し、プラセボ錠服用対象は43人であった。
【0114】
以下の試験対象者基準を適用した:
(i)45〜65歳(閉経後1〜5年で、対象の70%がHRTを使用しておらず、対象の30%が試験開始前に最低3カ月間HRTを使用していた)、(ii)皮膚タイプI〜III(Fitzpatrick;FitzpatrickII〜IIIおよびGlogauII〜IIIを登録した)、(iii)中程度〜高度の老化徴候(GlogauII〜III)、(iv)手の甲の光損傷。
結果の臨床評価:
【0115】
研究者は、以下の皮膚の老化パラメーターについて顔の右側または左側、右手または左手の甲、およびデコルタージュ(胸)の特定の場所で対象を試験した。
・顔面:
しわ(額)
縮緬皺(眼周囲領域)
触知性の粗さ/乾燥
縮緬皺(口周囲領域/口唇線)
斑状の色素沈着過剰
弛緩(指で皮膚を垂直に持ち上げて評価する)
たるみ(口領域周辺の皮膚の視覚的下垂)
目の下のくま
毛細血管拡張症
顔の全体的外観
・手:
縮み(crepyness)
薄化(thinness)
斑状の色素沈着過剰
・デコルタージュ:
縮み
斑状の色素沈着過剰
全体的外観
【0116】
臨床評価(等級付け)の結果を以下の尺度を用いて記録した。
0<3 軽度
3<6 中等度
6<9 重度
【0117】
活性錠剤とプラセボの比較を行った。星印で示したパラメーターは、活性錠剤がプラセボより有意によい結果であったことを示す(p<0.05)。値(任意の単位)の低下は改善を示す。
結果の臨床評価

超音波皮膚密度:
【0118】
超音波検査は臨床および開業医療において20年以上用いられている。超音波検査は皮膚密度を測定するための信頼性のある非侵襲性の手段である。超音波は皮膚の構造元素によって反射され、超音波像上に着色スポットとして示される。スポットの着色が濃くなると、皮膚構造の密度が増す。
【0119】
DUBplus(Taberna、Pro Medicum、AG)超音波装置を用いて、右または左の目尻のしわ領域(評価者が選択)のB走査画像を得た。標準的20MHz変換器を有するDUBplus超音波装置を焦点距離12mmおよび解像度40dBで用いた。28dbのゲイン設定は試験部位の全皮膚厚の最も良い全体的視覚化をもたらした。目尻のしわ領域において体軸に垂直方向に合わせたプローブで測定値を得た。あるいは、額の眉間領域近くで測定を行ってもよい。密度値の増加は、表皮および真皮組織の高密化を示唆し、皮膚構造の改善の指標に用いることができる。6月間使用後の皮膚密度の有意な改善(p<0.05)が、プラセボ群と比較して活性錠剤を補った群でみられた。
結果の要約:
【0120】

【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】シャム照射繊維芽細胞培養(灰色)と比較した、UVA照射1日後(暗色)のG1およびG2期の細胞分布を示す。
【図2】19歳ドナーから得た皮膚の繊維芽細胞から再構成した皮膚等価物に対する高および低濃度の組成物の影響を示す。
【図3】49歳ドナーから得た皮膚の繊維芽細胞から再構成した皮膚等価物に対する高および低濃度の組成物の影響を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビタミンE、ビタミンCおよび白茶抽出物を含む哺乳動物における皮膚病状の予防および治療用の経口投与用組成物。
【請求項2】
さらに、
・ブドウ種子、トマト、ダイズおよび/またはカモミールから抽出される天然の抗酸化剤;
・グリコサミノグリカンを含む抽出物;
・少なくとも1の遷移金属成分
を含む請求項1記載の組成物。
【請求項3】
グリコサミノグリカンを含む抽出物が軟骨抽出物である請求項2記載の組成物。
【請求項4】
軟骨抽出物がコンドロイチン硫酸、ケラタン硫酸、ヒアルロン酸またはデルマタン硫酸またはそれらの混合物を含む請求項3記載の組成物。
【請求項5】
遷移金属成分が亜鉛である請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
亜鉛がグルコン酸亜鉛の形をしている請求項5記載の組成物。
【請求項7】
さらに医薬的に許容される賦形剤を含む請求項6記載の組成物。
【請求項8】
老化の皮膚徴候に罹患した個体を予防的または治癒的に治療するのに適した経口投与用製剤を製造するための
・ビタミンE
・ビタミンC
・白茶抽出物
を含む組成物の使用。
【請求項9】
組成物がさらに軟骨抽出物を含む請求項8記載の組成物の使用。
【請求項10】
組成物が、ブドウ種子抽出物、グルコン酸亜鉛およびトマト抽出物からなる群から独立して選ばれる成分をさらに含む請求項8または9に記載の組成物の使用。
【請求項11】
組成物がシロップ、錠剤、カプセルまたは栄養食品または栄養補助食品を含む請求項8〜10のいずれかに記載の組成物に使用。
【請求項12】
組成物の総重量に基づいて
・0.1〜60重量%のビタミンE
・0.2〜90重量%のビタミンC
・0.2〜90重量%の白茶抽出物
を含む組成物。
【請求項13】
組成物の総重量に基づいて5〜95重量%の、ブドウ種子、トマトおよび/またはカモミールから抽出される天然の抗酸化剤をさらに含む請求項12記載の組成物。
【請求項14】
組成物の総重量に基づいて5〜95重量%のダイズ抽出物をさらに含む請求項12または13記載の組成物。
【請求項15】
ビタミンEが組成物の総重量の0.5〜20重量%を構成する請求項12〜14のいずれかに記載の組成物。
【請求項16】
ビタミンCが組成物の総重量の1〜30重量%を構成する請求項12〜15のいずれかに記載の組成物。
【請求項17】
ビタミンEが組成物の総重量の1〜10重量%を構成する請求項12〜16のいずれかに記載の組成物。
【請求項18】
ビタミンCが組成物の総重量の1〜15重量%を構成する請求項12〜17のいずれかに記載の組成物。
【請求項19】
請求項12〜18のいずれかに記載の組成物によって得ることができる医薬記載の組成物。
【請求項20】
請求項19記載の医薬組成物を医薬的に許容される賦形剤と共に含む錠剤。
【請求項21】
・ビタミンC
・ビタミンE
・白茶抽出物
・ダイズ抽出物
・軟骨抽出物
・ブドウ種子抽出物
・トマト抽出物
・グルコン酸亜鉛、および
・医薬的に許容される賦形剤
を含む錠剤製剤。
【請求項22】
さらにカモミール抽出物を含む請求項21の錠剤製剤。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2008−503505(P2008−503505A)
【公表日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−516975(P2007−516975)
【出願日】平成17年6月24日(2005.6.24)
【国際出願番号】PCT/DK2005/000427
【国際公開番号】WO2006/000226
【国際公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【出願人】(504236031)フェロサン・アクティーゼルスカブ (1)
【Fターム(参考)】