耐クラック性熱曲げアクチュエータ
【課題】優れた熱曲げアクチュエータなどを提供する。
【解決手段】熱曲げアクチュエータは、駆動回路構成に接続するためのアクティブビームと、アクティブビームと機械的に協働するパッシブビームと、を含む。アクティブビームに電流が流れると、アクティブビームはパッシブビームに対して膨張し、その結果、アクチュエータの曲げが生じる。パッシブビームは、窒化シリコンから成る第1層と、二酸化シリコンから成る第2層と、を含む。第2層は、第1層とアクティブビームとの間に狭持され、第1層のための断熱をもたらす。
【解決手段】熱曲げアクチュエータは、駆動回路構成に接続するためのアクティブビームと、アクティブビームと機械的に協働するパッシブビームと、を含む。アクティブビームに電流が流れると、アクティブビームはパッシブビームに対して膨張し、その結果、アクチュエータの曲げが生じる。パッシブビームは、窒化シリコンから成る第1層と、二酸化シリコンから成る第2層と、を含む。第2層は、第1層とアクティブビームとの間に狭持され、第1層のための断熱をもたらす。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MEMSデバイスの分野に関し、特にインクジェットプリントヘッドに関する。本発明は主として、MEMS製造中および操作中の両方で、熱曲げアクチュエータのロバスト性を改善するために開発されてきた。
【背景技術】
【0002】
本願出願人はこれまで、熱曲げ作動を使用する大量のMEMSインクジェットノズルについて記載してきた。熱曲げ作動とは一般的に、電流が通過する1つの材料の熱膨張によって生じる別の材料に対する曲げ動作を意味する。結果的に生じる曲げ動作は、任意選択的にノズルチャンバに圧力波を生成するパドルまたはベーンの運動を介して、ノズル開口からインクを噴射するために使用することができる。
【0003】
出願人の米国特許第6,416,167号明細書(その内容は参照により本明細書に組み込まれる)は、ノズルチャンバ内に配置されたパドルと、ノズルチャンバの外に配置された熱曲げアクチュエータとを有する、インクジェットノズルを記載している。アクチュエータは、非導電性材料(例えば二酸化シリコン)の上部パッシブビームに融着された導電性材料(例えば窒化チタン)の下部アクティブビームの形を取る。アクチュエータは、ノズルチャンバの壁のスロットに受容されたアームを介してパドルに接続される。下部アクティブビームに電流を通すと、アクチュエータは上向きに曲がり、その結果、パドルはノズルチャンバのルーフに画成されたノズル開口に向かって移動し、それによってインクの液滴が噴射される。この設計の利点は、その構成の単純さである。この設計の欠点は、パドルの両面が、ノズルチャンバ内部の比較的粘性のあるインクに対し作用することである。
【0004】
出願人の米国特許第6,260,953号明細書(その内容は参照により本明細書に組み込まれる)は、アクチュエータがノズルチャンバの可動ルーフ部分を形成するインクジェットノズルを記載している。アクチュエータは、ポリマー材によって包封された導電性材料の波状コアの形を取る。作動すると、アクチュエータはノズルチャンバのフロア方向に曲がり、チャンバ内の圧力を増大させ、チャンバのルーフに画成されたノズル開口からインクの液滴を押し出す。ノズル開口はルーフの非可動部分に画成される。この設計の利点は、可動ルーフ部分の片面だけがノズルチャンバ内の比較的粘性のあるインクに対し作用しなければならないことである。この設計の欠点は、ポリマー材によって包封された波形導電性要素からのアクチュエータの構成が、MEMSプロセスで達成することが難しいことである。
【0005】
出願人の米国特許第6,623,101号明細書(その内容は参照により本明細書に組み込まれる)は、ノズル開口がその中に画成された可動ルーフ部分を持つノズルチャンバを備えたインクジェットノズルを記載している。可動ルーフ部分はアームを介して、ノズルチャンバの外に配置された熱曲げアクチュエータに接続される。アクチュエータは、下部パッシブビームから離して配置された上部アクティブビームの形を取る。アクティブビームおよびパッシブビームを離して配置することによって、パッシブビームはアクティブビームのヒートシンクとして働くことができないので、熱曲げ効率が最大になる。上部アクティブビームに電流を通すと、ノズル開口がその中に画成された可動ルーフ部分がノズルチャンバのフロアに向かって回転し、それによってノズル開口から噴射される。ノズル開口はルーフ部分と共に移動するので、液滴飛行方向をノズルリムの形状の適切な変更によって制御することができる。この設計の利点は、可動ルーフ部分の片面だけがノズルチャンバ内の比較的粘性のあるインクに対し作用しなければならないことである。さらなる利点は、アクティブビーム部材とパッシブビーム部材を離して配置することによって熱損失の最小化が達成されることである。この設計の欠点は、アクティブビーム部材とパッシブビーム部材を離して配置するので構造上の剛性が失われることである。
【0006】
出願人の米国特許出願公開第2008/0129795号明細書(その内容は参照により本明細書に組み込まれる)は、ノズル開口がその中に画成された可動ルーフ部分を持つノズルチャンバを備えたインクジェットノズルを記載している。可動ルーフ部分は、可動ルーフ部分をチャンバのフロア方向に移動させるための熱曲げアクチュエータを含む。アクチュエータのパッシブ層に多孔質二酸化ケイ素を使用することを含め、アクチュエータの効率を改善するための種々の手段が記載されている。
【0007】
より効率的な液滴噴射および改善された機械的ロバスト性を達成するように、熱曲げインクジェットノズルの設計を改善する必要がある。機械的ロバスト性は、インクジェットノズルの動作特性およびその製造の両方に関して重要なファクタである。製造は、高い総合的歩留まりでプリントヘッド集積回路を提供する一連のMEMS製造工程を必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6,416,167号
【特許文献2】米国特許第6,260,953号
【特許文献3】米国特許第6,623,101号
【特許文献4】米国特許出願公開第2008/0129795号
【発明の概要】
【0009】
第1態様では、
駆動回路構成に接続するためのアクティブビームと、
アクティブビームに電流を通したときに、アクティブビームがパッシブビームに対して膨張し、結果的にアクチュエータの曲げが生じるように、アクティブビームと機械的に協働するパッシブビームと、
を備え、パッシブビームが、窒化シリコンから構成される第1層と、二酸化シリコンから構成される第2層とを含み、第2層が第1層とアクティブビームとの間に狭持された、熱曲げアクチュエータを提供する。
【0010】
本発明に係る熱曲げアクチュエータは、優れた熱効率を維持する一方、ロバスト性および耐クラック性が高いので有利である。窒化シリコンの第1層は耐クラック性をもたらし、二酸化シリコンの第2層は断熱性をもたらし、それは高い全体的効率を維持する。アクティブおよびパッシブビームにおける応力が不可避であるため、クラックは熱曲げアクチュエータでは問題であるが、通常二酸化シリコンから形成され、良好な断熱性を有するパッジブビームでは特に問題である。本発明は、本明細書に記載する二層化されたパッシブビームを使用することによって、クラックの問題に対処する。
【0011】
任意選択的に、第1層は第2層より厚い。窒化シリコンの第1層は、二酸化シリコンの第2層より2〜20倍厚く、任意選択的に8〜20倍厚くすることができる。
【0012】
任意選択的に、第1層は第2層より少なくとも2倍厚く、任意選択的に少なくとも4倍厚く、または任意選択的に少なくとも8倍厚い。
【0013】
任意選択的に、第2層は0.01から0.5ミクロンの範囲、任意選択的に0.02から0.3ミクロンの範囲、任意選択的に0.05から0.2ミクロンの範囲、または任意選択的に約0.1ミクロンの厚さを有する。
【0014】
任意選択的に、第1層は0.05から5.0ミクロンの範囲、任意選択的に1.0から2.0ミクロンの範囲、または任意選択的に約1.4ミクロンの厚さを有する。
【0015】
任意選択的に、アクティブビームは、0.05から5.0ミクロンの範囲、任意選択的に1.0から3.0ミクロンの範囲、任意選択的に1.5から2.0ミクロンの範囲、または任意選択的に約1.7ミクロンの厚さを有する。
【0016】
任意選択的に、アクティブビームは、アクチュエータの一端に配置された1対の電気接点を介して、駆動回路構成に接続される。
【0017】
任意選択的に、アクティブビームは、堆積プロセスによってパッシブビームに融着される。
【0018】
任意選択的に、アクティブビームは、任意選択的に窒化チタン、窒化チタンアルミニウム、およびアルミニウム合金から成る群から選択された導電性熱弾性材から構成される。
【0019】
任意選択的に、アクティブビームはバナジウム−アルミニウム合金から構成される。
【0020】
第2の態様では、
ノズル開口およびインク入口を有するノズルチャンバと、
ノズル開口を介してインクを噴射させるための熱曲げアクチュエータと、
を備えたインクジェットノズル組立体であって、アクチュエータが
駆動回路構成に接続するためのアクティブビームと、
アクティブビームに電流を通したときに、アクティブビームがパッシブビームに対して膨張し、結果的にアクチュエータの曲げが生じるように、アクティブビームと機械的に協働するパッシブビームと、
を含み、
パッシブビームが、窒化シリコンから構成された第1層と、二酸化シリコンから構成された第2層とを含み、第2層が第1層とアクティブビームとの間に狭持された、インクジェットノズル組立体を提供する。
【0021】
第1態様に関して上述した利点に加えて、第2態様に係るインクジェットノズル組立体のさらなる利点は、窒化シリコンの第2層が、ノズルチャンバ内に含まれる流体に対する不透過性障壁になることである。したがって、結果的にノズルの不具合を生じさせる可能性のある水溶性イオンがパッシブビームを通して浸出しアクティブビームを汚染することはできない。高温インクからの水溶性イオンの浸出は、本願出願人によって、二酸化シリコンのみから構成されたパッシブビームを有する熱曲げアクチュエータの故障メカニズムとして識別されている。
【0022】
任意選択的に、ノズルチャンバはフロアと、可動部分を有するルーフとを含み、それによってアクチュエータが作動すると可動部分がフロアに向かって移動する。
【0023】
任意選択的に、可動部分はアクチュエータを含む。
【0024】
任意選択的に、アクティブビームは、ノズルチャンバのフロアに対してパッシブビームの上面に配置される。
【0025】
任意選択的に、ノズル開口がフロアに対して相対的に移動可能であるように、ノズル開口は可動部分に画成される。
【0026】
任意選択的に、アクチュエータはノズル開口に対して相対的に移動可能である。
【0027】
任意選択的に、ルーフは、本明細書でさらに詳述する重合シロキサンのようなポリマー材で被覆される。
【0028】
第3態様では、複数のノズル組立体を備えたインクジェットプリントヘッドであって、各ノズル組立体が、
ノズル開口およびインク入口を有するノズルチャンバと、
ノズル開口を介してインクを噴射させるための熱曲げアクチュエータと、
を含み、アクチュエータが、
駆動回路構成に接続されたアクティブビームと、
アクティブビームに電流を通したときに、アクティブビームがパッシブビームに対して膨張し、結果的にアクチュエータの曲げが生じるように、アクティブビームと機械的に協働するパッシブビームと、
を含み、
パッシブビームが、窒化シリコンから構成された第1層と二酸化シリコンから構成された第2層とを含み、第2層が第1層とアクティブビームとの間に狭持された、インクジェットプリントヘッドを提供する。
【0029】
第4態様では、1つ以上の熱曲げアクチュエータを含むMEMSデバイスであって、各熱曲げアクチュエータが、
駆動回路構成に接続されたアクティブビームと、
アクティブビームに電流を通したときに、アクティブビームがパッシブビームに対して膨張し、結果的にアクチュエータの曲げが生じるように、アクティブビームと機械的に協働するパッシブビームと、
を含み、
パッシブビームが、窒化シリコンから構成された第1層と二酸化シリコンから構成された第2層とを含み、第2層が第1層とアクティブビームとの間に狭持された、MEMSデバイスを提供する。
【0030】
そのようなMEMSデバイスの例として、LOC弁およびLOCポンプ(出願人の米国特許出願第12/142,779号明細書に記載)、センサ、スイッチ等が挙げられる。当業者は熱曲げアクチュエータを含むMEMSデバイスの多数の用途を充分理解する。
【0031】
第5態様では、熱曲げアクチュエータを作製する方法であって、
(a)窒化シリコンから構成される第1層を犠牲足場上に堆積するステップと、
(b)二酸化シリコンから構成される第2層を第1層上に堆積するステップと、
(c)アクティブビーム層を第2層上に堆積するステップと、
(d)熱曲げアクチュエータがアクティブビームとパッシブビームとを含み、パッシブビームが第1および第2層を含み、アクティブビーム層、第1層、および第2層をエッチングして、熱曲げアクチュエータを画成するステップと、
(e)犠牲足場を除去することによって熱曲げアクチュエータを解放するステップと、
を含む方法を提供する。
【0032】
任意選択的に、犠牲足場はフォトレジストまたはポリイミドから構成される。
【0033】
任意選択的に、犠牲足場は当技術分野で「アッシング」として知られる酸化性プラズマによって除去される。アッシングはO2プラズマ、O2/N2プラズマ、または任意の他の適切な酸化性プラズマを用いて達成することができる。
【0034】
任意選択的に、熱曲げアクチュエータの解放後のパッシブビームにおける残留応力は、主に第1層に存在する。
【0035】
任意選択的に、該方法は、インクジェットノズル組立体のMEMS作製工程の少なくとも一部分を形成する。
【0036】
任意選択的に、第1および第2層はノズルチャンバのルーフを画成する。
【0037】
任意選択的に、ルーフは可動部分を含み、可動部分は熱曲げアクチュエータを含む。
【0038】
任意選択的に、ノズル開口は、熱曲げアクチュエータの解放前にルーフに画成される。
【0039】
任意選択的に、ノズル開口はルーフの可動部分に画成される。
【0040】
任意選択的に、熱曲げアクチュエータを解放する前に、ルーフはポリマー材で被覆される。
【0041】
任意選択的に、熱曲げアクチュエータを解放する前に、ポリマー材は金属層で保護される。
【0042】
任意選択的に、ポリマー材はスピンオン工程によってルーフに被覆される。
【0043】
任意選択的に、ポリマー材は、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルシルセスキオキサン、またはポリフェニルシルセスキオキサンのような重合シロキサンである。
【0044】
言うまでもなく、第1態様に係る熱曲げアクチュエータに関連して記載した任意選択的態様が第2、第3、第4、および第5態様にも等しく適用可能であることは、理解されるであろう。
【0045】
次に、本発明の任意選択的実施形態について、単なる例として添付の図面に関連して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】ノズルチャンバ側壁が形成される第1の一連のステップ後の部分的に作製された代替的インクジェットノズル組立体の側断面図である。
【図2】図1に示された部分的に作製されたインクジェットノズル組立体の斜視図である。
【図3】ノズルチャンバにポリイミドが充填される第2の一連のステップ後の部分的に作製されたインクジェットノズル組立体の側断面図である。
【図4】図3に示された部分的に作製されたインクジェットノズル組立体の斜視図である。
【図5】コネクタポストがチャンバルーフまで形成される第3の一連のステップ後の部分的に作製されたインクジェットノズル組立体の側断面図である。
【図6】図5に示された部分的に作製されたインクジェットノズル組立体の斜視図である。
【図7】導電性金属板が形成される第4の一連のステップ後の部分的に作製されたインクジェットノズル組立体の側断面図である。
【図8】図7に示された部分的に作製されたインクジェットノズル組立体の斜視図である。
【図9】熱曲げアクチュエータのアクティブビーム部材が形成される第5の一連のステップ後の部分的に作製されたインクジェットノズル組立体の側断面図である。
【図10】図9に示された部分的に作製されたインクジェットノズル組立体の斜視図である。
【図11】ポリマー層で被覆し、金属層で保護し、ノズル開口をエッチングした後の第6の一連のステップ後の部分的に作製されたインクジェットノズル組立体の側断面図である。
【図12】裏面のMEMS処理およびフォトレジストの除去後の完成したインクジェットノズル組立体の側断面図である。
【図13】図12に示されたインクジェットノズル組立体の切欠き斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本発明が、パッシブビームに融着されたアクティブビームを有する任意の熱曲げアクチュエータに関連して使用することができることは理解される。そのような熱曲げアクチュエータは、インクジェットノズル、スイッチ、センサ、ポンプ、弁等を含め、多くのMEMSデバイスに用途を見出す。例えば出願人は、米国特許出願第12/142,779号明細書(その内容は参照により本明細書に組み込まれる)に記載されたラブ・オン・チップ・デバイス(lab−on−chip device)、および本明細書に示した相互参照特許および特許出願に記載された多くのインクジェットノズルにおける熱曲げアクチュエータの使用を実証した。MEMS熱曲げアクチュエータには多くの異なる用途があるが、本明細書では出願人のインクジェットノズル組立体の1つに関連して、本発明を説明する。しかし、言うまでもなく、本発明がこの特定のデバイスに限定されないことは理解される。
【0048】
図1〜図13は、出願人の以前の米国特許出願公開第2008/0309728号明細書(その内容は参照により本明細書に組み込まれる)に記載されたインクジェットノズル組立体100の一連のMEMS作製ステップを示す。図12および図13に示す完成したインクジェットノズル組立体100は熱曲げ作動を利用し、それによってルーフの可動部分が基板に向かって曲がり、その結果インクが噴出する。
【0049】
MEMS作製の出発点は、シリコンウェハの上部に形成されたCMOS駆動回路構成を有する標準CMOSウェハである。MEMS作製工程の最後に、このウェハは個別プリントヘッド集積回路(IC)にダイシングされ、各ICは駆動回路構成および複数のノズル組立体を含む。
【0050】
図1および図2に示す通り、基板101はその上部に形成された電極102を有する。電極102は、インクジェットノズル100のアクチュエータに電力を供給するための1対の隣接する電極(正極および接地)のうちの1つである。電極は基板101の上層のCMOS駆動回路構成(図示せず)から電力を受け取る。
【0051】
図1および図2に示すもう一方の電極103は、隣接するインクジェットノズルに電力を供給するためのものである。一般的に、図は、配列状の複数のノズル組立体の中の1つであるノズル組立体のためのMEMS作製ステップを示す。以下の説明は、これらのノズル組立体の1つのための作製ステップに重点を置く。しかし、言うまでもなく、対応するステップが、ウェハ上に形成されている全てのノズル組立体に対し同時に実行されることは理解される。隣接するノズル組立体が図面に部分的に示される場合、これは現在の目的に対しては無視することができる。したがって、電極103および隣接するノズル組立体の全ての特徴について、本明細書では詳述しない。実際、分かり易くするために、隣接するノズル組立体では一部のMEMS作製ステップを示さない。
【0052】
図1および図2に示す一連のステップでは、8ミクロンの二酸化シリコンの層が当初、基板101上に堆積される。二酸化シリコンの深さは、インクジェットノズルのノズルチャンバ105の深さを画成する。SiO2層の堆積後に、該層をエッチングして、ノズルチャンバ105の側壁になる壁104を画成する。
【0053】
図3および図4に示すように、次いでノズルチャンバ105にフォトレジストまたはポリイミド106が充填される。それは、その後の堆積ステップのための犠牲足場として働く。ポリイミド106は標準技術を用いてウェハ上にスピンコーティングされ、UV硬化および/または堅焼き(hardbake;ハードベーキング)され、次いでSiO2壁104の頂部で化学機械的平坦化(CMP)停止を受ける。
【0054】
図4および図5では、ノズルチャンバ105のルーフ部材107が形成されると共に、高導電性コネクタポスト108が下方に電極102まで延びる。ルーフ部材107の一部分は、図12および図13に示す通り、完成したインクジェットノズル組立体の熱曲げアクチュエータ115のためのパッシブビーム116を画成するために使用される。出願人の以前のインクジェットノズル設計では、ルーフ107(およびしたがって熱曲げアクチュエータのパッシブビーム)は二酸化シリコンから構成される。二酸化シリコンは熱伝導率が低く、作動中に熱曲げアクチュエータのアクティブビームから伝達される熱の量が最小化される。熱伝導率の低いパッシブビームを使用することによって、デバイスの全体的効率は改善される。しかし、二酸化シリコンは、MEMS作製中および完成したインクジェットノズル組立体の動作中の両方において、クラックを生じ易い。二酸化シリコンのさらなる不利点は、ある程度の水溶性イオン(例えば塩素イオン)透過性を有し、その結果、ノズルチャンバ内の高温インクからの水溶性イオンの浸出を介して、時間をかけてアクティブビーム層の汚染を生じる。この汚染のメカニズムは、アクティブビームおよび熱曲げアクチュエータの故障を導くおそれがあり、それは非常に望ましくない。
【0055】
窒化シリコンは二酸化シリコンに比べて、クラックを生じにくく、かつ圧縮応力および引張応力の両方で、残留応力に対する許容範囲が大きい。窒化シリコンはまた完全に不透過性であり、それはノズルチャンバ内のインクからのイオンの浸出を介するノズルの故障を最小化する。しかし窒化シリコンは二酸化シリコンよりずっと高い熱伝導率を有し、その結果、曲げアクチュエータの効率が低下する。したがって、窒化シリコンは、二酸化シリコンより優れた機械的特性を有するにもかかわらず、パッシブビームとして通常使用されない。
【0056】
本発明では、完成したアクチュエータのためのパッシブビームを画成するルーフ部材107は、比較的厚い(約1.4ミクロン)窒化シリコンの層131および比較的薄い(約0.1ミクロン)二酸化シリコンの層130を含む。図12について手短に言及すると、二酸化シリコンの層130は、完成したアクチュエータ115において、アクティブビーム110と窒化シリコンの層131との間に狭持される。この構成はMEMS作製を改善する。それは、犠牲ポリイミドまたはフォトレジスト106を除去することによってアクチュエータが「解放」されたときに、ルーフ部材107、特に熱曲げアクチュエータのパッシブビームを画成するルーフ部材107の部分がクラックを生じにくいためである。パッシブビーム116のみならず、隣接ルーフ部材107によって画成されるプリントヘッドのノズル板もまた、熱効率を感知できるほど損ねることなく、完成したプリントヘッドの機械的ロバスト性を改善した。さらに、ルーフ部材107は高温インクから熱曲げアクチュエータのアクティブビームに水溶性イオンを浸出させない。したがって、二重層のパッシブビームがアクチュエータの動作およびアクチュエータの作製の両方を改善することは理解される。
【0057】
ここで図5および図6に戻って、二層化されたルーフ部材107の堆積後に、標準異方性DRIEを使用して、壁104に1対のビアが電極102まで形成される。このエッチングは、それぞれのビアを介して電極102の対を露出させる。次に、無電解メッキ法を使用して、銅のような高導電性金属がビアに充填される。堆積した銅ポスト108は二層化されたルーフ部材107でCMP停止を受け、プレーナ構造を提供する。無電解銅メッキ中に形成された銅コネクタポスト108は、それぞれの電極102と出会い、ルーフ部材107までの線形導電性経路をもたらすことが分かる。
【0058】
図7および図8では、最初0.3ミクロンのアルミニウム層を、二層化されたルーフ部材107およびコネクタポスト108上に堆積することによって、金属パッド109が形成される。任意の高導電性金属(例えばアルミニウム、チタン等)を使用することができ、ノズル組立体の全体的平坦性に対する影響が厳しくなりすぎないように、約0.5ミクロン以下の厚さに堆積する必要がある。金属パッド109は、コネクタポスト108上、およびルーフ部材107上の熱弾性アクティブビーム部材の予め定められた「曲げ領域」に配置される。
【0059】
図9および図10で、熱弾性アクティブビーム部材110が、二層化されたルーフ107上に形成される。アクティブビーム部材110に融着されるおかげで、ルーフ部材107の一部は、アクティブビーム110およびパッシブビーム116によって画成される機械的熱曲げアクチュエータの下部パッシブビーム部材116として機能する。熱弾性アクティブビーム部材110は、窒化チタン、窒化チタンアルミニウム、およびアルミニウム合金のような任意の適切な熱弾性材から構成することができる。出願人の以前の米国特許出願公開第2008/0129793号明細書(その内容は参照により本明細書に組み込まれる)に説明する通り、バナジウム−アルミニウム合金は、高い熱膨張、低い密度、および高いヤング率の有利な特性を組み合わせるので好適な材料である。
【0060】
アクティブビーム部材110を形成するために、1.5ミクロンの導電性熱弾性アクティブビーム材料の層が最初に標準PECVDによって堆積される。該ビーム材料は次いで標準金属エッチングを用いて、アクティブビーム部材110を画成するようにエッチングされる。金属エッチングの完了後に、図9および図10に示す通り、アクティブビーム部材110は、部分ノズル開口111と、各端がコネクタポスト108を介して正極および接地電極102に電気的に接続されたビーム要素112とを含む。プレーナビーム要素112は、第1(正)コネクタポストの頂部から延び、180度曲がって第2(接地)コネクタポストの頂部に戻る。
【0061】
依然として図9および図10について言及すると、金属パッド109は、潜在的に高い抵抗の領域における電流の流れを促進するように配置される。1つの金属パッド109がビーム要素112の曲げ領域に配置され、かつアクティブビーム部材110とパッシブビーム部材116との間に狭持される。他の金属パッド109は、コネクタポスト108の頂部とビーム要素112の端部との間に配置される。
【0062】
図11について言及すると、疎水性ポリマー層80はウェハ上に堆積され、保護金属層90(例えば100nmのアルミニウム)で被覆される。適切なマスキング後に、ノズル開口113およびルーフの可動部分114を完全に画成するように、金属層90、ポリマー層80、および二層化されたルーフ部材107が次いでエッチングされる。
【0063】
可動部分114は、アクティブビーム部材110および下にあるパッシブビーム部材116からそれ自体が構成される熱曲げアクチュエータ115を含む。ノズル開口113は、ノズル開口が作動中にアクチュエータにより移動するように、ルーフの可動部分114に画成される。米国特許出願公開第2008/0129793号明細書に記載された、ノズル開口113が可動部分114に対して静止している構成も可能であり、本発明の範囲内である。
【0064】
ルーフの可動部分114の周辺領域117は、可動部分をルーフの静止部分118から分離する。アクチュエータ115が作動すると、この周辺領域117は可動部分114をノズルチャンバ105内および基板101の方向に曲げさせる。疎水性ポリマー層80が周辺領域117を満たし、ルーフ107の可動部分114と静止部分118との間に機械的シールを提供する。ポリマーは、作動中にインクが間隙117を通して逃散することを防止しながらアクチュエータが基板101の方向に曲がることを可能にするだけの充分に低いヤング率を有する。
【0065】
ポリマー層80は典型的には、スピンオン工程および堅焼き(hardbake;ハードベーキング)を用いて、薄層(例えば0.5〜2.0ミクロン)に堆積することのできる、重合シロキサンから構成される。適切なポリマー材の例として、ポリ(メチルシルセスキオキサン)のようなポリ(アルキルシルセスキオキサン)、ポリ(フェニルシルセスキオキサン)のようなポリ(アリールシルセスキオキサン)、およびポリジメチルシロキサンのようなポリ(ジアルキルシロキサン)がある。ポリマー材は、耐久性、耐摩耗性、耐疲労性等を改善するためにナノ粒子を組み込むことができる。
【0066】
最終MEMS処理ステップでは、図12および図13に示す通り、インク供給チャネル120が基板101の裏面からノズルチャンバ105を通してエッチングされる。インク供給チャネル120は図12および図13にノズル開口113と整列下状態で示されるが、言うまでもなく、それはノズル開口からずらして配置することができる。
【0067】
インク供給チャネルのエッチングに続いて、ノズルチャンバ105を満たしているポリイミド106が、酸化性プラズマにおけるアッシングによって除去され、金属膜90がHFまたはH2O2リンスによって除去され、ノズル組立体100が提供される。
【0068】
当業者は、概括的に記載した本発明の精神および範囲から逸脱することなく、特定の実施形態で示した本発明に多くの変形および/または変化を施すことができることを理解される。したがって、本明細書の実施形態は、あらゆる点で制限ではなく、例証とみなすべきである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、MEMSデバイスの分野に関し、特にインクジェットプリントヘッドに関する。本発明は主として、MEMS製造中および操作中の両方で、熱曲げアクチュエータのロバスト性を改善するために開発されてきた。
【背景技術】
【0002】
本願出願人はこれまで、熱曲げ作動を使用する大量のMEMSインクジェットノズルについて記載してきた。熱曲げ作動とは一般的に、電流が通過する1つの材料の熱膨張によって生じる別の材料に対する曲げ動作を意味する。結果的に生じる曲げ動作は、任意選択的にノズルチャンバに圧力波を生成するパドルまたはベーンの運動を介して、ノズル開口からインクを噴射するために使用することができる。
【0003】
出願人の米国特許第6,416,167号明細書(その内容は参照により本明細書に組み込まれる)は、ノズルチャンバ内に配置されたパドルと、ノズルチャンバの外に配置された熱曲げアクチュエータとを有する、インクジェットノズルを記載している。アクチュエータは、非導電性材料(例えば二酸化シリコン)の上部パッシブビームに融着された導電性材料(例えば窒化チタン)の下部アクティブビームの形を取る。アクチュエータは、ノズルチャンバの壁のスロットに受容されたアームを介してパドルに接続される。下部アクティブビームに電流を通すと、アクチュエータは上向きに曲がり、その結果、パドルはノズルチャンバのルーフに画成されたノズル開口に向かって移動し、それによってインクの液滴が噴射される。この設計の利点は、その構成の単純さである。この設計の欠点は、パドルの両面が、ノズルチャンバ内部の比較的粘性のあるインクに対し作用することである。
【0004】
出願人の米国特許第6,260,953号明細書(その内容は参照により本明細書に組み込まれる)は、アクチュエータがノズルチャンバの可動ルーフ部分を形成するインクジェットノズルを記載している。アクチュエータは、ポリマー材によって包封された導電性材料の波状コアの形を取る。作動すると、アクチュエータはノズルチャンバのフロア方向に曲がり、チャンバ内の圧力を増大させ、チャンバのルーフに画成されたノズル開口からインクの液滴を押し出す。ノズル開口はルーフの非可動部分に画成される。この設計の利点は、可動ルーフ部分の片面だけがノズルチャンバ内の比較的粘性のあるインクに対し作用しなければならないことである。この設計の欠点は、ポリマー材によって包封された波形導電性要素からのアクチュエータの構成が、MEMSプロセスで達成することが難しいことである。
【0005】
出願人の米国特許第6,623,101号明細書(その内容は参照により本明細書に組み込まれる)は、ノズル開口がその中に画成された可動ルーフ部分を持つノズルチャンバを備えたインクジェットノズルを記載している。可動ルーフ部分はアームを介して、ノズルチャンバの外に配置された熱曲げアクチュエータに接続される。アクチュエータは、下部パッシブビームから離して配置された上部アクティブビームの形を取る。アクティブビームおよびパッシブビームを離して配置することによって、パッシブビームはアクティブビームのヒートシンクとして働くことができないので、熱曲げ効率が最大になる。上部アクティブビームに電流を通すと、ノズル開口がその中に画成された可動ルーフ部分がノズルチャンバのフロアに向かって回転し、それによってノズル開口から噴射される。ノズル開口はルーフ部分と共に移動するので、液滴飛行方向をノズルリムの形状の適切な変更によって制御することができる。この設計の利点は、可動ルーフ部分の片面だけがノズルチャンバ内の比較的粘性のあるインクに対し作用しなければならないことである。さらなる利点は、アクティブビーム部材とパッシブビーム部材を離して配置することによって熱損失の最小化が達成されることである。この設計の欠点は、アクティブビーム部材とパッシブビーム部材を離して配置するので構造上の剛性が失われることである。
【0006】
出願人の米国特許出願公開第2008/0129795号明細書(その内容は参照により本明細書に組み込まれる)は、ノズル開口がその中に画成された可動ルーフ部分を持つノズルチャンバを備えたインクジェットノズルを記載している。可動ルーフ部分は、可動ルーフ部分をチャンバのフロア方向に移動させるための熱曲げアクチュエータを含む。アクチュエータのパッシブ層に多孔質二酸化ケイ素を使用することを含め、アクチュエータの効率を改善するための種々の手段が記載されている。
【0007】
より効率的な液滴噴射および改善された機械的ロバスト性を達成するように、熱曲げインクジェットノズルの設計を改善する必要がある。機械的ロバスト性は、インクジェットノズルの動作特性およびその製造の両方に関して重要なファクタである。製造は、高い総合的歩留まりでプリントヘッド集積回路を提供する一連のMEMS製造工程を必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6,416,167号
【特許文献2】米国特許第6,260,953号
【特許文献3】米国特許第6,623,101号
【特許文献4】米国特許出願公開第2008/0129795号
【発明の概要】
【0009】
第1態様では、
駆動回路構成に接続するためのアクティブビームと、
アクティブビームに電流を通したときに、アクティブビームがパッシブビームに対して膨張し、結果的にアクチュエータの曲げが生じるように、アクティブビームと機械的に協働するパッシブビームと、
を備え、パッシブビームが、窒化シリコンから構成される第1層と、二酸化シリコンから構成される第2層とを含み、第2層が第1層とアクティブビームとの間に狭持された、熱曲げアクチュエータを提供する。
【0010】
本発明に係る熱曲げアクチュエータは、優れた熱効率を維持する一方、ロバスト性および耐クラック性が高いので有利である。窒化シリコンの第1層は耐クラック性をもたらし、二酸化シリコンの第2層は断熱性をもたらし、それは高い全体的効率を維持する。アクティブおよびパッシブビームにおける応力が不可避であるため、クラックは熱曲げアクチュエータでは問題であるが、通常二酸化シリコンから形成され、良好な断熱性を有するパッジブビームでは特に問題である。本発明は、本明細書に記載する二層化されたパッシブビームを使用することによって、クラックの問題に対処する。
【0011】
任意選択的に、第1層は第2層より厚い。窒化シリコンの第1層は、二酸化シリコンの第2層より2〜20倍厚く、任意選択的に8〜20倍厚くすることができる。
【0012】
任意選択的に、第1層は第2層より少なくとも2倍厚く、任意選択的に少なくとも4倍厚く、または任意選択的に少なくとも8倍厚い。
【0013】
任意選択的に、第2層は0.01から0.5ミクロンの範囲、任意選択的に0.02から0.3ミクロンの範囲、任意選択的に0.05から0.2ミクロンの範囲、または任意選択的に約0.1ミクロンの厚さを有する。
【0014】
任意選択的に、第1層は0.05から5.0ミクロンの範囲、任意選択的に1.0から2.0ミクロンの範囲、または任意選択的に約1.4ミクロンの厚さを有する。
【0015】
任意選択的に、アクティブビームは、0.05から5.0ミクロンの範囲、任意選択的に1.0から3.0ミクロンの範囲、任意選択的に1.5から2.0ミクロンの範囲、または任意選択的に約1.7ミクロンの厚さを有する。
【0016】
任意選択的に、アクティブビームは、アクチュエータの一端に配置された1対の電気接点を介して、駆動回路構成に接続される。
【0017】
任意選択的に、アクティブビームは、堆積プロセスによってパッシブビームに融着される。
【0018】
任意選択的に、アクティブビームは、任意選択的に窒化チタン、窒化チタンアルミニウム、およびアルミニウム合金から成る群から選択された導電性熱弾性材から構成される。
【0019】
任意選択的に、アクティブビームはバナジウム−アルミニウム合金から構成される。
【0020】
第2の態様では、
ノズル開口およびインク入口を有するノズルチャンバと、
ノズル開口を介してインクを噴射させるための熱曲げアクチュエータと、
を備えたインクジェットノズル組立体であって、アクチュエータが
駆動回路構成に接続するためのアクティブビームと、
アクティブビームに電流を通したときに、アクティブビームがパッシブビームに対して膨張し、結果的にアクチュエータの曲げが生じるように、アクティブビームと機械的に協働するパッシブビームと、
を含み、
パッシブビームが、窒化シリコンから構成された第1層と、二酸化シリコンから構成された第2層とを含み、第2層が第1層とアクティブビームとの間に狭持された、インクジェットノズル組立体を提供する。
【0021】
第1態様に関して上述した利点に加えて、第2態様に係るインクジェットノズル組立体のさらなる利点は、窒化シリコンの第2層が、ノズルチャンバ内に含まれる流体に対する不透過性障壁になることである。したがって、結果的にノズルの不具合を生じさせる可能性のある水溶性イオンがパッシブビームを通して浸出しアクティブビームを汚染することはできない。高温インクからの水溶性イオンの浸出は、本願出願人によって、二酸化シリコンのみから構成されたパッシブビームを有する熱曲げアクチュエータの故障メカニズムとして識別されている。
【0022】
任意選択的に、ノズルチャンバはフロアと、可動部分を有するルーフとを含み、それによってアクチュエータが作動すると可動部分がフロアに向かって移動する。
【0023】
任意選択的に、可動部分はアクチュエータを含む。
【0024】
任意選択的に、アクティブビームは、ノズルチャンバのフロアに対してパッシブビームの上面に配置される。
【0025】
任意選択的に、ノズル開口がフロアに対して相対的に移動可能であるように、ノズル開口は可動部分に画成される。
【0026】
任意選択的に、アクチュエータはノズル開口に対して相対的に移動可能である。
【0027】
任意選択的に、ルーフは、本明細書でさらに詳述する重合シロキサンのようなポリマー材で被覆される。
【0028】
第3態様では、複数のノズル組立体を備えたインクジェットプリントヘッドであって、各ノズル組立体が、
ノズル開口およびインク入口を有するノズルチャンバと、
ノズル開口を介してインクを噴射させるための熱曲げアクチュエータと、
を含み、アクチュエータが、
駆動回路構成に接続されたアクティブビームと、
アクティブビームに電流を通したときに、アクティブビームがパッシブビームに対して膨張し、結果的にアクチュエータの曲げが生じるように、アクティブビームと機械的に協働するパッシブビームと、
を含み、
パッシブビームが、窒化シリコンから構成された第1層と二酸化シリコンから構成された第2層とを含み、第2層が第1層とアクティブビームとの間に狭持された、インクジェットプリントヘッドを提供する。
【0029】
第4態様では、1つ以上の熱曲げアクチュエータを含むMEMSデバイスであって、各熱曲げアクチュエータが、
駆動回路構成に接続されたアクティブビームと、
アクティブビームに電流を通したときに、アクティブビームがパッシブビームに対して膨張し、結果的にアクチュエータの曲げが生じるように、アクティブビームと機械的に協働するパッシブビームと、
を含み、
パッシブビームが、窒化シリコンから構成された第1層と二酸化シリコンから構成された第2層とを含み、第2層が第1層とアクティブビームとの間に狭持された、MEMSデバイスを提供する。
【0030】
そのようなMEMSデバイスの例として、LOC弁およびLOCポンプ(出願人の米国特許出願第12/142,779号明細書に記載)、センサ、スイッチ等が挙げられる。当業者は熱曲げアクチュエータを含むMEMSデバイスの多数の用途を充分理解する。
【0031】
第5態様では、熱曲げアクチュエータを作製する方法であって、
(a)窒化シリコンから構成される第1層を犠牲足場上に堆積するステップと、
(b)二酸化シリコンから構成される第2層を第1層上に堆積するステップと、
(c)アクティブビーム層を第2層上に堆積するステップと、
(d)熱曲げアクチュエータがアクティブビームとパッシブビームとを含み、パッシブビームが第1および第2層を含み、アクティブビーム層、第1層、および第2層をエッチングして、熱曲げアクチュエータを画成するステップと、
(e)犠牲足場を除去することによって熱曲げアクチュエータを解放するステップと、
を含む方法を提供する。
【0032】
任意選択的に、犠牲足場はフォトレジストまたはポリイミドから構成される。
【0033】
任意選択的に、犠牲足場は当技術分野で「アッシング」として知られる酸化性プラズマによって除去される。アッシングはO2プラズマ、O2/N2プラズマ、または任意の他の適切な酸化性プラズマを用いて達成することができる。
【0034】
任意選択的に、熱曲げアクチュエータの解放後のパッシブビームにおける残留応力は、主に第1層に存在する。
【0035】
任意選択的に、該方法は、インクジェットノズル組立体のMEMS作製工程の少なくとも一部分を形成する。
【0036】
任意選択的に、第1および第2層はノズルチャンバのルーフを画成する。
【0037】
任意選択的に、ルーフは可動部分を含み、可動部分は熱曲げアクチュエータを含む。
【0038】
任意選択的に、ノズル開口は、熱曲げアクチュエータの解放前にルーフに画成される。
【0039】
任意選択的に、ノズル開口はルーフの可動部分に画成される。
【0040】
任意選択的に、熱曲げアクチュエータを解放する前に、ルーフはポリマー材で被覆される。
【0041】
任意選択的に、熱曲げアクチュエータを解放する前に、ポリマー材は金属層で保護される。
【0042】
任意選択的に、ポリマー材はスピンオン工程によってルーフに被覆される。
【0043】
任意選択的に、ポリマー材は、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルシルセスキオキサン、またはポリフェニルシルセスキオキサンのような重合シロキサンである。
【0044】
言うまでもなく、第1態様に係る熱曲げアクチュエータに関連して記載した任意選択的態様が第2、第3、第4、および第5態様にも等しく適用可能であることは、理解されるであろう。
【0045】
次に、本発明の任意選択的実施形態について、単なる例として添付の図面に関連して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】ノズルチャンバ側壁が形成される第1の一連のステップ後の部分的に作製された代替的インクジェットノズル組立体の側断面図である。
【図2】図1に示された部分的に作製されたインクジェットノズル組立体の斜視図である。
【図3】ノズルチャンバにポリイミドが充填される第2の一連のステップ後の部分的に作製されたインクジェットノズル組立体の側断面図である。
【図4】図3に示された部分的に作製されたインクジェットノズル組立体の斜視図である。
【図5】コネクタポストがチャンバルーフまで形成される第3の一連のステップ後の部分的に作製されたインクジェットノズル組立体の側断面図である。
【図6】図5に示された部分的に作製されたインクジェットノズル組立体の斜視図である。
【図7】導電性金属板が形成される第4の一連のステップ後の部分的に作製されたインクジェットノズル組立体の側断面図である。
【図8】図7に示された部分的に作製されたインクジェットノズル組立体の斜視図である。
【図9】熱曲げアクチュエータのアクティブビーム部材が形成される第5の一連のステップ後の部分的に作製されたインクジェットノズル組立体の側断面図である。
【図10】図9に示された部分的に作製されたインクジェットノズル組立体の斜視図である。
【図11】ポリマー層で被覆し、金属層で保護し、ノズル開口をエッチングした後の第6の一連のステップ後の部分的に作製されたインクジェットノズル組立体の側断面図である。
【図12】裏面のMEMS処理およびフォトレジストの除去後の完成したインクジェットノズル組立体の側断面図である。
【図13】図12に示されたインクジェットノズル組立体の切欠き斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本発明が、パッシブビームに融着されたアクティブビームを有する任意の熱曲げアクチュエータに関連して使用することができることは理解される。そのような熱曲げアクチュエータは、インクジェットノズル、スイッチ、センサ、ポンプ、弁等を含め、多くのMEMSデバイスに用途を見出す。例えば出願人は、米国特許出願第12/142,779号明細書(その内容は参照により本明細書に組み込まれる)に記載されたラブ・オン・チップ・デバイス(lab−on−chip device)、および本明細書に示した相互参照特許および特許出願に記載された多くのインクジェットノズルにおける熱曲げアクチュエータの使用を実証した。MEMS熱曲げアクチュエータには多くの異なる用途があるが、本明細書では出願人のインクジェットノズル組立体の1つに関連して、本発明を説明する。しかし、言うまでもなく、本発明がこの特定のデバイスに限定されないことは理解される。
【0048】
図1〜図13は、出願人の以前の米国特許出願公開第2008/0309728号明細書(その内容は参照により本明細書に組み込まれる)に記載されたインクジェットノズル組立体100の一連のMEMS作製ステップを示す。図12および図13に示す完成したインクジェットノズル組立体100は熱曲げ作動を利用し、それによってルーフの可動部分が基板に向かって曲がり、その結果インクが噴出する。
【0049】
MEMS作製の出発点は、シリコンウェハの上部に形成されたCMOS駆動回路構成を有する標準CMOSウェハである。MEMS作製工程の最後に、このウェハは個別プリントヘッド集積回路(IC)にダイシングされ、各ICは駆動回路構成および複数のノズル組立体を含む。
【0050】
図1および図2に示す通り、基板101はその上部に形成された電極102を有する。電極102は、インクジェットノズル100のアクチュエータに電力を供給するための1対の隣接する電極(正極および接地)のうちの1つである。電極は基板101の上層のCMOS駆動回路構成(図示せず)から電力を受け取る。
【0051】
図1および図2に示すもう一方の電極103は、隣接するインクジェットノズルに電力を供給するためのものである。一般的に、図は、配列状の複数のノズル組立体の中の1つであるノズル組立体のためのMEMS作製ステップを示す。以下の説明は、これらのノズル組立体の1つのための作製ステップに重点を置く。しかし、言うまでもなく、対応するステップが、ウェハ上に形成されている全てのノズル組立体に対し同時に実行されることは理解される。隣接するノズル組立体が図面に部分的に示される場合、これは現在の目的に対しては無視することができる。したがって、電極103および隣接するノズル組立体の全ての特徴について、本明細書では詳述しない。実際、分かり易くするために、隣接するノズル組立体では一部のMEMS作製ステップを示さない。
【0052】
図1および図2に示す一連のステップでは、8ミクロンの二酸化シリコンの層が当初、基板101上に堆積される。二酸化シリコンの深さは、インクジェットノズルのノズルチャンバ105の深さを画成する。SiO2層の堆積後に、該層をエッチングして、ノズルチャンバ105の側壁になる壁104を画成する。
【0053】
図3および図4に示すように、次いでノズルチャンバ105にフォトレジストまたはポリイミド106が充填される。それは、その後の堆積ステップのための犠牲足場として働く。ポリイミド106は標準技術を用いてウェハ上にスピンコーティングされ、UV硬化および/または堅焼き(hardbake;ハードベーキング)され、次いでSiO2壁104の頂部で化学機械的平坦化(CMP)停止を受ける。
【0054】
図4および図5では、ノズルチャンバ105のルーフ部材107が形成されると共に、高導電性コネクタポスト108が下方に電極102まで延びる。ルーフ部材107の一部分は、図12および図13に示す通り、完成したインクジェットノズル組立体の熱曲げアクチュエータ115のためのパッシブビーム116を画成するために使用される。出願人の以前のインクジェットノズル設計では、ルーフ107(およびしたがって熱曲げアクチュエータのパッシブビーム)は二酸化シリコンから構成される。二酸化シリコンは熱伝導率が低く、作動中に熱曲げアクチュエータのアクティブビームから伝達される熱の量が最小化される。熱伝導率の低いパッシブビームを使用することによって、デバイスの全体的効率は改善される。しかし、二酸化シリコンは、MEMS作製中および完成したインクジェットノズル組立体の動作中の両方において、クラックを生じ易い。二酸化シリコンのさらなる不利点は、ある程度の水溶性イオン(例えば塩素イオン)透過性を有し、その結果、ノズルチャンバ内の高温インクからの水溶性イオンの浸出を介して、時間をかけてアクティブビーム層の汚染を生じる。この汚染のメカニズムは、アクティブビームおよび熱曲げアクチュエータの故障を導くおそれがあり、それは非常に望ましくない。
【0055】
窒化シリコンは二酸化シリコンに比べて、クラックを生じにくく、かつ圧縮応力および引張応力の両方で、残留応力に対する許容範囲が大きい。窒化シリコンはまた完全に不透過性であり、それはノズルチャンバ内のインクからのイオンの浸出を介するノズルの故障を最小化する。しかし窒化シリコンは二酸化シリコンよりずっと高い熱伝導率を有し、その結果、曲げアクチュエータの効率が低下する。したがって、窒化シリコンは、二酸化シリコンより優れた機械的特性を有するにもかかわらず、パッシブビームとして通常使用されない。
【0056】
本発明では、完成したアクチュエータのためのパッシブビームを画成するルーフ部材107は、比較的厚い(約1.4ミクロン)窒化シリコンの層131および比較的薄い(約0.1ミクロン)二酸化シリコンの層130を含む。図12について手短に言及すると、二酸化シリコンの層130は、完成したアクチュエータ115において、アクティブビーム110と窒化シリコンの層131との間に狭持される。この構成はMEMS作製を改善する。それは、犠牲ポリイミドまたはフォトレジスト106を除去することによってアクチュエータが「解放」されたときに、ルーフ部材107、特に熱曲げアクチュエータのパッシブビームを画成するルーフ部材107の部分がクラックを生じにくいためである。パッシブビーム116のみならず、隣接ルーフ部材107によって画成されるプリントヘッドのノズル板もまた、熱効率を感知できるほど損ねることなく、完成したプリントヘッドの機械的ロバスト性を改善した。さらに、ルーフ部材107は高温インクから熱曲げアクチュエータのアクティブビームに水溶性イオンを浸出させない。したがって、二重層のパッシブビームがアクチュエータの動作およびアクチュエータの作製の両方を改善することは理解される。
【0057】
ここで図5および図6に戻って、二層化されたルーフ部材107の堆積後に、標準異方性DRIEを使用して、壁104に1対のビアが電極102まで形成される。このエッチングは、それぞれのビアを介して電極102の対を露出させる。次に、無電解メッキ法を使用して、銅のような高導電性金属がビアに充填される。堆積した銅ポスト108は二層化されたルーフ部材107でCMP停止を受け、プレーナ構造を提供する。無電解銅メッキ中に形成された銅コネクタポスト108は、それぞれの電極102と出会い、ルーフ部材107までの線形導電性経路をもたらすことが分かる。
【0058】
図7および図8では、最初0.3ミクロンのアルミニウム層を、二層化されたルーフ部材107およびコネクタポスト108上に堆積することによって、金属パッド109が形成される。任意の高導電性金属(例えばアルミニウム、チタン等)を使用することができ、ノズル組立体の全体的平坦性に対する影響が厳しくなりすぎないように、約0.5ミクロン以下の厚さに堆積する必要がある。金属パッド109は、コネクタポスト108上、およびルーフ部材107上の熱弾性アクティブビーム部材の予め定められた「曲げ領域」に配置される。
【0059】
図9および図10で、熱弾性アクティブビーム部材110が、二層化されたルーフ107上に形成される。アクティブビーム部材110に融着されるおかげで、ルーフ部材107の一部は、アクティブビーム110およびパッシブビーム116によって画成される機械的熱曲げアクチュエータの下部パッシブビーム部材116として機能する。熱弾性アクティブビーム部材110は、窒化チタン、窒化チタンアルミニウム、およびアルミニウム合金のような任意の適切な熱弾性材から構成することができる。出願人の以前の米国特許出願公開第2008/0129793号明細書(その内容は参照により本明細書に組み込まれる)に説明する通り、バナジウム−アルミニウム合金は、高い熱膨張、低い密度、および高いヤング率の有利な特性を組み合わせるので好適な材料である。
【0060】
アクティブビーム部材110を形成するために、1.5ミクロンの導電性熱弾性アクティブビーム材料の層が最初に標準PECVDによって堆積される。該ビーム材料は次いで標準金属エッチングを用いて、アクティブビーム部材110を画成するようにエッチングされる。金属エッチングの完了後に、図9および図10に示す通り、アクティブビーム部材110は、部分ノズル開口111と、各端がコネクタポスト108を介して正極および接地電極102に電気的に接続されたビーム要素112とを含む。プレーナビーム要素112は、第1(正)コネクタポストの頂部から延び、180度曲がって第2(接地)コネクタポストの頂部に戻る。
【0061】
依然として図9および図10について言及すると、金属パッド109は、潜在的に高い抵抗の領域における電流の流れを促進するように配置される。1つの金属パッド109がビーム要素112の曲げ領域に配置され、かつアクティブビーム部材110とパッシブビーム部材116との間に狭持される。他の金属パッド109は、コネクタポスト108の頂部とビーム要素112の端部との間に配置される。
【0062】
図11について言及すると、疎水性ポリマー層80はウェハ上に堆積され、保護金属層90(例えば100nmのアルミニウム)で被覆される。適切なマスキング後に、ノズル開口113およびルーフの可動部分114を完全に画成するように、金属層90、ポリマー層80、および二層化されたルーフ部材107が次いでエッチングされる。
【0063】
可動部分114は、アクティブビーム部材110および下にあるパッシブビーム部材116からそれ自体が構成される熱曲げアクチュエータ115を含む。ノズル開口113は、ノズル開口が作動中にアクチュエータにより移動するように、ルーフの可動部分114に画成される。米国特許出願公開第2008/0129793号明細書に記載された、ノズル開口113が可動部分114に対して静止している構成も可能であり、本発明の範囲内である。
【0064】
ルーフの可動部分114の周辺領域117は、可動部分をルーフの静止部分118から分離する。アクチュエータ115が作動すると、この周辺領域117は可動部分114をノズルチャンバ105内および基板101の方向に曲げさせる。疎水性ポリマー層80が周辺領域117を満たし、ルーフ107の可動部分114と静止部分118との間に機械的シールを提供する。ポリマーは、作動中にインクが間隙117を通して逃散することを防止しながらアクチュエータが基板101の方向に曲がることを可能にするだけの充分に低いヤング率を有する。
【0065】
ポリマー層80は典型的には、スピンオン工程および堅焼き(hardbake;ハードベーキング)を用いて、薄層(例えば0.5〜2.0ミクロン)に堆積することのできる、重合シロキサンから構成される。適切なポリマー材の例として、ポリ(メチルシルセスキオキサン)のようなポリ(アルキルシルセスキオキサン)、ポリ(フェニルシルセスキオキサン)のようなポリ(アリールシルセスキオキサン)、およびポリジメチルシロキサンのようなポリ(ジアルキルシロキサン)がある。ポリマー材は、耐久性、耐摩耗性、耐疲労性等を改善するためにナノ粒子を組み込むことができる。
【0066】
最終MEMS処理ステップでは、図12および図13に示す通り、インク供給チャネル120が基板101の裏面からノズルチャンバ105を通してエッチングされる。インク供給チャネル120は図12および図13にノズル開口113と整列下状態で示されるが、言うまでもなく、それはノズル開口からずらして配置することができる。
【0067】
インク供給チャネルのエッチングに続いて、ノズルチャンバ105を満たしているポリイミド106が、酸化性プラズマにおけるアッシングによって除去され、金属膜90がHFまたはH2O2リンスによって除去され、ノズル組立体100が提供される。
【0068】
当業者は、概括的に記載した本発明の精神および範囲から逸脱することなく、特定の実施形態で示した本発明に多くの変形および/または変化を施すことができることを理解される。したがって、本明細書の実施形態は、あらゆる点で制限ではなく、例証とみなすべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動回路構成に接続するためのアクティブビームと、
前記アクティブビームに電流を通したときに、前記アクティブビームがパッシブビームに対して膨張し、結果的にアクチュエータの曲げが生じるように、前記アクティブビームと機械的に協働するパッシブビームと、
を備え、
前記パッシブビームが、窒化シリコンから構成される第1層と、二酸化シリコンから構成される第2層とを含み、前記第2層が、前記第1層と前記アクティブビームとの間に狭持された、熱曲げアクチュエータ。
【請求項2】
前記第1層が前記第2層より厚い、請求項1に記載の熱曲げアクチュエータ。
【請求項3】
前記第1層が前記第2層より少なくとも4倍の厚さである、請求項1に記載の熱曲げアクチュエータ。
【請求項4】
前記第2層が0.05から0.2ミクロンの範囲の厚さを有する、請求項1に記載の熱曲げアクチュエータ。
【請求項5】
前記第1層が1.0から2.0ミクロンの範囲の厚さを有する、請求項1に記載の熱曲げアクチュエータ。
【請求項6】
前記アクティブビームが1.5から2.0ミクロンの範囲の厚さを有する、請求項1に記載の熱曲げアクチュエータ。
【請求項7】
前記アクティブビームが、前記アクチュエータの一端に配置された1対の電気接点を介して前記駆動回路構成に接続される、請求項1に記載の熱曲げアクチュエータ。
【請求項8】
前記アクティブビームが堆積工程によって前記パッシブビームに融着される、請求項1に記載の熱曲げアクチュエータ。
【請求項9】
前記アクティブビームが、窒化チタン、窒化チタンアルミニウム、およびアルミニウム合金から成る群から選択された材料から構成される、請求項1に記載の熱曲げアクチュエータ。
【請求項10】
前記アクティブビームがバナジウム−アルミニウム合金から構成される、請求項1に記載の熱曲げアクチュエータ。
【請求項11】
ノズル開口およびインク入口を有するノズルチャンバと、
前記ノズル開口を介してインクを噴射させるための熱曲げアクチュエータと、
を備えたインクジェットノズル組立体であって、
前記アクチュエータが、
駆動回路構成に接続するためのアクティブビームと、
前記アクティブビームに電流を通したときに、前記アクティブビームがパッシブビームに対して膨張し、結果的に前記アクチュエータの曲げが生じるように、前記アクティブビームと機械的に協働するパッシブビームと、
を含み、
前記パッシブビームが、窒化シリコンから構成された第1層と、二酸化シリコンから構成された第2層とを含み、前記第2層が、前記第1層と前記アクティブビームとの間に狭持された、インクジェットノズル組立体。
【請求項12】
前記ノズルチャンバが、フロアと、可動部分を有するルーフと、を含み、
前記アクチュエータが作動すると、前記可動部分が前記フロアの方向に移動する、請求項11に記載のインクジェットノズル組立体。
【請求項13】
前記可動部分が前記アクチュエータを含む、請求項12に記載のインクジェットノズル組立体。
【請求項14】
前記アクティブビームが前記ノズルチャンバのフロアに対して前記パッシブビームの上面に堆積される、請求項14に記載のインクジェットノズル組立体。
【請求項15】
前記ノズル開口が前記フロアに対して相対的に移動可能であるように、前記ノズル開口が前記可動部分に画成された、請求項12に記載のインクジェットノズル組立体。
【請求項16】
前記アクチュエータが前記ノズル開口に対して相対的に移動可能である、請求項12に記載のインクジェットノズル組立体。
【請求項17】
前記ルーフがポリマー材で被覆される、請求項12に記載のインクジェットノズル組立体。
【請求項18】
複数のノズル組立体を備えたインクジェットプリントヘッドであって、
各ノズル組立体が、
ノズル開口およびインク入口を有するノズルチャンバと、
前記ノズル開口を介してインクを噴射させるための熱曲げアクチュエータと、
を含み、前記アクチュエータが、
駆動回路構成に接続されたアクティブビームと、
前記アクティブビームに電流を通したときに、前記アクティブビームがパッシブビームに対して膨張し、結果的に前記アクチュエータの曲げが生じるように、前記アクティブビームと機械的に協働するパッシブビームと、
を含み、
前記パッシブビームが、窒化シリコンから構成された第1層と、二酸化シリコンから構成された第2層とを含み、前記第2層が、前記第1層と前記アクティブビームとの間に狭持された、インクジェットプリントヘッド。
【請求項19】
各ノズルチャンバがフロアと、前記アクチュエータを含む可動部分を有するルーフとを含み、前記アクチュエータが作動することにより前記可動部分が前記フロアの方向に移動する、請求項18に記載のプリントヘッド。
【請求項20】
1つ以上の熱曲げアクチュエータを含むMEMSデバイスであって、各熱曲げアクチュエータが、
駆動回路構成に接続されたアクティブビームと、
前記アクティブビームに電流を通したときに、前記アクティブビームがパッシブビームに対して膨張し、結果的に前記アクチュエータの曲げが生じるように、前記アクティブビームと機械的に協働するパッシブビームと、
を含み、
前記パッシブビームが、窒化シリコンから構成された第1層と、二酸化シリコンから構成された第2層とを含み、前記第2層が、前記第1層と前記アクティブビームとの間に狭持された、MEMSデバイス。
【請求項1】
駆動回路構成に接続するためのアクティブビームと、
前記アクティブビームに電流を通したときに、前記アクティブビームがパッシブビームに対して膨張し、結果的にアクチュエータの曲げが生じるように、前記アクティブビームと機械的に協働するパッシブビームと、
を備え、
前記パッシブビームが、窒化シリコンから構成される第1層と、二酸化シリコンから構成される第2層とを含み、前記第2層が、前記第1層と前記アクティブビームとの間に狭持された、熱曲げアクチュエータ。
【請求項2】
前記第1層が前記第2層より厚い、請求項1に記載の熱曲げアクチュエータ。
【請求項3】
前記第1層が前記第2層より少なくとも4倍の厚さである、請求項1に記載の熱曲げアクチュエータ。
【請求項4】
前記第2層が0.05から0.2ミクロンの範囲の厚さを有する、請求項1に記載の熱曲げアクチュエータ。
【請求項5】
前記第1層が1.0から2.0ミクロンの範囲の厚さを有する、請求項1に記載の熱曲げアクチュエータ。
【請求項6】
前記アクティブビームが1.5から2.0ミクロンの範囲の厚さを有する、請求項1に記載の熱曲げアクチュエータ。
【請求項7】
前記アクティブビームが、前記アクチュエータの一端に配置された1対の電気接点を介して前記駆動回路構成に接続される、請求項1に記載の熱曲げアクチュエータ。
【請求項8】
前記アクティブビームが堆積工程によって前記パッシブビームに融着される、請求項1に記載の熱曲げアクチュエータ。
【請求項9】
前記アクティブビームが、窒化チタン、窒化チタンアルミニウム、およびアルミニウム合金から成る群から選択された材料から構成される、請求項1に記載の熱曲げアクチュエータ。
【請求項10】
前記アクティブビームがバナジウム−アルミニウム合金から構成される、請求項1に記載の熱曲げアクチュエータ。
【請求項11】
ノズル開口およびインク入口を有するノズルチャンバと、
前記ノズル開口を介してインクを噴射させるための熱曲げアクチュエータと、
を備えたインクジェットノズル組立体であって、
前記アクチュエータが、
駆動回路構成に接続するためのアクティブビームと、
前記アクティブビームに電流を通したときに、前記アクティブビームがパッシブビームに対して膨張し、結果的に前記アクチュエータの曲げが生じるように、前記アクティブビームと機械的に協働するパッシブビームと、
を含み、
前記パッシブビームが、窒化シリコンから構成された第1層と、二酸化シリコンから構成された第2層とを含み、前記第2層が、前記第1層と前記アクティブビームとの間に狭持された、インクジェットノズル組立体。
【請求項12】
前記ノズルチャンバが、フロアと、可動部分を有するルーフと、を含み、
前記アクチュエータが作動すると、前記可動部分が前記フロアの方向に移動する、請求項11に記載のインクジェットノズル組立体。
【請求項13】
前記可動部分が前記アクチュエータを含む、請求項12に記載のインクジェットノズル組立体。
【請求項14】
前記アクティブビームが前記ノズルチャンバのフロアに対して前記パッシブビームの上面に堆積される、請求項14に記載のインクジェットノズル組立体。
【請求項15】
前記ノズル開口が前記フロアに対して相対的に移動可能であるように、前記ノズル開口が前記可動部分に画成された、請求項12に記載のインクジェットノズル組立体。
【請求項16】
前記アクチュエータが前記ノズル開口に対して相対的に移動可能である、請求項12に記載のインクジェットノズル組立体。
【請求項17】
前記ルーフがポリマー材で被覆される、請求項12に記載のインクジェットノズル組立体。
【請求項18】
複数のノズル組立体を備えたインクジェットプリントヘッドであって、
各ノズル組立体が、
ノズル開口およびインク入口を有するノズルチャンバと、
前記ノズル開口を介してインクを噴射させるための熱曲げアクチュエータと、
を含み、前記アクチュエータが、
駆動回路構成に接続されたアクティブビームと、
前記アクティブビームに電流を通したときに、前記アクティブビームがパッシブビームに対して膨張し、結果的に前記アクチュエータの曲げが生じるように、前記アクティブビームと機械的に協働するパッシブビームと、
を含み、
前記パッシブビームが、窒化シリコンから構成された第1層と、二酸化シリコンから構成された第2層とを含み、前記第2層が、前記第1層と前記アクティブビームとの間に狭持された、インクジェットプリントヘッド。
【請求項19】
各ノズルチャンバがフロアと、前記アクチュエータを含む可動部分を有するルーフとを含み、前記アクチュエータが作動することにより前記可動部分が前記フロアの方向に移動する、請求項18に記載のプリントヘッド。
【請求項20】
1つ以上の熱曲げアクチュエータを含むMEMSデバイスであって、各熱曲げアクチュエータが、
駆動回路構成に接続されたアクティブビームと、
前記アクティブビームに電流を通したときに、前記アクティブビームがパッシブビームに対して膨張し、結果的に前記アクチュエータの曲げが生じるように、前記アクティブビームと機械的に協働するパッシブビームと、
を含み、
前記パッシブビームが、窒化シリコンから構成された第1層と、二酸化シリコンから構成された第2層とを含み、前記第2層が、前記第1層と前記アクティブビームとの間に狭持された、MEMSデバイス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2012−530624(P2012−530624A)
【公表日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−516434(P2012−516434)
【出願日】平成21年8月25日(2009.8.25)
【国際出願番号】PCT/AU2009/001089
【国際公開番号】WO2011/022750
【国際公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(303024600)シルバーブルック リサーチ ピーティワイ リミテッド (150)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月25日(2009.8.25)
【国際出願番号】PCT/AU2009/001089
【国際公開番号】WO2011/022750
【国際公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(303024600)シルバーブルック リサーチ ピーティワイ リミテッド (150)
【Fターム(参考)】
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