説明

耐久性のある高性能の接着剤接合アレルゲンバリア積層体及びそれらの製造方法

アレルゲンバリア構造体として有用な積層体および上記積層体の製造方法であり、この積層体は、順に、打込数180〜400の織布層と、坪量6〜10g/m2を有し、かつ平均径100〜450nmの繊維からなる不織布アレルゲンバリア層と、トリコット編布層とを含み、それらの層がアレルゲンバリア層上の離れた複数領域に分布させた少なくとも1種類の接着剤によって取り付けられ、かつこの接着剤はその層の厚さの少なくとも70%内部に浸透し、また織布層および編布層内部にも浸透するが貫通しない。この積層体は、50〜300g/m2の総坪量と、1.6L/分までの気流の1μm粒子の攻撃に対して35回の洗濯後に95%以上の濾過効率とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枕およびマットレスのカバーのような用品を含む寝具用の洗濯できるカバーとして有用なアレルゲンバリア積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
Knoffらの米国特許出願公開第2008/0120783号明細書は、アレルゲンバリア布と、アレルゲンバリア布を含むマットレス、枕、ベッドカバー、およびライナとを開示している。この特許出願は、それらのアレルゲンバリア布が、その様々な布層の機械的分離または層間はく離なしに少なくとも10回の洗濯、さらには50回までの洗濯にも耐えることができることを開示しているが、どのようにしてそのような布が常に多数回の洗濯に耐え、しかもなおそれらの濾過効率によって測定されるバリア材料としてのそれらの主たる機能を維持することができるのかに関しては何の示唆もない。多くの寝具は日常的な洗濯を必要とするので、アレルゲンバリアの機械的耐久性と濾過性能耐久性の組合せが真に必要性である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
一実施形態において本発明は、アレルゲンバリア構造物として有用な積層体に関し、その積層体は、順に
a)180〜400の打込数を有する織布層、
b)6〜10g/m2の坪量を有し、平均直径100〜450nmの繊維からなる不織布アレルゲンバリア層、および
c)トリコット編布層
を含み、
この織布層は、第一の接着剤をアレルゲンバリア層の第一の面の離れた複数領域に分布させることによってアレルゲンバリア層に取り付けられ、その接着剤の離れた各領域はアレルゲンバリア層の厚さの少なくとも70%内部に浸透し、その第一の接着剤はまた織布層の一方の面にも浸透するが、上記織布層を一方の面から他方の面へ貫通することがなく、またこのトリコット編布層は、第二の接着剤をアレルゲンバリア層の第二の面の離れた複数領域に分布させることによってアレルゲンバリア層に取り付けられ、その接着剤の離れた各領域はアレルゲンバリア層の厚さの少なくとも70%内部に浸透し、その第二の接着剤はまたトリコット編布層の一方の面にも浸透するが、上記トリコット編布層を一方の面から他方の面へ貫通することがない。この積層体は、50〜300g/m2の総坪量と、1.6L/分までの気流の1μm粒子の攻撃に対して、35回の洗濯後にASTM F2638−07によって測定される95%以上の濾過効率とを有する。幾つかの実施形態では第一および第二の接着剤は同一の接着剤であり、その接着剤はアレルゲンバリア層に浸透し、一方の面から他方の面までアレルゲンバリア層を貫通して実質上連続している。
【0004】
一実施形態において本発明はまた、アレルゲンバリア構造体として有用な積層体の製造方法に関し、この方法は、
a)第一の面および反対側の第二の面を有するアレルゲンバリア層と、織布または編布のいずれかである第一の布層とを準備するステップ、
b)アレルゲンバリア層に一方の面から他方の面へ向けてアレルゲンバリア層の厚さの少なくとも70%浸透するように選択される少なくとも1種類の第一の接着剤を、このアレルゲンバリア層の第一の面上の離れた複数領域に塗布するステップ、
c)アレルゲンバリア層の第一の面にこの第一の布層を貼り付けるステップ、
d)この第一の布層とアレルゲンバリア層を一体化して予備積層体にするステップ(ただし、少なくとも1種類の第一の接着剤のその離れた各領域は第一の布層の一方の面の内部に延びるが、布層を一方の面から他方の面へ貫通しない)、
e)ステップd)の予備積層体と、第一の布層が織布である場合は編布であり、また第一の布層が編布である場合は織布である第二の布層とを準備するステップ、
f)この少なくとも1種類の第一の接着剤と同一または異なり、アレルゲンバリア層に一方の面から他方の面へ向かってアレルゲンバリア層の厚さの少なくとも70%浸透するように選択される少なくとも1種類の第二の接着剤を、アレルゲンバリア層の反対側の第二の面上の離れた複数領域に塗布するステップ、
g)この第二の布層をアレルゲンバリア層の反対側の第二の面に貼り付けるステップ、および
h)この第二の布層と予備積層体を一体化して積層体にするステップ(ただし、少なくとも1種類の第二の接着剤の離れた各領域は第二の布層の一方の面の内部に延びるが、一方の面から他方の面へ布層を貫通しない)
を含む。
【0005】
本発明はさらに、
a)織布層、アレルゲンバリア層、および編布層を準備するステップ、
b)アレルゲンバリア層に一方の面から他方の面へアレルゲンバリア層の厚さの少なくとも70%浸透するように選択される少なくとも1種類の接着剤を、このアレルゲンバリア層の第一および反対側の第二の面上の離れた複数領域に塗布するステップ、
c)アレルゲンバリア層の第一の面に編布層を貼り付け、またアレルゲンバリア層の反対側の第二の面に織布層を貼り付けるステップ、および
d)この織布層、アレルゲンバリア層、および編布層を一体化して積層体にするステップ(ただし、接着剤のこの離れた各領域は、織布層の一方の面の内部にも、また編布層の一方の面の内部にも延びるが、どちらの布層も一方の面から他方の面へ貫通しない)、
を含む、アレルゲンバリア構造体として有用な積層体の製造方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】接着剤を中心のアレルゲンバリア層の各表面から少なくとも70%貫通させた一実施形態を表す積層体の概略斜視図である。
【図2】図1の接着剤付着部の細部を示す概略図である。
【図3】接着剤を浸透させて中心層を完全に貫通し、両面に付着させた一実施形態を表す積層体の概略斜視図である。
【図4】図3の接着剤付着部の細部を示す概略図である。
【図5A−B】アレルゲンバリア積層体を製造するための一つ可能性のある方法を示す図である。
【図6】アレルゲンバリア積層体を製造するための代替方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、寝具用の洗濯できるカバーとして有用な積層体に関する。この積層体は、50〜300g/m2の総坪量を有し、かつASTM F2638−07によって測定される1μm粒子の攻撃および1.6L/分までの気流を用いて試験した場合に、35回の洗濯後に95%以上の濾過効率を保持するアレルゲンバリア積層体である。この積層体は、順に、180〜400の打込数を有する織布層と、6〜10g/m2の坪量を有し、平均直径100〜450nmの繊維からなる不織布アレルゲンバリア層と、トリコット編布層とを備える。この積層体のアレルゲン性能および耐久性が改良される一つの理由は、積層体中にトリコット編布を含ませることによって相次いでの各洗濯による織布の収縮を相殺することであり、それは層間の分離または構造的皺を引き起こす恐れのある積層体中の局部的応力をなくすのに役立つと考えられる。
【0008】
織布層は、第一の接着剤をアレルゲンバリア層中にアレルゲンバリア層の厚さの少なくとも70%の深さまで浸透させた状態で、その少なくとも第一の接着剤をアレルゲンバリア層の第一の面上の離れた複数領域に分布させることによってアレルゲンバリア層に取り付けられる。この第一の接着剤は織布層の一方の面にも浸透するが、この織布層を一方の面から他方の面へ貫通しない。同様に編布層は、第二の接着剤(これは第一の接着剤と同一でも異なってもよい)をアレルゲンバリア層中にアレルゲンバリア層の厚さの少なくとも70%の深さまで浸透させた状態で、その少なくとも第二の接着剤をアレルゲンバリア層の反対側の第二の面上の離れた複数領域に分布させることによってアレルゲンバリア層に取り付けられる。この第二の接着剤は編布層の一方の面にも浸透するが、この布層を一方の面から他方の面へ貫通しない。
【0009】
図1は、織布層11、不織布アレルゲンバリア層12、およびトリコット編布層13を有し、接着剤の一組の離れた領域(このような領域のうちの2つを14により表す)によりすべてが相互に付着している積層体10の一実施形態の概略斜視図である。図示のように層11、12、13、および接着剤の領域14は、原寸に比例するようには描かれておらず、説明の明確さを増すように描かれている。図2は、図1の接着剤付着部の細部の概略図である。図示のように、トリコット編布層13および織布層11の両方をそれぞれ不織布アレルゲンバリア層12に取り付ける接着剤の一組の離れた領域(それらのうちの一つを14により表す)を示す。15によって示すように接着剤の離れた各領域は、不織布アレルゲンバリア層12中にアレルゲンバリア層の厚さの少なくとも70%の深さまで浸透する。さらに、トリコット編布層13および織布層11をそれぞれ取り付ける接着剤の離れた各領域は、それら布層の一方の面の内部に浸透するが、その布層を一方の面から他方の面へ貫通しない。換言すれば接着剤の離れた各領域は、積層体の外面まで織布層またはトリコット編布層全体を貫通しない。
【0010】
幾つかの実施形態では図1および2の積層体は、第一の接着剤を不織布アレルゲンバリア層12の一方の面に塗布し、次いで後続のステップにおいて第二の接着剤をもう一方の面に塗布するツーステップで接着剤を塗布する方法によって作製される。このような方法では接着剤の離れた各領域が、離れた接着剤の2つの領域16によって図示されるように互いにきわめて近いか、または接触し、あるいは離れた接着剤の2つの領域17によって図示されるように事実上重なるか、または部分的に重なり、一方の面から他方の面までアレルゲンバリア層12を貫通して実質上連続した接着剤連結部を形成するように塗布される可能性が存在する。この実施形態において実質上連続しているとは、接着剤の離れた各領域がアレルゲンバリア層中で触れるか、重なるか、または部分的に重なることによって接着剤連結部が生ずることを意味する。
【0011】
図3は、織布層11、不織布アレルゲンバリア層12、およびトリコット編布層13を有し、接着剤の一組の離れた領域(このうちの1つを24により表す)によりすべてが相互に付着している積層体30の別の実施形態の概略斜視図である。図示のように層11、12、13、および接着剤の領域24は、原寸に比例するようには描かれておらず、説明の明確さを増すように描かれている。図4は、図3の接着剤付着部の細部の概略図である。図示のように、トリコット編布層13および織布層11をそれぞれ不織布アレルゲンバリア層12に取り付ける接着剤の一組の離れた領域(このうちの1つを24により表す)を示す。図示のように接着剤の離れた各領域は、不織布アレルゲンバリア層12の全厚さを一方の面から他方の面まで貫通して、一方の面から他方までアレルゲンバリア層を貫通して連続している。さらに、それら布層の一方の面の内部に浸透させるが、一方の面から他方までは布層を貫通させないことによってトリコット編布層13および織布層11の両方をそれぞれ取り付ける接着剤の離れた領域を図示する。換言すれば接着剤の離れた各領域は、積層体の外面までは織布層またはトリコット編布層全体を貫通しない。
【0012】
接着剤は不織布層内部にアレルゲンバリア層の厚さの少なくとも70%の深さまで浸透すべきであり、幾つかの実施形態では積層体が35回の洗濯後に耐久性および濾過性能の両方を有するようにアレルゲンバリア層の全厚さを貫通して連続しているか、または実質上連続していると考えられる。
【0013】
幾つかの実施形態では積層体のはく離強度は0.5ポンド/インチ以上である。これは、積層体が十分に全体として接着されることを保証し、35回を超える洗濯/乾燥サイクルに対する十分な洗濯および機械的耐久性の指標である。はく離強度が0.3ポンド/インチ以下の積層体は、洗濯の間の大規模な層間はく離があることが分かっている。はく離強度が0.3ポンド/インチを超えるが0.5ポンド/インチ未満の積層体は、多数回の洗濯による大規模な層間はく離は少ない傾向があるが、小規模または局部的な層間はく離を示す肌理表面の徴候を示す。
【0014】
幾つかの実施形態では積層体の通気度は5立方フィート/分以上である。これにより、そのバリア積層体によって完全に包まれる寝具を実際に使用するのに必要な積層体を通り抜ける十分な量の通気性が与えられる。バリア積層体を通り抜ける高い通気性は、すっぽり包まれた寝具の過剰な昇圧およびバルーニングを防ぎ、また寝具中の局部的ヒートストリークの発生をできるだけ少なくすることによって、枕などの寝具における適切な通風管理を可能にする。5立方フィート/分未満の通気度を有する積層体も改良されたバリアを示すと考えることができるが、その積層体の通気度が十分でない場合、寝具は使用中に、例えば人が枕の上に頭を載せるという行為によって昇圧するようになることになる。これは、枕の中の空気を、バリア材料を通してではなくジッパーおよび/または縫い目を通して強制的に絞り出す。これは、ジッパーおよび縫い目が積層体よりもはるかに劣る濾過をもたらす傾向があるので望ましくない。
【0015】
積層体の濾過効率は、ASTM F2638−07によって測定される1μm粒子の攻撃および1.6L/分までの気流を用いて試験した場合に、35回の洗濯後に95%以上である。ある種のアレルゲンは1μmしかない(すなわち、ネコのふけ、分裂したより大型のアレルゲンなど)小さなサイズである可能性があり、アレルゲン布は寝具由来の予想されるアレルゲンの大部分に対しても同等の難易度で効果的なフィルター媒体であるべきであるので、このレベルの濾過効率が適切な保護およびバリア特性を与えると考えられる。通気レベルは、アレルゲン布/組立品の濾過効率にある程度の影響を与える可能性があり、1.6L/分までの気流は、通常のヒトの睡眠中の動作の間に一般に受けるよりもわずかに高い空気の移動を表し、したがって積層体性能のより厳しい試験である。
【0016】
積層体は、160〜400の打込数を有する高密度織布層を含む。本明細書中で使用される「打込数」は、布の細かさの尺度であり、1平方インチの布中の垂直および水平方向の糸の総本数である。打込数が160未満の織布は十分な耐久性がないと考えられ、また打込数が400を超える織布は見た目に堅すぎる布になり、かつ提供するのに非常に高価になる。幾つかの好ましい実施形態では織布層は180〜350の打込数を有し、また幾つかの最も好ましい実施形態では織布層の打込数は200〜270である。
【0017】
幾つかの典型的な実施形態では織布層は平織であることができ、また幾つかの他の実施形態では織布は綾織であることができる。幾つかの最も好ましい実施形態では織布層は、綿またはポリコットン布である。ポリコットンとは、綿とポリエステルの任意の比率の混合繊維を意味するが、綿35〜65重量%とポリエステル65〜35重量%の混合繊維が好ましい。幾つかの実施形態では織布層は、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、またはこれらの混合繊維から作られる織布であることができる。幾つかの実施形態では高密度ポリテレフタル酸エステル織物の表布が望ましく、このタイプの布の例にはBurlington 0529−15生地(これは坪量2.75オンス/平方ヤード、伸び8〜12%(経および緯両方とも)、および打込数212(経糸121本×緯糸91本/インチ)を有する平織の100%ポリエチレンテレフタラート(PET)マイクロファイバー布である)、およびAsiatic Fiber Corporation Aclean R04生地(これは坪量123g/m2および打込数166(経糸96本×緯糸70本/インチ)を有するカーボンフィラメントヤーンを含む98〜100%PETの2/1綾織布である)が挙げられる。Burlingtonの所在地は、Greensboro,NCであり、またAsiatic Fiber Corporationの所在地は、Taipei,Taiwanである。
【0018】
アレルゲンバリア層は6〜10g/m2の坪量を有し、幾つかの実施形態では坪量は6〜8g/m2(gsm)である。6gsm未満の坪量は、積層体の層間はく離を助長すると考えられ、また少なくとも35回の洗濯に対する十分な機械的整合性がないと考えられる。10gsmを超える坪量は、実質上性能の改良を追加するとは考えられず、付加的な好ましくないコストを加える。
【0019】
アレルゲンバリア層は、100〜450nmの平均直径を有する繊維からなる不織布である。本明細書中で使用される平均直径とは、不織布中の個々の繊維の数平均繊維径を意味する。幾つかの実施形態では不織布は、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリオレフィン、およびこれらの混合物からなる群から選択されるポリマーから作られる繊維を含む。幾つかの好ましい実施形態では不織布は、ナイロンから作られる繊維を含む。
【0020】
幾つかの実施形態ではアレルゲンバリア層は、3.5m3/分/m2以上のフラジール通気度を有する。幾つかの好ましい実施形態では通気度は5m3/分/m2以上であり、また幾つかの最も好ましい実施形態では通気度は8m3/分/m2以上である。本発明のナノファイバー層を通る高い空気の流れは、依然として低レベルのアレルゲン透過を維持したままで、それらの通気性に起因して使用者に快適さを与えるアレルゲンバリア布をもたらす。
【0021】
幾つかの実施形態ではアレルゲンバリア層として使用される高分子ナノファイバー含有ウェブは、エレクトロスピニングまたはエレクトロブローイングなどの技術によって生産することができる。エレクトロスピニングおよびエレクトロブローイングの両方の技術は、そのポリマーが比較的穏やかな紡糸条件下で、すなわち実質上周囲温度および圧力の条件において溶媒に可溶である限り、種々様々なポリマーに適用することができる。そのポリマー溶液は、そのポリマーに適した溶媒を選択することによって調製される。好適な溶媒には、アルコール類、ギ酸、ジメチルアセトアミド、およびジメチルホルムアミドのようなものを挙げることができる。ポリマー溶液は、関連ポリマーと相溶性の任意の樹脂、可塑剤、紫外線安定剤、架橋剤、硬化剤、反応開始剤、染料および顔料などの着色剤等を含めて他の添加剤を含むことができる。所望に応じてかつ/または必要に応じてポリマーまたは添加剤の溶解を助けるために加熱を使用することもできる。
【0022】
エレクトロスピニング法では、ポリマー溶液と標的表面の間に高電圧を印加してナノファイバーおよび不織マットを作り出す。多くの配置が可能だが、基本的には電荷が液滴の表面張力に打ち勝つまで電荷を溶液の液滴上に蓄積して液滴を引き伸ばし、標的表面に向かって「紡糸」される繊維状材料を形成する。代表的なエレクトロスピニング法は、例えば米国特許第4,127,706号明細書および同第6,673,136号明細書中に開示されている。
【0023】
エレクトロブローイング法では、ポリマーと溶媒の溶液を紡糸口金内の紡糸ノズルに供給する。その紡糸ノズルに高電圧を印加し、それによりポリマー溶液を放出する。その一方で紡糸ノズルの側面または周囲に配置された空気ノズルから、任意選択で加熱した圧縮ガス、一般には空気を流出する。この空気は、それを取り囲む吹出ガス流として一般には下方に向けられ、紡糸ノズルからのポリマー溶液を進め、繊維ウェブの形成を助ける。一般には複数個の紡糸口金が使用され、それら紡糸口金は多重繊維ウェブを形成し、ウェブは真空チャンバーの上方にある一般には多孔性回収ベルトである電気的にアースされた標的上にマットとして回収される。一つの代表的なエレクトロブローイング法は、国際公開第2003/080905号(米国特許出願第10/822,325号)パンフレット中に開示されている。この方法は、1g/m2以上の坪量を有するウェブを製造することができる。
【0024】
積層体はまた、相次いでの各洗濯による織布の収縮を相殺すると同時に、機械的摩耗からの機能的アレルゲン層の柔軟性、防皺性、および可撓性保護を与えるトリコット編布層を備える。この編布の使用は、層間の分離または構造的皺を引き起こす恐れのある洗濯中および洗濯後の積層体内の局部的応力をなくすのに役立つ。トリコット編布とは、平坦なジャージー構造またはメッシュに作られたたて編布か、あるいはよこ編布を意味するが、好ましい実施形態では編布はたて編みトリコット生地である。
【0025】
幾つかの実施形態ではこのトリコット編布は、少なくとも一方向で、10%以上伸びる(ASTM D2594「低伸長力の編布の伸び特性の標準試験法」によって測定される)ことができる。幾つかの好ましい実施形態ではこの編布は、少なくとも一方向で15〜25%伸びることができる。これは、洗濯の間にこの層が、より強い表の織布、すなわち綿またはポリコットン布の収縮および/または熱変形をまねることを可能にし、積層体の層間はく離を防止するのに役立つ。より低伸度の堅く編んだ布は、積層体に過大な応力を与え、層間の凝集破壊を引き起こすと考えられる。幾つかの実施形態では編布は、依然として空気が編布を通って自由に流れることを可能にしながら、洗濯および通常の摩耗の間のアレルゲンバリア層に十分な機械的保護を与えるように布が直径約1mmの平均サイズの小さな開口部を有するように構成される。これらの開口部は、好ましくはたて編み布中の編み目の横の列および縦の列の編み方と、ループの平行列を形成する目の詰み方とによって形成される。よこ編み布では一般には単一の針がそれ自体の糸を輪にし、開口部は好ましくはそれらループの大きさおよび緊密度によって形成される。
【0026】
幾つかの実施形態ではトリコット編布層は、ポリテレフタル酸エステル繊維またはナイロン繊維を含む。幾つかの実施形態ではトリコット編布層は、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、またはこれらの混合繊維から作られる編布であることができる。
【0027】
織布層およびトリコット編布層は、少なくとも1種類の接着剤をアレルゲンバリア層の両面の離れた複数領域に分布させることによってアレルゲンバリア層に取り付けられる。この少なくとも1種類の接着剤はまた、織布層および編布層のそれぞれの一方の面の内部にも浸透するが、それらの層を貫通しない。幾つかの実施形態ではトリコット編布層とは異なる接着剤が織布に使用される。幾つかの好ましい実施形態では両方の層に同一の接着剤が使用される。
【0028】
幾つかの実施形態では接着剤は、アレルゲンバリア層、あるいは織布または編布層への塗布時に、8,000ミリパスカル秒の最大粘度を有し、また幾つかの好ましい実施形態では5,000ミリパスカル秒未満の粘度を有する。幾つかの実施形態では接着剤は、硬化後に500〜700%の伸び、30,000〜40,000kPaの硬化後ヤング率、および15,000kPa未満の硬化後引張強さを有する。
【0029】
好適な接着剤には、洗濯できる布積層体用に設計された溶媒系接着剤、水性または水系接着剤、およびホットメルト系接着剤が挙げられ、湿分硬化型反応性ホットメルトが断然好ましい。これら接着剤の例には、H.B.Fuller Company,St Paul MNから入手できるポリウレタン Tacktile(商標)HL−9639反応性ホットメルト接着剤が挙げられる。
【0030】
本発明はまた、アレルゲンバリア構造体として有用な積層体の製造方法に関する。一実施形態ではこの方法は、ツーステップで接着剤を塗布することを伴うが、別の実施形態では接着剤はワンステップで塗布される。アレルゲンバリア構造体として有用な積層体を製造するためのツーステップ塗布法は、
a)第一の面および反対側の第二の面を有するアレルゲンバリア層と、織布または編布のいずれかである第一の布層とを準備するステップ、
b)アレルゲンバリア層に一方の面から他方の面へ向かってアレルゲンバリア層の厚さの少なくとも70%浸透するように選択される少なくとも1種類の第一の接着剤を、このアレルゲンバリア層の第一の面上の離れた複数領域に塗布するステップ、
c)アレルゲンバリア層の第一の面にこの第一の布層を貼り付けるステップ、
d)この第一の布層とアレルゲンバリア層を一体化して予備積層体にするステップ(ただし、少なくとも1種類の第一の接着剤のその離れた各領域は第一の布層の一方の面の内部に延びるが、布層を一方の面から他方の面へ貫通しない)、
e)ステップd)の予備積層体と、第一の布層が織布である場合は編布であり、また第一の布層が編布である場合は織布である第二の布層とを準備するステップ、
f)この少なくとも1種類の第一の接着剤と同一または異なり、アレルゲンバリア層に一方の面から他方の面へ向かってアレルゲンバリア層の厚さの少なくとも70%浸透するように選択される少なくとも1種類の第二の接着剤を、アレルゲンバリア層の反対側の第二の面上の離れた複数領域に塗布するステップ、
g)この第二の布層をアレルゲンバリア層の反対側の第二の面に貼り付けるステップ、および
h)この第二の布層と予備積層体を一体化して積層体にするステップ(ただし、少なくとも1種類の第二の接着剤の離れた各領域は第二の布層の一方の面の内部に延びるが、一方の面から他方の面へ布層を貫通しない)
を含む。
【0031】
このツーステップ塗布法の一実施形態を図5Aおよび5Bに例示する。図5Aを参照すると、アレルゲンバリア層12は、接着剤塗布ロール32とバックアップローラー33の間のニップ部に供給される。接着剤塗布ロール32は、少なくとも1種類の接着剤を接着剤タンク34からアレルゲンバリア層の一方の面の離れた複数領域に塗布する。次いで表の織布層11を、接着剤が塗布されているアレルゲンバリア層の面上に置き、一対のローラー35間のニップ部で一体化して予備積層体40にする。
【0032】
この方法では接着剤は、好ましくはアレルゲンバリア層を少なくとも70%貫通するが、大量の接着剤がその層の厚さを完全には貫通しない。同様に、接着剤は表の織布層内部にも浸透するが、その層の厚さを完全には貫通しない。これにより工程中にローラーや他の表面に粘着する恐れのある接着剤の量が減少する。
【0033】
図5Bを参照すると、予備積層体40は、予備積層体の表の織布層面がバックアップローラー43と接触し、かつアレルゲンバリア層が接着剤塗布ロール42と接触する状態で、接着剤塗布ロール42とバックアップローラー43の間のニップ部に供給される。望むならこの接着剤塗布ロールおよびバックアップローラーは、第一ステップの場合と同一であることもできる。接着剤塗布ロール42は、接着剤タンク34からの少なくとも1種類の接着剤を、アレルゲンバリア層の残りの塗布されていない面の離れた各領域に塗布する。次いで裏のトリコット編布層13を接着剤が塗布されているアレルゲンバリアの面上に置き、一対のローラー45間のニップ部で一体化して積層体50にする。
【0034】
予備積層体の場合と同様に接着剤は、好ましくはアレルゲンバリア層中に少なくとも70%浸透するが、大量の接着剤がその層の厚さを完全には貫通しない。同様に、接着剤は裏のトリコット編布層内部にも浸透するが、その層の厚さを完全には貫通しない。
【0035】
別法では接着剤はワンステップで塗布することもできる。アレルゲンバリア構造体として有用な積層体を製造するためのこのワンステップ塗布法は、
a)織布層、アレルゲンバリア層、および編布層を準備するステップ、
b)アレルゲンバリア層に一方の面から他方の面へアレルゲンバリア層の厚さの少なくとも70%浸透するように選択される少なくとも1種類の接着剤を、このアレルゲンバリア層の第一および反対側の第二の面上の離れた複数領域に塗布するステップ、
c)アレルゲンバリア層の第一の面に編布層を貼り付け、またアレルゲンバリア層の反対側の第二の面に織布層を貼り付けるステップ、および
d)この織布層、アレルゲンバリア層、および編布層を一体化して積層体にするステップ(ただし、接着剤のこの離れた各領域は、織布層の一方の面の内部にも、また編布層の一方の面の内部にも延びるが、どちらの布層も一方の面から他方の面へ貫通しない)、
を含む。
【0036】
ワンステップ塗布法の一実施形態を図6に例示する。アレルゲンバリア材料は、例えばアレルゲンバリア層材料のロール60から供給され、次いで少なくとも1種類の接着剤を離れた複数領域でアレルゲンバリア層の両面に塗布する接着剤塗布ロール61に供給される。次いで表の織布層63および裏のトリコット編布層62をアレルゲンバリア層の両面で一緒にし、それら層を一対のローラー64間のニップ部で一体化して積層体65にする。望むならこれを巻き上げてロール66にすることもできる。
【0037】
この方法において接着剤は、好ましくはアレルゲンバリア層を少なくとも70%貫通するが、接着剤にその層の厚さを完全に貫通させる必要はない。しかし接着剤は織布層および編布層の両方にも浸透するが、それらの層のどちらも完全に貫通しないことが望ましい。
【0038】
このワンステップまたはツーステップ接着剤塗布法のどちらにおいても、幾つかの好ましい実施形態ではその少なくとも1種類の接着剤は、75〜125℃で溶融状態で塗布されるホットメルト接着剤である。幾つかの好ましい実施形態では接着剤はホットメルトポリウレタンである。どちらの方法でも、幾つかの実施形態においてアレルゲンバリア層の織布側に塗布される接着剤の量は、好ましくは少なくとも1g/m2であり、アレルゲンバリア層の編布側に塗布される接着剤の量よりも多い。
【0039】
この積層体は、これらに限定されないが枕およびマットレスの布団地、枕およびマットレスの当て材、枕およびマットレスのカバー、シーツ、マットレスパッド、掛け布団、および羽毛掛け布団を含めた寝具用および室内装飾材料用の布用途の範囲内で有用である。
【0040】
試験方法
濾過効率試験―濾過性能は、ASTM F2638−07(サロゲート微生物バリアとしての多孔質包装材料の性能を測定するためにエアロゾル濾過を使用するための標準試験方法)によって指示される方法を用いて1μmの攻撃について求めた。
【0041】
繊維径は下記のように求めた。各ナノファイバー層の試料の10枚の倍率5,000倍の走査電子顕微鏡(SEM)画像を撮った。11個のはっきり区別できるナノファイバーの直径を写真から測定し、記録した。欠陥部(すなわち、ナノファイバーの塊、ポリマーの滴、ナノファイバーの交差点)は含めなかった。各試料の平均(算術平均)繊維径を計算した。
【0042】
通気度―試料の洗濯耐久性に関連する何らかの構造変化を調べるために最低限35回の洗濯/乾燥サイクルの前後に積層体のフラジール通気度を求めた。フラジール通気度は、多孔性材料の通気度の尺度であり、立方フィート/分/平方フィートの単位で記録される。これは、0.5インチ(12.7mm)の水の圧力差において材料を通過する気流の体積を測定する。試料を通過する気流を測定可能な量に制限するためにオリフィスを真空系内に設ける。オリフィスのサイズは材料の多孔度によって決まる。フラジール透過度は、目盛り付きオリフィスを有するScherman W.Frazier Co.ジュアルマノメーターを用いて立方フィート/分/平方フィートの単位で測定し、m3/分/m2に変換した。すべての洗濯した積層体および洗濯していない積層体は、標準的な市販のFX3300通気度試験機(Frazier)を用いて125Paで38cm2の面積に対して数ヶ所で5回測定された。
【0043】
洗濯耐久性―すべての積層体は、一般的なGEトップロード家庭用洗濯機で洗濯し、一般的なGE家庭用空気乾燥器中で乾燥した。洗濯耐久試験には5個の積層体試料を用いた。洗濯耐久試験は35回の洗濯サイクルからなり、各洗濯サイクルは熱水/温水の選択(熱水温度は140oFに設定された)での洗濯(およそ60分)、続いて40分間の低〜中温空気乾燥からなり、すべての試料は一般的な市販の容易に入手可能な洗剤で洗濯された。各洗濯済み試料を、層間はく離または肌理(すなわち、局部的な層間はく離を示唆する表面皺)のどのような徴候についても検査された。
【0044】
坪量はASTM D−3776によって求め、g/m2の単位で記録した。
【実施例】
【0045】
下記のすべての積層体はこの一般的な方法によって作製した。ナイロン6,6アレルゲンバリア層材料を図5Aに示す接着積層装置の巻出装置上に置き、触媒を含んだポリウレタン接着剤をパターン付き塗布ロールでアレルゲンバリア層の一方の面に塗布した。接着剤パターンの形成されたアレルゲンバリア層に表布を同一の広がりで貼り付け、次いでこのアレルゲンバリア層と表布を2本のカレンダーロール間のニップ部中で圧着して予備積層体を形成した。次いでこの予備積層体をコア上に巻き取り、次いで25から50℃の間の高い温度に保った温暖な温度に制御された室内で24時間硬化させた。これによりこの触媒を含んだポリウレタンを架橋して安定な耐溶融性の構造にした。
【0046】
次いで、図5Bに示すように予備積層体のロールを、予備積層体の表布側を下にして接着積層装置の巻出装置上に置いた。接着剤を、パターン付き塗布ロールでアレルゲンバリア層のもう一方の面に塗布した。次いで接着剤パターンの形成されたアレルゲンバリア層に裏布を同一の広がりで貼り付け、次いでこの予備積層体と裏布を2本のカレンダーロール間のニップ部で圧着して積層アレルゲンバリア構造体を形成した。次いでこの予備積層体をコア上に巻き取り、次いで前述同様に温暖な室内で24時間硬化させた。
【0047】
すべての積層体は、国際公開第2003/080905号パンフレット中に開示されている方法を用いて作製されたナイロン6,6ナノファイバーからなるアレルゲンバリア層を使用した。下記の実施例において数字項目(例えば1−1、1−2)は本発明の実施形態を例示し、一方、英字項目(例えば1−A、1−B)は比較を例示する。報告される接着剤の量は、1面に付き±1g/m2の塗布量の推定標準偏差を有する名目量である。
【0048】
実施例1
この実施例は、35回の洗濯後の積層体の構造的整合性を例示する。約10g/m2の坪量、80〜90L/m2/秒のフラジール通気度、および1.8〜3.5μmの平均流孔径を有するアレルゲンバリア布で様々なアレルゲンバリア積層体を作製した。布中のナノファイバーの数平均繊維径は400nmであった。結果を表1に示す。「35回の洗濯後の構造的整合性」に関する「合格」の格付けは、層間はく離の徴候が全くなかったことを意味する。反対に、「不合格」の格付けは、積層体に部分的層間はく離、皺、または接着剤の表面にじみがあったことを示す。すべての接着剤はポリウレタン系であり、一部は反応性湿分硬化型ホットメルトであり、また一部は溶媒タイプであった。
【0049】
表に示すように、アレルゲンバリア布の一方の面上の綿織布とバリア布のもう一方の面上のトリコット編布との組合せで作られた積層体は構造的整合性試験に合格したが、織布/織布、織布/不織布の組合せは合格しなかった。
【0050】
表1

【0051】
(表1続き)

【0052】
(表1続き)

【0053】
実施例2
この実施例は、アレルゲンバリア層中への接着剤の適切な浸透に及ぼす坪量の影響を例示する。205cc綿織物の表布および35g/m2PETトリコット編布であるが、様々な坪量のアレルゲンバリア布によりアレルゲンバリア積層体を作製し、これらバリア布の接着剤の表面にじみ性能を判定した。実施例1の場合と同様に、すべてのアレルゲンバリア布中のナノファイバーの数平均繊維径は400nmであった。
【0054】
結果を表2に示す。「接着剤の表面にじみ」に関する「合格」の格付けは、アレルゲンバリア布を通過した接着剤の表面にじみが全くないか、または許容できるものであり、表布および裏布を適切に貼り合わせることができたことを意味する。反対に、「不合格」の格付けは、アレルゲンバリア布の接着剤の表面にじみが許容できず、かつ/または表布および裏布を適切に貼り合わせることができなかったことを示す。
【0055】
6〜10g/m2の坪量を有するアレルゲンバリア布は、積層体に使用した場合、許容できる接着剤の表面にじみ性能を示したが、より軽量のアレルゲンバリア布は示さなかった。
【0056】
表2

【0057】
実施例3
この実施例は、35回の洗濯後の濾過効率の保持に及ぼす編み構造の影響を例示する。アレルゲンバリア積層体を、205cc綿織物の表布および8g/m2の坪量のアレルゲンバリア布と、様々な種類の編布とにより作製し、適切な積層体洗濯性能かどうかを判定した。実施例1の場合と同様に、すべてのアレルゲンバリア布中のナノファイバーの数平均繊維径は400nmであった。
【0058】
結果を表3に示す。トリコット編布のみがASTM F2638−07によって1μmの積層体で測定される35回の洗濯後の許容できる濾過効率を維持した。
【0059】
トリコット型編布で作製した積層体のみが、35回の洗濯後に十分な濾過効率を保持した。
【0060】
表3

【0061】
実施例4
この実施例は、綿織物の表布の代わりに高密度ポリテレフタル酸エステル織物の表布を使用することができることを例示する。項目4−1は、Burlington 0529−15生地を使用した。これは坪量2.75オンス/平方ヤード、伸び8〜12%(経および緯両方とも)、および打込数212(経糸121本×緯糸91本/インチ)を有する平織の100%PETマイクロファイバー布である。項目4−2は、Asiatic Fiber Corporation Aclean R04生地を使用した。これは坪量123g/m2および打込数166(経糸96本×緯糸70本/インチ)を有する2/1綾織100%PET布である。すべてのアレルゲンバリア布中のナノファイバーの数平均繊維径は300〜400nmであった。
【0062】
結果を表4に示す。すべての積層体が、許容できる濾過効率および優れた耐久性を維持し、ASTM F2638−07によって1μmの積層体で測定される35回の洗濯後の層間はく離の徴候はなかった。
【0063】
表4


【特許請求の範囲】
【請求項1】
アレルゲンバリア構造体として有用な積層体であって、
順に、
a)180〜400の打込数を有する織布層、
b)6〜10g/m2の坪量を有し、平均直径100〜450nmの繊維からなる不織布アレルゲンバリア層、および
c)トリコット編布層
を含み、
前記織布層は、第一の接着剤を前記アレルゲンバリア層の第一の面上の離れた複数領域に分布させることによって前記アレルゲンバリア層に取り付けられ、接着剤の前記離れた各領域は前記アレルゲンバリア層の厚さの少なくとも70%内部に浸透し、また前記第一の接着剤は前記織布層の一方の面にも浸透するが、前記織布層を一方の面から他方の面へ貫通することはなく、かつ
前記トリコット編布層は、第二の接着剤を前記アレルゲンバリア層の第二の面上の離れた複数領域に分布させることによって前記アレルゲンバリア層に取り付けられ、接着剤の前記離れた各領域は前記アレルゲンバリア層の厚さの少なくとも70%内部に浸透し、また前記第二の接着剤は前記トリコット編布層の一方の面にも浸透するが、前記トリコット編布層を一方の面から他方の面へ貫通することはなく、かつ
前記積層体が、50〜300g/m2の総坪量と、1.6L/分までの気流の1μm粒子の攻撃に対して、35回の洗濯後にASTM F2638−07によって測定される95%以上の濾過効率とを有する、
積層体。
【請求項2】
前記第一および第二の接着剤が同一である、請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
前記積層体のはく離強度が0.5ポンド/インチ以上である、請求項1に記載の積層体。
【請求項4】
前記不織布アレルゲンバリア層が、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリオレフィン、およびこれらの混合物からなる群から選択されるポリマーから作られる繊維材料を含む、請求項1に記載の積層体。
【請求項5】
前記ポリマーがナイロン6,6である、請求項4に記載の積層体。
【請求項6】
前記積層体の前記通気度が5立方フィート/分以上である、請求項1に記載の積層体。
【請求項7】
前記織布層が綿布またはポリコットン布である、請求項1に記載の積層体。
【請求項8】
前記織布層が、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、またはそれらの混合物からなる群から選択される繊維を含む、請求項1に記載の積層体。
【請求項9】
前記編布層が、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、またはそれらの混合物からなる群から選択される繊維を含む、請求項1に記載の積層体。
【請求項10】
少なくとも前記第一または第二の接着剤が前記アレルゲンバリア層に浸透し、前記アレルゲンバリア層を一方の面から他方の面まで実質上貫通して連続している、請求項1に記載の積層体。
【請求項11】
アレルゲンバリア構造体として有用な積層体の製造方法であって、
a)第一の面および反対側の第二の面を有するアレルゲンバリア層と、織布または編布のいずれかである第一の布層とを準備するステップ、
b)少なくとも1種類の第一の接着剤を前記アレルゲンバリア層の前記第一の面上の離れた複数領域に塗布するステップであって、前記少なくとも1種類の第一の接着剤が前記アレルゲンバリア層に一方の面から他方の面へ前記アレルゲンバリア層の厚さの少なくとも70%浸透するように選択される、ステップ、
c)前記第一の布層を前記アレルゲンバリア層の前記第一の面に貼り付けるステップ、
d)前記第一の布層と前記アレルゲンバリア層を一体化して予備積層体にするステップであって、前記少なくとも1種類の第一の接着剤の前記離れた各領域が前記第一の布層の一方の面の内部に延びるが、一方の面から他方の面へ前記布層を貫通しない、ステップ、
e)ステップd)の前記予備積層体と、前記第一の布層が織布である場合は編布であり、または前記第一の布層が編布である場合は織布である第二の布層とを準備するステップ、
f)前記少なくとも1種類の第一の接着剤と同一または異なる少なくとも1種類の第二の接着剤を前記アレルゲンバリア層の前記反対側の第二の面上の離れた複数領域に塗布するステップであって、前記少なくとも1種類の第二の接着剤が一方の面から他方の面へ前記アレルゲンバリア層の厚さの少なくとも70%浸透するように選択される、ステップ、
g)前記第二の布層を前記アレルゲンバリア層の前記反対側の第二の面に貼り付けるステップ、および
h)前記第二の布層と前記予備積層体を一体化して積層体にするステップであって、少なくとも1種類の第二の接着剤の前記離れた各領域が前記第二の布層の一方の面の内部に延びるが、前記布層を一方の面から他方の面へ貫通しない、ステップ
を含む、方法。
【請求項12】
前記接着剤が、75〜125℃で溶融状態において塗布されるホットメルト接着剤である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記接着剤がポリウレタンである、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
アレルゲンバリア構造体として有用な積層体の製造方法であって、
a)織布層、アレルゲンバリア層、および編布層を準備するステップ、
b)少なくとも1種類の接着剤を、前記アレルゲンバリア層の第一の面上および反対側の第二の面上の離れた複数領域に塗布するステップであって、前記接着剤が前記アレルゲンバリア層に一方の面から他方の面へ前記アレルゲンバリア層の厚さの少なくとも70%浸透するように選択される、ステップ、
c)前記編布層を前記アレルゲンバリア層の前記第一の面に貼り付け、また前記織布層を前記アレルゲンバリア層の前記反対側の第二の面に貼り付けるステップ、および
d)前記織布層、前記アレルゲンバリア層、および前記編布層を一体化して積層体にするステップであって、接着剤の前記離れた各領域が前記織布層の一方の面の内部にも、また前記編布層の一方の面の内部にも延びるが、どちらの布層も一方の面から他方の面へ貫通しない、ステップ
を含む、方法。
【請求項15】
前記接着剤がポリウレタンである、請求項14に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−501656(P2013−501656A)
【公表日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−524776(P2012−524776)
【出願日】平成22年8月10日(2010.8.10)
【国際出願番号】PCT/US2010/044941
【国際公開番号】WO2011/019674
【国際公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】