説明

耐久性帯電防止剤及びその加工方法

【課題】一般的な加工機で容易に加工することができ、処理による風合硬化が少なく優れた耐久性と帯電防止性を有する合成繊維用耐久性帯電防止剤を提供する。
【解決手段】エチレンオキサイド鎖を含有するブロック型ウレタンプレポリマーの存在下で(a)(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール単量体または(メタ)アクリル酸アルコキシポリエチレングリコール単量体25〜100重量%、(b)その他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体0〜75重量%からなる単量体混合物(但し、(a)+(b)=100重量%)を重合して得られる合成繊維用耐久性帯電防止剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は耐久性の帯電防止剤組成物に関するものであり、さらに詳しくは合成繊維に対して洗濯耐久性の優れた帯電防止能を付与することが可能な帯電防止剤及びその加工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリエステル系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維、ポリアミド系繊維などの合成繊維製品の帯電防止には後加工、繊維自身の改質、導電性繊維の混入などの方法が取られている。繊維の改質には繊維の基質ポリマーに各種の親水性重合体をブレンドしたり、共重合したりといった技術があるが繊維物性などに問題がありあまり実用化されていない。また、導電性繊維の混入にはカーボン微粒子などの導電性物質を練りこむ方法や、繊維に金属皮膜をコーティングする方法があり、得られた導電性繊維を混入することで、耐久性の帯電防止性が得られるが、繊維の着色があり、用途が限定されるのが現状である。
【0003】
後加工による方法では主に界面活性剤が用いられるが、界面活性剤を用いる一般的な方法では帯電防止効果の耐久性が乏しいという問題がある。
【0004】
耐久性の帯電防止効果を得る方法としてポリエチレンテレフタレートとポリエチレングリコールのブロック共重合体の水分散液を用いる方法(特許文献1)が従来より行われているが、耐久性が充分でないという問題がある。
【0005】
また、ポリエチレングリコール系モノマーと過硫酸物を用いて繊維表面に帯電防止膜をグラフト重合せしめる方法(特許文献2、3)があるが、特別な設備が必要なこと、耐久性が充分でないなどの問題がある。
【0006】
一方、ポリオキシエチレン鎖を含有するウレタンプレポリマーを処理する方法(特許文献4、5)があるが、ある程度の耐久性の帯電防止性が得られるが充分なものではなく、また、被処理物の風合が硬くなるという問題がある。
【特許文献1】特公昭45−10794号公報
【特許文献2】特開昭53−130396号公報
【特許文献3】特開平11−181674号公報
【特許文献4】特開昭62−295986号公報
【特許文献5】特開平09−143883号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、従来の技術ではなし得なかった優れた耐久性の帯電防止性を後加工により付与できる帯電防止剤を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、エチレンオキサイド鎖を含有するブロック型ウレタンプレポリマーの存在下で(a)(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール単量体または(メタ)アクリル酸アルコキシポリエチレングリコール単量体25〜100重量%、(b)その他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体0〜75重量%からなる単量体混合物(但し、(a)+(b)=100重量%)を重合して得られる耐久性帯電防止剤を用いることで優れた耐久性の帯電防止性が得れられることを見出し本発明に至った。
【0009】
さらに、本発明は上記化合物を帯電防止剤として処理することを特徴とする繊維製品の帯電防止方法に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の帯電防止剤はエチレンオキサイド鎖を含有するブロック型ウレタンプレポリマーの存在下で(a)(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール単量体または(メタ)アクリル酸アルコキシポリエチレングリコール単量体25〜100重量%、(b)その他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体0〜75重量%からなる単量体混合物(但し、(a)+(b)=100重量%)を重合することでウレタンプレポリマーと共重合体の分子鎖が絡み合い、熱処理することによりブロック剤が解離し、イソシアネート基が再生し、ポリエステルの−COOH基、他のウレタンプレポリマーと結合して三次元的に高分子化すると同時に、アクリル重合体が可塑的な役割をし、皮膜に柔軟性を与えるため、洗濯時の応力に対して柔軟な帯電防止膜を形成し、優れた耐久性の帯電防止性を付与することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に本発明についてさらに詳しく説明する。本発明に使用されるエチレンオキサイド鎖を含有するブロック型ウレタンプレポリマーは、ポリオールとイソシアネート化合物の反応による従来の公知の方法により得られる。
【0012】
ポリオールとしてはポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのランダム又はブロック共重合ポリオールなどを適宜反応成分として使用することができ、ポリオール成分中にエチレンオキサイド鎖を含有したポリオールを配合することが必須であり、エチレンオキサイド鎖の配合割合は30〜70重量%が好ましい。
【0013】
イソシアネート化合物としては特に制限はなく、トリレンジイソシアネート、ジメニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどが挙げられるが、風合及び無黄変な点から、特に脂肪族ポリイソシアネートであるヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等が好ましい。
【0014】
また、場合によっては鎖長延長剤を反応させても良く、鎖長延長剤としてはエチレングリコール、ジエチレングリコールなどのグリコール類、グリセリン、トリメチロ−ルプロパンなどの多価アルコール類、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のジアミン類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアミノアルコール類が使用できる。
【0015】
ウレタンプレポリマーの合成は非溶剤系で可能であるが、ウレタンプレポリマーの粘度によっては溶剤を用いても良く、使用できる溶剤としてはイソシアネートと不活性かつウレタンプレポリマーを溶解し得る溶剤であれば特に制限はないが、例えば、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、トルエンなどが挙げられる。
【0016】
遊離イソシアネート基のブロック化剤としては重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カリウムなどの重亜硫酸塩、2級アルコール類、3級アルコール類、活性メチレン化合物、オキシム類、ラクタム類、イミダゾール類などが挙げられるが、好ましくは重亜硫酸塩が使用される。
【0017】
ポリオール成分とイソシアネート化合物の反応は通常30〜150℃、30分〜50時間の範囲で行う。
【0018】
本発明は上記のようにして合成したウレタンプレポリマーの存在下で(a)(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール単量体または(メタ)アクリル酸アルコキシポリエチレングリコール単量体25〜100重量%、(b)その他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体0〜75重量%からなる単量体混合物(但し、(a)+(b)=100重量%)を重合することで得られる。ウレタンプレポリマーとアクリル重合体の重量比率には特に制限はないが、好ましくは10/90〜90/10、特に好ましくは30/70〜70/30である。
【0019】
(a)(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール単量体または(メタ)アクリル酸アルコキシポリエチレングリコール単量体の具体例としては、ポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、エトキシポリエチレングリコールアクリレート、エトキシポリエチレングリコールアクリレートなどが挙げられ、ポリエチレングリコール鎖としてはエチレンオキサイド付加モル数2モル〜40モルの範囲のものが使用でき、特に3〜9モルのものが好ましい。また、これらは単独で用いても又は2種以上を混合して使用しても良い。
【0020】
(b)その他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体としては特に制限はなく、アクリル酸誘導体、メタクリル酸誘導体、アクリルアミド誘導体などが使用でき、アクリル酸誘導体の具体例としてはアクリル酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、イソアミルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、グリシジルアクリレート、ジメチルアミノメチルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、2−(アクリロイルオキシ)メチルトリメチルアンモニウムクロライド、2−(アクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロライドなどが挙げられる。メタクリル酸誘導体の具体例としては、メタクリル酸、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、イソアミルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、イソアミルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ジメチルアミノメチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、2−(メタクリロイルオキシ)メチルトリメチルアンモニウムクロライド、2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロライドなどが挙げられる。アクリルアミド誘導体の具体例としてはアクリルアミド、メタクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミドなどが挙げられる。また、これらは単独で用いても又は2種以上を混合して使用しても良い。
【0021】
上記アクリル重合体の製造方法としては、溶液重合、乳化重合、懸濁重合等の公知重合法の何れを用いても良い。
【0022】
重合に使用される溶媒としては上記ウレタンプレポリマーと混合可能なものであれば特に制限はなく、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、メチルエチルケトン等が使用できる。
【0023】
乳化重合の場合は界面活性剤を使用しても良く、その具体例としてはポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーなどのノニオン性活性剤、ラウリル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩などのアニオン性活性剤、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ジアルキルジメチルアンモニウムクロライド、塩化ベンザルコニウムなどのカチオン性活性剤、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルジメチルアミンオキサイドなどの両性活性剤などを挙げることができ、これらは単独で使用してもよいし、二種以上併用してもよい。
【0024】
重合に用いるラジカル重合開始剤の具体例としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムなどの過硫酸塩類、またはこれらの過硫酸塩類に亜硫酸水素ナトリウムなどの還元剤を組み合わせたレドックス開始剤、または、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイドなどの有機ハイドロパーオキサイド類、またはこれらの有機ハイドロパーオキサイド類と亜硫酸水素ナトリウムなどの還元剤を組み合わせたレドックス開始剤、または、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(アミノジプロパン)塩酸塩などのアゾ系開始剤が挙げられる。
【0025】
その他、重合に際して、連鎖移動剤、キレート剤、pH緩衝剤を用いることがあるが、本発明はこれら他の添加剤の使用は帯電防止性能に影響のない範囲での使用に関しては何ら制限されるものではない。
【0026】
次に本発明における帯電防止剤の処理方法について説明する。繊維材に処理する方法は繊維材の形態に応じて、パディング処理あるいはスプレーによる噴霧処理、含浸処理、コーティング処理など公知の方法のいずれの方法でもよい。繊維材に帯電防止剤を付与後、加熱処理を施す。さらに、染色堅牢度への影響が大きい場合は必要に応じて公知の還元洗浄又はソーピングを施す。
【0027】
また、加熱処理時における架橋反応を促進させるために、適宜触媒を加えても良い。
【0028】
本発明の対象とする繊維製品に特に限定はないが、帯電しやすい合成繊維製品に有効である。適用可能な合成繊維としてはポリエステル、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ビニロンなどが挙げられる。
【0029】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0030】
実施例1
(ウレタンプレポリマーの合成)
ポリエチレングリコール(分子量2000)200部にヘキサメチレンジイソシアネート30部を添加し100℃×2時間反応を行い、遊離イソシアネート3.0%を有するウレタンプレポリマーを得た。40℃に冷却し、次に25%重亜硫酸ソーダ100部を添加し、40℃で1時間攪拌した後、エタノール30部、水560部を加え、樹脂分約25%のウレタンプレポリマーを得た。
(アクリル重合体の重合)
得られたウレタンプレポリマー400部にポリエチレングリコール(EO8モル)メタクリレート75部、メチルメタクリレート5部を仕込み、開始剤として2,2’−アゾビス(アミノジプロパン)塩酸塩0.2部を添加し、窒素ガス気流中、65℃で5時間反応させ、半透明のエマルションの帯電防止剤を得た。
【0031】
実施例2
(ウレタンプレポリマーの合成)
ポリエチレングリコール(分子量2000)200部にヘキサメチレンジイソシアネート30部を添加し100℃×2時間反応を行い、遊離イソシアネート3.0%を有するウレタンプレポリマーを得た。40℃に冷却し、次に25%重亜硫酸ソーダ100部を添加し、40℃で1時間攪拌した後、エタノール30部、水560部を加え、樹脂分約25%のウレタンプレポリマーを得た。
(アクリル重合体の重合)
得られたウレタンプレポリマー400部にメトキシポリエチレングリコール(EO9モル)アクリレート75部、エチルアクリレート5部を仕込み、開始剤として2,2’−アゾビス(アミノジプロパン)塩酸塩0.2部を添加し、窒素ガス気流中、65℃で5時間反応させ、半透明のエマルションの帯電防止剤を得た。
【0032】
実施例3
(ウレタンプレポリマーの合成)
ポリエチレングリコール(分子量2000)200部にヘキサメチレンジイソシアネート30部を添加し100℃×2時間反応を行い、遊離イソシアネート3.0%を有するウレタンプレポリマーを得た。40℃に冷却し、次に25%重亜硫酸ソーダ100部を添加し、40℃で1時間攪拌した後、エタノール30部、水560部を加え、樹脂分約25%のウレタンプレポリマーを得た。
(アクリル重合体の重合)
得られたウレタンプレポリマー400部にメトキシポリエチレングリコール(EO3モル)アクリレート75部、エチルアクリレート5部を仕込み、開始剤として2,2’−アゾビス(アミノジプロパン)塩酸塩0.2部を添加し、窒素ガス気流中、65℃で5時間反応させ、半透明のエマルションの帯電防止剤を得た。
【0033】
実施例4
(ウレタンプレポリマーの合成)ポリエチレングリコール(分子量2000)200部にヘキサメチレンジイソシアネート40部を添加し100℃×2時間反応を行い、遊離イソシアネート4.0%を有するウレタンプレポリマーを得た。40℃に冷却し、次に25%重亜硫酸ソーダ120部を添加し、40℃で1時間攪拌した後、エタノール30部、水570部を加え、樹脂分約25%のウレタンプレポリマーを得た。
(アクリル重合体の重合)
得られたウレタンプレポリマー400部にメトキシポリエチレングリコール(EO9モル)メタクリレート75部、エチルアクリレート5部を仕込み、開始剤として2,2’−アゾビス(アミノジプロパン)塩酸塩0.2部を添加し、窒素ガス気流中、65℃で5時間反応させ、半透明のエマルションの帯電防止剤を得た。
【0034】
実施例5
(ウレタンプレポリマーの合成)ポリエチレングリコール(分子量2000)50部、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド(EO/PO=50/50)重合物(分子量2000)150部にキシリレンジイソシアネート50部を添加し100℃×2時間反応を行い、遊離イソシアネート3.5%を有するウレタンプレポリマーを得た。40℃に冷却し、次に25%重亜硫酸ソーダ100部を添加し、40℃で1時間攪拌した後、エタノール40部、水610部を加え、樹脂分約25%のウレタンプレポリマーを得た。
(アクリル重合体の重合)
得られたウレタンプレポリマー400部にメトキシポリエチレングリコール(EO23モル)アクリレート75部、アクリルアミド5部を仕込み、開始剤として2,2’−アゾビス(アミノジプロパン)塩酸塩0.2部を添加し、窒素ガス気流中、65℃で5時間反応させ、半透明のエマルションの帯電防止剤を得た。
【0035】
比較例1
ウレタンプレポリマーのみの場合を比較例1とした。
(ウレタンプレポリマーの合成)ポリエチレングリコール(分子量2000)200部にヘキサメチレンジイソシアネート30部を添加し100℃×2時間反応を行い、遊離イソシアネート3.0%を有するウレタンプレポリマーを得た。40℃に冷却し、次に25%重亜硫酸ソーダ100部を添加し、40℃で1時間攪拌した後、エタノール30部、水560部を加え、樹脂分約25%のウレタンプレポリマーを得た。
【0036】
比較例2
比較としてアクリル重合体のみの場合を比較例2とした。
(アクリル重合体の重合)
メトキシポリエチレングリコール(EO9モル)アクリレート75部、エチルアクリレート5部、メタリルスルホン酸ソーダ0.1部、イオン交換水400部を仕込み、開始剤として2,2’−アゾビス(アミノジプロパン)塩酸塩0.2部を添加し、窒素ガス気流中、65℃で5時間反応させ、透明溶液の帯電防止剤を得た。
【0037】
比較例3
ポリエチレンテレフタレートとポリエチレングリコールのブロック共重合体として、ジメチルフタレート77.6部、エチレングリコール62部、ポリエチレングリコール(平均分子量1540)77部、スルフォイソフタレートのジメチルナトリウム塩14.8部、酢酸カルシウム1水和物0.06部、三酸化アンチモン0.03部を減圧下282℃で1.25比粘度(25℃でO−クロロフェノールの1%溶液で測定)が得られるまで重合し、比較例3とした。
【0038】
比較例4
比較として比較例1で得られたウレタン重合体45.5部と比較例2で得られたアクリル重合体55.5部を混合した場合を比較例4とした。
【0039】
<帯電防止剤評価方法>
実施例1〜4及び比較例1〜3の帯電防止剤50gを水で全量が1kgになるように希釈し、帯電防止剤50g/1の処理液を調整した。比較例4のみ実施例と樹脂量を合わせるため92gを水で全量が1kgになるように希釈し、帯電防止剤92g/lの処理液を調整した。準備した処理液を試験試料であるポリエステルダブルピケに対して1dip・1nip、pick up率100%でパディング処理し、110℃、3分間で乾燥した。乾燥後190℃、1分間の加熱処理を行った。得られた処理布をJIS L 1094 B法 摩擦帯電圧測定により帯電防止性の評価を行った。京大化研式ロータリースタティックテスターを使用し。湿度40%、温度20℃の条件下で測定を行った。摩擦布には綿金巾3号を使用した。
【0040】
<耐久性評価方法>
得られた処理布をJIS L 0217 103法の洗濯条件にて20回及び50回の洗濯を行い、洗濯後の帯電防止性を評価することで耐久性の評価を行った。洗濯50回後の摩擦帯電圧が2000V未満を◎、2000V以上〜2500V未満を○、2500V以上〜3000V未満を△、3000V以上を×とした。
【0041】
<風合い評価>
得られた処理布の風合い評価をハンドリングにより行った。非常に良好を◎、良好を○、やや不良を△、不良を×とした。
【0042】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレンオキサイド鎖を含有するブロック型ウレタンプレポリマーの存在下で(a)(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール単量体または(メタ)アクリル酸アルコキシポリエチレングリコール単量体25〜100重量%、(b)その他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体0〜75重量%からなる単量体混合物(但し、(a)+(b)=100重量%)を重合して得られる合成繊維用耐久性帯電防止剤。
【請求項2】
請求項1記載の合成繊維用耐久性帯電防止剤を処理することを特徴とする合成繊維用耐久性帯電防止加工方法。

【公開番号】特開2009−74016(P2009−74016A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−274423(P2007−274423)
【出願日】平成19年9月21日(2007.9.21)
【出願人】(391003473)センカ株式会社 (20)
【Fターム(参考)】