説明

耐候性試験機の温度・湿度制御装置

【課題】水の蒸発潜熱を利用して、試験槽へ導入される空気を冷やし、かつ加湿すること、モード切替弁が開く回数を抑え、排気される空気を少なくして制御可能温湿度範囲を広くする。
【解決手段】試験槽4と人工光源5とヒータ加湿器6を備える耐候性試験機2の温度・湿度制御装置1において、ブラックパネル温度センサ8と乾湿球センサ9を備え、外気導入用風路10と排気用風路11を備え、外気取り入れモードと内気循環モードを切り替えるモード切替弁12を備え、試験槽4内からの空気排出量と試験槽4内への空気戻し量を調整する空調弁13を備え、外気導入用風路10のモード切替弁12よりも上流側にヒータ加湿器6を備え、外気導入口14に少なくとも1つの加湿冷却モジュール15を備え、モード切替弁12の切替制御と空調弁13の開閉制御を行い、試験槽6内の温度・湿度を制御する制御手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は耐候性試験機の温度・湿度制御装置に係り、特にブラックパネル温度の適正な制御及び試験槽内の空気の温度・湿度の適正な制御を行う耐候性試験機の温度・湿度制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
外気を導入して試験槽内の空気の温度、湿度を制御する耐候性試験機には、従来から2種類の空気置換タイプの耐候性試験機があった。
一方は、耐候性試験機外部の空気をそのまま冷却用として試験槽に取り込むタイプのものである。(特許文献1参照)
また、他方は、必要に応じてモード切替弁を開けて外気を導入するだけでなく、モード切替弁を開けずに試験槽内に設けられた湿度調整風路と試験槽とで空気を循環させ、湿度調整風路内に設置された加湿器で試験槽内空気を冷やすタイプのものである。(特許文献2参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案第3120304号公報
【特許文献2】特許第3291519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記の特許文献1及び2に開示されるものは、以下の問題点を有していた。
(1)外気温が高い時は、ブラックパネル温度が設定値より上がってしまい、ブラックパネル温度が下がり難い事があった。(特許文献1)
(2)人工光源の放電電力が上がると、ブラックパネル温度が設定値より上がってしまい、ブラックパネル温度が下がり難くなってしまう事があった。(特許文献1)
(3)外気温が高い、または、人工光源の放電電圧が上がる等の要因で、試験槽内の温度若しくはブラックパネル温度が設定値を超えた場合、モード切替弁が開き試験槽内の湿度が逃げ、湿度が設定値から急激に下がり、湿度の制御が困難な事があった。(特許文献1)
(4)吸水性材料を使用した加湿器を湿度調整風路内に入れていると、乾燥と水の滴下による濡れとを何度も繰り返すため、吸水性材料が激しく伸び縮みしてしまい、すぐに傷むとともに、汚れも生じるため、吸水性能が落ちて、試験に影響をするおそれがあるという不都合があった。また、試料から出る汚れが吸水性材料に付着することがあった。(特許文献2)
【0005】
この発明は、外気導入口に付けられた吸水性がありかつ高通気性を備えた材料例えば不織布等に水を滴下し、その水の蒸発潜熱を利用して、外部から試験槽へ導入される空気を冷やし、かつ加湿する加湿冷却モジュールを用いて、外気を冷却及び加湿して試験槽内に取り入れ、モード切替弁(外気取り入れモード・内気循環モード)が開く回数を抑え、排気される空気の量を少なくし、制御可能温湿度範囲を広くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、この発明は、上述不都合を除去するために、試料の耐候性試験を行う試験槽と、この試験槽内に配置される人工光源と、前記試験槽内の温湿度を変化させる耐候性試験機の温度・湿度制御装置において、前記試験槽には、前記人工光源近傍にブラックパネル温度センサと、乾湿球センサと、外気を導入する外気導入用風路と、空気を排出する排気用風路と、前記外気導入用風路の外気導入口に少なくとも1つの加湿冷却モジュールと、かつ前記試験槽内の温度及び湿度を制御する制御手段とを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
以上詳細に説明した如くこの発明によれば、以下の効果を有している。
(1)外気より導入された空気は加湿冷却モジュールを通ることで、この加湿冷却モジュールに滴下された水の蒸発潜熱によって冷却され温度が下がる。したがって、外気温より低い温度の空気を試験槽内に導入できるため、単に外気を導入する方式と比べてブラックパネル温度を下げることができる。
(2)人工光源の放電電力が上がると赤外線量が増え、ブラックパネル温度が上昇するが、上記の加湿冷却モジュールを設けることで空気が冷やされ単に外気を導入する方式と比べてブラックパネル温度を下げることができる。
(3)試験槽内の温度若しくは、ブラックパネル温度が設定値を超えた際には、モード切替弁が開き試験槽内の空気の排出を行うため、従来は湿度が逃げて急激な湿度の低下が起こることがあったが、本発明では前記加湿冷却モジュールを通した空気が冷却加湿されているため試験槽より排出された水分を補い、湿度の急激な低下を防止することできる。
更に、外気より冷たい空気を試験槽内に導入することができる。
(4)本発明では、モード切替弁よりも外部に加湿冷却モジュールを配置することにより、常に加湿冷却モジュールに水を滴下させると同時に、モード切替弁の開閉により加湿冷却モジュールの使用・不使用をコントロールすることができる。また、加湿冷却モジュール内の吸水性材料が乾燥せず、また、試料から出る汚れが付着しないため、加湿冷却モジュールの使用寿命を延ばすことができる。
(5)加湿冷却モジュールをモード切替弁よりも外部に配置し、この加湿冷却モジュールによって導入する空気の湿度調整を行うため、完全な水の蒸気を利用することができ、試験槽内の試料に水滴がつくことがない。
また、風路に水滴を噴霧し蒸発させて加湿する方式ではないため試料に水が蒸発した後に水滴に含まれた不純物が付着しない。
(6)本発明では、加湿冷却モジュールにより加湿された外気が導入されるが、外気導入による急激な湿度の低下が起こらないため、ヒータ加湿器による加湿量が少なくなり、ヒータ加湿器による試験槽の加熱が抑えられ、試験槽の温度上昇を制御することができる。試験槽の温度上昇が少なくなるとモード切替弁が開く頻度が減り、湿度の低下及び変動を防止でき、湿度制御可能範囲が広くなる。
また、ヒータ加湿器の加熱時間が短くなり、使用電力量が減るとともに、同時に、使用する純水量をも減らすことができ、省エネルギーに寄与し得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は耐候性試験機の温度・湿度制御装置の概略構成図である。(実施例)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下図面に基づいてこの発明の実施例を詳細に説明する。
【実施例】
【0010】
図1はこの発明の実施例を示すものである。
【0011】
この温度・湿度制御装置1は、温度及び湿度の制御を行うため耐候性試験機2に装着されている。
そして、この耐候性試験機2は、図1に示す如く、試料3の耐候試験を行う試験槽4と、この試験槽4内に配置される例えば紫外線カーボンアーク、サンシャインカーボンアーク、メタルハライドランプやキセノンアークまたは他の耐候試験に使用する光源等の人工光源5と、試験槽4内の湿度を変化させるヒータ加湿器6と、試験槽温度を変化させる試験槽ヒータ24とを備えている。
つまり耐候性試験機2は、試験槽4内において、中心部位に人工光源5を配置し、この人工光源5の外周部位に試料支持枠7を配置しており、
この試料支持枠7には複数個の前記試料3を支持させている。
【0012】
また、ブラックパネル温度センサ8([BPTセンサ]という。)は試料3と同様に、前記試料支持枠7に取り付けられる。
【0013】
試験槽4は乾湿球センサ9を備えている。試験槽4は外気を導入する外気導入用風路10及び試験槽4内の空気を排出する排気用風路11と連結している。
耐候性試験機2の空気の経路は、図1に示す如く、試験槽4の底部と外気とを連絡する外気導入用風路10及び試験槽4と外気とを連絡する排気用風路11である。
【0014】
外気導入用風路10と排気用風路11との接合部位にモード切替弁12を備えており、このモード切替弁12は図1に実線で示す如く、外気導入用風路10と排気用風路11とを夫々開放させて外気取り入れモードとする一方、図1に破線で示す如く、外気導入用風路10と排気用風路11とを夫々閉鎖させ排気用風路11を外気導入用風路10に連通させる内気循環モードとするように切替動作するものである。
【0015】
また、モード切替弁12の近傍には、空調弁13を備えている。この空調弁13は、外気導入用風路10と排気用風路11との連通・非連通状態を開閉動作によって切り替え、試験槽4内からの空気の排出量と試験槽4内への空気の戻し量とを調整するものである。
【0016】
ヒータ加湿器6は、図1に示す如く、試験槽4の底部に連絡する外気導入用風路10に配置される。
【0017】
外気導入用風路10の外気導入口14に少なくとも1つの加湿冷却モジュール15を備えている。
この加湿冷却モジュール15は、水を滴下する滴下装置と水が滴下される吸水性がありかつ高通気性を備えた材料例えば不織布などからなり、例えば1つを外気導入口14に配置することで加湿冷却モジュール15を通過する空気を冷却、加湿させている。
このとき、加湿冷却モジュール15は、図1に示す如く、水タンク16と水供給用ポンプ17と水中のゴミを取るフィルタ25とを水供給経路18に有している。
【0018】
排気用風路11において、モード切替弁12よりも上流側の途中部位に、送風用ファン(「ブロア」ともいう。)20と送風用モータ21とから構成される送風機19を配置している。
【0019】
受光部23は人工光源5の試料面(試料3の表面)での放射照度を測定する。
【0020】
耐候性試験機2の温度・湿度制御装置1は、少なくともモード切替弁12の切替制御と空調弁13の開閉制御とを行い、ブラックパネル温度センサ8の温度若しくは、試験槽4内の温度及び湿度を制御する制御手段22を備える構成とする。
詳述すれば、この制御手段22は、以下の機能を有している。
(1)各センサによる検出機能
ブラックパネル温度センサ8から試験槽4内のブラックパネル温度の検出信号を入力する。
乾湿球センサ9から試験槽4内の乾球温度・湿球温度の温度、湿度の検出信号を入力する。
(2)人工光源5の点灯制御機能
人工光源5の点灯状態を制御し、放射照度を受光部23で検出し、点灯電力を調整して放射照度制御を行う。
(3)前記ヒータ加湿器6の駆動制御機能
前記ヒータ加湿器6の駆動制御を行い、前記試験槽4内の湿度を調整する。
(4)送風機制御機能
前記送風機19の送風用モータ21を駆動させて送風用ファン20を回転させ、前記試験槽4内の空気を排出して空気の循環を行う。また、感知されたブラックパネル温度センサ8の温度をもとに送風機19における送風機モータ21の回転数を調整しブラックパネル温度センサ8の温度を制御する。
(5)加湿冷却モジュール15の制御機能
水供給経路18中の水供給用ポンプ17の駆動制御を行い、水タンク16内から加湿冷却モジュール15に供給される水を調整する。
(6)モード切替弁12の切替制御
モード切替弁12の切替制御を行い、外気取り入れモードと内気循環モードとを切り替える。
(7)空調弁13の開閉制御
空調弁13の開閉制御を行い、外気導入用風路10と排気用風路11との連通・非連通状態を調整し、試験槽4内からの空気の排出量と試験槽4内への空気の戻し量とを調整する。
【0021】
追記すれば、耐候性試験機2の温度・湿度制御装置1は、外気を試験槽4内へ導入する外気導入口14の入口部分に、図1に示す如く、加湿冷却モジュール15を密着して付け、この加湿冷却モジュール15によって、冷却し、かつ加湿された空気を試験槽4内に導入させている。
【0022】
次に作用を説明する。
【0023】
耐候性試験機2の温度・湿度制御装置1においては、外気を外気導入用風路10の外気導入口14から前記試験槽4内へ導入する。
このとき、制御手段22によって水供給経路18の水供給用ポンプ17の駆動制御を行っており、外気導入口14近傍に配設した加湿冷却モジュール15に水タンク16内の水を供給し、外気は加湿冷却モジュール15を通ることで冷却され、かつ加湿された空気を試験槽4内に導入させ、試験槽4内の温度を下げ、それによりブラックパネル温度を下げ、かつ加湿している。
【0024】
また、耐候性試験機2の温度・湿度制御装置1において、試験槽4内の温度を上げる際には、制御手段22によってモード切替弁12を動作させ、外気導入用風路10と排気用風路11とを夫々閉鎖させて、図1に破線で示す如く、排気用風路11を外気導入用風路10に連通させて内気循環モードとする。
そして、制御手段22によって制御し、試験槽ヒータ24の使用と前記キセノンランプ5の熱とによって試験槽4内の温度を上げるとともに、ヒータ加湿器6の加湿器使用によって加湿する。
【0025】
更に、耐候性試験機2の温度・湿度制御装置1において、試験槽4内の温度を下げる際には、制御手段22によってモード切替弁12を動作させ、図1に実線で示す如く、外気導入用風路10と排気用風路11とを夫々開放させて外気取り入れモードとする。
そして、試験槽4内に外気導入用風路10を介して外気を取り入れる。
【0026】
更にまた、耐候性試験機2の温度・湿度制御装置1において、制御手段22は空調弁13の開閉制御をも行う。
つまり、この空調弁13は、試験槽4内の温度によって、前記外気導入用風路10と排気用風路11との連通・非連通状態を切り替える。
なお、追記すれば、空調弁13は、開閉動作によって外気導入用風路10と排気用風路11との連通・非連通状態を切り替え、試験槽4内からの空気の排出量と前記試験槽4内への空気の戻し量と完全に切り替える方策もあるが、試験槽4内からの空気の排出量と試験槽4内への空気の戻し量とを完全に切り替えるのみでなく、両方の風路とも半連通状態とし、試験槽4内からの空気の排出量と試験槽4内への空気の戻し量との割合を調整する方策もある。
このため、外気の温度が低い場合は、空調弁13を開放制御しても試験槽4内の空気を全て排気せず、試験槽4内からの空気の排出量と試験槽4内への空気の戻し量とを調整して空気の一部を試験槽4内に戻し、試験槽4内が冷えないようにし、冷却温度の急激な変化による温度制御の乱れを防ぐように動作させる。
【0027】
これにより、この発明の実施例においては、以下の効果を奏することができる。
(1)導入された空気が加湿冷却モジュール15を通ることで、この加湿冷却モジュール15に滴下された水の蒸発潜熱によって冷却され、単に外気を取り入れるよりも、ブラックパネル温度センサ8の温度及び試験槽4内の温度を下げることができる。
(2)人工光源5の放電電力が上がると、赤外線量が増え、ブラックパネル温度が上がることになるが、上記の加湿冷却モジュール15を通った外気によって単に外気を取り入れるよりもブラックパネル温度センサ8の温度及び試験槽4内の温度を下げることができる。
(3)試験槽4内の温度若しくは、ブラックパネル温度が設定値を超えると、前記モード切替弁12が開き試験槽4内の空気の排出を行うため、従来は湿度が逃げて急激に湿度の低下が起こることがあったが、本発明では加湿冷却モジュール15を通した空気が冷却加湿されているため試験槽より排出された水分を補い湿度の急激な低下を防止することができる。
また、前記キセノンランプ5の放電電力が上がってブラックパネル温度が上がった際には、前記モード切替弁12が開き、前記試験槽4内の空気の湿度が下がってしまう。
更に、前記モード切替弁12を開放させて外気を導入する際に、外気は前記加湿冷却モジュール15を通過することにより、外気が冷たい空気となってブラックパネルに当たる。この後は、モード切替弁12を閉鎖し、試験槽4内の空気の湿度が逃げることを防止できる。
(4)この発明の実施例では、モード切替弁12よりも外部に加湿冷却モジュール15を配置し、常に水を滴下しモード切替弁を開閉することにより加湿冷却モジュール15の使用・不使用をコントロールすることができ、加湿冷却モジュール15の使用寿命を延ばすことができる。
(5)加湿冷却モジュール15をモード切替弁12よりも外部に配置し、この加湿冷却モジュール15によって導入する空気の湿度調整を行うため、完全な水の蒸気が利用されるため、試験槽4内の試料3に水滴がつく(「水飛びする」ともいう。)ことがない。
また、外気導入用回路10に水滴を噴霧させて加湿する方式でないため水滴が蒸発した後水滴内にあった不純物が空中を飛び試料3に付着することがない。
(6)キセノン耐候性試験機において、外気温30℃、キセノンランプ2000時間使用の条件で放射照度120W/m(300〜400nm)、ブラックパネル温度63℃、試験槽温度37℃、湿度50%rh設定で、試験槽内の空気の湿度が上がらなかった状態のものを、この発明の耐候性試験機2の温度・湿度制御装置1においては、50%rhで制御することができた。
(7)上記(6)の設定において、放射照度140W/m(300〜400nm)、ブラックパネル温度63℃、湿度50%rhとしても、制御可能とした。
(8)この発明の実施例では、ヒータ加湿器6による加湿量が少なくなるため、ヒータ加湿器6による試験槽4の加熱が少なくなり、試験槽4の温度上昇を少なくすることができる。
また、ヒータ加湿器4の加熱時間が短くなり、放射照度100W/m、ブラックパネル温度63℃、湿度50%rhの試験条件において、従来35A必要だったものが25Aとなり10Aの電流を減らすことができるとともに、同時に、使用する純水量をも9.5L(リットル)/hから8.0L/hと1.5L/hも減らすことができ、省エネルギーに寄与し得る。
【0028】
なお、この発明は上述実施例に限定されるものではなく、種々の応用改変が可能である。
【0029】
例えば、この発明の実施例においては、外気導入用風路10の外気導入口14に1つの加湿冷却モジュール15を備える構成としたが、2つ以上、つまり、加湿冷却モジュール15を2層以上に配置する特別構成とすることも可能である。
さすれば、吸水性能の同一なもの、あるいは、吸水性能の異なるものを選択的に配置すれば、通過する空気の冷却速度や加湿速度などを任意に変更することが可能となり、汎用性の高い耐候性試験機の温度・湿度制御装置を容易に実現することが可能である。
【0030】
また、この発明の実施例においては、耐候性試験機2の外気導入用風路10をモード切替弁12によって開閉する構成としたが、外気導入用風路10にモード切替弁12をバイパスするバイパス通路を設けるとともに、このバイパス通路を制御手段22によって開閉制御するバイパス開閉弁を設ける特別構成とすることも可能である。
さすれば、モード切替弁12により外気導入用風路10を閉鎖して内気循環モードとしても、前記バイパス開閉弁の開閉制御を行うことによって加湿冷却モジュール15による空気の冷却および加湿機能を利用することが可能である。
つまり、外気導入用風路10のモード切替弁12よりも上流側に配置したヒータ加湿器6による加湿量を極力減少させることができ、加湿冷却モジュール15による水滴が入らないなどの効果を享受することが可能である。また、キセノン光源の他、他の光源の耐候性試験機にも応用することができる。
【符号の説明】
【0031】
1 温度・湿度制御装置
2 耐候性試験機
3 試料
4 試験槽
5 人工光源
6 ヒータ加湿器
7 試料支持枠
8 ブラックパネル温度センサ(「BPTセンサ」という。)
9 乾湿球センサ
10 外気導入用風路
11 排気用風路
12 モード切替弁
13 空調弁
14 外気導入口
15 加湿冷却モジュール
16 水タンク
17 水供給用ポンプ
18 水供給経路
19 送風機
20 送風用ファン(「ブロア」ともいう。)
21 送風用モータ
22 制御手段
23 受光部
24 試験槽ヒータ
25 フィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料の耐候性試験を行う試験槽と、この試験槽内に配置される人工光源と、前記試験槽内の温湿度を変化させる耐候性試験機の温度・湿度制御装置において、前記試験槽には、前記人工光源近傍にブラックパネル温度センサと、乾湿球センサと、外気を導入する外気導入用風路と、空気を排出する排気用風路と、前記外気導入用風路の外気導入口に少なくとも1つの加湿冷却モジュールと、かつ前記試験槽内の温度及び湿度を制御する制御手段とを備えていることを特徴とする耐候性試験機の温度・湿度制御装置。
【請求項2】
前記外気導入用風路と前記排気用風路との接合部位に、モード切替弁を備えて、少なくとも前記モード切替弁の切替制御を行い、前記外気導入用風路と前記排気用風路とを夫々開放させて外気を取り入れる一方、前記外気導入用風路と前記排気用風路とを夫々閉鎖させ排気用風路を外気導入用風路に連通させる内気循環モードとするように切替動作することができることを特徴とする請求項1記載の耐候性試験機の温度・湿度制御装置。
【請求項3】
前記モード切替弁の近傍には、空調弁を備え、前記外気導入用風路と前記排気用風路との連通・非連通状態を調整して前記試験槽内からの空気の排出量と前記試験槽内への空気の戻し量とを調整し、また、前記外気導入用風路の前記モード切替弁よりも上流側にヒータ加湿器と、前記外気導入用風路の外気導入口に少なくとも1つの加湿冷却モジュールとを備え、少なくとも前記空調弁の開閉制御を行う前記試験槽内の温度及び湿度を制御する制御手段を備えていることを特徴とする請求項2記載の耐候性試験機の温度・湿度制御装置。

【図1】
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【公開番号】特開2013−83564(P2013−83564A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223991(P2011−223991)
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【出願人】(000107583)スガ試験機株式会社 (28)
【Fターム(参考)】