説明

耐候性試験装置

【課題】照射試料室内の過酷な環境条件や試料から発生する劣化物・分解物に起因して紫外線照度を正確に制御できなくなるのを防止する。
【解決手段】紫外線透過板(2)よりも光源(1)側に紫外線検出器(5)の光取入部(5a)を設置し、紫外線検出器(5)により検出した紫外線強度に基づいて紫外線照度を制御する。
【効果】照射試料室(3)内でスプレー(4)から水などを噴射しても受光部(5a)が汚れることはない。試料(P)から劣化物・分解物が発生しても受光部(5a)に付着することはない。従って、紫外線強度を正しく検出でき、紫外線照度を正確に制御できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐候性試験装置に関し、さらに詳しくは、照射試料室内の過酷な環境条件や試料から発生する劣化物・分解物に起因して紫外線照度を正確に制御できなくなるのを防止することが出来る耐候性試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紫外線を発生する光源と、光源側と透過板により遮断された雰囲気下で透過板を通して紫外線を試料に照射するための照射試料室と、照射試料室内に光取入部を設置され紫外線の強度を検出する紫外線検出器と、紫外線検出器により検出した紫外線強度に基づいて紫外線照度を制御する照度制御手段とを具備した耐候性試験装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
また、照射試料室で水を試料に噴射するスプレーを具備した耐候性試験装置が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
さらに、照射試料室で塩水,イオン水,酸性水を試料に噴射したり、塩水,イオン水,酸性水に試料を浸漬したりすると共に、試料に結露させたり、温度湿度サイクル下に試料を置く耐候性試験装置が知られている(例えば、特許文献3参照。)。
【特許文献1】特開平9−152398号公報
【特許文献2】特開平11−64209号公報
【特許文献3】特開平3−17533号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来技術では、照射試料室内に紫外線検出器の光取入部が設置されていたが、照射試料室内は過酷な環境条件になるため、光取入部が汚れたり、紫外線検出器が劣化したりし、紫外線強度を正しく検出できなくなり、その結果、紫外線照度を正確に制御できなくなる問題点がある。
また、試料から劣化物・分解物が発生することがあるため、光取入部が劣化物・分解物で汚れて紫外線強度を正しく検出できなくなり、その結果、紫外線照度を正確に制御できなくなる問題点がある。
そこで、本発明の目的は、照射試料室内の過酷な環境条件や試料から発生する劣化物・分解物に起因して紫外線照度を正確に制御できなくなるのを防止することが出来る耐候性試験装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の観点では、本発明は、光源と照射試料室とを光を透過させる透過板で遮断隔離し、照射試料室内の環境条件を任意に設定し耐候性試験を行う装置において、紫外線検出器の光取入部を透過板よりも光源側に設置し、前記紫外線検出器で検出した紫外線強度に基づいて照度制御手段により紫外線照度を制御することを特徴とする耐候性試験装置を提供する。
上記第1の観点による耐候性試験装置では、透過板よりも光源側に紫外線検出器の光取入部を設置したため、照射試料室内の過酷な環境条件や試料から発生する劣化物・分解物に起因して光取入部が汚れたり、紫外線検出器が劣化したりすることが防止される。この結果、紫外線強度を正しく検出でき、紫外線照度を正確に制御できる。
【発明の効果】
【0005】
本発明の耐候性試験装置によれば、照射試料室内の過酷な環境条件や試料から発生する劣化物・分解物に起因して紫外線照度を正確に制御できなくなるのを防止することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、図に示す実施例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0007】
図1は、実施例1に係る耐候性試験装置100の構成説明図である。
この耐候性試験装置100は、紫外線を発生する光源1と、反射板1aと、紫外線透過板2により光源1側と遮断隔離された雰囲気下で紫外線透過板2を通して紫外線を試料Pに照射するための照射試料室3と、試料台3aと、照射試料室3で試料Pに水,塩水,イオン水,酸性水などを噴射するスプレー4と、紫外線透過板2よりも光源1側に光取入部5aが設置され紫外線の強度を検出する紫外線検出器5と、紫外線検出器5により検出した紫外線強度に対応した検出値を出力する検出値出力部6と、操作者が設定した指示値を出力する指示値出力部7と、検出値が指示値に一致するように光源1を制御する光源制御部8と、照射試料室3の温度を制御するためのヒータ10及びクーラ11とを具備している。
【0008】
光源1は、発光波長295〜780[nm],定格4.5[kW]のメタルハライドランプである。
紫外線検出器5は、耐熱性が高い紫外線センサ(例えば住田光学ガラス株式会社製UV−200)である。
【0009】
紫外線照度の調整は次の手順で行う。
(1)適当な値の指示値を設定する。
(2)光源1を点灯する。
(3)ハンディ型紫外線照度計(例えばウシオ電機株式会社製UIT−101)を用いて試料台3aの表面における紫外線照度を測定しながら、所望の紫外線照度(例えばB値 65[mW/cm])になるように、指示値を増減する。
【0010】
紫外線照度を調整した後、照射試料室3からハンディ型紫外線照度計を出し、照射試料室3に試料Pを入れ、照射試料室3の温度をヒータ10及びクーラ11で制御し、スプレー4で試料Pに水などを噴射し、試料Pの変化を観察する。
【0011】
実施例1の耐候性試験装置100によれば、紫外線透過板2よりも光源1側に紫外線検出器5の光取入部5aを設置したため、照射試料室3内でスプレー4から水などを噴射しても光取入部5aが汚れることはない。また、試料Pから劣化物・分解物が発生しても光取入部5aに付着することはない。従って、紫外線強度を正しく検出でき、紫外線照度を正確に制御できる。
【産業上の利用可能性】
【0012】
本発明の耐候性試験装置は、塗料の劣化特性などの耐候性試験を行うのに利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施例1に係る耐候性試験装置を示す構成説明図である。
【符号の説明】
【0014】
1 光源
2 紫外線透過板
3 照射試料室
4 スプレー
5 紫外線検出器
5a 光取入部
6 検出値出力部
7 指示値出力部
8 光源制御部
100 耐候性試験装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と照射試料室とを光を透過させる透過板で遮断隔離し、照射試料室内の環境条件を任意に設定し耐候性試験を行う装置において、
紫外線検出器の検出部を透過板よりも光源側に設置し、前記紫外線検出器で検出した紫外線強度に基づいて照度制御手段により紫外線照度を制御することを特徴とする耐候性試験装置。

【図1】
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【公開番号】特開2006−23169(P2006−23169A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−200817(P2004−200817)
【出願日】平成16年7月7日(2004.7.7)
【出願人】(397040085)ダイプラ・ウィンテス株式会社 (13)
【Fターム(参考)】