説明

耐加水分解性ポリエステルフィルム

ポリエチレンテレフタレート(PET)と、分岐モノカルボン酸のグリシジルエステルから選択される少なくとも1種の加水分解安定剤とを含む、二軸配向ポリエステルフィルムであって、モノカルボン酸は、5〜50個の炭素原子を有し、前記加水分解安定剤は、前記ポリエステルの末端基の少なくともいくつかとの反応生成物の形態でフィルム中に存在する、二軸配向ポリエステルフィルム、該フィルムを作製するための方法、および光電池内の層としての該フィルムの使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改善された耐加水分解性を示すポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、およびそれを生成するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエステルフィルムの有利な機械的特性、寸法安定性および光学的特性は周知である。しかしながら、ポリエステルフィルムは、加水分解による劣化を被り易く、これはポリマーの固有粘度の低下、およびその結果として、フィルムの上述の望ましい特性の1つまたは複数、特に機械的特性の劣化をもたらす。低い耐加水分解性は、高湿度条件および/もしくは高温下、ならびに/または屋外用途において、例えば光(PV)電池においてフィルムが使用される場合、特に問題となる。
【0003】
ポリエステルフィルムの耐加水分解性を改善するために、フィルム中に加水分解安定剤を組み込むことが知られている。例えば、特に、米国特許第5885709号および欧州特許第0838500号では、エンドキャップ剤としてのカルボジイミドのポリエステル組成物への添加が提案されているが、そのような添加剤は、有害なガス状副生成物を放出する傾向を有する。米国特許出願公開第2003/0219614号は、ポリマー性カルボジイミドの加水分解安定剤としての使用が、ガス発生の傾向を低減することを報告している。米国特許出願公開第2002/0065346号は、有機ホスファイトと組み合わされてもよいフェノール化合物、オキサゾリンおよび/またはモノマー性もしくはポリマー性カルボジイミドから選択される加水分解安定剤を教示している。英国特許第1048068号は、有機カルボン酸の銅塩の加水分解安定剤としての使用を教示している。米国特許第3657191号および米国特許第3869427号は、エチレンカーボネートまたは単官能グリシジルエーテルとの反応による、ポリエステルの末端基の改質を教示している。末端エポキシ基含有化合物の使用により安定化された耐加水分解性ポリエステルは、欧州特許出願公開第0292251号にも開示されている。欧州特許第1209200号には、グリシジル基とカルボキシル基との間の反応を促進する触媒の存在下での、グリシジルエステルおよびグリシジルエーテルの組合せが、ポリエステルの耐加水分解性を改善することが報告されているが、その開示は、PETよりもはるかに急速に結晶化するポリブチレンテレフタレート(PBT)、および射出成形材料の製造におけるその使用を対象としている。米国特許第6498212号は、エポキシエチレン−エチルアクリレートコポリマー、エポキシスチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマーおよびアミノポリエチレンコポリマーから選択されるポリマー性エンドキャップ剤の使用により加水分解安定性が改善されたポリエステルを開示している。エポキシ化脂肪酸アルキルエステル(例えば、エポキシ化ステアリン酸2−エチル−ヘキシルエステル)および/またはエポキシ化脂肪酸グリセリド(例えば、エポキシ化大豆油もしくは亜麻仁油)の、ポリエステル組成物における加水分解安定剤としての使用が、継続出願第2514589号、米国特許第4540729号、米国特許第5589126号、米国特許第7229697号、米国特許第7241507号、米国特許出願公開第2005/0137299号、米国特許出願公開第2007/0238816号、および米国特許出願公開第2007/0237972号に開示されている。ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの加水分解安定性を改善する他の方法は、欧州特許出願公開第0738749号に開示されるように、固有粘度、ジエチレングリコール含量および結晶性等のパラメータの同時制御を含む。酸化防止剤の存在と組み合わせた固有粘度および結晶性の制御は、欧州特許出願公開第0620245号において、電気モーターおよびコンデンサにおける絶縁材料として使用されるポリエステルフィルムの面内剥離特性に悪影響を及ぼさずに、高温(180℃)エージング特性を改善すると報告されている。米国特許第4115350号および米国特許第4130541号は、ポリエステルと、モノカルボン酸、アミドおよびチオ酸のエポキシ化アルキルエステルとの反応生成物が、それらから作製される繊維およびコード内のポリエステルの熱安定性を改善することを教示している。米国特許第3372143号は、ポリエステルとエポキシ化アルコキシ−またはアリールオキシ−エーテルとの反応生成物が、それらから作製される繊維の可染性を改善することを教示している。
【0004】
ポリエステルフィルムへの加水分解安定剤の組込みに関連した問題の1つは、添加剤の濃度の増加が耐加水分解性を改善するものの、それはポリエステルフィルムの融点の低下および機械的特性の劣化という犠牲を払って改善されるという点である。機械的特性の低下の結果の1つは、フィルム化されたポリエステルの処理可能性が低くなり、製造および後続の処理中にフィルムウェブの破壊が生じることである。
【0005】
従来技術のポリエステルフィルムにおける、エポキシ化脂肪酸、特にエポキシ化脂肪酸グリセリドをベースとした加水分解安定剤の使用に関する別の問題は、そのような添加剤が、フィルムの製造および処理中に、毒性の高い可燃性の悪臭物質であるアクロレインの発生を伴って分解する傾向を有することである。
【0006】
既知の加水分解安定剤、特にある特定のエポキシ化脂肪酸グリセリドおよび多官能グリシジル化合物に基づく安定剤に関する追加的な問題は、改善された耐加水分解性を提供するために効果的な量でそのような添加剤がフィルム中に組み込まれた場合の、フィルム品質および処理可能性の低下である。特に、そのような添加剤は、ポリエステルフィルムにおける形状欠陥および許容できないレベルのダイライン、すなわち、厚さの低い均一性および/またはフィルムウェブを通した光透過を誘引し、押出物は、フィルムウェブの破壊のためにフィルムライン上の処理が不可能となり得る。そのような問題は、少なくとも部分的に、フィルムの製造中にフィルムが受ける延伸プロセスに干渉する架橋およびゲル形成に起因し得ると考えられる。PET用加水分解安定剤としての多官能グリシジル化合物の使用に関するさらなる問題は、ポリエステルのより速い鎖伸長速度が溶融粘度を増加させ、一方でこれが所与の温度での押出出力を低下させることであり、これは経済的に望ましくない。そこで粘度は、理論的には、溶融温度を増加させることにより低減され得るが、これはポリマーおよび加水分解安定剤の劣化速度の増加をもたらし、ゲル形成を引き起こす。ゲル形成は、射出成形PBT製品等の他のポリエステル製品の製造においてははるかに問題とならないが、これは、ポリエステルフィルムと比較してそれらの製品の厚さがはるかに厚いことに一部起因する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、代替の耐加水分解性ポリエステルフィルムを提供することであり、特に、耐加水分解性が改善されており、特に、フィルムは、毒性副生成物の発生を伴わずに製造および使用することができ、特に、一方で、フィルム破壊を増加させることなくフィルム製造の容易性および効率ならびに経済性を維持または改善し、特に、ダイラインおよび形状欠陥のレベルが低減され、特に、フィルムの機械的および/もしくは光学的特性に悪影響を及ぼさない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、ポリエチレンテレフタレートと、分岐モノカルボン酸のグリシジルエステルから選択される少なくとも1種の加水分解安定剤とを含む、二軸配向ポリエステルフィルムであって、モノカルボン酸は、5〜50個の炭素原子を有し、前記加水分解安定剤は、前記ポリエステルの末端基の少なくともいくつかとの反応生成物の形態でフィルム中に存在する、二軸配向ポリエステルフィルムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明によるポリエステルフィルムに対する典型的DSC走査(熱流量対温度)を示す((A)でマークされたピークは、250℃の値を有する吸熱高温ピークであり、(B)でマークされたピークは、220℃の値を有する吸熱低温ピークである)。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明において使用される加水分解安定剤は、ポリエステルのカルボキシル末端基および/またはヒドロキシル末端基と反応することにより、ポリエステル用の末端基キャップ剤として作用し、支配的な反応は、カルボキシル末端基との反応であると考えられる。カルボキシル末端基は、ポリエチレンテレフタレートを含むポリエステルの加水分解に主として関与することが実証されている。加水分解安定剤のグリシジル基は、高温でポリエステルの末端基と急速に反応するが、重要なことに、改質ポリエステルの製造中またはその後のポリエステルフィルムの製造および使用中に、毒性副生成物の排出を伴わずに反応する。加水分解安定剤は、十分容易にポリエステル中に組み込まれる。
【0011】
ポリエステルフィルムは、自立式フィルムまたはシートであり、これは、フィルムまたはシートが、支持ベースの存在なしに独立して存在し得ることを意味する。
前記ポリエステルフィルムのポリエステルは、ポリエチレンテレフタレートであるが、他のジカルボン酸および/またはジオールから得られる比較的微量の1種または複数種の残留物を含有してもよい。他のジカルボン酸は、イソフタル酸、フタル酸、1,4−、2,5−、2,6−または2,7−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、1,10−デカンジカルボン酸、および一般式Cn2n(COOH)2(式中、nは2〜8である)の脂肪族ジカルボン酸、例えばコハク酸、グルタル酸、セバシン酸、アジピン酸、アゼライン酸、スベリン酸またはピメリン酸を含む。他のジオールは、脂肪族および脂環式グリコール、例えば1,4−シクロヘキサンジメタノールを含む。好ましくは、ポリエステルフィルムは、1種のみのジカルボン酸、すなわちテレフタル酸を含有する。好ましくは、ポリエステルは、1種のみのグリコール、すなわちエチレングリコールを含有する。ポリエステル樹脂は、フィルムの主成分であり、フィルムの総質量の少なくとも50質量%、好ましくは少なくとも65質量%、好ましくは少なくとも80質量%、好ましくは少なくとも90質量%、好ましくは少なくとも95質量%を構成する。
【0012】
フィルムが製造される元のポリエステルの固有粘度は、好ましくは少なくとも約0.65、好ましくは少なくとも約0.70、好ましくは少なくとも約0.80である。
ポリエステルの形成は、一般に約295℃までの温度での縮合またはエステル交換による既知の様式で都合よく達成される。好ましい実施形態において、当技術分野において周知の従来の技術を使用して、例えば、窒素流動床または回転真空乾燥機を使用した真空流動床等の流動床を使用して、固有粘度を所望の値に増加させるために、固体重合を用いることができる。
加水分解安定剤は、好ましくは、フィルムの総質量に対して、約0.1%〜約5%、より好ましくは約0.1%〜約2.5%、より好ましくは約0.1%〜約2.0%、より好ましくは約0.3%〜約1.75%、より好ましくは約0.3%〜約1.5%の範囲の量で存在する。
加水分解安定剤が得られる元の分岐モノカルボン酸は、5〜50個の炭素原子、好ましくは5〜25個の炭素原子、好ましくは5〜15個の炭素原子、好ましくは8〜12個の炭素原子、好ましくは9〜11個の炭素原子、一実施形態においては10個の炭素原子を有する。モノカルボン酸は、好ましくは飽和しており、すなわち、分子内の炭素間結合は単結合である。分岐モノカルボン酸は、好ましくは、カルボン酸基に隣接する炭素原子(以降、「α−炭素」原子と呼ぶ)が第三級炭素原子である、すなわち3つの炭素間単結合を介してカルボン酸基の炭素原子以外の3個の炭素原子と結合しているカルボン酸であり、前記3個の炭素原子のそれぞれは、アルキレン基またはアルキル基の一部であってもよい。モノカルボン酸は、好ましくは、合成材料である、すなわち、天然物質からの単離を必要とし得る天然材料(例えば脂肪酸)ではなく、従来の手順に従う少なくとも1つの合成ステップを含む有機合成を介して製造される(例えば、国際公開第01/56966号を参照されたい)。
【0013】
本発明において使用される加水分解安定剤は、エピクロルヒドリンと所望の分岐モノカルボン酸との既知の反応により製造され得る。反応は、従来の酸性または塩基性触媒、例えばアルカリ金属カルボン酸塩および第四級アンモニウムハライドを使用して、典型的には高温(50〜120℃の範囲の温度が典型的である)で行うことができる。
【0014】
一実施形態において、ポリエステルフィルム中に単一種の加水分解安定剤が使用されるが、好ましい実施形態において、本明細書で定義されるような加水分解安定剤の混合物が使用されてもよく、この場合、加水分解安定剤の総濃度は上記範囲内である。本明細書に記載のグリシジルエステルは、好ましくは、他の加水分解安定剤の非存在下で(すなわち、分岐モノカルボン酸のグリシジルエステルではない加水分解安定剤の非存在下で)、一実施形態においては、上述の理由から、グリシジルエーテル化合物、特にジ−またはポリ−グリシジルエーテル化合物の非存在下で、本発明に従い使用される。一実施形態において、本明細書に記載のポリエステルフィルムは、本質的に、ポリエチレンテレフタレート、および分岐モノカルボン酸のグリシジルエステルから選択される少なくとも1種の加水分解安定剤からなる。本発明の一実施形態において、本発明において使用される加水分解安定剤は、本質的に、分岐モノカルボン酸の少なくとも1種のグリシジルエステルからなる。
一実施形態において、加水分解安定剤は、式(I):
【0015】
【化1】

(I)
(式中、
1およびR2は、アルキルから独立して選択され、好ましくは、R1およびR2の少なくとも一方(一実施形態においては一方のみ)は、メチルから選択され、
3は、水素およびアルキルから、好ましくはアルキルから選択され、
アルキル基R1、R2およびR3中の炭素原子の総数は、3〜48個、好ましくは3〜23個、好ましくは3〜13個、好ましくは6〜10個、好ましくは7〜9個、一実施形態においては8個である)を有する。
一実施形態において、それぞれ式(I)に従い独立して選択される加水分解安定剤の混合物が使用され、一実施形態において、混合物の各成分におけるアルキル基R1、R2およびR3中の炭素原子の総数は同じである。
好ましい実施形態において、R1は、メチルから選択され、R2およびR3は、アルキルから独立して選択され、アルキル基R2およびR3中の炭素原子の総数は、2〜47個、好ましくは2〜22個、好ましくは2〜12個、好ましくは5〜9個、好ましくは6〜8個、一実施形態においては7個である。一実施形態において、これらの好ましい加水分解安定剤の混合物が使用され、好ましくは、混合物の各成分におけるアルキル基R1、R2およびR3中の炭素原子の総数は同じである。
【0016】
本明細書で使用される場合、「アルキル」という用語は、式[−Cn2n+1]の非置換直鎖非環式炭化水素基を指す。
加水分解安定剤、例えば上記式(I)の化合物は、キラリティを示してもよく、この場合加水分解安定剤は、鏡像異性体として、または鏡像異性体の混合物として存在し得る。
一実施形態において、加水分解安定剤は、好ましくは、ASTM D445に従い測定される、20℃で100mPa.s未満、好ましくは50mPa.s未満、好ましくは25mPa.s未満の粘度を有する。
本発明において使用される加水分解安定剤は、高温で、典型的には約160℃から300℃の間でポリエステルと反応し、典型的には290℃で1秒をはるかに下回る急速な反応時間で反応する。加水分解安定剤は、フィルム作製プロセス中の様々な段階で、すなわち以下によって導入され得る。
1.モノマーからのポリエステルの製造中に添加剤を添加する(これは通常、重合プロセスの最後、ペレットへの押出の直前に達成される)。一実施形態において、次いで改質ポリエステルは、所望の値までIVを増加させるために、固体重合によりさらに処理されてもよい。
2.チップを溶融し、溶融物を添加剤と混合し、次いで再び押し出して改質ポリエステルをチップにペレット化することにより、添加剤をポリエステルチップとオフラインで反応させる。
3.フィルム製造プロセスにおいて使用される押出機へのポリマーの導入前または導入中に、添加剤(典型的には添加剤は液体である)をポリマーチップに添加(例えば、押出機のホッパ内で添加剤をポリマーに添加)し、次いでこの混合物を押し出して、添加剤およびポリエステルを押出機(典型的には二軸押出機)内で互いに反応させる。
4.押出プロセスから得られた溶融ポリマーに(すなわち、押出機、典型的には二軸押出機内でポリマーが溶融状態となった時点、および典型的にはポリマーが任意の液化ゾーンを通過した後)、ポリマーがフィルムにキャストされる前に添加剤(典型的には添加剤は液体である)を注入する。
【0017】
一実施形態において、加水分解安定剤は、上記経路(2)、(3)および(4)のうちの1つを介して、好ましくは経路(4)を介して導入される。一実施形態において、最終フィルム中の所望量に対して過剰量の加水分解安定剤を添加することによりマスターバッチが生成されるが、これは、上記プロセス経路(2)において特に実用的である。
【0018】
本発明者らは、プロセス経路(4)を使用して驚くほどに改善された製品性能を観察し、具体的には、この経路により製造されたフィルムは、上記経路(2)とともにマスターバッチ技術を使用して製造されたフィルムに比べ、改善された加水分解安定性を示す。押出プロセスにおけるポリエステルへの加水分解安定剤の比較的遅い添加は、フィルム製造中の熱分解により引き起こされるカルボキシル末端基の増加を最小限化すると考えられる。さらに、例えばマスターバッチ経路に勝る経路(4)の利点は、再生フィルム(すなわち、フィルム製造プロセスからの廃棄フィルム、例えば、典型的には均一幅のフィルムを提供するためにテンター段階後に行われる「エッジトリミング」から得られた廃棄フィルム)をより多く使用することができる点である。再生ポリエステルは、典型的には、純粋ポリエステルチップよりも低い固有粘度および高いカルボキシル末端基濃度を有し、加水分解安定剤の比較的遅い添加が、純粋および再生ポリエステルの両方の安定化を可能とする。改善された加水分解安定性を提供しながらより高いレベルの再生ポリエステルを使用できる能力は、本発明の特異な利点である。
【0019】
一実施形態において、フィルムは、UV吸収剤をさらに含んでもよい。UV吸収剤は、ポリエステルの減衰係数よりはるかに高い減衰係数を有するため、入射UV光のほとんどがポリエステルよりもUV吸収剤に吸収される。UV吸収剤は、一般に、吸収したエネルギーを熱として消散させ、それによりポリマー鎖の分解を回避し、ポリエステルのUV光に対する安定性を改善する。典型的には、UV吸収剤は、有機UV吸収剤であり、好適な例には、Encyclopaedia of Chemical Technology、Kirk−Othmer、第3版、John Wiley&Sons、第23巻、615〜627頁に開示されるものが含まれる。UV吸収剤の具体例は、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール(米国特許第4684679号、米国特許第4812498号および米国特許第4681905号)、ベンズオキサジノン(米国特許第4446262号、米国特許第5251064号および米国特許第5264539号)ならびにトリアジン(米国特許第3244708号、米国特許第3843371号、米国特許第4619956号、米国特許第5288778号および国際公開第94/05645号)を含む。UV吸収剤は、本明細書に記載の方法の1つに従いフィルム中に組み込むことができる。一実施形態において、UV吸収剤は、ポリエステル鎖中に化学的に組み込むことができる。例えば、欧州特許出願公開第0006686号、欧州特許出願公開第0031202号、欧州特許出願公開第0031203号および欧州特許出願公開第0076582号は、ポリエステルへのベンゾフェノンの組込みについて記載している。UV吸収剤に関する上述の文献の具体的な教示は、参照により本明細書に組み込まれる。特に好ましい実施形態において、本発明における改善されたUV安定性は、トリアジンにより、より好ましくはヒドロキシフェニルトリアジンにより、特に式(II):
【0020】
【化2】

(II)
(式中、Rは、水素、C1−C18アルキル、ハロゲンもしくはC1−C12アルコキシで置換されたC2−C6アルキル、またはベンジルであり、R1は、水素またはメチルである)のヒドロキシフェニルトリアジン化合物により提供される。Rは、好ましくは、C1−C12アルキルまたはベンジル、より好ましくはC3−C6アルキル、特にヘキシルである。R1は、好ましくは水素である。特に好ましいUV吸収剤は、Ciba−Additives社からTinuvin(商標)1577FFとして市販されている2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシル)オキシ−フェノールである。
【0021】
UV吸収剤の量は、好ましくは、フィルムの総質量に対して、0.1質量%〜10質量%、より好ましくは0.2質量%〜7質量%、より好ましくは0.6質量%〜4質量%、特に0.8質量%〜2質量%、とりわけ0.9質量%〜1.2質量%の範囲である。
【0022】
フィルムはまた、好ましくは酸化防止剤も含む。ラジカルを捕獲する、または過酸化物を分解することにより機能する酸化防止剤等の、一連の酸化防止剤を使用することができる。好適なラジカル捕獲酸化防止剤は、ヒンダードフェノール、第二級芳香族アミン、およびヒンダードアミン、例えばTinuvin(商標)770(Ciba−Geigy社製)を含む。好適な過酸化物分解酸化防止剤は、三価リン化合物、例えばホスホナイト、ホスファイト(例えば、トリフェニルホスフェートおよびトリアルキルホスファイト)ならびにチオ共力剤(例えば、チオジプロピオン酸ジラウリル等のチオジプロピオン酸のエステル)を含む。ヒンダードフェノール酸化防止剤が好ましい。特に好ましいヒンダードフェノールは、Irganox(商標)1010(Ciba−Geigy社製)として市販されているテトラキス−(メチレン3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニルプロピオネート)メタンである。他の好適な市販のヒンダードフェノールは、Irganox(商標)1035、1076、1098および1330(Ciba−Geigy社製)、Santanox(商標)R(Monsanto社製)、Cyanox(商標)酸化防止剤(American Cyanamid社製)ならびにGoodrite(商標)酸化防止剤(BF Goodrich社製)を含む。ポリエステルフィルム中に存在する酸化防止剤の濃度は、好ましくは、ポリエステルの50ppm〜5000ppmの範囲、より好ましくは300ppm〜1500ppmの範囲、特に400ppm〜1200ppmの範囲、とりわけ450ppm〜600ppmの範囲である。2種以上の酸化防止剤の混合物が使用されてもよく、この場合、その総濃度は、好ましくは上記範囲内である。ポリエステルへの酸化防止剤の組込みは、従来技術により、好ましくは、特に重縮合前の直接エステル化またはエステル交換反応の最後に、ポリエステルが得られる元のモノマー反応物質と混合することにより達成され得る。
【0023】
フィルムは、さらに、ポリエステルフィルムの製造において従来的に使用される任意の他の添加剤をさらに含んでもよい。したがって、架橋剤、染料、増量剤、顔料、空隙形成剤、潤滑剤、ラジカル捕捉剤、熱安定剤、難燃剤および阻害剤、ブロッキング防止剤、表面活性剤、スリップ助剤、光沢向上剤、分解促進剤、粘度調整剤および分散安定剤等の薬剤を、適宜組み込むことができる。そのような成分は、従来の様式でポリマー中に導入することができる。例えば、そのような成分は、フィルム形成ポリマーが得られる元のモノマー反応物質と混合することにより導入することができ、または、成分は、回転もしくは乾式混合または押出機内での配合によりポリマーと混合されてもよく、続いて冷却および通常は顆粒もしくはチップへ粉砕されてもよい。マスターバッチ技術もまた使用され得る。
【0024】
フィルムは、特に、製造中の取扱いおよび巻取り性を改善することができ、また光学的特性を調節するために使用され得る、微粒子増量剤を含んでもよい。微粒子増量剤は、例えば、微粒子無機増量剤(例えば、アルミナ、チタニア、タルクおよびシリカ(特に沈降または珪藻シリカおよびシリカゲル)等の金属または半金属酸化物、焼成陶土、ならびにカルシウムおよびバリウムの炭酸塩および硫酸塩等のアルカリ金属塩)であってもよい。存在する任意の無機増量剤は、微粉化されている必要があり、その体積分布中央粒径(体積%を粒子の直径に相関させた累積分布曲線上で読み取られる、全粒子の体積の50%に相当する等価球径であり、しばしば「D(v,0.5)」値と呼ばれる)は、好ましくは0.01〜5μm、より好ましくは0.05〜1.5μm、特に0.15〜1.2μmの範囲である。好ましくは、無機増量剤粒子の少なくとも90体積%、より好ましくは少なくとも95体積%が、体積分布中央粒径±0.8μm、特に±0.5μmの範囲内である。増量剤粒子の粒径は、電子顕微鏡、コールターカウンタ、沈降分析および静的または動的光散乱により測定され得る。レーザ光回折に基づく技術が好ましい。中央粒径は、選択された粒径未満の粒子体積のパーセンテージを表す累積分布曲線をプロットし、50パーセント目を測定することにより決定され得る。
【0025】
ポリエステルフィルムの形成は、当技術分野において周知の従来の押出技術により達成され得る。一般的に、プロセスは、溶融ポリマーの層を、約280℃〜約300℃の範囲内の温度で押し出すステップと、押出物を急冷するステップと、急冷された押出物を配向させるステップとを含む。配向は、配向フィルムを生成するための技術分野において知られた任意のプロセス、例えば管状またはフラットフィルムプロセスにより達成され得る。二軸配向は、機械的および物理的特性の満足できる組合せを達成するために、フィルム面内の互いに垂直な2方向に延伸することにより達成される。管状プロセスにおいては、熱可塑性ポリエステル管を押し出し、続いてこのポリエステル管を急冷し、再び加熱し、次いで内部ガス圧により膨張させて横方向の配向をもたらし、縦方向の配向をもたらす速度で引き出すことにより、同時二軸配向が達成され得る。好ましいフラットフィルムプロセスにおいては、フィルム形成ポリエステルは、スロットダイを通して押し出され、ポリエステルが確実に非晶質状態に急冷されるように冷却キャスティングドラム上で迅速に急冷される。次いで、急冷された押出物を、ポリエステルのガラス転移温度を超える温度で、少なくとも1方向に延伸することにより、配向が達成される。逐次的な配向は、平坦な急冷された押出物を、まず1方向に、通常は縦方向、すなわちフィルム延伸機を通る順方向に延伸し、次いで横方向に延伸することにより達成され得る。押出物の順方向の延伸は、1組の回転ロール上で、または2対のニップロールの間で都合よく達成され、次いで、横方向の延伸は、テンター装置において達成される。延伸は、一般に、延伸の1方向または各方向において、配向フィルムの寸法がその元の寸法の2〜5倍、より好ましくは2.5〜4.5倍となるように達成される。典型的には、延伸は、ポリエステルのTgより高い温度で、好ましくはTgよりも約15℃高い温度で達成される。1方向のみの配向が必要である場合、より大きな延伸比(例えば、最大約8倍)が使用されてもよい。流れ方向および横方向に等しく延伸する必要はないが、バランスのとれた性質が所望される場合には、そのような延伸が好ましい。
【0026】
延伸フィルムは、ポリエステルの所望の結晶化を誘導するために、ポリエステルのガラス転移温度を超えるがその融点を下回る温度で、寸法支持下で熱硬化することにより寸法安定化されてもよく、またそれが好ましい。熱硬化中、「トーイン」として知られる手順により、横方向(TD)において若干の寸法緩和が行われてもよい。トーインは、2〜4%程度の寸法収縮を伴い得るが、プロセスまたは流れ方向(MD)における類似の寸法緩和は、低い線張力が必要とされ、フィルム制御および巻取りが問題となるために困難である。実際の熱硬化温度および時間は、フィルムの組成およびその所望の最終熱収縮に依存して変動するが、引裂き抵抗等のフィルムの強靭性を実質的に劣化させるように選択されるべきではない。これらの制約内では、約180〜245℃の熱硬化温度が一般に望ましい。一実施形態において、熱硬化温度は、約200℃〜約225℃の範囲内であり、これにより、加水分解安定性における予想外の改善が提供される。熱硬化後、フィルムは、典型的には、ポリエステルの所望の結晶性を誘導するために迅速に急冷される。
【0027】
一実施形態において、フィルムは、さらに、オンライン緩和段階の使用により安定化されてもよい。あるいは、緩和処理は、オフラインで行われてもよい。この追加的なステップにおいて、フィルムは、熱硬化段階の温度よりも低い温度で、またはるかに低いMDおよびTD張力下で加熱される。フィルムが受ける張力は、低張力であり、典型的には5kg/m(フィルム幅)未満、好ましくは3.5kg/m未満、より好ましくは1〜約2.5kg/mの範囲、典型的には1.5〜2kg/mの範囲である。フィルム速度を制御する緩和プロセスにおいて、フィルム速度の低下(ひいては歪み緩和)は、典型的には0〜2.5%、好ましくは0.5〜2.0%の範囲である。熱安定化ステップ中、フィルムの横寸法は増加しない。熱安定化ステップに使用される温度は、最終フィルムの所望の特性の組合せに依存して変動し得るが、温度が高い程、残留収縮特性はより良好、すなわちより低い。135〜250℃の温度が概して望ましく、150〜230℃が好ましく、170〜200℃がより好ましい。加熱期間は、使用される温度に依存するが、典型的には、10〜40秒の範囲であり、20〜30秒の期間が好ましい。この熱安定化プロセスは、平坦および垂直型の構成を含む様々な方法により、別個のプロセスステップとして「オフライン」で、またはフィルム製造プロセスと連続して「インライン」で行うことができる。このように処理されたフィルムは、そのような熱硬化後緩和なしに生成されるフィルムよりも小さい熱収縮を示す。
ポリエステルフィルムの厚さは、好ましくは約5μm〜約500μmの範囲、より好ましくは約250μm以下、典型的には約37μmから150μmの間である。
【0028】
好ましい実施形態において、フィルムは不透明であり、そのようなフィルムは、特にPV電池の裏面として役立つ。不透明フィルムは、好ましくは、少なくとも0.4、好ましくは少なくとも0.5、好ましくは少なくとも0.6、好ましくは少なくとも0.7、好ましくは少なくとも1.0、好ましくは少なくとも1.5の透過光学密度(TOD)を示し、一実施形態において、好ましくは少なくとも2.0、好ましくは少なくとも3.0、好ましくは少なくとも4.0の透過光学密度(TOD)を示す。不透明フィルムは、所望により染色されてもよく、本発明の一実施形態において、本発明のフィルムは、白色、灰色、または黒色である。当技術分野において知られているように、任意の好適な不透明化剤および/または白色化剤を使用することができる。
【0029】
好ましい実施形態において、フィルムは白色であり、これは、フィルム中に効果的な量の白色化剤を組み込むことにより達成され得る。好適な白色化剤は、本明細書で上述されたもの等の微粒子無機増量剤、非相溶性樹脂増量剤、またはそのような増量剤の2種以上の混合物を含む。好ましくは、白色化剤は、微粒子無機増量剤、好ましくは二酸化チタンおよび/または硫酸バリウムであり、好ましい実施形態において、増量剤は、硫酸バリウム単体である。フィルム中に組み込まれる無機増量剤の量は、典型的には、層内のポリエステルの質量を基準として、5質量%〜30質量%、好ましくは10質量%〜25質量%の範囲である。白色フィルムは、好ましくは、本明細書に記載のように測定される、約80単位〜約120単位の範囲の白色度を示す。白色フィルムは、典型的には、0.4〜1.75の範囲、好ましくは少なくとも0.5、好ましくは少なくとも0.6、好ましくは少なくとも0.7のTODを示す。
代替の実施形態において、フィルムは、灰色または黒色であり、典型的には、少なくとも2.0、より典型的には少なくとも3.0、より典型的には少なくとも4.0のTODを示し、これは、当技術分野において知られているように、フィルム中に効果的な量の不透明化剤、例えばカーボンブラックまたはアルミニウム粉末等の金属増量剤を組み込むことにより達成され得る。カーボンブラックが好ましい不透明化剤である。典型的には、そのようなフィルムは、ポリエステルの質量を基準として、約0.3質量%〜約10質量%、好ましくは0.5質量%〜7質量%、特に1質量%〜5質量%、とりわけ2質量%〜4質量%の範囲の不透明化剤を含む。不透明化剤は、好適には、0.01〜1.5μm、特に0.02〜0.05μmの範囲の平均粒径を有する。そのような不透明フィルムは、白色化剤もまた含有してもよい。
【0030】
代替の実施形態において、ポリエステルフィルムは光学的に透明であり、好ましくは、散乱可視光のパーセント(ヘーズ)が15%以下、好ましくは10%以下、好ましくは6%以下、より好ましくは3.5%以下、特に1.5%以下であり、および/または、可視領域(400nm〜700nm)光の全視感透過率(TLT)が少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも約90%である。この実施形態において、フィルム中の任意の増量剤は、典型的には、少量のみで、一般には層の0.5質量%以下、好ましくは0.2質量%未満で存在し、増量剤は、典型的には、シリカおよびタルクから選択され、好ましくはシリカである。この実施形態において、フィルムの巻取り性(すなわち、フィルムがロールに巻き取られる際にブロッキングまたは粘着が生じないこと)が、ヘーズまたは他の光学的特性の許容できない低下を伴わずに改善される。
【0031】
ポリエステルフィルムの固有粘度は、好ましくは少なくとも0.65、好ましくは少なくとも0.7であり、一実施形態において、約0.65〜約0.75の範囲である。比較的高い固有粘度を有するポリエステルフィルムの使用は、改善された加水分解安定性を提供する。
一実施形態において、ポリエステルフィルムのポリエステルは、(A)℃の温度で吸熱高温ピークを、(B)℃の温度で吸熱低温ピークを示し、ピークは両方とも、示差走査熱量測定(DSC)により測定され、(A−B)の値は、15℃〜50℃の範囲、好ましくは15℃〜45℃の範囲、より好ましくは15℃〜40℃の範囲、一実施形態においては20℃〜40℃の範囲であり、この特性は、本明細書に開示されるように、使用されている特定のポリエステルの熱硬化温度の制御により達成され得る。本明細書に開示される範囲内の(A−B)値を示すことの利点は、加水分解安定性の驚くべき改善が得られることである。
ポリエステルフィルムは、好ましくは、特にフィルムの、とりわけ二軸配向フィルムの流れ方向(縦寸法)において、150℃で30分にわたり好ましくは3%未満、好ましくは2%未満、好ましくは1.5%未満、好ましくは1.0%未満の低い収縮率を示し、好ましくは、そのような低い収縮率値は、フィルムの両方の寸法(すなわち縦および横寸法)において示される。
【0032】
改善された耐加水分解性だけでなく、本発明のポリエステルフィルムは、従来技術のフィルム、特にエポキシ化脂肪酸グリセリドを含む加水分解安定剤を含有するフィルムに比べ、フィルムの均一性および品質において驚くべき改善を示す。特に、本発明のフィルムは、フィルムウェブの欠陥または破壊を伴わずに、より少ない形状欠陥および/またはダイライン、改善された厚さの均一性およびフィルムウェブを通した光透過、ならびに改善された処理可能性を示す。
一実施形態において、本明細書で上述されたフィルムは、複合構造を形成するために、例えば追加的な機械的強度または電気絶縁性を提供するために、その一方または両方の表面上に配置された1つまたは複数の追加的な層を有してもよい。そのような複合構造の形成は、マルチオリフィスダイの独立したオリフィスからの各フィルム形成層の同時共押出、およびその後のまだ溶融している層の一体化によって、または、好ましくは、各ポリマーの溶融ストリームがまずダイマニフォルドに通じるチャネル内で一体化され、その後混合することなく層流条件下でダイオリフィスから共に押し出される単一チャネル共押出によって、共押出により達成されてもよく、それによって本明細書で上述されたように配向および熱硬化されてもよい多層フィルムが生成される。多層フィルムの他の形成方法は、2つ以上の予形成層のラミネーション、および基層の一方または両方の表面上へのフィルム形成層のコーティングを含む。コーティングは、グラビアロールコーティング、リバースロールコーティング、ディップコーティング、ビードコーティング、押出コーティング、溶融コーティングまたは静電スプレーコーティングを含む、任意の好適なコーティング技術を使用して達成され得る。任意のコーティングステップは、好ましくは有機溶媒の使用を回避し、好ましくは「インライン」で行われ、すなわち、コーティングステップは、フィルム製造中、および用いられる任意の延伸操作前、操作中、および操作間で行われる。
【0033】
任意の追加的な層は、好ましくは、本明細書で上述されたジカルボン酸およびジオールから得られるポリエステル、好ましくはPETまたはPET系ポリエステルから選択される。任意の追加的な層は、上述の添加剤のいずれか、特に、加水分解安定剤、UV吸収剤、酸化防止剤および微粒子無機増量剤から独立して選択される1種または複数種の添加剤を含んでもよく、任意の追加的な層中の添加剤は、本明細書で上述された本発明のフィルム中の任意のそのような添加剤と同じまたは異なっていてもよく、前記添加剤、特に加水分解安定剤は、本明細書で上述されたものと同じまたは異なっていてもよい。追加的な層は、好ましくは約50μm〜約500μmの範囲、より好ましくは約250μm以下、典型的には約100μmから250μmの間、好ましくは約100μmから150μmの間の厚さを有する。
本発明の一実施形態において、本明細書で上述されたフィルムは、その第1の表面上に追加的なポリマー層を配置され、好ましくは前記フィルムの第2の表面上に任意のさらなる層を有さない。この実施形態において、本発明のフィルムは、好ましくは、不透明または白色フィルムであり、追加的なポリマー層は、好ましくは透明であり、約50%以下、典型的には約35%以下、一実施形態においては約15%以下のヘーズを有する。本発明のこの実施形態によるフィルムは、特にPV電池の裏面として役立つ。
【0034】
本発明のフィルムは、加水分解安定性が重要となる任意の環境、例えば高湿度条件および高温下、ならびに屋外用途における使用に意図および適合され、ここで特に興味深いのは、光(PV)電池である。PV電池は、典型的には前面、電極層、光電池活性層、および裏面を備える多層アセンブリである。活性光吸収層が入射光の吸収により励起される染料を含むる、色素増感PV電池が特に興味深い。本発明のフィルムは、PV電池の前面または裏面として、特に裏面として、またはその中に存在する層として特に役立つ。
本発明のさらなる態様によれば、前面、電極層、光電池活性層、および裏面を備える光電池であって、前面および/または裏面は、本発明のフィルムを備え、特に、少なくとも裏面が本発明のフィルムを備える光電池が提供される。
【0035】
本発明のさらなる態様によれば、前面(可撓性ポリマー前面またはガラス前面であってもよい)、電極層、光電池活性層、および裏面を備える光電池であって、典型的には、電極層および光電池活性層は、当技術分野において知られているような好適な封入材(エチレンビニルアセテート(EVA)樹脂マトリックス等)中に封入され、裏面は、本発明のフィルムを備え、好ましくは、前記フィルムは、不透明または白色フィルムであり、好ましくは、前記フィルムは、その第1の表面上に追加的なポリマー層を配置され、好ましくは前記フィルムの第2の表面上に任意のさらなる層を有さず、追加的なポリマー層は、好ましくは透明であり、約50%以下、典型的には約35%以下、一実施形態においては約15%以下のヘーズを有する、光電池が提供される。そのようなPV電池において、本発明のフィルムは、多層アセンブリにおいて最も外側にあり、典型的には、大気中に露出しており、前記追加的なポリマー層は、例えばEVA等の好適な接着剤を使用して光電池活性層にラミネートされている。
【0036】
本発明のさらなる態様によれば、本明細書で定義されるようなポリエチレンテレフタレートを含む二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法であって、
(i)ポリエチレンテレフタレートと、分岐モノカルボン酸のグリシジルエステルから選択される加水分解安定剤とを含む、溶融ポリマーの層を押し出すステップであって、好ましくは、押出温度は、約280℃〜約300℃の範囲(より好ましくは約285℃〜約290℃の範囲)であり、モノカルボン酸は、5〜50個の炭素原子を有し、加水分解安定剤は、前記ポリエステルの末端基の少なくともいくつかとの反応生成物の形態で押出物中に存在する、ステップと、
(ii)押出物を急冷するステップと、
(iii)急冷された押出物を、互いに垂直な方向に延伸するステップと、
(iv)好ましくは約200℃〜約225℃の範囲内の温度で、フィルムを熱硬化するステップと
を含む方法が提供される。
本発明のさらなる態様によれば、光電池内の裏面としての、本明細書で定義されるようなフィルムまたは複合構造の使用が提供される。
【0037】
特性測定
以下の分析を使用して、本明細書に記載のフィルムを特性決定した。
(i)標準試験法ASTM D1003に従い、M57D球形透過率計(Diffusion Systems社製)を使用して、フィルム全厚を通した全視感透過率(TLT)およびヘーズ(散乱透過可視光の%)を測定することにより、透明度を評価した。
(ii)Macbeth Densitometer TR927(Dent and Woods Ltd、Basingstoke、UKから入手)を透過モードで使用して、透過光学密度(TOD)を測定した。
(iii)Colorgard System 2000、Model/45(Pacific Scientific社製)およびASTM D313の原理を使用して、白色度を測定した。
(iv)Viscotek(商標)Y−501C Relative ViscometerでのASTM D5225−98(2003)に従う溶液粘度測定法により(例えば、Hitchcock、HammonsおよびYau、American Laboratory(1994年8月)「The dual−capillary method for modern−day viscometry」を参照されたい)、25℃の0.5質量%のo−クロロフェノール中ポリエステル溶液を用いて、および固有粘度の計算にBillmeyerの一点法を用いて、固有粘度(dL/gの単位)を測定した。
η=0.25ηred+0.75(lnηrel)/c
式中、
η=固有粘度(dL/g)、
ηrel=相対粘度、
c=濃度(g/dL)、および
ηred=(ηrel−1)/c(ηsp/c(式中、ηspは比粘度である)とも表現される)と等価である還元粘度(dL/g)
である。
(v)オートクレーブ試験における促進エージングにより、フィルムの耐加水分解性を評価した。フィルムの試料を10mm幅のストリップに切断し、121℃および1.2バールの圧力で作動しているオートクレーブ内に設置する。次いで、ポリマーのエージングに関連する特性を、様々な時間間隔で測定した。具体的には、ポリエステルの引張強度(脆性)を、ポリマーの破断伸び(ETB)として測定した。エージングされていないフィルムは、典型的には100%を超えるETB値を示す。一般に、ETBが10%未満に低下する時まで、フィルムはその最終用途において効果を維持する。本発明の好ましいフィルムは、本明細書に記載の促進エージング試験において、121℃および1.2バールの圧力で少なくとも56時間後、好ましくは少なくとも60時間後、好ましくは少なくとも64時間後、好ましくは少なくとも68時間後、好ましくは少なくとも76時間後、より好ましくは少なくとも84時間後に、少なくとも10%のETBを示す。
(vi)試験法ASTM D882に従い、破断伸びを測定する。直線刃および較正後の試料カッター(10mm±0.5mm)を使用して、フィルムの5つのストリップ(長さ100mm)を流れ方向に沿って切断する。各試料を、空気圧作動グリップおよびゴム製ジョー面を用い、Instronモデル3111材料試験機を使用して試験する。温度(23℃)および相対湿度(50%)を制御する。クロスヘッド速度(分離速度)は25mm.min-1である。歪み速度は50%である。これは、分離速度をグリップ間の初期間隔(試料長さ)で除すことにより計算される。機器は、各試料の破断伸びを記録する。破断伸び(εB(%))は、以下のように定義される。
εB(%)=(破断時の伸長/L0)×100
式中、L0は、グリップ間の試料の元の長さである。
(vii)ISO4892−2に従い、耐候性に関してポリエステルフィルムを試験した。
(viii)フィルムの流れ方向および横方向に対して特定の方向に切断し、目測用にマークした200mm×10mmの寸法のフィルム試料に対し、熱収縮を評価した。試料の長い方の寸法(すなわち、200mmの寸法)は、収縮が試験されているフィルム方向に対応し、すなわち、流れ方向における収縮の評価において、試験試料の200mmの寸法は、フィルムの流れ方向に沿って配向している。150℃の所定温度に検体を加熱し(その温度に加熱された炉内に設置することにより)、30分間保持した後、室温に冷却し、その寸法を手作業で再び測定した。熱収縮を計算し、元の長さのパーセンテージとして表した。
(ix)Perkin Elmer DSC7機器を使用して、示差走査熱量計(DSC)走査を行った。5mgの質量のポリエステルフィルム試料を、標準Perkin Elmer社製アルミニウムDSCるつぼ内に封入した。フィルムおよびるつぼを平坦に圧縮して、加熱中の配向の緩和の効果を最小限化するためにフィルムを確実に部分的に拘束した。検体を機器の試料ホルダ内に設置し、毎分80℃で30℃から300℃に加熱し、関連するトレースを記録した。乾燥不活性パージガス(窒素)を使用した。DSC機器の温度および熱流量軸を、実験条件、すなわち加熱速度およびガス流速に対して完全に較正した。ピーク温度、すなわち吸熱高温ピーク(A)および吸熱低温ピーク(B)の値は、各吸熱溶融プロセスの開始から各吸熱溶融プロセスの終了まで引いたベースラインより上の最大変位として記録した。ピーク温度測定値は、Perkin Elmerソフトウェア内の標準分析手順を使用して得た。測定の精度および確度は、±2℃であった。模範的プロットを図1に示す。
【0038】
本発明は、図1の、本発明によるポリエステルフィルムに対する典型的DSC走査(熱流量対温度)を参照することにより例示される。図1中、(A)でマークされたピークは、250℃の値を有する吸熱高温ピークであり、(B)でマークされたピークは、220℃の値を有する吸熱低温ピークであり、したがって(A−B)の値は、(250−220)=30℃である。
本発明は、以下の実施例によりさらに例示される。実施例は、上述のように本発明を制限することを意図しない。本発明の範囲から逸脱せずに、詳細の変更を行うことができる。
【実施例】
【0039】
対照1および2、実施例1〜12
ポリエステルの質量を基準として18質量%のBaSO4を含有するPETチップ(IVは0.81)に、加水分解安定剤としてCardura(商標)E10P(Hexion Specialty Chemicals社製、Ohio、US)を量り入れることにより、マスターバッチを調製した。次いで混合物を加熱し、押し出し、再ペレット化した。マスターバッチ中の加水分解安定剤の濃度は、組成物の総質量に対して5.8質量%であった。次いで、以下の表1に示されるような様々な量(示される量は、フィルムの総質量に対する加水分解安定剤の質量%である)の加水分解安定剤を含む最終フィルムを提供するために、所定の希釈率で、(除湿のために真空下で)二軸押出機のホッパ内でマスターバッチをPETチップ(同じく18質量%のBaSO4を含有する)に添加した。混合物を285℃で溶融押し出し、冷却された回転ドラム上にキャストし、86℃の温度でその元の寸法の約2.9倍まで押出方向に延伸した。次いで、冷却された延伸フィルムを、110℃の温度のテンター炉内に通過させ、そこでフィルムを乾燥させ、その元の寸法の約3.4倍に横方向に延伸した。二軸延伸フィルムを220℃または235℃の温度で熱硬化した。得られた白色フィルムの最終厚は50μmであった。フィルムの耐加水分解性を、本明細書で定義されるように、促進エージング前後の破断伸びを測定することにより評価した。最終フィルム中の加水分解安定剤の量は、1H NMR(溶媒としてD2−1,1,2,2−テトラクロロエタン、GSX−Delta400機器、80℃)により測定した。
【0040】
【表1】

結果は、Cardura(商標)E10P添加剤が、促進エージング試験において、フィルムの耐加水分解性を明らかに改善することを実証している。結果はまた、比較的低い熱硬化温度が、驚くほど優れた長期加水分解安定性を提供することを実証している。
【0041】
対照3〜8および実施例13〜22
第2の組のポリエステルフィルムを調製したが、ただし、フィルムライン押出機上のホッパ内で、PETチップ(上述のように18%のBaSO4を含有する)にCardura(商標)E10P添加剤を量り入れることにより添加した。次いで、PETチップおよび添加剤の混合物を、実施例1で上述したようにフィルム化した。以下の表2に示されるように、PETのIV(従来の固体重合によりIVがより高いポリマーが得られた)、熱硬化温度、および加水分解安定剤添加剤の量を変更することにより、対照3〜8および実施例13〜22を生成した。実施例15および21は、最終フィルムの総質量に対し1.0質量%のUV吸収剤(Tinuvin(商標)1577FF(2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル−)−5−((ヘキシル)オキシル−フェノール)、Ciba Specialty Chemicals社製)を含有していた。各場合における白色フィルムの最終厚は50μmであった。フィルムの耐加水分解性を、本明細書で定義されるように、促進エージング前後の破断伸びを測定することにより評価した。最終フィルム中の加水分解安定剤の量は、上述のように1H NMRにより測定した。
以下の表2中の結果は、フィルム押出機のホッパ内でポリエステルと混合された場合、加水分解安定剤は効果を維持することを実証している。結果はまた、ポリエステルのIVの増加に伴い加水分解安定性が改善されることを実証している。
【0042】
【表2】

対照9および実施例23〜27
第3の組のポリエステルフィルムを調製したが、ただし、フィルムライン押出機内のポリエステル溶融ストリーム中に、すなわちポリエステルが溶融状態となった時点で、Cardura(商標)E10P添加剤を直接量り入れることにより添加した。次いで、PETチップ(18%BaSO4、IV=0.81)および添加剤の混合物を、実施例1で上述したようにフィルム化した。以下の表3に示されるように、押出機への添加剤の添加速度を変更することにより、対照9および実施例23〜27を生成した。各場合における最終フィルム厚は50μmであった。フィルムの耐加水分解性を、本明細書で定義されるように、促進エージング前後の破断伸びを測定することにより評価した。最終フィルム中の加水分解安定剤の量は、上述のように1H NMRにより測定した。
以下の表3中の結果は、フィルム押出機内で溶融ポリエステルに添加された場合、加水分解安定剤が効果を維持することを実証している。この製造方法は、押出機の真空システムによる添加剤の除去を最小限化または回避するため、特に魅力的である。結果はまた、添加剤の最適レベルが存在することを実証しており、それを超えると特性の劣化が観察される。
上述の本発明による実施例の全てにおいて、フィルム均一性およびフィルム品質は優れており、ダイラインまたは形状欠陥のレベルが非常に低く、フィルムダイ周囲で臭気が検出されず、全てのフィルムが良好な処理可能性を示した。
【0043】
【表3】

実施例28および比較例1
従来技術のフィルムに対して、本発明のフィルムの加水分解安定性を並列比較するために、実施例13〜22に記載のプロセス経路に従い全く同じ条件下で(すなわち、フィルムライン押出機上のホッパ内でPETチップに加水分解安定剤を量り入れた)、2枚のフィルムの組を作製した。したがって、実施例28は、Cardura(商標)E10Pを含むフィルムであり、比較例1は、米国特許第7229697号に開示の加水分解安定剤、すなわちエポキシ化大豆油(Edenol(登録商標)D81)を含むフィルムであった。各場合において、PETチップは、0.81のIVを有し、18%のBaSO4を含有し、最終フィルム中の添加剤の濃度は、NMRにより測定すると1.0wt%であった。各フィルムの加水分解安定性は、本明細書に記載の促進エージング試験において測定し、実施例28は、予想外の優れた加水分解安定性を示した。したがって、実施例28のETBは、96時間から100時間の間で10%未満に低減され、一方比較例1のETBは、72時間から76時間の間で10%未満に低減された。さらに、実施例28のフィルムは、良好な品質のフィルムであり、良好な均一性を有し、認め得る程の形状欠陥を有さなかったが、比較例1は、低品質のフィルムであり、低いフィルム均一性を示し、ダイラインおよび著しい形状欠陥を有していた。
【0044】
比較例2
最終フィルム中0.5mol%の添加剤を提供するのに十分な加水分解安定剤としてエポキシ化亜麻仁油(Edenol(登録商標)B316)を使用して、比較例1を繰り返した。しかしながら、添加剤は、溶融押出物に深刻な問題をもたらし、ダイにおける溶融物は比較的柔らかく、粘着ならびに低い成形性およびフィルムウェブの保持に起因して、フィルムを作製することができなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエチレンテレフタレート(PET)と、分岐モノカルボン酸のグリシジルエステルから選択される少なくとも1種の加水分解安定剤とを含む、二軸配向ポリエステルフィルムであって、モノカルボン酸は、5〜50個の炭素原子を有し、前記加水分解安定剤は、前記ポリエステルの末端基の少なくともいくつかとの反応生成物の形態でフィルム中に存在する、二軸配向ポリエステルフィルム。
【請求項2】
ポリエステルフィルム中のポリエステルの固有粘度が、少なくとも約0.65、好ましくは少なくとも0.7、好ましくは少なくとも0.8である、請求項1に記載のポリエステルフィルム。
【請求項3】
加水分解安定剤が、層の総質量に対し、0.1%〜2.0%の範囲の量で存在する、請求項1または2に記載のポリエステルフィルム。
【請求項4】
ポリエステルフィルム中の加水分解安定剤が、本質的に、分岐モノカルボン酸の少なくとも1種のグリシジルエステルからなる、請求項1から3のいずれか1項に記載のポリエステルフィルム。
【請求項5】
前記分岐モノカルボン酸が、5〜15個の炭素原子を有し、および/または、前記分岐モノカルボン酸が、飽和しており、および/または、前記分岐モノカルボン酸が、合成材料である、請求項1から4のいずれか1項に記載のポリエステルフィルム。
【請求項6】
前記加水分解安定剤が、エピクロルヒドリンと前記分岐モノカルボン酸との反応により製造される、請求項1から5のいずれか1項に記載のポリエステルフィルム。
【請求項7】
前記加水分解安定剤が、式(I):
【化1】

(I)
(式中、
1およびR2は、アルキルから独立して選択され、好ましくは、R1およびR2の少なくとも一方(一実施形態においては一方のみ)は、メチルから選択され、
3は、水素およびアルキルから、好ましくはアルキルから選択され、
アルキル基R1、R2およびR3中の炭素原子の総数は、3〜48個、好ましくは3〜13個である)を有する、請求項1から6のいずれか1項に記載のポリエステルフィルム。
【請求項8】
1が、メチルから選択され、R2およびR3が、アルキルから独立して選択され、アルキル基R2およびR3中の炭素原子の総数が、7個である、請求項1から7のいずれか1項に記載のポリエステルフィルム。
【請求項9】
ポリマーがフィルムにキャストされる前に溶融ポリマーに添加剤を注入することにより、前記加水分解安定剤をポリエステルと反応させる、請求項1から8のいずれか1項に記載のポリエステルフィルム。
【請求項10】
ポリエステルフィルムが、UV吸収剤、好ましくは有機UV吸収剤、好ましくはベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、ベンズオキサジノンおよびトリアジンから、好ましくはトリアジンから選択される有機UV吸収剤をさらに含む、請求項1から9のいずれか1項に記載のポリエステルフィルム。
【請求項11】
UV吸収剤の量が、層の総質量に対し、0.1質量%〜10質量%の範囲である、請求項1から10のいずれか1項に記載のポリエステルフィルム。
【請求項12】
約200℃〜約225℃の範囲内の温度で熱硬化させることにより安定化されている、請求項1から11のいずれか1項に記載のポリエステルフィルム。
【請求項13】
ポリエステルフィルムのポリエステルが、(A)℃の温度で吸熱高温ピークを、(B)℃の温度で吸熱低温ピークを示し、ピークは両方とも、示差走査熱量測定(DSC)により測定され、(A−B)の値は、15℃〜50℃の範囲である、請求項1から12のいずれか1項に記載のポリエステルフィルム。
【請求項14】
121℃および1.2バールの圧力でエージングした場合、少なくとも56時間後、好ましくは少なくとも60時間後、好ましくは少なくとも64時間後、好ましくは少なくとも68時間後、より好ましくは少なくとも84時間後に少なくとも10%の、ASTM D882に従い測定される破断伸びを示す、請求項1から13のいずれか1項に記載のポリエステルフィルム。
【請求項15】
白色である、請求項1から14のいずれか1項に記載のポリエステルフィルム。
【請求項16】
酸化防止剤をさらに含む、請求項1から15のいずれか1項に記載のポリエステルフィルム。
【請求項17】
その第1の表面上に追加的なポリマー層を配置され、前記追加的なポリマー層は、加水分解安定剤、UV吸収剤、酸化防止剤および微粒子無機増量剤から独立して選択される1種または複数種の添加剤を含んでいてもよいポリエステル層であり、好ましくは、第2の層が約50%以下のヘーズを示す、請求項1から16のいずれか1項に記載のポリエステルフィルム。
【請求項18】
光電池内の層としての、請求項1から17のいずれか1項に記載のポリエステルフィルムの使用であって、前記光電池は、典型的には、前面、電極層、光電池活性層、および裏面を備え、特に、前記裏面は、前記ポリエステルフィルムを備える、使用。
【請求項19】
前面、電極層、光電池活性層、および裏面を備える光電池であって、前面および/または裏面は、請求項1から17のいずれか1項に記載のフィルムを備える、光電池。
【請求項20】
前記電極層および光電池活性層が、好適な封入材中に封入され、裏面が、請求項1から17のいずれか1項に記載のフィルムを備える、請求項19に記載の光電池。
【請求項21】
前記フィルムが、不透明または白色フィルムであり、前記フィルムが、その第1の表面上に追加的なポリマー層を配置され、前記追加的な層が、約50%以下のヘーズを示し、前記フィルムが、多層アセンブリにおいて最も外側にある、請求項20に記載の光電池。
【請求項22】
本明細書に記載のようなポリエチレンテレフタレートを含む二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法であって、
(i)ポリエチレンテレフタレートと、分岐モノカルボン酸のグリシジルエステルから選択される少なくとも1種の加水分解安定剤とを含む、溶融ポリマーの層を押し出すステップであって、モノカルボン酸は、5〜50個の炭素原子を有し、前記加水分解安定剤は、前記ポリエステルの末端基の少なくともいくつかとの反応生成物の形態で押出物中に存在する、ステップと、
(ii)押出物を急冷するステップと、
(iii)急冷された押出物を、互いに垂直な2方向に延伸するステップと、
(iv)好ましくは約200℃〜約225℃の範囲内の温度で、フィルムを熱硬化するステップと
を含む方法。
【請求項23】
エピクロルヒドリンと前記分岐モノカルボン酸との反応により、前記加水分解安定剤を製造するさらなるステップを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記層を押し出すステップの前に溶融ポリマー中に添加剤を注入することにより、加水分解安定剤をポリエステルと反応させる、請求項22または23に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2013−503958(P2013−503958A)
【公表日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−528444(P2012−528444)
【出願日】平成22年9月8日(2010.9.8)
【国際出願番号】PCT/GB2010/001698
【国際公開番号】WO2011/030098
【国際公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(300038826)デュポン テイジン フィルムズ ユー.エス.リミテッド パートナーシップ (36)
【Fターム(参考)】