説明

耐化学性、流動性及び耐変色性にすぐれる透明共重合体樹脂の製造方法及びその共重合体樹脂

スチレン系単量体、アクリレート系単量体及びアクリロニトリル系単量体を含む混合物に、フェノール系及びホスフェート系酸化防止剤、分子量調節剤、及び有機過酸化物開始剤を必須成分として添加し、連続してバルク重合させて耐化学性、流動性及び耐変色性にすぐれる透明樹脂を製造する製造方法及びその重合体を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐化学性、流動性及び耐変色性にすぐれる透明共重合体樹脂の製造方法及びその重合体に係り、さらに詳細には、流動性にすぐれて成形が容易であり、耐化学性にすぐれて多様なブレンドとして使われ、耐変色性にすぐれて熱による変色の少ないスチレン−アクリロニトリル−アクリレート三元共重合体透明樹脂の製造方法及びその重合体に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、産業が先進化され、製品の差別化を活発に追求しつつ、製品にヌードファッション文化とパステルトーン色相文化とを導入し、デザイン革命をなそうとする透明素材開発の研究が活発に進められている。
【0003】
かかる素材を産業に利用するためには、前記素材の単純な透明性以外に、流動性、耐変色性、耐化学性など、多様なその他の物性が要求される。
【0004】
しかし、従来の樹脂は、それなりに長所を有しているが、熱により比較的容易に変色してしまうなどという短所も有している。
【0005】
例えば、一般的に使われている透明樹脂として、ポリスチレン樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリロニトリル−スチレン樹脂のような場合に、ポリスチレンは、透明であって流動性にすぐれ、食品包装容器に多用されてきたが、最近になり、食品包装容器の透明性、耐薬品性及び着色性をさらに向上させることができる材料を必要とするようになった。かかる素材として、耐薬品性及び着色性にすぐれるポリアクリロニトリル−スチレン樹脂(SAN)が広く使われるが、熱変色がよく起き、自然色相及び透明度に劣るという短所がある。ポリメチルメタクリレート樹脂は、透明度に非常にすぐれ、光学素材として広く使われているが、重合速度が速くて重合溶液の粘度が高く、溶液重合やバルク重合でもって製造し難いだけではなく、熱化合時の熱履歴(thermal hysteresis)により容易に変色してしまうという短所がある。また、ポリスチレンより流動性、耐化学性が悪いという短所がある。
【0006】
これと関連し、アクリロニトリル−アクリル酸エステル−スチレンの三元共重合体も透明樹脂の一つとして知られてきた。しかし、前記三元共重合体は、単独で使われるというよりは、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)のようなゴム樹脂にグラフトまたはブレンドするための用途に主に使われてきた。
【0007】
特開第2001−31833号公報は、スチレン系単量体、メチルメタクリレート単量体、アクリロニトリル単量体を混合してまず重合したものをゴム成分とコンパウンドし、耐衝撃性を向上させた透明樹脂組成物が開示している。
【0008】
特開第2002−114886号公報は、スチレン−ブタジエン共重合ゴムにスチレン系単量体、メチルメタクリレート単量体、アクリロニトリル単量体をグラフト共重合させて耐衝撃性を向上させた透明樹脂組成物が開示している。
【0009】
前記文献で、スチレン系単量体、メチルメタクリレート単量体、アクリロニトリル単量体の共重合体またはグラフト重合体は、透明度向上を主に考慮して製造されたものであり、熱に弱いアクリロニトリル、スチレンなどが含まれており、残留モノマー及び溶媒除去のための高い揮発槽の温度、及び成形時の熱により容易に黄変しうるということが問題点として指摘される。
【0010】
一方、共重合体樹脂の製造方法には、乳化重合、混濁重合、溶液重合及びバルク重合などがあるが、そのうち周知のように、乳化重合及び混濁重合は、比較的反応熱の放出が容易であり、反応温度の調節が容易であって熱による重合体の変形が小さいという長所がある一方、重合過程に乳化剤、粘度増進剤または凝集剤などが使われねばならず、最終段階で、このように添加された物質が除去されず、最終製品内に不純物で残ってしまい、各種物性が低下するという問題がある。また、重合の完了した後で、反応媒質である水を除去するための脱水、凝集または乾燥過程のような追加過程を経ねばならず、除去された水は、さらに廃水処理過程を経ねばならないので、連続工程であるバルク重合に比べ、経済的に多くのコストがかかる工程であるという短所がある。
【0011】
これと反対に、溶液重合法やバルク重合法は、反応熱や反応溶液の粘度を制御し難いが、重合のために別途に使われる添加剤がないので、最終製品内に残留する不純物が非常に少なくて物性にすぐれ、重合後に使用した反応媒質である溶媒と未反応の単量体とをいずれも回収して再び使えるので、乳化重合や混濁重合とは異なり、生産コストを非常に少なく抑えられるという長所がある。
【0012】
従って、熱による影響を抑制できるならば、バルク重合がさまざまな面で有利である。
【0013】
従って、透明性にすぐれ、他の樹脂とのブレンドが容易であると知られているスチレン系単量体、アクリレートエステル系単量体、アクリロニトリル系単量体の共重合体の、特に熱による影響を抑制し、工程上及び物性上の性能向上を期待することができる新しい重合方法及びその重合体の開発が要求される。
【特許文献1】特開第2001−31833号公報
【特許文献2】特開第2002−114886号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明がなそうとする第一の技術的課題は、前記従来技術の問題点を解決するために、高温バルク重合でも黄変を抑制できる重合方法を提供することである。
【0015】
本発明がなそうとする第二の技術的課題は、前記重合方法によって重合され、透明性、耐薬品性、流動性、耐変色性、色調などにすぐれる共重合体樹脂を提供することである。
【0016】
本発明がなそうとする第三の技術的課題は、前記共重合体樹脂を含む耐衝撃性、透明性、色調などにすぐれる透明樹脂ブレンドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、前記第一の技術的課題を達成するために、透明樹脂共重合体を製造する方法であって、スチレン系単量体、アクリレート系単量体及びアクリロニトリル系単量体を含む混合物に、フェノール系及びホスフェート系酸化防止剤、分子量調節剤、及び有機過酸化物開始剤を必須成分として添加し、連続してバルク重合させることを特徴とする透明共重合体樹脂の製造方法を提供する。
【0018】
本発明は、前記第二の技術的課題を達成するために、前記重合方法によって重合されたことを特徴とする共重合体樹脂を提供する。
【0019】
本発明は、前記第三の技術的課題を達成するために、前記共重合体及びABS重合体を含むことを特徴とする透明樹脂ブレンド組成物を提供する。
【発明の効果】
【0020】
本発明の方法は、高温バルク重合でも重合体の黄変を抑制でき、該方法により製造された重合体は、透明性、流動性、耐薬品性、耐変色性、色調のような物性にすぐれ、前記共重合体を他の共重合体樹脂とブレンドした樹脂組成物は、耐衝撃性、色調、透明性などが優秀である
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0022】
まず、スチレン系単量体、アクリレート系単量体及びアクリロニトリル系単量体を反応媒質と混合する。単量体混合物の組成比は、スチレン系単量体10ないし20重量%、アクリレート系単量体50ないし60重量%、アクリロニトリル系単量体3ないし15重量%及び反応媒質20ないし30重量%である。
【0023】
前記スチレン系単量体の含有量は、10ないし20重量%の範囲が望ましい。10重量%未満である場合には、反応物の粘度が高く、生産された製品の加工性と流動性とが悪くなるという問題点があり、20重量%を超える場合には、屈折率が大きくなって透明度が落ちるという問題点がある。
【0024】
前記アクリレート系単量体の含有量は、50ないし60重量%の範囲が望ましい。50重量%未満である場合には、屈折率が増大して濁度が上昇するという問題点があり、60重量%を超える場合には、反応物の粘度が急激に増大するという問題点がある。
【0025】
前記アクリロニトリル系単量体の含有量は、3ないし15重量%が望ましい。3重量%未満である場合には、耐薬品性が顕著に落ちるという問題点があり、15重量%を超える場合には、熱変色が激しく起こるという問題点がある。
【0026】
前記反応媒質の含有量は、20ないし30重量%が望ましい。20重量%未満である場合には、反応物の粘度が急激に増大するという問題点があり、30重量%を超える場合には、分子量が低くて生産量が低くなるという問題点がある。
【0027】
前記単量体混合物の組成比は、他の重合体とブレンドされる場合に、不透明になることを防止するために、屈折率を調節する目的として、一定範囲内で変動しうる。前記組成範囲の重合比により製造された重合体は、屈折率1.515近辺の優秀な値を示し、多様な重合体とブレンドするのに適し、これは、本明細書に添付された実施例によりさらに明確に支持される。
【0028】
本発明による透明樹脂共重合体の製造のために使われるスチレン系単量体は、ベンゼン核がCないしCのアルキル基またはハロゲン基に選択的に置換されたスチレン及びα−メチルスチレンからなる群から選択される一種以上のスチレン系単量体が望ましい。
【0029】
本発明による透明樹脂共重合体の製造のために使われるアクリレート系単量体は、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、メチルエタクリレート、及びエチルエタクリレートからなる群から選択される一種以上のアクリレート系単量体が望ましい。
【0030】
本発明による透明樹脂共重合体の製造のために使われるアクリロニトリル系単量体は、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、及びエタアクリロニトリルからなる群から選択される一種以上のアクリロニトリル系単量体が望ましい。
【0031】
本発明に使われる反応媒質は、前記反応媒質がCないしCのアルキル基またはハロゲン基に選択的に置換されたCないしCの芳香族炭化水素化合物からなる群から選択される一種以上の媒質であることが望ましく、さらに望ましくは、エチルベンゼン、トルエン、及びキシレンからなる群から選択される一種以上の媒質である。
【0032】
次に、前記単量体混合物に、フェノール系及びホスフェート系酸化防止剤、分子量調節剤、及び有機過酸化物開始剤を必須成分として添加する。具体的には、有機過酸化物開始剤を前記反応混合物100重量部に対して0.01ないし0.1重量部で添加し、ヒンダードフェノール系及びホスファイト系酸化防止剤の混合物を前記反応混合物100重量部に対して0.01ないし1重量部で添加し、分子量調節剤を前記反応混合物100重量部に対して0.01ないし1重量部で添加する。
【0033】
前記有機過酸化物開始剤の含有量は、前記反応混合物100重量部を基準に0.01ないし0.1重量部添加されることが望ましい。0.1重量部を超える場合には、重合反応が急激に起きて反応圧及び熱の制御が非常に困難であり、ゲル効果により反応物の粘度が急増するという問題点があり、0.01重量部未満である場合には、生産量が低く、重合物内の組成比の差により、熱変色が多発するという問題点がある。
【0034】
前記酸化防止剤の含有量は、揮発槽の高温での黄変を抑制するために、特定のヒンダードフェノール系とホスファイト系との酸化防止剤を特定組成で併用した混合物を前記反応混合物100重量部を基準に0.01ないし1重量部添加されることが望ましい。1重量部を超える場合には、転換率の低下によって屈折率が増大するという問題点があり、0.01重量部未満である場合には、高温の揮発槽で熱履歴による黄変が起こるという問題点がある。
【0035】
前記酸化防止剤の混合物で、ヒンダードフェノール系酸化防止剤:ホスファイト系酸化防止剤の組成比は、9:1ないし1:5であることが望ましく、さらに望ましくは、5:1ないし1:3、最も望ましくは、2:1ないし1:2である。フェノール系酸化防止剤:ホスファイト系酸化防止剤の組成比が1:5よりホスファイト系の含有量が多い場合には、重合時に受ける熱履歴に弱いという問題点があり、9:1よりホスファイト系の含有量が少ない場合には、揮発槽にて、また加工時に熱履歴に弱いという問題点がある。
【0036】
前記酸化防止剤混合物が適切な組成比で添加される場合に、重合体のカラーb値は、1以下の非常に優秀な値を示し、これは、本明細書に添加された実施例によってさらに明確に支持される。
【0037】
前記分子量調節剤の含有量は、樹脂の粘度及び溶融指数(MI)調節のために、前記反応混合物100重量部を基準に0.01ないし1重量部で使用することが望ましい。1重量部を超える場合には、分子量が低くて衝撃強度に劣るという問題点があり、0.01重量部未満に添加された場合には、高い粘度によって工程上操作が困難であるという問題点がある。
【0038】
前記分子量調節剤の含有量は、樹脂の粘度及び溶融指数(MI)調節のために、前記反応混合物100重量部を基準に0.01ないし1重量部で使用することが望ましい。1重量部を超える場合には、分子量が低くて衝撃強度に劣るという問題点があり、0.01重量部未満に添加された場合には、高い粘度によって工程上操作が困難であるという問題点がある。
【0039】
前記単量体の混合物に添加する有機過酸化物開始剤は、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、及び1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)2−メチルシクロヘキサンからなる群から選択される一種以上の有機過酸化物開始剤が望ましい。
【0040】
前記単量体の混合物に添加する分子量調節剤は、t−ドデシルメルカプタン及びn−オクチルメルカプタンからなる群から選択される一種以上のチオール系調節剤が望ましい。
【0041】
前記単量体の混合物に添加するフェノール系及びホスフェート系酸化防止剤混合物は、テトラキスメチレン3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートメタン、1,3,5−トリス−(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、及び1,3,5−トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−s−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオンからなるヒンダードフェノール系から選択された一種と、トリス(2,4−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス−(ノニルフェニル)ホスファイトからなるホスファイト系酸化防止剤から選択された一種とを混合した酸化防止剤が望ましい。
【0042】
単量体混合物に前記添加剤を添加することは、必ずしも単量体が混合された後に添加されねばならないのではなく、同時に反応器に投入されてもよく、またその順序により制限されるものではない。
【0043】
次に、前記単量体及び添加剤の混合物を反応器に投入しつつ、まず120ないし140℃の温度で2ないし4時間重合を実施した後、次に、130ないし150℃の温度で2ないし4時間連続バルク重合を実施する。
【0044】
第一段階の重合での反応温度は、120ないし140℃が望ましい。140℃を超える場合には、分子量が低くなるという問題点があり、120℃未満である場合には、開始剤の効率が落ちて転換率が低いという問題点がある。重合時間も2ないし4時間が望ましい。4時間を超える場合には、高い粘度のために、工程上操作が困難であるという問題点があり、2時間未満である場合には、転換率が低いという問題点がある。
【0045】
第二段階の重合での反応温度は、130ないし150℃が望ましい。150℃を超える場合には、分子量が低くなるという問題点があり、130℃未満である場合には、転換率が低くて生産量が減少するという問題点がある。重合時間も2ないし4時間が望ましい。4時間を超える場合には、分子量が低くて衝撃強度に劣るという問題点があり、2時間未満である場合には、転換率が低くて屈折率が高まるという問題点がある。
【0046】
その後、重合転換率が約60%以上になったとき、揮発槽から200ないし240℃の温度で未反応単量体と反応媒質とを除去することにより、耐薬品性、流動性及び色調が優秀である透明重合体樹脂をペレット状に製造できる。
【0047】
本発明を介して製造された共重合体樹脂は、濁度が1以下、屈折率が1.514ないし1.519であり、220℃−10kgの荷重下で溶融指数が20以上、カラーb値が1以下であり、耐薬品性にすぐれるという特徴を有する。
【0048】
前記本発明による共重合体樹脂は、ABS重合体とブレンドして樹脂組成物を製造することもできる。前記共重合体樹脂40ないし70重量%及びABS重合体30ないし60重量%を含むブレンド樹脂組成物は、前記優秀な物性以外にも、向上した耐衝撃性を具備し、さらに多様な分野に使われうる。前記共重合体樹脂が70重量%以上である場合には、衝撃抵抗に劣るという問題点があり、40重量%未満である場合には、濁度及びカラーb値が上昇するという問題点がある。ブレンド樹脂組成物に使われる本発明の共重合体は、ABS重合体との混合時の透明度を上げるために、単量体の構成費を調節して重合体の屈折率を調節できる。
【0049】
以下、実施例を介して本発明についてさらに詳細に説明する。ただし、本発明を次の実施例に限定するのではなく、本発明の基本思想を維持した変形、改造などは、本発明の範疇に含まれるものと理解せねばならない。
【実施例】
【0050】
[実施例1]
トルエン20重量%、スチレン17.48重量%、メチルメタクリレート58.52重量%及びアクリロニトリル4重量%を溶かした混合溶液に、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン0.02重量%、n−ドデシルメルカプタン0.08重量%、及びヒンダードフェノール系酸化防止剤として1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン0.1重量%を添加した重合溶液を、14L/hrの速度で26L反応器に投入しつつ、第一の反応器で140℃の温度で重合し、第二の反応器で150℃で重合し、重合転換率がおよそ60%以上になったとき、揮発槽から215℃の温度で未反応単量体と反応媒質とを除去してペレット状の共重合体透明樹脂を製造した。
【0051】
[実施例2]
トルエン20重量%、スチレン17.48重量%、メチルメタクリレート58.52重量%及びアクリロニトリル4重量%を溶かした混合溶液に、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン0.02重量%、n−ドデシルメルカプタン0.08重量%、及びヒンダードフェノール系酸化防止剤として1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン及びホスファイト系酸化防止剤としてトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトの酸化防止剤2:1混合液0.1重量%を添加した重合溶液を、14L/hrの速度で26L反応器に投入しつつ、第一の反応器で140℃の温度で重合し、第二の反応器で150℃で重合し、重合転換率が約60%以上になったとき、揮発槽から215℃の温度で未反応単量体と反応媒質とを除去してペレット状の共重合体透明樹脂を製造した。
【0052】
[実施例3]
トルエン20重量%、スチレン17.48重量%、メチルメタクリレート58.52重量%及びアクリロニトリル4重量%を溶かした混合溶液に、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン0.02重量%、n−ドデシルメルカプタン0.08重量%、及びヒンダードフェノール系酸化防止剤として1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン及びホスファイト系酸化防止剤としてトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト酸化防止剤の1:1混合液0.1重量%を添加した重合溶液を、14L/hrの速度で26L反応器に投入しつつ、第一の反応器で140℃の温度で重合し、第二の反応器で150℃で重合し、重合転換率が約60%以上になったとき、揮発槽から215℃の温度で未反応単量体と反応媒質とを除去してペレット状の共重合体透明樹脂を製造した。
【0053】
[実施例4]
トルエン20重量%、スチレン17.48重量%、メチルメタクリレート58.52重量%及びアクリロニトリル4重量%を溶かした混合溶液に、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン0.02重量%、n−ドデシルメルカプタン0.08重量%、及びホスファイト系酸化防止剤としてトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト0.1重量%を添加した重合溶液を14L/hrの速度で26L反応器に投入しつつ、第一の反応器で140℃の温度で重合し、第二の反応器で150℃で重合し、重合転換率が約60%以上になったとき、揮発槽から215℃の温度で未反応単量体と反応媒質とを除去してペレット状の共重合体透明樹脂を製造した。
【0054】
[実施例5]
トルエン20重量%、スチレン17.11重量%、メチルメタクリレート57.29重量%及びアクリロニトリル8重量%を溶かした混合溶液に1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン0.02重量%、n−ドデシルメルカプタン0.04重量%、及びヒンダードフェノール系酸化防止剤として1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン及びホスファイト系酸化防止剤としてトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト酸化防止剤の2:1混合液0.2重量%を添加した重合溶液を、14L/hrの速度で26L反応器に投入しつつ、第一の反応器で140℃の温度で重合し、第二の反応器で150℃で重合し、重合転換率が約60%以上になったとき、揮発槽から215℃の温度で未反応単量体と反応媒質とを除去してペレット状の共重合体透明樹脂を製造した。
【0055】
[比較例1]
トルエン20重量%、スチレン17.48重量%、メチルメタクリレート58.52重量%及びアクリロニトリル4重量%を溶かした混合溶液に、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン0.02重量%及びn−ドデシルメルカプタン0.08重量%を添加した重合溶液を、14L/hrの速度で26L反応器に投入しつつ、第一の反応器で140℃の温度で重合し、第二の反応器で150℃で重合し、重合転換率が約60%以上になったとき、揮発槽から215℃の温度で未反応単量体と反応媒質とを除去してペレット状の共重合体透明樹脂を製造した。
【0056】
[比較例2]
トルエン20重量%、スチレン16.56重量%、メチルメタクリレート55.44重量%及びアクリロニトリル8.0重量%を溶かした混合溶液に、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン0.02重量%及びn−ドデシルメルカプタン0.04重量%を添加して重合溶液を準備した。準備した重合溶液を、14L/hrの速度で26L反応器に投入しつつ、第一の反応器で140℃の温度で重合し、第二の反応器で150℃で重合し、重合転換率が約60%以上になったとき、揮発槽から215℃の温度で未反応単量体と反応媒質とを除去してペレット状の共重合体透明樹脂を製造した。
【0057】
[実験例]
前記実施例及び比較例の方法で製造された透明樹脂の物性を測定し、その結果を下記表1に表した。各種物性の測定は、下記の方法を利用した。
【0058】
耐薬品性試験
射出成形により製造された厚さ3.2mmのバー(bar)を両端の曲がったジグ(zig)(R:226.97mm)に固定させた後、ダイズ油をガーゼに湿した後、試片の真ん中に載せ、試片に油が染み込ませて24時間放置した。24時間後に肉眼で試片の表面外観変化とクラックの有無とを確認し、厚さ変化を測定して比較した
(◎:変化なし、○:色変化あり、△:クラックが発生/表面変化が激しい、×:使用不可)。
【0059】
屈折率試験
ペレットを利用してフィルムを作った後、ASTM D1298の方法で測定した。
【0060】
カラーb測定
ASTM D2985の方法で測定した。
【0061】
濁度試験
ASTM1003の方法で測定した。
【0062】
流動性(MI)試験
ASTM D1238により測定した。
【0063】
【表1】

【0064】
前記表1から分かるように、本発明の製造方法で製造した実施例1ないし5の透明樹脂は、濁度が1以下、屈折率が1.515から1.518の間であり、220℃、10kg荷重下で、MIが20以上であり、特にカラーb値が1近辺と非常に低い値を示している。従来の方法による比較例1及び2に比べて耐薬品性、流動性及び自然色相、耐変色性にすぐれているということを確認することができた。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明による重合方法は、高温バルク重合でも重合体の黄変を抑制でき、該方法により製造された重合体は、透明性、流動性、耐薬品性、耐変色性、色調などの物性にすぐれ、前記共重合体を他の共重合体樹脂とブレンドした樹脂組成物も耐衝撃性、色調、透明性などが優秀である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明共重合体樹脂を製造する方法であって、
スチレン系単量体、アクリレート系単量体及びアクリロニトリル系単量体を含む混合物に、フェノール系及びホスフェート系酸化防止剤、分子量調節剤及び有機過酸化物開始剤を添加して連続してバルク重合させることを特徴とする透明樹脂共重合体の製造方法。
【請求項2】
(a)スチレン系単量体10ないし20重量%、アクリレート系単量体50ないし60重量%、アクリロニトリル系単量体3ないし15重量%及び反応媒質20ないし30重量%を混合して反応混合物を製造する段階と、
(b)前記(a)段階の混合物に有機過酸化物開始剤を反応混合物100重量部に対して0.01ないし0.1重量部で添加し、ヒンダードフェノール系及びホスファイト系酸化防止剤を反応混合物100重量部に対して0.01ないし1重量部で添加し、分子量調節剤を反応混合物100重量部に対して0.01ないし1重量部で添加する段階と、
(c)前記(b)段階の混合物を反応器に投入しつつ、まず120ないし140℃の温度で2ないし4時間重合を実施した後、次に130ないし150℃の温度で2ないし4時間連続バルク重合を実施する段階とを含むことを特徴とする請求項1に記載の共重合体樹脂の製造方法。
【請求項3】
前記スチレン系単量体は、ベンゼン核がCないしCのアルキル基またはハロゲン基に選択的に置換されたスチレン及びα−メチルスチレンからなる群から選択される一種以上のスチレン系単量体であることを特徴とする請求項2に記載の共重合体樹脂の製造方法。
【請求項4】
前記アクリレート系単量体は、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、メチルエタクリレート、及びエチルエタクリレートからなる群から選択される一種以上の単量体であることを特徴とする請求項2に記載の共重合体樹脂の製造方法。
【請求項5】
前記アクリロニトリル系単量体は、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、及びエタアクリロニトリルからなる群から選択される一種以上の単量体であることを特徴とする請求項2に記載の共重合体樹脂の製造方法。
【請求項6】
前記反応媒質がCないしCのアルキル基またはハロゲン基に選択的に置換されたCないしCの芳香族炭化水素化合物からなる群から選択される一種以上の媒質であることを特徴とする請求項2に記載の共重合体樹脂の製造方法。
【請求項7】
前記有機過酸化物開始剤が、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、及び1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)2−メチルシクロヘキサンからなる群から選択される一種以上の開始剤であることを特徴とする請求項2に記載の共重合樹脂の製造方法。
【請求項8】
前記分子量調節剤が、t−ドデシルメルカプタン及びn−オクチルメルカプタンからなる群から選択される一種以上のチオール系調節剤であることを特徴とする請求項2に記載の共重合体樹脂の製造方法。
【請求項9】
前記酸化防止剤が、テトラキスメチレン3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートメタン、1,3,5−トリス−(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、及び1,3,5−トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−s−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオンからなるヒンダードフェノール系から選択された一種と、トリス(2,4−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス−(ノニルフェニル)ホスファイトからなるホスファイト系酸化防止剤から選択された一種とを混合した酸化防止剤であることを特徴とする請求項2に記載の共重合体樹脂の製造方法。
【請求項10】
前記酸化防止剤混合物で、ヒンダードフェノール系酸化防止剤:ホスファイト系酸化防止剤の比が2:1ないし1:1の間であることを特徴とする請求項2に記載の共重合体樹脂の製造方法。
【請求項11】
前記(a)及び(b)段階が順序に関係なく行われることを特徴とする請求項2に記載の共重合体樹脂の製造方法。
【請求項12】
請求項1から請求項11のうちいずれか1項に記載の方法で製造されたことを特徴とする共重合体樹脂。
【請求項13】
濁度が1以下、溶融指数20以上、及びカラーb値が1以下であることを特徴とする請求項12に記載の共重合体樹脂。
【請求項14】
請求項13に記載の共重合体樹脂40ないし70重量%及びアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)樹脂30ないし60重量%を含むことを特徴とするブレンド樹脂組成物。

【公表番号】特表2008−520760(P2008−520760A)
【公表日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−541111(P2007−541111)
【出願日】平成17年12月2日(2005.12.2)
【国際出願番号】PCT/KR2005/004095
【国際公開番号】WO2006/062315
【国際公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】