説明

耐圧シートおよびそれを用いた流体分離素子

【課題】流体分離素子中で、精密ろ過膜、限外ろ過膜、ナノろ過膜、逆浸透膜等の分離膜と合わせて用いることにより、該分離膜の変形および流体分離素子の処理能力低下を抑制することができる耐圧シート並びにそれを用いた流体分離素子を提供する。
【解決手段】熱可塑性連続フィラメントより構成される長繊維不織布からなることを特徴とする耐圧シート。好ましくは、縦方向の単位厚さ当たりの5%伸長時応力が800〜3500N/5cm・mmである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体分離素子中で、精密ろ過膜、限外ろ過膜、ナノろ過膜、逆浸透膜等の分離膜と合わせて用いることにより、該分離膜の変形および流体分離素子の処理能力低下を抑制する、熱可塑性連続フィラメントより構成される長繊維不織布からなる耐圧シートに関するものである。また、それを用いた流体分離素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の水処理には多くの場合において膜技術が適用されている。例えば浄水場には精密ろ過膜または限外ろ過膜が、海水淡水化には逆浸透膜が、半導体製造用水、ボイラー用水、医療用水、ラボ用純水などには逆浸透膜やナノろ過膜が用いられ、さらに下廃水処理には精密ろ過膜や限外ろ過膜を用いた膜分離活性汚泥法も適用されている。
【0003】
これらの分離膜は、その形状から平膜と中空糸膜に大別されるが、主に合成重合体から形成される平膜は分離機能を有する膜単体では機械的強度に劣るため、一般に不織布や織布等の支持体と一体化して使用されることが多い。
【0004】
高圧下で使用されることが多い逆浸透膜などの半透膜の場合は特に、支持体には高い機械的強度、寸法安定性が要求されることから、このような分離膜支持体およびその製造方法として、5%伸長時の縦方向(MD)および横方向(CD)の裂断長の平均値が4.0km以上であり且つ通気度が0.2〜10.0cc/cm・秒である不織布からなることを特徴とする半透膜支持体が知られている(特許文献1参照)。しかしながら、ここで要求される機械的強度、寸法安定性とは、分離膜と重ね合わせて配される流路材の流路(溝)に、分離膜が変形し落ち込むことで流路が狭まり、水処理能力が低下する現象を抑制するための強度、安定性である。この点からいえば、流路材の流路と支持体の強度の方向性が重要であるのにも関わらず、該支持体は5%伸長時の縦方向(MD)および横方向(CD)の裂断長の平均値を規定しているのにすぎないため、要求される強度、安定性を満足できるものではなかった。また、たとえ方向性が合致したとしても、該支持体は抄紙法によって製造された不織布であり、特徴とする機械的強度を得るためには、溶融紡糸した後に温水浴中で延伸し、引き続いて緊張熱処理および/または弛緩熱処理を行うなどによって、不織布を構成するポリエステル繊維の複屈折を極めて大きくし、また熱収縮応力を特定の範囲にするなど、製造上コスト高になる上、海水淡水化膜などの特に高い圧力下での使用には適するものではなかった。
【0005】
このように分離膜支持体不織布のみで高い圧力下での使用に耐えることは困難であるという考えから、逆浸透膜間に介在された、溝を有する透過液流路材と、前記逆浸透膜の前記溝への落ち込みを抑制する不織布と、供給液流路材とを集水孔を有する中心管の周囲に巻回してなり、前記不織布は、該不織布を構成する繊維が一定方向に配向され、該繊維の配向方向が前記溝の方向と交差するように配置されていることを特徴とする液体分離素子が知られている(特許文献2参照)。しかしながら、該不織布は短繊維不織布からなるため、毛羽立ちによる流路の閉塞や、脱落した毛羽の処理後の透過水への混入の恐れがあり、また逆浸透膜の落ち込みを抑制するためには不織布を構成する繊維を一定方向に配向した上で、わざわざ特定方向に配置する必要があった。
【特許文献1】特許第3153487号公報
【特許文献2】特許第3317113号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、流体分離素子中で、精密ろ過膜、限外ろ過膜、ナノろ過膜、逆浸透膜等の分離膜と合わせて用いることにより、該分離膜の変形および流体分離素子の処理能力低下を抑制することができる、熱可塑性連続フィラメントより構成される長繊維不織布からなり、優れた機械的強度を有する耐圧シートおよびそれを用いた流体分離素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、
(1)熱可塑性連続フィラメントより構成される長繊維不織布からなることを特徴とする耐圧シート。
【0008】
(2)横方向の単位厚さ当たりの5%伸長時応力が800〜1800N/5cm・mmであることを特徴とする前記(1)に記載の耐圧シート。
【0009】
(3)縦方向の単位厚さ当たりの5%伸長時応力が800〜3500N/5cm・mmであることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の耐圧シート。
【0010】
(4)前記熱可塑性連続フィラメントが、高融点重合体の周りに、該高融点重合体の融点よりも10〜140℃低い融点を有する低融点重合体を配した複合型フィラメントであることを特徴とする前記(1)〜(3)いずれかに記載の耐圧シート。
【0011】
(5)前記熱可塑性連続フィラメントが、ポリエステル系重合体よりなることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の耐圧シート。
【0012】
(6)前記熱可塑性連続フィラメントの繊度が、0.1〜3.0dtexであることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の耐圧シート。
【0013】
(7)目付が20〜150g/m、厚さが0.03〜0.20mmであることを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれかに記載の耐圧シート。
【0014】
(8)前記(1)〜(7)のいずれかに記載の耐圧シートを含むことを特徴とする流体分離素子。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、流体分離素子中で、精密ろ過膜、限外ろ過膜、ナノろ過膜、逆浸透膜等の分離膜と合わせて用いることにより、該分離膜の変形および流体分離素子の処理能力低下を抑制することができる、熱可塑性連続フィラメントより構成される長繊維不織布からなり、優れた機械的強度を有する耐圧シートを得ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の耐圧シートは、分離膜と流路材から構成される流体分離素子において、主に分離膜と流路材の間に挿入し、併せて用いることで、分離膜面にかかる圧力による分離膜の変形や、流路材の流路への分離膜の落ち込みを抑制するための耐圧シートである。
【0017】
本発明の耐圧シートは、熱可塑性連続フィラメントより構成される長繊維不織布からなることが重要である。本発明者らは、耐圧シートに要求される機械的強度、目付均一性、厚さ(小さいこと)について検討した結果、短繊維不織布では全てを満足させるには不十分であり、長繊維不織布を用いることによりこの問題を解決できることをつきとめた。すなわち、熱可塑性連続フィラメントより構成される長繊維不織布からなることにより、特に繊維長の短い抄紙不織布に比べ高い機械的強度を得ることができる。また抄紙不織布などの短繊維不織布においても、短繊維不織布を構成する繊維の原料や、繊度、不織布中での繊維配向の調整等により、特定方向の機械的強度を向上させることは可能であるが、その場合耐圧シートとして使用する際にシートの方向性等に制限が生じる。さらに、耐圧シートに必要な機械的強度を、シートのどの部分においても安定的に発現させるために必要な目付均一性についても、抄紙不織布等の短繊維不織布の場合は、向上させるほど特定方向の機械的強度が高くなる傾向にあることから、特定方向の機械的強度はもちろん、それに直交する方向(特定方向が縦方向であれば横方向)の機械的強度、さらにはそれら機械的強度を安定的に発現させるために必要な高い目付均一性を得るためには、熱可塑性連続フィラメントより構成される長繊維不織布からなることが重要である。さらに、熱可塑性連続フィラメントより構成される長繊維不織布からなることにより、短繊維不織布を用いたときに起こる、毛羽立ちによる流路の閉塞や、脱落した毛羽の処理後の透過水への混入を抑制することができる。
【0018】
本発明の耐圧シートを構成する長繊維不織布は、スパンボンド法によって製造したスパンボンド不織布やメルトブロー法によって製造したメルトブロー不織布等、熱可塑性連続フィラメントより構成されていれば特に限定はされない。優れた機械的強度を有する耐圧シートを得ることができればなんら限定されるところではないが、高い機械的強度が得られることからスパンボンド不織布であることが好ましい。また、より均一性に優れた耐圧シートを得ることができることから、複数の不織布層からなる積層体も好ましい形態であるが、該積層体は、例えば、2層のスパンボンド不織布からなる積層体や、2層のスパンボンド不織布の層間にメルトブロー不織布を配した3層構造の積層体等、少なくとも1層はスパンボンド不織布であることが好ましい。
【0019】
本発明の耐圧シートの縦方向の単位厚さ当たりの5%伸長時応力は、800〜3500N/5cm・mmであることが好ましい。耐圧シートは、流体分離素子内に配され高圧下で使用された場合、数%伸長(変形)すると流路材の流路に落ち込み流体分離素子の処理能力低下につながるため、耐圧シートの5%伸長時応力をコントロールすることで流体分離素子の処理能力低下を少なくすることができる。
【0020】
さらに発明者らは鋭意検討の結果、耐圧シートの厚さは小さいほど、流体分離素子内の分離膜面積を増大させ、処理能力を向上させられることから、5%伸長時応力を厚さで除した単位厚さ当たりの5%伸長時応力が重要な要因であることを見出した。長繊維不織布はその製法上、縦方向の5%伸長時応力が横方向の5%伸長時応力よりも大きくなることが多いため、分離膜の変形および流体分離素子の処理能力低下を少なくするためには、耐圧シートの縦方向が流路材の流路と直交するように配すれば良く、その場合縦方向の単位厚さ当たりの5%伸長時応力が、800〜3500N/5cm・mmであれば、分離膜の変形および流体分離素子の処理能力低下を少なくすることができる。縦方向の単位厚さ当たりの5%伸長時応力のより好ましい範囲は、900〜3400N/5cm・mmであり、さらに好ましい範囲は1000〜3300N/5cm・mmである。ここで、耐圧シートの縦方向の単位厚さ当たりの5%伸長時応力は後記実施例の欄の(7)に記載の方法により測定、算出したものをいう。
【0021】
本発明の耐圧シートの横方向の単位厚さ当たりの5%伸長時応力は、800〜1800N/5cm・mmであることが好ましい。流体分離素子の構造または製法上、上記のように耐圧シートの縦方向が流路材の流路と直交するように配することができない場合においても、横方向の単位厚さ当たりの5%伸長時応力が、800〜1800N/5cm・mmであれば、分離膜の変形および流体分離素子の処理能力低下を抑制することができる。横方向の単位厚さ当たりの5%伸長時応力のより好ましい範囲は、900〜1700N/5cm・mmであり、さらに好ましい範囲は1000〜1600N/5cm・mmである。ここで、耐圧シートの横方向の単位厚さ当たりの5%伸長時応力は後記実施例の欄の(7)に記載の方法により測定、算出したものをいう。
長繊維不織布を構成する熱可塑性連続フィラメントは、単一成分からなる熱可塑性連続フィラメントでも、複数成分からなる複合型熱可塑性連続フィラメントでもかまわないが、本発明の耐圧シートにおいては、高融点重合体の周りに該高融点重合体の融点よりも10〜140℃低い融点を有する低融点重合体を配した複合型熱可塑性連続フィラメントから構成される長繊維不織布からなることが好ましい。高融点重合体の周りに、該高融点重合体の融点よりも10〜140℃低い融点を有する低融点重合体を配することにより、熱圧着により長繊維不織布を形成し耐圧シートとして使用した際、不織布を構成するフィラメント同士が強固に接着することに加え、混繊型に比べその接着点の数も多くなるため、耐圧シートとして用いた際の高い機械的強度につながる。該高融点重合体と該低融点重合体の融点差のより好ましい範囲は20〜120℃であり、さらに好ましい範囲は、30〜100℃である。
また、本発明の耐圧シートにおいて、高融点重合体の周りに該高融点重合体の融点よりも10〜140℃低い融点を有する低融点重合体を配した複合型熱可塑性連続フィラメントから構成される長繊維不織布からなる場合の該高融点重合体の融点は、優れた機械的強度を有する耐圧シートを得ることができればなんら限定されるところではないが、160〜320℃の範囲であることが好ましい。高融点重合体の融点が160℃以上であれば、長繊維不織布を形成し耐圧シートとして使用した際、流体分離素子製造時に熱が加わる工程を通過したとしても形態安定性に優れ、320℃以下であれば、長繊維不織布製造時に溶融するための熱エネルギーを多大に消費し生産性が低下することを抑制することができる。該高融点重合体の融点のより好ましい範囲は170〜300℃であり、さらに好ましい範囲は180〜280℃である。
【0022】
複合型熱可塑性連続フィラメントにおける低融点重合体の占める割合については、優れた機械的強度を有する耐圧シートを得ることができればなんら限定されるところではないが、10〜70wt%であることが好ましく、15〜60wt%であることがより好ましく、20〜50wt%であることがさらに好ましい。低融点重合体の占める割合が10wt%以上であれば、所望の熱接着性を得ることができ、70wt%以下であれば、熱圧着時に熱圧着ロールに低融点重合体成分が融着し生産性が低下することを抑制することができる。
複合型熱可塑性連続フィラメントの複合形態については、優れた機械的強度を有する耐圧シートを得ることができればなんら限定されるところではないが、例えば同心芯鞘型、偏心芯鞘型、海島型等が挙げられ、さらにそのフィラメント断面形状としては、円形断面、扁平断面、多角形断面、多葉断面、中空断面等が挙げられる。なかでも熱圧着により、フィラメント同士を強固に接着させることができ、さらには得られる耐圧シートの厚さを低減し、流体分離素子としたときのユニットあたりの分離膜面積を増大させられることから、複合形態については同心芯鞘型を、フィラメント形状としては円形断面や扁平断面を用いることが好ましい。
本発明において長繊維不織布を構成する熱可塑性連続フィラメントの原料については、優れた機械的強度を有する耐圧シートを得ることができれば特に限定されない。例えば、ポリエステル系重合体、ポリアミド系重合体、ポリオレフィン系重合体、あるいはこれらの混合物や共重合体等、なんら限定されるところではないが、より機械的強度、耐熱性、耐水性、耐薬品性等の耐久性と、製造面でのコストに優れた耐圧シートを得ることができることから、ポリエステル系重合体であることが好ましい。本発明で用いられるポリエステル系重合体とは、酸成分とアルコール成分からなるポリエステルであり、酸性分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸などの芳香族カルボン酸、アジピン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸などを用いることができ、また、アルコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどを用いることができる。ポリエステル系重合体の例としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリブチレンサクシネート樹脂等が挙げられ、またこれらの樹脂の共重合体も挙げられる。また、高融点重合体の周りに該高融点重合体の融点よりも10〜140℃低い融点を有する低融点重合体を配した複合型熱可塑性連続フィラメントとする場合の高融点および低融点重合体の組み合わせ(高融点重合体/低融点重合体)についても、優れた機械的強度を有する耐圧シートを得ることができればなんら限定されるところではないが、ポリエチレンテレフタレート樹脂/ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂/ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂/ポリ乳酸樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂/共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂等の組み合わせが挙げられ、共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂の共重合成分としては、イソフタル酸等が好ましく用いられる。
さらに、用済み後に耐圧シートを廃棄する際、廃棄が容易であり環境負荷が小さいことから、生分解性樹脂も長繊維不織布を構成する熱可塑性連続フィラメントの原料として好ましく用いられる。本発明で用いられる生分解性樹脂の例としては、ポリ乳酸樹脂、ポリブチレンサクシネート樹脂、ポリカプロラクトン樹脂、ポリエチレンサクシネート樹脂、ポリグリコール酸樹脂、ポリヒドロキシブチレート系樹脂等が挙げられ、なかでも、石油資源を枯渇させない植物由来の樹脂であり、力学特性や耐熱性も比較的高く、製造コストの低い生分解性樹脂として近年脚光を浴びている、でんぷんの発酵で得られる乳酸を原料としたポリ乳酸樹脂は、不織布を構成する繊維の原料として好ましく用いられる。本発明で用いられるポリ乳酸樹脂としては、ポリ(D−乳酸)と、ポリ(L−乳酸)と、D−乳酸とL−乳酸の共重合体、あるいはこれらのブレンド体が好ましいものである。
【0023】
なお、本発明の耐圧シートには、本発明の効果を損なわない範囲で、結晶核剤や艶消し剤、滑剤、顔料、防カビ剤、抗菌剤、難燃剤、親水剤等を添加してもよい。特に長繊維不織布の熱圧着成形の際、熱伝導性を増すことで長繊維不織布の接着性を向上させる効果がある酸化チタン等の金属酸化物や、熱圧着ロールとウエブ間の離型性を増すことで接着安定性を向上させる効果があるエチレンビスステアリン酸アミド等の脂肪族ビスアミド、および/またはアルキル置換型の脂肪族モノアミドを添加することが好ましい。これら各種の添加剤は、熱可塑性連続フィラメント中に存在させてもよいし、その表面に存在させてもよい。
【0024】
本発明の耐圧シートにおいて、熱可塑性連続フィラメントの繊度は、0.1〜3.0dtexであることが好ましく、0.3〜2.5dtexであることがより好ましく、0.5〜2.0dtexであることがさらに好ましい。長繊維不織布を構成する熱可塑性連続フィラメントの繊度が、0.1dtex以上であれば、長繊維不織布製造時に紡糸性が低下することが少なく、また耐圧シートの透水性を維持できるため流体分離素子の処理能力が低下することが少ない。一方、該長繊維不織布を構成する熱可塑性連続フィラメントの繊度が、3.0dtex以下であれば、均一性に優れた長繊維不織布および耐圧シートを得ることができる。ここで、長繊維不織布を構成する熱可塑性フィラメントの繊度は後記実施例の欄の(3)に記載の方法により測定したものをいう。
【0025】
本発明の耐圧シートの目付は、20〜150g/mであることが好ましく、30〜120g/mであることがより好ましく、40〜90g/mであることがさらに好ましい。耐圧シートの目付が、20g/m以上であれば、所望の機械的強度を得ることができる。一方、耐圧シートの目付が、150g/m以下であれば、流体分離素子ユニットあたりの分離膜面積を増大させ、処理能力を向上させることができる。ここで、耐圧シートの目付は後記実施例の欄の(4)に記載の方法により測定したものをいう。
【0026】
本発明の耐圧シートの厚さは、0.03〜0.20mmであることが好ましく、0.04〜0.16mmであることがより好ましく、0.05〜0.12mmであることがさらに好ましい。耐圧シートの厚さが、0.03mm以上であれば、所望の機械的強度を得ることができる。一方、耐圧シートの厚さが、0.20mm以下であれば、流体分離素子ユニットあたりの分離膜面積を増大させ、処理能力を向上させることができる。ここで、耐圧シートの厚さは後記実施例の欄の(5)に記載の方法により測定したものをいう。
【0027】
本発明の耐圧シートを構成する長繊維不織布の製造方法は、優れた機械的強度を有する耐圧シートを得ることができればなんら限定されるところではないが、スパンボンド法やメルトブロー法、およびそれら長繊維不織布の積層による方法が好ましく用いられる。
【0028】
スパンボンド法の場合は、溶融した熱可塑性重合体をノズルから押し出し、これを高速吸引ガスにより吸引延伸して紡糸した後、移動コンベア上に繊維を捕集してウエブとし、さらに連続的に熱圧着、絡合等を施すことにより一体化してシートとなす、いわゆるスパンボンド法により製造することができるが、構成する繊維をより高度に配向結晶化させるため、紡糸速度は2000m/分以上であることが好ましく、3000m/分以上であることがより好ましく、4000m/分以上であることがさらに好ましい。熱可塑性連続フィラメントを芯鞘型等の複合形態する場合は、通常の複合方法を採用することができる。
【0029】
さらに、より機械的強度に優れ、厚さを低減した耐圧シートを得るために、熱圧着によるシート一体化が好ましく、上下1対のフラットロールにより熱圧着し一体化することがより好ましい。フラットロールの材質としては、上下とも金属ロールや、金属ロールと弾性ロールの組み合わせなどが挙げられ、さらに弾性ロールとしては、ペーパー、コットン、アラミドペーパー等のいわゆるペーパーロールや、ウレタン系樹脂、シリコン系樹脂、硬質ゴム等の樹脂製ロールが挙げられ、なんら限定されるところではないが、より高い機械的強度が得られることから、上下とも金属ロールによる熱圧着方式が好ましく用いられる。加熱ロールの温度としては、長繊維不織布を構成する熱可塑性フィラメントの融点より60〜20℃低いことが好ましく、50〜30℃低いことがより好ましい。また、高融点重合体の周りに該高融点重合体の融点よりも10〜140℃低い融点を有する低融点重合体を配した複合型熱可塑性連続フィラメントの場合は、該低融点重合体の融点より60〜20℃低いことが好ましく、50〜30℃低いことがより好ましい。フラットロールの線圧としては、20kg/cm以上であることが好ましく、50kg/cm以上であることがより好ましい。
【0030】
本発明の耐圧シートを構成する長繊維不織布は、単一層からなる長繊維不織布であっても良いが、より均一性に優れた耐圧シートを得ることができることから、複数の不織布層からなる積層体であっても良い。積層体の製造方法についても、なんら限定されるところではないが、例えば、2層のスパンボンド不織布からなる積層体の製造方法としては、1対のロールで得た仮接着状態のスパンボンド不織布を2層重ね合わせた後、フラットロールで熱圧着する方法などを用いることができる。また、2層のスパンボンド不織布の層間にメルトブロー不織布を配した3層構造の積層体の製造方法としては、1対のロールで得た仮接着状態のスパンボンド不織布2層の間に、別ラインで製造したメルトブロー不織布を挟むように重ね合わせた後、フラットロールで熱圧着する方法や、一連の捕集コンベア上部に配されたスパンボンド用ノズル、メルトブロー用ノズル、スパンボンド用ノズルからそれぞれ押し出され、繊維化されたウエブを順に捕集、積層し、熱圧着する方法などを用いることができる。
【0031】
メルトブロー法の場合は、溶融した熱可塑性重合体に加熱高速ガス流体を吹き当てることにより該熱可塑性重合体を引き伸ばして極細繊維化し、捕集してシートとする、いわゆるメルトブロー法により製造することができる。
【0032】
本発明の流体分離素子は本発明の耐圧シートを用いたものである。本発明において流体分離素子とは、取り扱いを容易にするため分離膜を流路材や耐圧シートとともに筐体に納めた流体分離素子であり、その形態についてはなんら限定されるところではないが、平膜のプレートフレーム型、プリーツ型、スパイラル型等が挙げられ、なかでも特に、分離膜が透過液流路材と供給液流路材と共に集水管の周りにスパイラル状に巻き付けられた、スパイラル型が好ましく用いられる。そして、複数の流体分離素子を直列あるいは並列に接続して分離膜ユニットとすることができる。
【0033】
なお、流路材としては編地が好ましく用いられ、具体的にはシングルトリコットやダブルトリコットが挙げられる。また、分離膜としては精密ろ過膜、限外ろ過膜、ナノろ過膜、逆浸透膜等として知られる公知の分離膜を用いることができる。
本発明の耐圧シートと、分離膜や流路材の積層方法についても、なんら限定されるところではないが、所定の大きさに裁断した流路材の上に、所定の大きさに裁断した耐圧シートを重ね合わせた後、2枚の分離膜の間に組み込む方法などが好ましく用いられる。
【実施例】
【0034】
以下、実施例に基づき本発明につき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、前記した耐圧シート、該耐圧シートを構成する長繊維不織布、および該長繊維不織布を構成する熱可塑性連続フィラメントの各特性値、および下記実施例における各特性値は、次の方法で測定したものである。
【0035】
(1)融点(℃)
パーキンエルマ社製示差走査型熱量計DSC−2型を用い、昇温速度20℃/分の条件で測定し、得られた融解吸熱曲線において極値を与える温度を融点とした。また示差走査型熱量計において融解吸熱曲線が極値を示さない樹脂については、ホットプレート上で加熱し、顕微鏡観察により樹脂が完全に溶融した温度を融点とした。
【0036】
(2)固有粘度IV
ポリエチレンテレフタレート樹脂の固有粘度IVは以下の方法で測定した。
オルソクロロフェノール100mlに対し試料8gを溶解し、温度25℃においてオストワルド粘度計を用いて相対粘度ηrを下記式により求めた。
ηr=η/η0=(t×d)/(t0×d0)
ここで、η:ポリマー溶液の粘度
η0:オルソクロロフェノールの粘度
t:溶液の落下時間(秒)
d:溶液の密度(g/cm
t0:オルソクロロフェノールの落下時間(秒)
d0:オルソクロロフェノールの密度(g/cm
ついで、相対粘度ηrから下記式、
IV=0.0242ηr+0.2634
により固有粘度IVを算出した。
【0037】
(3)繊度(dtex)
不織布からランダムに小片サンプル10個を採取し、走査型電子顕微鏡で500〜3000倍の写真を撮影し、各サンプルから10本ずつ、計100本の繊維の直径を測定し、それらの平均値を、ポリマーの密度で補正し、小数点以下第二位を四捨五入して求めた。
【0038】
(4)目付(g/m
30cm×50cmの不織布を3個採取して、各試料の重量をそれぞれ測定し、得られた値の平均値を単位面積当たりに換算し、小数点以下第一位を四捨五入した。
【0039】
(5)厚さ(mm)
JIS L 1906(2000年版)の5.1に基づいて、直径10mmの加圧子を使用し、荷重10kPaで不織布の幅方向1mあたり等間隔に10点を0.01mm単位で測定、その平均値の小数点以下第三位を四捨五入した。
【0040】
(6)5%伸長時応力(N/5cm)
JIS L 1906(2000年版)の5.3.1に基づいて、5cm×30cmのサンプルについて、つかみ間隔20cm、引張速度10cm/minの条件で、縦方向および横方向それぞれ5点の測定を実施し、得られた強伸度曲線から5%伸長時の強力を読み取り、少数点以下第1位を四捨五入した値を縦方向(MD)と横方向(CD)の5%伸長時応力とした。
【0041】
(7)単位厚さ当たりの5%伸長時応力(N/5cm・mm)
上記(6)で測定した縦方向(MD)と横方向(CD)の5%伸長時応力それぞれを、上記(5)で測定した厚さで除し、小数点以下第1位を四捨五入した値をそれぞれ縦方向(MD)と横方向(CD)の単位厚さ当たりの5%伸長時応力とした。
【0042】
(8)分離膜落ち込み量(μm)
メッシュ状織物からなる供給液流路材、海水淡水化用逆浸透膜、耐圧シート、透過液流路材を用い、有効膜面積40mのスパイラル型の流体分離素子(エレメント)を作製した。ここで透過液流路材には、溝幅200μm、溝深さ150μm、溝密度40本/インチ、厚さ200μmのポリエステル製シングルトリコットを用いた。作製した流体分離素子について、逆浸透圧7MPa、海水塩分濃度3wt%、運転温度40℃の各条件で耐久性試験を実施し、1000時間運転後に流体分離素子を解体し、分離膜の透過液流路材への落ち込み量を測定した。落ち込み量は、1つの流体分離素子における任意の3点の分離膜断面について、走査型電子顕微鏡で500〜3000倍の写真を撮影し測定し、それらの平均値の小数点以下第一位を四捨五入して求めた。なお、耐圧シートと透過液流路材の重ね合わせる方向は、透過液流路材の溝方向に対し、耐圧シートの不織布長さ方向が直交する場合(不織布方向タテ)、不織布幅方向が直交する場合(不織布方向ヨコ)それぞれについて試験を実施した。
【0043】
(実施例1)
水分率50ppm以下に乾燥した固有粘度IV0.65、融点260℃であり、酸化チタンを0.3wt%含むポリエチレンテレフタレート樹脂と、水分率50ppm以下に乾燥した固有粘度IV0.66、イソフタル酸共重合率10モル%、融点230℃であり、酸化チタンを0.2wt%含む共重合ポリエステル樹脂を、それぞれ295℃と280℃で溶融し、ポリエチレンテレフタレート樹脂を芯成分、共重合ポリエステル樹脂を鞘成分とし、口金温度300℃、芯:鞘=80:20の重量比率で細孔より紡出した後、エジェクターにより紡糸速度4500m/分で紡糸して同心芯鞘型フィラメント(断面円形)とし、移動するネットコンベアー上に繊維ウエブとして捕集した。捕集した繊維ウエブを、上下1対のフラットロールでフラットロール表面温度190℃、線圧60kg/cmで熱圧着し、構成フィラメントの単繊維繊度が1.2dtex、目付80g/m、厚さ0.10mmのスパンボンド不織布を製造し、耐圧シートを得た。得られた耐圧シートの単位厚さ当たりの5%伸長時応力は、MD:2500N/5cm・mm、CD:1350N/5cm・mmであった。また、得られた耐圧シートを用いて作製した流体分離素子における分離膜落ち込み量は不織布方向タテ:25μm、不織布方向ヨコ:32μmであった。
【0044】
(実施例2)
水分率50ppm以下に乾燥した固有粘度IV0.65、融点260℃であり、酸化チタンを0.3wt%含むポリエチレンテレフタレート樹脂と、水分率50ppm以下に乾燥した固有粘度IV0.66、イソフタル酸共重合率10モル%、融点230℃であり、酸化チタンを0.2wt%含む共重合ポリエステル樹脂を、それぞれ295℃と280℃で溶融し、ポリエチレンテレフタレート樹脂を芯成分、共重合ポリエステル樹脂を鞘成分とし、口金温度300℃、芯:鞘=85:15の重量比率で細孔より紡出した後、エジェクターにより紡糸速度4300m/分で紡糸して同心芯鞘型フィラメント(断面円形)とし、移動するネットコンベアー上に繊維ウエブとして捕集した。捕集した繊維ウエブを、上下1対のフラットロールでフラットロール表面温度190℃、線圧60kg/cmで熱圧着し、構成フィラメントの単繊維繊度が1.3dtex、目付50g/m、厚さ0.08mmのスパンボンド不織布を製造し、耐圧シートを得た。得られた耐圧シートの単位厚さ当たりの5%伸長時応力は、MD:1675N/5cm・mm、CD:863N/5cm・mmであった。また、得られた耐圧シートを用いて作製した流体分離素子における分離膜落ち込み量は不織布方向タテ:32μm、不織布方向ヨコ:38μmであった。
【0045】
(実施例3)
水分率50ppm以下に乾燥した固有粘度IV0.65、融点260℃であり、酸化チタンを0.3wt%含むポリエチレンテレフタレート樹脂を、口金温度300℃で細孔より紡出した後、エジェクターにより紡糸速度4500m/分で紡糸して円形断面フィラメントとし、移動するネットコンベアー上に繊維ウエブとして捕集した。捕集した繊維ウエブを、上下1対のフラットロールでフラットロール表面温度230℃、線圧60kg/cmで熱圧着し、構成フィラメントの単繊維繊度が1.5dtex、目付30g/m、厚さ0.06mmのスパンボンド不織布を製造し、耐圧シートを得た。得られた耐圧シートの単位厚さ当たりの5%伸長時応力は、MD:1167N/5cm・mm、CD:683N/5cm・mmであった。また、得られた耐圧シートを用いて作製した流体分離素子における分離膜落ち込み量は不織布方向タテ:40μm、不織布方向ヨコ:46μmであった。
【0046】
(実施例4)
水分率50ppm以下に乾燥した固有粘度IV0.65、融点260℃であり、酸化チタンを0.3wt%含むポリエチレンテレフタレート樹脂と、水分率50ppm以下に乾燥した固有粘度IV0.66、イソフタル酸共重合率10モル%、融点230℃であり、酸化チタンを0.2wt%含む共重合ポリエステル樹脂を、それぞれ295℃と280℃で溶融し、ポリエチレンテレフタレート樹脂を芯成分、共重合ポリエステル樹脂を鞘成分とし、口金温度300℃、芯:鞘=80:20の重量比率で細孔より紡出した後、エジェクターにより紡糸速度4500m/分で紡糸して同心芯鞘型フィラメント(断面円形)とし、移動するネットコンベアー上に繊維ウエブとして捕集した。捕集した繊維ウエブを、上下1対のフラットロールでフラットロール表面温度140℃、線圧60kg/cmで熱圧着し、構成フィラメントの単繊維繊度が1.2dtex、目付35g/m、厚さ0.15mmのスパンボンド不織布を製造した。得られたスパンボンド不織布を2枚重ね合わせ、上側がスチールロール、下側が樹脂製ロールの1対のフラットロールを用い、上側のスチールロールのみを温度170℃に加熱し、線圧170kg/cmでさらに熱圧着し、目付70g/m、厚さ0.10mmのスパンボンド不織布を製造し、耐圧シートを得た。得られた耐圧シートの単位厚さ当たりの5%伸長時応力は、MD:2200N/5cm、CD:1200N/5cmであった。また、得られた耐圧シートを用いて作製した流体分離素子における分離膜落ち込み量は不織布方向タテ:29μm、不織布方向ヨコ:35μmであった。
【0047】
(実施例5)
重量平均分子量が15万でQ値(Mw/Mn)が1.51、融点が168℃であるポリ(L−乳酸)樹脂を、230℃で溶融し、口金温度235℃で細孔より紡出した後、エジェクターにより紡糸速度4300m/分で紡糸して円形断面フィラメントとし、移動するネットコンベアー上に繊維ウエブとして捕集した。捕集したウエブを、上下1対のフラットロールでフラットロール表面温度150℃、線圧60kg/cmの条件で熱圧着し、構成フィラメントの単繊維繊度が1.1dtex、目付60g/m、厚さ0.09mmのスパンボンド不織布を製造し、耐圧シートを得た。得られた耐圧シートの単位厚さ当たりの5%伸長時応力は、MD:1765N/5cm、CD:706N/5cmであった。また、得られた耐圧シートを用いて作製した流体分離素子における分離膜落ち込み量は不織布方向タテ:33μm、不織布方向ヨコ:41μmであった。
【0048】
【表1】

【0049】
得られた耐圧シートの特性は、表1に示したとおりであるが、実施例1、2および4の耐圧シートは、いずれも単位厚さ当たりの5%伸長時応力が縦方向、横方向ともに800N/5cm・mm以上であり、方向性を問わず機械的強度に優れ、耐圧シートとして適したものであった。また実施例3および5の耐圧シートは、いずれも単位厚さ当たりの5%伸長時応力が横方向は800N/5cm・mm未満であったものの縦方向は800N/5cm・mm以上であり、流体分離素子内に配する際の方向性に留意することで、耐圧シートとして優れた機能を発現するものであった。
【0050】
(比較例1)
繊度が1.5dtex、長さが10mの延伸ポリエチレンテレフタレート短繊維と、繊度が2.5dtex、長さが10mmの延伸ポリエチレンテレフタレート短繊維と、繊度が1.8dtex、長さが5mmの未延伸ポリエチレンテレフタレート短繊維を、水中においてそれぞれ20:40:40の重量比率で混合した後、十分に分散し、繊維濃度0.05%の水性スラリーを調整した。これを円網抄紙機に送り、抄造後に温度120℃のヤンキードライヤーで乾燥して巻き取って、抄造ウエブを製造した。上記で得られた抄造ウエブを上側がスチールロール、下側がコットン製ロールの1対のフラットロールを用い、上側のスチールロールのみを温度130℃に加熱し、線圧130kg/cmで熱圧着し、目付50g/m、厚さ0.09mmの抄紙不織布を製造し、耐圧シートを得た。得られた耐圧シートの単位厚さ当たりの5%伸長時応力は、MD:789N/5cm、CD:244N/5cmであった。また、得られた耐圧シートを用いて作製した流体分離素子における分離膜落ち込み量は不織布方向タテ:33μm、不織布方向ヨコ:54μmであった。
【0051】
得られた耐圧シートの特性は、表1に示したとおりであるが、比較例1の耐圧シートは、単位厚さ当たりの5%伸長時応力が縦方向、横方向ともに800N/5cm・mm未満であり、機械的強度に劣り耐圧シートとして適したものではなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性連続フィラメントより構成される長繊維不織布からなることを特徴とする耐圧シート。
【請求項2】
縦方向の単位厚さ当たりの5%伸長時応力が800〜3500N/5cm・mmであることを特徴とする請求項1に記載の耐圧シート。
【請求項3】
横方向の単位厚さ当たりの5%伸長時応力が800〜1800N/5cm・mmであることを特徴とする請求項1または2記載の耐圧シート。
【請求項4】
前記熱可塑性連続フィラメントが、高融点重合体の周りに、該高融点重合体の融点よりも10〜140℃低い融点を有する低融点重合体を配した複合型フィラメントであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の耐圧シート。
【請求項5】
前記熱可塑性連続フィラメントが、ポリエステル系重合体よりなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の耐圧シート。
【請求項6】
前記熱可塑性連続フィラメントの繊度が、0.1〜3.0dtexであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の耐圧シート。
【請求項7】
目付が20〜150g/m、厚さが0.03〜0.20mmであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の耐圧シート。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の耐圧シートを含むことを特徴とする流体分離素子。

【公開番号】特開2009−57654(P2009−57654A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−225256(P2007−225256)
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】