説明

耐引掻性被覆され、高透明性を有するポリカーボネート、その製造法及びその使用

本発明は、少なくとも1種の放射線硬化性のバインダー(A)及び/又は反応性希釈剤(C)、ナノ粒子(B)、場合による溶剤及び少なくとも1種の光安定剤(L)を含有している透明な被覆剤を、ポリカーボネート基材上に適用することにより、殊に透明なポリカーボネート基材を被覆する方法に関し、前記被覆剤は、1分子当たり平均して少なくとも1個の、ウレタン基を介して結合したエチレン系不飽和基を有している、光安定剤(L)少なくとも1種を含有していることを特徴としている。更に本発明の課題は、この方法で使用される被覆剤並びにこの方法によって得られる被覆されたポリカーボネート基材並びにその使用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種の放射線硬化性バインダー(A)及び/又は反応性希釈剤(C)、ナノ粒子(B)、場合による溶剤及び少なくとも1種の光安定剤(L)を含有している被覆剤を、ポリカーボネート基材上に適用することによって、ポリカーボネート基材を被覆する方法、このために好適な被覆剤、並びにこの方法により得られる被覆されたポリカーボネート基材に関する。
【0002】
例えばプレート、窓、眼鏡ガラス、光学レンズ又は自動車−及び飛行機板ガラスを製造するためのガラス代替材料として、数年来、透明なプラスチックスの使用が増えている。殊にポリカーボネート及びポリメチルメタクリレートをベースとするプラスチックが確立している。
【0003】
このようなプラスチックの使用は、殊に自動車分野にとって重要である。それというのも、プラスチックを用いて、加工材料としてのガラスを用いて実現されてないか又は代替え不可能な高価な費用を用いてのみ実現できるような成形体が具現化できるからである。ポリカーボネートは、例えば自動車ヘッドランプのガラス化のために急速に普及している。
【0004】
容易な成形可能性と並んで、ポリカーボネートのようなプラスチックの重要な利点は、勿論、このプラスチックがガラスと比べて本質的に小さい比重を有して、例えば車両重量を明らかに減少させることができることにもある。
【0005】
更に、ポリカーボネートは、ガラスよりも良好な粘弾性であり、従って砕石との衝突を、エネルギー散逸によって良好に吸収することができる。しかしながら、プラスチックの場合には、ガラスに比べて低い硬度を有することが欠点である。
【0006】
これによって、外部機械的毀損に対する低い安定性及びそれに伴う低い耐引掻性及び低い耐摩耗性が生じる。従って、このような材料の使用のためには、摩耗及び引掻きに対して保護する状況が強く要求される。
【0007】
正に、自動車用ガラスの分野では、なお、規格ECE43、ASTM1044、ASTM1003により規定されている厳しい要求が存在する。
【0008】
摩耗試験(Taber-Testsを用いて試験される)で優れた結果を示す耐引掻性層を有するポリカーボネートの被覆を得るために、種々異なる組成を有するポリマー系を使用することができる。
【0009】
この目的のために、種々のゾル−ゲル−系が、特にプラズマ−法の援助と共にも使用されている。これらの系は、屡々、変性されたシラン及びアルコキシドから加水分解法及び縮合法によって製造される。これらの系の反応性に基づき、塗料混合物の貯蔵安定性は一般に非常に短かい。更に、このような系での安定性は、大抵、高い固体分の調節を困難にする。
【0010】
更に、ポリカーボネート基材の被覆のために、放射線硬化可能な被覆剤も使用されている。例えば、US−A−6420451中には、光学的基材、例えば種々のプラスチック基材、例えばポリカーボネートからのレンズの被覆のための放射線硬化可能な被覆剤が記載されている。この被覆剤は、1官能性アクリレートと並んでウレタンアクリレート及びコロイド状金属酸化物、殊にSiO−粒子を含有している。この被覆剤は、その金属酸化物の含分に基づき、良好な耐引掻性を有する被覆を生じさせ、更に種々の基材上の良好な付着性並びに光学レンズの被覆の場合の反射防止性被覆に対する良好な相容性をも有している。そこに記載の被覆剤は、更に好ましく、なお慣用の光安定剤をも含有している。いずれにせよ、光安定剤のバインダーとの良好な相容性を確保するために(このことは、生じる被覆の非常に良好な透明性にとっても重要である)、光安定剤としての2,2’,4,4−テトラヒドロキシベンゾフェノンの使用のみが推奨されている。しかしながら、生じる被覆の非常に高い透明性が他の光安定剤を用いてどの程度達成できるかという記載も、生じる被覆の非常に良好な耐候性がどの程度達成できるかという記載も、同様に欠けている。
【0011】
更に、WO06/028518中には、少なくとも1種の放射線硬化可能な(メタ)アクリレート、無機ナノ粒子、殊に粒径5〜80nm及び狭い粒度分布を有する表面変性されたSiO−ナノ粒子;場合による反応性希釈剤及び場合による光安定剤を含有している、UV硬化可能な被覆剤が記載されている。エチレン系二重結合を有しない飽和の光安定剤が好ましく使用されている。この被覆剤は、良好な耐摩耗性を有する被覆、殊にプラスチック基材、例えば道路反射板又は良好な安定性を有する被覆、例えばオイルフィルター用の濾紙の被覆の製造のために使用されている。しかしながら、このWO06/028518中にはポリカーボネート基材は記載されていない。
【0012】
前記のように、ポリカーボネートの被覆のために好適な被覆剤は、耐引掻性被覆に硬化可能であるべきであるばかりでなく、更にこれは、水中での貯蔵による負荷の後にも、非常に良好な光学的特性及び非常に良好な付着性を有する透明な被覆をも生じるべきである。いかにして、この被覆された基材の耐引掻性と並んで必要な透明性並びにポリカーボネート上への良好な付着を達成することのできるかについての情報は、相応して、このWO06/028518中には含まれていない。
【0013】
ところで、WO01/64803から、殊に少なくとも1種の光安定剤を重合導入されて含有している(メタ)アクリレートコポリマー少なくとも1種を含有しているクリアコート塗装の製造用の被覆剤が公知である。これによれば、この被覆剤は、慣用の光安定剤を有する相応する被覆剤に比べて改良された透明性及び耐候性を有している。この場合に、そこに記載の光安定剤は、そのエステル官能基を介して結合している(メタ)アクリレート基(即ち、これは、光安定剤のヒドロキシル基と(メタ)アクリル酸との反応を介して導入された)を有している。この光安定剤は優先的にバインダー中に既に取り込まれている、即ち(メタ)アクリレート基は、この被覆剤の架橋の前に既に反応し終わっている。ポリカーボネート基材は、この刊行物中にも記載されていない。同様に、ここにも、いかにして自動車クリアコート塗装に比べて生成被覆のどの程度の高い透明性を確保することができるかに関する記載も欠けている。
【0014】
発明が解決しようとする課題
従って本発明は、ポリカーボネート基材の被覆のために好適である被覆剤を提供することを課題としている。従ってこの被覆剤は、高い透明性及び低い灰白濁性(それぞれ、BYK-Gardner Geraetes Haze-gard Plus C4725を用いて測定される、非負荷被覆のヘイズ−値は1を下回り、好ましくは0.8を下回る)及び低い黄色値(それぞれ、NORM ASTM E313に従い測定される、非負荷時の被覆の黄色値は2.5を下回る、好ましくは1.5を下回る)を有する、硬化された被覆を生じるべきである。
【0015】
更にこの被覆剤は、水中での貯蔵による負荷の後の、殊に、ASTM 870−02及びISO 2812−12による、いわゆる水中貯蔵試験でも、ポリカーボネート基材上への非常に良好な付着性(殊にASTM D3359及びISO 2409に従がう接着テープ剥離を用いて測定)を有する硬化された被覆を生じるべきである。
【0016】
更にこの被覆剤は、良好な耐候性、殊に促進耐候性試験PV3990で、詳細VW PV−3920Nov03及び/又はCAM 180−テスト(DIN EN ISO 11341 Feb 98 及びDIN EN ISO 4892−2 Nov 00による)に従い測定される、良好な耐候性を有する、硬化された被覆を生じるべきである。更にこの被覆剤は、良好な耐引掻性及び耐摩耗性を有する、硬化された被覆を生じるべきである。
【0017】
最後に、この被覆剤は、取り扱い容易であり、かつ良好な加工粘度並びに良好な流展性を有すべきである。
【0018】
課題を解決するための手段
前記の課題に対して、少なくとも1種の放射線硬化性バインダー(A)及び/又は反応性希釈剤(C)、ナノ粒子(B)、場合による溶剤及び少なくとも1種の光安定剤(L)を含有している透明被覆剤を、ポリカーボネート基材上に適用する方法で、殊に透明なポリカーボネート基材を被覆する方法が発見され、この方法は、前記被覆剤が、1分子当たり平均して少なくとも1個の、ウレタン基を介して結合したエチレン系不飽和基、殊にウレタン基を介して結合したアクリレート−又はメタクリレート基又はアクリレート−及びメタクリレート基を有している、光安定剤(L)少なくとも1種を含有していることを特徴としている。
【0019】
更に本発明の課題は、この方法で使用される被覆剤、並びにこの方法により得られる被覆されたポリカーボネート基材並びにそれらの使用である。
【0020】
技術水準の観点から、当業者にとっては、本発明の基礎になっているこれらの課題を本発明による方法を用いて解決されたことは意想外であり、予測できることではかった。
【0021】
殊に本発明により使用されている、ウレタン基を介して結合したエチレン系不飽和基、殊にアクリレート−又はメタクリレート基を有する光安定剤によって生じる被覆の、非負荷時の黄色値も、露候後に生じる被覆の黄色値も、非変性ヒドロキシル基含有光安定剤又はアクリレート−又はメタクリレート基がそのエステル官能基を介して光安定剤に結合されている光安定剤を含有している、相応する被覆剤から得られる被覆の場合よりも、明らかに低いことは、殊に意想外のことである。殊に非負荷時の被覆の黄色値は、2.5を下回っている、好ましくは1.5を下回っている(それぞれ、NORM ASTM E 313に従い測定)。
【0022】
更に本発明による被覆剤は、灰白濁性なしに、即ち1を下回る、好ましくは0.8を下回る低いヘイズ値(それぞれ、BYK-Gardner Geraetes Haze-gard plus C4725を用いて測定)を有する、透明な被覆に硬化されることができる。
【0023】
更に、本発明により使用されている、ウレタン基を介して結合しているアクリレート−又はメタクリレート基を有する光安定剤によって、得られる被覆の、水中貯蔵後のポリカーボネート基材上への付着性並びに生じる被覆の耐候性が、非変性のヒドロキシル基含有光安定剤又はアクリレート−又はメタクリレート基がそのエステル官能基を介して光安定剤に結合している光安定剤を含有している被覆剤をベースとしている相応する被覆の場合よりも明らかに良好であることは、有利である。
【0024】
更に本発明により得られる被覆は、良好な耐引掻性及び耐摩耗性によって優れている、即ち、ポリカーボネート基材及び被覆からの複合材は、Taber−テストの要件を満足している。更に本発明により使用されている被覆剤は、取り扱い容易であり、かつ良好な加工粘度並びに良好な流展性を有することで優れている。
【0025】
発明の開示
本発明により使用される被覆剤
光安定剤(L)
被覆剤が、1分子当たり平均して少なくとも1個の、ウレタン基を介して結合したエチレン系不飽和基を有している光安定剤(L)少なくとも1種を含有していることは、本発明にとって重要である。市販の光安定剤で通常の(メタ)アクリレート基のエステル官能基を介するUV反応性基の結合とは対照的に、ウレタン基を介するエチレン系不飽和基の本発明による結合は、生成被覆の非負荷時のヘイズ値及び黄色値も、生成被覆の露侯後のヘイズ値及び黄色値も、明らかにより低い結果をもたらしている。
【0026】
この被覆剤が、光安定剤100g当たりウレタン基を介して結合したエチレン系不飽和基1.0〜20.0g、殊に光安定剤100g当たりウレタン基を介して結合したエチレン系不飽和基3.0〜15.0gを有している光安定剤(L)少なくとも1種を含有していることは有利である。この場合に、光安定剤のウレタン基を介して結合したエチレン系不飽和基の含有率は、NMRスペクトル分光法を用いて、例えばFirma Varian社のスペクトロメーターDirect Drive 500を用いて実験的に好ましく測定される。三重測定の分野では、このために、それぞれ分析試料150mgを、内部標準としてのテレフタル酸ジメチルエステル1mgの添加下に、CDCl各1ml中に溶かして、分光分析される。
【0027】
二重結合含分の評価は、公知方法により、理想的構造の想定及び全構成成分の完全な変換率の想定下に、かつ構成成分を示すパラメータ、例えば場合による分子量、イソシアネート含有率、二重結合含有率及び光安定剤のイソシアネート基に対する反応性基の含有率を考慮して、理論的に行うこともできる。
【0028】
この場合には一般的に、生じる被覆の耐引掻性は、光安定剤のエチレン系不飽和基の含有率上昇に伴い増加する。
【0029】
1分子当たり平均して少なくとも1個の、ウレタン基を介して結合したアクリレート−又はメタクリレート基を有している本発明による光安定剤(L)を使用することが好ましい。光安定剤100g当たりそれぞれウレタン基を介して結合したアクリレート−又はメタクリレート基又はアクリレート−及びメタクリレート−基1.0〜20.0g、殊にそれぞれウレタン基を介して結合したアクリレート−又はメタクリレート基又はアクリレート−及びメタクリレート−基3.0〜15.0gを含有している、本発明による光安定剤(L)が、特別好ましく使用される。
【0030】
本発明により使用される光安定剤(L)の例としては、ウレタン基を介して結合したエチレン系不飽和基、殊にアクリレート−及び/又はメタクリレート基を平均して少なくとも1個を有している、立体障害アミン及び/又はUV−吸収剤、例えばトリアゾール、トリアジン、ベンゾフェノン、オキサルアニリドをベースとする、相応する放射線硬化性光安定剤並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0031】
この被覆剤は、光安定剤(L)として、立体障害アミンをベースとする光安定剤(L1)及びUV−吸収剤をベースとする光安定剤(L2)からの混合物を含有することが好ましく、この際、
(i) 光安定剤(L1)又は
(ii) 光安定剤(L2)又は
(iii) 光安定剤(L1)及び光安定剤(L2)
は、1分子当たり平均して少なくとも1個の、ウレタン基を介して結合したエチレン系不飽和基、殊にウレタン基を介して結合したアクリレート基又はメタクリレート基又はアクリレート基をもメタクリレート基をも含有している。光安定剤(L)又は光安定剤(L1)又は光安定剤(L2)は、又は光安定剤(L1)も光安定剤(L2)も、それぞれ、光安定剤100g当たり、ウレタン基を介して結合したアクリレート−又はメタクリレート基又はアクリレート−及びメタクリレート基を1.0〜20.0g、殊にそれぞれ、ウレタン基を介して結合したアクリレート−又はメタクリレート基又はアクリレート−及びメタクリレート基を3.0〜15.0gを含有することが好ましい。
【0032】
この被覆剤は、光安定剤(L)として、立体障害アミンをベースとする光安定剤(L1)及びUV−吸収剤をベースとする光安定剤(L2)からの混合物を含有することが特別好ましく、この際、光安定剤(L1)及び光安定剤(L2)は、それぞれ、ウレタン基を介して結合したアクリレート−又はメタクリレート基又はアクリレート−及びメタクリレート基を含有している。
【0033】
更に、少なくとも1種の光安定剤を含有している被覆剤が好ましく、この際、アクリレート−又はメタクリレート基又はアクリレート−及びメタクリレート基は、
次の工程:
(i)イソシアネート基に対して反応性の基(LG)少なくとも1個を有する光安定剤(L'')又はイソシアネート基に対して反応性の基(LG)少なくとも1個を有する光安定剤(L1'')又はイソシアネート基に対して反応性の基(LG)少なくとも1個を有する光安定剤(L2'')又はイソシアネート基に対して反応性の基(LG)少なくとも1個を有する光安定剤(L1'')及びイソシアネート基に対して反応性の基(LG)少なくとも1個を有する光安定剤(L2'')からの混合物を、イソシアネート基含有化合物(V)と反応させる工程及び
(ii)工程(i)で得られたイソシアネート基含有光安定剤(L’)もしくは(L1’)もしくは(L2’)を、アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル又はメタクリル酸のヒドロキシアルキルエステルと、又はアクリル酸のヒドロキシアルキルエステル及びメタクリル酸のヒドロキシアルキルエステルからの混合物と反応させる工程
によって、光安定剤中に導入されている。
【0034】
イソシアネート基に対して反応性の基(LG)少なくとも1個を有する光安定剤(L'')としては、例えば、イソシアネート基に対して反応性のヒドロキシル基及び/又はアミノ基少なくとも1個、好ましくはヒドロキシル基を有している光安定剤が好適である。殊に、ヒドロキシル基含有立体障害アミン並びにヒドロキシル基がUV−吸収性単位に結合していない、ヒドロキシル基含有UV−吸収剤、例えば相応するヒドロキシル基含有トリアゾール、ヒドロキシル基含有トリアジン、ヒドロキシル基含有ベンゾフェノン及びヒドロキシル基含有オキサルアニリドが挙げられる。
【0035】
従って、立体障害アミンをベースとするヒドロキシル基含有光安定剤(L1'')としては、例えば次のものが好適である:2,4−ビス[N−ブチル−N−(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ]−6−(2−ヒドロキシエチルアミン)−1,3,5−トリアジン(Firma Ciba Speciality Chemicalsの市販の光安定剤Tinuvin(登録商標)152)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)−2−ブチル−2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルベンジル)プロパンジオエート(Firma Ciba Speciality Chemicalsの市販の光安定剤Tinuvin(登録商標)144)及び/又はブタンジカルボン酸−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノール−ポリマー(Firma Ciba Speciality Chemicalsの市販の光安定剤Tinuvin(登録商標)622LD)。
【0036】
ヒドロキシル官能基がUV−吸収性単位に結合されていない、UV−吸収剤をベースとしているヒドロキシル基含有光安定剤(L2'')としては、例えば次のものが好適である:ヒドロキシフェニルトリアジン、例えば2−[4−[(2−ヒドロキシ)−3−ドデシルオキシプロピル]オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス−(2,4)−ジメチルフェニル−1,3,5−トリアジン及び2−[4−[(2−ヒドロキシ)−3−トリデシルオキシプロピル]オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス−(2,4)−ジメチルフェニル−1,3,5−トリアジンからの混合物(Firma Ciba Speciality Chemicalsの市販の光安定剤Tinuvin(登録商標)400)、2−[4−[(2−ヒドロキシ)−3−(2’−エチル)ヘキシル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス−(2,4)−ジメチルフェニル−1,3,5−トリアジン(Firma Ciba Speciality Chemicalsの市販の光安定剤Tinuvin(登録商標)405)、β−[3−(2−H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル]−プロピオン酸−ポリ(エチレングリコール)300−エステル及びビス{β−[3−(2−H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシ−5−t.ブチルフェニル]−プロピオン酸−ポリ(エチレングリコール)300−エステルからの混合物(Firma Ciba Speciality Chemicalsの市販の光安定剤Tinuvin(登録商標)1130)。
【0037】
工程(i)におけるイソシアネート基含有化合物(V)との反応のために、
(i)ヒドロキシル基含有光安定剤(L1'')が、2,4,−ビス[N−ブチル−N−(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ]−6−(2−ヒドロキシエチルアミン)−1,3,5−トリアジン(Firma Ciba Speciality Chemicalsの市販の光安定剤Tinuvin(登録商標)152)であり、
及び/又は
(ii)イソシアネート基に対して反応性の基(LG)少なくとも1個を有する光安定剤(L2'')が、2−[4−[(2−ヒドロキシ)−3−ドデシルオキシプロピル]オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス−(2,4)−ジメチルフェニル−1,3,5−トリアジン及び2−[4−[(2−ヒドロキシ)−3−トリデシルオキシ−プロピル]オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス−(2,4)−ジメチルフェニル−1,3,5−トリアジンからの混合物(Firma Ciba Speciality Chemicalsの市販の光安定剤Tinuvin(登録商標)400)である
場合に、特別好ましい被覆剤が得られる。
【0038】
イソシアネート基含有化合物(V)としては、原則的に全ての自体公知の置換された又は非置換の芳香族、脂肪族、脂環式及び/又はヘテロ環式イソシアネートが好適である。殊にイソシアネート基含有化合物(V)として、1分子当たり平均して少なくとも2個のイソシアネート、殊に1分子当たりイソシアネート基2〜8個及び全く特別好ましくは1分子当たりイソシアネート基2超〜4個までを有するような化合物が使用される。
【0039】
好適な化合物(V)の例は次のものである:2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ビフェニルジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニレンジイソシアネート、テトラメチレン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサン−1,6−ジイソシアネート、イソホロン−ジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、1,12−ドデカンジイソシアネート、シクロブタン−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキサン−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキシルジイソシアネート、ヘキサヒドロトルエン−2,4−ジイソシアネート、ヘキサヒドロトルエン−2,6−ジイソシアネート、ヘキサヒドロフェニレン−1,3−ジイソシアネート、ヘキサヒドロフェニレン−1,4−ジイソシアネート、ペルヒドロジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、4,4’−メチレンジシクロヘキシルジイソシアネート(例えば、Fa.Bayer AGのDesmodur(登録商標)W)、テトラメチルキシリルジイソシアネート(例えば、Fa.American CyanamidのTMXDI(登録商標))及び前記ポリイソシアネートの混合物。更に好適な化合物(V)は、前記ジイソシアネートのビウレットダイマー、ウレトジオン、アロファネート及びイソシアヌレート−トリマーである。脂肪族及び/又は脂環式ジイソシアネート及びこれらのビウレット−ダイマー、ウレトジオン、アロファネート及びイソシアヌレート−トリマーが好ましく使用される。特別好ましい化合物(V)は、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート及び4,4’−メチレンジシクロヘキシルジイソシアネート、これらのビウレット−ダイマー及び/又はイソシアヌレート−トリマーである。
【0040】
生じる被覆の耐引掻性の改良のために、殊に、それぞれイソシアネート基に対して反応性の基(LG)少なくとも1個を有する光安定剤(L'')もしくは(L1'')もしくは(L2'')との反応のために、1分子当たり平均して少なくとも1個のエチレン系不飽和二重結合を有するイソシアネート基含有化合物(V’)を使用することもできる。当然、イソシアネート基に対して反応性の基(LG)少なくとも1個を有する光安定剤(L'')又はイソシアネート基に対して反応性の基(LG)少なくとも1個を有する光安定剤(L1'')又はそれぞれイソシアネート基に対して反応性の基(LG)少なくとも1個を有する光安定剤(L2'')又はイソシアネートに対して反応性の基(LG)少なくとも1個を有する光安定剤(L1'')及び光安定剤(L2'')からの混合物を、飽和イソシアネート基含有化合物(V)及び1分子当たり平均して少なくとも1個のエチレン系不飽和二重結合を有しているイソシアネート基含有化合物(V’)からの混合物と反応させることも可能である。
【0041】
この場合に、1分子当たり平均して2〜8個のエチレン系不飽和二重結合、殊に1分子当たり平均して2〜4個のエチレン系不飽和二重結合を有する化合物(V’)が好ましく使用される。
【0042】
1分子当たり平均して少なくとも1個のエチレン系不飽和二重結合を有している好適なイソシアネート基含有化合物(V’)の例としては、全ての相応するオリゴマー及び/又はポリマー化合物、例えば不飽和のイソシアネート基含有ポリエステルアクリレート及びポリエステルメタクリレート、ポリカーボネート、ウレタンアクリレート及びウレタンメタクリレート、不飽和イソシアネート基含有ポリシロキサン等が好適である。ウレタンアクリレート及び/又はウレタンメタクリレートが好ましく、この際には殊に、脂肪族ウレタンアクリレート及び/又は脂肪族ウレタンメタクリレートが使用される。
【0043】
工程(i)で得られるイソシアネート基含有光安定剤(L’)及び/又はイソシアネート基含有光安定剤(L1’)及び/又は(L2’)は、引き続きもう一つの工程で、エチレン系不飽和モノ−及び/又はジ−及び/又はポリカルボン酸のヒドロキシアルキルエステルと反応される。好適なヒドロキシアルキルエステルの例としては、アクリル酸及び/又はメタクリル酸と、フマル酸、クロトン酸及び/又はマレイン酸と飽和又は不飽和のジオール及び/又はポリオールとのエステルが挙げられる。
【0044】
工程(i)で得られるイソシアネート基含有光安定剤(L’)及び/又はイソシアネート基含有光安定剤(L1’)及び/又は(L2’)を、アクリル酸及び/又はメタクリル酸のヒドロキシアルキルエステルと、特別好ましくはヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、ペンタエリスリットジアクリレート、ペンタエリスリットジメタクリレート、ペンタエリスリットトリアクリレート、ペンタエリスリットトリメタクリレート又はこれらの混合物と反応させることが好ましい。
【0045】
本発明による被覆剤は、通常は、光安定剤(L)2.5〜60.0質量%、好ましくは5.0〜40.0質量%、特別好ましくは10.0〜30.0質量%又は光安定剤(L1)2.5〜60.0質量%、好ましくは5.0〜30.0質量%、特別好ましくは5.0〜15.0質量%及び/又は光安定剤(L2)2.5〜60.0質量%、好ましくは5.0〜30.0質量%、特別好ましくは5.0〜150.0質量%を含有し、ここで、全ての質量%は、それぞれバインダー(A)の質量とナノ粒子(B)の質量と場合により使用された反応希釈剤(C)の質量の足したものに対している。
【0046】
勿論、光安定剤(L)と一緒に、又は光安定剤(L1)と一緒に、又は光安定剤(L2)と一緒に、又は光安定剤(L1)及び(L2)と一緒に、なお、ウレタン基を介して結合したエチレン系不飽和基を有していない他の光安定剤(L3)1種以上を使用することも可能である。他の光安定剤(L3)としては、全ての慣用の光安定剤を使用することができる。これらの他の光安定剤(L3)は、飽和又は不飽和であってよいが、この際には、エチレン系不飽和光安定剤(L3)を使用することが好ましい。典型的に、このエチレン系不飽和光安定剤(L3)では、二重結合はエステル基を介して結合している。
【0047】
好適な他の光安定剤(L3)の例としては、既に前記の、立体障害アミンをベースとする非変性のヒドロキシル基含有光安定剤(L1'')並びにUV−吸収剤をベースとする非変性のヒドロキシル基含有光安定剤(L2'')が挙げられる。好適なエチレン系不飽和光安定剤(L3)の例としては、(2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(Firma Ciba Speciality Chemicalsの市販の光安定剤Tinuvin(登録商標)R796)、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート(Firma Adeka Palmaroleの立体障害アミンADK STAB LA−87をベースとする市販の光安定剤)並びにWO01/64803中に挙げられているエチレン系不飽和光安定剤(a1)〜(a4)が挙げられる。
【0048】
しかしながら、全ての使用光安定剤がエチレン系不飽和二重結合を有する場合、即ちこの被覆剤が、光安定剤として本発明による光安定剤(L)又は(L1)又は(L2)又は(L1)+(L2)並びに場合によるエチレン系不飽和光安定剤(L3)を含有する場合にのみ、特別好ましい被覆剤が得られる。もっぱら本発明による光安定剤(L)又は(L1)又は(L2)又は(L1)+(L2)を含有している被覆剤が全く特別好ましい。
【0049】
放射線硬化可能なバインダー(A)
原則的に、放射線誘起されて重合に達しうる全てのオリゴマー又はポリマーは、いわゆるプレポリマーとして使用可能である。このようなバインダー成分(A)は、有利には少なくとも2個のエチレン系不飽和末端基を有する。エチレン系不飽和末端基としては、例えばアクリレート基又はメタクリレート基が好適である。ここでは、少なくとも2個のエチレン系不飽和末端基は同じ又は異なるものであることができる。UV−硬化性系のためにアクリレート基は好ましい末端基である一方で、メタクリレートは屡々電子線によって硬化される。
【0050】
エチレン系不飽和末端基の数は、2〜20、特別好ましくは2〜14、全く特別好ましくは2〜9、最適には2〜8であることが好ましい。エチレン系不飽和末端基は、バインダー分子内で同じ又は異なるものであることができ、即ち、例えばアクリレート基がメタクリレート基又は他のエチレン系不飽和基と共に存在することができる。
【0051】
バインダーのエチレン系不飽和末端基として、アクリレート基及び/又はメタクリレート基が存在する場合には、このバインダーの構造は、一般式(I)によって表すことができる:
【化1】

[式中、基Rは相互に無関係に、水素又はメチル基を表し、nは1〜19であり、Aは(n+1)価のオリゴマー又はポリマー基を表す]。Aは、有利に、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリメラミン、ポリアロファネート、ポリイソシアヌレート、ポリエポキシド及びポリシロキサンの群から選択される。nの値は有利には1〜19、好ましくは1〜13、特別好ましくは1〜8、全く特別好ましくは1〜7である。
【0052】
本発明の方法で製造された被覆されたポリカーボネート基材は、全ての基Aについて高められた耐引掻性を有している。式中のAがポリウレタン基、ポリエステル基、ポリアロファネート基又はポリイソシアヌレート基を表すような、一般式(I)のバインダーが、付加的な耐化学薬品性に関して特別有利である。付加的な耐候性に関連して、基Aとしては殊にポリウレタンが好ましい。
【0053】
一般式(I)の樹脂は、一般に放射線硬化性のアクリレート−又はメタクリレート樹脂と称される。典型的なアクリレート−又はメタクリレート樹脂とは対照的に、この放射線硬化性樹脂は、少なくとも2個の末端位炭素−二重結合を有する。本明細書中で、「末端位」又は「末端」とは、一方で、もっぱら線状の2価の基Aの場合には、分子中のα位を意味するが、他方で、Aが櫛型及び樹枝型構造の場合には、コーム末端(Kamm-Enden)又はアーム末端(Arm-Enden)も、概念「末端位」もしくは「末端」に包含される。
【0054】
一般式(I)の化合物は、基Aから誘導されたプレポリマーへの末端位アクリル−又はメタクリル酸基の取り込みによって得られる。基Aが末端位ヒドロキシル基を含有している場合には、アクリル酸もしくはメタクリル酸が、エステル結合の形成下に縮合されうる。Aが末端位アミノ基を有する場合には、エステル結合の代わりにアミド結合が生じる。原則的にこの分野の専門家にとって全ての慣用の結合戦略が使用可能である。例えば基Aの末端位イソシアネート基をアクリル酸又はメタクリル酸のヒドロキシエステルと反応させることができる。アクリル酸又はメタクリル酸のカルボキシル基とエポキシ基との間の付加反応も可能である。この場合には、再びヒドロキシ基が生じ、これがアクリル酸又はメタクリル酸又はこれらの酸クロリドと反応し易い。
【0055】
少なくとも2個のエチレン系不飽和末端基を有する、UV−照射によって有利にラジカル架橋するバインダーの例は、多重アクリル−及び/又は多重メタクリル−官能化ポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリメラミン、ポリアロファネート、ポリイソシアヌレート、ポリオキシド及びポリシロキサン及びこれらのオリゴマー形並びにこれらの混合形、例えば混合ポリエステルウレタンである。ここで、「多官能性」とは少なくとも「二官能性」であることを意味する。
【0056】
従って、例えば多アクリレート官能化バインダーは、例えばエポキシ−ジアクリレート(Firma SartomerのCraynor 132)、プロポキシル化されたペンタエリスリトール−トリアクリレート(Firma Cognis Deutschland GmbH & Co.KGのPhotomer 4171)、メラミン−ペンタアクリレート(Firma Akzo Nobel Chemical GmbHのActilane 890)、脂肪族ウレタン−ヘキサアクリレート−オリゴマー(Firma UCB GmbHのEbecryl(登録商標)1290)、脂肪族ウレタン−テトラアクリレート−オリゴマー(Firma CraynarのSartomer(登録商標)CN 925)又はエステル−アクリレート(Firma UCB GmbHのDPHA)を使用することができる。
【0057】
バインダーのポリマー−又はオリゴマー−骨格Aの選択によって、即ち、例えばポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリメラミン、ポリアロファネート、ポリイソシアヌレート、ポリエポキシド又はポリシロキサンの選択によって、硬化された被覆の特性、殊にその耐化学薬品性、耐光性、粘靱性、付着力及び耐摩耗性に影響を及ぼすことができる。前記の特性の組み合わせに関して、特にポリウレタン、ポリエステル及びポリエーテルの、その中で全く特別に、ポリウレタン及びポリエステルが好ましいことが立証され、そこで、ポリウレタン及びポリエステルが全く特別好ましい。その構築様式に関して、一般式(I)の線状化合物と並んで、櫛状又は特に樹枝状構造を有するものもこれに該当する。式(I)の化合物としては、殊に樹枝状構造及び末端位アクリル酸−もしくはメタクリル酸基を有するものも好ましい。ここで、そのオリゴマー骨格が樹枝状ポリエステルであるものも好ましい。このような化合物は、高い分子量の場合にも、比較的低い粘度によって優れており、高い架橋密度及び耐引掻性及び耐化学薬品性の改良を可能とする。更に、これら化合物は、急速硬化の際の非常に低い収縮によって優れている。
【0058】
アクリレート−及び/又はメタクリレート変性された樹枝状ポリエステルの使用の際に、例えばアミン系相乗剤、即ち窒素の隣にメチレン基を有するアミンが組成物中に存在する場合には、光重合開始剤(PI)の使用を殊に全く省略することができる。このアミン系相乗剤には、ラジカル形成下に酸素抑制(Sauerstoffinhibierung)を減少させる課題がある。結果的に、酸素遮断下に、例えば窒素雰囲気のような不活性ガス雰囲気下に硬化させる場合には、相乗剤の使用を放棄することができる。
【0059】
ナノ粒子(B)
ナノ粒子(B)としては、殊に、1〜500nm、有利には3〜100nm、特別好ましくは5〜50nm、全く特別好ましくは5〜30nmの平均粒径の酸化物系無機ナノ粒子が好適である。勿論ナノ粒子はナノメーター範囲の平均粒径を有し、これによって、これは、マイクロメーター範囲(例えば1μm以上)の平均粒径の粒子とは一線を画している。ここで、「酸化物系無機」とは、本質的に金属酸化物、例えば酸化アルミニウム又は半金属酸化物、例えば二酸化珪素からなるナノ粒子であると理解される。後者は、例えば珪酸アルカリ水溶液から、酸性化及び引き続く乾燥によって得ることができる。ハロゲン化珪素化合物の炎内加水分解により得られる、いわゆる熱分解法珪酸を使用することもできる。更に、有機官能性シランを加水分解し、かつ縮合させることが可能であり、この際には、水性又は水アルコール性珪酸ゾルが生じる。これから、例えば共沸蒸留によって水含分を除去することができる。平均粒径の測定は、有利に、動的光散乱測定(ALV−ゴニオメータ、測定角度90°、温度23℃)を用いて行うことができ、この場合に、結果の評価は、クムラント法(Cumlant-Methode)により行なわれる。
【0060】
しかしながら、その表面が縮合化合物で変性されているナノ粒子が特別好ましい。表面変性は、通常はナノ粒子表面に存在する基、例えばヒドロキシ基を、モノマー又はオリゴマー化合物に結合させることによって行われる。従って、これらのモノマー又はオリゴマー化合物は、ナノ粒子表面に存在する基に対して親和性の基少なくとも1個を有している。この結合は、例えば共有結合、イオン結合又は物理的吸着によって行われうる。モノマー又はオリゴマー化合物のナノ粒子表面への結合のために必要でない部分は、主に全て又は部分的に、ナノ粒子を包囲している媒体中に突出し、特に、一方のナノ粒子と他方の成分(A)及び/又は(C)との間の相容性を改良するために寄与する。このようなナノ粒子が好ましく使用される。
【0061】
表面変性のために使用されるモノマー又はオリゴマー化合物は、ナノ粒子の表面への結合のために必要である基と共に、例えばバインダー成分(A)と反応することのできる他の官能基をも含有することができる。このような表面変性は、例えば、エチレン系不飽和基を有する加水分解可能なシランを、酸化物系ナノ粒子、有利に珪酸又はSiO−ゾル又はSiO−ゾル−ゲルに添加することによって達成される。
【0062】
酸化物系無機シリカ−ナノ粒子の表面変性は、シランをナノ粒子表面上に縮合させることによって行うことができる。この場合に、このナノ粒子の製造は、珪酸アルカリ溶液から出発して、これの縮合を、酸性イオン交換体又は酸の影響下に、所望の粒径を生じるまで行い、次いで、場合によっては粒子の安定化の後に、シランを添加し、更にこれを(部分)加水分解して、この粒子の表面に縮合させることによって、行うことができる。生じたゾルから、場合によっては真空下に、(共沸)蒸留によって水性成分を除去する。
【0063】
表面変性されたシリカ−ナノ粒子は、例えば、Firma Bykから、Nanobykなる商品名で、又はFirma nano resins AG aus Geesthacht,Deutschlandから、Nanopol(登録商標)なる商品名で購入可能である。
【0064】
ナノ粒子(B)は、有利に溶剤中に分散されて使用される。
【0065】
場合により使用される溶剤及び/又は場合により使用される反応性希釈剤
本発明による方法で使用される被覆剤は、場合によってはなお溶剤を含有することができる。本発明により使用される被覆剤は、溶剤に加えて又は溶剤の代わりに、場合によりなお、反応性希釈剤(C)を含有することができる。この場合に、反応性希釈剤の使用は、エミッション回避(Emissionsvermeidung)の観点から好ましい。それというのも、反応性希釈剤は、成分(A)と共重合するからである。しかしながら、反応性希釈剤又は溶剤は、それらが溶剤及び/又は反応性希釈剤の使用混合物中で、又はこれらが混合されずに使用される場合には、それら自体がポリカーボネート基材に対して充分に光学的に不活性に挙動し、それらが特にその透明性に関して悪影響しないように、選択されるべきである。ここで、「不活性」とは、目視で認識可能な濁りが存在しないことを意味する。しかしながら、概念「不活性」は、溶剤及び/又は反応性希釈剤がポリカーボネート基材を合目的に膨潤する(これは、付着の改良に寄与することができる)ことを排除しない。溶剤及び/又は反応性希釈剤のもう一つの課題は、被覆剤の粘度低下と並んで、その中で、基材上での被覆剤組成物のできるだけ一様な流展性を可能とすることである。
【0066】
溶剤としては、殊にエタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、ソルベントナフサ、メチルエチルケトン、1−メトキシ−プロピルアセテート−2、アセトン又はテトラヒドロフランが好適であり、この際、殊に種々異なる溶剤の組み合わせ物が好ましい。溶剤エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン及び1−メトキシプロピルアセテート−2の組み合わせ物が特別好ましい。
【0067】
この場合に反応性希釈剤は、公知のような低分子量のエチレン系不飽和化合物、殊にモノマーのエチレン系不飽和化合物である。
【0068】
反応性希釈剤としては、例えば低分子量のアクリル酸エステル又はメタアクリル酸エステルを使用することができる。これには、例えば次のものが挙げられる:トリメチロールプロパン、ペンタエリスリット及びジペンタエリスリットのアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル、アルコキシル化されたグリセリントリアクリレート又はアルコキシル化されたグリセリントリメタクリレート、例えばプロポキシル化されたグリセリントリアクリレート又はプロポキシル化されたグリセリントリメタクリレート、トリス−(2−ヒドロキシエチル)イソ−シアノトリアクリレート、トリス−(2−ヒドロキシエチル)イソ−シアノトリメタクリレート、アクリル酸変性された炭酸エステル及びオキサゾリドン、イソボルニルアクリレート、テトラヒドロフリルアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ラウリルアクリレート、イソデシルアクリレート及びオクチルデシルアクリレート。
【0069】
本発明により使用される被覆剤の他の成分
本発明による方法で使用される被覆剤は、有利に光重合開始剤(PI)を含有することができる。既に記載のように、この光重合開始剤の添加は、その種類及び量に関しては使用バインダー(A)に依存し、樹枝状ポリエステルアクリレートの使用の場合には、むしろ中止することができる。しかしながら後者の場合には、被覆剤がアミン系相乗剤を含有する場合が有利である。
【0070】
光重合開始剤としては、殊に、α−ヒドロキシケトン、α−アミノケトン、フェニルグリオキシレート、ベンジルジメチルケタール、モノアシルホスフィン、ビスアシルホスフィン、ホスフィンオキシド、メタロセン及びヨードニウム塩からなる群からのものが好適である。好ましい例は、特に次のものである:1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン(Irgacure(登録商標)184)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノン(Irgacure(登録商標)1173)、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン(Irgacure(登録商標)127)、2−ヒドロキシ−1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メチル−1−プロパノン(Irgacure(登録商標)2959)、メチルベンゾイルホルマール(Darocure(登録商標)MBF)、ホスフィンオキシド、フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)(Irgacure(登録商標)819)及びジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイルホスフィンオキシド(Lucirin(登録商標)TPO)。
【0071】
本発明による被覆剤は、なお慣用のレベリング剤(Verlaufsmittel)、殊に不飽和の被覆剤中に慣用のレベリング剤を含有することが有利である。硬化処理の間にバインダーのエチレン系二重結合と反応することのできるエチレン系二重結合1個以上を有するレベリング調整剤を使用することが好ましい。このような好ましく使用されるレベリング剤の例としては、Byk UV 3570が挙げられる。
【0072】
前記の成分(A)及び/又は(C)、(B)、(L)、場合による(PI)及び場合による溶剤と並んで、本発明の方法で使用される被覆剤は、なお更なるクリアコートに典型的な添加剤、例えばレベリング剤、付着助剤、脱気剤及び湿潤剤を含有することもできる。
【0073】
成分(A)、(B)、(PI)並びにクリアコートに典型的な添加剤は、本発明の方法で使用される被覆剤に、溶解又は分散された形で添加されうる。このために使用される完全な被覆剤に関係するこれら成分の溶剤及び/又は反応性希釈剤は、反応性希釈剤(C)又は溶剤に分類される。即ち成分(C)には、他の成分を介して被覆剤中に達する反応性希釈剤も包含される。被覆の特別良好な流展性を保証し、これによって特別平滑な表面を得るために、本発明により使用可能な被覆剤に、市販のレベリング剤、例えばByk(登録商標)333、Byk(登録商標)310を添加することができる。このような添加物によってUV−塗料の表面張力が低下されて、相応する適用条件下での基材の良好な濡れが保証される。
【0074】
必要な場合には、基層(例えばポリカーボネート)及び/又はプライマーへの長時間接着を保証する付着助剤を使用することができる。この添加剤クラスの例は、塩素化されたポリオレフィン、酸性ポリエステル又は燐酸付加生成物である。塗料表面上の陥没(Kocher)をさけるために、場合によっては、脱気剤(Entluefter)の使用も必要である。このためには、市販の脱気剤、例えばByk−A500、Byk−A50、Byk−A515、BYK390、BYK 306、BYK315及びBYK356が好適である。
【0075】
本発明により使用される被覆剤は、有利に、成分(A)の質量とナノ粒子(B)の質量と場合により使用された反応性希釈剤(C)の質量を足したものに対して、次の成分を次の量で含有する:
(A)放射線硬化性バインダー(A)少なくとも1種 0〜95質量%、特別好ましくは10〜80質量%、全く特別好ましくは15〜60質量%、
(B)ナノ粒子(B) 5〜60質量%、特別好ましくは10〜55質量%、全く特別好ましくは30〜50質量%及び
(C)ポリカーボネートに対して不活性の反応性希釈剤少なくとも1種 0〜95質量%、特別好ましくは10〜70質量%、全く特別好ましくは10〜40質量%
(ここで、成分(A)の質量、ナノ粒子(B)の質量及び反応性希釈剤(C)の質量は合計すると常に100%である)。成分(A)と(B)と場合による反応性希釈剤からの合計質量に対して、二酸化珪素−ナノ粒子(B)5〜60質量%、好ましくは10〜55質量%、特別好ましくは30〜50質量%の量が使用される。
【0076】
溶剤が存在する場合には、これは、全被覆剤に対して80質量%までの量で含有することができる。
【0077】
結局、被覆剤は、有利に次のものを次の量で含有する:
光重合開始剤(PI)1種以上 0〜10、特別好ましくは1〜6、全く特別好ましくは2〜4質量%(この際、量記載は、バインダー(A)の合計質量と場合により使用された反応性希釈剤(C)の質量を足したものに対する)及び
更なるクリアコートに典型的な添加剤0〜15、特別好ましくは0.5〜10、全く特別好ましくは0.5〜5質量%、
(この際、量記載は、それぞれ被覆剤の合計質量に対する)。
【0078】
ポリカーボネート基材
本発明におけるポリカーボネート又はポリカーボネート基材としては、ホモポリカーボネートもコポリカーボネートも使用される。ポリカーボネートは、公知のように線状又は分枝していることができる。ホモポリカーボネート又はコポリカーボネートのカーボネート基の一部が、ジカルボン酸エステル基又は他のポリカーボネート相容性の基で置換されていることもできる。ジカルボン酸エステル基としては、芳香族ジカルボン酸エステル基が好ましい。ポリカーボネートが炭酸基と並んでジカルボン酸基を含有する場合には、用語ポリエステルカーボネートを使用することもでき、これも前記と同様にポリカーボネートの概念に入る。ジカルボン酸エステル基を含有している場合には、これは80モル%まで、有利には20〜50モル%の割合で存在することができる。
【0079】
ポリカーボネートは、文献中に公知の全ての方法によって製造することができる。ポリカーボネートを製造するための好適な方法は、例えばビスフェノールとホスゲンとからの相界面法又は均質相からの方法(ピリジン−法)による、又はビスフェノールと炭酸エステルとからの溶融エステル交換法による製造である。これらの製造法は、例えば、H. Schnell,"Chemistry and Physics of Polycarbonates", Polymer Reviews,Band 9, 31-76頁,Interscience Publishers,New York,London,Sidney,1964中に記載されている。前記の製造法は、D.Freitag,U.Grigo,P.R.Mueller,H.Nouvertne, "Polycarbonates"in Encyclo-pedia of Polymer Science and Engineering,Volume 11,Second Edition,1988, 648-718頁及びU.Grigo,K.Kircher und P.R.Mueller "Polycarbonate" in Becker ,Braun, Kunststoff-Handbuch,Band 3/1,Polycarbonate,Polyacetale,Polyester,Celloseester,Carl Hanser Verlag Muenchen,Wien 1992, 117-299頁中にも記載されている。溶融エステル交換法は、殊に、H.Schnell,"Chemistry and Physics of Polycarbonates", Polymer Reviews,Band 9, 44-51頁、Interscience Publishers,New York,London,Sidny,1964中及びDE 1031512A、US 3022272、US 5340905及びUS 5399659中に記載されている。前記の方法で製造されたポリカーボネートは、主に12000〜400000g/モル、特別好ましくは18000〜80000g/モル、全く特別好ましくは22000〜60000g/モルの重量平均分子量Mwを有する。
【0080】
ポリカーボネートもしくはポリカーボネート基材は、任意の立体的形状で、例えばプレート、窓、騒音防止壁、眼鏡ガラス、光学レンズとして、又は動力車、例えばオートバイ、バス、貨物自動車又は乗用車、業務用車両の部材及び/又は飛行機部材、例えば窓ガラス板、殊に機尾−及び固定側面ガラス板、並びに乗り物、殊に自動車及び飛行機等の照明灯レンズ(Scheinwerferglaser)又はディフューザーレンズ(Streuscheiben)中に存在することができる。優先的に可視光の透過率>80%を有する透明ポリカーボネート又はポリカーボネート基材が特別好ましい。同様に、ポリカーボネート基材として、例えばコンパクトディスク(CD)又はディジタルビデオディスクもしくはディジタルバーサティルディスク(DVD)が好適である。
【0081】
被覆剤の塗布及び硬化並びに被覆されたポリカーボネート基材
基材上への施与は、標準的な被覆法によって、例えば浸漬、フローコーティング、吹き付け、刷毛塗り、ドクターコーティング、ローラコーティング、スプレー、フォーリングフィルムコーティング、スピンコーティング又は散布によって行われる。浸漬法又はフローコーティング法で並びに吹き付け適用によって、低い層厚及び良好な流動性での被覆剤の適用が特別有利である。
【0082】
更に、ポリカーボネート基材を、被覆剤の適用の前に、プライマーで前処理することができる。プライマーとしては、例えば本発明の方法におけると同様であるが、ナノ粒子(B)を含有していない組成物を使用することが好適である。本発明の方法は、基材のプライマー処理なしに行うことが有利である。本発明の方法は、一層法で行う、即ち化学的に前処理されていないポリカーボネート基材上に直接、被覆剤の一層のみを施与することが特別好ましい。
【0083】
被覆の適用、場合による液滴除去及び引き続く空気乾燥の後に、当業者に公知の方法でこの被覆の硬化が行われる。この硬化は、エネルギーの高い照射線、例えばUV−線又は電子線の作用によって行うことができる。線源として好ましくは、水銀低圧線源、中圧線源、高圧線源並びに蛍光管、パルス線源又はエキシマ線源が使用され、これらは、有利に、λ=200〜700nm、特別好ましくはλ=200〜500nm、全く特別好ましくはλ=200〜400nmの波長範囲の光を放出する。更に、レフレクターの変更によって、基材の低い熱負荷を得る放射線源系が好ましい。このような放射線源系は、Fa. IST Metz GmbHのURS−レフレクター系(Reflektorsystem)として公知である。UV−硬化のために充分な通常の線量は、100〜6000mJ/cm、特別好ましくは1000〜4000mJ/cm、全く特別好ましくは2000〜3000mJ/cmである。基材とUV−灯との間の距離、放射線源出力及びレフレクター系に依存して、100〜6000mW/cm、好ましくは1000〜4000mW/cm、全く特別好ましくは2000〜3000mW/cmのUV−線照射強度が使用される。
【0084】
酸素減少された雰囲気下に線照射を実施することができる。「酸素減少された」とは、雰囲気中の酸素含分が空気中の酸素含分(20.95質量%)よりも低いことを意味する。この雰囲気は、原則的に酸素不含であってもよく、即ちこれは不活性ガスであってもよい。不活性ガスとしては、二酸化炭素、窒素、希ガス又は燃料ガスが好適である。酸素減少された雰囲気中でのUV−硬化の好ましい範囲は、残留酸素0.1〜5質量%である。同様に、透明な媒体、例えばプラスチックシート、ガラス又は液体の下で被覆組成物の線照射を行うことができる。酸素減少された雰囲気下での線照射は、殊に硬化された被覆の後の耐化学薬品性に好適に影響を及ぼす。
【0085】
硬化の後に、被覆及び基材は透明である。ポリカーボネート基材上に得られた被覆は、硬化の後で照射の前に、1より小さい、好ましくは0.8より小さいヘイズ−値(Haze-Wert;それぞれ、BYK-Gardner Geraetes Haze-gard plus C4725を用いて測定)を有する。
【0086】
引掻き負荷(ASTM 1044−05及びASTM 1003−00に従って、Taber−テストで測定)の後に、この負荷された被覆は、≦15%、有利には≦10%、特別好ましくは≦8%のヘイズ−値(それぞれ、BYK-Gardner Geraetes Haze-gard plus C4725を用いて測定)を有する。
【0087】
バインダー(A)の官能性は、有利に2〜20、より良好には3〜10又は3〜9であるべきである。
【0088】
本発明の更なる対象は、本発明の方法によって得られる被覆されたポリカーボネート基材である。ここでこれは、例えばプレート、窓、眼鏡ガラス、光学レンズ又は乗物部材及び飛行機部材、カバー、コンパクトディスク、ディジタルバーサティルディスク又はディジタルビデオディスクである。本発明のその他の課題は、この方法で使用される被覆剤、並びにこの被覆剤を殊に透明なポリカーボネート基材の被覆のために使用することである。
【0089】
次に、本発明を実施例につき詳述する。
【0090】
実施例
2,4−ビス[N−ブチル−N−(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ]−6−(2−ヒドロキシエチルアミン)−1,3,5−トリアジン(HALS L1−1)をベースとする立体障害不飽和アミンの製造
3リットル実験用反応器中で、Desmodur(登録商標)N3600(Firma Bayer Material Science AGの、NCO−含有率23.0%を有する、市販の三量化されたヘキサメチレンジイソシアネート)276.25g及びDBTL(ジブチル錫ラウレート)13.5gをMEK(メチルエチルケトン)200g中に装入した。次いで、室温で、MEK550g中のTinuvin(登録商標)152(2,4−ビス[N−ブチル−N−(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ]−6−(2−ヒドロキシエチルアミン)−1,3,5−トリアジン;Firma Ciba Speciality Chemicalsの市販の光安定剤)361.26g及びHEA((2−ヒドロキシ)エチルアクリレート)112.49gからの混合物を、滴下ロートを介して、均圧で滴加する。完全添加の後に、反応混合物を50℃まで加温し、全てのNCO−官能基(-Funktion)が反応されるまで、この温度で保持する。最後に、この反応混合物を室温まで冷却させ、メチルヒドロキノン0.05%を添加し、排出させ、DIN EN ISO3251に従って固体分を測定する。
FK 130℃:50.60%
二重結合含分(1H−NMR):3.6g/100g 。
【0091】
この場合に、光安定剤のウレタン基を介して結合したエチレン系不飽和基の含有率を、Firma VarianのSpektrometer Direct Drive500を用いるNMR分光分析法によって、実験的に測定する。三重測定の分野では、このために分析試料の各々150mgを、内部標準としてのテレフタル酸ジメチルエステル1mgの添加の下に、CDCl 各1ml中に溶かし、分光分析する。NCO−含分の測定のために、試料にジブチルアミンを添加し、過剰のジブチルアミンを、指示薬としてのブロムフェノールブルーを用いて、塩酸で逆滴定する。
【0092】
2,4−ビス[N−ブチル−N−(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ]−6−(2−ヒドロキシエチルアミン)−1,3,5−トリアジン(HALS L1−2)をベースとする立体障害不飽和アミンの製造
3リットル実験用反応器中で、Desmolux(登録商標)D100(Firma Bayer Material Science AGの、NCO−含有率12.8%を有する市販の脂肪族ウレタンアクリレート)319.50g及びDBTL(ジブチル錫ラウレート)13.5gをMEK(メチルエチルケトン)490g中に装入した。次いで、室温で、MEK260g中のTinuvin(登録商標)152(2,4−ビス[N−ブチル−N−(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ]−6−(2−ヒドロキシエチルアミン)−1,3,5−トリアジン;Firma Ciba Speciality Chemicalsの市販の光安定剤)241.50g及びSR444D(Firma Sartomerの市販のペンタエリスリトールトリアクリレート)189.00gからの混合物を、滴下ロートを介して、均圧で滴加する。完全添加の後に、この反応混合物を50℃まで加温し、全てのNCO−官能性が反応されるまで、この温度で保持する。最後に、この反応混合物を室温まで冷却させ、メチルヒドロキノン0.05%を添加し、排出させ、DIN EN ISO3251に従って固体分を測定する。
FK (60’ 130℃):50.3%
二重結合含分(1H−NMR):10.1g/100g
【0093】
2,4−ビス[N−ブチル−N−(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ]−6−(2−ヒドロキシエチルアミン)−1,3,5−トリアジン(HALS L1−3)をベースとする立体障害不飽和アミンの製造
3リットル実験室用反応器中で、Desmodur(登録商標)N3600(Firma Bayer Material Science AGの、NCO−含有率23.0%を有する市販の三量化されたヘキサメチレンジイソシアネート)300.00g及びDBTL(ジブチル錫ラウレート)18gを、MEK(メチルエチルケトン)600g中に装入した。次いで、室温で、MEK400g中のTinuvin(登録商標)152(2,4−ビス[N−ブチル−N−(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ]−6−(2−ヒドロキシエチルアミン)−1,3,5−トリアジン;Firma Ciba Speciality Chemicalsの市販の光安定剤)390.00g及びSR444D(Firma Sartomerの市販のペンタエリスリトールトリアクリレート)310.00gからの混合物を、滴下ロートを介して、均圧で滴加する。完全添加の後に、この反応混合物を50℃まで加温し、全てのNCO−官能基が反応されるまで、この温度で保持する。最後に、この反応混合物を室温まで冷却させ、メチルヒドロキノン0.05%を添加し、排出させ、DIN EN ISO3251に従って固体分を測定する。
FK 130℃:51.20%
二重結合含分(1H−NMR):13.6g/100g
【0094】
2−[4−[(2−ヒドロキシ)−3−ドデシルオキシプロピル]オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス−(2,4)−ジメチルフェニル−1,3,5−トリアジン(UV−吸収剤L2−1)をベースとする不飽和のUV−吸収剤の製造
3リットル実験室用反応器中で、Desmodur(登録商標)N3600(Firma Bayer Material Science AGのNCO−含有率23.0%を有する市販の三量化されたヘキサメチレンジイソシアネート)296.97g及びDBTL(ジブチル錫ラウレート)13.5gを、MEK(メチルエチルケトン)200g中に装入した。次いで室温で、MEK(メチルエチルケトン)550g中に溶かされた2−[4−[(2−ヒドロキシ)−3−ドデシルオキシプロピル]オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス−(2,4)−ジメチルフェニル−1,3,5−トリアジンと2−[4−[(2−ヒドロキシ)−3−トリデシルオキシプロピル]オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス−(2,4)−ジメチルフェニル−1,3,5−トリアジンとからの混合物332.10gを、滴下ロートを介して、均圧で滴加する。完全添加の後に、この反応混合物を50℃まで加温し、全てのNCO−官能基の1/3まで反応されるまで、この温度で保持する。
【0095】
引き続き50℃で、HEA((2−ヒドロキシ)エチルアクリレート)120.93gをこの反応溶液に加え、NCO−含有率が0.00%が存在すると直ちに室温まで冷却させる。最後にメチルヒドロキノン0.05%を加え、排出させ、DIN EN ISO 3251によって固体分を測定する。
FK 130℃:51.30%
二重結合含分(1H−NMR):3.5g/100g
【0096】
2−[4−[(2−ヒドロキシ)−3−ドデシルオキシプロピル]オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス−(2,4)−ジメチルフェニル−1,3,5−トリアジン(UV吸収剤L2−2)をベースとする不飽和UV−吸収剤の製造
3リットル実験室用反応器中で、Desmodur(登録商標)D100(Firma Bayer Material Science AGの、NCO−含有率12.8%を有する市販の脂肪族ウレタンアクリレート)336g及びDBTL(ジブチル錫ラウレート)13.5gを、MEK(メチルエチルケトン)200g中に装入した。次いで室温で、MEK350g中に溶かされた2−[4−[(2−ヒドロキシ)−3−ドデシルオキシプロピル]オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス−(2,4)−ジメチルフェニル−1,3,5−トリアジンと2−[4−[(2−ヒドロキシ)−3−トリデシルオキシプロピル]オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス−(2,4)−ジメチルフェニル−1,3,5−トリアジンとからの混合物214.5gを、滴下ロートを介して、均圧で滴加する。完全添加の後に、この反応混合物を50℃まで加温し、全てのNCO−官能基の1/3まで反応されるまで、この温度で保持する。引き続き50℃で、MEK200g中のSR444D(Firma Sartomerの市販のペンタエリスリトールトリアクリレート)199.50gをこの反応溶液に加え、NCO−含有率が0.00%が存在すると直ちに、室温まで冷却させる。最後に、メチルヒドロキノン0.05%を加え、排出させ、DIN EN ISO 3251に従って固体分を測定する。
FK 130℃:58.70%
二重結合含分(1H−NMR):9.7g/100g
【0097】
基材(ポリカーボネート)の前処理
文献中に一般に公知のように、製造の間の基材の急速冷却によって、加圧凍結させる。そのために、被覆されるべきポリカーボネートを、応力亀裂を回避するために、塗料適用の前に120℃で放圧させる。この温度で1時間後にこのパネルを冷却し、イソプロパノールで拭く。更に、UV−光での前処理によって、プラスチック表面と被覆との間の結合が改良されうることは一般に公知である。表面の充分な化学的酸化を得るために、被覆すべき基材を、特別な場合にはその適用前に、UV−光(2本のUV−灯(双方が100%出力に調節される水銀灯)を備えたIST−Lignocure−装置、線量1J/cm)で処理する。
【0098】
例1:本発明による被覆B1の製造
褐色平底ガラス容器中で、n−ブタノール2.3g、イソプロパノール13.31g、エタノール11.40g、Tinuvin(登録商標)400(1−メトキシ−2−プロパノール中の85%)1.61g及び立体障害不飽和アミン(HALS L1−1)(メチルエチルケトン中の50.8%)5.60gを混合させる。引き続き撹拌下に、Irgacure(登録商標)819(Firma Ciba Speciality Chemicalsの市販の光重合開始剤;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド)0.27g及びIrgacure(登録商標)184(Firma Ciba Speciality Chemicalsの市販の光重合開始剤;1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)1.1gを添加する。同様に撹拌下に、Desmolux(登録商標)XP 2609(Firma Bayer Material Science AGの不飽和脂肪族ポリウレタンアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)中の70%、密度1.14g/cm.粘度@23℃ 〜6000mPa*s)24.02g、Byk UV 3570(Byk-Chemie GmbHの市販のレベリング調整剤、ポリエステル変性されたアクリル官能性ポリジメチルシロキサンの溶液)0.4g及びNanopol(登録商標)C784(市販のSiO、平均粒径20nm、酢酸ブチル中の50%、Nanoresins AGから入手)40.0gを添加する。15分後に、この組成物を、36μm−ロッドドクタ−(Stabrakel)を用いてポリカーボネートパネル上に適用する。これを80℃で5分間、炉内で空気乾燥させ、引き続き、2本のUV−灯(双方が100%出力に調節される水銀灯)を備えているIST−Lignocure−装置のUV−光を用いて硬化させる。被覆されたこのポリカーボネートパネルを、2500〜3000mJ/cmの線量で硬化させる。
【0099】
例2及び3並びに比較例V1〜V3:本発明による被覆剤B2及びB3並びに比較例VB1〜VB3の被覆の製造
本発明による被覆剤B2及びB3並びに比較例VB1〜VB3の被覆を、被覆B1に関して記載していると同様な方法によって製造する。この場合には、被覆剤中の光重合開始剤、レベリング調整剤並びにシランの割合は一定に留まっている。これら成分は、第1表中に記載されている。比較例VB3まで、全てのラッカーは澄明であり、全く濁りを有していない。比較例VB3における粘度上昇に伴う濁り及び凝集は、立体障害アミンとナノ粒子との非相容性に帰因している。比較例VB3における凝集及び粘度上昇に基づき、この被覆剤についての更なる検査は実施されなかった。
【0100】
第1表:例1〜3及び比較例V1〜V3の被覆剤の組成(グラム)
【表1】

【0101】
第1表の説明:
1)1−メトキシ−2−プロパノール中の85%
2)UV−Abs.L2−1 メチルエチルケトン中の49.3%
3)HALS L1−1 メチルエチルケトン中の49.9%
4)UV−Abs L2−1 メチルエチルケトン中の49.7%
5)ADK STAB LA−87は、市場で得られる、Firma Adeka Palmaroleのアクリレート官能性を有する立体障害アミン(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート)である
6)Tinuvin(登録商標)R796は、市場で入手可能なUV−反応性アクリレート官能性を有するUV−吸収剤(2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール)
【0102】
付着力の試験:
付着力の検査のために、例1〜3及び比較例V1〜V2の被覆で、次の試験を行う。
【0103】
粘着テープ引剥がしによる付着力試験(ASTM D3359及びISO 2409)
煮沸試験:脱イオン水の充填された浴を沸騰させる。次いで、標本化された基材をこの沸騰水中に4時間漬けた。4時間後に、これを水から取り出し、冷却するまで短時間放置する。その後、クロスカット傷をつけ、Tesa−引剥がしを用いて付着力を試験する。付着力が合格(即ちGT<2)の場合に、この塗料を、水中貯蔵試験(ASTM 870−02及びISO 2812−2)に供することができる。
【0104】
第2表:例1〜3及び比較例V1〜V2の被覆に関するUVの前処理なしでの付着力試験の試験結果
【表2】

【0105】
第3表:例1〜3及び比較例V1〜V2の被覆に関するUVでの前処理後の付着力試験の試験結果
【表3】

【0106】
付着力試験の試験結果の検討:
これらの付着力試験の結果から、バインダーマトリックスへの光安定剤の共有結合は、前処理なしの煮沸試験での明らかな付着力改良をも提供し、このような試験の後の表面の外観像をも改良することが明らかになっている。更に、例3におけるような塗料マトリックス中への光安定剤の完全取込みの場合には、酸化作用をする方法、例えばUV−光での前処理を省略することができる。
【0107】
耐候性の試験
促進耐侯性試験PV3930での仕様VW PV−3920 Nov03に相応する種々のクリアコートの耐候性の試験。各々1000時間の促進暴露の後に、ヘイズ値(Haze-Wert)を、規格ASTM D1003に従い、かつ黄色値を、規格ASTM E313に従って測定する。塗膜層内の亀裂の出現は、停止基準(Abbruchkriterium)に該当する。
【0108】
第4表:促進暴露PV3930の間のヘイズ値(%)の経過、それぞれ、暴露前(0時間)及び1000時間、2000時間、3000時間及び4000時間後に測定
【表4】

【0109】
第5表:促進暴露PV3930の間の黄色値Yi(CIE D65)の経過、それぞれ、暴露前(0時間)、1000時間、2000時間、3000時間及び4000時間後に測定
【表5】

【0110】
暴露試験の試験結果の検討:
5000時間暴露PV3930の後に、トップコート(Decklack)のいずれにも亀裂が認められない。第4表及び第5表からの結果から明らかなように、意外にも、変性された光安定剤を含有している非負荷時の被覆のヘイズ値及び黄色値は、変性されていない市販の光安定剤を含有している非負荷の被覆のそれらよりも低い。この暴露の際に、固定(Fixierung)により生じる欠点は認められていない。
【0111】
例4:本発明による被覆B4の製造
褐色平底ガラス容器中で、n−ブタノール3.25g、イソプロパノール11.4g、エタノール6.80g、酢酸エチル2.80g、立体障害アミンL1−1(MEK中の51.6%)5.47g及びUV−吸収剤L2−1(MEK中の49.8%)6.18gを混合させる。引き続き、Irgacure(登録商標)819 0.27g及びIrgacure(登録商標)184 1.09gを撹拌下に添加する。同様に撹拌下に、Desmolux(登録商標)VPLS2308(不飽和脂肪族ポリウレタンアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)中の80%、密度1.11g/cm、粘度@23℃ 〜29000mPa*s)9.74g、SR351(Firma Sartomerの市販のトリメチロールプロパントリアクリレート)7.3g、Ebercryl(登録商標)1290(Firma Cytecの脂肪族ポリウレタンアクリレート、100%、理論的官能性6、理論的分子量1000、密度1.19g/cm、粘度@60℃ 〜2000mPa*s)5.3g、Byk UV3570(Firma Byk-Chemie GmbHの市販のレベリング調整剤(Verlaufadditiv)、ポリエステル変性されたアクリル官能性ポリジメチルシロキサンの溶液)0.4g及びNanopol(登録商標)C784(市販のSiO、平均粒径20nm、酢酸ブチル中の50%、Nanoresins AGから入手)40.0gを添加する。15分後に、この組成物を、36μm−バーコーター(Stabrakel)を用いてポリカーボネートパネル上に適用する。これを、80℃で5分間炉内で空気乾燥させ、引き続き、2個のUV−灯(水銀灯)(双方とも100%出力に調節される)を備えているIST−Lignocure−装置のUV−灯を用いて硬化させる。この被覆されたポリカーボネート−パネルを、2500〜3000mJ/cmの線量で硬化させる。
【0112】
例5:本発明による被覆B5の製造
褐色平底ガラス容器中で、n−ブタノール3.00g、イソプロパノール10.55g、エタノール6.30g、酢酸エチル2.64g、立体障害アミンL1−2(メチルエチルケトン中の50.3%)8.39g及びUV−吸収剤L2−2(メチルエチルケトン中の58.7%)8.1gを混合する。引き続き、Irgacure(登録商標)819 0.270g及びIrgacure(登録商標)184 1.09gを撹拌下に添加する。同様に撹拌下に、Desmolux(登録商標)VPLS2308(不飽和脂肪族ポリウレタンアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)中の80%、密度1.11g/cm、粘度@23℃ 〜29000mPa*s)8.4g、SR351(Firma Sartomer(登録商標)のトリメチロールプロパントリアクリレート)7.3g、Ebercryl(登録商標)1290(Firma Cytecの脂肪族ポリウレタンアクリレート、100%、理論的官能性6、理論的分子量1000、密度1.19g/cm、粘度@60℃ 〜2000mPa*s)5.3g、Byk UV3570(Firma Byk-Chemie GmbHの市販のレベリング調整剤、ポリエステル変性されたアクリル官能性ポリジメチルシロキサンの溶液)0.4g及びNanopol(登録商標)C784(市販のSiO、平均粒径20nm、酢酸ブチル中の50%、Nanoresins AGから入手)40.0gを添加する。15分後に、この組成物を、36μm−バーコーターを用いてポリカーボネートパネル上に適用する。これを、80℃で5分間、空気乾燥のために炉内に置き、引き続き、2個のUV−灯(水銀灯)(双方とも100%出力に調節される)を備えているIST−Lignocure−装置のUV−灯を用いて硬化させる。被覆されたポリカーボネートパネルを、2500〜3000mJ/cmの線量を用いて硬化させる。
【0113】
例6:本発明による被覆B6の製造
褐色平底ガラス容器中で、n−ブタノール3.57g、イソプロパノール12.50g、エタノール7.5g、酢酸エチル3.11g、立体障害アミンL1−3 6.81g及びTnuvin(登録商標)R796 1.36gを混合する。引き続き、Irgacure(登録商標)819 0.270g及びIrgacure(登録商標)184 1.09gを撹拌下に添加する。同様に撹拌下に、Desmolux(登録商標)VPLS2308(不飽和脂肪族ポリウレタンアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)中の80%、密度1.11g/cm、粘度@23℃ 〜29000mPa*s)10.21g、SR351(Firma Sartomer(登録商標)のトリメチロールプロパントリアクリレート)7.66g、Ebercryl(登録商標)1290(Firma Cytecの脂肪族ポリウレタンアクリレート、100%、理論的官能性6、理論的分子量1000、密度1.19g/cm、粘度@60℃ 〜2000mPa*s)5.52g、Byk UV3570(Firma Byk-Chemie GmbHの市販のレベリング調整剤、ポリエステル変性されたアクリル官能性ポリジメチルシロキサンの溶液)0.4g及びNanopol(登録商標)C784(市販のSiO、平均粒径20nm、酢酸ブチル中の50%、Nanoresins AGから入手)40.0gを添加する。15分後に、この組成物を、36μm−バーコーターを用いてポリカーボネートパネル上に適用する。これを、80℃で5分間、空気乾燥のために炉内に置き、引き続き、2個のUV−灯(水銀灯)(双方とも100%出力に調節される)を備えているIST−Lignocure−装置のUV−灯を用いて硬化させる。この被覆されたポリカーボネートパネルを、2500〜3000mJ/cmの線量で硬化させる。
【0114】
他のタイプの適用法
浸漬塗布時には、有利に、50質量%の固体含有率に調節する。溶剤組成物としては、有利に、n−ブタノール、エタノール、酢酸エチル、イソプロパノール及びソルベントナフサからなる混合物を使用する。例えば5秒間の浸漬時間の後に、約1分間の滴下時間及び約80℃で約5分間の空気乾燥の後に、IST Lignocure−装置(線量1.8J/cm、強度0.3W/cm)を用いて硬化させて、9〜14μmの層厚を有する被覆を生じさせる。
【0115】
フロ−コーティングによる適用時に、50質量%の固体含有率に調節することが有利である。溶剤組み合わせ物として、有利に、n−ブタノール、エタノール、酢酸エチル、イソプロパノール及びソルベントナフサからの混合物を使用する。約1分の滴下時間及び約80℃で約5分間の空気乾燥時間の後に、IST Lignocure−装置(線量1.8J/cm、強度0.3W/cm)を用いて硬化させて、9〜12μmの層厚の被覆を生じさせる。
【0116】
吹付け(ノズル:1.3mm、空気圧4バール、スプレー距離20cm)による適用の際には、40質量%の固体含有率に調節することが有利である。溶剤組み合わせ物として、酢酸エチル、酢酸ブチル及びイソプロパノールからの混合物を使用することが有利である。約80℃で約5分間の空気乾燥時間の後に、IST Lignocure−装置(線量3.9J/cm、強度1.4W/cm)を用いて硬化させて、約7μmの層厚の被覆を生じさせる。
【0117】
耐摩耗性の試験
Taber−試験を用いて、表面の耐摩耗性を試験した。このTauber−試験及び引き続くヘイズ測定をASTM D1044−05及びASTM D1003−00の指示に従って実施したが、この際には、試料を測定の前に、23℃及び50%の相対的湿度での規格雰囲気中で貯蔵しなかった。
【0118】
第6表:例4〜6の試験からの結果
【表6】

【0119】
第6表の説明:
第6表からの結果は、例4及び5の被覆(ここでは、被覆剤はもっぱら本発明による光安定剤を含有している)が、市場で得られる不飽和生成物(L3)と本発明による光安定剤とからの混合物を含有している例6の被覆剤よりも良好な耐候性を有することを示している。
【0120】
2−[4−[(2−ヒドロキシ)−3−ドデシルオキシプロピル]オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス−(2,4)−ジメチルフェニル−1,3,5−トリアジン(UV吸収剤L2−3)をベースとする不飽和UV−吸収剤の製造
250ミリリットル丸底フラスコ中で、Desmodur(登録商標)N3600(Firma Bayer Material Science AGのNCO含有率23.0%を有している市販の三量化されたヘキサメチレンジイソシアネート)26.4g及びDBTL(ジブチル錫ラウレート)1.3gをMEK(メチルエチルケトン)45.60g中に装入する。次いで室温で、メチルエチルケトン中の2−[4−[(2−ヒドロキシ)−3−ドデシルオキシプロピル]オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス−(2,4)−ジメチルフェニル−1,3,5−トリアジンと2−[4−[(2−ヒドロキシ)−3−トリデシルオキシプロピル]オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス−(2,4)−ジメチルフェニル−1,3,5−トリアジンとからの50.2%混合物59.10gを、滴下ロートを介して、均圧で滴加した。完全添加の後に、反応混合物を70℃まで加熱し、全てのNCO−官能基の1/3まで反応するまで、この温度で保持する。
【0121】
引き続き、71℃でHEA((2−ヒドロキシ)エチルアクリレート)3.77g並びにSR444D(Firma Sartomerの市販のペンタエリスリトールトリアクリレート)9.65gをこの反応溶液に加え、NCO−含分が0.00%になると直ちに、室温まで冷却させる。最後に、メチルヒドロキノン0.05%を加え、排出させ、DIN EN ISO 3251に従い固体分を測定する。
FK 130℃:69.7%
二重結合含分(1H−NMR): 8.6g/100g
【0122】
2−[4−[(2−ヒドロキシ)−3−ドデシルオキシプロピル]オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス−(2,4)−ジメチルフェニル−1,3,5−トリアジン(UV吸収剤L2−4)をベースとする不飽和UV−吸収剤の製造
250ミリリットル丸底フラスコ中で、Desmodur(登録商標)N3600(Firma Bayer Material Science AGのNCO含有率23.0%を有する市販の三量化されたヘキサメチレンジイソシアネート)23.85g及びDBTL(ジブチル錫ラウレート)1.28gをMEK(メチルエチルケトン)48.60g中に装入する。次いで、室温で、メチルエチルケトン中の2−[4−[(2−ヒドロキシ)−3−ドデシルオキシプロピル]オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス−(2,4)−ジメチルフェニル−1,3,5−トリアジンと2−[4−[(2−ヒドロキシ)−3−トリデシルオキシプロピル]オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス−(2,4)−ジメチルフェニル−1,3,5−トリアジンとからの50.2%混合物52.95gを、滴下ロートを介して、均圧で滴加した。完全添加の後に、反応混合物を70℃まで加熱し、全てのNCO−官能基の1/3まで反応するまで、この温度で保持する。
【0123】
引き続き、SR444D(Firma Sartomerの市販のペンタエリスリトールトリアクリレート)17.28gをこの反応溶液に加え、NCO−含分が0.00%になると直ちに室温まで冷却させる。最後にメチルヒドロキノン0.05%を加え、排出させ、DIN EN ISO 3251に従って固体分を測定する。
FK 130℃:59.8%
二重結合含分(H−NMR): 8.9g/100g
【0124】
例7:本発明による被覆B7の製造
褐色平底ガラス容器中で、n−ブタノール3.00g、イソプロパノール12.14g、エタノール9.03g、メチルエチルケトン0.19g及びUV−吸収剤L2−1(メチルエチルケトン中の52.5%)11.80gを混合する。引き続き、Irgacure(登録商標)819(Firma Ciba Speciality Chemicalsからの市販の光重合開始剤;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド)0.28g及びIrgacure(登録商標)184(Firma Ciba Speciality Chemicalsの市販の光重合開始剤;1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)1.09gを撹拌下に添加する。同様に撹拌下に、Ebercryl 1290(Firma UCB Chemicals Corp.,の不飽和脂肪族ポリウレタンアクリレート、100%、理論的官能性6、理論的分子量1000、密度1.19g/cm、粘度@60℃ 〜2000mPa*s)22.07g、Byk UV3570(Firma Byk-Chemie GmbHの市販のレベリング調整剤、ポリエステル変性されたアクリル官能性ポリジメチルシロキサンの溶液)0.4g及びNanopol(登録商標)C784(市販のSiO、平均粒径20nm、酢酸ブチル中の50%、Nanoresins AGから入手)40.0gを添加する。15分後に、この組成物を、36μm−バーコーターを用いてポリカーボネートパネル上に適用する。これを、80℃で5分間、空気乾燥のために炉内に置き、引き続き、2本のUV−灯(水銀灯)(双方とも100%出力に調節される)を備えているIST−Lignocure−装置のUV−灯を用いて硬化させる。この被覆されたポリカーボネートパネルを、2500〜3000mJ/cmの線量で硬化させる。
【0125】
例8〜10並びに比較例V4及びV5:本発明による被覆剤B7〜B10並びに比較例VB4及びVB5の被覆の製造
例7と同様に、本発明による被覆B8〜B10及び比較例V4及びV5の被覆VB4及びVB5を処方する。この場合には常に、バインダー含分とナノ粒子含分を足したものに対してUV−吸収剤6%を使用する。適用時に、50質量%の固体含分に調節することが有利である。溶剤組成物として、n−ブタノール、エタノール、酢酸ブチル及びイソプロパノールからの混合物を使用する。例7〜10の被覆剤の組成が第7表中に記載されている。
【0126】
約1分の滴下時間及び約80℃で約5分間の空気乾燥時間の後に、IST Lignocure−装置(線量 1.8J/cm、強度0.3W/cm)を用いて硬化させて、9〜12μmの層厚の被覆を生じさせる。
【0127】
第7表:例7〜12及び比較例V4及びV5の被覆剤の組成(グラム)
【表7】

【0128】
第7表の説明:
1)前記の光安定剤UV−吸収剤L2−1、メチルエチルケトン中の52.2%
2)前記の光安定剤UV−吸収剤L2−3、メチルエチルケトン中の69.7%
3)前記の光安定剤UV−吸収剤L2−4、メチルエチルケトン中の59.8%
4)前記の光安定剤UV−吸収剤L2−2、メチルエチルケトン中の73.1%
5)1−メトキシ−2−プロパノール中の85%、
6)酢酸ブチル中の50%
【0129】
耐引掻性の試験
耐引掻性を、クロックメータ−試験に従って検査する。試験材料として、Firma Falconbrite社の研磨フリース(Schleifvlies;Typ FG Gold)を使用する。適用重量は1kgである。100サイクル(Doppelhueben)の後に、損傷程度測定のためにヘイズ−値(ASTM D1003)を測定する。
【0130】
第8表:本発明の例7〜10及び比較例V4及びV5の被覆の耐引掻性
【表8】

【0131】
第8表からの結果は、使用された架橋可能なUV吸収剤の二重結合密度の上昇に伴い、耐引掻性が増加することを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の放射線硬化性バインダー(A)及び/又は反応性希釈剤(C)、ナノ粒子(B)、場合による溶剤及び少なくとも1種の光安定剤(L)を含有している透明被覆剤を、ポリカーボネート基材上に適用することにより、ポリカーボネート基材、殊に透明ポリカーボネート基材を被覆する方法において、前記被覆剤は、1分子当たり平均して少なくとも1個の、ウレタン基を介して結合したエチレン系不飽和基を有している、光安定剤(L)少なくとも1種を含有していることを特徴とする、ポリカーボネート基材を被覆する方法。
【請求項2】
被覆剤は、1分子当たり平均して少なくとも1個の、ウレタン基を介して結合したアクリレート基又はメタクリレート基又はウレタン基を介して結合したアクリレート基及びメタクリレート基を有している、光安定剤(L)少なくとも1種を含有していることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
被覆剤は、光安定剤(L)として、立体障害アミンをベースとする光安定剤(L1)及びUV−吸収剤をベースとする光安定剤(L2)からの混合物を含有しており、この際、
(iv) 光安定剤(L1)又は
(v) 光安定剤(L2)又は
(vi) 光安定剤(L1)及び光安定剤(L2)
は、1分子当たり平均して少なくとも1個の、ウレタン基を介して結合したエチレン系不飽和基、好ましくは少なくとも1個の、ウレタン基を介して結合したアクリレート基又はメタクリレート基又はアクリレート基をもメタクリレート基をも有していることを特徴とする、請求項1又は2のいずれか1項に記載の方法。
【請求項4】
光安定剤(L)又は光安定剤(L1)又は光安定剤(L2)は、又は光安定剤(L1)も光安定剤(L2)も、それぞれ光安定剤100g当たり、ウレタン基を介して結合したアクリレート基又はメタクリレート基又はアクリレート基及びメタクリレート基1.0〜20.0g、殊に、それぞれウレタン基を介して結合したアクリレート基又はメタクリレート基又はアクリレート基及びメタクリレート基3.0〜15.0gを含有していることを特徴とする、請求項2又は3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
(i)イソシアネート基に対して反応性の基(LG)少なくとも1個を有している光安定剤(L'')又はイソシアネート基に対して反応性の基(LG)少なくとも1個を有する立体障害アミンをベースとしている光安定剤(L1'')又はイソシアネート基に対して反応性の基(LG)少なくとも1個を有するUV−吸収剤をベースとしている光安定剤(L2'')を、又はイソシアネート基に対して反応性の基(LG)少なくとも1個を有する光安定剤(L1'')及びイソシアネート基に対して反応性の基(LG)少なくとも1個を有する光安定剤(L2'')からの混合物を、飽和イソシアネート基含有化合物(V)及び/又は不飽和イソシアネート基含有化合物(V’)と反応させる工程及び
(ii)工程(i)で得られたイソシアネート基含有光安定剤(L’)もしくは(L1’)もしくは(L2’)を、アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル又はメタクリル酸のヒドロキシアルキルエステルと、又はアクリル酸のヒドロキシアルキルエステル及びメタクリル酸のヒドロキシアルキルエステルからの混合物と反応させる工程
によって、アクリレート基又はメタクリレート基を、又はアクリレート基及びメタクリレート基が、光安定剤(L)もしくは(L1)もしくは(L2)中に導入されていることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
イソシアネート基含有化合物(V)は、1分子当たり平均して少なくとも2個のイソシアネート基、殊に1分子当たり2〜8個のイソシアネート基、全く特別に1分子当たり2超〜4個までのイソシアネート基を有しており、及び/又は前記イソシアネート基含有化合物(V)を、脂肪族及び/又は脂環式ジイソシアネート及びこれらのアロファネート、ビウレット、ウレトジオン及びイソシアヌレートの群から選択していることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
イソシアネート基含有化合物(V’)は、1分子当たり平均して少なくとも1個のエチレン系不飽和二重結合、殊に1分子当たり平均して2〜8個のエチレン系不飽和二重結合、全く特別好ましくは1分子当たり平均して2〜4個のエチレン系不飽和二重結合を有しており、及び/又は前記イソシアネート基含有化合物(V’)を、ウレタンアクリレート及び/又はウレタンメタクリレートの群から選択していることを特徴とする、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
工程(i)で得られたイソシアネート基含有光安定剤(L’)もしくは(L1’)もしくは(L2’)を、工程(ii)で、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、ペンタエリスリットジアクリレート、ペンタエリスリットジメタクリレート、ペンタエリスリットトリアクリレート、ペンタエリスリットトリメタクリレート又はこれらの混合物と反応させ、及び/又は
光安定剤(L1'')は、2,4−ビス[N−ブチル−N−(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ]−6−(2−ヒドロキシエチルアミン)−1,3,5−トリアジンであり、及び/又は光安定剤(L2'')は、2−[4−[(2−ヒドロキシ)−3−ドデシルオキシプロピル]オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス−(2,4)−ジメチルフェニル−1,3,5−トリアジン及び2−[4−[(2−ヒドロキシ)−3−トリデシルオキシ−プロピル]オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス−(2,4)−ジメチルフェニル−1,3,5−トリアジンからの混合物であることを特徴とする、請求項5から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
被覆剤は、光安定剤(L)2.5〜60.0質量%、好ましくは5.0〜40.0質量%、特別好ましくは10.0〜30.0質量%を、又は被覆剤は、光安定剤(L1)2.5〜60.0質量%、好ましくは5.0〜30.0質量%、特別好ましくは5.0〜15.0質量%を、及び/又は光安定剤(L2)2.5〜60.0質量%、好ましくは5.0〜30.0質量%、特別好ましくは5.0〜15.0質量%を含有し、この際、全ての質量%値は、それぞれ、バインダー(A)の質量とナノ粒子(B)の質量と場合により使用された反応性希釈剤(C)の質量を足したものに対していることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
被覆剤は、それぞれ、場合により使用された成分(A)の質量とナノ粒子(B)の質量と場合により使用された反応性希釈剤(C)の質量を足したものに対して、
(A)少なくとも1種の放射線硬化性バインダー(A) 0〜95質量%、好ましくは10〜80質量%、特別好ましくは15〜60質量%、
(B)ナノ粒子(B) 5〜60質量%、特別好ましくは10〜55質量%、全く特別好ましくは30〜50質量% 及び
(C)ポリカーボネートに対して不活性の反応性希釈剤少なくとも1種 0〜95質量%、特別好ましくは10〜70質量%、全く特別好ましくは10〜40質量%
を含有し、この際、成分(A)、ナノ粒子(B)の質量及び反応性希釈剤(C)の質量は、合計すると常に100%であることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1種の放射線硬化性バインダー(A)及び/又は反応性希釈剤(C)、ナノ粒子(B)、場合による溶剤及び少なくとも1種の光安定剤(L)を含有している被覆剤において、前記被覆剤は、1分子当たり平均して少なくとも1個の、ウレタン基を介して結合したエチレン系不飽和基を有している、光安定剤(L)少なくとも1種を含有していることを特徴とする、被覆剤。
【請求項12】
被覆剤は、光安定剤(L)として、立体障害アミンをベースとする光安定剤(L1)及びUV−吸収剤をベースとする光安定剤(L2)からの混合物を含有し、この際、
(i) 光安定剤(L1)又は
(ii) 光安定剤(L2)又は
(iii) 光安定剤(L1)及び光安定剤(L2)
は、1分子当たり平均して少なくとも1個の、ウレタン基を介して結合したエチレン系不飽和基、好ましくは少なくとも1個の、ウレタン基を介して結合したアクリレート基又はメタクリレート基を、又はアクリレート基をもメタクリレート基をも含有していることを特徴とする、請求項11に記載の被覆剤。
【請求項13】
(i)イソシアネート基に対して反応性の基(LG)少なくとも1個を有する光安定剤(L'')又はイソシアネート基に対して反応性の基(LG)少なくとも1個を有する光安定剤(L1'')又はイソシアネート基に対して反応性の基(LG)少なくとも1個を有する光安定剤(L2'')又はイソシアネート基に対して反応性の基(LG)少なくとも1個を有する光安定剤(L1'')及びイソシアネート基に対して反応性の基(LG)少なくとも1個を有する光安定剤(L2'')からの混合物を、飽和イソシアネート基含有化合物(V)及び/又は不飽和イソシアネート基含有化合物(V’)と反応させる工程及び
(ii)工程(i)で得られたイソシアネート基含有光安定剤(L’)もしくは(L1’)もしくは(L2’)を、アクリル酸のヒドロキシアルキルエステルと、又はメタクリル酸のヒドロキシアルキルエステルと、又はアクリル酸のヒドロキシアルキルエステル及びメタクリル酸のヒドロキシアルキルエステルからの混合物と反応させる工程
によって、アクリレート基又はメタクリレート基が又はアクリレート基及びメタクリレート基が光安定剤中に導入されていることを特徴とする、請求項11又は12のいずれか1項に記載の被覆剤。
【請求項14】
請求項1から10までのいずれか1項以上に記載の方法により得られる、被覆されたポリカーボネート基材。
【請求項15】
プレート、窓、眼鏡ガラス、光学レンズ、動力車、例えばオートバイ、バス、貨物自動車又は乗用車、業務用自動車の部材及び/又は飛行機部材、反射鏡、道路反射鏡、カバー、騒音防止壁の部材、コンパクトディスク、ディジタルバーサティルディスク又はディジタルビデオディスク、殊に乗物、殊に自動車及び/又は飛行機の照明灯の部材及び/又は窓ガラスである、請求項14に記載の被覆されたポリカーボネート基材。

【公表番号】特表2012−532967(P2012−532967A)
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−519899(P2012−519899)
【出願日】平成22年3月27日(2010.3.27)
【国際出願番号】PCT/EP2010/001960
【国際公開番号】WO2011/006552
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(390008981)ビーエーエスエフ コーティングス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (155)
【氏名又は名称原語表記】BASF Coatings GmbH
【住所又は居所原語表記】Glasuritstrasse 1, D−48165 Muenster,Germany
【Fターム(参考)】