説明

耐引裂性を有する剥離可能な容器用シール

配向ポリマーフィルム層、配向ポリマー層内側表面上の実質的に同じ大きさの熱接着ポリマー層、隣接する内側表面を有し実質的に熱接着ポリマー層と同様の大きさを有する補強スクリムポリマー層からなる、リサイクル可能な多層構造でできた耐引裂性シールに関する。前記ポリマーフィルム層及び前記接着ポリマー層は共押出された層であり、層を分離することなくリサイクル可能な化学組成を有する。前記スクリム層もまた同様の組成を有し、後に続く積層時にリサイクルを可能にし、完全に積層された構造を単純にリサイクルすることによって製造工程中の廃棄物の回収を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は容器に関するものであり、特にリサイクル可能な多層構造を用いた、耐引裂性を有し、剥離可能な密封ふたに関する。
関連する用途へのクロスリファレンス
この出願は、2002年11月20日に出願された、米国特許出願第10/300,352号明細書の一部の継続出願であり、その内容は参考として全てここに組み込まれている。
【背景技術】
【0002】
多層材料のシートが空気及び汚染物質から容器の開口部を密封するためのシールを調整するために使われてきた。一般的なシールは金属ホイルのシートからなり、前記金属ホイルのシートは、例えばプラスチックトレイ型食品容器、びん、またはブリスターパッケージ等の容器の縁に、ホイルを接着させるためのヒートシール可能な材料の層を有する。びんを密封するために使われるとき、シールは一般的に多層材料のシートから打ち抜かれ、容器の縁に熱によって接着される。容器が、より大きいシート内の空洞であるブリスタータイプパッケージであるとき、シールは通常ブリスターパッケージの開口部を横切って広がる、または複数のこのようなブリスターの並びを越えて広がるシートカバーの形態である。プラスチックの食品を入れるトレーは、調理または加熱を必要とする食品を入れるために広く用いられ、通常は一般的なブリスターパッケージよりも深いものであり、ふたを剥離可能な状態で接着するための小さな表面を与える最上部の縁を有し、容器を密封する。
【0003】
シール及びふたは、ユーザーが容器からシールを取り除くのを助けるためにタブをつかむことができるように、シールの周囲から外側に伸びたタブを有するように組み立てられてもよい。代わりの実施形態としては、シールがブリスターパッケージとともに使用されるとき、シールは、シールを取り除くための握りを提供するために持ち上げられることが可能なスコアードエッジ(scored edge)を含んでいてもよい。
【0004】
シールは、シールが包装の最も外側の要素であるブリスターパッケージの場合のように、外部にあってよく、またはねじ込みキャップ(threaded cap)と共に用いられるねじ込みネック(threaded neck)を有する容器に見られるように、内部シールであってもよい。内部シールは通常前述のヒートシール可能な層を有する金属ホイルの多層シートから打ち抜かれる。内部シールはキャップ内部に挿入され、そのキャップは容器のネック部分上部にねじり入れられる。キャップをかぶせられた容器は、内部シールが容器に接着されるようにアルミホイルを加熱誘導し、それによってヒートシール可能な材料の層を溶融することによって、加熱される。
【0005】
ブリスタータイプパッケージに使われるか、びんのような容器の開口部を密封するために使われるかに関わらず、シールが耐引裂性を示すことは望ましく、それには噛むことも含まれる。子供たちが包装された内容物に触れることを阻止することが望まれるとき、後者は特に重要である。
【0006】
そのような剥離可能なシールを作成するために用いられる材料は、アモルファスポリエステルのヒートシール層でコーティングされたMylar(登録商標)のような二軸配向したポリエステルフィルムを含む。前記シールはMylar(登録商標)シートの露出した表面の上にさらに印刷された表示を含んでいてもよい。前記表示は、さらに第2のMylar(登録商標)ポリエステルフィルム層によって覆われていてもよい。代わりの実施形態として、一つの表面上に反転して印刷された表示を有する第2のMylar(登録商標)層が、前記印刷された表示が適切な方向であるように見え且つMylar(登録商標)層によって保護されるように、シール上部の表面に接着される。
【0007】
他の周知の構造としては、剥離可能なシールを供給するために、エチレン酢酸ビニル(EVA)加熱活性化シールでコーティングされたMylar(登録商標)RL43を含む。以前に論じられた理由で、ふたのシールは、特に剥離の段階で耐引裂性を与えなくてはならず、適度に柔軟でなくてはならず、水分または少なくとも湿度に耐性がなくてはならず、食品のように加熱が必要とされる材料を含む容器を密封するのに使用されるときには耐熱性がなくてはならず、少なくともその露出された表面上に印刷可能でなければならず、製造において安価でなければならない。加えて、このようなシールは、処分上の問題を有する場合には、ほとんどそのような問題がないように、且つ環境調和的に作られることが望ましい。
【0008】
Hanらが発表し、3M社に譲渡された米国特許第5,372、268号明細書は、ヒートシールとして使用される多層構造を開示している。そのような構造は、(a)シールを容器に接着するシーリング材料の層、(b)実質的に空気及び湿気を透過しない層、(c)補強材料の層、を含む。シーリング材料の層は、例えばヒートシール可能なフィルム、熱溶融型接着剤、タックフリー(tack−free)圧力活性化接着剤、またはせん断活性化接着剤(shear−activated adhesive)等のような、どのような適切な接着剤から形成されてもよい。不透過層はポリマーフィルム、例えばポリ塩化ビニル、または金属ホイル、例えばアルミニウムホイルから形成されてよい。補強層は、少なくとも2層の、引裂き及び引っ張り強度がマシン方向、直角方向、対角線上の方向において増加されるよう全ての方向において等しい強度を与えるために、ある層の強度が高い方向が、他の層の強度が低い方向と交差するよう互いに積層された一軸配向フィルムからなる多層フィルムである。
【特許文献1】米国特許第5,372,268号明細書
【特許文献2】米国特許第4,375,494号明細書
【特許文献3】米国特許第3,871,947号明細書
【特許文献4】米国特許第4,165,210号明細書
【特許文献5】米国特許第3,107,139号明細書
【特許文献6】米国特許第5,985,437号明細書
【非特許文献1】Encyclopedia of Polymer Science and Engineering、2nd.Ed、Vol.12、Wiley、N.Y.、pp.1−313
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来の技術で明らかにされるように、シールを形成するために化学的に非類似な材料を使用することは、前述されたシール材料として望ましい特質のすべてを満足させようと試みるとき、使われた材料層の数と製造ステップの複雑さとを増すことによって、製造原価と同様、最終製品の厚さと堅さを増やす傾向がある。特に、製造において生み出される廃棄材料の処理、及びシールを形成するために使われる網(web)の使用は、処理問題を提示する。生産された網が湿度または水に対する不浸透性と高い耐引裂性という望ましい特徴を示すとき、このような問題はなおさら厄介である。結果的に、製造が比較的容易で安価であり、そのようなふたに望ましい程度に高い耐引裂性を示す容器用の密封ふたとして使用するための材料であって、必要なときには都合よく処理可能であるような材料への必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によると、耐引裂性を有する多層構造のシール構造の一部分として使用されることを通じて刺すこと及び引裂きに対する耐性を示す容器用のシールを提供し、耐引裂性を有する多層構造は以下からなる。
a)上部表面及び内側表面を有する配向ポリマーフィルム層と、
b)配向ポリマー層と実質的に同一の広がりを有する配向ポリマー層の内側表面上の熱接着ポリマー層であって、配向ポリマーフィルム層及び熱接着ポリマー層を合わせた厚みの10%から40%の間の厚みを有する熱接着ポリマーと、
c)熱接着ポリマー層と隣接する内側表面を有し、熱接着ポリマー層と実質的に同一の広がりを有する補強スクリム(scrim)ポリマー層。
【発明の効果】
【0011】
さらに本発明によると、ポリマーフィルム層及び接着ポリマー層は、層を分離することなくリサイクル可能な化学組成を有する、共押出された層である。好ましくは、前記スクリムも同様の化学組成を有し、積層後のリサイクルを可能にする。このような材料の選択によって、完全に積層された構造の単純なリサイクルにより製造工程の間の廃棄材料の回収を可能にする。この発明で使われるリサイクルとは、同様のまたは類似のプロセスにおいて材料を再利用される性能を意味する。利用される性能とは、リサイクルされた材料が、それを使用する製品の重量に対して20−70%の比率で使用されうることを意味する。例えば、廃棄物であるポリエステルの製造工程材料は粉砕され、例えば従来技術でよく知られているペレタイジング押出器でリサイクルペレットを作るために再利用されてもよい。リサイクルされたポリエステルペレットは新しい、または混合物のないポリエステルポリマーと混合されてよく、混合物は配向フィルムまたは他の製品を製造するため再溶融され、再押出された。
【0012】
熱活性型接着層は、シールを容器開口部に付けるのに必要な接着性を与えるため、補強スクリム層の底部表面上にコーティングされてもよい。
【0013】
さらに本発明によれば、熱接着ポリマー層及び補強スクリムポリマー層は、各々独立に合成縮合ポリマーを含む。前記合成縮合ポリマーは、重合された形態として各々以下を含む。
(a)カルボン酸またはカルボン酸の混合物、及びb)としてi)ジアミンまたはジアミンの混合物、またはii)ジオール、またはジオールの混合物、
(b)2よりも多い数の炭素原子を含むω−アミノ酸、またはそのようなアミノ酸の混合物。全体としてとられる構造として、
(1)合成縮合ポリマー内のカルボン酸またはカルボン酸の混合物を合わせた全量の少なくとも90mol%が同じカルボン酸である、
(2)合成縮合ポリマー内のジアミンまたはジアミンの混合物を合わせた全量の少なくとも90mol%が同じジアミンである、
(3)合成縮合ポリマー内のジオールまたはジオールの混合物を合わせた全量の少なくとも90mol%が同じジオールである、
(4)合成縮合ポリマー内のアミノ酸またはアミノ酸の混合物を合わせた全量の少なくとも90mol%が同じアミノ酸である。
【0014】
配向したポリマーフィルム層は二軸配向ポリエチレンテレフタレートであってもよい。
【0015】
本発明によると、びんの口または頂上部、またはブリスターパッケージの開いている側のような容器の開口部を、包装からシールを剥離することが可能な熱活性型接着剤を用いて、スクリム層の下側に取り付けることも考えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
[発明の詳細な記述]
本発明は、次に図を参照して記述され、図においては同じ数が同じ特徴を示す。図は本発明を例証し、説明するために提供されるものであり、縮尺を示すため描かれたものではなく、製造工程において使用される工学図面を意図するものでもない。このように、ある要素は誇張され、一方で本発明において理解される必要がない要素は表示されないか、または部分的に表示されている。
【0017】
図1を参照すると、本発明による耐引裂性シールまたはふた構造10の実施形態が示されている。前記シールは少なくとも3層からなる。付加的な層は示された3層の上部または下部のどちらにあってもよいが、この発明を説明するのに本質的ではないので、示されていない。シールの耐引裂性部分を形成する3層は、上部層12、接着層18、及び補強スクリム層20である。
【0018】
上部層12は配向ポリマーフィルム層12であり、線形ポリエステルから製造されていてもよい。一般的に、前記線形ポリエステルは約0.5〜約0.8の固有粘度を有し、最も一般的には約0.6である。好ましいポリエステルフィルムは、二軸配向ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム及び二軸配向ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルムである。
【0019】
特に有用なのは二軸配向されヒートセットされたポリエチレンテレフタレートである。そのような材料は従来技術でよく知られており、例えばStokesの米国特許第4,375,494号明細書に開示されており、参考としてここに組み込まれている。
【0020】
ポリエチレンテレフタレートのポリマー調整技術は当業者によく知られており、例えばEncyclopedia of Polymer Science and Engineering、2nd.Ed、Vol.12、Wiley、N.Y.、pp.1−313のような多くの文書に開示されている。前記ポリマーは、一般的に適切なジカルボン酸、またはその低級アルキルジエステルとエチレングリコールとを縮合することによって得られる。ポリエチレンテレフタレートはテレフタル酸またはそのエステルから形成され、ポリエチレンナフタレートは、2,7−ナフタレンジカルボン酸またはそのエステルから形成される。
【0021】
配向ポリマーフィリム層12は、例えば製品の外観を改良するために、または水蒸気または他の気体に対するコンポジットペーパーボード構造(composite paperboard structure)の透過性を変えるために特定の添加剤を含んでもよい。そのような特定の添加剤を含むフィルムの一例は、Dupont Teijin Films ウィルミントン、デラウェア州、からMylar(登録商標)365Tという商品名で商業的に入手可能な、二酸化チタンを約15%含む二軸配向ポリエチレンテレフタレートである。他には、UV吸収剤を含むMelinex(登録商標)389である。本発明によれば、例えば難燃剤添加物、粘土、タルク及びシリカのような、異なるタイプ及び量の特定の添加剤も使われてよい。使用される添加剤の量は少ないので、製造時の廃棄物をリサイクルすることは変わらず可能である。
【0022】
配向ポリマーフィルム12は上部表面14及び内側表面16を有する。内側表面16に接着されているのは熱接着ポリマー層18である。熱接着ポリマー層18は、簡単に記載されるように、配向ポリマーフィルム層12、及び補強スクリムポリマー層20の内側表面と接着性の結合を形成することができる。一般的に、熱接着ポリマー層18は、フィルムコンポジットを形成するために配向ポリマーフィルム層の表面16上に形成される。コンポジットは続いて圧力を与えられ、層18を柔らかくするのに十分な程度に高く、しかし配向ポリマーフィルム層16または補強スクリムポリマー層20を柔らかくしたり、または溶融する程には高くない程度に加熱することによって補強スクリムポリマー層20に取り付けられる。
【0023】
熱接着ポリマー層18はポリエステル樹脂を含んでいてもよく、特に、例えばテレフタル酸、イソフタル酸及びヘキサヒドロテレフタル酸のような、一つ以上の二塩基芳香族カルボン酸から、及び例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコールのような、一つ以上のグリコールから誘導されるコポリエステル樹脂である。熱接着ポリマー層18はテレフタレートを含むポリエステルであってよい。好ましいコポリエステルは、テレフタル酸、及びイソフタル酸とヘキサヒドロテレフタル酸のうちから一つまたは両方、及び一つ以上のグリコール、好ましくはエチレングリコールから誘導される。例として、アモルファス状態において満足すべき接着性を与えるコポリエステルは、エチレンテレフタレート及びエチレンイソフタレートであって、特にエチレンテレフタレートのモル比が60−90mol%及び相応じてエチレンイソフタレートのモル比が40−10mol%のものである。特に好ましいコポリエステルは、エチレンテレフタレート70−85mol%及びエチレンイソフタレート30−15mol%を含むものであり、例えばエチレンテレフタレート約82mol%及びエチレンイソフタレート約18mol%を含むコポリエステルである。
【0024】
本発明によるシール構造の製造において、配向ポリマーフィルム層12及び熱接着ポリマー層18の双方が、0.20ミル(1/1000インチ)から3ミル、より好ましくは0.50から1.4ミルの間の厚みを有するフィルムコンポジットの形態で与えられるのが好ましい。
【0025】
配向したポリマーフィルム層12が二軸配向したポリエチレンテレフタレートであり、熱接着ポリマー層18が前述のようなコポリエステル樹脂である場合には、フィルムコンポジットは、多層オリフィスダイ(multiple orifice die)を通じた多層押出または、例えば米国特許第3,871,947号明細書に広く開示されるように、一つ以上の方向に延伸されヒートセットされることによる分子配向が後工程にある、コンポジット層の共押出を含む工程によって便利に作られてもよい。シングルチャンネル共押出として知られる共押出のための便利な工程及び装置は米国特許第4,165,210号明細書に開示されている。この方法は、二つの異なる押出機からの第一及び第二のポリエステルの同時に起こる押出流れを含み、チューブ中の二つの流れを押出ダイのマニフォールドへ導き、二つのポリエステルが混合されることなく流れの異なる領域を占めるような層流条件下で二つのポリエステルをダイを通じて共に押出し、それによってフィルムコンポジットは製造される。
【0026】
フィルムコンポジットのポリエチレンテレフタレート配向ポリマーフィルム層の二軸配向は、コンポジットを連続的に二つの相互に垂直な方向に、一般的に約78〜125℃の範囲の温度で延伸することによって達成されてもよい。一般的に、コンポジットを延伸するとき適用された条件は、熱接着ポリマー層を部分的に結晶化させるために作用し、そのような場合には、熱接着ポリマー層の結晶融解温度よりも高い温度で、しかしポリエチレンテレフタレート配向ポリマーフィルム層の結晶融解温度よりも低い温度における次元的拘束(dimensional restraint)下でフィルムコンポジットをヒートセットすることが好ましい。コンポジットは、冷却され、配向ポリマーフィルム層内部に高い結晶性を維持しながら、一方で熱接着ポリマー層を本質的にアモルファスにする。結果として、延伸の操作後には、好ましくは次元的拘束下において、一般的には150−250℃の範囲の温度でヒートセットが行われる。延伸及びヒートセットの適当な工程は米国特許第3,107,139号明細書に開示されている。このように本発明の一つの実施形態としては、耐引裂性シールまたはふた構造10は、異なる材料から作られる二つの層を含みながらも1枚のフィルムのシートを形成するように、共押出によって形成されるフィルムコンポジットを含む。
【0027】
ここで記載されたような共押出フィルムコンポジットは、配向ポリマーフィルム層12及び熱接着ポリマー層18を組み込むものであり、商業的にDuPont Teijin Films ウィルミントン、デラウェア州から、Melinex(登録商標)301Hの商品名で購入可能なものである。
【0028】
上述のコンポジットは補強スクリム層20に積層される。補強スクリムポリマー層20を作るための材料の適切な例としては、ポリエステルを含む織布または不織布繊維材料である。適切な不織スクリムの一つ、スパンボンドポリエステル製品、はBBA Filtration(division of BBA Nonwovens、ナッシュヴィル、テネシー州)からStarWeb(登録商標)2253Cの商品名で購入可能であり、基本重量は約18g/m、厚みは0.0038インチである。他の適切な不織スクリムは、やはりBBA Filtrationから購入可能なReemay(登録商標)2004スパンボンドポリエステルであり、基本重量は約14g/mである。本発明において使用するのに適切な不織スクリムは一般的に基本重量が約5〜約100g/mの範囲であり、好ましくは約10〜約20g/mの範囲である。
【0029】
特に高いレベルの引っ張り及び/または引裂強度が望まれる場合には、織布スクリム(二または三次元)が使われてもよく、これらは基本重量において約15〜約300g/mの範囲であってよい。それらは様々なポリエステルから作られていてよく、これらに制限されるものではないがポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンナフチレートを含む。
【0030】
次に図2を参照すると、図1の構造の下部に取り付けられた製品21を入れるためのブリスタータイプパッケージ22が示されている。ブリスター型容器は剥離可能な状態で、スクリム層20の下部表面17に、接着層24を通じて接着されている。接着層24は、重量2〜25gr/mで、好ましい範囲は6から16gr/mで、スクリム層の下部表面に塗布された溶媒性(solvent borne)EVA溶液であってよく、塗布は好ましくは別個の段階で、共押出コンポジット配向ポリマープラス熱接着ポリマーにスクリム層を積層した後に行われる。好ましくは、溶媒性ポリエステルが使われてよく、または水性の接着剤であるアクリル樹脂、EVA、またはポリエステルであってよい。代わりに、接着層24はスクリム層底部表面上に押し出されてもよい。
【0031】
接着剤は、シールに接触する、容器の露出される表面26に塗布されてもよい。接着剤は一般的に連続層として塗布されるが、例えばブリスターパッケージの縁周囲に接着剤の薄いビーズとして、またはスクリム底部表面上の対応するビーズとして、選択された領域に印刷することによって塗布されてもよい。一般的に、前記接着剤は熱活性接着剤であるが、コンタクト接着剤であってもよい。ブリスター及びびん容器を作成し密封する技術はよく知られ、これらの役目を行なう装置はKlockner Medipak Inc of Clearwater、Floridaから装置を含めて商業的に購入可能である。
【0032】
図3は、本発明によるシールの他の実施形態である。この例では、シールは、一般的に錠剤やカプセルの形態の薬品用の容器であるびん型容器26の口を密封するために用いられる。そのような場合には、シールはシール材のより大きなシートから所定の形及びサイズに切りとられ、びんの口に対応する下部に塗布された接着剤24’を用いて接着される。また、これはブリスターパッケージの場合に述べたように連続的な層であってよく、またはびんの口の上部表面の上に塗布された接着層であってよい。好ましくは、前記シールは取り除くのを容易にするため小さなタブを含んでいる。
【0033】
図3に示されるように、上部表面14は印刷された表示22を含んでいてもよい。そのような表示はロゴ、画像、使用説明などを含んでよい。結果的に、層12は良好な印刷特性を示すことが好ましい。ポリエチレンテレフタレートのインク保持性を改良するために、そのようなフィルムコンポジットのポリエチレンテレフタレートフィルム側は、任意に、例えば水ベースまたは溶媒ベースのコーティング及び接着剤に対する接着を改善するプライマー材料を用いてインライングラビアコーターを通じてコーティングされ、より容易に印刷を載せる表面を提供してよい。印刷のプライマーは一般的に水性のポリマー分散系、アクリル樹脂のエマルジョンまたは溶液、ウレタン、ポリエステル、または従来技術で知られた他の樹脂に基づくものである。少なくとも一つのスルホポリエステル(sulfopolyester)、少なくとも一つのテトラブロックコポリマー樹脂、及び少なくとも一つのアクリルアミド/アクリル酸コポリマーまたはその塩を含むそのようなコーティングの例は、Chappellらによる米国特許第5,985,437号明細書に開示されている。商業的に入手可能であって、印刷用にプライマー処理された、本発明を実践するのに有用なポリエステルフィルムは、E.I.Dupont de Nemours and Co.Inc.ウィルミントン、デラウェア州、からMylar(登録商標)の商品名で入手可能である。
【0034】
シールに意図される機能に応じて、付加的なコーティングまたは層が上部表面14に塗布されてもよい。例えば、そのようなコーティングまたは層は、気体及び水蒸気バリアコーティング、すなわち真空蒸着アルミニウム、またはSaran(登録商標)のような樹脂、Dow Chemical Corp.で製造されるPVdC樹脂、ガスバリアとしてのPVA、EVOH、SiOx等からなるポリマーバリアコーティングを含んでいてよい。そのような層は水性のプロセス以外で、非水性溶媒ベースのプロセスまたはスパッタリングのように非溶媒のプロセスでのコーティングによって塗布されてもよい。他に可能な層としては、特殊な機能を有する層の提供を含んでもよい。特殊な機能の層とは、抗菌性の層、セキュリティー/反偽造/ブランド保護装置、すなわちホログラフィックイメージ化学染料及びマーカー、発光性の光化学的コーティング等のような特殊なタイプの保護を意図した層を意味する。
【0035】
さらに他の実施形態では、図4に示されるように、付加的な耐引裂性を与えるために、シール構造32は第二の結合したフィルム/接着層18’及び配向フィルム層12’からなる接着層32をさらに含んでもよい。第二の結合したフィルム30は、その後補強スクリム層20の底部表面に積層される。繰り返しになるが、第二の結合した層は、層を分離することなく完全構造30のリサイクルを可能にする化学組成を有するものでなくてはならない。
【0036】
図2の実施例で既に述べられたような組成および塗布方法と同様な条件で、図示されていない接着層が、第二の結合層30の露出された表面34の上部に塗布されてもよい。
【0037】
本発明は特定の実施形態を参照して説明され、記載されるが、本発明がここで示された細部に限定されているという意図ではない。むしろ、本発明から逸脱せずに請求の範囲と等価な範囲において種々の修正が細部でされてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の多層シール構造の断面を説明する概略図を示す。
【図2】本発明に従ってシールに取り付けられたブリスターパッケージを示す。
【図3】シールがびん型の容器に取り付けられた、他の実施形態を示す。
【図4】シールが任意の付加的な層を含む、他の実施形態を示す。
【符号の説明】
【0039】
10 ふた構造
12 上部層、配向ポリマーフィルム層
12’ 配向フィルム層
14 上部表面
16 内側表面
17 下部表面
18 接着層、熱接着ポリマー層
18’ 接着層
20 補強スクリムポリマー層
21 製品
22 ブリスタータイプパッケージ
23 表示
24 接着層
32 接着層
30 第二の結合したフィルム
34 表面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の開口部を密封するためのシールであって、前記シールは少なくとも一つの耐引裂性コンポジット層を含み、前記コンポジット層は、
a)上部表面及び内側表面を有する配向したポリマーフィルム層と、
b)前記配向ポリマー層内側表面上にあって、前記配向ポリマー層と実質的に同等の広がりを有する熱接着性ポリマー層であって、前記熱接着ポリマー層は前記配向ポリマーフィルム層及び前記熱接着ポリマー層を合わせた厚みの10%から40%の間の厚みを有する熱接着性ポリマー層と、
c)補強スクリムポリマー層であって、前記熱接着ポリマー層に隣接し、前記熱接着ポリマー層と実質的に同等の広がりを有する内側表面を有し、前記補強層は底部表面を有する補強スクリムポリマー層、
からなり、前記耐引裂性コンポジット層が前記シールに耐引裂性を付与するシール。
【請求項2】
前記ポリマー層及び前記接着層を合わせた厚みが約0.00020インチから0.003インチの間である、請求項1に記載のシール。
【請求項3】
前記耐引裂性コンポジット層中の前記ポリマーフィルム層と、前記接着ポリマー層と、前記補強スクリムの全てが、その層を分離することなく前記コンポジットをリサイクルすることを可能にする化学組成を有する、請求項2に記載のシール。
【請求項4】
前記シールが前記補強スクリム層の前記底部表面上に接着性の層をさらに含む、請求項3に記載のシール。
【請求項5】
前記接着層も、その層を分離することなく前記コンポジットをリサイクルすることを可能にする化学組成を有する、請求項3に記載のシール。
【請求項6】
前記接着層が熱活性型接着層である、請求項4に記載のシール。
【請求項7】
前記耐引裂性コンポジット層中の前記配向ポリマーフィルム層、前記熱接着ポリマー層、前記補強スクリムポリマー層は、各々独立に合成縮合ポリマーを含み、前記合成縮合ポリマーは、各々重合された形態として以下のものを含む、請求項2に記載のシール。
1) a)カルボン酸またはカルボン酸の混合物、及びb)としてi)ジアミンまたはジアミンの混合物、またはii)ジオール、またはジオールの混合物、または、
2)2よりも多い数の炭素原子を含むω−アミノ酸、またはそのようなアミノ酸の混合物であって、
全体としてとられるコンポジットについて、
合成縮合ポリマー内のカルボン酸またはカルボン酸の混合物を合わせた全量の少なくとも90mol%が同じカルボン酸である、
合成縮合ポリマー内のジアミンまたはジアミンの混合物を合わせた全量の少なくとも90mol%が同じジアミンである、
合成縮合ポリマー内のジオールまたはジオールの混合物を合わせた全量の少なくとも90mol%が同じジオールである、
合成縮合ポリマー内のアミノ酸またはアミノ酸の混合物を合わせた全量の少なくとも90mol%が同じアミノ酸である。
【請求項8】
前記配向ポリマーフィルム層が二軸配向したポリエチレンテレフタレートを含む、請求項7に記載のシール。
【請求項9】
前記構造が前記補強スクリム層の前記底部表面上に熱活性型接着層をさらに含む、請求項7に記載のシール。
【請求項10】
前記シールが、前記スクリム層底部表面に接着したブリスターパッケージをさらに含む、請求項3に記載のシール。
【請求項11】
前記ブリスターパッケージは、前記スクリム層底部表面に剥離可能な状態で熱活性型接着剤を通じて接着された、請求項10に記載のシール。
【請求項12】
前記スクリム層の前記底部表面に接着されたブリスターパッケージをさらに含み、前記ブリスターパッケージは前記耐引裂性コンポジット層への接着に適した表面を含み、接着剤は前記接着に適した表面に塗布された、請求項11に記載のシール。
【請求項13】
前記配向ポリマー層上部表面及び前記配向ポリマー層内側表面のうち少なくとも一つが印刷された表示を含む、請求項3に記載のシール。
【請求項14】
前記耐引裂性コンポジット層がさらに前記スクリム層の前記底部表面上の付加的な熱接着ポリマー層及び付加的なポリマーフィルム層で構成され、全てのそのような層が、前記層を分離することなく前記コンポジットをリサイクルすることを可能にする化学組成を有する、請求項3に記載のシール。
【請求項15】
前記シールが開口部を有する容器をさらに含み、前記シールは前記容器開口部に剥離可能な状態で接着され前記容器開口部を密封する、請求項3に記載のシール。
【請求項16】
少なくとも一つの特殊な機能を有する層をさらに含む、請求項3に記載のシール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−511434(P2007−511434A)
【公表日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−540031(P2006−540031)
【出願日】平成16年11月9日(2004.11.9)
【国際出願番号】PCT/US2004/038635
【国際公開番号】WO2005/049313
【国際公開日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(505077426)デュポン・テイジン・フィルムズ・ユー・エス・リミテッド・パートナーシップ (9)
【Fターム(参考)】