説明

耐性微生物の特異的検出用の培地

【課題】耐性微生物の特異的検出用の培地。
【解決手段】本発明は、
・微生物の第一の分類群に属しかつ第一の治療に対する第一の耐性機構を少なくとも備える第一の群の微生物、
・微生物の第二の分類群に属しかつ第二の治療に対する第二の耐性機構を少なくとも備える第二の群の微生物、
・前記第一及び第二の治療に耐性でない第三の群の微生物
を含む生物試料において3群以上の微生物を区別するための二種の培地の組み合わせの使用であって、
前記二種の培地の組み合わせが、
a.前記第一の群の微生物の少なくとも第一の酵素活性又は代謝活性を検出するための少なくとも一種の第一の基質、
b.前記第一の群の微生物と前記第二の群の微生物とを区別するための少なくとも二種のマーカー、
c.前記第三の群の微生物に有効な少なくとも一種の抗微生物剤
を含む
ことを特徴とする使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、生化学による微生物学的分析であり、特に、微生物(例えば細菌又は酵母)の検出及び識別である。
【背景技術】
【0002】
抗生物質に対する細菌の耐性は、公衆衛生上で主要な問題となっている。感染性微生物の治療耐性は、抗感染性分子と同時に生じてきており、今日、治療において大きな障害となっている。この耐性は、多くの問題(例えば、検査室において検出が困難であること、治療の選択が限られること、及び、臨床結果に対して有害な影響を及ぼすこと)の原因となっている。
【0003】
特に、最近20年間で病原細菌の耐性が急激に増加して抑制不可能となっていることは、医療において、現在、重大な問題となっている。こうした微生物によって引き起こされる感染は、入院期間が長くなる原因となっており、そして、治療が失敗することによって罹病率及び死亡率が高くなる。
【0004】
一つの菌株においていくつかの耐性機構が同時に関与している可能性がある。それらは一般的に3つのカテゴリーに分類される。すなわち、抗生物質の細菌への浸透の不完全性、細菌の酵素系による抗生物質の不活性化又は排出、そして、細菌標的と抗生物質との間の親和性の欠如である。
【0005】
酵素による不活性化は、関連する種及び抗生物質の数の点において、獲得耐性の機構として最も一般的である。すなわち、染色体クラスCセファロスポリナーゼは現在、グラム陰性菌の主要な耐性機構の一つであり、この酵素を発現する細菌はセファロスポリン類に対して耐性である。同様に、β−ラクタマーゼ類は、特定の細菌によって発現される酵素であって、β−ラクタム系抗生物質の基本構造であるβ−ラクタム環のC−N結合を加水分解できるため、微生物に対して不活性な生成物を生じる。いくつかのβ−ラクタマーゼ阻害剤(BLI)(例えば、クラブラン酸(CA)、タゾバクタム及びスルバクタム)が開発されており、これによって、抗微生物活性が増強され、それに関連するβ−ラクタム類のスペクトルが広げられてきた。それらは、β−ラクタマーゼを自滅させるように作用し、酵素による抗生物質の分解を防ぎ、そして、当初耐性だった細菌に対して抗生物質が有効になるようにする。しかし、抗生物質の影響に菌株を持続的にさらすことにより、その細菌は、β−ラクタマーゼ類を連続的かつ精力的に生産し、これによって適応能力が発現され、したがって同時に新たな化合物が開発されることとなる。
【0006】
その結果、高レベルの染色体クラスCセファロスポリナーゼを生産するグラム陰性菌(HL Case細菌と呼ぶ)、及び、広域スペクトル型β−ラクタマーゼを生産するグラム陰性菌(ESBL細菌と呼ぶ)の脅威が際立って増している。というのも、上記当する細菌種の数が増加しているからである。HL Case細菌及びESBL細菌は、第一世代及び第二世代のペニシリン類及びセファロスポリン類に基づく治療に耐性であるとともに、第三世代のセファロスポリン類(C3G)(セフォタキシム(CTX)、セフタジジム(CAZ)、セフポドキシム(CPD)、セフトリアキソン(CRO))及びモノバクタム類(アズトレオナム(ATM))に基づく治療に対しても耐性である。一方、7α−メトキシセファロスポリン類(セファマイシン類:セフォキシチン、セフォテタン)及びカルバペネム類(イミペネム、メロペネム、エルタペネム)は、通常、その活性を保持する。ESBLは、β−ラクタマーゼ阻害剤(BLI)によって阻害され、このことによって、これらを他のセファロスポリナーゼから区別することができる。
【0007】
従って、これらの細菌がいくつかの治療に対して同時に耐性を発現することは非常に一般的であり、このことによって、適当な治療を組み立てて治療の失敗を回避するのが困難となる。例えば、ある大腸菌の細菌は、HL CaseであってかつESBLである可能性がある。また、ESBL陽性の腸内細菌は、菌株のクローン伝達又は接合プラズマ伝達によって耐性を広める傾向を有しているため、感染の抑制という点から問題となっている。多くの研究において、大腸菌及びクレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)はESBL生産種として非常に一般的である。しかし、ここ数年にわたり、ESBLは、その対象種を大きく広げてきた。実際、腸内細菌の多くの種及び非発酵性グラム陰性桿菌の多くの種(例えばシュードモナス・エルジノーサ(Pseudomonas aeruginosa))もまたESBL生産菌であることが報告されている。
【0008】
これらのESBL細菌に加え、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)についても言及することができるが、これは多くの耐性機構(例えばメチシリン、ペニシリン、テトラサイクリン、エリスロマイシン又はバンコマイシンに対する耐性)を発現する病原性細菌である。エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)は病院において見られる別の多剤耐性細菌であり、これは、ペニシリン、バンコマイシン及びリネゾリドに耐性を有する可能性がある。マイコバクテリウム・ツベクローシス(Mycobacterium tuberculosis)は一般的にイソニアジド及びリファンピシンに耐性である。他の病原菌、例えばサルモネラ(Salmonella)、カンピロバクター(Campylobacter)及びストレプトコッカス(Streptococcus)もある耐性をもたらす。
【0009】
従って、できるだけ速やかにそのような微生物及びそのような耐性機構を識別することが、公衆衛生の点で不可欠になっている。
【0010】
一般に、ある治療に耐性の微生物についての調査は、以下の工程に従って行われる。
1.当上記微生物を含む可能性がある生物試料を採取する。
2.接種して培地をインキュベートし(18〜48時間)、上記微生物の指数増殖を誘導する。
3.重要である可能性のある微生物のコロニーを培地において特定する。
4.上記微生物種の特徴を調べる。
5.分析した微生物の耐性機構、その生物学的意義、及び、必要に応じて適当な療法を特定する。
【0011】
この一連の工程は、特定の微生物を含み得る試料を採取してから患者に適切な治療を処方するまで相当な時間が必要である。さらに、使用者は通常、第一の培地から第二の培地に手作業で微生物を移す工程を実施しなくてはならず、このことは、特に雑菌混入の問題を引き起こす可能性があるばかりでなく、作業者の健康を損なう危険性を伴い得る。
【0012】
例えば、大腸菌及びクレブシエラ・ニューモニエの株において、広域スペクトル型β−ラクタマーゼ(ESBL)の存在を検出するため、Jacoby及びHanによる刊行物(非特許文献1)に記載されるような拡散法を用いることができる。しかし、これは、試験される菌株の特定に関して情報をもたらすものではない。細菌がESBL生産細菌であるか否かを決定することができても、その細菌が大腸菌であるかクレブシエラ・ニューモニエであるかどうか識別することはできないからである。
【0013】
ESBL又はHL Caseの存在を検出するため、代謝基質も利用される。これに関し、AESラボラトリーズは、セフォタキシムを有するDrigalski培地とセフタジジムを有するMacConkey培地を組み合わせたバイプレート(biplate)の培地を提案している。Drigalski培地とMacConkey培地によって、ラクトース酸性化(非常に多くの腸内細菌種に存在する代謝)を明らかにすることができる。しかし、そのような培地は、耐性細菌を非耐性細菌から区別できるというのみであり、ESBLを発現する細菌を、HL Caseを発現する細菌から区別することはできない。この培地を使用しても特定の細菌種を識別することはできず、また、例えばE.coliとクレブシエラ・ニューモニエ細菌とを区別することもできない。
【0014】
ESBL以外の耐性機構を検出する場合、特許文献1について言及することができ、これは、二つの酵素活性(β−グルコシダーゼ及びピロリドニルアリールアミダーゼ)を明らかにする発色培地とバンコマイシンとを組み合わせることによるバンコマイシン耐性腸球菌の調査に関するものである。しかし、この発色培地は、バンコマイシン耐性株がエンテロコッカス属に属するか否かを決定できるにすぎず、種や関係する耐性機構(特に、それが獲得耐性なのか野生型の耐性なのか)の識別は不可能である。
【0015】
従って、微生物の種の特徴を明らかにすること、そして、治療に対するその耐性を識別することは、時間がかかり、かつ、困難である。実験室において臨床医が陽性のスクリーニングを得、一方、その分離物が実際に耐性微生物を含んでいない場合、これは、不必要かつ不適切な治療となり得る。逆に、陽性のスクリーニング(後に確認される)が知らされないと、患者の隔離の準備(従って恐らくは適切な治療も)は1日遅れることになる。このことから、迅速かつ信頼できる確認試験が必要であることが示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】欧州特許出願EP0954560号
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】J Clin Microbiol.34(4):908−11,1996
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
従って、本発明は、新規な診断ツールを提供することにより従来技術を改良することを提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、
・微生物の第一の分類群に属しかつある治療に対して少なくとも一つの耐性機構を備える第一の群のグラム陽性菌、
・前記第一の分類群とは異なる微生物の第二の分類群に属する一方、前記第一の群と同じ、ある治療に対する少なくとも一つの耐性機構を備える第二の群のグラム陽性菌、
・前記治療に耐性でない第三の群のグラム陽性菌
を含む生物試料において3群以上の微生物を区別するための培地の使用であって、
前記培地が、
○前記第一の群の微生物の少なくとも第一の酵素活性又は代謝活性を検出するための少なくとも一種の第一の基質、
○前記第一の群の微生物と前記第二の群の微生物とを区別するための少なくとも一種のマーカーであって、前記第二の群の微生物の少なくとも一つの酵素活性又は代謝活性を検出するための基質であるマーカー、
○前記第三の群の微生物に有効な少なくとも一種の抗微生物剤
を含む
ことを特徴とする培地の使用に関する。
【0020】
第一の群及び第二の群のグラム陽性菌が
腸球菌であることが好ましい。
【0021】
また、本発明は、
・α−グルコシダーゼの酵素活性を検出するための第一の基質、
・β−グルコシダーゼ又はβ−ガラクトシダーゼの酵素活性を検出するための第二の基質、
・好ましくはバンコマイシンである、少なくとも一種類の抗生物質
を含む
ことを特徴とする培地に関する。
【0022】
また、本発明は、
・β−グルコシダーゼの酵素活性を検出するための第一の基質、
・着色指示薬の存在下でメチル−α−グルコシドの代謝を検出するための第二の基質、
・バンコマイシンである抗生物質
を含む
ことを特徴とする培地に関する。
【0023】
また、本発明は、
・バンコマイシンに対して獲得耐性を発現する第一の群の腸球菌、
・バンコマイシンに対して自然耐性を発現する第二の群の腸球菌、
・バンコマイシンに耐性でない第三の群の腸球菌
を区別するための前記培地の使用に関する。
【0024】
また、本発明は、
・α−グルコシドの代謝を検出するための少なくとも一種の第一の基質、
・α−グルコシドの代謝とは異なる第二の活性を検出するための少なくとも一種の第二の基質、
・バンコマイシンである少なくとも一種の抗生物質
を含む
ことを特徴とする培地に関する。
【0025】
また、本発明は、
少なくとも第二の基質がβ−グルコシダーゼ又はβ−ガラクトシダーゼの活性を検出できる
ことを特徴とする前記培地の使用に関する。
【0026】
前記第一の基質が好ましくはメチル−α−グルコシドであり、前記第二の基質が好ましくは5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−グルコシド又は6−クロロ−3−インドリル−β−D−グルコシドであり、かつ前記抗生物質が好ましくはバンコマイシンであることが好ましい。
【0027】
また、本発明は、
・エンテロコッカス・フェカリス及びエンテロコッカス・フェシウムを含む第一の群のバンコマイシン耐性微生物、
・エンテロコッカス・カセリフラブス及びエンテロコッカス・ガリナルムを含む第二の群のバンコマイシン耐性微生物、
・バンコマイシンに耐性でない第三の群の微生物
を区別するための前記培地の使用に関する。
【0028】
前記第一の基質が5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−N−メチル−α−D−グルコシド又は5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−α−D−グルコシドであり、前記第二の基質が6−クロロ−3−インドリル−β−D−グルコシド又はアリザリン−β−D−ガラクトシド又は5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−グルコシド又は5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシド又は6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシドであり、かつ、前記抗生物質がバンコマイシンであることが好ましい。
【0029】
また、本発明は、
・エンテロコッカス・フェシウムを含む第一の群のバンコマイシン耐性微生物、
・エンテロコッカス・フェカリスを含む第二の群のバンコマイシン耐性微生物、
・バンコマイシンに耐性でないか又は自然耐性を発現する第三の群の微生物
を区別するための前記培地の使用に関する。
【0030】
前記第一の基質が5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−N−メチル−α−D−グルコシド又は5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−α−D−グルコシドであり、前記第二の基質が6−クロロ−3−インドリル−β−D−グルコシド又は5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−グルコシドであり、かつ、前記抗生物質がバンコマイシンであることが好ましい。
【0031】
また、本発明は、
・エンテロコッカス・フェカリス及びエンテロコッカス・フェシウムを含む第一の群のバンコマイシン耐性微生物、
・バンコマイシンに中間耐性又は耐性であるスタフィロコッカス・アウレウスを含む第二の群の微生物、
・バンコマイシンに耐性でない第三の群の微生物
を区別するための前記培地の使用に関する。
【発明の効果】
【0032】
新規な診断ツールは、実施される治療に対し、時間、信頼性及び妥当性を向上できるものである。本発明によって、単一の工程において、一つの試料中に存在する複数の微生物種を識別することができ、さらに、その耐性機構を明らかにすることによって各患者に対して適切な治療を提示することができる。本発明は、特に、様々な種の微生物(それらは種々の治療に対して種々の耐性機構を有し、それらのすべてが同一試料中に存在し得る)を区別するのに適している。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明をさらに開示していく前に、本発明の理解を容易にするため、以下の定義を示しておく。
【0034】
用語「培地」は、微生物の生存及び/又は増殖に必要なすべての要素を含む媒質を意味するものとする。本発明による培地は、任意の可能な添加物(例えば、ペプトン類、一種以上の増殖因子、炭水化物類、一種以上の選択因子、バッファー、一種以上のゲル化剤など)を含んでもよい。この培地は、すぐに使用できるように、すなわちチューブ、フラスコあるいはペトリ皿中にすぐに播種できるように、溶液状又はゲル状であってよい。
【0035】
本発明の目的に対し、用語「微生物」は、グラム陽性菌又はグラム陰性菌、酵母、さらには、通常、単細胞でありかつ肉眼で見えず、実験室で操作及び取り扱いが可能なより一般的な生物を包含するものである。
【0036】
グラム陰性菌として、以下の種類の細菌を挙げることができる。シュードモナス、エシェリキア、サルモネラ、シゲラ、エンテロバクター、クレブシエラ、セラチア、プロテウス、カンピロバクター、ヘモフィルス、モルガネラ、ビブリオ、エルシニア、アシネトバクター、ブランハメラ、ナイセリア、ブルクホルデリア、シトロバクター、ハフニア、エドワードシエラ、アエロモナス、モラクセラ、パスツレラ、プロビデンシア、及びレジオネラ。
【0037】
グラム陽性菌として、以下の種類の細菌を挙げることができる。エンテロコッカス、ストレプトコッカス、スタフィロコッカス、バチルス、リステリア、クロストリジウム、ガードネレラ、コキュリア、ラクトコッカス、ロイコノストック、ミクロコッカス、マイコバクテリア及びコリネバクテリア。
【0038】
酵母として以下の種類の酵母を挙げることができる。カンジダ、クリプトコッカス、サッカロミセス及びトリコスポロン。
【0039】
用語「生物試料」は、生物体液の標本に由来する臨床試料、あるいは、任意の種類の食品に由来する食品試料を意味するものとする。従って、この試料は液体でも固体でもよく、この試料としては、例えば、臨床上の血液、血漿、尿又は糞便の試料、鼻、のど、皮膚、傷又は脳脊髄の体液試料、水、飲料(例えば乳又は果汁)、ヨーグルト、肉、卵、野菜、マヨネーズ、チーズ、魚などからの食品試料、動物用の飼料に由来する食品試料、特に例えば動物の粉餌に由来する試料を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0040】
用語「耐性機構」は、微生物が、上記微生物に対するある治療の効果を部分的又は完全に無効にして確実に生存できるようにする任意の種類の手段を意味するものとする。耐性機構は、一般的に3つのカテゴリーに分類される。すなわち、細菌への抗生物質の不完全な浸透、細菌の酵素系による抗生物質の不活性化又は排出、そして細菌標的と抗生物質との間の親和性の欠如である。
【0041】
例示として、特に、広域スペクトル型β−ラクタマーゼ群に属する酵素の発現に関連する耐性機構、染色体の高レベルクラスCセファロスポリナーゼ群に属する酵素の発現に関連する耐性機構、グリコペプチド類に対する耐性機構(好ましくは、エンテロコッカス属に属する細菌によって発現されるもの)を挙げることができる。
【0042】
微生物がスタフィロコッカス・アウレウス菌の場合、メチシリン、ペニシリン、テトラサイクリン、エリスロマイシン又はバンコマイシンに対する耐性機構をさらに挙げることができる。
【0043】
微生物がエンテロコッカス・フェシウム菌の場合、ペニシリン、バンコマイシン及びリネゾリドに対する耐性機構を挙げることができる。
【0044】
微生物が酵母の場合、アンホテリシンB又はアゾール族の抗真菌剤に対する耐性機構を挙げることができる。
【0045】
最後に、微生物がマイコバクテリウム・ツベルクローシス菌の場合、イソニアジド及びリファンピシンに対する耐性機構を挙げることができる。
【0046】
用語「治療」は、患者由来の微生物の増殖を防ぐ又は低減することができる治療を意味するものとする。この治療は、特に、抗微生物剤化合物、例えば抗生物質(例えば、ペニシリン類、一般的なセファロスポリン類、広域スペクトル型セファロスポリン類、モノバクタム類、グリコペプチド類又はアミノシド類)あるいは抗真菌剤又は耐性阻害化合物を含むことができる。なお、この治療には、患者を隔離して他の患者への微生物の伝播を防ぐことも含めることができる。
【0047】
用語「基質」(酵素活性又は代謝活性を検出できるもの)は、検出可能なシグナルを微生物の酵素活性又は代謝活性によって直接又は間接的に生成することができる任意の分子を意味するものとする。
【0048】
この活性が酵素活性である場合、酵素基質を挙げることができる。用語「酵素基質」は、酵素により加水分解されることによって、微生物の直接的又は間接的な検出を可能にする産物を生成可能な任意の基質を意味するものとする。この基質は、特に、明らかにすべき酵素活性に対して特異的な第一の部分と、標識として作用する第二の部分(以下、標識部分と呼ぶ)とを含んでいる。この標識部分は、発色性、発蛍光性、発光性等であってよい。固体支持体(フィルタ、寒天、電気泳動ゲル)に適する発色性基質として、インドキシル及びその誘導体をベースとする基質、ヒドロキノリン又はエスクレチン及びそれらの誘導体をベースとする基質(これらは、オシダーゼ活性及びエステラーゼ活性を検出できる)を挙げることができる。ニトロフェノール及びニトロアニリン並びに誘導体をベースとする基質をさらに挙げることができ、ニトロフェノールをベースとする基質の場合にはオシダーゼ活性及びエステラーゼ活性を検出でき、ニトロアニリンをベースとする基質の場合には、ペプチダーゼ活性を検出できる。最後に、ナフトール及びナフチルアミン並びにそれらの誘導体をベースとする基質を挙げることができ、これらは、ナフトールを介してオシダーゼ活性及びエステラーゼ活性を検出でき、ナフチルアミンを介してペプチダーゼ活性を検出できる。この基質は、特に、酵素活性(例えば、オシダーゼ、ペプチダーゼ、エステラーゼ等の活性)を検出できるが、これらに限定されない。また酵素基質は、その加水分解生成物が直接的又は間接的に検出されるような天然の基質であってもよい。天然の基質として、トリプトファナーゼ又はデサミナーゼ(desaminase)の活性を検出するためのトリプトファン、デサミナーゼ活性を検出するための環状アミノ酸(トリプトファン、フェニルアラニン、ヒスチジン、チロシン)、ホスホリパーゼ活性を検出するためのホスファチジルイノシトールなどを挙げることができる。この活性が代謝活性である場合、基質は代謝基質(例えば、炭素源又は窒素源)であり、これは、代謝基質の一つの存在下で着色を生じる指示薬と組み合わされる。
【0049】
本発明の好ましい実施形態によれば、上記第一及び/又は第二の酵素活性又は代謝活性は、以下の酵素活性:β−グルコシダーゼ、デサミナーゼ、β−グルクロニダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、α−グルコシダーゼ、α−ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、N−アセチル−ヘキソサミニダーゼ、ホスファターゼ、エステラーゼ及びアミノペプチダーゼ:から好ましくは選択される酵素活性である。
【0050】
例えば、E.coliを検出するためにはβ−グルクロニダーゼ又はβ−ガラクトシダーゼ又はトリプトファナーゼ又はデサミナーゼの活性を用いることが好ましく、プロテウスを検出するためにはデサミナーゼの活性を用いることが好ましく、腸球菌を検出するためにはβ−グルコシダーゼの活性を用いることが好ましい。カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)に対してヘキソサミニダーゼが好ましく、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogene)に対してホスホリパーゼが好ましく、サルモネラに対してエステラーゼが好ましく、シュードモナス・エルジノーサに対してエステラーゼ又はβ−アラニンアミノペプチダーゼが好ましく、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)に対してホスファターゼ又はα−グルコシダーゼが好ましい。
【0051】
二群の微生物を「区別するためのマーカー」という用語は、第一の群と第二の群に対して同じ特性を有することのない化合物を意味するものとする。従ってこの化合物は、
・特異的な基質、
・耐性機構の阻害剤(従って、微生物の種を差別することなく、特定の耐性を発現する生物の増殖を阻害できる)
であってよい。
【0052】
特異的な基質を使用する場合、E.coliを検出するためにはβ−グルクロニダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、トリプトファナーゼ又はデサミナーゼの活性を用いることが好ましく、プロテウスを検出するためにはデサミナーゼの活性を用いることが好ましく、腸球菌を検出するためにはβ−グルコシダーゼの活性を用いることが好ましい。カンジダ・アルビカンスに対してヘキソサミニダーゼが好ましく、リステリア・モノサイトゲネスに対してホスホリパーゼが好ましく、サルモネラに対してエステラーゼが好ましく、シュードモナス・エルジノーサに対してエステラーゼ又はβ−アラニンアミノペプチダーゼが好ましく、スタフィロコッカス・アウレウスに対してホスファターゼ又はα−グルコシダーゼが好ましい。
【0053】
耐性機構の阻害剤を使用する場合、以下を使用することが好ましい。
第一の群及び/又は第二の群が、β−ラクタマーゼの発現により誘導される耐性機構を有する場合、クラブラン酸、タゾバクタム又はスルバクタム。培地におけるクラブラン酸の濃度は、0.05〜32mg/Lが好ましく、0.1〜8mg/Lが好ましく、0.25〜6mg/Lがより好ましい。
第一の群及び/又は第二の群が、セファロスポリナーゼの発現により誘導される耐性機構を有する場合、クロキサシリン又はジクロキサシリン。
【0054】
用語「分類群」は、分類学的単位を有する微生物の群を意味するものとする。分類群は、族、属、一連の種類、種、一連の種、又は、亜種とすることができる。例示として、腸内細菌、クレブシエラ、エシェリキア、エンテロバクター、シトロバクター、セラチア、KESC(クレブシエラ(Klebsiella)、エンテロバクター(Enterobacter)、セラチア(Serratia)、シトロバクター(Citrobacter))、プロテアエ(Proteeae)、プロテウス、モルガネラ、シュードモナス、スタフィロコッカス、ストレプトコッカス、エンテロコッカス、カンジダ、大腸菌、大腸菌O157:H7、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、シトロバクター・フロインディイ(Citrobacter freundii)、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌、カンジダ・アルビカンス、カンジダ・グラブラタ(Candida glabrata)、カンジダ・クルセイ(Candida krusei)、カンジダ・ルシタニエ(Candida lusitaniae)を挙げることができる。
【0055】
用語「抗微生物剤」は、微生物の増殖を防ぐ又は遅延させることができる任意の化合物を意味するものとする。この化合物は抗生物質又は抗真菌剤であってよい。
【0056】
用語「抗生物質」は、細菌の増殖を防ぐ又は遅延させることができる任意の化合物を意味するものとする。例示として、特に、抗生物質であるセフォタキシム、セフタジジム、セフトリアキソン、セフポドキシム、アズトレオナム、バンコマイシン、トブラマイシン及びシプロフロキサシンを挙げることができる。
【0057】
用語「抗真菌剤」は、酵母又はカビの増殖を防ぐ又は遅延させることができる任意の化合物を意味するものとする。例示として、特に、アンホテリシンB、フルコナゾール、イトラコナゾール、ボリコナゾール及びシクロヘキシミドを挙げることができる。
【0058】
本発明の好ましい実施形態によれば、抗生物質が、
・セフォタキシムの場合、培地中のセフォタキシムの濃度は0.25〜8mg/Lが好ましく、1〜2mg/Lが好ましく、
・セフタジジムの場合、培地中のセフタジジムの濃度は、0.25〜8mg/Lが好ましく、2〜2.5mg/Lが好ましく、
・セフトリアキソンの場合、培地中のセフトリアキソンの濃度は、0.25〜8mg/Lが好ましく、1〜2.5mg/Lが好ましく、
・セフポドキシムの場合、培地中のセフポドキシムの濃度は、0.1〜32mg/Lが好ましく、0.75〜10mg/Lが好ましく、1〜6mg/Lがより好ましく、
・アズトレオナムの場合、培地中のアズトレオナムの濃度は、0.1〜8mg/Lが好ましく、0.75〜1.5mg/Lが好ましい。
【0059】
本発明の特定の実施形態によれば、上記培地は、二種以上の抗生物質の組み合わせを含む。上記二種以上の抗生物質の組み合わせは、セフォタキシム及びセフタジジムを含むことが好ましい。
【0060】
本発明の実施形態に関係なく、上記培地は、色素を含んでもよい。色素の例示として、エバンスブルー、ニュートラルレッド、ヒツジの血液、ウマの血液及び乳白剤(例えば酸化チタン)、ニトロアニリン、マラカイトグリーン、ブリリアントグリーンなどを挙げることができる。
【0061】
その感受性を高めるため、すべての培地はさらに以下を含むことができる。
・グラム陽性菌に対して有効な少なくとも一種の抗微生物剤、例えば特にリネゾリド又はバンコマイシン、
・酵母に対して有効な少なくとも一種の抗微生物剤、例えば特にボリコナゾール又はアンホテリシンB。
【0062】
この点に関し、本発明は、
・微生物の第一の分類群に属しかつ第一の治療に対する第一の耐性機構を少なくとも備える第一の群の微生物、
・微生物の第二の分類群に属しかつ第二の治療に対する第二の耐性機構を少なくとも備える第二の群の微生物、
・上記第一及び第二の治療に耐性でない第三の群の微生物
を含む生物試料において3群以上の微生物を区別するための二種の培地の組み合わせの使用であって、
上記二種の培地の組み合わせが、
a.上記第一の群の微生物の少なくとも第一の酵素活性又は代謝活性を検出するための少なくとも一種の第一の基質、
b.上記第一の群の微生物と上記第二の群の微生物とを区別するための少なくとも二種のマーカー、
c.上記第三の群の微生物に有効な少なくとも一種の抗微生物剤
を含むことを特徴とする使用に関する。
【0063】
上記培地が含んでいる上記第一の群の微生物と上記第二の群の微生物とを区別するための少なくとも二種のマーカーのうち少なくとも一種は、上記第一又は第二の耐性機構の阻害剤であることが好ましい。上記培地が含み得る上記第一の群の微生物と上記第二の群の微生物とを区別するための少なくとも二種のマーカーのそれぞれは、上記第一又は第二の耐性機構の阻害剤であってよい。
【0064】
本発明の第一の実施形態は、微生物の様々な種又は様々な分類群を含む第一及び第二の群であって、それぞれが異なる治療に耐性である第一及び第二の群を、同一試料において区別できる。
【0065】
例えば、本発明のこの実施形態は、従って、E.coliのESBL細菌を含む第一の群と、KESCのHL Case細菌を含む第二の群とを、同一試料において区別できる。この特定の場合において、二種の培地の組み合わせは、以下のものであってよい。
・E.coliを識別できる少なくとも一種の第一の基質、例えばグルクロニダーゼの基質、例えば6−クロロ−3−インドリル−β−D−グルクロニド、又は、ガラクトシダーゼの基質、例えば5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシド、
・グルコシダーゼの基質、例えば5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−グルコシドである第一の識別マーカーであって、KESC細菌を識別できる第一の識別マーカー、
・耐性機構の阻害剤である第二の識別マーカー、例えばクロキサシリン、
・抗生物質である少なくとも一種の抗微生物剤、例えばセフポドキシム。
【0066】
二種の培地の組み合わせについて述べる。すなわち、第一の培地は、
・E.coliを識別できる第一の基質、例えばグルクロニダーゼの基質、例えば6−クロロ−3−インドリル−β−D−グルクロニド、又は、ガラクトシダーゼの基質、例えば5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシド、
・耐性機構の阻害剤である第一のマーカー、例えばクロキサシリン、
・抗生物質である抗微生物剤、例えばセフポドキシム
を含んでいてよく、あるいは、第二の培地は、
・E.coliを識別できる第一の基質、例えばグルクロニダーゼの基質、例えば6−クロロ−3−インドリル−β−D−グルクロニド、又は、ガラクトシダーゼの基質、例えば5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシド、
・グルコシダーゼの基質、例えば5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−グルコシドである第一のマーカーであって、KESC細菌を識別できる第一のマーカー、
抗生物質である抗微生物剤、例えばセフタジジム
を含んでいてよい。
【0067】
もう一つの別の態様において使用できる第一の培地は、
・E.coliを識別できる第一の基質、例えばグルクロニダーゼの基質、例えば6−クロロ−3−インドリル−β−D−グルクロニド、又は、ガラクトシダーゼの基質、例えば5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシド、
・グルコシダーゼの基質、例えば5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−グルコシドである第一のマーカーであって、KESC細菌を識別できる第一のマーカー、
・抗生物質である抗微生物剤、例えばアズトレオナム
を含むものであり、一方、第二の培地は、
・E.coliを識別できる第一の基質、例えばグルクロニダーゼの基質、例えば6−クロロ−3−インドリル−β−D−グルクロニド、又は、ガラクトシダーゼの基質、例えば5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシド、
・耐性機構の阻害剤である第一のマーカー、例えばクラブラン酸、
・抗生物質である抗微生物剤、例えばセフタジジム
を含むものである。
【0068】
当業者は、本発明による組み合わせを系統的に得るよう、各培地を選択する。上記第三の群に有効な抗微生物剤は、二種の培地中に存在する。当業者は、同じ生物試料を付与した二種の培地を容易に比較するため、特にバイプレートを用いることができる。
【0069】
この点において、本発明はまた、
二種の培地の組み合わせを含むバイプレートであって、
上記組み合わせは、
a.上記第一の群の微生物の少なくとも第一の酵素活性又は代謝活性を検出するための少なくとも一種の第一の基質、
b.上記第一の群の微生物と上記第二の群の微生物とを区別するための少なくとも二種のマーカー、
c.上記第三の群の微生物に有効であり、上記バイプレートの各面に存在する少なくとも一種の抗微生物剤
を含むことを特徴とするバイプレートに関する。
【0070】
本発明の第一の実施形態は、3群の微生物を区別することに限定されるものではなく、4群、5群又はそれ以上の群の微生物を区別できるものであってもよい。そして、種々の群を区別するため、一つ又は複数の培地にさらなる識別マーカーを添加することが必要になる。
【0071】
この点において、本発明はさらに、
二種の培地の組み合わせを含むバイプレートであって、
上記組み合わせは、第一の培地に対して、
・E.coliを識別できる第一の基質、例えばグルクロニダーゼの基質、例えば6−クロロ−3−インドリル−β−D−グルクロニド、又は、ガラクトシダーゼの基質、例えば5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシド、又は、プロテアエを識別できる基質、例えばトリプトファン、
・グルコシダーゼの基質である第一の識別マーカー、例えば5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−グルコシド、
・耐性阻害剤である第二の識別マーカー、例えばクロキサシリン、
・抗生物質である少なくとも一種の抗微生物剤、例えばセフポドキシム
を含み、第二の培地に対して、
・腸球菌を識別できる第一の基質、例えばグルコシダーゼの基質、例えば5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−グルコシド、
・もう一つのグルコシダーゼの基質である第一の識別マーカー、例えばメチル−α−グルコシド、
・抗生物質である少なくとも一種の抗微生物剤、例えばバンコマイシン
を含むことを特徴とするバイプレートに関する。
【0072】
また本発明は、
生物試料において3群以上の微生物を識別するための培地の使用であって、
・微生物の第一の分類群に属しかつある治療に対して少なくとも一つの耐性機構を備える第一の群の微生物、
・上記第一の分類群とは異なる微生物の第二の分類群に属する一方、上記第一の群と同じ、ある治療に対する少なくとも一つの耐性機構を備える第二の群の微生物、
・上記治療に耐性でない第三の群の微生物
を含み、
上記培地は、
a.上記第一の群の微生物の少なくとも第一の酵素活性又は代謝活性を検出するための少なくとも一種の第一の基質、
b.上記第一の群の微生物と上記第二の群の微生物とを区別するための少なくとも一種のマーカーであって、上記第二の群の微生物の少なくとも一種の酵素活性又は代謝活性を検出するための基質であるマーカー、
c.上記第三の群の微生物に有効な少なくとも一種の抗微生物剤
を含むことを特徴とする使用に関する。
【0073】
本発明のこの第二の実施形態は、微生物の様々な種又は様々な分類群を含む第一及び第二の群であって、それぞれが同じ治療に耐性である第一及び第二の群を、同一試料において区別できる。本発明のこの特定の実施形態において、上記特徴を備える単一の培地で十分なため、培地の組み合わせを使用する必要はない。
【0074】
従って、本発明のこの実施形態は、例えば、E.coliのESBL細菌を含む第一の群と、KESCのESBL細菌を含む第二の群とを、同一の試料において区別できる。
【0075】
この点において、本発明は
・β−グルコシダーゼ酵素活性を検出するための第一の基質、好ましくは5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−グルコシドを濃度25〜500mg/L、好ましくは濃度40〜150mg/L、
・着色指示薬の存在下でメチル−α−グルコシドの代謝を検出するための第二の基質、好ましくはニュートラルレッドを濃度2〜100mg/L、好ましくは濃度4〜50mg/L、
・抗生物質である抗微生物剤、好ましくはバンコマイシンを濃度0.5〜128mg/L、好ましくは濃度2〜32mg/L
を含むことを特徴とする培地に関する。
【0076】
上記抗生物質がバンコマイシンである場合、この培地は以下を区別するため使用することが好ましい。
・バンコマイシンに対して獲得耐性を発現する第一の群の腸球菌、
・バンコマイシンに対して自然耐性を発現する第二の群の腸球菌、
・バンコマイシンに耐性でない第三の群の腸球菌。
【0077】
また本発明は、
・ヘキソサミニダーゼ酵素活性を検出するための第一の基質、好ましくは5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−N−アセチル−β−D−グルコサミニドを濃度25〜500mg/L、好ましくは濃度40〜150mg/L、
・β−グルコシダーゼ活性を検出するための第二の基質、好ましくは6−クロロ−3−インドリル−β−D−グルコシドを濃度25〜500mg/L、好ましくは濃度40〜200mg/L、
・抗真菌剤である抗微生物剤、好ましくはアンホテリシンB(amphoB)を濃度0.5〜64mg/L、好ましくは濃度1〜16mg/L、より好ましくは濃度1〜8mg/L
を含むことを特徴とする培地に関する。
【0078】
上記抗真菌剤がアンホテリシンBである場合、この培地は以下を区別するために使用することが好ましい。
・amphoBに対して耐性を発現するカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)を含む第一の群の酵母、
・amphoBに対して耐性を発現するカンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)及び/又はカンジダ・ルシタニエ(C.lusitaniae)及び/又はカンジダ・ケフィル(C.kefyr)を含む第二の群の酵母、
・amphoBに耐性でない第三の群の酵母。
【0079】
また本発明は、
・ヘキソサミニダーゼ酵素活性を検出するための第一の基質、好ましくは5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−N−アセチル−β−D−グルコサミニドを濃度25〜500mg/L、好ましくは濃度40〜150mg/L、
・ホスファターゼ活性を検出するための第二の基質、好ましくは5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリルホスフェートを濃度25〜750mg/L、好ましくは濃度40〜200mg/L、
・抗真菌剤である抗微生物剤、好ましくはamphoBを濃度0.5〜64mg/L、好ましくは濃度1〜16mg/L、より好ましくは濃度1〜8mg/L
を含むことを特徴とする培地に関する。
【0080】
上記抗真菌剤がアンホテリシンBである場合、この培地は以下を区別するために使用することが好ましい。
・amphoBに対して耐性を発現するカンジダ・アルビカンスを含む第一の群の酵母、
・amphoBに対して耐性を発現するカンジダ・トロピカリス及び/又はカンジダ・グラブラタ(C.glabrata)及び/又はカンジダ・クルセイ(C.krusei)を含む第二の群の酵母、
・amphoBに耐性でない第三の群の酵母。
【0081】
また本発明は、
・上記第一の群のヘキソサミニダーゼ酵素活性を検出するための第一の基質、好ましくは5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−N−アセチル−β−D−グルコサミニドを濃度25〜500mg/L、好ましくは濃度40〜150mg/L、
・上記第二の群のβ−グルコシダーゼ活性を検出するための第二の基質、好ましくは6−クロロ−3−インドリル−β−D−グルコシドを濃度25〜500mg/L、好ましくは濃度40〜200mg/L、
・抗真菌剤である抗微生物剤、好ましくはフルコナゾールを濃度1〜256mg/L、好ましくは濃度2〜128mg/L、より好ましくは濃度8〜64mg/L
を含むことを特徴とする培地に関する。
【0082】
上記抗真菌剤がフルコナゾールである場合、この培地は以下を区別するために使用することが好ましい。
・フルコナゾールに対して耐性を発現するカンジダ・アルビカンスを含む第一の群の酵母、
・フルコナゾールに対して耐性を発現するカンジダ・トロピカリス及び/又はカンジダ・ルシタニエ及び/又はカンジダ・ケフィルを含む第二の群の酵母、
・フルコナゾールに耐性でない第三の群の酵母。
【0083】
また本発明は、
・ヘキソサミニダーゼ酵素活性を検出するための第一の基質、好ましくは5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−N−アセチル−β−D−グルコサミニドを濃度25〜500mg/L、好ましくは濃度40〜150mg/L、
・ホスファターゼ活性を検出するための第二の基質、好ましくは5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリルホスフェートを濃度25〜750mg/L、好ましくは濃度40〜200mg/L、
・抗真菌剤である抗微生物剤、好ましくはフルコナゾールを濃度1〜256mg/L、好ましくは濃度2〜128mg/L、より好ましくは濃度8〜64mg/L
を含むことを特徴とする培地に関する。
【0084】
上記抗真菌剤がフルコナゾールである場合、この培地は以下を区別するために使用することが好ましい。
・フルコナゾールに対して耐性を発現するカンジダ・アルビカンスを含む第一の群の酵母、
・フルコナゾールに対して耐性を発現するカンジダ・トロピカリス及び/又はカンジダ・グラブラタ及び/又はカンジダ・クルセイを含む第二の群の酵母、
・フルコナゾールに耐性でない第三の群の酵母。
【0085】
また本発明は、
・β−グルクロニダーゼの酵素活性を検出するための第一の基質、好ましくは6−クロロ−3−インドリル−β−D−グルクロニドを濃度25〜750mg/L、好ましくは濃度40〜300mg/L、又は、β−ガラクトシダーゼの酵素活性を検出するための第一の基質、好ましくは5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシドを濃度25〜500mg/L、好ましくは濃度40〜150mg/L、
・β−グルコシダーゼの活性を検出するための第二の基質、好ましくは5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−グルコシドを濃度25〜500mg/L、好ましくは濃度40〜250mg/L、又は、トリプトファナーゼ若しくはデサミナーゼの活性を検出するための第二の基質、好ましくはトリプトファンを濃度50〜5000mg/L、好ましくは濃度250〜2000mg/L、
・抗生物質である抗微生物剤、好ましくはセフタジジム(上記培地中のセフタジジムの濃度は、0.25〜8mg/Lであることが好ましく、2〜2.5mg/Lであることが好ましい)
を含むことを特徴とする培地に関する。
【0086】
上記抗生物質がセフタジジムである場合、この培地は以下を区別するため使用することが好ましい。
・第一の群のE.coliのESBL細菌又はHL Case細菌、
・第二の群のKESCのESBL細菌又はHL Case細菌、
・β−ラクタム類及びセファロスポリン類に耐性でない第三の群の細菌。
【0087】
また本発明は、
・β−グルクロニダーゼ又はβ−ガラクトシダーゼの酵素活性を検出するための第一の基質、好ましくは6−クロロ−3−インドリル−β−D−グルクロニドを濃度25〜750mg/L、好ましくは濃度40〜300mg/L、又は、好ましくは5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシドを濃度25〜500mg/L、好ましくは濃度40〜150mg/L、
・β−グルコシダーゼの活性を検出するための第二の基質、好ましくは5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−グルコシドを濃度25〜500mg/L、好ましくは濃度40〜250mg/L、又は、トリプトファナーゼ若しくはデサミナーゼの活性を検出するための第二の基質、好ましくはトリプトファンを濃度50〜5000mg/L、好ましくは濃度250〜2000mg/L、
・抗生物質である抗微生物剤、好ましくはセフポドキシムを濃度0.5〜32mg/L、好ましくは濃度0.75〜10mg/L、より好ましくは濃度1〜6mg/L、及び、好ましくはクロキサシリンを濃度10〜2000mg/L、好ましくは濃度50〜500mg/L
を含むことを特徴とする培地に関する。
【0088】
上記抗生物質がセフポドキシムである場合、この培地は以下を区別するため使用することが好ましい。
・第一の群のE.coliのESBL細菌、
・第二の群のKESCのESBL細菌、
・β−ラクタム類に耐性でない第三の群の細菌。
【0089】
また本発明は、
・β−グルクロニダーゼの酵素活性を検出するための第一の基質、好ましくは6−クロロ−3−インドリル−β−D−グルクロニドを濃度25〜750mg/L、好ましくは濃度40〜300mg/L、又は、β−ガラクトシダーゼの酵素活性を検出するための第一の基質、好ましくは5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシドを濃度25〜500mg/L、好ましくは濃度40〜150mg/L、
・β−グルコシダーゼの活性を検出するための第二の基質、好ましくは5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−グルコシドを濃度25〜500mg/L、好ましくは濃度40〜250mg/L、又は、トリプトファナーゼ若しくはデサミナーゼの活性を検出するための第二の基質、好ましくはトリプトファンを濃度50〜5000mg/L、好ましくは濃度250〜2000mg/L、
・抗微生物剤及び耐性阻害剤を含む組み合わせ、この組み合わせは好ましくは、セフトリアキソンを濃度0.25〜8mg/L、好ましくは濃度1〜2.5mg/L、及び、クラブラン酸を濃度0.05〜32mg/L、好ましくは濃度0.1〜8mg/L、より好ましくは濃度0.5〜6mg/L含む
を含むことを特徴とする培地に関する。
【0090】
この培地は以下を区別するために使用することが好ましい。
・第一の群のE.coliのHL Case細菌、
・第二の群のKESCのHL Case細菌、
・セファロスポリン類に耐性でない第三の群の細菌。
【0091】
また本発明は、
・β−グルクロニダーゼの酵素活性を検出するための第一の基質、好ましくは6−クロロ−3−インドリル−β−D−グルクロニドを濃度25〜750mg/L、好ましくは濃度40〜300mg/L、又は、β−ガラクトシダーゼの酵素活性を検出するための第一の基質、好ましくは5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシドを濃度25〜500mg/L、好ましくは濃度40〜150mg/L、
・β−グルコシダーゼの活性を検出するための第二の基質、好ましくは5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−グルコシドを濃度25〜500mg/L、好ましくは濃度40〜250mg/L、又は、トリプトファナーゼ若しくはデサミナーゼの活性を検出するための第二の基質、好ましくはトリプトファンを濃度50〜5000mg/L、好ましくは濃度250〜2000mg/L、
・好ましくは二種の抗生物質である二種の抗微生物剤、好ましくはセフポドキシムを濃度0.1〜32mg/L、好ましくは濃度0.25〜10mg/L、より好ましくは濃度0.5〜4mg/L、及び、好ましくはアズトレオナムを濃度0.1〜8mg/L、好ましくは濃度0.5〜1.5mg/L
を含むことを特徴とする培地に関する。
【0092】
この培地は以下を区別するために使用することが好ましい。
・第一の群のE.coliのESBL細菌又はHL Case細菌、
・第二の群のKESCのESBL細菌又はHL Case細菌、
・β−ラクタム類及び/又はセファロスポリン類に耐性でない第三の群の細菌。
【0093】
また本発明は、
・α−グルコシドの代謝を検出するための少なくとも一種の第一の基質、好ましくはメチル−α−グルコシドを濃度1〜50g/L、好ましくは濃度5〜20g/L、又は、好ましくは5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−α−D−グルコシドを濃度25〜500mg/L、好ましくは濃度40〜250mg/L、又は、好ましくは5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−N−メチル−α−D−グルコシドを濃度25〜500mg/L、好ましくは濃度40〜250mg/L、
・α−グルコシドの代謝とは異なる第二の活性を検出するための少なくとも一種の第二の基質、好ましくは5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−グルコシドを濃度25〜500mg/L、好ましくは濃度40〜250mg/L、又は、好ましくは6−クロロ−3−インドリル−β−D−グルコシドを濃度25〜500mg/L、好ましくは濃度40〜250mg/L、又は、好ましくはアリザリン−β−D−ガラクトシドを濃度10〜500mg/L、好ましくは濃度20〜250mg/L、又は、好ましくは5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−グルコシドを濃度25〜500mg/L、好ましくは濃度40〜250mg/L、又は、好ましくは5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシドを濃度25〜500mg/L、好ましくは濃度40〜250mg/L、又は、好ましくは6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシドを濃度25〜500mg/L、好ましくは濃度40〜250mg/L(この第二の基質は、β−グルコシダーゼ又はβ−ガラクトシダーゼの活性を検出できるものであることが好ましい)、
・少なくとも一種の抗微生物剤、好ましくは抗生物質、例えばバンコマイシンを濃度0.5〜128mg/L、好ましくは濃度2〜32mg/L
を含むことを特徴とする培地に関する。
【0094】
抗生物質がバンコマイシンである場合、この培地は以下を区別するために使用することが好ましい。
・エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)及びエンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)を含む第一の群のバンコマイシン耐性微生物、
・エンテロコッカス・カセリフラブス(Enterococcus casseliflavus)及びエンテロコッカス・ガリナルム(Enterococcus gallinarum)を含む第二の群のバンコマイシン耐性微生物、
・バンコマイシンに耐性でない第三の群の微生物。
【0095】
この場合、上記第一の基質はメチル−α−グルコシドであることが好ましく、上記第二の基質は5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−グルコシド又は6−クロロ−3−インドリル−β−D−グルコシドであることが好ましく、かつ上記抗微生物剤はバンコマイシンであることが好ましい。
【0096】
またこの培地は以下を区別するために使用することが好ましい。
・エンテロコッカス・フェカリスを含む第一の群のバンコマイシン耐性微生物、
・エンテロコッカス・フェシウムを含む第二の群のバンコマイシン耐性微生物、
・バンコマイシンに耐性でないか又は自然耐性を発現する第三の群の微生物(エンテロコッカス・カセリフラブス及びエンテロコッカス・ガリナルム)。
【0097】
この場合、上記第一の基質は5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−N−メチル−α−D−グルコシド又は5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−α−D−グルコシドであることが好ましく、上記第二の基質は6−クロロ−3−インドリル−β−D−グルコシド又はアリザリン−β−D−ガラクトシド又は5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−グルコシド又は5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシド又は6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシドであることが好ましく、かつ、上記抗微生物剤がバンコマイシンであることが好ましい。
【0098】
またこの培地は、以下を区別するために使用することが好ましい。
・エンテロコッカス・フェカリス及びエンテロコッカス・フェシウムを含む第一の群のバンコマイシン耐性微生物、
・バンコマイシンに中間耐性又は耐性であるスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)を含む第二の群の微生物、
・バンコマイシンに耐性でない第三の群の微生物。
【0099】
この場合、上記第一の基質は5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−N−メチル−α−D−グルコシド又は5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−α−D−グルコシドであることが好ましく、上記第二の基質は6−クロロ−3−インドリル−β−D−グルコシド又は5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−グルコシドであることが好ましく、かつ、上記抗微生物剤はバンコマイシンであることが好ましい。
【0100】
以下の表は、検出が必要な種に応じた基質と抗微生物剤の適当な組み合わせを識別できるものである。
【0101】
【表1】

【0102】
バンコマイシン濃度を好ましくは0.5〜12mg/Lに調整することも適切であろう。
【0103】
また本発明は、
・抗微生物剤、好ましくはクロキサシリンのような抗生物質、
・耐性機構の阻害剤、例えば、好ましくはセフォタキシム、セフタジジム、セフポドキシム及びセフトリアキソンから選択される第三世代セファロスポリン
を含むことを特徴とする培地に関する。
【0104】
この培地は、好ましくはESBL細菌を検出するためにも使用される。
【0105】
本発明の第二の実施形態は、3群の微生物を区別することに限定されるものではなく、4群、5群又はそれ以上の群の微生物を区別できるものであってもよい。そして、種々の群を区別するため、培地にマーカーを添加することが必要になる。
【0106】
この点において、また本発明は、
・β−グルクロニダーゼの酵素活性を検出するための第一の基質、好ましくは6−クロロ−3−インドリル−β−D−グルクロニドを濃度25〜750mg/L、好ましくは濃度40〜300mg/L、又は、好ましくはβ−ガラクトシダーゼの酵素活性を検出するための第一の基質、好ましくは5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシドを濃度25〜500mg/L、好ましくは濃度40〜150mg/L、
・β−グルコシダーゼを検出するための第二の基質、好ましくは5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−グルコシドを濃度25〜500mg/L、好ましくは濃度40〜250mg/L、
・抗微生物剤の組み合わせ、好ましくは抗生物質の組み合わせ、例えば、
○セフポドキシムを濃度0.5〜32mg/L、好ましくは濃度0.75〜10mg/L、より好ましくは濃度1〜6mg/L、
○クロキサシリンを濃度10〜2000mg/L、好ましくは濃度50〜500mg/L、
○バンコマイシンを濃度0.5〜128mg/L、好ましくは濃度2〜32mg/L、及び、
○amphoBを濃度0.5〜64mg/L、好ましくは濃度1〜16mg/L、より好ましくは濃度1〜8mg/L、
・デサミナーゼの活性を検出するための第三の基質、例えば、ヒスチジン、フェニルアラニン、トリプトファン又はチロシンを濃度50〜5000mg/L、好ましくは濃度250〜2000mg/L
を含むことを特徴とする培地に関する。
【0107】
この培地は第五の抗生物質をさらに含んでもよく、それは、濃度0.5〜64mg/L、好ましくは濃度1〜16mg/Lのセフスロジンである。
【0108】
この培地は以下を区別するため使用することが好ましい。
・第一の群のE.coliのESBL細菌、
・第二の群のKESCのESBL細菌、
・β−ラクタム類及び/又はセファロスポリン類に耐性でない第三の群の細菌、
・第四の群のプロテアエのESBL細菌。
【0109】
同様に、本発明は、
・α−グルコシドの代謝を検出するための少なくとも一種の第一の基質、好ましくは5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−α−D−グルコシドを濃度25〜500mg/L、好ましくは濃度40〜250mg/L、又は、好ましくは5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−N−メチル−α−D−グルコシドを濃度25〜500mg/L、好ましくは濃度40〜250mg/L、
・α−グルコシドの代謝とは異なる第二の活性を検出するための少なくとも一種の第二の基質、好ましくは6−クロロ−3−インドリル−β−D−グルコシドを濃度25〜500mg/L、好ましくは濃度40〜250mg/L、又は、好ましくは6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシドを濃度25〜500mg/L、好ましくは濃度40〜250mg/L、又は、好ましくはアリザリン−β−D−ガラクトシドを濃度10〜500mg/L、好ましくは濃度20〜250mg/L、又は、好ましくは5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−グルコシドを濃度25〜500mg/L、好ましくは濃度40〜250mg/L、又は、好ましくは5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシドを濃度25〜500mg/L、好ましくは濃度40〜250mg/L、又は、好ましくは6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシドを濃度25〜500mg/L、好ましくは濃度40〜250mg/L(この第二の基質は、β−グルコシダーゼ又はβ−ガラクトシダーゼの活性を検出できるものであることが好ましい)、
・抗微生物剤の組み合わせ、好ましくは抗生物質の組み合わせ、例えば、
○バンコマイシンを濃度0.5〜128mg/L、好ましくは濃度2〜32mg/L、
○アズトレオナムを濃度1〜150mg/L、好ましくは濃度4〜60mg/L、
○コリスチンを濃度1〜100mg/L、好ましくは濃度2〜20mg/L、
○amphoBを濃度0.5〜50mg/L、好ましくは1〜15mg/L
を含むことを特徴とする培地に関する。
【0110】
抗生物質の一つがバンコマイシンである場合、この培地は以下を区別するために使用することが好ましい。
・エンテロコッカス・フェシウムを含む第一の群のバンコマイシン耐性微生物、
・エンテロコッカス・フェカリスを含む第二の群のバンコマイシン耐性微生物、
・バンコマイシンに耐性でない第三の群の微生物。
【0111】
またこの培地は以下を区別するために使用することが好ましい。
・エンテロコッカス・フェシウムを含む第一の群のバンコマイシン耐性微生物、
・バンコマイシンに中間耐性又は耐性であるスタフィロコッカス・アウレウスを含む第二の群の微生物、
・バンコマイシンに耐性でない第三の群の微生物。
【0112】
識別が必要な微生物の群に応じた基質の組み合わせは、例えば、21頁の表に示している。抗微生物剤の適当な組み合わせを用いることによって、3群の微生物のみならず、4群、5群又はそれ以上の群の微生物を区別することが可能である。
【0113】
また本発明は、
生物試料において3群以上の微生物を識別するための二種の培地の組み合わせの使用であって、
・微生物の第一の種に属しかつ第一の治療に対して第一の耐性機構を備える第一の群の微生物、
・上記第一の群の微生物と同じ微生物の種に属する一方、上記第一の群と異なる、第二の治療に対する第二の耐性機構を備える第二の群の微生物、
・上記第一及び第二の治療に耐性でない第三の群の微生物
を含み、
上記二種の培地の組み合わせは、
a.上記第一の群の微生物の少なくとも第一の酵素活性又は代謝活性を検出するための少なくとも一種の第一の基質、
b.上記第一の群の微生物と上記第二の群の微生物とを区別するための少なくとも一種のマーカーであって、上記第一の治療及び/又は上記第二の治療に対する耐性機構の阻害剤であるマーカー、
c.上記第三の群の微生物に有効な少なくとも一種の抗微生物剤
を含むことを特徴とする使用に関する。
【0114】
本発明のこの第三の実施形態は、同じ種の微生物又は同じ分類群を含む第一及び第二の群であって、それぞれが異なる治療に耐性である第一及び第二の群を、同一試料において区別できる。
【0115】
従って、この実施形態は、例えば、E.coliのESBL細菌を含む第一の群と、E.coliのHL Case細菌を含む第二の群とを、同一試料において区別できる。この特定の場合、二種の培地の組み合わせは以下のものであってよい。
・E.coliを識別できる少なくとも一種の第一の基質、例えばβ−グルクロニダーゼの基質、例えば6−クロロ−3−インドリル−β−D−グルクロニド、又は、β−グルコシダーゼの基質、例えば5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシド、
・耐性機構の阻害剤である第一の識別マーカー、好ましくはクロキサシリン、
・もう一つの耐性機構の阻害剤である第二の識別マーカー、好ましくはクラブラン酸、
・セフポドキシムである少なくとも一種の抗微生物剤。
【0116】
二種の培地の組み合わせについて述べる。すなわち、第一の培地は、
・E.coliを識別できる第一の基質、6−クロロ−3−インドリル−β−D−グルクロニド、
・耐性機構の阻害剤である第一のマーカー、好ましくはクロキサシリン、
・抗微生物剤、好ましくは抗生物質、好ましくはセフポドキシム
を含んでいてよく、一方、第二の培地は、
・E.coliを識別できる第一の基質、例えば6−クロロ−3−インドリル−β−D−グルクロニド、
・もう一つの耐性機構の阻害剤である第二のマーカー、好ましくはクラブラン酸、
・抗微生物剤、好ましくは抗生物質、好ましくはセフポドキシム
を含む。
【0117】
もう一つの別の態様において使用できる第一の培地は、
・E.coliを識別できる第一の基質、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシド、
・デサミナーゼ又はトリプトファナーゼの基質である第一のマーカー、好ましくはトリプトファン、
・抗微生物剤、好ましくは抗生物質、好ましくはセフポドキシム
を含むものであり、あるいは、第二の培地は、
・E.coliを識別できる第一の基質、6−クロロ−3−インドリル−β−D−グルクロニド、
・耐性機構の阻害剤である第二のマーカー、好ましくはクラブラン酸、
・抗微生物剤、好ましくは抗生物質、好ましくはセフタジジム
を含むものである。
【0118】
当業者は、本発明による組み合わせを系統的に得るよう、各培地を選択できる。上記第三の群に有効な抗微生物剤は、二種の培地中に存在する。当業者は、特にバイプレートを用いることによって、同じ生物試料を付与した二種の培地を容易に比較することができる。
【0119】
この点において、本発明はまた、
二種の培地の組み合わせを含むバイプレートであって、
上記組み合わせは、
a.上記第一の群の微生物の少なくとも第一の酵素活性又は代謝活性を検出するための少なくとも一種の第一の基質、
b.上記第一の群の微生物と上記第二の群の微生物とを区別するための少なくとも一種のマーカーであって、上記第一の治療及び/又は上記第二の治療に対する耐性機構の阻害剤であるマーカー、
c.上記第三の群の微生物に有効である少なくとも一種の抗微生物剤
を含むことを特徴とするバイプレートに関する。
【0120】
本発明の第三の実施形態は、3群の微生物を区別することに限定されるものではなく、4群、5群又はそれ以上の群の微生物を区別できるものであってもよい。そして、種々の群を区別するため、さらなる識別マーカーを培地に加えることが必要になる。
【0121】
この点において、本発明は、
二種の培地の組み合わせを含むバイプレートであって、
上記組み合わせは、第一の培地に対して、
・E.coliを識別できる第一の基質、例えば、グルクロニダーゼの基質、例えば6−クロロ−3−インドリル−β−D−グルクロニド、又は、ガラクトシダーゼの基質、例えば5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシド、
・プロテアエを識別できる第二の基質、例えばデサミナーゼ又はトリプトファナーゼの基質、例えばトリプトファン、
・KESC群を識別できる第三の基質、例えばグルコシダーゼの基質、例えば5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−グルコシド、
・ESBL株とHL Case株とを区別するためのマーカー、好ましくは耐性阻害剤、好ましくはクラブラン酸、
・好ましくは抗生物質である少なくとも一種の抗微生物剤、好ましくはセフタジジム
を含み、第二の培地に対して、
・E.coliを識別できる第一の基質、例えばグルクロニダーゼの基質、例えば特に6−クロロ−3−インドリル−β−D−グルクロニド、又は、ガラクトシダーゼの基質、例えば特に5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシド、
・プロテアエを識別できる第二の基質、例えばデサミナーゼ又はトリプトファナーゼの基質、例えばトリプトファン、
・KESC群を識別できる第三の基質、例えばグルコシダーゼの基質、例えば特に5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−グルコシド、
・少なくとも一種の抗微生物剤、好ましくは抗生物質、好ましくはセフトリアキソン
を含むことを特徴とするバイプレートに関する。
【実施例】
【0122】
以下の実施例は説明のために示されるものであり、何ら限定をするものではない。以下の実施例により本発明をより十分に理解することが可能になる。
【0123】
実施例1
以下の実施例は、ESBLの表現型の検出を基本とするものであり、それら菌株の抗生物質に対する感受性の低下と、β−ラクタマーゼ阻害剤との組み合わせに対するそれらの感受性を利用している。そのために、CPS ID 3培養基のバイプレート(尿中の微生物を検出するための発色培地であって、ビオメリュー社により製品番号43541にて販売)で、寒天の半分が抗生物質を含み、寒天の半分が抗生物質/β−ラクタマーゼ阻害剤の組み合わせを含むものを用いた。
【0124】
1.菌株の選択
実施した操作において、グラム陰性桿菌に有効な抗生物質の活性を評価するため、様々な種の腸内細菌(大腸菌(Escherichia coli)、エンテロバクター・エロゲネス(Enterobacter aerogenes)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、セラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)、プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis))及び様々な種の非発酵性グラム陰性桿菌(シュードモナス・エルジノーサ(Pseudomonas aeruginosa))で、ESBLを生産できるものを用いた。ESBL陽性株、高レベルセファロスポリナーゼ生産株(HL Case)、及び、野生型株を試験において比較する。
【0125】
グラム陽性菌に有効な抗生物質に関する操作のため、グラム陽性球菌の株(スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、スタフィロコッカス・サプロフィチカス(Staphylococcus saprophyticus)、スタフィロコッカス・エピデルミディス(Staphylococcus epidermidis)、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)、ストレプトコッカス・アガラクティエ(Streptococcus agalactiae))及びグラム陽性桿菌の株(ラクトバチルス(Lactobacillus spp))を試験した。
【0126】
抗真菌剤の活性の評価を目的とした試験のため、種々の株の酵母(カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、カンジダ・グラブラタ(Candida glabrata)、カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、カンジダ・クルセイ(Candida krusei)、カンジダ・ダブリニエンシス(Candida dubliniensis)、サッカロミセス・セレビジエ(Saccharomyces cerevisiae)、ゲオトリクム・カピタツム(Geotrichum capitatum))を用いた。
【0127】
2.培地の調製
培地は、少なくとも一種の抗生物質と少なくとも一種の耐性機構阻害剤をさらに含むCPS ID3培地(製品番号43541)を使用した。
【0128】
試験した培地の組成は以下のとおりであった。
【0129】
【表2】

【0130】
浸透水を加え、全体をホモジナイズし、100℃の湯浴で溶解させる。基礎培地を複数のフラスコに分注するが、フラスコの数は、この過程において試験する培地の数の総数に相当する。次いでフラスコを15分間121℃で加圧滅菌する。培地を取り出し、湯浴にて55±3℃で溶解状態を保持することによって、熱に不安定な添加物(予め0.22μmのろ過により滅菌)を無菌的に添加する。次いで培地を直径90mmのバイプレートに注ぎ(すなわちプレート半分当たり約9.5mL)、平坦な面に置くことによって培地を固まらせる。次いで寒天の表面を、層流フードの下、30分間乾燥させる。
【0131】
3.培地の接種
36℃±2℃で有酸素雰囲気中においてTSA培地において24時間かけて前培養したものから、生理食塩水中0.5McFの接種物を調製し、次いで、この懸濁物1μLを生理食塩水5mLに移す。十分な数の分離コロニーを得るため、一定範囲の接種物を使用することによって、接種すべき細菌の最適量が10〜10CFU/mLであると決定することができた。滅菌綿棒を用いて二つの分割寒天に直接接種を行う。次いで有酸素雰囲気中37℃で培養物をインキュベートする。
【0132】
4.培地の読み取り
読み取りは、18時間(±30分)、24時間(±1時間)及び48時間(±4時間)で行う。コロニーの密度及び大きさ、集塊の外観、色及び着色度、並びに、分離したコロニーの外観、色及び着色度を、以下の読み取り尺度1〜3に従って観察した。0:増殖なし、0.1:ごくわずかな増殖、0.25:直径0.5mm未満のコロニー、0.5:直径0.5mmのコロニー、0.75:0.5mm<直径<1mm、1:直径1mmのコロニー、1.25:1mm<直径<1.5mm、1.5:直径1.5mmのコロニー、2:直径2mmのコロニー、3:直径2mm超のコロニー。
【0133】
5.結果
a)抗生物質のスクリーニング
NCCLS(National Committee for Clinical Laboratory Standards)(臨床研究所規格委員会)推奨の5種類の抗生物質を試験した。試験したそれぞれのものについて、試験した腸内細菌の野生型株を阻害できる一方、ESBL陽性株又はHL Case陽性株の増殖に影響しない濃度を決定するため、ある範囲を準備した。
【0134】
選択した濃度を以下の表IIIに列挙する。
【0135】
表III:試験した腸内細菌の野生型株を阻害できる一方、試験条件下、ESBL陽性株の増殖に影響しない抗生物質濃度の限界値
【0136】
【表3】

【0137】
低値は、試験した腸内細菌の野生型株を阻害するのに必要な抗生物質の最小濃度に相当する。高値は、試験したESBL陽性株の増殖に影響することなく使用できる抗生物質の最大濃度に相当する。
【0138】
これらの濃度において、野生型株と耐性株の分離は十分であり、CPS ID 3培地での酵素活性の発現は妥当である。
【0139】
なお、セフタジジムは、ESBLの検出において試験され使用された中でシュードモナス・エルジノーサの野生型株に活性を示した唯一の抗生物質である。その株を完全に阻害する最小濃度を決定するため、ある範囲を準備し、その限界値は1.5mg/Lである。
【0140】
抗生物質の添加は、発色培地での細菌酵素活性の発現に影響を及ぼさなかった。対照CPS ID 3培地と上記抗生物質を含む培地の両方において、微生物の群を分離して識別した。
【0141】
b)β−ラクタマーゼ阻害剤のスクリーニング
3種のβ−ラクタマーゼ阻害剤(BLI)、すなわちクラブラン酸、タゾバクタム及びスルバクタムを使用した。セフォタキシムの存在下、HL Case株の増殖を損なわずにESBL陽性株を阻害する最適濃度を決定するため、それぞれについてある範囲を準備した。
【0142】
クラブラン酸が、セフォタキシムの存在下で最も有効なBLIであることが分かった。タゾバクタム及びスルバクタムはESBL陽性株を阻害するのに2mg/Lより高い濃度が必要であったが、クラブラン酸は、広い使用範囲(セフォタキシムと併用の場合、0.1〜8mg/L)にわたって、より低濃度において活性がより高かった。
【0143】
最も有効な組み合わせを決めるため、ある範囲のクラブラン酸の存在下で、各抗生物質(セフォタキシム、セフタジジム、セフトリアキソン、セフポドキシム、アズトレオナム)を試験した。選択した組み合わせを以下の表IVに列挙する。
【0144】
表IV:試験したESBL陽性腸球菌株を阻害する一方、HL Case陽性株が増殖できる、抗生物質とクラブラン酸(CA)の組み合わせの選択
【0145】
【表4】

【0146】
一方に抗生物質を単独で含み、他方に抗生物質+クラブラン酸の組み合わせを含むバイプレートを用いて得た結果を表Vに示す。
【0147】
表V
【0148】
【表5】

【0149】
β−ラクタマーゼ阻害剤の添加は、発色培地での細菌酵素活性の発現に影響を及ぼさなかった。対照CPS ID 3培地とβ−ラクタマーゼ阻害剤を含む培地の両方において、微生物の群を分離して識別した。
【0150】
c)抗生物質の組み合わせ
抗生物質とクラブラン酸の相対的な活性の下、まず野生型株(緑膿菌(pyocyanic bacillus)の野生型株を含む)を阻害し、そして、BILの添加により試験される腸球菌のESBL陽性株を阻害するよう、以下を組み合わせた。
・セフォタキシム(最も低い濃度のクラブラン酸と組み合わせてESBL陽性株に有効な抗生物質)、
・セフタジジム(P.エルジノーサの野生型株に有効な抗生物質)、及び
・クラブラン酸。
【0151】
そのような組み合わせをP.エルジノーサ株(この種はセフォタキシムに自然耐性である一方、セフタジジムに感受性である)に対して試験した。1.5mg/LのCAZ(セフタジジム)、1mg/LのCTX(セフォタキシム)及び0.25mg/LのCA(クラブラン酸)を組み合わせた場合、試験したすべての野生型株と腸球菌のESBL陽性株が阻害され、HL Case株とESBL陽性P.エルジノーサ株のコレクションのみが増殖した。それはバイプレートを使用しており、その一方がCAZ単独であり、他方がCTX+クラブラン酸である。
【0152】
抗生物質のこれらの組み合わせの添加は、発色培地での細菌酵素活性の発現に影響しなかった。対照CPS ID 3培地と抗生物質のそのような組み合わせを含む培地の両方において、微生物の群を分離して識別した。
【0153】
d)色素アッセイ
また本発明による培地をバイプレートに用い、その一方側はある抗生物質を含み、もう一方側は別の抗生物質又は抗生物質の組み合わせを含むものであった。同じCPS ID 3培養基をいずれの側にも用いる場合、それら2つの側は、色素の存在により区別された。
【0154】
試験された色素エバンスブルーは培地を緑色にした。この着色によって、培地の増殖促進能に影響を及ぼすことなく、また、コロニーの酵素活性の読み取りを損なうことなく、バイプレートの2つの側を容易に区別することができた。加圧滅菌の前又は後に添加されるエバンスブルーのある範囲を設定した後、選択した値は以下のとおりであった。
・1.5又は2mg/L(色素を加圧滅菌の後に添加する場合)
・2〜5mg/L(色素を加圧滅菌の前に添加する場合)
【0155】
e)グラム陽性菌の阻害
ESBLは、グラム陰性桿菌においてのみ見られるβ−ラクタム類に対する耐性機構であり、従って、培地によりグラム陽性菌を阻害することは望ましいことである。感受性のグラム陽性菌を阻害する目的のため、本発明による培地において二種の抗生物質、リネゾリド及びバンコマイシンを用いた。
【0156】
バンコマイシンに関し、試験された条件下、2〜32mg/Lの濃度、特に2〜5mg/Lの濃度において、ESBL細菌の検出を妨害することなく感受性のグラム陽性菌を阻害することができる。
【0157】
リネゾリドに関し、試験された条件下、2〜64mg/Lの濃度、特に4〜16mg/Lの濃度において、ESBL細菌の検出を妨害することなく感受性のグラム陽性菌を阻害することができる。
【0158】
このグラム陽性菌の阻害により、複数菌の試料においてESBL細菌の検出を改善することができ、また、その着色の特異性を改善することができた。
【0159】
f)酵母の阻害
また、培地で増殖する可能性がありそして微生物の増殖を妨げる可能性がある酵母を阻害するため、本発明による培地は抗真菌剤をさらに含むことができる。
【0160】
従って以下の二種の抗真菌剤を試験した。ボリコナゾール及びアンホテリシンB。
【0161】
アンホテリシンBに関し、試験された条件下、1〜32mg/Lの濃度、特に2〜8mg/Lの濃度において、ESBL細菌の検出を妨害することなく感受性の酵母を阻害することができる。
【0162】
ボリコナゾールに関し、試験された条件下、1〜64mg/Lの濃度、特に4〜16mg/Lの濃度において、ESBL細菌の検出を妨害することなく感受性のグラム陽性菌を阻害することができる。
【0163】
この酵母の阻害により、複数菌の試料においてESBL細菌の検出を改善することができ、また、その着色の特異性を改善することができた。
【0164】
6.結論
これらの結果は、本発明による培地を使用することによって、ESBL生産細菌を分離し明らかに識別でき、高レベルセファロスポリナーゼ生産株からそれらを区別することができるということを示す。CPS ID 3培養基において、一方にセファロスポリン単独を含み、他方にセファロスポリン/クラブラン酸の組み合わせを含むバイプレートの使用は、特に有利である。
【0165】
実施例2
この第二の実施例は、ESBLの表現型の検出を基本とするものであり、抗生物質に対する感受性の低下と、トブラマイシン又はクロキサシリン又はジクロキサシリンとの組み合わせに対するHL Caseの感受性を利用するものである。また、この第二の実施例は、上述したセファロスポリン(CTX、CAZ、CPD、CRO、ATM)とセファロスポリナーゼを阻害する化合物(クロキサシリン、ジクロキサシリン及びトブラマイシン)との併用を示している。そのような培地により、「自然の」セファロスポリナーゼを有する細菌(その多くが高レベルセファロスポリナーゼのみを有する(HL Case))を阻害することができ、それと同時にESBL細菌の増殖が可能になる。
【0166】
1.菌株の選択
実施した操作において、グラム陰性桿菌に有効な抗生物質の活性を評価するため、様々な種の腸内細菌(大腸菌(Escherichia coli)、エンテロバクター・エロゲネス(Enterobacter aerogenes)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis))及び様々な種の非発酵性グラム陽性(gram−active)桿菌(シュードモナス・エルジノーサ(Pseudomonas aeruginosa))で、ESBLを生産できるものを用いた。アッセイにおいて、ESBL陽性株、高レベルセファロスポリナーゼを生産する株(HL Case)及び野生型株を比較する。
【0167】
2.培地の調製
使用した培地は、CPS ID 3培地(43541)であり、さらに以下のものを含むものであった。
・2.5mg/Lのセフタジジム及び2mg/Lのトブラマイシン(培地A)、又は、
・2mg/Lのセフトリアキソン及び150mg/Lのクロキサシリン(培地B)、又は、
・2mg/Lのセフポドキシム及び500〜1000mg/Lの濃度のジクロキサシリン(培地C)
【0168】
浸透水を加え、全体をホモジナイズし、100℃の湯浴で溶解させる。基礎培地を複数のフラスコに分注するが、フラスコの数は、この過程において試験する培地の数の総数に相当する。次いでフラスコを15分間121℃で加圧滅菌する。培地を取り出し、湯浴にて55±3℃で溶解状態を保持することによって、熱に不安定な添加物(予め0.22μmのろ過により滅菌)を無菌的に添加する。次いで培地を直径35mmのプレートに注ぎ、そして平坦な面に置くことによって、培地を固める。次いで寒天の表面を、層流フードの下、30分間乾燥させる。
【0169】
3.培地の接種
この工程は実施例1に記載したとおり行う。
【0170】
4.培地の読み取り
この工程は実施例1に記載したとおり行う。
【0171】
5.結果
セフタジジム及びトブラマイシンを含む培地Aにより、試験したすべての野生型株とすべてのHL Caseを阻害することができた。ESBL陽性株のみがこの培地で検出された。
【0172】
セフトリアキソン及びクロキサシリンを含む培地Bにより、HL Caseと野生型P.エルジノーサ菌を除くすべてのHL Caseとすべての野生型株を阻害することができ、そして培地Bは、大部分のESBL陽性株のみを増殖させた。
【0173】
セフポドキシム及びジクロキサシリンを含む培地Cにより、ESBL陽性株の増殖に影響を及ぼすことなく、すべての野生型株及び大部分のHL Caseを阻害することができた。
【0174】
実施例3
この第三の実施例は、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)及びE.フェシウム(E.faecium)の特異的な識別によりグリコペプチドに耐性である腸球菌の表現型を検出することを基本とするものであり、抗生物質に対する感受性の低下と、酵素活性:β−グルコシダーゼの確認及び代謝活性:メチル−α−グルコシド酸性化の確認を利用するものである。
【0175】
1.菌株の選択
実施した操作において、腸球菌に有効な抗生物質の活性を評価するため、様々な種の腸球菌(エンテロコッカス・フェカリス(Enterococccus faecalis)、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)、エンテロコッカス・カセリフラブス(Enterococcus casseliflavus)、エンテロコッカス・ガリナルム(Enterococcus gallinarum))を用いた。アッセイにおいて、グリコペプチド(VRE)に耐性の株と野生型株を比較する。
【0176】
2.培地の調製
使用した培地は、コロンビア培地(Columbia medium)(51026)であり、さらに以下のものを含むものであった。
・100mg/Lの5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−グルコピラノシド(X−Glu)
・9g/Lのメチル−α−D−グルコシド
・25mg/Lのニュートラルレッド
・5g/Lの胆汁酸塩
・4mg/Lのバンコマイシン
・2mg/LのアンホテリシンB
【0177】
浸透水を加え、全体をホモジナイズし、100℃の湯浴で溶解させる。基礎培地を複数のフラスコに分注するが、フラスコの数は、この過程において試験する培地の数の総数に相当する。次いでフラスコを15分間121℃で加圧滅菌する。培地を取り出し、湯浴にて55±3℃で溶解状態を保持することによって、熱に不安定な添加物(予め0.22μmのろ過により滅菌)を無菌的に添加する。次いで培地を直径90mmのプレートに注ぎ、そして平坦な面に置くことによって、培地を固める。次いで寒天の表面を、層流フードの下、30分間乾燥させる。
【0178】
3.培地の接種
この工程は実施例1に記載したとおり行う。
【0179】
4.培地の読み取り
この工程は実施例1に記載したとおり行う。
【0180】
5.結果
この培地では、グリコペプチドに耐性の腸内球菌株のみが増殖しコロニーを形成する。
【0181】
耐性のE.フェカリス及びE.フェシウムは緑色のコロニーを形成する一方、E.カセリフラブス及びE.ガリナルムは青〜紫のコロニーを形成する。
【0182】
従って、この培地により、腸球菌のこれら2つの群を区別し、適当な治療反応を得ることができる。
【0183】
実施例4
この第四の実施例は、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)及びE.フェシウム(E.faecium)の特異的な識別によりグリコペプチドに耐性である腸球菌の表現型を検出することを基本とするものであり、抗生物質に対する感受性の低下と、二つの酵素活性:α−グルコシダーゼ及びβ−ガラクトシダーゼ又はβ−グルコシダーゼの確認を利用するものである。
【0184】
1.菌株の選択
実施した操作において、腸球菌に有効な抗生物質の活性を評価するため、様々な種の腸球菌(エンテロコッカス・フェカリス(Enterococccus faecalis)、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)、エンテロコッカス・カセリフラブス(Enterococcus casseliflavus)、エンテロコッカス・ガリナルム(Enterococcus gallinarum))を用いた。アッセイにおいて、グリコペプチド(VRE)に耐性の株と野生型株を比較する。
【0185】
2.培地の調製
使用した培地は、コロンビア培地(51026)であり、さらに以下のものを含むものであった。
・150mg/Lの5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−N−メチル−α−D−グルコピラノシド(GreenA−α−Glu)
・200mg/Lの6−クロロ−3−インドリル−β−グルコピラノシド(Rose−b−Glu[Pink−b−Glu])
・150mg/Lの5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−N−メチル−α−D−グルコピラノシド(GreenA−α−Glu)
・50mg/Lのアリザリン−β−ガラクトピラノシド
及び8mg/Lのバンコマイシン
及び4mg/LのアンホテリシンB
及び2mg/Lのコリスチン
及び32mg/Lのアズトレオナム。
【0186】
浸透水を加え、全体をホモジナイズし、100℃の湯浴で溶解させる。2つの基礎培地をフラスコに分注する。次いでフラスコを15分間121℃で加圧滅菌する。培地を取り出し、湯浴にて55±3℃で溶解状態を保持することによって、熱に不安定な添加物(予め0.22μmのろ過により滅菌)を無菌的に添加する。次いで培地を直径90mmのプレートに注ぎ、そして平坦な面に置くことによって培地を固める。次いで寒天の表面を、層流フードの下、30分間乾燥させる。
【0187】
3.培地の接種
この工程は実施例1に記載したとおり行う。
【0188】
4.培地の読み取り
この工程は実施例1に記載したとおり行う。
【0189】
5.結果
α−グルコシダーゼ及びβ−グルコシダーゼの基質を含む培地において、耐性のE.フェシウム株は紫色のコロニーを形成する一方、耐性のE.フェカリス株はピンク色のコロニーを形成する。E.カセリフラブス及びE.ガリナルム株(自然耐性)は、バンコマイシンの濃度により阻害される。
【0190】
従って、この培地により、腸球菌のこれら二つの群を区別することができ、また、適当な治療反応を得ることができ、さらには局所的な疫学の追跡調査を得ることができる。
【0191】
α−グルコシダーゼ及びβ−ガラクトシダーゼの基質を含む培地において、耐性のE.フェシウム株は紫色のコロニーを形成する一方、耐性のE.フェカリス株は緑色のコロニーを形成する。E.カセリフラブス及びE.ガリナルム株(自然耐性)は、バンコマイシンの濃度により阻害される。
【0192】
従って、この培地により、腸球菌のこれら二つの群を区別することができ、また、適当な治療反応を得ることができ、さらには局所的な疫学の追跡調査を得ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
・微生物の第一の分類群に属しかつある治療に対して少なくとも一つの耐性機構を備える第一の群のグラム陽性菌、
・前記第一の分類群とは異なる微生物の第二の分類群に属する一方、前記第一の群と同じ、ある治療に対する少なくとも一つの耐性機構を備える第二の群のグラム陽性菌、
・前記治療に耐性でない第三の群のグラム陽性菌
を含む生物試料において3群以上の微生物を区別するための培地の使用であって、
前記培地が、
○前記第一の群の微生物の少なくとも第一の酵素活性又は代謝活性を検出するための少なくとも一種の第一の基質、
○前記第一の群の微生物と前記第二の群の微生物とを区別するための少なくとも一種のマーカーであって、前記第二の群の微生物の少なくとも一つの酵素活性又は代謝活性を検出するための基質であるマーカー、
○前記第三の群の微生物に有効な少なくとも一種の抗微生物剤
を含む
ことを特徴とする培地の使用。
【請求項2】
第一の群及び第二の群のグラム陽性菌が
腸球菌である
請求項1に記載の使用。
【請求項3】
・α−グルコシダーゼの酵素活性を検出するための第一の基質、
・β−グルコシダーゼ又はβ−ガラクトシダーゼの酵素活性を検出するための第二の基質、
・好ましくはバンコマイシンである、少なくとも一種類の抗生物質
を含む
ことを特徴とする培地。
【請求項4】
・β−グルコシダーゼの酵素活性を検出するための第一の基質、
・着色指示薬の存在下でメチル−α−グルコシドの代謝を検出するための第二の基質、
・バンコマイシンである抗生物質
を含む
ことを特徴とする培地。
【請求項5】
・バンコマイシンに対して獲得耐性を発現する第一の群の腸球菌、
・バンコマイシンに対して自然耐性を発現する第二の群の腸球菌、
・バンコマイシンに耐性でない第三の群の腸球菌
を区別するための請求項4に記載の培地の使用。
【請求項6】
・α−グルコシドの代謝を検出するための少なくとも一種の第一の基質、
・α−グルコシドの代謝とは異なる第二の活性を検出するための少なくとも一種の第二の基質、
・バンコマイシンである少なくとも一種の抗生物質
を含む
ことを特徴とする培地。
【請求項7】
少なくとも第二の基質がβ−グルコシダーゼ又はβ−ガラクトシダーゼの活性を検出できる
ことを特徴とする請求項6に記載の培地。
【請求項8】
前記第一の基質が好ましくはメチル−α−グルコシドであり、前記第二の基質が好ましくは5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−グルコシド又は6−クロロ−3−インドリル−β−D−グルコシドであり、かつ前記抗生物質が好ましくはバンコマイシンである
ことを特徴とする請求項6に記載の培地。
【請求項9】
・エンテロコッカス・フェカリス及びエンテロコッカス・フェシウムを含む第一の群のバンコマイシン耐性微生物、
・エンテロコッカス・カセリフラブス及びエンテロコッカス・ガリナルムを含む第二の群のバンコマイシン耐性微生物、
・バンコマイシンに耐性でない第三の群の微生物
を区別するための請求項6〜8のいずれか一項に記載の培地の使用。
【請求項10】
前記第一の基質が5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−N−メチル−α−D−グルコシド又は5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−α−D−グルコシドであり、前記第二の基質が6−クロロ−3−インドリル−β−D−グルコシド又はアリザリン−β−D−ガラクトシド又は5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−グルコシド又は5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシド又は6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシドであり、かつ、前記抗生物質がバンコマイシンである
ことを特徴とする請求項6に記載の培地。
【請求項11】
・エンテロコッカス・フェシウムを含む第一の群のバンコマイシン耐性微生物、
・エンテロコッカス・フェカリスを含む第二の群のバンコマイシン耐性微生物、
・バンコマイシンに耐性でないか又は自然耐性を発現する第三の群の微生物
を区別するための請求項6又は10に記載の培地の使用。
【請求項12】
前記第一の基質が5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−N−メチル−α−D−グルコシド又は5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−α−D−グルコシドであり、前記第二の基質が6−クロロ−3−インドリル−β−D−グルコシド又は5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−グルコシドであり、かつ、前記抗生物質がバンコマイシンである
ことを特徴とする請求項6に記載の培地。
【請求項13】
・エンテロコッカス・フェカリス及びエンテロコッカス・フェシウムを含む第一の群のバンコマイシン耐性微生物、
・バンコマイシンに中間耐性又は耐性であるスタフィロコッカス・アウレウスを含む第二の群の微生物、
・バンコマイシンに耐性でない第三の群の微生物
を区別するための請求項6又は12に記載の培地の使用。

【公開番号】特開2012−105668(P2012−105668A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−37899(P2012−37899)
【出願日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【分割の表示】特願2007−554612(P2007−554612)の分割
【原出願日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(504238301)ビオメリュー (74)
【Fターム(参考)】