説明

耐擦傷性樹脂板の製造方法

【課題】本発明の課題は、凸状の表面欠陥の発生が抑制された耐擦傷性樹脂板の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の耐擦傷性樹脂板の製造方法は、ゴム粒子を含有する樹脂基板の表面に、フッ素系化合物を含有する硬化性塗料を塗布し、50℃以下の温度で乾燥する。前記硬化性塗料は、ハンセンの溶解度パラメータにおける極性項が9〜14MPa1/2である溶媒Aを含有するのが好ましい。前記基板の前記硬化性塗料を塗布する表面は、アクリル系樹脂層であるのが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐擦傷性樹脂板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ディスプレイ用の保護板や、携帯型情報端末における表示窓の保護板として、基板表面に硬化被膜を形成してなる耐擦傷性樹脂板が用いられている。
携帯型情報端末における表示窓の保護板の基板として、透明性に優れることから、アクリル樹脂板が広く使用されている。また、この保護板は、保護板表面を指で直接触れられることが多いため、その基板表面に形成される硬化被膜には、防汚性が求められる。
【0003】
そこで、特許文献1には、アクリル樹脂板上にフッ素系化合物を含有する硬化性塗料を塗布して硬化被膜を形成し、防汚性に優れる耐擦傷性樹脂板が開示されている。
一方で、基板としてゴム粒子を含有する樹脂板を用いることで、耐擦傷性樹脂板に耐衝撃性を付与することが可能である。特許文献2には、ゴム粒子を含有するアクリル樹脂板に硬化性塗料を塗布して硬化被膜を形成し、耐衝撃性に優れる耐擦傷性樹脂板が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2003/002628号
【特許文献2】特開2004−143365号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示の耐擦傷性樹脂板では充分な耐衝撃性を有していないことから、この耐擦傷性樹脂板の耐衝撃性を向上させようと、ゴム粒子を含有するアクリル樹脂板上にフッ素系化合物を含有する硬化性塗料を塗布して硬化被膜を形成したところ、該耐擦傷性樹脂板表面に通常、「ブツ」と呼ばれる凸状の表面欠陥や、凹状の表面欠陥が多数生じてしまうことがあった。
【0006】
そこで、本発明の課題は、凸状の表面欠陥の発生が抑制された耐擦傷性樹脂板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討をした結果、ゴム粒子は樹脂基板を構成する樹脂よりも線膨張係数が高く、熱によって膨張や収縮をしやすいために表面に突出しやすくなるため、凸状の表面欠陥が発生すると考えた結果、ゴム粒子を含有する樹脂基板の表面に、フッ素系化合物を含有する硬化性塗料を塗布し、50℃以下の温度で乾燥すれば、凸状の表面欠陥の発生を抑制することができることを見出し、さらに、硬化性塗料が、ハンセン(Hansen)の溶解度パラメータにおける極性項が9〜14MPa1/2である溶媒Aを含有すれば、凸状の表面欠陥の発生の抑制に加えて、凹状の表面欠陥の発生を抑制することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明の耐擦傷性樹脂板の製造方法は、以下の構成からなる。
(1)ゴム粒子を含有する樹脂基板の表面に、フッ素系化合物を含有する硬化性塗料を塗布し、50℃以下の温度で乾燥することを特徴とする耐擦傷性樹脂板の製造方法。
(2)前記硬化性塗料が、ハンセンの溶解度パラメータにおける極性項が9〜14MPa1/2である溶媒Aを含有するものである前記(1)に記載の耐擦傷性樹脂板の製造方法。
(3)前記基板の前記硬化性塗料を塗布する表面が、アクリル系樹脂層である前記(1)または(2)に記載の耐擦傷性樹脂板の製造方法。
(4)前記ゴム粒子がアクリル系ゴム粒子である前記(1)〜(3)のいずれかに記載の耐擦傷性樹脂板の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ゴム粒子を含有する樹脂基板の表面に、フッ素系化合物を含有する硬化性塗料を塗布し、50℃以下の温度で乾燥することで、凸状の表面欠陥の発生が抑制された耐擦傷性樹脂板を得ることができ、さらに、硬化性塗料が、溶媒Aを含有することで、凸状の表面欠陥の発生の抑制に加えて、凹状の表面欠陥の発生が抑制された耐擦傷性樹脂板を得ることができ、ディスプレイ用の保護板や、携帯型情報端末における表示窓の保護板などに好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の耐擦傷性樹脂板の製造方法は、ゴム粒子を含有する樹脂基板の表面に、フッ素系化合物を含有する硬化性塗料を塗布し、所定の条件で乾燥するものである。これにより、凸状の表面欠陥の発生が抑制された耐擦傷性樹脂板を得ることができる。
【0011】
<ゴム粒子を含有する樹脂基板>
本発明におけるゴム粒子を含有する樹脂基板を構成する樹脂は、透明な熱可塑性樹脂であるのがよく、その例としては、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ環状オレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、メタクリル−スチレン系共重合体(MS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン系共重合体(AS樹脂)、ポリフッ化ビニリデン系樹脂(PVDF樹脂)などが挙げられる。中でも、アクリル系樹脂からなるアクリル系樹脂基板は、表面硬度が高く、高い耐擦傷性を有する硬化被膜を設け易いので好ましく、また、ポリカーボネート系樹脂からなるポリカーボネート系樹脂基板は、耐衝撃性が高く、割れ難いので好ましい。
【0012】
ゴム粒子を含有する樹脂基板は、通常の板(シート)やフィルムのように、表面が平面のものであってもよいし、凸レンズや凹レンズなどのように、表面が曲面になっているものであってもよい。また、表面に細かな凹凸などの微細な構造が設けられていてもよい。
【0013】
ゴム粒子を含有する樹脂基板は、必要に応じて、染料や顔料などにより着色されていてもよいし、酸化防止剤や紫外線吸収剤などを含有していてもよい。ゴム粒子を含有する樹脂基板の厚さは、好ましくは0.1mm以上であり、また3.0mm以下である。
【0014】
ゴム粒子を含有する樹脂基板の構造は、単層構造であってもよいし、多層構造であってもよい。
多層構造である樹脂基板の樹脂層の構成は、特に限定されないが、硬化性塗料を塗布する表面がアクリル系樹脂層であるのが好ましく、例えば、ポリカーボネート系樹脂層の少なくとも一方の面にゴム粒子を含んだアクリル系樹脂層が積層されてなる樹脂基板などが挙げられ、なかでも、ポリカーボネート樹脂層の両面にゴム粒子を含んだメタクリル樹脂層が積層されてなるゴム粒子を含有する樹脂基板が好ましい。
【0015】
<ポリカーボネート系樹脂>
ポリカーボネート系樹脂としては、例えば、耐熱性、機械的強度、透明性などに優れた芳香族ポリカーボネート系樹脂が好適に用いられる。
芳香族ポリカーボネート系樹脂としては、例えば、二価フェノールとカーボネート前駆体とを界面重縮合法、溶融エステル交換法で反応させて得られた樹脂、カーボネートプレポリマーを固相エステル交換法により重合させた樹脂、環状カーボネート化合物の開環重合法により重合させて得られる樹脂などが挙げられる。
【0016】
二価フェノールとしては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3−イソプロピル−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−フェニル)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}フルオレン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−o−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルおよび4,4’−ジヒドロキシジフェニルエステルなどが挙げられ、これらは単独または2種以上を混合して使用することができる。
【0017】
なかでも、ビスフェノールA、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンおよびα,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼンからなる群から選ばれる二価フェノールを単独で又は2種以上用いるのが好ましく、特に、ビスフェノールAの単独使用や、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンと、ビスフェノールA、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン及びα,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼンからなる群から選ばれる1種以上の二価フェノールとの併用が好ましい。
【0018】
カーボネート前駆体としては、例えば、カルボニルハライド、カーボネートエステルまたはハロホルメートなどが使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネートまたは二価フェノールのジハロホルメートなどが挙げられる。
【0019】
<アクリル系樹脂>
アクリル系樹脂としては、例えば、メタクリル樹脂が用いられる。メタクリル樹脂は、メタクリル酸エステルを主体とする重合体であり、メタクリル酸エステルの単独重合体であってもよいし、メタクリル酸エステル50重量%以上とこれ以外の単量体50重量%以下との共重合体であってもよい。ここで、メタクリル酸エステルとしては、通常、メタクリル酸のアルキルエステルが用いられる。
【0020】
メタクリル樹脂の好ましい単量体組成は、全単量体を基準として、メタクリル酸アルキルが50〜100重量%、アクリル酸アルキルが0〜50重量%、これら以外の単量体が0〜49重量%であり、より好ましくは、メタクリル酸アルキルが50〜99.9重量%、アクリル酸アルキルが0.1〜50重量%、これら以外の単量体が0〜49重量%である。
【0021】
ここで、メタクリル酸アルキルとしては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシルなどが挙げられ、そのアルキル基の炭素数は通常1〜8、好ましくは1〜4である。中でもメタクリル酸メチルが好ましく用いられる。
【0022】
また、アクリル酸アルキルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルなどが挙げられ、そのアルキル基の炭素数は通常1〜8、好ましくは1〜4である。
【0023】
また、メタクリル酸アルキル及びアクリル酸アルキル以外の単量体としては、例えば、単官能単量体、すなわち分子内に重合性の炭素−炭素二重結合を1個有する化合物であってもよいし、多官能単量体、すなわち分子内に重合性の炭素−炭素二重結合を少なくとも2個有する化合物であってもよいが、単官能単量体が好ましく用いられる。
この単官能単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどのスチレン系単量体、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化アルケニル、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、N−置換マレイミドなどが挙げられる。
また、多官能単量体としては、例えば、エチレングリコールジメタクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートなどの多価アルコールのポリ不飽和カルボン酸エステル、アクリル酸アリル、メタクリル酸アリル、ケイ皮酸アリルなどの不飽和カルボン酸のアルケニルエステル、フタル酸ジアリル、マレイン酸ジアリル、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレートなどの多塩基酸のポリアルケニルエステル、ジビニルベンゼンなどの芳香族ポリアルケニル化合物などが挙げられる。
【0024】
なお、上記のメタクリル酸アルキル、アクリル酸アルキル、及びこれら以外の単量体は、それぞれ、必要に応じてそれらの2種以上を用いてもよい。
【0025】
メタクリル樹脂は、耐熱性の観点から、そのガラス転移温度が70℃以上であることが好ましく、80℃以上であるのがより好ましく、更には90℃以上であることが好ましい。このガラス転移温度は、単量体の種類やその割合を調整することにより、適宜設定することができる。
【0026】
メタクリル樹脂は、上記単量体成分を、懸濁重合、乳化重合、塊状重合などの方法により重合させることにより、調製することができる。その際、好適なガラス転移温度を得るため、又は好適な樹脂基板への成形性を示す溶融粘度を得るためなどに、重合時に適当な連鎖移動剤を使用することが好ましい。連鎖移動剤の添加量は、単量体の種類やその割合などに応じて、適宜決定すればよい。
【0027】
<ゴム粒子>
本発明におけるゴム粒子は、ゴム粒子を含有する樹脂基板を構成する樹脂に配合される。これにより、得られる耐擦傷性樹脂板に、優れた耐衝撃性を付与することができる。
ゴム粒子としては、例えば、アクリル系ゴム粒子、ブタジエン系ゴム粒子、スチレン−ブタジエン系ゴム粒子などのものを用いることができるが、中でも、耐候性、耐久性の点から、アクリル系ゴム粒子が好ましく用いられる。
【0028】
アクリル系ゴム粒子は、ゴム成分としてアクリル酸エステルを主体とする弾性重合体を含有する粒子であり、この弾性重合体のみからなる単層構造の粒子であってもよいし、この弾性重合体の層と、例えば、メタクリル酸エステルを主体とする重合体の層とを有する多層構造の粒子であってもよいが、ゴム粒子を含有する樹脂基板の表面硬度の点から多層構造の粒子であることが好ましい。
また、この弾性重合体は、アクリル酸エステルの単独重合体であってもよいし、アクリル酸エステル50重量%以上とこれ以外の単量体50重量%以下との共重合体であってもよい。ここで、アクリル酸エステルとしては、通常、アクリル酸のアルキルエステルが用いられる。
【0029】
アクリル酸エステルを主体とする弾性重合体の好ましい単量体組成は、全単量体を基準として、アクリル酸アルキルを50〜99.9重量%、メタクリル酸アルキルを0〜49.9重量%、これら以外の単官能単量体を0〜49.9重量%、及び多官能単量体を0.1〜10重量%である。
【0030】
ここで、上記弾性重合体におけるアクリル酸アルキルとしては、例えば、先にメタクリル樹脂の単量体成分として挙げたアクリル酸アルキルの例と同様であり、そのアルキル基の炭素数は通常1〜8、好ましくは4〜8である。
また、上記弾性重合体におけるメタクリル酸アルキルとしては、例えば、先にメタクリル樹脂の単量体成分として挙げたメタリル酸アルキルの例と同様であり、そのアルキル基の炭素数は通常1〜8、好ましくは1〜4である。
【0031】
上記弾性重合体におけるアクリル酸アルキル及びメタクリル酸アルキル以外の単官能単量体としては、例えば、先にメタクリル樹脂の単量体成分として挙げたメタクリル酸アルキル及びアクリル酸アルキル以外の単官能単量体の例と同様である。中でもスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどのスチレン系単量体が好ましく用いられる。
【0032】
上記弾性重合体における多官能単量体としては、例えば、先にメタクリル樹脂の単量体成分として挙げた多官能単量体の例と同様であり、中でも、不飽和カルボン酸のアルケニルエステルや、多塩基酸のポリアルケニルエステルが好ましく用いられる。
【0033】
上記の弾性重合体におけるアクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル、これら以外の単官能単量体、及び多官能単量体は、それぞれ、必要に応じてそれらの2種以上を用いてもよい。
【0034】
アクリル系ゴム粒子として多層構造のものを使用する場合、その好適な例としては、上述したアクリル酸エステルを主体とする弾性重合体の層の外側に、メタクリル酸エステルを主体とする重合体の層を有するもの、すなわち、上述したアクリル酸エステルを主体とする弾性重合体を内層とし、メタクリル酸エステルを主体とする重合体を外層とする、少なくとも2層構造のものを挙げることができる。ここで、外層の重合体の単量体成分であるメタクリル酸エステルとしては、通常、メタクリル酸アルキルが用いられる。
また、外層の重合体は、内層の弾性重合体100重量部に対し、通常10〜400重量部、好ましくは20〜200重量部の割合で形成するのがよい。外層の重合体を、内層の弾性重合体100重量部に対し10重量部以上とすることで、該弾性重合体の凝集が生じ難くなり、樹脂基板の透明性が良好となる。
【0035】
上記外層の重合体の好ましい単量体組成は、全単量体を基準として、メタクリル酸アルキルを50〜100重量%、アクリル酸アルキルを0〜50重量%、これら以外の単量体を0〜50重量%、及び多官能単量体を0〜10重量%である。
【0036】
上記外層の重合体におけるメタクリル酸アルキルとしては、例えば、先にメタクリル樹脂の単量体成分として挙げたメタクリル酸アルキルの例と同様であり、そのアルキル基の炭素数は通常1〜8、好ましくは1〜4である。中でもメタクリル酸メチルが好ましく用いられる。
【0037】
上記外層の重合体におけるアクリル酸アルキルとしては、例えば、先にメタクリル樹脂の単量体成分として挙げたアクリル酸アルキルの例と同様であり、そのアルキル基の炭素数は通常1〜8、好ましくは1〜4である。
【0038】
上記外層の重合体におけるメタクリル酸アルキル及びアクリル酸アルキル以外の単量体としては、例えば、先にメタクリル樹脂の単量体成分として挙げたメタクリル酸アルキル及びアクリル酸アルキル以外の単官能単量体の例と同様であり、また、多官能単量体としては、例えば、先にメタクリル樹脂の単量体成分として挙げた多官能単量体の例と同様である。
【0039】
なお、上記の外層の重合体におけるメタクリル酸アルキル、アクリル酸アルキル、これら以外の単量体、及び多官能単量体は、それぞれ、必要に応じてそれらの2種以上を用いてもよい。
【0040】
また、多層構造のアクリル系ゴム粒子の好適な例として、上記2層構造の内層である上述したアクリル酸エステルを主体とする弾性重合体の層の内側に、さらにメタクリル酸エステルを主体とする重合体の層を有するもの、すなわち、このメタクリル酸エステルを主体とする重合体を内層とし、上述したアクリル酸エステルを主体とする弾性重合体を中間層とし、先のメタクリル酸エステルを主体とする重合体を外層とする、少なくとも3層構造のものを挙げることもできる。ここで、内層の重合体の単量体成分であるメタクリル酸エステルとしては、通常、メタクリル酸アルキルが用いられる。また、内層の重合体は、中間層の弾性重合体100重量部に対し、通常10〜400重量部、好ましくは20〜200重量部の割合で形成するのがよい。
【0041】
上記内層の重合体の好ましい単量体組成は、全単量体を基準として、メタクリル酸アルキルを70〜100重量%、アクリル酸アルキルを0〜30重量%、これ以外の単量体を0〜30重量%、及び多官能単量体を0〜10重量%である。
【0042】
上記内層の重合体におけるメタクリル酸アルキルとしては、例えば、先にメタクリル樹脂の単量体成分として挙げたメタクリル酸アルキルの例と同様であり、そのアルキル基の炭素数は通常1〜8、好ましくは1〜4である。中でもメタクリル酸メチルが好ましく用いられる。
また、上記内層の重合体におけるアクリル酸アルキルとしては、例えば、先にメタクリル樹脂の単量体成分として挙げたアクリル酸アルキルの例と同様であり、そのアルキル基の炭素数は通常1〜8、好ましくは1〜4である。
【0043】
上記内層の重合体におけるメタクリル酸アルキル及びアクリル酸アルキル以外の単量体としては、例えば、先にメタクリル樹脂の単量体成分として挙げたメタクリル酸アルキル及びアクリル酸アルキル以外の単官能単量体の例と同様であり、また、多官能単量体の例としては、先にメタクリル酸樹脂の単量体成分として挙げた多官能単量体の例と同様である。
【0044】
なお、上記の内層の重合体におけるメタクリル酸アルキル、アクリル酸アルキル、これら以外の単量体及び多官能単量体は、それぞれ、必要に応じてそれらの2種以上を用いてもよい。
【0045】
アクリル系ゴム粒子は、先に述べたアクリル酸エステルを主体とする弾性重合体の単量体成分を、乳化重合法などにより、少なくとも1段の反応で重合させることにより、調製することができる。その際、先に述べた如く、上記弾性重合体の層の外側に、メタクリル酸エステルを主体とする重合体の層を形成する場合は、この外層の重合体の単量体成分を、上記弾性重合体の存在下に、乳化重合法などにより、少なくとも1段の反応で重合させることにより、上記弾性重合体にグラフトさせればよい。
また、先に述べた如く、上記弾性重合体の層の内側に、さらにメタクリル酸エステルを主体とする重合体の層を形成する場合は、まず、この内層の重合体の単量体成分を、乳化重合法などにより、少なくとも1段の反応で重合させ、次いで、得られる重合体の存在下で、上記弾性重合体の単量体成分を、乳化重合法などにより、少なくとも1段の反応で重合させることにより、上記内層の重合体にグラフトさせ、さらに、得られる弾性重合体の存在下で、上記外層の重合体の単量体成分を、乳化重合法などにより、少なくとも1段の反応で重合させることにより、上記弾性重合体にグラフトさせればよい。なお、各層の重合を、それぞれ2段以上で行う場合、いずれも、各段の単量体組成ではなく、全体としての単量体組成が所定の範囲内にあればよい。
【0046】
アクリル系ゴム粒子の粒径については、該ゴム粒子中のアクリル酸エステルを主体とする弾性重合体の層の平均粒子径が、0.01〜0.4μmであるのが好ましく、より好ましくは0.05〜0.3μm、さらに好ましくは0.07〜0.25μmである。この弾性重合体の層の平均粒子径が0.4μmより大きいと、ゴム粒子を含有する樹脂基板の透明性が低下し透過率低下につながるため、好ましくない。また、この弾性重合体の層の平均粒子径が0.01μmより小さいと、ゴム粒子を含有する樹脂基板の表面硬度が低下して傷が付き易くなるため好ましくない。
【0047】
なお、上記平均粒子径は、アクリル系ゴム粒子をメタクリル樹脂と混合してフィルム化し、その断面において酸化ルテニウムによる上記弾性重合体の層の染色を施し、電子顕微鏡で観察して、染色された部分の直径から求めることができる。
すなわち、アクリル系ゴム粒子をメタクリル樹脂に混合し、その断面を酸化ルテニウムで染色すると、母相のメタクリル樹脂は染色されず、上記弾性重合体の層の外側にメタクリル酸エステルを主体とする重合体の層が存在する場合は、この外層の重合体も染色されず、上記弾性重合体の層のみが染色されるので、こうして染色され、電子顕微鏡でほぼ円形状に観察される部分の直径から、粒子径を求めることができる。上記弾性重合体の層の内側にメタクリル酸エステルを主体とする重合体の層が存在する場合は、この内層の重合体も染色されず、その外側の上記弾性重合体の層が染色された2層構造の状態で観察されることになるが、この場合は、2層構造の外側、すなわち上記弾性重合体の層の外径で考えればよい。
【0048】
樹脂に対するゴム粒子の含有割合は、樹脂全体の40重量%以下であり、好ましくは30重量%以下である。ゴム粒子の含有割合が樹脂全体の40重量%より大きいと、樹脂基板の表面硬度が低下して傷が付き易くなってしまう。
【0049】
<硬化性塗料>
本発明における硬化性塗料としては、例えば、硬化性化合物として分子中に(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物と、下記の成分(a)と成分(b)と成分(c)との反応生成物と、を含有する硬化性塗料などが挙げられ、なかでも、硬化性化合物として分子中に少なくとも6個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物と分子中に4個又は5個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物とを含む硬化性塗料(以下、硬化性塗料(I)という場合がある)、硬化性化合物として、分子中に少なくとも7個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物と分子中に3〜6個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物とを含む硬化性塗料(以下、硬化性塗料(II)という場合がある)が好ましく用いられる。このような硬化性塗料により、耐擦傷性が高く、防汚性に優れる硬化被膜をゴム粒子を含有する樹脂基板の表面に形成することができる。
なお、(メタ)アクリロイルオキシ基とは、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基をいい、その他、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸などというときの「(メタ)」も同様の意味である。
【0050】
上記成分(a)〜(c)は、下記の通りである。
成分(a):ジイソシアネート化合物を3量化させてなるトリイソシアネート化合物。
成分(b):分子中に水酸基とパーフルオロアルキル基、パーフルオロアルキレン基及びパーフルオロアルキリデン基からなる群から選ばれる基とを有するポリエーテル化合物。
成分(c):分子中に水酸基と重合性の炭素−炭素二重結合とを有する化合物。
【0051】
(硬化性化合物)
硬化性化合物として分子中に(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物としては、例えば、分子中に(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレート、分子中に(メタ)アクリロイルオキシ基を有するウレタン(メタ)アクリレート、分子中に(メタ)アクリロイルオキシ基を有するエステル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、なかでも、表面硬度および耐擦傷性の観点から、分子中に(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレートが好ましく用いられる。これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0052】
分子中に(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、分子中に少なくとも7個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレート、分子中に少なくとも6個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレート、分子中に4個又は5個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレート、分子中に3個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレートなどが挙げられ、これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0053】
分子中に少なくとも7個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
分子中に6個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
分子中に4個又は5個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
分子中に3個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス〔(メタ)アクリロイルオキシエチル〕イソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0054】
分子中に(メタ)アクリロイルオキシ基を有するウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、分子中にm個のイソシアナト基を有する化合物と、分子中に水酸基及びn個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物との反応により得られる分子中にm×n個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物など挙げられる。
【0055】
分子中に(メタ)アクリロイルオキシ基を有するエステル(メタ)アクリレートとしては、例えば、分子中にm個のハロカルボニル基を有する化合物と、分子中に水酸基及びn個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物との反応により得られる分子中にm×n個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物などが挙げられる。
【0056】
硬化性塗料(I)において、少なくとも6個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物と、分子中に4個又は5個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物との割合は、両者の合計量100重量部を基準として、通常、前者が5〜95重量部、後者が95〜5重量部であり、好ましくは、前者が30〜70重量部、後者が70〜30重量部である。なお、硬化性塗料(I)には、必要に応じて、上記両者以外の硬化性化合物、例えば、上述した、分子中に3個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレートや、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートなどの分子中に2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物が含まれていてもよいが、その量は、上記両者の合計量100重量部に対し、通常20重量部以下である。
【0057】
また、硬化性塗料(II)において、少なくとも7個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物と、分子中に3〜6個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物との割合は、両者の合計量100重量部を基準として、通常、前者が5〜95重量部、後者が95〜5重量部であり、好ましくは、前者が30〜70重量部、後者が70〜30重量部である。なお、硬化性塗料(II)にも、必要に応じて、上記両者以外の硬化性化合物、例えば、上述した、分子中に2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレートなどの分子中に2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物などが含まれていてもよいが、その量は、上記両者の合計量100重量部に対し、通常20重量部以下である。
【0058】
(反応生成物)
硬化性塗料に、上記成分(a)、成分(b)及び成分(c)の反応生成物を含有させることにより、防汚性に優れる硬化被膜をゴム粒子を含有する樹脂基板の表面に形成することができる。
【0059】
成分(a)のトリイソシアネート化合物の原料となるジイソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0060】
成分(b)において、パーフルオロアルキル基としては、例えば、パーフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基(n−又はイソ)、パーフルオロブチル基(n−、イソ、s−又はt−)などが挙げられる。
パーフルオロアルキレン基としては、例えば、パーフルオロエチレン基、パーフルオロプロピレン基、パーフルオロトリメチレン基などが挙げられる。
パーフルオロアルキリデン基としては、例えば、パーフルオロメチレン基、パーフルオロエチリデン基、パーフルオロプロピリデン基(n−又はイソ)などが挙げられる。
【0061】
成分(b)としては、分子中に1個の水酸基を有するものが好ましく、例えば、一方の末端に水酸基を有し、もう一方の末端にパーフルオロアルキル基を有し、ポリエーテル鎖の酸素原子と酸素原子の間にパーフルオロアルキレン基及び/又はパーフルオロアルキリデン基を有するものが好ましい。
【0062】
成分(c)としては、分子中に1個の水酸基を有するものが好ましく、また、分子中に(メタ)アクリロイルオキシ基を有するものが好ましく、例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールメタンジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0063】
反応生成物は、成分(a)1モルに対し、成分(b)を1〜2モル、成分(c)を1〜2モル、成分(b)及び成分(c)の合計が2モルの割合で反応させたものであるのが好ましく、その反応方法としては、例えば、国際公開第03/002628号や特開2006−37024号公報に記載の方法などが挙げられる。
【0064】
硬化性塗料(I)中の反応生成物の含有量は、少なくとも6個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物及び分子中に4個又は5個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物の合計100重量部に対して、通常0.01〜5重量部、好ましくは0.1〜2重量部である。
また、硬化性塗料(II)中の反応生成物の含有量は、少なくとも7個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物及び分子中に3〜6個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物の合計100重量部に対して、通常0.01〜5重量部、好ましくは0.1〜2重量部である。
【0065】
硬化性塗料には、必要に応じて、導電性微粒子が含まれていてもよい。導電性微粒子が含まれることにより、帯電防止性能や制電性能を有する硬化被膜をゴム粒子を含有する樹脂基板の表面に形成することができる。
【0066】
導電性微粒子としては、例えば、酸化アンチモンなどの金属酸化物、インジウム/スズの複合酸化物(ITO)、スズ/アンチモンの複合酸化物(ATO)、アンチモン/亜鉛の複合酸化物、リンでドープされた酸化スズなどの各微粒子などが挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0067】
導電性微粒子の粒子径は、0.001〜0.1μmであるのが好ましい。粒子径があまり小さいものは、工業的な生産が難しく、粒子径があまり大きいものを用いると、硬化被膜の透明性が低下するため好ましくない。
硬化性塗料(I)中の導電性微粒子の含有量は、少なくとも6個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物及び分子中に4個又は5個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物の合計100重量部に対して、1〜100重量部であるのが好ましい。
また、硬化性塗料(II)中の導電性微粒子の含有量は、少なくとも7個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物及び分子中に3〜6個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物の合計100重量部に対して、1〜100重量部であるのが好ましい。
上記導電性微粒子の含有量があまり少ないと十分な帯電防止効果が得られず、上記導電性微粒子の含有量があまり多いと硬化被膜の耐擦傷性が低下したり、成膜性が低下したりするため好ましくない。
【0068】
また、硬化性塗料には、粘度や硬化被膜の厚さなどを調整するため、溶媒が含まれていてもよい。
この溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール(イソプロピルアルコール)、1−ブタノール、2−ブタノール(sec−ブチルアルコール)、2−メチル−1−プロパノール(イソブチルアルコール)、2−メチル−2−プロパノール(tert−ブチルアルコール)などのアルコール類、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、3−メトキシ−1−プロパノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノールなどのアルコキシアルコール類、ジアセトンアルコールなどのケトール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル類などが挙げられ、なかでもハンセンの溶解度パラメータにおける極性項が9〜14MPa1/2である化合物(以下、溶媒Aという場合がある)が好ましい。これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。例えば、溶媒Aとそれ以外の溶媒とを混合してよい。
【0069】
ここで、ハンセンの溶解度パラメータとは、ジョエル・ヒルデブランド(Joel Hildebrand)によって導入された溶解度パラメータδを、チャールズ・ハンセン(Charles Hansen)が下記(式1)に示すように、非極性な相互作用項(分散項)δd、極性的な作用項(極性項)δp、水素結合項δhの3成分で定義し、樹脂や溶媒間の溶解性などの推測に用いられている。
δ2=δd2+δp2+δh2 ・・・・(式1)
例えば、特開2010−097808号公報の段落〔0025〕および〔0026〕に、ハンセンの溶解度パラメータの記載がある。
【0070】
溶媒Aは、ハンセンの溶解度パラメータにおける極性項が9〜14MPa1/2である。極性項が14MPa1/2より高いと、樹脂基板を構成する樹脂を溶解してしまうおそれがあり、一方、9MPa1/2未満であると、パーフルオロアルキル化合物の該溶媒への分散性が低下して、該化合物が凝集し、耐擦傷性樹脂板表面に凹状の表面欠陥が生じてしまうおそれがある。
溶媒Aとしては、例えば、メチルエチルケトン(9.0)(括弧内の値は、ハンセンの溶解度パラメータにおける極性項の値であり、単位はMPa1/2である。以下同じ)、アセトン(10.4)、2−エトキシエタノール(9.2)、ジメチルホルムアミド(13.7)、イソシアン酸(10.5)などが挙げられる。
【0071】
溶媒の含有量は、基板の材質、形状、塗布方法、目的とする硬化被膜の厚さなどに応じて適宜調整されるが、硬化性塗料(I)においては、少なくとも6個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物及び分子中に4個又は5個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物の合計100重量部に対し、通常20〜10000重量部であり、溶媒の合計量100重量%に対し、溶媒Aは1〜100重量%、好ましくは、5〜30重量%含有する。
硬化性塗料(II)においては、少なくとも7個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物及び分子中に3〜6個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物の合計100重量部に対し、通常20〜10000重量部であり、溶媒の合計量100重量%に対し、溶媒Aは1〜100重量%、好ましくは、5〜30重量%含有する。
上記溶媒の含有量があまり少ないと凹状の表面欠陥が生じてしまうおそれがあり、上記溶媒の含有量があまり多いと硬化被膜の耐擦傷性が低下するおそれがある。
【0072】
さらに、硬化性塗料には、必要に応じて、安定化剤、酸化防止剤、着色剤、レベリング剤などの添加剤が含まれていてもよい。レベリング剤が含まれることにより、硬化被膜の平滑性や耐擦傷性を高めることができる。
【0073】
レベリング剤としては、シリコーンオイルが好ましく用いられ、その例としては、ジメチルシリコーンオイル、フェニルメチルシリコーンオイル、アルキル・アラルキル変性シリコーンオイル、フルオロシリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、脂肪酸エステル変性シリコーンオイル、メチル水素シリコーンオイル、シラノール基含有シリコーンオイル、アルコキシ基含有シリコーンオイル、フェノール基含有シリコーンオイル、メタクリル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、カルボン酸変性シリコーンオイル、カルビノール変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイルなどが挙げられる。これらシリコーンオイルは、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0074】
硬化性塗料(I)中のシリコーンオイルの含有量は、少なくとも6個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物及び分子中に4個又は5個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物の合計100重量部に対し、通常0.01〜20重量部である。
また、硬化性塗料(II)中のシリコーンオイルの含有量は、少なくとも7個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物及び分子中に3〜6個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物の合計100重量部対し、通常0.01〜20重量部である。
硬化性塗料中のシリコーンオイル含有量があまり少ないと、目的とする効果が認められ難く、あまり多いと、硬化被膜の強度が低下するため好ましくない。
【0075】
<耐擦傷性樹脂板の製造方法>
本発明の耐擦傷性樹脂板の製造方法は、樹脂基板の少なくとも一方の面に上述した硬化性塗料を塗布した後、所定温度で乾燥させ、次いで、形成された塗膜を硬化し、基板の表面に硬化被膜を形成することにより、耐擦傷性が高く、防汚性に優れる硬化被膜を有する耐擦傷性樹脂板を得ることができる。
【0076】
硬化性塗料の塗布方法としては、例えば、マイクログラビアコート法、ロールコート法、ディッピングコート法、スピンコート法、ダイコート法、キャスト転写法、フローコート法、スプレーコート法などが挙げられる。
【0077】
硬化性塗料の乾燥温度は、50℃以下、好ましくは40℃以下、さらに好ましくは35℃以下である。乾燥温度が50℃よりも高いと、得られた耐擦傷性樹脂板の硬化被膜表面において、凸状の表面欠陥が多数存在し、視認性が低下し、ディスプレイなどの用途に適さなくなるだけでなく、充分な耐衝撃性が得られないおそれがある。
硬化性塗料の乾燥時間は、硬化性化合物の種類やその塗布量などに応じて適宜調整される。
【0078】
塗膜を硬化する方法としては、例えば、活性化エネルギー線を照射する方法などが挙げられる。
活性化エネルギー線としては、例えば、電子線、紫外線、可視光線などが挙げられ、硬化性化合物の種類に応じて適宜選択される。活性化エネルギー線として紫外線や可視光線を用いる場合には通常、光重合開始剤が用いられる。
【0079】
光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、アントラキノン、1−(4−イソプロピルフェニル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、カルバゾール、キサントン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、1,1−ジメトキシデオキシベンゾイン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、チオキサントン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、トリフェニルアミン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、フルオレノン、フルオレン、ベンズアルデヒド、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾイソプロピルエーテル、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、3−メチルアセトフェノン、3,3’,4,4’−テトラ−tert−ブチルパーオキシカルボニルベンゾフェノン(BTTB)、2−(ジメチルアミノ)−1−〔4−(モルフォリニル)フェニル〕−2−(フェニルメチル)−1−ブタノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、ベンジルなどが挙げられる。
【0080】
光重合開始剤は、色素増感剤と組合せて用いてもよい。
色素増感剤としては、例えば、キサンテン、チオキサンテン、クマリン、ケトクマリンなどが挙げられる。光重合開始剤と色素増感剤との組合せとしては、例えば、BTTBとキサンテンとの組合せ、BTTBとチオキサンテンとの組合せ、BTTBとクマリンとの組合せ、BTTBとケトクマリンとの組合せなどが挙げられる。
【0081】
光重合開始剤は市販品を用いることができ、その例としては、それぞれチバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製の「IRGACURE 651」、「IRGACURE 184」、「IRGACURE 500」、「IRGACURE 1000」、「IRGACURE 2959」、「DAROCUR 1173」、「IRGACURE 907」、「IRGACURE 369」、「IRGACURE 1700」、「IRGACURE 1800」、「IRGACURE 819」、及び「IRGACURE 784」、それぞれ日本化薬(株)製の「KAYACURE ITX」、「KAYACURE DETX−S」、「KAYACURE BP−100」、「KAYACURE BMS」、及び「KAYACURE 2−EAQ」などが挙げられる。
【0082】
硬化性塗料(I)中の光重合開始剤の含有量は、少なくとも6個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物及び分子中に4個又は5個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物の合計100重量部に対し、通常0.1〜10重量部である。
また、硬化性塗料(II)中の光重合開始剤の含有量は、少なくとも7個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物及び分子中に3〜6個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物100重量部に対し、通常0.1〜10重量部である。
硬化性塗料中の光重合開始剤の含有量があまり少ないと、光重合開始剤を使用しない場合と比較して硬化速度が大きくならない傾向にある。
【0083】
また、活性化エネルギー線の強度や照射時間は、硬化性化合物の種類やその塗膜の厚さなどに応じて適宜調整される。活性化エネルギー線は、不活性ガス雰囲気中で照射してもよく、この不活性ガスとしては、窒素ガスやアルゴンガスなどが使用できる。
【0084】
こうして形成される硬化被膜の厚さは、1〜10μmであるのが好ましく、より好ましくは2〜6μmである。この厚さが1μmよりも薄いと、耐擦傷性が不十分となることがあり、10μmより厚いと、高温高湿下に曝したときに、クラックが発生し易くなる。硬化被膜の厚さは、ゴム粒子を含有する樹脂基板の表面に塗布する硬化性塗料の面積あたりの量や硬化性塗料に含まれる固形分の濃度を調整することにより、調節することができる。
【0085】
かくして得られる耐擦傷性樹脂板は、ゴム粒子を含有する樹脂基板の少なくとも一方の面に、耐擦傷性が高く、防汚性に優れる硬化被膜が形成されており、携帯電話などに代表される携帯型情報端末の表示窓保護板として好適に用いることができる。また、デジタルカメラやハンディ型ビデオカメラなどのファインダー部、携帯型ゲーム機の表示窓保護板など、耐擦傷性が要求される分野での各種部材としても使用できる。
【0086】
得られた耐擦傷性樹脂板から、携帯型情報端末の表示窓保護板を作製するには、まず必要に応じ、印刷、穴あけなどの加工を行い、必要な大きさに切断処理すればよい。しかるのちに、携帯型情報端末の表示窓にセットすれば、耐擦傷性が高く、防汚性に優れる表示窓とすることができる。
【実施例】
【0087】
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、以下の実施例中、含有量ないし使用量を表す部は、特記ないかぎり重量基準である。
【0088】
実施例および比較例においては、メタクリル樹脂およびゴム粒子として、以下のものを使用した。
<メタクリル樹脂>
メタクリル樹脂としては、メタクリル酸メチル97.8重量%とアクリル酸メチル2.2重量%とからなる単量体成分の重合により得られた、熱変形温度(Th)が100℃であるペレットを用いた。
【0089】
<ゴム粒子>
ゴム粒子としては、下記製造方法で得られた3層構造のゴム粒子を用いた。
特公昭55−27576号の実施例に記載の方法に準拠して、まず、内容積5Lのガラス製反応容器に、イオン交換水1700g、炭酸ナトリウム0.7g、過硫酸ナトリウム0.3gを仕込み、窒素気流下で撹拌後、「ペレックス OT−P」(花王(株)製)4.46g、イオン交換水150g、メチルメタクリレート150g、アリルメタクリレート0.3gを仕込んだ後、75℃に昇温し150分間撹拌を続けた。
【0090】
続いてブチルアクリレート689g、スチレン162g、アリルメタクリレート17gの混合物と過硫酸ナトリウム0.85g、「ペレックス OT−P」(花王(株)製)7.4gとイオン交換水50gの混合物を別の入口から90分間にわたり添加し、さらに90分間重合を続けた。
【0091】
重合を完了後、さらにメチルアクリレート326g、エチルアクリレート14gの混合物と過硫酸ナトリウム0.34gを溶解させたイオン交換水30gを別々の口から30分間にわたって添加した。
【0092】
添加終了後、さらに60分間保持し重合を完了した。得られたラテックスを0.5%塩化アルミニウム水溶液に投入して重合体を凝集させた。これを約50℃の温水にて5回洗浄後、乾燥して3層構造のゴム粒子を得た。
【0093】
(実施例1、2、比較例1)
<基板の作製>
メタクリル樹脂88部とゴム粒子12部とを、スーパーミキサーで混合し、二軸押出機にて溶融混錬して、メタクリル樹脂組成物をペレットとして得た。次いで、メタクリル樹脂組成物を65mmφ一軸押出機〔東芝機械(株)製〕で、ポリカーボネート樹脂〔住友ダウ(株)製の「カリバー 301−10」、熱変形温度140℃〕を45mmφ一軸押出機〔東芝機械(株)製〕で、それぞれ溶融させ、両者をフィードブロックを介して積層し、設定温度265℃のT型ダイスを介して押し出し、得られるフィルム状物を、一対の表面が平滑な金属製のロールの間に挟み込んで成形・冷却して、ポリカーボネート樹脂層の両面にメタクリル樹脂層が積層されてなる3層構成の樹脂基板を作製した。
【0094】
<硬化性塗料の調製>
硬化性化合物としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート10部及びペンタエリスリトールテトラアクリレート10部、ヘキサメチレンジイソシアネートを3量化させてなるトリイソシアネート化合物1モルに対し、CF3−CF2−CF2−CF(CF3)−(O−CF2−CF2−CF2)n−OH(n=3〜20)を1モル、エチレングリコールモノアクリレートを2モルの割合で反応させた反応生成物0.4部、光重合開始剤としてチバスペシャリティーケミカルズ(株)製の「IRGACURE 184」0.75部及びチバスペシャリティーケミカルズ(株)製の「IRGACURE 907」0.25部、レベリング剤としてシリコーンオイル〔ビックケミー・ジャパン(株)製の「BYK−307」〕0.02部、並びに溶媒として2−エトキシエタノール(溶媒A)8部及びプロピレングリコールモノメチルエーテル72部を混合して、硬化性塗料を調製した。
【0095】
<耐擦傷性樹脂板の作製>
樹脂基板を550mm×400mmの大きさに切断し、一方の面に、調整した硬化性塗料を塗布した後、室温で1分間乾燥し、さらに表1に示すそれぞれの温度で3分間乾燥して、塗膜を基板の一方の面に形成した。次いで、120Wの高圧水銀ランプを用いて0.5J/cm2の紫外線を照射することにより、塗膜を硬化させ、硬化被膜の厚さが4μmであり、硬化性被膜表面に凹状の表面欠陥のない耐擦傷性樹脂板を得た。
【0096】
<凸状の表面欠陥の個数>
得られた耐擦傷性樹脂板の硬化被膜表面において、大きさが0.05mm2以上ある凸状の表面欠陥の個数を目視で評価した。その結果を表1に示す。
【0097】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム粒子を含有する樹脂基板の表面に、フッ素系化合物を含有する硬化性塗料を塗布し、50℃以下の温度で乾燥することを特徴とする耐擦傷性樹脂板の製造方法。
【請求項2】
前記硬化性塗料が、ハンセンの溶解度パラメータにおける極性項が9〜14MPa1/2である溶媒Aを含有するものである請求項1に記載の耐擦傷性樹脂板の製造方法。
【請求項3】
前記基板の前記硬化性塗料を塗布する表面が、アクリル系樹脂層である請求項1または2に記載の耐擦傷性樹脂板の製造方法。
【請求項4】
前記ゴム粒子がアクリル系ゴム粒子である請求項1〜3のいずれかに記載の耐擦傷性樹脂板の製造方法。

【公開番号】特開2012−45502(P2012−45502A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−191197(P2010−191197)
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】