説明

耐汚れ性に優れた選択的分離膜

【課題】耐汚れ性に優れた選択的分離膜を提供する。
【解決手段】本発明による選択的分離膜は、親水性コーティングが分離膜のポリアミド層に施されたポリアミド逆浸透複合膜である。前記親水性コーティングは、親水性化合物をポリアミド分離膜の残余の酸塩化物に共有結合させて施され、前記親水性化合物は、(i)前記ポリアミド層に直接的に共有結合される少なくとも一つの反応性基であり、前記少なくとも一つの反応性基が少なくとも一つの1級アミンまたは2級アミンであり、(ii)少なくとも一つの親水性基であり、前記少なくとも一つの親水性基がヒドロキシ基、カルボニル基、トリアルコキシシラン基、アニオン基、3級アミノ基よりなる群から選ばれる少なくとも一つの親水性基であり、(iii)前記親水性化合物がポリアルキレンオキシド基を含んでいないものよりなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は選択的分離膜に係り、さらに詳しくは、耐汚れ性に優れた選択的分離膜に関する。
【背景技術】
【0002】
解離された物質は、種々タイプの選択的な分離膜を用いてその溶媒から分離可能であることが知られている。かかる選択的な膜は−気孔径の増加順に記述すると−逆浸透膜、限外ろ過膜及び精密ろ過膜よりなる。逆浸透膜の従来の用途の一つは、半塩水または海水の脱塩工程であり、このような脱塩工程は工業、農業、または家庭用に相対的に適した淡水または純水の大量供給を可能にする。逆浸透膜を用いた半塩水または海水の脱塩工程は、塩水から塩とは異なる溶解されたイオンまたは分子を文字通りにろ過させる工程であり、塩水を逆浸透膜に通過させて加圧することにより精製された水が分離膜を通過するのに対し、塩とは異なる溶解されたイオンまたは分子は分離膜を通過することができない。浸透圧は逆浸透工程中に必然的に発生し、このとき、原水の濃度が高いほど浸透圧がさらに大きくなるため、これを処理するためにはより高い圧力が必要となる。
【0003】
逆浸透膜が塩水及び海水を大量にて脱塩化させるのに商用されるためには、いくつかの取り備えるべき条件がある。その条件の一つは、高い塩排除率である。商用のための半塩水に対する逆浸透膜の塩排除率は、少なくとも97%以上であることが求められる。逆浸透膜の他の重要な性質としては、比較的に低い圧力下であっても膜を介して相対的に多量の水を通過させられる能力、すなわち、高流量特性がある。通常、膜の透過流量は、海水に対しては800psiの圧力下において10gallon/ft−day(gfd)以上、塩水に対しては220psi圧力下において15gfd以上であることが求められる。用途に応じて、塩排除率よりも高い透過流量の方が重要になる場合もあり、これとは逆に、塩排除率の方がさらに重要になる場合もある。
【0004】
逆浸透膜の通常のタイプの一つは、微細多孔性支持体及び前記微細多孔性支持体上に形成されたポリアミド薄膜よりなる複合膜である。通常、前記ポリアミド膜は、多官能性アミンと多官能性アシルハライドとの界面重合により形成される。
【0005】
本発明の明細書に参考として取り込まれるカドッテ(Cadotte)の米国特許第4、277、344号(1981年7月7日付登録)に従来の逆浸透複合膜の一例が示されている。前述の如き発明は、少なくとも2つの1級アミン置換体を含有する芳香族ポリアミンと少なくとも3つのアシルハライド置換体を有する芳香族のアシルハライドとの間の界面重合により得られる芳香族ポリアミド複合膜に関するものである。好適な具現例において、多孔性ポリスルホン支持体を水に溶解されたメタフェニレンジアミンによりコーティングした後、前記コーティングされた多孔性支持体から過剰のメタフェニレンジアミン溶液を除去し、前記コーティングされた支持体をフレオンTF溶媒(トリクロロトリフルオロエタン)に溶解されたトリメゾイルクロライド溶液により接触させる。このとき、界面重合反応のための接触時間は10秒であり、実質的な反応は1秒内に完了する。その結果として得られたポリスルホン/ポリアミド複合膜を空気上において乾燥する。
【0006】
カドッテの特許に示された膜は優れた透過流量と塩排除率を示しているものの、ポリアミド逆浸透複合膜の透過流量の増加及び塩排除率のさらなる向上のために種々の試みが行なわれてきている。また、一方では、膜の透過能の他に、膜の耐化学性を改善するための試みが行なわれてきている。これらの研究の大部分は、界面縮重合反応時に用いられる溶液に種々の添加剤を用いる方法が主流をなしている。
【0007】
例えば、本発明の明細書に参考として取り込まれるトマシュケ(Tomaschke)の米国特許第4、872、984号(1989年10月10日付登録)は、(a)(i)少なくとも2つのアミン官能基を有するモノマーであり、芳香族であるポリアミン反応物と、(ii)単官能基であり、モノマー性の(すなわち、重合可能な)アミン塩よりなる水溶液により微細多孔性支持体を塗布して、微細多孔性支持体上に水溶液層を形成するステップ、(b)多官能性アシルハライドまたはこれらの混合物を含有する本質的にモノマーであり、且つ、芳香族であるアミン−反応性反応物、すなわち、平均的に反応分子当たりに少なくとも2.2個のアシルハライド基を有する前記芳香族であるアミン−反応性反応物の有機溶媒溶液を前記水溶液層に接触させるステップ及び(c)前記ステップ(b)における生成物を60〜110℃の温度下で1〜10分間オーブン中で乾燥させて透水性膜を形成するステップを経て形成された芳香族ポリアミド複合膜を開示している。
【0008】
界面縮重合反応時に用いられる溶液に添加剤を添加して製膜を試みた特許の一例としては、チャウ(Chau)らの米国特許第4、983、291号(1991年1月8日付登録)、ヒロセ(Hirose)らの米国特許第5、576、057号(1996年11月19日付登録)、ヒロセ(Hirose)らの米国特許第5、614、099号(1997年3月25日付登録)、チャウ(Chau)らの米国特許第4、950、404号(1990年8月21日付登録)、トラン(Tran)らの米国特許第4、830、885号(1989年5月16日付登録)、クー(Koo)らの米国特許第6、245、234号(2001年6月12日付登録)、クー(Koo)らの米国特許第6、063、278号(2000年5月16日付登録)、クー(Koo)らの米国特許第6、015、495号(2000年1月18日付登録)があり、本発明の参考資料として記載する。
【0009】
別の例として、本発明に参考資料として取り込まれている池田(Ikeda)の米国特許第5、178、766号(1993年1月12日付登録)によれば、逆浸透分離膜のポリアミド層の表面に4級窒素原子を含有する化合物を共有結合させることにより、ポリアミド逆浸透分離膜の塩除去率の物性を高めていることが報告されている。前記4級窒素原子を含有する化合物は、化合物に存在する反応性基を介してポリアミド層に結合するが、前記反応性基としては、エポキシ基、アジリジン基、エピスルフィド基、ハロゲン化アルキル基、アミノ基、カルボキシル基、ハロゲン化カルボニル基またはヒドロキシ基を含む。
【0010】
前記種々のポリアミド逆浸透複合膜のほとんどの問題点は、汚染である。すなわち、分離膜に好ましくない溶質等が吸着されることにより分離膜における透過流量が減少してしまう。通常、汚染は、分離膜のポリアミド膜とろ過される溶液に存在する溶質との間の疏水性−疏水性及び/またはイオン相互作用により発生する。即座で気づかれる汚染は、分離膜に対する透過流量の性能減少を招くだけではなく、透過流量の減少中に現れる透過流量の変化に対する補正のために、運転圧力の操作を頻繁に変更しなければならないため、好ましくない。また、汚染は頻繁な分離膜の洗浄を必要とする。
【0011】
汚染の問題を解消するための一つの試みは、本発明に参考資料として取り込まれているハチスカ(Hachisuka)の米国特許第6、177、011号(2001年1月23日付登録)に示されている。ハチスカらの研究によれば、分離膜のポリアミド膜を電気的に中性を帯びる有機物質及びノニオン性親水性基を有する高分子よりなる群から選ばれる少なくとも一つの有機物質によりコーティングすることにより汚染を低減することができるということが報告されている。前記有機物質または高分子は、好ましくは、ポリビニールアルコールを有する。
【0012】
汚染の問題を解消するための他の試みは、本発明に参考資料として取り込まれているマイコルス(Mickols)の米国特許第6、280、853号(2001年8月28日付登録)に記載されている。マイコルスらの研究によれば、耐汚れ性が向上した複合膜を開示しているが、前記複合膜は、多孔性支持体及び前記グラフトされたポリアルキレンオキシドを含有する架橋されたポリアミドの表面よりなる。
【0013】
汚染の問題を解消するためのさらに他の試みとして、本発明に参考資料として取り込まれているクー(Koo)の米国特許第6、913、694号(2005年7月5日付登録)があるが、クー(Koo)らは、高い耐汚れ性を有する選択的分離膜を開示している。具体的に、選択的分離膜は、分離膜のポリアミド層に親水性コーティングが施されたポリアミド逆浸透分離膜であり、前記親水性コーティングが、(i)少なくとも2つのエポキシ基よりなる多官能性エポキシ化合物を定量だけ分離膜に適用し、(ii)次いで、前記多官能性エポキシ化合物を架橋して水不溶性の高分子を得ることにより施される。
【特許文献1】米国特許第4、277、344号
【特許文献2】米国特許第4、872、984号
【特許文献3】米国特許第4、983、291号
【特許文献4】米国特許第5、576、057号
【特許文献5】米国特許第5、614、099号
【特許文献6】米国特許第4、950、404号
【特許文献7】米国特許第4、830、885号
【特許文献8】米国特許第6、245、234号
【特許文献9】米国特許第6、063、278号
【特許文献10】米国特許第6、015、495号
【特許文献11】米国特許第5、178、766号
【特許文献12】米国特許第6、177、011号
【特許文献13】米国特許第6、280、853号
【特許文献14】米国特許第6、913、694号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、新規な耐汚れ性を有する選択的分離膜を提供することである。
【0015】
本発明の他の目的は、高い耐汚れ性を有する新規なポリアミド逆浸透複合膜を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、ポリアミド逆浸透複合膜の耐汚れ性が前記分離膜に親水性コーティング処理を施すことにより格段に向上するという期待以上の見出しから案出される。前記親水性コーティングは、親水性化合物をポリアミド分離膜の残余の酸塩化物に共有結合させることにより施される。前記親水性化合物は、(i)前記ポリアミド層に直接的に共有結合される少なくとも一つの反応性基であり、前記少なくとも一つの反応性基が少なくとも一つの1級アミンまたは2級アミンであり、(ii)少なくとも一つの親水性基であり、前記少なくとも一つの親水性基がヒドロキシ基、カルボニル基、トリアルコキシシラン基、アニオン基、3級アミノ基よりなる群から選ばれる少なくとも一つの親水性基であり、(iii)前記親水性化合物がポリアルキレンオキシド基を含んでいないものよりなる。
【0017】
本発明の好適な具現によれば、前記少なくとも一つの親水性基は、複数のヒドロキシ基よりなる。このような親水性化合物の一例としては、4、8−ジオキサ−2、6、10−トリヒドロキシ−1、11−ウンデカンジアミン、4、7−ジオキサ−2、9−ジヒドロキシ−1、10−デカンジアミン、2、3−ジヒドロキシ−1、4−ブタンジアミン、3−アミノ−1、2−プロパンジオール、グルカミン、N−メチルグルカミン及びトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、アンモニアまたはその誘導体とグリセロールトリグリシジルエーテルとの間の反応生成物、アンモニアまたはその誘導体と1、1、1−トリス(ヒドロキシメチル)エタントリグリシジルエーテルとの間の反応生成物及びアンモニアまたはその誘導体とソルビトールテトラグリシジルエーテルとの間の反応生成物、アンモニアまたはその誘導体とヒドロキノングリシジルエーテルとの間の反応生成物、アンモニアまたはその誘導体とレゾルシノールジグリシジルエーテルとの間の反応生成物及びアンモニアまたはその誘導体とビスフェノールAジグリシジルエーテルとの間の反応生成物を含む。
【0018】
本発明の他の好適な具現によれば、前記少なくとも一つの親水性基は単一のヒドロキシ基よりなり、前記親水性基を含有する化合物は、好ましくは、1、3−ジアミノ−2−プロパノール、エタノールアミン、ジエタノールアミン、3−アミノ−1−プロパノール、4−アミノ−1−ブタノール、2−アミノ−1−ブタノールよりなる群から選ばれる。
【0019】
本発明のさらに他の好適な具現によれば、前記少なくとも一つの親水性基は、1またはそれ以上の(アミド基などの)カルボニル基よりなり、前記親水性基を含有する化合物は、好ましくは、アミノアセトアルデヒドジメチルアセタル、α−アミノブチロラクトン、3−アミノベンズアミド、4−アミノベンズアミド及びN−(3−アミノプロピル)−2−ピロリジノンよりなる群から選ばれる。
【0020】
本発明のさらに他の好適な具現によれば、前記少なくとも一つの親水性基は、1またはそれ以上のトリアルコキシシラン基よりなり、前記親水性基を含有する化合物は、好ましくは、(3−アミノプロピル)トリエトキシシラン及び(3−アミノプロピル)トリメトキシシランよりなる群から選ばれる。
【0021】
本発明のさらに他の好適な具現によれば、前記少なくとも一つの親水性基は、1またはそれ以上のアニオン基よりなり、前記親水性基を含有する化合物は、好ましくは、グリシン、タウリン、3−アミノ−1−プロペンスルホン酸、4−アミノ−1−ブテンスルホン酸、2−アミノエチルハイドロジェンスルファート、3−アミノベンゼンスルホン酸、3−アミノ−4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸、4−アミノベンゼンスルホン酸、3−アミノプロピルホスフォン酸、3−アミノ−4−ヒドロキシ安息香酸、4−アミノ−3−ヒドロキシ安息香酸、6−アミノヘキセン酸、3−アミノブタン酸、4−アミノ−2−ヒドロキシ酪酸、4−アミノ酪酸及びグルタミン酸よりなる群から選ばれる。
【0022】
本発明のさらに他の好適な具現によれば、前記少なくとも一つの親水性基は、1またはそれ以上の3級アミノ基よりなり、前記親水性基を含有する化合物は、好ましくは、3−(ジメチルアミノ)プロピルアミン、3−(ジエチルアミノ)プロピルアミン、4−(2−アミノエチル)モルフォリン、1−(2−アミノエチル)ピペラジン、3、3’−ジアミノ−N−メチルジプロピルアミン及び1−(3−アミノプロピル)イミダゾールよりなる群から選ばれるものである。
【0023】
本発明の好適な具現によれば、前記少なくとも一つの親水性基は、前記種々の親水性基の組み合わせよりなる。
【0024】
また、本発明は、前記高い耐汚れ性コーティングの施されたポリアミド逆浸透複合膜の製造方法を提供する。
【0025】
さらに、本発明は、コーティングされた分離膜の製造方法に加えて、高い耐汚れ性コーティングの施された精密ろ過膜(micro filtration membranes)及び限外ろ過膜(ultra filtration membranes)を提供する。
【0026】
本発明のさらなる目的、特徴、構成及び効果は以下の本発明の詳細な説明において詳述される。本発明の特定の具現はこの技術分野において通常の知識を有する者が実施可能な程度に具体化されなければならず、本発明が請求しようとする範囲から逸脱しない限り、他の具現の一例が構造的または変形可能であることは当業者にとって明らかであろう。よって、下記の詳細な説明はこれに限定するものではなく、本発明の範囲は特許請求の範囲により定まるべきである。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、多孔性支持体と、前記多孔性支持体上のポリアミド層と、前記ポリアミド層上に施された親水性コーティングと、からなるが、親水性化合物がポリアミド分離膜の残余の酸塩化物に共有結合して親水性コーティング処理を施すことにより、耐汚れ性を格段に高めることができる。
【0028】
また、本発明によれば、高い耐汚れ性コーティングの施された精密ろ過膜及び限外ろ過膜を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
上述のように、本発明は、ポリアミド逆浸透複合膜、精密ろ過膜または限外ろ過膜のような選択的分離膜の耐汚れ性が、後述する如き親水性コーティングを分離膜に施すことにより格段に増加するという案外な見出しに基づくものである。
【0030】
本発明による親水性コーティングの施されたポリアミド逆浸透複合膜は、実質的に多孔性支持体及び前記多孔性支持体上に形成されたポリアミド層よりなる任意のポリアミド逆浸透複合膜であってもよい。
【0031】
以上において、多孔性支持体とは、典型的な微細多孔性支持体である。特に、使用される微細多孔性支持体は本発明に限定されないが、その上に形成された超薄膜の分離膜に接続されて妨害されるのに十分な程度に大きくないながらも、透過水が透過するのに十分なサイズの気孔を有する通常の高分子物質である。前記支持体の気孔径は、通常1〜500nmであり、500nmを超える気孔の場合には、超薄膜が気孔に陥没されるため、所望の平らなシート状構造を得るのに妨げとなる。本発明に有効に使用可能な微細多孔性支持体は、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリアクリロニトリル、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリビニリデンフルオライドなどの種々のハロゲン化高分子から製造されたものを含む。これら以外の微細多孔性支持体の材質は、本発明に参考資料として取り込まれている特許から見出すことができる。
【0032】
微細多孔性支持体の厚さは、本発明においては特に制限はないが、通常、微細多孔性支持体の厚さは25〜125μm、好ましくは、40〜75μmである。
【0033】
本発明によるポリアミドフィルムは、通常、多官能性アミン反応物とアミン−反応性反応物との間の界面反応生成物である。本発明において用いられる多官能性アミン反応物は、少なくとも2つのアミン官能基、さらに好ましくは、2〜3個のアミン官能基を有する単分子性アミンであることが好ましい。前記アミン官能基は、典型的に、1級または2級アミン官能基であり、好ましくは、1級アミン官能基である。本発明において用いられる特定のポリアミンは特に限定されないが、単一のポリアミンまたはその組み合せであってもよい。ポリアミンの好ましい一例としては、メタフェニレンジアミン及びパラフェニレンジアミン及びこれらの置換誘導体などの芳香族1級ジアミンを含み、前記置換体は、メチル基またはエチル基などのアルキル基、メトキシ基またはエトキシ基などのアルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシ基またはハロゲン原子を含む。ポリアミンの好ましい他例としては、1、3−プロパンジアミン及びN−アルキルまたはアリール置換体を有する、あるいは、有さないものとその類似種、ピペラジン及びそのアルキル誘導体などの環状脂肪族1級ジアミン、環状脂肪族2級ジアミン、N、N’−ジメチル−1、3−フェニレンジアミン、N、N’−ジフェニルエチレンジアミン、ベンジジン、キシレンジアミンとその誘導体などの芳香族2級アミンを含む。
【0034】
これらに加えて、使用可能な好ましいポリアミンは、本発明に参考資料として取り込まれている特許から見出すことができる。本発明において使用可能な好ましいポリアミンは、芳香族1級ジアミン、より好ましくは、m−フェニレンジアミン及びピペラジンである(多官能性アミン反応物としてのピペラジンから製造されたポリアミド逆浸透複合膜はナノろ過膜であって、公知のポリアミド逆浸透複合膜の下位分類に相当するものである。ナノろ過膜は、他のポリアミド逆浸透複合膜よりもさらに大きな「気孔」を有し、2価塩と300以上の分子量を有する有機物質に対して高い排除率を示すのに対し、1価塩に対して低い排除率を示している。ナノろ過膜は、通常、水からカルシウム、マグネシウムを除去するために、すなわち、硬水を軟水にするために用いられ、且つ、植物葉の腐植から腐植酸などの天然有機物質を水から除去するために用いられる。腐植酸は、pH6以上において陰電荷を帯び、分離膜の表面との疎水的な相互作用により分離膜に吸着されうる。)。
【0035】
多官能性アミン反応物は、通常、水溶液中に0.1〜20重量%、好ましくは、0.5〜8重量%にて存在する。前記水溶液のpHの範囲は7〜13である。pHは、溶液中に約0.001〜5重量%の塩基性酸受容体を加えることにより調節することができる。前記塩基性酸受容体の一例としては、ヒドロキシド、カルボキシラート、カーボネート、ボレート、アルカリ金属のフォスフェート、トリアルキルアミンを含む。
【0036】
前記多官能性アミン反応物(好ましくは、前記塩基性酸受容体)に加えて、水溶液は、本発明に参考資料として取り込まれている特許に記載の添加剤をさらに含有していてもよい。前記添加剤の例としては、極性溶媒、アミン塩及び多官能性3級アミン(強酸の存否に応じて)を含む。
【0037】
本発明において用いられる多官能性アミン−反応性反応物は、多官能性アシルハライド、多官能性スルホニルハライド及び多官能性イソシアネートよりなる群から選ばれる1またはそれ以上の化合物である。好ましくは、多官能性アミン−反応性反応物は、本質的に、単量体、芳香族、多官能性のアシルハライドであり、その一例としては、トリメゾイルクロライド(TMC)、イソフタロイルクロライド(IPC)、テレフタロイルクロライド(TPC)及びその混合物などのジまたはトリカルボン酸ハライドを含む。多官能性アミン−反応性反応物の他例は、本発明に参考資料として取り込まれている特許に記載されている。
【0038】
前記多官能性アミン−反応性反応物は、通常、有機溶媒溶液に存在し、有機溶媒溶液の溶媒は水と混合されないいずれかの有機溶液から構成される。前記多官能性アミン−反応性反応物は、通常、有機溶液中に0.005〜5重量%、好ましくは、0.01〜0.5重量%にて存在する。前記有機溶液の一例としては、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、炭素数8〜12のアルカン、及びフレオン類などのハロゲン化炭化水素を含む。前記有機溶液の他例は、本発明に参考資料として取り込まれている特許から見出すことができる。その好ましい有機溶媒は、炭素数8〜12のアルカン及びその混合物である。ISOPAR(登録商標)溶媒(エクソン社製)は、前記炭素数8〜12のアルカンの混合物である。
【0039】
本発明による親水性コーティングは、親水性物質をポリアミド分離膜の残余の酸塩化物に共有結合させることにより施される。前記親水性物質は、(i)前記ポリアミド層に直接的に共有結合される少なくとも一つの反応性基であり、前記少なくとも一つの反応性基が少なくとも一つの1級アミンまたは2級アミンであり、(ii)少なくとも一つの親水性基であり、前記少なくとも一つの親水性基がヒドロキシ基、カルボニル基、トリアルコキシシラン基、アニオン基、3級アミノ基よりなる群から選ばれる少なくとも一つの親水性基であり、(iii)前記親水性化合物がポリアルキレンオキシド基を含んでいないものよりなる。
【0040】
本発明の好適な具現によれば、前記少なくとも1以上の親水性基は、複数のヒドロキシ基よりなる。前記化合物は、常用品を購入することにより得てもよく、あるいは、アンモニアまたはそのアルキル誘導体とエポキシ化合物との反応により得てもよい。前記線状構造のアミノ化合物は、好ましくは、下記式で表される:
RNH−CH2−CH(OH)−(CH2O)A−(CH2)−[CH(OH)]B−(CH2)Y−(O−CH2)C−CH(OH)−CH2−(NHR)D
式中、Rは水素またはアルキルまたは炭素数1〜6のアルケニル基であり(Rは、水素、メチルまたはエチルが好適に挙げられる。)、前記X及びYのそれぞれは互いに独立して0〜6の整数であり、前記(CH及び(CHは線状、分枝状または環状のアルキルまたはアルケニルであり、前記A、C及びDのそれぞれは互いに独立して0または1であり、前記Bは0〜100の整数である。前記親水性化合物の一例としては、4、8−ジオキサ−2、6、10−トリヒドロキシ−1、11−ウンデカンジアミン、4、7−ジオキサ−2、9−ジヒドロキシ−1、10−デカンジアミン、2、3−ジヒドロキシ−1、4−ブタンジアミン、3−アミノ−1、2−プロパンジオール、グルカミン、N−メチルグルカミン及びトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを含む。
【0041】
前記アミノ化合物は、選択的に分枝状構造を有するものであってもよい。このような化合物はアンモニアまたはその誘導体と3つまたはそれ以上のエポキシ基を有する適切なエポキシ化合物との間の反応により得ることができる。前記親水性化合物の一例としては、アンモニアまたはその誘導体とグリセロールトリグリシジルエーテルとの間の反応生成物、アンモニアまたはその誘導体と1、1、1−トリス(ヒドロキシメチル)エタントリグリシジルエーテルとの間の反応生成物及びアンモニアまたはその誘導体とソルビトールテトラグリシジルエーテルとの間の反応生成物を含む。
【0042】
前記アミノ化合物は、芳香族の一部を有していてもよい。前記親水性基を含有する化合物としては、アンモニアまたはその誘導体とヒドロキノングリシジルエーテルとの間の反応生成物、アンモニアまたはその誘導体とレゾルシノールジグリシジルエーテルとの間の反応生成物及びアンモニアまたはその誘導体とビスフェノールAジグリシジルエーテルとの間の反応生成物を含む。
【0043】
本発明の他の好適な具現によれば、前記少なくとも一つの親水性基は、単一のヒドロキシ基よりなり、前記親水性基を含有する化合物は、好ましくは、1、3−ジアミノ−2−プロパノール、エタノールアミン、ジエタノールアミン、3−アミノ−1−プロパノール、4−アミノ−1−ブタノール、2−アミノ−1−ブタノールよりなる群から選ばれる。
【0044】
本発明の他の好適な具現によれば、前記少なくとも一つの親水性基は、1またはそれ以上の(アミド基などの)カルボニル基よりなり、前記親水性基を含有する化合物が、好ましくは、アミノアセトアルデヒドジメチルアセタル、α−アミノブチロラクトン、3−アミノベンズアミド、4−アミノベンズアミド及びN−(3−アミノプロピル)−2−ピロリジノンよりなる群から選ばれる。
【0045】
本発明のさらに他の好適な具現によれば、前記少なくとも一つの親水性基は、1またはそれ以上のトリアルコキシシラン基よりなり、前記親水性基を含有する化合物は、好ましくは、(3−アミノプロピル)トリエトキシシラン及び(3−アミノプロピル)トリメトキシシランよりなる群から選ばれる。
【0046】
本発明のさらに他の好適な具現によれば、前記少なくとも一つの親水性基は1またはそれ以上のアニオン基よりなり、前記親水性基を含有する化合物は、好ましくは、グリシン、タウリン、3−アミノ−1−プロペンスルホン酸、4−アミノ−1−ブテンスルホン酸、2−アミノエチルハイドロジェンスルファート、3−アミノベンゼンスルホン酸、3−アミノ−4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸、4−アミノベンゼンスルホン酸、3−アミノプロピルホスフォン酸、3−アミノ−4−ヒドロキシ安息香酸、4−アミノ−3−ヒドロキシ安息香酸、6−アミノヘキセン酸、3−アミノブタン酸、4−アミノ−2−ヒドロキシ酪酸、4−アミノ酪酸及びグルタミン酸よりなる群から選ばれる。
【0047】
本発明のさらに他の好適な具現によれば、前記少なくとも一つの親水性基は、1またはそれ以上の3級アミノ基よりなり、前記親水性基を含有する化合物の好ましい例としては、3−(ジメチルアミノ)プロピルアミン、3−(ジエチルアミノ)プロピルアミン、4−(2−アミノエチル)モルフォリン、1−(2−アミノエチル)ピペラジン、3、3’−ジアミノ−N−メチルジプロピルアミン及び1−(3−アミノプロピル)イミダゾールよりなる群から選ばれるものである。
【0048】
本発明の好適な具現によれば、前記少なくとも一つの親水性基は、前記種々の親水性基の組み合わせよりなる。
【0049】
前記親水性化合物は、前記ポリアミド分離膜を前記親水性化合物含有水溶液により接触することにより、ポリアミド分離膜の残余酸塩化物に共有結合される。
【0050】
前記親水性基を含有する化合物は、ポリアミド分離膜を親水性化合物よりなる水溶液により接触させることによりポリアミド層の残余の酸塩化物と共有結合される。前記親水性基を含有する化合物は、水溶液中に0.001〜8重量%にて存在し、より好ましくは、0.01〜4重量%にて存在する。
【0051】
本発明による優れた耐汚れ性を有するポリアミド逆浸透複合膜は、下記のようにして製造することができる:まず、前記多孔性支持体をハンドコーティングまたは連続運転を用いて上述の水溶液によりコーティングし、過剰の溶液をローリング、スポンジ、エアーナイフ、またはその他の適切な手段を用いて支持体から除去する。次いで、前記コーティングされた支持体物質を含浸または吹付けにより上述の有機溶媒溶液と接触させ、5秒〜10分間、好ましくは、20秒〜4分間放置する。かくして得られた分離膜を50℃以下、好ましくは、常温下で1分間乾燥する。本発明による親水性コーティングは、ポリアミド分離膜を前記親水性化合物含有水溶液により5秒〜10分、好ましくは、20秒〜4分間常温から95℃の温度条件下で含浸または吹付けにより接触させることによりポリアミド分離膜上に施され、次いで、前記親水性化合物が1級または2級アミノ基とポリアミド分離膜の残余の酸塩化物との間の反応によりポリアミド分離膜に共有結合される。これにより得られた分離膜を0.2重量%の炭酸ナトリウムなどの塩基性水溶液により1〜30分間常温から95℃の温度条件下で水洗いした後、蒸溜水により水洗いする。
【0052】
3級アミノ基を有する親水性化合物から得られる本発明による分離膜は、全体的に陽電荷を与える。その結果、前記コーティングされた分離膜は陽電荷を帯びる溶質に対して優れた耐汚れ性を与える。このため、前記コーティングされた分離膜は、例えば、カチオン性界面活性剤など疏水性を帯びるカチオン性化合物を含有する水を処理するのに最適なものとなる。これとは逆に、アニオン性親水性基を有する親水性化合物から製造された分離膜は、全体的に陰電荷を与える。その結果、前記コーティングされた分離膜は、例えば、陰電荷溶質を含有する水を処理するのに最適なものとなる。これに対し、ヒドロキシ基、アミド基及びカルボニル基などの電荷を帯びない親水性基を有する親水性化合物から得られた分離膜コーティングによれば、より中性的な電荷を帯びる分離膜を得ることができる。結論的に、このようにしてコーティングされた分離膜は、陽電荷または陰電荷を帯びる物質を含有する水を処理するのにより普遍的に適用することができる。いずれにせよ、以上の結果から、分離膜コーティングの電荷は、種々に荷電された、または未荷電の溶質に対して優れた耐汚れ性を発現させる目的で調節することができる。
【0053】
以上述べたように、本発明による親水性コーティングは、ポリアミド逆浸透複合膜を用いるという用途に制限されることなく、精密ろ過膜と限外ろ過膜などの伝統的な微細多孔性分離膜に直接的に適用することができる。前記分離膜を指標水処理、蛋白質分離及び食品と飲料工程に用いることにより、蛋白質、巨大分子及びコロイドによる膜の汚れを低減することができる。伝統的な精密ろ過膜は、通常、0.1〜10μmの気孔径を有する上述の如き微細多孔性支持体である。伝統的な限外ろ過膜は、通常、0.001〜0.05μmの気孔径を有する上述の如き微細多孔性支持体である。
【0054】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳述する。
【0055】
しかしながら、これらの実施例は本発明の具体的に説明するためのものに過ぎず、本発明の範囲がこれらの実施例に何ら限定されることはない。
【0056】
<実施例1>
裏面の不織布を含めて140μm厚の多孔性ポリスルホン支持体を2重量%のメタフェニレンジアミン(MPD)と0.2重量%の2−エチル−1、3−ヘキサンジオールを含む水溶液に40秒間浸漬してから取り出し、次いで、支持体から過剰の水溶液を除去した。この後、前記コーティングされた支持体をISOPAR(登録商標)溶媒(エクソン社製)を用いてトリメゾイルクロライド(TMC)0.1重量%を含有する溶液に1分間浸漬してから取り出し、支持体から過剰の有機溶液を除去した。このようにして得られた複合膜を1分間常温下で乾燥させた後、4、8−ジオキサ−2、6、10−トリヒドロキシ−1、11−ウンデカンジアミン(DOTHUA)0.05重量%を含有する水溶液に常温下、2分間浸漬した。このようにして得られた分離膜を0.2重量%の炭酸ナトリウム水溶液に常温下、30分間水洗いした後、蒸溜水により水洗いした。
【0057】
前記分離膜の初期物性は、225psiと25℃という圧力及び温度条件下で、2、000ppmのNaClを含有する水溶液を前記分離膜に通過させるという交差流れ方式により測定した。このとき、塩排除率は98.5%であり、透過流量は24.5gfdであった。分離膜の耐汚れ性は、pH6.4の原水に上記と同様な条件下で30ppmの脱脂粉乳をさらに加えた後に評価した。(水溶液中に、脱脂粉乳の蛋白質は、蛋白質分子等とコロイド、すなわち、蛋白質分子等の凝集体として存在し、分離膜の表面との疎水的な相互作用により分離膜に吸着されうる)。前記分離膜に4時間をかけて原水を循環させた後における塩排除率は99.3%であり、透過流量は23.7gfdであった。
【0058】
<実施例2>
実施例1のDOTHUAに代えて、4、7−ジオキサ−2、9−ジヒドロキシ−1、10−デカンジアミン(DODHDA)を用いた以外は、実施例1の方法と同様にした。前記実施例1と同じ条件下で行われた前記分離膜の物性の試験結果を下記表1に示す。
【0059】
<実施例3>
実施例1のDOTHUAに代えて、3−アミノ−1、2−プロパンジオール(APDL)を用いた以外は、実施例1の方法と同様にした。前記実施例1と同じ条件下で行われた前記分離膜の物性の試験結果を下記表1に示す。
【0060】
<実施例4>
実施例1のDOTHUAに代えて、N−メチルグルカミン(MGLU)を用いた以外は、実施例1の方法と同様にした。前記実施例1と同じ条件下で行われた前記分離膜の物性の試験結果を下記表1に示す。
【0061】
<実施例5>
実施例1のDOTHUAに代えて、1、3−ジアミノ−2−プロパノール(DAP)を用いた以外は、実施例1の方法と同様にした。前記実施例1と同じ条件下で行われた前記分離膜の物性の試験結果を下記表1に示す。
【0062】
<実施例6>
実施例1のDOTHUAに代えて、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(THMA)を用いた以外は、実施例1の方法と同様にした。前記実施例1と同じ条件下で行われた前記分離膜の物性の試験結果を下記表1に示す。
【0063】
<実施例7>
実施例1のDOTHUAに代えて、エタノールアミン(EA)を用いた以外は、実施例1の方法と同様にした。前記実施例1と同じ条件下で行われた前記分離膜の物性の試験結果を下記表1に示す。
【0064】
<実施例8>
実施例1のDOTHUAに代えて、ジエタノールアミン(DEA)を用いた以外は、実施例1の方法と同様にした。前記実施例1と同じ条件下で行われた前記分離膜の物性の試験結果を下記表1に示す。
【0065】
<実施例9>
実施例1のDOTHUAに代えて、3−アミノ−1−プロパノール(AP)を用いた以外は、実施例1の方法と同様にした。前記実施例1と同じ条件下で行われた前記分離膜の物性の試験結果を下記表1に示す。
【0066】
<実施例10>
実施例1のDOTHUAに代えて、アミノアセトアルデヒドジメチルアセタル(AADA)を用いた以外は、実施例1の方法と同様にした。前記実施例1と同じ条件下で行われた前記分離膜の物性の試験結果を下記表1に示す。
【0067】
<実施例11>
実施例1のDOTHUAに代えて、(3−アミノプロピル)トリメトキシシラン(APTMS)を用いた以外は、実施例1の方法と同様にした。前記実施例1と同じ条件下で行われた前記分離膜の物性の試験結果を下記表1に示す。
【0068】
<実施例12>
実施例1の0.05重量%のDOTHUAに代えて、0.1重量%グリシンと0.1重量%の炭酸ナトリウムを用いた以外は、実施例1の方法と同様にした。前記実施例1と同じ条件下で行われた前記分離膜の物性の試験結果を下記表1に示す。
【0069】
<実施例13>
実施例1の0.05重量%のDOTHUAに代えて、0.1重量%タウリンと0.1重量%の炭酸ナトリウムを用いた以外は、実施例1の方法と同様にした。前記実施例1と同じ条件下で行われた前記分離膜の物性の試験結果を下記表1に示す。
【0070】
<実施例14>
実施例1の0.05重量%のDOTHUAに代えて、0.1重量%の3−アミノ−1−プロパンスルホン酸(APSA)と0.1重量%の炭酸ナトリウムを用いた以外は、実施例1の方法と同様にした。前記実施例1と同じ条件下で行われた前記分離膜の物性の試験結果を下記表1に示す。
【0071】
<実施例15>
実施例1の0.05重量%のDOTHUAに代えて、0.1重量%の3−アミノベンゼンスルホン酸(ABSA)と0.1重量%の炭酸ナトリウムを用いた以外は、実施例1の方法と同様にした。前記実施例1と同じ条件下で行われた前記分離膜の物性の試験結果を下記表1に示す。
【0072】
<実施例16>
実施例1の0.05重量%のDOTHUAに代えて、0.1重量%の2−アミノエチルハイドロジェンスルファート(AEHS)と0.1重量%の炭酸ナトリウムを用いた以外は、実施例1の方法と同様にした。前記実施例1と同じ条件下で行われた前記分離膜の物性の試験結果を下記表1に示す。
【0073】
<実施例17>
実施例1のDOTHUAに代えて、3−(ジメチルアミノ)プロピルアミン(DMAP)を用いた以外は、実施例1の方法と同様にした。前記実施例1と同じ条件下で行われた前記分離膜の物性の試験結果を下記表1に示す。
【0074】
<比較例1>
複合膜に親水性コーティングを施さなかった以外は、前記実施例1の方法と同様にした。このとき、初期の塩排除率は99%であり、初期の透過流量は28gfdであった。なお、実施例1と同じ汚染条件下における塩排除率は99.4%であり、透過流量は21.5gfdであった。
【0075】
<比較例2>
実施例1のDOTHUAに代えて、4、7、10−トリオキサ−1、13−トリデカンジアミン(TOTDA)を用いた以外は、実施例1の方法と同様にした。(TOTDAは、ヒドロキシ基を有さないジアミノポリアルキレンオキシド化合物である)。前記実施例1と同じ条件下で行われた前記分離膜の物性の試験結果を下記表1に示す。
【0076】
【表1】

【0077】
上記表1に示すように、実施例1〜17のコーティングされた分離膜は、いずれも未コーティングの分離膜(比較例1)に比べて、汚染源(30ppmの脱脂粉乳)の存在下における透過流量の低減がかなり僅かであった。上述のように、長期間に亘っての透過流量の一貫性は、運転圧力を随時変えるべき必要性と汚染源の除去のための分離膜の洗浄の必要性が生じることを未然に防ぐことができて極めて好ましいため、上記の結果は有効である。本発明の場合、最終的な透過流量は、単に使用後4時間経過後に測定されているが、前記分離膜はかなり長時間に亘って連続して使用することが可能であると予想される。このため、上述の如き最終的な透過流量値は、初期の透過流量値の方よりも、個々の分離膜の使用寿命に対して透過流量特性をはるかによく代表するものとなる。
【0078】
また、4時間使用後に親水性コーティングの施された本発明による分離膜は、洗浄を行う場合、それぞれの分離膜の透過流量は、概ね初期の透過流量に回復されるのに対し、親水性コーティングの施されていない分離膜は、4時間使用後に洗浄する場合に、初期の透過流量の約85%程度しか回復されない。
【0079】
また、実施例1〜17のコーティングされた分離膜は、いずれも比較例2のコーティングされた分離膜と比較したとき、初期と汚染源の存在下との両方の場合において透過流量が向上している。
【0080】
<実施例18>
実施例1、3、12、17及び比較例1の分離膜に対し、前記実施例1に記載の方法と同様にして脱脂粉乳の存在下における透過流量の減少と腐植酸の存在下における透過流量の減少を測定し、その測定結果を下記表2に示す。
【0081】
【表2】

【0082】
以上から明らかなように、アニオン基を有するアミノ化合物によりコーティングされた分離膜(実施例12)は、(pH6.4において僅かな陽電荷を有しうる)脱脂粉乳の存在下における透過流量に比べて、(陰電荷を帯びる)腐植酸の存在下における透過流量の減少率の方がかなり低下している。これに対し、pH7.5以下において僅かな両電荷を示す3級アミノ基を有するアミノ化合物によりコーティングされた分離膜(実施例17)は、これとは反対の結果を示している。これは、(いずれも陰電荷によりコーティングされた)実施例の分離膜が他のコーティングされた13乃至16分離膜よりも大きな透過流量の減少率を示す理由を説明するのに一助となる。(また、これは、ポリアミド分離膜そのものが陰電荷を帯びるので、電荷反発力によりアミノ化合物とポリアミド分離膜との間の反応性が減少可能であることを意味する。)
【0083】
<実施例19>
実施例1、5及び比較例1の分離膜に対し、前記実施例1に記載の方法と同様にして、陽電荷を有する、汚染源となる30ppmのドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド(DTAB)の存在下における透過流量の減少を測定し、その測定結果を下記表3に示す。
【0084】
【表3】

【0085】
以上から明らかなように、1つまたはそれ以上のヒドロキシ基を有するアミノ化合物によりコーティングされた分離膜(実施例1及び5)は、未コーティングの分離膜(比較例1)に比べて、DTAB存在下における透過流量の減少率がかなり向上している。
【0086】
本発明によれば、多孔性支持体と、前記多孔性支持体上のポリアミド層と、前記ポリアミド層上に施された親水性コーティングと、からなるが、親水性化合物がポリアミド分離膜の残余の酸塩化物に共有結合して親水性コーティング処理を施すことにより、耐汚れ性を格段に高めることができる。
【0087】
以上、実施例を挙げて本発明は詳細に説明したが、本発明が請求しようとする範囲内から逸脱しない限り、当業者であれば、本発明に種々の変形及び修正が加えられることは明らかであり、これらの変形及び修正もまた本発明の範囲に属するものであることは言うまでもない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)多孔性支持体と、
(b)前記多孔性支持体上のポリアミド層と、
(c)前記ポリアミド層上に施された親水性コーティングと、からなり、前記親水性コーティングが親水性化合物により施され、前記親水性化合物が(i)前記ポリアミド層に直接的に共有結合される少なくとも一つの反応性基であり、前記少なくとも一つの反応性基が少なくとも一つの1級アミンまたは2級アミンであり、(ii)少なくとも一つの親水性基であり、前記少なくとも一つの親水性基がヒドロキシ基、カルボニル基、トリアルコキシシラン基、アニオン基、3級アミノ基よりなる群から選ばれる少なくとも一つの親水性基であり、(iii)前記親水性化合物がポリアルキレンオキシド基を含んでいないものよりなることを特徴とするポリアミド逆浸透複合膜。
【請求項2】
前記少なくとも一つの親水性基は、ヒドロキシ基よりなるものであることを特徴とする請求項1に記載のポリアミド逆浸透複合膜。
【請求項3】
前記少なくとも一つの親水性基は、単一のヒドロキシ基であることを特徴とする請求項2に記載のポリアミド逆浸透複合膜。
【請求項4】
前記親水性基を含有する化合物は、1、3−ジアミノ−2−プロパノール、エタノールアミン、ジエタノールアミン、3−アミノ−1−プロパノール、4−アミノ−1−ブタノール及び2−アミノ−1−ブタノールよりなる群から選ばれるものであることを特徴とする請求項3に記載のポリアミド逆浸透複合膜。
【請求項5】
前記少なくとも一つの親水性基は、複数のヒドロキシ基よりなることを特徴とする請求項2に記載のポリアミド逆浸透複合膜。
【請求項6】
前記親水性基は、下記式で表される線状構造を有することを特徴とする請求項5に記載のポリアミド逆浸透複合膜。
RNH-CH2-CH(OH)-(CH2O)A-(CH2)-[CH(OH)]B-(CH2)Y-(O-CH2)C-CH(OH)-CH2-(NHR)D
式中、Rは水素またはアルキルまたは炭素数1〜6のアルケニル基であり、前記X及びYのそれぞれは互いに独立して0〜6の整数であり、前記(CH2及び(CH2は線状、分枝状または環状のアルキルまたはアルケニルであり、前記A、C及びDのそれぞれは互いに独立して0または1であり、前記Bは0〜100の整数である。
【請求項7】
前記親水性基を含有する化合物は、4、8−ジオキサ−2、6、10−トリヒドロキシ−1、11−ウンデカンジアミン、4、7−ジオキサ−2、9−ジヒドロキシ−1、10−デカンジアミン、2、3−ジヒドロキシ−1、4−ブタンジアミン、3−アミノ−1、2−プロパンジオール、グルカミン、N−メチルグルカミン及びトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンよりなる群から選ばれるものであることを特徴とする請求項6に記載のポリアミド逆浸透複合膜。
【請求項8】
前記親水性基を含有する化合物は、分枝状構造を有し、アンモニアまたはその誘導体と3つまたはそれ以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物との間の反応により得られることを特徴とする請求項2に記載のポリアミド逆浸透複合膜。
【請求項9】
前記親水性基を含有する化合物は、アンモニアまたはその誘導体とグリセロールトリグリシジルエーテルとの間の反応生成物、アンモニアまたはその誘導体と1、1、1−トリス(ヒドロキシメチル)エタントリグリシジルエーテルとの間の反応生成物及びアンモニアまたはその誘導体とソルビトールテトラグリシジルエーテルとの間の反応生成物よりなる群から選ばれるものであることを特徴とする請求項8に記載のポリアミド逆浸透複合膜。
【請求項10】
前記親水性基を含有する化合物は、アンモニアまたはその誘導体とヒドロキノングリシジルエーテルとの間の反応生成物、アンモニアまたはその誘導体とレゾルシノールジグリシジルエーテルとの間の反応生成物及びアンモニアまたはその誘導体とビスフェノールAジグリシジルエーテルとの間の反応生成物よりなる群から選ばれるものであることを特徴とする請求項2に記載のポリアミド逆浸透複合膜。
【請求項11】
前記少なくとも一つの親水性基は、少なくとも一つのカルボニル基よりなるものであることを特徴とする請求項1に記載のポリアミド逆浸透複合膜。
【請求項12】
前記親水性基を含有する化合物は、アミノアセトアルデヒドジメチルアセタル、α−アミノブチロラクトン、3−アミノベンズアミド、4−アミノベンズアミド及びN−(3−アミノプロピル)−2−ピロリジノンよりなる群から選ばれるものであることを特徴とする請求項11に記載のポリアミド逆浸透複合膜。
【請求項13】
前記少なくとも一つの親水性基は、少なくとも一つのトリアルコキシシラン基よりなるものであることを特徴とする請求項1に記載のポリアミド逆浸透複合膜。
【請求項14】
前記親水性基を含有する化合物は、(3−アミノプロピル)トリエトキシシラン及び(3−アミノプロピル)トリメトキシシランよりなる群から選ばれるものであることを特徴とする請求項13に記載のポリアミド逆浸透複合膜。
【請求項15】
前記少なくとも一つの親水性基は、少なくとも一つのアニオン基よりなるものであることを特徴とする請求項1に記載のポリアミド逆浸透複合膜。
【請求項16】
前記親水性基を含有する化合物は、グリシン、タウリン、3−アミノ−1−プロペンスルホン酸、4−アミノ−1−ブテンスルホン酸、2−アミノエチルハイドロジェンスルファート、3−アミノベンゼンスルホン酸、3−アミノ−4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸、4−アミノベンゼンスルホン酸、3−アミノプロピルホスフォン酸、3−アミノ−4−ヒドロキシ安息香酸、4−アミノ−3−ヒドロキシ安息香酸、6−アミノヘキセン酸、3−アミノブタン酸、4−アミノ−2−ヒドロキシ酪酸、4−アミノ酪酸及びグルタミン酸よりなる群から選ばれるものであることを特徴とする請求項15に記載のポリアミド逆浸透複合膜。
【請求項17】
前記少なくとも一つの親水性基は、少なくとも一つの3級アミノ基よりなるものであることを特徴とする請求項1に記載のポリアミド逆浸透複合膜。
【請求項18】
前記親水性基を含有する化合物は、3−(ジメチルアミノ)プロピルアミン、3−(ジエチルアミノ)プロピルアミン、4−(2−アミノエチル)モルフォリン、1−(2−アミノエチル)ピペラジン、3、3’−ジアミノ−N−メチルジプロピルアミン及び1−(3−アミノプロピル)イミダゾールよりなる群から選ばれるものであることを特徴とする請求項17に記載のポリアミド逆浸透複合膜。
【請求項19】
(a)多孔性支持体上に液体層を形成するために多官能性アミンよりなる第1水溶液中に、多孔性支持体をコーティングし、
(b)前記液体層を有機溶媒溶液により接触させるが、前記有機溶媒溶液が多官能性アシルハライド、多官能性スルホニルハライド及び多官能性イソシアネートよりなる群から選ばれるアミン−反応性反応物よりなり、前記アミン−反応性反応物と前記多官能性アミンとの界面重合により、前記多孔性支持体上に架橋された(cross−linked)界面重合のポリアミド層を形成し、
(c)次いで、前記架橋された界面ポリアミド層を第2水溶液に接触させるが、前記第2水溶液は親水性化合物よりなり、前記親水性化合物が(i)前記架橋された界面ポリアミド層に直接的に共有結合される少なくとも一つの反応性基であり、前記少なくとも一つの反応性基が少なくとも一つの1級アミンまたは2級アミンであり、(ii)少なくとも一つの親水性基であり、前記少なくとも一つの親水性基がヒドロキシ基、カルボニル基、トリアルコキシシラン基、アニオン基、3級アミノ基よりなる群から選ばれる少なくとも一つの親水性基であり、(iii)前記親水性化合物がポリアルキレンオキシド基を含まず、前記少なくとも一つの親水性基が前記架橋された界面ポリアミド層に共有結合されて、前記架橋された界面ポリアミド層上に親水性コーティングを形成するものよりなる、ポリアミド逆浸透複合膜の製造方法。
【請求項20】
前記親水性化合物は、前記第2水溶液中に0.001〜8重量%含量にて存在することを特徴とする請求項19に記載のポリアミド逆浸透複合膜の製造方法。
【請求項21】
前記親水性化合物は、前記第2水溶液に0.01〜4重量%含量にて存在することを特徴とする請求項20に記載のポリアミド逆浸透複合膜の製造方法。
【請求項22】
前記少なくとも一つの親水性基は、ヒドロキシ基よりなるものであることを特徴とする請求項19に記載のポリアミド逆浸透複合膜の製造方法。
【請求項23】
前記少なくとも一つの親水性基は、単一のヒドロキシ基であることを特徴とする請求項22に記載のポリアミド逆浸透複合膜の製造方法。
【請求項24】
前記親水性基を含有する化合物は、1、3−ジアミノ−2−プロパノール、エタノールアミン、ジエタノールアミン、3−アミノ−1−プロパノール、4−アミノ−1−ブタノール及び2−アミノ−1−ブタノールよりなる群から選ばれるものであることを特徴とする請求項23に記載のポリアミド逆浸透複合膜の製造方法。
【請求項25】
前記少なくとも一つの親水性基は、複数のヒドロキシ基よりなるものであることを特徴とする請求項22に記載のポリアミド逆浸透複合膜の製造方法。
【請求項26】
前記親水性基は、下記式で表される線状構造を有することを特徴とする請求項25に記載のポリアミド逆浸透複合膜の製造方法。
RNH-CH2-CH(OH)-(CH2O)A-(CH2)-[CH(OH)]B-(CH2)Y-(O-CH2)C-CH(OH)-CH2-(NHR)D
式中、Rは水素またはアルキルまたは炭素数1〜6のアルケニル基であり、前記X及びYのそれぞれは互いに独立して0〜6の整数であり、前記(CH2及び(CH2は 線状、分枝状または環状のアルキルまたはアルケニルであり、前記A、C及びDのそれぞれは互いに独立して0または1であり、前記Bは0〜100の整数である。
【請求項27】
前記親水性基を含有する化合物は、4、8−ジオキサ−2、6、10−トリヒドロキシ−1、11−ウンデカンジアミン、4、7−ジオキサ−2、9−ジヒドロキシ−1、10−デカンジアミン、2、3−ジヒドロキシ−1、4−ブタンジアミン、3−アミノ−1、2−プロパンジオール、グルカミン、N−メチルグルカミン及びトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンよりなる群から選ばれるものであることを特徴とする請求項26に記載のポリアミド逆浸透複合膜の製造方法。
【請求項28】
前記親水性基を含有する化合物は、分枝状構造を有し、アンモニアまたはその誘導体と3つまたはそれ以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物との間の反応により得られることを特徴とする請求項25に記載のポリアミド逆浸透複合膜の製造方法。
【請求項29】
前記親水性基を含有する化合物は、アンモニアまたはその誘導体とグリセロールトリグリシジルエーテルとの間の反応生成物、アンモニアまたはその誘導体と1、1、1−トリス(ヒドロキシメチル)エタントリグリシジルエーテルとの間の反応生成物及びアンモニアまたはその誘導体とソルビトールテトラグリシジルエーテルとの間の反応生成物よりなる群から選ばれるものであることを特徴とする請求項28に記載のポリアミド逆浸透複合膜の製造方法。
【請求項30】
前記親水性基を含有する化合物は、アンモニアまたはその誘導体とヒドロキノングリシジルエーテルとの間の反応生成物、アンモニアまたはその誘導体とレゾルシノールジグリシジルエーテルとの間の反応生成物及びアンモニアまたはその誘導体とビスフェノールAジグリシジルエーテルとの間の反応生成物よりなる群から選ばれるものであることを特徴とする請求項25に記載のポリアミド逆浸透複合膜の製造方法。
【請求項31】
前記少なくとも一つの親水性基は、少なくとも一つのカルボニル基よりなるものであることを特徴とする請求項19に記載のポリアミド逆浸透複合膜の製造方法。
【請求項32】
前記親水性基を含有する化合物は、アミノアセトアルデヒドジメチルアセタル、α−アミノブチロラクトン、3−アミノベンズアミド、4−アミノベンズアミド及びN−(3−アミノプロピル)−2−ピロリジノンよりなる群から選ばれるものであることを特徴とする請求項31に記載のポリアミド逆浸透複合膜の製造方法。
【請求項33】
前記少なくとも一つの親水性基は、少なくとも一つのトリアルコキシシラン基よりなるものであることを特徴とする請求項19に記載のポリアミド逆浸透複合膜の製造方法。
【請求項34】
前記親水性基を含有する化合物は、(3−アミノプロピル)トリエトキシシラン及び(3−アミノプロピル)トリメトキシシランよりなる群から選ばれるものであることを特徴とする請求項33に記載のポリアミド逆浸透複合膜の製造方法。
【請求項35】
前記少なくとも一つの親水性基は、少なくとも一つのアニオン基よりなるものであることを特徴とする請求項19に記載のポリアミド逆浸透複合膜の製造方法。
【請求項36】
前記親水性基を含有する化合物は、グリシン、タウリン、3−アミノ−1−プロペンスルホン酸、4−アミノ−1−ブテンスルホン酸、2−アミノエチルハイドロジェンスルファート、3−アミノベンゼンスルホン酸、3−アミノ−4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸、4−アミノベンゼンスルホン酸、3−アミノプロピルホスフォン酸、3−アミノ−4−ヒドロキシ安息香酸、4−アミノ−3−ヒドロキシ安息香酸、6−アミノヘキセン酸、3−アミノブタン酸、4−アミノ−2−ヒドロキシ酪酸、4−アミノ酪酸及びグルタミン酸よりなる群から選ばれるものであることを特徴とする請求項35に記載のポリアミド逆浸透複合膜の製造方法。
【請求項37】
前記少なくとも一つの親水性基は、少なくとも一つの3級アミノ基よりなるものであることを特徴とする請求項19に記載のポリアミド逆浸透複合膜の製造方法。
【請求項38】
前記親水性基を含有する化合物は、3−(ジメチルアミノ)プロピルアミン、3−(ジエチルアミノ)プロピルアミン、4−(2−アミノエチル)モルフォリン、1−(2−アミノエチル)ピペラジン、3、3’−ジアミノ−N−メチルジプロピルアミン及び1−(3−アミノプロピル)イミダゾールよりなる群から選ばれるものであることを特徴とする請求項37に記載のポリアミド逆浸透複合膜の製造方法。

【公開番号】特開2008−194672(P2008−194672A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−137526(P2007−137526)
【出願日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願人】(507170181)セハン インダストリーズ インコーポレーション (2)
【Fターム(参考)】