説明

耐火塗料

【課題】有機/無機複合材料を含む耐火塗料を提供する。
【解決手段】有機/無機複合材料は、第1の反応性官能基を有するポリマー、モノマー、オリゴマー、プレポリマーまたはコポリマーを含む有機成分;無機粒子;および添加剤を含む。前記無機粒子は、元々または表面処理後、前記有機成分の第1の反応性官能基と反応し化学結合を形成する第2の反応性官能基を有する。有機/無機複合材料は、有機成分のタイプにより、適切な連続相と混合して耐火塗料を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本件出願は、2005年12月26日出願の台湾特許出願94146503の優先権を主張する、2006年4月26日出願の出願11/410,913号の一部継続出願である。
【0002】
[技術分野]
本発明は、有機高分子/無機粒子複合材料に関し、特に、有機/無機複合材料を含む耐火塗料に関するものである。
【背景技術】
【0003】
耐火または難燃材料は、建築材料または装飾材料として用いられることができる。台湾特許第583,078号および第397,885号に開示されている建築材料は、主として、例えばパーライト(pearlite)(またはperlite)、MgCl2、MgO、CaCO3またはセメントなどの不燃性無機材料でできている耐火層として機能する積層を含む。また、堅い耐火積層は、難燃剤、発泡剤および50〜80重量%の無機材料を混合した繊維または不織布よりなる柔軟性のある(flexible)基板から得ることができる。
【0004】
台湾特許第442,549号、第499,469号および第419,514号に開示されている装飾材料として用いられる耐火塗料は、火炎にさらされた場合に発泡し膨張するような、発泡および膨張剤、炭化剤、難燃剤ならびに接着剤の組み合わせを含んでいる。米国特許第5,723,515号は、起泡剤、発泡剤、炭化剤、結合剤、溶剤および顔料を有する流体膨張性ベース材料(fluid intumescent base material)を含み、亀裂や収縮に対する耐性を向上させる難燃性塗料を開示している。米国特許第5,218,027号に開示される化合物は、コポリマーまたはターポリマー、低弾性ポリマー(low modulus polymer)および合成炭化水素エラストマーの組成物から製造される。難燃添加剤は、組成物の少なくとも1重量%がオルガノポリシロキサンの形態であるという条件で、グループI、グループIIまたはグループIIIの金属水酸化物を含む。米国特許第6,262,161号は、炎源、または発火源への暴露下で改善された性能を示す、エチレンおよび/またはアルファオレフィン/ビニル、またはビニリデンモノマーの充填インターポリマー組成物(filled interpolymer composition)およびそれから製造される物品に関するものである。その物品はフィルム、シート、多層構造物、床、壁または天井の被覆物、発泡体、繊維、電子素子、またはワイヤーおよびケーブルアセンブリの形態とすることができる。従来の難燃ポリマーの組成物は、有機ポリマーと無機難燃剤とを物理的に混合することで得られ、一般的にカップリング剤または界面活性剤が、無機難燃剤の分散性を高めるため配合される。しかし、有機ポリマーは無機成分と反応せず、化学結合の形成によるよく組織された(well-structured)複合材料を形成しないため、従来の難燃剤性組成物は、火炎または発火源にさらされると、容易に溶解、発火、または火滴(flaming drops)を生じ易い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一般的な目的は、優れた耐火および防火特性を有する耐火塗料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記とその他の課題を達成するため、本発明の耐火塗料は、第1の反応性官能基を有するポリマー、コポリマー、モノマー、オリゴマーまたはプレポリマーを含む有機成分と、第2の反応性官能基を有する無機粒子とを含み、無機粒子が、第1と第2の反応性官能基間の反応によって有機成分に化学結合される、有機/無機複合材料を含む。
【0007】
添加の図面を参照して、以下の実施形態において詳細な説明がなされる。
【0008】
本発明は、次の詳細な説明および実施例を添加の図面を参照して読むことにより、より完全に理解され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下の記載は、本発明を実施する上で最良の形態である。この記載は、本発明の一般的な原理を説明するためになされるものであり、限定的な意味にとられるべきではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲を参照して決定されるべきである。
【0010】
本発明において、元々または表面処理後に反応性官能基を有する無機粒子は、ポリマー、モノマー、オリゴマー、プレポリマーまたはコポリマーなどの有機成分に均一に分散されると共に反応し、耐火および機械特性を高める。好ましく構成された複合材料が化学結合の形成によって提供された場合、表面に形成された炭化層は固まり、剥離または亀裂することなく、その構造的完全性を保持し、内部への直接の熱伝達を効果的に防ぐことができる。有機/無機複合材料は、有機成分のタイプに従って、適当な連続相と混合され、耐火塗料を提供することができる。一般的には、有機/無機複合材料は、10〜90重量%の有機成分と、90〜10重量%の無機粒子を含むことができる。好ましくは、有機/無機複合材料は、30〜70重量%の有機成分と、70〜30重量%の無機粒子を含む。より好ましくは、40〜60重量%の有機成分と、60〜40重量%の無機粒子を含む。
【0011】
本発明の耐火塗料の形態は、スラリー状である。塗料の有機成分は、ポリマー、モノマー、オリゴマー、プレポリマーまたはコポリマーであることができ、固化された後の塗料における有機成分は、オリゴマー、ポリマーまたはコポリマーであることができる。本発明の目的で、「ポリマー」という用語は、数平均分子量が1500から100000ダルトンを超える範囲の化合物を意味し、一方「オリゴマー」とは数平均分子量が200〜1499ダルトンの範囲の化合物を意味する。
【0012】
有機/無機複合材料において、有機成分と無機粒子は、対応する反応性官能基の反応によって化学結合される。有機成分と無機粒子の反応性官能基には、−OH、−COOH、−NCO、−NH3、−NH2、−NHおよびエポキシ基が含まれるが、これらに限定されるものではない。例えば、−COOH、−NCO基を有する有機成分(例えば有機酸または反応性ポリウレタン)は、−OH基を有する無機粒子(例えば金属水酸化物)と反応させるのに用いることができる。また、エポキシ基を有する有機成分は、−NH2基を有する無機粒子と反応させるのに用いることができる。または、−OH基を有する有機成分(例えば、ポリビニルアルコール)は、−COOHまたは−NCO基を有する無機粒子と反応させることができ、−NH2基を有する有機成分はエポキシ基を有する無機粒子と反応させることができる。
【0013】
本発明での使用に適した有機成分には、上述の反応性官能基を含む任意のモノマー、オリゴマー、モノポリマー、コポリマーまたはプレポリマーが含まれる。反応性官能基はポリマーの骨格または側鎖にあってもよい。好ましい有機成分には、ポリ有機酸(polyorganic acid)、ポリウレタン、エポキシ、ポリオレフィンおよびポリアミンが含まれる。ポリ有機酸には、ポリ(エチレン−アクリル酸)およびポリ(アクリル酸−マレイン酸)などのカルボン酸またはスルホン酸を含むモノポリマーまたはコポリマーが含まれる。エポキシの具体例としては、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジピン酸塩、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、ジグリシジルテトラヒドロフタレート、ジグリシジルヘキサヒドロフタレート、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル樹脂、ポリフェノールエポキシ樹脂のグリシジルエーテルが含まれる。使用に適したポリアミンには、ポリアミンおよびポリイミドがある。ポリアミンの具体例としては、ナイロン6((NH(CH25CO)n)、ナイロン66((NH(CH26−NH−CO(CH24CO)n)およびナイロン12((NH(CH211CO)n)がある。ポリイミドには、4,4-オキシジアニリン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼンまたは2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパンなどのジアミンが含まれ、かつ、ジアミンと、オキシジフタル酸無水物、ピロメリト酸二無水物あるいはベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物などの二無水物とを合成させたポリイミドも含まれる。使用に適したポリオレフィンには、オレフィンモノマーと上述の反応性官能基を有するモノマーとのコポリマーが含まれる。有機成分には、先に説明したポリマーのモノマー、オリゴマー、コポリマーおよびプレポリマーも含まれることに留意すべきである。また、有機成分は、単独で、または2種またはそれ以上を混合して使用することが可能である。
【0014】
本発明に使用するのに適した無機粒子は、有機成分の官能基と反応することができる対応する官能基を元々または表面修飾後に備えたものである。好ましい無機粒子には、水酸化物、窒化物、酸化物、炭化物、金属塩および無機層状材料が含まれる。水酸化物には、Al(OH)3またはMg(OH)2などの金属水酸化物が含まれる。窒化物には、例えばBNおよびSi34が含まれる。炭化物には、例えばSiCが含まれる。金属塩には、例えばCaCO3が含まれる。無機層状材料には、例えば粘土、タルクおよび層状重水酸化物(LDH)が含まれ、このうち粘土はスメクタイト粘土、バーミキュライト、ハロイサイト、セリサイト、サポナイト、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、雲母またはヘクトライトとすることが可能である。無機粒子は2種またはそれ以上を混合して使用してもよい。例えば、反応性官能基を有する粘土は、金属水酸化物と組み合わせて使用できる。好適な無機粒子としては、ミクロサイズ粒子とナノサイズ粒子がある。粒径が小さいほど単位重量当たりの表面積は大きいことから、直径1〜100nmのナノサイズ粒子が特に好ましい。
【0015】
有機成分と無機粒子は、共有結合あるいはイオン結合が形成されるように、直接混合し反応させることができる、または反応を種々の溶媒(例えば、水、エタノールまたはメチルエチルケトン)中で行うことができる。反応温度は、一般的に室温から約150℃までであり、反応時間は、用いる出発物質によって10分から数日の間で変わる。反応から得られたスラリー製品は、耐火塗料として直接用いられることができるが、塗料の適用方法によって溶剤、または水をそこに加えることができる。例えば、ポリ有機酸を含む実施態様では、水とアルコール(例えば、メタノールまたはエタノール)が加えられ、塗料の粘度を減少させて吹き付け塗装やはけ塗りを容易にすることができる。反応性ポリウレタンを含む実施態様では、例えば、ヘキサン、ケトン(例えばアセトン、メチルエチルケトン)、エステル(例えばブチルエステル)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、N−メチルピロリドン(NMP)または芳香族炭化水素系溶剤(例えばベンゼン、キシレン)を含む各種の溶剤が粘度を減少させるのに用いることができる。2つ、または2つ以上の種類の溶剤を混合して用いることができる。特に、低沸点溶剤(b.p.60〜90℃)は、高沸点溶剤(b.p.100〜150℃)と共に用いられ、塗装の困難性を減少し、塗装品質を高めることができる。
【0016】
水性塗料を形成するのに、有機/無機複合材料は、顔料(望みの色によって異なる)、水、増粘剤、消泡剤および界面活性剤に混合され、分散性を高めることができる。増粘剤には、例えば、でんぷん、粘土、セルロース系増粘剤が含まれる。消泡剤は、一般的に例えば、HCK ケミカルズ社のHCK−8112などの非イオン界面活性剤である。分散性を高める界面活性剤は、例えば、ジョンソン ポリマー社のJ678、シノ ケミカル社のSINONATE 707SF アルドリッチケミカル社のBrij56などのイオン性または非イオン性界面活性剤であることができる。PU系列の溶媒型塗料を形成するのに、有機/無機複合材料は、顔料、溶剤、樹脂、手触りの改善用レベリング剤、硬化剤、硬化助剤となるシランまたはシロキサンと、その他の添加剤と合わせられることができる。レベリング剤は主に、例えば、BYK−Chemie社のBYK−354、333および306などの界面活性剤である。硬化剤は主に、例えば、トルエンジイソシアネート(TDI)、メチレンビスフェニルイソシアナート(MDI)、またはヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)などのイソシアネートである。最も共通の強化助剤は、テトラエトキシシラン(TEOS)とトリエトキシビニルシラン(TEVS)である。
【0017】
本発明の耐火塗料は、可燃性または引火性物の表面上に塗装されることができる。例えば、はけ塗り、ローラー塗り、ブレード塗工または吹き付け塗装によって塗装されることができる。吹き付け塗装は、例えば、ホットスプレー塗装、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装、エアミックス補助スプレー(air-mix-assistant)塗装、大容量低圧スプレー塗装(high-volume low-pressure spray coating)、低容量中圧スプレー塗装(low-volume medium-pressure spray coating)などを含む。
【0018】
本発明の有機/無機複合は燃焼または加熱された場合、ポリマーは炭化層を形成し、無機粒子は吸収された熱を放出する。無機粒子はまた、無機および有機材料間の反応によって構造の機械的性質を強化する。よって、形成された炭化層はしっかりとしたままであり、その構造的完全性は、剥離または亀裂することなく保持され、塗装された物の内部への直接の熱伝達を効果的に防ぐ。耐火材料は、難燃だけでなく、内部材料も保護する。結果、耐火能力の持続時間が大きく向上される。好ましい実施例では、耐火塗料は、1000〜1200℃の火炎温度を3分より長く耐えることができる。有機成分と無機粒子が化学結合されていることから(従来の物理的に混合された製品に比べ)、本発明の耐火複合材料は、炎源、または発火源にさらされても溶解、発火せず、または火滴を生じない。
【0019】
本発明の耐火塗料は、広範囲の応用を有する。例えば、室内構造を塗装する耐火材料として、または構造用鋼の耐火材料として適する。更に、ケーブルラップ、ワイヤーラップ、または発泡材料の塗料として用いられることができる。耐火塗料は、例えば、飛行機、船、車および列車などの乗り物の可燃性物体に用いられることもできる。よって、当業者は、特定応用によって各種の添加剤を組み込むことができる。例えば、リン酸メラミン、赤リンおよびリン系難燃剤などの難燃剤は、難燃性を強化するために存在させることができる。シラン(例えば、TEOSまたはTEVS)またはシロキサンは、構造的完全性を増強し、硬化を促進するために存在させることができる。ガラス砂とガラス繊維は、耐熱性を向上し、構造的完全性を増強するために存在させることができる。これらの添加剤の量は、一般的に100重量部の有機/無機複合材料に対して0.1〜20重量部の間である。
【実施例1】
【0020】
10gのポリ(エチレン−アクリル酸)を反応容器に入れ、80〜120℃で予熱して融解し、ついで300rpmで撹拌した。10.8gの脱イオン水と10.8gのアンモニア水とを反応容器に添加し、10分撹拌後に白色エマルジョンを得た。続いて、10gの水酸化アルミニウム粉末を反応容器に添加し、10分撹拌後に白色スラリーを得た。図1に示すように、2mm厚のスラリーをA4用紙10上に塗布し、ついでオーブンに入れ、60℃で60分、80℃で60分、100℃で60分、120℃で30分、140℃で30分、160℃で30分、180℃で30分、乾燥し、最後に200℃で240分間成形した。
【0021】
ブタンガストーチ30により火炎温度1000〜1200℃(火炎40)でサンプル層20表面に対し30秒から3分間燃焼試験を行った。A4用紙の燃焼結果を表1にまとめる。30、60および120秒の加熱後のA4用紙上に焦げは観察されなかったが、180秒後にはわずかに焦げが観察された。
【0022】
この実施例によると、強化されたサンプル層により、すなわち、物理的な混合によってではなく、ポリ(エチレン−アクリル酸)の−COOHとAl(OH)3の−OHが反応して化学結合が形成されたことにより、耐火能力の持続時間は3分を超えた。
【実施例2】
【0023】
10gのポリ(エチレン−アクリル酸)を反応容器に入れ、80〜120℃で予熱して融解、ついで300rpmで撹拌した。続いて、10gの水酸化アルミニウム粉末を反応容器に添加し、10分撹拌後に白色スラリーを得た。スラリーは、室温に冷却後、白色の塊に凝固した。白色塊をタンクに入れ、100〜120℃で白色スラリーに再加熱した。加熱されたスラリーを、A4用紙に塗布してオーブンに入れ、60℃で60分、80℃で60分、100℃で60分、120℃で30分、140℃で30分、160℃で30分、180℃で30分、乾燥し、最後に200℃で240分間成形した。
【0024】
ブタンガストーチにより火炎温度1000〜1200℃でサンプル層表面に対し30秒から3分間燃焼試験を行った。A4用紙の燃焼結果を表1にまとめる。30、60および120秒の加熱後のA4用紙上に焦げは観察されなかったが、180秒後にはわずかに焦げが観察された。
【0025】
この実施例よると、強化されたサンプル層により、すなわち、物理的な混合によってではなく、ポリ(エチレン−アクリル酸)の−COOHがAl(OH)3の−OHと反応して化学結合が形成されたことにより耐火能力の持続時間は、3分を超えた。
【実施例3】
【0026】
20gのポリ(アクリル酸−マレイン酸)(固形分50wt%)を反応容器に入れ、80〜90℃で予熱し、ついで300rpmで撹拌した。10gのアンモニア水を反応容器に添加し、10分間撹拌した。続いて、10gの水酸化アルミニウム粉末を反応容器に添加し、10分撹拌後に黄色スラリーを得た。2mm厚のスラリーをA4用紙上に塗布し、ついでオーブンに入れ、60℃で60分、80℃で60分、100℃で60分、120℃で30分、140℃で30分、160℃で30分、180℃で30分、乾燥し、最後に200℃で240分間成形した。
【0027】
ブタンガストーチにより火炎温度1000〜1200℃でサンプル層表面に対し30秒から3分間燃焼試験を行った。A4用紙の燃焼結果を表1にまとめる。30、60および120秒の加熱後のA4用紙上に焦げは観察されなかったが、180秒後にはわずかに焦げが観察された。
【0028】
この実施例によると、強化されたサンプル層により、すなわち、ポリ(アクリル酸−マレイン酸)の−COOHがAl(OH)3の−OHと反応して化学結合が形成されたことにより耐火能力の持続時間は3分を超えた。
【実施例4】
【0029】
8%の反応性イソシアネート基を含む50gの反応性ポリウレタンを反応容器に入れ、300rpmで撹拌した。続いて、50gの水酸化アルミニウム粉末を反応容器に添加し、5分撹拌後に白色スラリーを得た。2mm厚のスラリーをA4用紙上に塗布し、ついで室温で24時間乾燥した。
【0030】
ブタンガストーチにより火炎温度1000〜1200℃でサンプル層表面に対し30秒から3分間燃焼試験を行った。A4用紙の燃焼結果を表1にまとめる。30、60および120秒の加熱後のA4用紙上に焦げは観察されなかったが、180秒後にはわずかに焦げが観察された。
【0031】
この実施例によると、強化されたサンプル層により、すなわち、物理的な混合によってではなく、反応性ポリウレタンの−NCOがAl(OH)3の−OHと反応して化学結合が形成されたことにより耐火能力の持続時間は3分を超えた。
【実施例5】
【0032】
8%の反応性イソシアネート基を含む50gの反応性ポリウレタンを反応容器に入れ、300rpmで撹拌した。続いて、45gの水酸化マグネシウム粉末と5gの−OH基(サザン クレイ プロダクト社のCloisite 30B)を含む修飾ナノクレイを反応容器に添加し、5分撹拌後に白色スラリーを得た。2mm厚のスラリーをA4用紙上に塗布し、室温で24時間乾燥した。
【0033】
ブタンガストーチにより火炎温度1000〜1200℃でサンプル層表面に対し30秒から3分間燃焼試験を行った。A4用紙の燃焼結果を表1にまとめる。30、60および120秒の加熱後のA4用紙上に焦げは観察されなかったが、180秒後にはわずかに焦げが観察された。
【0034】
この実施例によると、強化されたサンプル層により、すなわち、物理的な混合によってではなく、反応性ポリウレタンの−NCOがMg(OH)3およびナノクレイの−OHと反応して化学結合が形成されたことにより耐火能力の持続時間は3分を超えた。
【実施例6】
【0035】
20gの3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(ユニオンカーバイド(Union Carbide)のE4221、エポキシ樹脂)を反応容器に入れ、300rpmで撹拌した。続いて、硬化剤としてMeHHPA(ヘキサヒドロ−4−メチルフタル酸無水物)を過剰量(8g、E4221/MeHHPA=1/1.14の等量比)と、触媒として0.1gのBDMA(N,N−ジメチルベンジルアミン)を添加した。5分間の撹拌後、48.1gの水酸化アルミニウム粉末を反応容器に入れ、10分撹拌後に白色スラリーを得た。2mm厚のスラリーをA4用紙上に塗布し、室温で24時間乾燥させた。
【0036】
ブタンガストーチにより火炎温度1000〜1200℃でサンプル層表面に対し30秒から3分間燃焼試験を行った。A4用紙の燃焼結果を表1にまとめる。30および60秒の加熱後のA4用紙上に焦げは観察されなかったが、120秒後にはわずかに焦げが観察され、180秒後には焦げが観察された。
【0037】
この実施例によると、強化されたサンプル層により、すなわち、物理的な混合によってではなく、エポキシ樹脂の無水基(過剰のMeHHPA由来)がAl(OH)3の−OH基と反応して化学結合が形成されたことにより、耐火能力の持続時間は3分を超えた。
【実施例7】
【0038】
図2を参照すると、実施例5の2mm厚のスラリーをA4用紙10上に塗布し、ついで室温で24時間乾燥した。ブタンガストーチにより火炎温度1000〜1200℃でサンプル層20の表面に対し180秒間燃焼試験を行った。A4用紙10の底面は、温度検出器50の熱電対60に接続され、温度の上昇をモニターした。2mm厚の市販の膨張性耐火塗料(YUNG CHI PAINT & VARNISH MFG社のFM900)で同じ燃焼試験を行った。図3に示すように、市販の膨張性耐火塗料の温度は、60秒の加熱後、200℃まで急速に上昇した。対して、実施例5のサンプル層の温度は、180秒間加熱された場合、200℃までゆっくりと上昇した。
【0039】
この実施例によると、耐火能力の持続時間は、強化されたサンプル層により、すなわち、物理的な混合によってではなく、反応性ポリウレタンの−NCOがMg(OH)3およびナノクレイの−OHと反応して化学結合が形成されたことにより、非常に改善された。
【0040】
【表1】

【0041】
本発明を実施例の方式により、および好ましい実施形態の点から記載したが、本発明はこれらに限定はされないと解されるべきである。反対に、(当業者に明らかであるような)各種変更および類似のアレンジをカバーすることが意図されている。したがって、添付の特許請求の範囲は、かかる各種変更および類似のアレンジが全て包含されるように、最も広い意味に解釈されなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】実施例1の耐火塗料の燃焼試験を示す概略図である。
【図2】実施例7のA4用紙の温度測定を示す概略図である。
【図3】加熱時間の関数としてA4用紙の裏面温度を示す図であり、実施例5の耐火塗料と市販の性耐火塗料が比較される。
【符号の説明】
【0043】
10 A4用紙
20 サンプル層
30 ブタンガストーチ
40 火炎
50 温度検出器
60 熱電対

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機/無機複合材料を含む耐火塗料であって、
第1の反応性官能基を有するポリマー、コポリマー、モノマー、オリゴマーまたはプレポリマーを含む有機成分、および
第2の反応性官能基を有する無機粒子を含み、
該無機粒子が、該第1の反応性官能基と該第2の反応性官能基間の反応によって有機成分に化学結合される耐火塗料。
【請求項2】
前記有機/無機複合材料が、10〜90重量%の前記有機成分および90〜10重量%の前記無機粒子を含む請求項1記載の耐火塗料。
【請求項3】
前記有機/無機複合材料が、30〜70重量%の前記有機成分および70〜30重量%の前記無機粒子を含む請求項1記載の耐火塗料。
【請求項4】
前記第1および第2の反応性官能基には、−OH、−COOH、−NCO、−NH3、−NH2、−NHまたはエポキシ基が含まれる請求項1記載の耐火塗料。
【請求項5】
前記有機成分には、ポリ酸、ポリウレタン、エポキシ、ポリオレフィンまたはポリアミンが含まれる請求項1記載の耐火塗料。
【請求項6】
前記無機粒子には、水酸化物、窒化物、酸化物、炭化物、金属塩または無機層状材料が含まれる請求項1記載の耐火塗料。
【請求項7】
前記水酸化物には、金属水酸化物が含まれる請求項6記載の耐火塗料。
【請求項8】
前記金属水酸化物には、Al(OH)3またはMg(OH)2が含まれる請求項7記載の耐火塗料。
【請求項9】
前記窒化物には、BNまたはSi34が含まれる請求項6記載の耐火塗料。
【請求項10】
前記酸化物には、SiO2、TiO2またはZnOが含まれる請求項6記載の耐火塗料。
【請求項11】
前記炭化物には、SiCが含まれる請求項6記載の耐火塗料。
【請求項12】
前記金属塩には、CaCO3が含まれる請求項6記載の耐火塗料。
【請求項13】
前記無機層状材料には、粘土、タルクまたは層状重水酸化物(LDH)が含まれる請求項6記載の耐火塗料。
【請求項14】
水または有機溶剤をさらに含む請求項1記載の耐火塗料。
【請求項15】
水、顔料、増粘剤、消泡剤、界面活性剤またはそれらの組合せをさらに含む請求項1記載の耐火塗料。
【請求項16】
有機溶剤、顔料、樹脂、レベリング剤、硬化剤またはそれらの組合せをさらに含む請求項1記載の耐火塗料。
【請求項17】
難燃剤、シラン、シロキサン、ガラス砂またはガラス繊維をさらに含む請求項1記載の耐火塗料。
【請求項18】
室内構造の耐火塗装に用いられる請求項1記載の耐火塗料。
【請求項19】
構造用鋼の耐火塗装に用いられる請求項1記載の耐火塗料。
【請求項20】
ワイヤーラップまたはケーブルラップの耐火塗装に用いられる請求項1記載の耐火塗料。
【請求項21】
発泡材料の耐火塗装に用いられる請求項1記載の耐火塗料。
【請求項22】
乗り物の可燃性物体の耐火塗装に用いられる請求項1記載の耐火塗料。
【請求項23】
1000および1200℃の間の火炎温度に3分より長く耐えることができる請求項1記載の耐火塗料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−191711(P2007−191711A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−348595(P2006−348595)
【出願日】平成18年12月25日(2006.12.25)
【出願人】(390023582)財団法人工業技術研究院 (524)
【氏名又は名称原語表記】INDUSTRIAL TECHNOLOGY RESEARCH INSTITUTE
【住所又は居所原語表記】195 Chung Hsing Rd.,Sec.4,Chutung,Hsin−Chu,Taiwan R.O.C
【Fターム(参考)】