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耐火性コンクリートセグメント
説明

耐火性コンクリートセグメント

【課題】爆裂による表層部分の損傷を抑制することが可能な耐火性コンクリートセグメントを提供する。
【解決手段】耐火性コンクリートセグメント1は、セメントと細骨材2と粗骨材7と水とを含むコンクリート3と、所定の温度(火災時等に耐火性コンクリートセグメント1が達すると想定される温度で、例えば、250℃〜500℃程度)で気化する有機繊維4と、コンクリート3の材料不分離性を良くするための混和材・混和剤5と、硬化後の耐火性コンクリートセグメント1の靭性を向上させるための鋼繊維6とを所定の割合で配合することにより製作される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐火性能を有するコンクリートセグメントに関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート構造体が火災等で加熱されて高温になると、その表層部が剥離して落下する爆裂現象が発生する。このコンクリート構造体の爆裂を抑制するため、コンクリートに有機繊維を添加する方法が用いられている。この方法によれば、コンクリート構造体が火災等で加熱されて高温になると有機繊維が気化して空洞をつくるとともに、これらの空洞が連結して該空洞部と外部とを連通する通気路がコンクリート構造体に生じ、この通気路からコンクリート構造体内の水蒸気を外部に排出するので爆裂を防止することができる。
【0003】
例えば、特許文献1には、太さが10〜200μmで、長さが5〜20mmの有機繊維からなる繊維をコンクリートに添加する方法が開示されている。
【特許文献1】特開平5−220881号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、本発明者らが実験を行ったところ、太さが10〜200μmで、長さが5〜20mmの有機繊維を添加して構築されたコンクリート構造体では、加熱されて高温になると、通気路が不均一に生じるとともに、必要な量の通気路は生じなかった。したがって、十分に爆裂を抑制できず、表層部分に損傷箇所が多数生じるという問題点があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記のような従来の問題に鑑みなされたものであって、爆裂による表層部分の損傷を抑制することが可能な耐火性コンクリートセグメントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明の耐火性コンクリートセグメントは、トンネルの内周に設置される耐火性コンクリートセグメントであって、所定の温度で気化する性質を有するとともに、紐状で、長さと太さの比であるアスペクト比が500以上700以下の有機繊維を含むことを特徴とする(第1の発明)。
【0007】
本発明による耐火性コンクリートセグメントによれば、アスペクト比が500以上700以下の有機繊維を含むので、コンクリートセグメントが火災等で加熱されて高温になると有機繊維が気化して微細な多数の空洞をつくるとともに、これらの空洞が連結して該空洞部と外部とを連通する通気路をコンクリートセグメントに容易に形成することができる。そして、この通気路からコンクリートセグメント内の水蒸気を外部に排出するので爆裂を確実に防止することができる。
【0008】
第2の発明は、第1の発明において、前記有機繊維の太さは、17.5μm以下であることを特徴とする。
本発明による耐火性コンクリートセグメントによれば、有機繊維の太さを17.5μm以下にすることにより、良好な施工性を得ることができるとともに、連通した通気路をつくるために必要な繊維の本数を確保することができる。
【0009】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記有機繊維の配合割合は、0.2体積%であることを特徴とする。
本発明による耐火性コンクリートセグメントによれば、有機繊維の配合割合を0.2体積%にすることにより、良好な施工性を得ることができるとともに、連通した通気路をつくるために必要な繊維の本数を確保することができる。
【0010】
第4の発明は、第1〜第3のいずれかの発明において、前記有機繊維は、ポリプロピレン繊維であることを特徴とする。
本発明による耐火性コンクリートセグメントによれば、ポリプロピレン繊維は市販されているので、入手性が良い。
【0011】
第5の発明は、第1〜第4のいずれかの発明において、コンクリートの材料不分離性を高めるための混和材又は混和剤を更に含むことを特徴とする。
本発明による耐火性コンクリートセグメントによれば、有機繊維の分散性を高め、あるいは、セグメント型枠への充填性を高めるためにコンクリートを高流動状態にしても、コンクリートの材料不分離性を高める混和材又は混和剤を含むので、コンクリート材料の分離を防ぐことができる。
【0012】
第6の発明は、第5の発明において、前記混和材又は前記混和剤は、粉末状のフライアッシュ又は増粘剤であることを特徴とする。
本発明による耐火性コンクリートセグメントによれば、フライアッシュや増粘剤は市販されているので、入手性が良い。また、安価なので、コンクリートセグメントを経済的に製作することができる。
【0013】
第7の発明は、第1〜第6のいずれかの発明において、鋼繊維を更に含むことを特徴とする。
本発明による耐火性コンクリートセグメントによれば、鋼繊維を含むことにより、コンクリートセグメントの靭性を大きくすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の耐火性コンクリートセグメントを用いることにより、火災時等の爆裂をほとんど抑制することができ、表層部分に損傷が生じない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る耐火性コンクリートセグメントの好ましい実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る耐火性コンクリートセグメント1を示す断面図である。図1に示すように、耐火性コンクリートセグメント1は、セメントと細骨材2と粗骨材7と水とを含むコンクリート3と、所定の温度(火災時等に耐火性コンクリートセグメント1が達すると想定される温度で、例えば、250℃〜500℃程度)で気化する有機繊維4と、コンクリート3の材料不分離性を高めるための混和材又は混和剤(以下、混和材・混和剤という)5と、コンクリート3が硬化した後の耐火性コンクリートセグメント1の靭性を向上させるための鋼繊維6とを所定の割合で配合することにより製作される。
【0016】
コンクリート3を、水セメント比が36.0%になるように、また、コンクリートの流動状態が高流動性のものは、スランプフロー値が500mm〜600mmの範囲内に含まれるように作製し、中流動性のものは、スランプ値が18cmになるように作製する。
【0017】
有機繊維4は、本実施形態においては、紐状のポリプロピレン繊維を用いた。有機繊維4は、火災時の熱で気化して耐火性コンクリートセグメント1内に微細な多数の空洞をつくる。そして、有機繊維4の気体が膨張することにより有機繊維4の長手方向に沿って、耐火性コンクリートセグメント1内の空洞間にひびが入り、空洞同士が連通して、耐火性コンクリートセグメント1内に空洞と外部とを連通する通気路が生じる。この通気路は、耐火性コンクリートセグメント1内の水蒸気を外部に排出するとともに、耐火性コンクリートセグメント1の表層部の熱応力を緩和する役割を果たし、その表層部の爆裂を防止する。
【0018】
なお、本実施形態においては、有機繊維4としてポリプロピレン繊維を用いた場合について説明したが、これに限定されるものではなく、所定の温度、例えば、250℃〜500℃程度で気化する有機繊維であれば良い。
【0019】
この有機繊維4は、長さと太さの比であるアスペクト比が500以上700以下の範囲内で、好ましくは、太さが17.5μm以下のものを用いる。さらに、有機繊維4の配合割合を0.2体積%に調整する。これらの要件を満たすように有機繊維4を用いることで、互いに連通した通気路をつくるために必要な有機繊維4の本数を確保できるとともに、良好な施工性を得ることができる。
【0020】
混和材・混和剤5は、本実施形態においては、粉末状のフライアッシュと増粘剤を用いた。フライアッシュ及び増粘剤の添加量は設計等により適宜決定される。
【0021】
なお、本実施形態では、混和材としてフライアッシュを使用したが、これに限定されるものではなく、例えば、高炉スラグ微粉末やシリカフューム等を使用してもよい。
【0022】
鋼繊維6は、本実施形態においては、市販の紐状の普通鋼材を用いた。鋼繊維6の形状、太さ及び長さも設計等により適宜決定される。
【0023】
次に、有機繊維4を含む耐火性コンクリートセグメント1の耐火性能について検討した結果を説明する。有機繊維4を含む複数のコンクリート試験体を製作し、これらのコンクリート試験体を所定の加熱条件にしたがって加熱する耐火試験を実施し、加熱後のコンクリート試験体の爆裂状態を確認した。まず、各コンクリート試験体を構成する材料の配合割合について説明し、次に、各コンクリート試験体の試験結果について説明する。
【0024】
図2は、コンクリート試験体の形状を示す図である。図2に示すように、コンクリート試験体は、普通ポルトランドセメントと細骨材2、粗骨材7と水とを含むコンクリート3と、有機繊維4であるポリプロピレン繊維と、混和材・混和剤5と、鋼繊維6とを所定の割合で配合して製作されている。
コンクリート試験体は板状で、横×高さ×奥行の長さがそれぞれ1000mm×200mm×500mmである。
有機繊維4のアスペクト比及び上記各材料の配合割合の異なる複数のコンクリート試験体を製作した。
【0025】
図3は、各コンクリート試験体を構成する材料及びそれらの配合割合を示す一覧図であり、図4は、試験に用いた有機繊維4の各アスペクト比の太さ及び長さを示す一覧図である。
【0026】
図3及び図4に示すように、アスペクト比の異なる有機繊維4と、普通ポルトランドセメントと、細骨材2と、粗骨材7と、水と、混和材・混和剤5と、鋼繊維6とをそれぞれ所定の割合で配合して、15種類のコンクリート試験体No.1〜No.15を製作した。すべてのコンクリート試験体No.1〜No.15において、有機繊維4、鋼繊維6の混入率、水セメント比は同一になるように調整した。
【0027】
<アスペクト比114の有機繊維4を含むコンクリート試験体No.1〜No.3について>
図3及び図4に示すように、アスペクト比が114で、太さ及び長さが17.5μm×2mmの有機繊維4を含む3種類のコンクリート試験体No.1、No.2及びNo.3を製作した。
具体的には、コンクリート試験体No.1は、アスペクト比114の有機繊維4と、普通ポルトランドセメントと、鋼繊維6と、細骨材2と、粗骨材7と、水とを混合した中流動性のコンクリート試験体である。また、コンクリート試験体No.2は、コンクリート試験体No.1の材料に混和材・混和剤5である増粘剤を添加し、この増粘剤により高い材料不分離性を有する高流動性のコンクリート試験体である。そして、コンクリート試験体No.3は、コンクリート試験体No.1の材料に混和材・混和剤5である石灰石微粉末を添加し、この石灰石微粉末により高い材料不分離性を有する高流動性のコンクリート試験体である。
【0028】
<アスペクト比281の有機繊維4を含むコンクリート試験体No.4〜No.6について>
図3及び図4に示すように、アスペクト比が281で、太さ及び長さが42.7μm×12mmの有機繊維4を含む3種類のコンクリート試験体No.4、No.5及びNo.6を製作した。
具体的には、コンクリート試験体No.4は、アスペクト比281の有機繊維4と、普通ポルトランドセメントと、鋼繊維6と、細骨材2と、粗骨材7と、水とを混合した中流動性のコンクリート試験体である。また、コンクリート試験体No.5は、コンクリート試験体No.4の材料に混和材・混和剤5である増粘剤を添加し、この増粘剤により高い材料不分離性を有する高流動性のコンクリート試験体である。そして、コンクリート試験体No.6は、コンクリート試験体No.4の材料に混和材・混和剤5である石灰石微粉末を添加し、この石灰石微粉末により高い材料不分離性を有する高流動性のコンクリート試験体である。
【0029】
<アスペクト比410の有機繊維4を含むコンクリート試験体No.7〜No.10について>
図3及び図4に示すように、アスペクト比が410で、太さ及び長さが48.8μm×20mmの有機繊維4を含む4種類のコンクリート試験体No.7、No.8、No.9及びNo.10を製作した。
具体的には、コンクリート試験体No.7は、アスペクト比410の有機繊維4と、普通ポルトランドセメントと、鋼繊維6と、細骨材2と、粗骨材7と、水とを混合した中流動性のコンクリート試験体である。また、コンクリート試験体No.8は、コンクリート試験体No.7の材料に混和材・混和剤5である増粘剤を添加し、この増粘剤により高い材料不分離性を有する高流動性のコンクリート試験体である。そして、コンクリート試験体No.9は、コンクリート試験体No.7の材料に混和材・混和剤5である石灰石微粉末を添加し、この石灰石微粉末により高い材料不分離性を有する高流動性のコンクリート試験体である。また、コンクリート試験体No.10は、コンクリート試験体No.7の材料に混和材・混和剤5であるフライアッシュを添加し、このフライアッシュにより高い材料不分離性を有する高流動性のコンクリート試験体である。
【0030】
<アスペクト比570の有機繊維4を含むコンクリート試験体No.11〜No.14について>
図3及び図4に示すように、アスペクト比が570で、太さ及び長さが17.5μm×10mmの有機繊維4を含む4種類のコンクリート試験体No.11、No.12、No.13及びNo.14を製作した。
具体的には、コンクリート試験体No.11は、アスペクト比570の有機繊維4と、普通ポルトランドセメントと、鋼繊維6と、細骨材2と、粗骨材7と、水とを混合した中流動性のコンクリート試験体である。また、コンクリート試験体No.12は、コンクリート試験体No.11の材料に混和材・混和剤5である増粘剤を添加し、この増粘剤により高い材料不分離性を有する高流動性のコンクリート試験体である。そして、コンクリート試験体No.13は、コンクリート試験体No.11の材料に混和材・混和剤5である石灰石微粉末を添加し、この石灰石微粉末により高い材料不分離性を有する高流動性のコンクリート試験体である。また、コンクリート試験体No.14は、コンクリート試験体No.11の材料に混和材・混和剤5であるフライアッシュを添加し、このフライアッシュにより高い材料不分離性を有する高流動性のコンクリート試験体である。
【0031】
次に、耐火試験方法について説明する。
図5は、各コンクリート試験体の耐火試験方法を示す概略図であり、図6は、本耐火試験における加熱方法のRABT加熱曲線を示す図である。
図5に示すように、各コンクリート試験体を耐火炉8にそれぞれ設置し、各コンクリート試験体の加熱面を加熱した。
加熱方法は、トンネル火災を想定して、図6に示すように、加熱開始後5分間で1200℃まで昇温するRABT曲線にしたがって加熱した。
【0032】
次に、各コンクリート試験体の耐火試験結果について説明する。
図7〜図21は、耐火試験後の各コンクリート試験体の加熱面の状態を示す図であり、図22〜図36は、各コンクリート試験体の加熱面における損傷の分布状態を示すコンター図である。
【0033】
<アスペクト比114の有機繊維4を含むコンクリート試験体No.1〜No.3の場合>
図7〜図9、図22〜図24に示すように、コンクリート試験体No.1、No.2、No.3は、加熱面を含む表層部で爆裂が生じ、損傷が加熱面に広い範囲で見られた。具体的には、コンクリート試験体No.1、No.2、No.3の損傷面積率がそれぞれ21.2%、56.7%、35.9%、平均爆裂深さがそれぞれ1.0mm、5.7mm、3.4mm、最大爆裂深さがそれぞれ12.0mm、28.0mm、17.0mmであった。
【0034】
<アスペクト比281の有機繊維4を含むコンクリート試験体No.4〜No.6の場合>
図10〜図12、図25〜図27に示すように、コンクリート試験体No.4、No.8、No.11は、表層部で爆裂が生じ、損傷が加熱面に広い範囲で見られた。具体的には、コンクリート試験体No.4、No.8、No.11の損傷面積率がそれぞれ43.7%、71.4%、69.3%、平均爆裂深さがそれぞれ2.3mm、8.9mm、5.8mm、最大爆裂深さがそれぞれ20.0mm、35.0mm、21.0mmであった。
【0035】
<アスペクト比410の有機繊維4を含むコンクリート試験体No.7〜No.10の場合>
図13〜図16、図28〜図31に示すように、コンクリート試験体No.7、No.8、No.9、No.10は、表層部でわずかに爆裂が生じ、損傷が加熱面に部分的に見られた。具体的には、コンクリート試験体No.7、No.8、No.9、No.10の損傷面積率がそれぞれ8.7%、12.6%、6.1%、14.3%、平均爆裂深さがそれぞれ0.1mm、0.4mm、0.1mm、0.4mm、最大爆裂深さがそれぞれ3.0mm、7.0mm、4.0mm、8.0mmであった。
【0036】
<アスペクト比570の有機繊維4を含むコンクリート試験体No.11〜No.14の場合>
図17〜図20及び図32〜図35に示すように、わずかに爆裂が生じた結果と全く爆裂が生じなかった結果が得られた。
わずかな爆裂は、図17、図19、図32、図34に示すように、コンクリート試験体No.11、No.13に見られた。これらのコンクリート試験体No.11、No.13では、表層部でわずかに爆裂が生じ、損傷が加熱面に局部的に見られた。具体的には、コンクリート試験体No.11、No.13の損傷面積率がそれぞれ5.2%、9.5%、平均爆裂深さがそれぞれ0.1mm、0.3mm、最大爆裂深さがそれぞれ0.1mm、8.0mmであった。
一方、図18、図20、図33、図35に示すように、コンクリート試験体No.12、No.14では、ほとんど爆裂は生じず、加熱面への損傷も全くなかった。具体的には、コンクリート試験体No.12、No.14の損傷面積率がそれぞれ0%、3.5%、平均爆裂深さは共に0mm、最大爆裂深さも共に0mmであった。
アスペクト比570のコンクリート試験体No.11〜No.14のうち、コンクリート試験体No.12及びNo.14は、爆裂が全く発生していないので、増粘剤又はフライアッシュを含むことにより、爆裂を抑制できることがわかる。
【0037】
<アスペクト比857の有機繊維4を含むコンクリート試験体No.15の場合>
図21、図36に示すように、コンクリート試験体No.15は、表層部でわずかに爆裂が生じ、損傷が加熱面に部分的に見られた。具体的には、損傷面積率が17.3%、平均爆裂深さが0.7mm、最大爆裂深さが14.0mmであった。
アスペクト比857の有機繊維4を含むコンクリート試験体No.15の損傷面積率、平均爆裂深さ及び最大爆裂深さは、アスペクト比410の有機繊維4を含むコンクリート試験体No.7〜No.10と同程度であった。
上述したすべての耐火試験結果より、アスペクト比570の有機繊維4を含むコンクリート試験体No.11〜No.14の損傷面積率、平均爆裂深さ及び最大爆裂深さが最も小さく、ほぼ爆裂が抑制されていることがわかる。
【0038】
また、アスペクト比を114から570まで増加させると、コンクリート試験体の損傷面積率、平均爆裂深さ及び最大爆裂深さは、徐々に小さくなる。したがって、アスペクト比が114から570まで増加すると、爆裂を抑制する効果は高くなることがわかる。
さらに、アスペクト比を570よりも大きい857にすると、コンクリート試験体の損傷面積率、平均爆裂深さ及び最大爆裂深さは、大きくなる。したがって、アスペクト比が857まで増加すると、爆裂を抑制する効果はアスペクト比570の場合よりも低くなることがわかる。
すなわち、コンクリート試験体は、アスペクト比570付近の有機繊維4を含むことにより、爆裂を効果的に抑制できることがわかる。そこで、耐火性コンクリートセグメント1に用いる有機繊維4のアスペクト比の下限をアスペクト比410と570とのほぼ中間値の500とし、また、上限をアスペクト比570と857のほぼ中間値の700として、アスペクト比500以上700以下の有機繊維4を用いることにより、爆裂を効果的に抑制することができると考えられる。
【0039】
次に、コンクリート試験体の損傷が最も抑制されるアスペクト比が570で、かつ、フライアッシュを含む場合において、有機繊維4の配合量の違いによる耐火性能について検討した結果を示す。
具体的には、有機繊維4の配合量がそれぞれ0.1体積%、0.2体積%のコンクリート試験体No.16、No.17を作製して耐火試験を行った。コンクリート試験体No.16、No.17を構成する材料及びそれらの配合割合を図3の下部に示している。コンクリート試験体No.16、No.17は、上記各コンクリート試験体No.1〜No.15と同様に、有機繊維4、鋼繊維6の混入率、水セメント比を同一にし、また、コンクリート3のスランプフロー値は同程度となるように作製した。
なお、有機繊維4の配合量を0.3体積%以上にするとコンクリート3の流動性が低下してコンクリート試験体の作製が困難になるので、有機繊維4の混入率をそれぞれ0.1体積%、0.2体積%とした。
【0040】
図3に示すように、コンクリート試験体No.16、No.17は、アスペクト比570の有機繊維4と、普通ポルトランドセメントと、鋼繊維6と、細骨材2と、粗骨材7と、水と、フライアッシュとを所定の割合で混合した。
なお、コンクリート試験体No.17の各材料の配合割合は、コンクリート試験体No.14とほぼ同一とした。これはコンクリート試験体No.14の耐火試験の結果得られた爆裂を抑制する効果の再現性を確認するために、再度、同一の配合割合で耐火試験を行った。
【0041】
図37及び図38は、耐火試験後の各コンクリート試験体の加熱面の状態を示す図であり、図39及び図40は、各コンクリート試験体の加熱面における損傷の分布状態を示すコンター図である。
【0042】
図37、図39に示すように、コンクリート試験体No.16は、表層部でわずかに爆裂が生じ、損傷が加熱面に局部的に見られた。具体的には、損傷面積率が11.7%、平均爆裂深さが7.0mm、最大爆裂深さが0.7mmであった。
一方、図38、図40に示すように、コンクリート試験体No.17は、爆裂はほとんど生じなかったが、加熱面への損傷がわずかに見られた。具体的には、損傷面積率が2.2%、平均爆裂深さが0.0mm、最大爆裂深さが2.0mmであった。
これらの結果より、コンクリート試験体No.17の損傷面積率、平均爆裂深さ及び最大爆裂深さは、コンクリート試験体No.16のそれよりも小さい。したがって、有機繊維4を0.2体積%配合した方が爆裂を抑制できることがわかる。
【0043】
また、コンクリート試験体No.17の損傷面積率、平均爆裂深さ及び最大爆裂深さは、コンクリート試験体No.14の損傷面積率、平均爆裂深さ及び最大爆裂深さとほぼ同程度であり、爆裂を抑制する効果を再現することができた。
【0044】
上述したように、本耐火試験により、アスペクト比が500以上700以下で、かつ、太さが17.5μm以下の有機繊維4を用いた場合に爆裂が生じにくく、表層部の損傷が少なくなることがわかる。さらに、有機繊維4を0.2体積%の割合で配合した場合は、より効果的に爆裂を抑制することができることがわかる。
【0045】
また、混和材・混和剤5であるフライアッシュや増粘剤を含むことにより、爆裂をほとんど抑制することができることがわかる。
【0046】
以上説明した本実施形態における耐火性コンクリートセグメント1によれば、所定の温度で気化するとともに、アスペクト比が500以上700以下の有機繊維4であるポリプロピレン繊維を含むので、耐火性コンクリートセグメント1が火災等で加熱されて高温になると有機繊維4が気化して微細な多数の空洞をつくるとともに、有機繊維4の気体が膨張することにより空洞間にひびが入り、空洞同士が連通して、耐火性コンクリートセグメント1内に空洞と外部とを連通する通気路が生じる。この通気路は、耐火性コンクリートセグメント1内の水蒸気を外部に排出するとともに、耐火性コンクリートセグメント1の表層部の熱膨張力を緩和する役割を果たし、その表層部の剥離を防止する。
【0047】
また、有機繊維4の太さを17.5μm以下にすること及び配合量を0.2体積%にすることで、コンクリート3打設の良好な施工性を得ることができるとともに、連通した通気路をつくるために必要な繊維の本数を確保することができる。
さらに、フライアッシュを含むことにより、耐火性コンクリートセグメント1製作時におけるコンクリート3の材料不分離性が高くなるのでコンクリートを流動状態にしても、有機繊維4を均一に配合することができる。また、有機繊維4を均一に配合した状態で、コンクリート3の流動性を高めることができるので、ワーカビリィティが良好になり、充填作業を効率的に実施することができる。
【0048】
有機繊維4、フライアッシュ及び増粘剤は市販されているので、入手性が良い。また、これらは安価なので耐火性コンクリートセグメント1を経済的に製作することができる。
さらに、鋼繊維6を含むことにより、耐火性コンクリートセグメント1の靭性を大きくすることができる。
なお、本実施形態においては、加熱方法として、一般的に行われているRABT曲線に基づく加熱方法を採用したが、これに限定されるものではなく、現場条件等に応じて他の加熱方法を採用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施形態に係る耐火性コンクリートセグメントを示す断面図である。
【図2】コンクリート試験体の形状を示す図である。
【図3】各コンクリート試験体を構成する材料及びそれらの配合割合を示す一覧図である。
【図4】試験に用いた有機繊維の各アスペクト比の太さ及び長さを示す一覧図である。
【図5】各コンクリート試験体の耐火試験方法を示す概略図である。
【図6】本耐火試験における加熱方法のRABT加熱曲線を示す図である。
【図7】耐火試験後のコンクリート試験体No.1の加熱面の状態を示す図である。
【図8】耐火試験後のコンクリート試験体No.2の加熱面の状態を示す図である。
【図9】耐火試験後のコンクリート試験体No.3の加熱面の状態を示す図である。
【図10】耐火試験後のコンクリート試験体No.4の加熱面の状態を示す図である。
【図11】耐火試験後のコンクリート試験体No.5の加熱面の状態を示す図である。
【図12】耐火試験後のコンクリート試験体No.6の加熱面の状態を示す図である。
【図13】耐火試験後のコンクリート試験体No.7の加熱面の状態を示す図である。
【図14】耐火試験後のコンクリート試験体No.8の加熱面の状態を示す図である。
【図15】耐火試験後のコンクリート試験体No.9の加熱面の状態を示す図である。
【図16】耐火試験後のコンクリート試験体No.10の加熱面の状態を示す図である。
【図17】耐火試験後のコンクリート試験体No.11の加熱面の状態を示す図である。
【図18】耐火試験後のコンクリート試験体No.12の加熱面の状態を示す図である。
【図19】耐火試験後のコンクリート試験体No.13の加熱面の状態を示す図である。
【図20】耐火試験後のコンクリート試験体No.14の加熱面の状態を示す図である。
【図21】耐火試験後のコンクリート試験体No.15の加熱面の状態を示す図である。
【図22】コンクリート試験体No.1の加熱面における損傷の分布状態を示すコンター図である。
【図23】コンクリート試験体No.2の加熱面における損傷の分布状態を示すコンター図である。
【図24】コンクリート試験体No.3の加熱面における損傷の分布状態を示すコンター図である。
【図25】コンクリート試験体No.4の加熱面における損傷の分布状態を示すコンター図である。
【図26】コンクリート試験体No.5の加熱面における損傷の分布状態を示すコンター図である。
【図27】コンクリート試験体No.6の加熱面における損傷の分布状態を示すコンター図である。
【図28】コンクリート試験体No.7の加熱面における損傷の分布状態を示すコンター図である。
【図29】コンクリート試験体No.8の加熱面における損傷の分布状態を示すコンター図である。
【図30】コンクリート試験体No.9の加熱面における損傷の分布状態を示すコンター図である。
【図31】コンクリート試験体No.10の加熱面における損傷の分布状態を示すコンター図である。
【図32】コンクリート試験体No.11の加熱面における損傷の分布状態を示すコンター図である。
【図33】コンクリート試験体No.12の加熱面における損傷の分布状態を示すコンター図である。
【図34】コンクリート試験体No.13の加熱面における損傷の分布状態を示すコンター図である。
【図35】コンクリート試験体No.14の加熱面における損傷の分布状態を示すコンター図である。
【図36】コンクリート試験体No.15の加熱面における損傷の分布状態を示すコンター図である。
【図37】耐火試験後のコンクリート試験体No.16の加熱面の状態を示す図である。
【図38】耐火試験後のコンクリート試験体No.17の加熱面の状態を示す図である。
【図39】コンクリート試験体No.16の加熱面における損傷の分布状態を示すコンター図である。
【図40】コンクリート試験体No.17の加熱面における損傷の分布状態を示すコンター図である。
【符号の説明】
【0050】
1 耐火性コンクリートセグメント
2 細骨材
3 コンクリート
4 有機繊維
5 混和材・混和剤
6 鋼繊維
7 粗骨材
8 耐火炉

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネルの内周に設置される耐火性コンクリートセグメントであって、
所定の温度で気化する性質を有するとともに、紐状で、長さと太さの比であるアスペクト比が500以上700以下の有機繊維を含むことを特徴とする耐火性コンクリートセグメント。
【請求項2】
前記有機繊維の太さは、17.5μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の耐火性コンクリートセグメント。
【請求項3】
前記有機繊維の配合割合は、0.2体積%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の耐火性コンクリートセグメント。
【請求項4】
前記有機繊維は、ポリプロピレン繊維であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の耐火性コンクリートセグメント。
【請求項5】
コンクリートの材料不分離性を高めるための混和材又は混和剤を更に含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の耐火性コンクリートセグメント。
【請求項6】
前記混和材又は前記混和剤は、粉末状のフライアッシュ又は増粘剤であることを特徴とする請求項5に記載の耐火性コンクリートセグメント。
【請求項7】
鋼繊維を更に含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の耐火性コンクリートセグメント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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