説明

耐火性ポリマー組成物

高温で耐火性セラミックを形成するための耐火性組成物であって、該組成物は、以下を含む:該組成物の総重量に基づいて少なくとも15重量%のポリマーベース組成物(少なくとも50重量%の有機ポリマーを含む);および該組成物の総重量に基づいて少なくとも20重量%のシリケートミネラルフィラー;ここで、(燃焼条件下で経験される)高温への暴露時に、該耐火性組成物は受動的防火適用(特に、ケーブル)に有用であり、フラクシングオキサイドは残渣の1〜15重量%の量で存在する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、有用な防火特性を有しそして種々の用途に使用され得るポリマー組成物に関する。本発明はまた、このような組成物の調製およびそれらの使用に関する。本発明は電気ケーブルを特に参照して示されるが、本発明は本明細書中で記載される関連する利益を考慮してより広範に有用であることが理解される。
【背景技術】
【0002】
背景
構造物および構成要素の受動的防火は、ますます注目を受けている領域である。この文脈において、用語“受動的(passive)”は、耐火性を付与する材料の使用を意味する。受動的防火システムは、建築業および輸送業の至るところで広く使用されており、そして、熱および/または煙の動きを阻止にすることによって、穴をシールすることによって、該システムが適用される構造物の安定性を延長させることによって並びに/或いは炎、熱および煙の通過に対して熱的および/または物理的バリアを作製することによって、典型的に機能する。
【0003】
多くの用途について、耐火性を付与するために使用される材料は、燃焼状況において遭遇しそうである最も高い温度(一般的に約1000℃)への暴露に続いての形状の制限された(そして好ましくは、全く無い)実質的な変化を示すことが望ましい。該材料が有意に収縮する場合、その完全性(integrity)は妥協されるようであり、そしてそれはまた亀裂が入る(crack)そして/または破砕し(fracture)得る。次に、これは、熱的または電気的絶縁の破壊ならびに燃焼バリア特性(fire barrier properties)および耐火性の損失に至り得る。以下から明らかとなるように、多くの耐火性ポリマー組成物について、高温への暴露時のそれらの固有の収縮は、認められる使用結果である。この問題に取り組むために採られる具体的手段としては、膨張剤(intumescing agents)(これは、拡張を生じさせるが非常に機械的に弱められた残渣を提供する)あるいはエンジニアリング設計溶液(engineering design solution)(これは、最終製品または構造物のコストを加える)の添加が挙げられる。
【0004】
電気ケーブル用途は、典型的に、少なくとも絶縁層によって囲まれている中心の導線からなる。このようなケーブルは、建物における広い用途が見出され、そして実際に家庭、職場および工業用建物におけるほとんど全ての電気回路の基礎を形成している。いくつかの用途(例えば、非常電源回路)において、炎に供された場合でさえ作動しそして回路完全性(circuit integrity)を提供し続けるケーブルについての要求が存在しており、そして、このタイプのケーブルについて広範囲の基準が存在している。これらの基準のいくつかを満たすために、ケーブルは、典型的に、所定の様式でそして特定の時間(例えば、15分、30分、60分、2時間)、特定の温度(例えば、650、750、950、1050℃)まで加熱された場合に、電気回路完全性を少なくとも維持することが要求される。いくつかの場合において、ケーブルは、加熱段階の間、規則的な機械的ショックに供せられる。例えば、それらは、加熱サイクルの後期または加熱段階後のいずれかにおいて、ウォータージェットまたはスプレーに供されるかもしれない。所定の基準を満たすために、ケーブルは、典型的に、試験に渡って回路完全性を維持することが要求される。従って、絶縁体が低伝導性を維持し(高温での長期間の加熱後でさえ)、その形状を維持し、従ってそれが収縮したり亀裂が入ったりせず、そして機械的に強い(特に、ウォータージェットまたはスプレー暴露に起因する機械的衝撃から生じるもののようなショックの間に所定の位置に留まることが要求される場合)ことが重要である。また、ケーブルが短時間ウォータースプレーの暴露の間作動し続けることが要求される場合、加熱後に残る絶縁層が水の侵入に耐えることが望ましい。
【0005】
絶縁ケーブルの高温性能を改善する1つの方法は、ガラス繊維で作製されそして雲母でコーティングされたテープでケーブルの導線を巻くことであった。このようなテープは、製造の間に導線の周りに巻かれ、次いで少なくとも1つの絶縁層が適用される。上昇する温度へ曝されると、外層は分解しそして剥がれるが、ガラス繊維は雲母を所定の位置に保持する。これらのテープは、火災において回路完全性を維持するために有効であることが判明したが、非常に高価である。更に、導線周囲にテープを巻くプロセスは、他のケーブル製造工程と比較して比較的遅く、従って、テープを巻くことはケーブルの全体的な製造を遅め、また費用を加算する。押出し成形によるケーブル製造の間に適用され得、それによってテープの使用を回避する、耐火性コーティングが望ましい。
【0006】
種々の材料が、構造物および構成要素(電気ケーブルを含む)に耐火性を与えるために使用されている。シリコーンエラストマーに基づく組成物の使用は、広範囲に及んでいる。しかし、シリコーンエラストマーは、高価であり得、比較的弱い機械的特性を有し、そして例えば押出成形技術によって加工することが困難であり得る。更には、これらの組成物は、炎に曝されるとそれらが粉末状物質に変換されるという付随した不都合を有する傾向にあり、何故ならばシリコーンエラストマーの有機成分が熱分解または燃焼するからである。熱分解または燃焼生成物は揮発し、そしてほとんど固有の強度を有さない無機残渣または灰(二酸化珪素)を残す。この残渣は、一般的に、凝集性(coherent)または自己支持性(self-supporting)ではなく、そして実際に、しばしば容易に破壊、移動または崩壊される。この挙動は、受動的防火素子としてシリコーンエラストマーを使用することを弱める。これは、例えば、電気ケーブル上の絶縁体として使用されるシリコーンポリマーは、無機テープおよびブレードまたはメタルジャケットのような物理的支持体を用いて、所定の位置に保護および保持されなければならないことを意味する。高温への暴露時に、本発明に従う組成物は、電気導線の周りに物理的に強い凝集性層を形成し得、従って、このような物理的支持体を使用する必要がない。
【0007】
耐火性を示す特定の組成物はまた、高温で、適切に高い電気抵抗を示さない。ケーブル用途において使用される場合、これらの組成物は、導線と支持金属トレーまたはブラケットとの間に熱的絶縁(thermal insulation)および/または物理的バリアのみを提供し、そして回路故障(circuit failure)に至る燃焼状況において導電性である傾向にある。この場合、高温で電気的絶縁(electrical insulation)が維持されることを確実にするために、更なる工程が採用される。例えば、高温で耐熱性を付与するおよび/または物理的バリアを提供するが導電性となる組成物は、電気的絶縁を提供する設計に特別に組み込まれた別個の層上に提供され得る。高温で要求される熱的絶縁を付与しそして/または要求される自己支持性かつ凝集性の物理的バリア(例えば、亀裂が入ったりまたは破砕したりしない)を付与する単一の組成物の提供が望ましいであろう。更には、この組成物がそれらの温度で電気的絶縁体として機能することがまた望ましい。これは、顕著なコスト削減を提供しそして製品製造を簡略化するようである。
【0008】
耐火性組成物のしばしば要求される更なる特性は、それらが、炎へ暴露された際に、潜在的に毒性であるガスまたは残渣を生成しないことである。本発明の組成物はまた、この点で本質的に安全であり得る。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の要旨
本発明は、炎に関連する高温の種類へ暴露される場合に制限された(そして好ましくは全く無い)収縮を示す耐火性組成物を提供しようとする。更に、このような温度で、該組成物はまた、自己支持性(self-supporting)(即ち、それらが、剛性のままであり、そして熱で誘発される分解または流動を経験しない)でありそして凝集性でありそして冷却後でさえ良好な機械的強度を有する残渣を生成し得る。該残渣は、例えば機械的ショックによって、破砕および移動せずにその意図される位置に保持される。この文脈において、用語“残渣(residue)”は、本明細書以下において、該組成物が燃焼条件下で経験される高温(an elevated temperature, experienced under fire conditions)へ暴露される場合に形成される生成物を示すことが意図される。これらの条件は、本発明において、該耐火性組成物を1000℃まで徐々に加熱しそしてそれらをこの温度で30分間維持することによってシミュレートされる。望ましくは、熱的絶縁および/または凝集性の物理的バリアまたはコーティングを提供することとだけでなく、本発明の組成物はまた、要求される電気的絶縁特性を高温で示し得る。
【0010】
本発明の組成物はまた、従来の技術によって容易にそれらが製造および使用されることを可能にする優れた加工性(processability)を有し得る。加えて、本発明は、広範囲の機械的特性を有する耐火性ポリマープロダクトの作製を可能にし、その結果、本発明は、多くの異なる用途の要求に合うように調整され得る。
【0011】
一般的に、本発明は、有機ポリマーを含むポリマーベース組成物中に分散された無機成分を含む耐火性組成物を提供する。該組成物は、高温への暴露後、固形セラミック材料へ変換される。この文脈において、セラミックは、高温処理(例えば、約400℃以上)によって作製される無機非金属性固体材料である。本発明は、炎へ暴露された場合に制限されたまたは実質的にない寸法変化を受けかつ自己支持性であり、そして凝集性および適切な物理的特性を有する残渣コーティングを提供し得る、耐火性組成物を提供しようとする。このような組成物は、構造物およびその構成成分へ耐火性を提供することにおいて広範囲の用途を有する。該組成物は、特に、電気ケーブルのための耐火性絶縁を提供することについて有用であり、何故ならば、それらは、高温で長時間加熱された後でさえも、適切に高い電気抵抗率および破壊強度(breakdown strength)を提供し得るためである。それらはまた、引き続いてウォータースプレー(water spray)へ供された場合でも、回路完全性を提供し得る。有機ポリマーを含むポリマーベース組成物の使用は、該ポリマーベース組成物がシリコーンポリマーである系と比較した場合に、コスト削減、増強された加工性および改善された機械的特性についての潜在能力を与える。
【0012】
従って、1つの局面において、本発明は、以下を含む、高温で耐火性セラミックを形成するための耐火性組成物を提供する:
該組成物の総重量に基づいて少なくとも15重量%のポリマーベース組成物(少なくとも50重量%の有機ポリマーを含む);
該組成物の総重量に基づいて少なくとも15重量%のシリケートミネラルフィラー(silicate mineral filler);および
フラクシングオキサイド(fluxing oxide)の少なくとも1つの供給源(これは、必要に応じて該シリケートミネラルフィラー中に存在する)、
ここで、燃焼条件下で経験される高温への暴露後、フラクシングオキサイドが残渣の1〜15重量%の量で存在する。
【0013】
フラクシングオキサイドは、シリケートミネラルフィラーおよび/または1以上の添加されたフラクシングオキサイドもしくはフラクシングオキサイド前駆体から誘導され得る。
【0014】
本発明の別の局面において、該耐火性組成物から形成される耐火性ケーブルが提供される。この局面によれば、導電素子(conductive element)ならびに燃焼条件下で耐火性セラミックを提供する少なくとも1つの絶縁層(insulating layer)および/またはシース(sheathing)を含む耐火性ケーブルが提供され、該絶縁層および/またはシース層は、以下を含む:
該組成物の総重量に基づいて少なくとも15重量%のポリマーベース組成物(少なくとも50重量%の有機ポリマーを含む);
該組成物の総重量に基づいて少なくとも15重量%のシリケートミネラルフィラー(silicate mineral filler);および
フラクシングオキサイド(fluxing oxide)の少なくとも1つの供給源(これは、必要に応じて該シリケートミネラルフィラー中に存在する)、
ここで、燃焼条件下で経験される高温への暴露後、フラクシングオキサイドが残渣の1〜15重量%の量で存在する。
【0015】
フラクシングオキサイドは、シリケートミネラルフィラーおよび/または1以上の別個に添加されたフラクシングオキサイドもしくはフラクシングオキサイド前駆体から誘導され得る。
【0016】
本発明に従う組成物は高温へ暴露されると凝集性セラミックプロダクトを形成し得ること、ならびにこのプロダクトは所望の物理的および機械的特性を示すことが、見出された。1050℃を超えない高温での本発明の組成物の暴露後に形成されるセラミックチャー(ceramic char)は、好ましくは、少なくとも0.3MPaの曲げ強度を有する。該組成物が自己支持性(self-supporting)(即ち、それらが、剛性のままであり、そして熱で誘発される分解または流動を受けない)であるということは、顕著な利点である。それらはまた、経験される加熱速度が比較的に速いかまたは遅いかに関わらず、高温暴露に続いて、たとえあったとしてもほとんど収縮を受けない。本発明において使用される所定の遅い燃焼条件(slow firing conditions)へ暴露された典型的な長方形の試験試料は、10%未満、好ましくは5%未満、そして最も好ましくは1%未満の該試料の長さに沿っての線形寸法変化(changes in linear dimension)を受ける。寸法変化はまた、ポリマー成分の熱分解挙動を包含する更なる因子によって影響を受け、そして、最小の固定された寸法(例えば、長方形シート形状試料の厚み(高さ))において最も顕著な効果を有する膨張(パーセンテージ変化に基づいて)を伴って、収縮から膨張(該組成物の分解成分から放出されるガスによって引き起こされる)まで変化し得る。従って、当業者は、予想される加熱条件下である範囲の結果(例えば、線形寸法の顕著な変化が無い、ネットシェイプ保持、5%以下の線形寸法の増加など)を達成するように、該組成物の成分を選択し得る。
【0017】
所望の物理的および機械的特性を有するこのタイプの凝集性プロダクトが1000℃より十分下の温度で形成され得ることは、本発明の組成物の更なる利点である。本発明の組成物は、構造物または構成成分へ耐火性を付与することが望ましい広範囲の用途において使用され得る。従って、該組成物は、受動的防火システムにおいて有用である。
【0018】
燃焼後の本発明の好ましい形態において、フラクシングオキサイドが残渣の2〜10重量%の量で存在し、そして該残渣の重量は、該耐火性組成物の少なくとも40重量%である。従って、燃焼は、60%未満の重量減少を生じさせる。
【0019】
本願出願人は、残渣中に15重量%以上のフラクシングオキサイドレベルを有する組成物は、燃焼条件下で経験され得る高温へ供される場合に収縮によって引き起こされる持続した線形寸法変化を経験することを見出した。防火適用のために、この線形寸法変化は、10%未満そしてより好ましくは5%未満、そして最も好ましくは1%未満であることが好ましい。従って、残渣中のフラクシングオキサイドの量は、該組成物または該組成物から形成される物品が防火定格温度(fire rating temperature)での所定の適用についての所望の線形寸法変化制限を満足することを確実にするように、調節される。前述のように、ケーブルの防火定格についての基準は、国によって異なるが、一般的に、15分、30分、60分および2時間のような特定時間の間、所定の様式で、650°、750°、950°、1050°のような温度へのケーブルの加熱に基づいている。
【0020】
該組成物は防火定格温度に曝されると自己支持性多孔質セラミック(典型的に、20vol%〜80vol%の多孔性を有する)を形成することが要求されるので、該組成物が溶融しないことが必須である。本発明の文脈において、溶融(fuse)とは、該組成物中で作製される液相が連続相になること、および/または反応するミネラルシリケートフィラー粒子(例えば、雲母)がそれらの元の形態を大きく失うこと、および/または作製される液相の量がセラミックをそれ自体の重量に起因して変形させるに十分なものとなることを意味する。残渣のフラクシングオキサイド含有量の上限は、暴露の上限温度未満で該組成物の溶融が生じることを回避するために、15重量%である。従って、得られるセラミックにおいて、反応するミネラルシリケート粒子(例えば、雲母粒子)は本質的にそれらの形態を維持しており、他の粒子との“結合”の結果として端部が少し変化しているだけである。
【0021】
本発明の組成物は、必須成分として、有機ポリマーを含む。有機ポリマーは、ポリマーの主鎖として有機ポリマーを有するものである。例えば、シリコーンポリマーは、有機ポリマーではないと考えられる;しかし、それらは、副成分として、有機ポリマーと有効に混合され得、そして、それらが熱的に分解される際に微細な粒度を有する二酸化珪素源(これは、セラミックの形成を補助する)を有利に提供する。有機ポリマーは、任意のタイプのもの、例えば、熱可塑性ポリマー、熱可塑性エラストマー、架橋エラストマーまたはゴム、熱硬化性ポリマーであり得る。有機ポリマーは、一緒に反応して上述のタイプの少なくとも1つの有機ポリマーを形成し得る、試薬、プレポリマーおよび/またはオリゴノマーを含む前駆体組成物の形態で存在し得る。
【0022】
有機ポリマー成分は、2以上の異なる有機ポリマーの混合物またはブレンドを含み得る。
【0023】
好ましくは、有機ポリマーは、良好な加工性および機械的特性を保持しながら、高レベルの無機添加剤(例えば、シリケートミネラルフィラー)を収容し得る。本発明によれば、該耐火性組成物中に高レベルの無機フィラーを含むことが望ましく、何故ならば、このような組成物は、より低いフィラー含有量を有する組成物と比較した場合、炎への暴露における減少した重量損失を受ける傾向にあるためである。比較的高い濃度のシリケートミネラルフィラーを装入された組成物は、従って、熱の作用によってセラミック化(ceramified)される際に収縮しそして亀裂が入る可能性がより低い。特定範囲のフラクシングオキサイドの本発明の組成物中における存在はまた、この点で寄与すると考えられる。
【0024】
選択された有機ポリマーは、燃焼状況において遭遇する(encountered)高温へ曝される場合、その分解前に流動または融解しないことがまた、有利である。最も好ましいポリマーは、耐火性組成物が形成されてしまった後に架橋されるもの、あるいは、熱可塑性であるが高い融点を有しそして/または分解してそれらの融点付近でチャー(char)を形成するものを含む;しかし、これらの特性を有しないポリマーもまた使用され得る。好適な有機ポリマーは、市販されており、または公知の技術の適用または改変によって作製してもよい。使用され得る好適な有機ポリマーの例としては、以下が挙げられるが、特定の有機ポリマーの選択はまた、該耐火性組成物に含まれる追加成分、該組成物が作製されそして適用される様式、ならびに該組成物の意図される使用のようなものによって影響を受けることが理解される。
【0025】
示されるように、本発明との使用のために好適である有機ポリマーは、熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマー、および(熱可塑性)エラストマーが挙げられる。このようなポリマーは、ポリオレフィン、ビニルポリマー、アクリリックおよびメタクリリックポリマー、スチレンポリマー、ポリアミド、ポリイミド、エポキシド、ポリオキシメチレンアセタール、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリエステル、フェノール樹脂およびメラミン−ホルムアルデヒド樹脂のホモポリマーおよびコポリマーを含み得る。
【0026】
例示として、使用のために好適な熱可塑性ポリマーの例は、ポリオレフィン、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリアミド(ナイロンを含む)、ポリエステル、ポリスチレン、ポリウレタンおよびビニルポリマーを含む。好適なビニルポリマーとしては、ポリ(塩化ビニル)(PVC)およびポリ(ビニルアセテート)(PVAc)が挙げられる。好適なポリオレフィンとしては、アルキレンのホモポリマーまたはコポリマーが挙げられる。好適なポリアルキレンの具体例としては、以下のオレフィンのポリマーが挙げられる:エチレン、プロピレン、ブテン−1、イソブチレン、ヘキセン−1、4−メチルペンテン、ペンテン−1、オクテン−1、ノネン−1およびデセン−1。これらのポリオレフィンは、当該分野において周知であるように、過酸化物、有機金属錯体触媒(organometallic complexing catalysts)、チーグラー−ナッタまたはメタロセン触媒を使用して作製され得る。2以上のこれらのオレフィンのコポリマー、例えば、エチレン−プロピレンコポリマーおよびターポリマー(例えば、EPDM)、エチレン−ブテン−1コポリマー、エチレン−ヘキセン−1コポリマー、エチレン−オクテン−1コポリマーおよびエチレンと1以上の上述のオレフィンとの他のコポリマーもまた使用され得る。オレフィンはまた、ビニル、アクリリックまたはジエン化合物のような他のモノマー種と共重合され得る。好適なエチレンベースのコポリマーの具体例としては、エチレン−ビニルアセテート(EVA)、エチレン−アルキルアクリレート、好ましくはエチレン−エチルアクリレート(EEA)またはエチレン−ブチルアクリレート(EBA)およびエチレン−フルオロオレフィン性モノマー、例えば、エチレン−テトラフルオロエチレン(ETFE)が挙げられる。
【0027】
熱可塑性ポリオレフィンはまた、上述のホモポリマーまたはコポリマーの2以上のブレンドであり得る。例えば、該ブレンドは、上記システムの1つと、ポリプロピレン、ポリブテン−1および極性モノマー−含有オレフィンコポリマー(polar monomer-containing olefin copolymers)の1つ以上との均一混合物であり得る。好ましくは、極性モノマー含有オレフィンコポリマーは、エチレンとアクリリックもしくはビニルモノマーの1以上とを含む;例えば、エチレン−アクリル酸コポリマー、エチレン−アルキルアクリレートコポリマー、好ましくは、エチレン−メチルアクリレート、エチレン−エチルアクリレートまたはエチレン−ブチルアクリレートコポリマー、エチレン−ビニルコポリマー、好ましくは、エチレン−ビニルアセテート、ならびにエチレン−アクリル酸/アクリル酸エチルおよびエチレン−アクリル酸−酢酸ビニルターポリマー。
【0028】
好適なエラストマーとしては、種々のゴム組成物、例えば、天然ゴム(NR)、ブチルゴム(IIR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、エチレン−プロピレンターポリマーゴム(EPDM)、エピクロロヒドリンゴム(ECH) ポリクロロプレン(CR)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)およびクロリネートポリエチレン(CM)を含み得る。好適な熱可塑性エラストマーとしては、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)およびスチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン(SEBS)が挙げられ得る。
【0029】
好適な熱硬化性ポリマーは、フェノール樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ウレタン樹脂、アクリリック樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂およびビニルエステル樹脂を含み得る。熱硬化性樹脂は、当該分野において周知である方法によって作製され得る。
【0030】
有機ポリマーは、モノマー、プレポリマーまたは反応性出発化合物のインサイチュ重合ならびに好適な反応性中間体の架橋または硬化を含むがこれらに限定されない多数の手段によって、該組成物中に調製され得る。好適なモノマー、プレポリマーおよび反応性化合物の具体例としては、アクリレート、ウレタン、エポキシド、ビニルエステル、フェノール、ホルムアルデヒド、無水物およびアミンが挙げられる。硬化剤(curing additives)がまた、熱硬化性ポリマーの生成を補助するために添加され得る。
【0031】
有機ポリマーはまた、好適な組成物を作製するために、好適な溶媒に溶解されても、または水に分散された形態であっても、あるいは水中のエマルジョンもしくはディスパージョンとして調製されてもよい。エマルジョンはまた、油中水型であり得る。本発明において使用され得る水ベースのディスパージョンまたはエマルジョンとして商業的に入手できる広範の有機ポリマーおよびコポリマーが存在する;例えば、アクリリック、ポリウレタン、EVA、ビニルエステルポリマー(ポリ(ビニルアセテート)を含む)、SBR。
【0032】
有機ポリマーに基づくコーティングおよびシーラント(sealants)は、溶媒、エマルジョンまたはディスパージョンを含む多数の手段によって調製され得る。例えば、本発明の組成物は、水または好適な溶媒に溶解または分散されて、次いで塗布され得る。塗布後、混合物は乾燥され得、そして溶媒は蒸発され得る。ポリマーが熱硬化性ポリマーである場合、乾燥工程は、硬化剤と共に反応性中間体の硬化を補助し、要求されるコーティングまたはシーラントを形成し得る。
【0033】
ケーブルのためのコーティングを作製することにおける使用のために特によく適している有機ポリマーは、任意の密度の、市販の熱可塑性および架橋化オレフィンベースポリマー、コ−およびターポリマーである。重要なコモノマーは、当業者に周知である。特に重要なのは、890〜960kg/リットルの密度を有する市販の熱可塑性および架橋化ポリエチレン、このクラスのエチレンとアクリリック、ビニルおよび他のオレフィンモノマーとのコポリマー、エチレン、プロピレンおよびジエンモノマーのターポリマー、いわゆる熱可塑性加硫物(thermoplastic vulcanisates)(ここで、1つの成分は架橋されており、連続相は熱可塑性である)ならびにこの改変物であり、ここで、全てのポリマーは、熱可塑性であるかあるいは過酸化物、放射(radiation)またはいわゆるシランプロセスによって架橋されている。
【0034】
本発明の組成物は、押出し成形(他の成分との共押出し成形を含む)によってまたは1以上のコーティングの適用によって、1つの導電素子または複数の素子について形成され得る。
【0035】
述べられるように、選択される有機ポリマーは、該組成物の意図される使用に部分的に依存する。例えば、特定の用途において、ある程度の可撓性が該組成物に要求され(例えば、電気ケーブルコーティングにおいて)、そして有機ポリマーは、添加剤と共に装入される場合その特性に基づいて適宜に選択される必要がある。また、有機ポリマーを選択することにおいて、ポリマーの分解時に生成され得る有毒または毒性ガスを考慮すべきである。このようなガスの生成は、他のものよりも特定の用途においてより許容され得る。好ましくは、使用される有機ポリマーはハロゲンフリーである。
【0036】
ポリマーベース組成物はまた、有機ポリマーではない少なくとも1つの他のポリマーを含み得る。
【0037】
従って、本発明の組成物はまた、更なる成分が分散されているポリマーベース組成物として有機ポリマーと組み合わせてシリコーンポリマーを含み得る。
【0038】
使用される場合、シリコーンポリマーの性質は特に重要ではなく、そして当業者は、有機ポリマーに関連して上述した種々の問題(例えば、相溶性)について注意されるべきであるが、使用され得るポリマーのタイプについて理解する。有用なシリコーンポリマーは、US 4,184,995、US 4,269,753、US 4,269,757およびUS 6,387,518を含む先行技術において詳細に記載されている。より詳細な例示のために、シリコーンポリマーは、以下の式の単位から構成されるオルガノポリシロキサンであり得る:
【0039】
【数1】

【0040】
式中、
Rは、同一であってもまたは異なっていてもよくそして置換されていないまたは置換されている炭化水素基であり、rは、1、2、3または4でありそして1.9〜2.1の平均数値を有する。
【0041】
炭化水素基Rの例は、アルキル基、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチルおよびヘキシル基(例えば、n−ヘキシル)、ヘプチル基(例えば、n−ペプチル)、オクチル基(例えば、n−オクチル、およびイソオクチル基、例えば、2,2,4−トリメチルペンチル)、ノニル基(例えば、n−ノニル)、デシル基(例えば、n−デシル)、ドデシル基(例えば、n−ドデシル)、オクタデシル基(例えば、n−オクタデシル);シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルならびにメチルシクロヘキシル基);アリール基(例えば、フェニル、ビフェニル、ナフチルおよびアントリルおよびフェナントリル);アルカリール基(例えば、o−、m−またはp−トリル基、キシリルおよびエチルフェニル基);ならびにアラルキル基(例えば、ベンジルならびにα−およびβ−フェニルエチル)である。
【0042】
置換されている炭化水素基Rの例は、ハロゲン化アルキル基、例えば、3−クロロプロピル、3,3,3−トリフルオロプロピルおよびペルフルオロヘキシルエチル、ならびにハロゲン化アリール、例えば、p−クロロフェニルおよびp−クロロベンジルである。
【0043】
基Rは、好ましくは、水素原子または1〜8の炭素原子を有する炭化水素基(好ましくは、メチル)である。基Rの他の例は、ビニル、アリル、メタリル(methallyl)、1−プロペニル、1−ブテニルおよび1−ペンテニル、ならびに5−ヘキセニル、ブタジエニル、ヘキサジエニル、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキセニル、エチニル、プロパルギルおよび1−プロピニルである。基Rは、好ましくは、2〜8炭素原子を有するアルケニル基(特に、ビニル)である。
【0044】
該ポリマーの末端基は、トリアルキルシロキシ基、例えば、トリメチルシロキシまたはジメチルビニルシロキシ基、あるいは1以上のアルキル基がヒドロキシまたはアルコキシ基で置換されている誘導化基であり得る。
【0045】
シリコーンポリマーは架橋性であり得る。該架橋性ポリマー(crosslinkable polymer)は、市販のオルガノポリシロキサンポリマーについて使用される方法[鎖間でのエチレン性架橋の形成を介しての過酸化物でのフリーラジカル架橋、ケイ素に結合されたアリルまたはビニル基とシリルヒドリド基との反応を含む付加反応、Si−O−Si架橋を生成するシラノールの反応を含む縮合反応、あるいは他の反応性基を使用することを含む]のいずれか1つによって架橋され得るものであり得る。従って、使用されるシリコーンポリマーのタイプに依存して、該組成物は、好適な架橋剤を更に含む。好適な架橋剤は市販されており、例えば、この用途における使用に好適な広範囲の有用な過酸化物[例えば、過酸化ジベンゾイル、過酸化ビス(2,4−ジクロロベンゾイル)、過酸化ジクミルまたは2,5−ビス(tert−ブチルポロキシ)−2,5−ジメチルヘキセンあるいはまたこれらの混合物]が存在し、そして好適である場合、それらは配合プロセスの間に該組成物中に含められ得る。
【0046】
ケーブル絶縁に特に好適なシリコーンポリマータイプは、シリコーンポリマーが高分子量のものであってそして白金触媒付加反応または過酸化物開始化フリーラジカル反応のいずれかを介しての架橋のために熱を必要とするビニル側鎖を有する場合である。これらのシリコーンポリマーは、主要なシリコーン製造業者から広く市販されている。
【0047】
オルガノポリシロキサン材料はまた、沈降もしくは熱分解法シリカのような補強フィラーおよび/または非補強フィラーを含み得る。更に、これらシリカタイプフィラーの表面は、直鎖または分枝鎖オルガノポリシロキサン、オルガノ−クロロシランおよび/またはヘキサメチルジシラザンによって修飾され得る。
【0048】
有機ポリマーは、少なくとも50重量%の量でポリマーベース組成物中に存在する。これは、全体的組成物(overall composition)の加工性(processability)への損害無しに、追加の成分でのポリマーベース組成物のローディング(loadings)を促進する。述べられるように、ポリマーベース組成物は、シリコーンポリマーを含み得る。しかし、この場合、有機ポリマーは、通常、シリコーンポリマーと比較して有意に過剰に、ポリマーベース組成物中に存在する。従って、ポリマーベース組成物において、有機ポリマーのシリコーンポリマーに対する重量比は、5:1〜2:1、例えば4:1〜3:1であり得る。重量パーセンテージの点で、存在するならば、シリコーンポリマーは、一般的に、配合された耐火性組成物(formulated fire resistant composition)の総重量に基づいて2〜15重量%の量で存在し得る。有機およびシリコーンポリマーの組合せが使用される場合、高濃度のシリコーンポリマーは加工問題(processing problems)を示し得、そしてこれは、本発明に従う組成物を処方する際に考慮されるべきである。
【0049】
耐火性組成物中のポリマーベース組成物の量についての上限は、配合された組成物の所望の特性によって影響を受ける傾向にある。ポリマーベース組成物の量が全体的組成物の約60重量%を超える場合、凝集性の堅い残渣が燃焼状況の間に形成されることはありそうにない。従って、ポリマーベース組成物は、一般的に、配合された耐火性組成物の10〜60重量%、好ましくは20〜50重量%を形成する。
【0050】
本発明に従う組成物はまた、必須成分としてシリケートミネラルフィラーを含む。このようなフィラーとしては、典型的に、アルミノシリケート(例えば、カオリナイト、モンモリロナイト、ピロフィライト(pyrophillite)−クレイ(clays)として一般的に公知)、アルカリアルミノ−シリケート(例えば、雲母、長石、黝輝石、葉長石)、珪酸マグネシウム(例えば、タルク)および珪酸カルシウム(例えば、珪灰石)が挙げられる。2以上の異なるシリケートミネラルフィラーの混合物が使用され得る。このようなフィラーは市販されている。二酸化珪素(シリカ)は、本発明の文脈においてシリケートミネラルフィラーではない。
【0051】
シリケートミネラルフィラーは、本発明の組成物中に存在する他の材料とのその相溶性を増強するために、シランカップリング剤で表面処理され得る。
【0052】
本発明の組成物は、少なくとも15重量%、好ましくは少なくとも25重量%そしてより好ましくは少なくとも55重量%のシリケートミネラルフィラーを含む。この成分の最大量は、該組成物の加工性によって影響を受ける傾向にある。非常に高いレベルのフィラーは、ブレンドされた組成物の形成を困難にし得る。通常、シリケートミネラルフィラーの最大量は、約80重量%である。使用されるシリケートミネラルフィラーの量およびタイプはまた、燃焼条件下で経験される高温で該組成物を加熱することによって形成される残渣中に特定範囲のフラクシングオキサイドを有するという要件によって影響を受ける。説明されるように、フラクシングオキサイドは、フラクシングオキサイドを該フィラー粒子の表面で利用可能とするために、特定タイプのシリケートミネラルフィラー(例えば、雲母)を加熱することによって高温でインサイチュで生成され得る。従って、あるいは、フラクシングオキサイドは、シリケートミネラルフィラー以外の供給源由来であり得る。後で説明されるように、フラクシングオキサイドは、高温で凝集性プロダクトの形成を補助する“接着剤”として機能すると考えられる。フラクシングオキサイドは、フィラー粒子のエッジでの結合フラックス(binding flux)を提供すると考えられる。シリケートミネラルフィラーの高い割合の存在は、セラミックが高温で形成される際、および該セラミックの冷却において、低い収縮およびクラッキングを示す可能性が高い組成物を生じさせる。
【0053】
本発明の組成物はまた、必須成分としてフラクシングオキサイド(fluxing oxide)を含む。これによって、それは、1000℃未満で自然に融解するか、あるいはシリケートまたは他の無機成分と反応して約1000℃未満の温度で融解する酸化物を意味する。このような液相の生成、ならびに生成される量は、高温での暴露に続いて特性の所望の組み合わせを有するセラミック構造物を生成することにおいて、重要な役割を果たす。示されるように、フラクシングオキサイドは、特定のシリケートミネラル粒子(例えば、雲母)を加熱することによって生成され得、該フラクシングオキサイドを該粒子の表面上で利用可能にさせる。あるいは、または更に、フラクシングオキサイドまたはその前駆体は、該組成物へ添加され得る。
【0054】
理論によって拘束されることを望まないが、本発明に従う組成物は、フラクシングオキサイドが、シリケートミネラルフィラー粒子および/または該組成物中に存在するかまたはその分解から形成される他の無機粒子の界面で共晶組成物を局所的に形成するフラクシングオキサイドの結果として、高温への暴露後に凝集性セラミックプロダクトを形成すると考えられる。これらの無機粒子としては、他のシリケートミネラル、および場合によっては二酸化珪素(シリケートミネラルフィラーを加熱することから誘導されるか、更なるフィラーとして添加されるか、および/またはシリコーンポリマーもしくは任意のシリコーン添加剤の熱分解によって生成される)が挙げられる。フラクシングオキサイドが別個の成分として該組成物へ添加される場合、共晶が、フラクシングオキサイドと接触する反応性粒子との間の界面で形成する。通常、シリケートミネラルフィラー、および任意の更なる無機成分は、各々、非常に高い融点を有する。しかし、フラクシングオキサイドの存在は、これらの界面で共晶を生じさせ得、より低い温度で融解させる。フラクシングオキサイドは、シリケートミネラルフィラーと存在する他の無機成分との間で“架橋(bridge)”として作用し得る共晶の形成を生じさせる。これは、該組成物の分解産物、シリケートミネラルフィラー、および存在する場合、他の成分を“結合させる”ことを補助すると考えられる。この様式において、凝集性セラミックプロダクトの形成は改善され、そして、比較的強い多孔性セラミック材料を形成するために要求される温度を低下させることが可能となる。該組成物における共晶形成および融解の程度を制御して、収縮ならびに加熱された材料における溶融伝導性経路の作製を制御することが非常に重要である。
【0055】
本発明に従う組成物は、自己支持性であってそして炎での高温への暴露に続いて制限された(そして好ましくは、全く無い)収縮を受ける凝集性多孔性セラミックプロダクトを生成し得る。
【0056】
一般的に、フラクシングオキサイド添加剤は、特性の所望の組合せを有するセラミックプロダクトを形成するように記載される様式で機能し得る化合物であり得る。しかし、実際には、フラクシングオキサイドは、酸化ホウ素あるいはリチウム、カリウム、ナトリウム、リン、およびバナジウムの酸化物から選択される金属酸化物であるようである。述べられるように、フラクシングオキサイドは、特定のシリケートミネラルフィラー(例えば、雲母)を加熱することによって生成され得、それは、別個に添加され得るか、あるいはフラクシングオキサイドの前駆体(例えば、該金属酸化物への金属水酸化物または金属炭酸塩前駆体)、即ち、炎において遭遇しそうである高温の種類での暴露に続いてフラクシングオキサイドを生成する化合物を本発明の組成物中に含むこともまた可能である。その場合、フラクシングオキサイドは、該前駆体の熱分解によって形成されるようである。同様に、無水ホウ酸(boric oxide)がフラクシングオキサイドとして使用される場合、それは、好適な前駆体化合物から誘導され得る。ボレート、および特にホウ酸亜鉛は、無水ホウ酸(boric oxide)のための有用な前駆体を提供する。
【0057】
酸化鉛および酸化アンチモンがフラクシングオキサイドとして使用され得るが、それらの毒性に起因してそれらは健康および安全問題を構成し得るので、通常、本発明の組成物は鉛およびアンチモンを含まない。
【0058】
フラクシングオキサイド前駆体はガラスであり得、そして種々のガラスが使用され得る。しかし、電気的絶縁を維持するために、該フラックス(flux)中の低いアルキル金属含有量が望ましいことが注意されるべきである。ガラスは、粉末または繊維のような種々の形態をとり得る。これらの1以上の混合物が使用され得る。好ましい形態はガラス粉末またはフリット(frit)である。形態に関係なく、ガラス添加物(glass additive)は、好ましくは、1000℃未満、例えば800℃未満、そして最も好ましくは300〜800℃の軟化点を有する。ガラスの軟化点は、ガラスの粘度が107.6ポアズに等しくなる温度によって規定される。ガラス添加物は、シリケート、ボレートおよび/またはホスフェートガラス系の1つまたはそれらの組合せであり得る。好適なガラス添加物は市販されている。
【0059】
説明されるように、1以上のシリケートミネラルフィラーが、高温での暴露に続いてフラクシングオキサイドを与えることが、全く可能である。1つの実施形態において、フラクシングオキサイドの全てが、シリケートミネラルフィラーから誘導される。別の実施形態において、フラクシングオキサイドは、シリケートミネラルフィラーおよび別の供給源から誘導され、そしてこれは、フラクシングオキサイドがシリケートミネラルフィラーの粒子内部およびこのような粒子の外部から提供されることに起因して、高温で形成される構造物の点で利点へと導き得る。更なる実施形態において、フラクシングオキサイドは、シリケートミネラルフィラーおよび添加される無水ホウ酸(boric oxide)または無水ホウ酸の供給源(例えば、ホウ酸亜鉛)から誘導される。更なる実施形態において、フラクシングオキサイドは、シリケートミネラルおよび添加されたガラスから誘導される。なお別の実施形態において、フラクシングオキサイドは、シリケートミネラル 添加ガラスおよび無水ホウ酸または無水ホウ酸の供給源から誘導される。なお更なる実施形態において、フラクシングオキサイドは、シリケートミネラルフィラー以外の供給源から誘導される。
【0060】
1つの実施形態において、該組成物は、異なる温度で液相を形成する少なくとも2つの異なるフラクシングオキサイドを含む。これは、チャー完全性(char integrity)を増強し得、ならびに広い温度範囲にわたって必要とされるように該組成物が機能することを確実にする。
【0061】
該組成物は、形成される残渣が1〜15%、そして好ましくは1〜10%、より好ましくは2〜8%のフラクシングオキサイドを、このオキサイドの供給源に関係なく、含有するように配合されるべきである。換言すれば、15重量%が、残渣に存在すべきフラクシングオキサイドの最大量である。フラクシングオキサイドがシリケートミネラルフィラーまたは前駆体(例えば、ホウ酸亜鉛)または他の添加剤から誘導される場合、フラクシングオキサイドの量は、この成分が高温で生成するフラクシングオキサイドの最大量に基づいて算出され得る。この算出は、例えば、シリケートミネラルフィラー、ホウ酸塩および他の添加剤中に存在しそして対応のフラクシングオキサイドの形成を理論上生じ得る元素(例えば、ホウ素、リン、リチウム、ナトリウム、カリウムおよびバナジウム)の総量に基づく。収縮を最小限にするために、フラクシングオキサイドの量は、火災において遭遇される高温の種類への暴露時の、凝集性セラミックプロダクトの形成を可能にするに必要なできるだけ低いことが好ましい。また、該組成物が加熱された場合、該フィラーの物理的形態が収縮の程度に影響を与え得ることが見出された。より詳細には、大きなプレート状粒子から構成されるフィラーは、より少ない収縮そして従って線形寸法のより低いパーセンテージ変化を与えることが見出された。
【0062】
好ましくは、本発明の組成物は、フラクシングオキサイドの好適な供給源である少なくとも1つのシリケートミネラルを含む。雲母はこの要件を満たしそして更なる利点を提供し、何故ならば、それはまた、それを好ましい成分にするプレート形態で入手可能であるためである。市販の雲母の2つ最も一般的なクラスは、白雲母および金雲母であり、従ってこれらは本発明において典型的に使用される。白雲母は、ジオクタヘドラル・アルカリアルミニウムシリケートである。白雲母は、カリウムイオンの層によって共に弱く結合されたアルミニウムシリケートシートの層状構造を有する。それは以下の組成を有する:KAlSi10(OH)。金雲母は、トリオクタヘドラル・アルカリアルミニウムシリケートである。金雲母は、カリウムイオンの層によって共に弱く結合されたマグネシウムアルミニウムシリケートシートの層状構造を有する。それは以下の組成を有する:KMgAlSi10(OH)。両方の雲母タイプは、典型的に、鋭い形状の端部を有する薄いプレートまたはフレークの形態で存在する。
【0063】
本発明の組成物は、高温へ暴露された結果として二酸化珪素を含有し得る。例えば、この二酸化珪素は、シリケートミネラルフィラーを加熱することから誘導され得る。それはまた、ポリマーベース組成物中に含まれる場合、シリコーンポリマーの熱分解から生じ得る。シリカもまた別個のフィラー成分として添加され得る。
【0064】
ミネラルシリケートフィラーに加えて、広範な他の無機フィラーが添加され得る。好ましい無機フィラーは、二酸化珪素、ならびにカルシウム、鉄、マグネシウム、アルミニウム、ジルコン、亜鉛、錫およびバリウムの金属酸化物(好ましくは、微細な粉末として添加される)、あるいは、それらが熱分解する際にこれらの酸化物を生成する無機フィラー(例えば対応する炭酸塩及び水酸化物)であり、何故ならば、これらの酸化物は、他の無機成分を1000℃未満で反応させおよび/または焼結して、自己支持性セラミックの形成を助け得るためである。
【0065】
また、1000℃未満で融解しない無機繊維(アルミノシリケート繊維を含む)が混合され得る。これは、高温での寸法変化の減少および/または得られるセラミックの改善された機械的特性に至り得る。
【0066】
通常、高温での(1000℃への)暴露後、残っている残渣は、一般的に、熱分解前の組成物の、少なくとも40重量%、好ましくは少なくとも55重量%、そしてより好ましくは少なくとも70重量%を構成する。より多い量の残渣が好ましく、何故ならば、これは、粒子のより良好な機械的インターロッキング(interlocking)および収縮への減少された傾向によって全ての温度でのチャー(セラミック)強度を改善し得るからである。
【0067】
示されるように、本発明の組成物から形成されるセラミックの機械的特性は、該組成物中に低レベルの無水ホウ酸または高温で無水ホウ酸を生成するその前駆体(例えば、ホウ酸亜鉛)を含めることによって増強され得ることがまた見出された。しかし、この場合、無水ホウ酸および他のフラクシングオキサイドの総量は、1000℃で30分間該組成物を加熱した後に得られる残渣の重量の15%を超えない。
【0068】
該組成物への添加前に焼成することによってフィラー(例えば、クレイ)からの揮発性分解産物を除去することは、本発明の組成物が高温で加熱される際の収縮を減少させることがまた見出された。これは、高温へ暴露される際の該組成物の質量変化および線形寸法変化を減少させるに役立つと考えられる。
【0069】
説明されるように、好ましくは、該組成物は、火災において遭遇されそうな温度の種類への暴露後に最小の線形寸法変化を示す。これによって、本発明に従う組成物から形成されるプロダクトにおける最大線形寸法変化は、10%未満、好ましくは5%未満、そして最も好ましくは1%未満であることが意味される。いくつかの場合において、ネットシェイプ保持(net shape retention)は、最も好ましい特性である。
【0070】
本発明に従う組成物はまた、電気ケーブルにおける使用のために必要とされる高温での電気的絶縁特性を示し得る。本質的に、これは、材料の電気抵抗が、室温ではより低いが、通常の作動電圧が材料の絶縁抵抗を超えそして短絡を引き起こし得るポイントまでは降下しないことを意味する。
【0071】
本発明の組成物はまた、好ましくは、毒性に起因する健康および安全問題を構成し得る他のエレメントを含まない。従って、該組成物は好ましくはハロゲン化合物を含まない。
【0072】
ケーブル適用について、該組成物の電気抵抗率が重要である場合には、存在するアルカリイオンのレベルは注意深く選択されなければならず、何故ならば、それらは高温で電気伝導性を引き起こし得るためである。例えば、所定の組成物において、雲母のレベルが高すぎる場合には、電気的完全性(electrical integrity)問題が、該組成物が長期間高温に供された場合の誘電破壊からおよび/または該組成物の電気抵抗率の許容し難い減少に起因して生じる。高温で、例えば雲母からのアルカリ金属イオンは、伝導性経路(conductive pathways)を提供する傾向にあり、雲母のレベルを制限する必要性が生じる。
【0073】
好ましい形態において、該組成物は、請求項1に記載の耐火性組成物を含み、ここで:
20〜75重量%の前記ポリマーベース組成物(ここで、該組成物は、更にシリコーンポリマーを含む);
少なくとも15重量%の無機フィラー(該無機フィラーは、雲母およびガラス添加物を含む);そして
ここで、前記残渣中のフラクシングオキサイドはガラスおよび雲母から誘導され、ここで、雲母:ガラスの割合は20:1〜2:1の範囲内である。有機フィラーは、総組成物の10〜30重量%の雲母および総組成物の20〜40重量%の追加の無機フィラーを含み得る。
【0074】
本発明の1実施形態において、本発明の組成物中に比較的高濃度のフラクシングオキサイドを有することは、該組成物がセラミック化され(高温で)そして冷却される際のガラス状表面層(glassy surface layer)の形成に至り得ることが見出された。望ましくは、この表面層は、形成されるセラミック層に改善された耐水性を与えることが判った。該表面層はまた、得られるセラミックを、ガスおよび煙の通過に対してのより効率的なバリアにし得る。このような表面層の形成、および関連する増強された耐水性は、特に、電気ケーブル用途において有利であり、何故ならば、セラミックを通っての(炎をクエンチするために使用される)水の侵入は、短絡へ至る可能性が高いためである。当然ながら、高レベルのガラス相の潜在的な有害な効果(収縮および導電性)が考慮されなければならない。該組成物がセラミックを形成する際にガラス状表面層を形成するために必要とされるフラクシングオキサイドの量は、層厚み(下記を参照のこと)および該組成物中に存在する他の成分に依存して変化し得る。しかし、一般的に、フラクシングオキサイドレベルは、望ましくは、1000℃で30分間該組成物を加熱した後に得られる残渣の5%を超える。加熱された組成物中に存在するガラス相の総量は、単一供給源または1を超える供給源から誘導され得る。例えば、ガラス相は、同一または異なるタイプのガラスのガラスフリット、繊維および/または粒子から主に誘導され得る。同様の効果が、比較的高い濃度の雲母、例えば約25重量%を使用することによって観察され得、何故ならば、これもまた加熱の間に十分な液相の形成に至り得るからである。
【0075】
ガラス状表面層(スキン)が形成される機構は、明確には理解されないが、ガラス流(glass flow)が(高密度)ガラス状表面層を形成するために明らかに必要とされる。これは、ガラス添加物および/または他の供給源からのフラクシングオキサイドによって形成される液相の溶融温度は、セラミック形成温度でいくらかの流動が可能となるように選択されなければならないことを意味する。異なる融点を有する種々のガラス相を混合してスキン形成(skin formation)および所望の機械特性を達成することが、望ましいかもしれない。ガラス状表面層の形成のための機構は、溶融ガラスとその局所環境との間の表面張力効果に関連し得る。形成されるセラミックの表面へのガラスの移動または凝集についての1つの可能な説明は、ガラス/大気界面での表面エネルギーが、溶融ガラスと該組成物のバルク(bulk)との界面でのエネルギーのそれよりも低いということである。そうであるので、溶融ガラスはより低いエネルギー界面へ移動する。
【0076】
該組成物の厚みは、耐水性表面層の形成に対して影響を有し得ることが見出された。これは体積効果に起因すると考えられ、該組成物の厚みがより厚くなる場合、より多いガラス(および/または雲母)が適切に厚い表面層の形成のために利用可能となる。実際に、より厚い組成物のサンプルは、同一組成物のより薄いサンプルよりも、より耐水性の高い表面層を生成することが観察された。
【0077】
耐水性はまた、1000℃で融解しない無機繊維の添加によって改善され得る。アルミノ−シリケート繊維が好ましく、そして10重量%までのレベルで使用され得る。
【0078】
他の成分が、本発明の組成物へ混合され得る。これらの他の成分としては、潤滑剤、可塑剤、不活性フィラー(例えば、他の無機成分と反応および/または焼結し得る金属酸化物あるいはそれらの前駆体ではないフィラー)、抗酸化剤、難燃剤、繊維補強材料(fibre reinforcing materials)、熱伝導性を減少させる材料(例えば、膨張バーミキュライト(exfoliated vermiculite))、化学的発泡剤(これは、密度を減少させること、熱的特性を改善させること、および更にノイズ吸収(noise attenuation)を増強させることに役立つ)、および膨張材料(intumescing materials)(炎または高温への暴露時に膨張する組成物を得るため)が挙げられる。好適な膨張材料としては、天然黒鉛、膨張していないバーミキュライトまたは膨張していないパーライトが挙げられる。膨張前駆体の他のタイプもまた使用され得る。このような更なる成分の総量は、通常、該組成物の総重量に基づいて20重量%を超えない。
【0079】
有機ポリマーを含有する組成物は、考えられるいかなる様式でも調製され得る。これは、他の成分を以下へ添加することを包含する:モノマー(またはモノマーの混合物)、次いでこれを重合する;プレポリマーおよびオリゴマー、次いでこれを鎖伸長(chain extension)および/または架橋反応によって重合する;溶融ブレンドによる熱可塑性ポリマー;分散混合による水性有機ポリマーディスパージョン(ここで、存在する水は、本発明において、該組成物の一部と考えられない);溶媒に溶解されたポリマーの溶液(ここで、存在する溶媒は、本発明の組成物の一部と考えられない);ならびに、熱硬化系、これは引き続いて架橋される。該組成物がどのように調製されるかに関わらず、添加される成分(鉱物フィラー、他の無機成分、および他の有機添加剤)が、該有機ポリマー、該ポリマーを形成するために使用される前駆体と効率的に混合され得ることが必要であり、その結果、それらが得られる組成物に十分に分散され、そして該組成物は、所望の最終製品を製造するために容易に加工され得る。
【0080】
従来の任意の配合装置がまた使用され得る。該組成物が比較的に低い粘度を有する場合、それは分散装置(例えば、塗料工業において使用されるタイプのもの)を使用して処理され得る。ケーブル絶縁適用のために有用な材料は、高粘度(高分子量)のものであり、そして、2本ロールミル(two roll mill)、インターナルミキサー(internal mixers)、二軸押出し機などを使用して加工され得る。添加される架橋剤/触媒のタイプに依存して、該組成物は、液体塩浴(liquid salt bath)を備える連続加硫装置を使用して、高圧蒸気でのオートクレーブ中、200℃の空気への暴露によって、あるいは過酸化物を分解させる任意の媒体(マイクロ波、超音波などを含む)への暴露によって、硬化され得る。
【0081】
本発明の組成物は、耐火性が望まれる多数の用途において使用され得る。例えば、該組成物は、耐火性建築パネル(building panel)を形成するために、あるいはガラス繊維補強化ポリマー複合材の製造において使用され得る。該組成物は、それ自体で、あるいは他の材料の1以上の層と共に使用され得る。
【0082】
本発明の組成物は、以下を含む種々の異なる形態で提供され得る:
1.シート、プロフィールまたはコンプレックス形状として。該組成物は、標準のポリマー加工操作、例えば押出、一次成形(ホットプレッシングおよび射出成形を含む)を使用してこれらのプロダクトに作製され得る。形成されたプロダクトは、受動的防火システムにおいて使用され得る。該組成物は、それ自体で、または別の材料とのラミネートもしくはコンポジット(例えば、合板、バーミキュライトボードまたはその他)として使用され得る。1つの適用において、該組成物は、防火戸のシールを作製するための形状に押出し成形され得る。火災の場合、該組成物は、セラミックに変換されて、従って、炎および煙の蔓延に対して効果的な機械的シールを形成する。
【0083】
2.プレ発泡された(pre-expanded)シートまたはプロフィールとして。この形態は、減少された重量ならびに通常の作動条件中より高いノイズ吸収および絶縁のためのキャパシティーを含む、上記と比較して更なる利点を有する。多孔性が、ガス生成物を生成するための化学的発泡剤の熱分解によって、または硬化前のプロセッシングの間に該組成物へ物理的にガスを注入することによって、該シートまたはプロフィールの製造の間に該材料へ組み込まれ得る。
【0084】
3.熱または炎に曝されると発泡により膨張する、膨張性プロダクト(intumescent product)として。この適用において、該プロダクトは、例えば、壁の間の配管またはペネトレーション(penetrations)の周囲に使用され得る。火災の場合、該プロダクトは、膨張して間隙を満たし、そして効果的な栓を提供して炎の蔓延を防止する。該膨張性材料は、押出し可能なペーストまたは可撓性シールの形態であり得る。
【0085】
4.窓および他の物品のためのシールとして(例えば、従来のシリコーンシーラントのようにチューブから)適用され得るマスチック材料(mastic material)として。
【0086】
5.ブラシを使用して噴霧または適用され得る、塗料、またはエアロゾルベースの材料として。
【0087】
本発明が適用され得る受動的防火適用の具体例としては、フェリー、電車および他の乗り物用の防火壁ライニング(firewall linings)、防火パーティション(fire partitions)、スクリーン、天井およびライニング、構造的防火(structural fire protection)[ビルの構造的金属骨組を絶縁(insulate)して、それが一定期間その必要とされる耐荷重強度(load bearing strength)を維持する(または、コア温度を制限する)ことを可能にすること]、防火戸インサート(fire door inserts)、窓またはドアシール(window or door seals)、膨張性シール(intumescent seals)、あるいはハウスケーブルまたは同様な適用へ使用されるかまたは付属される電気ボックス、フィッティング、ストラップ、トレーなどにおける使用のためのコンパウンドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0088】
別の適用分野は、一般的なエンジニアリングにある。受動的防火特性が必要とされる一般的なエンジニアリングの具体的な領域としては、運送(自動車、航空宇宙、船舶)、防衛(defence)および機械が挙げられる。これらの適用における成分は、完全に又は部分的に炎へ曝され得る。
【0089】
完全に炎へ曝される場合、材料はセラミックバリアへと変化して、それによって、包まれているかまたは隔てられている領域を保護する。部分的に炎へ曝される場合、炎へ曝された材料の部分は、セラミックへと変化し、該セラミックへと変化しなかった周囲の材料によって所定位置に保持されることが望ましいかもしれない。運送領域における適用は、パネル用材(panelling)(例えば、ガラス繊維補強化熱可塑性または熱硬化性複合材における)、排気管、エンジン、ブレーキ、ステアリング、安全装置、エアコン、燃料貯蔵、ハウジングおよび多くの他のものを含み得る。防衛(defence)における適用は、可動性または非可動性の両方の武器、車両、設備、構造物および他の領域を含む。機械における適用は、ベアリング、ハウジングバリアおよび多くの他のものを含み得る。
【0090】
本発明の組成物は、特に、導線のコーティングにおいて有用である。従って、該組成物は、燃焼の場合において回路完全性(circuit integrity)を提供し得る電気ケーブルの製造に好適である。
【0091】
図1および2は、それぞれ、単一および多導線ケーブル1、10を示し、これらは、絶縁層2、または層12を有し、そしてシース層(sheathing layer)4、14を有する。これらのケーブル設計の両方において、絶縁層および/またはシース層は、本発明に従う形成された組成物である。
【0092】
このようなケーブルの設計において、該組成物は、導線の直ぐ上の押出し成形された絶縁体として使用され得るか、および/または絶縁層上の押出し成形されたシース層として使用され得る。あるいは、それらは、マルチコアケーブル(multi-core cables)における隙間フィラー(interstice filler)として、アセンブリに丸みをつけるために該アセンブリに添加された個々の押出し成形されたフィラーとして、ワイヤまたはテープアーマー(armour)の適用前の内層として使用され得る。
【0093】
実際には、該組成物は、典型的に、導線の表面上に押出し成形される。この押出し成形は、従来の装置を使用して従来の様式で行われ得る。絶縁層の厚みは、導線のサイズおよび作動電圧の特定の基準の要件に依存する。典型的に、絶縁体は、0.6〜3mmの厚みを有する。例えば、0.6/1kVで評価される35mm導線について、オーストラリアの基準は、約1.2mmの絶縁体厚みを必要とする。述べられるように、本発明に従う組成物は、高温で、優れた熱的および電気的絶縁特性を示し得る。使用される場合、このような組成物は、上品にシンプルな設計のケーブルが製造されることを可能にし、何故ならば、電気的絶縁特性を付与するために別の層を次いで含める必要が無いためである。この局面によれば、本発明は、導線上に直接提供された本発明に従う好適な組成物からなる電気ケーブルを提供する。ケーブルは、耐切断性層(cut-resistant layer)および/またはシース層のような他の層を含んでもよい。しかし、ケーブルは、高温での電気的絶縁を維持するように意図される更なる層を必要としない。
【実施例】
【0094】
実施例
本願明細書および特許請求の範囲は、以下に規定される用語を、それらの測定のための試験方法と共に参照する。これらの特性を測定する試験は、いくつかの実施例においていくらか異なる寸法を有する試料が使用されたが、理想的には試料30mm×13mm×2mm(およそ)において行われるべきである。特性および条件は以下である:
−遅い燃焼条件(Slow firing conditions)。12℃/分の温度上昇速度で、室温から1000℃までテスト試料を加熱し、続いて1000℃で30分間維持すること。これらの条件は、「燃焼条件下で経験される高温への暴露」を代表するものである。
−速い燃焼条件(Fast firing conditions)。テスト試料を1000℃で予め加熱された炉へ配置し、そして30分間その温度で炉を維持すること。これらの条件は、火災において非常に迅速に加熱するシナリオ下で達成され得る暴露を代表する。実施例において、該組成物のいくつかは、これらの燃焼条件へ暴露されており、測定される特性のいくつかに対する異なる燃焼条件の効果を示す。
−線形寸法変化(Change in linear dimension)。試料の長さに沿っての線形寸法の変化。線形寸法変化を測定する方法は、燃焼前と、遅い燃焼条件に供された後の冷却時に、試料の長さを測定することによる。燃焼によって引き起こされる試料の膨張は、正の線形寸法変化として、そして縮小(収縮)は負の線形寸法変化として報告される。それは、パーセンテージ変化として示される。実施例において、線形寸法変化はまた、異なる加熱速度によって引き起こされる効果を比較するために、速い燃焼条件に供された試料についても測定された。
−曲げ強度(Flexural strength)。セラミックの曲げ強度は、遅い燃焼条件下でテスト試料を加熱し、そして冷却時に、0.2mm/分のローディングクロスヘッド速度(loading cross head speed)を使用して18mmのスパン長の3点曲げにより該測定を行うことによって測定される。実施例において、曲げ強度はまた、異なる加熱速度によって引き起こされる効果を比較するために、速い燃焼条件に供された試料についても測定された。
−残渣(Residue)。組成物が燃焼条件下で経験される高温へ供された後に残存する材料。本発明の文脈において、それらの条件は、12℃/分の温度上昇速度で室温から1000℃まで該組成物を加熱し、続いて1000℃で30分間保持して、シミュレートされる。
自己支持(Self supporting)。堅いままでありそして熱誘発変形または流動を受けない組成物。試料を耐火性の長方形断片上に、長軸が該耐火性ブロックの端部に対して垂直でありそして13mm部分が該ブロックの端部から突き出しているように配置して、次いで、遅い燃焼条件下で加熱し、そして冷却された試料を試験することによって測定される。自己支持性組成物は、堅いままであり、そして支持体の端部上に曲がることなく、自己の重量を支持することができる。実施例において、最大加熱温度を変化させることの効果がまた示される。
−ネットシェイプ保持(Net shape retention)。加熱されたとき、形状の実質的な変化を受けない組成物。これは、一部、試験される試料の形状および寸法ならびに使用される燃焼条件に依存する。
−二本ロールミル(two-roll mill)は、実施例1、2、3、4、6、7、8および9に記載される組成物を調製するために使用された。エチレンプロピレンゴムがミル(10〜20℃)上に巻き付けられ(banded)、そして他の成分が添加され、そして分離しそしてそれが該二本ロールのニップを通過する直前に該材料のバンドを再混合することによって分散させた。これらが均一に分散されたら、過酸化物を同様の様式で添加および分散させた。
【0095】
実施例において別に記載されない限り、以下の条件が試料調製について使用された:
必要とされる寸法の平坦で長方形のシート試料を、ゴム/エラストマーを含有するミルした(milled)組成物から、約7MPaの圧力下で30分間170℃で硬化および鋳型成形(moulding)することによって作製した。
【0096】
実施例において使用されたクレイ、タルクおよび雲母の各々100gを1000℃で30分間加熱した後の残渣に寄与するフラクシングオキサイド重量は、それぞれ、1.0g、1.7gおよび11.1gであった。各々の残渣含有量は、それぞれ、86.1g、96.0g、および96.9gであった。実施例において別に記載されない限り、実施例において使用される雲母、クレイおよびタルクの平均粒度は、それぞれ、160μm、1.5μm、および10μm未満であった。
【0097】
実施例1
多数の組成物(表1を参照のこと)を調製しそしてA〜Tと表示した。燃焼後、各々のサンプルは、セラミックチャー(ceramic char)の形態をとった。燃焼から生じる線形寸法変化および形成されるセラミックチャーの曲げ強度を、該サンプルを室温へ冷却した後に、上述のように測定した。表1に示されるサンプルの全てが、ケーブル上の絶縁層および/またはシース層としての使用に好適である。
【0098】
組成物Aは、1つのみの有機ポリマー、シリケートミネラルフィラー、少量のフラクシングオキサイドおよびいくつかの添加剤からなる基本組成物の例である。
【0099】
サンプルBは、チャー形成のためのシリカの供給源である少量のシリコーンポリマーを有する有機ポリマーのブレンドを含む組成物である。この組成物は、別個に添加されたフラクシングオキサイドを含有しない(全てのフラックスがミネラルフィラーから誘導される)。
【0100】
サンプルCは、フラクシングオキサイドの供給源として少量のガラスフリットを含有する組成物を有する。サンプルBおよびCの比較は、フラクシングオキサイドの供給源としての少量のガラスの添加がチャー強度を改善し得るということを示している。
【0101】
サンプルCおよびDの比較は、いくつかのシリケートミネラルフィラー(この場合は、クレイ)が、他のフィラーよりも遥かに高いチャー収縮へと至り得ることを示している。
【0102】
サンプルDおよびEの比較は、より多量のガラスフリットを添加することは、増加された収縮およびチャー強度を生じることを示している。
【0103】
サンプルFおよびGの比較は、プレ焼成(pre-calcining)によるフィラー(例えば、クレイ)からの揮発性分解産物の除去が、チャー強度に対して顕著な悪影響を与えること無しに、チャー収縮を減少させることを示している。
【0104】
サンプルGおよびHの比較は、より多いタルクおよびより少ないクレイが、チャー収縮を減少させるために好ましいことを示している。
【0105】
サンプルAおよびHの比較は、無水ホウ酸の量が同じであれば、無水ホウ酸の効果は、使用される供給源(ホウ酸亜鉛または無水ホウ酸)のタイプと無関係であることを示している。これはまた、ホウ酸亜鉛によって導入される酸化亜鉛が、チャー収縮または強度において顕著な役割を有していないことを示している。その効果は、酸化アルミニウムのそれと同様である。
【0106】
サンプルJおよびKの比較は、より多い量の無水ホウ酸が、より多い量の収縮を生じるということを示している。
【0107】
サンプルMは、水酸化アルミニウムおよびシリケートミネラルフィラーを含有しており、別個に添加されたフラクシングオキサイドを含んでいない。
【0108】
サンプルNは、クレイまたはタルクを含有しないが、水酸化アルミニウム、雲母および珪灰石を含有する組成物の例である。
【0109】
サンプルOおよびPの比較は、より大きな粒子のミネラルフィラーは収縮を減少させることを示している。
【0110】
サンプルQ、RおよびSの比較は、シリカ粉末または分解してシリカ粉末を与えるシリコーンポリマーのいずれかとしての微細なシリカの添加が、収縮およびチャー強度の増加を生じさせることを示している。
【0111】
【表1】

【0112】
実施例2
電気ケーブルを、上記の表からの組成物BおよびTを使用して作製した。組成物Tを用いて作製されたものは、高いチャー収縮を示し、これは1050℃で絶縁層のクラッキングを生じさせ、AS/NZS 3013:1995に従う燃焼試験(加熱段階)において絶縁不合格(insulation failure)となった。低いチャー収縮を有する組成物Bを用いて作製されたケーブルは、同一のテストに合格した。生成されたチャーは、組成物Bの場合において大きな見える亀裂は無く、一方、組成物Tから形成されたチャーは、非常に亀裂が入り、導線を曝した。
【0113】
実施例3
下記の表2に列挙される成分を有する組成物(X)を調製した。組成物Xは、市販のエチレンプロピレンエラストマーおよびシリコーンエラストマーに基づいていた。使用した雲母は、篩分析により測定して平均粒度160μmを有する白雲母であった。ガラスフリットAは、430℃の軟化点および30.8%のフラクシングオキサイド含有量を有する。ガラスフリットBは、600℃の軟化点および5.1%のフラクシングオキサイド含有量を有する。ガラス繊維A、BおよびCは、それぞれ、580℃、650℃および532℃の軟化点ならびに12〜15%のフラクシングオキサイド含有量を有する。ジ(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン過酸化物を、熱的架橋を行うために該組成物中に混合した。この実施例において、列挙される全ての組成は、%wt/wtで与えられる。
【0114】
【表2】

【0115】
実施例3.1
強度試験のための組成物Xの試料を、寸法50mm×14mm×3mmで作製し、そして熱的に架橋させた。比較のために、テスト試料を、市販のシリコーンベース材料を使用して同様に調製し(組成物Y)、これはまた、加熱時にセラミック材料を形成した。サンプルを、遅い燃焼条件下で共に加熱し、次いで冷却した。形成されたセラミックの曲げ強度および線形寸法変化を、上述のように測定し、表3に示す。
【0116】
【表3】

【0117】
曲げ強度測定から得られた結果は、組成物Xは、1000℃で空気中において燃焼した後、シリコーンベース組成物(Y)よりも高い曲げ強度を有することを示している。
【0118】
形状保持は、これらのタイプの材料についての多くの用途において、例えば電気ケーブル絶縁において、重要なファクターである。空気中1000℃で燃焼した後の線形寸法変化の測定は、組成物Xは、組成物Yと比較して優れた形状保持特性を有することを示した。
【0119】
実施例3.2
35mm密集銅導線(35 mm2 compacted copper conductor)を、押出し成形処理によって、1.2mm壁厚みの組成物Xを用いて絶縁した。次いで、絶縁された導線を、壁厚み1.4mmまで、熱可塑性難燃性ハロゲンフリー材料でシースした(sheathed)。ケーブル(約2.5メートル長)の3サンプルを、ケーブル直径の10倍の曲げ率で、“S”コンフィギュレーションで、ラダータイプケーブルトレー(ladder type cable tray)上に設置した。該トレーをコンクリートスラブ上に載せ、そして、オーストラリア国規格AS1540.3の標準温度−時間曲線に従い得るパイロット炉の先端を形成するために使用した。各サンプルケーブルを、該ケーブルが異なる相上にあるように、3相電源へ接続した。各々において、回路は60Wライトバルブおよび4Aヒューズであった。ライン電圧は240V ACであった。テストを開始し、そして121分間継続し、この時、炉内の温度は約1050℃であった。この時間の完了時に、全てのサンプルの回路完全性は維持されていた。次いで、ウォータージェットスプレーをケーブル上に向け、そして回路完全性は維持され続けた。
【0120】
実施例3.3
組成物Xを、以下の表に概説される割合の少量の種々の無機添加剤を添加することによって修飾した。無機添加剤は、ガラス繊維、ガラスフリットおよびアルミノ−シリケート繊維を含んでいた。組成物Xおよび該修飾されたバージョンを、フラットシート2mm厚へと熱的に架橋した(170℃、30分、7MPa)。寸法19mm×32mmの長方形サンプルを、該シートから切断し、そして遅い燃焼条件へ供した。冷却後、該サンプルを、水滴を該サンプル表面上に配置することによって、耐水性について試験した。該材料は、吸収の目に見えるサイン無しに、3分間以上、水滴が該サンプル表面上に残っていたら、該材料は耐水性であるとみなした。水滴が3分未満で完全に吸収されたら、該材料は耐水性でないと考えた。このテストの結果を表4に示す。
【0121】
【表4】

【0122】
修飾していない組成物Xの燃焼サンプル上に配置された水滴は、即座に吸収された。目視検査から、無機添加剤を含有する他の組成物の燃焼サンプルは、ガラス状の輝く表面層を有した。
【0123】
実施例3.4
前の実施例における6組成物に対応する6サンプルを、それらの厚みが2mmから1mmへ減少されるように切断した。次いで、サンプルを、遅い燃焼条件へ供した。冷却後、それらを、前の実施例に記載されるのと同一の様式で、耐水性について試験した。全ての6つの場合において、サンプルは、1分以内にそれらの表面上に配置された水滴を吸収し、耐水性を欠いていることを示した。前の実施例における結果との比較は、サンプル厚みが耐水性を発達させるファクターであることを示している。
【0124】
実施例3.5
(A)
1.5mm銅ワイヤの断片を、組成物Xならびに表5および6で概略されるようなこの組成物の修飾物で絶縁した。壁厚みを、1.2mmおよび0.6mmで設定して、厚いおよび薄い絶縁層を有するケーブルを得た。絶縁されたケーブルを一緒に配置して、ツイストペア(twisted pairs)を形成した。各々のツイストペアを、10分間、Bunsenバーナー炎へ暴露した。バーナーおよびケーブルを、炎−サンプル界面でのピーク温度が1020℃と測定されるように、設定した。ケーブルを冷却し、そしてツイストペアの該部分を介して水をしたたらせて、回路がショートするためにかかる時間を評価した。バーナーおよびウォーターテストの間、ツイストペア中の2つのワイヤ間の抵抗を、500V DCテストユニットを使用してモニターした。いずれかのテストでの不合格は、テストにおいてのいずれの点でも約0MΩへ降下した測定された抵抗であるとみなされた。厚い絶縁層についてのテストにおける組成物およびそれらの性能を、表5に示し、そして薄い絶縁層については表6に示す。
【0125】
【表5】

【0126】
表5の結果は、合計で1%wt/wt以下の量のガラスフリットおよび/またはアルミノ−シリケート繊維の添加が、組成物Xへ良好な耐水性を与えたことを示した。組成物Xは、添加無しでは、ほぼ無視できるほどの耐水性を有し、水がケーブルに接触した後30秒未満で短絡が生じた。
【0127】
【表6】

【0128】
表6の結果は、1.2mmから0.6mmへ壁厚み変化がなされた場合、試験した組成物はいずれも許容可能な耐水性を示さなかった。また、これは、サンプルの厚みが耐水性を発達させることにおけるファクターであることを実証している。
【0129】
(B)
薄壁(0.6mm)ケーブルの耐水性を改善するために、アルミノシリケート繊維および雲母の添加を組成物Xに対して行い、組成物X/アルミノシリケート繊維/雲母(94:1:5)からなる新しい組成物を得た。遅い燃焼条件下で得られる残渣のフラクシングオキサイド含有量は、5.1%であった。組成物を、薄壁ツイストペアケーブルへ形成して、そして前述の実施例に記載の手順に従ってバーナーにおいて試験した。該ワイヤはバーナーテストに合格し、そしてウォーターテストにおける短絡までの時間は3分よりも長かった。
【0130】
実施例3.6
耐水性を改善するために無機添加剤で修飾した組成物Xの燃焼させた2mm厚サンプルを、走査電子顕微鏡およびマイクロプローブ分析によって分析し、それらの耐水性についての理由を評価した。該サンプル断面の顕微鏡写真は、厚みが15μmまで及ぶ密集したガラス状層が表面に存在することを示した。このガラス状フィルムは、該材料の多孔性バルクを覆い、それを水吸収から保護している。該サンプルの断面のマイクロプローブマッピング分析は、この密集したガラス状層がカリウム、ナトリウムおよびシリカに富んでいることを示した。
【0131】
実施例4
EPDMポリマー(20%)、タルク(30%)、白雲母(29%)および加工助剤(processing aids)および安定剤を含む組成物を、二本ロールミルにおいて調製した。混合の完了時に、それを2つの等しい部分へ分けた。1つの部分を二本ロールミルに戻し、そして2%の過酸化ジクミルを添加した。次いで、2つの部分を別々にピクチャーフレーム鋳型(picture frame moulds)へ配置し、そして30分間170℃および1000kPaで圧縮した。この期間の終わりに、圧力を維持しながらプレスを冷却し、そして温度が50℃に低下した後に、圧力を低下させそしてサンプルを取り出した。最終結果は、同一の熱履歴を受けた材料の2つのシートであったが、一方は架橋されており、他方は熱可塑性であった。
【0132】
寸法38mm×13mmのサンプルを該シートから切断し、そして寸法を正確に記録した。サンプルを遅い燃焼条件に供し、次いで、サンプルを炉から取り出し、そして周囲温度まで冷却させた。次いで、形成されたセラミック残渣(フラクシングオキサイド含有量6.6%)の寸法を正確に再測定し、そして線形寸法変化を算出した。
【0133】
熱可塑性バージョンは、架橋化バージョンよりも低い表面崩壊を示し、厚みにおいてより少なかったが、長さおよび幅において僅かに多く膨張したことが見出された。これは、該組成物の架橋は、1000℃への暴露後のネットシェイプ保持の受け入れることができる性能を達成するためには必須ではないことを示している。
【0134】
実施例5
表7から選択される無機フィラー系を混合された代表的範囲の異なるポリマーに基づく組成物を調製し、そして速いまたは遅い燃焼条件下で燃焼された場合のそれらの挙動を測定した。
【0135】
【表7】

【0136】
本特許において開示される組成物を製造するいくつかの異なる様式を、以下に例示する。
【0137】
(A)モノマー/反応性二官能性化合物から
(i)
フィラー系A(58.9%)およびアクリリックポリマーを含有する組成物を、該無機成分とアクリレートモノマーおよび過酸化物の混合物とを混合して、次いで該混合物を鋳型中80℃で2時間加熱することによって、調製した。速い燃焼条件下で形成されたセラミック(フラクシングオキサイド含有量7.2%)は、0.9%の線形寸法変化および0.5MPaの曲げ強度を有した。
【0138】
(ii)
フィラー系E(62.6%)およびポリイミドを含有する組成物を、等モル量のピロメリト酸二無水物(promellitic dianhydride)とオキシジアナリンビス(4−アミノフェニル)エーテルポリマー(oxydianaline bis(4-aminophenyl)ether polymer)とを反応させ、該フィラー系を添加し、次いで該キャスト溶液を1時間100℃、150℃、200℃次いで250℃で加熱することによって調製した。速い燃焼条件下で形成されるセラミック(フラクシングオキサイド含有量7.9%)は、3.4%の線形寸法変化および5.3MPaの曲げ強度を有した。
【0139】
(B)熱可塑性ポリマーおよびゴムから
表8の組成物を、インターナルミキサー、押出し成形機または二本ロールミルを使用して、示されるフィラー系を熱可塑性ポリマー(示される場合他の添加剤と合わせられる)へ混合することによって調製した。SBR、SBSおよびNBRを含有する組成物は、過酸化物も含み、そして引き続いて、高温で加熱することによって硬化させて、エラストマー組成物を形成し、これらを引き続いて燃焼させた。
【0140】
【表8】

【0141】
(C)プレポリマーおよび樹脂から
表9の熱硬化性組成物を、示されるフィラー系をプレポリマーまたは樹脂へ混合することによって調製し、そして該系を、示される条件を使用して、架橋/硬化させた。
【0142】
【表9】

【0143】
(D)ポリマーエマルジョン/ディスパージョンから
表10の組成物を、示されるフィラー系をエマルジョン/ディスパージョンへ混合し、そして得られる混合物を乾燥させて(典型的に70℃で3日間)、水を除去することによって調製した。該組成物中のパーセンテージポリマーは、存在する乾燥ポリマーの重量である。
【0144】
【表10】

【0145】
実施例6
表11に与えられる組成物Y1〜Y11は、エチレンプロピレンゴムまたはエチレンプロピレンゴムおよびシリコーンポリマーの組合せ(ここで、シリコーンポリマーは少ない量である)を含有する。これらを、前述のように二本ロールミルを使用して、該ポリマーと各々のフィラーおよび添加剤組合せとを混合することによって調製した。これらの組成物から作製した基準寸法(nominal dimensions)30mm×13mm×1.7mmの試料を、遅いおよび速い燃焼条件下で燃焼させた。各々の組成物について、燃焼によって引き起こされた線形寸法変化および得られるセラミックの曲げ強度を、上述のように測定して、表11に与える。
【0146】
【表11】

【0147】
実施例7
表12に与えられる組成物FLを、前述のように二本ロールミルを使用して、エチレンプロピレンゴムと各々のフィラーおよび添加剤組合せとを混合することによって調製した。表12に与えられる組成物FL1〜FL4を、組成物FLへ2%のフラクシングオキサイドを添加しそして再度混合することによって調製した。これらの組成物から作製した基準寸法30mm×13mm×1.7mmの試料を、遅いおよび速い燃焼条件下で燃焼させた。各々の組成物について、燃焼によって引き起こされた線形寸法変化および得られたセラミックの曲げ強度を、上述のように測定して、表12に与える。
【0148】
【表12】

【0149】
実施例8
表13に与えられる組成物FX1〜FX3を、前述のように二本ロールミルを使用して、エチレンプロピレンゴムと各々のフィラーおよび添加剤組合せとを混合することによって調製した。FX1は、本発明の耐火性材料についての仕様に従う組成物である。FX2およびFX3は、本発明の耐火性材料について推奨されるよりもより多量のフラクシングオキサイドおよびより少量のシリケートミネラルフィラーを含有する比較組成物である。これらの組成物から作製した基準寸法30mm×13mm×1.7mmの試料を、それらの長軸が支持耐火性ブロックの1つの端部に対して垂直となり、かつ、各試料の13mm長の部分が支持耐火性ブロックの該端部から突き出しているように、耐火性の長方形断片上に配置した。次いで、それらを、1分当たり12℃で830℃および1000℃まで加熱し、そして空気中30分間これらの温度で維持した。両方の温度で、組成物FX1の試料は溶融(fuse)せず、そして高温への暴露前の該試料の形状を維持する凝集性自己支持性多孔性セラミックを生成した。長さおよび幅に沿った組成物FX1の試料の寸法変化は、3%未満であった。両方の温度で、組成物FX2およびFX3の試料は溶融し、そして支持されていないスパンは耐火性支持体の端部上に曲がって、ほぼ垂直位置をとり、形状を維持またはそれ自体の重量を支持することができないことを示した。1100℃へ加熱されると、組成物FX2およびFX3の試料は、完全に溶融して、耐火性支持体の側部上および側部に沿って流動するガラス状材料を形成し、一方、組成物FX1の試料は堅いままであった。
【0150】
【表13】

【0151】
実施例9
表14に与えられる組成物OF1〜OF6を、前述のように二本ロールミルを使用して、エチレンプロピレンゴムと各々のフィラーおよび添加剤組合せとを混合することによって調製した。表14に与えられる組成物OF7を、組成物OF6へ4%のアルミナ繊維を添加しそして再度混合することによって調製した。これらの組成物から作製した基準寸法30mm×13mm×1.7mmの試料を、遅いおよび速い燃焼条件下で燃焼させた。各々の組成物について、燃焼によって引き起こされた線形寸法変化および得られるセラミックの曲げ強度を、上述のように測定して、表14に与える。表14に示されるサンプルの中でも、OF1およびOF2が、ケーブル上の絶縁層および/またはシース層としての使用に最も好適である。
【0152】
【表14】

【0153】
本明細書および続いての特許請求の範囲を通して、文脈が別に要求しない限り、用語“含む(comprise)”、および“含む(comprises)”および“含む(comprising)”のような変形は、他の整数または工程あるいは整数または工程のグループの排除ではなく、述べられる整数または工程あるいは整数または工程のグループの包含を示すことが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0154】
【図1】図1は、本発明に従う絶縁層を有するケーブルの斜視図である。
【図2】図2は、本発明の組成物がシースとして使用されている多導線ケーブル(multiconductor cable)の斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高温で耐火性セラミックを形成するための耐火性組成物であって、該組成物は、以下を含む:
該組成物の総重量に基づいて少なくとも15重量%のポリマーベース組成物(少なくとも50重量%の有機ポリマーを含む);
該組成物の総重量に基づいて少なくとも15重量%のシリケートミネラルフィラー(silicate mineral filler);および
フラクシングオキサイド(fluxing oxide)の少なくとも1つの供給源(これは、必要に応じて該シリケートミネラルフィラー中に存在する)、
ここで、燃焼条件下で経験される高温への暴露後、フラクシングオキサイドが残渣の1〜15重量%の量で存在する。
【請求項2】
前記シリケートミネラルフィラーが、該組成物の総重量に基づいて少なくとも25重量%の量で存在する、請求項1に記載の耐火性組成物。
【請求項3】
前記フラクシングオキサイドが、前記高温への暴露後に、1〜10重量%の量で前記残渣中に存在する、請求項1に記載の耐火性組成物。
【請求項4】
前記フラクシングオキサイドが、前記高温への暴露後に、前記残渣の2〜8重量%の量で残渣中に存在する、請求項1に記載の耐火性組成物。
【請求項5】
燃焼後の前記残渣の重量が、耐火性組成物の少なくとも40%である、請求項1に記載の耐火性組成物。
【請求項6】
燃焼条件下で経験される高温へ加熱されると、組成物が自己支持構造(self-supporting structure)を形成する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の耐火性組成物。
【請求項7】
前記シリケートミネラルフィラーが高温へ加熱されることによって、前記フラクシングオキサイドが生成される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の耐火性組成物。
【請求項8】
前記耐火性組成物がフラクシングオキサイドおよびフラクシングオキサイドの前駆体の群から選択される少なくとも1つの添加剤を更に含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の耐火性組成物。
【請求項9】
前記組成物が異なる温度で液相を形成する少なくとも2つの異なるフラクシングオキサイドまたはフラクシングオキサイドの前駆体を含む、請求項8に記載の耐火性組成物。
【請求項10】
前記フラクシングオキサイド前駆体の少なくとも1つが、ホウ酸塩、金属水酸化物、金属炭酸塩およびガラスからなる群から選択される1以上の材料を含む、請求項8に記載の耐火性組成物。
【請求項11】
添加されるかまたは前駆体から誘導される前記フラクシングオキサイドが、鉛、アンチモン、ホウ素、リチウム、カリウム、ナトリウム、リンおよびバナジウムからなる群から選択される元素の少なくとも1つの酸化物を含む、請求項8に記載の耐火性組成物。
【請求項12】
前記組成物が燃焼条件下で経験される高温での加熱後に、10%未満の線形寸法変化を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の耐火性組成物。
【請求項13】
前記組成物が燃焼条件下で経験される高温での加熱後に、5%未満の線形寸法変化を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の耐火性組成物。
【請求項14】
前記組成物が30分間1050℃未満の温度へ加熱された場合、凝集性のままである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の耐火性組成物。
【請求項15】
燃焼条件下で経験される高温への暴露後に、前記耐火性組成物が少なくとも0.3MPaの曲げ強度を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の耐火性組成物。
【請求項16】
前記有機ポリマーが、熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマーおよびエラストマーの群から選択される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の耐火性組成物。
【請求項17】
前記有機ポリマーが、ポリオレフィン、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレンターポリマーゴム(EPDM)、クロロスルホン化ポリエチレンおよびクロリネートポリエチレン、ビニルポリマー、アクリリックおよびメタクリリックポリマー、ポリアミド、ポリエステル、ポリイミド、ポリオキシメチレンアセタール、ポリカーボネート、ポリウレタン、天然ゴム、ブチルゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、エピクロロヒドリンゴム、ポリクロロプレン、スチレンポリマー、スチレン−ブタジエン、スチレン−イソプレン−スチレン、スチレン−ブタジエン−スチレン、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、およびメラミンホルムアルデヒド樹脂のホモポリマーまたはコポリマーまたはエラストマーまたは樹脂の少なくとも1つを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の耐火性組成物。
【請求項18】
前記ポリマーベース組成物が、配合された耐火性組成物の15〜75重量%を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の耐火性組成物。
【請求項19】
前記シリケートミネラルフィラーが、アルミノ−シリケート、アルカリアルミノ−シリケート、マグネシウムシリケートおよびカルシウムシリケートからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の耐火性組成物。
【請求項20】
二酸化ケイ素およびアルミニウム、カルシウム、マグネシウム、ジルコン、亜鉛、鉄、錫およびバリウムの金属酸化物、ならびに熱分解する際にそれらの酸化物の1以上を生成する無機フィラーからなる群から選択される追加の無機フィラーを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の耐火性組成物。
【請求項21】
前記ポリマーベース組成物が更にシリコーンポリマーを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の耐火性組成物。
【請求項22】
有機ポリマーとシリコーンポリマーとの重量比が5:1〜2:1の範囲内である、請求項21に記載の耐火性組成物。
【請求項23】
配合された耐火性組成物の総重量に基づいて2〜15重量%の量でシリコーンポリマーを更に含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の耐火性組成物。
【請求項24】
燃焼条件下で経験される高温が30分間1000℃である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の耐火性組成物。
【請求項25】
20〜75重量%の前記ポリマーベース組成物(ここで、該組成物は、更にシリコーンポリマーを含む);
少なくとも15重量%の無機フィラー(前記無機フィラーは、雲母およびガラス添加物を含む)を含み;
ここで、前記残渣中のフラクシングオキサイドはガラスおよび雲母から誘導され、ここで、雲母:ガラスの割合は20:1〜2:1の範囲内である、請求項1に記載の耐火性組成物。
【請求項26】
前記ポリマーベース組成物が、5:1〜2:1の重量比の有機ポリマーおよびシリコーンポリマーを含み;
前記無機フィラーが、総組成物の10〜30重量%の雲母および総組成物の20〜40重量%の追加の無機フィラーを含む、
請求項25に記載の耐火性組成物。
【請求項27】
前記フラクシングオキサイドが前記残渣の5重量%を超える量で残渣中に存在し、該フラクシングオキサイドは、炎への暴露時に形成されるセラミック上にガラス状表面層を形成し、該ガラス状表面層は、水およびガスの透過に対する抵抗性を増加させるバリア層を形成する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の耐火性組成物。
【請求項28】
導電素子ならびに燃焼条件下で耐火性セラミックを提供する耐火性組成物から作製される少なくとも1つの絶縁層および/またはシース層を含む耐火性ケーブルであって、該耐火性組成物が、以下:
該組成物の総重量に基づいて少なくとも15重量%のポリマーベース組成物(少なくとも50重量%の有機ポリマーを含む);
該組成物の総重量に基づいて少なくとも15重量%のシリケートミネラルフィラー(silicate mineral filler);および
フラクシングオキサイド(fluxing oxide)の少なくとも1つの供給源(これは、必要に応じて前記シリケートミネラルフィラー中に存在する)、
[ここで、燃焼条件下で経験される高温への暴露後、フラクシングオキサイドが残渣の1〜15重量%の量で存在する]
を含む、耐火性ケーブル。
【請求項29】
前記シリケートミネラルフィラーが、該組成物の総重量に基づいて少なくとも25重量%の量で存在する、請求項28に記載の耐火性ケーブル。
【請求項30】
前記フラクシングオキサイドが、前記高温への暴露後に、1〜10重量%の量で前記耐火性組成物の残渣中に存在する、請求項28に記載の耐火性ケーブル。
【請求項31】
前記フラクシングオキサイドが、前記高温への暴露後に、2〜8重量%の量で前記耐火性組成物の残渣中に存在する、請求項28に記載の耐火性ケーブル。
【請求項32】
前記燃焼後の残渣の重量が、前記耐火性組成物の少なくとも40%である、請求項28に記載の耐火性ケーブル。
【請求項33】
前記組成物が、燃焼条件下で経験される高温へ加熱されると、自己支持構造(self-supporting structure)を形成する、請求項28に記載の耐火性ケーブル。
【請求項34】
前記シリケートミネラルフィラーが高温へ加熱されることによって、前記フラクシングオキサイドが生成される、請求項28〜33のいずれか1項に記載の耐火性ケーブル。
【請求項35】
前記耐火性組成物が、フラクシングオキサイドおよびフラクシングオキサイドの前駆体の群から選択される少なくとも1つの添加剤を更に含む、請求項28〜33のいずれか1項に記載の耐火性ケーブル。
【請求項36】
前記耐火性組成物が、異なる温度で液相を形成する少なくとも2つの異なるフラクシングオキサイドまたはフラクシングオキサイドの前駆体を含む、請求項35に記載の耐火性ケーブル。
【請求項37】
フラクシングオキサイド前駆体の少なくとも1つが、ホウ酸塩、金属水酸化物、金属炭酸塩およびガラスからなる群から選択される1以上の材料を含む、請求項35に記載の耐火性ケーブル。
【請求項38】
添加されるかまたは前駆体からフラクシングオキサイドへ誘導される前記フラクシングオキサイドが、ホウ素、リチウム、カリウム、ナトリウム、リン、バナジウム、鉛およびアンチモンからなる群から選択される元素の酸化物からなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項35に記載の耐火性ケーブル。
【請求項39】
前記組成物が、燃焼条件下で経験される高温での加熱後に、10%未満の線形寸法変化を有する、請求項28〜33のいずれか1項に記載の耐火性ケーブル。
【請求項40】
前記組成物が、燃焼条件下で経験される高温での加熱後に、5%未満の線形寸法変化を有する、請求項28〜33のいずれか1項に記載の耐火性ケーブル。
【請求項41】
前記耐火性組成物が、30分間1050℃未満の温度へ加熱された場合、凝集性のままである、請求項28〜33のいずれか1項に記載の耐火性ケーブル。
【請求項42】
前記有機ポリマーが、オレフィンのホモポリマー、1以上のオレフィンのコポリマーまたはターポリマー、ならびにホモポリマー、コポリマーおよびターポリマーのブレンドの群から選択される熱可塑性および架橋化オレフィンベースポリマーである、請求項28〜33のいずれか1項に記載の耐火性ケーブル。
【請求項43】
前記有機ポリマーが、ポリオレフィン、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレンターポリマーゴム(EPDM)、クロロスルホン化ポリエチレンおよびクロリネートポリエチレン、ビニルポリマー、アクリリックおよびメタクリリックポリマー、ポリアミド、ポリエステル、ポリイミド、ポリオキシメチレンアセタール、ポリカーボネート、ポリウレタン、天然ゴム、ブチルゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、エピクロロヒドリンゴム、ポリクロロプレン、スチレンポリマー、スチレン−ブタジエン、スチレン−イソプレン−スチレン、スチレン−ブタジエン−スチレン、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、およびメラミンホルムアルデヒド樹脂のホモポリマーまたはコポリマーまたはエラストマーまたは樹脂の少なくとも1つを含む、請求項28〜33のいずれか1項に記載の耐火性ケーブル。
【請求項44】
前記耐火性組成物が、二酸化ケイ素およびアルミニウム、カルシウム、マグネシウム、ジルコン、亜鉛、鉄、錫およびバリウムの金属酸化物、ならびに熱分解する際にそれらの酸化物の1以上を生成する無機フィラーからなる群から選択される追加の無機フィラーを含む、請求項28〜33のいずれか1項に記載の耐火性ケーブル。
【請求項45】
導電素子ならびに請求項1〜4のいずれか1項に記載の耐火性組成物から作製される少なくとも1つの絶縁層および/またはシース層を含む耐火性ケーブル。
【請求項46】
前記耐火性組成物中のポリマーベース組成物がシリコーンポリマーを更に含む、請求項28〜33のいずれか1項に記載の耐火性ケーブル。
【請求項47】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物から形成される耐火性プロダクト。
【請求項48】
受動的防火用途および受動的防火特性が要求される一般的なエンジニアリング用途において使用される、請求項47に記載の耐火性プロダクト。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−504859(P2006−504859A)
【公表日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−501249(P2005−501249)
【出願日】平成15年10月17日(2003.10.17)
【国際出願番号】PCT/AU2003/001383
【国際公開番号】WO2004/035711
【国際公開日】平成16年4月29日(2004.4.29)
【出願人】(505141967)セラム ポリメリック ピーティーワイ リミテッド (3)
【Fターム(参考)】