耐火性組成物
20−60wt%の有機ポリマーと、酸化してMgOを形成するマグネシウム化合物と、5から30wt%のシリカを含む高分子化合物の焼成により目的の無機化合物を形成する耐火性の高分子化合物。その高分子化合物は、好ましくはアルカリ土類金属のホウケイ酸塩を含み、そのアルカリ土類金属のホウケイ酸塩化合物は、高温でセラミック組成物を形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐火特性を有し、火災の場合に機能の保持を必要とする様々な用途に使用される高分子化合物に関する。本発明は、電気絶縁特性の保持が特に必要な電気ケーブルに特定して言及し、例証されるが、本発明が、ここに述べられた関連する利点に照らして、より広い用途があることは言うまでもない。
【背景技術】
【0002】
電気ケーブルは、少なくとも1つの絶縁層によって包まれた中心にある伝導体から構成される。そのようなケーブルは、建物の中に広範囲な用途があり、国内製品、オフィス、工業用建物の中のほとんど全ての電気回路の基礎を実際に形成する。いくつかの用途において、例えば、緊急用電源と通信回路は、ケーブルに対して、たとえ炎に曝されても回路の完全性を維持し、機能を継続させることを要求する。そして、このタイプのケーブルには、広い範囲の標準規格が存在する。いくつかのこれらの標準規格を満たすために、ケーブルは、所定の方法で所定の時間(例えば、15分、30分、60分、2時間)指定された温度(例えば、650、750、950、1050℃)で加熱されたとき、一般的に、電気回路の完全性を少なくとも維持することを必要とされる。一部の例では、ケーブルは、加熱段階の間通常の機械的衝撃を加えられる。例えば、ケーブルは、ヒートサイクルの後の段階か、加熱段階の後、ウォータジェット、または、ウォータスプレイを加えられても良い。与えられた標準規格を満たすために、ケーブルは、一般的に、テストの始めから終わりまで回路の完全性を維持することが必要である。特に、例えば、ウォータジェットやウォータスプレイに曝されることによる機械的な影響から生じるような衝撃の間、しかるべく機能することを必要とされるならば、このように絶縁体は、(高温での長い加熱時間の後でさえ)低い電気伝導性を保ち、縮んだり割れたりせずその形状を維持し、機械的に強固であることが重要になる。ケーブルが短時間ウォータスプレイに曝されている間、機能し続けることを必要とされる場合、加熱後に残っている絶縁層は、水の進入を防ぐことも望ましい。
【0003】
絶縁ケーブルの高温特性を改善する方法の1つは、グラスファイバで製造されマイカで被覆されたテープをケーブルの伝導体を包むことであった。そのようなテープは、製造中に伝導体の周りに巻かれ、少なくとも1つの絶縁膜が形成される。昇温環境に曝すと、外側の層は分解し、崩れ落ちるが、グラスファイバは、マイカをそのまま保持する。
【0004】
【特許文献1】米国特許第3846148号明細書
【特許文献2】オーストラリア特許出願第2004225453号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらのテープは、火炎中において回路の完全性を保つには効果的であることが分かったが非常に高価である。
更に、伝導体の周りにテープを巻くプロセスは、他のケーブル製造プロセスと比較して遅いので、このテープを巻くプロセスがケーブル製造プロセス全体を遅くし、更にコストを増加させる。耐火性のコーティングは、押し出し加工によるケーブル製造の間に適用され、それによってテープの使用を避けることが望ましい。
【0006】
耐熱性を示す特定の組成物は、高温時において高い電気絶縁性をうまく示さない。これらの組成物が、ケーブルへの応用として使用されたとき、これらの組成物は、単に、伝導体と支持金属トレイ(または、ブラケット)の間の断熱材そして/または物理的バリアを提供し、回路不良の原因となる火災の状況で、電気伝導に役立つ。このケースにおいて、電気絶縁性が高温時でも維持されることを補償するためには更なる処置をとることが必要である。例えば、高温時での耐熱性を与え、物理的バリアを提供するが電気伝導性になる組成物は、電気絶縁性を提供するための構造に特に組み込まれた別の層の上に提供されても良い。高温時において、必要とされる断熱性を与え、必要とされる密着した物理的バリア(例えば、クラックや破損のない)を提供し、更にそれらの温度において電気絶縁体として機能する単一の組成物を提供することが望ましい。これにより、大きなコスト低減と簡単な製品製造を提供できると考えられる。
【0007】
断熱性、そして/または、密着した物理的バリア、または、コーティングのみならず、本発明に関する組成物は、高温時において必要とされる電気絶縁特性も示す。
【0008】
本発明に関する組成物は、製造を可能にする優れた加工性も有し、従来の技術で容易に使用される。加えて本発明は、多くの異なった用途の要求に合わせて調整できる広い範囲の機械的特性を有する耐火性のポリマー製品の製造を可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
他の発明を越える本発明の際だった特徴は、加熱により重合状態からセラミック状態に変換することによって保護するもので、ポリマー成分を焼き尽くした後残った無機成分がその組成物の構造の一部として選択され、目的の無機化合物量を最大化するために、ポリマー状態での有用な特性がまだ維持されている間、無機成分の効果、それらの比率、形状、状態の全てが選択される、というものである。
【0010】
本発明者は、無機化合物の「前駆体」を高分子化合物中に加えることで、その高分子化合物を焼成することにより目的の無機化合物の形成を助けることが可能であることを、目的の無機化合物の組成を研究することにより発見した。この1つの例は、酸化可能マグネシウム化合物とシリカ無機化合物を耐火性の組成物に加えることであり、その割合、粒子サイズ、そのサイズの分布は、マグネシウム化合物が、火炎下の定格温度で、その組成物中においてシリカと反応し、無機化合物のフォルステライトを形成することができるようなものである。フォルステライトは、マグネシウムリッチな材料であり、一般的な化学式はMg2SiO4である。そしてそれは、高温(1000℃)で高い電気絶縁性と高い膨張率を有することが知られている。同様の方法で形成することができる、例えば、コージライト(2MgO・2Al2O3・5SiO2)、エンスタタイト(MgSiO3)、スピネル(MgAl2O4)などの他の無機化合物ももちろんある。
【0011】
1つの実施形態は、耐火性の高分子化合物を提供するもので、この高分子化合物を焼成することにより目的の無機化合物が形成される。この高分子化合物は、
・20−60wt%の有機物ポリマーと、
・酸化してMgOを形成する2−30wt%のマグネシウム化合物と、
・5−30wt%のシリカと、
を含んでいる。
【0012】
シリカは、目的の無機化合物を形成するためにアルカリ性のMgOと反応する酸性酸化物を形成する。
【0013】
好ましい実施形態において、前記高分子化合物は、30−45wt%の有機ポリマーと、2−20wt%のマグネシウム化合物と、5−20wt%のシリカとを含んでいる。良好なポリマー特性を確保するために、高分子化合物中の無機成分のトータルレベルは、ほんの65wt%でしかあってはならない。
【0014】
その組成物は、目的の単一無機化合物または複数の無機化合物次第で、更に適切な粒径と分布を有する30wt%以下のアルミナAl2O3と、他の塩とを含んでも良く、前記他の塩は、揮発性の陰イオンを含むか、さもなくば、例えばアルミナ三水和物のような強く加熱されるとアルミナを形成する塩である。耐火粘土は、アルミナの源であっても良いが、その粘土の組成物は、かなりの量の伝導性(高温でその組成物の電気抵抗を減少させるLi、Na、Kのような)陽イオンとフラックス剤を除去されなければならない。高分子化合物は、Li、Na、Kを含まない方が好ましい。
【0015】
本発明の好ましい形態において、適当な粒径と分布のマグネシウム化合物は、水酸化マグネシウムである。他のマグネシウム化合物、例えば、揮発性の陰イオンを含む塩などは、その組成物に必要とされる機能次第で使用されても良い。これらは、炭酸マグネシウム、ハロゲン化マグネシウム、硝酸塩、または、硫酸塩を含んでも良いが、その場合、いくつかの用途のためには電気伝導性がありすぎるか、水分吸収性がありすぎるかのどちらかであるかもしれない。
【0016】
本発明の好ましい形態において、上記組成物は、15wt%未満のアルカリ土類金属のホウケイ酸塩化合物を備え、そのアルカリ土類金属のホウケイ酸塩化合物は、高温でセラミック組成物を形成する。アルカリ土類金属のホウケイ酸塩化合物の量は、全体の組成物の5−15wt%の範囲が好ましい。
【0017】
ホウケイ酸塩ガラス/セラミックを製造する際の問題は、ホウ酸の蒸発によりシリカリッチの表層が生じると言うことである。更に、ホウ酸は、温度が上昇したときにセラミック組成物の粘度の低下をもたらし、それ故、その組成物の寸法安定性の低下をもたらす。三酸化二ホウ素と1価のアルカリ金属(例えば、ナトリウムとカリウム)は、一般的に水溶性であり、それ故、これらの組成物の安定性は、特に高温、そして/または水の傾向がある。
【0018】
本発明の好ましい形態は、アルカリ土類の形態にホウケイ酸塩を加えることによってこの問題を解決する。カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウム、鉛、亜鉛で構成されるグループから選択されるアルカリ土類金属が好ましい。
【0019】
本発明の組成物は、高温、例えば火災(例として、1000℃で30分間)、にさらすことで形成される自立セラミック(self−supporting ceramic)を提供するために有利に調製される。
【0020】
アルカリ土類金属のホウケイ酸塩化合物は、カルシウムホウケイ酸塩であることが好ましい。カルシウムホウケイ酸塩化合物は、ケイ酸カルシウム、そして/または、ホウ酸カルシウム、またはそれらの前駆体を有利に含む。ケイ酸カルシウム(例えば、ウォラストナイト)と、ホウ酸カルシウム(例えば、水ホウ酸石(CaMgB6O11-6H2O)または、灰ホウ石(CaB3O4(OH)3−H2O)の自然源が使用されるが、合成原料は、ガスの揮発や放出を最小限にし、そして/または、高温へのその組成物の曝露下での電気伝導性(1価の不純物、例えばNaそして/またはKに起因する)を増加させるので好まれる。
【0021】
好ましくは、セラミック組成物中のホウ素量は、少なくとも1wt%であり、より好ましくは、少なくとも3wt%であり、更により好ましくは、5wt%である。ホウ素量は、最大12.5wt%以上であって良く、有利な機能とともに組成物が製造されても良い。
【0022】
火災下で高温にさらされた本発明の組成物から形成されたホウケイ酸塩セラミックは、好ましくは、曲げ強度が少なくとも0.3MPaあり、より好ましくは、少なくとも1MPa、最も好ましくは、少なくとも2MPaある。
【0023】
本発明の結果として生じるケーブルは、火災において、ケーブルが炎にさらされることによる機械的、熱的、化学的衝撃をうけ、その結果悪い後遺症が生じても機能を維持することができる。
【0024】
組成物を評価温度にさらしたときのホウ素化合物の蒸発は、ホウ素を含んだ揮発性のガスとそれに加えて蒸気、二酸化炭素の過剰量の脱離の結果としてクラックが生じるかもしれない。
【0025】
ホウ素化合物は、高温で気化しやすい(これは、結果として得られるセラミフィアブル(ceramifiable)な組成物の性能に悪い影響を与える)のに対して、そのホウ素は、アルカリ土類金属ホウケイ酸塩化合物中でしっかりと結合するので、ホウ素の気化による問題は現れない。更に、ホウ酸は、水溶性であるのに対して、アルカリ土類金属のホウケイ酸塩化合物は、好ましくは、僅かに水に溶解するだけである。アルカリ土類金属のホウケイ酸塩の溶解度は、1%未満であり、より好ましくは0.5%未満である。
【0026】
高温にさらされている間のアルカリ土類金属のホウケイ酸塩中のホウ素の強熱減量(LOI)%は、セラミフィアブル(ceramifiable)な組成物の形成に使用される従来のホウ素化合物、例えば、三酸化二ホウ素やホウ砂等、のLOIと比較して低い。ホウケイ酸塩のLOIは、好ましくは、10%以下であり、より好ましくは6%以下、最も好ましくは、5%以下である。
【0027】
他の無機化合物の充填剤が組成物に加えられても良い。その無機化合物の充填剤は、その組成物の高温での電気伝導性の増加を防ぐために、好ましくは、実質的に1価のアルカリ金属を含まない。
【0028】
ホウケイ酸塩セラミックは、高温での良好な(高い)抵抗率を有するセラミックを製造するために、アルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウム、リチウムなど)の量が少ないことが好ましい。その組成物は、僅か1wt%のアルカリ金属しか含まず、好ましくは、0.5wt%、更により好ましくは0.1wt%しか含まない。
【0029】
2価の金属ホウケイ酸塩化合物中のホウ素は、気化しやすくなったり、そして/または水との接触することにより溶解しやすくなったりしないように、化合物中で化学的にそして/または物理的に結合している。ホウ素と近接したケイ酸塩源の存在は、例えば、火災の状況などの評価温度にさらした状態で、ホウ素のガラス/セラミック層への移動を助ける。アルカリ土類金属のホウケイ酸塩化合物は、少なくとも部分的に結晶質で、化学的そして/または物理的反応によって製造される。アルカリ土類金属のホウケイ酸塩化合物は、少なくとも20wt%の結晶化が好ましく、より好ましくは少なくとも40wt%、最も好ましくは少なくとも60wt%の結晶化である。
【0030】
アルカリ金属ホウケイ酸塩化合物は、例えば、消石灰と三酸化二ホウ素などのカルシウムとホウ素の化合物で処理されたウォラストナイト(CaO・SiO2)を含むことが好ましい。アルカリ土類金属のホウケイ酸塩化合物は、水を含むスラリー中で個々の原料を混合させることによって製造され、その製造は、長時間(例えば、4時間)粉砕器にかけ、水を抜き、フィルター処理し、乾燥させるものである。乾燥した製造物は、それからインパクトミルで粉砕される。理論に束縛されることを望まないのであるが、長期間に渡る原料の機械的加工は、化学的そして/または物理的手段によって互いにしっかりと結合した化合物であるアルカリ土類金属のホウケイ酸塩化合物を生成すると考えられる。関係するホウケイ酸塩化合物の生産と目的は、参考文献によって上文に組み込まれる米国特許第3,846,148号明細書に更に述べられている。
【0031】
適当なカルシウムホウケイ酸塩化合物の例は、それに限定しないが、分子式1.2CaO・0.2B2O3・SiO2・0.5H2O(IRスペクトル:最大吸光度3440、1640、1410、1190−900cm-1)を有するHalox(商標)CW−22、221、291と、分子式1.4CaO・0.5B2O3・SiO2・0.5H2Oを有するHalox(商標)CW−2230を含む。
【0032】
アルカリ土類金属のホウケイ酸塩は、好ましくは、Si−O−B(645cm-1と900cm-1)を示す、または、ホウケイ酸塩化合物に対応するFTIRスペクトルピークを有する。
【0033】
アルカリ土類金属のホウケイ酸塩化合物の融点は、1000℃より高いことが好ましく、より好ましいのは1200℃より高いこと、最も好ましいのは1500℃より高いことである。
【0034】
アルカリ土類金属のホウケイ酸塩の平均粒径は、20ミクロンより小さいことが好ましく、より好ましいのは10ミクロンより小さいこと、最も好ましいのは6ミクロンより小さいことである。
【0035】
アルカリ土類金属のホウケイ酸塩の固有の比重は、2から3の間が好ましい。
【0036】
本発明における他の好ましい成分は、ビスマスの酸化物を備える。これらビスマスの酸化物は、トータルで5wt%より少ないことが好ましい。本出願人は、5wt%より多い量の酸化ビスマスの添加が、焼成の後でもかなりの強度を維持するが、収縮の度合いが15wt%より大きいことを発見した。許容収縮率が例えば15%より小さいことが要求される状況では、酸化ビスマスの量が、5wt%より小さいことが好ましく、より好ましくは4wt%より小さいことである。
【0037】
本発明の組成物は、不可欠な成分として有機ポリマーを含む。有機ポリマーとは、ポリマーの主鎖として有機ポリマーを有するものである。例えば、シリコンポリマーは、有機ポリマーとは認められない。しかしながら、それらは微量な成分として有機ポリマーと混合されても良く、それらが熱分解したとき、それらは、(セラミックの形成を助ける)微細な粒径の二酸化珪素の源を有益に提供する。有機ポリマーは、例えば、熱可塑性ポリマー、熱可塑性エラストマー、架橋エラストマー、ゴム、熱硬化性ポリマーなど、どのようなタイプであっても良い。有機ポリマーは、試薬、プレポリマーを含む前駆体組成物の形で存在しても良く、そして/または、前記試薬と前記プレポリマーは、上述したタイプの少なくとも1つの有機ポリマーを形成するために互いに反応できる。
【0038】
有機ポリマー成分は、2以上の異なった有機ポリマーの混合または融合を備えることができる。
【0039】
良好な処理性と機械的特性を維持している間、有機ポリマーは、例えば、ケイ酸塩無機化合物充填剤などの高濃度の無機添加剤を内包できることが好ましい。本発明に従って、高濃度の無機化合物充填剤を耐火性の組成物中に含むことは望ましく、そのような組成物は、充填剤量の少ない組成物と比較したとき、火にさらされたときの重量減少が低い傾向がある。比較的高濃度のケイ酸塩無機化合物充填剤を組み込んだ組成物は、それ故に、加熱によりセラミック化されたとき、収縮とクラックが少ないと思われる。酸化物溶剤の特定範囲の本発明の組成物の存在が、この観点において貢献することも信じられる。
【0040】
火災に遭遇し高温にさらされたとき、選択された有機ポリマーがその分解の前に溶融せずまたは流れないことは利点である。最も好ましいポリマーは、耐火性の組成物が形成された後に架橋したもの、または、熱可塑性であるが、高い融点を有し、そして/または、その融点近くで炭化物を形成するために分解するものを含む。しかしながら、これらの特性を有しないポリマーが使用されても良い。
【0041】
適当な有機ポリマーは市販されているか、または、知られた技術の適用か応用によって作られても良い。使用されても良い適当な有機ポリマーの例は以下に示されるが、特定の有機ポリマーの選択が、耐火性の組成物中に含まれる付加的な成分と、その組成物が調製され適用される方法と、その組成物の目的とする用途と、によっても影響を受けることは言うまでもない。
【0042】
指摘したように、有機ポリマーは、熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマー、そして(熱可塑性)エラストマーを含むこの発明の用途に適している。
【0043】
そのようなポリマーは、ポリオレフィンのコポリマー、ビニルポリマー、アクリルポリマー、メタクリルポリマー、スチレンポリマー、ポリアミド、ポリイミド、エポキシド、ポリオキシメチレンアセタール、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリエステル、フェノール樹脂、そして、メラミン樹脂を備えても良い。
【0044】
実例として、使用に適した熱可塑性ポリマーの例は、ポリオレフィン、ポリアクリラート、ポリカーボネート、ポリアミド(ナイロンを含む)、ポリエステル、ポリスチレン、ポリウレタン、ビニルポリマーを含む。適したビニルポリマーは、ポリ(塩化ビニル)(PVC)と、ポリ(酢酸ビニル)(PVAc)とを含む。
【0045】
適したポリオレフィンは、アルキレンのコポリマーまたはホモポリマーを含む。適したポリアルキレンの具体例は、以下のオレフィンのポリマーを含む:エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ヘキセン、4−メチルペンテン、1−ペンテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン。これらのポリオレフィンは、技術的によく知られている、過酸化物、錯化触媒、チーグラー−ナッタ触媒を使用して調製されても良い。2以上のこれらオレフィンのコポリマーが用いられても良く、例えば、エチレン−プロピレンコポリマーと、エチレン−プロピレンターポリマー(例えば、EPDM)、コポリマー、エチレンのポリマーと他のコポリマーが、1以上の上記オレフィンとともに用いられても良い。オレフィンは、例えば、ビニル、アクリル、または、ジエン化合物のような他のモノマー種と共重合しても良い。適したエチレンベースのコポリマーの具体例は、エチレン酢酸ビニル(EVA)、エチレン−アルキルアクリル酸塩、好ましくは、エチレン−エチルアクリル酸塩(EEA)または、エチレン−ブチルアクリル酸塩(EBA)、そして、エチレン−フルオロオレフィックモノマー、例えば、エチレン−テトラフルオロエチレン(ETFE)を含む。
【0046】
この発明に使用可能な水ベースの分散液またはエマルジョンであり、市販されていて購入可能な有機ポリマーとコポリマーの広い範囲がある。例えば、アクリル酸の、ポリウレタン、ポリ(酢酸ビニル)を含むビニルエステルポリマーなどである。
【0047】
有機ポリマーベースのコーティング剤と封止剤は、溶媒、エマルジョン、分散を称することを含むいくつかの手段によって調製される。例えば、本発明の組成物は、水中か、適当な溶媒中で溶解するか分散し、それから適用される。適用された後、その混合物は、乾燥され、どの溶媒も蒸発させられる。そのポリマーが熱硬化性ポリマーであるところの、乾燥ステップは、必須のコーティングまたは封止剤を形成するために、どの硬化添加剤とともにでも反応性中間体の硬化を助ける。
【0048】
本発明の組成物は、電気伝導性の部品、または、押し出し成形(他の部品とともに行った押し出し成形を含む)された複数の部品、または、1以上のコーティング剤が適用された複数の部品の周りに形成されても良い。
【0049】
述べたように、有機ポリマーの選択は、部分的にはその組成物の目的の用途次第である。例えば、ある用途において、ある程度のしなやかさがその組成物(例えば、電気ケーブルコーティング剤)には必要であり、有機ポリマーは、添加剤を含んでいるとき、その特性に基づいて選ばれる必要がある。有機ポリマーの選択においても、ポリマーが分解する際に発生するかもしれない有毒な、または、有害などんなガスについてもその重要性を考慮すべきである。そのようなガスの発生は、ある用途においては、その他のものより許容されるかもしれない。使用される有機ポリマーは、ハロゲンフリーであることが好ましい。
【0050】
ポリマーベースの組成物は、少なくとも1つの有機ポリマーでない他のポリマーを含むこともできる。
【0051】
それ故に、本発明の組成物は、付加的な成分が分散しているポリマーベースの組成物として、有機ポリマーと組み合わせてシリコンポリマーも含んでよい。
【0052】
有機ポリマーは、ポリマーベースの組成物中に、重量で全体の少なくとも50%含まれていることが好ましい。これは、組成物全体の処理性を阻害することなくポリマーベースの組成物に付加的な成分を組み込むことを助ける。すでに述べられたように、ポリマーベースの組成物は、シリコンポリマーを含んでも良い。しかしながら、このケースにおいて、有機ポリマーは、通常、シリコンポリマーと比較して、かなり大量にポリマーベースの組成物中に含まれる。それ故に、ポリマーベースの組成物において、有機ポリマーとシリコンポリマーの重量比は、5:1から2:1であって良く、例えば4:1から3:1である。重量%に関して、もしシリコンポリマーが存在するならば、シリコンポリマーは、一般的に、処方された耐火性の組成物の全体重量に基づいて、全体の2から15wt%含まれる。有機ポリマーとシリコンポリマーの組み合わせが使用されたとき、高濃度のシリコンポリマーは、製造プロセスに問題を引き起こしうるので、これは、本発明に関する組成物を処方するとき考慮されるべきである。
【0053】
耐火性の組成物中のポリマーベース組成物の総量の上限は、処方される組成物の所望の特性によって影響を受ける傾向がある。ポリマーベースの組成物の総量が、組成物全体の重量の約60%を越える場合は、火災の間に粘着力のある、強固な残留物が形成されることは起きそうもない。それ故に、ポリマーベースの組成物は、処方される耐火性の組成物の重量の通常10から60%、好ましくは20から50%を形成する。
【0054】
もう一つの側面によれば、本発明は、導体に直接適用される本発明に従って、適切な組成物を備える電気ケーブルを提供する。そのケーブルは、例えば、耐切断層、そして/または、被覆層等の他の層を含んでも良い。しかしながら、そのケーブルは、高温で電気絶縁性を維持ことを目的とする追加の層は必要ではない。適切な耐切断材料そして/または被覆層は、技術的によく知られている。
【0055】
本発明の他の実施例において、耐火性の高分子化合物を製造する方法を提供する。その方法は、以下のステップを含む。
・所望の機能、特性とともに目的とする1つ、または複数の無機化合物を決定し、
・無機化合物前駆体の量を選択し、
・有機ポリマーの量を選択する。
無機化合物前駆体は、高温で反応し、目的の無機化合物を形成する。
好ましくは、目的の無機化合物は、フォルステライトである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0056】
本発明の高分子化合物は、良好な機械的特性を維持する一方、火災の状況下で高温にさらされているとき炎と水をバリアする特性を提供する。高分子化合物は、高分子化合物が高温にさらされているとき(例えば、その組成物が炎にさらされているような)に目的の無機化合物の形成を助ける前駆体の無機成分を含む。
【0057】
特に、高分子化合物は、MgOに酸化されるマグネシウム化合物と、シリカと、任意でアルミナ、または、例えば三水和アルミナ(ATH)などのアルミナに酸化されるアルミナ化合物と、を含む。高温(例えば600℃より高い温度)にさらされているとき、マグネシウムは、無機マトリックス中に拡散し始める。組成物の温度が増加するにつれて、目的の1つの無機化合物または複数の無機化合物は、高分子化合物中で無機前駆体成分から形成される。
【0058】
有機ポリマーの分解の結果として分散したガス層が形成される。高温で、アルカリ性の酸化マグネシウムは、目的の無機化合物(例えばフォルステライトのような)を形成し、凝固し、ガス層がトラップされることによって形成された細孔の周りの壁を強固にするために酸性の二酸化珪素と反応する。
【0059】
マグネシウム化合物のシリカに対する比は、シリカまたは他の目的無機前駆体との反応の後、過剰のMgOがないような値である。水にさらされたとき、過剰のMgOは、組成物の機能特性を低減するかもしれないアルカリ性溶液を形成する。組成物が耐火性ケーブルの一部として使用され、その組成物が水と火にさらされたとき回路の完全性を維持することの要求があるときに、これは特に重要である。
【0060】
目的の無機化合物が2MgO・SiO2の化学式を有するフォルステライトのとき、その組成物は、SiO2に利用可能なMgOのモル比が好ましくはわずか約2から1(44.0%SiO2への56.0wt%MgO)しかないように、酸化してMgOになるマグネシウム化合物を含む。利用可能なSiO2の量が、大多数のMgOがフォルステライト形成のために反応するのを可能にするのに十分な量であることがより好ましい。しかしながら、過剰のSiO2は、エンスタタイト(MgSiO3)に変わるフォルステライトをもたらし、このフォルステライトは、目的無機化合物であってもなくても良い。
【0061】
その組成物は、目的無機化合物次第で、適切な粒径と分布の0−30wt%のアルミナAl2O3と、揮発性の陰イオンと一緒に他の塩と、さもなくば、例えばアルミナ三水和物のような、強く加熱されたときアルミナを形成する他の塩と、を更に含んでも良い。その高分子化合物は、5から25wt%のAl2O3を含むことがより好ましい。耐火粘土は、アルミナの源であっても良いが、その粘土の組成物は、伝導性(高温でその組成物の電気抵抗を減少させるLi、Na、Kのような)陽イオンとフラックス剤を除去されなければならない。
【0062】
目的無機化合物が、化学式2MgO・2Al2O3・5SiO2を有するコージライトのとき、その組成物は、Al2O3とSiO2に利用可能なMgOのモル比が好ましくはわずか約2:2:5(MgO:Al2O3:SiO2)(51.4%SiO2、34.8wt%Al2O3への13.8wt%MgO)しかないように、酸化してMgOになるマグネシウム化合物を含む。大多数のMgOがコージライト形成の反応をすることを可能にするのに十分のAl2O3とSiO2があることがより好ましい。Al2O3とSiO2は、その未焼成状態の高分子化合物に良好な耐湿性を与える有利な特性を有する粘度の形で含まれても良い。
【0063】
良好な電気絶縁特性を与える他の目的無機化合物は、アルミナ(Al2O3)と、エンスタタイト(MgSiO3)と、ステアタイト(Mg3Si4O10(OH)2)と、スピネル(MgAl2O4)と、を含む。目的の前駆体無機成分は、望ましい目的無機化合物を形成を助けるために選択される一方、セラミック製品中の未反応前駆体材料の有害な効果(例えば、低い耐水性、低い電気抵抗、または低レベルの機械的特性)を最小化する。
【0064】
高分子化合物は、1以上の目的無機化合物が高分子化合物のセラミック化で製造されるように処方されることはいうまでもない。運動学的そして熱力学的制限は、与えられた温度と時間で目的無機化合物を形成するための反応をすることが可能な前駆体の量に影響を与えることによって、SiO2、Al2O3そしてMgOが完全に1つのまたは複数の目的無機化合物に変わることを妨げる。更に、プロセスの制限は、Al2O3とMgOを形成する化合物とシリカの特定の割合にも影響を与えるかもしれない。例えば、高濃度のシリカが、質の低い処理と物理的特性を有するポリマーの製造を生じさせる一方、高濃度のアルミナは、セラミック強度を低下させるかもしれない。
【0065】
本発明の際だった特徴は、マグネシウム化合物とアルミニウム化合物の割合が、高温でシリカ(または、シリカ源)と反応し、良好な機械的特性、電気抵抗特性、耐火特性、耐水特性を有する目的無機化合物を形成するために選択される。それ故に、本発明の高分子化合物は、炎の進行を妨げる成分を含むだけでなく、炎にさらされる前後とその後の水への曝露の両方において組成物に効果的に機能させる機能特性とともにセラミックの残留組成物も形成する。それ故に、本発明の高分子化合物は、市販するのに魅力的であり、次のような飛躍的なコストセーブを提供する。
・必須の多機能性を有するより簡略化された製品の製造
・製品の故障の減少、例えば電気ケーブル。
【0066】
無機化合物前駆体は、目的無機化合物が高温で良好に形成されるようにし、表面積そして/または粒径そして分布を最適化するために前処理を必要とされても良い。
例えばTiO2のような他の無機化合物成分は、目的無機化合物の形成を助けるために添加されても良い。
【0067】
目的無機化合物を含んでいるセラミック組成物は、少なくとも0.3MPaの、好ましくは少なくとも1MPa、より好ましくは少なくとも2MPaの比較的強い強度で、堅く、もとの粒子と近いサイズ、形状で形成される。
【0068】
セラミック組成物は、本発明の高分子化合物が電気ケーブルの製造に使用されたとき特に重要となる良好な耐水性を提供する。高分子化合物は、過剰の酸化マグネシウムなしで目的無機化合物を形成するのに十分な反応物質(例えば、アルミナそして/またはシリカ)を含むことが好ましい。酸化マグネシウムは、水との接触によりアルカリ性の溶液を形成し、その溶液は、セラミック組成物の性能に影響を与えるかもしれない。
【0069】
有機材料と任意のいくつかの無機成分の分解に付随する収縮は、一時的な液層内に形成された分散した微細な細孔によって少なくとも部分的には補償される。これにより、はじめの高分子化合物と比較して、このセラミック堆積製品は優れた形状保持性を発揮する。
【0070】
セラミック組成物は、700−1000℃と8000−1000℃の間で測定すると良好な電気抵抗を有する。それ故、高温での電気絶縁体として使用するのに適している。
【0071】
その組成物は、火災下における高温にさらされたセラミックを提供し、それは、好ましくは自立する。火事によって、様々な異なった状況に遭遇しうる。実験的に、火事の等級の標準規格によって要求される1000℃または1050℃までの温度にさらされることを含んだ極端な状態で評価した。
<有機ポリマー>
【0072】
本発明の組成物は、有機ポリマーを含む。有機ポリマーは、ポリマーの主鎖として有機ポリマーを有するものである。例えば、シリコンポリマーは、有機ポリマーとは認められない。しかしながら、それらは微量な成分として有機ポリマーと混合されても良く、それらが熱分解したとき、それらは、(セラミックの形成を助ける)微細な粒径の二酸化珪素の源を有益に提供する。
【0073】
有機ポリマーは、例えば熱硬化性ポリマー、熱可塑性エラストマー、架橋エラストマー、または、ゴム、熱硬化性ポリマーのような、どのようなタイプであっても良いが、好ましくは、有機ポリマーは、ポリオレフィンのコポリマーとホモポリマーを含む。
【0074】
適したポリオレフィンは、アルキレンのコポリマーまたはホモポリマーを含む。適したポリアルキレンの具体例は、以下のオレフィンのポリマーを含む:エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ヘキセン、4−メチルペンテン、1−ペンテン、1−オクテン、1−ノネン、そして、1−デセン。これらのポリオレフィンは、技術的によく知られた、過酸化物、有機金属の錯化剤触媒、チーグラー−ナッタまたはメタロセン触媒、を使用して調製されても良い。2以上のこれらオレフィンのコポリマーが用いられても良く、例えば、エチレン−プロピレンコポリマーと、エチレン−プロピレンターポリマー(例えば、EPDM)と、エチレン−ブチレン−1コポリマーと、エチレン−ヘキセン−1コポリマーと、エチレン−オクテン−1コポリマーと、エチレンの他のコポリマーとが、1以上の上記オレフィンとともに用いられても良い。オレフィンは、例えば、アクリル、または、ジエン化合物のような他のモノマー種と共重合しても良い。適したエチレンベースのコポリマーの具体例は、エチレン−アルキルアクリル酸塩、好ましくは、エチレン−エチルアクリル酸塩(EEA)または、エチレン−ブチルアクリル酸塩(EBA)、そして、エチレン−フルオロオレフィックモノマー、例えば、エチレン−テトラフルオロエチレン(ETFE)を含む。
【0075】
有機ポリマーは、試薬、上述したタイプの少なくとも1つの有機ポリマーを形成するために互いに反応できるプレポリマーそして/またはオリゴノマーを含む前駆体組成物の形で存在しても良い。
【0076】
有機ポリマー組成物は、2以上の異なった有機ポリマーの混合または融合を備えることができる。
良好な処理性と機械的特性を維持している間、有機ポリマーは、高濃度の無機成分を内包できることが好ましい。本発明に従って、高濃度の無機化合物充填剤を耐火性の高分子化合物中に含むことは望ましく、そのような組成物は、少ない無機化合物量を有する組成物と比較したとき、火にさらされたときの重量減少が低い傾向がある。比較的高濃度の無機化合物材料を組み込んだ組成物は、それ故に、加熱によりセラミック化されたとき、収縮とクラックが少ないと思われる。
【0077】
火災に遭遇し高温にさらされたとき、選択された有機ポリマーがその分解の前に溶融せずまたは流れないことは利点である。最も好ましいポリマーは、耐火性の組成物が形成された後に架橋したもの、または、熱可塑性であるが、高い融点を有し、そして/または、その融点近くで炭化物を形成するために分解するものを含む。しかしながら、これらの特性を有しないポリマーが使用されても良い。
【0078】
適当な有機ポリマーは市販されているか、または、知られた技術の適用か応用によって作られても良い。使用されても良い適当な有機ポリマーの例は以下に示されるが、特定の有機ポリマーの選択が、耐火性の組成物中に含まれる付加的な成分と、その組成物が調製され適用される方法と、その組成物の目的とする用途と、によっても影響を受けることは言うまでもない。
【0079】
指摘したように、有機ポリマーは、熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマー、そして(熱可塑性)エラストマーを含むこの発明の用途に適している。
ポリオレフィンのホモポリマー、ポリオレフィンのコポリマーに加えて、有機ポリマーは、アクリルポリマー、メタクリルポリマー、スチレンポリマー、ポリアミド、ポリイミド、エポキシ、ポリオキシメチレンアセタール、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリエステル、フェノール樹脂、メラミン樹脂を含んでも良い。
【0080】
実例として、使用に適した熱可塑性ポリマーの例は、ポリオレフィン、ポリアクリラート、ポリカーボネート、ポリアミド(ナイロンを含む)、ポリエステル、ポリスチレン、ポリウレタンを含む。
【0081】
熱可塑性ポリオレフィンは、2以上の上記ホモポリマーまたはコポリマーの混合であっても良い。例えば、その混合は、1以上のポリプロピレン、1−ポリブテン、そして、極性のあるモノマー含有オレフィンコポリマーを有する上記系の1つの均一な混合であることができる。好ましくは、オレフィンコポリマーを含む極性モノマーは、1以上のアクリルモノマーを含むエチレン、例えば、エチレン−アクリル酸塩コポリマー、エチレン−アルキルアクリレートコポリマー、好ましくは、エチレン−メチルアクリレート、エチレン−エチルアクリレートまたはエチレン−ブチルアクリレートコポリマーを備える。
【0082】
適したエラストマーは、例えば、天然ゴム(NR)、ブチルゴム(IIR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、エチレン−プロピレンターポリマーゴム(EPDM)、エピクロルヒドリンゴム(ECH)、クロロプレンゴム(CR)、クロロスルホンカポリエチレン(CSM)、そして塩素かポリエチレン(CM)、などの様々なゴム組成物を備える。適した熱可塑性エラストマーは、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン(SEBS)を含んでも良い。
【0083】
適した熱硬化性ポリマーは、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂を包含しても良い。熱硬化性樹脂は、技術的によく知られたどんな方法で製造されても良い。
【0084】
有機ポリマーは、モノマー、プレポリマーまたは反応性の出発化合物の元の位置での重合、そして架橋、または適切な反応性中間体のキュアリングを含む多くの手段によって組成物中に作られても良い。適切なモノマー、プレポリマーそして反応性化合物の具体例は、アクリル酸塩、ウレタン、エポキシド、フェノール、ホルムアルデヒド、無水石膏、アミンを含む。添加剤をキュアリングすることは、熱硬化性ポリマーの生成を助けるためにもなされて良い。
【0085】
ケーブルのためのコーティング剤を作るための使用に特によく適した有機ポリマーは、市販されている熱可塑性で交差結合したポリマーベースのオレフィン、任意の密度のコポリマーとターポリマーである。興味があるコモノマーは、当業者によく知られている。市販の熱可塑性の、そして、密度が890から960kg/lの交差結合したポリエチレンと、アクリル系のそして他のオレフィンモノマーを含むこのクラスのエチレンのコポリマーと、エチレンのターポリマーと、プロピレンと、ジエンモノマーと、1つの成分が交差結合したいわゆる熱可塑性バルカニセイト(vulcanisates)と、には特に興味があり、この熱可塑性バルカニセイトは、1つの成分が交差結合しており、一方、連続層は熱可塑性と不定性を有し、その不定性は、ポリマーの全てが、過酸化物、放射物、または、いわゆるシランプロセスのどれかによって熱可塑性か、交互結合かのどちらかである。
本発明の組成物は、押し出し成形によって、または、1以上のコーティング剤の適用によって形成される、伝導性を有する単一または複数の成分についてであって良い。
【0086】
すでに述べられたように、選択された有機ポリマーは、ひとつには、その組成物の所望の用途次第である。例えば、ある用途において、ある程度のしなやかさがその組成物(例えば、電気ケーブルコーティング剤)には必要であり、有機ポリマーは、添加剤を含んでいるとき、その特性に基づいて選ばれる必要がある。有機ポリマーの選択においても、ポリマーが分解する際に発生するかもしれない有毒な、または、有害などんなガスについてもその重要性を考慮すべきである。使用される有機ポリマーは、ハロゲンフリーであることが好ましい。
【0087】
<高分子化合物の調製>
高分子化合物は、どのような従来の手段によっても調製される。これは、他の成分を以下のものに加えることを含む:その後重合するモノマー(またはモノマーの混合物);チェーンの拡張そして/または交互結合反応によりその次に重合するプレポリマーそして/またはオリゴマー;溶融混合による熱可塑性ポリマー;分散するように混合した水を含む有機ポリマー分散液(水の存在は、本発明において組成物の一部とは考えられない);溶媒中にポリマーを溶解させた溶液(溶媒の存在は、本発明において組成物の一部とは考えられない);その次に交差結合する熱硬化性の系。
【0088】
その組成物がどのように調製されたかにかかわらず、加えられた成分(目的の無機化合物前駆体、他の無機成分、他の有機添加剤)は、有機ポリマーやポリマーを形成するのに使用される前駆体と効果的に混合され、それにより、それらが調製された組成物中によく分散し、好ましい最終製品を製造するためにその組成物は速やかに処理される。
【0089】
任意の従来の混合装置が使用されても良い。その組成物が比較的低い粘度を有する場合、分散装置、例えば塗料工業において使用されるタイプのものを使用して処理されても良い。ケーブルの絶縁用途に使用される材料は、高い粘度(大きい分子量)であり、2段圧延機、内部ミキサー、2軸押し出し機などを使用して処理されても良い。
【0090】
<実施例>
実施例の高分子化合物は、組成物の均一な分布を確保するために100℃で十分な時間ブラベンダーミキサーで混合された。
【0091】
(実施例1)
3つの従来の高分子化合物と3つの本発明の高分子化合物(表1)は、700−1000℃と800−1000℃の間で抵抗値が測定された。図1と2に示すように、本発明の高分子化合物(サンプルnew2(190106−1)、new3(190106−2))は、従来のその組成物(サンプル1、2、3)よりも高い抵抗値を示した。高分子化合物new3のXRD分析は、1000℃にさらした前後で、図3と4に示されるように、水酸化マグネシウムのフォルステライトへの変換を示した。
【0092】
1000℃で10分間加熱された後、セラミック製品サンプルnew1、new2、new3は、硬質であることが分かったが、new1は、new2、new3と比較して柔らかかった。組成物は、水への耐性、形状の保持の良好さも示した。
【0093】
【表1】
【0094】
テーブル1と3における商品名と、それらの化学名の相互関係を表2に示す。
【0095】
【表2】
【0096】
(実施例2)
この実施例は、高温で良好な耐火、耐水特性を有する高分子化合物を形成するために、既存の無機化合物、特にタルクと粘土(トランスリンク37)を置き換える水酸化マグネシウムとシリカの能力について調べる。全ての組成物は、良好な引っ張り特性と伸び特性%(表3)を備える高分子化合物を生成した。
【0097】
1000℃で10分間加熱したとき、セラミック製品は、硬化し、外観的に良好な形状の保持を示した。サンプル2−1から2−4は、図5と6に示される。サンプル2−3は、良好な耐水性を示した。これは、このサンプルのより高い緻密化と結びついているかもしれず、粘土とATHからの高いアルミナ濃度が原因かもしれない。
【0098】
収縮量の%は、およそ38mm(L)x13mm(W)x2mm(D)の長方形の片のサンプルを発泡スチロールのブロックの上にカバーをせずに置き、1000℃に10分間さらすことによって測定された。収縮量の%は、サンプルの長さの減少の%を計算することによって決定された。少ない収縮量のレベルが観察され(1.4から8.5%)、それは、酸化マグネシウムとシリカ(7.4%)の添加をしないサンプルに観られる収縮量の%と一致した。
【0099】
耐破壊性は、酸化マグネシウムの添加をしないサンプルでの3Nの耐破壊性と比較して、5mm/minのレートで、1と3.2Nの間で耐破壊性を示したサンプルを使用して測定された。
【0100】
【表3】
【0101】
(実施例3)
0.5mm直径(1.5mm2)の銅のワイヤ7本の束で作られた導体は、先願のオーストラリア特許出願第2004225453号明細書号2004225453で公開されたようなセラミック化された組成物と、本発明の組成物との両方を含む1.0mmの厚みの壁で絶縁された。絶縁された導体の長さは、適当な長さに切断され、次に4つのコアケーブルに組み立てられた(プロセスに置かれた)。組み立てでは、泡状のポリプロピレンテープで巻き、その次に、市販のハロゲンフリー難燃性被覆材料で覆った。そのような被覆材料は、容易に入手可能で、ケーブル業界においてよく知られている。
【0102】
2つのケーブルは、次に、曲げ半径の10倍のケーブル全体の直径で、炎のゾーン内の方向の2つの変更とともに亜鉛めっきしたスチールケーブルトレイに取り付けられ、そのトレイは、次に1200x1200x1200mmの寸法の加熱炉の上に置かれた。この加熱炉は、建築業(例えばAS1530.4)で使用される標準規格の温度−時間カーブを提供することができる。回路の完全性の測定装置が、次に、ケーブルに取り付けられた。そのケーブルは、3つのコアとアースの構成で配線され、3つの導体のそれぞれで位相を伝搬し、4つ目はアースされた。それぞれの回路は、ケーブルの機能を示すため4Aヒューズと60Wのバルブを備えた。
【0103】
テストが始められ、加熱炉の温度は標準規格の温度−時間カーブに一致して上昇した。結果を以下に示す。
【0104】
【表4】
【0105】
この結果は、本発明の組成物が従来技術のものより電気的に、そして機械的に良好であることを示す。
【0106】
実施例5は、カルシウムホウケイ酸塩、酸化ビスマス、カルシウムホウケイ酸塩と酸化ビスマスとATHなしの酸化ビスマスとの混合物、の焼成後の組成物中のセラミックの強度と収縮に関しての効果を示す。
【0107】
カルシウムホウケイ酸塩、酸化ビスマス、カルシウムホウケイ酸塩/酸化ビスマスを含む7つの組成物と、ATHを含まない酸化ビスマスの5つのサンプルとが、セラミック化添加剤としてのこれらの化合物の効果を実演するために調製された。組成物は、材料の重量を測定することによって調製され、次に、50ccのブラベンダーローラミキサーで混合され、130℃で10分間、30rpmで予備加熱された。ミキサーの中身は、取り除かれ、次に、約1mmの厚さのシートを形成するために加圧成形された。38x13mmのサンプルは、長方形のさいの目状に、シートからカットされた。サンプルは、バーニアキャリパスを使用して測定され、次に、1000℃で30分間加熱炉に入れられた。加熱炉から取り出し、室温まで冷却した後、そのサンプルは、再測定された。長さの違いは、パーセントで示され、次に、組成物中のそれぞれの化合物の比率に対してグラフ化された。
【0108】
これらの結果は、表5.1から5.4にそれぞれ示される。図7−10は、ホウケイ酸塩と酸化ビスマス添加による強度と収縮のテスト結果を示す。
【0109】
【表5−1】
【0110】
<収縮結果の説明>
負のディメンションは、収縮を意味する。カルシウムホウケイ酸塩の濃度の増加は収縮を増加させる傾向を示した。これは、強度が高められたことも示す。
【0111】
収縮の測定の後、サンプルは、インストロン1122メカニカルテスティングマシンで単純な3点曲げによる割れテストをされる。カルシウムホウケイ酸塩を不活性な酸化アルミニウムに置き換えることは、セラミックの強度を増加させる結果となることが、3点曲げ破壊結果より明らかである。図7と8から分かるように、焼成後の収縮もカルシウムホウケイ酸塩の添加量の増加とともに増加している。カルシウムホウケイ酸塩の20wt%を越える更なる添加は、強度の利益を損ない、収縮は、その化合物がより添加されると増加し続ける。カルシウムホウケイ酸塩の濃度は15wt%未満を維持することが好ましい。
【0112】
【表5−2】
【0113】
同様に、収縮の測定の後、サンプルは、インストロン1122メカニカルテスティングマシンで単純な3点曲げによる割れテストをされる。その結果は、酸化ビスマスをアルミナに置換することは、セラミックの強度を増加させることになることを示した。強度テストと収縮テストの結果は、図9と10に示される。5wt%以下の酸化ビスマスの添加は、かなりの強度増加の利益をもたらすが、そこから更に添加しても強度増加は少ししかないということをグラフは示す。5wt%を越える酸化ビスマスの添加によって、収縮の変化が平坦になり、5wt%を越える添加は、感知できるほどの更なる強度と形状保持の改善を提供しない。
【0114】
【表5−3】
【0115】
同様に、収縮の測定の後、サンプルは、インストロン1122メカニカルテスティングマシンで単純な3点曲げによる割れテストをされる。酸化ビスマスの少量の添加と、カルシウムホウケイ酸塩、言い換えれば、3wt%未満の酸化ビスマスと5wt%未満のカルシウムホウケイ酸塩とによって、焼成後に低収縮を示す適度な強度のセラミックを製造することができるということを、結果が示唆する。
【0116】
【表5−4】
【0117】
同様に、2つのサンプルの収縮測定は、カルシウムホウケイ酸塩とATHがサンプルの寸法安定性に寄与することを示唆する。サンプルは、インストロン1122メカニカルテスティングマシンで単純な3点曲げによる割れテストをされ、それは、強度の増加を示した。
【0118】
上記組成物において、ポリオレフィンエラストマーは、市販のエクソンコーポレーションとダウコーポレーションの製品、即ち、それぞれ「Exxact」と「Engage」を含む。
【0119】
「Halox CW2230」は、住所が1326 Summer Street, Hammond, IN 46320, USA であるHammond Group Incの製品である。
「Fine silica」は、細かく分離されたグレードのシリカであり、例えば、Degussa corpの「Ultrasil」製品の範囲である。
「Fine alumina」は、セラミック産業において使用されるアルミナ粉末のファイングレードを示す。
「Silane A172/50」は、ビニルトリメトキシシランのワックス中の分散であり、シランの多くのサプライヤーから入手可能である。
「Zinc stearate」は、容易に入手可能な市販の潤滑パウダーであり、ポリマープロセス産業において共通して使用される。
【0120】
(実施例6)
この実施例の目的は、ポリリン酸アンモニウムを含む従来のセラミック化の処方と比較してカルシウムホウケイ酸塩化合物を含むセラミック化ケーブル組成物の性能を評価することである。2つの分離された1m長のケーブルが実験室に保管されている。
【0121】
ケーブルAは、2つのコアの1.5mm2銅ワイヤであり、それは1.0mmの壁で絶縁され、その処方(formula)番号は71105(図2)であり、実験室に保存され、500mmの発泡PPテープでオーバーレイアップされ、アルミニウムポリエステルラミネートテープ(アルミニウムが外側)で巻かれ、7/0.5mmのPACWドレインワイヤが取り付けられ、プレインポリエステルテープで巻かれ、残りの500mmの間、実験室で、FR120 whiteで1.0mm以下の壁で覆われた。
【0122】
ケーブルBは、1.5mm2の2つのコアの銅ワイヤであり、それは1.0mmの壁で絶縁され、その処方(formula:フォーミュラ)番号は220506(図2)であり、アルミニウムポリエステルラミネートテープ(アルミニウムが外側)で巻かれ、7/0.5mmのPACWドレインワイヤが取り付けられ、プレインポリエステルテープで巻かれ、残りの500mmの間、実験室で、FR120 whiteで1.0mm以下の壁で覆われた。
【0123】
ケーブルは、100mm以下に切り分けられ、テストのためにレベルが付けられた。
それぞれのタイプのケーブル(そのまま)の1つのサンプルは、700℃で15分間加熱炉に一緒に入れられ、次に、2つのケーブルの間の相互作用を観察するために分けられる。それぞれのケーブルのテープで覆われたサンプルは、次に、高温でのテープの遮蔽効果を観察するために、一緒に700℃で15分間加熱炉に入れられた。
【0124】
最終的に、周りを覆われていないケーブルを使用し、両方のケーブルは、800℃、900℃、1000℃で15分間、次に1000℃で30分間それぞれ加熱炉で加熱され、それから、周りを覆われたケーブルが1000℃で15分間加熱された。
【0125】
<結果>
評価結果として、ケーブルにはかなり類似のクラックが発生した。これは、加熱炉内でケーブル間に最低限の相互作用があったことを示す。両サンプルに大きなクラックが無いことから分かるように、テープによる覆いは材料を保護するように思われる。
【0126】
温度が800℃に上昇したとき、処方71105よりも処方220506の方にクラックが発生し始めた。処方71105は、小さなクラックを示したのに対し、処方220506は、ワイヤからはがれ始めた。
【0127】
900℃と1000℃で15分間の処方220506サンプルは、大きなクラックが発生した。処方71105は、小さなクラックが発生しただけだった(図7と8)。
1000℃で30分間の処方220506サンプルは、まだほとんど変化が無かった。処方71105は、ケーブルの曲がりの外側に沿ってクラックの兆候が見え始めた。
また一方、テープによる覆いはケーブルを保護するが、処方220506には、それぞれのコアに沿った途中に1つクラックが発生した。
処方220506のケーブルは、高いセラミック強度を有するが、結果として多くのクラックが発生した。そのセラミックを指で粉砕するのは大変困難であり、折ることも困難である。処方71105ケーブルは、セラミック強度が極めて小さいが、形状保持性はかなり良好であった。これは、緻密化による強度とその後のクラックの間にある、予期されたトレードオフの関係を確認するものである。
【0128】
2つのコアのケーブルにおいて、処方71105は、全てのテストにおいて処方220506よりもクラックの発生がより少ないが、強度も小さい。この結果に基づいて、ケーブルへの覆いの追加により、700℃と1000℃の間の温度でのクラックの発生を防ぐ更なる効果がある。
【0129】
処方71105と220506−2(表6の処方参照)の比較の後、処方71105は、7/0.5mmワイヤで処方220506−2よりもクラックが少ないことが分かった。外観検査から、それぞれのケーブルの覆いのあるものはクラックの発生が少ないと推定される。この例は、処方30506−2、50706、110706、130706−2に加えて2つのケーブル(71105と220506−2)の電気抵抗をAS3013燃焼試験に似た条件で調べるためである。その結果、その処方は、AS3013燃焼試験に似た条件で、安全に電流を通す能力を示した。
【0130】
処方50706、110706、130706−2は、高温で電気抵抗に関して無機成分であるタルク、粘土、炭酸カルシウムを意図的に置換する効果の研究をするために含まれている。
4つの分離した1m長のケーブルは実験室内に保存された。
【0131】
ケーブル1は、2つのコアの1.5mm2銅ワイヤであり、それは、1.0mmの壁で絶縁され、その処方(formula)番号は71105であり、実験室に保存され、発泡PPテープでオーバーレイアップされ、実験室で、FR120 whiteで1.0mm以下の壁で覆われた。
【0132】
ケーブル2は、1.5mm2の2つのコアの銅ワイヤであり、それは1.0mmの壁で絶縁され、その処方(formula:フォーミュラ)番号は71105であり、実験室に保管され、アルミニウムポリエステルラミネートテープ(アルミニウムが外側)で巻かれ、7/0.5のPACWドレインワイヤが取り付けられ、プレインポリエステルテープで巻かれ、実験室で、FR120 whiteで1.0mm以下の壁で覆われた。
【0133】
ケーブル3は、2つのコアの1.5mm2銅ワイヤであり、それは、1.0mmの壁で絶縁され、その処方番号は220506−2であり、実験室に保存され、発泡PPテープでオーバーレイアップされ、実験室で、FR120 whiteで1.0mm以下の壁で覆われた。
【0134】
ケーブル4は、1.5mm2の2つのコアの銅ワイヤであり、それは1.0mmの壁で絶縁され、その処方番号は220506−2であり、実験室に保管され、アルミニウムポリエステルラミネートテープ(アルミニウムが外側)で巻かれ、7/0.5mmのPACWドレインワイヤが取り付けられ、プレインポリエステルテープで巻かれ、実験室で、FR120 whiteで1.0mm以下の壁で覆われた。
【0135】
4つのケーブルは全て、100mmの被覆材料を一端で取り除かれ、30mmの絶縁層をそれぞれのコアから取り除かれた。
ケーブル1と2は、ケーブルとトレイの間にある絶縁材とともに、ケーブルトレイに設置された。トレイを絶縁する目的は、ワイヤがトレイとショートする可能性を取り除くためであり、それにより、トレイとではなくコア同士でショートしうるのみであり、言い換えると、より簡単に電気抵抗を測定できる。トレイは、加熱路内に設置され、ケーブルの露出した端は測定のためにサイドにつきさせた。
【0136】
加熱炉は、それから、スイッチをオンされ、AS3013燃焼試験に類似した方法で温度が制御された。実際の時間−温度カーブは、AS1530.4に一致する。メガオームメータを使用して、それぞれのケーブルの2つのコア間の電気抵抗が、定期的に測定された。電気抵抗が測定可能レベルまで下がったとき、テストをストップした。
【0137】
同じテストが、次にケーブル3と4で実行された。
比較のため、処方30506−2で構成され、WFRAでAS3013燃焼試験に合格した5番目のケーブルをテストした。
【0138】
ケーブル5は、2つのコアの1.5mm2銅ワイヤであり、それは、1.0mmの壁で絶縁され、その処方番号は30506−2であり、実験室で作られ、実験室に保存され、発泡PPテープでオーバーレイアップされ、実験室で、FR120 redで1.0mm以下の壁で覆われた。
【0139】
ケーブル1−5のテスト結果を考慮して、3つの新しい処方を作った(表6参照)。それぞれの処方は、MV Talcを有する50706−1以外は220506−2と同じであり、50706−2は、Translink 37を取り除き、50706−3は、Omyacarb 2Tを取り除いた。それぞれは、Almatis CL370C Al2O3に置き換えられた。
【0140】
これらの成分の意図的な除去は、それぞれの結果の効果を調査するためになされた。Al2O3は、他の無機化合物にとって不活性な置換と考えられた。このアクションの理由は、これらの構成材が高温で分解したので、タルク、粘土、CaCO3のそれぞれのマイナスの効果を評価することであった。
【0141】
特に、700℃付近でCaCO3から放出されるCO2のと900℃付近でタルクから放出される水のマイナスの効果があることが報告された。更に、Translink 37 clayに含まれるNaとKが、高温でセラミック化組成物の伝導性を増加させることに寄与することが報告された。
【0142】
興味のあるその他の特性をモニタしながら、意図的にこれらの成分を不活性なアルミナに置換することで、セラミック化可能なカルシウムホウケイ酸塩の処方を最適化することができる。
【0143】
3つの更なるケーブルが保存され、これらの新しい処方を使用してテストされた。
ケーブル6は、2つのコアの1.5mm2銅ワイヤであり、それは、1.0mmの壁で絶縁され、その処方番号は30506−1であり、実験室で作られ、実験室に保存され、発泡PPテープでオーバーレイアップされ、実験室で、FR120 redで1.0mm以下の壁で覆われた。
【0144】
ケーブル7は、2つのコアの1.5mm2銅ワイヤであり、それは、1.0mmの壁で絶縁され、その処方番号は50706−2であり、実験室で作られ、実験室に保存され、発泡PPテープでオーバーレイアップされ、実験室で、FR120 redで1.0mm以下の壁で覆われた。
【0145】
ケーブル8は、2つのコアの1.5mm2銅ワイヤであり、それは、1.0mmの壁で絶縁され、その処方番号は50706−3であり、実験室で作られ、実験室に保存され、発泡PPテープでオーバーレイアップされ、実験室で、FR120 redで1.0mm以下の壁で覆われた。
【0146】
更なる研究のため、9番目のケーブルが作られ、それらの累積する影響を調べるためTranslink 37とOmyacarb 2Tの両方が取り除かれてテストされた。50706−1のケーブルとマイカで巻かれた3つのコアの1.5mm2ケーブルのサンプルが参照のために一緒にテストされた。処方220506−2中に存在するMV Talcの半分がUltrasil VN3に置き換えられ、他の半分が除外された10番目のケーブルが作られ、テストされた。
【0147】
ケーブル9は、2つのコアの1.5mm2銅ワイヤであり、それは、1.0mmの壁で絶縁され、その処方番号は110706であり、実験室で作られ、実験室に保存され、発泡PPテープでオーバーレイアップされ、実験室で、FR120 whiteで1.0mm以下の壁で覆われた。
【0148】
ケーブル10は、2つのコアの1.5mm2銅ワイヤであり、それは、1.0mmの壁で絶縁され、その処方番号は130706−2であり、実験室で作られ、実験室に保存され、発泡PPテープでオーバーレイアップされ、実験室で、FR120 whiteで1.0mm以下の壁で覆われた。
【0149】
<結果>
【0150】
結果を表6に示す。
【表6】
【0151】
図11と12から見ることができるように、両方の組成物(71105と220506)において、覆いを付けたサンプルはより早く抵抗が落ちる。実施例2から、覆いを付けたサンプルは、付けていないサンプルよりクラックが少ないことをが明示されたのは興味深いことである。
【0152】
図13は、処方71105の電気抵抗と処方220506−2の電気抵抗の間の比較を示す。処方71105の電気抵抗は、低温(4MΩ745℃820℃と4MΩ780℃835℃の比較)で早く落ち、その落ちるレートは、処方220506−2より遅く、それは、二つのグラフの最初の交差点によって見ることができる。
【0153】
図14は、ケーブル1から4と比べた処方30506−2サンプルの電気抵抗を示す。このケーブルの電気抵抗は、他のケーブルよりもより低い温度で落ちるが、それが他の4つのケーブルを実際にしのぐ点までで落ちる速度はすぐ遅くなった。約940℃までそれは高抵抗を有する。図15は、3つの処方50706の電気抵抗を示す。それは、タルクを除去した処方50706−1、Translink 37 clayを除去した処方50706−2、Omyacarb 2T CaCO3を除去した処方50706−3である。処方50706−3は、最も見込みのある結果を示した。ケーブル6の絶縁体は、1つのコアから他のコアへ流れるように見えた。ケーブル7と8は、少ないクラックを示すケーブル8に大変に似ている。
【0154】
処方110706から粘土(Translink 37)と炭酸カルシウム(Omyacarb 2T)の両方を取り除く効果の調査を試みた。図16は、処方110706が処方50706−1よりももっと高い温度に耐え、約925℃より上の温度でマイカで巻かれたケーブルよりも高い電気抵抗を実際に示すことを表している。更に、処方50706−1の絶縁体は、コアの間を流れていた。マイカで巻かれたサンプルは、絶縁体を有さないが、適度な状態であった。処方110706サンプルは、大変小さなクラックのあるセラミックを形成した。
【0155】
図17から、処方110706ケーブルが、900℃より高い温度で高い電気抵抗を持つ処方50706の改良であることが分かった。処方130706−2は、ちょうど1000℃以下まで耐久性のある、処方110706の更なる改良である。
【0156】
図18は、テストされた全てのサンプルの全体の比較を示す。処方30506−2、110706、130706−2は、電気抵抗の点から最も望ましい性質を明示した。テープで覆われたサンプルが、覆われていないサンプルよりも低い温度で電気抵抗が減少した点に注目される。テープで覆われたサンプルは、覆われていないサンプルよりもクラックが少ないものが再び製造された。
【0157】
処方71105は、処方220506−2と比較して高温でその電気抵抗を維持し、クラック少なく製造もされた。しかしながら、強度が低下し、トレードオフのようである。1000℃近くの温度で、処方71105は、その形状を完全に失い、銅にぴったり張り付いた。
【0158】
処方50706の50706−3(CaCO3なし)は、その電気抵抗を長く維持し、処方220506−2の改良でもある、しかし、電気抵抗の点では、処方71105より良好ではない。処方50706−3は、しかしながら、同等の量のクラックが発生する一方、より高い強度を有する。
【0159】
処方30506−2(粘土なし)は、950℃近くまでその電気抵抗を維持する、しかしながら、セラミックは、燃焼試験の終わりの時点でうまく形成されなかった。これは、銅を溶融させることができる加熱炉内の示された温度より高いことが原因かもしれない。
【0160】
処方130706−2が最も望ましい結果を出した。最も長く(990℃まで)その電気抵抗を維持し、ほんの小さなクラックのみで強いセラミックを作り出した。
1.5mm2の2つのコアのケーブルに関して、タルク、粘土、または、炭酸カルシウム(130706−2)を含むカルシウムホウケイ酸塩の処方は、910℃より高い温度で測定された全ての温度で最も高い電気抵抗を示し、処方71105と同様にクラック量が少なかった。テープで覆われたサンプルは、クラックに関してはよりよい結果だったが、その電気抵抗は、一様に低温で下がり、これは、覆われたケーブルが、700℃と1000℃の間の温度で現実に機能しなくなる可能性が高いことを示す。
【0161】
そのようなケーブルの構造において、その組成物は、伝導体を覆って直接押し出し成形された絶縁体として使用されることができ、そして/または、押し出し成形により1つまたは複数の絶縁体層を覆った被覆材料層として使用されることができる。その代わりに、それらは、複数コアケーブルの割れ目充填材として使用されることができ、アッセンブリを丸めるため、アッセンブリに添加される個々の押し出し成形された充填材として使用されることができ、テープの覆い、または、ワイヤの用途の前に内側の層として使用されることができる。
【0162】
実際面では、その組成物は、一般的に伝導体の表面に押し出し成形される。この押し出し成形は、従来の装置を使用して従来の方法でなされても良い。絶縁体層の厚みは、動作電圧と、特定の標準規格による伝導体サイズの要求次第である。一般的に、絶縁体は、0.6から3mmの厚みを有する。例えば、35mm2伝導体の定格0.6/1kVにおいてオーストラリア標準規格では、約1.2mmの絶縁体厚みが要求される。述べたように、本発明に関する組成物は、高温で優れた熱的特性と電気絶縁特性を示すことができる。そのような組成物が使用されたとき、電気絶縁特性を与える異なった層を含む必要がないので、エレガントで簡単な構造のケーブルを製造することを可能にする。
【0163】
この明細書で定義され、公開された本発明は、テキストや図面から明らかになり、または、述べられた2以上の個々の特徴の全ての組み合わせの代案に拡張できることを理解すべきである。これらの異なる組み合わせの全ては、本発明の様々な代わりの側面を構成する。
【図面の簡単な説明】
【0164】
【図1】700℃から1000℃の間での本発明の高分子化合物と従来の高分子化合物の電気抵抗の変化を示したグラフである。
【図2】800℃から1000℃の間での本発明の高分子化合物と従来の高分子化合物の電気抵抗の変化を示したグラフである。
【図3】本発明に関するMg(OH)2の存在を示す、1000℃にさらす前のサンプル「new3」のXRDスペクトルである。
【図4】本発明に関するフォルステライトの存在を示す、1000℃にさらした後のサンプル「new3」のXRDスペクトルである。
【図5】高温にさらされる前の本発明のサンプル2−1から2−4までのイメージである。
【図6】1000℃に10分間さらした後の図6のサンプルのイメージである。
【図7】カルシウムホウケイ酸塩の量の関数として収縮量をグラフにしたものである。
【図8】カルシウムホウケイ酸塩の量の関数として強度をグラフにしたものである。
【図9】酸化ビスマスの量の関数として収縮量をグラフにしたものである。
【図10】酸化ビスマスの量の関数として強度をグラフにしたものである。
【図11】高温で測定された製法71105(ケーブル1と2)の平面サンプルの電気抵抗グラフである。
【図12】高温で測定された製法71105(ケーブル3と4)の平面サンプルの電気抵抗グラフである。
【図13】高温で測定された製法71105と220506(2つのコア平面と測定)の平面サンプルの電気抵抗グラフである。
【図14】高温で測定された製法71105と220506と30506(2つのコア平面と測定)の平面サンプルの電気抵抗グラフである。
【図15】製法50706−1、50706−2、50706−3のサンプルの高温での電気抵抗のグラフである。
【図16】製法110706(ケーブル9)、50706−1のサンプル、そして、比較としてマイカで巻かれたワイヤの高温での電気抵抗グラフである
【図17】製法50706−1、50706−2、50706−3、110706、130706−2のサンプルの高温での電気抵抗グラフである。
【図18】ケーブル1から9の製法のサンプルと、マイカで巻かれたサンプルの高温での電気抵抗グラフである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐火特性を有し、火災の場合に機能の保持を必要とする様々な用途に使用される高分子化合物に関する。本発明は、電気絶縁特性の保持が特に必要な電気ケーブルに特定して言及し、例証されるが、本発明が、ここに述べられた関連する利点に照らして、より広い用途があることは言うまでもない。
【背景技術】
【0002】
電気ケーブルは、少なくとも1つの絶縁層によって包まれた中心にある伝導体から構成される。そのようなケーブルは、建物の中に広範囲な用途があり、国内製品、オフィス、工業用建物の中のほとんど全ての電気回路の基礎を実際に形成する。いくつかの用途において、例えば、緊急用電源と通信回路は、ケーブルに対して、たとえ炎に曝されても回路の完全性を維持し、機能を継続させることを要求する。そして、このタイプのケーブルには、広い範囲の標準規格が存在する。いくつかのこれらの標準規格を満たすために、ケーブルは、所定の方法で所定の時間(例えば、15分、30分、60分、2時間)指定された温度(例えば、650、750、950、1050℃)で加熱されたとき、一般的に、電気回路の完全性を少なくとも維持することを必要とされる。一部の例では、ケーブルは、加熱段階の間通常の機械的衝撃を加えられる。例えば、ケーブルは、ヒートサイクルの後の段階か、加熱段階の後、ウォータジェット、または、ウォータスプレイを加えられても良い。与えられた標準規格を満たすために、ケーブルは、一般的に、テストの始めから終わりまで回路の完全性を維持することが必要である。特に、例えば、ウォータジェットやウォータスプレイに曝されることによる機械的な影響から生じるような衝撃の間、しかるべく機能することを必要とされるならば、このように絶縁体は、(高温での長い加熱時間の後でさえ)低い電気伝導性を保ち、縮んだり割れたりせずその形状を維持し、機械的に強固であることが重要になる。ケーブルが短時間ウォータスプレイに曝されている間、機能し続けることを必要とされる場合、加熱後に残っている絶縁層は、水の進入を防ぐことも望ましい。
【0003】
絶縁ケーブルの高温特性を改善する方法の1つは、グラスファイバで製造されマイカで被覆されたテープをケーブルの伝導体を包むことであった。そのようなテープは、製造中に伝導体の周りに巻かれ、少なくとも1つの絶縁膜が形成される。昇温環境に曝すと、外側の層は分解し、崩れ落ちるが、グラスファイバは、マイカをそのまま保持する。
【0004】
【特許文献1】米国特許第3846148号明細書
【特許文献2】オーストラリア特許出願第2004225453号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらのテープは、火炎中において回路の完全性を保つには効果的であることが分かったが非常に高価である。
更に、伝導体の周りにテープを巻くプロセスは、他のケーブル製造プロセスと比較して遅いので、このテープを巻くプロセスがケーブル製造プロセス全体を遅くし、更にコストを増加させる。耐火性のコーティングは、押し出し加工によるケーブル製造の間に適用され、それによってテープの使用を避けることが望ましい。
【0006】
耐熱性を示す特定の組成物は、高温時において高い電気絶縁性をうまく示さない。これらの組成物が、ケーブルへの応用として使用されたとき、これらの組成物は、単に、伝導体と支持金属トレイ(または、ブラケット)の間の断熱材そして/または物理的バリアを提供し、回路不良の原因となる火災の状況で、電気伝導に役立つ。このケースにおいて、電気絶縁性が高温時でも維持されることを補償するためには更なる処置をとることが必要である。例えば、高温時での耐熱性を与え、物理的バリアを提供するが電気伝導性になる組成物は、電気絶縁性を提供するための構造に特に組み込まれた別の層の上に提供されても良い。高温時において、必要とされる断熱性を与え、必要とされる密着した物理的バリア(例えば、クラックや破損のない)を提供し、更にそれらの温度において電気絶縁体として機能する単一の組成物を提供することが望ましい。これにより、大きなコスト低減と簡単な製品製造を提供できると考えられる。
【0007】
断熱性、そして/または、密着した物理的バリア、または、コーティングのみならず、本発明に関する組成物は、高温時において必要とされる電気絶縁特性も示す。
【0008】
本発明に関する組成物は、製造を可能にする優れた加工性も有し、従来の技術で容易に使用される。加えて本発明は、多くの異なった用途の要求に合わせて調整できる広い範囲の機械的特性を有する耐火性のポリマー製品の製造を可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
他の発明を越える本発明の際だった特徴は、加熱により重合状態からセラミック状態に変換することによって保護するもので、ポリマー成分を焼き尽くした後残った無機成分がその組成物の構造の一部として選択され、目的の無機化合物量を最大化するために、ポリマー状態での有用な特性がまだ維持されている間、無機成分の効果、それらの比率、形状、状態の全てが選択される、というものである。
【0010】
本発明者は、無機化合物の「前駆体」を高分子化合物中に加えることで、その高分子化合物を焼成することにより目的の無機化合物の形成を助けることが可能であることを、目的の無機化合物の組成を研究することにより発見した。この1つの例は、酸化可能マグネシウム化合物とシリカ無機化合物を耐火性の組成物に加えることであり、その割合、粒子サイズ、そのサイズの分布は、マグネシウム化合物が、火炎下の定格温度で、その組成物中においてシリカと反応し、無機化合物のフォルステライトを形成することができるようなものである。フォルステライトは、マグネシウムリッチな材料であり、一般的な化学式はMg2SiO4である。そしてそれは、高温(1000℃)で高い電気絶縁性と高い膨張率を有することが知られている。同様の方法で形成することができる、例えば、コージライト(2MgO・2Al2O3・5SiO2)、エンスタタイト(MgSiO3)、スピネル(MgAl2O4)などの他の無機化合物ももちろんある。
【0011】
1つの実施形態は、耐火性の高分子化合物を提供するもので、この高分子化合物を焼成することにより目的の無機化合物が形成される。この高分子化合物は、
・20−60wt%の有機物ポリマーと、
・酸化してMgOを形成する2−30wt%のマグネシウム化合物と、
・5−30wt%のシリカと、
を含んでいる。
【0012】
シリカは、目的の無機化合物を形成するためにアルカリ性のMgOと反応する酸性酸化物を形成する。
【0013】
好ましい実施形態において、前記高分子化合物は、30−45wt%の有機ポリマーと、2−20wt%のマグネシウム化合物と、5−20wt%のシリカとを含んでいる。良好なポリマー特性を確保するために、高分子化合物中の無機成分のトータルレベルは、ほんの65wt%でしかあってはならない。
【0014】
その組成物は、目的の単一無機化合物または複数の無機化合物次第で、更に適切な粒径と分布を有する30wt%以下のアルミナAl2O3と、他の塩とを含んでも良く、前記他の塩は、揮発性の陰イオンを含むか、さもなくば、例えばアルミナ三水和物のような強く加熱されるとアルミナを形成する塩である。耐火粘土は、アルミナの源であっても良いが、その粘土の組成物は、かなりの量の伝導性(高温でその組成物の電気抵抗を減少させるLi、Na、Kのような)陽イオンとフラックス剤を除去されなければならない。高分子化合物は、Li、Na、Kを含まない方が好ましい。
【0015】
本発明の好ましい形態において、適当な粒径と分布のマグネシウム化合物は、水酸化マグネシウムである。他のマグネシウム化合物、例えば、揮発性の陰イオンを含む塩などは、その組成物に必要とされる機能次第で使用されても良い。これらは、炭酸マグネシウム、ハロゲン化マグネシウム、硝酸塩、または、硫酸塩を含んでも良いが、その場合、いくつかの用途のためには電気伝導性がありすぎるか、水分吸収性がありすぎるかのどちらかであるかもしれない。
【0016】
本発明の好ましい形態において、上記組成物は、15wt%未満のアルカリ土類金属のホウケイ酸塩化合物を備え、そのアルカリ土類金属のホウケイ酸塩化合物は、高温でセラミック組成物を形成する。アルカリ土類金属のホウケイ酸塩化合物の量は、全体の組成物の5−15wt%の範囲が好ましい。
【0017】
ホウケイ酸塩ガラス/セラミックを製造する際の問題は、ホウ酸の蒸発によりシリカリッチの表層が生じると言うことである。更に、ホウ酸は、温度が上昇したときにセラミック組成物の粘度の低下をもたらし、それ故、その組成物の寸法安定性の低下をもたらす。三酸化二ホウ素と1価のアルカリ金属(例えば、ナトリウムとカリウム)は、一般的に水溶性であり、それ故、これらの組成物の安定性は、特に高温、そして/または水の傾向がある。
【0018】
本発明の好ましい形態は、アルカリ土類の形態にホウケイ酸塩を加えることによってこの問題を解決する。カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウム、鉛、亜鉛で構成されるグループから選択されるアルカリ土類金属が好ましい。
【0019】
本発明の組成物は、高温、例えば火災(例として、1000℃で30分間)、にさらすことで形成される自立セラミック(self−supporting ceramic)を提供するために有利に調製される。
【0020】
アルカリ土類金属のホウケイ酸塩化合物は、カルシウムホウケイ酸塩であることが好ましい。カルシウムホウケイ酸塩化合物は、ケイ酸カルシウム、そして/または、ホウ酸カルシウム、またはそれらの前駆体を有利に含む。ケイ酸カルシウム(例えば、ウォラストナイト)と、ホウ酸カルシウム(例えば、水ホウ酸石(CaMgB6O11-6H2O)または、灰ホウ石(CaB3O4(OH)3−H2O)の自然源が使用されるが、合成原料は、ガスの揮発や放出を最小限にし、そして/または、高温へのその組成物の曝露下での電気伝導性(1価の不純物、例えばNaそして/またはKに起因する)を増加させるので好まれる。
【0021】
好ましくは、セラミック組成物中のホウ素量は、少なくとも1wt%であり、より好ましくは、少なくとも3wt%であり、更により好ましくは、5wt%である。ホウ素量は、最大12.5wt%以上であって良く、有利な機能とともに組成物が製造されても良い。
【0022】
火災下で高温にさらされた本発明の組成物から形成されたホウケイ酸塩セラミックは、好ましくは、曲げ強度が少なくとも0.3MPaあり、より好ましくは、少なくとも1MPa、最も好ましくは、少なくとも2MPaある。
【0023】
本発明の結果として生じるケーブルは、火災において、ケーブルが炎にさらされることによる機械的、熱的、化学的衝撃をうけ、その結果悪い後遺症が生じても機能を維持することができる。
【0024】
組成物を評価温度にさらしたときのホウ素化合物の蒸発は、ホウ素を含んだ揮発性のガスとそれに加えて蒸気、二酸化炭素の過剰量の脱離の結果としてクラックが生じるかもしれない。
【0025】
ホウ素化合物は、高温で気化しやすい(これは、結果として得られるセラミフィアブル(ceramifiable)な組成物の性能に悪い影響を与える)のに対して、そのホウ素は、アルカリ土類金属ホウケイ酸塩化合物中でしっかりと結合するので、ホウ素の気化による問題は現れない。更に、ホウ酸は、水溶性であるのに対して、アルカリ土類金属のホウケイ酸塩化合物は、好ましくは、僅かに水に溶解するだけである。アルカリ土類金属のホウケイ酸塩の溶解度は、1%未満であり、より好ましくは0.5%未満である。
【0026】
高温にさらされている間のアルカリ土類金属のホウケイ酸塩中のホウ素の強熱減量(LOI)%は、セラミフィアブル(ceramifiable)な組成物の形成に使用される従来のホウ素化合物、例えば、三酸化二ホウ素やホウ砂等、のLOIと比較して低い。ホウケイ酸塩のLOIは、好ましくは、10%以下であり、より好ましくは6%以下、最も好ましくは、5%以下である。
【0027】
他の無機化合物の充填剤が組成物に加えられても良い。その無機化合物の充填剤は、その組成物の高温での電気伝導性の増加を防ぐために、好ましくは、実質的に1価のアルカリ金属を含まない。
【0028】
ホウケイ酸塩セラミックは、高温での良好な(高い)抵抗率を有するセラミックを製造するために、アルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウム、リチウムなど)の量が少ないことが好ましい。その組成物は、僅か1wt%のアルカリ金属しか含まず、好ましくは、0.5wt%、更により好ましくは0.1wt%しか含まない。
【0029】
2価の金属ホウケイ酸塩化合物中のホウ素は、気化しやすくなったり、そして/または水との接触することにより溶解しやすくなったりしないように、化合物中で化学的にそして/または物理的に結合している。ホウ素と近接したケイ酸塩源の存在は、例えば、火災の状況などの評価温度にさらした状態で、ホウ素のガラス/セラミック層への移動を助ける。アルカリ土類金属のホウケイ酸塩化合物は、少なくとも部分的に結晶質で、化学的そして/または物理的反応によって製造される。アルカリ土類金属のホウケイ酸塩化合物は、少なくとも20wt%の結晶化が好ましく、より好ましくは少なくとも40wt%、最も好ましくは少なくとも60wt%の結晶化である。
【0030】
アルカリ金属ホウケイ酸塩化合物は、例えば、消石灰と三酸化二ホウ素などのカルシウムとホウ素の化合物で処理されたウォラストナイト(CaO・SiO2)を含むことが好ましい。アルカリ土類金属のホウケイ酸塩化合物は、水を含むスラリー中で個々の原料を混合させることによって製造され、その製造は、長時間(例えば、4時間)粉砕器にかけ、水を抜き、フィルター処理し、乾燥させるものである。乾燥した製造物は、それからインパクトミルで粉砕される。理論に束縛されることを望まないのであるが、長期間に渡る原料の機械的加工は、化学的そして/または物理的手段によって互いにしっかりと結合した化合物であるアルカリ土類金属のホウケイ酸塩化合物を生成すると考えられる。関係するホウケイ酸塩化合物の生産と目的は、参考文献によって上文に組み込まれる米国特許第3,846,148号明細書に更に述べられている。
【0031】
適当なカルシウムホウケイ酸塩化合物の例は、それに限定しないが、分子式1.2CaO・0.2B2O3・SiO2・0.5H2O(IRスペクトル:最大吸光度3440、1640、1410、1190−900cm-1)を有するHalox(商標)CW−22、221、291と、分子式1.4CaO・0.5B2O3・SiO2・0.5H2Oを有するHalox(商標)CW−2230を含む。
【0032】
アルカリ土類金属のホウケイ酸塩は、好ましくは、Si−O−B(645cm-1と900cm-1)を示す、または、ホウケイ酸塩化合物に対応するFTIRスペクトルピークを有する。
【0033】
アルカリ土類金属のホウケイ酸塩化合物の融点は、1000℃より高いことが好ましく、より好ましいのは1200℃より高いこと、最も好ましいのは1500℃より高いことである。
【0034】
アルカリ土類金属のホウケイ酸塩の平均粒径は、20ミクロンより小さいことが好ましく、より好ましいのは10ミクロンより小さいこと、最も好ましいのは6ミクロンより小さいことである。
【0035】
アルカリ土類金属のホウケイ酸塩の固有の比重は、2から3の間が好ましい。
【0036】
本発明における他の好ましい成分は、ビスマスの酸化物を備える。これらビスマスの酸化物は、トータルで5wt%より少ないことが好ましい。本出願人は、5wt%より多い量の酸化ビスマスの添加が、焼成の後でもかなりの強度を維持するが、収縮の度合いが15wt%より大きいことを発見した。許容収縮率が例えば15%より小さいことが要求される状況では、酸化ビスマスの量が、5wt%より小さいことが好ましく、より好ましくは4wt%より小さいことである。
【0037】
本発明の組成物は、不可欠な成分として有機ポリマーを含む。有機ポリマーとは、ポリマーの主鎖として有機ポリマーを有するものである。例えば、シリコンポリマーは、有機ポリマーとは認められない。しかしながら、それらは微量な成分として有機ポリマーと混合されても良く、それらが熱分解したとき、それらは、(セラミックの形成を助ける)微細な粒径の二酸化珪素の源を有益に提供する。有機ポリマーは、例えば、熱可塑性ポリマー、熱可塑性エラストマー、架橋エラストマー、ゴム、熱硬化性ポリマーなど、どのようなタイプであっても良い。有機ポリマーは、試薬、プレポリマーを含む前駆体組成物の形で存在しても良く、そして/または、前記試薬と前記プレポリマーは、上述したタイプの少なくとも1つの有機ポリマーを形成するために互いに反応できる。
【0038】
有機ポリマー成分は、2以上の異なった有機ポリマーの混合または融合を備えることができる。
【0039】
良好な処理性と機械的特性を維持している間、有機ポリマーは、例えば、ケイ酸塩無機化合物充填剤などの高濃度の無機添加剤を内包できることが好ましい。本発明に従って、高濃度の無機化合物充填剤を耐火性の組成物中に含むことは望ましく、そのような組成物は、充填剤量の少ない組成物と比較したとき、火にさらされたときの重量減少が低い傾向がある。比較的高濃度のケイ酸塩無機化合物充填剤を組み込んだ組成物は、それ故に、加熱によりセラミック化されたとき、収縮とクラックが少ないと思われる。酸化物溶剤の特定範囲の本発明の組成物の存在が、この観点において貢献することも信じられる。
【0040】
火災に遭遇し高温にさらされたとき、選択された有機ポリマーがその分解の前に溶融せずまたは流れないことは利点である。最も好ましいポリマーは、耐火性の組成物が形成された後に架橋したもの、または、熱可塑性であるが、高い融点を有し、そして/または、その融点近くで炭化物を形成するために分解するものを含む。しかしながら、これらの特性を有しないポリマーが使用されても良い。
【0041】
適当な有機ポリマーは市販されているか、または、知られた技術の適用か応用によって作られても良い。使用されても良い適当な有機ポリマーの例は以下に示されるが、特定の有機ポリマーの選択が、耐火性の組成物中に含まれる付加的な成分と、その組成物が調製され適用される方法と、その組成物の目的とする用途と、によっても影響を受けることは言うまでもない。
【0042】
指摘したように、有機ポリマーは、熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマー、そして(熱可塑性)エラストマーを含むこの発明の用途に適している。
【0043】
そのようなポリマーは、ポリオレフィンのコポリマー、ビニルポリマー、アクリルポリマー、メタクリルポリマー、スチレンポリマー、ポリアミド、ポリイミド、エポキシド、ポリオキシメチレンアセタール、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリエステル、フェノール樹脂、そして、メラミン樹脂を備えても良い。
【0044】
実例として、使用に適した熱可塑性ポリマーの例は、ポリオレフィン、ポリアクリラート、ポリカーボネート、ポリアミド(ナイロンを含む)、ポリエステル、ポリスチレン、ポリウレタン、ビニルポリマーを含む。適したビニルポリマーは、ポリ(塩化ビニル)(PVC)と、ポリ(酢酸ビニル)(PVAc)とを含む。
【0045】
適したポリオレフィンは、アルキレンのコポリマーまたはホモポリマーを含む。適したポリアルキレンの具体例は、以下のオレフィンのポリマーを含む:エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ヘキセン、4−メチルペンテン、1−ペンテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン。これらのポリオレフィンは、技術的によく知られている、過酸化物、錯化触媒、チーグラー−ナッタ触媒を使用して調製されても良い。2以上のこれらオレフィンのコポリマーが用いられても良く、例えば、エチレン−プロピレンコポリマーと、エチレン−プロピレンターポリマー(例えば、EPDM)、コポリマー、エチレンのポリマーと他のコポリマーが、1以上の上記オレフィンとともに用いられても良い。オレフィンは、例えば、ビニル、アクリル、または、ジエン化合物のような他のモノマー種と共重合しても良い。適したエチレンベースのコポリマーの具体例は、エチレン酢酸ビニル(EVA)、エチレン−アルキルアクリル酸塩、好ましくは、エチレン−エチルアクリル酸塩(EEA)または、エチレン−ブチルアクリル酸塩(EBA)、そして、エチレン−フルオロオレフィックモノマー、例えば、エチレン−テトラフルオロエチレン(ETFE)を含む。
【0046】
この発明に使用可能な水ベースの分散液またはエマルジョンであり、市販されていて購入可能な有機ポリマーとコポリマーの広い範囲がある。例えば、アクリル酸の、ポリウレタン、ポリ(酢酸ビニル)を含むビニルエステルポリマーなどである。
【0047】
有機ポリマーベースのコーティング剤と封止剤は、溶媒、エマルジョン、分散を称することを含むいくつかの手段によって調製される。例えば、本発明の組成物は、水中か、適当な溶媒中で溶解するか分散し、それから適用される。適用された後、その混合物は、乾燥され、どの溶媒も蒸発させられる。そのポリマーが熱硬化性ポリマーであるところの、乾燥ステップは、必須のコーティングまたは封止剤を形成するために、どの硬化添加剤とともにでも反応性中間体の硬化を助ける。
【0048】
本発明の組成物は、電気伝導性の部品、または、押し出し成形(他の部品とともに行った押し出し成形を含む)された複数の部品、または、1以上のコーティング剤が適用された複数の部品の周りに形成されても良い。
【0049】
述べたように、有機ポリマーの選択は、部分的にはその組成物の目的の用途次第である。例えば、ある用途において、ある程度のしなやかさがその組成物(例えば、電気ケーブルコーティング剤)には必要であり、有機ポリマーは、添加剤を含んでいるとき、その特性に基づいて選ばれる必要がある。有機ポリマーの選択においても、ポリマーが分解する際に発生するかもしれない有毒な、または、有害などんなガスについてもその重要性を考慮すべきである。そのようなガスの発生は、ある用途においては、その他のものより許容されるかもしれない。使用される有機ポリマーは、ハロゲンフリーであることが好ましい。
【0050】
ポリマーベースの組成物は、少なくとも1つの有機ポリマーでない他のポリマーを含むこともできる。
【0051】
それ故に、本発明の組成物は、付加的な成分が分散しているポリマーベースの組成物として、有機ポリマーと組み合わせてシリコンポリマーも含んでよい。
【0052】
有機ポリマーは、ポリマーベースの組成物中に、重量で全体の少なくとも50%含まれていることが好ましい。これは、組成物全体の処理性を阻害することなくポリマーベースの組成物に付加的な成分を組み込むことを助ける。すでに述べられたように、ポリマーベースの組成物は、シリコンポリマーを含んでも良い。しかしながら、このケースにおいて、有機ポリマーは、通常、シリコンポリマーと比較して、かなり大量にポリマーベースの組成物中に含まれる。それ故に、ポリマーベースの組成物において、有機ポリマーとシリコンポリマーの重量比は、5:1から2:1であって良く、例えば4:1から3:1である。重量%に関して、もしシリコンポリマーが存在するならば、シリコンポリマーは、一般的に、処方された耐火性の組成物の全体重量に基づいて、全体の2から15wt%含まれる。有機ポリマーとシリコンポリマーの組み合わせが使用されたとき、高濃度のシリコンポリマーは、製造プロセスに問題を引き起こしうるので、これは、本発明に関する組成物を処方するとき考慮されるべきである。
【0053】
耐火性の組成物中のポリマーベース組成物の総量の上限は、処方される組成物の所望の特性によって影響を受ける傾向がある。ポリマーベースの組成物の総量が、組成物全体の重量の約60%を越える場合は、火災の間に粘着力のある、強固な残留物が形成されることは起きそうもない。それ故に、ポリマーベースの組成物は、処方される耐火性の組成物の重量の通常10から60%、好ましくは20から50%を形成する。
【0054】
もう一つの側面によれば、本発明は、導体に直接適用される本発明に従って、適切な組成物を備える電気ケーブルを提供する。そのケーブルは、例えば、耐切断層、そして/または、被覆層等の他の層を含んでも良い。しかしながら、そのケーブルは、高温で電気絶縁性を維持ことを目的とする追加の層は必要ではない。適切な耐切断材料そして/または被覆層は、技術的によく知られている。
【0055】
本発明の他の実施例において、耐火性の高分子化合物を製造する方法を提供する。その方法は、以下のステップを含む。
・所望の機能、特性とともに目的とする1つ、または複数の無機化合物を決定し、
・無機化合物前駆体の量を選択し、
・有機ポリマーの量を選択する。
無機化合物前駆体は、高温で反応し、目的の無機化合物を形成する。
好ましくは、目的の無機化合物は、フォルステライトである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0056】
本発明の高分子化合物は、良好な機械的特性を維持する一方、火災の状況下で高温にさらされているとき炎と水をバリアする特性を提供する。高分子化合物は、高分子化合物が高温にさらされているとき(例えば、その組成物が炎にさらされているような)に目的の無機化合物の形成を助ける前駆体の無機成分を含む。
【0057】
特に、高分子化合物は、MgOに酸化されるマグネシウム化合物と、シリカと、任意でアルミナ、または、例えば三水和アルミナ(ATH)などのアルミナに酸化されるアルミナ化合物と、を含む。高温(例えば600℃より高い温度)にさらされているとき、マグネシウムは、無機マトリックス中に拡散し始める。組成物の温度が増加するにつれて、目的の1つの無機化合物または複数の無機化合物は、高分子化合物中で無機前駆体成分から形成される。
【0058】
有機ポリマーの分解の結果として分散したガス層が形成される。高温で、アルカリ性の酸化マグネシウムは、目的の無機化合物(例えばフォルステライトのような)を形成し、凝固し、ガス層がトラップされることによって形成された細孔の周りの壁を強固にするために酸性の二酸化珪素と反応する。
【0059】
マグネシウム化合物のシリカに対する比は、シリカまたは他の目的無機前駆体との反応の後、過剰のMgOがないような値である。水にさらされたとき、過剰のMgOは、組成物の機能特性を低減するかもしれないアルカリ性溶液を形成する。組成物が耐火性ケーブルの一部として使用され、その組成物が水と火にさらされたとき回路の完全性を維持することの要求があるときに、これは特に重要である。
【0060】
目的の無機化合物が2MgO・SiO2の化学式を有するフォルステライトのとき、その組成物は、SiO2に利用可能なMgOのモル比が好ましくはわずか約2から1(44.0%SiO2への56.0wt%MgO)しかないように、酸化してMgOになるマグネシウム化合物を含む。利用可能なSiO2の量が、大多数のMgOがフォルステライト形成のために反応するのを可能にするのに十分な量であることがより好ましい。しかしながら、過剰のSiO2は、エンスタタイト(MgSiO3)に変わるフォルステライトをもたらし、このフォルステライトは、目的無機化合物であってもなくても良い。
【0061】
その組成物は、目的無機化合物次第で、適切な粒径と分布の0−30wt%のアルミナAl2O3と、揮発性の陰イオンと一緒に他の塩と、さもなくば、例えばアルミナ三水和物のような、強く加熱されたときアルミナを形成する他の塩と、を更に含んでも良い。その高分子化合物は、5から25wt%のAl2O3を含むことがより好ましい。耐火粘土は、アルミナの源であっても良いが、その粘土の組成物は、伝導性(高温でその組成物の電気抵抗を減少させるLi、Na、Kのような)陽イオンとフラックス剤を除去されなければならない。
【0062】
目的無機化合物が、化学式2MgO・2Al2O3・5SiO2を有するコージライトのとき、その組成物は、Al2O3とSiO2に利用可能なMgOのモル比が好ましくはわずか約2:2:5(MgO:Al2O3:SiO2)(51.4%SiO2、34.8wt%Al2O3への13.8wt%MgO)しかないように、酸化してMgOになるマグネシウム化合物を含む。大多数のMgOがコージライト形成の反応をすることを可能にするのに十分のAl2O3とSiO2があることがより好ましい。Al2O3とSiO2は、その未焼成状態の高分子化合物に良好な耐湿性を与える有利な特性を有する粘度の形で含まれても良い。
【0063】
良好な電気絶縁特性を与える他の目的無機化合物は、アルミナ(Al2O3)と、エンスタタイト(MgSiO3)と、ステアタイト(Mg3Si4O10(OH)2)と、スピネル(MgAl2O4)と、を含む。目的の前駆体無機成分は、望ましい目的無機化合物を形成を助けるために選択される一方、セラミック製品中の未反応前駆体材料の有害な効果(例えば、低い耐水性、低い電気抵抗、または低レベルの機械的特性)を最小化する。
【0064】
高分子化合物は、1以上の目的無機化合物が高分子化合物のセラミック化で製造されるように処方されることはいうまでもない。運動学的そして熱力学的制限は、与えられた温度と時間で目的無機化合物を形成するための反応をすることが可能な前駆体の量に影響を与えることによって、SiO2、Al2O3そしてMgOが完全に1つのまたは複数の目的無機化合物に変わることを妨げる。更に、プロセスの制限は、Al2O3とMgOを形成する化合物とシリカの特定の割合にも影響を与えるかもしれない。例えば、高濃度のシリカが、質の低い処理と物理的特性を有するポリマーの製造を生じさせる一方、高濃度のアルミナは、セラミック強度を低下させるかもしれない。
【0065】
本発明の際だった特徴は、マグネシウム化合物とアルミニウム化合物の割合が、高温でシリカ(または、シリカ源)と反応し、良好な機械的特性、電気抵抗特性、耐火特性、耐水特性を有する目的無機化合物を形成するために選択される。それ故に、本発明の高分子化合物は、炎の進行を妨げる成分を含むだけでなく、炎にさらされる前後とその後の水への曝露の両方において組成物に効果的に機能させる機能特性とともにセラミックの残留組成物も形成する。それ故に、本発明の高分子化合物は、市販するのに魅力的であり、次のような飛躍的なコストセーブを提供する。
・必須の多機能性を有するより簡略化された製品の製造
・製品の故障の減少、例えば電気ケーブル。
【0066】
無機化合物前駆体は、目的無機化合物が高温で良好に形成されるようにし、表面積そして/または粒径そして分布を最適化するために前処理を必要とされても良い。
例えばTiO2のような他の無機化合物成分は、目的無機化合物の形成を助けるために添加されても良い。
【0067】
目的無機化合物を含んでいるセラミック組成物は、少なくとも0.3MPaの、好ましくは少なくとも1MPa、より好ましくは少なくとも2MPaの比較的強い強度で、堅く、もとの粒子と近いサイズ、形状で形成される。
【0068】
セラミック組成物は、本発明の高分子化合物が電気ケーブルの製造に使用されたとき特に重要となる良好な耐水性を提供する。高分子化合物は、過剰の酸化マグネシウムなしで目的無機化合物を形成するのに十分な反応物質(例えば、アルミナそして/またはシリカ)を含むことが好ましい。酸化マグネシウムは、水との接触によりアルカリ性の溶液を形成し、その溶液は、セラミック組成物の性能に影響を与えるかもしれない。
【0069】
有機材料と任意のいくつかの無機成分の分解に付随する収縮は、一時的な液層内に形成された分散した微細な細孔によって少なくとも部分的には補償される。これにより、はじめの高分子化合物と比較して、このセラミック堆積製品は優れた形状保持性を発揮する。
【0070】
セラミック組成物は、700−1000℃と8000−1000℃の間で測定すると良好な電気抵抗を有する。それ故、高温での電気絶縁体として使用するのに適している。
【0071】
その組成物は、火災下における高温にさらされたセラミックを提供し、それは、好ましくは自立する。火事によって、様々な異なった状況に遭遇しうる。実験的に、火事の等級の標準規格によって要求される1000℃または1050℃までの温度にさらされることを含んだ極端な状態で評価した。
<有機ポリマー>
【0072】
本発明の組成物は、有機ポリマーを含む。有機ポリマーは、ポリマーの主鎖として有機ポリマーを有するものである。例えば、シリコンポリマーは、有機ポリマーとは認められない。しかしながら、それらは微量な成分として有機ポリマーと混合されても良く、それらが熱分解したとき、それらは、(セラミックの形成を助ける)微細な粒径の二酸化珪素の源を有益に提供する。
【0073】
有機ポリマーは、例えば熱硬化性ポリマー、熱可塑性エラストマー、架橋エラストマー、または、ゴム、熱硬化性ポリマーのような、どのようなタイプであっても良いが、好ましくは、有機ポリマーは、ポリオレフィンのコポリマーとホモポリマーを含む。
【0074】
適したポリオレフィンは、アルキレンのコポリマーまたはホモポリマーを含む。適したポリアルキレンの具体例は、以下のオレフィンのポリマーを含む:エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ヘキセン、4−メチルペンテン、1−ペンテン、1−オクテン、1−ノネン、そして、1−デセン。これらのポリオレフィンは、技術的によく知られた、過酸化物、有機金属の錯化剤触媒、チーグラー−ナッタまたはメタロセン触媒、を使用して調製されても良い。2以上のこれらオレフィンのコポリマーが用いられても良く、例えば、エチレン−プロピレンコポリマーと、エチレン−プロピレンターポリマー(例えば、EPDM)と、エチレン−ブチレン−1コポリマーと、エチレン−ヘキセン−1コポリマーと、エチレン−オクテン−1コポリマーと、エチレンの他のコポリマーとが、1以上の上記オレフィンとともに用いられても良い。オレフィンは、例えば、アクリル、または、ジエン化合物のような他のモノマー種と共重合しても良い。適したエチレンベースのコポリマーの具体例は、エチレン−アルキルアクリル酸塩、好ましくは、エチレン−エチルアクリル酸塩(EEA)または、エチレン−ブチルアクリル酸塩(EBA)、そして、エチレン−フルオロオレフィックモノマー、例えば、エチレン−テトラフルオロエチレン(ETFE)を含む。
【0075】
有機ポリマーは、試薬、上述したタイプの少なくとも1つの有機ポリマーを形成するために互いに反応できるプレポリマーそして/またはオリゴノマーを含む前駆体組成物の形で存在しても良い。
【0076】
有機ポリマー組成物は、2以上の異なった有機ポリマーの混合または融合を備えることができる。
良好な処理性と機械的特性を維持している間、有機ポリマーは、高濃度の無機成分を内包できることが好ましい。本発明に従って、高濃度の無機化合物充填剤を耐火性の高分子化合物中に含むことは望ましく、そのような組成物は、少ない無機化合物量を有する組成物と比較したとき、火にさらされたときの重量減少が低い傾向がある。比較的高濃度の無機化合物材料を組み込んだ組成物は、それ故に、加熱によりセラミック化されたとき、収縮とクラックが少ないと思われる。
【0077】
火災に遭遇し高温にさらされたとき、選択された有機ポリマーがその分解の前に溶融せずまたは流れないことは利点である。最も好ましいポリマーは、耐火性の組成物が形成された後に架橋したもの、または、熱可塑性であるが、高い融点を有し、そして/または、その融点近くで炭化物を形成するために分解するものを含む。しかしながら、これらの特性を有しないポリマーが使用されても良い。
【0078】
適当な有機ポリマーは市販されているか、または、知られた技術の適用か応用によって作られても良い。使用されても良い適当な有機ポリマーの例は以下に示されるが、特定の有機ポリマーの選択が、耐火性の組成物中に含まれる付加的な成分と、その組成物が調製され適用される方法と、その組成物の目的とする用途と、によっても影響を受けることは言うまでもない。
【0079】
指摘したように、有機ポリマーは、熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマー、そして(熱可塑性)エラストマーを含むこの発明の用途に適している。
ポリオレフィンのホモポリマー、ポリオレフィンのコポリマーに加えて、有機ポリマーは、アクリルポリマー、メタクリルポリマー、スチレンポリマー、ポリアミド、ポリイミド、エポキシ、ポリオキシメチレンアセタール、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリエステル、フェノール樹脂、メラミン樹脂を含んでも良い。
【0080】
実例として、使用に適した熱可塑性ポリマーの例は、ポリオレフィン、ポリアクリラート、ポリカーボネート、ポリアミド(ナイロンを含む)、ポリエステル、ポリスチレン、ポリウレタンを含む。
【0081】
熱可塑性ポリオレフィンは、2以上の上記ホモポリマーまたはコポリマーの混合であっても良い。例えば、その混合は、1以上のポリプロピレン、1−ポリブテン、そして、極性のあるモノマー含有オレフィンコポリマーを有する上記系の1つの均一な混合であることができる。好ましくは、オレフィンコポリマーを含む極性モノマーは、1以上のアクリルモノマーを含むエチレン、例えば、エチレン−アクリル酸塩コポリマー、エチレン−アルキルアクリレートコポリマー、好ましくは、エチレン−メチルアクリレート、エチレン−エチルアクリレートまたはエチレン−ブチルアクリレートコポリマーを備える。
【0082】
適したエラストマーは、例えば、天然ゴム(NR)、ブチルゴム(IIR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、エチレン−プロピレンターポリマーゴム(EPDM)、エピクロルヒドリンゴム(ECH)、クロロプレンゴム(CR)、クロロスルホンカポリエチレン(CSM)、そして塩素かポリエチレン(CM)、などの様々なゴム組成物を備える。適した熱可塑性エラストマーは、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン(SEBS)を含んでも良い。
【0083】
適した熱硬化性ポリマーは、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂を包含しても良い。熱硬化性樹脂は、技術的によく知られたどんな方法で製造されても良い。
【0084】
有機ポリマーは、モノマー、プレポリマーまたは反応性の出発化合物の元の位置での重合、そして架橋、または適切な反応性中間体のキュアリングを含む多くの手段によって組成物中に作られても良い。適切なモノマー、プレポリマーそして反応性化合物の具体例は、アクリル酸塩、ウレタン、エポキシド、フェノール、ホルムアルデヒド、無水石膏、アミンを含む。添加剤をキュアリングすることは、熱硬化性ポリマーの生成を助けるためにもなされて良い。
【0085】
ケーブルのためのコーティング剤を作るための使用に特によく適した有機ポリマーは、市販されている熱可塑性で交差結合したポリマーベースのオレフィン、任意の密度のコポリマーとターポリマーである。興味があるコモノマーは、当業者によく知られている。市販の熱可塑性の、そして、密度が890から960kg/lの交差結合したポリエチレンと、アクリル系のそして他のオレフィンモノマーを含むこのクラスのエチレンのコポリマーと、エチレンのターポリマーと、プロピレンと、ジエンモノマーと、1つの成分が交差結合したいわゆる熱可塑性バルカニセイト(vulcanisates)と、には特に興味があり、この熱可塑性バルカニセイトは、1つの成分が交差結合しており、一方、連続層は熱可塑性と不定性を有し、その不定性は、ポリマーの全てが、過酸化物、放射物、または、いわゆるシランプロセスのどれかによって熱可塑性か、交互結合かのどちらかである。
本発明の組成物は、押し出し成形によって、または、1以上のコーティング剤の適用によって形成される、伝導性を有する単一または複数の成分についてであって良い。
【0086】
すでに述べられたように、選択された有機ポリマーは、ひとつには、その組成物の所望の用途次第である。例えば、ある用途において、ある程度のしなやかさがその組成物(例えば、電気ケーブルコーティング剤)には必要であり、有機ポリマーは、添加剤を含んでいるとき、その特性に基づいて選ばれる必要がある。有機ポリマーの選択においても、ポリマーが分解する際に発生するかもしれない有毒な、または、有害などんなガスについてもその重要性を考慮すべきである。使用される有機ポリマーは、ハロゲンフリーであることが好ましい。
【0087】
<高分子化合物の調製>
高分子化合物は、どのような従来の手段によっても調製される。これは、他の成分を以下のものに加えることを含む:その後重合するモノマー(またはモノマーの混合物);チェーンの拡張そして/または交互結合反応によりその次に重合するプレポリマーそして/またはオリゴマー;溶融混合による熱可塑性ポリマー;分散するように混合した水を含む有機ポリマー分散液(水の存在は、本発明において組成物の一部とは考えられない);溶媒中にポリマーを溶解させた溶液(溶媒の存在は、本発明において組成物の一部とは考えられない);その次に交差結合する熱硬化性の系。
【0088】
その組成物がどのように調製されたかにかかわらず、加えられた成分(目的の無機化合物前駆体、他の無機成分、他の有機添加剤)は、有機ポリマーやポリマーを形成するのに使用される前駆体と効果的に混合され、それにより、それらが調製された組成物中によく分散し、好ましい最終製品を製造するためにその組成物は速やかに処理される。
【0089】
任意の従来の混合装置が使用されても良い。その組成物が比較的低い粘度を有する場合、分散装置、例えば塗料工業において使用されるタイプのものを使用して処理されても良い。ケーブルの絶縁用途に使用される材料は、高い粘度(大きい分子量)であり、2段圧延機、内部ミキサー、2軸押し出し機などを使用して処理されても良い。
【0090】
<実施例>
実施例の高分子化合物は、組成物の均一な分布を確保するために100℃で十分な時間ブラベンダーミキサーで混合された。
【0091】
(実施例1)
3つの従来の高分子化合物と3つの本発明の高分子化合物(表1)は、700−1000℃と800−1000℃の間で抵抗値が測定された。図1と2に示すように、本発明の高分子化合物(サンプルnew2(190106−1)、new3(190106−2))は、従来のその組成物(サンプル1、2、3)よりも高い抵抗値を示した。高分子化合物new3のXRD分析は、1000℃にさらした前後で、図3と4に示されるように、水酸化マグネシウムのフォルステライトへの変換を示した。
【0092】
1000℃で10分間加熱された後、セラミック製品サンプルnew1、new2、new3は、硬質であることが分かったが、new1は、new2、new3と比較して柔らかかった。組成物は、水への耐性、形状の保持の良好さも示した。
【0093】
【表1】
【0094】
テーブル1と3における商品名と、それらの化学名の相互関係を表2に示す。
【0095】
【表2】
【0096】
(実施例2)
この実施例は、高温で良好な耐火、耐水特性を有する高分子化合物を形成するために、既存の無機化合物、特にタルクと粘土(トランスリンク37)を置き換える水酸化マグネシウムとシリカの能力について調べる。全ての組成物は、良好な引っ張り特性と伸び特性%(表3)を備える高分子化合物を生成した。
【0097】
1000℃で10分間加熱したとき、セラミック製品は、硬化し、外観的に良好な形状の保持を示した。サンプル2−1から2−4は、図5と6に示される。サンプル2−3は、良好な耐水性を示した。これは、このサンプルのより高い緻密化と結びついているかもしれず、粘土とATHからの高いアルミナ濃度が原因かもしれない。
【0098】
収縮量の%は、およそ38mm(L)x13mm(W)x2mm(D)の長方形の片のサンプルを発泡スチロールのブロックの上にカバーをせずに置き、1000℃に10分間さらすことによって測定された。収縮量の%は、サンプルの長さの減少の%を計算することによって決定された。少ない収縮量のレベルが観察され(1.4から8.5%)、それは、酸化マグネシウムとシリカ(7.4%)の添加をしないサンプルに観られる収縮量の%と一致した。
【0099】
耐破壊性は、酸化マグネシウムの添加をしないサンプルでの3Nの耐破壊性と比較して、5mm/minのレートで、1と3.2Nの間で耐破壊性を示したサンプルを使用して測定された。
【0100】
【表3】
【0101】
(実施例3)
0.5mm直径(1.5mm2)の銅のワイヤ7本の束で作られた導体は、先願のオーストラリア特許出願第2004225453号明細書号2004225453で公開されたようなセラミック化された組成物と、本発明の組成物との両方を含む1.0mmの厚みの壁で絶縁された。絶縁された導体の長さは、適当な長さに切断され、次に4つのコアケーブルに組み立てられた(プロセスに置かれた)。組み立てでは、泡状のポリプロピレンテープで巻き、その次に、市販のハロゲンフリー難燃性被覆材料で覆った。そのような被覆材料は、容易に入手可能で、ケーブル業界においてよく知られている。
【0102】
2つのケーブルは、次に、曲げ半径の10倍のケーブル全体の直径で、炎のゾーン内の方向の2つの変更とともに亜鉛めっきしたスチールケーブルトレイに取り付けられ、そのトレイは、次に1200x1200x1200mmの寸法の加熱炉の上に置かれた。この加熱炉は、建築業(例えばAS1530.4)で使用される標準規格の温度−時間カーブを提供することができる。回路の完全性の測定装置が、次に、ケーブルに取り付けられた。そのケーブルは、3つのコアとアースの構成で配線され、3つの導体のそれぞれで位相を伝搬し、4つ目はアースされた。それぞれの回路は、ケーブルの機能を示すため4Aヒューズと60Wのバルブを備えた。
【0103】
テストが始められ、加熱炉の温度は標準規格の温度−時間カーブに一致して上昇した。結果を以下に示す。
【0104】
【表4】
【0105】
この結果は、本発明の組成物が従来技術のものより電気的に、そして機械的に良好であることを示す。
【0106】
実施例5は、カルシウムホウケイ酸塩、酸化ビスマス、カルシウムホウケイ酸塩と酸化ビスマスとATHなしの酸化ビスマスとの混合物、の焼成後の組成物中のセラミックの強度と収縮に関しての効果を示す。
【0107】
カルシウムホウケイ酸塩、酸化ビスマス、カルシウムホウケイ酸塩/酸化ビスマスを含む7つの組成物と、ATHを含まない酸化ビスマスの5つのサンプルとが、セラミック化添加剤としてのこれらの化合物の効果を実演するために調製された。組成物は、材料の重量を測定することによって調製され、次に、50ccのブラベンダーローラミキサーで混合され、130℃で10分間、30rpmで予備加熱された。ミキサーの中身は、取り除かれ、次に、約1mmの厚さのシートを形成するために加圧成形された。38x13mmのサンプルは、長方形のさいの目状に、シートからカットされた。サンプルは、バーニアキャリパスを使用して測定され、次に、1000℃で30分間加熱炉に入れられた。加熱炉から取り出し、室温まで冷却した後、そのサンプルは、再測定された。長さの違いは、パーセントで示され、次に、組成物中のそれぞれの化合物の比率に対してグラフ化された。
【0108】
これらの結果は、表5.1から5.4にそれぞれ示される。図7−10は、ホウケイ酸塩と酸化ビスマス添加による強度と収縮のテスト結果を示す。
【0109】
【表5−1】
【0110】
<収縮結果の説明>
負のディメンションは、収縮を意味する。カルシウムホウケイ酸塩の濃度の増加は収縮を増加させる傾向を示した。これは、強度が高められたことも示す。
【0111】
収縮の測定の後、サンプルは、インストロン1122メカニカルテスティングマシンで単純な3点曲げによる割れテストをされる。カルシウムホウケイ酸塩を不活性な酸化アルミニウムに置き換えることは、セラミックの強度を増加させる結果となることが、3点曲げ破壊結果より明らかである。図7と8から分かるように、焼成後の収縮もカルシウムホウケイ酸塩の添加量の増加とともに増加している。カルシウムホウケイ酸塩の20wt%を越える更なる添加は、強度の利益を損ない、収縮は、その化合物がより添加されると増加し続ける。カルシウムホウケイ酸塩の濃度は15wt%未満を維持することが好ましい。
【0112】
【表5−2】
【0113】
同様に、収縮の測定の後、サンプルは、インストロン1122メカニカルテスティングマシンで単純な3点曲げによる割れテストをされる。その結果は、酸化ビスマスをアルミナに置換することは、セラミックの強度を増加させることになることを示した。強度テストと収縮テストの結果は、図9と10に示される。5wt%以下の酸化ビスマスの添加は、かなりの強度増加の利益をもたらすが、そこから更に添加しても強度増加は少ししかないということをグラフは示す。5wt%を越える酸化ビスマスの添加によって、収縮の変化が平坦になり、5wt%を越える添加は、感知できるほどの更なる強度と形状保持の改善を提供しない。
【0114】
【表5−3】
【0115】
同様に、収縮の測定の後、サンプルは、インストロン1122メカニカルテスティングマシンで単純な3点曲げによる割れテストをされる。酸化ビスマスの少量の添加と、カルシウムホウケイ酸塩、言い換えれば、3wt%未満の酸化ビスマスと5wt%未満のカルシウムホウケイ酸塩とによって、焼成後に低収縮を示す適度な強度のセラミックを製造することができるということを、結果が示唆する。
【0116】
【表5−4】
【0117】
同様に、2つのサンプルの収縮測定は、カルシウムホウケイ酸塩とATHがサンプルの寸法安定性に寄与することを示唆する。サンプルは、インストロン1122メカニカルテスティングマシンで単純な3点曲げによる割れテストをされ、それは、強度の増加を示した。
【0118】
上記組成物において、ポリオレフィンエラストマーは、市販のエクソンコーポレーションとダウコーポレーションの製品、即ち、それぞれ「Exxact」と「Engage」を含む。
【0119】
「Halox CW2230」は、住所が1326 Summer Street, Hammond, IN 46320, USA であるHammond Group Incの製品である。
「Fine silica」は、細かく分離されたグレードのシリカであり、例えば、Degussa corpの「Ultrasil」製品の範囲である。
「Fine alumina」は、セラミック産業において使用されるアルミナ粉末のファイングレードを示す。
「Silane A172/50」は、ビニルトリメトキシシランのワックス中の分散であり、シランの多くのサプライヤーから入手可能である。
「Zinc stearate」は、容易に入手可能な市販の潤滑パウダーであり、ポリマープロセス産業において共通して使用される。
【0120】
(実施例6)
この実施例の目的は、ポリリン酸アンモニウムを含む従来のセラミック化の処方と比較してカルシウムホウケイ酸塩化合物を含むセラミック化ケーブル組成物の性能を評価することである。2つの分離された1m長のケーブルが実験室に保管されている。
【0121】
ケーブルAは、2つのコアの1.5mm2銅ワイヤであり、それは1.0mmの壁で絶縁され、その処方(formula)番号は71105(図2)であり、実験室に保存され、500mmの発泡PPテープでオーバーレイアップされ、アルミニウムポリエステルラミネートテープ(アルミニウムが外側)で巻かれ、7/0.5mmのPACWドレインワイヤが取り付けられ、プレインポリエステルテープで巻かれ、残りの500mmの間、実験室で、FR120 whiteで1.0mm以下の壁で覆われた。
【0122】
ケーブルBは、1.5mm2の2つのコアの銅ワイヤであり、それは1.0mmの壁で絶縁され、その処方(formula:フォーミュラ)番号は220506(図2)であり、アルミニウムポリエステルラミネートテープ(アルミニウムが外側)で巻かれ、7/0.5mmのPACWドレインワイヤが取り付けられ、プレインポリエステルテープで巻かれ、残りの500mmの間、実験室で、FR120 whiteで1.0mm以下の壁で覆われた。
【0123】
ケーブルは、100mm以下に切り分けられ、テストのためにレベルが付けられた。
それぞれのタイプのケーブル(そのまま)の1つのサンプルは、700℃で15分間加熱炉に一緒に入れられ、次に、2つのケーブルの間の相互作用を観察するために分けられる。それぞれのケーブルのテープで覆われたサンプルは、次に、高温でのテープの遮蔽効果を観察するために、一緒に700℃で15分間加熱炉に入れられた。
【0124】
最終的に、周りを覆われていないケーブルを使用し、両方のケーブルは、800℃、900℃、1000℃で15分間、次に1000℃で30分間それぞれ加熱炉で加熱され、それから、周りを覆われたケーブルが1000℃で15分間加熱された。
【0125】
<結果>
評価結果として、ケーブルにはかなり類似のクラックが発生した。これは、加熱炉内でケーブル間に最低限の相互作用があったことを示す。両サンプルに大きなクラックが無いことから分かるように、テープによる覆いは材料を保護するように思われる。
【0126】
温度が800℃に上昇したとき、処方71105よりも処方220506の方にクラックが発生し始めた。処方71105は、小さなクラックを示したのに対し、処方220506は、ワイヤからはがれ始めた。
【0127】
900℃と1000℃で15分間の処方220506サンプルは、大きなクラックが発生した。処方71105は、小さなクラックが発生しただけだった(図7と8)。
1000℃で30分間の処方220506サンプルは、まだほとんど変化が無かった。処方71105は、ケーブルの曲がりの外側に沿ってクラックの兆候が見え始めた。
また一方、テープによる覆いはケーブルを保護するが、処方220506には、それぞれのコアに沿った途中に1つクラックが発生した。
処方220506のケーブルは、高いセラミック強度を有するが、結果として多くのクラックが発生した。そのセラミックを指で粉砕するのは大変困難であり、折ることも困難である。処方71105ケーブルは、セラミック強度が極めて小さいが、形状保持性はかなり良好であった。これは、緻密化による強度とその後のクラックの間にある、予期されたトレードオフの関係を確認するものである。
【0128】
2つのコアのケーブルにおいて、処方71105は、全てのテストにおいて処方220506よりもクラックの発生がより少ないが、強度も小さい。この結果に基づいて、ケーブルへの覆いの追加により、700℃と1000℃の間の温度でのクラックの発生を防ぐ更なる効果がある。
【0129】
処方71105と220506−2(表6の処方参照)の比較の後、処方71105は、7/0.5mmワイヤで処方220506−2よりもクラックが少ないことが分かった。外観検査から、それぞれのケーブルの覆いのあるものはクラックの発生が少ないと推定される。この例は、処方30506−2、50706、110706、130706−2に加えて2つのケーブル(71105と220506−2)の電気抵抗をAS3013燃焼試験に似た条件で調べるためである。その結果、その処方は、AS3013燃焼試験に似た条件で、安全に電流を通す能力を示した。
【0130】
処方50706、110706、130706−2は、高温で電気抵抗に関して無機成分であるタルク、粘土、炭酸カルシウムを意図的に置換する効果の研究をするために含まれている。
4つの分離した1m長のケーブルは実験室内に保存された。
【0131】
ケーブル1は、2つのコアの1.5mm2銅ワイヤであり、それは、1.0mmの壁で絶縁され、その処方(formula)番号は71105であり、実験室に保存され、発泡PPテープでオーバーレイアップされ、実験室で、FR120 whiteで1.0mm以下の壁で覆われた。
【0132】
ケーブル2は、1.5mm2の2つのコアの銅ワイヤであり、それは1.0mmの壁で絶縁され、その処方(formula:フォーミュラ)番号は71105であり、実験室に保管され、アルミニウムポリエステルラミネートテープ(アルミニウムが外側)で巻かれ、7/0.5のPACWドレインワイヤが取り付けられ、プレインポリエステルテープで巻かれ、実験室で、FR120 whiteで1.0mm以下の壁で覆われた。
【0133】
ケーブル3は、2つのコアの1.5mm2銅ワイヤであり、それは、1.0mmの壁で絶縁され、その処方番号は220506−2であり、実験室に保存され、発泡PPテープでオーバーレイアップされ、実験室で、FR120 whiteで1.0mm以下の壁で覆われた。
【0134】
ケーブル4は、1.5mm2の2つのコアの銅ワイヤであり、それは1.0mmの壁で絶縁され、その処方番号は220506−2であり、実験室に保管され、アルミニウムポリエステルラミネートテープ(アルミニウムが外側)で巻かれ、7/0.5mmのPACWドレインワイヤが取り付けられ、プレインポリエステルテープで巻かれ、実験室で、FR120 whiteで1.0mm以下の壁で覆われた。
【0135】
4つのケーブルは全て、100mmの被覆材料を一端で取り除かれ、30mmの絶縁層をそれぞれのコアから取り除かれた。
ケーブル1と2は、ケーブルとトレイの間にある絶縁材とともに、ケーブルトレイに設置された。トレイを絶縁する目的は、ワイヤがトレイとショートする可能性を取り除くためであり、それにより、トレイとではなくコア同士でショートしうるのみであり、言い換えると、より簡単に電気抵抗を測定できる。トレイは、加熱路内に設置され、ケーブルの露出した端は測定のためにサイドにつきさせた。
【0136】
加熱炉は、それから、スイッチをオンされ、AS3013燃焼試験に類似した方法で温度が制御された。実際の時間−温度カーブは、AS1530.4に一致する。メガオームメータを使用して、それぞれのケーブルの2つのコア間の電気抵抗が、定期的に測定された。電気抵抗が測定可能レベルまで下がったとき、テストをストップした。
【0137】
同じテストが、次にケーブル3と4で実行された。
比較のため、処方30506−2で構成され、WFRAでAS3013燃焼試験に合格した5番目のケーブルをテストした。
【0138】
ケーブル5は、2つのコアの1.5mm2銅ワイヤであり、それは、1.0mmの壁で絶縁され、その処方番号は30506−2であり、実験室で作られ、実験室に保存され、発泡PPテープでオーバーレイアップされ、実験室で、FR120 redで1.0mm以下の壁で覆われた。
【0139】
ケーブル1−5のテスト結果を考慮して、3つの新しい処方を作った(表6参照)。それぞれの処方は、MV Talcを有する50706−1以外は220506−2と同じであり、50706−2は、Translink 37を取り除き、50706−3は、Omyacarb 2Tを取り除いた。それぞれは、Almatis CL370C Al2O3に置き換えられた。
【0140】
これらの成分の意図的な除去は、それぞれの結果の効果を調査するためになされた。Al2O3は、他の無機化合物にとって不活性な置換と考えられた。このアクションの理由は、これらの構成材が高温で分解したので、タルク、粘土、CaCO3のそれぞれのマイナスの効果を評価することであった。
【0141】
特に、700℃付近でCaCO3から放出されるCO2のと900℃付近でタルクから放出される水のマイナスの効果があることが報告された。更に、Translink 37 clayに含まれるNaとKが、高温でセラミック化組成物の伝導性を増加させることに寄与することが報告された。
【0142】
興味のあるその他の特性をモニタしながら、意図的にこれらの成分を不活性なアルミナに置換することで、セラミック化可能なカルシウムホウケイ酸塩の処方を最適化することができる。
【0143】
3つの更なるケーブルが保存され、これらの新しい処方を使用してテストされた。
ケーブル6は、2つのコアの1.5mm2銅ワイヤであり、それは、1.0mmの壁で絶縁され、その処方番号は30506−1であり、実験室で作られ、実験室に保存され、発泡PPテープでオーバーレイアップされ、実験室で、FR120 redで1.0mm以下の壁で覆われた。
【0144】
ケーブル7は、2つのコアの1.5mm2銅ワイヤであり、それは、1.0mmの壁で絶縁され、その処方番号は50706−2であり、実験室で作られ、実験室に保存され、発泡PPテープでオーバーレイアップされ、実験室で、FR120 redで1.0mm以下の壁で覆われた。
【0145】
ケーブル8は、2つのコアの1.5mm2銅ワイヤであり、それは、1.0mmの壁で絶縁され、その処方番号は50706−3であり、実験室で作られ、実験室に保存され、発泡PPテープでオーバーレイアップされ、実験室で、FR120 redで1.0mm以下の壁で覆われた。
【0146】
更なる研究のため、9番目のケーブルが作られ、それらの累積する影響を調べるためTranslink 37とOmyacarb 2Tの両方が取り除かれてテストされた。50706−1のケーブルとマイカで巻かれた3つのコアの1.5mm2ケーブルのサンプルが参照のために一緒にテストされた。処方220506−2中に存在するMV Talcの半分がUltrasil VN3に置き換えられ、他の半分が除外された10番目のケーブルが作られ、テストされた。
【0147】
ケーブル9は、2つのコアの1.5mm2銅ワイヤであり、それは、1.0mmの壁で絶縁され、その処方番号は110706であり、実験室で作られ、実験室に保存され、発泡PPテープでオーバーレイアップされ、実験室で、FR120 whiteで1.0mm以下の壁で覆われた。
【0148】
ケーブル10は、2つのコアの1.5mm2銅ワイヤであり、それは、1.0mmの壁で絶縁され、その処方番号は130706−2であり、実験室で作られ、実験室に保存され、発泡PPテープでオーバーレイアップされ、実験室で、FR120 whiteで1.0mm以下の壁で覆われた。
【0149】
<結果>
【0150】
結果を表6に示す。
【表6】
【0151】
図11と12から見ることができるように、両方の組成物(71105と220506)において、覆いを付けたサンプルはより早く抵抗が落ちる。実施例2から、覆いを付けたサンプルは、付けていないサンプルよりクラックが少ないことをが明示されたのは興味深いことである。
【0152】
図13は、処方71105の電気抵抗と処方220506−2の電気抵抗の間の比較を示す。処方71105の電気抵抗は、低温(4MΩ745℃820℃と4MΩ780℃835℃の比較)で早く落ち、その落ちるレートは、処方220506−2より遅く、それは、二つのグラフの最初の交差点によって見ることができる。
【0153】
図14は、ケーブル1から4と比べた処方30506−2サンプルの電気抵抗を示す。このケーブルの電気抵抗は、他のケーブルよりもより低い温度で落ちるが、それが他の4つのケーブルを実際にしのぐ点までで落ちる速度はすぐ遅くなった。約940℃までそれは高抵抗を有する。図15は、3つの処方50706の電気抵抗を示す。それは、タルクを除去した処方50706−1、Translink 37 clayを除去した処方50706−2、Omyacarb 2T CaCO3を除去した処方50706−3である。処方50706−3は、最も見込みのある結果を示した。ケーブル6の絶縁体は、1つのコアから他のコアへ流れるように見えた。ケーブル7と8は、少ないクラックを示すケーブル8に大変に似ている。
【0154】
処方110706から粘土(Translink 37)と炭酸カルシウム(Omyacarb 2T)の両方を取り除く効果の調査を試みた。図16は、処方110706が処方50706−1よりももっと高い温度に耐え、約925℃より上の温度でマイカで巻かれたケーブルよりも高い電気抵抗を実際に示すことを表している。更に、処方50706−1の絶縁体は、コアの間を流れていた。マイカで巻かれたサンプルは、絶縁体を有さないが、適度な状態であった。処方110706サンプルは、大変小さなクラックのあるセラミックを形成した。
【0155】
図17から、処方110706ケーブルが、900℃より高い温度で高い電気抵抗を持つ処方50706の改良であることが分かった。処方130706−2は、ちょうど1000℃以下まで耐久性のある、処方110706の更なる改良である。
【0156】
図18は、テストされた全てのサンプルの全体の比較を示す。処方30506−2、110706、130706−2は、電気抵抗の点から最も望ましい性質を明示した。テープで覆われたサンプルが、覆われていないサンプルよりも低い温度で電気抵抗が減少した点に注目される。テープで覆われたサンプルは、覆われていないサンプルよりもクラックが少ないものが再び製造された。
【0157】
処方71105は、処方220506−2と比較して高温でその電気抵抗を維持し、クラック少なく製造もされた。しかしながら、強度が低下し、トレードオフのようである。1000℃近くの温度で、処方71105は、その形状を完全に失い、銅にぴったり張り付いた。
【0158】
処方50706の50706−3(CaCO3なし)は、その電気抵抗を長く維持し、処方220506−2の改良でもある、しかし、電気抵抗の点では、処方71105より良好ではない。処方50706−3は、しかしながら、同等の量のクラックが発生する一方、より高い強度を有する。
【0159】
処方30506−2(粘土なし)は、950℃近くまでその電気抵抗を維持する、しかしながら、セラミックは、燃焼試験の終わりの時点でうまく形成されなかった。これは、銅を溶融させることができる加熱炉内の示された温度より高いことが原因かもしれない。
【0160】
処方130706−2が最も望ましい結果を出した。最も長く(990℃まで)その電気抵抗を維持し、ほんの小さなクラックのみで強いセラミックを作り出した。
1.5mm2の2つのコアのケーブルに関して、タルク、粘土、または、炭酸カルシウム(130706−2)を含むカルシウムホウケイ酸塩の処方は、910℃より高い温度で測定された全ての温度で最も高い電気抵抗を示し、処方71105と同様にクラック量が少なかった。テープで覆われたサンプルは、クラックに関してはよりよい結果だったが、その電気抵抗は、一様に低温で下がり、これは、覆われたケーブルが、700℃と1000℃の間の温度で現実に機能しなくなる可能性が高いことを示す。
【0161】
そのようなケーブルの構造において、その組成物は、伝導体を覆って直接押し出し成形された絶縁体として使用されることができ、そして/または、押し出し成形により1つまたは複数の絶縁体層を覆った被覆材料層として使用されることができる。その代わりに、それらは、複数コアケーブルの割れ目充填材として使用されることができ、アッセンブリを丸めるため、アッセンブリに添加される個々の押し出し成形された充填材として使用されることができ、テープの覆い、または、ワイヤの用途の前に内側の層として使用されることができる。
【0162】
実際面では、その組成物は、一般的に伝導体の表面に押し出し成形される。この押し出し成形は、従来の装置を使用して従来の方法でなされても良い。絶縁体層の厚みは、動作電圧と、特定の標準規格による伝導体サイズの要求次第である。一般的に、絶縁体は、0.6から3mmの厚みを有する。例えば、35mm2伝導体の定格0.6/1kVにおいてオーストラリア標準規格では、約1.2mmの絶縁体厚みが要求される。述べたように、本発明に関する組成物は、高温で優れた熱的特性と電気絶縁特性を示すことができる。そのような組成物が使用されたとき、電気絶縁特性を与える異なった層を含む必要がないので、エレガントで簡単な構造のケーブルを製造することを可能にする。
【0163】
この明細書で定義され、公開された本発明は、テキストや図面から明らかになり、または、述べられた2以上の個々の特徴の全ての組み合わせの代案に拡張できることを理解すべきである。これらの異なる組み合わせの全ては、本発明の様々な代わりの側面を構成する。
【図面の簡単な説明】
【0164】
【図1】700℃から1000℃の間での本発明の高分子化合物と従来の高分子化合物の電気抵抗の変化を示したグラフである。
【図2】800℃から1000℃の間での本発明の高分子化合物と従来の高分子化合物の電気抵抗の変化を示したグラフである。
【図3】本発明に関するMg(OH)2の存在を示す、1000℃にさらす前のサンプル「new3」のXRDスペクトルである。
【図4】本発明に関するフォルステライトの存在を示す、1000℃にさらした後のサンプル「new3」のXRDスペクトルである。
【図5】高温にさらされる前の本発明のサンプル2−1から2−4までのイメージである。
【図6】1000℃に10分間さらした後の図6のサンプルのイメージである。
【図7】カルシウムホウケイ酸塩の量の関数として収縮量をグラフにしたものである。
【図8】カルシウムホウケイ酸塩の量の関数として強度をグラフにしたものである。
【図9】酸化ビスマスの量の関数として収縮量をグラフにしたものである。
【図10】酸化ビスマスの量の関数として強度をグラフにしたものである。
【図11】高温で測定された製法71105(ケーブル1と2)の平面サンプルの電気抵抗グラフである。
【図12】高温で測定された製法71105(ケーブル3と4)の平面サンプルの電気抵抗グラフである。
【図13】高温で測定された製法71105と220506(2つのコア平面と測定)の平面サンプルの電気抵抗グラフである。
【図14】高温で測定された製法71105と220506と30506(2つのコア平面と測定)の平面サンプルの電気抵抗グラフである。
【図15】製法50706−1、50706−2、50706−3のサンプルの高温での電気抵抗のグラフである。
【図16】製法110706(ケーブル9)、50706−1のサンプル、そして、比較としてマイカで巻かれたワイヤの高温での電気抵抗グラフである
【図17】製法50706−1、50706−2、50706−3、110706、130706−2のサンプルの高温での電気抵抗グラフである。
【図18】ケーブル1から9の製法のサンプルと、マイカで巻かれたサンプルの高温での電気抵抗グラフである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱により目的とする無機化合物を形成する耐火性の高分子化合物であって、
20−60wt%の有機ポリマーと、
酸化してMgOを形成する2−30wt%のマグネシウム化合物と、
5−30wt%のシリカと、
を含む耐火性の高分子化合物。
【請求項2】
有機ポリマーの含有量が30−45wt%の範囲である、請求項1に記載の耐火性の高分子化合物。
【請求項3】
2−20wt%の範囲でマグネシウム化合物を含む、請求項1または2に記載の耐火性の高分子化合物。
【請求項4】
シリカの含有量が5−20wt%の範囲である、請求項1から3のいずれか一つに記載の耐火性の高分子化合物。
【請求項5】
高分子化合物中の無機成分が65wt%以下である、請求項1に記載の耐火性の高分子化合物。
【請求項6】
30wt%以下の量のアルミナを更に含む請求項1に記載の耐火性の高分子化合物。
【請求項7】
アルカリ土類金属のホウケイ酸塩化合物を更に含み、前記アルカリ土類金属のホウケイ酸塩化合物は高温でセラミック組成物を形成する、請求項1に記載の耐火性の高分子化合物。
【請求項8】
アルカリ土類金属のホウケイ酸塩化合物が全組成物の15wt%以下の量で存在する請求項7に記載の耐火性の高分子化合物。
【請求項9】
アルカリ土類金属のホウケイ酸塩化合物が全組成物の5−15wt%の範囲で存在する請求項8に記載の耐火性の高分子化合物。
【請求項10】
アルカリ土類金属ホウケイ酸塩化合物のアルカリ土類金属組成物が、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウム、鉛、亜鉛からなるグループから選択される、請求項7から9のいずれか一つに記載の耐火性の高分子化合物。
【請求項11】
アルカリ土類金属のホウケイ酸塩化合物が、カルシウムホウケイ酸塩である、請求項10に記載の耐火性の高分子化合物。
【請求項12】
カルシウムホウケイ酸塩化合物が、ケイ酸カルシウム、ホウ酸カルシウムのいずれか一方か両方、または、それらの前駆体を含む、請求項11に記載の耐火性の高分子化合物。
【請求項13】
前記耐火性の高分子化合物が、火災下などで起こるような高温にさらされることで自立セラミックを形成する、請求項7に記載の耐火性の高分子化合物。
【請求項14】
前記セラミック組成物中のホウ素の含有量が、少なくとも1wt%である請求項7に記載の耐火性の高分子化合物。
【請求項15】
前記セラミック組成物中のホウ素の含有量が、少なくとも3wt%である請求項14に記載の耐火性の高分子化合物。
【請求項16】
前記セラミック組成物中のホウ素の含有量が、少なくとも5wt%である請求項14に記載の耐火性の高分子化合物。
【請求項17】
前記セラミック組成物中のホウ素の含有量が、少なくとも12.5wt%以下である請求項14に記載の耐火性の高分子化合物。
【請求項18】
火災下で起こる高温にさらされて形成されるホウケイ酸塩セラミックが、少なくとも0.3MPaの曲げ強度を有する請求項7に記載の耐火性の高分子化合物。
【請求項19】
火災下で起こる高温にさらされて形成されるホウケイ酸塩セラミックが、少なくとも1MPaの曲げ強度を有する請求項7に記載の耐火性の高分子化合物。
【請求項20】
火災下で起こる高温にさらされて形成されるホウケイ酸塩セラミックが、少なくとも2MPaの曲げ強度を有する請求項7に記載の耐火性の高分子化合物。
【請求項21】
実質的に1価のアルカリ金属を含まない無機充填材料を更に含む請求項7に記載の耐火性の高分子化合物。
【請求項22】
ビスマスの酸化物を更に含む請求項1に記載の耐火性の高分子化合物。
【請求項23】
酸化ビスマスが5wt%未満含まれる請求項22に記載の耐火性の高分子化合物。
【請求項24】
酸化ビスマスが4wt%未満含まれる請求項22に記載の耐火性の高分子化合物。
【請求項25】
ポリマーベースの組成物が、前記有機ポリマーではない少なくとも1つの他のポリマーを含む、請求項1に記載の耐火性の高分子化合物。
【請求項26】
ポリマーベースの組成物が、前記有機ポリマーと一緒にシリコンポリマーを含む、請求項25に記載の耐火性の高分子化合物。
【請求項27】
前記有機ポリマーが、ポリマーベースの組成物に重量で少なくとも50%の量含まれる、請求項25に記載の耐火性の高分子化合物。
【請求項28】
有機ポリマーとシリコンポリマーの重量比が、5:1から2:1の範囲である請求項26に記載の耐火性の高分子化合物。
【請求項29】
ポリマーベースの組成物の量が、全組成物の重量の60%を超えない、請求項1に記載の耐火性の高分子化合物。
【請求項30】
耐火性の高分子化合物を製造する方法であって、
所定の機能特性を有する1つまたは複数の目的の無機化合物を決定するステップと、
無機化合物の前駆体の量を選択するステップと、
有機ポリマーの量を選択するステップと、
を含む高分子化合物製造方法。
【請求項31】
無機化合物の前駆体が、高温で目的の無機化合物を形成するために反応する、請求項30に記載の高分子化合物製造方法。
【請求項32】
目的の無機化合物がフォルステライトである、請求項31に記載の高分子化合物製造方法。
【請求項33】
伝導体の上に直接適用された請求項1、7、22のいずれか1つに記載の耐火性の高分子化合物を備える電気ケーブル。
【請求項34】
耐切断性材料の層と被覆材料層のいずれか1つまたは両方を備え、高温で電気絶縁性を維持することを目的とする追加の層を含まない、請求項33に記載の電気ケーブル。
【請求項35】
伝導体の上に直接適用された請求項1、7、22のいずれか1つに記載の耐火性の高分子化合物と、任意で耐切断性材料層と被覆材料層のいずれか1つまたは両方と、を備える電気ケーブル。
【請求項1】
加熱により目的とする無機化合物を形成する耐火性の高分子化合物であって、
20−60wt%の有機ポリマーと、
酸化してMgOを形成する2−30wt%のマグネシウム化合物と、
5−30wt%のシリカと、
を含む耐火性の高分子化合物。
【請求項2】
有機ポリマーの含有量が30−45wt%の範囲である、請求項1に記載の耐火性の高分子化合物。
【請求項3】
2−20wt%の範囲でマグネシウム化合物を含む、請求項1または2に記載の耐火性の高分子化合物。
【請求項4】
シリカの含有量が5−20wt%の範囲である、請求項1から3のいずれか一つに記載の耐火性の高分子化合物。
【請求項5】
高分子化合物中の無機成分が65wt%以下である、請求項1に記載の耐火性の高分子化合物。
【請求項6】
30wt%以下の量のアルミナを更に含む請求項1に記載の耐火性の高分子化合物。
【請求項7】
アルカリ土類金属のホウケイ酸塩化合物を更に含み、前記アルカリ土類金属のホウケイ酸塩化合物は高温でセラミック組成物を形成する、請求項1に記載の耐火性の高分子化合物。
【請求項8】
アルカリ土類金属のホウケイ酸塩化合物が全組成物の15wt%以下の量で存在する請求項7に記載の耐火性の高分子化合物。
【請求項9】
アルカリ土類金属のホウケイ酸塩化合物が全組成物の5−15wt%の範囲で存在する請求項8に記載の耐火性の高分子化合物。
【請求項10】
アルカリ土類金属ホウケイ酸塩化合物のアルカリ土類金属組成物が、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウム、鉛、亜鉛からなるグループから選択される、請求項7から9のいずれか一つに記載の耐火性の高分子化合物。
【請求項11】
アルカリ土類金属のホウケイ酸塩化合物が、カルシウムホウケイ酸塩である、請求項10に記載の耐火性の高分子化合物。
【請求項12】
カルシウムホウケイ酸塩化合物が、ケイ酸カルシウム、ホウ酸カルシウムのいずれか一方か両方、または、それらの前駆体を含む、請求項11に記載の耐火性の高分子化合物。
【請求項13】
前記耐火性の高分子化合物が、火災下などで起こるような高温にさらされることで自立セラミックを形成する、請求項7に記載の耐火性の高分子化合物。
【請求項14】
前記セラミック組成物中のホウ素の含有量が、少なくとも1wt%である請求項7に記載の耐火性の高分子化合物。
【請求項15】
前記セラミック組成物中のホウ素の含有量が、少なくとも3wt%である請求項14に記載の耐火性の高分子化合物。
【請求項16】
前記セラミック組成物中のホウ素の含有量が、少なくとも5wt%である請求項14に記載の耐火性の高分子化合物。
【請求項17】
前記セラミック組成物中のホウ素の含有量が、少なくとも12.5wt%以下である請求項14に記載の耐火性の高分子化合物。
【請求項18】
火災下で起こる高温にさらされて形成されるホウケイ酸塩セラミックが、少なくとも0.3MPaの曲げ強度を有する請求項7に記載の耐火性の高分子化合物。
【請求項19】
火災下で起こる高温にさらされて形成されるホウケイ酸塩セラミックが、少なくとも1MPaの曲げ強度を有する請求項7に記載の耐火性の高分子化合物。
【請求項20】
火災下で起こる高温にさらされて形成されるホウケイ酸塩セラミックが、少なくとも2MPaの曲げ強度を有する請求項7に記載の耐火性の高分子化合物。
【請求項21】
実質的に1価のアルカリ金属を含まない無機充填材料を更に含む請求項7に記載の耐火性の高分子化合物。
【請求項22】
ビスマスの酸化物を更に含む請求項1に記載の耐火性の高分子化合物。
【請求項23】
酸化ビスマスが5wt%未満含まれる請求項22に記載の耐火性の高分子化合物。
【請求項24】
酸化ビスマスが4wt%未満含まれる請求項22に記載の耐火性の高分子化合物。
【請求項25】
ポリマーベースの組成物が、前記有機ポリマーではない少なくとも1つの他のポリマーを含む、請求項1に記載の耐火性の高分子化合物。
【請求項26】
ポリマーベースの組成物が、前記有機ポリマーと一緒にシリコンポリマーを含む、請求項25に記載の耐火性の高分子化合物。
【請求項27】
前記有機ポリマーが、ポリマーベースの組成物に重量で少なくとも50%の量含まれる、請求項25に記載の耐火性の高分子化合物。
【請求項28】
有機ポリマーとシリコンポリマーの重量比が、5:1から2:1の範囲である請求項26に記載の耐火性の高分子化合物。
【請求項29】
ポリマーベースの組成物の量が、全組成物の重量の60%を超えない、請求項1に記載の耐火性の高分子化合物。
【請求項30】
耐火性の高分子化合物を製造する方法であって、
所定の機能特性を有する1つまたは複数の目的の無機化合物を決定するステップと、
無機化合物の前駆体の量を選択するステップと、
有機ポリマーの量を選択するステップと、
を含む高分子化合物製造方法。
【請求項31】
無機化合物の前駆体が、高温で目的の無機化合物を形成するために反応する、請求項30に記載の高分子化合物製造方法。
【請求項32】
目的の無機化合物がフォルステライトである、請求項31に記載の高分子化合物製造方法。
【請求項33】
伝導体の上に直接適用された請求項1、7、22のいずれか1つに記載の耐火性の高分子化合物を備える電気ケーブル。
【請求項34】
耐切断性材料の層と被覆材料層のいずれか1つまたは両方を備え、高温で電気絶縁性を維持することを目的とする追加の層を含まない、請求項33に記載の電気ケーブル。
【請求項35】
伝導体の上に直接適用された請求項1、7、22のいずれか1つに記載の耐火性の高分子化合物と、任意で耐切断性材料層と被覆材料層のいずれか1つまたは両方と、を備える電気ケーブル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図5】
【図6】
【公表番号】特表2009−534479(P2009−534479A)
【公表日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−505684(P2009−505684)
【出願日】平成19年4月20日(2007.4.20)
【国際出願番号】PCT/AU2007/000519
【国際公開番号】WO2007/121520
【国際公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(306048096)オレックス オーストラリア ピーティワイ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月20日(2007.4.20)
【国際出願番号】PCT/AU2007/000519
【国際公開番号】WO2007/121520
【国際公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(306048096)オレックス オーストラリア ピーティワイ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
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