説明

耐熱エージング特性に優れた金属被覆ポリイミド樹脂基板の製造方法

【課題】 無接着剤フレキシブルラミネートの密着力の指標である初期密着力を低下させることなく加熱エージング後(150°C、大気中に168時間放置された後)の密着力を高めることを課題とする。
【解決手段】ポリイミド樹脂フィルムの両面又は片面に無電解ニッケルめっき層を形成し、その表層に無電解銅めっき又は電気銅めっきにより導電性皮膜を形成する金属被覆ポリイミド樹脂基板の製造方法において、上記無電解ニッケルめっきに先立って、ポリイミド樹脂基板に紫外線を照射した後、酸性溶液に浸漬する処理、触媒付与処理を施し、その後、無電解ニッケルめっき層を形成することを特徴とする金属被覆ポリイミド樹脂基板の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
フレキシブルプリント基板、TAB、COF等の電子部品の実装素材として用いられる無接着剤フレキシブルラミネート材、特に耐熱エージング特性に優れた金属被覆ポリイミド樹脂基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリイミドフィルムに主として銅からなる金属導体層を積層したFCCL(Flexible Copper Clad Laminate)は、電子産業における回路基板の素材として広く用いられている。中でも、ポリイミドフィルムと金属層との間に接着剤層を有しない無接着剤フレキシブルラミネート(特に、二層フレキシブル積層体)は回路配線幅のファインピッチ化に伴い注目されている。
【0003】
無接着剤フレキシブルラミネート、特にファインピッチに対応した無接着剤フレキシブルラミネートの製造方法としては、ポリイミドフィルム上にスパッタリング、CVD、蒸着などの乾式メッキ法により金属層を予め形成し、次いで湿式メッキ法により導体層となる金属層を製膜する、いわゆるメタライジング法がある。
このメタライジング法においては、金属層とポリイミドフィルムとの密着力を高めるために、金属層を形成するに先立ち、ポリイミドフィルム表面をプラズマ処理により、表面の汚染物質の除去ならびに表面粗さの向上を目的として改質を行うことが行われている(特許文献1及び2参照)。この方法は極めて有効な方法ではあるが、回路形成時の熱処理や使用環境での長期信頼性などにおいて、やや密着力が低下する問題がある。
さらに、処理には真空装置を用いなければならず製造設備のコストが高価であることと、バッチ処理のため生産性にやや劣るといった問題点もあった。
【0004】
また、接着剤を使用せずにポリイミド樹脂フィルムに無電解ニッケルめっきを施し、さらにその上に、銅めっきしたものも提案されている。
この方法は、ニッケルめっきは銅のポリイミド樹脂への拡散を防止するバリアの役目をすること、そして無電解ニッケルめっきがポリイミド樹脂フィルムとの接着性に優れているという特性を利用するものである。しかし、この方法は熱負荷がかかった場合に接着強度が低下し剥離する問題がある。
これは、ポリイミド樹脂に吸湿性があることが原因であり、また無電解ニッケルめっきの前処理としては、一般的にポリイミド樹脂フィルムをアルカリ金属水酸化物の水溶液に浸漬し、アルカリ加水分解反応による表面改質を行うため、後の熱負荷により脱水縮合反応が生じ水分が発生することも原因となる。
例えば回路設計の際に、はんだ付けなどの熱がかかった場合、ポリイミド樹脂に吸収された水分や脱水縮合反応によって生じる水分が熱のために膨張し変形すると、ポリイミド樹脂フィルムとニッケルめっきとの間に微小な空隙ができ、接着力が低下するからである。上記の通り、湿式法である無電解ニッケルめっきやアルカリ加水分解反応による表面改質が避けられない処理工程である以上、この接着強度の低下が避けられない問題である。
【0005】
このようなことから、無電解ニッケルめっき工程を2工程に分け、1工程目で薄くニッケルめっきを行い、析出したニッケル粒子間に多数の微細孔が形成されるようにし、次に乾燥してポリイミド樹脂に吸収された水分をニッケル粒子間に多数の微細孔を通過させて蒸発させ、次いで2工程目で所定の厚みに、厚くニッケルめっきする方法が提案されている(特許文献3参照)。2工程で無電解ニッケルめっきを行うことは有効ではあるが、必ずしも十分な接着性を持続できないという問題がある。
この原因は、2工程目で再度厚く無電解ニッケルめっきを行う段階で、前記1工程目で形成された多数の微細孔が、ポリイミド樹脂への無電解ニッケルめっき液の通過孔となる矛盾が生ずるからと考えられる。
【0006】
また、一般的に使用される無電解Niめっき液としてはNi−P系無電解Niめっき液が提案されているが、成膜されたNi−P系無電解Niめっき皮膜は、耐食性に優れる一方で、エッチング性が悪く、ファインパターン形成には難があるという問題も抱えていた。
さらに最近では、ポリイミド樹脂フィルムに紫外線を照射し、その後銅めっきを施し、銅の接着力を改良しようとする提案がある。この場合は、紫外線処理した後、アルカリ溶液で処理することが必須となっている(特許文献4及び特許文献5参照)。
しかし、この場合、銅箔の常態ピール強度は向上するが、耐熱ピール強度が十分でないという問題がある。電子産業における回路基板の製造では、熱を受けるので、耐熱ピール強度の低下は、大きな問題となる。
【特許文献1】特許第3173511号公報
【特許文献2】特表2003−519901号公報
【特許文献3】特開2005−154895号公報
【特許文献4】特開2004−186661号公報
【特許文献5】特開2006−219715号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本願発明は、無接着剤フレキシブルラミネートの初期密着力を低下することなく加熱エージング後(150°C、大気中に168時間放置された後)の密着力を高めることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題に鑑み、本発明は以下の発明を提供するものである。
1)ポリイミド樹脂フィルムの両面又は片面に無電解ニッケルめっき層を形成し、その表層に無電解銅めっき又は電気銅めっきにより導電性皮膜を形成する金属被覆ポリイミド樹脂基板の製造方法において、上記無電解ニッケルめっきに先立って、ポリイミド樹脂基板に紫外線を照射した後、酸性溶液に浸漬する処理及び触媒付与処理を施し、その後、無電解ニッケルめっき層を形成することを特徴とする金属被覆ポリイミド樹脂基板の製造方法を提供する。
【0009】
さらに、本発明は、
2)160nmから310nmの波長の紫外線を含む光源を用いて紫外線照射を行うことを特徴とする前記1)記載の金属被覆ポリイミド樹脂基板の製造方法を提供する。
3)分光放射エネルギーの主波長が253.7nmであり、波長184.9nmである紫外線を含む光源を用いて紫外線照射を行うことを特徴とする前記2)記載の金属被覆ポリイミド樹脂基板の製造方法を提供する。
4)紫外線照射の光源として、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、Xeエキシマランプのいずれかを使用する前記1)〜3)のいずれか一項に記載の金属被覆ポリイミド樹脂基板の製造方法を提供する。
【0010】
また、本願発明は、
5)pHが3以下である酸性溶液に浸漬する処理を行うことを特徴とする前記1)〜4)のいずれか一項に記載の金属被覆ポリイミド樹脂基板の製造方法を提供する。この酸性溶液の処理におけるpHの調整は、ピール強度を向上させる酸処理の好適な条件である。
6)酸性溶液として、硫酸、硝酸、塩酸、燐酸、蓚酸、酢酸又はこれらの塩を含む溶液を用いる事を特徴とする前記1)〜5)のいずれか一項に記載の金属被覆ポリイミド樹脂基板の製造方法。
【0011】
また、本願発明は、
7)前記触媒付与処理において、予め金属捕捉能を持つ官能基を有するシランカップリング剤と貴金属化合物とを混合又は反応させた溶液に浸漬することを特徴とする前記1)〜6)のいずれか一項に記載の金属被覆ポリイミド樹脂基板の製造方法を提供する。
前記触媒付与処理において、予め金属捕捉能を持つ官能基を有するシランカップリング剤と貴金属化合物とを混合又は反応させた溶液に浸漬することも有効である。
また、無電解銅めっき後および電気銅めっき後に、ポリイミド樹脂に吸湿された水分の脱水を目的とした熱処理を適宜行うこともできる。この処理は必須のものではないが、水分の除去として有効である。前記本願発明の金属被覆ポリイミド樹脂基板の製造方法は、これらを必要に応じて適用することができ、本願発明はこれらを包含する。
【0012】
8)無電解ニッケル層の厚みが0.1〜1.0μmであることを特徴とする前記1)〜7)のいずれか一項に記載の金属被覆ポリイミド樹脂基板の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0013】
以上により、ポリイミド樹脂フィルムの両面又は片面に無電解ニッケルめっき層を形成し、その表層に無電解銅めっき又は電気銅めっきにより導電性皮膜を形成する際に、前記無電解ニッケルめっきに先立って、ポリイミド樹脂基板に紫外線を照射した後、酸性溶液に浸漬する処理及び触媒付与処理を施し、その後、無電解ニッケルめっき層を形成することにより、耐熱エージング特性を向上させた金属被覆ポリイミド基板の製造方法を提供するものであり、特にポリイミドフィルムと金属層間の積層後の初期密着力を低下させることなく、エージング後の密着力(150°C、大気中に168時間放置された後)を高めることが可能であるという優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、本願発明の具体例について説明する。なお、以下の説明は本願発明を理解し易くするためのものであり、この説明に発明の本質を制限されるものではない。すなわち、本発明に含まれる他の態様または変形を包含するものである。
【0015】
本願発明の金属被覆ポリイミド樹脂基板の製造方法は、ポリイミド樹脂フィルムの両面又は片面に無電解ニッケルめっき層を形成し、その表層に無電解銅めっき又は電気銅めっきにより導電性皮膜を形成する際に、前記無電解ニッケルめっきに先立って、ポリイミド樹脂基板に紫外線を照射した後、酸性溶液に浸漬する処理、触媒付与処理及び触媒活性化処理を施し、その後、無電解ニッケルめっき層を形成することにより、耐熱エージング特性を向上させる技術に関する。
一般に、樹脂基板に紫外線を照射(UV照射)して、表面を改質し接着強度を高めようという提案がなされている。この紫外線照射は、処理表面に大きなダメージを与えずに、接着力を高め、さらに高い洗浄効果を持つと言われている。このような効果を持つものは、エネルギーの高い短波長UVが必要なので、通常光源として、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、エキシマランプが使用される。
【0016】
上記の通り、ポリイミドフィルムと金属層との間に接着剤層を有しない無接着剤フレキシブルラミネート(特に、二層フレキシブル積層体)に、この紫外線照射を利用する提案が、いくつかなされている。
しかし、ポリイミドフィルムに無電解銅めっき又は電気銅めっきにより導電性皮膜を形成する前に、いくつかの工程があって、しかも作製された接着性は、常態ピール強度だけでなく、エージング後の密着力(150°C、大気中に168時間放置された後)も要求されるという問題があり、単純な工程では解決できない。
本発明は、ポリイミド樹脂基板に紫外線を照射した後、酸性溶液に浸漬する処理することによって、ポリイミドフィルムと金属層間の積層後の初期密着力を低下させることなく、エージング後の密着力(150°C、大気中に168時間放置された後)を高めることが可能となったのである。これは、非常に重要な工程であり、従来技術には存在しない新規な知見である。
【0017】
紫外線照射を行う際には、波長が160nmから310nmの光を含む紫外線を用いることが望ましい。例えば、分光放射エネルギーの主波長が253.7nmであり、波長184.9nmの紫外線を含む光源を用いて紫外線照射を行うことが有効である。
紫外線照射量としては、100mJ/cm〜1500mJ/cmである。100mJ/cm未満では、照射量が少ないため、ポリイミド樹脂フィルムの改質効果が不十分となり、1500mJ/cmを超える照射量では、改質効果が過剰で、脆弱層が生じるため好ましくないからである。
上記の範囲は、本願発明の標準的な紫外線照射量を意味するものであり、特段の事情がない限り、この範囲のものを使用することが望ましいと言える。また、ポリイミド樹脂以外の樹脂フィルムを使用した場合には、適宜紫外線照射量を変更することができる。
【0018】
酸性溶液に浸漬する処理に際して、酸性溶液のpHが3以下である酸性溶液を用いるのが特に有効である。この酸性溶液の処理におけるpHの調整は、ピール強度を向上させる酸処理の好適な条件である。使用する酸性溶液としては、硫酸、硝酸、塩酸、燐酸、蓚酸、酢酸又はこれらの塩を含む溶液が代表的なものである。
さらに、前記触媒付与処理において、予め金属捕捉能を持つ官能基を有するシランカップリング剤と貴金属化合物とを混合又は反応させた溶液に浸漬することがより望ましい条件の一つである。前記触媒付与処理において、予め金属捕捉能を持つ官能基を有するシランカップリング剤と貴金属化合物とを混合又は反応させた溶液に浸漬することも有効である。
さらに、触媒の効果をさらに高めるために、触媒付与処理後に触媒活性化処理を施すこともできる。これは必要に応じて適宜行うものである。本願発明の金属被覆ポリイミド樹脂基板の製造方法は、これらを必要に応じて適用することができ、本願発明はこれらを包含する。
【0019】
また、本願発明の金属被覆ポリイミド樹脂基板の製造方法は、無電解ニッケルの合計厚みを0.1〜1.0μmとすることができる。無電解ニッケル又はニッケル合金の合計厚みの下限値は、ポリイミド樹脂基板との接着性と銅のポリイミド樹脂基板への拡散防止のために0.1μmとするのが良い。
0.1μm未満では、銅のバリア性が低下する傾向にあり、また1.0μmを超えるとエッチング性が悪くなる傾向にあるからである。望ましくは、0.1〜0.5μmである。しかし、これは好適な厚さを示すものであり、製品の要求度に応じて、この厚さに制限されないことを知るべきである。
【0020】
さらに、本願発明は被覆する材料の種類又は製造条件により、必要に応じて0.1〜3wt%のBを含有する無電解ニッケルめっき液を使用することもできる。このB入りニッケル無電解めっきは、ポリイミド樹脂からの水分を蒸発させ、かつポリイミド樹脂への水分の再侵入を阻止するめっき層として有効である。また、一般的に幅広く用いられているNi−P無電解ニッケルめっき皮膜と比較してエッチング性が良いため、ファインパターン回路形成に優れているといった特徴がある。
B添加の効果を上げるためには、0.1wt%以上が必要であり、3wt%を超えるとエージング後のピール強度がやや低下するので、上限を3wt%とするのが良い。しかし、上記の通り、本願発明において、Bの添加は必須のものではないことは理解されるべきである。本願発明は、これらを全て包含するものである。
前記の通り、基板となる材料としてポリイミド樹脂を使用した例を示しているが、他の基板材料への適用も可能である。例えば、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリブチレンテレフタレート、エポキシ樹脂、液晶ポリマーなどである。
【0021】
めっき膜の密着力をより向上させるために、ポリイミド樹脂基板の表面に、予めクロム酸や過マンガン酸などを用いてエッチング処理し、これによるアンカー効果を持たせる処理を行っても良い。また、めっきを行う前処理段階で、ポリイミド樹脂基板の表面を還元剤で処理することも有効である場合がある。
本願発明は、必要に応じてこれを使用することができる。本願発明は、これらの処理を付加的に行うことができ、これらの処理を包含するものである。
【実施例】
【0022】
次に、実施例および比較例に基づいて説明する。なお、本実施例はあくまで一例であり、この例のみに制限されるものではない。すなわち、本発明に含まれる他の態様または変形を包含するものである。
(実施例1)
ポリイミド樹脂フィルムとして、デュポン社:カプトン150ENを用いた。このポリイミド樹脂フィルムを、紫外線照射装置(セン特殊光源社製)にセットし、紫外線(主波長253.7nm、照度16.8mW/cm)を、30秒間照射した。照射量は、504mJ/cmであった。
次に、50°Cの5wt%硫酸水溶液に3分間浸漬した後、純水で洗浄した。次に触媒付与工程として、予め金属捕捉能を持つ官能基を有するシランカップリング剤と貴金属化合物とを混合又は反応させた溶液(日鉱金属社:PM-A)に50°Cで3分間浸漬し、純水で洗浄した。
次に無電解めっき工程として無電解ニッケル−ホウ素系めっき液(日鉱メタルプレーティング社:ニコムHB)を用い、0.2μmのニッケル層(1.6wt%B含有)を形成し、純水で洗浄した。続いて、無電解銅めっき液(ロームアンドハース電子材料社:328)にて、無電解銅シード層をニッケル層上形成した後、電気銅めっきにて8μmの導体層を形成し、純水で洗浄したのち150°C30分の乾燥を行った。
このように形成された金属被覆ポリイミド樹脂基板について、90°引き剥がしによるピール強度を測定した。この結果を、表1に示す。
この結果、常態ピール強度は、0.59kN/mであり、150°C、168時間(7日間)エージング後のピール強度は0.50kN/mであった。ピール保持率は85%となり、良好な耐熱エージング特性を備えていることが分かった。
【0023】
【表1】

【0024】
(実施例2)
実施例1と同様のポリイミド樹脂フィルムを、同紫外線照射装置にセットし、紫外線(主波長253.7nm、照度16.8mW/cm)を、60秒間照射した。照射量は、1008mJ/cmであった。
次に、50°Cの5wt%硫酸水溶液に3分間浸漬した後、純水で洗浄した。次に実施例1と同様の触媒付与工程を行った。
次に、無電解めっき工程として、実施例1と同様のニッケル層を形成し、純水で洗浄した。続いて、無電解銅シード層をニッケル層上形成した後、電気銅めっきにて8μmの導体層を形成し、純水で洗浄したのち150°C30分の乾燥を行った。
このように形成された金属被覆ポリイミド樹脂基板について、90°引き剥がしによるピール強度を測定した。この結果を、表1に示す。
この結果、常態ピール強度は、0.50kN/mであり、150°C、168時間エージング後のピール強度は0.42kN/mであった。ピール保持率は84%であり、良好な耐熱エージング特性を備えていることが分かった。
【0025】
(実施例3)
実施例1と同様のポリイミド樹脂フィルムを、同紫外線照射装置にセットし、紫外線(主波長253.7nm、照度12.2mW/cm)を、30秒間照射した。照射量は、366mJ/cmであった。
次に、50°Cの5wt%硫酸水溶液に3分間浸漬した後、純水で洗浄した。次に実施例1と同様の触媒付与工程を行った。
次に、無電解めっき工程として、実施例1と同様のニッケル層を形成し、純水で洗浄した。続いて、無電解銅シード層をニッケル層上形成した後、電気銅めっきにて8μmの導体層を形成し、純水で洗浄したのち150°C30分の乾燥を行った。
このように形成された金属被覆ポリイミド樹脂基板について、90°引き剥がしによるピール強度を測定した。この結果を、表1に示す。
この結果、常態ピール強度は、0.53kN/mであり、150°C、168時間エージング後のピール強度は0.48kN/mであった。ピール保持率は91%であり、良好な耐熱エージング特性を備えていることが分かった。
【0026】
(実施例4)
実施例1と同様のポリイミド樹脂フィルムを、同紫外線照射装置にセットし、紫外線(主波長253.7nm、照度16.8mW/cm)を、30秒間照射した。照射量は、504mJ/cmであった。
次に、50°Cの3wt%硫酸水溶液に3分間浸漬した後、純水で洗浄した。次に実施例1と同様の触媒付与工程を行った。
次に、無電解めっき工程として、実施例1と同様のニッケル層を形成し、純水で洗浄した。続いて、無電解銅シード層をニッケル層上形成した後、電気銅めっきにて8μmの導体層を形成し、純水で洗浄したのち150°C30分の乾燥を行った。
このように形成された金属被覆ポリイミド樹脂基板について、90°引き剥がしによるピール強度を測定した。この結果を、表1に示す。
この結果、常態ピール強度は、0.56kN/mであり、150°C、168時間エージング後のピール強度は0.48kN/mであった。ピール保持率は86%であり、良好な耐熱エージング特性を備えていることが分かった。
【0027】
(実施例5)
実施例1と同様のポリイミド樹脂フィルムを、同紫外線照射装置にセットし、紫外線(主波長253.7nm、照度15.0mW/cm)を、30秒間照射した。照射量は、450mJ/cmであった。
次に、50°Cの40wt%硫酸水溶液に3分間浸漬した後、純水で洗浄した。次に実施例1と同様の触媒付与工程を行った。
次に、無電解めっき工程として、実施例1と同様のニッケル層を形成し、純水で洗浄した。続いて、無電解銅シード層をニッケル層上形成した後、電気銅めっきにて8μmの導体層を形成し、純水で洗浄したのち150°C24時間の乾燥を行った。
このように形成された金属被覆ポリイミド樹脂基板について、90°引き剥がしによるピール強度を測定した。この結果を、表1に示す。
この結果、常態ピール強度は、0.58kN/mであり、150°C、168時間エージング後のピール強度は0.48kN/mであった。ピール保持率は83%であり、良好な耐熱エージング特性を備えていることが分かった。
【0028】
(実施例6)
実施例1と同様のポリイミド樹脂フィルムを、同紫外線照射装置にセットし、紫外線(主波長253.7nm、照度15.0mW/cm)を、30秒間照射した。照射量は、450mJ/cmであった。
次に、50°Cの30wt%硫酸水溶液に3分間浸漬した後、純水で洗浄した。次に実施例1と同様の触媒付与工程を行った。
次に、無電解めっき工程として、実施例1と同様のニッケル層を形成し、純水で洗浄した。続いて、無電解銅シード層をニッケル層上形成した後、電気銅めっきにて8μmの導体層を形成し、純水で洗浄したのち150°C24時間の乾燥を行った。
このように形成された金属被覆ポリイミド樹脂基板について、90°引き剥がしによるピール強度を測定した。この結果を、表1に示す。
この結果、常態ピール強度は、0.56kN/mであり、150°C、168時間エージング後のピール強度は0.47kN/mであった。ピール保持率は84%であり、良好な耐熱エージング特性を備えていることが分かった。
【0029】
(実施例7)
実施例1と同様のポリイミド樹脂フィルムを、同紫外線照射装置にセットし、紫外線(主波長253.7nm、照度15.0mW/cm)を、30秒間照射した。照射量は、450mJ/cmであった。
次に、50°Cの20wt%硫酸水溶液に3分間浸漬した後、純水で洗浄した。次に実施例1と同様の触媒付与工程を行った。
次に、無電解めっき工程として、実施例1と同様のニッケル層を形成し、純水で洗浄した。続いて、無電解銅シード層をニッケル層上形成した後、電気銅めっきにて8μmの導体層を形成し、純水で洗浄したのち150°C12時間の乾燥を行った。
このように形成された金属被覆ポリイミド樹脂基板について、90°引き剥がしによるピール強度を測定した。この結果を、表1に示す。
この結果、常態ピール強度は、0.57kN/mであり、150°C、168時間エージング後のピール強度は0.45kN/mであった。ピール保持率は79%であり、良好な耐熱エージング特性を備えていることが分かった。
【0030】
(実施例8)
実施例1と同様のポリイミド樹脂フィルムを、同紫外線照射装置にセットし、紫外線(主波長253.7nm、照度15.0mW/cm)を、30秒間照射した。照射量は、450mJ/cmであった。
次に、50°Cの10wt%硫酸水溶液に3分間浸漬した後、純水で洗浄した。次に実施例1と同様の触媒付与工程を行った。
次に、無電解めっき工程として、実施例1と同様のニッケル層を形成し、純水で洗浄した。続いて、無電解銅シード層をニッケル層上形成した後、電気銅めっきにて8μmの導体層を形成し、純水で洗浄したのち150°C12時間の乾燥を行った。
このように形成された金属被覆ポリイミド樹脂基板について、90°引き剥がしによるピール強度を測定した。この結果を、表1に示す。
この結果、常態ピール強度は、0.55kN/mであり、150°C、168時間エージング後のピール強度は0.46kN/mであった。ピール保持率は84%であり、良好な耐熱エージング特性を備えていることが分かった。
【0031】
(実施例9)
実施例1と同様のポリイミド樹脂フィルムを、同紫外線照射装置にセットし、紫外線(主波長253.7nm、照度15.0mW/cm)を、30秒間照射した。照射量は、450mJ/cmであった。
次に、50°Cの5wt%硫酸水溶液に3分間浸漬した後、純水で洗浄した。次に実施例1と同様の触媒付与工程を行った。
次に、無電解めっき工程として、実施例1と同様のニッケル層を形成し、純水で洗浄した。続いて、無電解銅シード層をニッケル層上形成した後、電気銅めっきにて8μmの導体層を形成し、純水で洗浄したのち150°C12時間の乾燥を行った。
このように形成された金属被覆ポリイミド樹脂基板について、90°引き剥がしによるピール強度を測定した。この結果を、表1に示す。
この結果、常態ピール強度は、0.59kN/mであり、150°C、168時間エージング後のピール強度は0.46kN/mであった。ピール保持率は78%であり、良好な耐熱エージング特性を備えていることが分かった。
【0032】
(実施例10)
実施例1と同様のポリイミド樹脂フィルムを、同紫外線照射装置にセットし、紫外線(主波長253.7nm、照度15.8mW/cm)を、30秒間照射した。照射量は、474mJ/cmであった。
次に、50°Cの20wt%硝酸水溶液に1.5分間浸漬した後、純水で洗浄した。次に実施例1と同様の触媒付与工程を行った。
次に、無電解めっき工程として、実施例1と同様のニッケル層を形成し、純水で洗浄した。続いて、無電解銅シード層をニッケル層上形成した後、電気銅めっきにて8μmの導体層を形成し、純水で洗浄したのち150°C12時間の乾燥を行った。
このように形成された金属被覆ポリイミド樹脂基板について、90°引き剥がしによるピール強度を測定した。この結果を、表1に示す。
この結果、常態ピール強度は、0.55kN/mであり、150°C、168時間エージング後のピール強度は0.45kN/mであった。ピール保持率は82%であり、良好な耐熱エージング特性を備えていることが分かった。
【0033】
(実施例11)
実施例1と同様のポリイミド樹脂フィルムを、同紫外線照射装置にセットし、紫外線(主波長253.7nm、照度15.8mW/cm)を、30秒間照射した。照射量は、474mJ/cmであった。
次に、50°Cの20wt%硝酸水溶液に3分間浸漬した後、純水で洗浄した。次に実施例1と同様の触媒付与工程を行った。
次に、無電解めっき工程として、実施例1と同様のニッケル層を形成し、純水で洗浄した。続いて、無電解銅シード層をニッケル層上形成した後、電気銅めっきにて8μmの導体層を形成し、純水で洗浄したのち150°C24時間の乾燥を行った。
このように形成された金属被覆ポリイミド樹脂基板について、90°引き剥がしによるピール強度を測定した。この結果を、表1に示す。
この結果、常態ピール強度は、0.54kN/mであり、150°C、168時間エージング後のピール強度は0.44kN/mであった。ピール保持率は82%であり、良好な耐熱エージング特性を備えていることが分かった。
【0034】
(実施例12)
実施例1と同様のポリイミド樹脂フィルムを、同紫外線照射装置にセットし、紫外線(主波長253.7nm、照度15.8mW/cm)を、30秒間照射した。照射量は、474mJ/cmであった。
次に、70°Cの20wt%硝酸水溶液に3分間浸漬した後、純水で洗浄した。次に実施例1と同様の触媒付与工程を行った。
次に、無電解めっき工程として、実施例1と同様のニッケル層を形成し、純水で洗浄した。続いて、無電解銅シード層をニッケル層上形成した後、電気銅めっきにて8μmの導体層を形成し、純水で洗浄したのち150°C24時間の乾燥を行った。
このように形成された金属被覆ポリイミド樹脂基板について、90°引き剥がしによるピール強度を測定した。この結果を、表1に示す。
この結果、常態ピール強度は、0.54kN/mであり、150°C、168時間エージング後のピール強度は0.43kN/mであった。ピール保持率は80%であり、良好な耐熱エージング特性を備えていることが分かった。
【0035】
(実施例13)
実施例1と同様のポリイミド樹脂フィルムを、同紫外線照射装置にセットし、紫外線(主波長253.7nm、照度15.8mW/cm)を、30秒間照射した。照射量は、474mJ/cmであった。
次に、40°Cの20wt%硝酸水溶液に3分間浸漬した後、純水で洗浄した。次に実施例1と同様の触媒付与工程を行った。
次に、無電解めっき工程として、実施例1と同様のニッケル層を形成し、純水で洗浄した。続いて、無電解銅シード層をニッケル層上形成した後、電気銅めっきにて8μmの導体層を形成し、純水で洗浄したのち150°C24時間の乾燥を行った。
このように形成された金属被覆ポリイミド樹脂基板について、90°引き剥がしによるピール強度を測定した。この結果を、表1に示す。
この結果、常態ピール強度は、0.55kN/mであり、150°C、168時間エージング後のピール強度は0.45kN/mであった。ピール保持率は83%であり、良好な耐熱エージング特性を備えていることが分かった。
【0036】
(実施例14)
実施例1と同様のポリイミド樹脂フィルムを、同紫外線照射装置にセットし、紫外線(主波長253.7nm、照度16.5mW/cm)を、30秒間照射した。照射量は、495mJ/cmであった。
次に、50°Cの10wt%硝酸水溶液に3分間浸漬した後、純水で洗浄した。次に実施例1と同様の触媒付与工程を行った。
次に、無電解めっき工程として、実施例1と同様のニッケル層を形成し、純水で洗浄した。続いて、無電解銅シード層をニッケル層上形成した後、電気銅めっきにて8μmの導体層を形成し、純水で洗浄したのち150°C30分間の乾燥を行った。
このように形成された金属被覆ポリイミド樹脂基板について、90°引き剥がしによるピール強度を測定した。この結果を、表1に示す。
この結果、常態ピール強度は、0.53kN/mであり、150°C、168時間エージング後のピール強度は0.39kN/mであった。ピール保持率は74%であり、良好な耐熱エージング特性を備えていることが分かった。
【0037】
(実施例15)
実施例1と同様のポリイミド樹脂フィルムを、同紫外線照射装置にセットし、紫外線(主波長253.7nm、照度16.5mW/cm)を、30秒間照射した。照射量は、495mJ/cmであった。
次に、50°Cの20wt%塩酸水溶液に3分間浸漬した後、純水で洗浄した。次に実施例1と同様の触媒付与工程を行った。
次に、無電解めっき工程として、実施例1と同様のニッケル層を形成し、純水で洗浄した。続いて、無電解銅シード層をニッケル層上形成した後、電気銅めっきにて8μmの導体層を形成し、純水で洗浄したのち150°C24時間の乾燥を行った。
このように形成された金属被覆ポリイミド樹脂基板について、90°引き剥がしによるピール強度を測定した。この結果を、表1に示す。
この結果、常態ピール強度は、0.46kN/mであり、150°C、168時間エージング後のピール強度は0.45kN/mであった。ピール保持率は98%であり、良好な耐熱エージング特性を備えていることが分かった。
【0038】
(実施例16)
実施例1と同様のポリイミド樹脂フィルムを、同紫外線照射装置にセットし、紫外線(主波長253.7nm、照度16.5mW/cm)を、30秒間照射した。照射量は、495mJ/cmであった。
次に、50°Cの10wt%塩酸水溶液に3分間浸漬した後、純水で洗浄した。次に実施例1と同様の触媒付与工程を行った。
次に、無電解めっき工程として、実施例1と同様のニッケル層を形成し、純水で洗浄した。続いて、無電解銅シード層をニッケル層上形成した後、電気銅めっきにて8μmの導体層を形成し、純水で洗浄したのち150°C24時間の乾燥を行った。
このように形成された金属被覆ポリイミド樹脂基板について、90°引き剥がしによるピール強度を測定した。この結果を、表1に示す。
この結果、常態ピール強度は、0.49kN/mであり、150°C、168時間エージング後のピール強度は0.46kN/mであった。ピール保持率は93%であり、良好な耐熱エージング特性を備えていることが分かった。
【0039】
(実施例17)
実施例1と同様のポリイミド樹脂フィルムを、同紫外線照射装置にセットし、紫外線(主波長253.7nm、照度16.5mW/cm)を、30秒間照射した。照射量は、495mJ/cmであった。
次に、50°Cの5wt%塩酸水溶液に3分間浸漬した後、純水で洗浄した。次に実施例1と同様の触媒付与工程を行った。
次に、無電解めっき工程として、実施例1と同様のニッケル層を形成し、純水で洗浄した。続いて、無電解銅シード層をニッケル層上形成した後、電気銅めっきにて8μmの導体層を形成し、純水で洗浄したのち150°C12時間の乾燥を行った。
このように形成された金属被覆ポリイミド樹脂基板について、90°引き剥がしによるピール強度を測定した。この結果を、表1に示す。
この結果、常態ピール強度は、0.49kN/mであり、150°C、168時間エージング後のピール強度は0.42kN/mであった。ピール保持率は86%であり、良好な耐熱エージング特性を備えていることが分かった。
【0040】
(実施例18)
実施例1と同様のポリイミド樹脂フィルムを、同紫外線照射装置にセットし、紫外線(主波長253.7nm、照度16.8mW/cm)を、30秒間照射した。照射量は、504mJ/cmであった。
次に、50°Cの20wt%燐酸水溶液に3分間浸漬した後、純水で洗浄した。次に実施例1と同様の触媒付与工程を行った。
次に、無電解めっき工程として、実施例1と同様のニッケル層を形成し、純水で洗浄した。続いて、無電解銅シード層をニッケル層上形成した後、電気銅めっきにて8μmの導体層を形成し、純水で洗浄したのち150°C12時間の乾燥を行った。
このように形成された金属被覆ポリイミド樹脂基板について、90°引き剥がしによるピール強度を測定した。この結果を、表1に示す。
この結果、常態ピール強度は、0.52kN/mであり、150°C、168時間エージング後のピール強度は0.41kN/mであった。ピール保持率は79%であり、良好な耐熱エージング特性を備えていることが分かった。
【0041】
(実施例19)
実施例1と同様のポリイミド樹脂フィルムを、同紫外線照射装置にセットし、紫外線(主波長253.7nm、照度16.8mW/cm)を、30秒間照射した。照射量は、504mJ/cmであった。
次に、50°Cの20wt%燐酸水溶液に3分間浸漬した後、純水で洗浄した。なお、前記燐酸水溶液は水酸化ナトリウムを添加してpH2.5に調整した。次に実施例1と同様の触媒付与工程を行った。
次に、無電解めっき工程として、実施例1と同様のニッケル層を形成し、純水で洗浄した。続いて、無電解銅シード層をニッケル層上形成した後、電気銅めっきにて8μmの導体層を形成し、純水で洗浄したのち150°C12時間の乾燥を行った。
このように形成された金属被覆ポリイミド樹脂基板について、90°引き剥がしによるピール強度を測定した。この結果を、表1に示す。
この結果、常態ピール強度は、0.49kN/mであり、150°C、168時間エージング後のピール強度は0.40kN/mであった。ピール保持率は82%であり、良好な耐熱エージング特性を備えていることが分かった。
【0042】
(実施例20)
実施例1と同様のポリイミド樹脂フィルムを、同紫外線照射装置にセットし、紫外線(主波長253.7nm、照度15.8mW/cm)を、30秒間照射した。照射量は、474mJ/cmであった。
次に、50°Cの10wt%蓚酸水溶液に3分間浸漬した後、純水で洗浄した。次に、実施例1と同様の触媒付与工程を行った。
次に、無電解めっき工程として、実施例1と同様のニッケル層を形成し、純水で洗浄した。続いて、無電解銅シード層をニッケル層上形成した後、電気銅めっきにて8μmの導体層を形成し、純水で洗浄したのち150°C12時間の乾燥を行った。
このように形成された金属被覆ポリイミド樹脂基板について、90°引き剥がしによるピール強度を測定した。この結果を、表1に示す。
この結果、常態ピール強度は、0.47kN/mであり、150°C、168時間エージング後のピール強度は0.39kN/mであった。ピール保持率は83%であり、良好な耐熱エージング特性を備えていることが分かった。
【0043】
(実施例21)
実施例1と同様のポリイミド樹脂フィルムを、同紫外線照射装置にセットし、紫外線(主波長253.7nm、照度15.8mW/cm)を、30秒間照射した。照射量は、474mJ/cmであった。
次に、50°Cの20wt%酢酸水溶液に3分間浸漬した後、純水で洗浄した。次に、実施例1と同様の触媒付与工程を行った。
次に、無電解めっき工程として、実施例1と同様のニッケル層を形成し、純水で洗浄した。続いて、無電解銅シード層をニッケル層上形成した後、電気銅めっきにて8μmの導体層を形成し、純水で洗浄したのち150°C12時間の乾燥を行った。
このように形成された金属被覆ポリイミド樹脂基板について、90°引き剥がしによるピール強度を測定した。この結果を、表1に示す。
この結果、常態ピール強度は、0.45kN/mであり、150°C、168時間エージング後のピール強度は0.39kN/mであった。ピール保持率は87%であり、良好な耐熱エージング特性を備えていることが分かった。
【0044】
(比較例1)
ポリイミド樹脂フィルム(デュポン社:カプトン150EN)を紫外線照射装置(セン特殊光源社製)にセットし、紫外線(主波長253.7nm、照度15.8mW/cm)を30秒間照射した(照射量474mJ/cm)。
次に、50°Cの5wt%水酸化カリウム水溶液に3分間浸漬した後、純水で洗浄した。次に触媒付与工程として、予め金属捕捉能を持つ官能基を有するシランカップリング剤と貴金属化合物とを混合又は反応させた溶液(日鉱金属社:PM-A)に50°Cで3分間浸漬し、純水で洗浄した。
次に、無電解めっき工程として無電解ニッケル−ホウ素系めっき液(日鉱メタルプレーティング社:ニコムHB)を用い、0.2μmのニッケル層(1.6wt%B含有)を形成し、純水で洗浄した。続いて、無電解銅めっき液(ロームアンドハース電子材料社:328)にて、無電解銅シード層をニッケル層上形成した後、電気銅めっきにて8μmの導体層を形成し、純水で洗浄したのち150°C30分の乾燥を行った。
このように形成された金属被覆ポリイミド樹脂基板について、90°引き剥がしによるピール強度を測定した。
この結果、常態ピール強度は、0.58kN/mであり、150°C、168時間エージング後のピール強度は0.33kN/mであった。保持率(エージング後/常態)は57%であり、耐熱エージング特性は悪いことが分かった。この場合、紫外線照射後、アルカリ溶液に浸漬したものであるが、耐熱エージング特性は悪いことが確認できた。
【0045】
(比較例2)
ポリイミド樹脂フィルム(デュポン社:カプトン150EN)を紫外線照射装置(セン特殊光源社製)にセットし、紫外線(波長253.7nm、照度15.8mW/cm)を30秒間照射した(照射量474mJ/cm)。
次に、触媒付与工程として、予め金属捕捉能を持つ官能基を有するシランカップリング剤と貴金属化合物とを混合又は反応させた溶液(日鉱金属社:PM-A)に50°Cで3分間浸漬し、純水で洗浄した。
次に無電解めっき工程として無電解ニッケル−ホウ素系めっき液(日鉱メタルプレーティング社:ニコムHB)を用い、0.2μmのニッケル層(1.6wt%B含有)を形成し、純水で洗浄した。続いて、無電解銅めっき液(ロームアンドハース電子材料社:328)にて、無電解銅シード層をニッケル層上形成した後、電気銅めっきにて8μmの導体層を形成し、純水で洗浄したのち150℃30分の乾燥を行った。
このように形成された金属被覆ポリイミド樹脂基板について、90°引き剥がしによるピール強度を測定した。この結果、常態ピール強度は、0.31kN/mであり、150°C、168時間エージング後のピール強度は0.02kN/mであった。
この場合、紫外線照射後に酸処理をしていないものであるが、常態ピール強度も低く、耐熱エージング特性が著しく悪いことが確認できた。
【0046】
(比較例3)
ポリイミド樹脂フィルム(デュポン社:カプトン150EN)を50℃の5wt%硫酸水溶液に3分間浸漬した後、純水で洗浄した。
次に触媒付与工程として、予め金属捕捉能を持つ官能基を有するシランカップリング剤と貴金属化合物とを混合又は反応させた溶液(日鉱金属社:PM-A)に50°Cで3分間浸漬し、純水で洗浄した。
次に無電解めっき工程として無電解ニッケル−ホウ素系めっき液(日鉱メタルプレーティング社:ニコムHB)を用い、0.2μmのニッケル層(1.6wt%B含有)を形成し、純水で洗浄した。続いて、無電解銅めっき液(ロームアンドハース電子材料社:328)にて、無電解銅シード層をニッケル層上形成した後、電気銅めっきにて8μmの導体層を形成し、純水で洗浄したのち150°C30分の乾燥を行った。
このように形成された金属被覆ポリイミド樹脂基板について、90°引き剥がしによるピール強度を測定した。
この結果、常態ピール強度は、0.31kN/mであり、150°C、168時間エージング後のピール強度は0.22kN/mであった。
この場合、紫外線照射を全く行っていないものであるが、酸処理をしただけでは常態ピール強度も低く、耐熱エージング特性が著しく悪いことが確認できた。
【0047】
(参考例1)
以上の、実施例1〜21については、酸性溶液はいずれもpH3以下の酸性溶液を使用したが、本参考例は、下記のように酸性溶液がpH3を超えるものを示す。
実施例1と同様のポリイミド樹脂フィルムを、同紫外線照射装置にセットし、紫外線(主波長253.7nm、照度16.8mW/cm)を、30秒間照射した。照射量は、504mJ/cmであった。
次に、50°Cの20wt%燐酸水溶液に3分間浸漬した後、純水で洗浄した。なお、前記燐酸水溶液は水酸化ナトリウムを添加してpH3.5に調整した。次に実施例1と同様の触媒付与工程を行った。
次に、無電解めっき工程として、実施例1と同様のニッケル層を形成し、純水で洗浄した。続いて、無電解銅シード層をニッケル層上形成した後、電気銅めっきにて8μmの導体層を形成し、純水で洗浄したのち150°C12時間の乾燥を行った。
このように形成された金属被覆ポリイミド樹脂基板について、90°引き剥がしによるピール強度を測定した。この結果を、表1に示す。
この結果、常態ピール強度は、0.47kN/mであり、150°C、168時間エージング後のピール強度は0.31kN/mであった。ピール保持率は66%であり、耐熱エージング特性が、やや悪くなることが確認できた。
この場合、前記燐酸水溶液は水酸化ナトリウムを添加してpH3.5に調整したものであるが、pHが3以下である酸性溶液に浸漬する処理を行うことが望ましいことが分かる。しかし、やや耐熱エージング特性が低下するが、必要に応じて、pHが3を超えるものも使用できないことではない。しかし、pH3以下の酸性溶液に浸漬する処理を行うことが望ましいことは、上記から明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本願発明は、ポリイミド樹脂フィルムの両面又は片面に無電解ニッケルめっき層を形成し、その表層に無電解銅めっき又は電気銅めっきにより導電性皮膜を形成する金属被覆ポリイミド樹脂基板の製造方法において、上記無電解ニッケルめっきに先立って、ポリイミド樹脂基板に紫外線を照射した後、酸性溶液に浸漬する処理、触媒付与処理及び触媒活性化処理を施し、その後、無電解ニッケルめっき層を形成する金属被覆ポリイミド樹脂基板の製造方法を提供するものであり、特にポリイミドフィルムと金属層間の積層後の初期密着力を低下させることなく、エージング後の密着力を高めることが可能であるとともに、ファインパターン形成に優れた効果を有するため、フレキシブルプリント基板、TAB、COF等の電子部品の実装素材として用いられる無接着剤フレキシブルラミネート材、特に耐熱エージング特性に優れた金属被覆ポリイミド樹脂基板として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリイミド樹脂フィルムの両面又は片面に無電解ニッケルめっき層を形成し、その表層に無電解銅めっき又は電気銅めっきにより導電性皮膜を形成する金属被覆ポリイミド樹脂基板の製造方法において、上記無電解ニッケルめっきに先立って、ポリイミド樹脂基板に紫外線を照射した後、酸性溶液に浸漬する処理及び触媒付与処理を施し、その後、無電解ニッケルめっき層を形成することを特徴とする金属被覆ポリイミド樹脂基板の製造方法。
【請求項2】
160nmから310nmの波長の紫外線を含む光源を用いて紫外線照射を行うことを特徴とする請求項1記載の金属被覆ポリイミド樹脂基板の製造方法。
【請求項3】
分光放射エネルギーの主波長が253.7nmであり、波長184.9nmである紫外線を含む光源を用いて紫外線照射を行うことを特徴とする請求項2記載の金属被覆ポリイミド樹脂基板の製造方法。
【請求項4】
紫外線照射の光源として、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、Xeエキシマランプのいずれかを使用する請求項1〜3のいずれか一項に記載の金属被覆ポリイミド樹脂基板の製造方法。
【請求項5】
pHが3以下である酸性溶液に浸漬する処理を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の金属被覆ポリイミド樹脂基板の製造方法。
【請求項6】
酸性溶液として、硫酸、硝酸、塩酸、燐酸、蓚酸、酢酸又はこれらの塩を含む溶液を用いることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の金属被覆ポリイミド樹脂基板の製造方法。
【請求項7】
前記触媒付与処理において、予め金属捕捉能を持つ官能基を有するシランカップリング剤と貴金属化合物とを混合又は反応させた溶液に浸漬することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の金属被覆ポリイミド樹脂基板の製造方法。
【請求項8】
無電解ニッケル層の厚みが0.1〜1.0μmであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の金属被覆ポリイミド樹脂基板の製造方法。

【公開番号】特開2009−173999(P2009−173999A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−13615(P2008−13615)
【出願日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(591007860)日鉱金属株式会社 (545)
【Fターム(参考)】