説明

耐熱性に優れた硬化物

【課題】液晶表示保護コーティング、LED封止及びダイボンド剤用に透明性と共に耐熱性に優れた硬化物の提供。
【解決手段】(A)SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機系骨格からなる有機化合物、(B)1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有するケイ素化合物、(C)ヒドロシリル化触媒、を必須成分としてなる硬化性組成物で上記(A)成分がSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機系骨格からなる有機化合物(A1)と1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有するケイ素化合物(A2)との反応物であり、前記(A1)成分が、イソシアヌレート環を有するものであり、前記(A2)成分が、一分子中にSiH基を少なくとも2つ有する直鎖状、分岐鎖状、および三次元架橋構造を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンであることを特徴とする硬化性組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は硬化物に関するものであり、更に詳しくは、耐熱性に優れた硬化物を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置に用いられる各種保護コーティング剤、LEDの封止剤やダイボンド剤、あるいは各種センサーのコーティング剤をはじめとした光学材料には高い透明性及び耐熱性が求められる(特許文献1〜3)。特に従来よりも高い電流で使用されるLEDの封止剤には、従来よりも高い耐熱性が必要とされるようになってきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−152316
【特許文献2】特開2003−73550
【特許文献3】特開2006−73551
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を含有する有機化合物と、SiH基を含有する化合物と、ヒドロシリル化触媒とからなる光学材料用組成物において、従来よりも高い耐熱性を有する実用性の高い光学材料用組成物を得るための硬化方法、及びそれを用いた液晶表示装置及びLEDを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる課題を解決するために本発明者らは鋭意研究の結果、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、
(A)SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機系骨格からなる有機化合物、(B)1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有するケイ素化合物、(C)ヒドロシリル化触媒、を必須成分としてなる硬化性組成物で、上記(A)成分がSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機系骨格からなる有機化合物(A1)と1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有するケイ素化合物(A2)との反応物であり、前記(A1)成分が、下記一般式(I)
【0007】
【化1】

【0008】
(式中、R1は炭素数1〜50の一価の有機基を表し、それぞれのR1は異なっていても同一であってもよい。)で表される化合物であり、前記(A2)成分が、一分子中にSiH基を少なくとも2つ有する直鎖状、分岐鎖状、および三次元架橋構造を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンであることを特徴とする硬化性組成物(請求項1)であり、
前記(A2)成分が、(A)成分と(B)成分の合計に対して30〜90重量%含有することを特徴とする請求項1に記載の硬化性組成物(請求項2)であり、
前記(B)成分が、
(α)SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に1個以上含有する有機化合物と、(β)1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する鎖状及び/又は環状のポリオルガノシロキサンとをヒドロシリル化反応して得ることができる化合物である、請求項1又は2のいずれか一項に記載の硬化物(請求項3)であり、
前記(β)成分が、下記一般式(II)
【0009】
【化2】

【0010】
(式中、R2は炭素数1〜6の有機基を表し、nは3〜10の数を表す。)で表される、1分子中に少なくとも3個のSiH基を有する環状ポリオルガノシロキサンである、請求項3に記載の硬化物(請求項4)である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の耐熱性に優れる硬化物の製造方法および硬化物を提供することにより、従来よりも高い耐熱性を有する硬化性組成物で且つ、従来よりも脆さが改善された硬化性組成物、及びそれを用いた液晶表示装置及びLEDを提供することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
((A1)成分)
まず、本発明における(A1)成分について説明する。
(A1)成分は、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物であれば特に限定されない。上記有機化合物としては、ポリシロキサン−有機ブロックコポリマーやポリシロキサン−有機グラフトコポリマー等の、シロキサン単位(Si−O−Si)を含む化合物以外のものが好ましく、構成元素としてC、H、N、O、S及びハロゲン以外の元素を含まない化合物がより好ましい。シロキサン単位を含む化合物の場合は、ガス透過性やはじきの問題がある。
【0013】
SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の結合位置は特に限定されず、分子内のどこに存在してもよい。 (A1)成分は、単独で用いても良いし、2種以上のものを組み合わせて用いてもよい。 (A1)成分の化合物は、有機重合体系の化合物と有機単量体系の化合物に分類できる。
【0014】
有機重合体系化合物としては特に限定されないが、例えば、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリアリレート系、ポリカーボネート系、飽和炭化水素系、不飽和炭化水素系、ポリアクリル酸エステル系、ポリアミド系、フェノール−ホルムアルデヒド系(フェノール樹脂系)、ポリイミド系の化合物等が挙げられる。
【0015】
有機単量体系化合物としては特に限定されないが、例えば、フェノール系、ビスフェノール系、ベンゼン、ナフタレン等の芳香族炭化水素系;鎖状、環状等の脂肪族炭化水素系;複素環系の化合物;これらの混合物等が挙げられる。
(A)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合としては特に限定されないが、下記一般式(III)
【0016】
【化3】

【0017】
(式中R3は水素原子あるいはメチル基を表す。)で示される基が反応性の点から好適である。上記一般式(III)で示される基のうち、原料の入手の容易さから
【化4】

【0018】
で示される基が特に好ましい。
さらに、(A1)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合としては、下記一般式(IV)で表される部分構造を環内に有する脂環式の基が、硬化物の耐熱性が高いという点から好適である。
【0019】
【化5】

【0020】
(式中R4は水素原子あるいはメチル基を表す。2つのR4は同じであってもよいし異なっていてもよい。)このうち、原料の入手の容易さから、下記式で表される部分構造を環内に有する脂環式の基が好適である。
【0021】
【化6】

【0022】
SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合は(A1)成分の骨格部分に直接結合していてもよく、2価以上の置換基を介して共有結合していてもよい。上記2価以上の置換基としては特に限定されないが、炭素数0〜10の置換基が好ましく、構成元素としてC、H、N、O、S及びハロゲン以外の元素を含まない置換基がより好ましい。上記2価以上の置換基の例としては、
【0023】
【化7】

【0024】
【化8】

【0025】
が挙げられる。また、例示した2価以上の置換基の2つ以上が共有結合によりつながって1つの2価以上の置換基を構成していてもよい。
(A1)成分の骨格部分に共有結合する基の例としては、ビニル基、アリル基、メタリル基、アクリル基、メタクリル基、2−ヒドロキシ−3−(アリルオキシ)プロピル基、2−アリルフェニル基、3−アリルフェニル基、4−アリルフェニル基、2−(アリルオキシ)フェニル基、3−(アリルオキシ)フェニル基、4−(アリルオキシ)フェニル基、2−(アリルオキシ)エチル基、2,2−ビス(アリルオキシメチル)ブチル基、3−アリルオキシ−2,2−ビス(アリルオキシメチル)プロピル基、
【0026】
【化9】

【0027】
が挙げられる。
(A1)成分の具体的な例としては、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、1,1,2,2−テトラアリロキシエタン、ジアリリデンペンタエリスリット、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのジアリルエーテル、1,2,4−トリビニルシクロヘキサン、ジビニルベンゼン類(純度50〜100%のもの、好ましくは純度80〜100%のもの)、ジビニルビフェニル、1,3−ジイソプロペニルベンゼン、1,4−ジイソプロペニルベンゼン、それらのオリゴマー、1,2−ポリブタジエン(1,2比率10〜100%のもの、好ましくは1,2比率50〜100%のもの)、ノボラックフェノールのアリルエーテル、アリル化ポリフェニレンオキサイド、
【0028】
【化10】

【0029】
【化11】

【0030】
、エポキシ樹脂のグリシジル基の一部あるいは全部をアリル基に置き換えたもの等が挙げられる。
【0031】
(A1)成分としては、骨格部分と炭素−炭素二重結合とに分けて表現しがたい、低分子量化合物も用いることができる。上記低分子量化合物の具体例としては、ブタジエン、イソプレン、オクタジエン、デカジエン等の脂肪族鎖状ポリエン化合物系、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエン、ノルボルナジエン等の脂肪族環状ポリエン化合物系、ビニルシクロペンテン、ビニルシクロヘキセン等の置換脂肪族環状オレフィン化合物系等が挙げられる。
【0032】
(A1)成分としては、耐熱性をより向上し得るという観点からは、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を(A1)成分1gあたり0.001mol以上含有するものが好ましく、0.005mol以上含有するものがより好ましく、0.008mol以上含有するものがさらに好ましい。
【0033】
(A1)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の個数は、1分子当たり少なくとも2個あればよいが、力学強度をより向上したい場合には2個を越えることが好ましく、3個以上であることがより好ましい。ただし(A1)成分が種々の化合物の混合物であり、各化合物の上記炭素−炭素二重結合の個数が同定できない場合には、上記混合物全体に関して1分子あたりの上記炭素−炭素二重結合の平均個数を求め、それを、(A1)成分の上記炭素−炭素二重結合の個数とする。(A1)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の数が1分子内当たり1個以下の場合は、(B)成分と反応してもグラフト構造となるのみで架橋構造とならない。
【0034】
(A1)成分としては反応性が良好であるという観点からは、1分子中にビニル基を1個以上含有していることが好ましく、1分子中にビニル基を2個以上含有していることがより好ましい。また貯蔵安定性が良好となりやすいという観点からは、1分子中にビニル基を6個以下含有していることが好ましく、1分子中にビニル基を4個以下含有していることがより好ましい。
【0035】
(A1)成分としては、力学的耐熱性が高いという観点、並びに、原料液の糸引き性が少なく、成形性及び取扱い性が良好であるという観点からは、分子量が900未満のものが好ましく、700未満のものがより好ましく、500未満のものがさらに好ましい。
【0036】
(A1)成分としては、他の成分との均一な混合、および良好な作業性を得るためには、粘度が23℃において100Pa・s未満のものが好ましく、30Pa・s未満のものがより好ましく、3Pa・s未満のものがさらに好ましい。粘度はE型粘度計によって測定することができる。
【0037】
(A1)成分としては、着色(特に黄変)の抑制の観点からは、フェノール性水酸基およびフェノール性水酸基の誘導体を有する化合物の含有量が少ないものが好ましく、フェノール性水酸基およびフェノール性水酸基の誘導体を有する化合物を含まないものがより好ましい。本発明におけるフェノール性水酸基とは、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等の芳香族炭化水素核に直接結合した水酸基を示し、フェノール性水酸基の誘導体とは、上記フェノール性水酸基の水素原子をメチル基、エチル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、アセトキシ基等のアシル基等により置換した基を示す。
【0038】
複屈折率が低い、光弾性係数が低い等のように光学特性が良好であるとともに耐候性が良好であるという観点からは、(A1)成分は、脂肪族系化合物が好ましい。この場合、脂肪族系化合物とは、芳香環を含まないか又はその含有量が少ないものをいう。具体的には、芳香環の(A1)成分中の成分重量比が50重量%以下であるものが好ましく、40重量%以下のものがより好ましく、30重量%以下のものがさらに好ましい。最も好ましいのは芳香族炭化水素環を含まないものである。
【0039】
得られる硬化物の着色が少なく、光学的透明性が高く、耐光性が高いという観点からは、(A1)成分としてはビニルシクロヘキセン、ジシクロペンタジエン、トリアリルイソシアヌレート、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのジアリルエーテル、1,2,4−トリビニルシクロヘキサンが好ましく、トリアリルイソシアヌレート、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのジアリルエーテル、1,2,4−トリビニルシクロヘキサンが特に好ましい。
【0040】
(A1)成分は、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合以外の反応性基を有していてもよい。上記反応性基としては特に限定されないが、例えば、エポキシ基、アミノ基、ラジカル重合性不飽和基、カルボキシル基、イソシアネート基、ヒドロキシル基、アルコキシシリル基等が挙げられる。上記反応性基を有している場合には得られる光学材料用組成物の接着性が高くなりやすく、得られる硬化物の強度が高くなりやすい。接着性がより高くなりうるという点からは、上記反応性基のうちエポキシ基が好ましい。また、得られる硬化物の耐熱性が高くなりやすいという点においては、上記反応性基を平均して1分子中に1個以上有していることが好ましい。
(一般式(I))
【0041】
(A1)成分としては、耐熱性および透明性が高いという観点から、下記一般式(I)で表される化合物が好ましい。
【0042】
【化12】

【0043】
(式中R1は炭素数1〜50の一価の有機基を表し、それぞれのR1は異なっていても同一であってもよい。)
【0044】
上記一般式(I)のR1としては、得られる硬化物の耐熱性がより高くなりうるという観点からは、炭素数1〜20の一価の有機基が好ましく、炭素数1〜10の一価の有機基がより好ましく、炭素数1〜4の一価の有機基がさらに好ましい。好ましいR1の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、ビニル基、アリル基、グリシジル基、
【0045】
【化13】

【0046】
等が挙げられる。
得られる硬化物の各種材料との接着性が良好になりうるという観点からは、上記一般式(I)の3つのR1のうち少なくとも1つが、エポキシ基を一つ以上含む炭素数1〜50の一価の有機基であることが好ましく、
【0047】
【化14】

【0048】
で表されるエポキシ基を1個以上含む炭素数1〜50の一価の有機基であることがより好ましい。上記エポキシ基を一つ以上含む炭素数1〜50の一価の有機基としては、グリシジル基、
【0049】
【化15】

【0050】
が好ましい。
【0051】
上記一般式(I)のR1としては、得られる硬化物の化学的な熱安定性が良好になりうるという観点からは、2個以下の酸素原子を含みかつ構成元素としてC、H、N及びO以外の元素を含まない炭素数1〜50の一価の有機基が好ましく、2個以下の酸素原子を含みかつ構成元素としてC、H及びO以外の元素を含まない炭素数1〜50の一価の有機基がより好ましく、炭素数1〜50の一価の炭化水素基がさらに好ましい。これらの好ましいR1の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、ビニル基、アリル基、グリシジル基、
【0052】
【化16】

【0053】
等が挙げられる。
反応性が良好になるという観点からは、上記一般式(I)の3つのR1のうち少なくとも1つが、
【0054】
【化17】

【0055】
で表される基を1個以上含む炭素数1〜50の一価の有機基であることが好ましく、3つのR1のうち少なくとも1つが、下記一般式(III)
【0056】
【化18】

【0057】
(式中R3は水素原子あるいはメチル基を表す。)で表される基を1個以上含む炭素数1〜50の一価の有機基であることがより好ましく、3つのR1のうち少なくとも2つが、下記一般式(V)
【0058】
【化19】

【0059】
(式中R5は直接結合あるいは炭素数1〜48の二価の有機基を表し、R6は水素原子あるいはメチル基を表す。複数のR5およびR6はそれぞれ異なっていても同一であってもよい。)で表される有機基であることがさらに好ましい。
【0060】
上記一般式(V)のR5は、直接結合あるいは炭素数1〜48の二価の有機基であるが、得られる硬化物の耐熱性がより高くなりうるという観点からは、直接結合あるいは炭素数1〜20の二価の有機基が好ましく、直接結合あるいは炭素数1〜10の二価の有機基がより好ましく、直接結合あるいは炭素数1〜4の二価の有機基がさらに好ましい。なかでも好ましいR5の例としては、
【0061】
【化20】

【0062】
等が挙げられる。
【0063】
上記一般式(V)のR5としては、得られる硬化物の化学的な熱安定性が良好になりうるという観点からは、直接結合、あるいは、2つ以下の酸素原子を含みかつ構成元素としてC、H及びO以外の元素を含まない炭素数1〜48の二価の有機基が好ましく、直接結合あるいは炭素数1〜48の二価の炭化水素基がより好ましい。なかでも好ましいR5の例としては、
【0064】
【化21】

【0065】
が挙げられる。
【0066】
上記一般式(V)のR6は、水素原子あるいはメチル基であるが、反応性が良好であるという観点からは、水素原子が好ましい。
ただし、上記一般式(I)で表される有機化合物においても、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有することは必要である。耐熱性をより向上し得るという観点からは、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に3個以上含有する有機化合物であることがより好ましい。
上記一般式(I)で表される有機化合物の好ましい具体例としては、トリアリルイソシアヌレート、
【0067】
【化22】

【0068】
等が挙げられる。接着性向上のためには、(A1)成分としてはトリアリルイソシアヌレートが好ましい。
【0069】
(B)成分と良好な相溶性を有するという観点、及び、(A1)成分の揮発性が低くなり、得られる光学材料からのアウトガスの問題が生じ難いという観点からは、(A1)成分は、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物と、SiH基を有する鎖状及び/又は環状オルガノポリシロキサンを、ヒドロシリル化反応して得ることができる化合物も好ましい。
【0070】
(A2成分)
本発明における(A2)成分は、(A1)成分とヒドロシリル化反応により反応し、シリコーン系マトリクスを形成するものである。このため、1分子中に2個以上のヒドロシリル基を含有し直鎖状、分岐鎖状、および三次元架橋構造を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンであれば、特に限定は無く、広く公知のものを使用することができる。
【0071】
直鎖状の(A2)成分の例としては、ジメチルハイドロジェンシリル基で末端が封鎖されたポリシロキサン、ジメチルシロキサン単位とメチルハイドロジェンシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体などが例示されうる。また三次元架橋構造を有する(A2)成分の例としては、特に限定はしないが、一般式(VI)
SiO4/2(VI)
で表される4官能性の構造単位からなる三次元網目構造を主構造とし、その主構造の末端を、一般式(VII)、(VIII)
c1c22SiO1/2(VII)
c23SiO1/2(VIII)
(式中、Rc1は水素原子、Rc2は水素原子またはアルケニル基以外の置換または非置換の一価の炭化水素基であり、各々同一であっても異なっていても良い。)
で表される1官能性の構造単位で封鎖した構造を有し、なおかつ、その主構造の末端が一般式(VII)で少なくとも2つ封鎖された構造を有するものが好ましいものとして例示される。
【0072】
またアルケニル基以外の置換または非置換の一価の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、またはこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、シアノ基などで置換したクロロメチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基などから選択される同一又は異種の、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜8の非置換又は置換の一価の炭化水素基が例示でき好ましい。中でも、耐熱性や耐光性の観点からはメチル基がさらに好ましい。
【0073】
耐熱性に優れた硬化性組成物を得るためには、前記(A2)成分が、(A)成分と(B)成分の合計に対して30〜90重量%含有することが好ましく、40〜70重量%含有することがより好ましい。
【0074】
((A1)成分と(A2)成分の反応)
(A1)成分と(A2)成分をヒドロシリル化反応させる場合の(A1)成分と(A2)成分の混合比率は特に限定されないが、得られる(A)成分は次の段階で(B)成分との反応に用いることから、(A)成分の炭素−炭素二重結合が多い方が好ましい。このことから、混合する(A1)成分中のSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合の総数(X)と、混合する(A2)成分中のSiH基の総数(Y)との比が、X/Y≧1であることが好ましく、X/Y≧2であることがより好ましい。また(B)成分と(A)成分との相溶性がよくなりやすいという点からは、10≧X/Yであることが好ましく、3≧X/Yであることがより好ましい。
【0075】
(A1)成分と(A2)成分をヒドロシリル化反応させる場合には適当な触媒を用いてもよい。触媒としてはヒドロシリル化反応の触媒活性があれば特に限定されないが、例えば、白金の単体、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に固体白金を担持させたもの、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体、白金−オレフィン錯体(例えば、Pt(CH2=CH22(PPh32、Pt(CH2=CH22Cl2)、白金−ビニルシロキサン錯体(例えば、Pt(ViMe2SiOSiMe2Vi)n、Pt[(MeViSiO)4m)、白金−ホスフィン錯体(例えば、Pt(PPh34、Pt(PBu34)、白金−ホスファイト錯体(例えば、Pt[P(OPh)34、Pt[P(OBu)34)(式中、Meはメチル基、Buはブチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基を表し、n、mは、整数を示す。)、ジカルボニルジクロロ白金、カールシュテト(Karstedt)触媒、アシュビー(Ashby)の米国特許第3159601号及び3159662号明細書中に記載された白金−炭化水素複合体、ラモロー(Lamoreaux)の米国特許第3220972号明細書中に記載された白金アルコラート触媒等が挙げられる。更に、モディック(Modic)の米国特許第3516946号明細書中に記載された塩化白金−オレフィン複合体も本発明において有用である。
白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh)3、RhCl3、RhAl2O3、RuCl3、IrCl3、FeCl3、AlCl3、PdCl2・2H2O、NiCl2、TiCl4等が挙げられる。 これらの中では、触媒活性の点から、塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体等が好ましい。上記触媒は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0076】
触媒の添加量は特に限定されないが、十分な硬化性を有し、かつ光学材料用組成物のコストを比較的低く抑えるため、好ましい添加量の下限は、(A2)成分のSiH基1モルに対して10-9モル、より好ましくは10-6モルであり、好ましい添加量の上限は(A2)成分のSiH基1モルに対して10-1モル、より好ましくは10-4モルである。
上記触媒には助触媒を併用することが可能であり、例としてトリフェニルホスフィン等のリン系化合物、ジメチルマレエート等の1,2−ジエステル系化合物、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−ブチン等のアセチレンアルコール系化合物、単体の硫黄等の硫黄系化合物、トリエチルアミン等のアミン系化合物等が挙げられる。助触媒の添加量は特に限定されないが、上記SiH基1モルに対して、好ましい下限が10-9モル、より好ましくは10-6モルであり、好ましい上限が10-1モル、より好ましくは10-4モルである。
【0077】
反応させる場合の(A1)成分、(A2)成分及び触媒の混合の方法としては、各種方法をとることができるが、(A1)成分に触媒を混合したものを、(A2)成分に混合する方法が好ましい。(A1)成分と(A2)成分の混合物に触媒を混合する方法の場合、反応の制御が困難である。(A2)成分と触媒を混合したものに(A1)成分を混合する方法をとる場合は、触媒の存在下(A2)成分が混入している水分と反応性を有するため、変質することがある。 反応温度としては種々設定できるが、好ましい温度範囲の下限は30℃、より好ましくは50℃であり、好ましい温度範囲の上限は200℃、より好ましくは150℃である。反応温度が低いと十分に反応させるための反応時間が長くなり、反応温度が高いと実用的でない。反応は一定の温度で行ってもよいが、必要に応じて多段階あるいは連続的に温度を変化させてもよい。 反応時間、反応時の圧力も必要に応じ種々設定できる。
【0078】
ヒドロシリル化反応の際に溶媒を使用してもよい。使用できる溶剤はヒドロシリル化反応を阻害しない限り特に限定されるものではなく、具体的に例示すれば、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒を好適に用いることができる。溶媒は2種類以上の混合溶媒として用いることもできる。溶媒としては、トルエン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、クロロホルムが好ましい。使用する溶媒量も適宜設定できる。
【0079】
その他、反応性を制御する目的等のために種々の添加剤を用いてもよい。
(A1)成分と(A2)成分を反応させた後に、溶媒、未反応の(A1)成分及び/又は(A2)成分を除去することもできる。これらの揮発分を除去することにより、得られる(A)成分が揮発分を有さないため(B)成分との硬化の場合に揮発分の揮発によるボイド、クラックの問題が生じにくい。除去する方法としては、例えば、減圧脱揮の他、活性炭、ケイ酸アルミニウム、シリカゲル等による処理等が挙げられる。減圧脱揮する場合には低温で処理することが好ましい。この場合の好ましい温度の上限は100℃であり、より好ましくは60℃である。高温で処理すると増粘等の変質を伴いやすい。
【0080】
((B)成分)
次に本発明における(B)成分について説明する。
(B)成分は、1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有する化合物であれば特に限定されない。例えば国際公開WO96/15194に記載される化合物で、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有するもの等が使用できる。
入手性の面からは、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する鎖状及び/又は環状オルガノポリシロキサンが好ましい。具体的には
【0081】
【化23】

【0082】
【化24】

【0083】
が挙げられる。なかでも、(A)成分との相溶性がよいという観点からは、下記一般式(II)
【0084】
【化25】

【0085】
(式中、R2は炭素数1〜6の有機基を表し、nは3〜10の数を表す。)で表される、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する環状オルガノポリシロキサンがより好ましい。
【0086】
一般式(II)で表される化合物中の置換基R2は、構成元素としてC、H及びO以外の元素を含まない置換基が好ましく、炭化水素基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
【0087】
一般式(II)で表される化合物としては、入手容易性の観点からは、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンであることが好ましい。
(B)成分の分子量は特に制約はなく任意のものが好適に使用できるが、より流動性を発現しやすいという観点から、低分子量のものが好ましく用いられる。この場合、好ましい分子量の下限は50であり、好ましい分子量の上限は100,000、より好ましくは1,000、さらに好ましくは700である。
(B)成分は単独で用いてもよいし、2種以上のものを組み合わせて用いてもよい。
(A)成分と良好な相溶性を有するという観点、及び、(B)成分の揮発性が低くなり、得られる組成物からのアウトガスの問題が生じ難いという観点からは、
(B)成分は、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に1個以上含有する有機化合物(α)と、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する鎖状及び/又は環状のポリオルガノシロキサン(β)を、ヒドロシリル化反応して得ることができる化合物が好ましい。
【0088】
((α)成分)
(α)成分としては、上記した(A1)成分である、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物を用いることもできる。(α)成分を用いると、得られる硬化物の架橋密度が高くなり、力学強度が高く信頼性の高い光学材料となりやすい。(α)成分は単独で用いてもよいし、2種以上のものを組み合わせて用いてもよい。
【0089】
((β)成分)
(β)成分は、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する鎖状及び/又は環状のポリオルガノシロキサンである。具体的には、
【0090】
【化26】

【0091】
【化27】

【0092】
が挙げられる。
(α)成分との相溶性が良くなりやすいという観点から、下記一般式(II)
【0093】
【化28】

【0094】
(式中、R2は炭素数1〜6の有機基を表し、nは3〜10の数を表す。)で表される、1分子中に少なくとも3個のSiH基を有する環状ポリオルガノシロキサンが好ましい。
一般式(II)で表される化合物中の置換基R2は、構成元素としてC、H及びO以外の元素を含まない置換基が好ましく、炭化水素基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
【0095】
一般式(II)で表される化合物としては、入手容易性等から、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンが好ましい。
(β)成分は単独で用いてもよいし、2種以上のものを組み合わせて用いてもよい。
【0096】
((A)成分と(B)成分の混合)
(A)成分と(B)成分の組み合わせについては、(A)成分の例として挙げたもの及びそれらの各種混合物/(B)成分の例として挙げたもの及びそれらの各種混合物、の各種組み合わせを挙げることができる。
【0097】
(A)成分と(B)成分の混合比率は、必要な強度を失わない限りは特に限定されないが、(B)成分中のSiH基の数(Y)の(A)成分中の炭素−炭素二重結合の数(X)に対する比において、好ましい範囲の下限はY/X≧0.3、より好ましくはY/X≧0.5、さらに好ましくはY/X≧0.7であり、好ましい範囲の上限は3≧Y/X、より好ましくは2≧Y/X、さらに好ましくは1.5≧Y/Xである。好ましい範囲からはずれた場合には十分な強度が得られなかったり、熱劣化しやすくなる場合がある。
【0098】
((C)成分)
次に本発明における(C)成分について説明する。
(C)成分であるヒドロシリル化触媒としては、ヒドロシリル化反応の触媒活性があれば特に限定されないが、例えば、白金の単体、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に固体白金を担持させたもの、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体、白金−オレフィン錯体(例えば、Pt(CH2=CH22(PPh32、Pt(CH2=CH22Cl2)、白金−ビニルシロキサン錯体(例えば、Pt(ViMe2SiOSiMe2Vi)n、Pt[(MeViSiO)4m)、白金−ホスフィン錯体(例えば、Pt(PPh34、Pt(PBu34)、白金−ホスファイト錯体(例えば、Pt[P(OPh)34、Pt[P(OBu)34)(式中、Meはメチル基、Buはブチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基を表し、n、mは、整数を示す。)、ジカルボニルジクロロ白金、カールシュテト(Karstedt)触媒、アシュビー(Ashby)の米国特許第3159601号及び3159662号明細書中に記載された白金−炭化水素複合体、ラモロー(Lamoreaux)の米国特許第3220972号明細書中に記載された白金アルコラート触媒等が挙げられる。更に、モディック(Modic)の米国特許第3516946号明細書中に記載された塩化白金−オレフィン複合体も本発明において有用である。
【0099】
白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh)3、RhCl3、RhAl2O3、RuCl3、IrCl3、FeCl3、AlCl3、PdCl2・2H2O、NiCl2、TiCl4等が挙げられる。
【0100】
これらの中では、触媒活性の点から、塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体等が好ましい。上記触媒は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0101】
ヒドロシリル化触媒の添加量は特に限定されないが、十分な硬化性及び透明性を有し、かつ光学材料用組成物のコストを比較的低く抑えるため、好ましい添加量の下限は、(B)成分のSiH基1モルに対して10-9モル、より好ましくは10-6モルであり、好ましい添加量の上限は(B)成分のSiH基1モルに対して10-1モル、より好ましくは10-4モルである。
【0102】
(添加剤)
次に本発明における任意成分について説明する。
【0103】
(硬化遅延剤)
本発明の光学材料用組成物には、保存安定性を改良する目的、あるいは製造過程でのヒドロシリル化反応の反応性を調整する目的で、硬化遅延剤を配合することができる。硬化遅延剤としては特に限定されないが、例えば、脂肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン化合物、硫黄含有化合物、窒素含有化合物、スズ系化合物、有機過酸化物等が挙げられる。
【0104】
脂肪族不飽和結合を含有する化合物として、2−ヒドロキシ−2−メチル−3−ブチン、2−ヒドロキシ−2−フェニル−3−ブチン、1−エチニル−1−シクロヘキサノール等のプロパギルアルコール類、エン−イン化合物類、ジメチルマレエート等のマレイン酸エステル類等が例示される。有機リン化合物としては、トリフェニルホスフィン等のトリオルガノホスフィン類、ジオルガノホスフィン類、オルガノホスホン類、トリオルガノホスファイト類等が例示される。硫黄含有化合物としては、単体硫黄、オルガノメルカプタン類、ジオルガノスルフィド類、硫化水素、ベンゾチアゾール、ベンゾチアゾールジサルファイド等が例示される。窒素含有化合物としては、アンモニア、1〜3級アルキルアミン類、アリールアミン類、尿素、ヒドラジン等が例示される。スズ系化合物としては、ハロゲン化第一スズ2水和物、カルボン酸第一スズ等が例示される。有機過酸化物としては、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、過安息香酸t−ブチル等が例示される。
【0105】
上記硬化遅延剤のうち、遅延活性が良好で原料入手性がよいという観点からは、ベンゾチアゾール、チアゾール、ジメチルマレエート、2−ヒドロキシ−2−メチル−3−ブチン、1−エチニル−1−シクロヘキサノール、テトラメチルエチレンジアミンが好ましい。
【0106】
上記硬化遅延剤を用いる場合の添加量は特に限定されず、種々設定できるが、ヒドロシリル化触媒1molに対する好ましい添加量の下限は10-1モル、より好ましくは1モルであり、好ましい添加量の上限は103モル、より好ましくは50モルである。 また、これらの硬化遅延剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0107】
(接着性改良剤)
本発明の光学材料用組成物には、接着性改良剤を配合してもよい。接着性改良剤としては特に限定されないが、例えば、一般に用いられている接着剤、カップリング剤、フェノール樹脂、クマロン−インデン樹脂、ロジンエステル樹脂、テルペン−フェノール樹脂、α−メチルスチレン−ビニルトルエン共重合体、ポリエチルメチルスチレン、芳香族ポリイソシアネート等を挙げることができる。
【0108】
カップリング剤としては例えばシランカップリング剤が挙げられる。シランカップリング剤とは、分子中に有機基と反応性のある官能基と加水分解性ケイ素基を各々少なくとも1個有する化合物である。有機基と反応性のある官能基としては特に限定されないが、取扱い性の点から、メタクリル基、アクリル基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、ビニル基、カルバメート基、グリシジル基から選ばれる少なくとも1個の官能基が好ましく、硬化性及び接着性の点から、メタクリル基、アクリル基、グリシジル基が特に好ましい。加水分解性ケイ素基としては特に限定されないが、取扱い性の点からアルコキシシリル基が好ましく、反応性の点からメトキシシリル基、エトキシシリル基が特に好ましい。
好ましいシランカップリング剤としては、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、アクリロキシメチルトリエトキシシラン等のメタクリル基あるいはアクリル基を有するアルコキシシラン類や、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:A−187)や3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン(商品名:AZ−6165)等のグリシジル基を有するアルコキシシラン類が例示できる。
【0109】
上記接着性改良剤を用いる場合の添加量としては特に限定されず、種々設定できるが、[(A)成分+(B)成分]100重量部に対しての好ましい添加量の下限は0.1重量部、より好ましくは0.5重量部であり、好ましい添加量の上限は50重量部、より好ましくは25重量部である。添加量が少ないと接着性改良効果が表れにくく、添加量が多いと硬化物の物性に悪影響を及ぼす場合がある。
上記接着性改良剤は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0110】
(光学材料用組成物の性状)
本発明の光学材料用組成物としては、上記したように各種組み合わせのものが使用できるが、狭い隙間への充填性、コーティング等による作業性が良好であるという点においては、組成物の粘度が、23℃において1000Pa・s以下であることが好ましく、10Pa・s以下であることがより好ましく、5.0Pa・s未満であることがさらに好ましく、1.0Pa・s以下であることが特に好ましく、0.1以下であることが最も好ましい。同じ理由で、100℃において10Pa・s以下であることが好ましく、1.0Pa・s以下であることがより好ましく、0.1Pa・s以下であることがさらに好ましい。粘度の温度依存性(チクソ性)についても種々のものが使用できる。粘度はE型粘度計によって測定することができる。
【0111】
本発明の光学材料用組成物の硬化性については、任意に設定できるが、120℃におけるゲル化時間が120秒以内であることが好ましく、60秒以内であることがより好ましい。また、150℃におけるゲル化時間が60秒以内であることが好ましく、30秒以内であることがより好ましい。また、100℃におけるゲル化時間が180秒以内であることが好ましく、120秒以内であることがより好ましい。硬化性が遅い場合には組成物としての作業性が悪くなる。逆に速い場合には貯蔵安定性が悪くなりやすい場合もある。上記ゲル化時間は、以下のようにして調べることができる。設定温度に調整したホットプレート上に厚み50μmのアルミ箔を置き、その上に組成物100mgを垂らしてゲル化するまでの時間を測定してゲル化時間とする。
【0112】
(硬化)
本発明の光学材料用組成物は、各成分をあらかじめ混合し、組成物中のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合とSiH基の一部または全部を反応させることによって硬化させて光学材料として用いることができる。
【0113】
光学材料用組成物を反応させて硬化させる場合において、(A)、(B)、(C)各成分の必要量を一度に混合して反応させてもよいが、一部を混合して反応させた後残量を混合してさらに反応させる方法や、混合した後反応条件の制御や置換基の反応性の差の利用により組成物中の官能基の一部のみを反応(Bステージ化)させてから成形等の処理を行いさらに硬化させる方法をとることもできる。これらの方法によれば成形時の粘度調整が容易となる。
【0114】
硬化させる方法としては、単に混合するだけで反応させることもできるし、加熱して反応させることもできる。反応が速く、一般に耐熱性の高い材料が得られやすいという観点から加熱して反応させる方法が好ましい。
【0115】
(硬化温度)
本発明では、硬化性組成物を、60〜90℃にて0.5〜10時間加熱処理したのち、100〜250℃にて0.5〜12時間加熱処理をおこなう。本発明では、この加熱処理条件に従う限り、60℃未満の温度で予備的加熱処理をおこなうことも可能である。予備的加熱処理の温度は、30℃以上60℃未満であることが好ましい。本発明の加熱処理における上限温度は、好ましくは250℃、より好ましくは220℃であり、特に好ましくは190℃である。加熱処理温度が低すぎると十分に反応させるための硬化時間が長くなることがあり、加熱処理温度が高すぎると成形加工が困難となりやすい。本発明では硬化反応を、多段階であるいは連続的に温度を変化させておこなうが、一定の温度で行うより多段階であるいは連続的に温度を上昇させながら反応させた方が、歪のない均一な硬化物が得られやすいという点において好ましい。
【0116】
(硬化時間)
硬化時間も種々設定できるが、高温短時間で反応させるより、比較的低温長時間で反応させた方が、歪のない均一な硬化物が得られやすいという点において好ましい。温度範囲が60〜90℃での加熱処理時間(すなわち硬化時間)は、好ましくは0.5〜10時間、より好ましくは0.5〜5時間、特に好ましくは0.5〜3時間である。温度範囲が100〜140℃での加熱処理時間は、好ましくは0.5〜10時間、より好ましくは0.5〜5時間、特に好ましくは0.5〜3時間である。温度200℃以上での加熱処理時間は、好ましくは1〜60分、より好ましくは1〜30分、特に好ましくは1〜10分である。
【0117】
硬化時の圧力も必要に応じ種々設定でき、常圧、高圧、あるいは減圧状態で反応させることもできる。場合によって発生する揮発分を取り除きやすく、モールド部材等として用いた場合に細部への充填性が良好であるという点においては、減圧状態で硬化させることが好ましい。
【0118】
光学材料用組成物が使用される製造工程において、組成物中へのボイドの発生および組成物からのアウトガスによる工程上の問題が生じ難いという観点においては、硬化中の重量減少が5重量%以下であることが好ましく、3重量%以下であることがより好ましく、1重量%以下であることがさらに好ましい。硬化中の重量減少は以下のように調べることができる。熱重量分析装置を用いて光学材料用組成物10mgを室温から150℃まで10℃/分の昇温速度で昇温して、減少した重量の初期重量の割合として求めることができる。また、シリコーン汚染の問題を起こし難いという点においては、この場合の揮発成分中のSi原子の含有量が1%以下であることが好ましい。
【0119】
(硬化物の性状)
本発明の光学材料用組成物は、耐熱性が良好であるという観点から、光学材料用組成物を硬化させて得られる硬化物のガラス転移温度(Tg)が100℃以上となるものが好ましく、150℃以上となるものがより好ましい。一方で、低応力であり、耐熱応力性が高いという観点から、光学材料用組成物を硬化させて得られる硬化物のTgが100℃未満であるものが好ましく、80℃以下であるものがより好ましい。
【0120】
上記Tgは以下のようにして調べることができる。3mmx5mmx30mmの角柱状試験片を用いて引張りモード、測定周波数10Hz、歪0.1%、静/動力比1.5、昇温側度5℃/分の条件にて測定した動的粘弾性測定(アイティー計測制御社製DVA−200使用)のtanδのピーク温度をTgとする。
【0121】
(光線透過率)
本発明の光学材料用組成物は、着色が少ないという観点から、光学材料用組成物を硬化させて得られる硬化物の波長400nmの光線透過率が70%以上であることが望ましい。
【0122】
上記の光線透過率は以下のように測定できる。光学材料用組成物を硬化させ、3mm厚の板状サンプルを作成する。このサンプルを分光光度計(日立U−3300型分光光度計を使用)にて波長400nmの光線の透過率を測定する。
【0123】
(耐熱性試験)
耐熱性試験は以下のように評価することが出来る。光学材料用組成物を硬化させ、3mm厚の板状サンプルを作成する。このサンプルを200℃に温度を調整した熱風(空気)循環式のオーブン中で24時間保管する。取り出したサンプルを25℃まで放冷し、上述の分光光度計にて波長400nmの光線の透過率を測定する。
【0124】
(重量保持率)
上記の硬化物をカッターナイフで削り熱重量分析(TGA)用測定サンプルとする。このサンプルのうち6〜12mgを計量し、測定に用いる。TGAは島津TGA50を用いて室温(25〜30℃)から500℃までの温度範囲で、昇温速度=10℃/minの条件で、空気下にて測定する。重量保持率は室温及び500℃におけるサンプル重量の割合から以下の式により求めることができる。
【0125】
(式) 重量保持率(%)=100x(500℃での重量/室温での重量)
【実施例】
【0126】
以下に、本発明の実施例および比較例を示すが、本発明は以下によって限定されるものではない。
【0127】
(合成例1)
1Lの四つ口フラスコに、攪拌装置、滴下漏斗、冷却管をセットした。このフラスコにトルエン200g、トリアリルイソシアヌレート(A1成分)50g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)0.08gを入れ、110℃のオイルバス中で加熱、攪拌した。SiH基含有MQレジン(MQH−5:A2成分)100g、トルエン200gの混合液を5〜10分の間隔で10回に分けて滴下した。この反応溶液をそのまま5時間加温、攪拌した後、室温まで冷却し1晩放置した。次いでエバポレータによりトルエンを減圧留去した。ブルッカー製、400MHz NMR装置を用いた1H−NMRによりこのものはMQH−5のSiH基の大部分がトリアリルイソシアヌレートと反応したものであることがわかった(反応物Aと称する)。また、1,2−ジブロモメタンを内部標準に用いて1H−NMRによりアリル基及びSiH基の含有量を求めたところ、3.8mmol/gのアリル基と0.4mmol/gのSiH基を含有していることがわかった。生成物は混合物であるが、本発明の(A)成分を主成分として含有している。また、本発明の(C)成分である白金ビニルシロキサン錯体を含有している。
【0128】
(合成例2)
5Lの四つ口フラスコに、攪拌装置、滴下漏斗、冷却管をセットした。このフラスコにトルエン1800g、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン1440gを入れ、120℃のオイルバス中で加熱、攪拌した。トリアリルイソシアヌレート200g、トルエン200g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)1.44mlの混合液を50分かけて滴下した。得られた溶液をそのまま6時間加温、攪拌した後、未反応の1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン及びトルエンを減圧留去した。1H−NMRによりこのものは1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンのSiH基の一部がトリアリルイソシアヌレートと反応したものであることがわかった(反応物Bと称する)。また、1,2−ジブロモメタンを内部標準に用いて1H−NMRによりSiH基の含有量を求めたところ、8.08mmol/gのSiH基を含有していることがわかった。生成物は混合物であるが、本発明の(B)成分である下記のものを主成分として含有している。また、本発明の(C)成分である白金ビニルシロキサン錯体を含有している。
【0129】
【化29】

【0130】
(合成例3)
2Lオートクレーブにトルエン525g、1、3、5、7−テトラメチルシクロテトラシロキサン570gを加えて、内温が105℃になるように加熱した。そこに、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート120g、白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)0.05g、トルエン120gの混合物を滴下した。滴下中、内温が109℃まで上昇した。未反応の1、3、5、7−テトラメチルシクロテトラシロキサンおよびトルエンを減圧留去し、薄い黄色のやや粘ちょうな液体(反応物C)を得た。
【0131】
1H−NMRによりこのものは1、3、5、7−テトラメチルシクロテトラシロキサンのSiH基の一部がジアリルモノグリシジルイソシアヌレートと反応したものであることがわかった。また、1、2−ジブロモエタンを内部標準に用いた1H−NMR測定により、生成物は7.7mmol/gのSiH基を含有することがわかった。生成物は混合物であるが、本発明の(B)成分である下記のものを主成分として含有している。また、本発明の(C)成分である白金ビニルシロキサン錯体を含有している。
【0132】
【化30】

【0133】
(実施例1)
合成例1で調製した反応物A 69.45g、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体のキシレン溶液(白金3重量%含有)0.3g、トリメトキシボラン 0.5gを混合し、遊星式攪拌脱泡機にて攪拌・脱泡したものをA液とした。また合成例3で調製した反応物C 27.78g、1−エチニルシクロヘキサノール 0.3g、3―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン2.1gを混合し、攪拌・脱泡したものをB液とした。その後A液とB液を混合させたものを攪拌・脱泡し、組成物を得た。硬化物の作成は、上記組成物を2枚のガラス板に3mm厚みのシリコーンゴムシートをスペーサーとしてはさみこんで作成したセルに流し、熱風乾燥機中で60℃/6時間、70℃/1時間、80℃/1時間、100℃/1時間、120℃/1時間、150℃/1時間、180℃/30分加熱して、3mm厚の硬化物を得た。
【0134】
(比較例1,2)
表1に示す割合で実施例1と同様に攪拌・脱泡、硬化を行い3mm厚の硬化物を得た。
【0135】
【表1】

【0136】
(比較例3)
表2に示す割合、順番で配合し、組成物を得た。硬化物の作成は、テフロンシート(テフロンは登録商標)に3mm厚みのシリコーンゴムシートをスペーサーとしてはさみこんで作成したセルに流し、熱風乾燥機中で80℃/2時間、100℃/1時間、150℃/5時間加熱して3mm厚の硬化物を得た。
【0137】
【表2】

【0138】
(試薬)
使用した試薬を以下に示す。
・トリアリルイソシアヌレート:デグサ製試薬
・ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート:四国化成製
・1、3、5、7−テトラメチルシクロテトラシロキサン:自社製
・白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体のキシレン溶液(白金3重量% 含有):N.E.ケムキャット製
・白金0.03重量%のキシレン溶液は上記3重量%のものをキシレンにて希釈 して調製。
・1−エチニルシクロヘキサノール:アルドリッチ製
・トリメトキシボラン:和光純薬製
・テトラメチルエチレンジアミン:和光純薬製
・3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(A−187):GE東芝シリ コーン社製
・3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン(AZ−6165):東レ ・ダウコーニング社製
・MQH−5:SiH基含有MQレジン(クラリアント社製、分子量=〜1,0 00、SiH基含有量=2.3eq/kg)
・MQV−7:ビニル基含有MQレジン(クラリアント社製、分子量=〜1,0 00、ビニル基含有量=3.5eq/kg)
・MQH−8:SiH基含有MQレジン(クラリアント社製、分子量=〜1,0 00、SiH基含有量=7.5eq/kg)
【0139】
(硬化物の状態)
上記実施例、比較例で作製した硬化物の状態を目視観察し、硬化物が崩れにくいものを「良好」、崩れ易いものを「もろい」と評価した。
【0140】
(光線透過率)
光線透過率は以下のように測定した。上記硬化物を1cmx3cmの大きさに切断し、分光光度計(日立U−3300型分光光度計を使用)にて波長400nmの光線透過率(初期)を測定した。
【0141】
(耐熱性試験)
耐熱性試験は以下のように評価した。上記1cmx3cmの大きさの3mm厚の硬化物を200℃に温度を調整した熱風(空気)循環式のオーブン中で24時間保管した。取り出したサンプルを室温まで放冷し、上述の分光光度計にて波長400nmの光線透過率(耐熱試験後)を測定した。
【0142】
(重量保持率)
上記の硬化物をカッターナイフで削り熱重量分析(TGA)用測定サンプルとした。このサンプルのうち6〜12mgを計量し、測定に用いた。TGAは島津TGA50を用いて室温から500℃までの温度範囲で、昇温速度=10℃/minの条件で、空気下にて測定した。重量保持率は室温及び500℃におけるサンプル重量の割合から以下の式により求めた。
【0143】
(式) 重量保持率(%)=100x(500℃での重量/室温での重量)
【0144】
実施例1、比較例1〜3の配合割合、400nmの光線透過率(初期、耐熱試験後)、及び500℃における重量保持率を表3に示す。
【0145】
【表3】

【0146】
表に示されるように比較例3に比べて実施例1の硬化物は脆いという欠点が克服され、崩れにくく、良好な硬化物であった。
【0147】
耐熱試験後の光線透過率が比較例1〜3に比べて実施例1において高いことから、優れた耐熱性を有していることがわかる。また500℃における重量保持率においても比較例1,2よりも実施例1において高いことから、優れた耐熱性を有していることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機系骨格からなる有機化合物、(B)1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有するケイ素化合物、(C)ヒドロシリル化触媒、を必須成分としてなる硬化性組成物で、上記(A)成分がSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機系骨格からなる有機化合物(A1)と1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有するケイ素化合物(A2)との反応物であり、前記(A1)成分が、下記一般式(I)
【化1】

(式中、R1は炭素数1〜50の一価の有機基を表し、それぞれのR1は異なっていても同一であってもよい。)で表される化合物であり、前記(A2)成分が、一分子中にSiH基を少なくとも2つ有する直鎖状、分岐鎖状、および三次元架橋構造を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンであることを特徴とする硬化性組成物。
【請求項2】
前記(A2)成分が、(A)成分と(B)成分の合計に対して30〜90重量%含有することを特徴とする請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項3】
前記(B)成分が、
(α)SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に1個以上含有する有機化合物と、(β)1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する鎖状及び/又は環状のポリオルガノシロキサンとをヒドロシリル化反応して得ることができる化合物である、請求項1又は2のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項4】
前記(β)成分が、下記一般式(II)
【化2】

(式中、R2は炭素数1〜6の有機基を表し、nは3〜10の数を表す。)で表される、1分子中に少なくとも3個のSiH基を有する環状ポリオルガノシロキサンである、請求項3に記載の硬化性組成物。

【公開番号】特開2011−99036(P2011−99036A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−254261(P2009−254261)
【出願日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】