説明

耐熱性ポリエステルおよびそれから得られる繊維

【課題】光沢感のある鮮やかな染色性と耐熱性があるポリエステルおよびその繊維を提供する。
【解決手段】テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸またはそのジエステル誘導体と9,9−ビス−(4−ヒドロキシエトキシフェニル)−フルオレンなどのジヒドロキシ化合物と5−ナトリウムイソフタル酸などの金属スルホネート基含有ジカルボン酸と、エチレングリコールなどの炭素原子数が2から4の脂肪族グリコールとを重縮合して得られる耐熱性ポリエステル、およびそれから得られるポリエステル繊維。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐熱性ポリエステルに関し、詳しくは光沢性・発色性と耐熱性に優れ、製糸性が優れている耐熱性ポリエステルに関するもので、特に9,9−ビス−(4−ヒドロキシエトキシフェニル)−フルオレンと5−ナトリウムスルホイソフタル酸を含む耐熱性ポリエステルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ポリエステル繊維の発色性向上のため、種々の成分を共重合したり、ポリエステル基本骨格を低ガラス転移温度(低Tg)としたりして、分散染料の吸着を高める試みがなされてきた。例えば、特許文献1(特開2003−166123号公報)に示すように、ポリエチレングルコールを共重合させて、低温染色でも発色性に優れる共重合ポリエチレンテレフタレートが提案されている。また、低屈折率のポリマー特性が表面反射の少ない濃染化を達成するというポリ乳酸に関する製造方法が、特許文献2(特開2003−293237号公報)に示されている。しかし、低Tgあるいは、低融点ポリマーのために、染色堅牢性やアイロン耐熱がないという問題が未解決である。また、これらのような濃色タイプの商品があるにもかかわらず、濃色性と透明感のある光沢性をあわせもち、かつ耐熱性も非常に高い繊維は、未だ見られない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−166123号公報
【特許文献2】特開2003−293237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、光沢感のある鮮やかな染色性と耐熱性があるポリエステルおよびそれからなる繊維を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、特定のポリエステルが、光沢性と濃染性があり、さらに耐熱性にも優れていることを見出し、本発明に至った。
【0006】
すなわち、本発明は、芳香族ジカルボン酸またはそのジエステル誘導体と、下記一般式(1)で示されるジヒドロキシ化合物と、金属塩スルホネート基含有ジカルボン酸および炭素原子数が2から4の脂肪族グリコールとを重縮合して得られる耐熱性ポリエステル(以下、単に「ポリエステル」ともいう)を提供するものである。
【0007】
【化1】

(式中、R1は炭素数2から4のアルキル基、R2,R3、R4,およびR5は独立に水素または炭素数1から4のアルキル基である。)
【発明の効果】
【0008】
本発明のポリエステルは、光沢性と染着性および耐熱性、溶融紡糸性に優れ、これにより鮮やかな発色と染色堅牢性に優れた繊維を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明のポリエステルは、芳香族ジカルボン酸またはそのジエステル誘導体と上記一般式(1)(R1は炭素数2から4のアルキル基、R2,R3,R4,およびR5は独立に水素または炭素数1から4のアルキル基)で示されるジヒドロキシ化合物と金属塩スルホネート基含有ジカルボン酸および炭素原子数が2から4の脂肪族グリコールとを重縮合して得られ、好ましくは極限粘度(フェノール60重量%、1,1,2,2,−テトラクロロエタン40重量%の混合溶液中、20℃で測定、以下同じ)が0.3〜0.5dL/gであるポリエステルである。
【0010】
本発明において、上記芳香族ジカルボン酸またはそのジエステル誘導体としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、あるいは、これらのジメチルエステルなどのジエステル誘導体などが挙げられるが、特にテレフタル酸、あるいはテレフタルジメチルエステルが好ましい。
【0011】
また、上記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物において、R1はエチル、プロピル、n−ブチルなどの炭素数2〜4のアルキル基、またR2〜R5は、同一または異なり、水素原子のほか、メチル、エチル、プロピル、n−ブチルなどの炭素数1〜4のアルキル基である。
【0012】
上記一般式(1)で示されるジヒドロキシ化合物の具体例としては、9,9−ビス−(4−ヒドロキシエトキシフェニル)−フルオレン、9,9−ビス−(4−ヒドロキシプロポキシフェニル)−フルオレン、9,9−ビス−(4−ヒドロキシブトキシフェニル)−フルオレンなどがあるが、特に9,9−ビス−(4−ヒドロキシエトキシフェニル)−フルオレンが好ましい。9,9−ビス−(4−ヒドロキシエトキシフェニル)−フルオレンは、例えば、9,9−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−フルオレンにエチレンオキサイドを(以下EO)を付加して得られる。この際、フェノールの両水酸基にエチレンオキサイドが1分子づつ付加した2EO付加体(9,9−ビス−(4−ヒドロキシエトキシフェニル)−フルオレン)の他に、さらに数分子過剰に付加した、3EO付加体、4EO付加体などの不純物が含まれることがある。3EO,4EO,などの不純物が多くなると、ポリエステルの耐熱性を低下させることになる。このときの2EO付加体の純度は85%以上有ればよいが、好ましくは95%以上である。
【0013】
上記9,9−ビス−(4−ヒドロキシプロポキシフェニル)−フルオレン、9,9−ビス−(4−ヒドロキシブトキシフェニル)−フルオレンは、例えば、9,9−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−フルオレンに各々、3−クロロ−プロパン−1−オール、4−クロロ−プロパン−1−オールをアルカリ性条件下で反応させれば得られる。この際の純度も、85%以上であれば良く、好ましくは95%以上である。
【0014】
本発明のポリエステルは、上記一般式(1)で表される9,9−ビス−(4−ヒドロキシエトキシフェニル)−フルオレンなどのジヒドロキシ化合物の組成を変えることで、得られるポリエステルの屈折率を変化させることができる。高共重合比率の場合は、1.61〜1.62程度まで屈折率が大きくなり、光沢性を向上させ、ガラス転移点も高くなる。上記ジヒドロキシ化合物の割合は、本発明のポリエステルを構成する全グリコール成分中に、5mol%未満であると、光沢性が不十分であるばかりか、耐熱性も不足する。5mol%以上において、ガラス転移温度(Tg)85℃〜155℃が得られ、極限粘度が0.3dL/g以上の場合、曵糸性良好で、溶融紡糸プロセスでのパフォーマンスに優れ、安定した製造工程が可能である。一方、上記ジヒドロキシ化合物が全グリコール成分中に80モル%を超えると、紡糸調子が低下する。
【0015】
また、本発明のポリエステルに用いられる金属塩スルホネート基含有ジカルボン酸化合物としては、ナトリウムスルホイソフタル酸、ナトリウムスルホナフタレンジカルボン酸などの金属塩スルホネート基などの酸基含有エステル形成性化合物が好ましく、特に5−ナトリウムスルホイソフタル酸が好ましい。
上記金属塩スルホネート基含有ジカルボン酸化合物の共重合量は、ポリエステルを構成する全ジカルボン酸成分の0.5mol%〜8mol%である。
【0016】
5−ナトリウムスルホイソフタル酸などの金属スルホネート基含有ジカルボン酸を含有するポリエステルは、分散染料・カチオン染料のいずれにおいても染色性が得られるが、特に、カチオン染料はイオン結合により繊維ポリマーに強固に吸着し、分散染料で見られる染料分子同士の重なりによる非鮮明化形態をとらずに、発色性にすぐれた染料を分散状態でイオン吸着させるために、染料の発色が鮮やかにすることができる。上記ジカルボン酸化合物の共重合量は、ポリエステルを構成する全ジカルボン酸成分の0.5mol%以上で濃染色に効果があり、8mol%を超えると、重合性速度が遅くなり、十分な分子量が得られないので好ましくない。
【0017】
本発明において、炭素原子数2〜4の脂肪族グリコールとしては、エチレングルコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオールなどが挙げられるが、なかでもエチレングルコール、1,4−ブタンジオールが好ましく、特にエチレングリコールが好ましい。
【0018】
本発明の耐熱性ポリエステルは、上記のように、芳香族ジカルボン酸またはそのジエステル誘導体と、上記一般式(1)で示されるジヒドロキシ化合物と、金属スルホネート基含有ジカルボン酸と、炭素原子数が2から4の脂肪族グリコールとを重縮合して得られるが、全ジカルボン酸成分(芳香族ジカルボン酸またはそのジエステル誘導体+金属スルホネート基含有ジカルボン酸)と全グリコール成分(上記一般式(1)で示されるジヒドロキシ化合物+炭素原子数が2から4の脂肪族グリコール)が実質的に化学量論的に等モルで重縮合させればよく、その際、一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物の共重合量を全グリコール成分の5〜80モル%、金属スルホネート基含有ジカルボン酸の共重合量を全ジカルボン酸成分の0.3〜8モル%に調整すればよい。
【0019】
本発明のポリエステルは、例えば、エステル交換法、直接重合法などの溶融重合法、溶液重合法、界面重合法などの公知の方法から適宜の方法を選択して製造できる。また、その際の重合触媒などの反応条件についても従来通りでもよく、公知の方法をも用いることができる。
【0020】
ところで、本発明のポリエステルを製造する際に、溶液重合法、界面重合法などを採用する場合には、一般に酸成分の活性種として酸クロライドを用いたり、溶媒としてメチレンクロライド、クロロホルムなどを使用するが、ポリマー中には副生成物である塩化物や触媒化合物が残留し、このものは一般的に製品の品質上良くないので、重合工程後に一般に残留異物を除去せねばならない。これらは、シート、フィルム、プレート、繊維などの成形加工工程での操業性を低下させ、得られる成形体の品質をも低下させるので、十分や洗浄、ろ過などして、残留異物を除去する工程が必要である。
【0021】
本発明のポリエステルは、溶融重合法を用いる場合に特に良好である。すなわち、9,9−ビス−(4−ヒドロキシエトキシフェニル)−フルオレンなどの一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物は、末端基が脂肪族グルコースと良く似た性質であり、反応性が高い。これは、9,9−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−フルオレンと比べると著しく異なるものである。このために、酸クロリドという原料を用いる必要もなく、従って本質的に塩素が混入しない製造方法が可能であり、高温度での反応条件で触媒使用量を少なくでき、残留異物が少ない方法が可能となる。
このようにして得られる本発明のポリエステルの極限粘度は、通常、0.3〜0.5dL/gである。
【0022】
また、本発明の耐熱性ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレートなどの従来のポリエステルと同様に、溶融紡糸、必要に応じて、延伸することにより、耐熱性を有するポリエステル繊維を得ることができる。
【実施例】
【0023】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明する。
実施例における共重合体の極限粘度、ガラス転移温度、L値、光沢度、紡糸工程調子の測定は、以下のように実施した。
また、実施例中における%および部は、原則として重量基準である。
【0024】
<極限粘度>
フェノール60%、1,1,2,2,−テトラクロロエタン40%の混合溶液50mlに共重合体0.15〜0.5gを80℃で溶解後、20℃で粘度を測定した。
【0025】
<ガラス転移温度(Tg)>
DSCにて窒素雰囲気下、室温から10℃/minで加熱し、熱量カーブにおけるガラス転移温度に相当する変曲点から算出した。
【0026】
<L値測定>
20ゲージ筒編みサンプルを作成し、保土ヶ谷化学株式会社製カチオン染料(CATHILON BLUE CD−FRLH、濃度4%)を用いて、130℃、浴比50にて高温染色を行った。染色後、マクベス社のMacbes2000にて、L値測定を実施した。
【0027】
<光沢度>
緯糸打ち込みして1/3ツイル織物を作製し、(株)村上色彩技術研究所製 自動変角光沢計(GP−200)を用いて、(入射角45°、反射角45°)および(入射角45°、反射角90°)の条件で、最大値−最小値をギラツキ度として評価した。その際、酸化マグネシウム白板のギラツキ度を50とした。
【0028】
[実施例1]
酸性分として、テレフタル酸ジメチル 33.5部、5−ナトリウムスルホイソフタル酸 0.5部、グリコール成分として、9,9−ビス−(4−ヒドロキシエトキシフェニル)−フルオレン(BPEF) 51.5部、エチレングリコール 14.5部を原料とし、触媒として、酢酸マンガン 0.011部を用い、これらを反応槽に投入し、攪拌しながら常法に従って190℃から245℃に徐々に加熱してエステル交換反応を行った。所定量のメタノールを系外へ抜き出した後、着色を防止するため燐酸トリメチル 0.007部と重合触媒である三酸化アンチモン0.027部とを投入して、昇温と減圧を行いながら、加熱槽温度を285℃、真空度を130Pa以下に到達させた。この条件を維持し、粘度の上昇を待ち、2時間経過後反応を終了し、反応物を水中に押し出してペレットを得た。
【0029】
この共重合体の285℃での溶融粘度は120Pa・sで、ガラス転移温度は、136℃であった。130℃×5時間の乾燥の後、溶融温度290℃にて1軸ルーダー溶融し、ギアポンプにて計量した後、紡糸パックに導入し、0.3mmφ×0.6mmL×24個のノズルから吐出した後、冷却風にて冷却しながら、1,000m/minで巻き取った。その後、予熱温度130℃、残留伸度が30〜40%になるように延伸し、55dtex/24fの延伸糸を得た。得られた繊維は、耐熱性が高く、また染色性と光沢性を両立し、本発明の目的を満足していた。物性および染色特性は表1に示す。
【0030】
[実施例2]
酸性分として、テレフタル酸ジメチル 32.7部、5−ナトリウムスルホイソフタル酸 1.28部、グリコール成分として、9,9−ビス−(4−ヒドロキシエトキシフェニル)−フルオレン 37.8部、エチレングリコール 16.1部を原料とした以外は、実施例1と同様に重合した。紡糸速度1,000m/minで巻き取った後、予熱温度115℃、残留伸度が30〜40%になるように延伸し、55dtex/24fの延伸糸を得た。実施例2では、5−ナトリウムイソフタル酸を2.5mol%共重合することにより、濃染性と光沢性に優れていた。
【0031】
[実施例3]
酸性分として、テレフタル酸ジメチル 32.7部、5−ナトリウムスルホイソフタル酸 1.28部、グリコール成分として、9,9−ビス−(4−ヒドロキシエトキシフェニル)−フルオレン 4.54部、エチレングリコール 20.8部を原料とした以外は、実施例1と同様に重合した。紡糸速度1,000m/minで巻き取った後、予熱温度90℃、残留伸度が30〜40%になるように延伸し、55dtex/24fの延伸糸を得た。実施例3では、フルオレン化合物共重合比率が比較的小さいが、光沢性は本発明の目的を満たし、また染色性も良好であった。
【0032】
[比較例1]
酸性分として、テレフタル酸ジメチル 33.4部、5−ナトリウムスルホイソフタル酸 0.102部、グリコール成分として、9,9−ビス−(4−ヒドロキシエトキシフェニル)−フルオレン 7.56部、エチレングリコール 20.3部を原料とした以外は、実施例1と同様に重合した。紡糸速度1,000m/minで巻き取った後、予熱温度95℃、残留伸度が30〜40%になるように延伸し、55dtex/24fの延伸糸を得た。
比較例1は、5−ナトリウムイソフタル酸共重合比率が小さいことにより、染色性が不満足であった。
【0033】
[比較例2]
酸性分として、テレフタル酸ジメチル 32.7部、5−ナトリウムスルホイソフタル酸 1.28部、グリコール成分として、9,9−ビス−(4−ヒドロキシエトキシフェニル)−フルオレン 1.5部、エチレングリコール 21.2部を原料とした以外は、実施例1と同様に重合した。紡糸速度1,000m/minで巻き取った後、予熱温度75℃、残留伸度が30〜40%になるように延伸し、55dtex/24fの延伸糸を得た。
比較例2は、フルオレン化合物の共重合比率が小さいことにより、光沢性が不足していた。
【0034】
[比較例3]
酸性分として、テレフタル酸ジメチル 30.2部、5−ナトリウムスルホイソフタル酸 5.1部、グリコール成分として、9,9−ビス−(4−ヒドロキシエトキシフェニル)−フルオレン 22.7部、エチレングリコール 18.2部を原料とした以外は、実施例1と同様に重合した。紡糸速度1,000m/minで巻き取った後、予熱温度100℃、残留伸度が30〜40%になるように延伸し、55dtex/24fの延伸糸を得た。
比較例3は、5−ナトリウムイソフタル酸の共重合比率が高いために、極限粘度が低く、紡糸調子不良であった。また、得られた糸の強度も低かった。
【0035】
[比較例4]
酸性分として、テレフタル酸ジメチル 33.0部、5−ナトリウムスルホイソフタル酸 1.1部、グリコール成分として、9,9−ビス−(4−ヒドロキシエトキシフェニル)−フルオレン 68.1部、エチレングリコール 11.8部を原料とした以外は、実施例1と同様に重合した。紡糸速度1,000m/minで巻き取った後、予熱温度150℃、残留伸度が30〜40%になるように延伸し、55dtex/24fの延伸糸を得た。
比較例4は、光沢度は非常に高いが、延伸時に断糸が発生した。この理由は、フルオレン化合物の共重合比率が高いために、高Tgとなり、繊維内部へのカチオン染料の拡散が妨げらたためと考えられる。
【0036】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明のポリエステルは、光沢性と染着性および耐熱性、溶融紡糸性に優れ、これにより鮮やかな発色と染色堅牢性に優れた繊維が得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香族ジカルボン酸またはそのジエステル誘導体と、下記一般式(1)で示されるジヒドロキシ化合物と、金属スルホネート基含有ジカルボン酸と、炭素原子数が2から4の脂肪族グリコールとを重縮合して得られることを特徴とする耐熱性ポリエステル。
【化1】

(式中、R1は炭素数2から4のアルキル基、R2,R3、R4およびR5は独立に水素または炭素数1〜4のアルキル基である。)
【請求項2】
一般式(1)で示されるジヒドロキシ化合物の割合が、ポリエステルを構成する全グリコール成分の5〜85モル%である請求項1記載の耐熱性ポリエステル。
【請求項3】
金属スルホネート基含有ジカルボン酸の割合が、ポリエステルを構成する全ジカルボン酸成分の0.3〜8モル%である請求項1記載の耐熱性ポリエステル。
【請求項4】
極限粘度(フェノール60重量%、1,1,2,2,−テトラクロロエタン40重量%の混合溶液中、20℃で測定)が0.3〜0.5dL/gである請求項1〜3いずれかに記載の耐熱性ポリエステル。
【請求項5】
一般式(1)で示されるジヒドロキシ化合物が9,9−ビス−(4−ヒドロキシエトキシフェニル)−フルオレンである請求項1〜4のいずれかに記載の耐熱性ポリエステル。
【請求項6】
金属スルホネート基含有ジカルボン酸が、5−ナトリウムスルホイソフタル酸である請求項1〜4のいずれかに記載の耐熱性ポリエステル。
【請求項7】
請求項1〜6いずれかに記載の耐熱性ポリエステルからなる繊維。

【公開番号】特開2010−235803(P2010−235803A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−86052(P2009−86052)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(302011711)帝人ファイバー株式会社 (1,101)
【Fターム(参考)】