説明

耐熱性導電紙およびその製造方法

【課題】導電性と耐熱性を両立し、かつ裂断長と屈曲疲労性を向上させた耐熱性導電紙を提供すること。
【解決手段】芳香族ポリアミドおよび導電性材料を主成分とする導電性芳香族ポリアミドパルプからなる耐熱性導電紙であり、該導電性芳香族ポリアミドパルプ中の導電性材料の割合が50〜98重量%の範囲にあり、かつ該導電性芳香族ポリアミドパルプ中の芳香族ポリアミドが、導電性材料と実質的に接着もしくは導電性材料を実質的に包含して形成されている耐熱性導電紙。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐熱性導電紙およびその製造方法に関する。さらに詳しくは、高い裂断長1を持ち、かつ屈曲疲労性も良好な耐熱性導電紙およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
導電紙は、従来から電波障害の防止、帯電防止などの目的で、電子機器の包装、制電シートなどで使用されているが、自動車部材や面発熱体など、特殊な環境で使用される用途においては耐熱性導電紙が必要とされている。
従来から、紙に導電性を付与する方法として、カーボンブラックなどの導電性粉末を、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸ソーダなどの定着剤と混合して抄きこむ方法、あるいは抄紙後にラテックスなどの樹脂を塗工あるいは含浸する方法などがある。しかしながら、いずれの方法でも、導電性粉末の混合量に限界があり、半導体領域の紙しか製造できず、また定着剤、ラテックスなどの混合物を用いているので、耐熱性は低下する。
また、炭素繊維、ステンレス繊維などの導電繊維を、セルロース繊維と混抄する方法があるが、セルロース繊維との混抄により裂断長(引張強度の指標)は向上するものの、繊維自体が剛直であるため、屈曲疲労性に乏しく、屈曲疲労性を向上させるためにセルロース繊維の混率を高くすると、導電性と耐熱性を低下させる。
【0003】
炭素繊維紙の裂断長を向上させる方法として、ポリビニルアルコールなどの結着剤繊維と炭素繊維を混抄し、連続抄紙後に水流交絡を行う方法(特許文献1:特開2002-266217号公報)などが提案されている。しかし、これにより機械的強度は向上するものの、ウェブ形成後に水流を当てることによって平面方向の均一性が低下し、また水流により炭素繊維の切断が起こり、それにより紙から炭素繊維の小片が欠落するなどの問題が発生し、耐熱性導電紙としての機能を十分に満たすことができない。
【特許文献1】特開2002-266217号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来のかかる問題点を解決し、導電性と耐熱性を両立し、かつ裂断長と屈曲疲労性を向上させた耐熱性導電紙を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、芳香族ポリアミドおよび導電性材料を主成分とする導電性芳香族ポリアミドパルプからなる耐熱性導電紙であり、該導電性芳香族ポリアミドパルプ中の導電性材料の割合が50〜98重量%の範囲にあり、かつ該導電性芳香族ポリアミドパルプ中の芳香族ポリアミドが、導軍性材料と実質的に接着もしくは導電性材料を実質的に包含して形成されていることを特徴とする耐熱性導電紙に関する。
ここで、上記芳香族ポリアミドとしては、ポリパラフェニレンテレフタルアミド、ポリメタフェニレンイソフタルアミドおよびコポリパラフェニレン・3,4'−オキシジフェニレン・テレフタルアミドの群から選ばれた少なくとも1種が好ましい。
また、上記導電性材料としては、導電性カーボンブラック、メソカーボン小球体、黒鉛、炭素繊維ミルド、フラーレン、カーボンナノチューブ、金属粉末、および金属酸化物粉末の群から選ばれた少なくとも1種が好ましい。
上記導電性芳香族ポリアミドパルプの濾水度は、好ましくは30〜300mlである。
本発明の耐熱性導電紙の裂断長は、好ましくは0.5km以上である。
次に、本発明は、芳香族ポリアミドおよび導電性材料を主成分とする導電性芳香族ポリアミドパルプからなるスラリーを湿式抄紙した後、乾燥して得た乾燥紙を、150〜350℃の温度下、50〜500kg/cmの圧力下で加熱加圧加工して、該導電性芳香族ポリアミドパルプを部分的に軟化、および/または溶融させることを特徴とする耐熱性導電紙の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の耐熱性導電紙によれば、従来なし得なかった導電性、機械的強度に優れ、かつ導電性材料の脱落がなく、屈曲疲労性も良好な耐熱性導電紙を製造することができる。また、導電性材料の選択およびパルプ形状の調整により、紙の導電性を自由に制御することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明は、芳香族ポリアミド中に導電性材料を所定量包含したパルプを用いることにより、導電性、裂断長、および屈曲疲労性に優れた耐熱性導電紙を得たものである。
ここで、本発明で用いる芳香族ポリアミドとは、ポリアミドを構成する繰り返し単位の80モル%以上(好ましくは90モル%以上)が、下記式(1)で表される芳香族ホモポリアミド、または、芳香族コポリアミドからなるものである。
−NHArNHCOArCO− ・・・(1)
ここで、Ar、Arは芳香族基を表し、なかでも下記式(2)から選ばれた同一の、または相異なる芳香族基からなるものが好ましい。ただし、芳香族基の水素原子は、ハロゲン原子、低級アルキル基、フェニル基などで置換されていてもよい。
【0008】
【化1】

【0009】
このような芳香族ポリアミドの製造方法や特性については、例えば、英国特許第1501948号明細書、米国特許第3733964号明細書、同第3767756号明細書、同第3869429号明細書、特開昭49-100322号公報、特開昭47-10863号公報、特開昭58-144152号公報、特開平4-65513号公報などに記載されており、具体的には、ポリパラフェニレンテレフタルアミド、コポリパラフェニレン・3,4'−オキシジフェニレン・テレフタルアミド、あるいはポリメタフェニレンイソフタルアミドなどが例示される。
【0010】
上記のような耐熱性導電紙を得るためには、このような芳香族ポリアミドが上記導電性芳香族ポリアミドパルプ中に占める割合が2〜50重量%(導電性材料が50〜98重量%)、好ましくは5〜40重量%(導電性材料が60〜95重量%)、さらに好ましくは10〜30重量%(導電性材料が70〜90重量%)でなければならない。本発明の導電性芳香族ポリアミドパルプ中の芳香族ポリアミドの比率が50重量%を超える場合には、安定して高い導電性を得ることが困難となり、一方、2重量%未満の場合には、紙としての使用に耐えうる十分な裂断長が得られないため好ましくない。
【0011】
また、本発明の耐熱性導電紙を構成する導電性芳香族ポリアミドパルプを得るために用いる導電性材料としては、導電性カーボンブラック、メソカーボン小球体、黒鉛、炭素繊維ミルド、フラーレン、カーボンナノチューブ、金属粉末、金属酸化物粉末からなる群から選ばれる1種、もしくは2種以上が好ましく例示される。さらに好ましくは、導電性カーボンブラックである。
このうち、導電性カーボンブラックとしては、公知のものが使用でき、例えば、アセチレンブラック、オイルファーネスブラック、サーマルブラック、チャネルブラック、ケッチェンブラックなどが挙げられる。これらは、通常、微粉末としてマトリックスポリマーに分散して用いることができる。
【0012】
本発明に用いられる導電性材料の平均粒径としては、0.001〜100μm、好ましくは0.1〜50μmの範囲である。0.001μm未満の場合には、嵩が大きくなりすぎて、芳香族ポリアミド中に高濃度で充填することが不可能となり、一方、100μmを超える場合には、耐熱性導電紙の外観を均一にできなくなるため好ましくない。
これら導電性材料は、該耐熱性導電紙の性能を損なわない範囲で、焼成条件を調整したり、薬品、ガスなどによる親水化、疎水化処理が施されていてもよい。
【0013】
上記導電性芳香族ポリアミドパルプは、芳香族ポリアミドが、導電性材料と実質的に接着もしくは導電性材料を実質的に包含して形成されていることを特徴とする。ここで、芳香族ポリアミドが、導電性材料と実質的に接着もしくは導電性材料を実質的に包含しているとは、例えば、溶融あるいは溶解状態にある芳香族ポリアミド中に導電性材料が混合された状態のまま、固化およびパルプ化の工程を経て、芳香族ポリアミドと導電性材料とが強固に結合された状態を言い、芳香族ポリアミドパルプと導電性材料とを混合してスラリー化して抄紙した場合のように、単にパルプと導電性材料が接触しているだけの状態を除くものである。
【0014】
このような導電性芳香族ポリアミドパルプを得る方法としては、まず、アミド系の極性溶媒、例えばN−メチル−2−ピロリドンなどに芳香族ポリアミドを溶解して芳香族ポリアミドのアミド系極性溶媒溶液を作成し、その中に導電性材料を混合した後、特公昭35-11851号公報、特公昭37-5732号公報などに記載された方法により、該溶液を該溶液の沈澱剤と勢断力の存在する系において混合することにより、上記導電性芳香族ポリアミドパルプを得ることができる。このときの芳香族ポリアミドのアミド系極性溶媒溶液中における芳香族ポリアミドの濃度は、0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%である。芳香族ポリアミドの濃度が0.1重量%未満の場合には、芳香族ポリアミドのアミド系極性溶媒溶液を沈殿剤勢断力の存在する系において混合してパルプを得る際に、芳香族ポリアミド中に導電性材料を十分に捕捉できず、一方、10重量%を超えると芳香族ポリアミドのアミド系極性溶媒溶液の粘度が向上し、高濃度の導電性材料の充填が不可能となる。
また、芳香族ポリアミドのアミド系極性溶媒溶液中に導電性材料を充填した後、溶液中に導電性材料を均一に分散させるため、従来公知の工業的な混合方法、具体的には撹拌棒、ニーダー、ボールミル、ジェットミル、ホモジナイザー、ミキサーなどを用いて十分な混合を行うことが肝要である。
【0015】
本発明の耐熱性導電紙は、上記の導電性芳香族ポリアミドパルプを主成分として用いるため、該ポリアミドパルプの濾水度は、好ましくは30〜300m1の範囲である。濾水度が30m1未満の場合には、抄紙時に導電性芳香族ポリアミドパルプが分散斑を引き起こし、一方、濾水度が300m1を超える場合には、ほとんどの場合パルプの粒度が大きすぎる、または径の太い針状となり、平面方向、および厚さ方向に均質な紙を得ることができない。なお、本発明で言う濾水度とは、JIS P−8121(カナダ標準形)に基づいて測定されたものである。
ここで、濾水度を調整する目的で、上記方法にて得たパルプを、ディスクリファイナー、ビーター、ジェットミル、ホモジナイザー、ミキサーなどを用いて叩解処理を行ってもよい。
【0016】
このようにして得られた導電性芳香族ポリアミドパルプから耐熱性導電紙を製造する方法は、従来公知のいかなる方法で製造してもよく、例えば、導電性芳香族ポリアミドパルプの濃度が約0.15〜0.40重量%となるように水中に投入して均一分散、調整した水性スラリー中に、必要に応じて、分散剤や粘度調整剤を加えた後、長網式や丸網式などの抄紙機による湿式抄造法で湿紙を形成し、乾燥して得た乾燥紙を加熱加圧し、該導電性芳香族ポリアミドパルプを部分的に軟化、および/または溶融させることにより得られる。
上記の加熱加圧を、カレンダーを用いて行う場合は、直径約15〜80cmの5硬質表面ロールと直径約30〜100cmの表面変形可能な弾性ロールとの間で、好ましくは直径約20〜80cmからなる2ヶの硬質表面ロールどうしの間で行えばよい。その際、導電性芳香族ポリアミドパルプを部分的に軟化、および/または溶融させ、耐熱性導電紙の機械的強度を発現させるには、150〜350℃の温度範囲で加熱することが好ましく、より好ましくは180〜320℃、さらに好ましくは200℃〜300℃の温度範囲を採用するのが良い。
【0017】
また、耐熱性導電紙に安定した高導電性を付与するために、圧力は50〜500kg/cmの線圧で加圧することが好ましく、さらに好ましくは100〜300kg/cmの線圧力を採用するのが良い。なお、上記のカレンダー加工は、1段の処理でも良いが、平面方向、厚さ方向により均質な紙を得るためには、予備的に加熱加圧処理を施す2段処理を採用することが好ましい。その際、急激な熱収縮による不均質化を防ぐため、1段目の処理温度は150〜200℃の温度範囲で加熱することが好ましい。200℃を超える温度で処理する場合には、ポリテトラフルオロエチレン(テフロン)シート、ガラスクロスなどの耐熱シートで紙をはさんだ状態で処理することが望ましい。
加熱加圧加工の条件が上記範囲を外れる場合には、得られる耐熱性導電紙の裂断長が0.5km未満となり、またパルプ繊維どうしの接着が不十分なため、導電性も低下し好ましくない。
【0018】
このようにして得られる本発明の耐熱性導電紙の裂断長は、0.5km以上、好ましくは0.5〜5.0kmである。裂断長を0.5km以上にするには、上記の加熱加圧加工条件の範囲内にすればよい。
【0019】
なお、本発明の耐熱性導電紙の性能を損なわない範囲で、炭素繊維、ステンレス繊維、またはそれらを粉砕したものなどの導電性繊維状物、あるいは金属粉末、金属酸化物粉末、導電性カーボンブラック、黒鉛などの導電性粉末状物を混合させて抄紙しても良い。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。この場合、全耐熱性導電紙中に占める導電性芳香族ポリアミドパルプの割合は、80重量%以上、より好ましくは90重量%以上である。特に、屈曲疲労性が求められる用途においては、混合しないことが望ましい。
【実施例】
【0020】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の内容に限定されるものではない。なお、実施例中における%は重量基準である。また、実施例中における物性の評価方法は、以下のとおりである。
(1)坪量
JIS P8124に準拠して測定した。
(2)厚さ
JIS P8118に準拠して測定した。
(3)裂断長
JIS P8113に準拠して測定した。
(4)導電性材料の脱落
JIS P0849に記載の学振形摩擦試験機を用い、乾燥試験を行った。また、判定は下記のようにして行った。
○:白綿布の変色なし
△:白綿布に若干黒く変色
×:白綿布全体が黒く変色
(5)屈曲疲労性
JIS P8115に準拠して測定した。
(6)導電性(固有抵抗)
長さ100mm、幅10mmの試料の長さ方向の両断面に銀ぺ一ストを塗布して電極を作成し、両電極に抵抗測定器の端子をあてがい、得られた電気抵抗から固有抵抗を算出した。
【0021】
実施例1
導電性材料として、平均粒径0.3μmのカーボンブラック(MPS−1504B1ack(T);大日精化工業(株)製)を用い、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に分散させて、濃度10%の分散液を調製した。このカーボンブラック分散液を、コポリパラフェニレン・3,4'−オキシジフェニレン・テレフタルアミドの濃度6%のNMP溶液中に、芳香族ポリアミド/導電性材料=20/80の重量比となるように添加し、また全溶液中の芳香族ポリアミド含有量が1%となるようにNMPを添加し、温度50℃で1時問、撹拌棒にて撹拌混合し、導電性芳香族ポリアミド溶液を得た。
さらに、この芳香族ポリアミド溶液を、NMPを10%混合した水中に吐出し、その後、十分に水洗した後にステンレスメッシュ上にて一晩自然乾燥して、濾水度80m1の導電性芳香族ポリアミドパルプを得た。このときのパルプの水分率は約70%であった。本パルプを光学顕微鏡にて観察したところ、導電性材料が芳香族ポリアミド中に包含されていた。
さらに、この導電性芳香族ポリアミドパルプを水中に離解分散し、繊維濃度0.2%の抄紙用スラリーを作成した。
次に、タッピー式角型シートマシンを用いて、該抄紙用スラリーを使用して抄紙し、軽く加圧脱水後、温度120℃の熱風乾燥機中で30分問乾燥して、紙状物を得た。
さらに、上記紙状物の両側にポリテトラフルオロエチレン(テフロン)製のシートを挟み、直径400mmの一対の硬質表面金属ロールからなるカレンダーを用い、温度220℃、線圧200kg/cmの条件で加熱加圧して、坪量100g/mの耐熱性導電紙を得た。
【0022】
実施例2
実施例1において、カーボンブラック分散液の濃度を20%に変更し、またNMP溶液中の芳香族ポリアミド含有量が2%となるように調整した以外は、実施例1と同様に実施し、導電性芳香族ポリアミド溶液を得た。
さらに、この芳香族ポリアミド溶液を用いて、実施例1と同様の方法にて、濾水度150m1の導電性芳香族ポリアミドパルプを得た。このときのパルプの水分率は約70%であった。このパルプを光学顕微鏡にて観察したところ、導電性材料が芳香族ポリアミド中に包含されていた。
さらに、上記パルプを用いて実施例1と同様の方法で抄紙、カレンダーを行い、坪量101g/mの耐熱性導電紙を得た。
【0023】
実施例3
実施例1で用いた導電性芳香族ポリアミドパルプ、および炭素繊維(単糸径7μm、繊維長3mm)を、導電性芳香族ポリアミドパルプ/炭素繊維=90/10の重量比となるようにスラリー化し、実施例1と同様の条件で抄紙、カレンダー加工を行い、坪量99g/mの耐熱性導電紙を得た。
【0024】
実施例4
実施例3において、炭素繊維を平均粒径0.3μmのカーボンブラック(MPS-1504B1ack(T);大日精化工業(株)製)に変更した以外は、実施例3と同様に実施し、坪量97g/mの耐熱性導電紙を得た。
【0025】
比較例1
実施例1において、NMP溶液中の芳香族ポリアミド含有量が0.05%となるように調整した以外は、実施例1と同様に実施し、導電性芳香族ポリアミド溶液を得た。
さらに、この芳香族ポリアミド溶液を用いて実施例1と同様の方法にて、濾水度20m1の導電性芳香族ポリアミドパルプを得た。このときのパルプの水分率は約80%であった。しかし、本パルプ作成時に芳香族ポリアミドが導電性材料を十分に捕捉できなかったためか、本パルプの光学顕微鏡からは導電性材料がほとんど観察できなかったうえ、パルプ繊維ごとに導電性材料のバラツキが見られた。
さらに、上記パルプを用いて実施例1と同様の方法で抄紙、カレンダーを行い、坪量100g/mの耐熱性導電紙を得た。
【0026】
比較例2
実施例1において、カレンダー加工温度を120℃に変更した以外は、実施例1と同様に実施し、坪量100g/mの耐熱性導電紙を得た。
【0027】
以上の各実施例や比較例に示した耐熱性導電紙の製造条件を表1に、上記(1)〜(6)の測定方法により評価した諸特性を表2に示す。
【0028】
【表1】

【0029】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0030】
上記のようにして得られる本発明の耐熱性繊維紙は、導電性、裂断長および耐屈曲性に優れているので、自動車部材、面発熱体などの材料として好適に使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香族ポリアミドおよび導電性材料を主成分とする導電性芳香族ポリアミドパルプからなる耐熱性導電紙であり、該導電性芳香族ポリアミドパルプ中の導電性材料の割合が50〜98重量%の範囲にあり、かつ該導電性芳香族ポリアミドパルプ中の芳香族ポリアミドが、導電性材料と実質的に接着もしくは導電性材料を実質的に包含して形成されていることを特徴とする耐熱性導電紙。
【請求項2】
芳香族ポリアミドが、ポリパラフェニレンテレフタルアミド、ポリメタフェニレンイソフタルアミドおよびコポリパラフェニレン・3,4'−オキシジフェニレン・テレフタルアミドの群から選ばれた少なくとも1種である請求項1記載の耐熱性導電紙。
【請求項3】
導電性材料が、導電性カーボンブラック、メソカーボン小球体、黒鉛、炭素繊維ミルド、フラーレン、カーボンナノチューブ、金属粉末、および金属酸化物粉末の群から選ばれた少なくとも1種である請求項1または2記載の耐熱性導電紙。
【請求項4】
導電性芳香族ポリアミドパルプの濾水度が30〜300mlである請求項1〜3いずれかに記載の耐熱性導電紙。
【請求項5】
耐熱性導電紙の裂断長が0.5km以上である請求項1〜4いずれかに記載の耐熱性導電紙。
【請求項6】
芳香族ポリアミドおよび導電性材料を主成分とする導電性芳香族ポリアミドパルプからなるスラリーを湿式抄紙した後、乾燥して得た乾燥紙を、150〜350℃の温度下、50〜500kg/cmの圧力下で加熱加圧加工して、該導電性芳香族ポリアミドパルプを部分的に軟化、および/または溶融させることを特徴とする耐熱性導電紙の製造方法。

【公開番号】特開2007−23429(P2007−23429A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−207944(P2005−207944)
【出願日】平成17年7月19日(2005.7.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(303013268)帝人テクノプロダクツ株式会社 (504)
【Fターム(参考)】