説明

耐熱構造FRPサンドイッチパネル

【課題】船舶の機関室等の高熱環境下の構造材として使用される耐熱構造FRPパネルの強度劣化を、金属板を使用することなく防止できる、比較的安価防止なコストで製作可能なFRPパネルを提供する。
【解決手段】耐熱構造FRPパネル100は、コア材3をFRP板1,2でサンドイッチ状態に構成したFRPサンドイッチパネルであって、コア材3に形成された冷却水路4が、熱源側FRP板1に接している。この冷却水路4を冷却水が流れることにより、FRPサンドイッチパネルが高熱化されることがなく、強度の劣化を生じない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は耐熱構造FRPサンドイッチパネル、特に、FRP船の構造材として使用される耐熱構造FRP(繊維強化プラスチック)サンドイッチパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
FRPで船体を建造する場合、機関室も当然、耐熱性を有するFRPサンドイッチパネルが構造材もしくは当該機関室の間仕切り材として使用されるが、船舶運航時の機関室内は50℃以上の高温状態下になることがある。当該熱環境下では、FRPは基材がプラスチックであることから、熱劣化を起こし強度的に弱くなり船舶全体の強度を低下させる問題がある。
その対策としてFRPサンドイッチパネル材の熱源側のFRP板表面にロックウール等の防火材をボルト等の係止金具で添設し、またはFRP板表面に耐火塗料を塗布しているが、重量の増大、あるいは手間がかかりコスト高となる問題がある。
そのため、このような熱環境化で使用される複合断熱パネルの一例として、建築用の屋根および壁材を対象とし、化学物質のコア材を表裏金属板でサンドイッチし、パネルの熱源側を極薄の発泡性防火塗料組成物を130μm以下に塗布して断熱対策とした発明が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−113386号公報(第6−7頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された複合断熱パネルでは金属板を使用しているため、磁気機雷等に留意しなければならない船体においては用途が限定されることがある。
本発明は外部環境が高温にさらされても強度が劣化せず、比較的安価なコストで製作可能なFRPパネルを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明に係る耐熱構造FRPサンドイッチパネルは、コア材と、該コア材をサンドイッチ状態に挟む一対のFRP板と、を有し、
前記コア材に前記一対のFRP板のうち熱源側に配置されるFRP板に接する冷却水路が形成されていることを特徴とする。
(2)また、前記冷却水路の断面形状は断面矩形の溝状であることを特徴とする。
(3)また、前記冷却水路の断面形状は管状であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
以上の構成により、FRP船の機関室内が高温下にさらされても、FRPサンドイッチパネルのコア材内部に設けた冷却水路を冷却水が流れることにより、コア材と接するFRP板の冷却が行なわれ、FRPサンドイッチパネルが高熱化されることがなく強度の劣化を生じることがない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施の形態1に係る耐熱構造FRPサンドイッチパネルの部分断面斜視図。
【図2】本発明の実施の形態2に係る耐熱構造FRPサンドイッチパネルの部分断面斜視図。
【図3】本発明の実施の形態1、2を実施するための全体構成図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[実施の形態1]
図1〜図3は本発明の実施の形態1に係る耐熱構造FRPサンドイッチパネルを説明するものであって、図1および図2は模式的に示す部分断面斜視図、図3は全体構成図である。
図1において、1は熱源側に設けたFRP板、2はそれとは反対側に設けたFRP板であり、コア材3をFRP板1、2によりサンドイッチ状態で挟んで添設する。コア材3と熱源側FRP板1とが形成する側部には複数の断面矩形の溝状冷却水路4が設けられており、内部を冷却水が流れる構造となっている。
すなわち、耐熱構造FRPサンドイッチパネル100は、コア材3を一対のFRP板1、2によってサンドイッチしたものであって、熱源側FRP板1と接する冷却水路4を有している。なお、冷却水路の断面形状は溝型もしくは管状であることを特徴とするものである。
【0009】
図2に示す耐熱構造FRPサンドイッチパネル200は、耐熱構造FRPサンドイッチパネル100(図1)における断面矩形の溝状冷却水路4を断面円形状の管状冷却水路5に変更したものであって、これを除く構成は耐熱構造FRPサンドイッチパネル100に同じである。
【0010】
図3において、耐熱構造FRPサンドイッチパネル100の溝状冷却水路4は略鉛直に配置され、上端が略水平に配置された上側のヘッダ管6に連結され、下端が略水平に配置された下側のヘッダ管7に連結されている。そして、下側のヘッダ管7には、ポンプ8によって、給水タンク9に貯溜された冷却用の水が供給される。また、上側のヘッダ管6には図示しない排水管が接続されている。
そして、FRP板1に設けられた温度センサー10の検知温度が、たとえば、50℃以上になると、制御装置11はポンプ8および弁12に制御信号を送り、ポンプ8を起動し、弁12を開く。
【0011】
なお、排水管(図示しない)を給水タンク9に接続して、冷却水が循環するようにしてもよい。また、複数枚の耐熱構造FRPサンドイッチパネル100を並べて配置する場合には、複数のヘッダ管6同士、および複数のヘッダ管7同士を連結する。
【産業上の利用可能性】
【0012】
本発明によれば、耐熱性が向上するから、FRP化を進めるための船舶構造材や建築部材として、各種耐熱構造FRPサンドイッチパネルとして広く利用することができる。
【符号の説明】
【0013】
1 FRP板(熱源側)
2 FRP板
3 コア材
4 溝状冷却水路
5 管状冷却水路
6 ヘッダ管
7 ヘッダ管
8 ポンプ
9 給水タンク
10 温度センサー
11 制御装置
12 弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア材と、該コア材をサンドイッチ状態に挟んだ一対のFRP板と、を有し、
前記コア材に前記一対のFRP板のうち熱源側に配置されるFRP板に接する冷却水路が形成されていることを特徴とする耐熱構造FRPサンドイッチパネル。
【請求項2】
前記冷却水路の断面形状は断面矩形の溝状であることを特徴とする請求項1に記載の耐熱構造FRPサンドイッチパネル。
【請求項3】
前記冷却水路の断面形状は管状であることを特徴とする請求項1に記載の耐熱構造FRPサンドイッチパネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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