説明

耐熱被覆電線及びその製造方法

【課題】耐熱性繊維で被覆され、その繊維間が絶縁材料で充填されてなる耐熱被覆電線であって、絶縁被覆の耐熱性、絶縁性及び耐久性がともに優れ、かつコイルとして巻き付けを行った際に高い占積率を得られる耐熱被覆電線、及び、この耐熱被覆電線の製造方法を提供する。
【解決手段】導体、その周囲を絶縁被覆する糸状の耐熱性繊維、及びその耐熱性繊維間の隙間を充填する絶縁材料からなる耐熱被覆電線であって、前記耐熱性繊維が、前記導体内に部分陥没して前記導体表面に設けられていることを特徴とする耐熱被覆電線、及びその製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導体及びそれを被覆する耐熱性の絶縁材からなる耐熱被覆電線及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コイル等に用いられる絶縁被覆電線の絶縁被覆には、優れた絶縁性及び耐久性が望まれる。又コイルとして巻き付けを行った際の占積率向上のため、薄い絶縁被覆が望ましいとされている。さらに、近年は、電流密度の上昇による発熱に耐える優れた耐熱性も絶縁被覆に求められており、300℃以上の耐熱性を有する絶縁被覆電線として、導体を無機繊維等の耐熱性繊維で被覆してなる耐熱被覆電線が知られている(特開平5−325655号公報、請求項1等)。
【0003】
耐熱性繊維で被覆してなる耐熱被覆電線は、導体の周囲に糸状の耐熱性繊維をスパイラル状に巻付け絶縁層を形成する方法、又は耐熱性繊維を編み込んでチューブを形成し、このチューブ内に導体を通す方法により得ることができる。
【0004】
しかし、導体の周囲に糸状の耐熱性繊維をスパイラル状に巻付ける方法の場合、単純に巻き付けるだけではほどけやすく、巻付けられた糸状の繊維が一箇所でも切れると全体がほどけるので、絶縁被覆の耐久性が低いとの問題が生じる。
【0005】
耐熱性繊維を編み込んだチューブ内に導体を通す方法によれば、絶縁被覆の耐久性は優れるが、チューブ自体が厚くなり、コイルとして巻き付けを行った際に占積率が低下するとの問題がある。
【特許文献1】特開平5−325655号公報(請求項1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、耐熱性繊維で被覆され、その繊維間が絶縁材料で充填されてなる耐熱被覆電線であって、絶縁被覆の耐熱性、絶縁性及び耐久性がともに優れ、かつコイルとして巻き付けを行った際に高い占積率を得られる耐熱被覆電線を提供することを課題とする。本発明は、又、この耐熱被覆電線の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、導体、その周囲を絶縁被覆する糸状の耐熱性繊維、及びその耐熱性繊維間の隙間を充填する絶縁材料からなる耐熱被覆電線であって、前記耐熱性繊維が、前記導体内に部分陥没して前記導体表面に設けられていることを特徴とする耐熱被覆電線(請求項1)により達成される。この耐熱被覆電線は、導体の周囲を絶縁被覆する糸状の耐熱性繊維が導体内に部分陥没していること、及び耐熱性繊維間の隙間を絶縁材料で充填し、絶縁材料を耐熱性繊維のマトリックス材としていることを特徴とする。
【0008】
この、耐熱被覆電線は、耐熱性繊維を導体表面にスパイラル状にかつ密接して巻付け、その後、前記導体を圧延又はプレスして、前記耐熱性繊維を前記導体内に部分陥没させ、その後、耐熱性繊維よりも低い軟化温度を有する絶縁材料の粒子の分散液を前記耐熱性繊維間の隙間に含浸させ、さらにその後、前記絶縁材料の軟化温度以上で耐熱性繊維の軟化温度未満の温度に加熱する方法により製造することができる。請求項2は、前記の耐熱被覆電線であって、この方法により製造されることを特徴とする耐熱被覆電線を提供するものである。
【0009】
絶縁材料の粒子の分散液とは、絶縁材料を微粉砕して得た微粒子を、分散媒中に分散して得たものであり、この分散液を前記耐熱性繊維間の隙間に含浸させることにより、その隙間を絶縁材料の粒子で満たすことができる。その後、絶縁材料の軟化温度以上に加熱することにより、絶縁材料の粒子は溶融し、その後冷却して固化することにより、耐熱性繊維間の隙間は、連続した絶縁材料により充填される。
【0010】
耐熱性繊維の形状を維持するため、加熱温度は、耐熱性繊維の軟化温度未満である。従って、この方法において用いられる絶縁材料の粒子の軟化温度は、耐熱性繊維の軟化温度よりも低くなければならない。
【0011】
本発明は、さらに、この耐熱被覆電線のより好ましい態様として、次の構成からなる発明を提供する。
【0012】
前記の耐熱被覆電線であって、耐熱性繊維が、ガラス繊維又はセラミック繊維であることを特徴とする耐熱被覆電線(請求項3)。耐熱性繊維としては無機繊維、中でもガラス繊維又はセラミック繊維が、耐熱性が特に高く好ましい。
【0013】
前記の耐熱被覆電線であって、耐熱性繊維間の隙間を充填する絶縁材料が、ガラス転移点における熱膨張率が8〜23×10−6/℃の無機ガラス系絶縁材料であることを特徴とする耐熱被覆電線(請求項4)。熱膨張率がこの範囲内の絶縁材料を用いることにより、熱膨張率が導体と近くなるので、通電等による環境温度変化に対しても耐久性に優れた絶縁被覆が得られるので好ましい。
【0014】
本発明はさらにこの耐熱被覆電線の製造方法を提供する。すなわち、導体、その周囲を絶縁被覆する糸状の耐熱性繊維、及びその耐熱性繊維間の隙間を充填する絶縁材料からなる耐熱被覆電線の製造方法であって、前記絶縁材料が、耐熱性繊維よりも低い軟化温度を有し、前記耐熱性繊維を前記導体表面にスパイラル状にかつ密接して巻付けた後、前記導体を圧延又はプレスして、前記耐熱性繊維を前記導体内に部分陥没させ、その後前記絶縁材料の粒子の分散液を前記耐熱性繊維間の隙間に含浸させ、さらにその後、前記絶縁材料の軟化温度以上で耐熱性繊維の軟化温度未満の温度に加熱する工程を有することを特徴とする耐熱被覆電線の製造方法(請求項5)である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の耐熱被覆電線は、糸状の耐熱性繊維を導体に巻付け、さらに耐熱性繊維間の隙間を絶縁材料により充填した絶縁被覆を有するものであり、絶縁被覆の耐熱性、絶縁性に優れるとともに、耐熱性繊維のほどけが防止され、絶縁被覆の耐久性にも優れるものである。又、この電線を、コイルとして巻き付けを行った際にも高い占積率が得られる。このような耐熱被覆電線は、本発明の製造方法により容易に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に発明を実施するための最良の形態を、図を用いてより具体的に説明するが、本発明の範囲は、この形態に限定されるものではない。
【0017】
図1は、糸状の耐熱性繊維が、導体内に部分陥没するように設けられている導体表面を表わす概念断面図である。図1に示されるように、耐熱性繊維は、導体内に部分陥没(断面の一部が陥没していることを意味する。)している。ここで糸状の耐熱性繊維の断面径をaとし、導体内への陥没の大きさをb(導体表面よりの陥没の大きさ)としたとき、b/a×100(%)で表わされる陥没の割合としては、40〜60%(各繊維平均)の範囲が好ましい。
【0018】
陥没の割合が40%未満では、糸状の耐熱性繊維がほどけやすい場合がある。一方、陥没の割合が60%を越えると、導体表面の上にある絶縁被覆の割合が減少するので、絶縁性が不十分になる場合がある。
【0019】
図1の例では糸状の耐熱性繊維は、導体表面に一重に設けられているが、多重に設けられていてもよい。この場合においても、最下層の耐熱性繊維について、b/a×100(%)で表わされる陥没の割合は、40%以上(各繊維平均)が好ましい。一方、60%を越えても、上層の耐熱性繊維があるので絶縁性が不十分になることはないが、80%を越える陥没は、製造が困難な場合がある。
【0020】
前記の請求項2及び請求項5における、密接して巻付けるとは、スパイラルの隣接する繊維間に間隔を設けないように巻付けることを意味し、前記のように2重以上に巻付けてもよい。スパイラルの隣接する繊維間に間隔があると絶縁性が低下する。
【0021】
導体表面にスパイラル状にかつ密接して巻付ける方法としては、糸状の耐熱性繊維を巻いたリールを、導体の回りに回転させ、一方導体を一定スピードで送りながら巻付ける方法が挙げられる。図2は、その巻付けの工程を示す概念図である。通常、径10〜20μm程度の耐熱性繊維を巻付けたリールを、図2に示すように導体周囲に回転させ、導線を、一方向に一定スピードで送りながら巻付けを行う。耐熱性繊維が巻付けられた導体は、図2に示すようにリールに巻取られる。
【0022】
本発明の耐熱被覆電線を構成する導体は、通常は銅線又は銅を主体とする合金からなる電線であるが、他の導体からなる線、例えばアルミニウム線、金線、銀線等も含まれる。又、導体の断面形状としては、円形や平角状等が挙げられる。
【0023】
このようにして糸状の耐熱性繊維を導体表面に巻付けた後、圧延又はプレスがされて、糸状の耐熱性繊維が前記導体内に部分陥没される。この圧延又はプレスにより、糸状の耐熱性繊維のほどけを防ぎ、絶縁被覆の耐久性を向上することができるとともに、コイルとして巻き付けを行う際の占積率を、単純に巻きつけた場合よりも向上させることができる。圧延又はプレスは、耐熱性繊維が巻付けられた導体が、リールに巻取られる前に行ってもよいし、リールに巻取られた後、再度リールより取出して行ってもよい。
【0024】
圧延の場合もプレスの場合も、一段の工程では耐熱性繊維を導体内に所定の割合まで陥没させられない場合は、多段、すなわち圧延又はプレスを2回以上繰り返してもよい。又、耐熱性繊維の陥没を容易にするため、各段の間にアニールを行ってもよい。導体が銅線の場合、アニールにより硬銅線が軟銅線となり耐熱性繊維の陥没が容易になる。又、耐熱性繊維の陥没を容易にするため、予め、導体上に溝を形成していてもよい。
【0025】
糸状の耐熱性繊維とは、1本の糸でもよいし、2本以上の糸の束でもよい。又、2本以上の糸を撚ったものでもよく、平編状にしたものでもよい。
【0026】
耐熱性繊維としては、芳香族ポリエステル、ポリイミド等の耐熱性有機繊維も用いられるが、より高い耐熱性を得るためには、無機繊維が好ましく用いられる。無機繊維としては、ガラス繊維やセラミック繊維が好ましく例示される。
【0027】
マトリックスの絶縁材料としては、ガラス転移点において、8〜23×10−6/℃の範囲内の熱膨張率を有する無機ガラス系絶縁材料が好ましい。この範囲の熱膨張率を有する結果、室温からガラス転移点の範囲の温度で、銅(熱膨張率:17×10−6/℃)、銀(熱膨張率:19×10−6/℃)、金(熱膨張率:14×10−6/℃)等の導体や、導体めっきとして使用されるニッケル(熱膨張率:13×10−6/℃)に近い熱膨張率を有することになり、通電等に伴う環境温度変化により無機ガラス系絶縁材料が破損され絶縁性が低下することを防ぐことができる。
【0028】
前記範囲内の熱膨張率は、無機ガラス系絶縁材料を構成する無機酸化物として、P酸化物、B酸化物及び2種類以上のアルカリ金属酸化物を用いることにより得ることができる。P酸化物、B酸化物及び2種類以上のアルカリ金属酸化物からなるガラスは、この熱膨張率が得られるとの特徴の他にも、結晶化しにくく安定したガラス状態が得られる、軟化温度を400〜800℃の範囲内にしやすい、熱劣化や放電劣化しにくく良好な高温絶縁性が達成される等の優れた特徴を有し、又人体に有害な鉛系等の物質を含まないので好ましい。
【0029】
熱膨張率は、P酸化物とB酸化物の比率や、アルカリ金属酸化物の含有量により変動する。そこでこれらを、調整することにより、前記範囲の熱膨張率を得ることができる。
【0030】
P酸化物及びB酸化物としては、それぞれ、P及びBが例示される。又(1)P酸化物及びB酸化物と、(2)2種類以上のアルカリ金属酸化物の比率は、好ましくは、(1):(2)のモル比で1:0.1〜1:1.2の範囲である。(2)の含有量が(1)の1モルに対し0.1モル未満になると熱膨張率が低下し、8〜23×10−6/℃の範囲としにくくなる。一方、1.2モルを越えるとガラス化しにくくなる。
【0031】
なお、8〜23×10−6/℃の熱膨張率を有する無機ガラス系絶縁材料を構成するガラス中には、P酸化物、B酸化物、アルカリ金属酸化物が、それぞれ独立した分子としては存在しない。そこで前記組成(比率)は、P酸化物、B酸化物及び2種類以上のアルカリ金属酸化物が、それぞれ独立した分子として存在していると仮定した場合と同じ組成を、前記のガラスが有することを意味する。
【0032】
より高い耐熱性、絶縁抵抗を得るためには、(1):(2)のモル比は、1:0.1〜1:0.6の範囲がより好ましい。P及びBを用いる場合、P:Bのモル比は、1:0.9〜1:3.5の範囲が、ガラスの耐水性、脆性改良の観点からは好ましい。より好ましくは、1:1〜1:3の範囲である。
【0033】
アルカリ金属は、イオン伝導性が大きいので、ガラスの絶縁性を低下させる。しかし、2種類以上のアルカリ金属をガラス中に含有させることにより、ガラスの絶縁性の低下を防ぐことができる。2種類以上のアルカリ金属酸化物としては、その入手しやすさ等から、LiO、NaO又はKOが好ましい。又、2種類以上のアルカリ金属酸化物間の比率は等モルに近い程絶縁性の低下を防ぐ効果が大きい。
【0034】
従って、それらの組成は、その中の1種類のアルカリ金属酸化物の含有量1モルに対し、他のアルカリ金属酸化物の含有量が0.8〜1.2モルであることが好ましい。LiO、NaO及びKOから選ばれる組合せの中でも、LiO及びKOの組合せが、絶縁性の低下を防ぐ点から、特に好ましい。
【0035】
8〜23×10−6/℃の熱膨張率を有する無機ガラス系絶縁材料を構成するガラスは、さらに好ましくは、前記の(1)及び(2)に加えて、(3)P酸化物及びB酸化物より融点の高い酸化物を含有する。(3)の含有により、ガラスの耐水性を向上させることができる。特に、P酸化物のB酸化物に対する比率が大きい場合は、耐水性が低下する傾向があるので、(3)の含有が好ましい。(3)はいわゆる無機修飾酸化物であり、ガラスを形成するものではないが、ガラスを形成する原子間の隙間に入り、ガラスの物性を変える効果を有するものである。
【0036】
(3)P酸化物及びB酸化物より融点の高い酸化物としては、Al及びSiOが好ましく例示される。P酸化物及びB酸化物より融点の高い酸化物の含有量としては、(1)P酸化物及びB酸化物の合計1モルに対して、(3)P酸化物及びB酸化物より融点の高い酸化物の合計含有量が、0.0015〜0.15モルとなる範囲が好ましい。(3)の含有量が、(1)の1モルに対して0.0015モル未満となると、耐水性向上の効果が充分に得られない場合がある。一方、0.15モルを越えると、熱膨張率が低下し、8〜23×10−6/℃の範囲としにくくなる場合がある。
【0037】
前記無機ガラス系絶縁材料を、耐熱性繊維間の隙間に充填する方法は特に限定されないが、請求項2及び請求項5の方法、絶縁材料の粒子の分散液を含浸させた後、絶縁材料の軟化温度以上に加熱して粒子を溶融させ、その後固化する方法によれば、容易に隙間を充填した連続した絶縁材料の層が得られるので好ましい。
【0038】
前記無機ガラス系絶縁材料の粒子は、原料を溶融し固化して得られたガラスを粉砕して得られる。粉砕後、篩にかけて所定の粒径の粒子を得る。粒子の粒径は、分散液の含浸の際に、耐熱性繊維間の隙間に粒子が充填されるように、隙間よりも小さくする必要がある。この粒子を分散媒に分散して分散液が得られる。分散液中の粒子割合が高すぎると、分散液の粘度が上昇し隙間への含浸が困難になり、一方低すぎると隙間に入る粒子の量が減り、隙間へ絶縁材料を充分に充填することができなくなるので、含浸が容易であり、かつ隙間へ絶縁材料を充分に充填できるような範囲の、粒子割合が選択される。
【0039】
分散媒としては、150℃以上の高沸点を有するものが好ましく、ポリエチレングリコールやα−テルピネオールが例示される。さらに、粘度を下げるため、好ましくは1−メチル−2−ピロリドン等が該溶剤に添加される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の耐熱被覆電線の部分を表わす概念断面図である。
【図2】本発明の製造方法の一工程を示す概念図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体、その周囲を絶縁被覆する糸状の耐熱性繊維、及びその耐熱性繊維間の隙間を充填する絶縁材料からなる耐熱被覆電線であって、前記耐熱性繊維が、前記導体内に部分陥没して前記導体表面に設けられていることを特徴とする耐熱被覆電線。
【請求項2】
耐熱性繊維を導体表面にスパイラル状にかつ密接して巻付け、その後、前記導体を圧延又はプレスして、前記耐熱性繊維を前記導体内に部分陥没させ、その後、耐熱性繊維よりも低い軟化温度を有する絶縁材料の粒子の分散液を前記耐熱性繊維間の隙間に含浸させ、さらにその後、前記絶縁材料の軟化温度以上で耐熱性繊維の軟化温度未満の温度に加熱する方法により製造されることを特徴とする請求項1に記載の耐熱被覆電線。
【請求項3】
耐熱性繊維が、ガラス繊維又はセラミック繊維であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の耐熱被覆電線。
【請求項4】
絶縁材料が、ガラス転移点における熱膨張率が8〜23×10−6/℃の無機ガラス系絶縁材料であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の耐熱被覆電線。
【請求項5】
導体、その周囲を絶縁被覆する糸状の耐熱性繊維、及びその耐熱性繊維間の隙間を充填する絶縁材料からなる耐熱被覆電線の製造方法であって、前記絶縁材料が、耐熱性繊維よりも低い軟化温度を有し、前記耐熱性繊維を前記導体表面にスパイラル状にかつ密接して巻付けた後、前記導体を圧延又はプレスして、前記耐熱性繊維を前記導体内に部分陥没させ、その後前記絶縁材料の粒子の分散液を前記耐熱性繊維間の隙間に含浸させ、さらにその後、前記絶縁材料の軟化温度以上で耐熱性繊維の軟化温度未満の温度に加熱する工程を有することを特徴とする耐熱被覆電線の製造方法。

【図1】
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【図2】
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