説明

耐環境コーティングを製造するための溶剤系スラリー組成物及び該組成物からなる耐環境コーティング

【課題】ガスタービンエンジンに存在する高温水蒸気環境での使用に適したセラミック部品用の耐環境コーティングを提供する。
【解決手段】耐環境コーティング12を製造するための有機溶剤系スラリー組成物は、約6.8wt%〜約96.1wt%の溶剤、約3.9wt%〜約93.2wt%の主要材料、及びスラリー焼結助剤からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で説明する実施形態は、概して、耐環境コーティングを製造するための溶剤系スラリー組成物及び該組成物からなる耐環境コーティングに関する。本出願は、その開示全体が参照によって本明細書に組み込まれている2009年7月31日出願の米国仮出願第61/230294号の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンエンジンの効率性を高めるために、高い運転温度が絶えず求められている。しかしながら、運転温度が上昇するにつれて、エンジンの部品の高温耐久性もそれに対応して向上させなければならない。高温性能の飛躍的な進歩は、鉄、ニッケル及びコバルト基超合金の調合によって達成された。超合金はガスタービンエンジン全体で使用される部品で広く用いられているが、特に高温部分において、代わりの軽量部品材料が提案されている。
【0003】
セラミックマトリックス複合材料(CMC)は、セラミックマトリックス相によって取り囲まれる補強材からなる材料の種類である。そのような材料は、特定のモノリシックセラミックス(即ち、補強材を伴わないセラミック材料)と共に、現在高温用途で使用されている。これらのセラミック材料は超合金と比較して軽量であるが、それでもそれらから製造される部品に強度と耐久性を提供することができる。従って、そのような材料は、例えば翼形(例えば、タービン及びベーン)、燃焼器、シュラウド及びその他の、これらの材料によってもたらされる軽量化及び高温性能の恩恵を受ける部品など、ガスタービンエンジンの高温部分に使用される多くのガスタービン部品用として現在考慮されている。
【0004】
CMC及びモノリシックセラミック部品に耐環境コーティング(EBC)を被覆して、高温エンジン部分の悪環境から該部品を保護することができる。EBCは、シリコン含有CMC及びモノリシックセラミックスを急速に酸化させる可能性がある高温燃焼環境の腐食性ガスに対して密度の高い気密シールを提供することができる。更に、酸化ケイ素は高温水蒸気の中で安定するのではなく、むしろ揮発性(ガス状)水酸化ケイ素種に変換することができる。従って、EBCは、そのような酸化及び揮発プロセスによるセラミック部品の寸法変化を防止するのを助けることができる。残念なことに、EBCを塗布するのに現在使用されているプラズマ溶射及び蒸着(即ち、化学蒸着法(CVD)及び電子ビーム物理蒸着法(EBPVD))等の標準の工業被覆プロセスに関連して幾つかの望ましくない問題が存在し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、ガスタービンエンジンに存在する高温水蒸気環境での使用に適したセラミック部品用の耐環境コーティングの必要性が残されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書の実施形態は、概して、耐環境コーティングを製造するための有機溶剤系スラリー組成物であって、約6.8wt%〜約96.1wt%の溶剤、約3.9wt%〜約93.2wt%の主要材料、及び約0.01wt%〜約20wt%のスラリー焼結助剤からなるスラリーに関する。
【0007】
本明細書の実施形態はまた、概して、耐環境コーティングを製造するための有機溶剤系スラリー組成物であって、約6.8wt%〜約96.1wt%の溶剤、約3.9wt%〜約93.2wt%の主要材料、約0.01wt%〜約59.3wt%のLnb希土類金属スラリー焼結助剤、及び約0.01wt%〜約20.6wt%のSiOスラリー焼結助剤からなるスラリーに関する。
【0008】
本明細書の実施形態はまた、概して、約6.8wt%〜約96.1wt%の有機溶剤、約3.9wt%〜約93.2wt%の主要遷移材料、及び約0.01wt%〜約20wt%のスラリー焼結助剤からなる遷移層スラリーから製造される少なくとも1つの遷移層と、選択的に、約6.8wt%〜約96.1wt%の有機溶剤及び約3.9wt%〜約93.2wt%の主要外部材料からなる外層スラリーから製造される外層と、約6.8wt%〜約96.1wt%の有機溶剤及び約3.9wt%〜約93.2wt%の主要柔軟材料からなる柔軟層スラリーから製造される柔軟層のいずれか1つ以上とからなる、耐環境コーティングに関する。
【0009】
本明細書の実施形態はまた、概して、約6.8wt%〜約96.1wt%の有機溶剤、約3.9wt%〜約93.2wt%の主要遷移材料、約0.01wt%〜約59.3wt%のLnb希土類金属スラリー焼結助剤、及び約0.01wt%〜約20.6wt%のSiOスラリー焼結助剤からなる遷移層スラリーから製造される少なくとも1つの遷移層と、選択的に、約6.8wt%〜約96.1wt%の有機溶剤及び約3.9wt%〜約93.2wt%の主要外部材料からなる外層スラリーから製造される外層と、約6.8wt%〜約96.1wt%の有機溶剤及び約3.9wt%〜約93.2wt%の主要柔軟材料からなる柔軟層スラリーから製造される柔軟層のいずれか1つ以上とからなる、耐環境コーティングに関する。
【0010】
これら及びその他の特徴、態様及び利点は、当業者であれば以下の開示から明らかになるであろう。
【0011】
本明細書は、本発明を詳細に指摘し、且つ明確に主張する特許請求の範囲で結ばれているが、本明細書に記載の実施形態は、同様の参照番号が同様の要素を特定する添付図面と関連した以下の説明から、より良く理解されるであろうと考えられている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本明細書の説明に従った耐環境コーティングを有する部品の一実施形態の概略横断面図である。
【図2】本明細書の実施例1に従ったSiC−SiC CMC上のEBCコーティングのSEM(走査型電子顕微鏡)断面である。
【図3】本明細書の実施例2に従ったSiC−SiC CMC上のEBCコーティングのSEM断面である。
【図4】本明細書の実施例3に従ったSiC−SiC CMC上のEBCコーティングのSEM断面である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書で説明する実施形態は、概して、耐環境コーティングを製造するための溶剤系スラリー組成物及びそれからなる耐環境コーティングに関する。
【0014】
より詳細には、本明細書で説明するEBCは焼結温度を低下させることができる焼結助剤を有する溶剤系スラリーを含むことによって、本明細書で以下に説明するように、高い焼結温度にさらされることによって部品に損傷を与えることなく下層の部品を高温燃焼中に発生するガスによる腐食から保護するための気密シールとして作用することができる高密度のEBC層の形成を促進することができる。
【0015】
本明細書で説明するEBCは、CMC又はモノリシックセラミックスとの併用に適している。本明細書で用いられている「CMC」は、シリコン含有マトリックス/補強材を意味する。本明細書で利用できるCMCの一部の例としては、これに限定すべきではないが、炭化ケイ素、窒化ケイ素、及びそれらの混合物からなるマトリックス/補強繊維を有する材料を挙げることができる。本明細書で用いられている「モノリシックセラミックス」は、炭化ケイ素、窒化ケイ素、及びそれらの混合物からなる材料を意味する。本明細書において、CMC及びモノリシックセラミックスは「セラミックス」と総称される。
【0016】
本明細書で使用する用語「バリアコーティング」とは、耐環境コーティング(EBC)を指すことができる。本明細書のバリアコーティングは、ガスタービンエンジンに存在するような高温環境(例えば、約2100°F(1149℃)の運転温度)で見られる「セラミック部品」又は単に「部品」10での使用に適している。そのようなセラミック部品の例としては、例えば、燃焼器部品、タービンブレード、シュラウド、ノズル、ヒートシールド、及びベーンを挙げることができる。
【0017】
より詳細には、EBC12は、図1に概略的に示し、本明細書で以下に記載するように、ボンドコート層14、任意のシリカ層15、少なくとも1つの遷移層16、任意の柔軟層18、任意の中間層22、及び任意の外層20の様々な組み合わせを含むコーティングシステムからなっている。
【0018】
ボンドコート層14はシリコン金属、ケイ化物、又はそれらの組み合わせからなっており、一般的に約0.1ミル〜約6ミルの厚さを有する。本明細書で以下に説明するような塗布方法が原因で、シリコンボンドコート層がない一部の局所領域が存在するが、これは許容可能である。例えば、ボンドコート層は、一実施形態では部品の表面の約100%を、別の実施形態では部品の表面積の約90%以上を覆う。
【0019】
本明細書で用いられている「ケイ化物」としては、希土類(Ln)ケイ化物、ケイ化クロム(例えば、CrSi)、ケイ化ニオブ(例えば、NbSi、NbSi)、ケイ化モリブデン(例えば、MoSi、MoSi)、ケイ化タンタル(例えば、TaSi、TaSi)、ケイ化チタン(例えば、TiSi、TiSi)、ケイ化タングステン(例えば、WSi、WSi)、ケイ化ジルコニウム(例えば、ZrSi)、及びケイ化ハフニウム(例えば、HfSi)が挙げられる。
【0020】
本明細書で用いられている「(Ln)」で表される「希土類」は、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)、及びそれらの混合物の希土類元素を意味する。
【0021】
シリカ層15は非晶質又は結晶質であってよく、約0.0ミル〜約0.2ミルの所期厚さを有する。しかしながら、シリカ層15の厚さは時間と共に増加し得る。具体的には、ボンドコート層14におけるシリコンはEBCの耐用年数の間にゆっくり酸化してシリカ層15の厚さを徐々に増加させることができる。このボンドコート層14の酸化によって下層のセラミック部品を酸化から保護することができるが、これはボンドコートがセラミック部品よりも酸化するからである。シリカ層15は、一部の実施形態では、本明細書で以下に定義されるように、シリカ層への焼結助剤の拡散により、ドープ組成物によってドープすることもできる。
【0022】
遷移層16は、以下に定義されるように、希土類二ケイ酸塩、ドープ希土類二ケイ酸塩、又は二次材料を含有するドープ希土類二ケイ酸塩からなっている。より詳細には、遷移層16は、遷移層の約85〜約100容量%の主要遷移材料及び遷移層の約15容量%以下の二次材料を、一実施形態では、遷移層の約85〜約99容量%の主要遷移材料及び遷移層の約1〜約15容量%の二次材料を含んでいる。別の実施形態では、遷移層16は100%の主要遷移材料からなっており、後述するように、主要遷移材料をドープすることができる。
【0023】
本明細書で用いられている「主要遷移材料」は、希土類二ケイ酸塩(LnSi)又はドープ希土類二ケイ酸塩を意味する。本明細書で用いられている「ドープ希土類二ケイ酸塩」は、本明細書で以下に定義されるように、鉄(Fe)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ガリウム(Ga)、ニッケル(Ni)、ホウ素(B)、アルカリ、アルカリ土類、及びLnb希土類からなる群から選択される「ドープ組成物」によってドープされたLnSiを意味する。本明細書全体で用いられている「二次材料」は、(予め定義したような)ドープ組成物からなる材料を意味しており、具体的には、Fe、鉄ケイ酸塩、希土類鉄酸化物、Al、ムライト、希土類アルミン酸塩、希土類アルミノケイ酸塩、TiO、希土類チタン酸塩、Ga、希土類ガリウム酸塩、NiO、ニッケルケイ酸塩、希土類ニッケル酸化物、Lnb金属、Lnb、LnbSi、LnbSiO、ホウケイ酸ガラス、アルカリ土類ケイ酸塩、アルカリ土類希土類酸化物、アルカリ土類希土類ケイ酸塩、及びそれらの混合物からなる群から選択することができる。主要材料に含まれる任意のドープ組成物は、任意の二次材料に含有されるドープ組成物と一致しなければならない(例えば、Fe二次材料とFeドープLnSi;TiO二次材料とTiドープLnSi;又は希土類ニッケル酸化物二次材料とNiドープLnSi)。
【0024】
各々の遷移層16は約0.1ミル〜約40ミルの厚さを有し、以下に記載するように下位層に対して製造及び塗布される。一実施形態では、2つ以上の遷移層が存在する。そのような場合、各々の遷移層は主要遷移材料及び二次材料の同じ又は異なる組み合わせからなっている。遷移層16は、その0〜約15容量%、別の実施形態では、その約0.01〜約15容量%の多孔度を有する。
【0025】
同様に、外層20は、希土類一ケイ酸塩、ドープ希土類一ケイ酸塩、又は二次材料を含有するドープ希土類一ケイ酸塩からなっている。より詳細には、外層20は、外層の約85〜約100容量%の主要外部材料及び外層の約15容量%以下の既定の二次材料を、一実施形態では、外層の約85〜約99容量%の主要外部材料及び外層の約1〜約15容量%の二次材料を含むことができる。別の実施形態では、外層20は100%の主要外部材料からなっており、主要外部材料を後述するようにドープすることができる。
【0026】
本明細書で用いられている「主要外部材料」は、希土類一ケイ酸塩、又はドープ希土類一ケイ酸塩を意味する。本明細書で用いられている「ドープ希土類一ケイ酸塩」は、予め定義したように、ドープ組成物によってドープされたLnSiOを意味する。外層20は、約0.1ミル〜約3ミルの厚さを有し、後述のように下位層に対して製造及び塗布される。外層20は、一実施形態ではその0〜約30容量%、別の実施形態ではその約0.01〜約30容量%、別の実施形態では約0.01〜約15容量%の多孔度を有する。一部の実施形態では、外層20は、内部に、熱膨張異方性によって運転中に形成し得るクラックを最高約10クラック/mmの密度で有する可能性がある。
【0027】
本明細書の実施形態に関して、「Lnb希土類金属」、又は単に「Lnb」は、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、及びイッテルビウムを含む、少なくとも約1450℃以下の融点を有する希土類金属のサブセットを意味する。一実施形態では、サブセットは、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、及びイッテルビウムを含む、約1350℃以下の融点を有するそれらの希土類元素のみを含むことができる。Lnb希土類金属は、約1357℃の作動限界を有するSiC−SiC CMCで利用することができる。
【0028】
本明細書全体で用いられている「アルカリ土類」は、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、及びバリウム(Ba)を意味し得る。本明細書で用いられている「アルカリ」は、リチウム(Li)、カリウム(K)、及びナトリウム(Na)を意味する。「鉄ケイ酸塩」は、FeSiO等の化合物、及び希土類鉄ケイ酸塩のガラスを含むことができる。「希土類鉄酸化物」は、ガーネット(LnFe12)、単斜晶系フェライト(LnFe)、及びペロブスカイト(LnFeO)等の化合物を含むことができる。「希土類アルミン酸塩」は、ガーネット(LnAl12)、単斜晶系アルミン酸塩(LnAl)、及びペロブスカイト(LnAlO)等の化合物を含むことができる。「希土類アルミン酸塩」は、約35〜50wt%のLn、約15〜25wt%のAl、及び約25〜50wt%のSiOからなるガラス状物質を含むことができる。「希土類チタン酸塩」は、LnTi(パイロクロア)及びLnTiO等の化合物を含むことができる。「希土類ガリウム酸塩」は、ガーネット(LnGa12)、単斜晶系ガリウム酸塩(LnGa)、ペロブスカイト(LnGaO)、及びLnGaO化合物を含むことができる。「ニッケルケイ酸塩」は、NiSiO等の化合物を含むことができる。「ホウケイ酸ガラス」は、約15重量%以下の酸化ホウ素(B)と、ナトリウム(NaO)、カリウム(KO)、リチウム(LiO)、又はそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される約10%以下のアルカリ酸化物と、約10%以下のアルミナ(Al)と、残部シリカ(SiO)とを含有する非晶質材を意味し得る。「アルカリ土類ケイ酸塩」は、MgSO、MgSiO、CaSiO、CaSiO、CaSi、CaSiO、BaSiO、BaSiO、BaSi、BaSi、SrSiO、及びSrSiO等の化合物を含むことができる。「アルカリ土類希土類酸化物」は、BaLn、MgLn、SrLn、及びSrLn等の化合物を含むことができる。「アルカリ土類希土類ケイ酸塩」は、オキシアパタイト材料(即ち、AeLnSi26)を含み得る。
【0029】
存在する場合、柔軟層18は、柔軟層の約85〜約100容量%の主要柔軟材料及び柔軟層の約15容量%以下の二次柔軟材料を、一実施形態では、柔軟層の約85〜約99容量%の主要柔軟材料及び柔軟層の約1〜約15容量%の二次柔軟材料を含むことができる。別の実施形態では、柔軟層18は柔軟層の100容量%の主要柔軟材料からなっており、主要柔軟材料を希土類元素によってドープすることができる。
【0030】
本明細書で用いられている「主要柔軟材料」は、BSAS、又は希土類ドープBSASを意味するのに対して、「二次柔軟材料」は、Ln、LnSi、LnSiO、LnAl12、Al、ムライト、及びそれらの組み合わせを意味する。柔軟層18は、約0.1ミル〜約40ミルの厚さを有し、後述のように製造及び塗布される。柔軟層18は、一実施形態ではその0〜約30容量%、別の実施形態ではその約0.01〜約30容量%、別の実施形態では約0.01〜約15容量%の多孔度を有する。
【0031】
中間層22は、存在する場合、予め定義した主要外部材料の希土類一ケイ酸塩又はドープ希土類一ケイ酸塩からなっている。シリカ層と同様に、中間層22はEBCの耐用年数の間に形成することができる。より詳細には、高温水蒸気が外層20を透過し、水蒸気が遷移層の主要遷移材料と反応してSiOを揮発させる時に、中間層22を形成することができる。
【0032】
例えば、限定されるものではないが、本明細書で説明するEBCシステムは、一実施形態では、部品10、ボンドコート層14、及び遷移層16;別の実施形態では、部品10、ボンドコート層14、遷移層16、及び外層20;別の実施形態では、部品10、ボンドコート層14、遷移層16、柔軟層18、及び外層20;別の実施形態では、部品10、ボンドコート層14、遷移層16、柔軟層18、遷移層16、及び外層20;別の実施形態では、部品10、ボンドコート層14、シリカ層15、及び遷移層16;別の実施形態では、部品10、ボンドコート層14、シリカ層15、遷移層16、及び外層20;別の実施形態では、部品10、ボンドコート層14、シリカ層15、遷移層16、柔軟層18、及び外層20;別の実施形態では、部品10、ボンドコート層14、シリカ層15、遷移層16、柔軟層18、遷移層16、及び外層20;別の実施形態では、部品10、ボンドコート層14、遷移層16、中間層22、及び外層20;別の実施形態では、部品10、ボンドコート層14、シリカ層15、遷移層16、中間層22、及び外層20;別の実施形態では、部品10、ボンドコート層14、シリカ層15、遷移層16、中間層22(運転中に形成することができる)、及び外層20;別の実施形態では、部品10、ボンドコート層14、シリカ層15、遷移層16、柔軟層18、遷移層16、中間層22(運転中に形成することができる)、及び外層20を含むことができる。そのような実施形態は、約1704℃(3100°F)以下の温度を有する環境での使用に適している。
【0033】
或いは、EBCシステムは、部品10、ボンドコート層14、遷移層16、及び柔軟層18;別の実施形態では、部品10、ボンドコート層14、シリカ層15、遷移層16、及び柔軟層18からなっている。そのような実施形態は、約1538℃(2800°F)以下の温度を有する環境での使用に適している。
【0034】
当業者は、先に記載した実施形態の他の実施形態も許容可能であること、また、最初に全ての層が必要なわけではなく、むしろエンジン運転中に形成してもよいことを理解するであろう。
【0035】
EBCを、以下の説明に従って製造及び塗布することができる。
【0036】
ボンドコート層14は、プラズマ溶射法、化学蒸着法、電子ビーム物理蒸着法、溶融シリコン浸漬、スパッタリング法、及び当業者には公知のその他の従来の塗布方法によって塗布される。
【0037】
前述したように、シリカ層15はEBCの耐用年数の間に形成することができる。具体的には、周囲大気中の酸素がEBCに存在する外層、柔軟層、及び遷移層のいずれかを介して拡散し、ボンドコート層14のシリコンと反応してシリカ層15を形成する。或いは、シリカ層15は、化学蒸着法、プラズマ溶射法、スラリー析出法、又はその他の従来方法によって意図的に堆積させてもよい。
【0038】
シリカ層15と同様に、中間層22は、前述のように、高温水蒸気が遷移層16と反応する時、EBCの耐用年数の間に形成することもできる。
【0039】
遷移層16、柔軟層18、及び外層20の製造及び塗布プロセスは、層を高密度化するために必要な温度を低下させるための焼結助剤を含む溶剤系スラリー析出サイクルからなっている。スラリー析出サイクルは、後述のように、任意のマスキング、レベリング、焼結助剤浸透、マスク除去、及び結合剤燃焼ステップによるスラリー形成、スラリー塗布、乾燥、及び焼結を一般的に含むことができる。当業者は、様々な組成のスラリーを用いて様々な組成のEBC層を製造することができること、更に複数のスラリー析出サイクルを用いて特定の層の全体厚さを増加させることができることを理解するであろう。各々の層は先に記載した厚さを有することができ、主にスラリー固形物負荷、焼結助剤濃度、及び浸漬、溶射又は塗装パス数に応じたスラリー析出サイクルごとの平均厚さを有している。
【0040】
本明細書の実施形態で説明するスラリーは様々なスラリー組成からなっているが、一般的に、本明細書で以下に説明するように、有機溶剤、セラミック粒子、焼結助剤、及び有機加工助剤を含んでいる。特に、スラリーは、約6.8wt%〜約96.1wt%の溶剤、約0wt%〜約8.9wt%の分散剤、約0wt%〜約15.4wt%の可塑剤、約3.9wt%〜約93.2wt%の主要材料、約0wt%〜約15.4wt%の増粘剤、約0wt%〜約1wt%の界面活性剤、及び1つの焼結助剤の場合は約0wt%〜約20wt%のスラリー焼結助剤、或いは2つの焼結助剤が存在する場合は約0wt%〜約79.9wt%のスラリー焼結助剤、また別の実施形態では、1つの焼結助剤の場合は約0.01wt%〜約20wt%のスラリー焼結助剤、或いは2つの焼結助剤が存在する場合は約0.01wt%〜約79.9wt%のスラリー焼結助剤からなっている。
【0041】
より詳細には、そのような溶剤系スラリーにおいて、「有機溶剤」は、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ドデカノール、アセトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルエチルケトン(MEK)、トルエン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、メトキシベンゼン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、キシレン、ミネラルスピリット、ナフサ(例えばVM&Pナフサ)、テトラヒドロフラン、エーテル、及びそれらの組み合わせを意味する。
【0042】
「主要材料」は、製造されている層に応じてLnSi、LnSiO、又はBSASを意味し得る。
【0043】
「分散剤」は、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸−ポリエチレンオキシド共重合体、ポリメタクリル酸、ポリエチレンイミン、リン酸エステル、ニシン魚油、ポリエチレンオキシド、ポリシラザン、及びそれらの組み合わせを意味し得る。
【0044】
「可塑剤」は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、グリセロール、グリセリン、ポリエチレングリコール、フタル酸ジブチル、フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)、フタル酸ビス(n−ブチル)、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジ−n−ヘキシル、ジ(プロピレングリコール)ジベンゾアート、ジ(エチレングリコール)ジベンゾアート、トリ(エチレングリコール)ジベンゾアート、及びそれらの組み合わせを意味し得る。
【0045】
本明細書で用いられている「スラリー焼結助剤」は、スラリーへの含有に適した焼結助剤組成物を意味し得る。一部の実施形態では、鉄酸化物、酸化ガリウム、酸化アルミニウム、酸化ニッケル、酸化チタン、酸化ホウ素、及びアルカリ土類酸化物;カルボニル鉄;鉄金属、アルミニウム金属、ホウ素、ニッケル金属、水酸化鉄、水酸化ガリウム、水酸化アルミニウム、水酸化ニッケル、水酸化チタン、アルカリ土類水酸化物を含む水酸化物;炭酸鉄、炭酸ガリウム、炭酸アルミニウム、炭酸ニッケル、炭酸ホウ素、及びアルカリ土類炭酸塩を含む炭酸塩;シュウ酸鉄、シュウ酸ガリウム、シュウ酸アルミニウム、シュウ酸ニッケル、シュウ酸チタンを含むシュウ酸塩;及び溶剤可溶性鉄塩、溶剤可溶性ガリウム塩、溶剤可溶性アルミニウム塩、溶剤可溶性ニッケル塩、溶剤可溶性チタン塩、溶剤可溶性ホウ素塩、及び溶剤可溶性アルカリ土類塩を含む「溶剤可溶性塩」から選択される、約0wt%〜約20wt%、また一部の実施形態では、約0.01wt%〜約20wt%のスラリー焼結助剤が存在し得る。柔軟層スラリーの場合、「スラリー焼結助剤」としては、希土類硝酸塩、希土類酢酸塩、希土類塩化物、希土類酸化物、リン酸アンモニウム、リン酸、ポリビニルリン酸、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0046】
代替的実施形態では、スラリーは、約0wt%〜約59.3wt%、一実施形態では約0.01wt%〜約59.3wt%の本明細書で予め定義したLnb金属スラリー焼結助剤と、約0wt%〜約20.6wt%、一実施形態では約0.01wt%〜約20.6wt%のSiOスラリー焼結助剤とからなっている。この実施形態では、Lnb及びSiO含有量は、Lnb対SiOのモル比が、希土類二ケイ酸塩主要遷移材料を含有するスラリーに関しては約1対1、また希土類一ケイ酸塩主要外部材料を含有するスラリーに関しては約2対1であるように維持することができる。
【0047】
本明細書で用いられている「溶剤可溶性鉄塩」としては、エトキシド、2,4−ペンタジオネート鉄、及びテトラメチルヘプタンジオネート鉄を挙げることができ;「溶剤可溶性ガリウム塩」としては、8−ヒドロキシキノリナートガリウム、2,4−ペンタンジオネートガリウム、ガリウムエトキシド、ガリウムイソプロポキシド、及び2,2,6,6−テトラメチルヘプタンジオネートガリウムを挙げることができ;「溶剤可溶性アルミニウム塩」としては、アルミニウムジ−s−ブトキシドエチルアセトアセテート、アルミニウムジイソプロポキシドエチルアセトアセテート、アルミニウムエトキシド、アルミニウムエトキシエトキシエトキシド、3,5−ヘプタンジオナートアルミニウム、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウム9−オクタデセニルアセトアセテートジイソプロポキシド、アルミニウム2,4−ペンタンジオネート、アルミニウムペンタンジオネートビス(エチルアセトアセテート)、2,2,6,6−テトラメチル3,5−ヘプタンジオナートアルミニウム、及びアルミニウムフェノキシドを挙げることができ;「溶剤可溶性ニッケル塩」としては、ニッケル2,4−ペンタジオネート、ニッケル2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネートを挙げることができ;「溶剤可溶性チタン塩」としては、チタンアリルアセテートトリイソプロポキシド、チタンビス(トリエタノールアミン)ジイソプロポキシド、チタンブトキシド、チタンジ−n−ブトキシドビス(2−エチルヘキサノエート)、チタンジイソプロポキシド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)、チタンジイソプロポキシドビス(テトラメチルヘプタンジオネート)、チタンエトキシド、チタンジイソプロポキシドビス(エチルアセトアセテート)、チタン2−エチルヘキソキシド、ヨウ化チタントリイソプロポキシド、チタンイソブトキシド、チタンイソプロポキシド、チタンメタクリレートトリイソプロポキシド、チタンメタクリルオキシエチルアセトアセテートトリイソプロポキシド、チタンメトキシド、チタンメトキシプロポキシド、チタンメチルフェノキシド、チタンn−ノニルオキシド、酸化チタンビス(ペンタンジオネート)、酸化チタンビス(テトラメチルヘプタンジオネート)、及びチタンn−プロポキシドを挙げることができ;「溶剤可溶性ホウ素塩」としては、ホウ素エトキシド、ホウ素ブトキシド、ホウ素イソプロポキシド、ホウ素メトキシド、ホウ素メトキシエトキシド、ホウ素n−プロポキシドを挙げることができ;また「溶剤可溶性アルカリ土類塩」としては、カルシウムイソプロポキシド、カルシウムメトキシエトキシド、カルシウムメトキシド、カルシウムエトキシド、ストロンチウムイソプロポキシド、ストロンチウムメトキシプロポキシド、ストロンチウム2,4−ペンタンジオネート、ストロンチウム2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート、マグネシウムエトキシド、マグネシウムメトキシド、マグネシウムメトキシエトキシド、マグネシウム2,4−ペンタンジオネート、マグネシウムn−プロポキシド、バリウムイソプロポキシド、バリウムメトキシプロポキシド、バリウム2,4−ペンタンジオネート、バリウム2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネートを挙げることができる。
【0048】
「増粘剤」は、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ポリ(イソブチルメタクリレート)、ポリ[(n−ブチルメタクリレート−コ−イソブチルメタクリレート)]、メチルメタクリレート共重合体、メタクリル酸エチル共重合体、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリビニルピロリドン、エチルセルロース、ニトロセルロース、及びその他の溶剤可溶性セルロース誘導体、並びにそれらの組み合わせを意味する。
【0049】
「界面活性剤」は、フルオロカーボン、ジメチルシリコン、及びエトキシ化アセチレンジオール構造からなる群から選択される組成物(例えば、Surfynol(サーフィノール)(登録商標)420及び502等のSurfynol(登録商標)シリーズ(エアプロダクツ・アンド・ケミカルズ・インコーポレイテッド)の市販界面活性剤)、及びそれらの組み合わせを意味する。
【0050】
また、本明細書で用いられている「有機加工助剤」は、スラリーに含まれる任意の分散剤、可塑剤、増粘剤、及び界面活性剤を意味する。これらの有機加工助剤は、主に加工中に蒸発して焼結後のコーティングに存在しなくなる炭素及びその他の元素からなっている。
【0051】
スラリーは、前述のスラリー成分のいずれか又は全てを容器内の混合体と混ぜ合わせることによって形成することができる。混合物は、当業者には公知の従来技術、例えば、約1インチ(約25.4mm)直径のアルミナ又はジルコニア混合体による振とう、約0.25インチ〜約1インチ(約0.64cm〜約2.54cm)直径のアルミナ又はジルコニア混合体を用いたボールミル粉砕、約1mm〜約5mm直径のジルコニア系混合体を用いたアトライターミル粉砕、約1mm〜約5mm直径のジルコニア系混合体を用いた遊星ボールミル粉砕、又は超音波エネルギーの同時適用による機械的混合又は攪拌を用いて混合することができる。混合体又は超音波エネルギーは、スラリー内のどんな凝集したセラミック粒子をも分解することができる。存在する全ての混合体は、その後、例えば機械的引っ張りによって除去される。
【0052】
予め添加されていない場合、増粘剤は必要に応じてスラリーに添加され、得られた混合物は、増粘剤が一般的に約5〜約60分後に完全に溶解するまで、機械的攪拌、圧延、混合、振とうなどの方法、及びその他の同様の方法によって攪拌される。
【0053】
同様に、予め添加されていない場合、焼結助剤の添加を続けて行ってもよく、それに加えて約5〜約60分間かかるであろうが焼結助剤が溶解するまで前述の方法を用いて混合が行われる。
【0054】
全てのスラリー成分が混合された時点で、スラリーを、例えばスラリーの初期混合後又はコーティング層の堆積のためのスラリー使用後に、存在する可能性のあるあらゆる不純物を除去するために様々なメッシュサイズのスクリーンで濾過することができる。325メッシュスクリーンを、例えば、約44ミクロン以上の平均サイズを有する不純物を除去するために使用することができる。
【0055】
混合及び任意の濾過後、スラリーは、スラリー内の気泡の捕捉を避けるためにゆっくりした圧延、ゆっくりした機械的混合、又はその他の同様の方法によって無期限に攪拌することができる。一実施形態では、スラリーは加工中に蒸発した量に相当する追加の溶剤を添加することによって再生される。或いは、混合した時点で、適用の必要があるまでスラリーを取っておいてもよい。当業者には理解されるように、先の実施形態は本明細書で説明するスラリー組成物を製造する1つの方法を記載しており、下記の実施例で記載したようにその他の方法も許容できる。
【0056】
選択的に、スラリーを塗布する前にセラミック部品にマスキングを適用して、部品の特定領域の被覆を防ぐことができる。マスキングは、テープ、工具、及び塗装接着剤を含むがこれに限定されるものではない当業者に公知の従来技術を用いて行われる。
【0057】
セラミック部品の所望のマスキングの全てが完了した時点で、スラリーを部品に塗布して被覆部品を製造することができる。スラリーは、スラリー浴への部品の浸漬、或いは部品へのスラリーの塗装、圧延、スタンピング、溶射、又は注入を含むがこれに限定されるものではない、当業者に公知の任意の従来のスラリー析出法を用いて部品(又は先に塗布した層の上部)に塗布することができる。スラリーの塗布を、手動で行っても自動化してもよい。
【0058】
スラリーが部品に塗布された時点で、スラリーがまだ濡れている間、スラリーは余分なスラリー材料を除去するために水平にされる。水平化は、余分なスラリー材料を除去するために、例えば、部品のスピニング、回転、つり下げ、場合によって応用振動を用いた滴下だがこれに限らない従来技術を用いて、又はドクターブレードを用いて行われる。スラリー塗布と同様に、水平化を手動で行っても自動化してもよい。
【0059】
次に、被覆部品を乾燥させる。乾燥は、二次容器内に存在する更なる有機溶剤を有する密閉領域内で行われる。これによって、雰囲気を有機溶剤によって飽和させることができるので、乾燥プロセスを遅らせるのを助けることができる。このプロセスは有機溶剤を利用するので、あまり湿気に弱くはならない。乾燥速度を制御するために温度変化を使用することができるが、当業者には理解されるように、温度は有機溶剤の印加点未満で維持することができる。被覆部品を真空室に配置して、真空を抜くことによって、乾燥を促進することもできる。
【0060】
乾燥後、存在する全てのマスキングは、テープ及び接着剤の剥離、テープ及び接着剤の熱分解、又は汎用工具の取り外しによって除去される。マスキング除去後に残るでこぼこの縁は、鋭利な又は研磨工具を用いて削り又は切り取られる。
【0061】
次に、有機加工助剤の燃焼は、残留溶剤が蒸発して、有機加工助剤を熱分解することができるように、高温環境に乾燥した部品を配置することによって行われる。一実施形態では、有機加工助剤の燃焼は、乾燥した部品を約1℃/分〜約15℃/分の速度で約400℃〜約1000℃の温度に加熱し、部品をこの温度で約0〜約10時間保持することによって行われる。別の実施形態では、被覆部品が約2℃/分〜約6℃/分の速度で約600℃〜約800℃の温度に加熱され、この温度で部品を約0〜約10時間保持する。別の実施形態では、保持時間は、保持せずに目標温度までゆっくり上昇させた後に、異なる速度で別の温度に上昇又は低下させることによって省くことができる。別の実施形態では、結合剤の燃焼が、被覆部品を約400℃〜約1400℃の温度に加熱された炉に配置することによって急速に起こり得る。
【0062】
結合剤の燃焼及び焼結の熱処理は、周囲空気雰囲気、又は不活性ガスが水素、希ガス(ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン等)、又はそれらの混合物から選択される不活性ガス雰囲気において行われる。一実施形態では、不活性ガス雰囲気は、希土類金属が溶解する前に酸化物に変換しないようにLnb及びSiO焼結助剤と共にしようすることができる。Lnb金属を金属状態で維持することによって、液相焼結とSiOによる後続反応を促進することができる。
【0063】
その後、乾燥した部品を焼結させて、耐環境コーティングを有する部品を製造する。焼結は、コーティングに対して高密度化と強度の付与とを同時に行う働きをすることができる。更に、EBCの遷移及び柔軟層の場合、焼結はエンジン環境に存在する高温水蒸気に対して気密シールを付与することができる。外層の場合、焼結によって、エンジン環境への粒子汚染(即ち、ゴミや砂)の結果として発生する可能性のあるカルシウム−ケイ酸アルミン酸マグネシウム(CMAS)等の溶融ケイ酸塩の浸透に対する高密度バリアを提供することができる。焼結は、従来の炉を用いて、又は、例えばマイクロ波焼結、レーザ焼結、赤外線焼結等の方法を用いて行うことができる。
【0064】
焼結は、乾燥した部品を約1℃/分〜約15℃/分の速度で約1100℃〜約1700℃の温度に加熱し、部品をその温度で約0〜約24時間保持することによって行うことができる。別の実施形態では、焼結は、被覆部品を約5℃/分〜約15℃/分の速度で約1300℃〜約1375℃の温度に加熱し、部品をその温度で約0〜約24時間保持することによって行うことができる。別の実施形態では、焼結は、被覆部品を約1000℃〜約1400℃の温度に加熱された炉に配置することによって急速に起こり得る。
【0065】
代替的実施形態では、マスキングの除去、有機加工助剤の燃焼、及び焼結が行われる前に、EBCの全ての層を順に重ねて塗布することができる。当業者には理解されるように、各々の層の塗布後、次の層の塗布前に層を乾燥、又は部分的に乾燥しなければならない。
【0066】
別の実施形態では、所望の結果を得るためにスラリーの遷移又は外層に対して焼結助剤を直接添加する必要はない。焼結助剤はEBCスラリーの1つの層に添加することができ、焼結中、焼結助剤はEBCを通って残りの層に拡散することができる。別の実施形態では、焼結助剤のない主要材料スラリーは、層を塗布し、それを乾燥させてから、後述するように熱処理前にまた焼結助剤からなるゾル−ゲル溶液を浸透させることによって高密度化することができる。
【0067】
浸透は、EBC材料の厚い層の高密度化も同時に可能にする。更に、浸透は、コーティングが望み通りに高密度でない場合、焼結後により多くの焼結助剤を添加するための方法である。浸透に使用されるゾル−ゲル溶液は、予め定義したような有機溶剤と溶剤可溶性塩焼結助剤の溶液、又は水と水溶性塩焼結助剤の水溶液であってよい。
【0068】
本明細書で用いられている「水溶性塩焼結助剤」は、硝酸鉄及び酢酸鉄等の「水溶性鉄塩」;硝酸ガリウム及び酢酸ガリウム等の「水溶性ガリウム塩」;硝酸アルミニウム及び酢酸アルミニウム等の「水溶性アルミニウム塩」;硝酸ニッケル及び酢酸ニッケル等の「水溶性ニッケル塩」;塩化チタン等の「水溶性チタン塩」;ホウ酸及びホウ酸アンモニウム等の「水溶性ホウ素塩」;及びMg(NO、Ca(NO、Sr(NO、Ba(NO、MgC、CaC、SrC、及びBaC等を含む「水溶性アルカリ土類塩」を意味し得る。
【0069】
本明細書で用いられている「焼結助剤」は、予め定義したように、「スラリー焼結助剤」、「溶剤可溶性焼結助剤」、又は「水溶性塩焼結助剤」のいずれかを意味し得る。理論によって制限するつもりはないが、本明細書のEBC実施形態に焼結助剤を含有させることによって主要材料の拡散速度を増加させることができ、表面積の縮小(即ち、高表面積粒子が固化して高密度のコーティングを形成する)は焼結助剤がない場合よりも低温で生じ得るようになる。前述したように、低温(即ち、約1357℃以下)での焼結は、エンジン環境からの熱蒸気の透過に左右されない非常に高密度の(即ち、遷移層では約85%以上、柔軟層では約70%以上、外層では約70%以上の)コーティングをもたらすだけでなく、高温への長時間の暴露による下層の部品の機械的特性の劣化防止にも役立つ。
【0070】
焼結助剤は、EBCに含まれる焼結助剤の量及びコーティングが焼結温度にさらされる時間に応じて様々な方法で作用することができる。例えば、一実施形態では、焼結助剤は、主要材料(即ち、主要遷移、外部又は柔軟材料)に完全に溶解して、材料を「ドープ」することができる。別の実施形態では、主要材料に溶解する焼結助剤の量が限度を超える場合、焼結助剤の残りの不溶性部分が主要材料と反応して二次材料(即ち、二次遷移、外部、又は柔軟材料)を形成することができる。別の実施形態では、主要材料及び二次材料は上記したように残留焼結助剤と共に存在し得る。
【0071】
これらの後者の2つの実施形態では、二次材料が高温水蒸気において高揮発性である、例えばこれに限らないが、アルカリケイ酸塩、アルカリ土類ケイ酸塩、ムライト、鉄ケイ酸塩、ホウケイ酸ガラス、ニッケルケイ酸塩、並びに鉄、アルミニウム、チタン、ガリウム、ニッケル、ホウ素、アルカリ、及びアルカリ土類化合物の残留焼結助剤である場合、EBCの中間層又は柔軟層(存在する場合)のどちらかにおいて二次材料の総容積が、多孔率を(更に存在する場合は残留焼結助剤を)加えて約15容量%以下にとどまる限り、気密シールを維持することができる。或いは、これらの後者の2つの実施形態では、二次材料が高温水蒸気において揮発に強い耐性を示す場合、例えば二次材料が、例えば希土類酸化物、希土類チタン酸塩、希土類鉄化合物、希土類ガリウム酸塩、希土類アルミン酸塩、及び希土類アルミノケイ酸塩だがこれに限らない化合物を含有する希土類からなる場合、気密シールを維持するためにはEBCの中間又は柔軟層(存在する場合)における多孔率が約15容量%以下にとどまっている必要がある。
【0072】
低級の焼結助剤では、高密度化コーティング層は検出可能な二次材料を最初は何も含んでいない可能性があることに留意する必要がある。一部の実施形態では、二次材料は決して検出可能にはならない。しかしながら、その他の実施形態では、エンジン環境において高温水蒸気に何時間も暴露した後、X線回析、電子顕微鏡法、電子分散分光法(EDS)等の技術を用いて、二次材料を検出可能にすることができる。
【0073】
本明細書で説明したEBC実施形態は、現在のEBC及びその製造方法を上回る様々な利益を提供することができる。具体的には、前述したように、本明細書のEBC実施形態に焼結助剤を含有させることによって低温(即ち、約1357℃以下)での焼結を可能にすることができる。これは、エンジン環境からの熱蒸気の透過に左右されない非常に高密度の(即ち、遷移層では約85%以上、外層及び柔軟層の各々では約70%以上の)コーティングをもたらすだけでなく、高温への長時間の暴露による下層の部品の機械的特性の劣化を防ぐのを助けることもできる。また、本明細書に記載の実施形態は、各種層への焼結助剤の取り込みによって可能となるスラリー析出プロセスの使用によって、現在のEBCよりも少ない費用で製造することができる。更に、本実施形態は、薄層(<2ミル)を塗布する場合でも、プラズマ溶射等の従来技術よりもより均一な厚さを有するEBCを提供することができる。更に、スラリー析出プロセスは、内部部品通路へのEBCの塗布のみならず、追加の研磨ステップなしで滑らかな表面仕上げを行う能力も提供することができる。
【0074】
EBCは、修復すべき小さい且つ/又は狭い欠陥(例えば、約10ミクロン〜約5mmの直径、又は約10ミクロン〜約1mmの幅)を生じる場合がある。以下の修復プロセスは本明細書で説明したEBCに適用でき、本明細書で以下に説明するように、個々のEBC層の焼結後、又は塗布されたEBC全体の焼結後に行われる。
【0075】
一実施形態では、EBCは本明細書で説明した方法を用いて塗布されているので、修復は1つ以上の個別層の欠陥を改善することを含む。この実施形態では、修復は、所定層の焼結後に欠陥を有する層を製造するのに使用されたのと同じスラリー材料からなる修復スラリーを塗布することによって行うことができる。例えば、遷移層が焼結後に欠陥を生じた場合、最初の遷移層の塗布で使用されたのと同じ遷移層スラリー材料からなる「遷移層修復スラリー」を用いて欠陥を修復することができる。一実施形態では、修復スラリーは、コーティングの修復部分の乾燥及び焼結時の縮みを減少させることができるように、元のスラリー層よりも高い固形物負荷の主要材料セラミック粒子を含んでもよい。特に、修復スラリーにおける主要材料セラミック粒子の固形物負荷は、約30〜約55容量%(それとは対照的に層を製造するのに使用された一実施形態の元のスラリーでは約10容量%以上、別の実施形態の元のスラリーでは約10〜約55容量%)であってよい。修復スラリーは前述のものを含む任意の従来方法を用いて塗布され、得られた「修復コーティング」はEBCのその後の層の塗布前に本明細書で前述したように加工される。
【0076】
代替的実施形態では、修復は、EBC全体の塗布及び焼結後に欠陥を修正することを含む。この実施形態では、修復は、欠陥を有するEBCに対して既定の遷移層スラリーに含まれるのと同じ材料(即ち、主要遷移材料、焼結助剤、及び任意で二次材料)からなる遷移層修復スラリーを用いて行われる。この特定の修復スラリーは、EBCに存在するあらゆる欠陥に浸透し、焼結後の修復EBCコーティングに対して気密シールを提供することができる。また、遷移層修復スラリーの固形物負荷は少なくとも約30〜55容量%であってもよい。
【0077】
更に、修復プロセスは任意の組成を有するプラズマ溶射EBCの表面粗度を低下させるために使用される。具体的には、プラズマ溶射EBCの表面粗度が許容できない場合、コーティングはその上に前述の遷移層スラリー又は外層スラリーのどちらかを塗布することによって滑らかにすることができる。プラズマ溶射EBCの上に塗布すると、遷移層スラリー又は外層スラリーは、プラズマ溶射コーティングのあらゆる割れ目、溝、又はでこぼこの部分を埋めて、許容程度まで表面粗度を低下させることができる。より詳細には、遷移層スラリー又は外層スラリーの厚さに応じて、プラズマ溶射EBCの表面粗度は、200マイクロインチRa以上、一実施形態では40マイクロインチRa〜200マイクロインチRa、別の実施形態では40マイクロインチRa〜150マイクロインチRaに低下させることができる。遷移層スラリー又は外層スラリーは、一実施形態では少なくとも約0.5ミル、別の実施形態では約0.5ミル〜約3ミルの厚さを有することができる。その後、塗布された遷移層スラリーを前述のように加工して、許容可能な表面粗度を有する修復EBCを製造することができる。追加のスラリー層を、必要に応じてEBCに塗布してもよい。
【0078】
そのような修復プロセスは、コーティング全体を剥がして再塗布するのとは対照的に、コーティングの塗布又は寿命の間様々な場所で局在欠陥を修復する能力を提供することができる。これは、更に、時間、労力、及び材料の節約をもたらすことができる。
【実施例1】
【0079】
従来の空気プラズマ溶射法を用いて、SiC−SiC CMCコーティングにシリコンボンドコートを塗布した。次に、主要遷移材料スラリーを、まずプラスチック容器内で、十分な0.25インチ(6.35mm)直径の球状ジルコニア媒体を容器の底に並べて、
イッテルビウム二ケイ酸塩(主要遷移材料)、鉄酸化物ナノ粒子(焼結助剤)、エタノール(溶剤)、及びポリエチレンイミン(分散剤)を混合することによって製造した。この混合物を15時間ローラーミルに配置した。ローラーミルから容器を取り除いた後、ジルコニア媒体を除去し、スラリーを325メッシュスクリーンによって濾過してあらゆる大径粒子の凝集体を除去した。
【0080】
得られた主要遷移材料スラリー(スラリーA)は、56.11%のイッテルビウム二ケイ酸塩、0.54%の鉄酸化物、0.57%のポリエチレンイミン、及び残部エタノール(全て重量パーセント)からなっていた。シリコン被覆セラミック部品をスラリーAに浸漬し、周囲条件で乾燥し、10℃/分で1000℃まで熱処理して残留有機材料を燃焼させた。次に、温度を10℃/分で1000℃〜1344℃に上昇させ、10時間保持して、鉄ドープイッテルビウム二ケイ酸塩からなる遷移層を形成した。全ての熱処理は、空気中で行った。加熱環境によって、15容量%未満の多孔率を有する遷移層が得られた。これらの浸漬、乾燥、及び熱処理プロセスを8回繰り返して、遷移層の層厚を形成した。
【0081】
次に、主要外部材料スラリーを、まずプラスチック容器内で、十分な0.25インチ(6.35mm)直径の球状ジルコニア媒体を容器の底に並べて、イッテルビウム一ケイ酸塩(主要外部材料)、鉄酸化物ナノ粒子(焼結助剤)、エタノール(溶剤)、及びボリエチレンイミン(分散剤)を混合することによって製造した。この混合物を15時間ローラーミルに配置した。ローラーミルから容器を取り除いた後、ジルコニア媒体を除去し、スラリーを325メッシュスクリーンによって濾過してあらゆる大径粒子の凝集体を除去した。
【0082】
得られた主要外部材料スラリー(スラリーB)は、61.19%のイッテルビウム一ケイ酸塩、0.29%の鉄酸化物、0.61%のポリエチレンイミン、及び残部エタノール(全て重量パーセント)からなっていた。シリコン及び遷移層被覆セラミック部品をスラリーBに浸漬し、周囲条件で乾燥し、スラリーBに再浸漬し、周囲条件で乾燥し、10℃/分で1000℃まで熱処理してあらゆる残留有機材料を燃焼させた。次に、温度を10℃/分で1000℃〜1344℃に上昇させ、10時間保持して、遷移層を高密度化した。熱処理後、層は鉄ドープイットリウム一ケイ酸塩からなっていた。全ての熱処理は空気中で行った。加熱環境によって、15容量%未満の多孔率を有する遷移層が得られた。浸漬、乾燥、及び熱処理を2回繰り返して、外層の層厚を形成した。
【0083】
図2は、空気プラズマ溶射シリコンボンドコート(100)、薄いシリカ層(3.9マイクロメートル)(102)、遷移層(104)、及び外層(106)を有する本コーティング微細構造のSEM顕微鏡写真を示す。外層及び遷移層は鉄ドープ主要材料(それぞれ、イッテルビウム一ケイ酸塩及びイッテルビウム二ケイ酸塩)のみからなっているように見え、X線回析はEBCに含まれる二次材料を何ら検出することができなかった。層のEDS分析は、鉄酸化物が主要材料に溶解していることを示した。
【実施例2】
【0084】
実施例1のEBCによって被覆されたCMC(101)を、2400°F(1316℃)の水蒸気に1000時間さらした。図3は、シリコンボンドコート(100)、約7.0マイクロメートル厚に増加したシリカ層(102)、鉄ドープイッテルビウム二ケイ酸塩遷移層(104)、及びクラックを有する高密度化イッテルビウム一ケイ酸塩外層(106)を有する、高温水蒸気暴露後の本コーティングのSEM顕微鏡写真を示す。一部のイッテルビウム二ケイ酸塩は、蒸気試験の静的雰囲気における高いガス状シリコン含有量の人為結果として一ケイ酸塩層のクラックの周囲に形成された。
【実施例3】
【0085】
原理を証明するために、スラリー析出プロセスを用いて主要遷移層をシリコン金属ウェハ上に堆積させた。主要遷移材料スラリーを、まずプラスチック容器内で、十分な0.25インチ(6.35mm)直径の球状ジルコニア媒体を容器の底に並べて、イッテルビウム二ケイ酸塩粉末(主要遷移材料)、酸化ガリウム粉末(焼結助剤)、エタノール(溶剤)、及びポリエチレンイミン(分散剤)を混合することによって製造した。この混合物を15時間ローラーミルに配置した。ローラーミルから容器を取り除いた後、ジルコニア媒体を除去し、スラリーを325メッシュスクリーンによって濾過してあらゆる大径粒子の凝集体を除去した。
【0086】
得られた主要遷移材料スラリー(スラリーC)は、56.35%のイッテルビウム二ケイ酸塩、0.64%の酸化ガリウム、0.57%のポリエチレンイミン、及び残部エタノール(全て重量パーセント)からなっていた。シリコン被覆セラミック部品をスラリーCに浸漬し、周囲条件で乾燥し、スラリーCに再浸漬し、周囲条件で乾燥し、10℃/分で1000℃まで熱処理してあらゆる残留有機材料を燃焼させた。次に、温度を10℃/分で1000℃〜1344℃に上昇させ、10時間保持して、鉄ドープイッテルビウム二ケイ酸塩からなる遷移層を形成した。全ての熱処理は空気中で行った。加熱環境によって、図4に示すように15容量%未満の多孔率を有する遷移層(108)が得られた。電子顕微鏡検査では、このコーティングにおいていかなる二次相も見られなかった。EDS分析は、ガリウムがイッテルビウム二ケイ酸塩主要材料に溶解していることを示した。
【0087】
本明細書は、本発明を開示すると共に、当業者であれば誰でも本発明を製造し使用することができるように、最良の形態を含む例を用いている。本発明の特許性を有する範囲は、特許請求項によって定義され、当業者が想到し得る他の例も包含する。かかる他の例は、特許請求項の文言と相違しない構成要素を有する場合、或いは特許請求項の文言と実質的な差異のない同等の構成要素を含む場合、特許請求の範囲に属するものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐環境コーティング(12)を製造するための有機溶剤系スラリー組成物であって、
約6.8wt%〜約96.1wt%の溶剤、
約3.9wt%〜約93.2wt%の主要材料、及び
スラリー焼結助剤からなる、スラリー。
【請求項2】
前記主要材料は、主要遷移材料、主要外部材料、又は主要柔軟材料である、請求項1に記載のスラリー。
【請求項3】
前記溶剤は、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ドデカノール、アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、トルエン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、メトキシベンゼン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、キシレン、ミネラルスピリット、ナフサ、テトラヒドロフラン、エーテル、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1又は2のいずれかに記載のスラリー。
【請求項4】
前記主要遷移材料は希土類二ケイ酸塩又はドープ希土類二ケイ酸塩であり、前記主要外部材料は希土類一ケイ酸塩又はドープ希土類一ケイ酸塩、及び前記主要柔軟材料はBSAS又は希土類ドープBSASである、請求項2に記載のスラリー。
【請求項5】
前記遷移層の前記ドープ希土類二ケイ酸塩及び前記外層の前記ドープ希土類一ケイ酸塩は、鉄、アルミニウム、チタン、ガリウム、ニッケル、ホウ素、アルカリ、及びアルカリ土類、並びにLnb希土類金属から選択されるドープ組成物からなる、請求項4に記載のスラリー。
【請求項6】
約0.01wt%〜約20wt%のスラリー焼結助剤を有する、請求項2、3、4、又は5のいずれかに記載のスラリー。
【請求項7】
前記主要遷移材料及び主要外部材料で使用される前記スラリー焼結助剤は、鉄酸化物、酸化ガリウム、酸化アルミニウム、酸化ニッケル、酸化チタン、酸化ホウ素、アルカリ土類酸化物、カルボニル鉄、鉄金属、アルミニウム金属、ホウ素、ニッケル金属、水酸化鉄、水酸化ガリウム、水酸化アルミニウム、水酸化ニッケル、水酸化チタン、アルカリ土類水酸化物、炭酸鉄、炭酸ガリウム、炭酸アルミニウム、炭酸ニッケル、炭酸ホウ素、アルカリ土類炭酸塩、シュウ酸鉄、シュウ酸ガリウム、シュウ酸アルミニウム、シュウ酸ニッケル、シュウ酸チタン、溶剤可溶性鉄塩、溶剤可溶性ガリウム塩、溶剤可溶性アルミニウム塩、溶剤可溶性ニッケル塩、溶剤可溶性チタン塩、溶剤可溶性ホウ素塩、及び溶剤可溶性アルカリ土類塩からなる群から選択され、
前記主要柔軟材料で使用される前記スラリー焼結助剤は、希土類硝酸塩、希土類酢酸塩、希土類塩化物、希土類酸化物、リン酸アンモニウム、リン酸、ポリビニルリン酸、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項6に記載のスラリー。
【請求項8】
約0.01wt%〜約59.3wt%のLnb希土類金属スラリー焼結助剤、及び
約0.01wt%〜約20.6wt%のSiOスラリー焼結助剤を有する、請求項1、2、3、4、又は5のいずれかに記載のスラリー。
【請求項9】
前記Lnb希土類金属スラリー焼結助剤は、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、及びイッテルビウムからなる群から選択される、請求項8に記載のスラリー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−68861(P2011−68861A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−171252(P2010−171252)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】