説明

耐磨耗コーティング

優れた磨耗、化学物質および衝撃耐性特性を提供する熱可塑性基材のための放射線硬化性、磨耗耐性コーティング組成物が開示される。コーティング組成物は、少なくとも1つの軟質ジアクリレート構成成分、少なくとも1つの芳香族ジアクリレート構成成分および少なくとも1つのウレタンアクリレートを含む。少なくとも1つの表面に適用され、放射線への曝露により硬化されるコーティング組成物を有する造形品も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野
本発明は、概して、放射線硬化性コーティング組成物に関する。特に本発明は、フィルム、シート、積層品、成形品および押出異形材のような熱可塑性製品のための耐磨耗性保護仕上げを形成するコーティング組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景
熱可塑性ポリマーは、それらの物理的、化学的および機械的特性のため、しばしば、例えば押出しフィルム、シート、異形材、二次成形品、複合構造物および積層品のような造形品を製造するために用いられる。このような用途に用いられる熱可塑性ポリマーに関する重要な判定基準は、製品の寿命中ずっと望ましい外観を保持する能力である。特に、熱可塑性物質が色、透明性、曇りに対する耐性を保持し、そして機械的磨耗による引掻きに耐えることは重要である。耐磨耗性を付与するための一方法は、磨耗および摩擦からの引掻きおよび曇りに耐える強靭な、硬質のそして透明なコーティングで製品を被覆することである。耐磨耗性のほかに、このようなコーティングは一般に、屋外曝露または化学物質、例えば溶剤、艶出剤および洗浄剤に対する保護を提供する。
【0003】
熱可塑性基材に適用される一般的コーティングとしては、種々の熱可塑性ポリマー、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン‐アクリル樹脂、ゴム、エラストマー等が挙げられる。これらのコーティングが有効であるためには、それらは熱可塑性製品に適用するのが容易であるべきであり、そしてその強度または強靭性といったような製品の物理的または機械的特性を低下させるべきでない。基材に適用され、硬化された場合に、基材に高耐摩耗性表面を付与するコーティング組成物が開発されてきた。例えば耐摩耗性コーティングは、アクリレートモノマーから調製され、そして放射線により硬化されるかまたは架橋され得る。これらの放射線硬化性コーティングは、優れた高度、ならびに耐磨耗性および化学物質耐性を示し得る。放射線硬化性コーティングは炉を使用せずに迅速に硬化され得るし、有害溶剤の非存在下で適用され、処理され得る。放射線硬化性コーティングは、レンズ、例えば眼鏡レンズに、プラスチックパネルおよびフィルムに、そして木材および家具表面に耐摩耗性を付与するためにも用いられてきた。
【0004】
放射線硬化性コーティングは非常に硬く且つ磨耗および引掻きに対して耐性であるが、しかし衝撃を受けた場合、それらはしばしば全製品の亀裂および脆性破損を生じ得る。この脆性および亀裂問題に対する一アプローチは、軟化コモノマー(低二次転移温度を有するモノマー)を用いて、ある程度の柔軟性をコーティングに付与することである。しかしながら柔軟性増大および脆性低減を達成するに際して、コーティングの耐摩耗性が低減され得る。したがって、優れた耐摩耗性を提供し、そしてさらに良好な透明性、耐衝撃性および強靭性を保持する熱可塑性基材のためのコーティング組成物が必要とされる。
【発明の開示】
【0005】
発明の概要
本発明は、硬化時に熱可塑性基材に耐摩耗性および耐衝撃性保護仕上げを生じさせるコーティング組成物を提供する。本発明のコーティング組成物は、ウレタンアクリレート、軟質構成成分および芳香族構成成分を含み、この場合、軟質構成成分および芳香族構成成分は一定比率で存在する。したがって一実施形態では、本発明は、熱可塑性基材のためのコーティング組成物であって、以下の:
(A)3〜約18個の炭素原子を含有する脂肪族ジオール、3〜50個の炭素原子を含有するポリアルキレンエーテルグリコールおよび約4〜約18個の炭素原子を含有する脂環式ジオールから選択される置換または非置換、線状または分枝鎖のジオールの少なくとも1つのジアクリレートまたはジメタクリレートエステルを含む約10〜約60重量%の少なくとも1つの軟質構成成分;
(B)ビスフェノールの少なくとも1つの残基を含む主鎖を有する置換または非置換、線状または分枝鎖ジオールの少なくとも1つのジアクリレートまたはジメタクリレートエステルを含む約10〜約60重量%の少なくとも1つの芳香族構成成分;ならびに
(C)少なくとも1つのウレタンアクリレート
を含む組成物であって、置換ジオールがハロ、ヒドロキシ、オキソ、C1〜C10アルキル、C2〜C10アルケニル、C6〜C10アリールおよびC1〜C10アルコキシから独立して選択される1〜8個の置換基を含有する組成物で、組成物が約1:3〜約3:1の軟質構成成分:芳香族構成成分の重量比を有する組成物を提供する。上記重量パーセンテージは、任意の添加剤を除く組成物の総重量を基礎にしている。コーティング組成物は、熱手段により、または放射線により、例えば紫外線または電子線により硬化可能である。
【0006】
上記の構成成分のほかに、本発明のコーティング組成物は、任意に、少なくとも1つの多官能性アクリレート、例えばトリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、グリセロールトリアクリレート、エトキシル化グリセロールトリアクリレート、プロポキシル化ペンタエリトリトールトリアクリレート、エトキシル化ペンタエリトリトールトリアクリレート、プロポキシル化ペンタエリトリトールトリアクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、エトキシル化ペンタエリトリトールテトラアクリレート、プロポキシル化ペンタエリトリトールテトラアクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサアクリレート、エトキシル化ジペンタエリトリトールヘキサアクリレートおよびプロポキシル化ジペンタエリトリトールヘキサアクリレートから選択される1つまたは複数の化合物を含み得る。多官能性アクリレートは、コーティングの付加的架橋を可能にし、そしてコーティング特性の適応を考慮して多様な用途の要件を満たす。
【0007】
別の実施形態では、本発明は、以下の:
(A)以下の:1,4‐シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ジポリプロピレングリコールジアクリレート、トリポリプロピレングリコールジアクリレート、1,4‐ブタンジオールジアクリレート、1,3‐プロパンジオールジアクリレート、2,2‐ジメチル‐1,3‐プロパンジオールジアクリレート、1,6‐ヘキサンジオールジアクリレートおよびペンタエリトリトールジアクリレートから選択される少なくとも1つのジアクリレートエステルを含む約20〜約50重量%の軟質構成成分;
(B)少なくとも1つのビスフェノールAエポキシジアクリレートを含む約15〜約40重量%の芳香族構成成分;
(C)以下の:トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリトリトールおよびジペンタエリトリトールから選択される少なくとも1つのポリヒドロキシ化合物の残基を含む約5〜約20重量%の少なくとも1つの脂肪族ウレタンアクリレート;ならびに
(D)以下の:トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシル化グリセロールトリアクリレート、プロポキシル化グリセロールトリアクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサアクリレート、プロポキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートおよびエトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートから選択される約5〜約25重量%の少なくとも1つの多官能性アクリレート
を含む熱可塑性基材のためのコーティング組成物であって、重量%が任意の添加剤を除く組成物の総重量を基礎にしている組成物を提供する。コーティング組成物は、添加剤、例えばUV吸収剤およびヒンダードアミン系光安定剤(本明細書中では「HALS」と省略する)を含んで、付加的耐候性およびUV安定性を付与し得る。
【0008】
本発明の新規のコーティング組成物は、広範囲の熱可塑性基材、例えばポリエステル、ポリアミド、ポリカルボネート、セルロース誘導体、ならびにポリオレフィン、ポリスルホン、ポリアセタル、ポリイミドおよびポリケトン上に有益に用いられ得る。コーティング組成物は、1つまたは複数の熱可塑性ポリマーから調製される造形品、例えばシート、フィルム、ボトル、管または異形材を被覆するために用いられ得る。造形品は、1つまたは複数の層を含有し得る。例えば本発明の一態様では、造形品は、少なくとも95モル%のテレフタル酸の残基を含む二酸残基、ならびに約10〜約40モル%の1,4‐シクロヘキサンジメタノールの残基、約1〜約25モル%のジエチレングリコールの残基、および約35〜約89モル%の残基エチレングリコールを含むジオール残基を含むポリエステルを含む。被覆製品は、増強された耐摩耗性および化学物質耐性、優れた透明性および強靭性を有する。本発明のコーティング組成物は放射線により硬化され得るため、熱可塑性製品は迅速に、そして基材の熱たわみ温度より低い温度で硬化され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の説明
【0010】
本発明は、強靭性および透明性のような他の特性を弱めることなく、増強された耐摩耗性および化学物質耐性を有する熱可塑性基材のためのコーティング組成物を提供する。これらのコーティングを硬化するために放射線を利用することにより、基材の熱たわみ温度より十分に低い温度を保持しながら、短時間で硬化を開始し、完了することが可能である。したがって一般的一実施形態では、本発明は、熱可塑性基材のためのコーティング組成物であって、以下の:
(A)3〜18個の炭素原子を含有する脂肪族ジオール、3〜50個の炭素原子を含有するポリアルキレンエーテルグリコールおよび約4〜18個の炭素原子を含有する脂環式ジオールから選択される置換または非置換、線状または分枝鎖のジオールの少なくとも1つのジアクリレートまたはジメタクリレートエステルを含む約10〜約60重量%の少なくとも1つの軟質構成成分;
(B)ビスフェノールの少なくとも1つの残基を含む主鎖を有する置換または非置換、線状または分枝鎖ジオールの少なくとも1つのジアクリレートまたはジメタクリレートエステルを含む約10〜約60重量%の少なくとも1つの芳香族構成成分;ならびに
(C)少なくとも1つのウレタンアクリレート
を含む組成物であって、置換ジオールがハロ、ヒドロキシ、オキソ、C1〜C10アルキル、C2〜C10アルケニル、C6〜C10アリールおよびC1〜C10アルコキシから独立して選択される1〜8個の置換基を含有する組成物で、組成物が約1:3〜約3:1の軟質構成成分:芳香族構成成分の重量比を有する組成物を提供する。上記重量パーセンテージは、任意の添加剤を除く組成物の総重量を基礎にしている。
【0011】
別記しない限り、本明細書および特許請求の範囲で用いられる分子量、反応条件等のような成分、特性の量を表わす数はすべて、「約」という用語によりすべての場合に修正されるものであると理解されるべきである。したがって別記しない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲に記述される数的パラメーターは、本発明により得られるよう求められる所望の特性によって変わり得る概算である。最低限に見積もっても、各数的パラメーターは、少なくとも、報告された有意の数字の数を考慮して、そして普通の丸め技法を適用することにより、解釈されるべきである。さらにこの開示および特許請求の範囲に記述される範囲は、特定的に全範囲を含み、そして端点(単数または複数)そのものは含まぬよう意図される。例えば0〜10であると記述される範囲は、0〜10の間の全数、例えば1、2、3、4等、0〜10の間の全分数、例えば1.5、2.3、4.57、6.113等,そして端点0および10を明示するよう意図される。さらにまた、化学置換基に関連する範囲、例えば「C1〜C5炭化水素」は、C1およびC5炭化水素ならびにC2、C3およびC4炭化水素を特定的に含みそして明示するよう意図される。
【0012】
本発明の広い範囲を説明する数的範囲およびパラメーターは概算であるにもかかわらず、特定実施例で説明される数値はできるだけ正確に報告される。しかしながら任意の数値は、それらのそれぞれの試験測定値中に見出される標準偏差に必然的に起因する一定の誤差を固有に含有する。
【0013】
別記しない限り、コーティング組成物の重合可能モノマーおよびオリゴマーの重量パーセンテージは、書かれた説明および特許請求の範囲に関して本明細書中で用いられる場合、コーティング組成物の総重量に基づいており、任意の添加剤の重量を除く。「添加剤」という用語は、本明細書中で用いる場合、当業者に理解されるように、その平明な意味、即ち、特定の性能特質を改質するかまたは増強するために、コーティング組成物中に導入されるが、しかし他のコーティングモノマーまたはオリゴマーとの共重合により基礎コーティング組成物中に組入れられない物質を有するよう意図される。添加剤の代表例としては、光開始剤;スリップ剤;顔料、均染剤;湿潤剤;接着促進剤;分散助剤;抗遮断剤;抗亀裂剤;結合剤;硬化剤;脱気剤;希釈剤;乾燥剤;乳化剤;充填剤;艶消し剤;流れ調整剤;光沢剤;硬化剤;滑剤;可塑剤;溶剤;安定剤;界面活性剤;粘度改質剤;UV安定剤;UV吸収剤;撥水剤等が挙げられる。
【0014】
本明細書中および添付の特許請求の範囲で用いられる場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかに別記しない限り、それらの複数の指示対象を含む。例えば言及「ポリマー」または「造形品」は、複数のポリマーまたは製品の加工処理または製造を包含するよう意図される。「1つの」成分または「1つの」ポリマーを含有するかまたは含む組成物への言及は、名を挙げたもののほかに、それぞれ他の成分または他のポリマーを含むよう意図される。
【0015】
「〜を含む」または「〜を含有する」または「〜を包含する」という用語は、少なくとも名前を挙げられた化合物、素子、粒子または方法ステップ等が組成物または製品または方法中に存在するが、しかし、他のこのような化合物、物質、粒子、方法ステップ等が名前を挙げられたものと同一機能を有する場合でさえ、特許請求の範囲中で明白に排除されない限り、他の化合物、触媒、物質、粒子、方法ステップの存在を排除しないことを意味すると理解される。
【0016】
1つまたは複数の方法ステップについての言及は組合せ列挙ステップまたは明白に同定されるステップ間の介入方法ステップの前または後の付加的方法ステップの存在を除外しない、ということも理解される。さらに加工処理ステップまたは成分の書入れは、別個の活性または成分を同定するための便利な一手段であり、列挙された書入れは、別記しない限り、任意の配列で整列され得る。
【0017】
本発明のコーティング組成物は、組成物(任意の添加剤を除く)の総重量を基礎にして、約10〜約60重量%の少なくとも1つの軟質構成成分を含む。軟質構成成分は、3〜18個の炭素原子を含有する脂肪族ジオール、3〜50個の炭素原子を含有するポリアルキレンエーテルグリコールおよび約4〜18個の炭素原子を含有する脂環式ジオールから選択される置換または非置換、線状または分枝鎖のジオールの少なくとも1つのジアクリレートまたはジメタクリレートエステルを含み得る。置換ジオールは、典型的には、ハロ、ヒドロキシ、オキソ、C1〜C10アルキル、C2〜C10アルケニル、C6〜C10アリールおよびC1〜C10アルコキシから独立して選択される1〜8個の置換基を含み得る。軟質構成成分として用いられ得るエステルの代表例としては、ジエチレングリコール;1,2‐プロパンジオール;ジプロピレングリコール;1,3‐プロパンジオール;2,2‐ジメチル‐1,3‐プロパンジオール;1,3‐ブタンジオール;デカメチレングリコール;1,4‐ブタンジオール;1,5‐ペンタンジオール;1,6‐ヘキサンジオール;ポリエチレングリコール;ポリプロピレングリコール;2,2,4‐トリメチル‐1,6‐ヘキサンジオール;チオジエタノール;1,3‐シクロヘキサンジメタノール;1,4‐シクロヘキサンジメタノール;2,2,4,4‐テトラメチル‐1,3‐シクロブタンジオール;トリエチレングリコール;トリメチロールプロパン;トリプロピレングリコール;ポリカプロラクトンジオール;約3000までの分子量を有するポリエーテルポリオール;テトラエチレングリコール;2,2‐ビス(4‐ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン;およびそのアルコキシド付加物の少なくとも1つのジアクリレートまたはジメタクリレートエステルが挙げられるが、これらに限定されない。脂環式ジオール、即ち1,3‐および1,4‐シクロヘキサンジメタノールおよび2,2,4,4‐テトラメチル‐1,3‐シクロブタンジオールのジアクリレートエステルは、純シスまたはトランス異性体として、あるいはシスまたはトランス異性体の混合物として存在し得る。例えば一実施形態では、軟質構成成分は、1,4‐シクロヘキサン‐ジメタノールジアクリレート;エチレングリコールジアクリレート;ジエチレングリコールジアクリレート;トリエチレングリコールジアクリレート;ポリエチレングリコールジアクリレート;ポリプロピレングリコールジアクリレート;ジポリプロピレングリコールジアクリレート;トリメチロールプロパンジアクリレート;エトキシル化トリメチロールプロパンジアクリレート;プロポキシル化トリメチロールプロパンジアクリレート;プロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート;エトキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート;トリポリプロピレングリコールジアクリレート;1,4‐ブタンジオールジアクリレート;1,3‐プロパンジオールジアクリレート;2,2‐ジメチル‐1,3‐プロパンジオールジアクリレート;1,6‐ヘキサンジオールジアクリレート;およびペンタエリトリトールジアクリレートから選択される少なくとも1つのジアクリレートエステルを含み得る。別の例では、軟質構成成分は、1,6‐ヘキサンジオールジアクリレート(本明細書中では「HDDA」と省略する)を含む。これらのアクリレートは当業者に既知であり、そしてそれらのいくつかは、例えばSR238、SR306およびSR9003の商品名でSartomer Companyから市販されている。
【0018】
コーティング組成物は、ビスフェノールの少なくとも1つの残基を含む主鎖を有する置換または非置換、線状または分枝鎖ジオールの少なくとも1つのジアクリレートまたはジメタクリレートエステルを含む約10〜約60重量%(任意の添加物を除いた組成物の総重量を基礎にして)の少なくとも1つの芳香族構成成分も含み得る。置換ジオールは、ハロ、ヒドロキシ、オキソ、C1〜C10アルキル、C2〜C10アルケニル、C6〜C10アリールおよびC1〜C10アルコキシから独立して選択される1〜8個の置換基を含有し得る。「ビスフェノール」という用語は、本明細書中で用いる場合、任意のメチレンジフェノール、即ちHOC64CH264OH、例えばp,p‐メチレンジフェノール、ならびに一般的に2当量のフェノールとアルデヒドまたはケトンの縮合から得られるそれらの置換生成物を意味すると理解される。「残基」という用語は、本明細書中で用いる場合、化学構成単位から生じるポリマー、オリゴマー、モノマー、エステルまたは可塑剤中に組入れられる任意の有機構造を意味する。したがって例えばビスフェノール残基は、ビスフェノールAとエピクロロヒドリンを反応させて、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(これはさらにアクリル酸と反応して、ビスフェノールAエポキシアクリレートを生成する)を生じる反応から生じるビスフェノールA残基である。ビスフェノール(4,4’‐イソプロピリデンジフェノール)のほかに、ビスフェノールの例としては、ビスフェノール(p,p‐メチレンジフェノール)、ビスフェノールF(2,2’‐、2,4’‐および4,4’‐ジヒドロキシジフェニルメタンの混合物)およびビスフェノールS(4,4’‐ジヒドロキシジフェニルスルホン)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0019】
例えば芳香族構成成分(B)は、ビスフェノールAエポキシジアクリレートならびにエトキシル化ビスフェノール、プロポキシル化ビスフェノール、エトキシル化ビスフェノールA、プロポキシル化ビスフェノールA、エトキシル化ビスフェノールF、プロポキシル化ビスフェノールF、エトキシル化ビスフェノールSおよびプロポキシル化ビスフェノールSのジアクリレートエステルから選択される少なくとも1つの化合物を含み得る。これらの物質は典型的には、ビスフェノールをエチレンまたはプロピレンオキシドの1つまたは複数の等価物と縮合させて付加物を生成し、その後、アクリル酸、メタクリル酸、それらの対応する酸塩化物または無水物でエステル化することにより調製される。これらの化合物は当業者に既知であり、そして多くは、CD540、SR602およびSR349の商品名でSartomer Companyから市販されている。
【0020】
「ビスフェノールエポキシアクリレート」という用語は、本明細書中で用いる場合、ビスフェノールのジグリシジルエーテルをアクリル酸、メタクリル酸あるいはアクリル酸またはメタクリル酸の無水物と反応させることにより典型的には調製される化合物を意味する。これらのグリシジルエーテルはオリゴマー化されて、エポキシ樹脂を生成し、さらに、ジオール、二酸、アルキレンオキシド、例えばエチレンオキシドまたはプロピレンオキシドで修飾され、次にアクリル酸またはメタクリル酸で官能化されて、一連の官能性、親水性、分子量および粘性を有するジアクリレートまたはジメタクリレートエステルを生じる。ビスフェノールエポキシアクリレートは典型的には、それらの合成から脱離される任意の遊離エポキシ基を有さないが、しかしそれらのアクリレートエステルおよび基を介して反応する。典型的には、本発明のビスフェノールエポキシアクリレートは、約400〜約1500の範囲の分子量を有するが、しかし特定のコーティング処方物によって、より高いかまたはより低い分子量が用いられ得る。これらのアクリレートは、当業者に周知であり、そしてそれらの多くが市販されている。このような化合物の商業的例としては、NOVACURE(登録商標)3701、EBECRYL(登録商標)3500、EBECRYL(登録商標)600(UCB Chemicalsから入手可能)、ならびにCN 117およびCN 115(Sartomer Companyから入手可能)が挙げられる。
【0021】
例えば芳香族構成成分は、4〜20個の炭素原子を含有する少なくとも1つのアルキレングリコールまたはポリアルキレングリコール、2〜20個の炭素原子を含有する1つまたは複数の脂肪族ジカルボン酸、あるいはその混合物で修飾されるビスフェノールAエポキシジアクリレートを含み得る。別の例では、修飾ビスフェノールエポキシジアクリレートは、4〜8個の炭素原子を含有する少なくとも1つの脂肪族ジカルボン酸およびプロピレングリコールの残基を含む。さらに別の実施形態では、本発明の芳香族構成成分は、次式:
【0022】
【化1】

【0023】
(式中、Rは次式:
【0024】
【化2】

【0025】
を有するラジカルである)
を有するビスフェノールAエポキシジアクリレートを含む。この物質は、EBECRYL(登録商標)3500の商品名でUBC Chemicalsから市販されている。
【0026】
本発明の新規のコーティング組成物は、少なくとも1つのウレタンアクリレートも含む。例えば本発明のコーティング組成物は、任意の転化剤を除いた組成物の総重量を基礎にして約1〜約25重量%の、あるいは別の例では、約5〜約20重量%のウレタンアクリレートを含み得る。ウレタンアクリレートは、ヒドロキシ末端イソシアネート伸張ポリエステルまたはポリエーテルのジアクリレートエステルである。ウレタンアクリレートおよびメタクリレートは当業者に既知であり、そして例えばヒドロキシ末端ポリウレタンをアクリル酸またはメタクリル酸と反応させることにより、あるいはイソシアネート末端プレポリマーをヒドロキシアルキルアクリレートまたはメタクリレートと反応させることにより、既知の手順に従って調製され得る。市販のウレタンアクリレートの例としてはUVITHANE 782(Morton Thiokol Chemicalから入手可能)、EBECRYL(登録商標)6600、EBECRYL(登録商標)8400およびEBECRYL(登録商標)8805(UCB Chemicalsから入手可能)が挙げられる。
【0027】
ウレタンアクリレートは、脂肪族ウレタンアクリレートである。「脂肪族ウレタンアクリレート」という用語は、本明細書中で用いる場合、脂肪族ジイソシアネートまたはポリイソシアネート、即ちイソシアネート基が脂肪族主鎖により連結されるジイソシアネートから調製されるウレタンアクリレートという、その一般的に理解される意味を有するよう意図される。例えば一実施形態では、脂肪族ウレタンアクリレートは、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリトリトールおよびジペンタエリトリトールから選択される少なくとも1つのポリヒドロキシ化合物の残基を含む。1つまたは複数の六官能性ウレタンアクリレートおよびメタクリレートも用いることが可能であるが、この場合、「六官能性」という用語は、アクリレートが6個のアクリレートエステル基を有するオリゴマーを含むということを意味すると理解される。本発明に用いられ得る市販の脂肪族ウレタンアクリレートの例としては、EBECRYL(登録商標)230、脂肪族ウレタン;EBECRYL(登録商標)244、脂肪族ウレタン&10%1,6‐ヘキサンジオールジアクリレート;EBECRYL(登録商標)265、脂肪族ウレタン&25%トリプロピレングリコールジアクリレート;EBECRYL(登録商標)270、脂肪族ウレタン;EBECRYL(登録商標)285、脂肪族ウレタン&25%取りプロピレングリコールジアクリレート;EBECRYL(登録商標)4830、脂肪族ウレタン&10%テトラエチレングリコールジアクリレート;EBECRYL(登録商標)4833、脂肪族ウレタン&10%N‐ビニル‐2‐ピロリドン;EBECRYL(登録商標)4834、脂肪族ウレタン&10%N‐ビニル‐2‐ピロリドン;EBECRYL(登録商標)4881、脂肪族ウレタン&10%テトラエチレングリコールジアクリレート;EBECRYL(登録商標)4883、脂肪族ウレタン&15%トリプロピレングリコールジアクリレート;EBECRYL(登録商標)8803-20R、脂肪族ウレタン&20%トリプロピレングリコールジアクリレート&8%2‐(2‐エトキシエトキシ)エチルアクリレート;EBECRYL(登録商標)1290およびEBECRYL(登録商標)8803が挙げられるが、これらに限定されない。これらの製品は、UCB Chemicalsから入手可能である。
【0028】
典型的には、軟質構成成分(A)および芳香族構成成分(B)は、任意の添加剤を除いた組成物の総重量を基礎にして約15〜約55重量%で、コーティング組成物中に各々存在する。別の例では、コーティング組成物は、各々約20重量%〜約50重量%の軟質構成成分(A)および芳香族構成成分(B)を含み得る。軟質構成成分対芳香族構成成分の重量比は、望ましくは、約1:3〜約3:1であり得る。別の例では、軟質構成成分:芳香族構成成分の重量比は、約1:2〜約2:1である。さらに別の例では、重量比は約1:1.5〜約1.5:1であり得る。
【0029】
硬化コーティングの架橋および硬度を増強するために、本発明のコーティング組成物はさらに、3またはそれより多いアクリレートエステル基を有する少なくとも1つの多官能性アクリレートを含み得る。多官能性アクリレートの非限定例としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシル化またはプロポキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、グリセロールトリアクリレート、エトキシル化グリセロールトリアクリレート、プロポキシル化グリセロールトリアクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、エトキシル化ペンタエリトリトールトリアクリレート、プロポキシル化ペンタエリトリトールトリアクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、エトキシル化ペンタエリトリトールテトラアクリレート、プロポキシル化ジペンタエリトリトールヘキサアクリレート、エトキシル化ジペンタエリトリトールヘキサアクリレートおよびプロポキシル化ジペンタエリトリトールヘキサアクリレートが挙げられる。例えば一実施形態では、多官能性アクリレートは、3〜20個のエトキシ基を含有する少なくとも1つのエトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートを含む。
【0030】
コーティング組成物は、ある種の特性を変更するかまたは増強する、例えば耐候性を改良することが必要とされる場合、種々の添加剤、例えば耐摩耗性を改良するための構成成分、外観を増強するための添加剤、ならびに強靭性および機械的特性を改良するための物質も含み得る。本発明のコーティング組成物中に用いられ得る添加剤の例としては、光開始剤;スリップ剤;均染剤;湿潤剤;接着促進剤;抗吸収剤;抗発泡剤、例えば発泡破壊ポリマーおよびポリシロキサンの混合物;促進剤;顔料分散助剤;抗遮断剤;抗亀裂剤;抗スリップ剤;皮張防止剤;帯電防止剤;剥離防止剤;結合剤;硬化剤;脱気剤;希釈剤;分散剤;乾燥剤;乳化剤;充填剤;艶消し剤;流れ調整剤;光沢剤;硬化剤;滑剤;表面損傷防止助剤;白色染料;可塑剤;溶剤;安定剤;界面活性剤;粘度改質剤;UV安定剤;UV吸収剤および撥水剤が挙げられるが、これらに限定されない。例えばコーティング組成物は、その中に分散される微粉SiO2、Al23、ZrO2またはTiO2をさらに含み得る。これらの物質は、それが容易に適用され、そして硬化コーティングの耐摩耗性を増強し得るよう、コーティングの粘性を改質し得る。一例として、SiO2は、50 m2/gの平均表面積および40 μmの平均粒子サイズを有する非晶質シリカ粒子を含み得る。別の例では、SiO2は、コロイドシリカであり得る。
【0031】
本発明のコーティング組成物の硬化または重合は熱により達成され得るが、放射線によりコーティング組成物を硬化するのが有益である。放射線硬化性コーティングは、放射線エネルギーにより主に硬化されるが、しかし加熱によっても硬化され得るしあるいはそれらの硬化が促進され得る、と当業者に理解される。硬化は、遊離ラジカルを生じ得る電離放射線、例えばガンマ放射線、赤外線、マイクロ波の任意の供給源により、しかしさらに典型的には、電子線または紫外線により、開始され得る。例えば一実施形態では、コーティング組成物は、典型的には200〜400 nmの波長範囲での紫外線への曝露により硬化される。重合が紫外線により開始される場合、コーティング組成物は典型的には、UV硬化性組成物のための既知の実践に従って光開始剤を含み得る。例示的光開始剤としては、有機ペルオキシド、アゾ化合物、キノン、α‐ヒドロキシケトン、ベンゾフェノン、ニトロソ化合物、アシルハロゲン化物、ヒドラゾン、メルカプト化合物、ピリリウム化合物、トリアシルイミダゾール、ビスイミダゾール、クロロアルキルトリアジン、ベンゾインエーテル、ベンジルケタール、チオキサントンおよびアセトフェノン誘導体、ならびにその混合物から選択されるものが挙げられるが、これらに限定されない。本発明のコーティング組成物中に用いられ得る光開始剤のいくつかの付加的代表例としては、以下の:2,2‐ジメトキシ‐1,2‐ジフェニル‐1‐エタノン;2‐ヒドロキシ‐2‐メチルプロピオフェノン;ベンゾインメチルエーテル;ベンゾインエチルエーテル;ベンゾインイソプロピルエーテル;ベンゾインフェニルエーテル;ベンゾインアセテート;アセトフェノン;2,2‐ジメトキシアセトフェノン;4‐(フェニルチオ)アセトフェノン;1,1‐ジクロロアセトフェノン;ベンジル;ベンジルジメチルケタール;ベンジルジエチルケタール;2‐メチルアントラキノン;2‐エチルアントラキノン;2‐tert‐ブチルアントラキノン;1‐クロロアントラキノン;2‐アミルアントラキノン;2,4,6‐トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド;ベンゾフェノン;4,4’‐ビス(N,N’‐ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、チオキサントン;1‐フェニル‐1,2‐プロパンジオン‐2‐O‐ベンゾイルオキシム;1‐アミノフェニルケトン;1‐ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン;フェニル(1‐ヒドロキシイソプロピル)ケトン;4‐イソプロピルフェニル(1‐ヒドロキシイソプロピル)ケトン;およびクロロアルキル‐5‐トリアジンから選択される1つまたは複数の化合物が挙げられる。用いられ得る市販光開始剤のさらなる例としては、1‐ヒドロシクロヘキシルフェニルケトン(IRGACURE(登録商標)184、Ciba Specialty Chemicalsから入手可能)、2‐ヒドロキシ‐2‐メチルプロピオフェノン(DAROCUR(登録商標)1173、Ciba Specialty Chemicalsから入手可能)、および2,2‐ジクロロ‐1‐(4‐フェノキシフェニル)エタノン等が挙げられる。光開始剤が用いられる場合、それは典型的には、コーティング組成物の総重量を基礎にして約0.1〜約5重量%存在する。別の例では、光開始剤は、組成物の総重量を基礎にして約0.5〜約5重量%存在する。
【0032】
本発明の別の実施形態は、熱可塑性基材のためのコーティング組成物であって、以下の:
(A)以下の:1,4‐シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリピレングリコールジアクリレート、1,4‐ブタンジオールジアクリレート、1,3‐プロパンジオールジアクリレート、2,2‐ジメチル‐1,3‐プロパンジオールジアクリレート、1,6‐ヘキサンジオールジアクリレートおよびペンタエリトリトールジアクリレートから選択される少なくとも1つのジアクリレートエステルを含む約20〜約50重量%の軟質構成成分;
(B)少なくとも1つのビスフェノールAエポキシジアクリレートを含む約15〜約40重量%の芳香族構成成分;
(C)以下の:トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリトリトールおよびジペンタエリトリトールから選択される少なくとも1つのポリヒドロキシ化合物の残基を含む約5〜約20重量%の少なくとも1つの脂肪族ウレタンアクリレート;ならびに
(D)以下の:トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシル化グリセロールトリアクリレート、プロポキシル化グリセロールトリアクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサアクリレート、プロポキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートおよびエトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートから選択される約5〜約25重量%の少なくとも1つの多官能性アクリレート
を含む熱可塑性基材のためのコーティング組成物であって、重量パーセンテージが任意の添加剤を除く組成物の総重量を基礎にしている組成物である。軟質構成成分、芳香族構成成分、ウレタンアクリレート、多官能性アクリレート、添加剤および光開始剤の種々の態様は、本明細書中に上記されたものと同様である。例えば一実施形態では、組成物は、(A)ジプロピレングリコールジアクリレートおよび1,6‐ヘキサンジオールジアクリレートを含む約20〜約40重量%の軟質構成成分;(B)4〜20個の炭素原子を含有する少なくとも1つのアルキレングリコールまたはポリアルキレングリコール、4〜20個の炭素原子を含有する1つまたは複数の脂肪族ジカルボン酸、あるいはその混合物で修飾される約15〜約40重量%のビスフェノールAエポキシアクリレート;(C)ペンタエリトリトールの残基を含む約5〜約15重量%の少なくとも1つの脂肪族ウレタンアクリレート;ならびに(D)3〜20個のエトキシ基を含有するエトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートを含む約5〜約20重量%の多官能性アクリレートを含み得る。一実施形態では、上記のように、修飾ビスフェノールAは、次式を有し得る:
【0033】
【化3】

【0034】
(式中、Rは次式を有するラジカルである):
【0035】
【化4】

【0036】
別の例では、組成物はさらに、光開始剤を含み得る。光開始剤レベルの典型的例は、組成物の総重量を基礎にして、約0.1〜約5重量%、好ましくは約0.5〜約5重量%である。コーティング組成物はさらに、その中に分散されるSiO2を含み得る。
【0037】
本発明にとって重要ではないが、しかし1つまたは複数の光安定剤、例えばUV吸収剤および可逆的ラジカル掃去剤、例えばヒンダードアミン系(「HALS」)またはヒンダードフェノール系光安定剤もコーティング組成物に付加されて、耐候性を増強し、そして黄変を抑制し得る。このようなUV吸収剤および光安定剤は当業者に既知であり、そして多くが市販されている。限定的でなく、ヒンダードアミン系光安定剤は、高分子量を有し、例としては、N置換ピペリジノール核を有する、そして一般的に約400〜約10,000、好ましくは約500〜約5,000の重量平均分子量を有する化合物が挙げられる。このようなヒンダードアミン系光安定剤としては、ブタンテトラカルボン酸およびN‐置換ピペリジノールから調製される高分子量エステルが挙げられる。光安定剤の量は、種類によって変動するが、一般的に、コーティング組成物の総重量を基礎にして約0.5〜約5重量%の範囲である。光安定剤のための重量パーセンテージ範囲のさらなる例は、約0.6〜約4重量%および約0.7〜約3重量%である。本発明に用いられ得る市販のヒンダードアミン系光安定剤の例としては、CYASORBTM UV-3529(Cytec Industriesから入手可能)、TINUVINTM 770(Ciba Specialty Chemicalsから入手可能)、CIMASSORBTM 119(Ciba Specialty Chemicalsから入手可能)、LOWILITETM 76(Great Lakes Chemical Corp.から入手可能)、MARKTM LA 52(Asahi Denka Co., Ltd.から入手可能)、MARKTM LA 62(Asahi Denka Co., Ltd.から入手可能)、GOODRITETM UV-3159(BF Goodrich Chemical Co.から入手可能)、MARKTM LA-63(Adeca Argusから入手可能)、MARKTM LA-62(Adeca Argusから入手可能)およびTINUVIN(登録商標)-622LD(Ciba-Geigy(Japan) Ltd.から入手可能)が挙げられるが、これらに限定されない。用いられ得るヒンダードアミン系光安定剤の付加的例は、Plastic Additives Handbook 5th Edition (Hanser Gardner Publications, Inc., Cincinnati, OH, USA, 2001)に列挙されている。
【0038】
典型的には、1つまたは複数のUV吸収剤は、コーティング組成物の総重量を基礎にして、約0.5〜約10重量%、好ましくは約0.7〜約9重量%、さらに好ましくは約1〜約8重量%の量で付加され得る。本発明のコーティング組成物に付加され得る代表的UV吸収剤としては、290〜400 nmの範囲で最大吸収を有し、400〜700 nm間で最小吸光度を有する1つまたは複数の化合物が挙げられるが、これらに限定されない。例えばシアノアクリレート型、ベンゾトリアゾール型、芳香族トリアジン型、ベンゾキサジノン型、ベンゾフェノン型、サリチル酸型またはヒドロキノン型のUV吸収剤が用いられ得る。代表的ベンゾトリアゾールUV吸収剤としては、2‐(3,5‐ジ‐t‐ブチル‐2‐ヒドロキシフェニル)ベンゾ‐トリアゾール、2‐[2‐ヒドロキシ3,5‐ビス(アルファ,アルファ‐ジメチルベンジル)フェニル]‐2H‐ベンゾトリアゾールおよび2‐(3,5‐ジ‐t‐アミル‐2‐ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾールが挙げられるが、これらに限定されない。ベンゾフェノンUV吸収剤としては、2‐ヒドロキシ‐4‐オクチル置きしベンゾフェノン、2,4‐ジヒドロキシベンゾフェノンおよび2‐ヒドロキシ‐4‐メトキシ‐2’‐カルボキシベンゾフェノンが挙げられるが、これらに限定されない。サリチル酸UV吸収剤の例としては、サリチル酸フェニル、サリチル酸p‐オクチルフェニル、一安息香酸レゾルシノールおよびサリチル酸4‐t‐ブチルフェニルが挙げられるが、これらに限定されない。シアノアクリレートUV吸収剤としては、エチル2‐シアノ‐3,3‐ジフェニルアクリレートおよび2‐エチルヘキシル‐2‐シアノ‐3,3‐ジフェニルアクリレートが挙げられる。市販UV吸収剤の例としては、CYASORBTM UV-1164(Cytec Industriesから入手可能)およびTINUVINTM 1577(Ciba Specialty Chemicalsから入手可能)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
本発明は、少なくとも1つのその表面に適用され、そして紫外線または電子線への曝露により硬化される本明細書に上記されたコーティング組成物を含む造形品も提供する。造形品、例えばシート、フィルム、管、ボトルまたは異形材は、押出し、カレンダー加工、熱成形、吹込み二次成形、注入成形、鋳込み、テンターまたは吹込みにより製造され得る。造形品は、1つまたは複数の層を含み得る。
【0040】
典型的には、造形品は、以下の:ポリエステル、ポリアミド、ポリカルボネート、セルロース誘導体、ポリオレフィン、ポリスルホン、ポリアセタル、ポリイミド、ポリケトン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ乳酸、そのコポリマーおよびその配合物から選択される少なくとも1つの熱可塑性ポリマーを含む。造形品のポリマーに関して本明細書中で用いられるような「熱可塑性」という用語は、ポリマーの一特性であるという当該技術分野において一般的に理解される意味を有するよう意図されるが、この場合、ポリマーは、熱に曝露されると軟化し、そして室温に冷却されるとその元の状態に戻る。一例では、造形品は、1つまたは複数のポリエステル、例えばポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ブチレンテレフタレート)、ポリ(1,3‐とりメチレンテレフタレート)、ポリ(シクロヘキシレンテレフタレート)を含み得る。上記のポリエステルのほかに、本発明の造形品としては、1つまたは複数の芳香族二酸と1つまたは複数のジオールとの縮合からのポリエステルを含み得る。「ポリエステル」という用語は、本明細書中で用いる場合、「コポリエステル」を包含するよう意図され、そして1つまたは複数の二官能性カルボン酸と1つまたは複数の二官能性ヒドロキシル化合物との重縮合により調製される合成ポリマーを意味すると理解される。典型的には、二官能性カルボン酸はジカルボン酸であり、そして二官能性ヒドロキシル化合物は二価アルコール、例えばグリコールおよびジオールである。代替的には、二官能性カルボン酸はヒドロキシカルボン酸、例えばp‐ヒドロキシ安息香酸であり得るし、そして二官能性ヒドロキシル化合物は2つのヒドロキシ置換基を有する芳香族核、例えばヒドロキノンであり得る。したがってジカルボン酸残基は、ジカルボン酸モノマーまたはその関連酸ハロゲン化物、エステル、塩、無水物またはその混合物に由来する。したがって本明細書中で用いる場合、ジカルボン酸という用語は、ジカルボン酸およびにカルボン酸の任意の誘導体、例えば高分子量ポリエステルを製造するためのジオールとの重縮合プロセスに有用なその関連酸ハロゲン化物、エステル、半エステル、塩、半塩、無水物、混合無水物またはその混合物を含むよう意図される。
【0041】
本発明のポリエステルは、ジカルボン酸残基、ジオール残基および反復単位を含む。「反復単位」とは、本明細書中で用いる場合、カルボニルオキシ基により結合されるジカルボン酸およびジオール残基を有する有機構造を意味する。本発明のポリエステルは、1つまたは複数のジオールと1つまたは複数のジカルボン酸との反応から調製され、そして反復単位の総モルが100モル%であるよう、実質的に等モル比の酸残基(100モル%)およびジオール残基(100モル%)を含有する。したがって本発明の開示中に提示されるモルパーセンテージは、酸残基の総モル、ジオール残基の総モル、または反復単位の総モルを基礎にし得る。例えば総酸残基を基礎にして30モル%のイソフタル酸を含有するポリエステルは、ポリエステルが総計100モル%酸残基の中から30モル%のイソフタル酸を含有することを意味する。したがって全100モルの酸残基の中に30モルのイソフタル酸が存在する。別の例では、総ジオール残基を基礎にして30モル%のエチレングリコールを含有するポリエステルは、ポリエステルが総計100モル%のジオール残基の中から30モル%のエチレングリコールを含有することを意味する。したがって全100モルのジオール残基の中に30モルのエチレングリコールが存在する。第三の例では、総反復単位を基礎にして30モル%のモノマー(ジカルボン酸、ジオールまたはヒドロキシカルボン酸であり得る)を含有するポリエステルは、ポリエステルが総計100モル%の反復単位の中から30モル%のモノマーを含有することを意味する。したがって全100モルの反復単位の中に30モルのモノマーが存在する。
【0042】
ポリエステルの例としては、(i)以下の:テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、1,4‐シクロヘキサンジカルボン酸およびイソフタル酸から選択される少なくとも80モル%(二酸残基の総モルを基礎にして)の1つまたは複数のジカルボン酸の残基を含む二酸残基;ならびに(ii)1,4‐シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコールおよびジエチレングリコールから選択される約3〜約100モル%(ジオール残基の総モルを基礎にして)の1つまたは複数のジオールの残基;ならびにエチレングリコール、1,2‐プロパンジオール、1,3‐プロパンジオール、1,4‐ブタンジオール、1,5‐ペンタンジオール;1,6‐ヘキサンジオール;1,8‐オクタンジオール;2,2,4‐トリメチル‐1,3‐ペンタンジオール、2,2,4,4‐テトラメチル‐1,3‐シクロブタンジオール、1,3‐シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAおよびポリアルキレングリコールから選択される0〜97モル%の1つまたは複数のジオールの残基を含むジオール残基から成るものを包含する。1,3‐および1,4‐シクロヘキサンジメタノールおよび2,2,4,4‐テトラメチル‐1,3‐シクロブタンジオールは、純シスまたはトランス異性体として、あるいはシスまたはトランス異性体の混合物として用いられ得る。ポリエステルは一般に、約0.5 dL/g〜約1.4 dL/gの範囲の固有粘度(I.V.)値を有する。I.V.範囲のさらなる例としては、約0.65 dL/g〜約1.0 dL/gおよび約0.65 dL/g〜約0.85 dL/gを包含する。固有粘度は、60重量%のフェノールおよび40重量%のテトラクロロエタンからなる溶剤50 mL当たり0.25 gのポリマーを用いて25℃で測定される。典型的には、これらのコポリエステルは、約35℃〜150℃のガラス転移温度を有する。
【0043】
一例では、造形品は、少なくとも95モル%のテレフタル酸の残基を含む二酸残基、ならびに約10〜約40モル%の1,4‐シクロヘキサンジメタノールの残基、約1〜約25モル%のジエチレングリコールの残基、および約35〜約89モル%の残基エチレングリコールを含むジオール残基を有するポリエステルを含み得る。別の例では、二酸残基は、約60〜約100モル%のテレフタル酸および0〜約40モル%のイソフタル酸を含み得る。
【0044】
本発明のポリエステルは、当業者に既知の手順により調製される。例えば本発明のポリエステルは、典型的重縮合反応条件を用いて、適切なジカルボン酸、エステル、無水物または塩、および適切なジオールまたはジオール混合物から容易に調製される。それらは、連続、半連続およびバッチ方式の操作により製造され、そして種々の反応器型、例えば撹拌タンク、連続撹拌タンク、スラリー、管状、ワイプド・フィルム、流下薄膜または押出反応器を利用し得る。ジオールおよびジカルボン酸の反応は、慣用的ポリエステル重縮合条件を用いて、あるいは融解相プロセスにより、実行され得るが、しかし十分な結晶化度を有するものは、融解相縮合と、その後の固相重縮合技法により製造され得る。例えばエステル交換反応により、即ちジカルボン酸構成成分のエステル生成から、ポリエステルを調製する場合、反応プロセスは2つのステップを含み得る。第一のステップでは、ジオール構成成分およびジカルボン酸構成成分、例えばジメチルテレフタレートは、高温で反応させられる。その後、反応生成物はより高い温度でそして減圧下で加熱されて、ポリエステルを生成し、ジオールの排除を伴う(これはこれらの条件下で容易に揮発されて、系から除去される)。この第二のステップ、または重縮合ステップは、所望程度(固有粘度により確定される)の重合を有するポリマーが得られるまで、より高い真空および温度下で継続される。両段階の反応速度は、適切な触媒、例えばアルコキシチタン化合物、アルカリ金属ヒドロキシドおよびアルコラート、有機カルボン酸の塩、アルキルスズ化合物、金属酸化物等により増大される。特に酸およびエステルの混合モノマー供給が用いられる場合には、三段階製造方法(米国特許第5,290,631号に記載された方法と同様)も用いられ得る。直接的エステル化による、すなわち酸形態のジカルボン酸構成成分からのポリエステルの調製において、ポリエステルは、ジカルボン酸またはジカルボン酸の混合物を、ジオール構成成分またはジオール構成成分の混合物と反応させることにより製造される。
【0045】
エステル交換反応によるジオール構成成分およびジカルボン酸構成成分の反応が完了したことを保証するために、約1.05〜約2.5モルのジオール構成成分を1モルのジカルボン酸構成成分に対して用いることが、時としては望ましい。しかしながら、ジオール構成成分対ジカルボン酸構成成分の比は一般的に、反応プロセスが起こる反応器の設計により確定される、と当業者は理解する。
【0046】
本発明の硬化コーティング組成物は、裏面機器衝撃試験における延性破壊様式を依然として保持しながら、優れた耐摩耗性ならびにメチルエチルケトン(本明細書中では「MEK」と略記する)に対する優れた耐性を示す。例えば造形品は、その上に被覆されるか硬化された本発明のコーティング組成物を有するシートまたはフィルムであり得る。典型的には、このシートまたはフィルムは、ASTM手順D1044に従って100サイクル後に20%またはそれ未満の曇り度を有する。別の例では、シートまたはフィルムは、ASTM手順D1044に従って100サイクル後に15%またはそれ未満の曇り度を示し得る。造形品は、ASTM手順D3732に従って300メチルエチルケトン二重摩擦後に例示されるように、優れた化学物質および溶剤耐性を示し得る。
【0047】
本発明は、造形品の表面に本明細書中に上記されたコーティング組成物を適用し、そして被覆表面を放射線に曝露することを包含する造形品のコーティング方法も提供する。コーティング組成物は、上記の所望の割合で、適切なモノマー、樹脂および添加剤を混合することにより調製される。コーティングは、慣用的技法により、例えば浸漬、噴霧、カーテン・コーティング、グラビアおよびロール・コーティングにより達成され得る。適用方法は慣用的であり、そして基材の性質、所望の厚みおよびその他の因子によって選択され得る。例えば本発明の一実施形態では、コーティングは、薄いコーティングを生じる慣用的グラビアまたはロール・コーティング技法を用いることにより適用される。多重コーティング層は、上記のような慣用的方法で基材に適用され得る。例えば各々のそれぞれのコーティング層は、独立して基材に適用され、そして硬化された後、次のコーティング層が適用される。
【0048】
本明細書中で上記したように、コーティング組成物は、熱手段により、放射線により、またはその組合せにより硬化され得る。典型的には、慣用的放射線硬化技法は、例えば紫外線または電子線のような光化学反応を開始し得る放射線の任意の供給源の使用により、本発明において用いられる。
【0049】
本発明のコーティング組成物の潜在的商業的用途としては、可塑性形態または物体の外観がその選択における重要な因子である種々の領域が挙げられる。これらは、建築および建設、運送、積層品、グラフィックアート、EILT(封入画像層技術Encapsulated Image Layer Technology)、家庭電化製品、購買時点陳列、スポーツおよびレクリエーションのような領域における平板用途を包含する。他の適用領域では、例えば眼科および化粧品用途におけるように、コーティングは、物体が成形された後に、適用され、硬化され得る。以下の実施例により、本発明をさらに例証し、説明する。
【実施例】
【0050】
実施例
実施例1 ‐ 表1に列挙した物質を用いて、物質の均一混合物を調製した。任意の添加剤(例えばSiO2およびDAROCUR光開始剤)の重量を除いた組成物の総重量を基礎にして、重量パーセンテージを算定する。
【0051】
【表1】

【0052】
50重量%の1,6‐ヘキサンジオールジアクリレート(「HDDA」)マトリックス中に分散された50重量%SiOを含有するとして、NANOCRYL(登録商標)XP 21/0768(Hanse Chemieから入手可能)は、メーカーにより特定された。エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートEBECRYL(登録商標)3500およびEBECRYL(登録商標)1290は、UCB Chemicalsから入手可能である。DAROCUR(登録商標)1173は、Ciba Specialty Chemicalsから入手可能である。EBECRYL(登録商標)3500は、低粘性二官能性修飾ビスフェノール‐AエポキシアクリレートとしてUCB Chemicalsにより記載された。EBECRYL(登録商標)1290は、アクリル化ポリオール希釈剤を伴う六官能性脂肪族ウレタンアクリレートとして、UCB Chemicalsにより記載された。DAROCUR(登録商標)1173開始剤は、2‐ヒドロキシ‐2‐メチルプロピオフェノンとして記載された。
【0053】
不透明NALGENE(登録商標)容器中で、処方物の構成成分を各々計量した。次に、約55℃の温度で加熱小室中に配置されたローラー上に少なくとも2時間、容器を載せることにより、処方物を混合した。次に容器を実験室中のローラー上に載せて、一晩回転させて、処方物が十分に混合されたことを保証した。70:30(重量で)のポリエステル:ポリカルボネート配合物から調製された1/8インチ厚シートに、コーティングを適用した。配合物のポリエステル構成成分は、約100モル%のテレフタル酸、62モル%の1,4‐シクロヘキサンジメタノールおよび38モル%エチレングリコールを含有した。RK自動引落し機(Print-Coat Instruments, Ltd., England)を用いて、コーティングを適用した。極微小巻取ばねを有する線巻き棒を用いて、約5μ湿潤フィルム厚のコーティングを引き抜いた。引抜き速度は、「4」に設定した。
【0054】
ベルト速度24 ft/分および電力設定(500ワットの)70%を用いて、1.1 J/cmの線量を提供するために「H」バルブを用いて、FusionモデルHP‐6高電力6インチ紫外線ランプ系に通すことにより、被覆基材を硬化した。各使用前に、放射計UV Power PuckTM(EIT Instrumentsから入手可能)により、機械を特性化した。Power PuckTMは、4つのUV範囲(UV‐A:320〜390 nm、UV‐B:280〜320 nm、UV‐C:250〜260 nmおよびUV‐V:395〜445 nm)に関する総UV投与量(ジュール/cm2)およびピークUV強度(ワット/cm2)を測定する。以下の総ピークUV読取値を、この実験に用いた設定に関して観察した:UV‐A 1.6、UV‐B 1.5、UV‐C 1.8、UV‐V 1.1。
【0055】
コーティングの評価 ‐ 初期コーティング特性化 ケーニッヒ硬度試験(ASTM D 4366)を用いて、許容可能であるとコーティングの硬化度を証明した。ASTE D3359に従って、交差綾目(crosshatched)接着試験を実行した。水平方向に11回、垂直方向に11回、剃刀でコーティングに刻み目をつけた(100桝目を作成)。次に、一片のマスキングテープを刻み目付表面に接着し、次に取り外す。次に、基材に接着したままである桝目の数を計数することにより、接着%を確定する。実施例1は、ポリエステル基材に対する100%接着を示した。
【0056】
化学物質耐性 ‐ 丸頭ハンマーの頭部が、MEK中に浸した16層のチーズクロスで覆われる器械で、MEK二重摩擦試験を実行した。被覆試料の表面上で50回、被覆ハンマーヘッドを摩擦した。次に器械を停止し、コーティングを検査して、チーズクロスをMEKに再び浸した。300回の摩擦の完了後、試験を完了した。MEK二重摩擦試験で試験された実施例1コーティングは、300回摩擦に対して依然として無傷であり、これは優れた化学物質耐性の例示である。
【0057】
耐摩耗性 ‐ ポリエステルシートに適用されたアクリル樹脂コーティングの各々に関して、Taber磨耗試験ASTE D1044を実行して、磨耗に対するその耐性を分析した。この試験は一般的に許容され、そして引掻きおよび磨耗に耐える被覆可塑性シートの能力を特性化するための標準方法として認識される。この試験がこの目的のために用いられる場合、可塑性シートの曇り度%は通常は、0〜500回磨耗の範囲に亘って、10F型ホイール上で総重量500グラムで測定される。曇り度のレベルが低いほど、磨耗に対するより大きな耐性を示す。
【0058】
各コーティングに関して、3回の三重反復実験を実行した。各被覆パネルを4つに分けて、4つの曇り度測定の各々に関する特定領域を限定した。曇り度の初期測定後、パネルを特定数の磨耗サイクルに付して、その後、曇り度を確定した。各試料に関する磨耗サイクル数に関する曇り度レベルの依存性をマッピングするために、パネルが合計500サイクルの磨耗を受けるまで、このプロセスを反復した。被覆ポリエステルシート試料に関するTaber磨耗結果を、表2に示す:
【0059】
【表2】

【0060】
靭性および延性 ‐ 各被覆シート試料の延性および靭性を試験するために、ASTM法D-3763を使用して裏面機器衝撃試験を用いた。落下タップにより衝撃を受けている側から離れて、配置された被覆側とともに裏面形状を利用した。このようにして、破損中の引張り応力にコーティングを配置した。この試料配向は、シート上の表面上のコーティングの存在が使用中である場合に脆性または延性を引き起こすか否かのより正確な査定を生じる。機器衝撃試験において、タップを質量26.202 kgで計量し、0.756 mの高さから放出した。5つの試料を実施例1に関して試験した:5試料すべてが延性破損を示し、平均破壊エネルギーは41.9 ft.lbsであった。
【0061】
実施例2、3、4および5: 実施例1に記載したように実施例2、3、4および5を調製し、被覆し、硬化し、そして分析した。これらの実施例の組成物を、表3に記載する。実施例に記載したように、重合可能モノマーおよびオリゴマーの重量パーセンテージ(括弧内に示す)を、任意の添加剤、例えばSiO2および光開始剤の重量を除いた組成物の総重量を基礎にして算定する。したがってNANOCRYL(登録商標)XP 21/0768に関する重量%値は、1,6‐ヘキサンジオールジアクリレート構成成分のみを表わす;NANOCRYL(登録商標)XP 21/0768のSiO2構成成分は、重量パーセンテージ算定に含まれなかった。同様に、DAROCUR(登録商標)1173光開始剤の重量も、重量パーセンテージ算定から除外された。
【0062】
【表3】

【0063】
ヘキサンジオールジアクリレートは、UCB Chemicals Groupから入手した。実施例2〜5に関するTaber磨耗結果を表4に示す。
【0064】
【表4】

【0065】
実施例2〜5に関する裏面機器衝撃分析は、各実施例に関して試験した試料のすべてに関して延性動作を示した。破壊エネルギーは、実施例2、3、4および5に関してそれぞれ平均で35.4、31.0、36.1および33.9 ft. lbs.であった。MEK二重摩擦試験で試験した実施例2〜5に関するコーティングは、300回摩擦に関して無傷のままであり、したがって優れた化学物質耐性を示した。
【0066】
実施例6〜16: 実施例1に記載したように実施例6〜16を調製し、被覆し、硬化し、そして分析した。表5に提示したコーティング構成成分の重量パーセンテージを、組成物の総重量に基づいて、そしてDAROCUR(登録商標)1173光開始剤の重量を含めて、算定した。
【0067】
【表5】

【0068】
ジプロピレングリコールジアクリレートは、UCB Chemicalsから入手した。実施例6〜16で調製したコーティングを、実施例1に記載したようにMEK二重摩擦試験で試験した。試験したコーティングは各々、300回摩擦に関して無傷のままであり、したがって優れた化学物質耐性を示した。実施例6〜16に関するTaber磨耗結果を、表6に示す。
【0069】
【表6】

【0070】
実施例6〜16に関する被覆試料を、実施例2に記載したように裏面機器衝撃試験で試験した。100%延性破損を示した実施例の各々に関して、平均破壊エネルギーを算定した。この評価の結果を、表7に示す:
【0071】
【表7】

【0072】
実施例17: 実施例5と同様に、実施例17を調製し、被覆し、そして硬化下が、但し、以下の安定添加剤を処方物に付加下:2重量%のTINUVIN(登録商標)400および1重量%のTINUVIN(登録商標)123(Ciba Specialty Chemicalsから入手可能)。重量パーセンテージは、コーティング組成物の総重量を基礎にした。これらの添加剤は、UV硬化と適合性である一方で、コーティング組成物の耐候性を改良した。ASTM法UVA-340 G154サイクル1に従って、QUV-SE耐候性テスターモデルQUV/se(Q-Panel Lab Products)で、耐候性分析を実行した。このコーティングの試料からの耐候性結果を、表8に示す:
【0073】
【表8】

【0074】
Hunter’s Universalソフトウエアを実行するHunterLab UltraScan Sphere 8000で実施される試験から、b*値を得た。デフォルト試験条件は、D65(昼光、6500°K)、大面積視野Large Area View(直径1”)、反射様式、鏡面包含、および10°観測装置である。適用可能ASTM方法を以下に示す:
・ E1164 ‐ 対象物‐色評価に関する分光光度データを得る
・ E308 ‐ CIEシステムを用いることにより、対象物の色をコンピューター処理する(この方法は、スペクトルおよびCIE標準)観測装置ならびにCIE標準発光体から比色特性値、例えばCIE L*、a*、b*までに至るための算定を網羅する)
・ D2244 ‐ 色差の算定
・ E313 ‐ 黄色度および白色度指数
【0075】
比較例1〜4: 実施例1に記載したように比較例1〜4を調製し、被覆し、硬化し、そして分析した。これらのコーティングは、コーティング特性に及ぼす種々の濃度のHDDAまたはEBECRYL(登録商標)3500の作用を分析するための出発組成物として、実施例5を利用した。これらの実施例の組成物を、表9に示す。重量パーセンテージは、コーティング組成物の総重量を基礎にしており、そしてDAROCUR(登録商標)1173光開始剤の重量を含む。
【0076】
【表9】

【0077】
表10は、比較例1〜4に関するTaber磨耗データを示す:
【0078】
【表10】

【0079】
比較例1〜4に関する裏面機器衝撃試験結果を、表11に示す:
【0080】
【表11】

【0081】
MEK二重摩擦試験において、比較例2および3のコーティングは、300回の摩擦に対して無傷のままであった。しかしながら比較例1および4のコーティングは、100回後に破損した。実施例5との比較において、比較例1〜4のうち、MEK二重摩擦試験および裏面衝撃試験の療法に合格したものはない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性基材のためのコーティング組成物であって、以下の:
(A)3〜約18個の炭素原子を含有する脂肪族ジオール、3〜50個の炭素原子を含有するポリアルキレンエーテルグリコールおよび約4〜約18個の炭素原子を含有する脂環式ジオールから選択される置換または非置換、線状または分枝鎖のジオールの少なくとも1つのジアクリレートまたはジメタクリレートエステルを含む約10〜約60重量%の少なくとも1つの軟質構成成分;
(B)ビスフェノールの少なくとも1つの残基を含む主鎖を有する置換または非置換、線状または分枝鎖ジオールの少なくとも1つのジアクリレートまたはジメタクリレートエステルを含む約10〜約60重量%の少なくとも1つの芳香族構成成分;ならびに
(C)少なくとも1つのウレタンアクリレート
を含む組成物であって、前記置換ジオールがハロ、ヒドロキシ、オキソ、C1〜C10アルキル、C2〜C10アルケニル、C6〜C10アリールおよびC1〜C10アルコキシから独立して選択される1〜8個の置換基を含有する組成物で、前記組成物が約1:3〜約3:1の軟質構成成分:芳香族構成成分の重量比を有し、そして前記重量パーセンテージが任意の添加剤を除く前記組成物の総重量に基づく前記組成物。
【請求項2】
放射線により硬化可能である、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記放射線が紫外線または電子線を含む、請求項2記載の組成物。
【請求項4】
約15重量%〜約55重量%の各々軟質構成成分(A)および芳香族構成成分(B)を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
約20重量%〜約50重量%の各々軟質構成成分(A)および芳香族構成成分(B)を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項6】
前記重量比が約1:2〜約2:1である、請求項1記載の組成物。
【請求項7】
前記重量比が約1:1.5〜約1.5:1である、請求項1記載の組成物。
【請求項8】
前記軟質構成成分(A)が、以下の:ジエチレングリコール;1,2‐プロパンジオール;ジプロピレングリコール;1,3‐プロパンジオール;2,2‐ジメチル‐1,3‐プロパンジオール;1,3‐ブタンジオール;デカメチレングリコール;1,4‐ブタンジオール;1,5‐ペンタンジオール;1,6‐ヘキサンジオール;ポリエチレングリコール;ポリプロピレングリコール;2,2,4‐トリメチル‐1,6‐ヘキサンジオール;チオジエタノール;1,3‐シクロヘキサンジメタノール;1,4‐シクロヘキサンジメタノール;2,2,4,4‐テトラメチル‐1,3‐シクロブタンジオール;トリエチレングリコール;トリメチロールプロパン;トリプロピレングリコール;ポリカプロラクトンジオール;約3000までの分子量を有するポリエーテルポリオール;テトラエチレングリコール;2,2‐ビス(4‐ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン;およびそのアルコキシド付加物から選択される少なくとも1つのジオールの少なくとも1つのジアクリレートまたはジメタクリレートエステルを含む、請求項3記載の組成物。
【請求項9】
前記軟質構成成分(A)が以下の:1,4‐シクロヘキサン‐ジメタノールジアクリレート;エチレングリコールジアクリレート;ジエチレングリコールジアクリレート;トリエチレングリコールジアクリレート;ポリエチレングリコールジアクリレート;ポリプロピレングリコールジアクリレート;ジポリプロピレングリコールジアクリレート;トリメチロールプロパンジアクリレート;エトキシル化トリメチロールプロパンジアクリレート;プロポキシル化トリメチロールプロパンジアクリレート;プロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート;エトキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート;トリポリプロピレングリコールジアクリレート;トリポリプロピレングリコールジアクリレート;1,4‐ブタンジオールジアクリレート;1,3‐プロパンジオールジアクリレート;2,2‐ジメチル‐1,3‐プロパンジオールジアクリレート;1,6‐ヘキサンジオールジアクリレート;およびペンタエリトリトールジアクリレートから選択される少なくとも1つのジアクリレートエステルを含む、請求項8記載の組成物。
【請求項10】
前記軟質構成成分(A)が1,6‐ヘキサンジオールジアクリレートを含む、請求項9記載の組成物。
【請求項11】
前記ビスフェノールが以下の:ビスフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールFおよびビスフェノールSから選択される少なくとも1つの化合物を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項12】
前記芳香族構成成分(B)がビスフェノールAエポキシジアクリレートならびにエトキシル化ビスフェノール、プロポキシル化ビスフェノール、エトキシル化ビスフェノールA、プロポキシル化ビスフェノールA、エトキシル化ビスフェノールF、プロポキシル化ビスフェノールF、エトキシル化ビスフェノールSおよびプロポキシル化ビスフェノールSのジアクリレートエステルから選択される少なくとも1つの化合物を含む、請求項11記載の組成物。
【請求項13】
前記芳香族構成成分(B)が4〜20個の炭素原子を含有する少なくとも1つのアルキレングリコールまたはポリアルキレングリコール、2〜20個の炭素原子を含有する1つまたは複数の脂肪族ジカルボン酸あるいはその混合物で修飾される少なくとも1つのビスフェノールAエポキシジアクリレートを含む、請求項12記載の組成物。
【請求項14】
前記修飾ビスフェノールAエポキシジアクリレートが4〜8個の炭素原子を含有する少なくとも1つの脂肪族ジカルボン酸およびプロピレングリコールの残基を含む、請求項13記載の組成物。
【請求項15】
前記ビスフェノールAエポキシジアクリレートが次式:
【化1】

(式中、Rは次式:
【化2】

を有するラジカルである)
を有する、請求項14記載の組成物。
【請求項16】
約1〜約25重量%の前記ウレタンアクリレートを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項17】
約5〜約20重量%の前記ウレタンアクリレートを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項18】
前記ウレタンアクリレートが脂肪族ウレタンアクリレートである、請求項16記載の組成物。
【請求項19】
前記脂肪族ウレタンアクリレートが以下の:トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリトリトールおよびジペンタエリトリトールから選択される少なくとも1つのポリヒドロキシ化合物の残基を含む、請求項18記載の組成物。
【請求項20】
前記脂肪族ウレタンアクリレートが少なくとも1つの六官能性脂肪族ウレタンアクリレートを含む、請求項19記載の組成物。
【請求項21】
以下の:トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、グリセロールトリアクリレート、エトキシル化グリセロールトリアクリレート、プロポキシル化グリセロールトリアクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、エトキシル化ペンタエリトリトールトリアクリレート、プロポキシル化ペンタエリトリトールトリアクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、エトキシル化ペンタエリトリトールテトラアクリレート、プロポキシル化ペンタエリトリトールテトラアクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサアクリレート、エトキシル化ジペンタエリトリトールヘキサアクリレートおよびプロポキシル化ジペンタエリトリトールヘキサアクリレートから選択される少なくとも1つの多官能性アクリレートをさらに含む、請求項17記載の組成物。
【請求項22】
前記多官能性アクリレートが3〜20個のエトキシ基を含有する少なくとも1つのエトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートを含む、請求項21記載の組成物。
【請求項23】
その中に分散されるSiO2をさらに含む、請求項1記載の組成物。
【請求項24】
以下の:2,2‐ジメトキシ‐1,2‐ジフェニル‐1‐エタノン;2‐ヒドロキシ‐2‐メチルプロピオフェノン;ベンゾインメチルエーテル;ベンゾインエチルエーテル;ベンゾインイソプロピルエーテル;ベンゾインフェニルエーテル;ベンゾインアセテート;アセトフェノン;2,2‐ジメトキシアセトフェノン;4‐(フェニルチオ)アセトフェノン;1,1‐ジクロロアセトフェノン;ベンジル;ベンジルジメチルケタール;ベンジルジエチルケタール;2‐メチルアントラキノン;2‐エチルアントラキノン;2‐tert‐ブチルアントラキノン;1‐クロロアントラキノン;2‐アミルアントラキノン;2,4,6‐トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド;ベンゾフェノン;4,4’‐ビス(N,N’‐ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、チオキサントン;1‐フェニル‐1,2‐プロパンジオン‐2‐O‐ベンゾイルオキシム;1‐アミノフェニルケトン;1‐ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン;フェニル(1‐ヒドロキシイソプロピル)ケトン;4‐イソプロピルフェニル(1‐ヒドロキシイソプロピル)ケトン;およびクロロアルキル‐5‐トリアジンから選択される少なくとも1つの光開始剤をさらに含む、請求項2記載の組成物。
【請求項25】
前記光開始剤が2‐ヒドロキシ‐2‐メチルプロピオフェノンを含む、請求項24記載の組成物。
【請求項26】
以下の:
(A)以下の:1,4‐シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ジポリプロピレングリコールジアクリレート、トリポリプロピレングリコールジアクリレート、1,4‐ブタンジオールジアクリレート、1,3‐プロパンジオールジアクリレート、2,2‐ジメチル‐1,3‐プロパンジオールジアクリレート、1,6‐ヘキサンジオールジアクリレートおよびペンタエリトリトールジアクリレートから選択される少なくとも1つのジアクリレートエステルを含む約20〜約50重量%の軟質構成成分;
(B)少なくとも1つのビスフェノールAエポキシジアクリレートを含む約15〜約40重量%の芳香族構成成分;
(C)以下の:トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリトリトールおよびジペンタエリトリトールから選択される少なくとも1つのポリヒドロキシ化合物の残基を含む約5〜約20重量%の少なくとも1つの脂肪族ウレタンアクリレート;ならびに
(D)以下の:トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシル化グリセロールトリアクリレート、プロポキシル化グリセロールトリアクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサアクリレート、プロポキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートおよびエトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートから選択される約5〜約25重量%の少なくとも1つの多官能性アクリレート
を含む請求項1記載の熱可塑性基材のためのコーティング組成物であって、前記重量%が任意の添加剤を除く前記組成物の総重量に基づく前記組成物。
【請求項27】
少なくとも1つの光開始剤をさらに含む、請求項26記載の組成物。
【請求項28】
以下の:
(A)ジプロピレングリコールジアクリレートおよび1,6‐ヘキサンジオールジアクリレートを含む約20〜約40重量%の軟質構成成分;
(B)4〜20個の炭素原子を含有する少なくとも1つのアルキレングリコールまたはポリアルキレングリコール、4〜20個の炭素原子を含有する1つまたは複数の脂肪族ジカルボン酸あるいはその混合物で修飾される約15〜約40重量%のビスフェノールAエポキシアクリレート;
(C)ペンタエリトリトールの残基を含む約5〜約15重量%の少なくとも1つの脂肪族ウレタンアクリレート;ならびに
(D)3〜20個のエトキシ基を含有するエトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートを含む約5〜約20重量%の多官能性アクリレート
を含む、請求項27記載の組成物。
【請求項29】
その中に分散されるSiO2をさらに含む、請求項28記載の組成物。
【請求項30】
前記修飾ビスフェノールエポキシアクリレートが次式:
【化3】

(式中、Rは次式:
【化4】

を有するラジカルである)
を有する、請求項29記載の組成物。
【請求項31】
UV吸収剤またはヒンダードアミン系光安定剤をさらに含む、請求項30記載の組成物。
【請求項32】
少なくとも1つのその表面に適用され、そして紫外線または電子線への曝露により硬化される、請求項27記載の組成物を含む造形品。
【請求項33】
以下の:ポリエステル、ポリアミド、ポリカルボネート、セルロース誘導体、ポリオレフィン、ポリスルホン、ポリアセタル、ポリイミド、ポリケトン、ポリ乳酸、そのコポリマーおよびその配合物から選択される少なくとも1つの熱可塑性ポリマーを含む、請求項32記載の造形品。
【請求項34】
1つまたは複数の層を含む、請求項33記載の造形品。
【請求項35】
前記熱可塑性ポリマーが少なくとも1つのポリエステルを含む、請求項33記載の造形品。
【請求項36】
前記ポリエステルが以下のポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ブチレンテレフタレート)、ポリ(1,3‐トリメチレンテレフタレート)およびポリ(シクロヘキシレンテレフタレート)から選択される1つまたは複数のポリエステルを含む、請求項35記載の造形品。
【請求項37】
前記ポリエステルが以下の:
(i)以下の:テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、1,4‐シクロヘキサンジカルボン酸およびイソフタル酸から選択される少なくとも80モル%(二酸残基の総モルを基礎にして)の1つまたは複数のジカルボン酸の残基を含む二酸残基;ならびに
(ii)1,4‐シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコールおよびジエチレングリコールから選択される約3〜約100モル%(ジオール残基の総モルを基礎にして)の1つまたは複数のジオールの残基;ならびにエチレングリコール;1,2‐プロパンジオール;1,3‐プロパンジオール;1,4‐ブタンジオール;1,5‐ペンタンジオール;1,6‐ヘキサンジオール;1,8‐オクタンジオール;2,2,4‐トリメチル‐1,3‐ペンタンジオール;2,2,4,4‐テトラメチル‐1,3‐シクロブタンジオール;1,3‐シクロヘキサンジメタノール;ビスフェノールAおよびポリアルキレングリコールから選択される0〜97モル%の1つまたは複数のジオールの残基を含むジオール残基
を含む、請求項35記載の造形品。
【請求項38】
前記二酸残基が少なくとも95モル%のテレフタル酸の残基;前記ジオール残基が約10〜約40モル%の1,4‐シクロヘキサンジメタノールの残基、約1〜約25モル%のジエチレングリコールの残基、および約35〜約89モル%の残基エチレングリコールを含む、請求項37記載の造形品。
【請求項39】
前記二酸残基が約60〜約100モル%のテレフタル酸および0〜約40モル%のイソフタル酸を含む、請求項38記載の造形品。
【請求項40】
押出し、カレンダー加工、熱成形、吹込み二次成形、注入成形、鋳込み、テンターまたは吹込みにより製造される、請求項37記載の造形品。
【請求項41】
シート、フィルム、管、ボトルまたは異形材である、請求項40記載の造形品。
【請求項42】
ASTM手順D1044に従って100サイクル後に20%またはそれ未満の曇り度を有するフィルムまたはシートである、請求項41記載の造形品。
【請求項43】
ASTM手順D1044に従って100サイクル後に15%またはそれ未満の曇り度を示す、請求項42記載の造形品。
【請求項44】
ASTM手順D3732に従って300メチルエチルケトン二重研磨後に溶剤耐性を示す、請求項43記載の造形品。
【請求項45】
造形品の表面に請求項28記載のコーティング組成物を適用し、そして前記表面を放射線に曝露することを包含する造形品のコーティング方法。

【公表番号】特表2008−546872(P2008−546872A)
【公表日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−516967(P2008−516967)
【出願日】平成18年6月12日(2006.6.12)
【国際出願番号】PCT/US2006/022704
【国際公開番号】WO2006/138198
【国際公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(594055158)イーストマン ケミカル カンパニー (391)
【Fターム(参考)】