説明

耐糖能分析装置、耐糖能分析システム及びコンピュータプログラム

【課題】患者に対する負担の軽減が可能であり、かつ精度の高い判定を簡便に行なうことができる耐糖能分析装置、耐糖能分析システム及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】制御部206において、受付部101によって受け付けられた被験者の摂取した飲食物の種類及び飲食物の摂取量それぞれに関する情報と、予め定められる飲食物の血糖上昇に関する指標とに基づいて、被験者の耐糖能を分析するための基準値を算出させる。つぎに、制御部206において、受付部101によって受け付けられたグルコース量に関する情報と、算出された基準値とに基づいて、被験者の耐糖能を分析させる。その後、出力部104によって、分析結果を出力させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐糖能分析装置、耐糖能分析システム及びコンピュータプログラムに関する。さらに詳しくは、糖尿病の早期発見、診断、治療などに有用な耐糖能分析装置、耐糖能分析システム及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病を早期発見するために、糖尿病の初期段階の兆候の一つであり、耐糖能異常によい引き起こされる食後高血糖を検出する検査が試みられている。食後高血糖を検出する検査としては、例えば、経口糖負荷試験(OGTT)が知られている。しかしながら、OGTTは、過度な糖負荷を必要とすることから、患者の負担が大きいという欠点がある。
そこで、近年、患者の負担を軽減するため、糖負荷前後の尿中ミオイノシトール量に基づいて、耐糖能異常を検査することが試みられている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2003/083133号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、尿中ミオイノシトールは、糖の代謝産物であり、血糖値と直接対応する指標ではないため、特許文献1に記載の方法は、診断精度が不十分であるという欠点がある。また、糖負荷を必要とするため、患者の負担が大きいという問題がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、耐糖能の分析の際における患者の負担の軽減が可能であり、かつ耐糖能の分析を高い精度で簡便に行なうことができる耐糖能分析装置、耐糖能分析システム及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の耐糖能分析装置は、被験者の耐糖能を分析する装置であって、
被験者が摂取した飲食物の種類、飲食物の摂取量、及び被験者における飲食物の摂取後のグルコース量それぞれに関する情報の入力を受付ける受付部と、
耐糖能の分析結果を出力する出力部と、
受付部によって受け付けられた被験者の摂取した飲食物の種類及び飲食物の摂取量それぞれに関する情報と、予め定められる飲食物の血糖上昇に関する指標とに基づいて、被験者の耐糖能を分析するための基準値を算出し、受付部によって受け付けられたグルコース量に関する情報と、算出された基準値とに基づいて、被験者の耐糖能を分析して、得られた分析結果を耐糖能の分析結果として出力部に出力させる制御部と、
を備えていることを特徴としている。
【0007】
本発明の耐糖能分析装置では、制御部において、被験者の摂取した飲食物の種類及び飲食物の摂取量それぞれに関する情報と、予め定められる飲食物の血糖上昇に関する指標とに基づいて、被験者の耐糖能を分析するための基準値を算出する。さらに、制御部において、グルコース量に関する情報と、算出された基準値とに基づいて、被験者の耐糖能を分析する。
本発明の耐糖能分析装置によれば、かかる処理手順により、被験者の耐糖能の分析が行なわれるように構成されていることから、被験者が任意の食事をとった場合であっても、被験者が摂取した飲食物の種類、飲食物の摂取量、及び被験者における飲食物の摂取後のグルコース量それぞれに関する情報を当該耐糖能分析装置に入力することによって、被験者の耐糖能を分析することが可能になっている。したがって、従来技術のように、経口糖負荷試験を行なわなくてもよいため、被験者の負担を軽減することができる。
【0008】
飲食物による血糖上昇に関する指標は、グリセミック・インデックス(Glycemic Index(GI))であることが好ましい。ここで、GIとは、炭水化物が消化されて糖に変化する速さを相対的に表す数値である。GIは、一般的に、食品の炭水化物50グラムを摂取した際の血糖値上昇の度合いを、ブドウ糖(グルコース)を100とした場合の相対値で表される。
【0009】
グルコース量に関する情報は、グルコースの血中濃度−時間曲線下面積(血糖AUC)又は血糖AUCに対応する値であることが好ましい。
この場合、制御部は、基準値を算出するための計算式にしたがって基準値を算出することが好ましい。また、計算式は、下記式(1):
基準値(Th(AUC))=A+〔B/(C/GL)〕 (1)
〔式中、Aは空腹時の2時間血糖AUC値を表し、Bは血糖値上昇分の基準値を表し、Cは所定量のグルコース(例えば、75g)に相当するグリセミック・ロード(GL(Glycemic Load))を表し、GLは被験者が摂取した飲食物に対応するグリセミック・インデックス(Glycemic Index)と飲食物の摂取量とから算出されるグリセミック・ロードを表す。〕
で示される式であることが好ましい。式(1)と、血糖AUC、又は血糖AUCに対応する値とを用いることにより、被験者の耐糖能のタイプを区別することができることから、耐糖能の分析の際の患者の負担の軽減が可能となり、かつ耐糖能の分析を高い精度で簡便に行なうことができる。
【0010】
グルコース量に関する情報は、皮膚からの組織液の抽出を促進する亢進処理のなされた被験者の皮膚から飲食物の摂取後に採取された組織液中のグルコース量に関する情報であることが好ましい。
ここで、組織液は、被験者の皮膚に接触させた収集体に蓄積させることによって収集された組織液であることが好ましい。この場合、グルコース量は、飲食物の摂取後又は収集体貼付後2時間が経過するまで収集体に収集された組織液中のグルコース量であることが好ましい。
【0011】
また、グルコース量に関する情報は、組織液中のグルコース量を組織液中の無機イオン量によって補正することにより得られた数値であることが好ましい。この場合、無機イオンは、ナトリウムイオンであることが好ましい。
【0012】
制御部は、グルコース量に関する情報が基準値を超えていることを示す情報である場合に、被験者が耐糖能異常であることを示す分析結果を生成することが好ましい。
制御部はさらに、グルコース量に関する情報が基準値以下であることを示す情報である場合に、被験者は耐糖能異常ではないことを示す分析結果を生成することが好ましい。
【0013】
本発明の耐糖能分析装置は、被験者が摂取した飲食物の種類、及び飲食物の摂取量に関する情報と、制御部で生成された分析結果とに基づいて、栄養指導に関する情報を取得する取得部をさらに備えていることが好ましい。この場合、制御部は、取得部により取得された情報を出力部にさらに出力させるものであることが好ましい。
【0014】
本発明の耐糖能分析システムは、第1の情報処理装置及び第2の情報処理装置を備え、被験者の耐糖能を分析する耐糖能分析システムであって、
第1の情報処理装置は、
被験者が摂取した飲食物の種類、飲食物の摂取量、及び被験者における飲食物の摂取後のグルコース量それぞれに関する情報の入力を受付ける受付部と、
受付部によって受け付けられた情報を、第2の情報処理装置に送信する第1の送信部と、
第2の情報処理装置から、被験者の耐糖能の分析結果を受信する第1の受信部と、
第1の受信部によって受信された分析結果を出力する出力部と、
を備え、
第2の情報処理装置は、
第1の送信部から送信される情報を受信する第2の受信部と、
第2の受信部によって受信された被験者の摂取した飲食物の種類及び飲食物の摂取量それぞれに関する情報と、予め定められる飲食物の血糖上昇に関する指標とに基づいて、被験者の耐糖能を分析するための基準値を算出し、かつ第2の受信部によって受信されたグルコース量に関する情報と、算出された基準値とに基づいて、被験者の耐糖能を分析する制御部と、
制御部による分析結果を、第1の情報処理装置に送信する第2の送信部と、
を備えることを特徴としている。
【0015】
被験者が摂取した飲食物の種類、飲食物の摂取量、及び被験者における飲食物の摂取後のグルコース量それぞれに関する情報の入力を受け付ける受付部、並びに分析結果を出力する出力部を備えた第1の情報処理装置と、被験者の耐糖能を分析するための基準値を算出し、被験者の耐糖能を分析する制御部を備えた第2の情報処理装置とが、ネットワークを介して通信可能に接続されている。これにより、前述した耐糖能分析装置と同様の処理手順により、被験者の耐糖能を分析することができる。したがって、本発明の耐糖能分析システムによれば、前述の耐糖能分析装置と同様の作用効果が得られる。
【0016】
また、本発明のコンピュータプログラムは、耐糖能の分析結果を出力する出力装置と、入力装置とが接続されるコンピュータによって実行されると、当該コンピュータを、
入力装置を介して、被験者が摂取した飲食物の種類、飲食物の摂取量、及び被験者における飲食物の摂取後のグルコース量に関する情報それぞれの入力を受付ける受付部、及び
被験者の摂取した飲食物の種類及び飲食物の摂取量それぞれに関する情報と、予め定められる飲食物の血糖上昇に関する指標とに基づいて、被験者の耐糖能を分析するための基準値を算出し、かつ受付部によって受け付けられたグルコース量に関する情報と、算出された基準値とに基づいて、被験者の耐糖能を分析して、得られた分析結果を出力装置に出力させる制御部、
として機能させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
本発明の耐糖能分析装置、耐糖能分析システム及びコンピュータプログラムによれば、耐糖能の分析の際の患者に対する負担の軽減が可能であり、かつ耐糖能の分析を高い精度で簡便に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施の形態に係る耐糖能分析システムの概略説明図である。
【図2】図1に示される耐糖能分析システムの機能構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示される耐糖能分析システムの端末のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図4】図1に示される耐糖能分析システムのサーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
【図5】図4に示されるサーバのハードディスクに記憶された飲食物のGI(Glycemic Index)データベースの一例を示す説明図である。
【図6】被験者における飲食物の摂取後のグルコース量に関する情報としての血糖AUC値を取得するための測定装置の一例を示す斜視説明図である。
【図7】図6に示される測定装置の機能構成を示すブロック図である。
【図8】カートリッジの構成を示す概略断面図である。
【図9】被験者の皮膚に微細孔を形成する微細孔形成装置の一例の斜視説明図である。
【図10】図9に示される微細孔形成装置に装着される微細針チップの斜視図である。
【図11】微細孔形成装置によって微細孔が形成された皮膚の断面説明図である。
【図12】収集部材の一例の斜視説明図である。
【図13】図12のA−A線断面図である。
【図14】本発明の耐糖能分析システム又は耐糖能分析装置を用いた被験者の耐糖能の分析のフローチャートである。
【図15】入力画面の一例を示す図である。
【図16】出力画面の一例を示す図である。
【図17】(A)は耐糖能のタイプと推定血糖AUCとの関係を調べた結果を示すグラフ、(B)は耐糖能のタイプと血糖AUCとの関係を調べた結果を示すグラフである。
【図18】本発明の一実施の形態に係る耐糖能分析装置の機能構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、被験者が摂取した飲食物の種類及び飲食物の摂取量それぞれに関する情報と、予め定められる飲食物の血糖上昇に関する指標とに基づいて、被験者の耐糖能を分析するための基準値を算出し、かかる基準値とグルコース量に関する情報とに基づいて、被験者の耐糖能を分析するように構成されている点に大きな特徴がある。
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0020】
<実施の形態1>
本実施の形態は、被験者が摂取した飲食物の種類、飲食物の摂取量、及び被験者における飲食物の摂取後のグルコース量それぞれに関する情報の入力の受付け並びに分析結果の出力を行なう端末(第1の情報処理装置)と、飲食物による血糖上昇に関する指標、及び被験者の耐糖能を分析するための基準値を算出するための計算式それぞれの記憶、被験者の耐糖能を分析するための基準値の算出並びに被験者の耐糖能の分析を行なうサーバ(第2の情報処理装置)とが、ネットワークを介して通信可能に接続された耐糖能分析システムである。
【0021】
[耐糖能分析システムの全体構成]
図1は、本発明の一実施の形態に係る耐糖能分析システムの概略説明図である。
耐糖能分析システム1は、図1に示されるように、施設A〜Cそれぞれに設置された端末100(第1の情報処理装置)と、サーバ施設に設置されたサーバ200(第2の情報処理装置)と、インターネット等のネットワーク400とを備えている。
端末100とサーバ200とは、ネットワーク400を介して、相互に通信可能に接続されている。
各施設には、被験者の血糖AUCを測定する測定装置300が設置されている。被験者の血糖AUCは、被験者における飲食物の摂取後のグルコース量に関する情報である。
なお、端末100は、1つの施設に複数台設置されていてもよい。
【0022】
[端末(第1の情報処理装置)の構成]
端末100は、図2に示されるように、受付部101と、送信部102と、受信部103と、出力部104とを備える。受付部101は、被験者が摂取した飲食物の種類、飲食物の摂取量、及び被験者における飲食物の摂取後のグルコース量それぞれに関する情報の入力を受け付ける。送信部102は、受付部101で受け付けられた情報をサーバ200に送信する。受信部103は、サーバ200で得られた情報(分析結果)を受信する。出力部は、受信部103で受信された情報(分析結果)を出力する。
【0023】
図3は、端末100のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3に示されるように、端末100は、ディスプレイ100aと、本体100bと、入力デバイス100cとを備えたコンピュータである。本体100bは、CPU(Central Processing Unit)120と、ROM(Read Only Memory)121と、RAM122と、ハードディスク123と、入出力インターフェイス124と、読出装置125と、通信インターフェイス126と、画像出力インターフェイス127とを備えている。CPU120、ROM121、RAM(Random Access Memory)122、ハードディスク123、入出力インターフェイス124、読出装置125、通信インターフェイス126及び画像出力インターフェイス127は、バス128によってデータ通信可能に接続されている。
CPU120は、ROM121に記憶されているコンピュータプログラム及びRAM122にロードされたコンピュータプログラムを実行することが可能である。CPU120がアプリケーションプログラムを実行することにより、前述した各機能ブロックが実現される。これにより、コンピュータが、耐糖能分析システム1における第1の情報処理装置としての端末として機能する。
ROM121は、マスクROM、PROM、EPROM、EEPROM等によって構成されている。ROM121には、CPU120によって実行されるコンピュータプログラム及びこれに用いるデータが記録されている。
RAM122は、SRAM、DRAM等によって構成されている。RAM122は、ROM121及びハードディスク123に記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。RAM122はまた、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU120の作業領域として利用される。
ハードディスク123は、CPU120に実行させるためのオペレーティングシステム、アプリケーションプログラム等のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いるデータがインストールされている。
読出装置125は、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、DVD−ROMドライブ等によって構成されている。読出装置125は、可搬型記録媒体130に記録されたコンピュータプログラム又はデータを読み出すことができる。
入出力インターフェイス124は、例えば、USB、IEEE1394、RS−232C等のシリアルインターフェイスと、SCSI、IDE、IEEE1284等のパラレルインターフェイスと、D/A変換器、A/D変換器等からなるアナログインターフェイスとから構成されている。入出力インターフェイス124には、キーボード、マウス等の入力デバイス100cが接続されている。操作者は、当該入力デバイス102cを使用することにより、本体100bにデータを入力することが可能である。
通信インターフェイス126は、例えば、Ethernet(登録商標)インターフェイス等である。端末100は、通信インターフェイス126により、所定の通信プロトコルを使用して、ネットワーク400を介して接続されたサーバ200との間でデータの送受信が可能である。端末100はまた、通信インターフェイス126により、プリンタへの印刷データの送信が可能である。
画像出力インターフェイス127は、LCD、CRT等で構成されるディスプレイ100aに接続されている。これにより、ディスプレイ100aは、CPU120から与えられた画像データに応じた映像信号を出力することができる。ディスプレイ100aは、入力された映像信号にしたがって画像(画面)を表示する。
【0024】
[サーバ(第2の情報処理装置)の構成]
サーバ200は、図2に示されるように、受信部201と、記憶部202と、算出部203と、分析部204と、送信部205とを備える。受信部201は、端末100の送信部102と、ネットワーク400を介して通信可能に接続されている。なお、算出部203と分析部204とは、制御部206を構成している。
受信部201は、端末100の送信部102から送信された情報を受信する。記憶部202は、予め定められる飲食物による血糖上昇に関する指標、及び被験者の耐糖能を分析するための基準値を算出するための計算式を記憶する。算出部203は、受信部201で受信された被験者の摂取した飲食物の種類及び飲食物の摂取量に関する情報と、記憶部202に記憶された指標とに基づいて、記憶部202に記憶された計算式にしたがって、被験者の耐糖能を分析するための基準値を算出する。分析部204は、受信部201によって受信されたグルコース量に関する情報と、算出部203によって算出された基準値とに基づいて被験者の耐糖能を分析する。送信部205は、ネットワーク400を介して、端末100の受信部103と通信可能に接続されている。送信部205は、分析部204による分析結果を端末100に送信する。
【0025】
図4は、サーバ200のハードウェア構成を示すブロック図である。
図4に示されるように、サーバ200は、本体200aと、ディスプレイ200bと、入力デバイス200cとを備えたコンピュータである。
本体200aは、CPU220と、ROM221と、RAM222と、ハードディスク223と、入出力インターフェイス224と、読出装置225と、通信インターフェイス226と、画像出力インターフェイス227とを備えている。CPU220、ROM221、RAM222、ハードディスク223、入出力インターフェイス224、読出装置225、通信インターフェイス226及び画像出力インターフェイス227は、バス228によってデータ通信可能に接続されている。
CPU220は、ROM221に記憶されているコンピュータプログラム及びRAM222にロードされたコンピュータプログラムを実行することが可能である。CPU220が、アプリケーションプログラムを実行することにより、前述した各機能ブロックが実現され、コンピュータがサーバ200として機能する。
ROM221は、マスクROM、PROM、EPROM、EEPROM等によって構成されている。ROM221には、CPU220に実行されるコンピュータプログラム及びこれに用いるデータ等が記録されている。
RAM222は、SRAM、DRAM等によって構成されている。RAM222は、ROM221及びハードディスク223に記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。RAM222はまた、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU220の作業領域として利用される。
ハードディスク223は、CPU220に実行させるためのオペレーティングシステム、アプリケーションプログラム等のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いるデータがインストールされている。
ハードディスク223には、例えば、マイクロソフト社が製造販売するWindows(登録商標)のグラフィカルユーザインターフェイス環境を提供するオペレーティングシステムがインストールされている。以下の説明においては、本実施の形態に係るアプリケーションプログラムは当該オペレーティングシステム上で動作するものとしている。
さらに、ハードディスク223の所定の領域には、飲食物による血糖上昇に関する指標としての飲食物のGIデータベースと、基準値算出・比較判定プログラムなどのアプリケーションプログラムとが記憶されている。
飲食物のGIデータベースには、図5に示されるように、飲食物の種類(食品名)、飲食物のグリセミック・インデックス(GI)などが互いに関連付けて記憶されている。基準値算出・比較判定プログラムは、端末100から受信した被験者の摂取した飲食物の種類及び飲食物の摂取量に関する情報と、飲食物のGIデータベースとに基づいて、所定の計算式にしたがって、被験者の耐糖能を分析するための基準値を算出し、端末100から受信したグルコース量に関する情報と、算出した基準値とに基づいて、被験者の耐糖能を分析する。
入出力インターフェイス224は、例えば、USB、IEEE1394、RS−232C等のシリアルインターフェイスと、SCSI、IDE、IEEE1284等のパラレルインターフェイスと、D/A変換器、A/D変換器等からなるアナログインターフェイスとから構成されている。入出力インターフェイス224には、キーボード、マウス等の入力デバイス200cが接続されている。操作者は、当該入力デバイス200cを使用することにより、本体200aにデータを入力することが可能である。
読出装置225は、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、DVD−ROMドライブ等によって構成されている。読出装置225は、可搬型記録媒体230に記録されたコンピュータプログラム又はデータを読み出すことができる。
通信インターフェイス226は、例えば、Ethernet(登録商標)インターフェイス等である。サーバ200は、通信インターフェイス226により、所定の通信プロトコルを使用して、ネットワーク400を介して接続された端末100との間でデータの送受信が可能である。サーバ200は、通信インターフェイス226により、プリンタへの印刷データの送信が可能である。
画像出力インターフェイス227は、LCD、CRT等で構成されるディスプレイ200bに接続されている。これにより、ディスプレイ200bは、CPU220から与えられた画像データに応じた映像信号を出力することができる。ディスプレイ200bは、入力された映像信号にしたがって、画像(画面)を表示する。
なお、GIデータベースは、必ずしもハードディスク223に記憶されていなくてもよい。例えば、サーバ200が、通信インターフェイス226を介して、通信ネットワークからGIデータベースをダウンロードしてもよい。
【0026】
[測定装置の構成]
図6は、被験者における飲食物の摂取後のグルコース量に関する情報としての血糖AUC値を取得するための測定装置の一例の外観を示す斜視説明図であり、図7は、図6に示される測定装置300のブロック図である。
図6に示される測定装置300は、収集部材330の収集体332に収集された組織液に含まれるグルコース及びナトリウムイオンを測定して、グルコース濃度(CGlu)及びナトリウムイオン濃度(CNa)を取得し、取得したCGlu及びCNaに基づいて被験者の推定血糖AUCを算出し、当該推定血糖AUCを含む解析結果を生成して表示する装置である。測定装置300は、検出部310と、解析部を含む制御部315と、解析結果などを表示する表示部313と、測定開始の指示などを行うための操作ボタン314とを備えている。
【0027】
測定装置300は、厚みのある直方体形状の筐体を備えており、筐体上面の天板には凹部301が形成されている。凹部301には、当該凹部301よりもさらに深く形成された凹部からなるカートリッジ配置部302が設けられている。凹部301にはさらに、当該凹部301の側壁の高さとほぼ同じ厚みを有する可動天板303が連結されている。可動天板303は、支軸303aを中心に折り畳むことによって、図6に示される状態から凹部301内に収納したり、凹部301に収納された状態から図6に示されるように起立させたりすることができる。カートリッジ配置部302は、後述するカートリッジ350を収納することができる大きさを有している。
【0028】
可動天板303は、凹部301に収納される方向に付勢されるように、支軸303aに支持されている。したがって、カートリッジ配置部302に配置されたカートリッジ350は、可動天板303によって上方から押さえつけられる。
【0029】
検出部310は、収集部材330の収集体332に収集された組織液に含まれる成分の情報を取得するものであり、測定対象成分であるグルコースの濃度CGluを検出するグルコース検出部311と、ナトリウムイオンの濃度CNaを検出するナトリウムイオン検出部312とを備えている。
【0030】
グルコース検出部311は、可動天板303の裏面、すなわち可動天板303が凹部301に収納されたときにカートリッジ配置部302と対向する側の面に設けられている。グルコース検出部311は、光を照射するための光源311aと、この光源311aによって照射された光の反射光を受光するための受光部311bとを備えている。これにより、グルコース検出部311は、カートリッジ配置部302に配置されたカートリッジ350に対して光を照射するとともに、照射されたカートリッジ350からの反射光を受光できる。
【0031】
ナトリウムイオン検出部312は、カートリッジ配置部302の底面に設けられている。ナトリウムイオン検出部312は、カートリッジ配置部302の底面に設けられた長方形状を有する板状の部材を備える。この板状部材の略中央には一対のナトリウムイオン濃度測定用電極が設けられている。ナトリウムイオン濃度測定用電極は、ナトリウムイオン選択膜を備えた銀/塩化銀からなるナトリウムイオン選択性電極と、対電極である銀/塩化銀電極とを備えている。
【0032】
制御部315は、測定装置300の内部に設けられており、解析部であるCPU、及び記憶部であるROM、RAMなどを備えている。CPUは、ROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各部の動作を制御する。RAMは、ROMに記憶されたプログラムが実行される際のプログラムの展開領域として利用される。
【0033】
測定装置300は、その内部にポンプからなる供給部304、収集部材330の収集体332に収集された組織液を回収するための純水からなる回収液を収容するタンク306、及び廃液を収容する廃液タンク305を備えている。供給部304は、タンク306に空気を送り込むことにより、ニップル304aを介して、カートリッジ配置部302に配置されたカートリッジ350にタンク306内に収容されている回収液を注入する。
【0034】
廃液タンク305は、供給部304によってカートリッジ350に送液された純水が排出される機構であり、ニップル305aを介して、排出された液体を収容する。
【0035】
図8は、カートリッジ配置部302にカートリッジ350が配置された状態を示す概略断面図である。
カートリッジ350は、ゲル収容部352と、グルコース反応体351と、光導波部材354とを備えている。ゲル収容部352は、カートリッジ350の表面に形成された凹部からなる。ゲル収容部352の底部には、カートリッジ配置部302に設けられたニップル304aと連通する注入孔352aが設けられている。カートリッジ350の下面にはゲル収容部352と連通する溝が形成されている。この溝とカートリッジ配置部302の底部に設けられたナトリウムイオン検出部312とによって流路353aが形成される。この流路353aの一部は、ナトリウムイオン検出部312によりナトリウムイオン濃度が検出される第1貯留部353とされている。流路353aの下流は、第2貯留部355に連通している。第2貯留部355はカートリッジ350の表面に設けられた凹部からなり、その開口が光導波路を有する光導波部材354によって閉塞されている。この光導波部材354の下面に、グルコースと反応して変色するグルコース反応体351が設けられている。第2貯留部355の底部には、カートリッジ配置部302に設けられたニップル305aと連通する排出孔355aが設けられている。
【0036】
測定装置300は、次のようにして収集部材330に収集された組織液に含まれるグルコースの濃度CGlu及びナトリウムイオンの濃度CNaを測定する。まず、図6において、一点鎖線で示されるように、被験者の皮膚Sに所定時間貼り付けられた収集部材330が皮膚から取り外され、カートリッジ350のゲル収容部352に貼り付けられる。このカートリッジ350が測定装置300のカートリッジ配置部302に配置され、可動天板303が閉じられる。
【0037】
操作ボタン314によって測定開始が指示されると、供給部304からタンク306に向けて空気が供給され、タンク306からニップル304aに向けて回収液が送られる。回収液は注入孔352aからゲル収容部352に注入され、ゲル収容部352が回収液で満たされる。この状態で所定時間が経過すると、収集体332に収集された組織液が回収液に拡散する。所定時間が経過したら、供給部304はバイパス路304bを介してゲル収容部352に空気を送り込む。これにより、ゲル収容部352内の液体が流路353aを通じて第1貯留部353及び第2貯留部355に送液される。
【0038】
ナトリウムイオン検出部312は、ナトリウムイオン濃度測定用電極によって第1貯留部353に貯留された液体に一定電圧を印加して電流値を取得する。このときの電流値は、液体に含まれるナトリウムイオン濃度に比例する。ナトリウムイオン検出部312は、得られた電流値を検出信号として制御部315に出力する。制御部315は、検出信号に含まれる電流値と予め制御部315の記憶部に記憶されている検量線とに基づいて、ナトリウムイオン濃度CNaを取得する。
【0039】
第2貯留部では、回収液中のグルコースとグルコース反応体351とが反応し、グルコース反応体351が変色する。グルコース検出部311は、光源311aから光導波部材354に向かって光を照射し、光導波部材354から出射した光を受光部311bによって受光する。光源311aから光が照射されると、光は、変色したグルコース反応体351により吸光されながら、光導波部材354の内部で反射を繰り返して受光部311bに入射する。受光部311bにおける受光量はグルコース反応体451の変色度合いに比例し、この変色度合いが回収液中のグルコース量に比例する。グルコース検出部311は、得られた受光量を検出信号として制御部315に出力する。制御部315は、検出信号に含まれる受光量と予め制御部315の記憶部に記憶されている検量線とに基づいてグルコース濃度CGluを取得する。
【0040】
ナトリウムイオン濃度CNa及びグルコース濃度CGluが取得されると、供給部304からカートリッジ350にさらに空気が送り込まれる。これにより回収液が排出孔355a及びニップル305aを介して廃液タンク305に送られ、一連の測定が終了する。
【0041】
[微細孔形成装置の構成]
つぎに、被験者の皮膚に微細孔を形成する微細孔形成装置(穿刺具)の一例について説明する。微細孔形成装置は、被験者の皮膚の一部に多数の微細な孔を形成して当該被験者の皮膚からの組織液の抽出を促進する装置である。本実施の形態では、組織液抽出促進のための微細孔が形成された被験者の皮膚S(図6参照)からグルコース及びナトリウムイオンが収集される。
【0042】
図9は、被験者の皮膚に組織液抽出促進用の微細孔を形成するのに用いられる微細孔形成装置370の斜視説明図である。図10は、図9に示される微細孔形成装置370に装着される微細針チップ380の斜視図である。図11は、微細孔形成装置370によって微細孔が形成された皮膚Sの断面説明図である。
【0043】
図9〜図11に示されるように、微細孔形成装置370は、滅菌処理された微細針チップ380を装着して、当該微細針チップ380の微細針381を生体の表皮(被験者の皮膚600)に当接させることによって、被験者の皮膚600に組織液の抽出孔(微細孔601)を形成する装置である。微細針チップ380の微細針381は、微細孔形成装置370により微細孔601を形成した場合に、当該微細孔601が皮膚600の表皮内にとどまり真皮までは到達しないような条件で皮膚に当接される。
また、微細針381はミクロ的に見ると截頭円錐体形状を呈しているが、その長さや先端の径は、被験者の皮膚に設けられる皮膜の厚さなども考慮して適宜選定することができる。微細針381は、本発明において特に限定されるものではないが、通常、その長さは100μm〜1000μm程度であり、先端の径は1μm〜50μm程度である。
【0044】
図9に示されるように、微細孔形成装置370は、筐体371と、この筐体371の表面に設けられたリリースボタン372と、筐体371の内部に設けられたアレイチャック373及びバネ部材374とを備えている。筐体371の下部371aの下端面(皮膚に当接する面)には、微細針チップ380が通過可能な開口(図示せず)が形成されている。バネ部材374はアレイチャック373を穿刺方向に付勢する機能を有する。アレイチャック373は下端に微細針チップ380を装着することができる。微細針チップ380の下面には、複数の微細針381が形成されている。微細針チップ380の下面は、10mm(長辺)×5mm(短辺)の大きさからなる。微細孔形成装置370は、アレイチャック373をバネ部材374の付勢力に逆らって上方(反穿刺方向)に押し上げた状態で固定する固定機構(図示せず)を有しており、使用者(被験者)がリリースボタン372を押下することにより、当該固定機構によるアレイチャック373の固定が解除され、バネ部材374の付勢力によって当該アレイチャック373が穿刺方向に移動し、上記した開口から突出した微細針チップ380の微細針381が皮膚を穿刺するように構成されている。なお、図9において、375は筐体371の下部371aに形成された鍔部であり、微細孔形成装置370の使用時には鍔部375の裏面が被験者の皮膚の所定箇所に当接される。
【0045】
[収集部材の構成]
収集部材330は被験者の皮膚から組織液を収集するために当該被験者の皮膚に貼付され、所定時間経過後に皮膚から剥がされるものである。
【0046】
図12は、保持シート331と、この保持シート331に保持された収集体332とを備えた収集部材330の斜視説明図である。図13は、図12のA−A線断面図である。
収集体332は、被験者の皮膚から抽出した組織液を保持可能な保水性を有するゲルからなっており、ナトリウムイオンを含まない浸透圧調整剤を含有している。このゲルは、組織液を収集することが可能であれば特に限定されないが、ポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドンからなる群より選ばれる少なくとも一種の親水性ポリマーから形成されたゲルが好ましい。ゲルを形成する親水性ポリマーは、ポリビニルアルコール単独又はポリビニルピロリドン単独であってもよく、また両者の混合物であってもよいが、ポリビニルアルコール単独又はポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンとの混合物であることがより好ましい。
【0047】
ゲルは、親水性ポリマーを水溶液中で架橋する方法により形成することができる。ゲルは、親水性ポリマーの水溶液を基材上に塗工して塗膜を形成し、該塗膜中に含まれる親水性ポリマーを架橋する方法により形成することができる。親水性ポリマーの架橋法としては、化学架橋法及び放射線架橋法などがあるが、ゲル中に各種化学物質が不純物として混入し難い点より、放射線架橋法を採用することが望ましい。
【0048】
収集体332は、図12〜図13に示される例では直方体形状を呈しており、皮膚と当接する面のサイズは5mm×10mmである。ただし、収集体332の形状及びサイズは、これに限定されるものではない。
【0049】
保持シート331は、小判形状のシート本体331aと、このシート本体331aの片面に形成された粘着剤層331bとで構成されており、粘着剤層331bが形成された側の面が粘着面とされている。収集体332は、台紙としても機能する小判形状の剥離シート333のほぼ中央に配設されており、この収集体332を覆うように保持シート331が剥離シート333に貼付されている。収集体332は、保持シート331の粘着面の一部によって当該保持シート331に保持されている。保持シート331の面積は、組織液収集時における収集体332の乾燥を防ぐために、収集体332を覆うことが可能な大きさを有している。すなわち、保持シート331によって収集体332を覆うことにより、組織液収集時に皮膚と保持シート331との間を気密に保つことができ、組織液収集時に収集体332に含まれる水分が蒸発するのを抑制することができる。
【0050】
保持シート331のシート本体331aは、無色透明又は有色透明であり、当該シート本体331aの表面側(粘着剤層331bと反対側の面)から、保持シート331に保持されている収集体332を目視にて容易に確認することができる。シート本体331aは、組織液の蒸発及び収集体の乾燥を防ぐため透湿性が低いものが好ましい。シート本体331aの材質としては、例えばポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリウレタンフィルムなどが挙げられ、その中でもポリエチレンフィルム、ポリエステルフィルムが好ましい。シート本体331aの厚さは、特に限定されないが、概ね0.025mm〜0.5mm程度である。
【0051】
収集部材330は、収集体332が被験者の微細孔形成領域に配置されるように、保持シート331の粘着面によって当該被験者の皮膚600に貼付される。そして、収集体332を微細孔形成領域に配置した状態で所定時間、例えば、60分以上、好ましくは120分以上放置することにより、微細孔を介して抽出される組織液に含まれる成分を当該収集体332に収集する。
【0052】
[耐糖能の分析の処理手順]
つぎに、耐糖能分析システムを用いた被験者の耐糖能の分析の処理手順を説明する。
図14は、本発明の耐糖能分析システムを用いた被験者の耐糖能の分析のフローチャートである。
【0053】
まず、ユーザによる処理が行なわれる。ここで、ユーザとは、被験者の耐糖能分析を行なう試験者である。ユーザは、同一人とは限らない。以下に示すS1−1〜S1−4は、健康診断実施施設で行なわれることが好ましく、S1−5、S2−1〜S2−3及びS1−6は、健康診断実施施設とは異なる検査センターで行なわれることが好ましい。さらには、S1−6において、飲食物の種類及び飲食物の摂取量の入力は、健康診断実施施設で行なわれ、測定装置300によって得られたAUC値(推定血糖AUC)の入力は、検査センターで行なわれることが好ましい。
ステップS1−1において、ユーザは、被験者の皮膚に微細孔を形成する。具体的には、微細針チップ380が装着された微細孔形成装置370の鍔部375を、微細針チップ380が皮膚と接触しうるように配置する。ついで、ユーザは、リリースボタン372を押圧して微細針チップ380の微細針381を被験者の皮膚600に接触させることで、当該皮膚600に微細孔601を形成させる。
微細孔601を形成することで、皮膚600からの組織液の抽出を促進させることができる。
ステップS1−1では、このように微細孔601を形成して組織液を抽出するため、被験者に対する負担が軽減される。
ステップS1−2において、ユーザは、被験者の皮膚における微細孔601が形成された部分(微細孔形成部分)にゲルパッチ(収集部材330)を貼付する。具体的には、ユーザは、微細孔形成装置370を被験者の皮膚600から離す。ついで、ユーザは、微細孔形成部分に収集体332が配置されるように、収集部材330の保持シート331を被験者の皮膚600に貼付する。
これにより、収集部材330中に被験者の皮膚からの組織液が抽出され、組織液に含まれるグルコース及びナトリウムイオンが当該収集部材330の収集体332に収集され、蓄積される。
ステップS1−3において、ユーザは、被験者に飲食物を摂取させる。ステップS1−3では、被験者に摂取させた飲食物の種類及び飲食物の摂取量を記録しておく。被験者に摂取させる飲食物は、対応するGIが求められているものであれば、特に限定されるものではない。かかる飲食物は、例えば、健康診断用に準備された規定の食事であってもよく、被験者が自由に選択した食事であってもよい。
ステップS1−4において、ユーザは、飲食物の摂取終了時から2時間経過後、被験者の皮膚に貼付されたゲルパッチ(収集部材330)を回収する。
ステップS1−5において、ユーザは、ゲルパッチ(収集部材330)を測定装置300にセットする。具体的には、ユーザは、ゲルパッチ(収集部材330)をカートリッジ350の所定箇所に貼付し、当該カートリッジ350を測定装置300のカートリッジ配置部302にセットする。
【0054】
つぎに、測定装置300による処理が行なわれる。
S2−1において、測定装置は、ユーザによる血糖AUCの測定開始の指示を受け付ける。測定装置300が測定開始の指示を受け付けた場合(Yes)、処理は、ステップS2−2に進行する。一方、測定装置300が測定開始の指示を受け付けていない場合、ステップS2−1が繰り返される。
ステップS2−2において、測定装置300は、ナトリウムイオン量及びグルコース量を測定する。
ステップS2−3において、測定装置300は、ステップS2−2で測定された測定値から、AUC値(推定血糖AUC)を算出する。具体的には、測定装置300は、まず、ステップS2−2で測定された測定値から、収集体332中のグルコース濃度CGlu及びナトリウムイオン濃度CNaを算出する。ついで、測定装置300は、グルコース濃度CGlu及びナトリウムイオン濃度CNaと、下記式(2):
AUC=CGlu×V/{α×(CNa×V/t)+β} (2)
〔式中、Vは収集部材330の収集体332の体積、tは抽出時間、α及びβは実験により求められる定数を示す〕
とに基づいて推定血糖AUCを算出する。式(2)に基づいて推定血糖AUCを算出する原理については、国際公開公報第2010/013808号に詳細に説明されている。
【0055】
つぎに、ユーザによる処理が行なわれる。
ステップS1−6において、ユーザは、被験者が摂取した飲食物の種類及び飲食物の摂取量並びに測定装置300によって得られたAUC値(推定血糖AUC)を耐糖能分析システム1の端末100に入力する。
端末100における入力画面には、図15に示されるように、食事情報として摂取飲食物の種類を入力するための項目A1と、その飲食物の摂取量を入力するための項目A2と、AUC値(推定血糖AUC)を入力するための項目A3とが含まれている。項目A1は、プルダウン形式が採用されている。これにより、ユーザは、被験者が摂取した飲食物の種類の入力を容易に行なうことができる。端末100は、入力された情報をサーバ200に送信する。
【0056】
その後、耐糖能分析システム1による処理が行なわれる。S3−1〜S3−5の処理は、サーバ200のハードディスク223に記憶される基準値算出・比較判定プログラムによって実現される。
ステップS3−1において、サーバ200のCPU220は、入力された被験者が摂取した飲食物の種類及び飲食物の摂取量に基づいてGL値を算出する。
ここで、GL値は、グリセミック・インデックス(GI)に炭水化物の重量を乗じた値に基づく数値であり、血糖値を上昇させる程度を表す指標である。このGL値は、
下記式(3):
GL値=[GI1×D1+GI2×D2+・・・・+GIn×Dn]/100 (3)
〔式中、GInは飲食物のGI、Dは飲食物の摂取量を示す〕
にしたがって算出することができる。なお、飲食物のGIは、例えば、ウェブページhttp://fmx01dhs.ucc.usyd.edu.au/Sugirs/index.phpなどで公開された値である。
ステップS3−2において、CPU220は、ステップS3−1で得られたGL値に基づいて、所定の計算式にしたがって、被験者の耐糖能を分析するための基準値を算出する。
上記した計算式としては、下記式(1):
基準値(Th(AUC))=A+〔B/(C/GL)〕 (1)
〔式中、Aは空腹時血糖の2時間血糖AUC値を表し、Bは血糖値上昇分の基準値を表し、Cは所定量のグルコース(例えば、75g)に相当するグリセミック・ロード(すなわち、75)を表し、GLは被験者が摂取した飲食物に対応するグリセミック・インデックス(Glycemic Index)と飲食物の摂取量とから算出されるグリセミック・ロード(すなわち、ステップS3−1で得られたGL値)を表す。〕
が挙げられる。
ここで、上記空腹時血糖の2時間血糖AUC値は、被験者の空腹時血糖値に2を乗じることにより予め定められる値である。被験者の空腹時血糖値として、例えば、空腹時血糖値の標準値である90mg/dLを用いてもよいし、健康診断時の採血によって測定された値を用いてもよい。空腹時血糖値として90mg/dLを用いた場合、2時間血糖AUC値は、180mg・h/dLとなる。
上記した血糖値上昇分の基準値は、75g経口糖負荷試験(OGTT)での基準値(Th(AUC))から空腹時血糖の2時間血糖AUC値を除した値である。例えば、75gOGTTでの基準値(Th(AUC))が300mg・h/dLであり、空腹時血糖の2時間血糖AUC値が180mg・h/dLである場合、血糖値上昇分の基準値は、120(300−180)mg・h/dLとなる。
なお、本実施の形態では、75gOGTTによって得られる情報と、日本糖尿病学会の糖尿病診断基準(75gOGTTでの基準値(300mg/dL)及び空腹時血糖値の標準値(90mg/dL))とに基づいて上記式(1)を用いて基準値(Th(AUC))を算出したが、本発明はそのような実施の形態に限定されない。すなわち、75gOGTTによって得られる情報(式(1)中、B及びC)は、経口糖負荷試験に用いるグルコース量に応じて適宜変更することが可能である。
式(1)と、血糖AUC(この場合、推定血糖AUC)とを用いることにより、被験者の耐糖能のタイプを区別することができる。これにより、耐糖能の分析の際における患者の負担の軽減が可能となり、かつ耐糖能の分析を高い精度で簡便に行なうことができる。
ステップS3−3において、CPU220は、ステップS3−2で得られた基準値と、ステップS1−6で入力されたAUC値(この場合、推定血糖AUC)とに基づいて、被験者の耐糖能を分析する。具体的には、耐糖能分析システム1は、AUC値が基準値より大きいか否かに基づいて、被験者の耐糖能を分析する。
ここで、AUC値>Th(AUC)である場合、処理は、ステップS3−4に進行し、CPU220は、被験者が耐糖能異常(食後高血糖)であることを示す分析結果を生成する。生成された情報は、端末100に送信される。
端末100のディスプレイ100aは、受信した分析結果を表示する。このとき、出力画面には、例えば、図16に示されるように、「食後高血糖のおそれがあります」という分析結果B1が表示される。なお、出力画面によって表示される分析結果は、上記のものに限定されず、例えば、「耐糖能異常又は糖尿病型のおそれがあります」等の分析結果であってもよい。
一方、AUC値>Th(AUC)ではない場合、処理は、ステップS3−5に進行し、CPU220は、被験者が正常であることを示す分析結果を生成し、分析結果を端末100に送信する。端末100のディスプレイ100aは、受信した分析結果を表示する。このとき、出力画面には、例えば、「正常型です」という分析結果が表示される。
なお、耐糖能分析システム1には、ユーザにより、ステップS1−6において、摂取した飲食物の種類及びその摂取量それぞれに関する情報が入力されていることから、耐糖能分析システム1では、摂取した食事に基づいて、ディスプレイ100aに、栄養指導に関する情報を出力させることもできる。例えば、被験者が摂取した食事の内容が炭水化物同士の組み合わせ(例えば、うどんといなり寿司との組合せ、お好み焼きとご飯との組合せ、ラーメンとチャーハンとの組合せなど)であり、摂取した飲食物の種類からの基準値が290であり、かつ被験者の血糖AUCが320であった場合、このような食事内容を選択する習慣が、食後高血糖などの耐糖能異常を引き起こしている一因であると推定することができる。したがって、この場合、栄養指導に関する情報として、「適切な飲食物の組み合わせ方」、「飲食物を食べる順番(例えば、最初に、野菜から食べることなど)」、「摂取した飲食物の組み合せの代替案」等の耐糖能の改善のための具体的な指導に関する情報を出力することができる。栄養指導に関する情報は、例えば、食事内容のパターン等に応じて、ハードディスク123又は223等に予め記憶されていることが好ましい。
【0057】
以上説明したように、本実施の形態に係る耐糖能分析システム1によれば、被験者が任意の食事をとった場合であっても、被験者が摂取した飲食物の種類、飲食物の摂取量、及び被験者における飲食物の摂取後のグルコース量それぞれに関する情報を当該耐糖能分析システム1に入力することによって、被験者の耐糖能を分析することが可能になっている。したがって、従来技術のように、経口糖負荷試験を行なわなくてもよいため、被験者の負担を軽減することができる。
なお、上記実施の形態では、組織液に含まれるナトリウムイオン量及びグルコース量に基づいて、AUC値(この場合、推定血糖AUC)を求めたが、本発明はそのような実施の形態に限定されない。例えば、前腕毛細血管における血糖自己測定(SMBG)を、血糖変動時には15分間隔、血糖安定時には30分以上の間隔で行ない、得られたSMBG値より台形近似法によりAUC値(この場合、血糖AUC)を求めてもよい。
また上記実施の形態では、飲食物による血糖上昇に関する指標としてGIを用いたが、本発明はそのような実施の形態に限定されない。例えば、炭水化物量、飲食物毎のカロリー上昇の度合い等を飲食物による血糖上昇に関する指標として用いることもできる。
【0058】
[効果の検証]
式(1)に示された計算式にしたがって算出される基準値を被験者の耐糖能の分析に用いることの効果を検証する。
健康診断における身体計測、採血などの一連の検査の終了後、被験者の前腕腹部をエタノール含浸綿で消毒し、図9に示される微細針チップ380(微細針長さ=300μm、微細針数=305本)が装着された微細孔形成装置370を用い、穿刺速度:6m/sで、被験者50名それぞれの皮膚に微細孔を形成した。
【0059】
なお、被験者は、予め、耐糖能のタイプに応じて、以下のように分類されている。
1:正常型
2:空腹時高血糖(空腹時のみ血糖値が基準値よりも高いが、食後の血糖上昇は正常型である)
3:耐糖能異常A(食後2時間経過時の血糖値が基準値を超えるが、食後1時間経過時の血糖値は基準値よりも低い値である)
4:耐糖能異常B(食後1時間経過時の血糖値が基準値よりも高い値である)
5:糖尿病型
【0060】
つぎに、被験者の皮膚における微細孔形成部分に収集部材330(抽出面積:5mm×10mm)を貼付した。その後、規定食(キユーピー(株)製、商品名:ジャネフE460F18)を被験者に摂取させた。なお、規定食のGL値は、約50である。規定食摂取終了時から2時間経過後、収集部材330を回収し、当該収集部材330からハイドロゲル(収集体)のみを剥離した。得られたハイドロゲル(収集体)を、5mLの精製水に浸漬させ、庫内温度4℃に設定した冷蔵庫にて一晩保管することで、ハイドロゲル中に蓄積された生体成分の回収を行なった。
【0061】
回収された収集部材330に抽出された組織液のグルコース量及びナトリウムイオン量を測定した。なお、グルコース量の測定は、GOD蛍光吸光度法により行なった。また、ナトリウムイオン量の測定は、イオンクロマトグラフにより行なった。
【0062】
つぎに、グルコース量及びナトリウムイオン量から、収集部材330の収集体332中のグルコース濃度CGlu及びナトリウムイオン濃度CNaを算出した。ついで、グルコース濃度CGlu及びナトリウムイオン濃度CNaと式(2)とに基づいて食後の推定2時間血糖AUC値を算出した。なお、収集体332の体積は、5mm×10mm×0.3mmであった。
【0063】
つぎに、以下に示されるように、式(1)にしたがって基準値を算出した。なお、空腹時血糖の2時間血糖AUC値として、健康診断時の採血によって測定された値に2を乗じた値(160)を使用した。したがって、式(1)における「A」は160であり、「B」は300−160=140であった。
基準値(Th(AUC))=A+〔B/(C/GL)〕
=160+[140/(75/50)]
=253
【0064】
耐糖能のタイプと推定血糖AUCとの関係を調べた結果を図17(A)に示す。
【0065】
また、各被験者の食後血糖について、指先毛細管血における血糖自己測定(SMBG)を1時間間隔で行ない、得られた血糖値と、健康診断時の空腹時血糖値とにより、台形近似法で血糖AUCを算出した。耐糖能のタイプと血糖AUCとの関係を調べた結果を図17(B)に示す。図中、1〜5は被験者の耐糖能のタイプにおける1〜5を示す。
【0066】
図17(A)及び(B)に示された結果から、式(1)に示された計算式にしたがって算出される基準値により、耐糖能異常B及び糖尿病型が、その他の耐糖能のタイプと明確に識別できることがわかる。したがって、式(1)に示された計算式にしたがって算出される基準値は、被験者の耐糖能の分析に有用であることがわかる。
【0067】
[変形例]
なお、上記実施の形態においては、血糖AUC(又は推定血糖AUC)が基準値を超えているか否かに基づいて耐糖能を分析する例を挙げたが、本発明は、かかる実施の形態のみに限定されない。例えば、基準値を基準として所定の範囲(以下、「グレーゾーン」と記す。)を設定し、そのグレーゾーンに基づいて、耐糖能を分析してもよい。この場合、以下のような基準及び分析結果を例示される。
1)血糖AUC(又は推定血糖AUC)がグレーゾーンを超えている場合
・・・・糖尿病型である。
2)血糖AUC(又は推定血糖AUC)がグレーゾーン内にある場合
・・・・空腹時高血糖及び耐糖能異常のいずれかである。
3)血糖AUC(又は推定血糖AUC)がグレーゾーン未満である場合
・・・・正常型である。
【0068】
<実施の形態2>
本実施の形態は、被験者が摂取した飲食物の種類、飲食物の摂取量、及び被験者における飲食物の摂取後のグルコース量それぞれに関する情報の入力を受け付ける受付部と、分析結果を出力する出力部と、飲食物による血糖上昇に関する指標、及び被験者の耐糖能を分析するための基準値を算出するための計算式を記憶する記憶部と、被験者の耐糖能を分析するための基準値を算出し、かつ被験者の耐糖能を分析して、得られた分析結果を出力する制御部とを備えたコンピュータより構成される耐糖能分析装置である。
【0069】
図18は、本発明の一実施の形態に係る耐糖能分析装置の機能構成を示すブロック図である。この耐糖能分析装置は、実施の形態1における端末100及びサーバ200が一体に構成された装置である。
耐糖能分析装置500は、図18に示されるように、受付部501と、記憶部502と、算出部503と、分析部504と、出力部505とを備えたコンピュータである。なお、本実施の形態においては、算出部503と分析部504とは、制御部506を構成している。
受付部501は、被験者が摂取した飲食物の種類、飲食物の摂取量、及び被験者における飲食物の摂取後のグルコース量それぞれに関する情報の入力を受け付ける。記憶部502は、飲食物による血糖上昇に関する指標、及び被験者の耐糖能を分析するための基準値を算出するための計算式を記憶する。算出部503は、受付部501で受け付けられた被験者の摂取した飲食物の種類及び飲食物の摂取量それぞれに関する情報と、記憶部502に記憶された指標とに基づいて、記憶部502に記憶された計算式にしたがって、被験者の耐糖能を分析するための基準値を算出する。分析部504は、受付部501で受け付けられたグルコース量に関する情報と、算出部503によって算出された基準値とに基づいて、被験者の耐糖能を分析する。出力部は、分析部504で得られた分析結果を出力する。
【0070】
本実施の形態に係る耐糖能分析装置500を用いた被験者の耐糖能の分析の処理手順のフローチャートは、前述した耐糖能分析システム1を用いた被験者の耐糖能の分析の処理手順のフローチャートと同様である。
【0071】
以上説明したように、本実施の形態に係る耐糖能分析装置500によれば、被験者が任意の食事をとった場合であっても、被験者が摂取した飲食物の種類、飲食物の摂取量、及び被験者における飲食物の摂取後のグルコース量それぞれに関する情報を当該耐糖能分析装置500に入力することによって、被験者の耐糖能を分析することが可能になっている。したがって、本実施の形態に係る耐糖能分析装置500によれば、前述した耐糖能分析システム1の場合と同様に、従来技術における経口糖負荷試験を行なわなくてもよいため、被験者の負担を軽減することができる。
【0072】
<その他の変形例>
耐糖能分析システム1及び耐糖能分析装置500においては、受付部101,501は、測定装置300と通信可能に接続されていてもよい。この場合、測定装置300で得られた飲食物の摂取後のグルコース量に関する情報を、直接、受付部101,501に送信することができることから、ユーザによる飲食物の摂取後のグルコース量に関する情報の入力が不要となる。
【符号の説明】
【0073】
1 耐糖能分析システム
100 端末(第1の情報処理装置)
101 受付部
102 送信部
103 受信部
104 出力部
200 サーバ(第2の情報処理装置)
201 受信部
202 記憶部
203 算出部
204 分析部
205 送信部
206 制御部
332 収集体
500 耐糖能分析装置
501 受付部
502 記憶部
503 算出部
504 分析部
505 出力部
506 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の耐糖能を分析する装置であって、
被験者が摂取した飲食物の種類、前記飲食物の摂取量、及び前記被験者における前記飲食物の摂取後のグルコース量それぞれに関する情報の入力を受付ける受付部と、
耐糖能の分析結果を出力する出力部と、
前記受付部によって受け付けられた前記被験者の摂取した飲食物の種類及び前記飲食物の摂取量それぞれに関する情報と、予め定められる飲食物の血糖上昇に関する指標とに基づいて、前記被験者の耐糖能を分析するための基準値を算出し、かつ前記受付部によって受け付けられた前記グルコース量に関する情報と、算出された基準値とに基づいて、前記被験者の耐糖能を分析して、得られた分析結果を耐糖能の分析結果として前記出力部に出力させる制御部と、
を備える、耐糖能分析装置。
【請求項2】
前記飲食物による血糖上昇に関する指標が、グリセミック・インデックス(Glycemic Index)である、請求項1に記載の耐糖能分析装置。
【請求項3】
前記グルコース量に関する情報は、グルコースの血中濃度−時間曲線下面積(血糖AUC)又は前記血糖AUCに対応する値である、請求項1又は2に記載の耐糖能分析装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記基準値を算出するための計算式にしたがって前記基準値を算出し、
前記計算式は、下記式(1):
基準値(Th(AUC))=A+〔B/(C/GL)〕 (1)
〔式中、Aは空腹時血糖の2時間血糖AUC値を表し、Bは血糖値上昇分の基準値を表し、Cは所定量のグルコースに相当するグリセミック・ロード(Glycemic Load)を表し、GLは被験者が摂取した飲食物に対応するグリセミック・インデックス(Glycemic Index)と飲食物の摂取量とから算出されるグリセミック・ロードを表す。〕
で示された式である、請求項3に記載の耐糖能分析装置。
【請求項5】
前記グルコース量に関する情報は、皮膚からの組織液の抽出を促進する亢進処理のなされた前記被験者の皮膚から前記飲食物の摂取後に採取された組織液中のグルコース量に関する情報である、請求項1〜4のいずれかに記載の耐糖能分析装置。
【請求項6】
前記組織液は、前記被験者の皮膚に接触させた収集体に蓄積させることによって収集された組織液である、請求項5に記載の耐糖能分析装置。
【請求項7】
前記グルコース量は、前記飲食物の摂取後又は収集体貼付後2時間が経過するまで前記収集体に収集された前記組織液中のグルコース量である、請求項6に記載の耐糖能分析装置。
【請求項8】
前記グルコース量に関する情報は、前記組織液中のグルコース量を前記組織液中の無機イオン量によって補正することにより得られた数値である、請求項5〜7のいずれかに記載の耐糖能分析装置。
【請求項9】
前記無機イオンは、ナトリウムイオンである、請求項8に記載の耐糖能分析装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記グルコース量に関する情報が前記基準値を超えていることを示す情報である場合に、前記被験者が耐糖能異常であることを示す分析結果を生成する、請求項1〜9のいずれかに記載の耐糖能分析装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記グルコース量に関する情報が前記基準値以下であることを示す情報である場合に、前記被験者は耐糖能異常ではないことを示す分析結果を生成する、請求項1〜10のいずれかに記載の耐糖能分析装置。
【請求項12】
前記被験者が摂取した飲食物の種類に関する情報と、前記制御部で生成された分析結果とに基づいて、栄養指導に関する情報を取得する取得部をさらに備え、
前記制御部は、前記取得部により取得された前記情報を前記出力部にさらに出力させる、請求項1〜11のいずれかに記載の耐糖能分析装置。
【請求項13】
第1の情報処理装置及び第2の情報処理装置を備え、被験者の耐糖能を分析する耐糖能分析システムであって、
前記第1の情報処理装置は、
被験者が摂取した飲食物の種類、前記飲食物の摂取量、及び前記被験者における前記飲食物の摂取後のグルコース量それぞれに関する情報の入力を受付ける受付部と、
前記受付部によって受け付けられた前記情報を、前記第2の情報処理装置に送信する第1の送信部と、
前記第2の情報処理装置から、前記被験者の耐糖能の分析結果を受信する第1の受信部と、
前記第1の受信部によって受信された前記分析結果を出力する出力部と、
を備え、
前記第2の情報処理装置は、
前記第1の送信部から送信される前記情報を受信する第2の受信部と、
前記第2の受信部によって受信された前記被験者の摂取した飲食物の種類及び前記飲食物の摂取量それぞれに関する情報と、予め定められる飲食物の血糖上昇に関する指標とに基づいて、前記被験者の耐糖能を分析するための基準値を算出し、かつ前記第2の受信部によって受信された前記グルコース量に関する情報と、算出された基準値とに基づいて、前記被験者の耐糖能を分析する制御部と、
前記制御部による分析結果を、前記第1の情報処理装置に送信する第2の送信部と、
を備える、耐糖能分析システム。
【請求項14】
耐糖能の分析結果を出力する出力装置と、入力装置とが接続されるコンピュータによって実行されると、当該コンピュータを、
入力装置を介して、被験者が摂取した飲食物の種類、前記飲食物の摂取量、及び前記被験者における前記飲食物の摂取後のグルコース量に関する情報それぞれの入力を受付ける受付部、及び
前記被験者の摂取した飲食物の種類及び前記飲食物の摂取量それぞれに関する情報と、予め定められる飲食物の血糖上昇に関する指標とに基づいて、前記被験者の耐糖能を分析するための基準値を算出し、かつ前記受付部によって受け付けられた前記グルコース量に関する情報と、算出された基準値とに基づいて、前記被験者の耐糖能を分析して、得られた分析結果を前記出力装置に出力させる制御部、
として機能させる、コンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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