説明

耐衝撃性パーライトとその製造方法

【課題】製造後の輸送中や取扱いの際に破壊され難く、優れた耐衝撃性を有するパーライトおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】鉱物質原料を加熱し発泡させてパーライトとその製造方法であって、加熱発泡後に、粒子径45μm以上および見掛密度1.0g/cm3以上の高密度粒子を分離することによって、嵩密度変化を抑制したパーライトとその製造方法であり、発泡粒子を風力下で風速を調整することによって上記高密度粒子を分離し、または発泡粒子を水中に入れて浮揚粒子と沈降粒子に分離した後に、回収した浮揚粒子を篩分けして上記高密度粒子を分離したパーライトとその製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐衝撃性を有するパーライトとその製造方法に関し、より詳しくは、製造後の輸送中や取扱いの際に破壊され難く、優れた耐衝撃性を有するパーライトの製造方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
パーライトは真珠岩や黒曜石等などの鉱物質原料粒子を加熱して発泡させた中空粒子であり、軽量化材料として広く用いられている。例えば、モルタル、瓦、外壁材にパーライトを混合して軽量化する材料として用いられている。
【0003】
パーライトは、原料粒子に対して直径比で通常1.5倍〜5倍程度に発泡しており、表面の殻の厚さが数ミクロンであり非常に薄いため破損しやすく、パーライトを製造した後に、保管、輸送、最終製品製造などの取扱い中に部分的に壊れ、製造中の嵩密度が次第に大きくなる。
【0004】
このようなパーライトの破壊を防止する対策として、低温焼成して発泡倍率を小さくすることによってパーライトの強度を高めることが考えられるが、低温焼成すると未発泡粒子が発生し、発泡したパーライトと未発泡粒子が混在することになる。このような未発泡粒子が混在すると、未発泡粒子は重いので周囲の発泡粒子に衝撃を与え、輸送中や製品の取扱いの際に、発泡粒子が破壊される割合が多くなると云う問題がある。このような未発泡粒子を少なくするには、高温で焼成して原料粒子全体を十分に加熱すればよいが、高温焼成すると発泡過多となり、外殻の厚さが薄くなるため発泡体の強度が低下する。
【0005】
パーライトの強度を高める他の方法として、原料粉末を余熱した後に加熱発泡させる方法が知られている。具体的には、真珠岩を原料とするパーライトは、真珠岩に含まれる水分が発泡剤として作用し、加熱によって水分が気化し、融点以上の温度になると気化した水蒸気によって発泡する。このとき水分量が多すぎると発泡過多になり、殻の厚さが薄く強度が弱くなる。そこで、あらかじめ余熱して真珠岩中の水分量をコントロールした後に発泡温度に加熱することによって過剰な発泡を防止する方法が知られている(特許文献1、2)。
【0006】
また、原料粉末を予備加熱して含有水分量を調整した後に、この原料粉末を高融点微粉末に混合して発泡させた後に、生成した発泡体(パーライト)を高融点微粉末から分離する製造方法も知られている(特許文献3)。この製造方法は予備加熱した原料粉末を高融点微粉末に混合して発泡させることによって均一に発泡させ表面の凹凸が少ない球状のパーライトを製造する方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−277851号公報
【特許文献2】特開2007−320805号公報
【特許文献3】特許第3528390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
原料を予備加熱するには、発泡用の加熱炉のほかに予備加熱炉が必要であり、製造設備が大掛かりになると云う問題がある。また、予備加熱した原料粉末を高融点微粉末に混合して加熱発泡させる方法では、高融点微粉末の供給設備や分離設備が必要になり、工程も多くなるので手間がかかり製造コストも嵩む問題がある。
【0009】
さらに、何れの製造方法においても未発泡体の混入は避けられない。未発泡粒子が混在すると、未発泡粒子は発泡粒子よりも重いので、輸送中や製品の取扱いの際に、振動などの外力を受けると未発泡粒子が周囲の発泡粒子に衝撃を与えて破壊する割合が多くなると云う問題がある。焼成条件を最適化し、改良した焼成炉を使用して焼成しても、未発泡粒子のないパーライトを製造することは困難である。
【0010】
本発明は、このような問題を解決したものであり、製造後の輸送中や取扱いの際に破損し難い、優れた耐衝撃性を有するパーライトとその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、以下の構成を有する耐衝撃性パーライトとその製造方法に関する。
〔1〕鉱物質原料を加熱発泡させてなるパーライトであり、見掛密度が1.0g/cm3未満の低密度粒子を80vol%以上を含み、かつ粒子径45μm以上および見掛密度1.0g/cm3以上の高密度粒子の含有量が15vol%以下であることを特徴とする耐衝撃性パーライト。
〔2〕平均見掛密度が0.2〜0.6g/cm3である上記[1]に記載する耐衝撃性パーライト。
〔3〕鉱物質原料を加熱発泡させた後に、粒子径45μm以上および見掛密度1.0g/cm3以上の高密度粒子を分離することによって、粒子径45μm以上および見掛密度1.0g/cm3以上の高密度粒子の含有量が15vol%以下のパーライトを製造する耐衝撃性パーライトの製造方法。
〔4〕発泡粒子を風力下で風速を10〜50m/secに調整することによって、粒子径45μm以上および見掛密度1.0g/cm3以上の高密度粒子を落下分級する上記[3]に記載する耐衝撃性パーライトの製造方法。
〔5〕鉱物質原料を加熱発泡させた後に、発泡粒子を水中に入れて沈降した粒子を分離除去する上記[3]に記載する耐衝撃性パーライトの製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明のパーライトは、粒子径45μm以上であって見掛密度1.0g/cm3以上の高密度粒子の含有量が15vol%以下に低減されているので、空気輸送の際に破損される発泡粒子が格段に少なく、従って、空気輸送前後の嵩密度の変化が小さく、耐衝撃性に優れており、また、材料分離を生じ難い。
【0013】
本発明の製造方法は、原料粒子を加熱発泡させた後に、粒子径45μm以上であって見掛密度1.0g/cm3以上の高密度粒子を分離して高密度粒子が少ない発泡粒子にするので、空気輸送前後の嵩密度の変化が小さい耐衝撃性に優れたパーライトを容易に製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施形態に基づいて具体的に説明する。
本発明のパーライトは、鉱物質原料を加熱発泡させてなるパーライトであり、見掛密度が1.0g/cm3未満の低密度粒子を80vol%以上を含み、かつ粒子径45μm以上および見掛密度1.0g/cm3以上の高密度粒子の含有量が15vol%以下であることを特徴とする耐衝撃性パーライトである。ここで、見掛密度1.0g/cm3以上の高密度粒子の量は、パーライトを水中に混合したときに沈んだ粒子の容積を測定することにより、その量を算出することができる。水の密度は液体状態・常圧ではおよそ1.0g/cm3であるので、沈んだ粒子は1.0g/cm3以上の粒子となる。
【0015】
本発明のパーライトは、鉱物質原料を加熱発泡させた後に、粒子径45μm以上であって見掛密度1.0g/cm3以上の高密度粒子を分離し、除去することによって製造することができる。
【0016】
パーライトを製造する鉱物質原料は加熱して発泡する岩石質粉末などからなる原料であり、具体的には、内部に水を有する真珠岩、松脂岩、黒曜石、シラス等が用いられる。その他、シリカガラス原料粉末にSiCなどの発泡剤を添加して造粒したものや、内部に未燃カーボンが含有しているフライアッシュ等が用いられる。
【0017】
原料を加熱する手段(加熱炉等)は限定されない。通常のロータリーキルン、気流焼成炉、流動層焼成炉などを用いることができる。また、加熱炉等に供給する手段や方法、排出する手段や方法も限定されない。
【0018】
平均粒子径50〜200μmの鉱物質原料粒子を加熱炉に入れ、概ね750〜1000℃に加熱して発泡させることによって発泡粒子(パーライト)を製造することができる。加熱温度は焼成炉の種類や大きさによって温度を調整すればよい。
【0019】
一般に、平均粒径150μmの真珠岩粒子を約800℃に加熱すると、概ね平均粒径180μm〜300μmの発泡粒子(全体の嵩密度約0.2〜0.35g/cm3)になるが、原料粒子の状態や加熱状態によって未発泡粒子あるいは発泡不十分な粒子が含まれている場合があり、通常、見掛密度1.0g/cm3以上の高密度粒子が概ね20vol%前後含まれている。なお、見掛密度は、粒子内に空間があり、該内部空間が外部に連通つていない場合に、内部空洞も含めた粒子の体積に対する粒子質量の比であり、見掛密度=粒子質量/粒子体積(g/cm3)によって表わされる。
【0020】
このような高密度粒子(重い粒子)は、周囲の密度の小さい発泡粒子(軽い粒子)に衝突すると、これを破壊する傾向がある。特に、高密度でありかつ粒径の大きく重たい粒子は運動エネルギーが大きく、衝突時に多くの発泡粒子を破壊する。従って、原料粒子を加熱発泡させて発泡粒子を製造したときに、高密度粒子が多く含まれていると、発泡粒子を空気輸送する際に、軽い発泡粒子が破壊されて、空気輸送の前後で発泡粒子の密度変化(密度差)が大きくなり、発泡粒子全体が耐衝撃性の低いものになる。
【0021】
そこで、本発明の製造方法は、原料粒子を加熱発泡させた後に、粒子径45μm以上であって見掛密度1.0g/cm3以上の粒子を分離して、その含有量を15vol%以下に制限する。粒子径45μm以上であって見掛密度1.0g/cm3以上の粒子は、周囲の嵩密度の小さい発泡粒子(軽い粒子)に衝突すると、これを破壊する傾向が大きいので、このような高密度粒子を除去する。なお、本発明において粒子径45μm以上であって見掛密度1.0g/cm3以上の粒子を高密度粒子と云う。
【0022】
なお、見掛密度が1.0g/cm3以上であっても粒子径45μmより小さいものは、周囲の軽い粒子を破壊して密度変化を引き起こす傾向は小さいので、このような粒子が含まれるのは許容される。一方、粒子径が45μm以上であっても見掛密度が1.0g/cm3未満の粒子は発泡した軽い粒子であり、大部分の発泡粒子はこの低密度粒子である。本発明のパーライトは見掛密度が1.0g/cm3未満の低密度粒子を80vol%以上を含む。
【0023】
粒子径45μm以上であって見掛密度1.0g/cm3以上の高密度粒子を分離する手段は、乾式または湿式の比重分離装置、遠心力比重分離装置、あるいは慣性力集塵機などを用いればよい。乾式の分離方法として、例えば、発泡粒子を風力下で風速を調整することによって、粒子径45μm以上および見掛密度1.0g/cm3以上の高密度粒子を落下させて分離することができる。具体的には、空気輸送する輸送管の下部に粒子を捕集するトラップを設け、空気圧(風速)を調整して目的の粒子を落下させ、捕集する分離装置を用いるとよい。
【0024】
具体的には、発泡粒子を空気輸送する際に、風速を10〜50m/secに調整することによって、粒子径45μm以上および見掛密度1.0g/cm3以上の高密度粒子を落下させて分離することができる。この分離方法によって、粒子径45μm以上および見掛密度1.0g/cm3以上の高密度粒子の含有量が15vol%以下のパーライトを得ることができる。
【0025】
一方、見掛密度1.0g/cm3以上の高密度粒子を分離するには、水に対する浮揚を利用すれば良い。発泡粒子を水中に入れると、見掛密度1.0g/cm3以上の重い粒子は沈むので、沈んだ粒子を分離し、浮揚した粒子を回収することによって、見掛密度1.0g/cm3以上の粒子を含まない発泡粒子を得ることができる。水を利用したこの分離方法によれば、見掛密度1.0g/cm3以上の高密度粒子を全て分離することができるので、粒子径にかかわらず見掛密度1.0g/cm3以上の高密度粒子の含有量が15vol%以下のパーライトを得ることができる。
【0026】
本発明のパーライトは、粒子径45μm以上および見掛密度1.0g/cm3以上の高密度粒子の含有量が15vol%以下であり、好ましくは、粒子全体の平均見掛密度が0.2〜0.6g/cm3であり、見掛密度1.0g/cm3未満の低密度粒子含有量80%以上である。
【0027】
平均見掛密度が0.2g/cm3より小さいと粒子自体の強度が弱いため耐衝撃性が劣る。また平均見掛密度が0.6g/cm3より大きい場合には、残留している高密度粒子含有量が多く、また軽量化材として使用しても軽量効果が小さい。従って、平均見掛密度は0.2〜0.6g/cm3の範囲が適当である。また、見掛密度1.0g/cm3未満の低密度粒子含有量が80%より小さいと高密度粒子含有量が多くなるので好ましくない。
【0028】
本発明のパーライトは、粒子径45μm以上および見掛密度1.0g/cm3以上の高密度粒子の含有量が15vol%以下である。これより多いと、空気輸送したときに、粒子全体の嵩密度変化が大きくなる。
【0029】
パーライト中に高密度粒子が多いと、これが軽い発泡粒子に衝突して破壊し、粒子全体の嵩密度変化が大きくなる。従来のパーライトはこのような嵩密度の変化が大きい。一方、本発明のパーライトは、高密度粒子の含有量が少ないので、発泡粒子が破壊され難く、優れた耐久性を有するので、輸送中や使用時の取扱いによる嵩密度の変化が小さい。
【0030】
本発明のパーライトは高密度粒子の含有量が少ないので、使用時の材料分離を生じ難い。パーライトに含まれる高密度粒子が多いと、瓦や壁材の材料にパーライトを混合して製品を加工するときに、材料分離を生じやすいため、製品毎に質量のばらつきが生じるなどの問題が生じる。本発明のパーライトは高密度粒子が少なく、材料分離を生じ難いので、高品質の製品を得ることができる。
【0031】
また、一般に製造したパーライトは製品サイロ等に保管されるが、サイロへの輸送は主に空気輸送によって行われている。空気輸送はパーライトを圧縮空気によって輸送管内を流すので、管内を流れるパーライトは空気圧を受ける。また、経路の途中には垂直部分や湾曲した部分があるので、管内を流れるパーライトはしばしば管壁に接触して衝突または摩擦によって破損する。さらにサイロへの積込み時や保管時、トラックやローリー車による運搬等によってパーライトに衝撃や圧力が加わる。本発明のパーライトはこのような衝撃や圧力による密度変化が小さい。
【実施例】
【0032】
以下、本発明の実施例を比較例と共に示す。なお、パーライトの嵩密度、見掛密度、平均粒径、見掛密度1.0g/cm3未満の低密度粒子含有量、高密度粒子残量は以下の方法によって測定した。
【0033】
〔嵩密度〕一定容積S(cm3)の容重枡に試料を充填し、開口からはみ出た部分をすり切り、全体の重量G1を測定し、これから容器の重量G2を差し引いて粉末重量G3(g)を求め、上記容積Sに対する粉末重量G3〔G3/S〕g/cm3を嵩密度とした。
〔見掛密度〕気体置換法(島津製作所社製、アキュピック1330)により測定した。
【0034】
〔平均粒径〕45、90、150、300、600μmの篩を用い、各篩残分および通過分質量を測定し、粒径の HYPERLINK "http://kotobank.jp/word/%E5%AF%BE%E6%95%B0" 対数を横軸に、各篩の通過質量を百分率(篩通過質量/全質量×100%)を縦軸として HYPERLINK "http://kotobank.jp/word/%E6%9B%B2%E7%B7%9A" 曲線粒径加積曲線のグラフを作成し、50質量%が通過する粒径をグラフより導き出し、この値を平均粒径とした。
【0035】
〔低密度粒子含有量〕水に浮く粒子は密度1.0g/cm3未満であるので、この容積が見掛密度が1.0g/cm3未満の低密度粒子量となる。約10gの試料を200mlメスシリンダーに入れて水を入れ、十分に攪拌した後に静置し、水の濁りがなくなるまで置き、浮いた試料Vaと沈んだ試料の容積Vbを測定しVa/(Va+Va)×100vol%から低密度粒子含有量を算出した。
【0036】
〔高密度粒子残量〕水に沈む試料(見掛密度1g/cm3以上)のうち45μm篩残留試料の全体の体積に対するvol%を測定した。
【0037】
〔実施例1(発泡工程1)〕
真珠岩A(平均粒径150μm、ig.loss2.3%)を表1に示す温度に加熱してパーライトを製造した。焼成温度と製造したパーライトの嵩密度および見掛密度1.0g/cm3未満の低密度粒子含有量を表1に示す。A2の試料は800℃で気流焼成炉にて加熱して全体の嵩密度を0.2g/cm3にした一般的なパーライトであり、見掛密度1.0g/cm3未満の低密度粒子含有量は79vol%である。
【0038】
【表1】

【0039】
〔実施例2(発泡工程2)〕
真珠岩B1(平均粒径150μm、ig.loss3.5%)、真珠岩B2(平均粒径150μm、ig.loss3.0%)、黒曜石B3(平均粒径150μm、ig.loss0.9%)を表1に示す温度に加熱してパーライトを製造した。焼成温度と製造したパーライトの嵩密度および見掛密度1.0g/cm3未満の低密度粒子含有量を表2に示す。
【0040】
【表2】

【0041】
〔実施例3〕
実施例1で製造したA2について、発泡粒子を空気輸送の風力下で風速(空気圧)を調整することによって、高密度粒子(粒子径45μm以上および見掛密度1.0g/cm3以上の粒子)を落下させて分離した。
具体的には、空気輸送管(内径200mm)を用い、その途中の下部に、長さ200mmのトラップ部を設置し、風速を変化させて通過させ、高密度粒子をトラップに落下させて捕集した。この結果を表3に示す。
なおC1については、風速が弱いため分離量が30vol%以上となり、分離する容量を超えるため分離不可であった。また、風速が50m/secを超えると、分離量が0.9vol%と著しく小さくなり、高密度粒子の含有量が本発明の範囲を外れる。
【0042】
【表3】

【0043】
〔実施例4〕
実施例1で製造したA2について、水中に入れて浮揚分と沈降分を分離し、浮揚分を回収して乾燥することによって、見掛密度1.0g/cm3以上の粒子を分離した。この結果を表4に示す。
【0044】
【表4】

【0045】
〔実施例5〕
実施例3の試料C2〜C4、実施例4の試料D1について、これらを風速50m/secで空気輸送した。また、比較試料として、高密度粒子を分離しない実施例1の試料A1〜A2、および実施例2の試料B1、B2、B3、実施例3の試料C5について同様の試験を行った。空気輸送前と輸送後の嵩密度、嵩密度差を表5に示す。空気輸送後の嵩密度は、輸送前に比べて0.2g/cm3よりも重くならないことが好ましい。
分離操作を行わなくても高密度粒子残量が15vol%を下回る場合には、輸送後にも嵩密度差が小さい(A3)。分離操作を行った場合、高密度の残量が15vol%を下回ると、輸送後との嵩密度差が0.2g/cm3以下となり、衝撃性が高くなる(C2〜C4、D1)
見掛密度が0.2g/cm3を下回る場合には、発泡倍率が高いため強度が弱く、高密度粒子含有量が少ないにもかかわらず、輸送後の嵩密度は高くなる(B1)。
【0046】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉱物質原料を加熱発泡させてなるパーライトであり、見掛密度が1.0g/cm3未満の低密度粒子を80vol%以上を含み、かつ粒子径45μm以上および見掛密度1.0g/cm3以上の高密度粒子の含有量が15vol%以下であることを特徴とする耐衝撃性パーライト。
【請求項2】
平均見掛密度が0.2〜0.6g/cm3である請求項1に記載する耐衝撃性パーライト。
【請求項3】
鉱物質原料を加熱発泡させた後に、粒子径45μm以上および見掛密度1.0g/cm3以上の高密度粒子を分離することによって、粒子径45μm以上および見掛密度1.0g/cm3以上の高密度粒子の含有量が15vol%以下のパーライトを製造する耐衝撃性パーライトの製造方法。
【請求項4】
発泡粒子を風力下で風速を10〜50m/secに調整することによって、粒子径45μm以上および見掛密度1.0g/cm3以上の高密度粒子を落下分級する請求項3に記載する耐衝撃性パーライトの製造方法。
【請求項5】
鉱物質原料を加熱発泡させた後に、発泡粒子を水中に入れて沈降した粒子を分離除去する請求項3に記載する耐衝撃性パーライトの製造方法。