説明

耐衝撃性ポリオレフィン組成物

A)多分散性指標(P.I.)値が4.6〜10及び25℃のキシレン不溶画分について13C NMRにより測定されるアイソタクチックペンタド(mmmm)含有量が98モル濃度より高い、プロピレンのホモポリマー又はコポリマー60〜95%;B)40%〜70%のプロピレン又はC4−C10α‐オレフィン又はそれらの組合せを含有し、任意に少量のジエンを含有してもよいエチレンコポリマー5〜40%を含み(特に示さない限り、重量基準)、キシレン中で分画して40℃、80℃及び90℃の温度での画分を収集することによって得られる昇温溶出分画(TREF)プロフィールにおいて、90℃で収集した画分のエチレン含有量Yが次の関係式(I):Y≦‐0.8+0.035X+0.0091X2 (式中、Xは40℃で収集した画分のエチレン含有量であり、XとYは共に重量%で表わされる)を満足し、25℃でのキシレン可溶画分の固有粘度値[η]が1.8〜4.2dl/gであるオレフィンポリマー組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐衝撃性ポリオレフィン組成物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
公知のように、アイソタクチックポリプロピレンは、優れた特性の格別な組合せに恵まれているとはいえ、比較的低温での不充分な耐衝撃性という欠点の影響を受けている。
【0003】
先行技術の教示によれば、合成方法の改変又はゴムとのブレンドにより、他のポリマー特性にほとんど影響を与えることなく、この欠点を除くことができる。
【0004】
合成方法の変法は、プロピレンをアイソタクチックポリマーに重合した後、そのアイソタクチックポリマーの存在下でエチレンとプロピレンとの混合物を共重合することを含む。先行技術の代表的な方法と組成物は、米国特許第3,200,173号、同第3,629,368号、同第3,670,053号、欧州特許出願第0077532号及び米国特許第6,313,227号に記載されている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
今回、特性(特に、高い剛性と良好な耐衝撃性)の特に有利なバランスを有するポリプロピレン組成物を、2つの重合段階で操作することで得ることができることを見出した。第一段階で、プロピレンを重合するか又は少量のコモノマーと共重合し、第二段階で、エチレン/α‐オレフィン混合物を、第一段階で得られたプロピレンポリマーの存在下で共重合する。
【0006】
従って、本発明は、
A)4.6〜10、好ましくは5.1〜8の多分散性指標(P.I.)値と、98モル%より高く、好ましくは98.5〜99.5モル%の(25℃でキシレンに不溶の画分についての13C NMRにより測定される)アイソタクチックペンタド(isotactic pantads)(mmmm)含有量を有する、プロピレンホモポリマー或いは3%若しくはそれより低いエチレン又はC4−C10α‐オレフィン又はそれらの組合せを含有するプロピレンコポリマー60〜95%、好ましくは65〜90%;
B)40%〜70%、好ましくは47〜62%のプロピレン又はC4−C10α‐オレフィン又はそれらの組合せを含有し、任意に少量のジエンを含有してもよいエチレンコポリマー5〜40%、好ましくは10〜35%
を含む(特に示さない限り、重量基準)オレフィンポリマー組成物に関する。
【0007】
この組成物は、キシレン中で分画して40℃、80℃及び90℃の温度で画分を収集することによって得られる昇温溶出分画(Temperature Rising Elution Fractionation)(TREF)プロフィールにおいて、90℃で収集した画分のエチレン含有量Yが次の関係式(I):
Y≦‐0.8+0.035X+0.0091X2
(式中、Xは40℃で収集した画分のエチレン含有量であり、XとYは共に(それぞれの画分についての)重量%で表わされる)を満足し、1.8〜4.2dl/g、好ましくは2〜4.2dl/g、より好ましくは2.3〜3.8の、25℃でのキシレン可溶画分の固有粘度値[η]を有する。
【0008】
本発明の組成物の特に好ましい特徴は、以下である:
‐ 成分(A)の分子量分布が、Mw/Mn比で表し、GPCにより測定して、7に等しいか又は7より高く、特に7〜20であり;
‐ 成分(A)のMw/Mn比の値が、GPCにより測定して、3.6に等しいか又は3.6より高く、特に3.6〜7であり;
‐ 曲げ弾性率が、900〜2000MPa、より好ましくは1100〜1700MPaであり;
‐ メルトフローレート(MFR)0.5〜45g/10分、より好ましくは2〜35g/10分であり(条件L、すなわち230℃、荷重2.16kgで測定);
共重合されるエチレンの全量は、好ましくは1.5〜24重量%である。
【0009】
上記のように、本発明の組成物は、第一段階で該当するモノマーを重合して成分(A)を形成し、以後の段階で混合物であるエチレン‐プロピレン、エチレン‐プロピレン及び1又はそれより多いC4−C10α‐オレフィン、エチレン及び1又はそれより多いC4−C10α‐オレフィンと、任意にジエンを重合して成分(B)を形成する、少なくとも2段階を含む重合プロセスで製造することができる。
【0010】
従って、本発明はまた、成分(A)と(B)が別個の後続の工程で製造され、第一工程を除き各工程は先行する工程で形成されたポリマーと使用し触媒の存在下で操作する、少なくとも2つの逐次工程を含む逐次重合により前記組成物を製造する方法に関する。触媒は第一工程でのみ添加されるが、その活性は、後続の工程の全てで依然として活性であるほどの活性である。成分(A)は、好ましくは、単一の重合段階で製造される。重合段階の順序は重要な方法的特徴ではないが、成分(A)は好ましくは成分(B)の前に製造される。
【0011】
重合は、液相、気相又は液‐気相で起こすことができる。
例えば、液体プロピレンを希釈剤として使用してプロピレン重合段階を行い、プロピレンの部分的脱気以外の中間段階を行わずに、以後の共重合段階を気相で行なうことができる。
適切な反応器の例は、連続的に操作される攪拌型反応器、ループ反応器、流動床反応器又は横型若しくは縦型攪拌粉体床反応器である。勿論、反応はまた、直列に接続した複数の反応器で行なうことができる。
直列接続され、微粉体反応床が縦型攪拌器により動状態に保たれている攪拌気相反応器のカスケードで重合を行なうことは可能である。反応床は、一般に、それぞれの反応器で重合されたポリマーを含む。
【0012】
成分(A)を形成するためのプロピレン重合は、エチレン及び/又は1若しくはそれより多いC4−C10α‐オレフィン(例えば、ブテン‐1、ペンテン‐1、4‐メチルペンテン‐1、ヘキセン‐1及びオクテン‐1又はこれらの組合せ)の存在下で行なうことができる。
前記のように、成分(B)を形成するためのエチレンとプロピレン(好ましい)及び/又は他のC4−C10α‐オレフィンとの共重合は、(共役又は非共役の)ジエン(例えば、ブタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン及びエチリデン‐ノルボルネン‐1)の存在下で起こすことができる。ジエンは、存在する場合、代表的には、(B)の重量に対して0.5〜10重量%の量である。
【0013】
重合工程に関する反応の時間、圧力及び温度は重要ではない。しかし、温度は20〜150℃、特に50〜100℃が最適である。圧力は大気圧であるか又はそれより高くできる。
分子量の調節は、公知の調節剤、特に水素を使用することで行う。
【0014】
本発明の組成物はまた、少なくとも2つの相互に接続した重合区画で行われる気相重合法によって製造することができる。この種の方法は、欧州特許出願第782 587号に例示されている。
【0015】
詳しくは、上述の方法は、反応条件下で触媒の存在下に重合区画に1又はそれより多いモノマーを供給し、重合区画からポリマー生成物を回収することを含む。この方法では、成長中のポリマー粒子は、高速流動化条件下で、ある(第1の)重合区画(上昇管(riser))を上方に流れ、上昇区画を出て、別(第2)の重合区画(下降管(downcomer))に入り、そこを高密度化形態で重力の作用下で下方に流れ、下降管を出て、上昇管に再導入される。このようにして上昇管と下降管との間のポリマー循環が確立される。
【0016】
下降管では、固体の密度が高値に達して、ポリマーの嵩密度に近づく。このように、流れ方向に沿って圧力の正の利得(positive gain)が得られるので、特別な機械的手段の補助無しに、ポリマーの上昇管への再導入が可能になる。このような方法で、「ループ」循環が設けられ、これは2つの重合区画の間の圧力バランスとこの系に導入されるヘッドロスにより規定される。
【0017】
一般に、上昇管の高速流動化の条件は、該当するモノマーを含む気体混合物を上昇管へ供給することで確立される。気体混合物の供給は、適切な場合には気体分配手段の使用によって、ポリマーの上昇管への再導入点より下で達成されるのが好ましい。上昇管への搬送ガスの速度は、操作条件下の搬送速度より高く、好ましくは2〜15m/秒である。
【0018】
一般に、上昇管を出て行くポリマーと気体混合物は、固体/気体分離区画へ運ばれる。固体/気体分離は、従来の分離手段を使用することで達成することができる。分離区画から、ポリマーは下降管へ入る。分離区画を出て行く気体混合物は圧縮され、冷却され、そして適切な場合には仕上げモノマー(make-up monomer)及び/又は分子量調節剤を加えて、上昇管へ移送される。移送は、気体混合物の再循環経路(recycle line)により達成することができる。
【0019】
2つの重合区画の間を循環するポリマーの制御は、固体の流れを制御するに適した手段(例えば機械弁)を使って、下降管を出て行くポリマーの量を測定することで達成することができる。
操作パラメータ(例えば温度)は、気相オレフィン重合法で通常のパラメータ(例えば50〜120℃)である。
この方法は、0.5〜10MPa、好ましくは1.5〜6MPaの操作圧力下で行うことができる。
有利には、1又はそれより多い不活性ガスが、その不活性ガスの分圧の合計が好ましくは気体の全圧の5〜80%であるような量で、重合区画に維持される。不活性ガスは、例えば窒素又はプロパンが可能である。
【0020】
種々の触媒は上昇管へ任意の地点で供給される。しかし、これらは、下降管の任意の地点に供給することもできる。触媒は任意の物理的状態が可能であり、したがって固体又は液体状態の触媒を用いることができる。
【0021】
好ましくは、重合触媒は、
a) Mg、Tiとハロゲン、及び、スクシネートから、好ましくは下記の式(I):
【化1】

[式中、R1とR2基は、互いに等しく又は異なって、任意にヘテロ原子を含有してもよいC1−C20直鎖又は分枝鎖のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル又はアルキルアリール基であり;R3〜R6基は、互いに等しく又は異なって、水素又は任意にヘテロ原子を含有してもよいC1−C20直鎖若しくは分枝鎖のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル若しくはアルキルアリール基であり、同じ炭素原子に結合しているR3〜R6基は、共に結合して環を形成することができ;ただし、R3〜R5が同時に水素である場合、R6は、3〜20の炭素原子を有する第1級分枝鎖、第2級若しくは第3級のアルキル基、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル若しくはアルキルアリール基又は任意にヘテロ原子を含有してもよい少なくとも4つの炭素原子を有する直鎖アルキル基から選択される基である]のスクシネートから選択される電子供与体;
b) アルキルアルミニウム化合物、及び、
任意に(ただし、好ましくは)、
c) 1又はそれより多い電子供与体化合物(外部供与体)
を含む固体触媒成分を含むチーグラー‐ナッタ触媒である。
【0022】
他の好ましい触媒は、固体触媒成分(a)が、前記のMg、Tiとハロゲンに加えて、少なくとも2つの電子供与体化合物を含み、この触媒成分は、電子供与体化合物の少なくとも1つ(供与体の総量に対して15〜50モル%の量で存在する)が、下記の条件下で20モル%より多く抽出可能でないコハク酸エステルから選択され、少なくとも他の1つの電子供与体化合物は同条件下で30モル%より多く抽出可能であることによって特徴付けられる、上記で定義したようなチーグラー‐ナッタ触媒である。
【0023】
20モル%より多く抽出可能でないコハク酸のエステルは、抽出不能スクシネートと定義される。30モル%より多く抽出可能な電子供与体化合物は、抽出可能電子供与体化合物と定義される。好ましくは、抽出不能スクシネートの量は、電子供与体化合物の全量に対して20〜45モル%、より好ましくは22〜40モル%である。上述の抽出不能スクシネートの中で、特に好ましいものは下記の式(II)のスクシネートである:
【化2】

[式中、R1とR2基は、互いに等しく又は異なって、任意にヘテロ原子を含有してもよいC1−C20直鎖又は分枝鎖のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル又はアルキルアリール基であり;R3とR4基は、互いに等しく又は異なって、任意にヘテロ原子を含有してもよいC1−C20アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル又はアルキルアリール基であり(ただし、少なくとも1つは分枝鎖アルキルである);この化合物は、式(II)の構造中に同定される2つの不斉炭素原子に関して、純粋形態又は混合物で存在する(S,R)又は(R,S)型の立体異性体である]。
抽出可能電子供与体化合物の中で、特に好ましいものは、モノ又はジ カルボン酸有機酸のエステル(例えばベンゾエート、マロネート、フタレート及びスクシネート)である。
好ましくは、アルキルフタレートである。
【0024】
抽出性試験は以下のように行なわれる。
A 固体触媒成分の製造
窒素で浄化した500ml四頸丸型フラスコ中に、250mlのTiCl4を0℃で導入する。攪拌しながら、10.0gの微小球状MgCl2*2.8C2H5OH(米国特許第4,399,054号の実施例2に記載の方法に従うが、10,000rpmに代えて3,000rpmで操作して製造)を導入する。4.4ミリモルの選択した電子供与体化合物もまた添加する。
【0025】
温度を100℃に上昇させ、120分間その温度で保持する。次に、攪拌を中断し、固体生成物を沈降させ、上澄液を汲み出す。
250mlの新鮮なTiCl4を添加する。混合物を、攪拌下で120℃にて60分間反応させ、次に上澄液を汲み出す。固体(A)を60℃の無水ヘキサンで6回洗浄し(6×100ml)、真空下で乾燥させ、そしてMgと電子供与体化合物の定量測定のために分析する。Mgに対する電子供与体化合物の比(比A)をこのようにして決定する。
【0026】
B 固体Aの処理
機械式攪拌器と濾過隔膜を有する250mlのジャケット付きガラス反応器に、窒素雰囲気下で、190mlの無水n−ヘキサン、10ミリモルのAlEt3及び「A」に記載のように製造した2gの触媒成分を導入する。混合物を攪拌(400rpmの撹拌速度)下に1時間60℃に加熱する。その後、混合物を濾過し、60℃のn−ヘキサンで4回洗浄し、最後に30℃にて4時間真空下で乾燥させる。次いで、固体を、Mgと電子供与体化合物の定量測定のために分析する。Mgに対する電子供与体化合物のモル比(比B)をこうして決定する。
電子供与体化合物の抽出性は、次式によって算出する:
抽出された電子供与体の%=(比A−比B)/比A。
【0027】
上記の触媒成分で使用されるスクシネートの好ましい例は、ジエチル2,3−ビス(トリメチルシリル)スクシネート、ジエチル2,2−sec‐ブチル‐3−メチルスクシネート、ジエチル2−(3,3,3‐トリフルオロプロピル)‐3‐メチルスクシネート、ジエチル2,3−ビス(2−エチルブチル)スクシネート、ジエチル2,3−ジエチル−2−イソプロピルスクシネート、ジエチル2,3−ジイソプロピル‐2‐メチルスクシネート、ジエチル2,3−ジシクロヘキシル‐2‐メチルスクシネート、ジエチル2,3−ジベンジルスクシネート、ジエチル2,3−ジイソプロピルスクシネート、ジエチル2,3−ビス(シクロヘキシルメチル)スクシネート、ジエチル2,3−ジ‐t−ブチルスクシネート、ジエチル2,3−ジイソブチルスクシネート、ジエチル2,3−ジネオペンチルスクシネート、ジエチル2,3−ジイソペンチルスクシネート、ジエチル2,3−(1−トリフルオロメチル‐エチル)スクシネート、ジエチル2,3−(9‐フルオレニル)スクシネート、ジエチル2‐イソプルピル‐3−イソブチルスクシネート、ジエチル2‐t‐ブチル‐3−イソプロピルスクシネート、ジエチル2‐イソプルピル‐3−シクロヘキシルスクシネート、ジエチル2‐イソペンチル‐3−シクロヘキシルスクシネート、ジエチル2‐シクロヘキシル‐3−シクロペンチルスクシネート、ジエチル2,2,3,3‐テトラメチルスクシネート、ジエチル2,2,3,3‐テトラエチルスクシネート、ジエチル2,2,3,3‐テトラプロピルスクシネート、ジエチル2,3‐ジエチル‐2,3‐ジイソプロピルスクシネート、ジイソブチル2,3‐ビス(トリメチルシリル)スクシネート、ジイソブチル2,2−sec‐ブチル‐3−メチルスクシネート、ジイソブチル2−(3,3,3‐トリフルオロプロピル)‐3‐メチルスクシネート、ジイソブチル2,3−ビス(2−エチルブチル)スクシネート、ジイソブチル2,3−ジエチル−2−イソプロピルスクシネート、ジイソブチル2,3−ジイソプロピル‐2‐メチルスクシネート、ジイソブチル2,3−ジシクロヘキシル‐2‐メチルスクシネート、ジイソブチル2,3−ジベンジルスクシネート、ジイソブチル2,3−ジイソプロピルスクシネート、ジイソブチル2,3−ビス(シクロヘキシルメチル)スクシネート、ジイソブチル2,3−ジ‐t−ブチルスクシネート、ジイソブチル2,3−ジイソブチルスクシネート、ジイソブチル2,3−ジネオペンチルスクシネート、ジイソブチル2,3−ジイソペンチルスクシネート、ジイソブチル2,3−(1,1,1−トリフルオロ‐2‐プロピル)スクシネート、ジイソブチル2,3‐n‐プロピルスクシネート、ジイソブチル2,3−(9‐フルオレニル)スクシネート、ジイソブチル2‐イソプルピル‐3−イソブチルスクシネート、ジイソブチル2‐terブチル‐3−iプロピルスクシネート、ジイソブチル2‐イソプルピル‐3−シクロヘキシルスクシネート、ジイソブチル2‐イソペンチル‐3−シクロヘキシルスクシネート、ジイソブチル2‐n−プロピル‐3−(シクロヘキシルメチル)スクシネート、ジイソブチル2‐シクロヘキシル‐3−シクロペンチルスクシネート、ジイソブチル2,2,3,3‐テトラメチルスクシネート、ジイソブチル2,2,3,3‐テトラエチルスクシネート、ジイソブチル2,2,3,3‐テトラプロピルスクシネート、ジイソブチル2,3‐ジエチル‐2,3‐ジイソプロピルスクシネート、ジネオペンチル2,3‐ビス(トリメチルシリル)スクシネート、ジネオペンチル2,2−ジ‐sec‐ブチル‐3−メチルスクシネート、ジネオペンチル2−(3,3,3‐トリフルオロプロピル)‐3‐メチルスクシネート、ジネオペンチル2,3−ビス(2−エチルブチル)スクシネート、ジネオペンチル2,3−ジエチル‐2−イソプロピルスクシネート、ジネオペンチル2,3−ジイソプロピル‐2‐メチルスクシネート、ジネオペンチル2,3−ジシクロヘキシル‐2‐メチルスクシネート、ジネオペンチル2,3−ジベンジルスクシネート、ジネオペンチル2,3−ジイソプロピルスクシネート、ジネオペンチル2,3−ビス(シクロヘキシルメチル)スクシネート、ジネオペンチル2,3−ジ‐t−ブチルスクシネート、ジネオペンチル2,3−ジイソブチルスクシネート、ジネオペンチル2,3−ジネオペンチルスクシネート、ジネオペンチル2,3−ジイソペンチルスクシネート、ジネオペンチル2,3−(1,1,1−トリフルオロ‐2‐プロピル)スクシネート、ジネオペンチル2,3‐n‐プロピルスクシネート、ジネオペンチル2,3(9‐フルオレニル)スクシネート、ジネオペンチル2‐イソプルピル‐3−イソブチルスクシネート、ジネオペンチル2‐t‐ブチル‐3−イソプロピルスクシネート、ジネオペンチル2‐イソプルピル‐3−シクロヘキシルスクシネート、ジネオペンチル2‐イソペンチル‐3−シクロヘキシルスクシネート、ジネオペンチル2‐n−プロピル‐3−(シクロヘキシルメチル)スクシネート、ジネオペンチル2‐シクロヘキシル‐3−シクロペンチルスクシネート、ジネオペンチル2,2,3,3‐テトラメチルスクシネート、ジネオペンチル2,2,3,3‐テトラエチルスクシネート、ジネオペンチル2,2,3,3‐テトラプロピルスクシネート、ジネオペンチル2,3‐ジエチル‐2,3‐ジイソプロピルスクシネートである。
【0028】
特に好ましくは、ジエチル2,3‐ジベンジルスクシネート、ジエチル2,3‐ジイソプロピルスクシネート、ジエチル2,3‐ビス(シクロヘキシルメチル)スクシネート、ジエチル2,3‐ジイソブチルスクシネート、ジエチル2,3‐(1−トリフルオロメチル‐エチル)スクシネート、ジイソブチル2,3‐ジベンジルスクシネート、ジイソブチル2,3‐ジイソプロピルスクシネート、ジイソブチル2,3‐ビス(シクロヘキシルメチル)スクシネート、ジイソブチル2,3‐n‐プロピルスクシネート、ジネオペンチル2,3‐ジエチル‐2‐イソプロピルスクシネート、ジネオペンチル2,3‐ジイソプロピル‐2‐メチルスクシネート、ジネオペンチル2,3‐ジシクロヘキシル‐2−メチルスクシネート、ジネオペンチル2,3‐ジベンジルスクシネート、ジネオペンチル2,3‐ジイソプロピルスクシネート、ジネオペンチル2,3‐ビス(シクロヘキシルメチル)スクシネート、ジネオペンチル2,3‐ジイソブチルスクシネート、ジネオペンチル2,3‐n−プロピルスクシネート、ジネオペンチル2−イソプロピル‐3‐シクロヘキシルスクシネートである。
【0029】
アルキル‐Al化合物(b)は、好ましくは、トリアルキルアルミニウム化合物、例えばトリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ‐n‐ブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリ‐n‐オクチルアルミニウムから選択される。トリアルキルアルミニウム化合物とアルキルアルミニウムハライド、アルキルアルミニウムハイドライド又はアルキルアルミニウムセスキクロライド(例えばAlEt2Cl及びAl2Et3Cl3)との混合物を使用することもできる。
【0030】
外部供与体(c)は、式(I)と(II)のスクシネートと同じタイプであるか又は異なってよい。適切な外部電子供与体化合物としては、ケイ素化合物、エーテル、エステル(例えば、フタレート、ベンゾエート、式(I)又は(II)のものと異なる構造を有するスクシネート)、アミン、複素環式化合物が挙げられ、特に2,2,6,6‐テトラメチルピペリジン、ケトン及び一般式(III):
【化3】

(式中、RI及びRIIは同じか又は異なり、C1−C18アルキル、C3−C18シクロアルキル又はC7〜C18アリール基であり;RIII及びRIVは同じか又は異なり、C1−C4アルキル基である)の1,3−ジエーテルであるか;又は、2位の炭素原子が、5、6又は7個の炭素原子からなり2又は3の不飽和を含有する環状構造又は多環状構造に属している1,3−ジエーテルが挙げられる。
このタイプのエーテルは、欧州特許公開公報第361493号及び第728769号に記載されている。
【0031】
特に好ましいクラスの外部供与体化合物は、式Ra7b8Si(OR9)c [aとbは0〜2の整数であり、cは1〜3の整数でり、和(a+b+c)は4であり;R7、R8とR9は、任意にヘテロ原子を含んでもよいC1−C18炭化水素基である]のケイ素化合物のものである。特に好ましくは、aが1、bが2、cが2であり、R7とR8の少なくとも一方が、任意にヘテロ原子を含んでもよい3〜10の炭素原子を有する分枝鎖アルキル、アルケニル、アルキレン、シクロアルキル又はアリール基から選択され、R9がC1−C10アルキル基、特にメチルであるケイ素化合物である。このような好ましいケイ素化合物の例は、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチル‐t‐ブチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、2−エチルピペリジニル‐2‐t‐ブチルジメトキシシラン及び(1,1,1−トリフルオロ2‐プロピル)‐2‐エチルピペリジニルジメトキシシラン、3,3,3‐トリフルオロプロピル‐2‐エチルピペリジニルジメトキシシラン及び(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピル)‐メチルジメトキシシランである。更に、aが0、cが3であり、R8が任意にヘテロ原子を含んでもよい分枝鎖アルキル又は環シクロアルキルであり、R9がメチルであるケイ素化合物もまた好ましい。このような好ましいケイ素化合物の例は、シクロヘキシルトリメトキシシラン、t‐ブチルトリメトキシシランとテキシルトリメトキシシランである。
ケイ素化合物の特に好ましい具体例は、シクロヘキシルメチルジメトキシシランとジシクロペンチルジメトキシシランである。
【0032】
電子供与体化合物(c)は、好ましくは0.1〜500、より好ましくは1〜300、特に3〜100の有機アルミニウム化合物と電子供与体化合物(c)との間のモル比を与えるような量で使用する。
【0033】
上記での説明のように、固体触媒成分は、上記の電子供与体に加えて、Ti、Mgとハロゲンを含む。詳細には、触媒成分は、少なくとも1つのTi−ハロゲン結合を有するチタン化合物とハロゲン化Mgに担持された上述の電子供与体化合物を含む。ハロゲン化マグネシウムは、好ましくは、チーグラー−ナッタ触媒の担持体として特許文献で広く知られている活性形態のMgCl2である。米国特許第4,298,718号と米国特許第4,495,338号は、チーグラー−ナッタ触媒におけるこれら化合物の使用を記述した最初のものである。オレフィン重合用触媒の成分において担持体又は共担持体として使用される活性形態のジハロゲン化マグネシウムが、非活性ハロゲン化物のスペクトルに出現する最も強い回折線が強度を減じ、その最大強度がより強い線のものに対して相対的に低い角度に向かって移動した光輪で置き換わっているX線スペクトルによって特徴付けられることは、これらの特許から公知である。
【0034】
好ましいチタン化合物は、TiCl4及びTiCl3であり;さらに、式Ti(OR)n-yy [式中、nはチタンの原子価であり、yは1〜nの数であり、Xはハロゲンであり、Rは1〜10の炭素原子を有する炭化水素基である]のTi−ハロアルコレートも使用できる。
【0035】
固体触媒成分の製造は、当該分野において周知であり記載されているいくつかの方法に従って行なうことができる。
好ましい方法によれば、固体触媒成分は、式Ti(OR)nyy [式中、nはチタンの原子価であり、yは1〜nの数である]のチタン化合物(好ましくはTiCl4)と式MgCl2・pROH [式中、pは0.1〜6、好ましくは2〜3.5であり、Rは1−18の炭素原子を有する炭化水素基である]の付加物から誘導される塩化マグネシウムとを反応することで製造することができる。付加物は、付加物の溶融温度(100〜130℃)にて攪拌条件下に操作する、その付加物と混和しない不活性炭化水素の存在下でのアルコールと塩化マグネシウムとの混合によって、球状形態で適切に製造することができる。次に、エマルションを急速に冷却する。このことにより球状粒子の形態での付加物の固化が起こる。
【0036】
この手順によって製造される球状付加物の例は、米国特許第4,399,054号及び米国特許第4,469,648号に記載されている。このようにして得られた付加物は、Ti化合物と直接反応させるか、又はアルコールのモル数が一般には3より低く、好ましくは0.1〜2.5である付加物を得るために、温度制御した脱アルコール化(80〜130℃)に予め供することができる。Ti化合物との反応は、(脱アルコール化されたか又はそのままの)付加物を冷TiCl4(一般には0℃)中に懸濁することで行なうことができ;混合物を80〜130℃にまで加熱し、この温度で0.5〜2時間保持する。TiCl4による処理は1回又はそれより多く行なう。電子供与体化合物はTiCl4による処理の間に添加することができる。
【0037】
使用する製造方法とは無関係に、電子供与体化合物の最終量は、MgCl2に対するモル比が好ましくは0.01〜1、より好ましくは0.05〜0.5となる量である。
触媒成分と触媒は、国際公開第WO00/63261号、国際公開第WO01/57099号及び国際公開第WO02/30998号に記載されている。
【0038】
本発明による方法で用い得る他の触媒は、米国特許第5,324,800号及び欧州特許公開公報第0 129 368号に記載されるようなメタロセン型触媒である。特に有利なものは、例えば米国特許第5,145,819号及び欧州特許公開公報第0 485 823号に記載のような架橋型ビス−インデニルメタロセンである。適切な触媒の別のクラスは、欧州特許公開公報第0 416 815号(Dow)、欧州特許公開公報第0 420 436号(Exxon)、欧州特許公開公報第0 671 404号、欧州特許公開公報第0 643 066号及び国際公開第WO91/04257号に記載のようないわゆるconstrained geometry触媒である。
【0039】
触媒は、少量のオレフィンと予備接触させることができる(予備重合)。
本発明の組成物は、当該分野において通常使用される添加剤、例えば抗酸化剤、光安定化剤、熱安定化剤、造核剤、着色剤及び充填剤を含有することもできる。
【0040】
特に、造核剤の添加は、重要な物理的‐機械的特性、例えば曲げ弾性率、熱変形温度(HDT)、降伏点引張強度及び透明度に顕著な改善をもたらす。
造核剤の代表例は、p‐tert.‐ブチルベンゾエート並びに1,3−及び2,4−ジベンジリデンソルビトールである。
造核剤は、本発明の組成物に全重量に対して好ましくは0.05〜2重量%、より好ましくは0.1〜1重量%で添加される。
無機充填剤(例えばタルク、炭酸カルシウム及び無機繊維)の添加もまた、ある種の機械的特性、例えば曲げ弾性率、HDTに対する改善をもたらす。タルクはまた、造核効果も有することがある。
【実施例】
【0041】
詳細を以下の実施例に示すが、それらは、本発明を説明するために示され、本発明を制限するものではない。
実施例のポリマー材料に関するデータは、以下に記載の方法で測定する。
‐ MFR:ASTM D 1238、条件L、230℃、2.16Kg;
‐ 固有粘度[η]:135℃のテトラヒドロナフタレン中で測定;
‐ Mn(数平均分子量)、Mw(重量平均分子量)及びMz(z平均分子量):1,2,4‐トリクロロベンゼン中でゲル透過クロマトグラフィー(GPC)で測定;詳細には、試料を、70mg/50mlの安定化された1,2,4‐トリクロロベンゼン(250μg/ml BHT(CAS登録番号128‐37‐0)の濃度で製造し;次いで、試料を、170℃に2.5時間加熱して可溶化し;測定を同じ安定化溶媒を用いて145℃にて1.0ml/分の流速でWaters GPCV2000で行ない;3つのPolymer Labカラムを直列で使用する(Plgel,20μm 混合ALS、300×7.5mm);
‐ エチレン含有量;IR分光分析による;
‐ 曲げ弾性率;ISO 178;
‐ Izod:ISO 180/1A法により測定;
‐ 破断エネルギー:Basell法17324(以下を参照);延性/脆性遷移温度の測定(後述)用と同じ試験片及び試験法を使用したが、この場合、−20℃で試料を破壊するのに必要なエネルギーを測定。
【0042】
延性/脆性遷移温度の測定
社内方法MA17324(請求により入手可能)により測定。
この方法により、二軸衝撃抵抗を、自動コンピューター制御の打撃ハンマーを用いる衝撃により測定する。
円形試験片を、円形ハンドパンチ(直径38mm)で裁断することにより得る。これらを、23℃及び50RHに少なくとも12時間馴化し、次に試験温度の恒温浴中に1時間置く。
力‐時間曲線を、環状支持体上に静置した円形試験片への打撃ハンマー(5.3kg、直径1/2インチの半球形パンチ)の衝撃の間に検出する。使用する機器は、CEAST 6758/000型モデルno.2である。
D/B遷移温度は、該衝撃試験に供された場合に50%の試料が脆性破壊を受ける温度を意味する。
127×127×1.5mmの寸法を有するD/B測定用プラックを以下の方法により製造する。
射出プレスは、90トンの型締め力を有するNegri Bossi(登録商標)タイプ(NB90)である。金型は矩形プラック(127×127×1.5mm)である。
主要な方法パラメータを下記に報告する:
背圧(バール): 20
射出時間(秒): 3
最高射出圧(Mpa): 14
射出油圧(Mpa): 6〜3
第一保持油圧(Mpa): 4±2
第一保持時間(秒): 3
第二保持油圧(Mpa): 3±2
第二時間(秒): 7
冷却時間(秒): 20
金型温度(℃): 60
溶融温度は220〜280℃である。
【0043】
アイソタクチックペンタド含有量の測定
50mgの各キシレン不溶画分を0.5mLのC2D2Cl4に溶解した。
13C NMRスペクトルを、Bruker DPX‐400(100.61Mhz、90°パルス、パルス間遅延12秒)で取得した。約3,000のトランジェントを、各スペクトルに対して蓄積した;mmmmペンタドピーク(21.8ppm)を参照として使用した。
ミクロ構造分析は、文献(Inoue Y.らによるPolymer、1984、25,1640及びChujo R.らによるPolymer、1994、35,339)に記載されたように行った。
【0044】
多分散性指標(PI):
ポリマーの分子量分布を測定。PI値を測定するため、低弾性率値(例えば500Pa)での分離係数(modulus separation)を、Rheometrics(USA)から市販されているRMS-800平行盤レオメータモデルを使って、0.1rad/秒から100rad/秒まで増加する振動周波数で操作して、温度200℃で測定する。分離係数値から、以下の等式によってPIを導くことができる:
PI=54.6×(分離係数)-1.76
ここで、分離係数(MS)は:
MS=(G'=500Paでの周波数)/(G"=500Paでの周波数)
(式中、G'は貯蔵弾性率で、G"’は損失弾性率である)と定義される。
【0045】
25℃でのキシレン可溶画分及び不溶画分:
2.5gのポリマーを、135℃のキシレン250mlに強攪拌下で溶解する。20分後、溶液を、依然として強攪拌下にて25℃に冷却させ、次に30分間沈降させる。沈殿物を濾紙で濾過し、溶液を窒素気流中で蒸発させ、残留物を80℃で真空下に、一定重量が達成されるまで乾燥させる。こうして、室温(25℃)での可溶ポリマー及び不溶ポリマーの重量パーセントを算出する。
【0046】
昇温溶離分画(TREF)
以下の方法を用いてキシレン中で測定。
主たる分画容器は500mlの二重壁反応器からなる。振動混合器(vibro mixer)は上から導入される。抽出プロセス用の予熱された溶剤は、容器の下方出口に位置する管を通して反応器に入る。
TREF手順は、5gのポリマーを、5g/lの2,6‐ジ‐tert−ブチル‐4‐メチルフェノールで安定化された400mlの沸騰キシレンに溶解することで開始する。ポリマーを沈殿させるため、溶液を、温度調節器で制御して10℃/時の冷却速度で25℃まで直線的に冷却する。
【0047】
第一工程。結晶の懸濁物を、次に、第一溶離温度(40℃)に加熱し、装置中のポリマー結晶を振動攪拌器により強攪拌し、15分間抽出する。次に、溶液中のポリマーを下方バルブから吐出させ、一方で、残りのポリプロピレン結晶は抽出器中に留まる。溶液を、800mlの冷アセトン(温度<0℃)中に注ぎ、溶離したポリマーを沈殿させる。沈殿物をBuchner−漏斗(glas frite No.3)上で濾過し、冷アセトン(<0℃)で洗浄する。単離したポリマー画分を、次に、真空中100℃にて約4〜5時間乾燥させ、秤量する。
次工程。抽出器の温度を所望の温度に上昇させ、400mlの同じ温度のキシレンを分画容器中に導入する。装置中の残りのポリマー結晶を、次に、再度15分間抽出する。ポリマー溶液を再び吐出させ、溶解しポリマーを沈殿させ、濾過する。
次いで、この工程を次温度で再度繰返し、溶剤の沸点である125℃に近づくまで続ける。この温度で全ポリマーが抽出されるはずである。
【0048】
実施例1及び比較例1と2
固体触媒成分の製造
窒素で浄化した500mlの四頚丸型フラスコ中に250mlのTiCl4を0℃で導入した。攪拌しながら、10.0gの微小球状のMgCl2*2.8C2H5OH(米国特許第4,399,054号の実施例2に記載の方法に従って、ただし10,000rpmに代えて3,000rpmで操作して製造)と7.4ミリモルのジエチル2,3‐ジイソプロピルスクシネートを添加した。温度を100℃に上昇させ、120分間維持した。次に、攪拌を中断し、固体生成物を沈降させ、上澄液を汲み出した。次に、2250mlの新鮮なTiCl4を添加した。混合物を120℃で60分間反応させ、次に、上澄液を汲み出した。固体を60℃の無水ヘキサンで6回洗浄した(6×100ml)。
【0049】
触媒系及び予備重合処理
重合反応器に導入する前に、上述の固体触媒成分を、アルミニウムトリエチル(TEAL)及びジシクロペンチルジメトキシシラン(DCPMS)と、TEAL対固体触媒成分の重量比が11に等しく、重量比TEAL/DCPMSが4.4に等しい量で12℃にて24分間接触させる。約15に等しい
次いで、触媒系を、第一重合反応器に導入する前に、約5分間20℃の液体プロピレン中で懸濁状態に維持することにより予備重合に供する。
【0050】
重合
重合行程(run)を、生成物をある反応器から直後の次の反応器に移す装置を備えた一連の3つの反応器で連続様式にて実施する。最初の2つの反応器は液相反応器であり、第三反応器は流動床気相反応器である。成分(A)は第一反応器及び第二反応器で製造され、一方、成分(B)は第三反応器で製造される。
水素を分子量調整剤として使用する。
気相(プロピレン、エチレン及び水素)を、ガスクロマトグラフィーにより連続分析する。
行程の終点で、粉体を吐出させ、窒素気流下で乾燥させる。
主たる重合条件及び3つの反応器で製造されたポリマーに関する分析データを、表1に報告する。
【0051】
次に、ポリマー粒子を、回転ドラムに導入し、そこで、0.2重量%のIrganox B225(約50%のIrganox 1010と50%のIrgafos 168から製造)、0.3重量%のGMS90(モノステアリン酸グリセリン)及び0.09重量%のNaベンゾエートと混合して、核形成した組成物を得る。前述のIrganox 1010は、ペンタエリスリチル テトラキス3−(3,5−ジ‐tert‐ブチル‐4‐ヒドロキシフェニル)プロパノエートであり、一方、Irgafos 168は、トリス(2,4‐ジ‐tert−ブチルフェニル)ホスファイトである。
次に、ポリマー粒子を、250rpmの回転速度及び200〜250℃の溶融温度にて二軸押出機で窒素雰囲気下に押出す。
このようにして得られたポリマーの特性を表2に報告する。この表に、非常に匹敵するMFR、ヘテロ相構造及び組成を有する2つの比較の核形成したポリマー組成物(比較例1及び)の特性も報告する。
【0052】
比較例1の比較ポリマー組成物は、
A) 33g/10分のMFR、98.8%のキシレン不溶含有量及び4.3のPIを有するプロピレンホモポリマー83.5%;
B) 45%のエチレンを含有するプロピレン/エチレンコポリマー16.5%
から製造され(全ての量が重量基準)、0.3%のGMS90、0.12%のIrganox B225及び0.09%のNaベンゾエートを含有する。更に、この比較組成物は、以下の特徴:
‐ (A)のキシレン不溶部分の(mmmm):99.1モル%;
‐ (A)のMw/Mn:10.1;
‐ (A)のMz/Mw:3.5;
‐ Y:15.1wt%;
‐ X:37.7wt%
及び固有粘度値2を有する15.3重量%のキシレン可溶画分を含有する。
【0053】
比較例2の比較ポリマー組成物は、
‐ 4.3のPIを有するプロピレンホモポリマー82%;
‐ 50%のエチレンを含有するプロピレン/エチレンコポリマー18%
から製造され(全ての量が重量基準)、0.3%のGMS90、0.12%のIrganox B225及び0.09%のNaベンゾエートを含有する。更に、この比較組成物は、以下の特徴:
‐ (A)のキシレン不溶部分の(mmmm):99.1モル%;
‐ (A)のMw/Mn:10.1;
‐ (A)のMz/Mw:3.5
及び固有粘度値2.58dl/gを有する16重量%のキシレン可溶画分を含有する。
【0054】
【表1】

【0055】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)多分散性指標(P.I.)値が4.6〜10及び25℃のキシレン不溶画分について13C NMRにより測定されるアイソタクチックペンタド(mmmm)含有量が98モル濃度より高い、プロピレンホモポリマー或いは3%若しくはそれより低いエチレン又はC4−C10α‐オレフィン又はそれらの組合せを含有するプロピレンコポリマー60〜95%;
B)40%〜70%のプロピレン又はC4−C10α‐オレフィン又はそれらの組合せを含有し、任意に少量のジエンを含有してもよいエチレンコポリマー5〜40%
を含み(特に示さない限り、重量基準)、
キシレン中で分画して40℃、80℃及び90℃の温度での画分を収集することによって得られる昇温溶出分画(TREF)プロフィールにおいて、90℃で収集した画分のエチレン含有量Yが次の関係式(I):
Y≦‐0.8+0.035X+0.0091X2
(式中、Xは40℃で収集した画分のエチレン含有量であり、XとYは共に重量%で表わされる)を満足し、25℃でのキシレン可溶画分の固有粘度値[η]が1.8〜4.2dl/gであるオレフィンポリマー組成物。
【請求項2】
成分(A)が、Mw/Mn比で表されGPCにより測定される7と等しいか又はそれより高い分子量分布及びGPCにより測定される3.6と等しいか又はそれより高いMz/Mw比値を有する請求項1の組成物。
【請求項3】
少なくとも2つの逐次工程を含み、成分(A)及び(B)が別個の後続の工程で製造され、第1工程を除き各工程において先行する工程で生成したポリマー及び使用した触媒の存在下で操作される、請求項1のオレフィンポリマー組成物を製造するための重合法。
【請求項4】
重合触媒が、
a) Mg、Tiとハロゲン、及びスクシネート、好ましくは下記の式(I):
【化1】

[式中、R1とR2基は、互いに等しく又は異なって、任意にヘテロ原子を含有してもよいC1−C20直鎖又は分枝鎖のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル又はアルキルアリール基であり;R3〜R6基は、互いに等しく又は異なって、水素又は任意にヘテロ原子を含有してもよいC1−C20直鎖若しくは分枝鎖のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル若しくはアルキルアリール基であり、同じ炭素原子に結合しているR3〜R6基は、共に結合して環を形成することができ;ただし、R3〜R5が同時に水素である場合、R6は、3〜20の炭素原子を有する第1級分枝鎖、第2級若しくは第3級のアルキル基、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル若しくはアルキルアリール基又は任意にヘテロ原子を含有してもよい少なくとも4つの炭素原子を有する直鎖アルキル基から選択される基である]のスクシネートから選択される電子供与体;
b) アルキルアルミニウム化合物、及び、任意に
c) 1又はそれより多い電子供与体化合物(外部供与体)
を含むチーグラー‐ナッタ触媒である請求項3の重合法。

【公表番号】特表2006−522186(P2006−522186A)
【公表日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−504899(P2006−504899)
【出願日】平成16年3月29日(2004.3.29)
【国際出願番号】PCT/EP2004/003307
【国際公開番号】WO2004/087807
【国際公開日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願人】(501468046)バセル ポリオレフィン イタリア エス.アール.エル. (33)
【住所又は居所原語表記】Via Pergolesi 25,20124 Milano,Italy
【Fターム(参考)】