説明

耐衝撃性改良ポリ(メタ)アクリレートとフルオロポリマーとから成るポリマー混合物

【課題】長期に亘る熱的負荷後に全く脆化を生じないかまたは生じたとしても極めて少ない、少なくとも150μmまたはそれ以上の材料厚を有する成形体を提供する。
【解決手段】ポリ(メタ)アクリレート−マトリックスおよびその中に分散されたエラストマー粒子から成る耐衝撃性改良ポリ(メタ)アクリレート−プラスチックとフルオロポリマーとから成るポリマー混合物を含有し、該混合物中のフルオロポリマーの量は30〜95質量%であり、該混合物は、外層中で少なくとも10μmの連続した材料厚で存在する、少なくとも150μmの材料厚を有するプラスチックから成り、この際、耐衝撃性改良ポリ(メタ)アクリレート−プラスチックが、20〜70質量%のポリ(メタ)アクリレート−マトリックスおよび80〜30質量%のエラストマー粒子から構成されることを特徴とする成形体により解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐衝撃性改良ポリ(メタ)アクリレート−プラスチックとフルオロ−ポリマーとから成るポリマー混合物に関する。さらに本発明は、ポリマー混合物から製造されたフィルム、その製造方法およびその表面保護フィルムとしての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
EP O 476 942は、耐衝撃性改良ポリ(メタ)アクリレート−プラスチックとフルオロポリマーとから成るポリマー混合物が記載されており、その際、混合物中のフルオロポリマーの量は3〜12質量%であってもよい。ポリマー混合物から、ポリ塩化ビニル−またはアクリルニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)−プラスチック部品のための表面保護フィルムを製造することができる。このフィルムによって、部品の耐候性を改善するこができる。
【0003】
JP-OS 03 124754 A2では、耐衝撃性改良ポリ(メタ)アクリレートおよびフルオロ−ポリマーから成るポリマー混合物から製造されるフィルムが記載されており、その際、フルオロポリマーの量は、5〜25質量%であってもよい。
【0004】
WO 00/37237では、少なくとも1種の層中にフルオロポリマーおよびポリ(メタ)アクリレートを含有するフィルムを製造するための方法を記載している。押出成形には、全混合物の質量に対して10〜90質量%のPVDFおよび90〜10質量%のポリメチルメタアクリレートを含有する混合物を使用する。
【0005】
DE 102 36 045 A1では、層厚20〜1000μmを有する低延伸性熱可塑性フィルムを製造するための押出成形法が記載されている。
【0006】
フィルムのための適した材料として、特に、耐衝撃性改良ポリ(メタ)アクリレート−プラスチックとフルオロポリマーとから成るポリマー混合物が挙げられ、その際、混合比は10:90〜90:10であってもよい。フィルムの多くの使用可能性として、たとえば、装飾フィルム、UV保護フィルム、乾燥塗料フィルム、光データ媒体のため、さらには連続印刷法、たとえばグラビア印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、デジタル印刷、ロールスクリーン印刷、転写によって印刷されるか、および/または連続的積層法、たとえばフィルム貼合わせ、熱可塑性シートと異形材との貼合わせ、外装技術、コイル被覆法および/または連続的被覆方法、たとえば散水被覆、抗菌被覆、自浄化被覆、落書き防止被覆、スクラッチ耐性被覆、導電性被覆、場合によってはエンボス加工との組み合わせにおいて加工されたデータ媒体材料のための、スクラッチ保護フィルムが挙げられる。ラミネートフィルムの厚さに関して目安となる厚さは100μmである。
【0007】
EP 1 093 911 A2では、フルオロポリマーおよびアクリルポリマーからなる混合物を含む暴露層およびその下に存在する、たとえば耐衝撃性改良ポリ(メタ)アクリレートから構成されてもよい層から成る、耐衝撃性、多層保護フィルムが記載されている。
【0008】
EP O 306 385 A1では、耐衝撃性ポリマー混合物が記載されている。これは、耐衝撃性改良ポリ(メタ)アクリレート−プラスチックおよびフルオロ−ポリマーから成る。フルオロポリマーの量は30質量%を下回る。エラストマー粒子に関しては、さらに大きく40〜500nmである。
【0009】
JP 59127754 A2およびJP 59127755 A2では、PVO−鋼−複合材料のための耐候性保護フィルムが記載されている。保護フィルムは、フルオロポリマーから構成されるが、この場合、アクリレート−エラストマー部分については、(メタ)アクリレート−マトリックスを有するものではない。
【0010】
従来技術の単一フィルムおよび複合フィルムは、特に、耐衝撃性改良ポリ(メタ)アクリレートとの混合物中のフルオロポリマーから構成されるものは、優れた性質を示す。特に、高い耐候性、良好な化学薬品耐性、応力腐食割れに対する高い耐性および良好な機械的耐性が挙げられる。したがってこれらは外部での使用が予定されるものである。しかしながら、フィルムまたは複合材料が少なくとも150、200、250μmまたはそれ以上の材料厚を示す場合には、実際にはこれらすべてのフィルムが単一フィルムであるか、あるいは、複合フィルムにかかわらず、特に外部での使用の際に、かつ同時に長期間に亘っての熱的負荷が生じる場合に、望ましくないある程度の脆化を伴う。これは、フィルムの可能な使用について、たとえば相対的高温の地理的領域または一般には適用、特に熱環境下での外部適用を制限するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】EP O 476 942
【特許文献2】JP-OS 03 124754 A2
【特許文献3】WO 00/37237
【特許文献4】DE 102 36 045 A1
【特許文献5】EP 1 093 911 A2
【特許文献6】EP O 306 385 A1
【特許文献7】JP 59127754 A2
【特許文献8】JP 59127755 A2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって本発明の課題は、少なくとも150μmまたはそれ以上の材料厚を有する単一フィルムおよび複合フィルムから製造される材料または成形体を提供することであり、この場合、これらは、長期に亘っての熱的負荷後に全く脆化を生じないかまたは生じたとしても極めて少ない。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の課題は、少なくとも150μmの材料厚を有するプラスチックから成る成形体によって解決され、この場合、これは、ポリ(メタ)アクリレート−マトリックスおよびその中に分散されたエラストマー粒子から成る耐衝撃性改良ポリ(メタ)アクリレート−プラスチックと、フルオロポリマーとから成るポリマー混合物を含有するものであって、その際、混合物中のフルオロポリマーの量は30〜95質量%であり、かつ、耐衝撃性改良ポリ(メタ)アクリレート−プラスチックおよびフルオロ−ポリマーから成るポリマー混合物は、外層中で、少なくとも10μmの連続した材料厚を示し、この場合、前記成形体は、耐衝撃性改良ポリ(メタ)アクリレート−プラスチックが、20〜70質量%のポリ(メタ)アクリレート−マトリックスおよび80〜30質量%のエラストマー粒子から構成されることを特徴とする。
【0014】
本発明は、ポリ(メタ)アクリレート−マトリックスおよびその中に分散されたエラストマー粒子から成る耐衝撃性ポリ(メタ)アクリレート−プラスチックと、フルオロポリマーとから成るポリマー混合物が、約少なくとも150μm、好ましくは少なくとも200μmまたは特に少なくとも250μmの材料厚の場合に、より薄い部分と比較して、長期−脆化を増加させる傾向にあることを見いだしたことに基づく。この増加した長期−脆化傾向は、成形体全体がポリマー混合物から構成されるか、あるいは、複合成形体であるかとは無関係に生じ、その際、耐衝撃性改良ポリ(メタ)アクリレート−プラスチックとフルオロ−ポリマーとから成るポリマー混合物は、外層で、少なくとも10μmの連続した材料厚で存在する。増加した脆性は、暴露された単一フィルム、たとえば、屋根材として使用される場合、さらには、複合部材、たとえばポリマー混合物から成る保護層を備えた自動車用外装部品として使用される場合に問題である。この部分は、状態および暴露に応じて、数ヶ月または数年後に見た目のよくないものとなる。したがって、このような部分または成形体における長時−脆化傾向を減少させることが求められた。
【0015】
たとえば、全体がポリマー混合物から構成されるフィルムの場合の長期−脆化は、試験的には、60℃で10日間貯蔵後では、10日間に亘っての熱負荷なしの値を顕著に50%下回る破断点伸びの減少に関連する。これらの試験的相関関係は、150μmを下回るか、あるいは100μmを下回る材料厚の薄いフィルムの場合にはみられない。ここで、実際には、60℃で10日間貯蔵後の破断点伸びの直接的な減少はみられない。にもかかわらず、長期−脆化傾向は、前記ポリマー混合物が、外層中に少なくとも10μmの連続した材料厚で存在する複合成形体の場合にみられる。
【0016】
ほぼ少なくとも150μmの材料厚を有し、耐衝撃性改良ポリ(メタ)アクリレート−プラスチックとフルオロポリマーとから構成されるポリマー混合物から、その全体が構成される部材または成形材料が、外の天候または試験的に60℃で10日間貯蔵の際に、実際に、その材料厚により阻害される材料の横収縮によって、機械的負荷状態における早期の欠損を増加させる傾向にあるという理論を見いだした。前記ポリマー混合物が外層中で、少なくとも10μmの連続した材料厚で存在する複合成形材料の場合にも、これらの影響が同様に生じるが、それというのも、素地との堅固な結合が、同様に、外層中のポリマー混合物の横収縮を阻害するためである。単一の薄い成形体、たとえばフィルムは、これらの影響は実際に、さらに60℃で10日間貯蔵後の暴露であっても生じる。これの発見に基づいて、解決すべき問題は、一様に、少なくとも150μmの材料厚を有し、耐衝撃性改良ポリ(メタ)アクリレート−プラスチックとフルオロ−ポリマーとから成るポリマー混合物を含有し、外層中で少なくとも10μmの連続した材料厚を有するプラスチックから成る成形体に関し、この場合、これらは、成形体が全体としてポリマー混合物から構成されるか、あるいは、ポリマー混合物から成る薄い外層を有する複合材料であるかとは無関係である。
【0017】
この問題は、耐衝撃性改良ポリ(メタ)アクリレート−プラスチックとフルオロポリマーとから成るポリマー混合物の混合比を選択することによって解決され、その際、混合物中のフルオロポリマーの量は30〜95質量%である。さらに耐衝撃性改良ポリ(メタ)アクリレート−プラスチックは、20〜70質量%のポリ(メタ)アクリレート−マトリックスと30〜80質量%のエラストマー粒子とから構成されるべきである。
【0018】
特別な実施態様において、これらのエラストマー粒子は10〜1000nm、20〜600nm、30〜500nmまたは50〜150nmの平均粒径を有する。
【0019】
全体としての尺度は、少なくとも150μmの材料厚を有し、その全体がポリマー混合物から構成される部材は、60℃で10日間貯蔵後に、少なくとも150%の十分な破断点伸びを示すことである。60℃で10日間貯蔵後の破断点伸びは、この場合にさらに、10日間の熱的負荷なしの値のなおも少なくとも60%に達する。
【0020】
これらの尺度は、少なくとも150μmの材料厚を有し、耐衝撃性改良ポリ(メタ)アクリレートプラスチックとフルオロポリマーとから成るポリマー混合物が、外層中で少なくとも10μmの連続した材料厚を有する複合成形体に関しても適用される。しかしながら、ここで、適性試験は、60℃で10日間に亘っての貯蔵後の破断点伸びを測定することによっては影響されず、むしろ、複合部材を60℃で10日間貯蔵後に、外層中で、割れ形成の開始点伸びを測定することによっておこなう。この値は、複合部材の場合には、60℃で10日間貯蔵なしの値の少なくとも50%でなければならない。60℃で10日間貯蔵なしの出発値は、複合部材の場合には少なくとも100%である。
【0021】
ポリマー混合物
耐衝撃性改良ポリ(メタ)アクリレートプラスチックとフルオロポリマーとから成るポリマー混合物は、混合物中のフルオロポリマーの量が30〜95質量%、好ましくは40〜80質量%、特に好ましくは50〜70質量%であることを特徴とする。
【0022】
耐衝撃性改良ポリ(メタ)アクリレートプラスチック
耐衝撃性改良ポリ(メタ)アクリレートプラスチックは、20〜70質量%、好ましくは25〜60質量%および特に好ましくは30〜50質量%のポリ(メタ)アクリレート−マトリックスおよび80〜30質量%、好ましくは75〜40質量%および特に好ましくは70〜50質量%のエラストマー粒子から構成される。
【0023】
特別な実施態様において、エラストマー粒子は10〜1000nm、20〜600nm、30〜500nmまたは50〜150nmの平均粒径を有する(たとえば、超遠心法による測定)。
【0024】
好ましくは、ポリ(メタ)アクリレート−マトリックス中に分散されたエラストマー粒子は、軟質のエラストマー層およびこれと結合する硬質層を有するコアを有する。
【0025】
耐衝撃性改良ポリ(メタ)アクリレート−プラスチック(szPMMA)は、少なくとも80質量%のメチルメタクリレート単位ならびに場合によっては0〜20質量%のメチルメタクリレートと共重合可能なモノマー単位から重合されたマトリックスポリマー部分と、マトリックス中に分散された架橋されたポリ(メタ)アクリレートをベースとする耐衝撃性改良剤部分とから成る。
【0026】
マトリックスポリマーは、80〜100質量%、有利に90〜99.5質量%のラジカル重合されたメチルメタクリレート単位および場合によっては0〜20質量%、有利に0.5〜10質量%の他のラジカル重合可能なコモノマー、例えば、C〜C−アルキル(メタ)アクリレート、特にメチルアクリレート、エチルアクリレートまたはブチルアクリレートから成る。好ましくは、マトリックスの平均分子量Mw(質量平均)は、90,000g/モル〜200,000g/モル、特に100,000g/モル〜150,000g/モル(検定標準としてのポリメチルメタクリレートに対するゲル透過クロマトグラフィーを用いてのMwの測定)に相当する。分子量Mwの測定は、例えばゲル透過クロマトグラフィーまたは散乱光法により行なうことができる(例えば、H.F. Mark他, Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,第2版,第10巻,第1頁以降, J. Wiley, 1989参照)。
【0027】
好ましくは、コポリマーは、90〜95質量%のメチルメタクリレートおよび0.5〜10質量%のメチルアクリレートから構成される。ビカー軟化温度VET(ISO306-B50)は、好ましくは95〜112℃の温度で、少なくとも90の範囲であってもよい。
【0028】
耐衝撃性改良剤
ポリメタクリレートマトリックスは、耐衝撃性改良剤を含有し、この場合、これらは、たとえば、2殻または3殻構造を有する耐衝撃性改良剤であってもよい。
【0029】
ポリメタクリレートプラスチックのための耐衝撃性改良剤は、十分知られている。耐衝撃性改良ポリメタクリレート成形材料の製造および構造は、たとえば、EP−A0113924、EP−A−0522351、EP−A0465049およびEP−A0683028に記載されている。
【0030】
耐衝撃性改良剤
耐衝撃性改良剤は、自体公知の方法で、ビーズ重合またはエマルション重合によって製造され、かつこのようにして得られた架橋された粒子は、10〜1000nm、20〜600nm、30〜500nmまたは50〜150nmの平均粒径を有するものであってもよい。
【0031】
少なくとも40質量%、好ましくは50〜70質量%のメチルメタクリレート、20〜40質量%、好ましくは25〜35質量%のブチルアクリレートおよび0.1〜2質量%、好ましくは0.5〜1質量%の架橋モノマー、たとえば多官能性(メタ)アクリレート、たとえばアリルメタクリレートおよび場合によっては他のモノマー、たとえば0〜10質量%、好ましくは0.5〜5質量%のC〜C−アルキルメタクリレート、たとえばエチルアクリレートまたはブチルメタクリレート、好ましくはメチルアクリレート、または他のビニル性の重合可能なモノマー、たとえばスチレンから構成される。
【0032】
好ましい耐衝撃性改良剤はポリマー粒子であり、この場合、この粒子は、2または3層のコア−シェル構造を有していてもよく、かつエマルション重合によって得られる(たとえば、EP-A 0113924, EP-A0522351, EP-A 0465049およびEP-A 0683028参照)。これらのエマルションポリマーの適した粒径は、たとえば10〜150nm、好ましくは20〜120nm、より好ましくは5〜100nmの範囲である。
【0033】
1個のコアおよび2個のシェルを有する3層または3相構造は、以下の性質を有していてもよい。最も内側の(硬質)シェルは、たとえば、本質的にメチルメタクリレート、少量のコモノマー、たとえばエチルアクリレート、および架橋剤部分、たとえばアリルメタクリレートから構成されていてもよい。真中の(軟質)シェルは、たとえばブチルアクリレートおよび場合によってはスチレンから構成されてもよく、その一方で、最も外側の(硬質)のシェルは、本質的に通常はマトリックスポリマーに相当し、この場合、これは、マトリックスに対する相溶性および良好な結合性をもたらす。耐衝撃性改良剤中のポリブチルアクリレート部分は、耐衝撃性改良作用に関して重要であり、かつ好ましくは、20〜40質量%、より好ましくは25〜35質量%である。
【0034】
耐衝撃性ポリメタクリレート成形材料
押出機中で、耐衝撃性改良剤およびマトリックスポリマーは、溶融物の形で混合されてもよく、耐衝撃性改良ポリアクリレート成形材料を生じる。装填された材料は、一般的には最初に顆粒に切断する。これらは、さらに押出成形または射出成形によって、成形体、たとえばフィルム、異形材、シートまたは射出成形部品に加工されてもよい。
【0035】
EP O 528 196 A1による2相耐衝撃性改良剤
好ましくは、特にフィルムを製造するために、これに制限されることはないが、原則としてEP O 528 196 A1から公知の系を使用し、この場合、2相の、耐衝撃性改良ポリマーは:
a1)10〜95質量%の連続した硬質相、その際、ガラス転移温度Tmgは70℃を上回り、この場合、この硬質相は、
a11)80〜100質量%(a1)に対して)のメチルメタクリレートおよび
a12)0〜20質量%の1個またはそれ以上の他のエチレン系不飽和ラジカル重合可能なモノマーから成り、ならびに、
a2)90〜5質量%の硬質相中に分散された粘質(tough)相、その際、ガラス転移温度Tmgは−10℃を下回り、この場合、この粘質相は、
a21)50〜99.5質量%のC〜C10−アルキルアクリレート(a2)に対して)
a22)2個または複数個のエチレン系不飽和ラジカル重合可能な基を有する、架橋モノマー0.5〜5質量%、および
a23)場合によっては他のエチレン系不飽和ラジカル重合可能なモノマーから成り、
その際、少なくとも15質量%の硬質相a1)は、粘質相a2)と共有結合している。
【0036】
2相の耐衝撃性改良剤が、2段階のエマルション重合によって水中で得られてもよく、この場合、これは、たとえば、DE-A 38 42 796に記載されている。第1の工程において、粘質相a2)が得られ、かつ、少なくとも50質量%、好ましくは80質量%を上回る、低分子量アルキルアクリレートから構成され、これは、この相の−10℃を下回るガラス転移温度の上昇を生じる。架橋モノマーa22)として、ジオールの(メタ)アクリル酸エステル、たとえばエチレングリコールジメタクリレートまたは1,4−ブタンジオールメチルアクリレート、2個のビニル基またはアリル基を有する芳香族化合物、たとえば、ジビニルベンゼンまたは2個のエチレン系不飽和ラジカル重合可能な基を有する他の架橋剤、たとえば、アリルメタクリレートをグラフト架橋剤として使用する。3個またはそれ以上の不飽和ラジカル重合可能な基、たとえばアリル基または(メタ)アクリロイル基を有する架橋剤の例は、トリアリルシアヌレート、トリメチロールプロパントリアクリレートおよび−トリメタクリレートならびにペンタエリトリット−テトラアクリレートおよび−テトラメタクリレートを挙げることができる。これに関する他の例は、US 4,513.118に挙げられている。
【0037】
a23)として挙げられるエチレン系不飽和ラジカル重合可能なモノマーは、たとえばアクリル酸またはメタクリル酸ならびに1〜20個の炭素原子を有するそのアルキルエステルであってもよく、別記しない限りにおいて、アルキル基は、直鎖、分枝または環式であってもよい。
【0038】
さらにa23)は、他のラジカル重合可能な脂肪族コモノマーを含有していてもよく、この場合、このコモノマーは、アルキルアクリレートa21)と共重合可能なものである。しかしながら、芳香族コモノマー、たとえばスチレン、α−メチルスチレンまたはビニルトルエンの著量は避けるべきであり、それというのもこれらは、特に天候の状態に応じて、成形体Aの好ましくない性質を招くためである。
【0039】
第1工程において粘質相を得る際に、粒径およびその多分散性は正確に調整すべきである。粘質相の粒径は、本質的に乳化剤の濃度に依存する。有利には、Saatlatexの使用によって調節することができる。平均粒径(質量平均)が130nmを下回り、好ましくは70nmを下回り、かつ多分散性U80が0.5を下回り(U80は超遠心によって測定された粒度分布の積分により算定され、U80=[(r90−r10)/r50]−1(その際、r10、r50、r90=粒子半径の10%、50%、90%がこれを下回り、かつ粒子半径の90%、50%、10%がこれを上回る、平均積分粒子半径である)、好ましくは0.2を下回る粒子は、水相に対して0.15〜1.0質量%の乳化剤濃度で、達成された。これは、特にアニオン乳化剤、たとえば、特に好ましくは、アルコキシル化および硫酸化パラフィンの場合に該当する。重合開始剤としては、たとえば、水相に対して0.01〜0.5質量%のアルカリ金属−またはアンモニウムペルオキソジスルフェートを使用することができ、重合は、20〜100℃の温度で生じる。好ましくは、レドックス系を、たとえば0.01〜0.05質量%の有機ヒドロペルオキシドおよび0.05〜0.15質量%のナトリウムヒドロキシメチルスルフィネートの組み合わせで、20〜80℃の温度で使用する。
【0040】
粘質相a2)に対して、少なくとも15質量%共重合された硬質相a1)は、少なくとも70℃のガラス転移温度を示し、かつ、メチルメタクリレートのみから構成されていてもよい。コモノマーa12)として、20質量%までの1種またはそれ以上の他のエチレン系不飽和ラジカル重合可能なモノマーが、硬質相中に存在していてもよく、かつ、アルキル(メタ)アクリレート、好ましくは1〜4個の炭素原子を有するアルキルアクリレートを、前記ガラス転移温度を、前記のものを下回らない量で使用する。
【0041】
硬質相a1)の重合は第2工程で生じ、同様にエマルション中で、通常の助剤の使用下で、たとえば、さらに粘質相a2)の重合のために使用する。
【0042】
好ましい実施態様において、硬質相は、硬質相中にコモノマー成分a12)の構成部分として、Aに対して、低分子量のおよび/または共重合されたUV吸収剤を0.1〜10質量%、好ましくは0.5〜5質量%の量で含有する。重合可能なUV吸収剤に関する例としては、たとえばUS4576870が記載されているように、2−(2’−ヒドロキシフェニル)−5−メタクリロイルアミドベンゼントリアゾールまたは2−ヒドロキシ−4−メタクリロイルオキシベンゾフェノンを挙げることができる。低分子量UV−吸収剤は、たとえば、2−ヒドロキシベンゾフェノンまたは2−ヒドロキシフェニルベンソトリアゾールまたはサリチル酸フェニルエステルの誘導体であってもよい。一般に、低分子量UV−吸収剤は、2×10(g/モル)を下回る分子量を有する。特に好ましくは、加工温度での少ない揮発性およびポリマーAの硬質相a1)との均一な混合性を生じる。
【0043】
光保護剤
光保護剤は、UV吸収剤、UV安定化剤およびラジカル捕捉剤を意味するものと理解される。
【0044】
場合により含有されるUV保護剤は、たとえば置換基、たとえばヒドロキシル基および/またはアルコキシ基が、通常、2および/または4−位に存在するベンゾフェノンの誘導体である。これは、2−ヒドロキシ−4n−オクトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンが挙げられる。さらに、UV−保護添加剤として置換されたベンゾトリアゾールが特に適しており、この場合、これらは、特に2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ジ−(α,α−ジメチルベンジル)−フェニル]−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ,t−ブチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−アミルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−sec−ブチル−5−t−ブチルフェニル)−ベンゾトリアゾールおよび2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、フェノール、2,2’−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)]が挙げられる。
【0045】
ベンゾトリアゾールの他に、さらに2−(2’−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、たとえばフェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,2,5−トリアジン−2−キシ)−5−(ヘキシルオキシ)の群からのUV吸収剤を使用することが可能である。
【0046】
さらに使用可能なUV保護剤は、
2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸エチルエステル、
2−エトキシ−2’−エチル−シュウ酸ビスアニリド、
2−エトキシ−5−t−ブチル−2’−エチル−シュウ酸ビスアニリドおよび
置換された安息香酸フェニルエステルである。
【0047】
光保護剤またはUV保護剤は、前記のように低分子量化合物として、安定化すべきポリメタクリレート材料中に含有することができる。しかしながら、さらにUV吸収可能な基に対して、マトリックスポリマー分子中で、共重合後に、重合可能なUV吸収剤化合物、たとえばベンゾフェノン誘導体またはベンゾトリアゾール誘導体のアクリロイル、メタクリルまたはアリル誘導体と、共有結合させることが可能である。
【0048】
UV保護剤の量は、化学的に異なるUV保護剤の混合物であってもよいが、一般には層a)の(メタ)アクリレートコポリマーに対して0.1〜10質量%、好ましくは0.01〜5質量%、特に好ましくは0.02〜2質量%である。
【0049】
ラジカル捕捉剤/UV安定化剤の例として、ここでは立体障害アミンが挙げられてもよく、特にHALSの名称で(ヒンダートアミン光安定化剤)知られたものである。これは、塗料およびプラスチック、特にポリオレフィンプラスチック中の老化過程の阻害のために使用することができる (Kunstoetoffe, 74 (1984) 10,第620頁〜第623頁; Farbe + Lack, 96 Jahrgang, 9/1990, 第689頁〜第693頁)。安定化作用については、HALS−化合物中に存在するテトラメチルピペリジン基に基づくものである。この化合物群は、非置換であるか、あるいは、ピペリジン窒素上でアルキル基またはアシル基で置換されていてもよい。立体障害アミンは、UVの範囲で吸収しない。立体障害アミンは、形成されたラジカルを捕捉するものであって、そしてUV吸収剤はこれをできない。
【0050】
安定化に作用するHALS−化合物の例は、この場合、さらに混合物として使用することもできる:
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル}−セバケート、8−アセチル{−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ(4,5)−デカン−2,5−ジオン、ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−スクシネート、ポリ−(N−β−ヒドロキシエチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシ−ピペリジン−コハク酸エステル)またはビス−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−セバケート。
【0051】
フルオロポリマー
本発明の範囲内で、フルオロポリマーとして、二重結合上に少なくとも1個のフッ素置換基が存在するオレフィン系不飽和モノマーをラジカル重合することによって得ることができるポリマーであると理解される。これに関してさらにコポリマーが含まれる。これらのコポリマーは、1個または複数個のフッ素含有モノマーの他に、このフッ素含有モノマーと共重合可能な他のモノマーを含有していてもよい。好ましいフルオロポリマーは、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)である。
【0052】
フッ素含有モノマーに関して、特に挙げられるのは、
クロロトリフルオロエチレン、フルオロビニルスルホン酸、ヘキサフルオロイソブチレン、ヘキサフルオロプロピレン、ペルフルオロビニルメチルエーテル、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニルおよびフッ化ビニリデンである。特に、フッ化ビニリデンが、特に好ましい。
【0053】
本発明に関して重要であるのは、フッ素含有ポリマーがフィルムに押出可能であることである。したがって分子量は、助剤またはコポリマーを使用する場合には、広い範囲で可変であってもよい。一般には、フッ素含有ポリマーの質量平均分子量は、100,000〜200,000、好ましくは110,000〜170,000の範囲であるが、これに制限されることはない。
【0054】
成形体
a)全体がポリマー混合物から成る成形体
本発明による成形体は、そのポリマー組成において、全体として、耐衝撃性改良ポリ(メタ)アクリレートプラスチックおよびフルオロ−ポリマーから構成されるポリマー混合物から成っていてもよい。一般には、自体公知の方法で、通常の添加剤、助剤および/または充填剤、たとえば熱安定化剤、UV安定化剤、UV吸収剤、抗酸化剤および/または着色剤、顔料または有機染料を含有していてもよい。好ましくは、10質量%以下、有利には5質量%以下、特に有利には2質量%以下の常用の添加剤、助剤および/または充填剤が含有されている。適切である場合には、成形体は添加剤、助剤および/または充填剤を全く含有しない。
【0055】
本発明による成形体は、たとえば150〜2000μm、好ましくは200〜1000μm、特に好ましくは300〜500μmのフィルム厚を有するフィルムであってもよい。
【0056】
本発明によるフィルムは、60℃で10日間の貯蔵なしで、少なくとも250%、好ましくは少なくとも280%、特に好ましくは少なくとも300%の破断点伸びを有していてもよい。
【0057】
本発明によるフィルムは、60℃で10日間貯蔵後に、少なくとも150%、好ましくは少なくとも175%、特に好ましくは少なくとも200%の破断点伸びを有していてもよい。
【0058】
本発明によるフィルムは、60℃で10日間貯蔵後に、10日間の熱的負荷なしの値のなおも少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、特に好ましくは少なくとも80%の破断点伸びを有していてもよい。このフィルムは、たとえば、メンブレン構造中に含有されていてもよく、その際、メンブレン構造は、少なくとも2個のカーブした、互いに縁で溶接されたフィルムを含み、かつ、空所を包囲している。このようなメンブレンは、たちえば、公知のEden-Projekt構造として知られている。
【0059】
本発明による成形体またはフィルムは、自体公知の方法で、熱可塑的加工、特に押出成形または射出成形によって製造することができる。
【0060】
本発明による成形体ならびにフィルムは、たとえば、屋根材、ファザード材、折りたたみ可能な布地またはプラスチックの帆を備えた車両のためのフォールディングルーフ中のウインドーとして、使用することができる。
【0061】
b)複合成形体
本発明による成形体は、複合成形体であってもよく、この場合、これは、耐衝撃性改良ポリ(メタ)アクリレート−プラスチックおよびフルオロポリマーからのポリマー混合物を含む相に加えて、さらに熱可塑性加工可能であり、前記ポリマー混合物に結合する他のプラスチックを含有し、かつポリマー混合物からなる層は、連続した材料厚10〜100μm、好ましくは20〜80μmを示す。
【0062】
一般に、ポリマー混合物および場合によっては他のプラスチック材料をその下方に含む層はさらに、自体公知の方法で、通常の添加剤、助剤および/または充填剤、たとえば熱安定化剤、UV安定化剤、UV吸収剤、抗酸化剤および/または着色剤、顔料または有機染料を含有する。好ましくは、10質量%以下、有利に5質量%以下、特に有利には2質量%以下の常用の添加剤、助剤および/または充填剤を含有する。適切である場合には、プラスチックは添加剤、助剤および/または充填剤を全く含有するものではない。より好ましくは、耐衝撃性改良ポリ(メタ)アクリレート−プラスチックおよびフルオロポリマーから成るポリマー混合物の層は、0.01〜10質量%の光保護剤を含有する。
【0063】
複合成形体中に存在する他のプラスチックは、ポリメチルメタクリレート、耐衝撃性改良ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリル酸エステル/スチレン/アクリルニトリル−グラフトコポリマー(ASA)、スチレン−アクリル−ニトリル(SAN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PETG)、ポリブチレンテレフタレート−プラスチック(PBT)、ポリ塩化ビニル−プラスチック(PVC)、ポリオレフィン−プラスチック、シクロオレフィンコポリマー(COC)、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)または種々の熱可塑性プラスチックの混合物(ブレンド)であってもよい。
【0064】
本発明による複合成形体は、供給時に、少なくとも100%、好ましくは120%、特に好ましくは150%の耐衝撃性改良ポリ(メタ)アクリレート−プラスチックとフルオロ−ポリマーとから成るポリマー混合物の層中での割れ形成開始点の伸びを有し、かつ60℃で10日間の貯蔵後には、この値の少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、特に好ましくは少なくとも70%を示す。
【0065】
本発明による複合成形体は、自体公知の方法で、フィルム貼合わせ、同時押出成形法、押出被覆法、インサート成形法または溶液流延法によって製造することができる。
【0066】
本発明による複合成形体は、たとえば、屋根材、ファサード材、家庭電化製品のパーツ、通信機器、娯楽またはスポーツ用品、シャシパーツまたはシャシパーツ部品として、自動車、船または航空機構成部品、たとえばパネル、バンパー、どろよけ、サンバイザーまたはトリムのために使用することができる。
【0067】
フィルムおよびその製造
フィルムは、本発明によるポリマー混合物から、自体公知の方法で、押出成形によって製造することができる。適しているのは、たとえばDE 102 36 045 A1またはWO 00/37237による方法である。これらは、先ず、耐衝撃性改良ポリ(メタ)アクリレートとフルオロポリマーとから成る混合物を製造する。
【0068】
一般に、フルオロポリマー、耐衝撃性改良ポリ(メタ)アクリレートは、商業的に使用可能である。
【0069】
特に好ましい混合物は、30〜95質量%、好ましくは40〜80質量%、特に好ましくは50〜70質量%のフルオロポリマー、好ましくはポリフッ化ビニリデン(PVDF)および70〜5質量%、好ましくは60〜20質量%および特に好ましくは50〜30質量%の耐衝撃性改良ポリ(メタ)アクリレートを含有し、この場合、この値は、全混合物に対するものである。好ましいPVDFは、ホモポリマーおよび/またはコポリマーとして使用することができる。
【0070】
押出可能なポリマー混合物は、場合によっては少量で、たとえば0〜20質量%、好ましくは0〜10質量%または0〜5質量%の他のポリマーを含有していてもよく、この場合、このポリマーは、フルオロポリマーおよび耐衝撃性改良ポリ(メタ)アクリレートの双方と混和可能なものである。これらは、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタンおよびポリエーテルを含む。特に好ましくは、フィルムは、主に、98〜100質量%であるか、あるいは、専ら、耐衝撃性改良ポリ(メタ)アクリレートおよびフルオロポリマーから構成される。
【0071】
種々の物質の混和性は、成分が、相分離に起因する濁りを有するものではない、均一な混合物を形成することを意味する。
【0072】
さらに、フィルムは、技術分野で公知の添加剤を含有していてもよい。これについては、静電防止剤、抗酸化剤、染料、難燃剤、充填剤、光安定化剤および有機リン化合物、たとえば亜リン酸塩またはホスホン酸塩、顔料、耐候剤および可塑剤が挙げられる。
【0073】
本発明によれば、すべての公知の光保護剤、特にUV−吸収剤を使用することができる。特に好ましくは、ベンゾトリアゾール型およびヒドロキシフェニルトリアジン型のUV吸収剤である。
【0074】
特に好ましくは、トリアジンに基づくUV吸収剤である。これらのUV吸収剤は、特に長い寿命を有し、かつ特に耐候性である。さらに十分な吸収特性を有する。
【0075】
好ましくは、フィルムの製造方法において、先ず、少なくとも1種の耐衝撃性改良ポリ(メタ)アクリレートおよび1種のフルオロ−ポリマーを含有する乾燥混合物を製造する。
【0076】
本発明の範囲内において、乾燥混合物とは、他の工程で、この混合物から溶剤を除去する必要がないものを意味する。他の後処理を必要とせず、かつ混合物から減圧によって押出機中で分離することができる溶剤残分については、許容される。
【0077】
混合物は、この目的のために知られた常用の装置中で実施することができる。混合が実施される温度は、混合物のゲル化温度を下回る。好ましくは、この工程は、室温で実施される。
【0078】
この混合物は、たとえば、40℃を下回る温度を有するローラー上で押出すことができ、それによってフィルムが形成される。ポリマーのフィルムへの押出は、公知であり、かつ、たとえば、Kunststoffextrusionstechnik II, Hanser Verlag, 1986,第125頁以降に記載されている。押出機ダイからのホットメルトを、簡単な冷却ロール上に置く。このような冷却ロールは当業者に公知であり、その際、高い光沢を得るために磨きロールを使用することもできる。本発明による方法において、冷却ロール以外の他のロールを使用することも可能である。他のロールは、最初にメルトを第1ロール(冷却ロール)上で冷却し、他の層と一緒に供給されてもよい単層のフィルムを得る。
【0079】
得られるフィルムが、本質的に不純物を含まないように、フィルターを、メルトのダイへの導入口上流に配置する。フィルターのメッシュ幅は、一般には使用される出発材料に応じて定められ、したがって、広範囲に可変であってもよい。しかしながら一般には、300um〜20μmの範囲である。さらに、異なるメッシュ幅の複数個のふるいを備えたフィルターを、ダイ入り口上流に配置することも可能である。これらのフィルターは、当業者に公知であり、かつ商業的に入手可能である。付加された例は、当業者のためのさらなる指標として役立つ。
【0080】
高い質を有するフィルムを得るために、特に純粋な原料を使用することはさらに有利である。
【0081】
PVDFは、約240℃を上回る温度で顕著にゲルを生じる(Solvay社からの製造データ)。これらのゲル粒子は、フィルターによって、かなりの困難性を伴ってのみ除去することができる。したがって、可能な限りゲル形成を回避することは必要不可欠である。したがって、可能な限りゲル化温度を下回る温度で押出成形をおこなう。ゲル体の少ないフィルムを製造するために、粉末形状のPVDF供給形が可能であり、この場合、これは、平均粒径0.2mmを有するものである。これは、押出機の剪断帯域でより完全に分解される。
【0082】
しかしながら、温度は、良好な表面の質および最小限の濁りを有するフィルムを生じるよう、混合物を押出成形することができる程度に、十分に高くなければならない。最適な温度は、たとえば混合物の組成に依存し、したがって、広い範囲で可変であってもよい。しかしながら、ダイ入口までの混合物の好ましい温度は150〜210℃であり、特に好ましくは180〜200℃の温度である。この場合において、混合物の温度は、全成形工程に亘ってゲル化温度を下回るよう維持しなければならない。
【0083】
溶融混合物をダイ中にプレスする圧力は、たとえばスクリューの速度によって制御することができる。圧力は、一般には40〜100バールの範囲であるが、これは、本発明による方法において何ら制限されるものではない。したがって、本発明によってフィルムを得ることができる速度は、5m/分を上回り、特に10m/分を上回るが、この場合、これは、本発明による方法においてなんら制限されるものではない。一般的な工程パラメータに関するさらなる示唆は、当業者であれば、付加された実施例から見いだすことができるものである。
【0084】
得られたフィルムが、表面の高い質および少ない濁りを有するために、ダイの温度を、ダイ入口上流の混合物の温度よりも高いが、しかしながらゲル温度を下回るよう選択することは重要である。
【0085】
好ましくは、ダイ温度を、5〜20%、好ましくは10〜20%および特に好ましくは12〜18%、ダイ入口上流の混合物温度を上回るように調整する。したがって、ダイの好ましい温度は160〜235℃、好ましくは200〜230℃および特に好ましくは210〜220℃である。
【0086】
フィルムを得た時点で、これらを他のフィルムと一緒に貼り合わせることができる。これらのフィルムは、PVDF/szPMMA含有層の保護に役立つものであってもよい。さらに、これによってフィルムのさらなる加工が容易となり、それというのも、このプラスチックフィルムは、後続の工程でフィルム上に噴霧または塗布される樹脂に対して特に高い接着強度を示しうるためである。
【0087】
PVDF/szPMMA含有層上の接着強度を保護または改善するために塗布されてもよいこれらの層は、特に好ましくはポリエステル、たとえばポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)およびポリオレフィン、たとえばポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン−コポリマー(ABS)、ABS/ASAブレンド(ASA=アクリルニトリル−スチレン−アクリル酸エステルコポリマー)、ポリカーボネートおよびポリアミドならびにこれらのポリマーの混合物からの層である。
【0088】
PVDF/szPMMA含有フィルムは、顔料と一緒に提供されるか、あるいは、染料で印刷されていてもよい。さらに、これらのフィルム上でメタリック効果を達成することも可能である。これらの方法は当業者に公知であり、かつたとえば、グラビア印刷、ブラビア被覆およびミクログラビア被覆と呼称される。
【0089】
次いで、後に適用されるポリマーの接着性を改善するのに役立つ他の層を、化粧または他の装飾を備えたこの層に塗布することも可能である。
【0090】
同時貼合わせによるこれらの層の適用は、室温でまたはわずかに高い温度で実施することができ、その結果、PVDF/PMMA含有層の表面の質および不透明性が損なわれることはない。これらの方法は、いわゆる当業者に公知であり、かつたとえばKunststoffextrusionstechnik II, Hanser Verlag, 1986,第320頁以降に記載されている。
【0091】
前記工程、すなわち、PVDF/PMMA相層含有フィルムの製造、印刷および他の層の積層は、一般的に連続的方法で実施できることは、特に有利である。
【0092】
しかしながら、本発明の方法は、他のフィルムとの同時貼合わせに対し制限すべきではない。むしろ、これらの層は溶剤被覆(溶液流延法)によって、あるいは、押出被覆(押出注型法)によって塗布することができ、この場合、これらは、たとえば特許出願WO 96/40480 およびWO 88/07416およびUS特許4 902 557中に記載されている。
【0093】
これらの層を多層フィルムに、異なる配置でつなぎ合わせることができることは、当業者に公知である。したがって、このようなフィルムは、複数個の装飾層/印刷層を、異なる順序で有していてもよい。さらに、多層フィルムは、接着層を有していてもよく、この場合、これらは、種々のプラスチックからの層を結合するのに役立つか、あるいは、フィルムを保護すべき対象物に固定することができる。
【0094】
フィルムの性質
本発明によるフィルムは、150〜2000μm、好ましくは200〜1500μm、より好ましくは400〜1000μmの厚さを有していてもよい。
【0095】
破断点伸びの測定
熱的負荷を有するかまたは有しない破断点伸びの値は、この場合、性質を特徴付けるために特に重要であり、以下の方法によって測定することができる。
【0096】
破断点伸びの測定は、100μmまでの厚さの場合には23℃で、かつ50%の相対湿度で、ISO 527-3/2/100にしたがって、あるいは100μmを上回る厚さの場合には、ISO 527/1 B/50 にしたがっておこなった。双方の方法において、伸び速度は100%/分であった。材料の破断点伸びは、供給時および加熱室中で、一般には60℃での10日間貯蔵後に測定した。熱貯蔵後の破断点伸びを、供給時の破断点伸びで割った比が小さければ小さいほど、熱貯蔵が脆化を招いた程度が大きくなる。
【0097】
まさに押出された供給時の状態のフィルムの破断点伸びは、少なくとも150μm、たとえば少なくとも200〜2000μmのフィルム層の場合には、200〜300%の範囲である。
【0098】
60℃で10日間に亘っての貯蔵後になおも、少なくとも150%、好ましくは少なくとも180%、さらに好ましくは少なくとも200%、特に好ましくは少なくとも250%の破断点伸びが生じる。
【0099】
150μm以上で、たとえば2000μmまで、あるいは、それ以上、好ましくは200〜750μmの範囲のフィルム層の場合には、フィルムの破断点伸びは、60℃で10日間貯蔵後に、なおも、60℃で10日間の熱負荷なしの値の少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%である。
【0100】
フルオロポリマーの30〜95質量%の範囲をはずれる、たとえば、フルオロポリマーの割合が、25質量%またはそれを下回る、95質量%またはそれ以上である、耐衝撃性改良ポリ(メタ)アクリレートおよびフルオロポリマーの本発明によらない混合物部分の場合には、フィルムの破断点伸びは、60℃で10日間貯蔵後で、その部分が少なくとも150μmの材料厚を有する場合には、驚くべきことに相対的に急激に減少する。顕著かつ望ましくない脆性が生じ、この場合、特にエクステリア適用および同時に熱暴露の場合、たとえば相対的に熱い地理的領域において、顕著に不利である。
【0101】
複合成形体の性質
複合成形体は、耐衝撃性改良ポリ(メタ)アクリレート−プラスチックおよびフルオロポリマーから成るポリマー混合物を含有する層に加えて、他の熱可塑的に加工可能な、ポリマー混合物と結合するプラスチックを有しており、その際、ポリマー混合物層は、10〜100μm、特に30〜90μmの連続した材料厚を有する。複合成形体は、少なくとも150μm、たとえば200〜5000μmの任意の層厚または材料厚を有していてもよい。
【0102】
耐衝撃性改良ポリ(メタ)アクリレート−プラスチックおよびフルオロポリマーから成るポリマー混合物の層中の、割れ形成開始時の伸びの値は、この場合、特に性質を特徴付けるために重要であり、したがって、以下の方法によって測定することができる。この試験方法のための物質として選択された材料は、好ましくは、上層での割れ形成開始時の延びよりも高い破断点伸びを有するプラスチックであり、たとえば、ポリエチレンテレフタレート、LD−またはHD−ポリエチレンが適している。
【0103】
割れ形成開始時の伸びの測定は、23℃で、かつ50%の相対湿分は、ISO 527/1 B/50による引張り試験中でおこなった。引張り試験中で、ポリマー混合物からの層は、適した方法で照射され、その結果、トップ層中の割れの発生を、目によって視覚的に検出することができる。上層中の最初の割れの発生における現行の伸びが記録される。引張り試験は、5個の試料でおこなった。適しているのは、たとえば1mm〜2mmの全厚さの試料である。そして結果として、割れ形成開始時の伸びの平均値が示された。
【0104】
割れ形成開始時の伸びは、供給時および10日間に亘って一般には60℃で加熱室中での貯蔵後に測定した。熱貯蔵後の割れ形成開始時の延びを、供給時の割れ形成開始時の伸びで割った比が小さければ小さいほど、熱貯蔵がトップ層の脆化を招いた程度が大きくなる。
【実施例】
【0105】
フィルムを押出成形によって種々の厚さに製造する。出発材料として以下のものを使用する:
耐衝撃性改良ポリ(メタ)アクリレート(szPMMA):
耐衝撃性改良ポリ(メタ)アクリレート−プラスチックは、33質量%のポリ(メタ)アクリレート−マトリックスおよび平均粒径60nmを有する67質量%のエラストマー粒子から成る。ポリ(メタ)アクリレートーマトリックス中に分散させたエラストマー粒子は、軟質のエラストマー相およびこれと結合した硬質相を含むコアを有する。
ポリフッ化ビニリデン(PVDF)
PVDF KT 1000はVDFホモポリマーである;製造元:Kureha Chemicals, 日本
ポリマーを乾燥混合させ、かつフィルムに押出成形した。
【0106】
エラストマー粒子含量の測定
試験すべき材料を細断し(顆粒は直接使用してもよい)、かつ約1〜2gの量を分析ばかりで正確に計量し、150mlのビーカー中に入れた(精度0.1mg)。試料を、撹拌しながら(マグネットステーラー)、約50℃で、約80mlのアセトン中に溶解し、その際、顕著な濁りが、不溶性のエラストマー相により生じた。
【0107】
このようにして得られた濁ったポリマー溶液を、実験室用はかり上で(精度0.1g)定量的に、4個の遠心カップ中(鋼、それぞれ30〜50ml)に分配し、その結果、これらの最終質量は互いに最大0.1g程度異なるものであった。これらを、遠心分離用ローター中に導入し(冷却しながら、少なくとも35.000g)、かつ少なくとも30分に亘って、約21.000Upm(約41.000RZB)で遠心分離した。
【0108】
ここでビーカー中の透明な上澄溶液をデカントし、予め計量された容器中に濃縮し、かつ乾燥容器中で減圧下で一定量になるまで乾燥させた(=アセトン−溶解性部分)。
【0109】
同様に、沈殿物を定量的に計量し、計量された容器ビーカー中で入れ、かつ同様の方法で一定量になるまで乾燥させた(=アセトン不溶性部分)。
【0110】
塊部分を計量により算定した:
【表1】

【0111】
成形体中に含有されるフルオロ−ポリマーの型に依存して、さらなる評価のために2つの群に区別することができ、この場合、これらは、たとえば、2、3個の簡単な予備試験(溶解性試験)によってか、あるいは、アセトン不溶性部分の元素分析(フッ素測定)によって区別することができる。
【0112】
1)フルオロ−ポリマーが、アセトン中で完全に溶解する場合
このようにして測定されたアセトン不溶性部分は、エラストマー粒子含量に相当し、かつ完全な成形体に対するものである。当業者のためにとっては何ら問題なく、場合によっては成形体中のフルオロポリマーの部分を、たとえば元素分析によって、分光分析方法との組み合わせで、および/またはツアイゼルアルコキシ測定によって測定することが可能であり、かつその後に、エラストマー含量を、耐衝撃性改良ポリ(メタ)アクリレート−プラスチック部分に基づくものとした。
【0113】
2)フルオロ−ポリマーが、アセトン中で不溶であるかまたは完全に溶解しない場合
測定を、場合によっては、アセトン以外の他の溶剤中で実施し、その際、フルオロポリマーを完全に溶解させる。
【0114】
フルオロポリマーが完全に溶解する溶剤を見つけ出すことが可能でない場合には、したがって測定されたアセトン不溶性部分は、エラストマー粒子と不溶性フルオロポリマーとの混合物であり、かつ完全な成形体をベースとするものである。当業者にとっては同様に、何ら問題なく、アセトン不溶性部分中のエラストマー粒子の部分(沈澱)を、たとえば、元素分析と分光分析法との組み合わせによって、および/またはツアイゼルアルコキシ測定によってフルオロ−ポリマーの部分を測定することによって、測定することが可能であり、かつその後に、エラストマー含量を、耐衝撃性改良ポリ(メタ)アクリレート−プラスチックの部分に基づく。
【0115】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリ(メタ)アクリレート−マトリックスおよびその中に分散されたエラストマー粒子から成る耐衝撃性改良ポリ(メタ)アクリレート−プラスチックと、フルオロポリマーとから成るポリマー混合物を含有し、その際、混合物中のフルオロポリマーの量は、30〜95質量%であり、かつ、耐衝撃性改良ポリ(メタ)アクリレート−プラスチックとフルオロポリマーとから成るポリマー混合物は、外層中で少なくとも10μmの連続した材料厚で存在する、少なくとも150μmの材料厚を有するプラスチックから成る成形体において、耐衝撃性改良ポリ(メタ)アクリレート−プラスチックが、20〜70質量%のポリ(メタ)アクリレート−マトリックスおよび80〜30質量%のエラストマー粒子から構成されることを特徴とする、成形体。
【請求項2】
エラストマー粒子が、軟質のエラストマー相およびこれと結合する硬質相を備えたコアを有する、請求項1に記載の成形体。
【請求項3】
エラストマー粒子の平均粒径が10〜1000nmである、請求項1または2に記載の成形体。
【請求項4】
その全体が、耐衝撃性改良ポリ(メタ)アクリレート−プラスチックとフルオロポリマーとから成るポリマー混合物から構成されている、請求項1、2または3に記載の成形体。
【請求項5】
材料厚が150〜10000μmである、請求項4に記載の成形体またはフィルム。
【請求項6】
60℃で10日間貯蔵後の破断点伸びが少なくとも150%である、請求項5に記載の成形体またはフィルム。
【請求項7】
60℃で10日間貯蔵後の破断点伸びが、10日間に亘る熱負荷なしの値のなおも少なくとも60%である、請求項5に記載の成形体またはフィルム。
【請求項8】
フィルムがメンブレン構造中に含まれ、その際、メンブレン構造は、少なくとも2個のカーブし、かつ縁が互いに溶接されたフィルムを含有し、これが空洞を包囲している、請求項5から7までのいずれか1項に記載の成形体またはフィルム。
【請求項9】
請求項5から8までのいずれか1項に記載の成形体またはフィルムを製造するための方法において、自体公知の方法で、熱可塑性加工、特に押出成形法または射出成形法、または溶液流延法を用いることを特徴とする、請求項5から8までのいずれか1項に記載の成形体またはフィルムを製造するための方法。
【請求項10】
請求項5から8までのいずれか1項に記載の成形体またはフィルムの使用において、屋根材、ファサード材として、折りたたみ可能な布地またはプラスチックの幌を備えた車両のためのフォルダリングルーフ中のウインドーとしての使用。
【請求項11】
耐衝撃性改良ポリ(メタ)アクリレート−プラスチックとフルオロポリマーとから成るポリマー混合物を有する層に加えて、熱可塑的加工可能な、ポリマー混合物と結合する他のプラスチックを含有し、かつ、ポリマー混合物から成る層が10〜150μmの連続した材料厚を有する、複合成形体である、請求項1、2または3に記載の成形体。
【請求項12】
他のプラスチックが、ポリメチルメタクリレート、耐衝撃性改良ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリル酸エステル/スチレン/アクリルニトリル−グラフトコポリマー(ASA)、スチレン−アクリル−ニトリル(SAN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PETG)、ポリブチレンテレフタレート−プラスチック(PBT)、ポリ塩化ビニル−プラスチック(PVC)、ポリオレフィン−プラスチック、シクロオレフィンコポリマー(COC)、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)または種々の熱可塑性プラスチックの混合物(ブレンド)である、請求項11に記載の複合成形体。
【請求項13】
60℃で10日間貯蔵後の、耐衝撃性改良ポリ(メタ)アクリレート−プラスチックとフルオロポリマーとから成るポリマー混合物の層中での割れ形成開始点伸びを、熱処理なしの値で割った比が0.5を示す、請求項11または12に記載の複合成形体。
【請求項14】
自体公知の方法で、フィルム積層法、同時押出成形法、押出被覆法、インサート成形法または溶液流延法による、請求項11から13までのいずれか1項に記載の複合成形体の製造方法。
【請求項15】
屋根材、ファサード材、家庭電化製品のパーツ、通信機器、娯楽またはスポーツ用品、シャシパーツまたはシャシパーツ部品として、あるいは、自動車、船、航空機構成部品、たとえばパネル、バンパー、どろよけ、サンバイザーまたはトリムのための、請求項11から13までのいずれか1項に記載の複合成形体の使用。
【請求項16】
耐衝撃性改良ポリ(メタ)アクリレート−プラスチックとフルオロポリマーとから成るポリマー混合物の層中に、0.01〜10質量%の光保護剤を含有する、請求項1から15までのいずれか1項に記載の成形体。
【請求項17】
耐衝撃性改良ポリ(メタ)アクリレート−プラスチックとフルオロポリマーとから成るポリマー混合物を有する層に加えて、高圧で圧縮された、合成樹脂含浸紙または金属板から成るポリマー混合物と結合する高圧積層板を含有し、かつ、ポリマー混合物から成る層が10〜150μmの連続した材料厚を有する、複合成形体である、請求項1、2または3に記載の成形体。
【請求項18】
自体公知の方法で、高圧/高温プレス法またはコイル被覆法を用いる、請求項17に記載の複合成形体の製造方法。
【請求項19】
屋根材、ファサード材、家庭電化製品のパーツ、娯楽またはスポーツ用品、シャシパーツまたはシャシパーツ部品として、あるいは、自動車、船、航空機構成部品、たとえばパネル、バンパー、どろよけ、サンバイザーまたはトリムのための、請求項17に記載の複合成形体の使用。

【公開番号】特開2012−52139(P2012−52139A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259371(P2011−259371)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【分割の表示】特願2007−512124(P2007−512124)の分割
【原出願日】平成17年5月17日(2005.5.17)
【出願人】(390009128)エボニック レーム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (293)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Roehm GmbH
【住所又は居所原語表記】Kirschenallee,D−64293 Darmstadt,Germany
【Fターム(参考)】