説明

耐酸化剤としての二芳香族アミン誘導体

【課題】酸化、熱、及び/又は光誘発劣化を受け、その様な劣化を阻止又は阻害するために安定化を必要とする有機製品を安定化するための添加剤の提供。
【解決手段】一般式:(I)(式中、nは0〜5であり、mは0〜4であり、各R置換基は、独立に、水素、又は直鎖若しくは分枝C〜C32アルキル基若しくはアルケニル基などであり、各R置換基は、独立に、水素、又は直鎖若しくは分枝C〜C32アルキル基若しくはアルケニル基であり、R、R、R、R、R及びRは、独立に、水素、又は官能基を含んでもよい直鎖若しくは分枝C〜C32アルキル基若しくはアルケニル基である)を有する二芳香族アミン誘導体、及び、二芳香族アミン誘導体を含む潤滑油組成物。式(I):

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、酸化、熱、及び/又は光誘発劣化を受ける有機製品を安定化するための添加剤に関する。更に具体的に言えば、本発明は、耐酸化剤として有用な二芳香族アミン誘導体の類に関する。
【背景技術】
【0002】
耐酸化剤又はその他の安定剤での有機物質の安定化は当業者によく知られている。例えば、潤滑油の開発では、例えば、それらに耐酸化性、耐摩耗性、及び堆積制御性を与える添加剤を提供するために多数の試みが存在している。亜鉛ジアルキルジチオホスフェート(ZDDP)は、長年、潤滑油の耐疲労、耐摩耗、耐酸化、極圧及び摩擦改良添加剤として使用されている。然しながら、これらは、これらの亜鉛及びリン含有量が原因で幾つかの欠点を持っている。亜鉛の存在は、排気ガスにおける粒子の放出の一因となる。更に、内燃機関の運転中に、潤滑油は燃焼室に入ってシリンダー壁に粘着してピストンのストロークを落すことになる。
【0003】
リン含有潤滑油組成物が燃焼反応に入るとリンは排気ガス流に入り、そこで触媒毒として作用して触媒コンバーターの有用な寿命を短縮する。又一方、亜鉛ジアルキルジチオホスフェートは、自動車の排気ガス放出中の粒状物質の一因をなす灰分を生じ、監督官庁は環境への亜鉛の放出を減少させることを求めている。更に、リン、又、ZDDPの成分は、汚染を減少させるために自動車で使用される触媒コンバーターの寿命を制限すると見られている。毒物学的及び環境上の理由で、エンジン使用中に形成される粒状物質及び汚染を制限することは重要であるが、又、潤滑油の耐酸化性を低下させずに維持することも重要である。
【0004】
公知の亜鉛及びリン含有添加剤の上述の欠点に鑑み、亜鉛もリンも含まない、又は、少なくとも、それらを実質的に減少させた量で含む潤滑油添加剤を提供するための努力がなされてきた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、酸化、熱、及び/又は光誘発劣化を受け、その様な劣化を阻止又は阻害するために安定化を必要とする有機製品を安定化するための添加剤、例えば、潤滑油の耐酸化性を改善しながら、潤滑油の亜鉛及びリンの含有量を減少させることのできる、潤滑油のための添加剤を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態によれば、一般式:
【化1】


(式中、nは0〜5であり、mは0〜4であり、各R置換基は、独立に、水素、又は直鎖若しくは分枝C〜C32アルキル基若しくはアルケニル基であり、或いは2つのR置換基は、それらが結合している炭素原子と一緒になって結合して、1つ又は複数のヘテロ原子を含んでもよい、不飽和、部分飽和若しくは飽和C〜C30環構造を形成し、各R置換基は、独立に、水素、又は直鎖若しくは分枝C〜C32アルキル基若しくはアルケニル基であり、R、R、R、R、R及びRは、独立に、水素、又は官能基を含んでもよい直鎖若しくは分枝C〜C32アルキル基若しくはアルケニル基である)を有する二芳香族アミン誘導体が提供される。
【0007】
本発明の第二の実施形態によれば、一般式:
【化2】


(式中、n、m、R、R、R、R、R、R、R及びRは、上述の意味を有する)を有する二芳香族アミン誘導体の調製方法であって、式
【化3】


(式中、n、m、R、R、R、R、R及びRは上述の意味を有する)のヒドロキシルエチレンアミン中間体と、ケトン又はアルデヒドとを反応させる工程を含む方法が提供される。
【0008】
本発明の第三の実施形態によれば、一般式:
【化4】


(式中、n、m、R、R、R、R、R、R、R及びRは、上述の意味を有する)を有する1つ又は複数の二芳香族アミン誘導体の調製方法であって、(a)置換又は非置換N−フェニル−p−フェニレンジアミン誘導体と有機エポキシド基とを反応させる工程;及び(b)工程(a)の生成物とケトン又はアルデヒドとを反応させる工程を含む方法が提供される。
【0009】
本発明の第四の実施形態によれば、(a)潤滑油としての粘度を有する油及び(b)耐酸化性改善有効量の、前述の二芳香族アミン誘導体の1種又は複数種、を含む潤滑油組成物、が提供される。
【0010】
本発明の第五の実施形態によれば、(a)酸化、熱、及び/又は光誘発劣化を受け、その様な劣化を阻止又は阻害するために安定化を必要とする有機物質;及び(b)安定化有効量の、前述の二芳香族アミン誘導体の1種又は複数種を含む、安定剤含有組成物が提供される。
【0011】
本発明の第六の実施形態によれば、酸化、熱、及び/又は光誘発劣化を受け、その様な劣化を阻止又は阻害するために安定化を必要とする有機物質を安定化する方法であって、安定化有効量の、前述の二芳香族アミン誘導体の1種又は複数種を前記有機物質に添加する工程を含む方法が提供される。
【0012】
本発明は、二芳香族アミン誘導体添加剤及び酸化−腐食保護に加えて堆積保護を与える潤滑油組成物を都合よく提供する。潤滑油組成物は、又、低水準のリン、即ち、約0.1重量%未満、好ましくは、約0.08重量%未満、更に好ましくは、約0.05重量%未満のリンのみを有しながらその様な保護を与えることができる。従って、本発明の潤滑油組成物は、これらが、長い触媒コンバーター寿命及び活性を促進する一方で、又、所望の高い堆積保護を与えるので、内燃機関で一般的に使用される高いリンの潤滑油組成物よりも更に環境的に望ましいものであることができる。これは、これらの潤滑油組成物におけるリン化合物を含む添加剤の実質的な不存在によるものであってもよい。本発明の二芳香族アミン誘導体添加剤は、又、遷移金属、例えば、鉄(Fe)及び銅(Cu)等の存在において並びに金属なしの環境の両方における酸化に対する保護を行ってもよい。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の、耐酸化剤として有用な二芳香族アミン誘導体は、一般式:
【化5】


(式中、nは0〜5であり、mは0〜4であり、各R置換基は、独立に、水素、又は直鎖若しくは分枝C〜C32アルキル基若しくはアルケニル基であり、或いは2つのR置換基は、それらが結合している炭素原子と一緒になって結合して、1つ又は複数のヘテロ原子、例えば、N、S又はOを含んでもよい、不飽和、部分飽和若しくは飽和C〜C30環構造を形成し、各R置換基は、独立に、水素、又は直鎖若しくは分枝C〜C32アルキル基若しくはアルケニル基であり、R、R、R、R、R及びRは、独立に、水素、又は官能基、例えば、エステル基、エーテル基、芳香族基若しくはアミド基を含んでもよい直鎖若しくは分枝C〜C32アルキル基若しくはアルケニル基である)で表される。
【0014】
一般的に、本発明の二芳香族アミン誘導体は、一般式:
【化6】


(式中、n、m、R、R、R、R、R及びRは、上述の意味を有する)のベータヒドロキシルエチレンアミン中間体とケトン又はアルデヒドとを反応させることにより得ることができる。一般的に、ヒドロキシルエチレンアミン中間体は、置換又は非置換N−フェニル−p−フェニレンジアミン誘導体と有機エポキシド基とを反応させることにより調製することができる。
【0015】
ヒドロキシルエチレンアミン中間体を形成するのに使用する置換又は非置換N−フェニル−p−フェニレンジアミン誘導体は、式:
【化7】


(式中、n、m、R及びRは、上述の意味を有する)で表すことができる。適当な置換又は非置換N−フェニル−p−フェニレンジアミン誘導体の一般的な例としては、p−N−フェニルフェニレンジアミン、N−フェニル−o−フェニレンジアミン、N−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N−ナフチル−o−フェニレンジアミン、N−(5,6,7,8−テトラヒドロ−1−ナフチル)−p−フェニレンジアミン、N−(5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフチル)−p−フェニレンジアミン、N−(5,6,7,8−テトラヒドロ−1−ナフチル)−o−フェニレンジアミン、N−(5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフチル)−o−フェニレンジアミン等及びこれらの組合せが挙げられるがこれらに限定されない。好ましくは、N−フェニル−p−フェニレンジアミンはN−p−フェニルフェニレンジアミンである。
【0016】
適当な有機エポキシド基としては、エポキシ化炭化水素オレフィン、エポキシ化ビニルエーテル、エポキシ化植物油、植物油のエポキシ化不飽和脂肪エステル、1,2−エポキシアルキル又は1,2−エポキシシクロアルキル等及びこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。当業者は容易に理解する様に、非対称エポキシド基とN−フェニル−フェニレンジアミン誘導体との反応によって、エポキシド基の側がN−フェニル−フェニレンジアミン誘導体により求核攻撃されることにより、2つの異性体の混合物を生じる。本明細書で使用に適した有機エポキシド基の一般的な例としては、エポキシシクロヘキサン、1,2−エポキシノナン、1,2−エポキシデカン、1,2−エポキシドデカン、1,2−エポキシテトラデカン、1,2−エポキシヘキサデカン、1,2−エポキシオクタデカン、2−エチルヘキシルグリシドールエーテル、ヘキシルグリシドールエーテル、ブチルグリシドールエーテル、ヘプチルグリシドールエーテル、オクチルグリシドールエーテル、ノニルグリシドールエーテル、デシルグリシドールエーテル、ウンデシルグリシドールエーテル、ドデシルグリシドールエーテル、テトラグリシドールエーテル、ヘキサデシルグリシドールエーテル、オクタデシルグリシドールエーテル、オクタデセニルグリシドールエーテル、エポキシメチルオレエート、エポキシ2−エチルヘキシルオレエート、エポキシブチルオレエート、エポキシメチルドセセネート及び全ての不飽和植物油の全てのその他の脂肪酸エステルのエポキシド等並びにこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。
【0017】
置換又は非置換N−フェニル−p−フェニレンジアミン誘導体及び有機エポキシド基は、都合よく反応して、普通、約0.9:1〜約1:1、好ましくは、約1:1の範囲の有機エポキシド基対N−フェニル−p−フェニレンジアミンのモル比で、ヒドロキシルエチレンアミン中間体を形成する。反応は、通常、約30℃〜約150℃、好ましくは、約50℃〜約100℃の範囲の温度で行われる。好ましいパラメータの下でヒドロキシルエチレンアミン中間体を調製するための時間は、一般的に約10時間を越えない。
【0018】
必要に応じて、置換又は非置換N−フェニル−p−フェニレンジアミン誘導体及び有機エポキシド基の反応は適当な溶剤中で行うことができる。この工程で使用される適当な溶剤は、それ自体エポキシド基と反応しないものであるべきである。その様な溶剤の例としては、脂肪族及び芳香族炭化水素、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン及びキシレン;エーテル、例えば、ジオキサン及びジアルキルグリコールエーテル等並びにこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。反応は、又、適当な触媒の存在下で行うことができる。適当な触媒としては、酸触媒、例えば、酸性白土触媒等;有機スルホネート酸、例えば、トルエンスルホン酸及びメタンスルホン酸;ルイス酸、例えば、BCl、BF、及びAlCl;ゼオライト触媒等並びにこれらの混合物を挙げることができる。
【0019】
次いで、ヒドロキシルエチレンアミン中間体は、ケトン又はアルデヒドと反応して本発明の二芳香族アミン誘導体を与える。適当なケトンとしては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、エチルプロピルケトン、エチルイソプロピルケトン、ジプロピルケトン、ジイソプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルsec−ブチルケトン、メチルt−ブチルケトン、エチルブチルケトン、エチルイソブチルケトン、エチルsec−ブチルケトン、エチルt−ブチルケトン、プロピルブチルケトン、イソプロピルブチルケトン、プロピルイソブチルケトン、プロピルsec−ブチルケトン、プロピルt−ブチルケトン、
イソプロピルイソブチルケトン、イソプロピルsec−ブチルケトン、イソプロピルt−ブチルケトン、ジブチルケトン、ジイソブチルケトン、ジ−sec−ブチルケトン、ジ−t−ブチルケトン、ブチルイソブチルケトン、ブチルsec−ブチルケトン、ブチルt−ブチルケトン、イソブチルsec−ブチルケトン、イソブチルt−ブチルケトン、sec−ブチルt−ブチルケトン、5−ヘプタノン、5−メチル−2−ヘキサノン(メチルイソアミルケトン)、4−メチル−2−ヘキサノン、3−メチル−2−ヘキサノン、3,4−ジメチル−2−ペンタノン、3,3−ジメチル−2−ペンタノン、4,4−ジメチル−2−ペンタノン、3−オクタノン、4−メチル−3−ヘプタノン、5−メチル−3−ヘプタノン、6−メチル−3−ヘプタノン、4,4−ジメチル−3−ヘキサノン、4,5−ジメチル−3−ヘキサノン、5,5−ジメチル−3−ヘキサノン、4−ノナノン、5−メチル−4−オクタノン、6−メチル−4−オクタノン、7−メチル−4−オクタノン、5,5−ジメチル−4−ネプタノン、5,6−ジメチル−4−ヘプタノン、6,6−ジメチル−4−ヘプタノン、2−ウンデカノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン等及びこれらの組合せが挙げられるがこれらに限定されない。
【0020】
適当なアルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、2−メチルプロピオンアルデヒド、バレルアルデヒド、2−メチル−ブタナール、カプロアルデヒド、ヘキサアルデヒド、ヘプタアルデヒド、オクタアルデヒド、ノナアルデヒド、デカアルデヒド、ウンデカアルデヒド、ドデカアルデヒド、ベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド等及びこれらの組合せが挙げられるがこれらに限定されない。本明細書での使用にとって好ましいアルデヒドはホルムアルデヒドである。
【0021】
ベータヒドロキシルエチレンアミン中間体とケトン又はアルデヒドとの反応は、二芳香族アミン誘導体の最終生成物を形成するために、酸触媒を伴い又は伴わずに第一工程で使用される同じ溶剤において、又は異なる溶剤において行うことができる。適当な溶剤を使用する場合、副生成物の水は共沸的に除去することができる。酸触媒は、若し存在する場合は、抽出又は除去することができ、溶剤は除去することができる。最終生成物は、幾らかの少量の未反応中間体及び第二級ジ−フェニルアミン窒素上のメチル化によるメチル化生成物を含んでもよい。これは、ホルムアルデヒドが環状化アルデヒドとして使用される場合に観察される。これらの物質は、又、若し存在する場合は、耐酸化性能を有することが又期待されてもよい。
【0022】
一般的に、ヒドロキシルエチレンアミン中間体及びケトン又はアルデヒドは、都合よく反応して、少なくとも1種の二芳香族アミン誘導体を含む生成物混合物を与える。必要に応じて、誘導体は通常の方法、例えば、クロマトグラフィーを使用して単離することができる。ヒドロキシルエチレンアミン中間体と反応するケトン又はアルデヒドの量は、ヒドロキシルエチレンアミン中間体に対してケトン又はアルデヒドの約0.95当量〜約1.4当量、好ましくは、ヒドロキシルエチレンアミン中間体に対してケトン又はアルデヒドの約1.0当量〜約1.1当量の範囲である。この反応の温度は、通常、約25℃〜約110℃、好ましくは、約60℃〜約100℃の範囲である。
【0023】
本発明の二芳香族アミン誘導体は、例えば、コンパウンドタイヤ、ポリオール、プラスチック、ウレタン、グリース、モーターオイル、ゴムベルト、ケーブル、ガスケット、シール、衣服及びカーペット工業におけるゴム製品での耐酸化剤として使用するための有用な耐酸化性を有してもよい。従って、本発明の実施形態は、酸化、熱、及び/又は光誘発劣化を受け、その様な劣化を阻止又は阻害するために安定化を必要とする有機物質及び、安定剤として前述の二芳香族アミン誘導体を含む安定剤含有組成物である。二芳香族アミン誘導体安定剤は、適当な安定化効果を付与するのに十分な量で有機物質へ添加することができる。一般的に、この量は、有機物質の合計重量当たり、約0.1重量%〜約5重量%、好ましくは、約0.5重量%〜約3重量%、更に好ましくは、約0.5重量%〜約2重量%で変動してもよい。
【0024】
本発明のその他の実施形態は、少なくとも、(a)潤滑油としての粘度を有する油及び(b)有効量の、前述の二芳香族アミン誘導体を少なくとも1つ含む潤滑油組成物である。一般的に、潤滑油組成物での使用のための潤滑油としての粘度を有する油は、多量に、例えば、組成物の合計重量を基準にして、約50重量%を超え、好ましくは、約70重量%を超え、更に好ましくは、約80〜約99.5重量%、最も好ましくは、約85〜約98重量%の量で存在してもよい。本明細書で使用のための潤滑油としての粘度を有する油は、例えば、エンジンオイル、船舶シリンダーオイル、油圧オイル、ギアオイル、トランスミッションオイル液、例えば、自動車のトランスミッション液等の機能性液、タービン潤滑剤、コンプレッサー潤滑剤、金属−作動潤滑剤、並びにその他の潤滑油及びグリース組成物の任意の及び全てのその様な用途のための潤滑油組成物を組成する際に使用される潤滑油としての粘度を有する任意の現に知られている又は後に発見される油であることができる。更に、本明細書での使用のための潤滑油としての粘度を有する油は、粘度指数改良剤、例えば、ポリマーのアルキルメタクリレート;オレフィンコポリマー、例えば、エチレン−プロピレンコポリマー又はスチレン−ブタジエンコポリマー等、及びこれらの混合物を含んでもよいことができる。
【0025】
当業者は容易に理解する様に、潤滑油としての粘度を有する油の粘度は用途に依存する。従って、本明細書での使用のための潤滑油としての粘度を有する油の粘度は、普通、摂氏100°(C)で約2〜約2000センチストークス(cSt)の範囲である。一般的に、個々に、エンジンオイルとして使用されるオイルは、約2cSt〜約30cSt、好ましくは、約3cSt〜約16cSt、最も好ましくは、約4cSt〜約12cStの、100℃での動粘度範囲を有し、所望の最終使用及びエンジンオイルの所望の等級、例えば、0W、0W−20、0W−30、0W−40、0W−50、0W−60、5W、5W−20、5W−30、5W−40、5W−50、5W−60、10W、10W−20、10W−30、10W−40、10W−50、15W、15W−20、15W−30又は15W−40のSAE粘度等級を有する潤滑油組成物を与える為の最終製品オイル中の添加剤によって選択され又はブレンドされる。ギアオイルとして使用される油は、100℃で約2cSt〜約2000cStの範囲の粘度を有することができる。
【0026】
ベースストックは、蒸留、溶剤精製、水素処理、オリゴマー化、エステル化、及び再精製を含むがこれらに限定されない様々な異なる方法を使用して製造されてもよい。再精製ストックは、製造、汚染、又は以前の使用を通して導入される物質が実質的に存在しないものでなければならない。本発明の潤滑油組成物の基油は任意の天然又は合成潤滑油基油であってもよい。適当な炭化水素合成油としては、ポリアルファオレフィン若しくはPAO油等のポリマーを与えるためのエチレンの重合又は1−オレフィンの重合から調製される油、或いはフィッシャー−トロプシュ方法等の一酸化炭素及び水素ガスを使用する炭化水素合成方法から調製される油が挙げられるがこれらに限定されない。例えば、潤滑油としての粘度を有する適当な油は、若しあっても、少量しか重質画分を含まないものであり、例えば、若しあっても、100℃で約20cSt以上の粘度の潤滑油画分を少量しか含まないものである。
【0027】
潤滑油としての粘度を有する油は、天然潤滑油、合成潤滑油又はこれらの混合物から由来してもよい。適当な油としては、合成ワックス及びスラックワックスの異性化により得られるベースストック並びに原油の芳香族及び極性成分を水素化分解することにより製造される水素化分解ベースストックが挙げられる。適当な油としては、API Publication 1509、14th Edition、Addendum I、1998年12月で定義されているAPIカテゴリーI、II、III、IV及びVの全てのものが挙げられる。グループIVの基油はポリアルファオレフィン(PAO)である。グループVの基油は、グループI、II、III、又はIVに含まれない全てのその他の基油を含む。グループII、III及びIVの基油は本発明での使用にとって好ましいが、これらの好ましい基油は、グループI、II、III、IV及びVのベースストック又は基油の1つ又は複数を組み合わせることにより調製されてもよい。
【0028】
有用な天然油としては、鉱油潤滑油、例えば、液体石油等、パラフィン系、ナフテン系又は混合パラフィン系−ナフテン系タイプの溶剤処理又は酸処理鉱油潤滑油、石炭又は頁岩、動物油、植物油(例えば、菜種油、ひまし油及びラード油)から誘導される油等が挙げられる。
【0029】
有用な合成潤滑油としては、炭化水素油及びハロ−置換炭化水素油、例えば、重合及び共重合オレフィン等、例えば、ポリブチレン、ポリプロピレン、プロピレン−イソブチレンコポリマー、塩素化ポリブチレン、ポリ(1−ヘキセン)、ポリ(1−オクテン)、ポリ(1−デセン)等及びこれらの混合物;アルキルベンゼン、例えば、ドデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン、ジノニルベンゼン、ジ(2−エチルヘキシル)ベンゼン等;ポリフェニル、例えば、ビフェニル、ターフェニル、アルキル化ポリフェニル等;アルキル化ジフェニルエーテル及びアルキル化ジフェニルスルフィド並びにこれらの誘導体、類似体及び同族体等が挙げられるがこれらに限定されない。
【0030】
その他の有用な合成潤滑油としては、5個未満の炭素原子のオレフィン、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブテン、ペンテン、及びこれらの混合物等を重合することにより作られる油が挙げられるがこれらに限定されない。その様なポリマー油を調製する方法は当業者には良く知られている。
【0031】
更に有用な合成炭化水素油としては、適切な粘度を有するアルファオレフィンの液体ポリマーが挙げられる。特に有用な合成炭化水素油は、C〜C12アルファオレフィンの水素化液体オリゴマー、例えば、1−デセントリマー等である。
【0032】
有用な合成潤滑油のその他の類としては、アルキレンオキシドポリマー、即ち、末端ヒドロキシル基が、例えば、エステル化又はエーテル化で変性されている、ホモポリマー、インターポリマー、及びこれらの誘導体が挙げられるがこれらに限定されない。これらの油は、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドの重合により調製される油、これらのポリオキシアルキレンポリマーのアルキル及びフェニルエーテル(例えば、約1,000の平均分子量を有するメチルポリプロピレングリコールエーテル、約500〜約1000の分子量を有するポリエチレングリコールのジフェニルエーテル、約1,000〜約1,500の分子量を有するポリプロピレングリコールのジエチルエーテル等)又はこれらのモノ−及びポリカルボン酸エステル、例えば、酢酸エステル、混合C〜C脂肪酸エステル、若しくはテトラエチレングリコールのC13オキソ酸ジエステル等で例示される。
【0033】
有用な合成潤滑油のなおその他の類としては、ジカルボン酸、例えば、フタル酸、琥珀酸、アルキル琥珀酸、アルケニル琥珀酸、マレイン酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、フマル酸、アジピン酸、リノール酸二量体、マロン酸、アルキルマロン酸、アルケニルマロン酸等と、種々のアルコール、例えば、ブチルアルコール、ヘキシルアルコール、ドデシルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコールモノエーテル、プロピレングリコール等とのエステルが挙げられるがこれらに限定されない。これらのエステルの特定の例としては、ジブチルアジペート、ジ(2−エチルヘキシル)セバケート、ジ−n−ヘキシルフマレート、ジオクチルセバケート、ジイソオクチルアゼレート、ジイソデシルアゼレート、ジオクチルフタレート、ジデシルフタレート、ジエイコシルセバケート、リノール酸二量体の2−エチルヘキシルジエステル、セバシン酸の1モルとテトラエチレングリコールの2モル及び2−エチルヘキサン酸の2モルとの反応により形成される複合エステル等が挙げられる。
【0034】
合成油として有用なエステルとしては、又、約5〜約12個の炭素原子を有するカルボン酸とアルコール、例えば、メタノール、エタノール等、ポリオール及びポリオールエーテル、例えば、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール等とから作られるエステルが挙げられるがこれらに限定されない。
【0035】
ケイ素を基にした油、例えば、ポリアルキル−、ポリアリール−、ポリアルコキシ−又はポリアリールオキシ−シロキサン油及びシリケート油は、その他の有用な類の合成潤滑油を含む。これらの特定の例としては、テトラエチルシリケート、テトラ−イソプロピルシリケート、テトラ−(2−エチルヘキシル)シリケート、テトラ−(4−メチル−ヘキシル)シリケート、テトラ−(p−t−ブチルフェニル)シリケート、ヘキシル−(4−メチル−2−ペントキシ)ジシロキサン、ポリ(メチル)シロキサン、ポリ(メチルフェニル)シロキサン等が挙げられるがこれらに限定されない。なお更にその他の有用な合成潤滑油としては、リン含有酸の液体エステル、例えば、トリクレシルホスフェート、トリオクチルホスフェート、デカンホスフィン酸のジエチルエステル等、ポリマーのテトラヒドロフラン等が挙げられるがこれらに限定されない。
【0036】
潤滑油としての粘度を有する油は、未精製、精製及び再精製油、天然、合成又は上で開示されたタイプのこれらの任意の2種以上の混合物から誘導されてもよい。未精製油とは、更なる精製または処理なしで天然若しくは合成源(例えば、石炭、頁岩、又はタールサンドビチューメン)から直接得られたものである。未精製油の例としては、レトルト乾留操作から直接得られるシェール油、蒸留から直接得られる石油又はエステル化方法から直接得られるエステル油であって、それぞれは、次いで、更なる処理なしで使用される油が挙げられるがこれらに限定されない。精製油は、これらが、1つ又は複数の性質を改良するために1つ又は複数の精製工程で更に処理される以外は未精製油と同じである。これらの精製方法は当業者には公知であり、例えば、溶剤抽出、二次蒸留、酸又は塩基抽出、濾過、浸出、水素化処理、脱ろう等が挙げられる。再精製油は、精製油を得るために使用したのと同じ方法で、使用済み油を処理することにより得られる。その様な再精製油は、又、再生油又は再処理油として知られていて、多くの場合、使用済み添加剤及び油破壊生成物の除去に関わる方法により更に処理される。
【0037】
ワックスの水素化異性化処理から誘導される潤滑油ベースストックは、又、単独で又は前述の天然及び/又は合成ベースストックとの組合せで使用されてもよい。その様なワックス異性化油は、水素化異性化処理触媒で、天然若しくは合成ワックス又はこれらの混合物の水素化異性化処理により製造される。
【0038】
天然ワックスは、一般的に、鉱油の溶剤脱ろうにより回収されるスラックワックスであり、合成ワックスは、一般的に、フィッシャー−トロプシュ方法で製造されるワックスである。
【0039】
本発明の二芳香族アミン誘導体添加剤は、潤滑油配合物において現に使用されている市販の耐酸化剤の完全な又は部分的代替物として使用することができ、モーターオイル及び燃料で一般的に使用されているその他の添加剤と組み合わせて使用することができる。油配合物で使用されているその他のタイプの耐酸化剤又は添加剤と組み合わせて使用される場合、相乗的及び/又は付加性能効果が、又、改良された耐酸化性、耐摩耗性、摩擦、洗浄力及びエンジン高温堆積性に関して得られてもよい。その様なその他の添加剤は、潤滑油組成物を組成するのに使用される任意の現に知られている又は後に発見される添加剤であることができる。潤滑油で一般的に使用されている潤滑油添加剤は、例えば、分散剤、洗剤、腐食/錆阻害剤、耐酸化剤、耐摩耗剤、消泡剤、摩擦改良剤、シール膨潤剤、乳化剤、VI改良剤、流動点降下剤等である。例えば、有用な潤滑油組成物添加剤の説明には、その開示がその全体において参照として本明細書に組み込まれる米国特許第5498809号を参照されたい。
【0040】
分散剤の例としては、ポリイソブチレンスクシンイミド、ポリイソブチレンスクシネートエステル、マンニッヒ塩基無灰分散剤等が挙げられる。洗剤の例としては、金属及び無灰アルキルフェネート、金属及び無灰硫化アルキルフェネート、金属及び無灰アルキルスルホネート、金属及び無灰アルキルサリチレート、金属及び無灰サリゲニン誘導体等が挙げられる。
【0041】
その他の耐酸化剤の例としては、アルキル化ジフェニルアミン、N−アルキル化フェニレンジアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、アルキル化フェニル−α−ナフチルアミン、ジメチルキノリン、トリメチルジヒドロキノリン及びこれらから誘導されるオリゴマー組成物、ヒンダードフェノール、アルキル化ヒドロキノン、ヒドロキシル化チオジフェニルエーテル、アルキリデンビスフェノール、チオプロピオネート、金属ジチオカーバメート、1,3,4−ジメルカプトチアジアゾール及び誘導体、油溶性銅化合物等が挙げられる。次のものはその様な添加剤の例示であり、Chemtura Corporationから市販されている:Naugalube(登録商標)438、Naugalube 438L、Naugalube 640、Naugalube 635、Naugalube 680、Naugalube AMS、Naugalube APAN、Naugard PANA、Naugalube TMQ、Naugalube 531、Naugalube 431、Naugard(登録商標)BHT、Naugalube 403、及びNaugalube 420等。
【0042】
本発明の添加剤と組み合わせて使用できる耐摩耗性添加剤の例は、有機ボレート、有機ホスファイト、有機ホスフェート、有機硫黄含有化合物、硫化オレフィン、硫化脂肪酸誘導体(エステル)、塩化パラフィン、亜鉛ジアルキルジチオホスフェート、亜鉛ジアリールジチオホスフェート、ジアルキルジチオホスフェートエステル、ジアリールジチオホスフェートエステル、ホスホ硫化炭化水素等が挙げられる。その様な添加剤の一般的な例は、The Lubrizol Corporationから市販されている、例えば、Lubrizol 677A、Lubrizol 1095、Lubrizol 1097、Lubrizol 1360、Lubrizol 1395、Lubrizol 5139、Lubrizol 5604等、及びCiba CorporationのIrgalube 353等である。
【0043】
摩擦改良剤の例としては、脂肪酸エステル及びアミド、有機モリブデン化合物、モリブデンジアルキルジチオカーバメート、モリブデンジアルキルジチオホスフェート、モリブデンジスルフィド、トリモリブデンクラスタージアルキルジチカーバメート、無硫黄モリブデン化合物等が挙げられる。その様な摩擦改良剤の一般的な例は、R.T.Vanderbilt Comapany、Inc.から市販されている、例えば、Molyvan A、Molyvan L、Molyvan 807、Molyvan 856B、Molyvan 822、Molyvan 855等;Asahi Denka Kogyo K.K.の、例えば、SAKURA−LUBE 100、SAKURA−LUBE 165、SAKURA−LUBE 300、SAKURA−LUBE 310G、SAKURA−LUBE 321、SAKURA−LUBE 474、SAKURA−LUBE 600、SAKURA−LUBE 700等;及びAkzo Nobel Chemicals GmbHの、例えば、Ketjen−Ox 77M、Ketjen−Ox 77TS等が挙げられる。
【0044】
消泡剤の例はポリシロキサン等である。錆阻害剤の例は、ポリオキシアルキレンポリオール、ベンゾトリアゾール誘導体等である。VI改良剤の例としては、オレフィンコポリマー及び分散性オレフィンコポリマー等が挙げられる。流動点降下剤の例はポリメタクリレート等である。
【0045】
上で言及した様に、適当な耐摩耗性化合物としてはジヒドロカルビルジチオホスフェートが挙げられる。好ましくは、ヒドロカルビル基は、平均少なくとも3個の炭素原子を含む。特に有用なものは、ヒドロカルビル基が平均少なくとも3個の炭素原子を含む、少なくとも1種のジヒドロカルビルジチオリン酸の金属塩である。ジヒドロカルビルジチオホスフェートが誘導できる酸は、式:
【化8】


(式中、R及びRは同じか異なり、直鎖若しくは分枝アルキル、シクロアルキル、アラルキル、アルカリール、又は上記基の任意の置換した実質的にヒドロカルビル基誘導体であることができ、酸におけるR及びR基は、それぞれ、平均少なくとも3個の炭素原子を有する)の酸で例示することができる。「実質的にヒドロカルビル」とは、置換基、例えば、基の部分当たり1〜4個の置換基、例えば、エーテル、エステル、チオ、ニトロ、又はハロゲン等を含み、基の炭化水素特性に著しい影響を及ぼさない基を意味する。
【0046】
適当なR及びR基の特定の例としては、イソプロピル、イソブチル、n−ブチル、sec−ブチル、n−ヘキシル、ヘプチル、2−エチルヘキシル、ジイソブチル、イソオクチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、ブチルフェニル、o,p−ジペンチルフェニル、オクチルフェニル、ポリイソブテン−(分子量350)−置換フェニル、テトラプロピレン−置換フェニル、ベータ−オクチルブチルナフチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、クロロフェニル、o−ジクロロフェニル、ブロモフェニル、ナフテニル、2−メチルシクロヘキシル、ベンジル、クロロベンジル、クロロペンチル、ジクロロフェニル、ニトロフェニル、ジクロロデシル及びキセニル基が挙げられる。約3〜約30個の炭素原子を有するアルキル基及び約6〜約30個の炭素原子を有するアリール基が好ましい。特に好ましいR及びR基は、約4〜約18個の炭素原子のアルキルである。
【0047】
ホスホロジチオ酸は、五硫化リン並びに脂肪族アルコール及び/又はフェノールの反応により容易に得ることができる。反応は、約20℃〜200℃の範囲の温度で、約4モルのアルコール又はフェノールと1モルの五硫化リンとを少なくとも混合する工程を含む。硫化水素が反応の生起につれて遊離する。アルコール、フェノール、又は両者の混合物、例えば、C〜C30アルコール、C〜C30芳香族アルコール等の混合物を使用することができる。ホスフェート塩を作るのに有用な金属としては、第I族金属、第II族金属、アルミニウム、鉛、スズ、モリブデン、マンガン、コバルト、及び好ましい金属である亜鉛を伴うニッケルが挙げられるがこれらに限定されない。酸と反応することのできる金属化合物の例としては、酸化リチウム、水酸化リチウム、炭酸リチウム、リチウムペンチレート、酸化ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、ナトリウムメチレート、ナトリウムプロピレート、ナトリウムフェノキシド、酸化カリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、カリウムメチレート、酸化銀、炭酸銀、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、マグネシウムエチレート、マグネシウムプロピレート、マグネシウムフェノキシド、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、カルシウムメチレート、カルシウムプロピレート、カルシウムペンチレート、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、炭酸亜鉛、亜鉛プロピレート、酸化ストロンチウム、水酸化ストロンチウム、酸化カドミウム、水酸化カドミウム、炭酸カドミウム、カドミウムエチレート、酸化バリウム、水酸化バリウム、バリウム水和物、炭酸バリウム、バリウムエチレート、バリウムペンチレート、酸化アルミニウム、アルミニウムプロピレート、酸化鉛、水酸化鉛、炭酸鉛、酸化スズ、スズブチレート、酸化コバルト、水酸化コバルト、炭酸コバルト、コバルトペンチレート、酸化ニッケル、水酸化ニッケル、炭酸ニッケル等及びこれらの混合物が挙げられる。
【0048】
幾つかの例では、金属反応体と一緒に使用される或種の成分、特に、カルボン酸又は金属カルボキシレートの導入、例えば、少量の金属アセテート又は酢酸の導入は反応を促進し、改良された生成物をもたらす。例えば、酸化亜鉛の必要量との組合せで約5%までの酢酸亜鉛の使用は、亜鉛ホスホロジチオエートの形成を促進する。
【0049】
金属ホスホロジチオエートの調製は当該技術分野において公知である。例えば、その内容が参照として本明細書に組み込まれる米国特許第3293181号、第3397145号、第3396109号及び第3442804号を参照されたい。又、耐摩耗添加剤として有用な添加剤は、ジチオリン酸化合物のアミン誘導体、例えば、その内容がその全体において参照として本明細書に組み込まれる米国特許第3637499号に記載されているものである。
【0050】
亜鉛塩は、潤滑油組成物の合計重量を基準にして、約0.1〜約10、好ましくは、約0.2〜約2重量%の範囲の量で潤滑油における耐摩耗添加剤として最も普通に使用される。これらは、公知の方法により、例えば、初めに、通常、アルコール及び/又はフェノールとPとの反応によりジチオリン酸を形成し、次いで、ジチオリン酸を適当な亜鉛化合物で中和することにより調製されてもよい。
【0051】
アルコールの混合物は、第一級及び第二級アルコールの混合物を含めて使用することができ、第二級アルコールは、一般的に、改良された耐摩耗性を与え、第一級アルコールは熱安定性を付与する。一般的に、任意の塩基性又は中性亜鉛化合物は使用できるが、酸化物、水酸化物、及び炭酸塩が最も一般的に使用される。市販の添加剤は、多くの場合、中和反応での塩基性亜鉛化合物の過剰の使用のために過剰の亜鉛を含む。
【0052】
亜鉛ジヒドロカルビルジチオホスフェート(ZDDP)は、ジチオリン酸のジヒドロカルビルエステルの油溶性塩であり、次式:
【化9】


(式中、R及びRは、前述の意味を有する)で表すことができる。
【0053】
本発明の潤滑油組成物は、これらがこれらの添加剤を含む場合は、一般的に、その中の添加剤が、これらの正常な付随機能を与えるのに有効な量で基油中へブレンドされる。その様な添加剤の一般的な有効量は表1で例示される。
【表1】

【0054】
その他の添加剤が使用される場合は、必要ではないが、本発明の二芳香族アミン誘導体添加剤の濃縮溶液又は分散液を(上述の濃縮量で)、1種又は複数種のその他の添加剤と一緒に含む添加剤濃縮物を調製することが望ましく(添加剤混合物を構成する場合の濃縮物は、本明細書では添加剤パッケージと称される)、それによって幾つかの添加剤が、潤滑油組成物を形成するために基油へ同時に添加することができる。添加剤濃縮物の潤滑油中への溶解は、例えば、溶剤により、及び穏やかな加熱を伴う混合によって促進することができるが、これは必須ではない。濃縮物又は添加剤パッケージは、一般的に、添加剤パッケージが、予め決められた量の基油潤滑油と組合される場合に最終配合物において所望の濃度を与えるための適当な量で添加剤を含むために組成される。従って、本発明の対象の添加剤は、その他の望ましい添加剤と一緒に少量の基油又はその他の相溶性溶剤へ添加して、一般的に、残りが基油である適当な割合での添加剤を重量で、約2.5〜約90パーセント、好ましくは、約15〜約75パーセント、更に好ましくは、約25パーセント〜約60パーセントの全体量で活性成分を含む添加剤パッケージを形成することができる。最終配合物は、一般的に、残りが基油である、約1〜約20重量%の添加剤パッケージを使用することができる。
【0055】
本明細書で表示される全ての重量割合は(別途指示されない限り)、添加剤の活性成分(AI)含有量を基準とし、及び/又は任意の添加剤パッケージ、又は配合物の合計重量(これは、各添加剤のAI重量+合計の油又は希釈剤の重量の合計である)を基準とする。
【0056】
一般的に、本発明の潤滑油組成物は、油組成物の合計重量を基準にして、約0.05〜約30重量%、好ましくは、約0.1〜約10重量%、好ましくは、約0.2〜約5重量%の範囲の濃度で添加剤を含むことができる。一実施形態では、添加剤の油濃縮物は、潤滑油としての粘度を有する担体又は希釈剤において、約1〜約75重量%の添加剤を含むことができる。
【実施例】
【0057】
以下の非限定的実施例は本発明の例示である。
【0058】
(添加剤の調製)
(実施例1)
5−デシル−N−(N’−p−フェニルアニリノ)−1,3−オキサゾリジン及び4−デシル−N−(N’−p−フェニルアニリノ)−1,3−オキサゾリジンの混合物の調製
250mlの反応フラスコ中へ、60g(0.32モル)のp−N−フェニルフェニレンジアミン、62g(0.32モル)の1,2−エポキシドデカン、75mlのシクロヘキサン及び6.0gの酸性白土触媒を充填した。反応混合物を、アルゴン雰囲気下で撹拌し、75℃に加熱した。これらの反応条件を4時間維持した。次いで、反応温度を50℃まで下げ、反応混合物を濾過して粘土触媒を除去した。温かい濾過した反応物質を、ディーン−スターク水トラップを備えた500mlの反応フラスコへ移した。反応媒体をアルゴン雰囲気下で撹拌し、60℃まで加熱し、次いで、2.5時間掛けて、28g(0.35モル)の37%ホルマリンを添加した。ホルマリン添加が完了後、ディーン−スタークトラップへ水を除去するために還流するために温度を上げる前に、温度を60℃で1時間維持した。水を除去した後、温度を50℃まで下げる前に、温度を85℃で1時間保持した。反応媒体を濾過し、真空下で溶剤を除去した。最終生成物(116g)は、冷却により灰白色ペーストへ固化した。
【0059】
(実施例2)
5−ドデシル−N−(N’−p−フェニルアニリノ)−1,3−オキサゾリジン及び4−ドデシル−N−(N’−p−フェニルアニリノ)−1,3−オキサゾリジンの混合物の調製
100mlの反応フラスコ中へ、18.6g(0.1モル)のp−N−フェニルフェニレンジアミン、27.5g(0.11モル)の1,2−エポキシテトラデカン、25mlのシクロヘキサン及び3.0gの酸性白土触媒を充填した。反応混合物を、アルゴン雰囲気下で撹拌し、75℃に加熱した。これらの反応条件を4時間維持した。次いで、反応温度を60℃まで下げ、反応混合物を濾過して粘土触媒を除去した。温かい濾過した反応物質を、ディーン−スターク水トラップを備えた100mlの反応フラスコへ移した。反応媒体をアルゴン雰囲気下で撹拌し、60℃まで加熱し、次いで、1.5時間掛けて、10g(0.12モル)の37%ホルマリンを添加した。ホルマリン添加が完了後、ディーン−スタークトラップへ水を除去するために還流するために温度を上げる前に、温度を60℃で1時間維持した。水を除去した後、温度を50℃まで下げる前に、温度を85℃で1時間保持した。反応媒体を濾過し、真空下で溶剤を除去した。最終生成物(43g)は、冷却により灰白色ペーストへ固化した。
【0060】
(実施例3)
5−(2−エチルヘキシル)オキシメチレン−N−(N’−p−フェニルアニリノ)−1,3−オキサゾリジン及び4−(2−エチルヘキシル)オキシメチレン−N−(N’−p−フェニルアニリノ)−1,3−オキサゾリジンの混合物の調製
100mlの反応フラスコ中へ、18.6g(0.1モル)のp−N−フェニルフェニレンジアミン、19.5g(0.11モル)の2−エチルヘキシルグリシドールエーテル、25mlのシクロヘキサン及び3.0gの酸性白土触媒を充填した。反応混合物を、アルゴン雰囲気下で撹拌し、75℃に加熱した。これらの反応条件を3時間維持した。次いで、反応温度を60℃まで下げ、反応混合物を濾過して粘土触媒を除去した。温かい濾過した反応物質を、ディーン−スターク水トラップを備えた100mlの反応フラスコへ移した。反応媒体をアルゴン雰囲気下で撹拌し、60℃まで加熱し、次いで、1.5時間掛けて、9.0g(0.11モル)の37%ホルマリンを添加した。ホルマリン添加が完了後、ディーン−スタークトラップへ水を除去するために還流するために温度を上げる前に、温度を60℃で1時間維持した。水を除去した後、温度を50℃まで下げる前に、温度を105℃で1時間保持した。反応媒体を濾過し、真空下で溶剤を除去した。最終生成物は灰赤色粘稠液体であった。
【0061】
(SAE 10W−30モーターオイル配合物の調製)
(実施例4)
SAE 10W−30モーターオイル配合物の調製
表2で示されるSAE 10W−30モーターオイル配合物を、実施例1の添加剤の1重量%で調製した。
【表2】

【0062】
(実施例5)
SAE 10W−30モーターオイル配合物の調製
表2で示されるSAE 10W−30モーターオイル配合物を、実施例2の添加剤の1重量%で調製した。
【0063】
(実施例6)
SAE 10W−30モーターオイル配合物の調製
表2で示されるSAE 10W−30モーターオイル配合物を、実施例3の添加剤の1重量%で調製した。
【0064】
(比較ブレンドA)
SAE 10W−30モーターオイル配合物の調製
表2で示されるSAE 10W−30モーターオイル配合物を、どのタイプの耐酸化剤も添加せずに調製した。
【0065】
(タービン油配合物の調製)
(実施例7)
タービン油配合物の調製
表3で示されるタービン油試験配合物を、実施例1の添加剤の1重量%で調製した。
【表3】

【0066】
(実施例8)
タービン油配合物の調製
表3で示されるタービン油試験配合物を、実施例2の添加剤の1重量%で調製した。
【0067】
(実施例9)
タービン油配合物の調製
表3で示されるタービン油試験配合物を、実施例3の添加剤の1重量%で調製した。
【0068】
(比較ブレンドB)
タービン油配合物の調製
表3で示されるタービン油試験配合物を、どのタイプの耐酸化剤も添加せずに調製した。
【0069】
(圧力示差走査熱量測定(PDSC)試験油の調製)
(実施例10)
PDSCマルチグレードモーターオイル配合物の調製
表4で示されるモーターオイル配合物を、実施例1の添加剤の1重量%で調製した。エンジンオイル配合物で使用される成分は市販のものである。本発明の文脈において材料のタイプ及び正確な組成について特別の制限は存在しない。
【表4】

【0070】
(実施例11)
PDSCマルチグレードモーターオイル配合物の調製
表4で示されるモーターオイル配合物を、実施例2の添加剤の1重量%で調製した。
【0071】
(実施例12)
PDSCマルチグレードモーターオイル配合物の調製
表4で示されるモーターオイル配合物を、実施例3の添加剤の1重量%で調製した。
【0072】
(比較例C)
PDSCマルチグレードモーターオイル配合物の調製
表4で示されるモーターオイル配合物を、どのタイプの耐酸化剤も添加せずに調製した。
【0073】
(試験)
本発明の実施例1〜3の添加剤の有効性を証明するために、実施例4〜6の油配合物及び比較例Aのそれぞれを、熱酸化エンジンオイルシミュレーション試験(Thermo−Oxidation Engine Oil Simulation Test(TEOST))を使用して評価し、実施例7〜9のタービン油配合物及び比較例Bのそれぞれを、回転ボンベ式酸化安定度試験(Rotary Bomb Oxidation Test(RBOT))を使用して評価し、実施例10〜12のPDSCマルチグレートモーターオイル配合物及び比較例Cのそれぞれを、以下に述べる様に評価した。
【0074】
(中−高温の熱酸化エンジンオイルシミュレーション試験(TEOST))
中−高温の熱酸化エンジンオイルシミュレーション試験(MHT TEOST)を、モーターエンジンオイルの堆積形成傾向を測定するために行った。エンジンオイル配合物を安定化する際の本発明の添加剤の改善された熱的堆積制御が、MHT TEOSTにより明らかに証明された。この試験は、高温酸化及び触媒条件下で8.5mlの試験油の反復通過を連続的に負荷させることにより、特別に作られたスチール棒上に形成される堆積の質量を測定する。使用された装置は、Tannas Co.製で、0.15(x+16)mg(ここで、xは、2つ以上の繰返し試験結果を意味する)の一般的な再現性を有する。TEOST試験条件は表5に列挙される。得られた堆積の量が少なければ少ない程、油の酸化安定性は益々良くなる。
【表5】

【0075】
TEOSTの結果は表6で示される。実施例4〜6のブレンドから得られる堆積の著しく低い量は、耐酸化剤を含まない比較例Aのブレンドと比較して、表6で示されるデータで示される様に、本発明の耐酸化剤を含む潤滑油組成物が、TEOSTで少量の堆積を生成するための優れた酸化安定性を有することを証明する。
【表6】


上記データから、本発明の二芳香族アミン誘導体添加剤のモーターオイル配合物への添加は、ベースブレンド配合物の合計堆積質量を著しく減少させることが分かる。
【0076】
(酸化安定度試験(RBOT))
酸化安定度試験(RBOT)を、ASTM D2272−85で規定されている標準試験方法により行った。25psi圧力損失に対する時間は対照油では100分であった。終点に到達するまでの時間が長ければ長い程、改善された酸化安定性を示す。
【0077】
この試験は、150℃で、水及び銅触媒コイルの存在下で、同じ組成物(ベースストック及び添加剤)を有する、新しいタービン油及び運転中のタービン油の酸化安定性を評価するために酸素加圧ボンベを利用する。カバーされたガラス容器に含まれる試験油、水及び銅触媒コイルを、圧力ゲージを備えたボンベ中に置く。ボンベに、90psiの圧力まで酸素を充填し、150℃に設定された一定温度の油浴中に置き、水平から30°の角度で、100rpmで軸方向に回転させる。ゲージ圧での特定損失(本発明のためのこの試験では、25psi)を達成するのに必要とされる分の数が試験サンプルの酸化安定性である。RBOT条件は表7で与えられる。
【表7】

【0078】
この試験の結果は表8で示される。
【表8】


上記データから、本発明の二芳香族アミン誘導体添加剤を含むタービン油配合物は、本発明の範囲外である比較例Bのタービン油配合物よりも著しく良好な酸化安定性を有することが分かる。
【0079】
(圧力示差走査熱量測定(PDSC))
PDSCは、各ブレンドの酸化誘導時間(OIT)を測定する。使用したPDSC装置は、Mettler−Toledo、Inc.(Switzerland)製のMettler DSC27HPである。PDSC法は、各操作を通して一定酸素圧力下のスチールセルを使用する。装置は、100分のOITにわたって95%の信頼度で±2.5分の一般的な再現性を有する。PDSCの試験条件は表9で与えられる。PDSC操作の開始に当って、スチールセルは酸素で加圧され、所定の等温温度まで毎分40℃の速度で加熱される。誘導時間は、試料がその等温温度に到達してからエンタルピー変化が観察されるまで測定される。酸化誘導時間が長ければ長い程、油の酸化安定性は益々良好である。
【表9】

【0080】
全ての試験ブレンドを窒素雰囲気下で15分間機械的に混合した。調製された試験ブレンドの50g毎に、40μlの油溶性ナフテン酸第二鉄(鉱油中の6重量%)を、油中で50ppmの鉄を促進するためにPDSC試験前に添加した。各ブレンドを、200℃で、表9に記載されているPDSC条件下で2回試験した。実施例10〜12及び比較例CのブレンドのOIT結果は表10で与えられる。
【表10】


上記データから、本発明の二芳香族アミン誘導体添加剤を含むマルチグレードモーターオイル配合物は、耐酸化剤を含まないマルチグレードモーターオイル配合物よりも著しく良好な酸化安定性を示したことが分かる。
【0081】
種々の変更が本明細書で開示された実施形態に対して為されてもよいことが理解される。従って、上記記載は、限定としてではなく、好ましい実施形態の単なる例示として解釈されるべきである。例えば、本発明を実施するための最良の方式として上で述べられ、実施された機能は例示目的に過ぎない。その他の配置及び方法は、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく当業者により実施されてもよい。更に、当業者は、本明細書に添付された特許請求の範囲の範囲及び精神の内にあるその他の変更を想像する。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式、
【化1】


(式中、nは0〜5であり、mは0〜4であり、各R置換基は、独立に、水素、又は直鎖若しくは分枝C〜C32アルキル基若しくはアルケニル基であり、或いは2つのR置換基は、それらが結合している炭素原子と一緒になって結合して、1つ又は複数のヘテロ原子を含んでもよい、不飽和、部分飽和若しくは飽和C〜C30環構造を形成し、各R置換基は、独立に、水素、又は直鎖若しくは分枝C〜C32アルキル基若しくはアルケニル基であり、R、R、R、R、R及びRは、独立に、水素、又は官能基を含んでもよい直鎖若しくは分枝C〜C32アルキル基若しくはアルケニル基である)を有する二芳香族アミン誘導体。
【請求項2】
R、R、R、R、R及びRが水素である、請求項1に記載の二芳香族アミン誘導体。
【請求項3】
R、R、R、R、R及びRが水素であり、R及びRが、独立に、エーテル又はエステル結合を含んでもよいC〜C32アルキル基である、請求項1に記載の二芳香族アミン誘導体。
【請求項4】
R、R、R、R、R及びRが水素であり、R及びRが、独立に、エーテル又はエステル結合を含んでもよいC〜C12アルキル基である、請求項1に記載の二芳香族アミン誘導体。
【請求項5】
2つのR基が、それらが結合している炭素原子と一緒になって結合して、1つ又は複数の複素環式基を含んでもよい、飽和、不飽和又は部分飽和C〜C30環構造を形成する、請求項1に記載の二芳香族アミン誘導体。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の二芳香族アミン誘導体の2種以上を含む反応混合物。
【請求項7】
一般式、
【化2】


(式中、nは0〜5であり、mは0〜4であり、各R置換基は、独立に、水素、又は直鎖若しくは分枝C〜C32アルキル基若しくはアルケニル基であり、或いは2つのR置換基は、それらが結合している炭素原子と一緒になって結合して、1つ又は複数のヘテロ原子を含んでもよい、不飽和、部分飽和若しくは飽和C〜C30環構造を形成し、各R置換基は、独立に、水素、又は直鎖若しくは分枝C〜C32アルキル基若しくはアルケニル基であり、R、R、R、R、R及びRは、独立に、水素、又は官能基を含んでもよい直鎖若しくは分枝C〜C32アルキル基若しくはアルケニル基である)を有する、1種又は複数種の二芳香族アミン誘導体の調製方法であって、式
【化3】


(式中、n、m、R、R、R、R、R及びRは前述の意味を有する)のヒドロキシルエチレンアミン中間体と、ケトン又はアルデヒドとを反応させる工程を含む方法。
【請求項8】
一般式、
【化4】


(式中、nは0〜5であり、mは0〜4であり、各R置換基は、独立に、水素、又は直鎖若しくは分枝C〜C32アルキル基若しくはアルケニル基であり、或いは2つのR置換基は、それらが結合している炭素原子と一緒になって結合して、1つ又は複数のヘテロ原子を含んでもよい、不飽和、部分飽和若しくは飽和C〜C30環構造を形成し、各R置換基は、独立に、水素、又は直鎖若しくは分枝C〜C32アルキル基若しくはアルケニル基であり、R、R、R、R、R及びRは、独立に、水素、又は官能基を含んでもよい直鎖若しくは分枝C〜C32アルキル基若しくはアルケニル基である)を有する、1種又は複数種の二芳香族アミン誘導体の調製方法であって、(a)置換又は非置換N−フェニル−p−フェニレンジアミン誘導体と有機エポキシド基とを反応させる工程、及び(b)工程(a)の生成物とケトン又はアルデヒドとを反応させる工程、を含む方法。
【請求項9】
前記置換又は非置換N−フェニル−p−フェニレンジアミン誘導体が、N−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−o−フェニレンジアミン、N−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N−ナフチル−o−フェニレンジアミン、N−(5,6,7,8−テトラヒドロ−1−ナフチル)−p−フェニレンジアミン、N−(5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフチル)−p−フェニレンジアミン、N−(5,6,7,8−テトラヒドロ−1−ナフチル)−o−フェニレンジアミン、N−(5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフチル)−o−フェニレンジアミン及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
(a)潤滑油としての粘度を有する少なくとも1種の油及び(b)耐酸化性改善有効量の、請求項1から5のいずれか一項に記載の二芳香族アミン誘導体の1種又は複数種、を含む潤滑油組成物。
【請求項11】
(a)潤滑油としての粘度を有する少なくとも1種の油及び(b)耐酸化性改善有効量の、請求項6に記載の反応混合物、を含む潤滑油組成物。
【請求項12】
約1〜約75重量%の、請求項1から5のいずれか一項に記載の二芳香族アミン誘導体の1種又は複数種を含む添加剤パッケージ。
【請求項13】
約1〜約75重量%の、請求項6に記載の反応混合物を含む添加剤パッケージ。
【請求項14】
(a)酸化、熱、及び/又は光誘発劣化を受け、その様な劣化を阻止又は阻害するために安定化を必要とする有機物質、及び(b)安定化有効量の、請求項1から5のいずれか一項に記載の二芳香族アミン誘導体の1種又は複数種を含む安定剤含有組成物。
【請求項15】
酸化、熱、及び/又は光誘発劣化を受け、その様な劣化を阻止又は阻害するために安定化を必要とする有機物質を安定化する方法であって、安定化量の、請求項1から5のいずれか一項に記載の二芳香族アミン誘導体の1種又は複数種を前記有機物質に添加する工程を含む方法。
【請求項16】
(a)酸化、熱、及び/又は光誘発劣化を受け、その様な劣化を阻止又は阻害するために安定化を必要とする有機物質、及び(b)安定化有効量の、請求項6に記載の反応混合物を含む安定剤含有組成物。
【請求項17】
酸化、熱、及び/又は光誘発劣化を受け、その様な劣化を阻止又は阻害するために安定化を必要とする有機物質を安定化する方法であって、安定化量の、請求項6に記載の反応混合物を前記有機物質に添加する工程を含む方法。

【公開番号】特開2013−35862(P2013−35862A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−219010(P2012−219010)
【出願日】平成24年10月1日(2012.10.1)
【分割の表示】特願2008−549481(P2008−549481)の分割
【原出願日】平成18年12月12日(2006.12.12)
【出願人】(508201282)ケムチュア コーポレイション (69)
【Fターム(参考)】