説明

耐酸化性指示薬分子

【課題】増加した耐酸化性を有する分子と、酸化条件下で分子を用いる方法を提供する。
【解決手段】(a)ボロン酸残基を含む芳香族部分の上に1以上の電子吸引基を有するアリールボロン酸残基を有していて、1以上の電子吸引基を有しない対応する分子と比較して増加した耐酸化性を有する分子を得て、(b)1以上の電子吸引基を有する分子を酸化条件にかける、ことを含む、酸化条件下で分子を用いる方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照:
本出願は、2006年11月30日出願の米国仮出願60/861,707及び2007年2月26日出願の米国仮出願60/903,291の利益を主張する。
【0002】
発明の分野:
本発明は、増加した耐酸化性を有する蛍光指示薬などの検出可能な指示薬に関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術の記載:
蛍光分子は、布帛及び染料用増白剤、標識、印刷用の種々のインク、抗体又は他の分子と結合させた場合にタグ及びプローブとしての診断薬などの種々の用途のために用いられており、ある分析対象物、例えばグルコースを検出するように特にデザインされている化学的及び生物学的に活性な指示薬として分子レベルで用いるように構成することができる。
【0004】
フェニルボロン酸によるグルコースなどの炭水化物の錯化は長い間知られており、この相互作用の可逆性は糖類のクロマトグラフィー分離のための原理として利用されている。具体的には、1959年にLorand及びEdwardsによって、フェニルボロン酸の多くの飽和ポリオールとの水性会合に関する会合定数が報告された:結合相互作用は、非常に弱いもの(例えばエチレングリコール:K=360mM)から比較的強いもの(例えばグルコース:K=9.1mM)の範囲であった。J. YoonらのBioorganic and Medicinal Chemistry 1 (4): 267-71 (1993)を参照。結合メカニズムは、ボロネート部分上のヒドロキシル基がグルコース上の隣接するヒドロキシル基で置換されることによって起こると考えられている。
【0005】
米国特許5,503,770(Jamesら)においては、グルコースなどの単糖類に結合すると高い強度の蛍光を発する蛍光性ボロン酸含有化合物が記載されている。この蛍光化合物は、蛍光分子、少なくとも1つのフェニルボロン酸部分、及び少なくとも1つのアミン供与窒素原子を含み、窒素原子がフェニルボロン酸部分の近傍に配置されて、ボロン酸と分子内相互作用するようになっている分子構造を有する。かかる相互作用によって、単糖類結合により化合物が蛍光を発する。T. JamesらのJ. Am. Chem. Soc. 117 (35): 8982-87 (1995)も参照。
【0006】
更に、血中グルコースを検出するためにアントリルボロン酸含有化合物を用いる蛍光センサーが当該技術において公知である。例えば、J. YoonらのJ. Am. Chem. Soc. 114: 5874-5875 (1992)においては、グルコース及びフルクトース結合などの炭水化物結合を示すための蛍光化学センサーとしてアントリルボロン酸を用いることができることが記載されている。
【0007】
蛍光分子は分解を受けやすく、しばしば変動する速度の酸化によって時間と共に蛍光強度(又は明るさ)を失う。酸化は、通常、技術的には「光酸化」である光退色と関係する可能性があり、或いは蛍光分子の局所環境内で種々の反応性酸素種によって酸化される。オゾンのような任意の数の潜在的な酸化剤が、環境及び大気中に存在しており、或いはヒトからバクテリアまでの範囲の生体の内部に存在している可能性がある。生体の内部において、標準的な反応性酸素種(ROS)としては、ペルオキシド、ヒドロキシル基、ペルオキシニトリル、スーパーオキシドなどのような代表的な健康治癒反応に関与するものを挙げることができる。生体系の内部においては、分子の分解における特異的な目的の酸化に関してオキシゲナーゼと呼ばれる特異酵素も存在する。蛍光分子に対する反応性酸素種又はオキシゲナーゼ活性の有害な結果は、通常、蛍光の損失である。指示薬分子、又は受動タグ、プローブ、若しくはラベルの場合においては、装置又は診断薬の有用寿命及び感度は、蛍光信号の酸化による低下によって、限定されるか或いは完全に無効であるとみなされる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、増加した耐酸化性を有する蛍光分子に対する必要性が未だ存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の簡潔な概要:
一態様においては、本発明は、
(a)ボロン酸残基を含む芳香族部分の上に1以上の電子吸引基を有するアリールボロン酸残基を有していて、1以上の電子吸引基を有しない対応する分子と比較して増加した耐酸化性を有する分子を得て;そして
(b)1以上の電子吸引基を有する分子を酸化条件にかける;
ことを含む、酸化条件下で分子を用いる方法に関する。
【0010】
他の態様においては、本発明は、酸化雰囲気中の試料中の分析対象物の存在又は濃度を検出する方法であって、
(a)ボロン酸残基を含む芳香族部分の上に1以上の電子吸引基を有するアリールボロン酸残基を含んでいて、指示薬分子が1以上の電子吸引基を有しない対応する分子と比較して増加した耐酸化性を有する、指示薬分子を分析対象物に曝露すると変化する検出可能な性質を有する指示薬分子に試料を曝露し;そして
(b)該検出可能な性質の変化を測定して、それによって該試料中の該分析対象物の存在又は濃度を測定する;
ことを含む上記方法に関する。
【0011】
他の態様においては、本発明は、次式:
【0012】
【化1】

【0013】
(式中、
それぞれのArはアリール基であり;
それぞれのR及びRは、同一か又は異なり、電子吸引基であり;
m及びnは、それぞれ独立して、1〜10の整数であり;
は、検出可能な部分であり;そして
それぞれのRは、独立して、0〜10個の連続か又は分岐の炭素及び/又はヘテロ原子を有する結合基であり、少なくとも1つのRは重合性モノマー単位を更に含む)
の構造を有し、1以上の電子吸引基を有しない対応する化合物と比較して増加した耐酸化性を有する化合物に関する。
【0014】
他の態様においては、本発明は、次式:
【0015】
【化2】

【0016】
(式中、
それぞれのArはフェニル以外のアリール基であり;
それぞれのR及びRは、同一か又は異なり、電子吸引基であり;
m及びnは、それぞれ独立して、1〜10の整数であり;
は、検出可能な部分であり;そして
それぞれのRは、独立して、0〜10個の連続か又は分岐の炭素及び/又はヘテロ原子を有する結合基であり、少なくとも1つのRは固体支持体又はポリマーマトリクスに結合することのできる結合基を更に含む)
の構造を有し、1以上の電子吸引基を有しない対応する化合物と比較して増加した耐酸化性を有する化合物に関する。
【0017】
他の態様においては、本発明は、酸化雰囲気中の分析対象物の存在又は濃度を検出するための指示薬巨大分子を製造する方法であって、
(a)個々は、水性雰囲気中において該分析対象物の存在又は濃度を検出するために用いることが可能であるほど十分には水溶性でなく、次式:
【0018】
【化3】

【0019】
(式中、
それぞれのArはアリール基であり;
それぞれのR及びRは、同一か又は異なり、電子吸引基であり;
m及びnは、それぞれ独立して、1〜10の整数であり;
は、検出可能な部分であり;そして
それぞれのRは、独立して、0〜10個の連続か又は分岐の炭素及び/又はヘテロ原子を有する結合基であり、少なくとも1つのRは重合性モノマー単位を更に含む)
の構造を有する化合物を含む1種類以上の指示薬成分モノマー;及び
(b)1種類以上の親水性モノマー;
を共重合して、得られる巨大分子が水性雰囲気中で該分析対象物の存在又は濃度を検出することができるようにする;
ことを含み、該化合物は、1以上の電子吸引基を有しない対応する化合物と比較して増加した耐酸化性を有する、上記方法に関する。
【0020】
他の態様においては、本発明は、次式:
【0021】
【化4】

【0022】
(式中、
Arはアリール基であり;
それぞれのRは、同一か又は異なり、電子吸引基であり;
nは、1〜10の整数であり;そして
Rは、0〜10個の連続か又は分岐の炭素及び/又はヘテロ原子を有する結合基であり、結合基は重合性モノマー単位及び検出可能な部分を更に含む)
の構造を有し、1つ又は複数の電子吸引基を有しない対応する化合物と比較して増加した耐酸化性を有する化合物に関する。
【0023】
他の態様においては、本発明は、次式:
【0024】
【化5】

【0025】
(式中、
Arはアリール基であり;
それぞれのRは、同一か又は異なり、電子吸引基であり;
nは、1〜10の整数であり;そして
Rはクロマトグラフィー担体への結合基であり、該結合基は0〜10個の連続か又は分岐の炭素及び/又はヘテロ原子を有する)
の構造を有し、1つ又は複数の電子吸引基を有しない対応する化合物と比較して増加した耐酸化性を有する化合物に関する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、実施例1に記載の実験の結果を示す。
【図2】図2は、実施例2に記載の実験の1つの結果を示す。
【図3】図3は、実施例1に記載の実験の1つの結果を示す。
【図4】図4は、実施例3に記載の実験の結果を示す。
【図5A】図5Aは、本発明の幾つかの好ましい化合物を示す。
【図5B】図5Bは、本発明の幾つかの好ましい化合物を示す。
【図6】図6は、実施例4に記載の実験の1つの結果を示す。
【図7】図7は、実施例4に記載の他の実験の結果を示す。
【図8】図8は、実施例4に記載の他の実験の結果を示す。
【発明の詳細な記述】
【0027】
蛍光指示薬分子に基づく移植可能なグルコースセンサーを開発するための本発明者らの継続している研究の間に、定量的な光への累積曝露の直接的且つ予測可能な関数である光酸化に加えて、生体内で試験した一連の蛍光指示薬分子に関して、生体内(in-vivo)では起こるが生体外(in-vitro)では有意には起こらない激しく迅速な更なる蛍光信号の損失が存在することが観察された。
【0028】
蛍光指示薬の試料を移植し、続いて数週間後に取り出した。次に、試料を信号の激しい損失にしたがって化学分析した。この分析により、指示薬系のボロネート認識部位がヒドロキシル基に特異的に酸化され、それによって分子内の活性の総合的な損失(具体的には蛍光変調)が引き起こされる特異反応が示された。この生体内酸化反応は下式で示される。
【0029】
【化6】

【0030】
有害な生体内酸化反応は非常に特異的であり、ボロネート基のみを酸化し、ヒドロキシル基はその位置に残留させることが示された。1、5、及び10μMの過酸化水素による処理によって、酸化を生体外で再現した。生体内及び生体外のいずれにおいても、ボロネート部分のみがヒドロキシルに酸化されたことが分かった。ROSは、分子を酸化し損傷を与える可能性がある点でより一般的で非特異的であると(我々によって)考えられていたので、これは予期しなかったことであった。
【0031】
本発明によれば、ボロン酸残基を含む芳香族部分に1以上の電子吸引基を付加して、これによりボロネート部分を安定化することによって、アリールボロン酸残基を含む指示薬分子を酸化に対してより耐性にすることができる。「アリール」という用語は、フェニル、多核芳香族、ヘテロ芳香族、多核ヘテロ芳香族等のような広範囲の芳香族基を包含すると理解されよう。非限定的な例としては、フェニル、ナフチル、アントリル、ピリジル等が挙げられる。
【0032】
広範囲の電子吸引基が本発明の範囲内に含まれ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ハロ置換アルキル、カルボン酸、エステル、スルホン酸、ケトン、アルデヒド、スルホンアミド、スルホン、スルホニル、スルホキシド、ハロ置換スルホン、ハロ置換アルコキシ、ハロ置換ケトン、アミド等、又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
上記の式I及びIIに関し、R及びRは、好ましくは上記の段落において記載したような電子吸引基である。最も好ましくは、それぞれのR及びRはトリフルオロメチルである。更に、上述したように、或る態様においては、少なくとも1つのR基は、構造(I)をポリマー中に含ませることを可能にする重合性モノマー単位を含む。かかる重合性単位は周知であり、ビニル、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0034】
本発明の指示薬化合物は、グルコースを含む試料に化合物を曝露すると濃度に依存した形態で変化する検出可能な性質(構造Iにおいて構成成分Rとして示される)を有する。多くのかかる性質が公知であり、本発明において用いることができる。例えば、指示薬化合物は、発光(蛍光又はリン光)或いは化学発光部分、吸光度ベース部分等を含んでいてよい。指示薬化合物は、それぞれが離隔しているエネルギー供与部分及びエネルギー受容部分を含んでいて、指示薬化合物がグルコースと相互作用すると検出可能な変化を有するようになっていてよい。指示薬化合物は、グルコースが存在しない場合には蛍光分子が消光分子によって消光されるように構成されている蛍光分子及び消光分子を含んでいてよい。この状況においては、グルコースが存在する場合には、指示薬は構造変化を受け、これにより消光分子が移動して蛍光分子から十分に離隔されて蛍光が発せられる。逆に、グルコースの不存在下においては、十分に離隔されていて蛍光分子が蛍光を発し、グルコースと相互作用すると、蛍光分子及び消光分子が移動して消光を引き起こすのに十分に近接するように、蛍光分子及び消光分子を構成することができる。構造変化の概念は、米国出願公開2002/0119581(参照として本明細書中に包含する)においてより詳細に記載されている。他の態様においては、消光分子は芳香族ボロン酸を含み、対象分子(例えばグルコース)にボロン酸が結合することによって消光分子が効果的に変化して検出可能な変化を与える。これは、米国出願公開2006/0083688(その内容は参照として本明細書中に包含する)に記載されている。
【0035】
また、指示薬は、認識部位、又は認識部位に対して空間的に配置されている他の部分と相互作用して、グルコースの不存在下において蛍光分子が蛍光を発することができる蛍光分子のような部分を含んでいてよい。グルコースを加えると、グルコースが、蛍光分子と認識部位との間の相互作用、或いは蛍光分子と認識部位に関して空間的に配置されている他の部分との間の相互作用と競合して、蛍光の減少を引き起こす。また、指示薬は、グルコースの不存在下において蛍光分子が認識部位又は認識部位に対して空間的に配置されている他の部分と相互作用すると、蛍光分子が蛍光を発しないか或いは比較的低いレベルの蛍光を発するように選択することができることも認識されよう。グルコースを加えると、グルコースが、蛍光分子と認識部位との間の相互作用、或いは蛍光分子と認識部位に対して空間的に配置されている他の部分との間の相互作用と競合して、蛍光の増加を引き起こす。
【0036】
他の検出可能な部分としては、その蛍光が光誘起電子移動又は誘導効果によるグルコース相互作用によって影響を受けるものが挙げられる。これらとしては、米国特許6,344,360(参照として本明細書中に包含する)に開示されているランタニドキレート;多環芳香族炭化水素及びそれらの誘導体;クマリン類;BoDiPy;ダンシル;カテコール類;等が挙げられる。この部分の他のクラスとしては、アリザリンレッド等のようなその吸収スペクトルが指示薬化合物とグルコースとの相互作用によって変化するものが挙げられる。この部分の他のクラスとしては、その蛍光が近接効果によって変調されるもの、例えばダンシル/ダブシル等のようなエネルギー供与体/受容体の対が挙げられる。
【0037】
好ましくは、検出可能な性質は、検出可能なスペクトル変化、例えば吸光特性(例えば吸光度及び/又はスペクトルシフト)、蛍光消失時間(時間領域又は周波数領域測定によって求める)、蛍光強度、蛍光の異方性又は偏光における変化;発光スペクトルのスペクトルシフト;時間分解異方性消失の変化(時間領域又は周波数領域測定によって求める);等である。
【0038】
使用するまで、ボロン酸認識部位を保護基によってキャップすることができることが理解されよう。このような基は周知であり、ネオペンチルグリコール、ピナコール等が挙げられる。ある態様においては、キャップされた認識部位を、その中で化合物を用いる媒体中で脱キャップする。
【0039】
本発明は、また、必ずしも検出可能な基を含まない増加した耐酸化性を有する化合物も包含する。かかる化合物は、例えば糖類を分離するのに用いるクロマトグラフィー樹脂中で用いることができる。この場合においては、本化合物は、樹脂又は担体が曝露される条件に耐えることのできる結合剤によって樹脂又は他の固体担体に結合される。
【0040】
本発明の指示薬化合物は、可溶である場合には、所望の場合には溶液中で直接用いることができる。他方では、所望の用途において求められている場合には、指示薬化合物は、ガラス、プラスチック、ポリマー材料等のような不溶の表面又はマトリクスの上又はその中に(例えば、機械的捕捉、又は共有若しくはイオン付加によって)固定化することができる。指示薬化合物を例えば他のポリマー内に捕捉させる場合には、捕捉材料は、好ましくは、グルコースと指示薬化合物との間の好適な相互作用を起こすのに十分にグルコースに対して透過性でなければならない。
【0041】
指示薬化合物が水中に難溶か又は不溶であるが、水性媒体中での検出が望まれる場合には、例えば米国特許6,794,195(その内容は参照として本明細書中に包含する)に記載されているように、指示薬化合物を親水性モノマーと共重合して親水性巨大分子を形成することができる。
【0042】
ポリマー又は担体に対する好適な結合基としては、分岐又は置換であってよく、1以上のヘテロ原子を含んでいてよく、ポリマー又は担体に対する更なる反応又は付加を行うことができる官能基を末端に有する、約1〜約20個の連続する原子の基を挙げることができる。好適な結合基の例としては、いずれも場合によっては置換されている、アルキル;アリール;アシル;ポリアミド;ポリエーテル;並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0043】
また、本化合物及び検出系はポリマー形態であってよいことが上記の定義から理解されよう。而して、完全な化合物(認識部位及び検出可能な部分を含む)を既存のポリマーに結合させることができ、或いはモノマー形態の完全な化合物を重合するか又は他の好適なモノマーと共重合してポリマーを形成することができる。また、2つの別々のモノマー成分(例えば、1つは認識部位を含むもの、1つは検出可能な部分を含むもの)を共重合して、得られるポリマーが系の全ての必要な部位を含むようにすることができる。
【0044】
本発明の指示薬化合物に関しては、エネルギー、医薬、及び農業の分野における指示薬としての用途などの多くの用途が存在する。例えば、指示薬化合物を用いて、血液、血漿、血清、間質液、脳脊髄液、尿、唾液、眼液、リンパ液、涙、又は汗のような生理緩衝液又は生理液中のグルコースの低レベル又は高レベルを検出して、それにより糖尿病及び副腎不全のような疾病を診断又は監視するために有益な情報を提供することができる。
【0045】
ヒトの治療用途のためのグルコースの医薬/薬剤の製造には、監視及び制御が必要である。
農業における本発明に関する用途としては、大豆及び他の農産物中のグルコースのレベルを検出することが挙げられる。グルコースは、ワイン用ブドウのような高付加価値産品に関する重要な収穫の決定において注意深く監視しなければならない。グルコースは発酵プロセスにおいて最も高価な炭素の源及び供給原料であるので、最適の反応器供給速度制御のためのグルコース監視は強いアルコールの製造において重要である。また、反応器混合及びグルコース濃度の制御は、国際的に最も多量のグルコース及び発酵性(隣接ジオール)の糖類を消費するソフトドリンク及び発酵飲料の製造中に品質制御を行うためにも重要である。
【0046】
指示薬化合物が蛍光指示薬の置換基を含む場合には、種々の検出法も当該技術において公知である。例えば、本発明の化合物は、蛍光検出装置において用いることができ(例えば米国特許5,517,313)、或いは視覚検査のための試験紙のようなポリマー材料に結合させることができる。この後者の技術によって、例えば、リトマス試験紙片によるpHの測定に類似した方法でグルコースの測定を行うことができる。ここで記載する化合物は、また、Shimazu、Hitachi、Jasco、Beckmanなどによって製造されているような分光蛍光計又は臨床分析器のような標準的な卓上分析装置と共に、簡単な試薬として用いることもできる。これらの分子は、また、Ocean Optics(Dunedin, Florida)又はOriel Opticsによって製造されているような光ファイバーをベースとするセンサー及び分析蛍光計のための分析対象物特異性化学/光学信号変換体も提供する。
【0047】
米国特許5,517,313(その開示は参照として本明細書中に包含する)においては、本発明の化合物を用いて液体媒体中のグルコースの存在又は濃度を測定することができる蛍光検出装置が記載されている。検出装置は、層状に配列された蛍光指示薬分子含有マトリクス(以下、「蛍光マトリクス」)、高域フィルター、及び光検出器を含む。この装置においては、光源、好ましくは発光ダイオード(「LED」)を、指示薬材料内、或いは指示薬マトリクスが配置されている導波管内に少なくとも部分的に配して、光源からの入射光によって指示薬分子を蛍光させる。高域フィルターによって、光源からの散乱入射光を除去しながら、発せられた光が光検出器に到達することを可能にしている。米国特許5,517,313に記載されている装置内で用いられる指示薬分子の蛍光は、グルコースの局在によって変調、例えば減衰又は増強される。
【0048】
米国特許5,517,313に記載されているセンサーにおいては、指示薬分子を含む材料は分析対象物に対して透過性である。而して、分析対象物は周囲の試験媒体から材料中に拡散し、それによって指示薬化合物によって発せられる蛍光に影響を与えることができる。光源、指示薬化合物含有材料、高域フィルター、及び光検出器は、指示薬化合物によって発せられる蛍光の少なくとも一部が光検出器に衝突して、周囲の媒体中のグルコースの濃度の指標である電気信号を生成するように構成される。
【0049】
本発明の指示薬化合物を用いるための他の可能な態様によれば、検出装置は、また、米国特許5,910,661、5,917,605、及び5,894,351(これらは全て参照として本明細書中に包含する)に記載されている。
【0050】
本発明の化合物は、また、例えば生体内の血中グルコースレベルを連続的に監視するための移植可能な装置において用いることもできる。好適な装置は、例えば、共に係属中の米国特許6,330,464、5,833,603、6,002,954、及び6,011,984(これらは全て参照として本明細書中に包含する)に記載されている。
【0051】
特に好ましい化合物としては、図5A及びBに示す化合物が挙げられる(「非置換」及び「2−メチル」と示されている化合物は、電子吸引基を含まないが、例示の目的で示す)。この化合物は、カルボン酸形態で示されており、ボロン酸基は保護されていない。しかしながら、例えばカルボン酸塩形態及び/又はキャップされたボロン酸基を有する化合物は本発明の範囲内に含まれることが理解されよう。
【0052】
本発明の化合物は、当業者によって、過度量の実験を行うことなく、例えば以下に記載する一般的な手順に等しい反応機構などの容易に知られている反応機構及び試薬を用いて製造することができる。
【0053】
【化7】

【0054】
【化8】

【0055】
【化9】

【0056】
【化10】

【0057】
【化11】

【0058】
【化12】

【0059】
反応式1における出発化合物2cは、次の一般的な合成ルートにしたがって製造することができる。
【0060】
【化13】

【0061】
【化14】

【0062】
直上に示す合成法を用いて反応式1の化合物2cを合成することができるが、当業者は、同様に、化合物2a〜2b及び2d〜2iをどのように製造するかを容易に理解する(これらは全て本発明の範囲内である)ことが理解されよう。
【実施例】
【0063】
実施例1:
グルコースの濃度を変化させることによって種々の分子(図5に示す)の蛍光の変調を測定した。結果を図1に示し、試験した分子の殆どが良好に変調したことが示される。2種類の分子(4−ニトロ及び2−メチル置換化合物)は良好に変調しなかったが、耐酸化性タグとして依然として有用であった。更なる実験において、非置換の対照試料及び本発明の2種類の化合物(4−トリフルオロメチル及び3,4−ジフルオロ)を1mMの過酸化水素による酸化処理にかけ、蛍光強度の損失を測定した。これらのデータを図3に示す。
【0064】
実施例2:
本発明の化合物(4−トリフルオロメチル、3,4−ジフルオロ、及び4−フルオロ)並びに対照試料(非置換)を含む幾つかのゲル(実施例3のようにして製造)を、37℃において10μMの過酸化水素及び4mMのグルコース/PBSへの長時間曝露にかけ、蛍光強度の損失を測定した。これらのデータを図2に示す。更に、3種類の化合物に関して測定した生体外半減期データを下表1に示す。
【0065】
表中のデータにより、標準的な非置換モノマーと比較して、3,4−ジフルオロ及び4−トリフルオロメチル類縁体は、10μMの過酸化水素の存在下においてそれぞれ凡そ3倍及び26倍長い半減期を有することが示される。比較のために、文献においては、通常の生理過酸化水素レベルは最大で約0.5μMであることが報告されている。また、平均蛍光強度における差も表から注目される。いずれの類縁体もより低い全変調を示すが、蛍光は実質的により大きく(より明るい)、したがってより強い信号を与え、信号がノイズ比まで増大され、したがって副次的な効用としてセンサー製品における分解能がより大きくなる。4−トリフルオロメチル指示薬に関して測定されたより低いKdは、生理範囲のグルコースに対してより大きな感受性を有しているので、ヒトのグルコース検出の目的のためには標準的な対照試料よりも優れている。
【0066】
【表1】

【0067】
実施例3:
本発明による2種類の化合物(4−トリフルオロメチル及び3,4−ジフルオロ)並びに非置換の対照試料を、それぞれヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)及びアクリル酸と共重合し、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)によって架橋して水不溶性のポリマーグラフトを形成し、これを次にラット中に移植し、22又は43日間、生体内酸化にかけた。ラットから取り出し、それぞれの化合物の蛍光を測定した。データを図4に示す。本発明の化合物は、対照試料と比較してより大きな蛍光を保持していた。
【0068】
実施例4:
本発明の幾つかの化合物を、実施例3と同じように、それぞれヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、アクリル酸、及びエチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)と共重合して水不溶性のポリマーゲルを形成した。ゲルを37℃においてPBS中の1mMの過酸化水素に曝露することによって、酸化剤に対するこれらの安定性を評価した。これらのデータを図6に示す。更なる実験においては、2種類の指示薬ゲル(4−トリフルオロメチル及び4−トリフルオロメチルスルホンゲル)を、37℃において、PBS中の4mMのグルコースの存在下で1mMの過酸化水素に曝露した。これらのデータを図7に示す。2回の上記記載の安定性実験から算出した半減期を表2に示す。更なる実験においては、種々の指示薬ゲルの0から20mMのグルコースでの蛍光変化(変調%)を測定した。結果を図8に示す。
【0069】
【表2】

【0070】
実施例5:
3,4−ジフルオロ指示薬の合成:9−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−2,3−ジフルオロベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−2,3−ジフルオロベンジル]−N−[2−(カルボキシエチル)アミノ]メチル]アントラセンナトリウム塩(4b):
工程1:9−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−2,3−ジフルオロベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−2,3−ジフルオロベンジル]−N−[2−(tert−ブトキシカルボニル)エチルアミノ]メチル]アントラセン(3b):
9−[N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[2−(tert−ブトキシカルボニル)エチルアミノ]メチル]アントラセン(1;2.40g、4.91ミリモル)を、150mLの丸底フラスコ中に配置し、19mLのジメチルホルムアミド中で溶解するまで撹拌した。2−(ブロモメチル)−3,4−ジフルオロフェニルボロン酸ピナコールエステル(2b;4.90、14.7ミリモル、3等量)及びDIEA(6.8mL、39ミリモル、8.0等量)を加え、アルゴン流下で全部が溶解するまで撹拌し、次に、油浴中アルゴン流下で80℃に3時間加熱した。真空下でDMFを除去し、エーテル(200mL)を加え、リン酸塩緩衝液(0.1Mの100mL、pH7.0)で洗浄した。水溶液をエーテル(2×100mL)で逆洗し、エーテル溶液を合わせてNaSO上で乾燥した。エーテルを真空下で除去し、得られた黄色の粉末を、ヘキサン(100mL)を用いて15分間粉砕した。この粗生成物(2.60g)を、沸騰した80/20の酢酸エチル/IPAを用いて粉砕して、HPLCによっておよそ98%の純度の灰白色の粉末を得た。この粗試料を合わせて、沸騰した80/20の酢酸エチル/IPA中に懸濁し、全ての固形分が溶解するまで酢酸エチルを加えることによって再結晶させた。冷却すると、純粋な生成物が灰白色の粉末として晶出した(1.54g、収率32%)。
【0071】
RP-HPLC条件:HP 1100 HPLCクロマトグラフ、ガードカラムを有するWaters 3.9×150mm NovaPak HR C18カラム、注入量0.010mL、0.75mL/分、注入ループ1.500mL、検出254nm、A=水(0.1% v/v TFA)及びB=MeCN(0.1% v/v TFA)、勾配:2分で10% B;18分で10〜80% B;2分で80〜100% B;2分で100% B、保持時間16.4分。
【0072】
工程2:9−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−2,3−ジフルオロベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−2,3−ジフルオロベンジル]−N−[2−(カルボキシエチル)アミノ]メチル]アントラセンナトリウム塩(4b)
9−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−2,3−ジフルオロベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−2,3−ジフルオロベンジル]−N−[2−(tert−ブトキシカルボニル)エチルアミノ]メチル]アントラセン(3b;1.50g、1.51ミリモル)を100mLの丸底フラスコ中に配置し、10mLの60:40のCHCl:TFA溶液中に溶解した。反応混合物を、雰囲気温度において、2日以下か又はHPLC分析によって出発物質の残留量が1%未満になったことが示されるまで撹拌した。溶媒を真空下で除去した。残留生成物を30mLのCHCl中に溶解し、次に真空下で溶媒を除去した。生成物が黄色の粉末になるまで、ジクロロメタンへの溶解/蒸発処理を繰り返した。粉末を60mLのジクロロメタン中に溶解し、温度が5℃より低く保持されるような速度で、250mLのNaHCO冷飽和水溶液中に滴加した。溶液を<5℃で更に5分間撹拌し、次に層分配を行った。有機層を無水NaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮して1.21gの黄色の粉末を得た。この粗生成物を30mLの無水CHCl中に溶解し、100mLの丸底フラスコに移した。PS−DEAMビーズ(0.38g)をフラスコに加え、反応混合物を雰囲気温度において16時間振盪した。ビーズを濾過し、5mLのジクロロメタンで洗浄した。有機溶液を合わせて真空下で濃縮した。純粋な生成物(0.979g、68%)が黄色の粉末として得られた。
【0073】
構造決定:
RP-HPLC条件:HP 1100 HPLCクロマトグラフ、ガードカラムを有するWaters 3.9×150mm NovaPak HR C18カラム、注入量0.010mL、0.75mL/分、注入ループ1.500mL、検出254nm、A=水(0.1% v/v TFA)及びB=MeCN(0.1% v/v TFA)、勾配:2分で10% B;18分で10〜80% B;2分で80〜100% B;2分で100% B、保持時間14.1分。
【0074】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3):δ 1.32 (s, 12 H), 1.33 (s, 12H), 1.50 (m, 5H, O=C-C(CH2)CH3), N-CH2CH2CH2-N), 2.33 (t, 2H), 2.38 (t, 2H), 2.78 (m, 2H), 2.83 (m, 2H), 4.21 (s, 2H), 4.41 (s, 4H), 4.60 (s, 2H), 4.90 (t, 1H, C=CH2), 4.95 (s, 1H, C=CH2), 5.25 (br, 1H, NH), 7.15-7.25 (m, 1H, ArH), 7.28-7.32 (m, 1H), 7.35 (m, 4H, ArH), 7.68 (dd, 1H, ArH), 7.82 (dd, 1H, ArH), 7.8 (d, 2H, ArH), 8.20 (d, 2H, ArH)。
【0075】
ESI-MS (TFA/アセトニトリル/水): 720.3 (M- 3H2OH+H)+, 738.3 (M-2H2O+H)+, 756.4 (M- H2O+H)+, 794.2 (M+Na)+:ビスボロン酸について。ボロン酸エステルはこの分析の酸性条件下では観察されない。
【0076】
実施例6:
4−トリフルオロメチル指示薬の合成:9−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−(トリフルオロメチル)ベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−(トリフルオロメチル)ベンジル]−N−[2−(カルボキシエチル)アミノ]メチル]アントラセンナトリウム塩(4c):
工程1:9−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−(トリフルオロメチル)ベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−(トリフルオロメチル)ベンジル]−N−[2−(tert−ブトキシカルボニル)エチルアミノ]メチル]アントラセン(3c):
9−[N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[2−(tert−ブトキシカルボニル)エチルアミノ]メチル]アントラセン(1;2.10g、4.29ミリモル)を、250mLの丸底フラスコ中に配置した。これを5mLの脱気したジメチルホルムアミド中に溶解した。2−(ブロモメチル)−4−(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸ピナコールエステル(2c;3.80、10.4ミリモル、2.4等量)を4mLのN散布DMF中に溶解し、反応フラスコに加えた。溶液を撹拌し、Nで5分間フラッシュした。DIEA(6.0mL、34ミリモル、8.0等量)を反応混合物に加え、溶液を、窒素の緩流下、暗所で、雰囲気温度において2晩撹拌した。48時間後、溶媒を真空中で蒸発させた。残留生成物を100mLのジクロロメタン中に溶解し、50mLのリン酸塩緩衝液(0.1M、pH7.0)で2回抽出した。ジクロロメタン溶液を乾燥し、真空中で蒸発させて金色の油状残渣を得た。この粗生成物を10mLのヘキサンと共に黄色の沈殿物が形成されるまで15〜30分間撹拌した。これを濾過し、生成物の重量を測定した(およそ3.5gの黄色の粉末)。熱2−プロパノール(化合物1gあたり<2mLのIPA)からの多重結晶化によって粗生成物を精製した。純粋な生成物(3c)が回収された(およそ1.5g)。
【0077】
構造決定:
RP-HPLC条件:HP 1100 HPLCクロマトグラフ、ガードカラムを有するWaters 3.9×150mm NovaPak HR C18カラム、注入量0.010mL、0.75mL/分、注入ループ1.500mL、検出254nm、A=水(0.1% v/v TFA)及びB=MeCN(0.1% v/v TFA)、勾配:2分で10% B;18分で10〜80% B;2分で80〜100% B;2分で100% B、保持時間17.8分。
【0078】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3):δ 1.25 (s, 9H, C(CH3)3), 1.32 (s, 12H, 0-C(CH3)2C(CH3)2, C-O), 1.35 (s, 12H, 0-C(CH3)2C(CH3)2, C-O), 1.46 (s, 3H, O=C-C(CH2)CH3), 1.65 (m, 2H, N-CH2CH2CH2-N), 2.43 (t, 2H), 2.52 (t, 2H), 2.88 (t, 2H), 3.04 (m, 2H), 3.98 (s, 2H), 4.05 (s, 2H), 4.42 (s, 2H), 4.45 (s, 2H), 4.82 (s, 1H), 4.88- 4.90 (br, 2H, NHがCHと重なり), 7.38-7.42 (m, 5H, ArH), 7.50 (d, 1H, ArH), 7.63 (s, 1H, ArH), 7.80 (m, 2H, ArH), 7.89 (d, 1H, ArH) , 8.32 (m, 4H, ArH)。
【0079】
ESI-MS (TFA/アセトニトリル/水): 858.4 (M-2H2O+H)+, 876.3 (M- H2O+H)+:ビスボロン酸について。この分析の酸性条件下ではボロン酸エステルは観察されない。
工程2:9−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−(トリフルオロメチル)ベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−(トリフルオロメチル)ベンジル]−N−[2−(カルボキシエチル)アミノ]メチル]アントラセンナトリウム塩(4c):
9−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−(トリフルオロメチル)ベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−(トリフルオロメチル)ベンジル]−N−[2−(tert−ブトキシカルボニル)エチルアミノ]メチル]アントラセン(3c;1.037g、0.980ミリモル)を、250mLの丸底フラスコ中に配置し、10mLの60:40の脱気CHCl:TFA溶液中に溶解した。反応混合物を、雰囲気温度において、24〜48時間か又はHPLC分析によって出発物質の残留量が1%未満になったことが示されるまで撹拌した。残留生成物を30mLのCHClで洗浄し、次に真空下で溶媒を除去した。生成物が黄色の粉末になるまで、ジクロロメタンの洗浄を繰り返した。粉末を60mLのジクロロメタン中に溶解し、温度が5℃より低く保持されるような速度で、240mLのNaHCO冷飽和水溶液中に滴加した。溶液を<5℃で更に5分間撹拌し、次に層分配を行った。有機抽出物を無水NaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮して1gの黄色の粉末を得た。この粗生成物を10mLの無水CHCl中に溶解し、100mLの丸底フラスコに移した。PS−DEAMビーズ(0.55g、1ミリモル、1等量)をフラスコに加え、反応混合物を窒素で2分間フラッシュした。溶液を雰囲気温度において16時間振盪した。ビーズを濾過し、10mLのジクロロメタンで2回洗浄した。有機溶液を合わせて真空下で濃縮した。純粋な生成物(4c)が得られた(0.603g、指示薬の60%)。
【0080】
構造決定:
融点:91〜95℃(未補正)。
RP-HPLC条件:HP 1100 HPLCクロマトグラフ、Waters 4.6×100mm Symmetry 3.5μC18カラム(Sentry C18ガードカラムを有する)、注入量0.010mL(1% v/vのTFAを有する70/30の水/MeCN中に試料を溶解)、0.100mLの注入ループ、0.75mL/分、検出254nm、A=水(0.1% TFA)及びB=MeCN(0.1% v/v TFA)、勾配:2分で10% B;18分で10〜80% B;2分で80〜100% B;2分で100% B、保持時間14.9分。
【0081】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3):δ 1.34 (s, 12H), 1.38 (s, 12H), 1.58-1.60 (m, 5H, O=C-C(CH2)CH3), N-CH2CH2CH2-N), 2.31 (t, 2H), 2.44 (t, 2H), 2.87 (m, 2H), 2.92 (m, 2H), 4.05 (s, 2H), 4.35 (s, 2H), 4.44 (s, 2H), 4.55 (s, 2H), 4.95 (t, 1H, C=CH2), 5.05 (s, 1H, C=CH2), 5.3-5.4 (br, 1H, NH), 7.38-7.42 (m, 4H, ArH), 7.52 (d, 1H, ArH), 7.68 (d, 1H, ArH), 7.80 (br s, 1H, ArH), 7.85-7.90 (m, 3H, ArH), 7.91 (d, 1H, ArH), 8.12 (d, 1H, ArH), 8.28 (d, 2H, ArH)。
【0082】
ESI-MS (TFA/アセトニトリル/水): 802.4 (M-2H2O+H)+, 820.3 (M- H2O+H)+, 838.4 (M+H)+:ビスボロン酸について。この分析の酸性条件下ではボロン酸エステルは観察されない。
【0083】
実施例7:
4−フルオロ指示薬の合成:9−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−フルオロベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−フルオロベンジル]−N−[2−(カルボキシエチル)アミノ]メチル]アントラセンナトリウム塩(4d):
工程1:9−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−フルオロベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−フルオロベンジル]−N−[2−tert−ブトキシカルボニル)エチルアミノ]メチル]アントラセン(3d):
9−[N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[2−(tert−ブトキシカルボニル)エチルアミノ]メチル]アントラセン(1;718g、1.47ミリモル)を、5mLのジメチルホルムアミド中で溶解するまで撹拌した。2−(ブロモメチル)−4−フルオロフェニルボロン酸ピナコールエステル(2d;1.85g、5.87ミリモル、4等量)及びDIEA(1.52g、12ミリモル、8.0等量)を加え、80℃に18時間加熱した。次に、エーテル(100mL)を加え、溶液をリン酸塩緩衝液(0.1Mの100mLを3回、pH7.0)で洗浄した。有機溶液をNaSO上で乾燥し、次に真空下で除去した。粗生成物を、ヘキサン(2×50mL)を用いて粉砕し、次に25mLの沸騰した80/20の酢酸エチル/IPAから再結晶して、灰白色の粉末を得た(0.52g、37%)。
【0084】
構造決定:
RP-HPLC条件:HP 1100 HPLCクロマトグラフ、ガードカラムを有するWaters 3.9×150mm NovaPak HR C18カラム、注入量0.010mL、0.75mL/分、注入ループ1.500mL、検出254nm、A=水(0.1% v/v TFA)及びB=MeCN(0.1% v/v TFA)、勾配:2分で10% B;18分で10〜80% B;2分で80〜100% B;2分で100% B、保持時間15.7分。
【0085】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3):δ 1.3 (2つの重なる1重線, 24H, 0-C(CH3)2C(CH3)2, C-O), 1.33 (s, 9H, C(CH3)3), 1.52 (s, 3H), 1.55 (s, 1H), 1.70 (t, 1H), 2.48 (t, 2H), 2.55 (m, 2H), 2.82 (t, 2H), 3.08 (m, 2H), 3.85 (s, 2H), 4.05 (s, 2H), 4.45 (s, 2H), 4.55 (s, 2H), 4.82 (d, 2H), 5.05 (br, 1H), 6.83 (t, 1H). 6.84 (t, 1H), 7.08 (dd, 1H), 7.20 (dd, 1H), 7.44 (m, 4H), 7.68 (dd, 1H), 7.78 (dd, 1H), 8.36 (m, 2H) , 8.45 (m, 2H)。
【0086】
ESI-MS: 957 (M+H)+, 874.4 (M+H)+:モノボロン酸エステルモノ酸について, 792.3 (M+H)+及び774.2 (M-H2O+H)+:ビスボロン酸について。この分析の酸性条件下で、ボロン酸エステル及び酸が観察された。
【0087】
工程2:9−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−フルオロベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−フルオロベンジル]−N−[2−(カルボキシエチル)アミノ]メチル]アントラセンナトリウム塩(4d):
9−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−フルオロベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−フルオロベンジル]−N−[2−(tert−ブトキシカルボニル)エチルアミノ]メチル]アントラセン(3d;0.450g、0.47ミリモル)を、10mLの60:40のCHCl:TFA溶液中に溶解し、雰囲気温度において16時間撹拌した。反応溶液をジクロロメタン(30mL)で希釈し、次に、3つの部分に分けて、急速撹拌しているNaHCOの氷冷飽和水溶液中に加えた。有機層を分離し、無水NaSO上で乾燥し、濾過し、真空下で濃縮して0.32gの黄色の粉末を得た。この粗生成物を無水CHCl中に溶解し、PS−DEAMビーズ上で1晩振盪した。ビーズを濾過し、有機溶媒を真空下で除去した。純粋な生成物(0.235g、55%)が黄色の粉末として得られた。
【0088】
構造決定:
RP-HPLC条件:HP 1100 HPLCクロマトグラフ、ガードカラムを有するWaters 3.9×150mm NovaPak HR C18カラム、注入量0.010mL、0.75mL/分、注入ループ1.500mL、検出254nm、A=水(0.1% v/v TFA)及びB=MeCN(0.1% v/v TFA)、勾配:2分で10% B;18分で10〜80% B;2分で80〜100% B;2分で100% B、保持時間13.7分。
【0089】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3):δ 1.33 (s, 12 H), 1.35 (s, 12H), 1.62 (m, 5H, O=C-C(CH2)CH3), N-CH2CH2CH2-N), 2.33 (t, 2H), 2.48 (t, 2H), 2.88 (m, 2H), 2.95 (m, 2H), 4.04 (s, 2H), 4.32 (s, 2H), 4.48 (s, 2H), 4.62 (s, 2H), 5.00 (t, 1H, C=CH2), 5.12 (s, 1H, C=CH2), 5.48 (br, 1H, NH), 6.95 (dt, 1H), 7.15 (dt, 1H), 7.22 (br, 1H), 7.30 (dd, 1H), 7.48 (m, 4H), 7.80 (dd, 1H), 7.90 (m, 2H), 8.05 (dd, 1H), 8.37 (m, 2H)。
【0090】
実施例8:
2,5−ジフルオロ指示薬の合成:9−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−2,5−ジフルオロベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−2,5−(ジフルオロ)ベンジル]−N−[2−(カルボキシエチル)アミノ]メチル]アントラセンナトリウム塩(4e):
工程1:9−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−2,5−ジフルオロベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−2,5−ジフルオロベンジル]−N−[2−(tert−ブトキシカルボニル)エチルアミノ]メチル]アントラセン(3e):
9−[N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[2−(tert−ブトキシカルボニル)エチルアミノ]メチル]アントラセン(1;0.872g、1.78ミリモル)を、100mLの丸底フラスコ中に配置し、7mLのジメチルホルムアミド中で溶解するまで撹拌した。6−(ブロモメチル)−2,5−ジフルオロフェニルボロン酸ピナコールエステル(2e;1.49、4.47ミリモル、2.5等量)及びDIEA(1.86g、14.4ミリモル、8.0等量)を加え、アルゴン流下で全てが溶解するまで撹拌し、次に、油浴中、アルゴン流下で80℃に1晩加熱した。更なる6−(ブロモメチル)−2,5−ジフルオロフェニルボロン酸ピナコールエステル(0.300g、0.5等量)を加え、翌日の晩まで加熱を継続した。エーテル(100mL)を反応溶液に加え、pH7.0の0.1Mリン酸塩緩衝液で洗浄した。有機溶液をNaSO上で乾燥し、溶媒を真空下で除去し、残渣を、ヘキサン(2×50mL)を用いて粉砕した。得られた赤褐色の固体を沸騰ヘキサン(50mL)で処理し、デカンデーションし、所望の生成物(0.49g)を冷ヘキサンから白色の結晶として回収した。
【0091】
構造決定:
RP-HPLC条件:HP 1100 HPLCクロマトグラフ、ガードカラムを有するWaters 3.9×150mm NovaPak HR C18カラム、注入量0.010mL、0.75mL/分、注入ループ1.500mL、検出254nm、A=水(0.1% v/v TFA)及びB=MeCN(0.1% v/v TFA)、勾配:2分で10% B;18分で10〜80% B;2分で80〜100% B;2分で100% B、保持時間15.0分。
【0092】
工程2:9−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−2,5−ジフルオロベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−2,5−ジフルオロベンジル]−N−[2−(カルボキシエチル)アミノ]メチル]アントラセンナトリウム塩(4e):
9−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−2,5−ジフルオロベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−2,5−ジフルオロベンジル]−N−[2−(tert−ブトキシカルボニル)エチルアミノ]メチル]アントラセン(3e;0.49)を、10mLの60:40中で、HPLCによって出発物質が残留しないことが示された時点まで1晩撹拌した。溶媒を真空下で除去し、残渣をジクロロメタン(3mL)中に溶解し、急速撹拌しているペンタン(100mL)中に滴加した。濾過によって生成物のトリフルオロ酢酸塩が黄色の粉末として単離され(0.40g)、質量分析によって確認された。以下のようにして遊離ベースの指示薬を得た。粉末(0.20g)を10mLのジクロロメタン中に溶解し、温度が5℃より低く保持されるような速度で100mLのNaHCO冷飽和水溶液中に滴加した。有機層を分離し、次に無水NaSO上で乾燥した。PS−DEAMビーズ(0.5g)をフラスコに加え、懸濁液を雰囲気温度で1晩振盪した。濾過し、溶媒を真空下で除去することによって、生成物(95mg)が黄色の粉末として得られた。
【0093】
構造決定:
RP-HPLC条件:RP-HPLC条件:HP 1100 HPLCクロマトグラフ、ガードカラムを有するWaters 3.9×150mm NovaPak HR C18カラム、注入量0.010mL、0.75mL/分、注入ループ1.500mL、検出254nm、A=水(0.1% v/v TFA)及びB=MeCN(0.1% v/v TFA)、勾配:2分で10% B;18分で10〜80% B;2分で80〜100% B;2分で100% B、保持時間12.9分。
【0094】
ESI-MS (TFA/アセトニトリル/水): 720.3 (M- 3H2O+H)+, 738.3 (M- 2H2O+H)+, 756.4 (M- H2O+H)+, 778.3 (M-H2O+Na)+:ビスボロン酸について。この分析の酸性条件下ではボロン酸エステルは観察されない。
【0095】
実施例9:3,4−ジクロロ指示薬の合成:9−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−2,3−ジクロロベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−2,3−ジクロロベンジル]−N−[2−(カルボキシエチル)アミノ]メチル]アントラセンナトリウム塩(4f):
工程1:9−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−2,3−ジクロロベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−2,3−ジクロロベンジル]−N−[2−(tert−ブトキシカルボニル)エチルアミノ]メチル]アントラセン(3f):
9−[N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[2−(tert−ブトキシカルボニル)エチルアミノ]メチル]アントラセン(1;0.25g、0.51ミリモル)を、100mLの丸底フラスコ中に配置し、5mLのジメチルホルムアミド中で溶解するまで撹拌した。2−(ブロモメチル)−3,4−ジクロロフェニルボロン酸ピナコールエステル(2f;0.56、1.5ミリモル、3.0等量)及びDIEA(0.7mL、4.1ミリモル、8.0等量)を加え、N下、暗所において、室温で48時間撹拌した。真空下でDMFを除去し、ジクロロメタン(20mL)を加え、リン酸塩緩衝液(0.1Mの40mL、pH7.0)で洗浄した。回収されたジクロロメタン溶液をNaSO上で乾燥した。真空下でジクロロメタンを除去し、得られた黄色の残渣を、Nの緩流下でヘキサン(10mL)を用いて15分間粉砕した。粗生成物(0.41g)を、冷IPAを用いて粉砕することによって、HPLCによりおよそ89%の純度の黄色の粉末が得られた(0.29g、収率54%)。
【0096】
構造決定:
RP-HPLC条件:HP 1100 HPLCクロマトグラフ、ガードカラムを有するWaters 3.9×150mm NovaPak HR C18カラム、注入量0.010mL、0.75mL/分、注入ループ1.500mL、検出254nm、A=水(0.1% v/v TFA)及びB=MeCN(0.1% v/v TFA)、勾配:2分で10% B;18分で10〜80% B;2分で80〜100% B;2分で100% B、保持時間16.4分。
【0097】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3):δ 1.22 (s, 9H), 1.32 (s, 12H), 1.38 (s, 12H), 1.56 (bs, 5H), 2.35 (t, 2H), 2.50 (t, 2H), 2.78 (t, 2H), 2.91 (q, 2H), 4.20 (s, 2H), 4.28 (s, 2H), 4.38 (s, 2H), 4.91 (s, 2H), 4.50 (bs, 1H), 4.65 (s, 1H), 4.79 (s, 1H), 7.36 (m, 4H), 7.45 (m, 2H), 7.69 (d, 2H), 8.16 (m, 4H)。
【0098】
工程2:9−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−2,3−ジクロロベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−2,3−ジクロロベンジル]−N−[2−(カルボキシエチル)アミノ]メチル]アントラセンナトリウム塩(4f):
9−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−2,3−ジクロロベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−2,3−ジクロロベンジル]−N−[2−(tert−ブトキシカルボニル)エチルアミノ]メチル]アントラセン(3f;0.29g、0.27ミリモル)を、100mLの丸底フラスコ中に配置し、6mLの60:40のCHCl:TFA溶液中に溶解した。反応混合物を、雰囲気温度において、17時間か又はHPLC分析によって出発物質の残留量が0.1%未満になったことが示されるまで撹拌した。溶媒を真空下で除去した。残留生成物を10mLのCHCl中に溶解し、次に真空下で溶媒を除去した。生成物が黄色の粉末になるまで、ジクロロメタンへの溶解/蒸発処理を繰り返した。粉末を10mLのジクロロメタン中に溶解し、温度が5℃より低く保持されるような速度で70mLのNaHCO冷飽和水溶液中に滴加した。溶液を<5℃において更に5分間撹拌し、次に層分配を行った。有機層を無水NaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮して0.23gの黄色の粉末を得た。この粗生成物を10mLの無水CHCl中に溶解し、100mLの丸底フラスコに移した。PS−DEAMビーズ(0.13g、1等量)をフラスコに加え、反応混合物を雰囲気温度で16時間振盪した。ビーズを濾過し、5mLのジクロロメタンで洗浄した。有機溶液を合わせて真空下で濃縮した。純粋な生成物(0.2g、71%)が黄色の粉末として得られた。
【0099】
構造決定:
RP-HPLC条件:HP 1100 HPLCクロマトグラフ、ガードカラムを有するWaters 3.9×150mm NovaPak HR C18カラム、注入量0.010mL、0.75mL/分、注入ループ1.500mL、検出254nm、A=水(0.1% v/v TFA)及びB=MeCN(0.1% v/v TFA)、勾配:2分で10% B;18分で10〜80% B;2分で80〜100% B;2分で100% B、保持時間14.1分。
【0100】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3):δ 1.35 (s, 12H), 1.38 (s, 12H), 1.58 (m, 5H), 2.28 (t, 2H), 2.42 (t, 2H), 2.70 (q, 2H), 2.89 (t, 2H), 4.28 (s, 2H), 4.42 (s, 2H), 4.48 (s, 2H), 4.60 (s, 2H), 4.92 (s, 1H), 4.05 (m, 1H), 5.30 (s, 1H), 7.38 (m, 3H), 7.49 (m, 4H), 7.58 (d, 1H), 7.72 (m, 1H), 7.88 (d, 1H), 7.91 (d, 1H), 8.17 (m, 1H)。
【0101】
ESI-MS (TFA/アセトニトリル/水): 822.3 (M-H2O+H)+, 804.4 (M-2H2O+H)+:ビスボロン酸について。この分析の酸性条件下ではボロン酸エステルは観察されない。
実施例10:
4−トリフルオロメトキシ指示薬の合成:9−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−(トリフルオロメトキシ)ベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−(トリフルオロメトキシ)ベンジル]−N−[2−(カルボキシエチル)アミノ]メチル]アントラセンナトリウム塩(4g):
工程1:9−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−(トリフルオロメトキシ)ベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−(トリフルオロメトキシ)ベンジル]−N−[2−(tert−ブトキシカルボニル)エチルアミノ]メチル]アントラセン(3g):
9−[N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[2−(tert−ブトキシカルボニル)エチルアミノ]メチル]アントラセン(1;0.2g、0.41ミリモル)を、150mLの丸底フラスコ中に配置した。これを5mLの脱気したジメチルホルムアミド中に溶解した。2−(ブロモメチル)−4−(トリフルオロメトキシ)フェニルボロン酸ピナコールエステル(2g;0.37、0.97ミリモル、2.4等量)を4mLのN散布DMF中に溶解し、反応フラスコに加えた。溶液を撹拌し、Nで5分間フラッシュした。DIEA(0.6mL、3.5ミリモル、8.0等量)を反応混合物に加え、溶液を、窒素の緩流下、暗所において、雰囲気温度で1晩撹拌した。24時間後、溶媒を真空中で除去した。残留生成物を10mLのジクロロメタン中に溶解し、15mLのリン酸塩緩衝液(0.1M、pH7.0)で3回抽出した。ジクロロメタン溶液を乾燥し、真空中で蒸発させて、金色の油状残渣を得た。この粗生成物を5mLのエーテルと共に15分間撹拌し、次に溶媒を除去した。黄色の油状残渣を真空下に30分間保持して、泡沫状の粉末を得た(3g;0.41g、収率91%)。
【0102】
構造決定:
RP-HPLC条件:HP 1100 HPLCクロマトグラフ、ガードカラムを有するWaters 3.9×150mm NovaPak HR C18カラム、注入量0.010mL、0.75mL/分、注入ループ1.500mL、検出254nm、A=水(0.1% v/v TFA)及びB=MeCN(0.1% v/v TFA)、勾配:2分で10% B;18分で10〜80% B;2分で80〜100% B;2分で100% B、保持時間15.0分。
【0103】
工程2:9−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−(トリフルオロメトキシ)ベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−(トリフルオロメトキシ)ベンジル]−N−[2−(カルボキシエチル)アミノ]メチル]アントラセンナトリウム塩(4g):
9−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−(トリフルオロメトキシ)ベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−(トリフルオロメトキシ)ベンジル]−N−[2−(tert−ブトキシカルボニル)エチルアミノ]メチル]アントラセン(3g;0.4g、0.37ミリモル)を、100mLの丸底フラスコ中に配置し、5mLの60:40の脱気CHCl:TFA溶液中に溶解した。反応混合物を、雰囲気温度において、21時間か又はHPLC分析によって出発物質の残留量が0.1%未満になったことが示されるまで撹拌した。残留生成物を10mLのCHClで洗浄し、次に真空下で溶媒を除去した。ジクロロメタン洗浄を数回繰り返した。粉末を10mLのジクロロメタン中に溶解し、温度が5℃より低く保持されるような速度で80mLのNaHCO冷飽和水溶液中に滴加した。溶液を<5℃において更に5分間撹拌し、次に層分配を行った。有機抽出物を無水NaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮して0.18gの黄色の粉末を得た(4g;収率46%)。
【0104】
構造決定:
RP-HPLC条件:HP 1100 HPLCクロマトグラフ、Waters 4.6×100mm Symmetry 3.5μC18カラム(Sentry C18ガードカラムを有する)、注入量0.010mL(1% v/vのTFAを有する70/30の水/MeCN中に試料を溶解)、0.100mLの注入ループ、0.75mL/分、検出254nm、A=水(0.1% TFA)及びB=MeCN(0.1% v/v TFA)、勾配:2分で10% B;18分で10〜80% B;2分で80〜100% B;2分で100% B、保持時間12.9分。
【0105】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3):δ 1.32 (s, 12 H), 1.33 (s, 12H), 1.51 (s, 6H), 2.31 (bm, 2H), 2.40 (bt, 2H), 2.82 (bt, 2H), 2.89 (bm, 2H), 3.85 (s, 2H), 4.22 (s, 2H), 4.43 (s, 2H), 4.56 (s, 2H), 4.86 (d, 2H), 4.88 (bs, 1H,), 7.32 (d, 1H), 7.40 (m, 5H), 7.82 (d, 1H), 7.92 (d, 1H), 7.96 (m, 2H), 8.40 (d, 2H), 8.27 (m, 2H)。
【0106】
実施例11:
4−スルホンアミド指示薬の合成:9−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−(N,N−ジメチルスルファモイル)ベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−(N,N−ジメチルスルファモイル)ベンジル]−N−[2−(カルボキシエチル)アミノ]メチル]アントラセンナトリウム塩(4h):
工程1:9−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−(N,N−ジメチルスルファモイル)ベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−(N,N−ジメチルスルファモイル)ベンジル]−N−[2−(tert−ブトキシカルボニル)エチルアミノ]メチル]アントラセン(3h):
9−[N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[2−(tert−ブトキシカルボニル)エチルアミノ]メチル]アントラセン(1;0.27g、0.55ミリモル)を、25mLの丸底フラスコ内において無水DMF(2mL)中に溶解した。2−(ブロモメチル)−4−(N,N−ジメチルスルファモイル)フェニルボロン酸ピナコールエステル(2h;0.595g、1.47ミリモル、2.7等量)及びDIEA(0.765mL、4.4ミリモル、8等量)を加え、N下、暗所において、室温で19時間撹拌した。真空下でDMFを除去し、ジクロロメタン(10mL)を加え、リン酸塩緩衝液(0.1Mの10mLを2回、pH7.0)で洗浄した。ジクロロメタン溶液をNaSO上で乾燥し、濾過し、真空下で除去した。粗生成物を、ヘキサン(2×5mL)を用いて粉砕することにより、HPLCによっておよそ90%の純度の黄色の粉末が得られた(0.59g、収率94%)。
【0107】
RP-HPLC条件:HP 1100 HPLCクロマトグラフ、ガードカラムを有するWaters 3.9×150mm NovaPak HR C18カラム、注入量0.010mL、0.75mL/分、注入ループ1.500mL、検出254nm、A=水(0.1% v/v TFA)及びB=MeCN(0.1% v/v TFA)、勾配:2分で10% B;18分で10〜80% B;2分で80〜100% B;2分で100% B、保持時間14.6分。
【0108】
工程2:9−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−(N,N−ジメチルスルファモイル)ベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−(N,N−ジメチルスルファモイル)ベンジル]−N−[2−(カルボキシエチル)アミノ]メチル]アントラセンナトリウム塩(4h):
9−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−(N,N−ジメチルスルファモイル)ベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−(N,N−ジメチルスルファモイル)ベンジル]−N−[2−(tert−ブトキシカルボニル)エチルアミノ]メチル]アントラセン(3h;0.44g、0.39ミリモル)を、100mLの丸底フラスコ中に配置し、N散布試薬から調製した10mLの60:40のCHCl:TFA溶液中に溶解した。反応混合物を雰囲気温度において28時間撹拌した。溶媒を真空下で除去した。残留生成物を20mLのCHCl中に溶解し、次に真空下で溶媒を除去した。ジクロロメタンへの溶解/蒸発処理を、生成物が黄色の粉末になるまで4回以上繰り返した。粉末を20mLのジクロロメタン中に溶解し、温度が5℃より低く保持されるような速度で40mLのNaHCO氷冷飽和水溶液中に滴加した。溶液を<5℃において更に5分間撹拌し、次に層分配を行った。有機層を無水NaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮して0.24g(57%)の生成物を黄色の粉末として得た。
【0109】
構造決定:
RP-HPLC条件:HP 1100 HPLCクロマトグラフ、Waters 4.6×100mm Symmetry 3.5μC18カラム(Sentry C18ガードカラムを有する)、注入量0.010mL(1% v/vのTFAを有する70/30の水/MeCN中に試料を溶解)、0.100mLの注入ループ、0.75mL/分、検出254nm、A=水(0.1% TFA)及びB=MeCN(0.1% v/v TFA)、勾配:2分で10% B;18分で10〜80% B;2分で80〜100% B;2分で100% B、保持時間12.7分。
【0110】
ESI-MS (TFA/アセトニトリル/水): 920.3 (M-H2O+Na)+, 898.2 (M-H2O+H)+:ビスボロン酸について。この分析の酸性条件下ではボロン酸エステルは観察されない。
実施例12:2−メチル指示薬の合成:9−[N−[2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−メチルベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−メチルベンジル]−N−[2−(カルボキシエチル)アミノ]メチル]アントラセン(8):
工程1:2−(ブロモメチル)−6−メチルフェニルボロン酸(6):
2,6−ジメチルフェニルボロン酸(2.22g、14.8ミリモル)、NBS(1.31g、7.36ミリモル、0.5等量)、及びAIBN(0.17g、1.0ミリモル、0.07等量)を、還流CCl中で2時間加熱した。溶液を冷却し、次に濾過した。次に、溶液を水(50mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥し、真空中で溶媒を除去した。得られた白色の粉末(1.66g)はHPLCによっておよそ84%の純度であり、出発物質及び若干の二臭素化生成物を含んでいた。シリカゲル60上でのカラムクロマトグラフィー(溶出条件:ジクロロメタン中0%〜2%のメタノール)では純度を向上させることができず、粗物質を次の工程に用いた。
【0111】
工程2:9−[N−[2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−メチルベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−メチルベンジル]−N−[2−(tert−ブトキシカルボニル)エチルアミノ]メチル]アントラセン(7):
9−[N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[2−(tert−ブトキシカルボニル)エチルアミノ]メチル]アントラセン(1;0.85g、0.17ミリモル)を、50mLの丸底フラスコ中に配置し、2mLのジメチルホルムアミド中で溶解するまで撹拌した。2−(ブロモメチル)−6−メチルフェニルボロン酸(6;389mg、1.7ミリモル)及びDIEA(0.24mL、1.4ミリモル、8等量)を加え、油浴中、アルゴン充填バルーン下で80℃に1晩加熱した。真空下でDMFを除去し、ジクロロメタン(20mL)を加え、リン酸塩緩衝液(0.1Mの10mLを3回、pH7.0)で洗浄した。有機溶媒をNaSO上で乾燥し、溶媒を真空下で除去し、得られた黄色の固体を、ヘキサン(2×10mL)を用いて粉砕した。この粗生成物を、ジクロロメタン中1〜5%のメタノールで溶出するシリカゲル60上のフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製して、純度93%の物質を得た(55mg、41%)。
【0112】
構造決定:
RP-HPLC条件:HP 1100 HPLCクロマトグラフ、ガードカラムを有するWaters 3.9×150mm NovaPak HR C18カラム、注入量0.010mL、0.75mL/分、注入ループ1.500mL、検出254nm、A=水(0.1% v/v TFA)及びB=MeCN(0.1% v/v TFA)、勾配:2分で10% B;18分で10〜80% B;2分で80〜100% B;2分で100% B、保持時間15.8分。
【0113】
工程3:9−[N−[2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−メチルベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−メチルベンジル]−N−[2−(カルボキシエチル)アミノ]メチル]アントラセントリフルオロ酢酸塩(8):
9−[N−[2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−メチルベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−メチルベンジル]−N−[2−(tert−ブトキシカルボニル)エチルアミノ]メチル]アントラセン(7;55mg、0.070ミリモル)を、2mLの60:40のCHCl:TFA溶液中に溶解し、アルゴンを充填したバルーン下で1晩撹拌した。更に10mLのジクロロメタンを加え、溶媒を真空下で除去した。ジクロロメタン(10mL)を加え、溶媒を再び真空下で除去した。溶解/蒸発工程を3回以上繰り返した。粗生成物を、エーテル(10mL)、次にヘプタン(3mL)を用いて粉砕して、トリフルオロ酢酸塩としておよそ90%の純度の生成物(59mg、88%)を黄色の粉末として得た。
【0114】
構造決定:
RP-HPLC条件:HP 1100 HPLCクロマトグラフ、ガードカラムを有するWaters 3.9×150mm NovaPak HR C18カラム、注入量0.010mL、0.75mL/分、注入ループ1.500mL、検出254nm、A=水(0.1% v/v TFA)及びB=MeCN(0.1% v/v TFA)、勾配:2分で10% B;18分で10〜80% B;2分で80〜100% B;2分で100% B、保持時間14.2分。
【0115】
ESI-MS (TFA/アセトニトリル/水): 694.4 (M-2H2O+H)+, 712.4 (M-H2O+H)+, 730.4 (M+H)+
実施例13:
4−シアノ指示薬の合成:9−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−シアノベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−シアノベンジル]−N−[2−(カルボキシエチル)アミノ]メチル]アントラセンナトリウム塩(14a):
工程1:3−メチル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,2,3]ジオキサボロラン−2−イル)ベンゾニトリル(11a):
4−ブロモ−3−メチルベンゾニトリル(9a;5.0g、0.0255モル、1.0等量)を、153mLの無水ジメチルホルムアミドを含む250mLの丸底フラスコ中に配置した。酢酸カリウム(7.5g、0.076モル、3等量)、4,4,4’,4’,5,5,5’,5’−オクタメチル−2,2’−ビ−1,3,2−ジオキサボロラン(10;7.12g、0.028モル、1.1等量)、及び[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(0.56g、0.00076モル、0.03等量)をフラスコに加え、反応混合物を80℃に24時間加熱した。溶液を雰囲気温度に冷却し、懸濁液を熱濾過した。回収された溶媒を真空下で除去した。得られた油状で暗褐色の生成物を200mLの酢酸エチル中に溶解し、分液漏斗に移した。250mLの水を加え、溶液を抽出した。有機層を回収して無水NaSO上で乾燥した。溶媒を真空中で除去した。粗生成物を、シリカゲル60上のフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶出条件:2%〜20%のEtOAc/ヘキサン)によって精製した。約5gの物質が回収された。生成物を熱ヘキサンからの結晶化によって更に精製した。純粋な生成物(11a)が得られた(3.7g、収率60%)。
【0116】
構造決定:
RP-HPLC条件:HP 1100 HPLCクロマトグラフ、3.9×150mm Symmetry Column HR C18 カラム、注入量0.010mL、0.75mL/分、注入ループ1.500mL、検出254nm、A=水(0.1% TFA)及びB=MeCN(0.1% TFA)、勾配:2分で10% B;18分で10〜80% B;2分で80〜100% B;2分で100% B、保持時間10.7分。
【0117】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3):δ 1.35 (s, 12H, C(CH3)3), 2.55 (s, 3H, CH3), 7.41 (m, 2H, ArH), 7.81 (m, 1H, ArH)。
工程2:3−ブロモメチル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,2,3]ジオキサボロラン−2−イル)ベンゾニトリル(12a):
3−メチル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,2,3]ジオキサボロラン−2−イル)ベンゾニトリル(11a;3.3g、0.0136モル、1.0等量)を、50mLの四塩化炭素を含む250mLの丸底フラスコ中に配置した。NBS(2.5g、0.0142モル、1.05等量)及び触媒量の2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(0.03g、0.00018モル、0.014等量)を加え、反応混合物を53時間還流した。得られた溶液を熱濾過し、次に溶媒を真空下で除去した。粗生成物を熱ヘキサンからの結晶化によって精製した。若干の11aを含む生成物(12a)が得られた(3.08g、70%)。
【0118】
構造決定:
RP-HPLC条件:HP 1100 HPLCクロマトグラフ、3.9×150mm Symmetry Column HR C18 カラム、注入量0.010mL、0.75mL/分、注入ループ1.500mL、検出254nm、A=水(0.1% TFA)及びB=MeCN(0.1% TFA)、勾配:2分で10% B;18分で10〜80% B;2分で80〜100% B;2分で100% B、保持時間13.4分。
【0119】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3):δ 1.38 (s, 12H, C(CH3)3), 4.85 (s, 2H, CH2Br), 7.55 (d, 1H, ArH), 7.68 (s, 1H, ArH), 7.92 (d, 1H , ArH )。
工程3:9−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−シアノベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−シアノベンジル]−N−[2−(tert−ブトキシカルボニル)エチルアミノ]メチル]アントラセン(13a):
9−[N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[2−(tert−ブトキシカルボニル)エチルアミノ]メチル]アントラセン(1;0.3g、0.00061モル、1.0等量)を、25mLの丸底フラスコ中に配置し、4.5mLの脱気ジメチルホルムアミド中に溶解した。3−ブロモメチル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,2,3]ジオキサボロラン−2−イル)ベンゾニトリル(12a、0.53、0.0016モル、2.7等量)を、2mLのN散布DMF中に溶解し、反応フラスコに加えた。溶液を撹拌し、Nで5分間フラッシュした。DIEA(0.85mL、0.0049モル、8.0等量)を反応混合物に加え、溶液を、窒素の緩流下、暗所において、雰囲気温度で26時間撹拌した。反応溶媒を真空中で除去した。残留生成物を20mLのジクロロメタン中に溶解し、10mLのリン酸塩緩衝液(0.1M、pH7.0)で2回抽出した。ジクロロメタン抽出物を合わせて、乾燥し、真空中で蒸発させて金色の油状残渣を得た。この粗生成物を5mLのヘキサンと共に黄色の沈殿物が形成されるまで15〜30分間撹拌した。これを濾過し、生成物の重量を測定した(およそ0.9gの黄色の粉末)。この粗生成物を、熱2−プロパノール(およそ3mLのIPA)からの多重結晶化によって更に精製した。純粋な生成物(13a)が回収された(0.07g、HPLCによる純度98.8%)。
【0120】
構造決定:
RP-HPLC条件:HP 1100 HPLCクロマトグラフ、Waters 3.9×150mm Symmetry Column HR C18 カラム、注入量0.010mL、0.75mL/分、注入ループ1.500mL、検出254nm、A=水(0.1% v/v TFA)及びB=MeCN(0.1% v/v TFA)、勾配:2分で10% B;18分で10〜80% B;2分で80〜100% B;2分で100% B、保持時間15.2分。
【0121】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3):δ 1.31(s, 12H, 0-C(CH3)2C(CH3)2, C-0), 1.34(s, 12H, 0-C(CH3)2C(CH3)2, C-O), 1.35(s, 9H, C(CH3)3), 1.63 (m, 3H, N-CH2CH2CH2-N + NH重なり), 2.51 (m, 4H), 2.59(t, 2H), 3.10(q, 2H), 3.89(s, 2H), 3.99(s, 2H), 4.45(s, 2H), 4.53(s, 2H), 5.09(m, 1H), 5.13(s, 1H), 5.22 (t, 1H), 7.29(d, 1H, ArH), 7.42(d, 1H, ArH), 7.50 (m, 5H, ArH), 7.62(d, 1H, ArH), 7.70(s, 1H, ArH), 7.78(d, 1H, ArH), 8.35(m, 2H, ArH), 8.41(d, 2H, ArH)。
【0122】
ESI-MS: m/z 790.4 (M+, 100%)。この分析の酸性条件下ではボロン酸エステルは観察されない。
工程4:9−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−シアノベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−シアノベンジル]−N−[2−(カルボキシエチル)アミノ]メチル]アントラセンナトリウム塩(14a):
9−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−シアノベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−シアノベンジル]−N−[2−(tert−ブトキシカルボニル)エチルアミノ]メチル]アントラセン(13a;0.064g、0.066ミリモル、1等量)を25mLの丸底フラスコ中に配置し、2.5mLの60:40の脱気CHCl:TFA溶液中に溶解した。反応混合物を雰囲気温度において24時間撹拌した。残留生成物を5mLのCHClで洗浄し、次に溶媒を真空下で除去した。生成物が黄色の粉末になるまでジクロロメタンによる洗浄を繰り返した。粉末を10mLのジクロロメタン中に溶解し、温度が5℃より低く保持されるような速度で20mLのNaHCO冷飽和水溶液中に滴加した。溶液を<5℃において更に5分間撹拌し、次に層分配を行った。有機抽出物を無水NaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮して0.042gの黄色の粉末を得た。この粗生成物を3mLの無水CHCl中に溶解し、25mLの丸底フラスコに移した。フラスコにPS−DEAMビーズ(0.039g、1ミリモル、1等量)を加え、反応混合物を窒素で2分間フラッシュした。溶液を雰囲気温度において16時間振盪した。ビーズを濾過し、10mLのジクロロメタンで2回洗浄した。有機溶液を合わせて真空下で濃縮した。純粋な生成物(14a)が得られた(34mgの指示薬)。
【0123】
構造決定:
RP-HPLC条件:HP 1100 HPLCクロマトグラフ、Waters 4.6×100mm Symmetry 3.5μC18カラム、注入量0.010mL(1% v/vのTFAを有する70/30の水/MeCN中に試料を溶解)、0.100mLの注入ループ、0.75mL/分、検出254nm、A=水(0.1% TFA)及びB=MeCN(0.1% v/v TFA)、勾配:2分で10% B;18分で10〜80% B;2分で80〜100% B;2分で100% B、保持時間12.9分。
【0124】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3):δ 1.33(s, 12H), 1.36(s, 12H), 1.65(m, 2H), 1.71 (bs, 3H), 2.35(t, 2H), 2.48(t, 2H), 2.88(t, 2H), 2.98(q, 2H), 4.01(s, 2H), 4.25(s, 2H), 4.48(s, 2H), 4.58(s, 2H), 5.10(s, 1H), 5.28(s, 1H), 5.61 (bs, 1H), 7.45(m, 5H), 7.65(d, 1H), 7.72(d, 2H), 7.81(d, 1H), 7.92(d, 2H), 8.05(d, 1H), 8.30(d, 2H)。
【0125】
実施例14:4−ニトロ指示薬の合成:9−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−ニトロベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−ニトロベンジル]−N−[2−(カルボキシエチル)アミノ]メチル]アントラセンナトリウム塩(14b):
工程1:3−ニトロ−6−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,2,3]ジオキサボロラン−2−イル)トルエン(11b):
2−ブロモ−5−ニトロトルエン(9b;10.2g、47.2ミリモル)を、酢酸カリウム(7.14g、72.7ミリモル)、4,4,4’,4’,5,5,5’,5’−オクタメチル−2,2’−ビ−1,3,2−ジオキサボロラン(10;13.3g、52.3ミリモル)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(413mg、0.506ミリモル)、及びDMSO(50mL)と共に100mLの丸底フラスコ中に配置し、反応混合物を80℃に4日間加熱した。溶液を雰囲気温度に冷却し、氷水(125mL)を加え、黒色の懸濁液を酢酸エチル(3×100mL)で抽出した。溶媒を真空中で除去し、粗生成物を、ヘキサン、次に5%のEtOAc/ヘキサンで溶出するシリカゲル60上でのフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製した。最も純粋なフラクションから純度約95%の生成物が得られた(2.09g、17%)。
【0126】
構造決定:
RP-HPLC条件:HP 1100 HPLCクロマトグラフ、ガードカラムを有するWaters 3.9×150mm NovaPak HR C18カラム、注入量0.010mL、0.75mL/分、注入ループ1.500mL、検出254nm、A=水(0.1% v/v TFA)及びB=MeCN(0.1% v/v TFA)、勾配:2分で10% B;18分で10〜80% B;2分で80〜100% B;2分で100% B、保持時間10.48。
【0127】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3):δ 1.36 (s, 12H, C(CH3)3), 2.62 (s, 3H, CH3), 7.89 (d, 2H, ArH), 7.92 (dd, 1H, ArH), 7.97 (d, 1H)。
工程2:3−ブロモメチル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,2,3]ジオキサボロラン−2−イル)ニトロベンゼン(12b):
3−ニトロ−6−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,2,3]ジオキサボロラン−2−イル)トルエン(11b;3.59g、13.6ミリモル)を、50mLのベンゼンを含む500mLの丸底フラスコ中に配置した。NBS(2.68g、15.0ミリモル、1.1等量)及び触媒量の2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN;84mg、0.5ミリモル)を加え、反応混合物をアルゴン流下で3.5時間還流した。更なるNBS(0.27g、1.5ミリモル、0.1等量)を加え、還流を更に2時間継続した。冷却した懸濁液を濾過し、溶媒を真空下で除去した。粗生成物を熱ヘキサンからの結晶化によって精製した。生成物(12b)が得られた(2.12g、46%)。
【0128】
構造決定:
RP-HPLC条件:HP 1100 HPLCクロマトグラフ、ガードカラムを有するWaters 3.9×150mm NovaPak HR C18カラム、注入量0.010mL、0.75mL/分、注入ループ1.500mL、検出254nm、A=水(0.1% v/v TFA)及びB=MeCN(0.1% v/v TFA)、勾配:2分で10% B;18分で10〜80% B;2分で80〜100% B;2分で100% B、保持時間12.5。
【0129】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3):δ 1.40 (s, 12H, C(CH3)3), 4.92 (s, 2H, CH2Br), 7.98 (d, 1H, ArH), 8.08 (dd, 1H, ArH), 8.22 (d, 1H, ArH)。
工程3:9−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−ニトロベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−ニトロベンジル]−N−[2−(tert−ブトキシカルボニル)エチルアミノ]メチル]アントラセン(13b):
9−[N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[2−(tert−ブトキシカルボニル)エチルアミノ]メチル]アントラセン(1;0.509g、1.04ミリモル)を、100mLの丸底フラスコ中に配置し、5mLのジメチルホルムアミド中で溶解するまで撹拌した。4−ニトロ−2−(ブロモメチル)フェニルボロン酸ピナコールエステル(12b;1.09、3.19ミリモル、3等量)及びDIEA(1.45mL、8.38ミリモル、8等量)を加え、溶液を、油浴中、アルゴンを充填したバルーン下で80℃に2時間加熱した。DMFを真空下で除去し、ジクロロメタン(50mL)を加え、リン酸塩緩衝液(0.1Mの50mLを2回、pH7.0)で洗浄した。水溶液をジクロロメタン(25mL)で逆洗し、有機溶液を合わせてNaSO上で乾燥した。真空下で有機物質を除去し、得られた赤黄色の油状物を、沸騰ヘキサン(それぞれ50mL)を用いて2回粉砕して黄褐色の粉末を得た。沸騰80/20酢酸エチル/IPAを用いて粉砕することによって、145mgの純粋な生成物が黄褐色の粉末として得られた。より純粋な生成物(400mg)が冷酢酸エチル/IPAから沈殿し、これらの純粋な固体を合わせた。
【0130】
構造決定:
RP-HPLC条件:HP 1100 HPLCクロマトグラフ、ガードカラムを有するWaters 3.9×150mm NovaPak HR C18カラム、注入量0.010mL、0.75mL/分、注入ループ1.500mL、検出254nm、A=水(0.1% v/v TFA)及びB=MeCN(0.1% v/v TFA)、勾配:2分で10% B;18分で10〜80% B;2分で80〜100% B;2分で100% B、保持時間16.0分。
【0131】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3):δ 1.32 (s, 12H, 0-C(CH3)2C(CH3)2, C-O), 1.36 (s, 21H, 0-C(CH3)2C(CH3)2, C-O + t-ブチル), 1.65 (s, 3H, O=C-C(CH2)CH3), 1.75 (m, 2H, N-CH2CH2CH2-N), 2.55 (t, 2H), 2.59 (t, 2H), 3.0 (t, 2H), 3.15 (m, 2H), 3.96 (s, 2H), 4.05 (s, 2H), 4.48 (s, 2H), 4.55 (s, 2H), 5.04 (s, 1H), 5.08 (s, 1H), 5.25 (br, 1H), 7.44-7.52 (m, 4H, ArH), 7.64 (d, 1H), 7.76 (dd, 1H, ArH), 7.80 (d, 1H), 7.92 (dd, 1H), 7.96 (d, 1H, ArH), 8.25 (d, 1H, ArH), 8.36-8.44 (m, 4H, ArH)。
【0132】
工程4:9−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−ニトロベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−ニトロベンジル]−N−[2−(カルボキシエチル)アミノ]メチル]アントラセンナトリウム塩(14b):
9−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−ニトロベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−ニトロベンジル]−N−[2−(tert−ブトキシカルボニル)エチルアミノ]メチル]アントラセン(13b;0.499g、0.493ミリモル)を、10mLの60:40のCHCl:TFA溶液中に溶解し、1晩撹拌した。溶媒を真空下で除去し、残留生成物を20mLのCHCl中に溶解し、次に溶媒を真空下で除去した。生成物が黄色の粉末になるまでジクロロメタンへの溶解/蒸発処理を更に4回繰り返した。粉末を20mLのジクロロメタン中に溶解し、温度が5℃より低く保持されるような速度で80mLのNaHCO冷飽和水溶液中に滴加した。溶液を<5℃において更に5分間撹拌した。層分配を助けるために更なるジクロロメタン(50mL)を加えた。有機抽出物を無水NaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮して157mgの黄色の粉末を得た。この粗生成物を10mLの無水CHCl中に溶解し、100mLの丸底フラスコに移した。PS−DEAMビーズ(0.10g)を加え、隔膜でフラスコを密封し、アルゴンでフラッシュし、反応混合物を雰囲気温度において16時間振盪した。ビーズを濾過し、ジクロロメタン(2×10mL)で洗浄した。有機溶液を合わせて真空下で濃縮した。純粋な生成物(0.125mg、26%)が黄色の粉末として得られた。
【0133】
構造決定:
RP-HPLC条件:RP-HPLC条件:HP 1100 HPLCクロマトグラフ、ガードカラムを有するWaters 3.9×150mm NovaPak HR C18カラム、注入量0.010mL、0.75mL/分、注入ループ1.500mL、検出254nm、A=水(0.1% v/v TFA)及びB=MeCN(0.1% v/v TFA)、勾配:2分で10% B;18分で10〜80% B;2分で80〜100% B;2分で100% B、保持時間13.7分。
【0134】
実施例15:
4−トリフルオロメチルスルホン指示薬の合成:9−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−(トリフルオロメチルスルホニル)ベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−(トリフルオロメチルスルホニル)ベンジル]−N−[2−(カルボキシエチル)アミノ]メチル]アントラセンナトリウム塩(21):
工程1:4−ブロモ−3−メチルベンゼンスルホニルフルオリド(16):
4−ブロモ−3−メチルベンゼンスルホニルクロリド(15;9.87g、36.6ミリモル)、無水フッ化カリウム(8.50g、146ミリモル、4等量)、及び18−クラウン−6(0.299g、1.13ミリモル、0.03等量)を無水アセトニトリル(20mL)中で、HPLCによって出発物質の生成物への完全な転化が示される時点まで、1晩撹拌した。反応混合物に水(100mL)を加え、生成物を油状物として分離した。水溶液をデカントし、次にヘキサン(50mL)で抽出した。油状物をヘキサン抽出物中に溶解し、NaSO上で乾燥し、溶媒を真空下で除去した。ワックス状の白色の固体(8.08g、87%)が単離された。融点=47〜48℃。
【0135】
構造決定:
RP-HPLC条件:HP 1100 HPLCクロマトグラフ、Waters 4.6×100mm Symmetry 3.5μC18カラム(Sentry C18ガードカラムを有する)、注入量0.010mL(1% v/vのTFAを有する60/40の水/MeCN中に試料を溶解)、0.100mLの注入ループ、1.50mL/分、検出254nm、A=水(0.1% TFA)及びB=MeCN(0.1% v/v TFA)、勾配:1分で10% B;9分で10〜80% B;1分で80〜100% B;1分で100% B、保持時間10.5分。
【0136】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3):δ 2.5 (s, 3H) , 7.68 (dd, 1H), 7.80 (d, 1H) , 7.86 (d, 1H)。
工程2:6−ブロモ−3−(トリフルオロメチルスルホニル)トルエン(17):
添加漏斗を取り付け、およそ5℃に冷却したオーブン乾燥2口フラスコ内において、TASF(0.61g、2.2ミリモル)を無水ペンタン(40mL)中に懸濁した。ペンタン(40mL)中に溶解した4−ブロモ−3−メチルベンゼンスルホニルフルオリド(16;5.00g、19.8ミリモル)を加え、懸濁液中に温度計を挿入した。反応温度が4〜5℃の間の保持されるように、ペンタン(20mL)中に溶解したトリメチルトリフルオロメチルシラン(TFM−TMS;6.4mL、41ミリモル、2.1等量)を添加漏斗によって懸濁液に滴加した。懸濁液を暖めながら撹拌を5時間継続した。明澄な溶液を褐色の固体からデカントし、これを水(100mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥し、濾過し、溶媒を真空下で除去した。黄色の油状物(5.35g、89%)が単離され、これを次に静置することによって結晶化(針状結晶)させた。
【0137】
構造決定:
RP-HPLC条件:HP 1100 HPLCクロマトグラフ、Waters 4.6×100mm Symmetry 3.5μC18カラム(Sentry C18ガードカラムを有する)、注入量0.010mL(1% v/vのTFAを有する60/40の水/MeCN中に試料を溶解)、0.100mLの注入ループ、1.50mL/分、検出254nm、A=水(0.1% TFA)及びB=MeCN(0.1% v/v TFA)、勾配:1分で10% B;9分で10〜80% B;1分で80〜100% B;1分で100% B、保持時間11.0分。
【0138】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3):δ 2.55 (s, 3H), 7.70 (dd, 1H), 7.85 (d, 1H) , 7.7 (d, 1H)。
工程3:2−メチル−4−(トリフルオロメチルスルホニル)フェニルボロン酸ピナコールエステル(18):
250mLの丸底フラスコに、酢酸カリウム(5.0g、50ミリモル)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(0.373g、0.51ミリモル)、及びビス(ピナコラート)ジボロン(5.2g、20ミリモル)を充填し、Nでフラッシュした。無水DMF(100mL)中の6−ブロモ−3−(トリフルオロメチルスルホニル)トルエン(17;5.0g、16ミリモル)を加え、懸濁液をN下で80℃に24時間加熱した。溶媒を真空下で除去し、得られたスラリーを、95/5のヘキサン/酢酸エチル(500mL)によってシリカゲル60(60g)下に溶出した。溶媒を除去することによって、6.1gの粗生成物が白色のワックス状固体として得られた。ヘキサンからの再結晶によって3.78g(68%)の白色の結晶が得られ、第2の群から更に0.44gが単離された。
【0139】
構造決定:
RP-HPLC条件:HP 1100 HPLCクロマトグラフ、Waters 4.6×100mm Symmetry 3.5μC18カラム(Sentry C18ガードカラムを有する)、注入量0.010mL(1% v/vのTFAを有する60/40の水/MeCN中に試料を溶解)、0.100mLの注入ループ、1.50mL/分、検出254nm、A=水(0.1% TFA)及びB=MeCN(0.1% v/v TFA)、勾配:1分で10% B;9分で10〜80% B;1分で80〜100% B;1分で100% B、保持時間8.0分。
【0140】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3):δ 1.37 (s, 12H), 2.62 (s, 3H), 7.80 (m, 2H) , 8.00 (d, 1H)。
FAB MS (mNBA): 351 (M+H)+, 335 (M-15)+
【0141】
工程4:2−ブロモメチル−4−(トリフルオロメチルスルホニル)フェニルボロン酸ピナコールエステル(19):
2−メチル−4−(トリフルオロメチルスルホニル)フェニルボロン酸ピナコールエステル(18;3.60g、10.3ミリモル)、N−ブロモスクシンイミド(1.92g、10.8ミリモル、1.04等量)、及びAIBN(25mg、0.15ミリモル、0.015等量)を、75Wの白熱電球で照射しながら還流CCl(70mL)中で5時間加熱した。次に溶液を室温に到達させ、重量濾過し、溶媒を真空下で除去した。粗生成物を、ヘキサン中0、5、及び次に10%の酢酸エチルによって溶出してシリカゲル上で精製し、若干のジブロミド及び18と混合している19を黄色の油状物として単離した(2.65g、60%)。
【0142】
構造決定:
RP-HPLC条件:HP 1100 HPLCクロマトグラフ、Waters 4.6×100mm Symmetry 3.5μC18カラム(Sentry C18ガードカラムを有する)、注入量0.010mL(1% v/vのTFAを有する60/40の水/MeCN中に試料を溶解)、0.100mLの注入ループ、1.50mL/分、検出254nm、A=水(0.1% TFA)及びB=MeCN(0.1% v/v TFA)、勾配:1分で10% B;9分で10〜80% B;1分で80〜100% B;1分で100% B、保持時間8.7分。
【0143】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3):δ 1.37 (s, 12H), 4.92 (s, 2H), 7.96 (dd, 1H), 8.02 (d, 1H), 8.08 (d, 1H)。
工程5:9−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−(トリフルオロメチルスルホニル)ベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−(トリフルオロメチルスルホニル)ベンジル]−N−[2−(tert−ブトキシカルボニル)エチルアミノ]メチル]アントラセン(20):
9−[N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[2−(tert−ブトキシカルボニル)エチルアミノ]メチル]アントラセン(1;0.706g、1.44ミリモル)、2−ブロモメチル−4−(トリフルオロメチルスルホニル)フェニルボロン酸ピナコールエステル(19;2.11g)、及びDIEA(4.5mL、26ミリモル)を無水DMF(12mL)中に溶解し、N流下、室温において撹拌した。26時間後、溶媒を真空中で除去した。残留生成物を30mLのジクロロメタン中に溶解し、30mLのリン酸塩緩衝液(0.1M、pH7.0)で2回洗浄した。ジクロロメタン溶液をNaSO上で乾燥し、濾過し、真空中で蒸発させることによって橙色の油状物が得られた。この粗生成物を、ヘキサン(10mL)を用いて粉砕し、次に最小量のIPA中に溶解し、溶液が曇り始めるまでヘキサンを加えた。溶媒を真空下で除去すると、黄色の粉末が残留した(1.93g、95%)。
【0144】
構造決定:
RP-HPLC条件:HP 1100 HPLCクロマトグラフ、Waters 4.6×100mm Symmetry 3.5μC18カラム(Sentry C18ガードカラムを有する)、注入量0.010mL(1% v/vのTFAを有する70/30の水/MeCN中に試料を溶解)、0.100mLの注入ループ、0.75mL/分、検出254nm、A=水(0.1% TFA)及びB=MeCN(0.1% v/v TFA)、勾配:2分で10% B;18分で10〜80% B;2分で80〜100% B;2分で100% B、保持時間17.4分。
【0145】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3):δ 1.30 (s, 12H), 1.32 (s, 12H), 1.34 (s, 9H), 1.63 (s, 3H), 1.78-1.81 (m, 2H), 2.55-2.61 (m, 4H), 2.96 (t, 2H), 3.15 (m, 2H), 3.98 (s, 2H), 4.05 (s, 2H), 4.54 (s, 2H), 4.56 (s, 2H), 5.10 (bs, 1H), 5.12 (s, 1H), 5.30 (bt, 1H), 7.49-7.52 (m, 4H), 7.68 (dd, 1H), 7.80 (m, 2H), 7.84 (d, 1H), 7.94 (s, 1H), 8,18 (s, 1H), 8.40-8.42 (m, 4H)。
【0146】
ESI-MS (TFA/アセトニトリル/水): 1004.2 (M-H2O+H)+, 1006.2 (M-H2O+Na)+:ビスボロン酸について。この分析の酸性条件下ではボロン酸エステルは観察されない。
工程6:9−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−(トリフルオロメチルスルホニル)ベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−(トリフルオロメチルスルホニル)ベンジル]−N−[2−(カルボキシエチル)アミノ]メチル]アントラセンナトリウム塩(21):
9−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−(トリフルオロメチルスルホニル)ベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−(トリフルオロメチルスルホニル)ベンジル]−N−[2−(tert−ブトキシカルボニル)エチルアミノ]メチル]アントラセン(20;1.00g、843ミリモル)を、N散布試薬から調製した30mLの60:40のCHCl:TFA溶液中に溶解した。反応混合物を雰囲気温度において22時間撹拌し、次に溶媒を真空下で除去した。残留生成物を30mLのCHCl中に溶解し、次に溶媒を真空下で除去した。生成物が黄色の粉末になるまで、ジクロロメタンへの溶解/蒸発処理を更に4回繰り返した。粉末を30mLのジクロロメタン中に溶解し、温度が5℃より低く保持されるような速度で60mLのNaHCO氷冷飽和水溶液中に滴加した。溶液を<5℃において更に5分間撹拌し、次に層分配を行った。有機層を無水NaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮して0.58g(60%)の生成物を黄色の粉末として得た。
【0147】
構造決定:
RP-HPLC条件:HP 1100 HPLCクロマトグラフ、Waters 4.6×100mm Symmetry 3.5μC18カラム(Sentry C18ガードカラムを有する)、注入量0.010mL(1% v/vのTFAを有する70/30の水/MeCN中に試料を溶解)、0.100mLの注入ループ、0.75mL/分、検出254nm、A=水(0.1% TFA)及びB=MeCN(0.1% v/v TFA)、勾配:2分で10% B;18分で10〜80% B;2分で80〜100% B;2分で100% B、保持時間15.5分。
【0148】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3):δ 1.32 (s, 12H), 1,35 (s, 12H), 1.69-1.72 (m, 5H), 2.41 (t, 2H), 2.53 (t, 2H), 2.89 (t, 2H), 3.03 (dd, 2H), 4.07 (s, 2H), 4.23 (s, 2H), 4.54 (s, 2H), 4.60 (s, 2H), 5.09 (s, 1H), 5.26 (s, 1H), 5.56 (m, 1H), 7.45-7.49 (m, 4H), 7.82 (m, 2H), 7.91 (m, 1H), 7.98 (d, 1H), 8.10-8.16 (m, 4H), 8.39 (m, 2H)。
【0149】
ESI-MS (TFA/アセトニトリル/水): 948.0 (M-H2O+H)+, 970.0 (M-H2O+Na)+:ビスボロン酸について。この分析の酸性条件下ではボロン酸エステルは観察されない。
実施例16:
3,5−ジクロロ指示薬の合成:9−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−2,4−(ジクロロ)ベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−2,4−(ジクロロ)ベンジル]−N−[2−(カルボキシエチル)アミノ]メチル]アントラセンナトリウム塩(4i):
工程1:9−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−2,4−(ジクロロ)ベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−2,4−(ジクロロ)ベンジル]−N−[2−(tert−ブトキシカルボニル)エチルアミノ]メチル]アントラセン(3i):
9−[N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[2−(tert−ブトキシカルボニル)エチルアミノ]メチル]アントラセン(1;0.40g、0.82ミリモル)を、100mLの丸底フラスコ中に配置し、10mLのジメチルホルムアミド中で溶解するまで撹拌した。6−(ブロモメチル)−3,5−ジクロロフェニルボロン酸ピナコールエステル(2i;0.83g、2.3ミリモル、2.4等量)及びDIEA(1.14mL、6.6ミリモル、8.0等量)を加え、N下、暗所において室温で24時間撹拌した。真空下でDMFを除去し、ジクロロメタン(30mL)を加え、リン酸塩緩衝液(0.1Mの50mL、pH7.0)で洗浄した。回収されたジクロロメタン溶液をNaSO上で乾燥した。ジクロロメタンを真空下で除去し、得られた黄色の泡沫状残渣を、Nの緩流下でヘキサン(10mL)を用いて15分間粉砕した。粗生成物(1.02g)を熱IPAから結晶化させて黄色の粉末(3i;0.38g、収率44%)を得た。
【0150】
構造決定:
RP-HPLC条件:HP 1100 HPLCクロマトグラフ、ガードカラムを有するWaters 3.9×150mm NovaPak HR C18カラム、注入量0.010mL、1.5mL/分、注入ループ1.500mL、検出254nm、A=水(0.1% v/v TFA)及びB=MeCN(0.1% v/v TFA)、勾配:1分で10% B;9分で10〜80% B;1分で80〜100% B;1分で100% B、保持時間8.7分。
【0151】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3):δ 1.23 (s, 9H), 1.32 (s, 12H), 1.37 (s, 12H), 1.41 (bs, 3H), 1.52 (m, 2H), 2.36 (t, 2H), 2.48 (t, 2H), 2.76 (t, 2H), 2.89 (q, 2H), 4.12 (s, 2H), 4.16 (s, 2H), 4.37 (s, 2H), 4.43 (s, 2H), 4.56 (t, 1H), 4.67 (s, 1H), 4.82 (t, 1H), 7.36 (m, 4H), 7.48 (d, 1H), 7.56 (d, 1H), 7.76 (t, 2H), 8.17 (m, 2H), 8.24 (m, 2H)。
【0152】
工程2:9−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−2,4−(ジクロロ)ベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−2,4−(ジクロロ)ベンジル]−N−[2−(カルボキシエチル)アミノ]メチル]アントラセンナトリウム塩(4i):
9−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−2,4−(ジクロロ)ベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−2,4−(ジクロロ)ベンジル]−N−[2−(tert−ブトキシカルボニル)エチルアミノ]メチル]アントラセン(3i;0.38g、0.36ミリモル)を50mLの丸底フラスコ中に配置し、10mLの60:40のCHCl:TFA溶液中に溶解した。反応混合物を雰囲気温度において1晩撹拌した。20時間後、溶媒を真空下で除去した。残留生成物を10mLのCHCl中に溶解し、次に真空下で溶媒を除去した。生成物が黄色の粉末になるまで、ジクロロメタンへの溶解/蒸発処理を繰り返した。粉末を30mLのジクロロメタン中に溶解し、温度が5℃より低く保持されるような速度で、50mLのNaHCO冷飽和水溶液中に滴加した。溶液を<5℃で更に5分間撹拌し、次に層分配を行った。有機層を無水NaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮して黄色の粉末を得た。この粗生成物を15mLの無水CHCl中に溶解し、100mLの丸底フラスコに移した。PS−DEAMビーズ(0.2g、1等量)をフラスコに加え、反応混合物を雰囲気温度において16時間振盪した。ビーズを濾過し、10mLのジクロロメタンで洗浄した。有機溶液を合わせて真空下で濃縮した。純粋な生成物(0.19g、収率52%)が黄色の粉末として得られた。
【0153】
構造決定:
RP-HPLC条件:HP 1100 HPLCクロマトグラフ、ガードカラムを有するWaters 3.9×150mm NovaPak HR C18カラム、注入量0.010mL、1.5mL/分、注入ループ1.500mL、検出254nm、A=水(0.1% v/v TFA)及びB=MeCN(0.1% v/v TFA)、勾配:1分で10% B;9分で10〜80% B;1分で80〜100% B;1分で100% B、保持時間7.9分。
【0154】
ESI-MS (TFA/アセトニトリル/水): 822.11 (M-H2O+H)+:ビスボロン酸について。この分析の酸性条件下ではボロン酸エステルは観察されない。
実施例17:
3,5−ビス(トリフルオロメチル)指示薬の合成:9−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−2,4−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−2,4−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−N−[2−(カルボキシエチル)アミノ]メチル]アントラセンナトリウム塩(27a):
工程1:2−ブロモ−4,6−ビス(トリフルオロメチル)トルエン(23a):
2,4−ビス(トリフルオロメチル)トルエン(22a;12.7g、56ミリモル)を丸底フラスコ中に配置した。次に、28mLのTFA及び7.8mLのHSO(TFAの量の28%)を加えた。NBS(10.0g、56ミリモル、1等量)を反応混合物に少しずつ加えた。雰囲気温度において反応を2日間進行させた。48時間後、反応を終了した。反応混合物を氷冷水(200mL)に注ぎ入れ、EtOで抽出することによって有機層(油状の残渣)を水層から分離した。エーテル層をNaHCO飽和水溶液で洗浄し、次に層を分離した。有機層を回収し、NaSO上で乾燥し、溶媒を除去した。純粋な生成物(13.1g、収率77%)が僅かに黄色の油状物として回収された。
【0155】
構造決定:
RP-HPLC条件:HP 1100 HPLCクロマトグラフ、ガードカラムを有するWaters 3.9×150mm NovaPak HR C18カラム、注入量0.010mL、1.5mL/分、注入ループ1.500mL、検出254nm、A=水(0.1% v/v TFA)及びB=MeCN(0.1% v/v TFA)、勾配:1分で10% B;9分で10〜80% B;1分で80〜100% B;1分で100% B、保持時間12.3分。
【0156】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3):δ 2.54 (s, 3H), 7.64 (s, 1H), 8.00 (s, 1H)。
工程2:2−メチル−3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸ピナコールエステル(24a):
2−ブロモ−4,6−ビス(トリフルオロメチル)トルエン(23a;10.0g、30ミリモル)を丸底フラスコ中に配置し、200mLのDMF中に溶解した。次に、KOAc(8.8g、90ミリモル、3等量)を反応混合物に1回で加え、次にPdCl(dppf)(0.66g、0.9ミリモル、0.03等量)及びビス(ピナコラート)ジボロン(10.2g、45ミリモル、1.5等量)を加えた。溶液を80℃において24時間撹拌した。次に、溶媒を除去し、黒色の残渣をプラグカラムクロマトグラフィー(DCM)にかけて暗緑色の油状残渣を得た。この化合物を第2のカラムクロマトグラフィー(2%MeOH/DCM)によって更に精製した。純粋な生成物(8.7g、76%)が僅かに緑色の油状物として回収された。
【0157】
構造決定:
RP-HPLC条件:HP 1100 HPLCクロマトグラフ、ガードカラムを有するWaters 3.9×150mm NovaPak HR C18カラム、注入量0.010mL、1.5mL/分、注入ループ1.500mL、検出254nm、A=水(0.1% v/v TFA)及びB=MeCN(0.1% v/v TFA)、勾配:1分で10% B;9分で10〜80% B;1分で80〜100% B;1分で100% B、保持時間9.1分(ボロン酸について)及び12.8分(ピナコールエステルについて)。
【0158】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3):δ 1.36 (s, 12H), 2.75 (s, 3H), 7.90 (s, 1H) , 8.16 (s, 1H)。
工程3:2−(ブロモメチル)−3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸ピナコールエステル(25a):
2−メチル−3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸ピナコールエステル(24a;2.0g、5.6ミリモル)及び50mLのCClを250mLの丸底フラスコ中に配置した。NBS(1.05、5.88ミリモル、1.05等量)及びAIBN(0.013g、0.078ミリモル、0.014等量)を加え、反応混合物を75Wの白熱電球の存在下で3時間還流した。3時間後、溶液を室温に冷却してスクシンイミドを沈殿させた。固体を濾別した。溶媒を除去し、油状の生成物を回収した。この粗生成物を、ヘキサンを用いて粉砕することによって精製して、純度90%の生成物(25a;2.2g、収率90%)を得た。
【0159】
構造決定:
RP-HPLC条件:HP 1100 HPLCクロマトグラフ、ガードカラムを有するWaters 3.9×150mm NovaPak HR C18カラム、注入量0.010mL、1.5mL/分、注入ループ1.500mL、検出254nm、A=水(0.1% v/v TFA)及びB=MeCN(0.1% v/v TFA)、勾配:1分で10% B;9分で10〜80% B;1分で80〜100% B;1分で100% B、保持時間9.7分(ボロン酸について)及び12.9分(ピナコールエステルについて)。
【0160】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3):δ 1.41 (s, 12H), 5.08 (s, 2H), 7.94 (s, 1H) , 8.24 (s, 1H)。
工程4:9−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−2,4−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−2,4−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−N−[2−(tert−ブトキシカルボニル)エチルアミノ]メチル]アントラセン(26a):
9−[N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[2−(tert−ブトキシカルボニル)エチルアミノ]メチル]アントラセン(1;0.8g、1.6ミリモル)を、250mLの丸底フラスコ中に配置した。これを15mLの脱気ジメチルホルムアミド中に溶解した。2−(ブロモメチル)−3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸ピナコールエステル(25a;1.66、3.8ミリモル、2.4等量)を5mLのN散布DMF中に溶解し、反応フラスコに加えた。溶液を撹拌し、Nで5分間フラッシュした。DIEA(2.2mL、12.8ミリモル、8.0等量)を反応混合物に加え、溶液を、窒素の緩流下、暗所において雰囲気温度で4晩撹拌した。96時間後、反応を60℃において4.5時間継続した。次に、反応混合物を冷却し、溶媒を真空中で除去した。残留生成物を50mLのジクロロメタン中に溶解し、70mLのリン酸塩緩衝液(0.1M、pH7.0)で2回抽出した。ジクロロメタン溶液を乾燥し、真空中で蒸発させて、褐色がかった油状の残渣を得た。この粗生成物を、ヘキサン(15mL)を用いて30分間粉砕した。回収された黄色の粉末を熱IPAから結晶化して純粋な生成物を得た(26a;1.2g、収率59%)。
【0161】
構造決定:
RP-HPLC条件:HP 1100 HPLCクロマトグラフ、ガードカラムを有するWaters 3.9×150mm NovaPak HR C18カラム、注入量0.010mL、1.5mL/分、注入ループ1.500mL、検出254nm、A=水(0.1% v/v TFA)及びB=MeCN(0.1% v/v TFA)、勾配:1分で10% B;9分で10〜80% B;1分で80〜100% B;1分で100% B、保持時間10.8分。
【0162】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3):δ 1.23 (s, 9H), 1.32 (s, 12H), 1.36 (s, 12H), 1.74 (s, 5H), 2.31 (t, 2H), 2.8 (m, 5H), 2.88 (t, 2H), 4.08 (s, 2H), 4.16 (s, 2H), 4.47 (s, 2H), 4.76 (s, 2H), 5.12 (s, 1H), 5.32 (s, 1H), 7.44 (m, 4H), 7.88 (s, 1H), 7.96 (s, 1H), 8.08 (m, 2H), 8.14 (m, 2H), 8.20 (s, 1H), 8.29 (s, 1H)。
【0163】
工程5:9−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−2,4−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−2,4−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−N−[2−(カルボキシエチル)アミノ]メチル]アントラセンナトリウム塩(27a):
9−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−2,4−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−2,4−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−N−[2−(tert−ブトキシカルボニル)エチルアミノ]メチル]アントラセン(26a;0.013g、0.011ミリモル)を50mLの丸底フラスコ中に配置し、5mLの脱気した60:40のCHCl:TFA溶液中に溶解した。反応混合物を雰囲気温度において19時間撹拌した。残留生成物を10mLのCHClで洗浄し、次に溶媒を真空下で除去した。ジクロロメタンによる洗浄を数回繰り返した。得られた油状の生成物を5mLのジクロロメタン中に溶解し、温度が5℃より低く保持されるような速度で25mLのNaHCO冷飽和水溶液中に滴加した。溶液を<5℃で更に5分間撹拌し、次に層分配を行った。有機抽出物を無水NaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮して0.012gの黄色の粉末(27a)を得た。
【0164】
構造決定:
RP-HPLC条件:HP 1100 HPLCクロマトグラフ、ガードカラムを有するWaters 3.9×150mm NovaPak HR C18カラム、注入量0.010mL、1.5mL/分、注入ループ1.500mL、検出254nm、A=水(0.1% v/v TFA)及びB=MeCN(0.1% v/v TFA)、勾配:1分で10% B;9分で10〜80% B;1分で80〜100% B;1分で100% B、保持時間9.6分。
【0165】
ESI-MS (TFA/アセトニトリル/水): 956.0 (M-H2O+H)+:ビスボロン酸について。この分析の酸性条件下ではボロン酸エステルは観察されない。
実施例18:
5−トリフルオロメチル指示薬の合成:9−[N−[2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−4−(トリフルオロメチル)ベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−4−(トリフルオロメチル)ベンジル]−N−[2−(カルボキシエチル)アミノ]メチル]アントラセンナトリウム塩(27b):
工程1:2−ブロモ−4−トリフルオロメチルトルエン(23b):
4−(トリフルオロメチル)トルエン(22b;9.0g、56ミリモル)を丸底フラスコ中に配置した。次に、20mLのTFA及び5.6mLのHSO(TFAの量の28%)を加えた。NBS(10.0g、56ミリモル、1等量)を反応混合物に少しずつ加えた。反応を雰囲気温度において1晩進行させた。20時間後に反応を終了した。反応混合物を氷冷水(100mL)に注ぎ入れ、EtOで抽出することによって有機層(油状残渣)を水層から分離した。エーテル層を回収し、NaSO上で乾燥し、溶媒を除去した。純粋な生成物(7.86g、収率59%)が僅かに黄色の油状物として回収された。
【0166】
構造決定:
RP-HPLC条件:HP 1100 HPLCクロマトグラフ、ガードカラムを有するWaters 3.9×150mm NovaPak HR C18カラム、注入量0.010mL、1.5mL/分、注入ループ1.500mL、検出254nm、A=水(0.1% v/v TFA)及びB=MeCN(0.1% v/v TFA)、勾配:1分で10% B;9分で10〜80% B;1分で80〜100% B;1分で100% B、保持時間11.7分。
【0167】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3):δ 2.45 (s, 3H), 7.34 (d, 1H), 7.50 (d, 1H) , 7.80 (s, 1H)。
工程2:6−メチル−3−(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸ピナコールエステル(24b):
2−ブロモ−4−(トリフルオロメチル)トルエン(23b;5g、21ミリモル)を丸底フラスコ中に配置し、150mLのDMF中に溶解した。次に、KOAc(6.2g、63ミリモル、3等量)を反応混合物に1回で加え、次にPdCl(dppf)(0.46g、0.63ミリモル、0.03等量)及びビス(ピナコラート)ジボロン(5.9g、23.1ミリモル、1.1等量)を加えた。溶液を80℃において48時間撹拌した。次に、溶媒を除去し、黒色の残渣をプラグカラムクロマトグラフィー(EtOAc)にかけて暗緑色の油状残渣を得た。この化合物を第2のカラムクロマトグラフィー(2%MeOH/DCM)によって更に精製した。純粋な生成物(3.5g、58%)が僅かに緑色の油状物として回収された。
【0168】
構造決定:
RP-HPLC条件:HP 1100 HPLCクロマトグラフ、ガードカラムを有するWaters 3.9×150mm NovaPak HR C18カラム、注入量0.010mL、1.5mL/分、注入ループ1.500mL、検出254nm、A=水(0.1% v/v TFA)及びB=MeCN(0.1% v/v TFA)、勾配:1分で10% B;9分で10〜80% B;1分で80〜100% B;1分で100% B、保持時間7.9分(ボロン酸について)及び12.6分(ピナコールエステルについて)。
【0169】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3):δ 1.35 (s, 12H), 2.58 (s, 3H), 7.26 (d, 1H), 7.55 (d, 1H), 8.00 (s, 1H)。
工程3:6−(ブロモメチル)−3−(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸ピナコールエステル(25b):
6−メチル−3−(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸ピナコールエステル(24b;3.0g、10ミリモル)及び60mLのCClを500mLの丸底フラスコ中に配置した。NBS(1.9、10.5ミリモル、1.05等量)及びAIBN(0.02g、0.14ミリモル、0.014等量)を加え、反応混合物を75Wの白熱電球の存在下で4.5時間還流した。4.5時間後、溶液を室温に冷却してスクシンイミドを沈殿させた。固体を濾別した。溶媒を除去し、油状の生成物を回収した。この粗生成物を、ヘキサンを用いて粉砕することによって精製して、純度80%の生成物(25b;3.6g、収率95%)を得た。
【0170】
構造決定:
RP-HPLC条件:HP 1100 HPLCクロマトグラフ、ガードカラムを有するWaters 3.9×150mm NovaPak HR C18カラム、注入量0.010mL、1.5mL/分、注入ループ1.500mL、検出254nm、A=水(0.1% v/v TFA)及びB=MeCN(0.1% v/v TFA)、勾配:1分で10% B;9分で10〜80% B;1分で80〜100% B;1分で100% B、保持時間8.7分(ボロン酸について)及び12.4分(ピナコールエステルについて)。
【0171】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3):δ 1.38 (s, 12H), 4.91 (s, 2H), 7.50 (d, 1H), 7.64 (d, 1H), 8.06 (s, 1H)。
工程4:9−[N−[2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−4−(トリフルオロメチル)ベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−4−(トリフルオロメチル)ベンジル]−N−[2−(tert−ブトキシカルボニル)エチルアミノ]メチル]アントラセン(26b):
9−[N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[2−(tert−ブトキシカルボニル)エチルアミノ]メチル]アントラセン(1;1.0g、2.0ミリモル)を、150mLの丸底フラスコ中に配置した。これを15mLの脱気ジメチルホルムアミド中に溶解した。6−(ブロモメチル)−3−(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸ピナコールエステル(25b;1.75g、4.8ミリモル、2.4等量)を5mLのN散布DMF中に溶解し、反応フラスコに加えた。溶液を撹拌し、Nで5分間フラッシュした。DIEA(2.8mL、16ミリモル、8.0等量)を反応混合物に加え、溶液を、窒素の緩流下、暗所において雰囲気温度で1晩撹拌した。24時間後、溶媒を真空中で除去した。残留生成物を10mLのジクロロメタン中に溶解し、15mLのリン酸塩緩衝液(0.1M、pH7.0)で3回抽出した。ジクロロメタン溶液を乾燥し、真空中で蒸発させて、金色の油状残渣を得た。この粗生成物を10mLのヘキサンと共に15分間撹拌し、次に溶媒を除去した。回収された黄色の粉末を熱IPAから結晶化して純粋な生成物を得た(26b;1.2g、収率55%)。
【0172】
構造決定:
RP-HPLC条件:HP 1100 HPLCクロマトグラフ、ガードカラムを有するWaters 3.9×150mm NovaPak HR C18カラム、注入量0.010mL、1.5mL/分、注入ループ1.500mL、検出254nm、A=水(0.1% v/v TFA)及びB=MeCN(0.1% v/v TFA)、勾配:1分で10% B;9分で10〜80% B;1分で80〜100% B;1分で100% B、保持時間8.1分。
【0173】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3):δ 1.29 (s, 9H), 1.31 (s, 12H), 1.35 (s, 12H), 1.55 (bs, 3H), 1.73 (m, 2H), 2.52 (m, 4H), 2.91 (t, 2H), 3.10 (q, 2H), 3.95 (s, 2H), 4.05 (s, 2H), 4.45 (s, 2H), 4.51 (s, 2H), 4.97 (s, 2H), 5.05 (t, 1H), 7.42-7.47 (m, 6H), 7.54 (d, 1H), 7.60 (d, 1H), 7.91 (s, 1H), 8.01 (s, 1H), 8.34 (m, 2H), 8.39 (m, 2H)。
【0174】
工程5:9−[N−[2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−4−(トリフルオロメチル)ベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−4−(トリフルオロメチル)ベンジル]−N−[2−(カルボキシエチル)アミノ]メチル]アントラセンナトリウム塩(27b):
9−[N−[2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−4−(トリフルオロメチル)ベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−4−(トリフルオロメチル)ベンジル]−N−[2−(tert−ブトキシカルボニル)エチルアミノ]メチル]アントラセン(26b;0.39g、0.37ミリモル)を100mLの丸底フラスコ中に配置し、20mLの脱気した60:40のCHCl:TFA溶液中に溶解した。反応混合物を雰囲気温度において23時間撹拌した。残留生成物を10mLのCHClで洗浄し、次に溶媒を真空下で除去した。ジクロロメタンによる洗浄を数回繰り返した。粉末を10mLのジクロロメタン中に溶解し、温度が5℃より低く保持されるような速度で80mLのNaHCO冷飽和水溶液中に滴加した。溶液を<5℃で更に5分間撹拌し、次に層分配を行った。有機抽出物を無水NaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮して0.33gの黄色の粉末を得た。この粗生成物を10mLの無水CHCl中に溶解し、100mLの丸底フラスコに移した。PS−DEAMビーズ(0.19g、1等量)をフラスコに加え、反応混合物を雰囲気温度において16時間振盪した。ビーズを濾過し、5mLのジクロロメタンで洗浄した。有機溶液を合わせて真空下で濃縮した。純粋な生成物(27b;0.27g、72%)が黄色の粉末として得られた。
【0175】
構造決定:
RP-HPLC条件:HP 1100 HPLCクロマトグラフ、ガードカラムを有するWaters 3.9×150mm NovaPak HR C18カラム、注入量0.010mL、1.5mL/分、注入ループ1.500mL、検出254nm、A=水(0.1% v/v TFA)及びB=MeCN(0.1% v/v TFA)、勾配:1分で10% B;9分で10〜80% B;1分で80〜100% B;1分で100% B、保持時間7.2分。
【0176】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3):δ 1.33 (s, 12H), 1.39 (s, 12H), 1.60-1.63 (m, 5H), 2.33 (t, 2H), 2.47 (t, 2H), 2.85-2.96 (m, 4H), 4.05 (s, 2H), 4.33 (s, 2H), 4.46 (s, 2H), 4.60 (s, 2H), 5.03 (s, 1H), 5.18 (s, 1H), 5.52 (bt, 1H,), 7.35-7.43 (m, 4H), 7.55-7.66 (m, 2H), 7.68 (d, 1H), 7.77-7.88 (m, 3H), 8.03 (s, 1H), 8.24 (s, 1H), 8.30 (m, 2H)。
【0177】
ESI-MS (TFA/アセトニトリル/水): 820.12 (M-H2O+H)+:ビスボロンについて。この分析の酸性条件下ではボロン酸エステルは観察されない。
実施例19:
5−フルオロ指示薬の合成:9−[N−[2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−4−フルオロベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−4−フルオロベンジル]−N−[2−(カルボキシエチル)アミノ]メチル]アントラセンナトリウム塩(32a):
工程1:3−フルオロ−6−メチルフェニルボロン酸ピナコールエステル(29a):
3−フルオロ−6−メチルフェニルボロン酸(10g、65ミリモル)及び220mLのジエチルエーテルを、丸底フラスコ中に配置した。次に、ピナコールを加え(7.68g、65ミリモル、1等量)、得られた反応混合物を、溶液が明澄になるまで数分間撹拌した。最後に、MgSO(15.6g、130ミリモル、2等量)を加え、溶液を、雰囲気温度において、Nバルーン下で1晩撹拌した。24時間後、反応を終了した。MgSOを濾別し、EtOで洗浄した。有機層を回収し、次に溶媒を除去した。純粋な生成物(15.2g、収率99%)が暗黄色の油状残渣として得られた。
【0178】
構造決定:
RP-HPLC条件:HP 1100 HPLCクロマトグラフ、ガードカラムを有するWaters 3.9×150mm NovaPak HR C18カラム、注入量0.010mL、1.5mL/分、注入ループ1.500mL、検出254nm、A=水(0.1% v/v TFA)及びB=MeCN(0.1% v/v TFA)、勾配:1分で10% B;9分で10〜80% B;1分で80〜100% B;1分で100% B、保持時間6.1分。
【0179】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3):δ 1.34 (s, 12H), 2.48 (s, 3H), 6.97 (ddd, 1H), 7.09 (dd, 1H), 7.43 (dd, 1H)。
工程2:6−(ブロモメチル)−3−フルオロフェニルボロン酸ピナコールエステル(30a):
3−フルオロ−6−メチルフェニルボロン酸ピナコールエステル(29a;5.01g、21.2ミリモル)及び140mLのCClを、500mLの丸底フラスコ中に配置した。NBS(3.97g、22.3ミリモル、1.05等量)及びAIBN(0.054g、0.33ミリモル、0.016等量)を加え、反応混合物を75Wの白熱電球の存在下で3.5時間還流した。3.5時間後、溶液を室温に冷却してスクシンイミドを沈殿させた。固体を濾別した。溶媒を除去し、油状の生成物を回収した。カラムクロマトグラフィー(95/5のヘキサン/酢酸エチル)による精製によって純粋な生成物(30a;5.59g、収率84%)が得られた。
【0180】
構造決定:
RP-HPLC条件:HP 1100 HPLCクロマトグラフ、ガードカラムを有するWaters 3.9×150mm NovaPak HR C18カラム、注入量0.010mL、1.5mL/分、注入ループ1.500mL、検出254nm、A=水(0.1% v/v TFA)及びB=MeCN(0.1% v/v TFA)、勾配:1分で10% B;9分で10〜80% B;1分で80〜100% B;1分で100% B、保持時間7.2分(遊離ボロン酸について)及び12.1分(ピナコールエステルについて)。
【0181】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3):δ 1.36 (s, 12H), 4.88 (s, 2H), 7.04-7.09 (ddd, 1H), 7.33-7.37 (dd, 1H), 7.47-7.50 (dd, 1H)。
工程3:9−[N−[2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−4−フルオロベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−4−フルオロベンジル]−N−[2−(tert−ブトキシカルボニル)エチルアミノ]メチル]アントラセン(31a):
9−[N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[2−(tert−ブトキシカルボニル)エチルアミノ]メチル]アントラセン(1;1.0g、2.04ミリモル)を、100mLの丸底フラスコ中に配置し、16mLのジメチルホルムアミド中で溶解するまで撹拌した。6−(ブロモメチル)−3−フルオロフェニルボロン酸ピナコールエステル(30a;1.96、6.22ミリモル、3.0等量)及びDIEA(2.8mL、16ミリモル、8.0等量)を加え、N下、暗所において室温で24時間撹拌した。真空下でDMFを除去し、ジクロロメタン(20mL)を加え、リン酸塩緩衝液(0.1Mの40mL、pH7.0)で洗浄した。回収されたジクロロメタン溶液をNaSO上で乾燥した。ジクロロメタンを真空下で除去し、得られた黄色の残渣を、Nの緩流下でヘキサン(10mL)を用いて15分間粉砕した。粗生成物(1.6g)を熱IPAから2回結晶化させて、HPLCによっておよそ98.6%の純度の黄色の粉末(31a;0.89g、収率45%)を得た。
【0182】
構造決定:
RP-HPLC条件:HP 1100 HPLCクロマトグラフ、ガードカラムを有するWaters 3.9×150mm NovaPak HR C18カラム、注入量0.010mL、1.5mL/分、注入ループ1.500mL、検出254nm、A=水(0.1% v/v TFA)及びB=MeCN(0.1% v/v TFA)、勾配:1分で10% B;9分で10〜80% B;1分で80〜100% B;1分で100% B、保持時間7.3分。
【0183】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3):δ 1.29 (s, 9H), 1.31 (s, 12H), 1.35 (s, 12H), 1.55 (bs, 3H), 1.72 (m, 2H), 2.54 (m, 4H), 2.92 (t, 2H), 3.09 (q, 2H), 3.95 (s, 2H), 4.03 (s, 2H), 4.47 (s, 2H), 4.51 (s, 2H), 4.96 (s, 2H), 5.05 (t, 1H), 7.42-7.46 (m, 6H), 7.54 (d, 1H), 7.60 (d, 1H), 7.90 (s, 1H), 8.01 (s, 1H), 8.32 (m, 2H), 8.38 (m, 2H)。
【0184】
工程4:9−[N−[2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−4−フルオロベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−4−フルオロベンジル]−N−[2−(カルボキシエチル)アミノ]メチル]アントラセンナトリウム塩(32a):
9−[N−[2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−4−フルオロベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−4−フルオロベンジル]−N−[2−(tert−ブトキシカルボニル)エチルアミノ]メチル]アントラセン(31a;0.79g、0.82ミリモル)を100mLの丸底フラスコ中に配置し、30mLの60:40のCHCl:TFA溶液中に溶解した。反応混合物を雰囲気温度において1晩撹拌した。24時間後、溶媒を真空下で除去した。残留生成物を10mLのCHCl中に溶解し、次に真空下で溶媒を除去した。生成物が黄色の粉末になるまで、ジクロロメタンへの溶解/蒸発処理を繰り返した。粉末を30mLのジクロロメタン中に溶解し、温度が5℃より低く保持されるような速度で、50mLのNaHCO冷飽和水溶液中に滴加した。溶液を<5℃で更に5分間撹拌し、次に層分配を行った。有機層を無水NaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮して0.7gの黄色の粉末を得た。この粗生成物を20mLの無水CHCl中に溶解し、100mLの丸底フラスコに移した。PS−DEAMビーズ(0.44g、1等量)をフラスコに加え、反応混合物を雰囲気温度において16時間振盪した。ビーズを濾過し、5mLのジクロロメタンで洗浄した。有機溶液を合わせて真空下で濃縮した。純粋な生成物(0.55g、71%)が黄色の粉末として得られた。
【0185】
構造決定:
RP-HPLC条件:HP 1100 HPLCクロマトグラフ、ガードカラムを有するWaters 3.9×150mm NovaPak HR C18カラム、注入量0.010mL、1.5mL/分、注入ループ1.500mL、検出254nm、A=水(0.1% v/v TFA)及びB=MeCN(0.1% v/v TFA)、勾配:1分で10% B;9分で10〜80% B;1分で80〜100% B;1分で100% B、保持時間6.4分。
【0186】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3):δ 1.33 (s, 12H), 1.37 (s, 12H), 1.56 (t, 2H), 1.62 (s, 3H), 2.24 (t, 2H), 2.43 (t, 2H), 2.86 (m, 2H), 4.00 (s, 2H), 4.27 (s, 2H), 4.43 (s, 2H), 4.61 (s, 2H), 4.89 (t, 1H), 5.12 (s, 1H), 5.48 (m, 1H), 7.12 (ddd, 1H), 7.29 (ddd, 1H), 7.38 (m, 4H), 7.44-7.52 (m, 2H), 7.57 (dd, 1H), 7.69 (dd, 1H), 7.83 (m, 2H), 8.24 (m, 2H)。
【0187】
実施例20:
4−クロロ指示薬の合成:9−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−クロロベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−クロロベンジル]−N−[2−(カルボキシエチル)アミノ]メチル]アントラセンナトリウム塩(32b):
工程1:4−クロロ−2−メチルフェニルボロン酸ピナコールエステル(29b):
4−クロロ−2−メチルフェニルボロン酸(5.0g、29ミリモル)及び100mLのジエチルエーテルを、丸底フラスコ中に配置した。次に、ピナコールを加え(3.43、29ミリモル、1等量)、得られた反応混合物を、溶液が明澄になるまで数分間撹拌した。最後に、MgSO(6.98、58ミリモル、2等量)を加え、溶液を、雰囲気温度において、Nバルーン下で1晩撹拌した。24時間後、反応を終了した。MgSOを濾別し、EtOで洗浄した。有機層を回収し、次に溶媒を除去した。純粋な生成物(7.2g、収率97%)が白色の粉末として得られた。
【0188】
構造決定:
RP-HPLC条件:HP 1100 HPLCクロマトグラフ、ガードカラムを有するWaters 3.9×150mm NovaPak HR C18カラム、注入量0.010mL、1.5mL/分、注入ループ1.500mL、検出254nm、A=水(0.1% v/v TFA)及びB=MeCN(0.1% v/v TFA)、勾配:1分で10% B;9分で10〜80% B;1分で80〜100% B;1分で100% B、保持時間12.6分。
【0189】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3):δ 1.33 (s, 12H), 2.50 (s, 3H), 7.14 (m, 2H) , 7.68 (d, 1H)。
工程2:2−(ブロモメチル)−4−クロロフェニルボロン酸ピナコールエステル(30b):
4−クロロ−2−メチルフェニルボロン酸ピナコールエステル(29b;7.2g、28.5ミリモル)及び100mLのCClを、500mLの丸底フラスコ中に配置した。NBS(5.3g、29.9ミリモル、1.05等量)及びAIBN(0.066g、0.399ミリモル、0.014等量)を加え、反応混合物を75Wの白熱電球の存在下で6時間還流した。6時間後、溶液を室温に冷却してスクシンイミドを沈殿させた。固体を濾別した。溶媒を除去し、生成物を回収した(30b;9.3g、収率99%)。
【0190】
構造決定:
RP-HPLC条件:HP 1100 HPLCクロマトグラフ、ガードカラムを有するWaters 3.9×150mm NovaPak HR C18カラム、注入量0.010mL、1.5mL/分、注入ループ1.500mL、検出254nm、A=水(0.1% v/v TFA)及びB=MeCN(0.1% v/v TFA)、勾配:1分で10% B;9分で10〜80% B;1分で80〜100% B;1分で100% B、保持時間8.05分(遊離ボロン酸について)及び12.4分(ピナコールエステルについて)。
【0191】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3):δ 1.36 (s, 12H), 4.85 (s, 2H), 7.24-7.28 (m, 1H), 7.58 (d, 1H), 7.74 (d, 1H)。
工程3:9−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−クロロベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−クロロベンジル]−N−[2−(tert−ブトキシカルボニル)エチルアミノ]メチル]アントラセン(31b):
9−[N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[2−(tert−ブトキシカルボニル)エチルアミノ]メチル]アントラセン(1;1.0g、2.04ミリモル)を、100mLの丸底フラスコ中に配置し、15mLのジメチルホルムアミド中で溶解するまで撹拌した。2−(ブロモメチル)−4−クロロフェニルボロン酸ピナコールエステル(30b;1.8、4.89ミリモル、2.4等量)及びDIEA(2.78mL、16.3ミリモル、8.0等量)を加え、N下、暗所において室温で24時間撹拌した。真空下でDMFを除去し、ジクロロメタン(100mL)を加え、リン酸塩緩衝液(0.1Mの100mLを2回、pH7.0)で洗浄した。回収されたジクロロメタン溶液をNaSO上で乾燥した。ジクロロメタンを真空下で除去し、得られた黄色の残渣を、Nの緩流下でヘキサン(10mL)を用いて30分間粉砕した。粗生成物(1.9g)を熱IPAから結晶化させて明桃色の粉末(31b;1.6g、収率79%)を得た。
【0192】
構造決定:
RP-HPLC条件:HP 1100 HPLCクロマトグラフ、ガードカラムを有するWaters 3.9×150mm NovaPak HR C18カラム、注入量0.010mL、1.5mL/分、注入ループ1.500mL、検出254nm、A=水(0.1% v/v TFA)及びB=MeCN(0.1% v/v TFA)、勾配:1分で10% B;9分で10〜80% B;1分で80〜100% B;1分で100% B、保持時間7.7分。
【0193】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3):δ 1.27 (s, 9H), 1.31 (s, 12H), 1.35 (s, 12H), 1.50 (bs, 3H), 1.66 (m, 2H), 2.44 (t, 2H), 2.53 (t, 2H), 2.88 (t, 2H), 3.06 (q, 2H), 3.93 (s, 2H), 4.02 (s, 2H), 4.43 (s, 2H), 4.47 (s, 2H), 4.87 (s, 1H), 4.92 (bs, 1H), 5.00 (t, 1H), 7.09-7.15 (dd, 1H), 7.22-7.26 (dd, 1H), 7.37 (d, 1H), 7.42-7.48 (m, 4H), 7.53 (d, 1H), 7.63 (d, 1H), 7.72 (d, 1H), 8.30-8.39 (m, 4H)。
【0194】
工程4:9−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−クロロベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−クロロベンジル]−N−[2−(カルボキシエチル)アミノ]メチル]アントラセンナトリウム塩(32b):
9−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−クロロベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−クロロベンジル]−N−[2−(tert−ブトキシカルボニル)エチルアミノ]メチル]アントラセン(31b;1.0g、10.09ミリモル)を100mLの丸底フラスコ中に配置し、20mLの60:40のCHCl:TFA溶液中に溶解した。反応混合物を、雰囲気温度においてNバルーン下で1晩撹拌した。20時間後、溶媒を真空下で除去した。残留生成物を10mLのCHCl中に溶解し、次に真空下で溶媒を除去した。生成物が黄色の粉末になるまで、ジクロロメタンへの溶解/蒸発処理を繰り返した。粉末を30mLのジクロロメタン中に溶解し、温度が5℃より低く保持されるような速度で、80mLのNaHCO冷飽和水溶液中に滴加した。溶液を<5℃で更に5分間撹拌し、次に層分配を行った。有機層を無水NaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮して0.7gの黄色の粉末を得た。この粗生成物を20mLの無水CHCl中に溶解し、100mLの丸底フラスコに移した。PS−DEAMビーズ(0.42g、1等量)をフラスコに加え、反応混合物を雰囲気温度において16時間振盪した。ビーズを濾過し、5mLのジクロロメタンで洗浄した。有機溶液を合わせて真空下で濃縮した。純粋な生成物(32b;0.55g、57%)が黄色の粉末として得られた。
【0195】
構造決定:
RP-HPLC条件:HP 1100 HPLCクロマトグラフ、ガードカラムを有するWaters 3.9×150mm NovaPak HR C18カラム、注入量0.010mL、1.5mL/分、注入ループ1.500mL、検出254nm、A=水(0.1% v/v TFA)及びB=MeCN(0.1% v/v TFA)、勾配:1分で10% B;9分で10〜80% B;1分で80〜100% B;1分で100% B、保持時間6.9分。
【0196】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3):δ 1.34 (s, 12H), 1.37 (s, 12H), 1.56 (t, 2H), 1.62 (bs, 3H), 2.32 (t, 2H), 2.46 (t, 2H), 2.86 (t, 2H), 2.91 (q, 2H), 4.03 (s, 2H), 4.29 (s, 2H), 4.44 (s, 2H), 4.58 (s, 2H), 5.00 (t, 1H), 5.10 (s, 1H), 5.44 (bt, 1H), 7.24 (m, 1H), 7.40-7.46 (m, 5H), 7.53 (d, 1H), 7.60 (d, 1H), 7.74 (d, 1H), 7.84 (m, 2H), 7.96 (d, 1H) , 8.24-8.34 (m, 2H)。
【0197】
ESI-MS (TFA/アセトニトリル/水): 752.23 (M-H2O)+:ビスボロン酸について。この分析の酸性条件下ではボロン酸エステルは観察されない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ボロン酸残基を含む芳香族部分の上に1以上の電子吸引基を有するアリールボロン酸残基を有していて、1以上の電子吸引基を有しない対応する分子と比較して増加した耐酸化性を有する分子を得て;そして
(b)1以上の電子吸引基を有する分子を酸化条件にかける;
ことを含む、酸化条件下で分子を用いる方法。
【請求項2】
電子吸引基が、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ハロ置換アルキル、カルボン酸、エステル、スルホン酸、ケトン、アルデヒド、スルホンアミド、スルホン、スルホニル、スルホキシド、ハロ置換スルホン、ハロ置換アルコキシ、ハロ置換ケトン、アミド、又はこれらの組み合わせ;の1以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
芳香族部分の上に1以上の電子吸引基を有する分子が検出可能な基を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
検出可能な基がアントラセン残基を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
芳香族部分の上に1以上の電子吸引基を有する分子が、哺乳動物内に移植される装置と結合している、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
装置が生体内のグルコースの存在又は濃度を測定するものである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
芳香族部分の上に1以上の電子吸引基を有する分子が、
9−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−(トリフルオロメチル)ベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−(トリフルオロメチル)ベンジル]−N−[2−カルボキシエチル)アミノ]メチル]アントラセン(4c);
9−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−(トリフルオロメチルスルホニル)ベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−(トリフルオロメチルスルホニル)ベンジル]−N−[2−(カルボキシエチル)アミノ]メチル]アントラセン(21);
9−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−2,4−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−2,4−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−N−[2−(カルボキシエチル)アミノ]メチル]アントラセン(27a);
又はこれらの残基若しくは塩を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
酸化雰囲気中の試料中の分析対象物の存在又は濃度を検出する方法であって、
(a)ボロン酸残基を含む芳香族部分の上に1以上の電子吸引基を有するアリールボロン酸残基を含んでいて、指示薬分子が1以上の電子吸引基を有しない対応する分子と比較して増加した耐酸化性を有する、指示薬分子を分析対象物に曝露すると変化する検出可能な性質を有する指示薬分子に試料を曝露し;そして
(b)該検出可能な性質の変化を測定して、それによって該試料中の該分析対象物の存在又は濃度を測定する;
ことを含む上記方法。
【請求項9】
電子吸引基が、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ハロ置換アルキル、カルボン酸、エステル、スルホン酸、ケトン、アルデヒド、スルホンアミド、スルホン、スルホニル、スルホキシド、ハロ置換スルホン、ハロ置換アルコキシ、ハロ置換ケトン、アミド、又はこれらの組み合わせ;の1以上を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
検出可能な性質の変化が光学変化である、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
分析対象物がグルコースである、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
芳香族部分の上に1以上の電子吸引基を有する分子が、
9−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−(トリフルオロメチル)ベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−(トリフルオロメチル)ベンジル]−N−[2−カルボキシエチル)アミノ]メチル]アントラセン(4c);
9−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−(トリフルオロメチルスルホニル)ベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−(トリフルオロメチルスルホニル)ベンジル]−N−[2−(カルボキシエチル)アミノ]メチル]アントラセン(21);
9−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−2,4−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−2,4−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−N−[2−(カルボキシエチル)アミノ]メチル]アントラセン(27a);
又はこれらの残基若しくは塩を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
次式:
【化1】

(式中、
それぞれのArはアリール基であり;
それぞれのR及びRは、同一か又は異なり、電子吸引基であり;
m及びnは、それぞれ独立して、1〜10の整数であり;
は、検出可能な部分であり;そして
それぞれのRは、独立して、0〜10個の連続か又は分岐の炭素及び/又はヘテロ原子を有する結合基であり、少なくとも1つのRは重合性モノマー単位を更に含む)
の構造を有し、1以上の電子吸引基を有しない対応する化合物と比較して増加した耐酸化性を有する化合物。
【請求項14】
及びRが、それぞれ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ハロ置換アルキル、カルボン酸、エステル、スルホン酸、ケトン、アルデヒド、スルホンアミド、スルホン、スルホニル、スルホキシド、ハロ置換スルホン、ハロ置換アルコキシ、ハロ置換ケトン、アミド、又はこれらの組み合わせ;の1以上を含む、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
がアントラセン残基を含む、請求項13に記載の化合物。
【請求項16】
化合物が、
9−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−(トリフルオロメチル)ベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−(トリフルオロメチル)ベンジル]−N−[2−カルボキシエチル)アミノ]メチル]アントラセン(4c);
9−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−(トリフルオロメチルスルホニル)ベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−(トリフルオロメチルスルホニル)ベンジル]−N−[2−(カルボキシエチル)アミノ]メチル]アントラセン(21);
9−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−2,4−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−2,4−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−N−[2−(カルボキシエチル)アミノ]メチル]アントラセン(27a);
又はこれらの残基若しくは塩を含む、請求項13に記載の化合物。
【請求項17】
次式:
【化2】

(式中、
それぞれのArはフェニル以外のアリール基であり;
それぞれのR及びRは、同一か又は異なり、電子吸引基であり;
m及びnは、それぞれ独立して、1〜10の整数であり;
は、検出可能な部分であり;そして
それぞれのRは、独立して、0〜10個の連続か又は分岐の炭素及び/又はヘテロ原子を有する結合基であり、少なくとも1つのRは固体支持体又はポリマーマトリクスに結合することのできる結合基を更に含む)
の構造を有し、1以上の電子吸引基を有しない対応する化合物と比較して増加した耐酸化性を有する化合物。
【請求項18】
及びRが、それぞれ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ハロ置換アルキル、カルボン酸、エステル、スルホン酸、ケトン、アルデヒド、スルホンアミド、スルホン、スルホニル、スルホキシド、ハロ置換スルホン、ハロ置換アルコキシ、ハロ置換ケトン、アミド、又はこれらの組み合わせ;の1以上を含む、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
がアントラセン残基を含む、請求項17に記載の化合物。
【請求項20】
酸化雰囲気中の分析対象物の存在又は濃度を検出するための指示薬巨大分子を製造する方法であって、
(a)個々は、水性雰囲気中において該分析対象物の存在又は濃度を検出するために用いることが可能であるほど十分には水溶性でなく、次式:
【化3】

(式中、
それぞれのArはアリール基であり;
それぞれのR及びRは、同一か又は異なり、電子吸引基であり;
m及びnは、それぞれ独立して、1〜10の整数であり;
は、検出可能な部分であり;そして
それぞれのRは、独立して、0〜10個の連続か又は分岐の炭素及び/又はヘテロ原子を有する結合基であり、少なくとも1つのRは重合性モノマー単位を更に含む)
の構造を有する化合物を含む1種類以上の指示薬成分モノマー;及び
(b)1種類以上の親水性モノマー;
を共重合して、得られる巨大分子が水性雰囲気中で該分析対象物の存在又は濃度を検出することができるようにする;
ことを含み、該化合物は、1以上の電子吸引基を有しない対応する化合物と比較して増加した耐酸化性を有する、上記方法。
【請求項21】
及びRが、それぞれ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ハロ置換アルキル、カルボン酸、エステル、スルホン酸、ケトン、アルデヒド、スルホンアミド、スルホン、スルホニル、スルホキシド、ハロ置換スルホン、ハロ置換アルコキシ、ハロ置換ケトン、アミド、又はこれらの組み合わせ;の1以上を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
がアントラセン残基を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
化合物が、
9−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−(トリフルオロメチル)ベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−(トリフルオロメチル)ベンジル]−N−[2−カルボキシエチル)アミノ]メチル]アントラセン(4c);
9−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−(トリフルオロメチルスルホニル)ベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−3−(トリフルオロメチルスルホニル)ベンジル]−N−[2−(カルボキシエチル)アミノ]メチル]アントラセン(21);
9−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−2,4−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−N−[3−(メタクリルアミド)プロピルアミノ]メチル]−10−[N−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラノ)−2,4−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−N−[2−(カルボキシエチル)アミノ]メチル]アントラセン(27a);
又はこれらの残基若しくは塩を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
次式:
【化4】

(式中、
Arはアリール基であり;
それぞれのRは、同一か又は異なり、電子吸引基であり;
nは、1〜10の整数であり;そして
Rは、0〜10個の連続か又は分岐の炭素及び/又はヘテロ原子を有する結合基であり、結合基は重合性モノマー単位及び検出可能な部分を更に含む)
の構造を有し、1つ又は複数の電子吸引基を有しない対応する化合物と比較して増加した耐酸化性を有する化合物。
【請求項25】
が、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ハロ置換アルキル、カルボン酸、エステル、スルホン酸、ケトン、アルデヒド、スルホンアミド、スルホン、スルホニル、スルホキシド、ハロ置換スルホン、ハロ置換アルコキシ、ハロ置換ケトン、アミド、又はこれらの組み合わせ;の1以上を含む、請求項24に記載の化合物。
【請求項26】
検出可能な部分がアントラセン残基を含む、請求項24に記載の化合物。
【請求項27】
次式:
【化5】

(式中、
Arはアリール基であり;
それぞれのRは、同一か又は異なり、電子吸引基であり;
nは、1〜10の整数であり;そして
Rはクロマトグラフィー担体への結合基であり、該結合基は0〜10個の連続か又は分岐の炭素及び/又はヘテロ原子を有する)
の構造を有し、1つ又は複数の電子吸引基を有しない対応する化合物と比較して増加した耐酸化性を有する化合物。
【請求項28】
が、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ハロ置換アルキル、カルボン酸、エステル、スルホン酸、ケトン、アルデヒド、スルホンアミド、スルホン、スルホニル、スルホキシド、ハロ置換スルホン、ハロ置換アルコキシ、ハロ置換ケトン、アミド、又はこれらの組み合わせ;の1以上を含む、請求項27に記載の化合物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−83658(P2013−83658A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−267853(P2012−267853)
【出願日】平成24年12月7日(2012.12.7)
【分割の表示】特願2009−539358(P2009−539358)の分割
【原出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(501078166)センセオニクス,インコーポレーテッド (17)
【Fターム(参考)】