説明

耐震用アジャスタ、事務機器、及び家具

【課題】支持解除を容易に行うことができ、被支持体の移動作業を円滑に進めることができるようにする。
【解決手段】耐震用アジャスタ10は、ネジ軸20、ベース部材30、及び滑り止め部材40を備える。ネジ軸20は、ボルト部21及び操作部22を有する。ボルト部21は、脚部5に形成されたネジ孔部6Aに、長手方向の第1端部を下方からねじ込まれる。ベース部材30は、ボルト部21の長手方向の第2端部を分離自在に下方から支持する。滑り止め部材40は、ベース部材30の下面に貼り付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、事務機器や家具等の被支持体の、水平度調整及び高さ調整、並びに地震等の振動による予期しない移動の防止のために用いられる耐震用アジャスタ、並びにこれを備えた事務機器及び家具に関する。
【背景技術】
【0002】
事務機器や家具等の被支持体の中には、下端部にアジャスタを備えるものがある。従来のアジャスタは、被支持体の下端部に形成されたネジ孔部にねじ込まれるネジ軸と、ネジ軸の下端部に一体的に設けられたベース部材とによって構成され、ネジ軸をネジ孔部へねじ込む度合いによって、被支持体の水平度調整及び高さ調整が行われていた。また、アジャスタの中でも耐震用アジャスタは、ベース部材の下面に滑り止め部材を有する(例えば、特許文献1参照。)。滑り止め部材として、床面に対する摩擦係数が大きいものが用いられ、例えば、ゴム板、ジェル、及び粘着剤を塗布されたパッド等が挙げられる。ベース部材の下面に滑り止め部材が備えられることで被支持体の床面に対する摩擦力が大きくなり、地震等の振動による予期しない被支持体の移動が防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−158473公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の耐震用アジャスタを備えた被支持体が同一箇所に長期間にわたって設置された場合、被支持体の重量によって滑り止め部材が床面へ長期間にわたって押え付けられるので、滑り止め部材が床面に強力に貼り付いてしまうことがあった。従来の耐震用アジャスタでは、ネジ軸とベース部材とが一体的に構成されていたので、滑り止め部材が床面から外れないとネジ軸を回転させることができず、耐震用アジャスタによる被支持体の支持を解除する支持解除を行うことができなかった。このため、レイアウト変更や清掃作業等に際して被支持体を移動させる必要が生じた場合に、被支持体の移動作業を円滑に進めることができなかった。
【0005】
この発明の目的は、支持解除を容易に行うことができ、被支持体の移動作業を円滑に進めることができる耐震用アジャスタ、並びにこれを備えた事務機器及び家具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の耐震用アジャスタは、ネジ軸、ベース部材、及び滑り止め部材を備える。ネジ軸は、被支持体の下端部に形成されたネジ孔部に長手方向の第1端部を下方からねじ込まれる。ベース部材は、ネジ軸の長手方向の第2端部を分離自在に下方から支持する。滑り止め部材は、ベース部材の下面に貼り付けられる。
【0007】
この構成では、ネジ軸の第1端部をネジ孔部にねじ込み、ネジ軸の下にベース部材を配置した状態で、ネジ軸をネジ孔部から抜く方向に回転させる。これによって、ネジ軸の第2端部がベース部材によって支持されるので、ネジ軸を必要に応じてさらに回転させることで被支持体の水平度調整及び高さ調整が行われる。また、ベース部材の下面に滑り止め部材が貼り付けられているので、地震等の振動による予期しない被支持体の移動が防止される。さらに、滑り止め部材として弾性体等の衝撃吸収部材を用いることで、地震等の振動の被支持体への伝達が緩和され、これによって被支持体が振動することによる騒音の発生も緩和される。一方、支持解除を行う場合は、ネジ軸とベース部材とが分離自在なので、ベース部材が床面に強力に貼り付いている場合でも、ネジ軸をネジ孔部にねじ込む方向に容易に回転させることができる。よって、ネジ軸をネジ孔部にねじ込むことでネジ軸の第2端部とベース部材とが離間して支持解除が行われる。
【0008】
上述の構成において、第2端部とベース部材との互いの位置ずれを防止するずれ防止機構をさらに備えることが好ましい。ずれ防止機構によってネジ軸の第2端部とベース部材との互いの位置ずれが防止されるので、地震等の振動による予期しない支持解除が防止される。
【0009】
また、ベース部材は、上方へ延びて第2端部を下方から支持する軸部を有し、ずれ防止機構は、第2端部と軸部との互いの位置ずれを防止するように構成することができる。ベース部材のネジ軸を支持する部分をシャフト状にすることで、シャフト状のもの同士の位置ずれを防止することとなり、ずれ防止機構の構成が容易になる。
【0010】
一例として、ずれ防止機構は、第2端部と軸部とを側方から挟み付ける結合部材を含むように構成することが考えられる。結合部材によってネジ軸の第2端部とベース部材の軸部とをともに側方から挟み付けることで、ネジ軸の第2端部とベース部材の軸部との横ずれが防止される。一方、結合部材をネジ軸及びベース部材の軸部から取り外すことで、ネジ軸をネジ孔部にねじ込む方向に容易に回転させることができる。よって、ネジ軸をネジ孔部にねじ込むことでネジ軸の第2端部とベース部材の軸部とが離間して支持解除が行われる。
【0011】
さらに、結合部材は、第2端部及び軸部への装着状態において水平方向に貫通する上側孔部及び下側孔部を有し、ずれ防止機構は、第2端部に長手方向に直交する径方向に形成された第1孔部、及び軸部に水平方向に形成された第2孔部をさらに含むように構成することが考えられる。ボルトやピンを、上側孔部及び第1孔部に貫通又は上側孔部に貫通させて第1孔部に挿通させ、さらに下側孔部及び第2孔部に貫通又は下側孔部に貫通させて第2孔部に挿通させることで、ネジ軸の第2端部とベース部材の軸部との縦ずれが防止される。したがって、ネジ軸の第2端部とベース部材の軸部との横ずれ及び縦ずれの両方が防止される。一方、ボルトやピンを、上側孔部及び第1孔部、並びに下側孔部及び第2孔部から抜き去り、結合部材をネジ軸及びベース部材の軸部から取り外すことで、ネジ軸をネジ孔部にねじ込む方向に容易に回転させることができる。
【0012】
他の例として、ずれ防止機構は、第2端部に備えられた第1フランジであって上下方向に貫通する第3孔部を有する第1フランジ、及び軸部の上端部に備えられた第2フランジであって上下方向に貫通する第4孔部を有する第2フランジを含むように構成することが考えられる。第1フランジと第2フランジとを接合させることで、ネジ軸がベース部材によって支持される。また、第3孔部及び第4孔部にボルトやピンを貫通させることで、ネジ軸とベース部材との横ずれ及び縦ずれの両方が防止される。一方、ボルトやピンを第3孔部及び第4孔部から抜き去ることで、ネジ軸をネジ孔部にねじ込む方向に容易に回転させることができる。
【0013】
また、ずれ防止機構は、ベース部材に備えられた上方への突出部であって第2端部を回転自在に受け止める縦孔を有する突出部を含むように構成することができる。ネジ軸の第1端部をネジ孔部にねじ込み、ネジ軸の下に突出部の縦孔を配置した状態で、ネジ軸をネジ孔部から抜く方向に回転させる。第2端部が突出部の縦孔の底に受け止められるまでネジ軸を回転させることで、ネジ軸がベース部材によって支持される。縦孔内においてネジ軸は回転自在なので、ネジ軸を必要に応じてさらに回転させることで被支持体の水平度調整及び高さ調整が行われる。また、ネジ軸の第2端部が突出部の縦孔に挿し込まれるので、ネジ軸の第2端部とベース部材との横ずれが防止される。さらに、縦孔内においてネジ軸は回転自在なので、ネジ軸をネジ孔部にねじ込む方向にも容易に回転させることができ、支持解除が容易に行われる。
【0014】
さらに、ずれ防止機構は、第2端部に長手方向に直交する径方向に形成された第5孔部をさらに含み、突出部は、縦孔に受け止められた第2端部の第5孔部に連通し得る第6孔部をさらに有するように構成することが考えられる。ネジ軸の第2端部が突出部の縦孔に受け止められた状態で、ボルトやピンを、第5孔部及び第6孔部に貫通、又は第6孔部を貫通させて第5孔部に挿通させることで、ネジ軸の第2端部とベース部材との縦ずれが防止される。したがって、ネジ軸の第2端部とベース部材との横ずれ及び縦ずれの両方が防止される。一方、ボルトやピンを第5孔部及び第6孔部から抜き去ることで、ネジ軸をネジ孔部にねじ込む方向に容易に回転させることができる。
【0015】
この発明の事務機器は、被支持体を構成する本体部と、上述のいずれかの構成の耐震用アジャスタと、を備える。ネジ軸とベース部材とが分離自在なので、ベース部材が床面に強力に貼り付いている場合でも、ネジ軸をネジ孔部にねじ込む方向に容易に回転させることができる。よって、ネジ軸をネジ孔部にねじ込むことでネジ軸の第2端部とベース部材とが離間して支持解除が行われる。この発明の家具についても事務機器と同様である。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、支持解除を容易に行うことができ、被支持体の移動作業を円滑に進めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明の実施形態に係る耐震用アジャスタを備えた画像形成装置の概略の構成を示す正面図である。
【図2】(A)〜(C)は、耐震用アジャスタの構成を示す正面図である。
【図3】耐震用アジャスタに含まれる結合部材の斜視図である。
【図4】(A)〜(C)は、耐震用アジャスタの支持解除の方法を示す正面図である。
【図5】(A)は、他の構成例に係る結合部材を示す斜視図であり、(B)は、(A)に示す結合部材を含む他の実施形態に係る耐震用アジャスタの正面図である。
【図6】(A)〜(C)は、さらに他の実施形態に係る耐震用アジャスタの構成を示す正面図である。
【図7】さらに他の実施形態に係る耐震用アジャスタの構成を示す正面図である。
【図8】(A)及び(B)は、さらに他の実施形態に係る耐震用アジャスタの構成を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、この発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。図1に示すように、この発明の実施形態に係る耐震用アジャスタ10を備えた画像形成装置1は、画像読取部2、画像形成部3、及び給紙部4から構成される本体部8をさらに備えている。
【0019】
画像読取部2は、原稿に光を照射し、反射した光の光量を検出することで、画像データを生成する。
【0020】
画像形成部3は、画像読取部2で生成された画像データ又は外部から入力した画像データに基づいて、電子写真方式の画像形成処理を実行することで、用紙に画像を形成する。
【0021】
給紙部4は、多数の用紙を収容可能に構成され、用紙を1枚ずつ画像形成部3へ供給する。
【0022】
画像形成装置1は、事務機器の一例であり、下端部に複数のキャスタ7及び複数の耐震用アジャスタ10を備えている。一例として、画像形成装置1は、下端部の四隅に4個の脚部5を備え、互いに隣接する脚部5同士の間のそれぞれの中間部に4個の脚部6を備えている。脚部5のそれぞれにはキャスタ7が取り付けられ、脚部6のそれぞれには耐震用アジャスタ10が取り付けられる。画像形成装置1の本体部8は、耐震用アジャスタ10によって支持される被支持体の一例である。
【0023】
キャスタ7を床面91から離間させるように耐震用アジャスタ10を設定することで、画像形成装置1の予期しない移動が防止されるとともに水平度調整及び高さ調整が可能となる。一方、耐震用アジャスタ10を床面91から離間させてキャスタ7を床面91に接地させることで、画像形成装置1を容易に移動させることが可能になる。
【0024】
図2(A)に示すように、耐震用アジャスタ10は、ネジ軸20、ベース部材30、及び滑り止め部材40を備えている。
【0025】
ネジ軸20は、ボルト部21、及び操作部22を有している。ボルト部21の外周には雄ネジが切られている。長手方向においてボルト部21の両端部を除く所定位置に、ナット形状の操作部22が固着されている。操作部22をスパナ等の工具で操作することで操作部22とともにボルト部21が容易に回転する。脚部6の底面には、ネジ孔部6Aが設けられている。ネジ孔部6Aの内周には雌ネジが切られている。ボルト部21の長手方向の第1端部即ち図2(A)における上端部は、ネジ孔部6Aに下方からねじ込まれる。
【0026】
ベース部材30は、ベース本体31、及び軸部32を有している。ベース本体31は、軸部32を垂直方向に支持している。軸部32は、ボルト部21の長手方向における第2端部即ち図2(A)における下端部を、分離自在に下方から支持する。
【0027】
滑り止め部材40は、ベース本体31の下面に貼り付けられている。滑り止め部材40として、床面91に対する摩擦係数が大きいものが用いられ、例えば、ゴム板、ジェル、及び粘着剤を塗布されたパッド等の粘着性衝撃吸収シートが挙げられる。ベース本体31の下面に滑り止め部材40が備えられることで画像形成装置1の本体部8の床面91に対する摩擦力が大きくなり、地震等の振動による予期しない本体部8の移動が防止される。
【0028】
また、滑り止め部材40として弾性体を含む衝撃吸収部材を採用することで、地震等の振動の本体部8への伝達が緩和され、これによって本体部8が振動することによる騒音の発生も緩和される。
【0029】
画像形成装置1の配置に際して、まず、ボルト部21の第1端部をネジ孔部6Aにねじ込み、次に、ボルト部21の下に軸部32を配置した状態で、ボルト部21をネジ孔部6Aから抜く方向に回転させる。これによって、ボルト部21の第2端部が軸部32によって支持されるので、ボルト部21を必要に応じてさらに回転させることで本体部8の水平度調整及び高さ調整が行われる。
【0030】
耐震用アジャスタ10は、ボルト部21の第2端部とベース部材30との互いの位置ずれを防止するずれ防止機構をさらに備えることが好ましい。一例として、ずれ防止機構は、一対の結合部材51,52を含む。
【0031】
図2(B)、図2(C)、及び図3に示すように、結合部材52は、結合部材51と同様に構成されている。結合部材51,52は、ボルト部21の第2端部及び軸部32のそれぞれの側面に沿った形状を呈する部分を有し、その両端部に、ボルトを挿通させる複数の貫通孔を有する部分を備えている。
【0032】
ボルト部21の第2端部及び軸部32を互いの間に挟むように結合部材51と結合部材52とを配置し、結合部材51及び結合部材52の貫通孔のそれぞれにボルトを通してボルトにナットを締め付けることで、ボルト部21の第2端部及び軸部32の両方が結合部材51,52によって側方から強力に挟み付けられる。これによって、ボルト部21の第2端部とベース部材30の軸部32との横ずれが防止される。また、結合部材51,52とボルト部21の第2端部との摩擦力によって、ボルト部21の第2端部と軸部32との縦ずれも抑制される。
【0033】
図4(A)及び図4(B)に示すように、ボルト部21と軸部32とが別体であり、分離自在なので、結合部材51,52をボルト部21及び軸部32から取り外すことで、ボルト部21をネジ孔部6Aにねじ込む方向に容易に回転させることができる。よって、図4(C)に示すように、ボルト部21をネジ孔部6Aにねじ込むことで、ボルト部21の第2端部と軸部32とが離間して、耐震用アジャスタ10による本体部8の支持を解除する支持解除が容易に行われる。したがって、画像形成装置1の移動作業を円滑に進めることができる。また、ボルト部21の第2端部と軸部32とが離間すれば、ベース部材30に本体部8の重量が負荷されなくなるので、滑り止め部材40が床面91に強力に貼り付いてしまっている場合でも、ベース部材30を床面91から容易に取り外すことができる。
【0034】
図5(A)は、他の構成例に係る結合部材51A,52Aの構成を示し、図5(B)は、図5(A)に示す結合部材51A,52Aを含む他の実施形態に係る耐震用アジャスタ10Aの構成を示す。
【0035】
結合部材51Aは、ボルト部21の第2端部及び軸部32への装着状態において水平方向に貫通する上側孔部511A,512A及び下側孔部513Aを有している。同様に、結合部材52Aは、ボルト部21の第2端部及び軸部32への装着状態において水平方向に貫通する上側孔部521A,522A及び下側孔部523Aを有している。
【0036】
ボルト部21の第2端部には、長手方向に直交する径方向に第1孔部211,212が形成されている。また、軸部32には、水平方向に第2孔部321が形成されている。第1孔部211,212及び第2孔部321は、ずれ防止機構に含まれる。
【0037】
まず、下側孔部513A及び下側孔部523Aと第2孔部321とが連通するように結合部材51A,52Aを配置し、次に、上側孔部511A及び上側孔部521Aと第1孔部211とが連通し、上側孔部512A及び上側孔部522Aと第1孔部212とが連通するようにボルト部21を回転させる。
【0038】
次に、ボルト又はピンといった長尺状の留め具を、上側孔部511A、第1孔部211、及び上側孔部521Aに貫通させ、同様に、上側孔部512A、第1孔部212、及び上側孔部522Aに貫通させる。さらに下側孔部513A、第2孔部321、及び下側孔部523Aに貫通させる。留め具に対して、ナット又はピン抜け止め部材といった締め付け部材を締め付けることで、結合部材51A,52Aによってボルト部21の第2端部及び軸部32を側方から挟みつける。これによって、ボルト部21の第2端部と軸部32との横ずれ及び縦ずれの両方が防止される。
【0039】
一方、留め具を、上側孔部511A,512A,521A,522A及び第1孔部211,212、並びに下側孔部513A,523A及び第2孔部321から抜き去り、結合部材51A,52Aをボルト部21及び軸部32から取り外すことで、ボルト部21をネジ孔部6Aにねじ込む方向に容易に回転させることができる。よって、ボルト部21をネジ孔部6Aにねじ込むことでボルト部21の第2端部と軸部32とが離間して支持解除が容易に行われる。したがって、画像形成装置1の移動作業を円滑に進めることができる。
【0040】
なお、第1孔部211,212及び第2孔部321は、貫通孔であることに限定されない。例えば、第1孔部211,212及び第2孔部321のそれぞれの内周に雌ネジが切られ、留め具としてネジが用いられる。結合部材51A,52Aのうち一方の結合部材51Aのみを用い、留め具を、上側孔部511Aに貫通させて第1孔部211にねじ込むことができる。また、上側孔部512Aに貫通させて第1孔部212にねじ込むことができる。同様に、下側孔部513Aに貫通させて第2孔部321にねじ込むことができる。これによっても、ボルト部21の第2端部と軸部32との横ずれ及び縦ずれの両方が防止される。また、部品点数を低減させることができる。
【0041】
図6(A)〜図6(C)は、さらに他の実施形態に係る耐震用アジャスタ10Bの構成を示す。
【0042】
耐震用アジャスタ10Bのネジ軸20は、ボルト部21の第2端部に第1フランジ23を備えている。第1フランジ23は、上下方向に貫通する複数の第3孔部231を有している。第3孔部231のそれぞれは、第1フランジ23の周方向に沿って長い長孔である。
【0043】
また、耐震用アジャスタ10Bのベース本体30は、軸部32の上端部に第2フランジ33を備えている。第2フランジ33は、上下方向に貫通する複数の第4孔部331を有している。第4孔部331のそれぞれは、略真円である。第1フランジ23及び第2フランジ33は、ずれ防止機構に含まれる。
【0044】
画像形成装置1の配置に際して、まず、ボルト部21の第1端部をネジ孔部6Aにねじ込み、図6(A)に示すように、第1フランジ23の下に第2フランジ33を配置した状態で、ボルト部21をネジ孔部6Aから抜く方向に回転させる。これによって、図6(B)に示すように、第1フランジ23と第2フランジ33とが接合され、ネジ軸20がベース部材30によって支持される。ボルト部21を必要に応じてさらに回転させることで本体部8の水平度調整及び高さ調整が行われる。
【0045】
また、図6(C)に示すように、第3孔部231及び第4孔部331に留め具を貫通させることで、第1フランジ23と第2フランジ33との横ずれ及び縦ずれの両方が防止される。
【0046】
一方、ネジ軸20とベース部材30とが別体であり、分離自在であるので、留め具を第3孔部231及び第4孔部331から抜き去ることで、ボルト部21をネジ孔部6Aにねじ込む方向に容易に回転させることができる。このため、耐震用アジャスタ10Bによる本体部8の支持解除を容易に行うことができる。
【0047】
図7に、さらに他の実施形態に係る耐震用アジャスタ10Cの構成を示す。耐震用アジャスタ10Cは、第2フランジ部33Cが縁部の全周に上方へ突出した突出縁部332Cを有することを除いて、耐震用アジャスタ10Bと同様に構成されている。
【0048】
第2フランジ部33Cは、突出縁部332Cの内側で第1フランジ部23を受ける。このため、第1フランジ部23は、突出縁部332Cによって水平方向の移動を規制されるので、第3孔部231及び第4孔部331に留め具が貫通されていない状態においても、第1フランジ23と第2フランジ33との横ずれが防止される。また、第3孔部231及び第4孔部331に留め具を貫通させることで、第1フランジ23と第2フランジ33との縦ずれも防止される。
【0049】
図8(A)及び図8(B)は、さらに他の実施形態に係る耐震用アジャスタ10Dの構成を示す。
【0050】
耐震用アジャスタ10Dは、ベース部材30は、上方へ突出する突出部34を有している。突出部34は、ボルト部21の第2端部を回転自在に受け止める縦孔341を有している。即ち、縦孔341には、雌ネジは切られていない。突出部34は、ずれ防止機構に含まれる。
【0051】
画像形成装置1の配置に際して、まず、ボルト部21の第1端部をネジ孔部6Aにねじ込み、ボルト部21の下に突出部34の縦孔341を配置した状態で、ボルト部21をネジ孔部6Aから抜く方向に回転させる。ボルト部21の第2端部が突出部34の縦孔341の底に受け止められるまでボルト部21を回転させることで、ボルト部21がベース部材30によって支持される。縦孔341内においてネジ軸は回転自在なので、ボルト部21を必要に応じてさらに回転させることで、本体部8の水平度調整及び高さ調整が行われる。
【0052】
また、ボルト部21の第2端部が突出部34の縦孔341に挿し込まれるので、ボルト部21の第2端部とベース部材30との横ずれが防止される。さらに、縦孔341内においてボルト部21は回転自在なので、ボルト部21をネジ孔部6Aにねじ込む方向にも容易に回転させることができ、支持解除を容易に行うことができる。
【0053】
さらに、ボルト部21は、第2端部に、長手方向に直交する径方向に形成された第5孔部213を有し、突出部34は、縦孔341に受け止められたボルト部21の第2端部の第5孔部213に連通し得る第6孔部342をさらに有するように構成することが好ましい。第5孔部213及び第6孔部342は、ずれ防止機構に含まれる。
【0054】
ボルト部21の第2端部が突出部34の縦孔341に受け止められた状態で、留め具に、第5孔部213及び第6孔部342を貫通させることで、ボルト部21の第2端部とベース部材30との縦ずれが防止される。したがって、ボルト部21の第2端部とベース部材30との横ずれ及び縦ずれの両方が防止される。
【0055】
一方、留め具を第5孔部213及び第6孔部342から抜き去ることで、ボルト部21をネジ孔部6Aにねじ込む方向に容易に回転させることができる。
【0056】
なお、第5孔部213は、貫通孔であることに限定されない。例えば、第5孔部213の内周に雌ネジが切られ、留め具としてネジが用いられる。留め具に、第6孔部342を貫通させて第5孔部213にねじ込む。これによっても、ボルト部21の第2端部とベース部材30との横ずれ及び縦ずれの両方が防止される。
【0057】
また、耐震用アジャスタ10,10A,10B,10C,10Dは複数備えられることに限定されない。耐震用アジャスタ10,10A,10B,10C,10Dの他の配置例として、画像形成装置1の下端部の、後端側であって左右方向の両端部及び前端側であって左右方向の一端部に3個の脚部5を備え、前端側であって左右方向の他端部に1個の脚部6を備え、後端側の2個の脚部5にはキャスタ7が取り付けられ、前端側の脚部5にはキャスタ7と同様の高さの支持部材が取り付けられ、脚部6には耐震用アジャスタ10が取り付けられるといった構成が挙げられる。この構成によっても、本体部8の水平度調整が可能になるとともに予期しない移動を防止でき、さらに支持解除を容易に行うことができるという効果が奏される。耐震用アジャスタ10A,10B,10C,10Dについても、耐震用アジャスタ10と同様である。
【0058】
上述の説明においては、耐震用アジャスタ10,10A,10B,10C,10Dが、画像形成装置1に適用された場合について説明したが、耐震用アジャスタ10,10A,10B,10C,10Dは、画像形成装置1以外の事務機器や、家具にも適用することができ、この場合にも、画像形成装置1に適用した場合と同様の効果が奏される。
【0059】
上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0060】
1 画像形成装置
5,6 脚部
6A ネジ孔部
8 本体部(被支持体)
10,10A,10B,10C,10D 耐震用アジャスタ
20 ネジ軸
21 ボルト部
211,212 第1孔部
213 第5孔部
22 操作部
23 第1フランジ部
231 第3孔部
30 ベース部材
31 ベース本体
32 軸部
33,33C 第2フランジ部
331 第4孔部
332C 突出縁部
34 突出部
341 縦孔
342 第6孔部
40 滑り止め部材
51,52,51A,52A 結合部材
511A,512A,521A,522A 上側孔部
513A,523A 下側孔部
91 床面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被支持体の下端部に形成されたネジ孔部に長手方向の第1端部を下方からねじ込まれるネジ軸と、
前記ネジ軸の前記長手方向の第2端部を分離自在に下方から支持するベース部材と、
前記ベース部材の下面に貼り付けられた滑り止め部材と、を備える、耐震用アジャスタ。
【請求項2】
前記第2端部と前記ベース部材との互いの位置ずれを防止するずれ防止機構をさらに備える、請求項1に記載の耐震用アジャスタ。
【請求項3】
前記ベース部材は、上方へ延びて前記第2端部を下方から支持する軸部を有し、
前記ずれ防止機構は、前記第2端部と前記軸部との互いの位置ずれを防止する、請求項2に記載の耐震用アジャスタ。
【請求項4】
前記ずれ防止機構は、前記第2端部と前記軸部とを側方から挟み付ける結合部材を含む、請求項3に記載の耐震用アジャスタ。
【請求項5】
前記結合部材は、前記第2端部及び前記軸部への装着状態において水平方向に貫通する上側孔部及び下側孔部を有し、
前記ずれ防止機構は、前記第2端部に前記長手方向に直交する径方向に形成された第1孔部、及び前記軸部に水平方向に形成された第2孔部をさらに含む、請求項4に記載の耐震用アジャスタ。
【請求項6】
前記ずれ防止機構は、前記第2端部に備えられた第1フランジであって上下方向に貫通する第3孔部を有する第1フランジ、及び前記軸部の上端部に備えられた第2フランジであって上下方向に貫通する第4孔部を有する第2フランジを含む、請求項3に記載の耐震用アジャスタ。
【請求項7】
前記ずれ防止機構は、前記ベース部材に備えられた上方への突出部であって前記第2端部を回転自在に受け止める縦孔を有する突出部を含む、請求項2に記載の耐震用アジャスタ。
【請求項8】
前記ずれ防止機構は、前記第2端部に前記長手方向に直交する径方向に形成された第5孔部をさらに含み、
前記突出部は、前記縦孔に受け止められた前記第2端部の前記第5孔部に連通し得る第6孔部をさらに有する、請求項7に記載の耐震用アジャスタ。
【請求項9】
前記被支持体を構成する本体部と、請求項1から8のいずれかに記載の耐震用アジャスタと、を備える、事務機器。
【請求項10】
前記被支持体を構成する本体部と、請求項1から8のいずれかに記載の耐震用アジャスタと、を備える、家具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−185336(P2012−185336A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−48452(P2011−48452)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】