説明

耐食性中性子吸収コーティング

耐食性中性子吸収コーティングの形成方法であって、スプレー、堆積、スパッタリング、または溶接処理をしてスプレー材料、あるいは、堆積材料、あるいは、スパッタリング材料、あるいは溶接材料と、中性子吸収材料と、からなる複合材料を形成するステップを含む。スプレー材料、あるいは、堆積材料、あるいは、スパッタリング材料、あるいは溶接材料と、中性子吸収材料と、からなる複合材料を含む耐食性中性子吸収コーティングも開示されている。

【発明の詳細な説明】
【研究の成果についての記載事項】
【0001】
アメリカ合衆国政府は、ローレンス・リバモア国立研究所(Lawrence Livermore National Laboratory)の運営のために締結されたアメリカ合衆国エネルギー省とカリフォルニア大学との間の契約番号W−7405−ENG−48にしたがって本発明の権利を有する。
【関連出願の相互参照】
【0002】
本出願は、2005年11月14日に出願された"Corrosion Resistant Neutron Absorbing Coatings"というタイトルの米国仮出願第60/737,026号の利益を主張する。2005年11月14日に出願された"Corrosion Resistant Neutron Absorbing Coatings"というタイトルの米国仮出願第60/737,026号は、この参照によって本明細書中に援用される。
【技術分野】
【0003】
本発明は耐食性材料に関し、より具体的には、耐食性中性子吸収材料、耐食性中性子吸収材料およびコーティングの形成方法に関する。こういったコーティングは、均質金属合金または金属−セラミック複合材料のいずれかを含むことができ、金属合金または金属−セラミック複合材料のバインダーは、際立った耐食性を持つように設計されたボロン含有で鉄ベースのアモルファス金属である。
【背景技術】
【0004】
1998年4月28日にStephen L.KampeとLeontios Christodoulouに発行された、金属マトリックス複合強化材を含む複合材料についての米国特許第5,744,254号では、以下のような技術情報が提供されている。不連続なセラミック強化材を含む金属マトリックス複合材料が、ますます多くの用途で検討されている。このような複合材料は、高性能で高温の用途に現在取り入れられている従来からの鉄とニッケルベースの合金に代わる効率的な材料として非常にもてはやされている。この分野にかなり投資している人たちの中で目立つのは、燃料効率と性能を向上させようと努力している自動車産業と航空宇宙産業である。金属マトリックス複合材料に興味を持っている他の産業には、重機メーカーや掘削、採鉱などの工具産業が含まれる。
【0005】
2004年7月27日にDaniel J.Branaganに発行された硬化面を形成するための方法についての米国特許第6,767,419号では、以下のような技術情報が提供されている。鋼鉄は、優れた強度特徴を有することができる金属合金であるため、強度を必要としたり、強度が有利であるような構造で一般に利用されている。鋼鉄は、例えば、建造物の骨格支持体、工具、エンジン部品、最新兵器の防護シールド等で利用できる。
【0006】
2005年6月2日に公開されたGeorge Carverらによる使用済み核燃料の貯蔵または輸送のための容器および方法についての米国特許出願第2005/0117687号(特許文献3)には、以下のような技術情報が提供されている。典型的には、原子炉から排出された使用済み核燃料は、熱を消散させ、この燃料によって生成されたガンマ線や中性子線を減衰させるために、水で満たされた深いプールに貯蔵される。これは、湿式貯蔵システムと呼ばれる。使用済み核燃料を貯蔵するための別の方法は乾式貯蔵システムで、このシステムは、キャスクもしくはオーバーパックと呼ばれる厚い壁で保護された容器かまたはキャニスターと呼ばれる薄い壁の容器を有する、水平方向か垂直方向の構造体を使用する。乾式貯蔵システムは、貯蔵場所間で使用済み燃料を輸送するためにも使用できる。乾式貯蔵システムでは、キャニスターをキャスクまたはオーバーパックに別々に配置できる。乾式貯蔵・輸送システムのために使用済み核燃料を支持する構造は、燃料バスケットと呼ばれる。この燃料バスケットは、規則、規格、基準、特に使用済み核燃料を貯蔵し輸送するための条件に含まれる圧縮荷重の基準を満たすように設計されている。乾式貯蔵・輸送バスケットのデザインとしては、チューブとディスクのフラックストラップ構造、エッグクレート状のインターロッキングプレート構造、展開セル構造、そして積層チューブ構造が挙げられる。
【0007】
J.C.Farmerらによる"Corrosion Characterization of
Iron-Based High-Performance Amorphous-Metal Thermal-Spray Coatings"というタイトルの論文(ASME Pressure Vessels & Piping Division Conference, Denver, CO,
July 17, 2005 through July 21, 2005)には、以下のような技術情報が提供されている。耐食性のある鉄ベースの新しいアモルファス金属が既に発表されているデータから確認されるかまたはコンビナトリアル合成によって開発されて、相対的な耐食性を判断するために試験されている。こういった材料の多くは、進歩した溶射技術によってコーティングとして塗布できる。...こういった材料は、使用済み核燃料の輸送と長期貯蔵のための容器の外面全体を被覆するため、または溶接部や熱の影響を受けるゾーンを保護することで応力腐食割れを生じさせるかもしれない環境にさらされないようにするためにも使用できる。
【0008】
J.C.Farmerらによる"Corrosion Resistance of
Iron-based Amorphous Metal Coatings"というタイトルの論文(Pressure Vessels
& Piping Division, Conference, Vancouver, Canada, July 23, 2006 through
July 27, 2006)では、以下のような技術情報が提供されている。新しいアモルファス金属溶射コーティングが最近開発され、これは、使用済み核燃料と高レベル廃棄物の処分場のための実行可能なコーティングの選択肢を提供するかもしれない。
【発明の開示】
【0009】
本発明の特徴と利点は、以下の記述から明らかになるであろう。本出願人らは、本発明を広く表現するために、図面と具体的な実施形態の例を含むこの記述を提供している。本発明の趣旨および範囲内にある種々の変更や改変は、この記述や本発明の実行によって当業者には明らかであろう。本発明の範囲は、開示されている特定の形態に限定することを意図するものではなく、本発明は特許請求の範囲によって定義される本発明の趣旨および範囲内にある全ての改変、均等物、代替物を含む。
【0010】
使用済み核燃料(SNF)と高レベル廃棄物(HLW)の地下貯蔵庫における長期貯蔵または処分のための容器やこれに関連する構造体の建設には、耐用年数の非常に長い人造の材料が必要となる。SNFとHLWの貯蔵に必要な耐用年数を有する構造体またはシステムは、これまで一切設計されても建設されてもいない。こういったシステムには、短くても10,000年間、可能ならば300,000年間も放射線物質を収容することが要求される。知られている最も頑強なエンジニアリング材料がこういった長期間に挑んでいる。
【0011】
本発明は、スプレー、堆積、スパッタリング、または、溶接処理を行なって、スプレー材料、あるいは、堆積材料、あるいは、スパッタリング材料、あるいは、溶接材料と、中性子吸収材料と、からなる複合材料を形成するステップを含む耐食性中性子吸収コーティングの形成方法を提供する。本発明はまた、スプレー材料、あるいは、堆積材料、あるいは、スパッタリング材料、あるいは、溶接材料と、中性子吸収材料と、からなる複合材料を含む耐食性中性子吸収コーティングを提供する。
【0012】
この材料は、均質金属合金または金属−セラミック複合材料のいずれでもよい。均質金属合金、または金属−セラミックコーティングの金属バインダーは、際立った耐食性を持つように設計されたボロン含有で鉄ベースのアモルファス金属である。
【0013】
本発明は、改変や別の形態を許容できる。具体的な実施形態は、例として示されている。本発明が開示されている特定の形態に限定されないことが理解されるであろう。本発明は、特許請求の範囲によって定義される本発明の趣旨および範囲内にある全ての改変、均等物、代替物を含む。
【0014】
本明細書に組み込まれその一部を構成する添付図面は、本発明の具体的な実施形態を示し、具体的な実施形態の詳細な記述は、上記の本発明の概略的な記述と共に本発明の原理を説明する役目を果たす。中性子吸収コーティングは、非常に優れた耐食性を持つように設計された、ボロン含有で鉄ベースの溶射(サーマルスプレー)されたアモルファス金属である。並外れたレベルの水素吸収が可能な他のアモルファス金属コーティングも、減速材の用途で使用できる。有益な臨界制御の相乗効果を図るために、中性子吸収コーティングと減速材コーティングを組み合わせることもできる。
【発明の詳細な説明】
【0015】
図面、以下の詳細な記述、そこに盛り込まれている材料を参照すると、本発明に関する詳細な情報が具体的な実施形態の記述を含んで提供されている。この詳細な記述は、本発明の原理を説明する役目を果たす。本発明は、改変や別の形態を許容できる。本発明は、開示されている特定の形態に限定されない。本発明は、特許請求の範囲によって定義される本発明の趣旨および範囲内にある全ての改変、均等物、代替物を包含する。
【0016】
図面、特に図1を参照すると、本発明を組み込んだシステムの1実施形態が示されている。この実施形態は、参照番号100で一般的に示されている。この実施形態100は、使用済み核燃料(SNF)の支持構造体、特にSNF輸送/貯蔵容器101のための中性子吸収コーティングを提供する。
【0017】
図1は、SNF輸送/貯蔵容器101に塗布されているコーティング102を示す。このコーティング102は、スプレープロセスによって塗布される。スプレー104をSNF輸送/貯蔵容器101に塗布するスプレー装置103が示されている。このコーティングをSNF輸送/貯蔵容器101に塗布する以外に、使用済み核燃料の貯蔵プールラックや、乾式貯蔵容器内、輸送キャスク内、処分容器内の支持バスケットで使用する金属支持構造体を含めた使用済み核燃料(SNF)の支持構造体にこのコーティング102を塗布できる。
【0018】
コーティング102は、以下の材料のうちの1つ以上でよい。
(1)相対的にボロン濃度が高い、溶射(サーマルスプレー)された鉄ベースのアモルファス金属;
(2)限定しないが炭素のホウ化物、チタンのホウ化物、クロムのホウ化物、ニッケルのホウ化物、他の類似の化合物、を含む耐火性ホウ化物粒子による溶射(サーマルスプレー)コーティング;
(3)アルミニウム、チタン、ジルコニウムまたは他の類似する金属などの比較的軟らかく耐食性のあるバインダーや、限定しないが炭素のホウ化物、チタンのホウ化物、クロムのホウ化物、ニッケルのホウ化物、他の類似の化合物、を含む耐火性ホウ化物粒子、によるコールドスプレーコーティング;
(4)核燃料集合体の支持構造体で使用するためにボロン含有合金のプレートを接合する手段としての溶射(サーマルスプレー)またはコールドスプレー;
(5)前述の材料に減速材と中性子毒を添加したもの;である。
(1)〜(5)に説明した材料を、限定しないが(a)ガドリニウム、(b)ハフニウム、(c)エルビウム、(d)ジスプロシウム、(e)カドミウム、を含む中性子毒によって増進させてもよい。(1)〜(5)に説明した材料を、限定しないが(i)炭素、(ii)炭化物、(iii)水素同位体、(iv)水素同位体のいずれからも形成される水素化物、を含む減速材料を添加することによって増進させてもよい。
【0019】
このような組成物によって、低減された低いガラス転移温度、高い熱伝達係数、低い臨界冷却速度、向上した耐食性、向上した損傷許容性、増加された硬度を同時に実現することができる。こういった組成物においてボロンの含有量を高くすることで、使用済み核燃料を乾式貯蔵容器内、輸送容器内の貯蔵ラックや処分容器に貯蔵する際の臨界安全性を高めることができる。
【0020】
コーティング102及びコーティング102の塗布方法は、限定しないが、セラミック粒子が、金属マトリックスまたはバインダーに含まれる少なくとも1つの合金化元素からなる分散セラミック粒子(ナノメートル〜数ミクロンの範囲の直径)を、貯蔵プールラックや、乾式貯蔵容器内、輸送キャスク内、そして最終的には貯蔵処分のための処分容器内のバスケットにおける使用済み核燃料の臨界安全性を向上させるための金属支持構造体への中性子吸収コーティングとして、または中性子吸収バルク合金構造支持体の材料として塗布することも含む。このセラミック粒子は、酸化物、ホウ化物、炭化物、窒化物、水素化物でよい。
【0021】
このコーティング102及びコーティング102の塗布方法は、限定しないが、直径がナノメートル〜数ミクロンの範囲のセラミック粒子を含み、逆ミセル合成によって作られたあらゆる溶射(サーマルスプレー)供給材料を、貯蔵プールラックや、乾式貯蔵容器内、輸送キャスク内、そして最終的には貯蔵処分のための処分容器内のバスケットにおける使用済み核燃料の臨界安全性を向上させるための金属支持構造体への中性子吸収コーティングとして塗布することを含む。
【0022】
コーティング102及びコーティング102の塗布方法は、限定しないが、耐食性アモルファス金属配合マトリックスまたはバインダーを使用した、セラミック粒子が酸化物、炭化物、窒化物であるあらゆる金属−セラミック複合材料コーティングを、貯蔵プールラックや、乾式貯蔵容器内、輸送キャスク内、そして最終的には貯蔵処分のための処分容器内のバスケットにおける使用済み核燃料の臨界安全性を向上させるための金属支持構造体への中性子吸収コーティングとして塗布することを含む。
【0023】
コーティング102及びコーティング102の塗布方法は、限定しないが、十分に稠密なアモルファス金属コーティングを実現するための粒径最適化方法、すなわち臨界冷却速度が相対的に速い(≧毎秒1000K)場合でも一貫してこの臨界冷却速度を保証できる程度に十分細かいアモルファス金属粉末を使用する方法を、貯蔵プールラックや、乾式貯蔵容器内、輸送キャスク内、そして最終的には貯蔵処分のための処分容器内のバスケットにおける使用済み核燃料の臨界安全性を向上させるための金属支持構造体への中性子吸収コーティングとして適用することも含む。
【0024】
コーティング102を形成するために種々のスプレー処理システムを使用でき、例えばスプレー処理は、フレーム溶射処理、プラズマ溶射処理、高速酸素−燃料(HVOF)溶射処理、高速エアスプレー(HVAF)処理、爆発溶射処理でもよい。スプレー処理は、溶射(サーマルスプレー)処理でもコールドスプレー処理でもよい。
【0025】
残念なことに、こういった材料を不適切に処理してしまうと、コーティングを形成するために使用する粉末が失透してしまい、結果としてCr2Bとbccフェライトの両方に析出結晶相が形成されてしまう。臨界冷却速度より速い熱伝達状態を粒径全部にわたって維持するのは不可能であるため、このような結晶相は相対的に大きな直径の粒子に形成されることが多い。特に、53ミクロンよりも大きな粒子が、望ましくないフェライト相の存在する状態で結晶化すると、コーティングが損傷する。bccフェライトの存在は低い耐食性能と相関しており、コーティングの形成のために使用すべきではない。望ましくないフェライトは、ある磁界のかかったアモルファス金属吹きつけによるものである。噴霧プロセスおよび溶射(サーマルスプレー)プロセスの種々の位置で、磁気分離を実行できる。
【0026】
鉄ベースのアモルファス金属から有害なbccフェライト相を除去する際に、磁界を使用することによる利点がある。このアモルファス金属は、均質金属合金または金属−セラミック複合材料の金属バインダーのいずれかとしての役目を果たし、中性子吸収および/または減速コーティングとして使用できる。減速材は、中性子吸収コーティングが中性子を捕獲できるようにこの中性子を減速(熱運動化)させることに注目されたい。セラミック(酸化物、ホウ化物、炭化物、窒化物、水素化物、その他)粒子を形成するには、逆ミセル合成、化学沈殿、電気化学的な堆積、化学蒸着、物理蒸着、他のこういった方法を含めた種々の方法がある。
【0027】
コーティング102及びコーティング102の塗布方法は、限定しないが、より低い多孔度、より高密度、向上した金属結合、制御された失透によるよりよい損傷許容性を実現するために、スプレー後の高密度赤外線溶融(HDIF)によって溶射(サーマルスプレー)コーティングを改変したものを、貯蔵プールラックや、乾式貯蔵容器内、輸送キャスク内、そして最終的には貯蔵処分のための処分容器内のバスケットにおける使用済み核燃料の臨界安全性を向上させるための金属支持構造体への中性子吸収コーティングとして塗布することを含む。
【0028】
コーティング102及びコーティング102の塗布方法は、限定しないが物理蒸着の適用を含む。
−臨界冷却速度よりも速い速度で堆積膜の冷却を維持するためのあらゆる方法によるアモルファス金属の電子ビーム蒸着;
−中性子吸収コーティングを形成するための均質金属合金またはその構成成分のいずれのレーザアブレーション;
−中性子吸収コーティングを形成するための均質金属合金またはその構成成分のいずれの直流(dc)マグネトロンスパッタ蒸着、高周波(rf)マグネトロンスパッタ蒸着;
−中性子吸収金属−セラミック複合材料のコーティングを形成するための金属バインダーまたはその構成成分のいずれのレーザアブレーション;
−中性子吸収金属−セラミック複合材料のコーティングを形成するための金属バインダーまたはその構成成分のいずれの直流(dc)マグネトロンスパッタ蒸着、高周波(rf)マグネトロンスパッタ蒸着;
−貯蔵プールラックや、乾式貯蔵容器内、輸送キャスク内、そして最終的には貯蔵処分のための処分容器内のバスケットにおける使用済み核燃料の臨界安全性を向上させるための金属支持構造体への中性子吸収コーティングとして望ましいアモルファス金属組成物を形成するための、後に相互拡散と反応を伴う合金成分の多層方式による直流(dc)マグネトロンスパッタ蒸着、高周波(rf)マグネトロンスパッタ蒸着。このような適用は、他の材料でも示されているように、マルチマグネトロンスパッタリングや回転ターンテーブルでも行われるかもしれない。アモルファス金属、セラミック、ガラス、他の材料を結合する目的で反応性のある多層を堆積させるといったバリエーションも使用できる。
【0029】
コーティング102及びコーティング102の塗布方法はまた、限定しないが、毎秒100K未満の臨界冷却速度を持つアモルファス金属を溶接フィラーとして使用するバルクアモルファス金属の溶接プロセスを、貯蔵プールラックや、乾式貯蔵容器内、輸送キャスク内、そして最終的には貯蔵処分のための処分容器内のバスケットにおける使用済み核燃料の臨界安全性を向上させるための金属支持構造体への中性子吸収コーティングとして適用することも含む。このようなガラス状の溶接フィラー金属を適用した一例がタングステン改質SAM1651である。これは臨界冷却速度が非常に遅い材料であるため、バルクアモルファス金属のアモルファス金属溶接フィラー材料として使用できる。溶接フィラー材料として適用されるSAM1651においてボロンの含有量が高いと、使用済み核燃料を乾式貯蔵容器内や輸送キャニスター内の貯蔵ラックや処分容器に貯蔵する際の使用済み核燃料の臨界安全性が向上する。
【0030】
金属支持構造体材料のコーティング102は、より耐食性の小さいステンレススチール、ボロン入りステンレススチール(Boraflex、BORALTMなど)、他の金属ベースの材料(カーボンスチール、アルミニウムベースのボロン−炭素複合材料であるMETAMICTMやニッケルベースのガドリニウム合金など)でもよい。こういったボロン含有で鉄ベースの構造アモルファス材料(SAM)を、貯蔵プールラックや、乾式貯蔵容器内、輸送キャスク内、地質環境に配置される処分容器内の支持バスケットで使用する使用済み核燃料のバルク合金構造支持材料としても適用できる。
【0031】
本発明のコーティング102とコーティング102の塗布方法によって、新しいクラスのボロン含有高性能耐食性金属(HPCRM)をコーティングとして塗布できる。このように重要な表面領域の耐食を防ぐために改良された耐食性材料を使用することは、非常に有益である。さらに、耐食によって、使用済み燃料の貯蔵、輸送および/もしくは処分のための中性子吸収材料(すなわち、ボロン入りステンレススチール、BORALTM、METAMICTM、Ni−Gd、その他といった中性子毒)の核臨界も防ぐことができる。
【0032】
図2を参照すると、本発明を組み込んだシステムの別の実施形態が示されている。この実施形態は、参照番号200で一般的に示されている。実施形態200は、使用済み核燃料(SNF)の支持構造体、特にSNF輸送/貯蔵容器のための中性子吸収コーティングを提供する。この耐食性コーティングは、アモルファス金属と中性子吸収材料からなる複合材料を形成するスプレー処理によって作成される。図2に示すように、アモルファス金属201と中性子吸収材料202を使用してコーティング204を形成する。
【0033】
コーティング204は、図2に示すようにスプレー処理203によって形成される。このスプレー処理204は、溶射(サーマルスプレー)処理でもコールドスプレー処理でもよい。コーティング204を形成するために種々のスプレー処理204を使用でき、例えばスプレー処理は、フレーム溶射処理、プラズマ溶射処理、高速酸素−燃料(HVOF)溶射処理、高速エアスプレー(HVAF)処理、爆発溶射処理でもよい。
【0034】
J.C.Farmerらによる論文"Corrosion Characterization of
Iron-Based High Performance Amorphous-Metal Thermal-Spray Coatings"(ASME
Pressure Vessels & Piping Division Conference, Denver, CO, July 17, 2005
through July 21, 2005)と、J.C.Farmerらによる"Corrosion Resistance
of Iron-based Amorphous Metal Coatings"(Pressure Vessels & Piping Division,
Conference, Vancouver, Canada, July 23, 2006 through July 27, 2006)は、使用済み核燃料と高レベル廃棄物の処分場で実行可能なコーティングの選択肢を提供する、最近開発された新しいアモルファス金属溶射(サーマルスプレー)コーティングについて説明している。これらの論文"Corrosion
Characterization of Iron-Based High Performance Amorphous-Metal Thermal-Spray
Coatings" by J.C.Farmer et al, ASME Pressure Vessels & Piping Division
Conference, Denver, CO, July 17, 2005 through July 21, 2005と、"Corrosion Resistance of Iron-based
Amorphous Metal Coatings" by J.C.Farmer et al, Pressure Vessels &
Piping Division, Conference, Vancouver, Canada, July 23, 2006 through July 27,
2006の開示物は、この参照によって本明細書中に援用される。
【0035】
本発明は、以下を含む使用済み核燃料(SNF)の支持構造体のための中性子吸収コーティングを提供する。
【0036】
使用済み核燃料(SNF)の輸送と長期貯蔵のための容器の中にある構造支持バスケットは、ボロン含有で鉄ベースの耐食性アモルファス金属コーティングまたは金属−セラミックコーティングで被覆されており、このようなコーティングは、溶射(サーマルスプレー)もしくはコールドスプレープロセス、物理蒸着、化学蒸着、スパッタ蒸着またはあらゆる他の塗布プロセスで塗布される。
【0037】
ボロン含有耐食性アモルファス金属配合物や、スプレーされたセラミックのためのボロン含有耐食性バインダーを使用した、溶射(サーマルスプレー)もしくは他の方法(コールドスプレー、物理蒸着、化学蒸着など)で堆積した酸化物または炭化物に基づくセラミックコーティングを、使用済み燃料の貯蔵容器、輸送容器、処分容器内の構造支持バスケットに塗布する。
【0038】
このような長寿命の耐食性中性子吸収コーティングの材料としては、限定しないが、
(a)任意の中性子吸収濃縮ボロンを含む溶射(サーマルスプレー)された鉄ベースのアモルファス金属;
(b)限定しないが炭素のホウ化物、チタンのホウ化物、クロムのホウ化物、ニッケルのホウ化物、他の類似の化合物を含む耐火性ホウ化物粒子による任意の溶射(サーマルスプレー)コーティング;
(c)アルミニウム、チタン、ジルコニウムまたは他の類似する金属といった相対的に軟らかい耐食性バインダーと、限定しないが炭素のホウ化物、チタンのホウ化物、クロムのホウ化物、ニッケルのホウ化物、他の類似の化合物、を含む耐火性ホウ化物粒子、によるコールドスプレーコーティング;
(d)核燃料集合体の支持構造体で使用するためにボロン含有合金のプレートを接合する手段としての溶射(サーマルスプレー)またはコールドスプレーの使用;
(e)前述の材料に減速材と中性子毒を添加したもの;
(f)1mm(使用済み核燃料の貯蔵キャニスター、輸送キャニスター、処分キャニスターにおける全体的な有効臨界係数が著しく減少する厚さとして知られている)よりも大きい厚さの前述のあらゆるコーティング;が含まれる。
特に注目すべきコーティングは、1mm〜20mmの範囲のもので、特に注目すべきコーティングの厚さは、3〜7mmである。
【0039】
限定しないが(a)ガドリニウム、(b)ハフニウム、(c)エルビウム、(d)ジスプロシウム、(e)カドミウム、を含む中性子毒を備えたこのようなコーティングのための増進された材料。
【0040】
限定しないが(i)炭素、(ii)炭化物、(iii)水素同位体、(iv)水素同位体のいずれからも形成される水素化物、を含む減速材料の添加を備えたこのようなコーティングのための増進された材料。
【0041】
中性子吸収、中性子減速、低減された低いガラス転移温度、高い熱伝達係数、向上した耐食性、向上した損傷許容性、増加された硬度を同時に実現するために、向上された濃度である、イットリウム(≧1原子%)、クロム(10〜20原子%)、モリブデン(≧5原子%)、タングステン添加物(≧1原子%)、ボロン(≦10原子%)、炭素、可能性のあるセラミック粒子の分散、を含むアモルファス金属合金から形成された核燃料棒の支持体のための中性子吸収材料であって、使用済み燃料の貯蔵容器、輸送容器、処分容器内の構造支持バスケットのための中性子吸収材料である。
【0042】
中性子吸収、中性子減速、低減された低いガラス転移温度、高い熱伝達係数、向上した耐食性、向上した損傷許容性、増加された硬度を同時に実現するためにイットリウム、クロム、モリブデン、タングステン、ボロン、炭素、分散セラミック粒子を含むアモルファス金属合金から形成された核燃料棒の支持体のための中性子吸収材料であって、使用済み燃料の貯蔵容器、輸送容器、処分容器内の構造支持バスケットのための中性子吸収材料である。
【0043】
硬度または損傷許容性を向上させる目的で、金属マトリックスに含まれる少なくとも1つの合金化元素からなる酸化物セラミックナノ粒子を意図的に含む全ての改質されたFeベースのアモルファス金属配合物を、使用済み燃料の貯蔵容器、輸送容器、処分容器内の構造支持バスケットに適用する。
【0044】
向上した金属結合を実現するため、また制御された失透によって損傷許容性を制御するために、スプレー後の高密度赤外線溶融を伴う、HVOFコーティングを使用済み燃料の貯蔵容器、輸送容器、処分容器内の構造支持バスケットに塗布する。
【0045】
統計熱化学的方法の適用によって発見されたLMDAR1922などの高性能耐食性材料を使用済み燃料の貯蔵容器、輸送容器、処分容器内の構造支持バスケットに適用する。
【0046】
所望のアモルファス金属組成物を生成するため、後に相互拡散や反応を伴う、合金成分の多層方式によるスパッタ蒸着を、使用済み燃料の貯蔵容器、輸送容器、処分容器内の構造支持バスケットに適用する。これは、他の材料で示されているようにおそらくマルチマグネトロンスパッタリングや回転ターンテーブルでも行われているであろうが、他のバリエーションも使用できる。
【0047】
SAM1651またはこれを組成改良したものを使用したアモルファス金属溶接プロセスを、使用済み燃料の貯蔵容器、輸送容器、処分容器内の構造支持バスケットに適用する。この材料(SAM1651)は臨界冷却速度が極端に遅い。このことから、バルク材料の「アモルファス金属溶接フィラー材料」として使用できるであろう。SAM1651のボロンの含有量が高いと、接合および溶接位置における臨界安全性を向上させることができる。
【0048】
低温コーティングプロセスを実現できるように、機械的に硬い耐食性アモルファス金属をより軟らかい耐食性金属またはバインダーを使用して堆積させるコールドスプレー法を使用するコーティングプロセスを、使用済み燃料の貯蔵容器、輸送容器、処分容器内の構造支持バスケットに適用する。
【0049】
リン含有物質の溶射(サーマルスプレー)に関する問題(揮発性の有機リン化合物が生成されてしまう可能性を含む)を克服するために、コールドスプレー法に頼る、リン含有で鉄ベースのアモルファス金属コーティングの堆積プロセスを、使用済み燃料の貯蔵容器、輸送容器、処分容器内の構造支持バスケットに適用する。溶射(サーマルスプレー)プロセスおよびコールドスプレープロセスのための粒径を、低温粉砕を使用して改善する。
【0050】
このような重要な表面領域の腐食を防ぐために改良された耐食性材料を使用することは、非常に有益である。さらに、耐食によって、使用済み燃料の貯蔵、輸送および/もしくは処分のための中性子吸収材料(すなわち、ボロン入りステンレススチール、BORALTM、METAMICTM、Ni−Gd、その他といった中性子毒)の核臨界も防ぐことができる。
【0051】
本発明によって、新しいクラスのボロン含有高性能耐食性金属(HPCRM)を、使用済み核燃料の貯蔵プールラックや、乾式貯蔵容器内、輸送キャスク内、処分容器内の支持バスケットに使用される金属支持構造体へのコーティングとして塗布できる。こういった材料としては、
(1)相対的にボロン濃度が高い溶射(サーマルスプレー)された鉄ベースのアモルファス金属;
(2)限定しないが炭素のホウ化物、チタンのホウ化物、クロムのホウ化物、ニッケルのホウ化物、他の類似の化合物を含む耐火性ホウ化物粒子による任意の溶射(サーマルスプレー)コーティング;
(3)アルミニウム、チタン、ジルコニウムまたは他の類似する金属などの比較的軟らかい耐食性バインダーや、限定しないが炭素のホウ化物、チタンのホウ化物、クロムのホウ化物、ニッケルのホウ化物、他の類似の化合物、を含む耐火性ホウ化物粒子、によるコールドスプレーコーティング;
(4)核燃料集合体の支持構造体で使用するためにボロン含有合金のプレートを接合する手段としての溶射(サーマルスプレー)またはコールドスプレーの使用;
(5)前述の材料に減速材と中性子毒を添加したもの;が含まれる。
(1)〜(5)に説明した材料を、限定しないが(a)ガドリニウム、(b)ハフニウム、(c)エルビウム、(d)ジスプロシウム、(e)カドミウムを含む中性子毒によって増進させてもよい。(1)〜(5)に説明した材料を、限定しないが(i)炭素、(ii)炭化物、(iii)水素同位体、(iv)水素同位体のいずれからも形成される水素化物、を含む減速材料を添加することによって増進させてもよい。金属支持構造体材料は、より耐食性が小さいステンレススチール、ボロン入りステンレススチール(Boraflex、BORALTMなど)、他の金属ベースの材料(カーボンスチール、アルミニウムベースのボロン−炭素複合材料であるMETAMICTM、ニッケルベースのガドリニウム合金など)でよい。こういったボロン含有で鉄ベースのアモルファス金属の適用は、進歩した溶射(サーマルスプレー)技術によって実現できる。ボロン含有で鉄ベースの構造アモルファス材料(SAM)を、貯蔵プールラックや、乾式貯蔵容器内、輸送キャスク内、地質環境に配置される処分容器内の支持バスケットで使用する使用済み核燃料のバルク合金構造支持材料としても適用できる。
【0052】
本発明の使用には、
−相対的にボロン濃度が高い溶射(サーマルスプレー)された鉄ベースのアモルファス金属;
−限定しないが炭素のホウ化物、チタンのホウ化物、クロムのホウ化物、ニッケルのホウ化物、他の類似の化合物を含む耐火性ホウ化物粒子によるコーティング;
−アルミニウム、チタン、ジルコニウムまたは他の類似する金属などの相対的に軟らかい耐食性バインダーや、限定しないが炭素のホウ化物、チタンのホウ化物、クロムのホウ化物、ニッケルのホウ化物、他の類似の化合物、を含む耐火性ホウ化物粒子、によるコールドスプレーコーティング;
−核燃料集合体の支持構造体で使用するためのボロン含有合金のプレートを接合する手段としての溶射(サーマルスプレー)またはコールドスプレーの使用;
−前述の材料に減速材と中性子毒を添加したもの;
−限定しないが(a)ガドリニウム、(b)ハフニウム、(c)エルビウム、(d)ジスプロシウムを含む中性子毒で前述の材料を増進させたもの;
−限定しないが(a)炭素、(b)炭化物、(c)水素同位体、(d)水素同位体のいずれからも形成される水素化物、を含む減速材の添加によって前述の材料を増進させたものを、貯蔵プールラックや、乾式貯蔵容器内、輸送キャスク内、そして最終的には貯蔵処分のための処分容器内のバスケットにおける使用済み核燃料の臨界安全性を向上させるための金属支持構造体への中性子吸収コーティングとして、または中性子吸収バルク合金構造支持材料として適用すること;が含まれる。
【0053】
こういった組成物は、低減された低いガラス転移温度、高い熱伝達係数、低い臨界冷却速度、向上した耐食性、向上した損傷許容性、増加された硬度を同時に実現できる。このような組成物におけるボロンの含有量が高いと、使用済み核燃料を乾式貯蔵容器内、輸送容器内の貯蔵ラックや処分容器に貯蔵する場合の臨界安全性を向上させることができる。
【0054】
本発明は、限定しないが、酸化物粒子が、金属マトリックスまたはバインダーに含まれる少なくとも1つの合金化元素からなる分散酸化物セラミック粒子(ナノメートル〜数ミクロンの範囲の直径)を、貯蔵プールラックや、乾式貯蔵容器内、輸送キャスク内、そして最終的には貯蔵処分のための処分容器内のバスケットにおける使用済み核燃料の臨界安全性を向上させるための金属支持構造体の中性子吸収コーティングとして、または中性子吸収バルク合金構造支持材料として適用することも含む。
【0055】
本発明は、限定しないが、直径がナノメートル〜数ミクロンの範囲のセラミック粒子を含み、逆ミセル合成によって作られたあらゆる溶射(サーマルスプレー)供給材料を、貯蔵プールラックや、乾式貯蔵容器内、輸送キャスク内、そして最終的には貯蔵処分のための処分容器内のバスケットにおける使用済み核燃料の臨界安全性を向上させるための金属支持構造体への中性子吸収コーティングとして塗布することを含む。
【0056】
本発明は、限定しないが、耐食性アモルファス金属配合マトリックスまたはバインダーを使用した、セラミック粒子が酸化物、炭化物、窒化物であるあらゆる金属−セラミック複合材料コーティングを、貯蔵プールラックや、乾式貯蔵容器内、輸送キャスク内、そして最終的には貯蔵処分のための処分容器内のバスケットにおける使用済み核燃料の臨界安全性を向上させるための金属支持構造体への中性子吸収コーティングとして塗布することを含む。
【0057】
本発明はまた、限定しないが、十分に稠密なアモルファス金属コーティングを実現するための粒径最適化方法、すなわち臨界冷却速度が相対的に速い(≧毎秒1000K)場合でも一貫してこの臨界冷却速度を保証できる程度に十分細かいアモルファス金属粉末を使用する方法を、貯蔵プールラックや、乾式貯蔵容器内、輸送キャスク内、そして最終的には貯蔵処分のための処分容器内のバスケットにおける使用済み核燃料の臨界安全性を向上させるための金属支持構造体への中性子吸収コーティングとして適用することも含む。
【0058】
本発明は、限定しないが、より低い多孔度、より高密度、向上した金属結合、制御された失透によるよりよい損傷許容性を実現するために、スプレー後の高密度赤外線溶融(HDIF)によって溶射(サーマルスプレー)コーティングを改変したものを、貯蔵プールラックや、乾式貯蔵容器内、輸送キャスク内、そして最終的には貯蔵処分のための処分容器内のバスケットにおける使用済み核燃料の臨界安全性を向上させるための金属支持構造体への中性子吸収コーティングとして適用することを含む。
【0059】
本発明は、限定しないが以下の適用を含む。
−臨界冷却速度よりも速い速度で堆積膜の冷却を維持するためのあらゆる方法によるアモルファス金属の電子ビーム蒸着;
−中性子吸収コーティングを形成するための均質金属合金またはその構成成分のいずれのレーザアブレーション;
−中性子吸収コーティングを形成するための均質金属合金またはその構成成分のいずれの直流(dc)マグネトロンスパッタ蒸着、高周波(rf)マグネトロンスパッタ蒸着;
−中性子吸収金属−セラミック複合材料のコーティングを形成するための金属バインダーまたはその構成成分のいずれのレーザアブレーション;
−中性子吸収金属−セラミック複合材料のコーティングを形成するための金属バインダーまたはその構成成分のいずれの直流(dc)マグネトロンスパッタ蒸着、高周波(rf)マグネトロンスパッタ蒸着;
−貯蔵プールラックや、乾式貯蔵容器内、輸送キャスク内、そして最終的には貯蔵処分のための処分容器内のバスケットにおける使用済み核燃料の臨界安全性を向上させるための金属支持構造体への中性子吸収コーティングとして望ましいアモルファス金属組成物を形成するための、後に相互拡散や反応を伴う合金成分の多層方式による直流(dc)マグネトロンスパッタ蒸着、高周波(rf)マグネトロンスパッタ蒸着。おそらくこういった適用は、他の材料でも示されているようにマルチマグネトロンスパッタリングや回転ターンテーブルでも行われるであろう。アモルファス金属、セラミック、ガラス、他の材料を結合する目的で反応性のある多層を堆積させるといったバリエーションも使用できる。
【0060】
本発明はまた、限定しないが、毎秒100K未満の臨界冷却速度を持つアモルファス金属を溶接フィラーとして使用するバルクアモルファス金属の溶接プロセスを、貯蔵プールラックや、乾式貯蔵容器内、輸送キャスク内、そして最終的には貯蔵処分のための処分容器内のバスケットにおける使用済み核燃料の臨界安全性を向上させるための金属支持構造体への中性子吸収コーティングとして適用することも含む。こういったガラス状の溶接フィラー金属を適用した一例がタングステン改質SAM1651である。これは臨界冷却速度が非常に遅い材料であるため、バルクアモルファス金属のアモルファス金属溶接フィラー材料として使用できる。溶接フィラー材料として適用されるSAM1651におけるボロンの含有量が高いと、使用済み核燃料を、乾式貯蔵容器内、輸送容器内、処分容器の貯蔵ラックに貯蔵する際の臨界安全性が向上する。
【0061】
図3を参照すると、本発明を組み込んだシステムの別の実施形態が示されている。この実施形態は、参照番号300によって一般的に示されている。実施形態300は、使用済み核燃料(SNF)の支持構造体、特にSNF輸送/貯蔵容器のための中性子吸収コーティングを提供する。
【0062】
図3は、使用済み核燃料を貯蔵するチューブアセンブリを内部に有する容器301の実施形態の斜視図である。容器301の例とさらなる詳細は、2005年6月2日に公開された、George Carverらによる使用済み核燃料を貯蔵または輸送するための容器および方法についての米国特許出願第2005/0117687号に示されている。2005年6月2日に公開された、George Carverらによる使用済み核燃料を貯蔵または輸送するための容器および方法についての米国特許出願第2005/0117687号は、参照によってここに援用される。使用済み核物質の処理や貯蔵のための他の構成要素としては、貯蔵プールラックや、乾式貯蔵容器内、輸送キャスク内、そして最終的には貯蔵処分のための処分容器内のバスケットが含まれる。
【0063】
容器301は、互いに連結してチューブアセンブリを形成する複数の長尺状のチューブ302を含む。長尺状のチューブ302は、正方形状または長方形状の断面を形成するように配置される4つの側壁と4つの角を備えている。別の実施形態では、このチューブを他の幾何学形状、例えば円形、三角形、七角形、六角形、八角形に配置できる。貯蔵プールラックや、乾式貯蔵容器内、輸送キャスク内、貯蔵処分のための処分容器内のバスケットといった使用済み核物質を処理し貯蔵するための構成要素は、腐食を被る。こういった重要な表面領域の腐食を防ぐために改良された耐食性材料を使用することは、非常に有益である。さらに、使用済み燃料の貯蔵、輸送および/もしくは処分のための中性子吸収材料(すなわち、ボロン入りステンレススチール、BORALTM、METAMICTM、Ni−Gd、その他といったような中性子毒)の核臨界を防ぐためにも耐食は必要である。
【0064】
チューブ302には、第1の棒(図示せず)もしくは第2の棒(図示せず)またはその両方が取り付けられる。第1の棒は円筒形で、直径の中心の周りで第1の棒の長さに沿って配置された開口を有するのが好ましい。第2の棒は円筒形で、開口がない。第1の棒によって、チューブ302を連結できる。第1の棒と第2の棒によって、水平方向の設計荷重移動、チューブアセンブリを通して行い易くさせ、チューブの組み立てや処理作業時に構造上の安定性がもたらされる。別の実施形態では、第1の棒と第2の棒は他の幾何学形状、例えば三角形、六角形、八角形でもよい。容器301と使用済み核物質を処理し貯蔵するための他の構成要素は、このように重要な表面領域の腐食を防ぐために改良された耐食性材料でコーティングされる。
【0065】
本発明によって、新しいクラスのボロン含有高性能耐食性金属(HPCRM)を、使用済み核燃料の貯蔵プールラックや、乾式貯蔵容器内、輸送キャスク内、処分容器内の支持バスケットに使用される金属支持構造体へのコーティングとして塗布できる。こういった材料としては、
(1)相対的にボロン濃度が高い溶射(サーマルスプレー)された鉄ベースのアモルファス金属;
(2)限定しないが炭素のホウ化物、チタンのホウ化物、クロムのホウ化物、ニッケルのホウ化物、他の類似の化合物を含む耐火性ホウ化物粒子による任意の溶射(サーマルスプレー)コーティング;
(3)アルミニウム、チタン、ジルコニウムまたは他の類似する金属などの相対的に軟らかい耐食性バインダーや、限定しないが炭素のホウ化物、チタンのホウ化物、クロムのホウ化物、ニッケルのホウ化物、他の類似の化合物、を含む耐火性ホウ化物粒子、によるコールドスプレーコーティング;
(4)核燃料集合体の支持構造体で使用するためにボロン含有合金のプレートを接合する手段としての溶射(サーマルスプレー)またはコールドスプレーの使用;
(5)前述の材料に減速材と中性子毒を添加したもの;が含まれる。
(1)〜(5)に説明した材料を、限定しないが(a)ガドリニウム、(b)ハフニウム、(c)エルビウム、(d)ジスプロシウム、(e)カドミウムを含む中性子毒によって増進させてもよい。(1)〜(5)に説明した材料を、限定しないが(i)炭素、(ii)炭化物、(iii)水素同位体、(iv)水素同位体のいずれからも形成される水素化物、を含む減速材料を添加することによって増進させてもよい。金属支持構造体材料は、より耐食性が小さいステンレススチール、ボロン入りステンレススチール(Boraflex、BORALTMなど)、他の金属ベースの材料(カーボンスチール、アルミニウムベースのボロン−炭素複合材料であるMETAMICTM、ニッケルベースのガドリニウム合金など)でよい。こういったボロン含有で鉄ベースのアモルファス金属の適用は、進歩した溶射(サーマルスプレー)技術によって実現できる。ボロン含有で鉄ベースの構造アモルファス材料(SAM)を、貯蔵プールラックや、乾式貯蔵容器内、輸送キャスク内、地質環境に配置される処分容器内の支持バスケットで使用する使用済み核燃料のバルク合金構造支持材料としても適用できる。
【0066】
本発明の使用には、
−相対的にボロン濃度が高い溶射(サーマルスプレー)された鉄ベースのアモルファス金属;
−限定しないが炭素のホウ化物、チタンのホウ化物、クロムのホウ化物、ニッケルのホウ化物、他の類似の化合物を含む耐火性ホウ化物粒子によるコーティング;
−アルミニウム、チタン、ジルコニウムまたは他の類似する金属などの相対的に軟らかい耐食性バインダーや、限定しないが炭素のホウ化物、チタンのホウ化物、クロムのホウ化物、ニッケルのホウ化物、他の類似の化合物、を含む耐火性ホウ化物粒子、によるコールドスプレーコーティング;
−核燃料集合体の支持構造体で使用するためのボロン含有合金のプレートを接合する手段としての溶射(サーマルスプレー)またはコールドスプレーの使用;
−前述の材料に減速材と中性子毒を添加したもの;
−限定しないが(a)ガドリニウム、(b)ハフニウム、(c)エルビウム、(d)ジスプロシウム、を含む中性子毒で前述の材料を増進させたもの;
−限定しないが(a)炭素、(b)炭化物、(c)水素同位体、(d)水素同位体のいずれからも形成される水素化物、を含む減速材の添加によって前述の材料を増進させたものを、貯蔵プールラックや、乾式貯蔵容器内、輸送キャスク内、そして最終的には貯蔵処分のための処分容器内のバスケットにおける使用済み核燃料の臨界安全性を向上させるための金属支持構造体への中性子吸収コーティングとして、または中性子吸収バルク合金構造支持材料として適用することが含まれる。
【0067】
このような組成物によって、低減された低いガラス転移温度、高い熱伝達係数、低い臨界冷却速度、向上した耐食性、向上した損傷許容性、増加された硬度を同時に実現することができる。こういった組成物においてボロンの含有量を高くすることで、使用済み核燃料を乾式貯蔵容器内、輸送容器内の貯蔵ラックや処分容器に貯蔵する際の臨界安全性を高めることができる。
【0068】
本発明はまた、限定しないが、酸化物粒子が、金属マトリックスまたはバインダーに含まれる少なくとも1つの合金化元素からなる酸化分散セラミック粒子(ナノメートル〜数ミクロンの範囲の直径)を、貯蔵プールラックや、乾式貯蔵容器内、輸送キャスク内、そして最終的には貯蔵処分のための処分容器内のバスケットにおける使用済み核燃料の臨界安全性を向上させるための金属支持構造体への中性子吸収コーティングとして、または中性子吸収バルク合金構造支持体の材料として適用することも含む。
【0069】
本発明は、限定しないが、直径がナノメートル〜数ミクロンの範囲のセラミック粒子を含み、逆ミセル合成によって作られたあらゆる溶射(サーマルスプレー)供給材料を、貯蔵プールラックや、乾式貯蔵容器内、輸送キャスク内、そして最終的には貯蔵処分のための処分容器内のバスケットにおける使用済み核燃料の臨界安全性を向上させるための金属支持構造体への中性子吸収コーティングとして塗布することを含む。
【0070】
本発明は、限定しないが、耐食性アモルファス金属配合マトリックスまたはバインダーを使用した、セラミック粒子が酸化物、炭化物、窒化物である、あらゆる金属−セラミック複合材料コーティングを、貯蔵プールラックや、乾式貯蔵容器内、輸送キャスク内、そして最終的には貯蔵処分のための処分容器内のバスケットにおける使用済み核燃料の臨界安全性を向上させるための金属支持構造体への中性子吸収コーティングとして塗布することを含む。
【0071】
本発明はまた、限定しないが、十分に稠密なアモルファス金属コーティングを実現するための粒径最適化方法、すなわち臨界冷却速度が相対的に速い(≧毎秒1000K)場合でも一貫してこの臨界冷却速度を保証できる程度に十分細かいアモルファス金属粉末を使用する方法を、貯蔵プールラックや、乾式貯蔵容器内、輸送キャスク内、そして最終的には貯蔵処分のための処分容器内のバスケットにおける使用済み核燃料の臨界安全性を向上させるための金属支持構造体への中性子吸収コーティングとして適用することも含む。
【0072】
本発明は、限定しないが以下の適用を含む。
−臨界冷却速度よりも速い速度で堆積膜の冷却を維持するためのあらゆる方法によるアモルファス金属の電子ビーム蒸着;
−中性子吸収コーティングを形成するための均質金属合金またはその構成成分のいずれのレーザアブレーション;
−中性子吸収コーティングを形成するための均質金属合金またはその構成成分のいずれの直流(dc)マグネトロンスパッタ蒸着、高周波(rf)マグネトロンスパッタ蒸着
−中性子吸収金属−セラミック複合材料のコーティングを形成するための金属バインダーまたはその構成成分のいずれのレーザアブレーション
−中性子吸収金属−セラミック複合材料のコーティングを形成するための金属バインダーまたはその構成成分のいずれの直流(dc)マグネトロンスパッタ蒸着、高周波(rf)マグネトロンスパッタ蒸着
−貯蔵プールラックや、乾式貯蔵容器内、輸送キャスク内、そして最終的には貯蔵処分のための処分容器内のバスケットにおける使用済み核燃料の臨界安全性を向上させるための金属支持構造体への中性子吸収コーティングとして望ましいアモルファス金属組成物を形成するための、後に相互拡散や反応を伴う合金成分の多層方式による直流(dc)マグネトロンスパッタ蒸着、高周波(rf)マグネトロンスパッタ蒸着。おそらくこういった適用は、他の材料でも示されているようにマルチマグネトロンスパッタリングや回転ターンテーブルでも行われるであろう。アモルファス金属、セラミック、ガラス、他の材料を結合する目的で反応性のある多層を堆積させるといったバリエーションも使用できる。
【0073】
本発明はまた、限定しないが、毎秒100K未満の臨界冷却速度を持つアモルファス金属を溶接フィラーとして使用するバルクアモルファス金属の溶接プロセスを、貯蔵プールラックや、乾式貯蔵容器内、輸送キャスク内、そして最終的には貯蔵処分のための処分容器内のバスケットにおける使用済み核燃料の臨界安全性を向上させるための金属支持構造体への中性子吸収コーティングとして適用することも含む。こういったガラス状の溶接フィラー金属を適用した一例がタングステン改質SAM1651である。これは臨界冷却速度が非常に遅い材料であるため、バルクアモルファス金属のアモルファス金属溶接フィラー材料として使用できる。溶接フィラー材料として適用されるSAM1651におけるボロンの含有量が高いと、使用済み核燃料を乾式貯蔵容器内、輸送容器内、処分容器内の貯蔵ラックに貯蔵する際の臨界安全性が向上する。
【0074】
図3は、SNF輸送/貯蔵容器301に塗布されたコーティング305を示す。このコーティング305は、堆積プロセスによって塗布されている。SNF輸送/貯蔵容器301にスプレー303を塗布する堆積装置304が示されている。このコーティング305は、SNF輸送/貯蔵容器301に塗布される以外に、貯蔵プールラックや、乾式貯蔵容器内、輸送キャスク内、使用済み核燃料の処分容器内の支持バスケットで使用される金属支持構造体を含めた使用済み核燃料(SNF)の支持構造体にも塗布できる。
【0075】
クロム、モリブデン、タングステンの濃度を操作することで際立った耐食性を持つように設計されたボロン含有で鉄ベースのアモルファス金属の場合、提案された地質処分のための使用済み燃料処分容器内にある使用済み燃料の支持構造体(バスケットとしても知られる)上の厚さ約1ミリメートル(1mm)コーティングによって、臨界係数(k-effective)を10パーセント(10%)ほど減少させられることが分かっている。これは、このような設計システムの臨界安全性のおける劇的な改善である。
【0076】
本発明は種々の改変や代替的な形態を許容できるが、具体的な実施形態を一例として図面に示しここで詳細に説明してきた。ただし、本発明を開示されている特定の形態に限定することを意図していないことを理解すべきである。むしろ本発明は、以下に添付される特許請求の範囲によって定義される本発明の趣旨および範囲内にある全ての改変、均等物、代替物を包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】SNF輸送/貯蔵容器に塗布されるコーティングを示す。
【図2】コーティングを形成するために使用するアモルファス金属と中性子吸収材料を示す。
【図3】堆積プロセスによってSNF輸送/貯蔵容器に塗布されるコーティングを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スプレー材料、又は、堆積材料、又は、スパッタリング材料、又は、溶接材料と、
中性子吸収材料と、
からなる複合材料を含む、耐食性中性子吸収コーティング。
【請求項2】
前記スプレー材料、又は、堆積材料、又は、スパッタリング材料、又は、溶接材料は、溶射(サーマルスプレー)された鉄ベースのアモルファス金属である、請求項1記載の耐食性中性子吸収コーティング。
【請求項3】
前記中性子吸収材料は、任意の中性子吸収濃縮ボロンである、請求項1記載の耐食性中性子吸収コーティング。
【請求項4】
前記中性子吸収材料は、耐火性ホウ化物粒子による任意の溶射(サーマルスプレー)コーティングである、請求項1記載の耐食性中性子吸収コーティング。
【請求項5】
前記中性子吸収材料は、炭素のホウ化物、チタンのホウ化物、クロムのホウ化物、ニッケルのホウ化物、及び、炭素のホウ化物、チタンのホウ化物、クロムのホウ化物、ニッケルのホウ化物の任意の組み合わせ、の少なくとも1つである、請求項1記載の耐食性中性子吸収コーティング。
【請求項6】
耐食性バインダーを含む、請求項1記載の耐食性中性子吸収コーティング。
【請求項7】
アルミニウム、チタン、又は、ジルコニウム、又は、アルミニウム、チタン、ジルコニウムの任意の組み合わせ、からなる耐食性バインダーを含む、請求項1記載の耐食性中性子吸収コーティング。
【請求項8】
耐火性ホウ化物粒子を含む、請求項1記載の耐食性中性子吸収コーティング。
【請求項9】
炭素のホウ化物、チタンのホウ化物、クロムのホウ化物、又は、ニッケルのホウ化物、及び、炭素のホウ化物、チタンのホウ化物、クロムのホウ化物、又は、ニッケルのホウ化物の任意の組み合わせ、からなる、耐火性ホウ化物粒子を含む、請求項1記載の耐食性中性子吸収コーティング。
【請求項10】
前記コーティングが0.1mmより厚い厚さを有する、請求項1記載の耐食性中性子吸収コーティング。
【請求項11】
前記コーティングが0.1mm〜20mmの範囲の厚さを有する、請求項1記載の耐食性中性子吸収コーティング。
【請求項12】
前記コーティングが3〜7mmの範囲の厚さを有する、請求項1記載の耐食性中性子吸収コーティング。
【請求項13】
中性子毒を含む、請求項1記載の耐食性中性子吸収コーティング。
【請求項14】
ガドリニウム、ハフニウム、エルビウム、ジスプロシウム、又は、カドミウム、及び、ガドリニウム、ハフニウム、エルビウム、ジスプロシウム、又は、カドミウムの任意の組み合わせ、からなる中性子毒を含む、請求項1記載の耐食性中性子吸収コーティング。
【請求項15】
減速材料を含む、請求項1記載の耐食性中性子吸収コーティング。
【請求項16】
炭素、炭化物、水素同位体、または水素同位体のいずれから形成される水素化物、からなる減速材料を含む、請求項1記載の耐食性中性子吸収コーティング。
【請求項17】
前記コールドスプレー堆積又は溶射(サーマルスプレー)堆積された材料、スパッタ堆積された材料、又は、溶接処理された材料は、イットリウム、クロム、モリブデン、タングステン、ボロン、炭素、可能性のある中性子吸収セラミック粒子もしくは中性子減速セラミック粒子の分散、を含むアモルファス−金属合金である、請求項1記載の耐食性中性子吸収コーティング。他の元素をこのコーティングに含めてもよい。
【請求項18】
セラミックナノ粒子を含み、当該セラミック粒子は、酸化物、ホウ化物、炭化物、又は窒化物である、請求項1記載の耐食性中性子吸収コーティング。
【請求項19】
セラミックナノ粒子を含み、当該セラミック粒子は、中性子減速のための水素化物である、請求項1記載の耐食性中性子吸収コーティング。
【請求項20】
金属マトリックスに含まれる少なくとも1つの合金化元素の酸化物セラミックナノ粒子を含む、請求項1記載の耐食性中性子吸収コーティング。
【請求項21】
コールドスプレー堆積、溶射(サーマルスプレー)堆積、物理蒸着、又は、溶接処理を行なって、中性子吸収材料又は中性子減速材料を含有する均質金属合金又は金属−セラミック複合材料を形成するステップを含む、耐食性中性子吸収コーティングの形成方法。
【請求項22】
前記均質金属合金又は金属−セラミック複合材料は、中性子吸収材料と中性子減速材料の両方を含有する、請求項21記載の耐食性中性子吸収コーティングの形成方法。
【請求項23】
前記コールドスプレー堆積、溶射(サーマルスプレー)堆積、物理蒸着、電着、又は溶接処理ステップは、際立った耐食性を持つように設計されたボロン含有で鉄ベースの耐食性アモルファス金属からなる複合材料を形成するための適切な堆積プロセスを含む、請求項21記載の耐食性中性子吸収コーティングの形成方法。
【請求項24】
前記溶射(サーマルスプレー)堆積ステップは、フレーム溶射、プラズマ溶射、高速酸素−燃料溶射、爆発溶射、レーザによる処理、又は、レーザによる後処理を含む、請求項21記載の耐食性中性子吸収コーティングの形成方法。
【請求項25】
前記物理蒸着ステップが、電子ビーム蒸着、直流(dc)もしくは高周波(rf)マグネトロンスパッタリング、またはレーザアブレーションを含む、請求項21記載の耐食性中性子吸収コーティングの形成方法。
【請求項26】
前記スプレー、堆積、スパッタリング、又は、溶接処理ステップは、金属−セラミック材料からなる複合材料を形成するスプレー処理を含む、請求項21記載の耐食性中性子吸収コーティングの形成方法。
【請求項27】
前記スプレー、堆積、スパッタリング、又は、溶接処理ステップは、溶射(サーマルスプレー)プロセス、コールドスプレープロセス、物理蒸着、化学蒸着、又は、スパッタ蒸着、又は、溶射(サーマルスプレー)、コールドスプレープロセス、物理蒸着、化学蒸着、又は、スパッタ蒸着の組み合わせによって適用される、請求項21記載の耐食性中性子吸収コーティングの形成方法。
【請求項28】
前記スプレー、堆積、スパッタリング、又は、溶接処理ステップは、溶射(サーマルスプレー)である、請求項21記載の耐食性中性子吸収コーティングの形成方法。
【請求項29】
前記スプレー、堆積、スパッタリング、又は、溶接処理ステップは、コールドスプレー、物理蒸着、又は、化学蒸着によって堆積されるものである、請求項21記載の耐食性中性子吸収コーティングの形成方法。
【請求項30】
前記スプレー、堆積、スパッタリング、又は、溶接処理ステップは、以下の材料からなる複合材料を形成するスプレー処理を含んでいる、請求項21記載の耐食性中性子吸収コーティングの形成方法。
(a)任意の中性子吸収濃縮ボロンを含む溶射(サーマルスプレー)された鉄ベースのアモルファス金属;
(b)限定しないが炭素のホウ化物、チタンのホウ化物、クロムのホウ化物、ニッケルのホウ化物、及び、他の類似の化合物、を含む耐火性ホウ化物粒子による任意の溶射(サーマルスプレー)コーティング;
(c)アルミニウム、チタン、ジルコニウム、又は他の類似する金属といった比較的軟らかい耐食性バインダーと、限定しないが炭素のホウ化物、チタンのホウ化物、クロムのホウ化物、ニッケルのホウ化物、及び、他の類似の化合物、を含む耐火性ホウ化物粒子、によるコールドスプレーコーティング;
(d)核燃料集合体の支持構造体で使用するためにボロン含有合金のプレートを接合する手段としての溶射(サーマルスプレー)又はコールドスプレーの使用;
(e)前述の材料に減速材と中性子毒を添加したもの;
(f)1mm、使用済み核燃料の貯蔵キャニスター、輸送キャニスター、処分キャニスターにおける全体的な有効臨界係数が著しく減少するとして知られている厚さ、よりも大きい厚さの前述のあらゆるコーティング。
【請求項31】
前記スプレー、堆積、スパッタリング、又は、溶接処理ステップが、1〜20mmの範囲の厚さを有する複合材料を形成するスプレー処理を含む、請求項21記載の耐食性中性子吸収コーティングの形成方法。
【請求項32】
前記スプレー、堆積、スパッタリング、又は、溶接処理ステップが、3〜7mmの範囲の厚さを有する複合材料を形成するスプレー処理を含む、請求項21記載の耐食性中性子吸収コーティングの形成方法。
【請求項33】
前記スプレー、堆積、スパッタリング、又は、溶接処理ステップが、(a)ガドリニウム、(b)ハフニウム、(c)エルビウム、(d)ジスプロシウム、又は、(e)カドミウム、又は、(a)ガドリニウム、(b)ハフニウム、(c)エルビウム、(d)ジスプロシウム、又は、(e)カドミウムの組み合わせ、を含む中性子毒を備えた複合材料を形成するスプレー処理を含む、請求項21記載の耐食性中性子吸収コーティングの形成方法。
【請求項34】
前記スプレー、堆積、スパッタリング、又は、溶接処理ステップが、(i)炭素、(ii)炭化物、(iii)水素同位体、及び、(iv)水素同位体のいずれからも形成される水素化物、を含む減速材料を添加するステップを含む、請求項21記載の耐食性中性子吸収コーティングの形成方法。
【請求項35】
前記スプレー、堆積、スパッタリング、又は、溶接処理ステップが、向上された濃度である、イットリウム(≧1原子%)、クロム(14〜18原子%)、モリブデン(≧10原子%)、タングステン添加物(≧2原子%)、ボロン(≦6原子%)、炭素(≧10原子%)、分散酸化イットリウム粒子、を含むアモルファス金属合金を含む複合材料を形成するスプレー処理を含む、請求項21記載の耐食性中性子吸収コーティングの形成方法。
【請求項36】
前記スプレー、堆積、スパッタリング、又は、溶接処理ステップが、金属マトリックスに含まれる少なくとも1つの合金化元素からなる酸化物セラミックナノ粒子を意図的に含む改質されたFeベースのアモルファス金属配合物のスプレー処理を含む、請求項21記載の耐食性中性子吸収コーティングの形成方法。
【請求項37】
前記スプレー、堆積、スパッタリング、又は、溶接処理ステップが、向上された金属結合を実現するため、また制御された失透によって損傷許容性を制御するために、スプレー後の高密度赤外線溶融によってHVOFコーティングを塗布するステップを含む、請求項21記載の耐食性中性子吸収コーティングの形成方法。
【請求項38】
前記スプレー、堆積、スパッタリング、又は、溶接処理ステップが、所望のアモルファス金属組成物を形成するために、後に相互拡散と反応を伴う合金成分の多層方式によるスパッタ蒸着を適用するステップを含む、請求項21記載の耐食性中性子吸収コーティングの形成方法。
【請求項39】
前記スプレー、堆積、スパッタリング、又は、溶接処理ステップが、低温コーティングプロセスを実現するために、機械的に硬い耐食性アモルファス金属を、より軟らかい耐食性金属またはバインダーを使用して堆積させるコールドスプレー法を使用するステップを含む、請求項21記載の耐食性中性子吸収コーティングの形成方法。
【請求項40】
前記スプレー、堆積、スパッタリング、又は、溶接処理ステップが、低温粉砕を使用するステップを含む、請求項21記載の耐食性中性子吸収コーティングの形成方法。
【請求項41】
前記均質金属合金又は金属−セラミック複合材料が、ボロン含有で鉄ベースのアモルファス金属粉末からの腐食しやすいbccフェライト相を有する望ましくない粒子を含有し、前記均質金属合金又は金属−セラミック複合材料から前記腐食しやすいbccフェライト相を有する望ましくない粒子を分離するために、磁界を使用することを含む、請求項21記載の耐食性中性子吸収コーティングの形成方法。
【請求項42】
コールドスプレー堆積、溶射(サーマルスプレー)堆積、物理蒸着、又は溶接処理を行なって、中性子吸収材料又は中性子減速材料を含有する均質金属合金又は金属−セラミック複合材料を形成するステップと、
中性子吸収プロセスで生成される核分裂生成ガスや他のガスを放出しやすいように特別に設計された、制御された多孔性のコーティングを作成するステップを含む、耐食性中性子吸収コーティングの形成方法。
【請求項43】
コールドスプレー堆積、溶射(サーマルスプレー)堆積、物理蒸着、又は、溶接処理を行なって、中性子吸収材料又は中性子減速材料を含有する均質金属合金又は金属−セラミック複合材料を形成するステップと、
堆積した金属膜ないしコーティングを、中性子減速に適した水素化物コーティングないし膜に変換するための電解処理をするステップと、を含む耐食性中性子吸収コーティングの形成方法。
【請求項44】
逆ミセル合成、化学沈殿、物理蒸着、化学蒸着、又は、電着を行なって、中性子吸収材料又は中性子減速材料を含有する均質金属合金又は金属−セラミック複合材料を形成するステップを含む、耐食性中性子吸収コーティングの形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−520876(P2009−520876A)
【公表日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−540264(P2008−540264)
【出願日】平成18年11月13日(2006.11.13)
【国際出願番号】PCT/US2006/044073
【国際公開番号】WO2007/117279
【国際公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【出願人】(508318650)ローレンス・リバモア・ナショナル・セキュリティ・エルエルシー (4)
【氏名又は名称原語表記】Lawrence Livermore National Security, LLC
【住所又は居所原語表記】Lawrence Livermore National Laboratory, 7000 East Avenue, L−703, Livermore, CA 94551−9234, United States of America
【出願人】(309008996)
【出願人】(309009007)
【出願人】(309009018)
【出願人】(309009029)
【出願人】(309009030)
【Fターム(参考)】