説明

耐食性皮膜の形成方法及び高温装置部材

【課題】長時間健全に高温下で使用できる耐食性皮膜の形成方法及びそれを用いた高温装置部材を提供する。
【解決手段】この耐食性皮膜の形成方法は、Ni−Cr系合金からなる基材10の表面にNiめっきを施して表面にNi層12を形成する工程と、Ni層が形成された表面にAl拡散処理を施してNi−Alからなる保護層18を形成する工程とを有する。Al拡散処理が施された場合に、Ni−Al層と基材との界面の位置ではCr当量がほぼ0であり、Al拡散処理によってその界面においてα−Cr層が形成されることがなく、その成長に伴ってボイドが形成されることもない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業用ガスタービンやジェットエンジン、マイクロガスタービン、エンジン、熱交換器、燃焼器など高温で用いられる耐食性皮膜の形成方法及び耐食性皮膜を用いた高温装置部材に関する。
【背景技術】
【0002】
産業用ガスタービン翼や、ボイラ管などの高温装置部材は、耐熱性および耐食性を向上させるために、表面にコーティングを施して使用する場合が多い。一般に、耐熱性を向上させるには、熱遮蔽コーティング(TBC)と呼ばれるセラミックスコーティングがなされる。一方、耐食性を向上させるには、CrあるいはAlの拡散浸透処理や、高Ni−高Cr合金の溶射などが施されている。溶射法は、成膜速度が大きいため比較的厚い膜(100μm以上)の形成に向いているが、溶射ガンの形状や大きさの制限から、複雑形状品への施工、薄膜の施工には向かない。
【0003】
これに対して、CrあるいはAl拡散処理によって保護層を形成する方法は、気相拡散方法であるため、ある程度複雑な物品にも適用が可能である。従来のAl拡散浸透処理は、図13に示すように、AlまたはAl+M(MはNi、Co又はCr)とAlとNHClとの混合粉末中に基材を埋没させ、水素あるいは不活性雰囲気中で700〜900℃で加熱する方法が採られている。基材がNi基合金の場合、表面にはNi−Al化合物が形成されるが、混合粉末中のAlの濃度によって、表面に形成されるNi−Al化合物の組成が変化する。
【0004】
このようにして形成された表面のAlリッチな保護層は、高温装置部材として用いられた場合に、高温下で表面にAl皮膜を形成する。このAl皮膜の中は、物質の拡散速度が小さいため、良好な保護性皮膜として働く。しかしながら、Al皮膜は熱応力などで剥離しやすいという欠点を併せ持つ。従って、Al皮膜を形成する場合にはAl皮膜の剥離防止技術を併用する必要がある。Al皮膜の剥離を防止するには、微量のZr、Hf、Ce、La、またはYなどの活性元素をAlリッチな保護層に添加することが有効であることが知られている。これらの活性元素は、溶射や物理蒸着などの物理的方法で添加されている。しかし、これら物理的な方法では、複雑な形状を有する部材には添加が困難な場合がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発明者等が、従来の方法でNi−20Cr−10Mo−18Fe(mass%)合金からなる高温装置部材にAl拡散処理を施して1000℃で1000時間以上使用したところ、表面のAl皮膜の剥離のみならず、Ni−Al合金からなる保護層そのものが剥離する現象が見られた。保護層の剥離箇所近傍の断面を観察したところ、図14に示すように、保護層と基材の界面にCr(Mo)リッチ層が形成されており、更にCr(Mo)リッチ層と基材の界面に多数のボイドが形成されていた。
【0006】
このCr(Mo)リッチ層の形成は、模式的に図15のNi−Cr−Al三元系状態図を用いて説明することができる。すなわち、Ni−50at%AlからNi−約35at%Cr(Mo,Fe)(Crの一部がMoとFeで置換されていても同様)へAlが拡散すると、α−Cr相/γ−NiCr相の二相共存域となるので、基材とNi−Al保護層の界面にCr(Mo)リッチ層が形成される。このCr(Mo)層が成長すると、各元素の拡散速度の差異に起因してボイドが発生し、ボイドが保護層の剥離の起点となるものと考えられる。
また、Ni−Al保護層そのものの剥離防止に加え、保護層表面に生成するAl皮膜の密着性を確保することも、部材の寿命延伸には重要である。
【0007】
上記のような保護層の剥離は、基材合金の組成と、Alの拡散条件によって決まってくる。しかし、Al拡散条件は、成膜速度などの制約から変更しない方が望ましい。
そこで本発明は、α−Cr相形成を抑制し、Ni−Al合金からなる保護層が剥離するのを防止するとともに、Al皮膜の剥離を防止することで、長時間健全に高温下で使用できる耐食性皮膜の形成方法及び耐食性皮膜を用いた高温装置部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の耐食性皮膜の形成方法は、Ni−Cr系合金からなる基材の表面にNiめっきを施して表面にNi層を形成する工程と、Ni層が形成された表面にAl拡散処理を施してNi−Alからなる保護層を形成する工程とを有することを特徴とする。Niめっきは、電気めっきによっても良いし、Ni−PやNi−Bなどの無電解めっきによっても良い。なお、ここでは、Crを20mass%以上含んだNi基合金をNi−Cr系合金と呼ぶ。
【0009】
請求項1に記載の発明においては、基材の表面にNiめっきを施して表面にNi層を形成しているので、Al拡散処理が施された場合に、Ni−Al層と基材との界面の位置ではCr当量(Ni基合金中でα相を形成する金属元素の総量)はほぼ0である。従って、Al拡散処理によってその界面においてα−Cr層が形成されることがなく、α−Cr層の成長に伴ってボイドが形成されることもない。
【0010】
Niめっき層の厚さは5〜50μmの範囲が好ましい。厚さが5μmより小さいと、Al拡散処理後のNi−Al層と基材との界面の位置が基材内に達してしまう可能性がある。また、Ni−Al層は比較的脆いため、Niめっき層の厚さが50μmを超えると例えば熱サイクルによってクラックが入る可能性が高くなる。Niめっき層の厚さは、より好ましくは10〜30μmである。
【0011】
請求項2に記載の耐食性皮膜の形成方法は、請求項1に記載の発明において、前記Niめっき層を形成する工程の後に、ゾルゲル法を用いて表面にZrO層を形成し、形成されたZrO層の上から前記Al拡散処理を行うことを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の発明においては、ゾルゲル法を用いて形成されたZrO層の上からAl拡散処理を行うという簡便な方法で、Ni−Al合金からなる保護層の少なくとも一部にZrが拡散し、Ni−Al合金保護層と後にNi−Al合金保護層表面に形成されたAl皮膜との固着性が高められる。ゾルゲル処理溶液中のZr4+の濃度は、0.01〜1.0mol/Lの範囲が好ましい。0.01mol/Lよりも濃度が低いと、Ni−Al合金保護層とAl皮膜との密着性を高める効果が現れない。また、1.0mol/Lよりも濃度が高いと、高温下での使用中に、Ni−Al合金保護層中において多量のZrOを形成してしまい、腐食が加速されてしまう。より好ましくは0.03〜0.3mol/Lである。
【0013】
請求項3に記載の耐食性皮膜の形成方法は、Ni−Cr系合金からなる基材の表面にNi−Bめっきを施して表面にNi−B層を形成する工程と、Ni−B層が形成された表面にAl拡散処理を施してNi−Al(B)からなる保護層を形成する工程とを有することを特徴とする。
【0014】
請求項3に記載の発明においては、基材の表面にNi−Bめっきを施して表面にNi−B層を形成しているので、Al拡散処理が施された場合に、Ni−Al層と基材との界面の位置ではCr当量(Ni基合金中でα相を形成する金属元素の総量)はほぼ0である。従って、Al拡散処理によってその界面においてα−Cr層が形成されることがなく、α−Cr層の成長に伴ってボイドが形成されることもない。 また、Ni−Bめっきを施す際に形成されるホウ素(B)化合物は比較的高融点のものが多いため、高温用途においても問題が起きることがない。
【0015】
Ni−B層の厚さは5〜50μmの範囲が好ましい。厚さが5μmより小さいと、Al拡散処理後のNi−Al層と基材との界面の位置が基材内に達してしまう可能性がある。また、Ni−Al層は比較的脆いため、Ni−B層の厚さが50μmを超えると熱サイクルによってクラックが入る可能性が高くなる。Ni−B層の厚さは、より好ましくは10〜30μmである。
【0016】
請求項4に記載の耐食性皮膜の形成方法は、請求項3に記載の発明において、前記Ni−B層を形成する工程の後に、ゾルゲル法を用いて表面にZrO層を形成し、形成されたZrO層の上から前記Al拡散処理を行うことを特徴とする。
【0017】
請求項4に記載の発明においては、ゾルゲル法を用いて形成されたZrO層の上からAl拡散処理を行うという簡便な方法で、Ni−Al合金からなる保護層の少なくとも一部にZrが拡散し、Ni−Al合金保護層と後にNi−Al合金保護層表面に形成されたAl皮膜との固着性が高められる。
【0018】
請求項5に記載の耐食性皮膜の形成方法は、Ni基合金からなる基材の表面にAl拡散処理を施してNi−Al合金からなる保護層を形成する方法において、基材の表面にゾルゲル法を用いてZrO層を形成した後に、前記Al拡散処理工程を行うことにより、前記Ni−Al合金からなる保護層の少なくとも一部にZrを拡散させることを特徴とする。
【0019】
請求項6に記載の耐食性皮膜の形成方法は、Ni−Cr系合金からなる基材の表面にAl拡散処理を施してNi−Al合金からなる保護層を形成する方法において、基材の表面にゾルゲル法を用いてZrO層を形成した後に、前記Al拡散処理工程を行うことにより、前記Ni−Al合金からなる保護層の少なくとも一部にZrを拡散させることを特徴とする。
【0020】
請求項5および6に記載の発明においては、ゾルゲル法を用いて形成されたZrO層の上からAl拡散処理を行うという簡便な方法で、Ni−Al合金からなる保護層の少なくとも一部にZrが拡散し、Ni−Al合金保護層と後に保護層の表面に形成されたAl皮膜との固着性が高められる。
【0021】
請求項7に記載の高温装置部材は、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のNi−Al(B)またはNi−Alからなる保護層を形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、Al拡散処理を施して形成されたNi−Al合金からなる保護層の剥離を防止して、保護層を長時間健全に高温下で使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照してこの発明の実施の形態を説明する。
図1は、この発明の耐食性皮膜の形成方法の1つの実施の形態を模式的に示すもので、耐食性皮膜の形成方法は以下の工程からなる。(1)Ni−Cr系合金からなる基材10の表面に、Ni−B層12を形成する。(2)密閉容器14内で、基材表面をAl+Al+NHClの混合粉末16で被覆し、所定の雰囲気中で、所定温度において、所定時間のAl拡散処理を行う。(3)これにより、Ni−B層中にAlが拡散し、Ni−Al合金からなる保護層18が形成される。
【0024】
また、図2は、この発明の耐食性皮膜の形成方法の他の実施の形態を模式的に示すもので、耐食性皮膜の形成方法は以下の工程からなる。(1)Ni−Cr系合金からなる基材10の表面に、Ni−B層12を形成する。(2)ゾルゲル法によってNi−B層12の表面にZrO層20を形成する。(3)密閉容器14内で、基材表面をAl+Al+NHClの混合粉末16で被覆し、所定の雰囲気中で、所定温度において、所定時間のAl拡散処理を行う。(4)これにより、Ni−B層中にAlが拡散し、かつその少なくとも一部にZrが拡散したNi−Al合金からなる保護層18Aが形成される。
【0025】
上記、Ni−B層を形成する過程において、Ni−B無電解めっきの代わりに、Ni電気めっき、あるいは無電解Ni−Pめっきを行っても良い。
【0026】
[実施例1]
Ni−20Cr−18Fe−10Mo(mass%)合金からなる基材(試験片)に、Ni−B無電解めっきを施して膜厚が約20μmのNi−Bめっき膜を形成した後、基材をAl+Al+NHClの混合粉末に埋め込み、Ar雰囲気中、800℃で4時間のAl拡散処理を施してNi−Al(B)保護層を形成した。処理後の保護層の断面を図3に示す。この図に示すように、基材とNi−Al(B)層の界面にCr(Mo)リッチ層は形成されていなかった。
【0027】
[実施例2]
Ni−20Cr−18Fe−10Mo(mass%)合金からなる基材(試験片)に、Ni電気めっきを施して膜厚が約20μmのNiめっき膜を形成した後、基材をAl+Al+NHClの混合粉末に埋め込み、Ar雰囲気中、800℃で4時間のAl拡散処理を施してNi−Al合金からなる保護層を形成した。処理後の保護層の断面を図17に示す。この図に示すように、基材とNi−Al保護層の界面にCr(Mo)リッチ層は形成されていなかった。
【0028】
[比較例1]
実施例1で使用された基材と同じNi−20Cr−18Fe−10Mo(mass%)合金からなる基材(試験片)を直接Al+Al+NHClの混合粉末に埋め込み、Ar雰囲気中、800℃で4時間のAl拡散処理を施しNi−Al保護層を形成した。処理後の保護層の断面の金属組織を図4に示す。この図に示すように、基材とNi−Al層の界面にCr(Mo)リッチ層が形成されており、実機での使用の際には、図14に示すような保護層の早期の剥離が予想される。
【0029】
[実施例3〜実施例5]
Ni−20Cr−18Fe−10Mo(mass%)合金からなる各基材(試験片)に、Ni−B無電解めっきを施して膜厚が約30μmのNi−Bめっき膜を形成した後、ゾルゲル法によって各Ni−B層の表面にZrO層を形成した。なお、ゾルゲル処理に用いた処理液のZrの各濃度を0.01mol/L(実施例3)、0.05mol/L(実施例4)、0.1mol/L(実施例5)の3水準とした。その後、2つの層を形成した各試験片を、Al+Al+NHClの混合粉末に埋め込み、Ar雰囲気中、800℃で4時間のAl拡散処理を施してNi−Al(B)保護層を形成した。処理後の保護層断面は、実施例1の場合(図3)と同様に、基材とNi−Al(B)層の界面にCr(Mo)リッチ層は形成されていなかった。
【0030】
Al拡散処理によるAlおよびZrの存在状態を調べるために、Zr添加量が最も多い実施例5において、保護層の断面の組成分析を行った。図5および図6に、Al拡散処理の前後の試験片断面の走査型電子顕微鏡による組織写真を示し、図7に、保護層部分の組成分析を示す。
この結果、図7に示すように、Ni−Bめっき層の外側にほぼ40at%Ni−60at%(原子%)Alの組成のAl拡散層が形成され、Al拡散層のごく表面部分にZrリッチな層が薄く形成されていることが分かる。
【0031】
[高温腐食試験]
実施例1,3〜5について、1100℃で750時間の熱サイクル下で、高温腐食試験をした際の試験片の重量変化を図8に示す。図8において、高温下で保護層表面にアルミナ(Al)皮膜が成長すると、試験片の重量は増加するが、そのアルミナ皮膜が剥離すると剥離量に応じて試験片の重量が減少する。さらに、保護層と合金基材の界面におけるα−Cr相の成長によって保護層そのものが剥離すると、著しい重量減少が生じることが予想できる。従って、重量減少の少ない試料は保護層およびアルミナ皮膜の密着性が良好であることを示す。
いずれの試験片においても、保護層の剥離に起因するような急激な減量は見られなかった。
しかしながら、実施例1の試験片では、アルミナ皮膜表面の剥離に伴うと思われる重量減少が見られた。一方、実施例3〜5においては、Zrの添加量が増加するとともに、試験片の重量減少がみられなくなり、実施例5では600時間を超えても試験片の減量が見られなかった。
これら実施例1,3〜5における試験片の、高温腐食試験後の断面の組織写真をそれぞれ図9ないし図12に示す。図9に示すように、Zrを添加していない試料は、試験片表面全体にわたってアルミナ皮膜が剥離して、表面は非保護性の酸化物に覆われていたが、図10〜12に示すように、ゾルゲル法によってZrを添加した試料は保護性のアルミナ皮膜で覆われていた。これにより、本発明の方法による保護層へのZr添加が実効性を持つことが確認された。
【0032】
[実施例6]
Ni−8Cr−10Co−3Ta−5.5Al−1Ti−1.5Hf(mass%)合金からなる基材(試験片)に、ゾルゲル法によってその表面にZrO層を形成した。その後、実施例3〜5と同様のAl拡散処理を施した。なお、ゾルゲル法に用いた処理液のZrの濃度は0.1mol/Lとした。Al拡散処理後の試験片表面の写真と電子線プローブマイクロアナリシス(EPMA)による元素分析結果を図18に示す。表面には1.7at%のZrを含有しており、上記実施例3〜5と同様に保護性酸化物皮膜(Al皮膜)の剥離抑制に有効と思われる。
【0033】
図16に示すようなNi−Al保護層が例えばNi−20Cr−18Fe−10Mo(mass%)合金製のマイクロガスタービンの燃焼器に対して本発明の方法により処理を施すことで、Ni−Al保護層および保護層表面に形成されるAl皮膜の剥離が抑制され、燃焼器の寿命を延伸できるものと考えられる。図16は本発明を適用するのに好適なマイクロガスタービンにおける燃焼器ライナ1の燃料噴射ノズル2を示す。これらのノズルは燃焼器ライナの内表面から突出している。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】この発明の第1の実施の形態の耐食性皮膜の形成方法を模式的に説明する図である。
【図2】この発明の第2の実施の形態の耐食性皮膜の形成方法を模式的に説明する図である。
【図3】この発明の実施例1における処理後の試験片の断面を示す顕微鏡写真である。
【図4】比較例1における処理後の試験片の断面を示す顕微鏡写真である。
【図5】この発明の実施例5におけるAl拡散処理前の試験片の表面を示す顕微鏡写真である。
【図6】この発明の実施例5におけるAl拡散処理後の試験片の表面を示す顕微鏡写真である。
【図7】この発明の実施例5における試験片の保護層部分の断面組成分析を示すグラフである。
【図8】この発明の実施例1,3〜5における試験片について高温腐食試験をした際の重量変化を示すグラフである。
【図9】この発明の実施例1について高温腐食試験をした際の試験後の試験片の表面の組織写真である。
【図10】この発明の実施例3について高温腐食試験をした際の試験後の試験片の表面の組織写真である。
【図11】この発明の実施例4について高温腐食試験をした際の試験後の試験片の表面の組織写真である。
【図12】この発明の実施例5について高温腐食試験をした際の試験後の試験片の表面の組織写真である。
【図13】従来のAl拡散浸透処理を示す図である。
【図14】従来の方法でAl拡散処理を施した保護層の剥離箇所近傍の断面を観察した組織写真である。
【図15】図14の保護層の剥離を説明するためのNi−Cr−Al系の3元系状態図である。
【図16】本発明に係るマイクロガスタービンの燃焼器ライナの斜視図である。
【図17】実施例2における処理後の試験片の断面を示す顕微鏡写真である。
【図18】実施例6における処理後の試験片の表面を示す写真および電子線プローブマイクロアナリシス(EPMA)による元素分析結果である。
【符号の説明】
【0035】
1 燃焼器ライナ
2 燃料噴射ノズル
10 基材
12 Ni−B層
16 Al+Al+NHClの混合粉末
18 保護層




【特許請求の範囲】
【請求項1】
Ni−Cr系合金からなる基材の表面にNiめっきを施して表面にNi層を形成する工程と、Ni層が形成された表面にAl拡散処理を施してNi−Alからなる保護層を形成する工程とを有することを特徴とする耐食性皮膜の形成方法。
【請求項2】
前記Ni層を形成する工程の後に、ゾルゲル法を用いて表面にZrO層を形成し、形成されたZrO層の上から前記Al拡散処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の耐食性皮膜の形成方法。
【請求項3】
Ni−Cr系合金からなる基材の表面にNi−Bめっきを施して表面にNi−B層を形成する工程と、Ni−B層が形成された表面にAl拡散処理を施してNi−Al(B)からなる保護層を形成する工程とを有することを特徴とする耐食性皮膜の形成方法。
【請求項4】
前記Ni−B層を形成する工程の後に、ゾルゲル法を用いて表面にZrO層を形成し、形成されたZrO層の上から前記Al拡散処理を行うことを特徴とする請求項3に記載の耐食性皮膜の形成方法。
【請求項5】
Ni基合金からなる基材の表面にAl拡散処理を施してNi−Al合金からなる保護層を形成する方法において、基材の表面にゾルゲル法を用いてZrO層を形成した後に、前記Al拡散処理工程を行うことにより、前記Ni−Al合金からなる保護層の少なくとも一部にZrを拡散させることを特徴とする耐食性皮膜の形成方法。
【請求項6】
Ni−Cr系合金からなる基材の表面にAl拡散処理を施してNi−Al合金からなる保護層を形成する方法において、基材の表面にゾルゲル法を用いてZrO層を形成した後に、前記Al拡散処理工程を行うことにより、前記Ni−Al合金からなる保護層の少なくとも一部にZrを拡散させることを特徴とする耐食性皮膜の形成方法。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の保護層を形成したことを特徴とする高温装置部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2008−266789(P2008−266789A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−85726(P2008−85726)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】