説明

耳孔内情報取得装置および固定機構

【課題】鼓膜の放射熱を測定する温度計において、鼓膜に対して安定的にセンサを対向させることができ、長時間使用しても当該センサの向きを一定に保持できる耳孔内情報取得装置を提供する。
【解決手段】本技術に係る耳孔内情報取得装置は、外耳道内に挿入され、耳孔内における情報を取得する情報取得部と、情報取得部を外耳道内で固定する固定機構と、を備え、固定機構は、情報取得部と接続され外耳道入口側へ延びるワイヤを覆い、外耳道方向の少なくとも1箇所において、鼓膜に向かって反り上がり外耳道の壁面に向かって起立する複数の支持毛が外周に沿って外側面に設けられるロッド部と、ロッド部に設けられた支持毛の起立状態を調整する調整部と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、耳孔内情報取得装置および固定機構に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、鼓膜から放出される放射熱を測定して体温を測定する形式の体温計が提案されている。このような体温計では、外耳道より鼓膜の放射熱を測定するセンサを挿入し、非接触で鼓膜から放出される放射熱を測定している。例えば特許文献1には、鼓膜からの赤外線を検出し周囲温度と鼓膜温度との温度差に比例して出力電圧を発生する第1の温度センサと、第1の温度センサ近傍の温度を検出する第2の温度センサとからなるセンサ部を外耳道内に挿入する鼓膜温度測定装置が開示されている。センサ部が収納されたパッケージは、外耳道入口と外耳道の第1屈曲部との間に略充填される形状のシリコンゴムからなる支持体により保持され、支持体を外耳道に挿着することでパッケージを外耳道内に位置させることができる。
【0003】
従来の鼓膜の放射熱を測定する温度計の挿入部分の形状は、外耳道内で安定的に固定するために、外耳道に沿った形状(例えば、特許文献1、2)やコーン型(例えば、特許文献3)に形成されるのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2671946号公報
【特許文献2】特開2002−340681号公報
【特許文献3】特開平11−28194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1〜3では、温度計による鼓膜の放射熱の計測は、短時間で1回のみの計測を前提としており、長時間計測し続けることについて考慮されていない。外耳道入口側において温度計の挿入部分を鼓膜側へしっかりと押し付けていなければ温度計が耳から脱落してしまうため、外耳道内に挿入されたセンサ部の向きを一定に保持することが難しく、また、ユーザによっての不快感も大きい。
【0006】
そこで、鼓膜の放射熱を測定する温度計において、鼓膜に対して安定的にセンサを対向させることができ、長時間使用しても当該センサの向きを一定に保持できることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示によれば、外耳道内に挿入され、耳孔内における情報を取得する情報取得部と、情報取得部を外耳道内で固定する固定機構と、を備え、固定機構は、情報取得部と接続され外耳道入口側へ延びるワイヤを覆い、外耳道方向の少なくとも1箇所において、鼓膜に向かって反り上がり外耳道の壁面に向かって起立する複数の支持毛が外周に沿って外側面に設けられるロッド部と、ロッド部に設けられた支持毛の起立状態を調整する調整部と、を有する、耳孔内情報取得装置が提供される。
【0008】
また、本開示によれば、外耳道内へ挿入されるワイヤの外耳道挿入部分を覆い、外耳道方向の少なくとも1箇所において、鼓膜に向かって反り上がり外耳道の壁面に向かって起立する複数の支持毛が外周に沿って外側面に設けられるロッド部と、ロッド部に設けられた支持毛の起立状態を調整する調整部と、を有する、固定機構が提供される。
【0009】
本開示によれば、情報取得部が接続されたワイヤが、外周に複数の支持毛が設けられたロッド部によって支持される。これにより、情報取得部は、外耳道の中心に位置するように支持毛によって保持されるので、鼓膜に対して安定的にセンサを対向させることができ、長時間使用しても当該センサの向きを一定に保持できる。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように本開示によれば、鼓膜の放射熱を測定する温度計において、鼓膜に対して安定的にセンサを対向させることができ、長時間使用しても当該センサの向きを一定に保持できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本開示の実施形態に係る鼓膜温度計の概略構成を示す説明図であって、外耳道内に固定した状態を示す。
【図2】同実施形態に係る鼓膜温度計の概略構成を示す説明図であって、外耳道内での移動が可能な状態を示す。
【図3】ストッパの他の構成例を示す説明図である。
【図4】同実施形態に係る鼓膜温度計の温度測定機能についてのブロック図である。
【図5】同実施形態に係る固定機構の機能原理を説明するための説明図である。
【図6】本実施形態に係る鼓膜温度計の外耳道挿入部分の第1の構成例を示す説明図である。
【図7】図6の外耳道挿入部分の断面図である。
【図8】図6に示す外耳道挿入部分の構成の変形例を示す説明図である。
【図9】本実施形態に係る鼓膜温度計の外耳道挿入部分の第2の構成例を示す説明図である。
【図10】図9の外耳道挿入部分のロッド部の構成を示す断面図である。
【図11】図9の外耳道挿入部分の支持毛ユニットの構成を示す前面図であって、図9のロッド部の長手方向から見た状態を示す。
【図12】同実施形態に係る鼓膜温度計の外耳道挿入部分の第3の構成例を示す分解斜視図である。
【図13】図12に示す固定機構における支持毛の起立状態の調整方法を説明する説明図である。
【図14】調整部を操作する操作部の一構成例を示す概略斜視図である。
【図15】調整部を操作する操作部の他の構成例を示す概略斜視図である。
【図16】固定機構における複数の支持毛の一配置例を示す説明図である。
【図17】固定機構における複数の支持毛の他の配置例を示す説明図である。
【図18】同実施形態に係る距離検出センサと鼓膜との関係を示す説明図である。
【図19】距離検出センサにより検出される受光強度分布と、鼓膜に対する距離検出センサとの位置関係を説明する説明図である。
【図20】同実施形態に係る距離検出装置の機能構成を示す機能ブロック図である。
【図21】同実施形態に係る距離検出装置によるナビゲーション処理を示すフローチャートである。
【図22】同実施形態に係る距離検出装置のハードウェア構成例を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0013】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.鼓膜温度計の概略構成
1−1.鼓膜温度計の概要
1−2.鼓膜の放射熱による温度測定
2.固定機構の構成とその機能
2−1.固定機構の機能原理
2−2.鼓膜温度計の外耳道挿入部分の構成
2−3.調整部を操作する操作部
2−4.支持毛の機能
3.鼓膜と温度センサとの距離検出
3−1.距離検出機能の概要
3−2.距離検出装置の機能構成
3−3.距離検出装置によるナビゲーション
4.ハードウェア構成例
【0014】
<1.鼓膜温度計の概略構成>
まず、図1〜図4に基づいて、本開示の実施形態に係る鼓膜温度計の概略構成について説明する。なお、図1は、本実施形態に係る鼓膜温度計100の概略構成を示す説明図であって、外耳道12内に固定した状態を示す。図2は、本実施形態に係る鼓膜温度計100の概略構成を示す説明図であって、外耳道12内での移動が可能な状態を示す。図3は、ストッパ140の他の構成例を示す説明図である。図4は、本実施形態に係る鼓膜温度計100の温度測定機能についてのブロック図である。
【0015】
[1−1.鼓膜温度計の概要]
本実施形態に係る鼓膜温度計は、耳孔内における情報として鼓膜から放出される放射熱を測定して体温を測定する耳孔内情報取得装置である。鼓膜温度計100は、図1および図2に示すように、外耳道12内に挿入され、耳孔内における情報を取得する情報取得部である温度センサ110と、温度センサ110と接続されて外耳道入口側へ延びるセンサワイヤ120とを備える。さらに、鼓膜温度計100は、センサワイヤ120の外周に設けられて温度センサ110を外耳道12内で固定する固定機構130と、温度センサ110の鼓膜14方向への移動を規制するストッパ140とを備える。
【0016】
ユーザは、鼓膜温度計100を使用する際、温度センサ110を外耳道12へ挿入し、鼓膜14近辺まで挿入する。温度センサ110の挿入に伴ってセンサワイヤ120も外耳道12内に挿入される。センサワイヤ120は、柔軟に屈曲する性質を有しており、屈曲する外耳道12に沿って移動させることができる。なお、温度センサ110を外耳道12内で移動させているときには、固定機構130は作動されず、自由に移動させることができる。
【0017】
固定機構130の詳細な構成は後述するが、温度センサ110を外耳道12内で移動させる場合には、図2に示すように、固定機構130を構成する複数の支持毛が外耳道12の壁面と非接触にされる。これにより、温度センサ110の移動は妨げられず、外耳道12内を移動させることができる。
【0018】
温度センサ110が鼓膜14からの放射熱を直接測定可能な適正位置にあるとき、図1に示すように、固定機構130を作動させて、当該適正位置で温度センサ110を固定することができる。固定機構130の詳細な構成は後述するが、センサワイヤ120の外周から外耳道12の壁面に向かって起立する複数の支持毛の先端を外耳道12の壁面に接触させることで、温度センサ110を鼓膜14側へ移動させようとしたときに抵抗が発生する。これにより、温度センサ110の位置を固定することができる。
【0019】
また、鼓膜温度計100は、温度センサ110が外耳道12内の適正位置に位置したときに、ストッパ140が外耳道120の入口で引っかかり、これ以上温度センサ110が鼓膜14側へ移動できないように構成されている。このように、固定機構130およびストッパ140を機能させることにより、温度センサ110が適正位置より鼓膜14側へ移動しないようにすることができ、ユーザの安全性を確保することができる。なお、図1に示すストッパ140は、外耳道12の入口に引っかかるように、外耳道12の入口の開口面積よりも大きいつばを有する形状に構成されているが、本技術はかかる例に限定されず、例えば図3に示すようにイヤパッド形状のストッパ240を用いてもよい。
【0020】
図1のように鼓膜温度計100を適正位置で固定した状態から温度センサ110を外耳道12の入口側へ引き出すときには、再び固定機構130の作動が解除される。これにより、外耳道120の壁面に接触していた複数の支持毛が図2に示すように非接触となり、温度センサ110を移動可能にする。なお、ストッパ140を上述のように設けることで温度センサ110は適正位置より鼓膜14側へ移動することはなく、固定機構130の作動を解除しても温度センサ110が誤って鼓膜14側へ移動されることはない。
【0021】
[1−2.鼓膜の放射熱による温度測定]
次に、本実施形態に係る鼓膜温度計100の温度測定機能について、図4に基づき説明する。図4に示すように、本実施形態に係る鼓膜温度計100は、温度センサ110と、アンプ部113と、マイコン演算部115と、温度表示器117とにより温度測定機能を実現している。
【0022】
温度センサ110は、鼓膜14の放射熱を測定して鼓膜14の温度を測定するセンサである。図1および図2に示したように、温度センサ110は外耳道12内に挿入され、鼓膜14の放射熱を検出可能な適正位置まで挿入される。本実施形態に係る温度センサ110は、例えば、複数の熱電対からなるサーモパイル等のように鼓膜14からの赤外線を検出する赤外線センサと、サーミスタやダイオード等の温度補償用センサとから構成することができる。温度センサ110は、測定した放射熱の熱エネルギーを電圧に変換し、センサワイヤ120を介してアンプ部113へ出力する。
【0023】
アンプ部113は、温度センサ110から入力された電圧を増幅し、デジタル信号に変換してマイコン演算部115へ出力する。
【0024】
マイコン演算部115は、アンプ部113から入力されたデジタル信号に基づいて鼓膜14の温度を算出する。マイコン演算部115は、赤外線センサによる測定値に対応するデジタル信号から鼓膜14の温度と赤外線センサの周囲温度との温度差を算出するとともに、温度補償用センサによる測定値に対応するデジタル信号から赤外線センサの周囲温度を算出する。そして、マイコン演算部1115は、赤外線センサの周囲温度を当該周囲温度と鼓膜14の温度と温度差で補正し、鼓膜14の温度を算出する。マイコン演算部115により算出された鼓膜14の温度は温度表示器117へ出力され、温度表示器117に表示される。
【0025】
鼓膜温度計100は、このような温度測定機能を備えることで鼓膜14の温度を測定できる。なお、後述するように、鼓膜温度計100の温度測定機能のうち、少なくとも温度センサ110が外耳道12内に挿入可能であればよい。アンプ部113、マイコン演算部115および温度表示部117は、外耳道12外に設けるようにしてもよい。
【0026】
<2.固定機構の構成とその機能>
本実施形態に係る鼓膜温度計100は、外耳道12の屈曲に柔軟に対応して温度センサ110を鼓膜14に安定して対向させる固定機構130を備える。以下、固定機構130の構成とその機能について、詳細に説明する。
【0027】
[2−1.固定機構の機能原理]
まず、図5に基づいて、本実施形態に係る固定機構130の機能原理を説明する。図5は、本実施形態に係る固定機構130の機能原理を説明するための説明図である。
【0028】
固定機構130は、センサワイヤ120の外周を覆うロッド部131に設けられた複数の支持毛132と、支持毛132の起立角度を変化させて支持毛132の起立状態を調整する調整部134とからなる。図5では、固定機構130を構成する複数の支持毛132のうち、1本の支持毛132を拡大して示している。
【0029】
支持毛132は、例えばナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の材質からなり、ロッド部131の表面から湾曲して反り上がった起立状態を基本状態して設けられている。支持毛132は、外耳道12内で起立した状態で外耳道12の壁面に接触する長さに設定され、例えば約5〜10mmに設定してもよい。また、支持毛132の先端132bは、図5に示すように例えば球状にしてもよい。これにより、支持毛132の先端が外耳道12壁面に接触するときは点接触するため、外耳道12壁面に対して複数の支持毛132がそれぞれ荷重を均一に加えることができる。また、支持毛132の先端を球状とすることで、外耳道12壁面に接触したときの安全性を高めることができ、不快感も和らげることができる。
【0030】
支持毛132は、ロッド部131に固定された支点132aから先端132bへの反りが、外耳道12入口側から鼓膜14への向きの温度センサ110の移動を妨げる向きとなるように、鼓膜温度計100に設けられる。これにより、支持毛132が起立状態であるときには支持毛132が外耳道12壁面に接触して温度センサ110を鼓膜14側へ移動させることができなくなる。一方で、温度センサ110を挿入したときに支持毛132が外耳道12壁面に接触しないようにすれば、温度センサ110を外耳道12内へ挿入して鼓膜14に近づけることが可能となる。このように、外耳道12壁面に対する支持毛132の接触・非接触状態を切り替えるため、固定機構130にはロッド部131表面に対する支持毛132の起立角度を変化させる調整部134が設けられている。
【0031】
調整部134は、例えば図5に示すように、支持毛132が挿通された環部134aと、環部143aと接続された引き紐143bとからなる。図5上図に示すように、調整部134が支持毛132の基本状態を維持しているとき、支持毛132は起きた状態(起立状態)となる。一方、調整部134の引き紐134bに対して支持毛132が反り出している方向への引っ張り力が加えられると、引き紐134bと接続された環部143aが支持毛132の先端132b側へ移動される。これにより、支持毛132は、図5下図に示すように、先端132bがロッド部131に近接して基準状態と比較して起立角度が小さくなり、寝た状態となる。
【0032】
すなわち、調整部134の引き紐134bに引っ張り力を加えると、支持毛132が寝た状態となって外耳道12壁面への接触をなくすことができる。一方、調整部134の引き紐134bに対する引っ張り力をなくすと、支持毛132が起立状態となって外耳道12壁面に接触させることができる。
【0033】
[2−2.鼓膜温度計の外耳道挿入部分の構成]
上述した固定機構130の機能原理に基づき構成された、本実施形態に係る鼓膜温度計100の外耳道12への挿入部分の構成について、図6〜図13に基づき説明する。
【0034】
(a)第1の構成例
まず、図6〜図8に基づいて、本実施形態に係る鼓膜温度計100の外耳道12への挿入部分の第1の構成例を説明する。図6は、本実施形態に係る鼓膜温度計100の外耳道挿入部分の第1の構成例を示す説明図である。図7は、図6の外耳道挿入部分の断面図である。図8は、図6に示す外耳道挿入部分の構成の変形例を示す説明図である。なお、図6〜図8では、説明のため、センサワイヤ120を直線で示し、固定機構130のロッド部131を拡大して記載している。鼓膜温度計100の外形は、図1および図2に示すような形状である。また、図6および図8では、説明のため、支持毛132を1本のみ記載しているが、ロッド部131には複数の支持毛132が設けられている。
【0035】
鼓膜温度計100の外耳道12への挿入部分の第1の構成例では、図6および図7に示すように、図4で説明した温度測定機能を構成するセンサワイヤ120で接続された温度センサ110とアンプ部113との間に固定機構130を設けている。固定機構130のロッド部131には、長手方向に貫通する第1の通路131aおよび第2の通路131bが形成されている。本実施形態では、第1の通路131aには後述するように調整部134の引き紐134bが挿通され、第2の通路131bにはセンサワイヤ120が挿通される。すなわち、鼓膜温度計100の外耳道挿入部分は、固定機構130を基準として、外耳道12に挿入される先端側に温度センサ110が配置され、温度センサ110と反対側から温度センサ110と接続されたセンサワイヤ120および引き紐134bが延出される。
【0036】
なお、図6では、温度センサ110とアンプ部113との間に固定機構130を設ける構成を示したが、本技術はかかる例に限定されず、例えば図8に示すように、アンプ部113を、固定機構130に対して温度センサ110側に設けてもよい。この場合、アンプ部113とマイコン演算部115とを接続するセンサワイヤ120がロッド部131の第1の通路を通っていることになる。
【0037】
固定機構130のロッド部131の外周面に複数の支持毛132が設けられている。支持毛132は、鼓膜14側に向かって反り上がるように、すなわち温度センサ110が設けられている側に向かって反り上がるように設けられている。これにより、支持毛132が起立状態であるときには、外耳道12内において温度センサ110を鼓膜14側へ移動させることができなくなる。
【0038】
各支持毛132には、それぞれ調整部134が設けられている。調整部134は、支持毛132が挿通された環部134aと、環部134aに接続された引き紐134bとからなる。ここで、外耳道12の外側で引き紐134bに対して加える引っ張り力を調整するため、引き紐134bは、環部134aから温度センサ110側へ延ばされた後、ロッド部131の第1の通路131aを通って温度センサ110と反対側に引き出される。
【0039】
引き紐134bに対して温度センサ110と反対側に向かって引っ張り力を加えると、環部134aは温度センサ110側に移動する。すなわち、環部134aは、挿通された支持毛132の先端132bに向かって移動する。これにより、温度センサ110に向かって起立していた支持毛132は、その起立角度が小さくなり、寝た状態となる。一方、引き紐134bに対して加えられていた温度センサ110と反対側への引っ張り力を緩めると、環部134aは支持毛132の基本状態に戻ろうとする復元力によって温度センサ110と反対側に移動する。すなわち、環部134aは、挿通された支持毛132の支点132aに向かって移動する。これにより、寝た状態の支持毛132を、温度センサ110に向かって起立した状態とすることができる。
【0040】
こうして、外耳道12の外側でユーザが引き紐134bに対して引っ張り力を加えたり、加えている引っ張り力を緩めたりすることで、支持毛132の起立状態を調整することができる。
【0041】
(b)第2の構成例
次に、図9〜図11に基づいて、本実施形態に係る鼓膜温度計100の外耳道12への挿入部分の第2の構成例を説明する。図9は、本実施形態に係る鼓膜温度計100の外耳道挿入部分の第2の構成例を示す説明図である。図10は、図9の外耳道挿入部分のロッド部220の構成を示す断面図である。図11は、図9の外耳道挿入部分の支持毛ユニット233の構成を示す前面図であって、図9のロッド部220の長手方向から見た状態を示す。なお、図9では、説明のため、センサワイヤ120を直線で示し、固定機構230のロッド部220を拡大して記載している。鼓膜温度計100の外形は、図1および図2に示すような形状である。
【0042】
鼓膜温度計100の外耳道12への挿入部分の第2の構成例では、図9に示すように、図4で説明した温度測定機能を構成するセンサワイヤ120で接続された温度センサ110とアンプ部113との間に固定機構230を設けている。固定機構230のロッド部200には、長手方向に貫通する第1の通路221aおよび第2の通路221bが形成されている。本実施形態では、第1の通路221aには後述するように調整部である引き紐234が挿通され、第2の通路221bにはセンサワイヤ120が挿通される。すなわち、鼓膜温度計100の外耳道挿入部分は、固定機構230を基準として、外耳道12に挿入される先端側に温度センサ110が配置され、温度センサ110と反対側から温度センサ110と接続されたセンサワイヤ120および引き紐234が延出される。なお、第1の構成例の説明にて説明したように、アンプ部113を固定機構230に対して温度センサ110側に設けてもよい。
【0043】
また、ロッド部220の外周面には、図10に示すように、複数の環部223が固定されている。図9に示すように、各環部233には、後述する支持毛ユニット223の支持毛231がそれぞれ挿通される。
【0044】
ロッド部220の外周面には、複数の支持毛232からなる支持毛ユニット233が設けられている。なお、図9には固定機構230に1つの支持毛ユニット233を設けた場合を示しているが、本技術はかかる例に限定されず、固定機構230には複数の支持毛ユニット233を設けてもよい。
【0045】
支持毛ユニット233は、図11に示すように、ロッド部220が挿通されたリング231に対して、複数の支持毛232を放射状に設けて構成される。支持毛ユニット233はロッド部220に対して長手方向に移動可能に設けられている。このとき、支持毛232は、鼓膜14側に向かって反り上がるように、すなわち温度センサ110が設けられている側に向かって反り上がるように設けられている。これにより、支持毛232が起立状態であるときには、外耳道12内において温度センサ110を鼓膜14側へ移動させることができなくなる。
【0046】
支持毛ユニット233には、それぞれ調整部として引き紐234が設けられている。引き紐234は、図9に示すように、その一端が支持毛ユニット233のリング231に固定されている。そして、外耳道12の外側で引き紐234に対して加える引っ張り力を調整するため、引き紐234は、リング231から温度センサ110側へ延ばされた後、ロッド部220の第1の通路221aを通って温度センサ110と反対側に引き出される。
【0047】
引き紐234に対して温度センサ110と反対側に向かって引っ張り力を加えるとリング231は温度センサ110側に移動する。これにより、リング231に固定された支持毛232も温度センサ110側へ移動する。このとき、支持毛232の根元(リング231への固定部分)にロッド部220に固定された環部223が位置するため、支持毛232は起立状態となる。一方、引き紐234に対して加えられていた温度センサ110と反対側への引っ張り力を緩めると、リング231は温度センサ110と反対側に移動する。これにより、リング231に固定された支持毛232も温度センサ110と反対側へ移動する。このとき、支持毛232の先端232b側にロッド部220に固定された環部223が位置するため、温度センサ110に向かって起立していた支持毛232は、その起立角度が小さくなり、寝た状態となる。
【0048】
こうして、外耳道12の外側でユーザが引き紐234に対して引っ張り力を加えたり、加えている引っ張り力を緩めたりすることで、支持毛232の起立状態を調整することができる。
【0049】
なお、図9では、調整部である引き紐234をリング231から温度センサ110側へ延ばした後、ロッド部220の第1の通路221aを通って温度センサ110と反対側に引き出しているが、本技術はかかる例に限定されない。例えば、リング231が最も温度センサ110から離隔される位置よりさらに温度センサ110から離隔した位置において、ロッド部220の外周に第1の通路221aと連通する貫通孔を形成する。そして、引き紐234を、リング231から当該貫通孔、第1の通路221aを通り、温度センサ110と反対側から引き出す。これにより、引き紐234に対して温度センサ110と反対側に向かって引っ張り力を加えるとリング231は温度センサ110側と反対側に移動し、支持毛232は寝た状態となる。一方、引き紐234に対して加えられていた温度センサ110と反対側への引っ張り力を緩めると、リング231は温度センサ110側に移動するため、寝ていた支持毛232は温度センサ110に向かって起立する状態となる。
【0050】
(c)第3の構成例
次に、図12および図13に基づいて、本実施形態に係る鼓膜温度計100の外耳道12への挿入部分の第3の構成例を説明する。図12は、本実施形態に係る鼓膜温度計100の外耳道挿入部分の第3の構成例を示す分解斜視図である。図13は、図12に示す固定機構における支持毛332の起立状態の調整方法を説明する説明図である。なお、図12では、センサワイヤ320は一部のみ記載しており、実際には図1および図2に示すように長手方向に延びており、その一端には温度センサ110が設けられ、他端は外耳道12外側に引き出されている。
【0051】
鼓膜温度計100の外耳道12への挿入部分の第3の構成例では、図12に示すように、図4で説明した温度測定機能を構成するセンサワイヤ320(図4の符号120に対応)で接続された温度センサ110とアンプ部113との間に固定機構350を設けている。固定機構350は、センサワイヤ320を覆い、当該センサワイヤ320に固定される中空のロッド部330と、ロッド部330の外周に挿着されるメッシュユニット340とからなる。
【0052】
具体的には、ロッド部330は、鼓膜温度計100の外耳道挿入部分にあるセンサワイヤ320に固定される。ロッド部330の外周面331には、複数の支持毛332が設けられている。支持毛332は、鼓膜14側に向かって反り上がるように、すなわち温度センサ110が設けられている側に向かって反り上がるように設けられている。これにより、支持毛332が起立状態であるときには、外耳道12内において温度センサ110を鼓膜14側へ移動させることができなくなる。各支持毛332は、メッシュユニット340の開口部343に挿通される。
【0053】
メッシュユニット340は、図12に示すように、ロッド部330の支持毛332が挿通される複数の開口部343を有する調整部である。メッシュユニット340は、例えば、同心上に配列された複数のリング341を、当該リング341の配列方向に延びる複数のバー342をリング341の周方向に配置して固定することで構成できる。なお、メッシュユニット340は、図12に示す例に限定されず、例えば管状部材の外周面に複数の貫通孔を設けることで形成することもできる。メッシュユニット340は、少なくともセンサワイヤ320の長手方向に平行移動可能またはセンサワイヤ320の周方向に回転移動可能にロッド部330の外周に挿着される。
【0054】
第3の構成例では、メッシュユニット340をセンサワイヤ320に固定されたロッド部330に対して移動させることで、ロッド部330の支持毛332の起立状態を調整できる。まず、支持毛332が起立しているとき、メッシュユニット340は、開口部343を構成するリング341またはバー342が支持毛332の先端332b側に位置して起立角度を小さくしないように配置されている。例えば図13左図に示すように、支持毛332について、メッシュユニット340を、バー342a、342bを接触させず、かつリング341bが支持毛332の根元(ロッド部330への固定部分)側に位置させるように配置する。これにより、支持毛332が起立した基本状態を維持することができる。
【0055】
一方、メッシュユニット340を操作して、開口部343を構成するリング341またはバー342を支持毛332の先端332b側に位置させることにより、支持毛332は寝た状態となる。メッシュユニット340の操作としては、まず、メッシュユニット340をセンサワイヤ320の長手方向に平行移動させることが考えられる。例えば、図13左図に示す状態のメッシュユニット340を所定の方向(ここではリング341bをリング341a側に近づける方向)に平行移動させると、図13右下図に示すように、支持毛332が先端332b近辺までリング341bに押さえ付けられる。これにより、支持毛332の起立角度が小さくなり、支持毛332は寝た状態となる。
【0056】
また、メッシュユニット340の他の操作として、メッシュユニット340をセンサワイヤ320の周方向に回転移動させることが考えられる。例えば、図13左図に示す状態のメッシュユニット340を反時計回りに回転させると、図13右上図に示すように、支持毛332が先端332b近辺までバー342bに押さえ付けられる。これにより、支持毛332の起立角度が小さくなり、支持毛332は寝た状態となる。
【0057】
メッシュユニット340を操作して支持毛332が寝ている状態とした後、再び支持毛332を起立した状態とするには、上記と逆の操作を行えばよい。これにより、メッシュユニット340を構成するリング341またはバー342による支持毛332の押さえ付けがなくなり、開放された支持毛332は復元力によって起立した基本状態となる。なお、メッシュユニット340は、後述する操作部(図14の符号160や図15のづ号260)を操作することで操作することができる。こうして、外耳道12の外側でユーザが操作部を操作することで、支持毛332の起立状態を調整することができる。
【0058】
[2−3.調整部を操作する操作部]
本実施形態に係る鼓膜温度計100には、上述した各固定機構の調整部を外耳道12の外側でユーザが容易に操作できるようにするため、調整部を操作する操作部を備えている。操作部の構成例を図14および図15に示す。図14および図15は、鼓膜温度計100を耳10に挿着するための装着部150を示す斜視図である。装着部150は、図14および図15に示すように耳10に掛けることができるように湾曲した形状に形成されている。装着部150の一端には、図1および図2に示した鼓膜温度計100の外耳道挿入部分が設けられている。外耳道装着部分から外耳道12の外側に延出された調整部は、外耳道12の外側に設けられている操作部(符号160、260)と接続されている。
【0059】
操作部は、例えば図14に示すように一方向に移動するスライド操作部160として構成することができる。スライド操作部160を第1の方向に移動させると、スライド操作部160の移動に対応して調整部が機能して外耳道12内の支持毛を寝かせることができる。一方、スライド操作部160を第1の方向と反対側の第2の方向に移動させると、操作部160の移動に対応して調整部が機能して外耳道12内の支持毛を起立させることができる。
【0060】
また、操作部は、例えば図15に示すように回転する回転操作部260として構成することができる。回転操作部260を第1の方向に回転させると、回転操作部260の移動に対応して調整部が機能して外耳道12内の支持毛を寝かせることができる。一方、回転操作部260を第1の方向と反対側の第2の方向に回転させると、回転操作部260の移動に対応して調整部が機能して外耳道12内の支持毛を起立させることができる。
【0061】
これらの操作部は、ユーザが手動で操作することもでき、鼓膜温度計100の操作指示によりモータ等の駆動部を駆動させて操作することもできる。
【0062】
[2−4.支持毛の機能]
ここで、本実施形態に係る支持毛の機能について、図16および図17を参照しながらより詳細に説明する。なお、図16は、固定機構130における複数の支持毛132の一配置例を示す説明図である。図17は、固定機構130における複数の支持毛132の他の配置例を示す説明図である。
【0063】
本実施形態に係る支持毛132は、起立状態において外耳道12の壁面12aに接触して温度センサ110が鼓膜14に対して放射熱を測定するのに最適な状態で対向するように保持するストッパとして機能する。支持毛132は、また、その反り上がりの向きによって、温度センサ110の所定方向の移動を妨げるようにも機能する。
【0064】
温度センサ110を鼓膜14に対して適切な状態で対向させるために、本実施形態の鼓膜温度計100では、複数の支持毛132を、ロッド部131の長手方向における少なくとも1箇所において周方向に配置する。ロッド部131の周方向においては、例えば図7に示したようにロッド部131の中心に対して対称に各支持毛132を配置するのがよい。これにより、複数の支持毛132によって温度センサ110を安定して支持することができる。
【0065】
また、ロッド部131の長手方向、すなわち外耳道12に沿った方向においては少なくとも1箇所において複数の支持毛132を設ければよいが、より安定して温度センサ110を外耳道12の中心に保持するためには3箇所以上で支持するのがよい。この際、例えば図16に示すように外耳道12内において全体的に支持毛132を配置すると、支持毛132と外耳道12の壁面12aとの接触点P、P、Pでそれぞれセンサワイヤ120の中心が保持されるため、全体的に外耳道12内での温度センサ110およびセンサワイヤ110の位置を中心に常に保持することができる。
【0066】
また、図17に示すように、温度センサ110近辺において局所的に支持毛132を配置することにより、温度センサ110をより確実に鼓膜14に対して放射熱を測定するのに最適な状態で対向させた状態を保持できる。このとき、ロッド部131の長手方向における支持毛132の配置間隔Lは、図16に示す場合と比較して短距離であり、支持毛132は密に設けられる。もちろん、図16および図17に示した支持毛132の配置例を組み合わせてもよく、支持毛132の配置は適宜変更可能である。
【0067】
本実施形態のように外耳道12に挿入されるセンサワイヤ120に鼓膜14側に向かって反り上がる複数の支持毛132を設けることで、支持毛132の先端132bが外耳道12の壁面12aに点接触して各支持毛132が均一にセンサワイヤ120を支持する。また、支持毛132は弾性を有する材質であるため、外耳道12の形状に沿って向きや角度が自在に変化し、センサワイヤ120が外耳道12の中心に位置するようになる。
【0068】
複数の支持毛132をロッド部131の長手方向において複数箇所に配置する場合には、外耳道12の、入口側から鼓膜14側に向かって狭くなる形状に適応するように、外耳道12の鼓膜14側から入口側に向かうにつれて支持毛132の長さを長くしてもよい。これにより、支持毛132が外耳道12の壁面12aに接触したときの支持をより安定させることができる。したがって、外耳道12の幅に依存することなく、外耳道12の各位置において安定的に温度センサ110と接続されたセンサワイヤ120を固定することができる。また、外耳道12の内部で外耳道12の延びる方向と直交する径方向にセンサワイヤ120を動かしたとしても、支持毛132によってその後センサワイヤ120は外耳道12の中心に戻される。
【0069】
また、本実施形態のように、複数の支持毛132によって温度センサ110と接続されたセンサワイヤ120を固定することで、外耳道12内には外耳道12の外側と鼓膜14とを接続する空間が存在する。したがって、複数の支持毛132により気流をなくしつつ音声を伝達することができるので使用感が向上する。
【0070】
このように、複数の支持毛132により温度センサ110の固定機構を構成することで、鼓膜温度計100を長時間外耳道12内に挿入させた場合でも安定して温度センサ110、センサワイヤ120を保持することができる。
【0071】
<3.鼓膜と温度センサとの距離検出>
鼓膜温度計100は、外耳道12内に温度センサ110を挿入し、鼓膜14の放射熱を検出できる位置まで近づけて使用される。本実施形態に係る鼓膜温度計100は、固定機構やストッパを備えていることで温度センサ110と鼓膜14との接触を防止することができるが、より安全性を高めるため、温度センサ110と鼓膜14との距離を取得する距離検出機能を鼓膜温度計100に設けてもよい。以下、温度センサ110と鼓膜との距離を検出する距離検出機能について説明していく。
【0072】
[3−1.距離検出機能の概要]
まず、図18および図19に基づいて、距離検出機能の概要を説明する。なお、図18は、本実施形態に係る距離検出センサと鼓膜14との関係を示す説明図である。図19は、距離検出センサにより検出される受光強度分布と、鼓膜14に対する距離検出センサとの位置関係を説明する説明図である。
【0073】
本実施形態に係る距離検出機能では、鼓膜14のうち外光を反射して光って見える部分である光錐14aを利用して鼓膜14との距離を検出する。光錐14aは、耳鼻科の医師による鼓膜14の観察の際に、鼓膜14の中心部を基準としたときツチ骨柄14bと反対側の領域に一般的にみられる現象であり、耳鏡やイヤスコープ等を用いて確認することができる。
【0074】
本実施形態では、鼓膜14に対して照射された光の反射光を用いて、鼓膜14までの距離を推定することで距離を測定する。光錘14aは、外耳道12に対向する面になっており、よく光を反射するため、受光強度を測定する際に利用するのに適している。距離検出センサは、図18に示すように、鼓膜14に対して光を出射する発光部170と、発光部170から出射された光の反射光を受光する受光部180とからなる。光錐14aによる光の反射を球の表面による光の反射と同様であると考える。このとき、外耳道12の中心から鼓膜14に対して発光部170から平行光が出射されたと仮定すると、球(すなわち光錐14a)の頂点から離隔するにつれて光の反射角が大きくなる。したがって、光錐14aによる反射光は散乱することになる。
【0075】
光錐14aによる反射光は、受光部180により受光される。反射光は上述したように散乱するため、本実施形態に係る受光部180は、複数の受光素子182(図18では受光素子182a〜182d)を1次元配列または2次元配列して構成される。これにより、散乱した反射光の受光範囲を広げることができるとともに、各受光素子182による受光強度を表す受光強度分布を取得することができる。なお、受光部180を構成する受光素子182は、例えば図18に示すように、発光部170を中心としてその周囲に等間隔に配置してもよい。
【0076】
受光部180による反射光の受光範囲は、鼓膜14と受光部180との距離(以下、「受光距離」ともいう。)に応じて変化する。すなわち、受光距離が比較的近い場合には、光錐14aによる光の散乱範囲が狭いため、図19下図の実線で示すように、光錐14aに最も近接する位置(x=0)での受光強度が高くかつ受光範囲が狭い分布となる。一方、受光距離が比較的遠い場合には、光錐14aによる光の散乱範囲が広いため、図19下図の破線で示すように、光錐14aに最も近接する位置(x=0)での受光強度はあまり高くなくかつ受光範囲が広い分布となる。
【0077】
本実施形態に係る距離検出機能は、このような受光強度分布の結果に基づき、鼓膜14と距離検出センサとの距離を推定するものである。
【0078】
[3−2.距離検出装置の機能構成]
次に、図20に基づいて、上述の距離検出機能を機能させる距離検出装置400について説明する。なお、図20は、本実施形態に係る距離検出装置400の機能構成を示す機能ブロック図である。
【0079】
本実施形態に係る距離検出装置400は、図20に示すように、距離検出部410と、挿入判定部420と、固定機構制御部430と、通知部440と、記憶部450とを備える。
【0080】
距離検出部410は、距離検出センサによる受光強度分布に基づいて、鼓膜14から温度センサ110までの距離を推定する。距離検出部410は、距離検出センサである発光部170および受光部180と、検出制御部412と、距離推定部414とからなる。発光部170は、鼓膜14に対して光を出射する。発光部170は、例えばLED等の発光素子から構成することができる。受光部180は、鼓膜14による反射光を受光する。受光部180は、フォトダイオード等の発光素子182を複数配列して構成される。受光部180は、各発光素子182で検出された受光強度を距離推定部414へ出力する。
【0081】
検出制御部412は、距離検出センサである発光部170および受光部180を制御する。検出制御部412は、ユーザまたは鼓膜温度計100からの距離検出開始指示に基づいて、発光部170に対して光の出射を指示するとともに、受光部180に対して鼓膜14による反射光の受光を指示する。
【0082】
距離推定部414は、受光部180から入力された各受光素子182が検出した受光強度に基づいて受光強度分布を作成し、鼓膜14から距離検出センサまでの距離を推定する。距離推定部414は、図19に示したように、鼓膜14から距離検出センサまでの距離を、受光部180による受光強度分布の形状、すなわち鼓膜14で反射された光の強度と空間的広がりとに基づいて算出する。鼓膜14から距離検出センサまでの距離と受光強度分布との対応関係は、予め取得され、後述する記憶部450に記憶されている。距離推定部414は、今回受光部180の検出によって取得された受光強度分布に基づいて、記憶部450に記憶されている鼓膜14から距離検出センサまでの距離と受光強度分布との対応関係から、受光距離を推定する。推定された受光距離は、挿入判定部420に出力される。
【0083】
挿入判定部420は、受光距離に基づいて、温度センサ110を鼓膜14側へ移動させてもよいか否かを判定する。挿入判定部420は、記憶部450に記憶されている閾値距離と受光距離(あるいは鼓膜‐温度センサ間距離)とを比較して、温度センサ110を鼓膜14側へ移動させてもよいか否かを判定する。挿入判定部420の判定結果は、固定機構制御部430および通知部440へ出力される。
【0084】
固定機構制御部430は、挿入判定部420の判定結果に基づいて、鼓膜温度計100の固定機構を制御する。すなわち、固定機構制御部430は、挿入判定部420によって温度センサ110の挿入を停止させる判定がなされている場合、固定機構を操作して支持毛を起立状態にし、温度センサ110が外耳道12内で移動できないように固定する。一方、固定機構制御部430は、挿入判定部420によって温度センサ110の挿入停止を解除する判定がなされている場合、固定機構を操作して支持毛を寝た状態にし、温度センサ110が外耳道12内で移動できるように固定する。固定機構制御部430は、挿入判定部420の判定結果に対応して固定機構を操作すると、その旨を検出制御部412へ通知する。
【0085】
なお、固定機構制御部430により制御される固定機構は、例えば上述した図1に示す支持毛を利用したものであってもよく、他の構成の固定機構であってもよい。他の固定機構は、例えば、温度センサ110と接続され外耳道12入口側へ延びるセンサワイヤ120に設けられ、外耳道12内で膨張して外耳道12の壁面12aを押圧するバルーン等の膨張部材とすることができる。
【0086】
通知部440は、挿入判定部420の判定結果をユーザに通知する。挿入判定部420の判定結果は、例えば、音声や振動、光の色や発光パターン等により通知することができる。したがって、通知部440は、例えば音声を出力するスピーカや骨伝導等の音声出力部や、振動を発生する振動発生部、LED等の発光部や表示部等のうち少なくともいずれか1つにより構成することができる。もちろんこれ以外の、判定結果を通知できる装置を通知部440としても用いることもできる。通知部440は、挿入判定部420の判定結果をユーザに通知すると、その旨を検出制御部412へ通知する。
【0087】
記憶部450は、距離検出機能に用いる情報を記憶する。記憶部450は、例えば、鼓膜14から距離検出センサまでの距離と受光強度分布との対応関係や、閾値距離等を記憶する。また、距離検出センサと温度センサ110との距離差がある場合には、当該情報も記憶部450に記憶されている。受光距離を当該距離差で補正することで、鼓膜14と温度センサ110との距離(鼓膜‐温度センサ間距離)を算出することができる。
【0088】
[3−3.距離検出装置によるナビゲーション]
本実施形態に係る距離検出装置400は、鼓膜14と対象物である温度センサ110との間の距離(鼓膜‐温度センサ間距離)を検出する。このとき、距離検出装置400は、鼓膜‐温度センサ間距離に基づいて温度センサ110の鼓膜14側への挿入可否を判定し、判定結果に応じて固定機構を作動させたりユーザに判定結果を通知したりする。これにより、ユーザは距離検出装置400により温度センサ110の挿入状態を認識しながら温度センサ110を移動させることができる。また、温度センサ110の挿入状態に応じて温度センサ110の移動可否が決定され、固定機構が自動的に操作されるので、ユーザが判定結果に反する操作を行った場合にも、その操作に対応して温度センサ110が移動することはない。このように、本実施形態に係る距離検出装置400は、温度センサ110を安全に移動させるナビゲーションを行うことができる。
【0089】
以下、図21に基づいて、距離検出装置400によるナビゲーション処理について説明する。なお、図21は、本実施形態に係る距離検出装置400によるナビゲーション処理を示すフローチャートである。
【0090】
鼓膜温度計100の温度センサ110が外耳道12内に挿入されるとき、支持毛は寝た状態とされている(S100)。温度センサ110が外耳道12内へ挿入されると、例えば挿入判定部420により、所定の時間間隔で光錐14aが検出されているか否かが判定される(S102)。光錐14aの検出の有無は、受光部180により検出された受光強度によって判定することができる。光錐14aに光が当たっている場合には所定の強度以上の受光強度が検出される。そこで、挿入判定部420は、受光部180を構成する受光素子182で検出された受光強度のうち最大のものが所定の強度以上であるか否かを判定する。
【0091】
ステップS102にて最大の受光強度が所定の強度より小さい場合には、挿入判定部420は、温度センサ110が外耳道12から外れていると判断し、通知部440に対してその旨をユーザに通知するよう指示する(S104)。当該通知を受けたユーザは、温度センサ110の挿入方向を修正する。距離検出装置400は、ステップS102からの処理を繰り返す。一方、ステップS102にて最大の受光強度が所定の強度以上である場合には、温度センサ110が外耳道12に正しく挿入されていると判断し、挿入判定部420は、通知部440に対して温度センサ110の挿入を促す旨をユーザに通知するよう指示する(S106)。
【0092】
その後、挿入判定部420は、鼓膜14と温度センサ110との距離である鼓膜‐温度センサ間距離が設定距離以下であるか否かを判定する(S108)。設定距離は、鼓膜14の放射熱を測定可能な距離に設定されており、閾値距離の1つとして記憶部450に記憶されている。挿入判定部420は、距離推定部414により算出された受光距離を距離検出センサと温度センサ110との距離差で補正して、鼓膜‐温度センサ間距離を算出する。そして、挿入判定部420は、鼓膜‐温度センサ間距離が設定距離以下ではない場合には、温度センサ110をさらに鼓膜14側へ移動させてもよいと判断して、ステップS102からの処理を繰り返す。
【0093】
一方、挿入判定部420は、鼓膜‐温度センサ間距離が設定距離以下である場合には、温度センサ110を停止させるため、固定機構制御部430に対して支持毛を起立させるよう指示する(S110)。そして、挿入判定部420は、鼓膜‐温度センサ間距離が安全距離以上であるか否かを判定する(S112)。安全距離は、温度センサ110が鼓膜14に接触しない最小距離に設定されており、閾値距離の1つとして記憶部450に記憶されている。挿入判定部420は、鼓膜‐温度センサ間距離が安全距離以上である場合には、温度センサ110は鼓膜14の放射熱を測定するのに適切な位置にあると判断して、通知部440に対してその旨をユーザに通知するよう指示し(S114)、図21の処理を終了する。
【0094】
ステップS112にて鼓膜‐温度センサ間距離が安全距離より小さいと判定した場合には、温度センサ110が鼓膜14に接触する危険性があると判断される。このとき、挿入判定部420は、通知部440に対して温度センサ110を後退させるようユーザに通知するよう指示するとともに(S116)、固定機構制御部430に対して支持毛を起立させるよう指示する(S118)。その後、ステップS108からの処理を繰り返す。
【0095】
以上、本実施形態に係る鼓膜温度計100に適用可能な距離検出装置400の構成とその機能について説明した。距離検出装置400は、鼓膜温度計100の温度センサ110近辺に距離検出センサを設け、距離検出センサの検出結果を処理する機能部を外耳道12の外側に設けることができる。外耳道12の外側に設けられた機能部は、距離検出センサと通信可能に構成される。そして、距離検出装置400の距離推定部414は、受光強度分布に基づいて受光距離を算出することができる。このように、外耳道12内での情報を取得してより正確な受光距離を取得することで、ユーザに対して鼓膜14と温度センサ110と鼓膜14との距離を通知することが可能となり、安全に鼓膜温度計100を使用することができる。
【0096】
また、距離検出装置400のナビゲーション機能を備えることにより、鼓膜14の放射熱を測定するのに適切な位置となるまで温度センサ110の挿入を誘導することができ、適切な位置に到達したときには固定機構を操作して温度センサ110を固定させる。さらに距離検出装置400は、温度センサ110が鼓膜14に近づきすぎている場合には、ユーザに対して温度センサ110を外耳道12の入口側へ移動するよう通知して、ユーザの操作を誘導する。このようなナビゲーション機能によって、ユーザは鼓膜温度計100を安全かつ容易に利用することができるようになる。
【0097】
<4.ハードウェア構成例>
本実施形態に係る距離検出装置400による処理は、ハードウェアにより実行させることもでき、ソフトウェアによって実行させることもできる。この場合、距離検出装置400は、図22に示すように構成することもできる。以下、図22に基づいて、本実施形態に係る距離検出装置400の一ハードウェア構成例について説明する。
【0098】
本実施形態に係る距離検出装置400は、上述したように、コンピュータ等の処理装置により実現することができる。距離検出装置400は、図22に示すように、CPU(Central Processing Unit)901と、ROM(Read Only Memory)902と、RAM(Random Access Memory)903と、ホストバス904aとを備える。また、距離検出装置400は、ブリッジ904と、外部バス904bと、インタフェース905と、入力装置906と、出力装置907と、ストレージ装置(HDD)908と、ドライブ909と、接続ポート911と、通信装置913とを備える。
【0099】
CPU901は、演算処理装置および制御装置として機能し、各種プログラムに従って距離検出装置400内の動作全般を制御する。また、CPU901は、マイクロプロセッサであってもよい。ROM902は、CPU901が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM903は、CPU901の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶する。これらはCPUバスなどから構成されるホストバス904aにより相互に接続されている。
【0100】
ホストバス904aは、ブリッジ904を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バス904bに接続されている。なお、必ずしもホストバス904a、ブリッジ904および外部バス904bを分離構成する必要はなく、一のバスにこれらの機能を実装してもよい。
【0101】
入力装置906は、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、マイク、スイッチおよびレバーなどユーザが情報を入力するための入力手段と、ユーザによる入力に基づいて入力信号を生成し、CPU901に出力する入力制御回路などから構成されている。出力装置907は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)装置、OLED(Organic Light Emitting Diode)装置およびランプなどの表示装置や、スピーカなどの音声出力装置を含む。
【0102】
ストレージ装置908は、距離検出装置400の記憶部の一例であり、データ格納用の装置である。ストレージ装置908は、記憶媒体、記憶媒体にデータを記録する記録装置、記憶媒体からデータを読み出す読出し装置および記憶媒体に記録されたデータを削除する削除装置などを含んでもよい。ストレージ装置908は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)で構成される。このストレージ装置908は、ハードディスクを駆動し、CPU901が実行するプログラムや各種データを格納する。
【0103】
ドライブ909は、記憶媒体用リーダライタであり、距離検出装置400に内蔵、あるいは外付けされる。ドライブ909は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体に記録されている情報を読み出して、RAM903に出力する。
【0104】
接続ポート911は、外部機器と接続されるインタフェースであって、例えばUSB(Universal Serial Bus)などによりデータ伝送可能な外部機器との接続口である。また、通信装置913は、例えば、通信網5に接続するための通信デバイス等で構成された通信インタフェースである。また、通信装置913は、無線LAN(Local Area Network)対応通信装置であっても、ワイヤレスUSB対応通信装置であっても、有線による通信を行うワイヤー通信装置であってもよい。
【0105】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0106】
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)
外耳道内に挿入され、耳孔内における情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部を前記外耳道内で固定する固定機構と、
を備え、
前記固定機構は、
前記情報取得部と接続され外耳道入口側へ延びるワイヤを覆い、外耳道方向の少なくとも1箇所において、鼓膜に向かって反り上がり前記外耳道の壁面に向かって起立する複数の支持毛が外周に沿って外側面に設けられるロッド部と、
前記ロッド部に設けられた前記支持毛の起立状態を調整する調整部と、
を有する、耳孔内情報取得装置。
(2)
前記ロッド部には、外耳道方向の複数箇所において外周に沿って前記外耳道の壁面に向かって起立する複数の支持毛が外側面に設けられる、前記(1)に記載の耳孔内情報取得装置。
(3)
前記支持毛の長さは、前記情報取得部側から前記外耳道入口側に向かって配置される前記支持毛ほど長い、前記(1)または(2)に記載の耳孔内情報取得装置。
(4)
前記調整部は、
前記各支持毛がそれぞれ挿通された複数の環状部材と、
前記環状部材の位置を操作する環状操作部と、
を備え、
前記環状操作部は、前記環状部材を前記ロッド部の長手方向に沿って移動させる、前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の耳孔内情報取得装置。
(5)
前記調整部は、
前記各支持毛がそれぞれ挿通された複数の環状部材と、
前記環状部材の位置を操作する環状操作部と、
を備え、
前記環状操作部は、前記環状部材を前記ロッド部の周方向に沿って回転移動させる、前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の耳孔内情報取得装置。
(6)
前記情報取得部は、前記鼓膜の放射熱を測定する温度センサである、前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の耳孔内情報取得装置。
【符号の説明】
【0107】
10 耳
12 外耳道
14 鼓膜
14a 光錐
100 鼓膜温度計
110 温度センサ
113 アンプ部
115 マイコン演算部
117 温度表示器
120 センサワイヤ
130 支持毛
140 ストッパ
150 装着部
160 レバー操作部
170 発光部
180 受光部
260 回転操作部
400 距離検出装置
410 距離検出部
412 検出制御部
414 距離推定部
420 挿入判定部
430 固定機構制御部
440 通知部
450 記憶部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
外耳道内に挿入され、耳孔内における情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部を前記外耳道内で固定する固定機構と、
を備え、
前記固定機構は、
前記情報取得部と接続され外耳道入口側へ延びるワイヤを覆い、外耳道方向の少なくとも1箇所において、鼓膜に向かって反り上がり前記外耳道の壁面に向かって起立する複数の支持毛が外周に沿って外側面に設けられるロッド部と、
前記ロッド部に設けられた前記支持毛の起立状態を調整する調整部と、
を有する、耳孔内情報取得装置。
【請求項2】
前記ロッド部には、外耳道方向の複数箇所において外周に沿って前記外耳道の壁面に向かって起立する複数の支持毛が外側面に設けられる、請求項1に記載の耳孔内情報取得装置。
【請求項3】
前記支持毛の長さは、前記情報取得部側から前記外耳道入口側に向かって配置される前記支持毛ほど長い、請求項1に記載の耳孔内情報取得装置。
【請求項4】
前記調整部は、
前記各支持毛がそれぞれ挿通された複数の環状部材と、
前記環状部材の位置を操作する環状操作部と、
を備え、
前記環状操作部は、前記環状部材を前記ロッド部の長手方向に沿って移動させる、請求項1に記載の耳孔内情報取得装置。
【請求項5】
前記調整部は、
前記各支持毛がそれぞれ挿通された複数の環状部材と、
前記環状部材の位置を操作する環状操作部と、
を備え、
前記環状操作部は、前記環状部材を前記ロッド部の周方向に沿って回転移動させる、請求項1に記載の耳孔内情報取得装置。
【請求項6】
前記情報取得部は、前記鼓膜の放射熱を測定する温度センサである、請求項1に記載の耳孔内情報取得装置。
【請求項7】
外耳道内へ挿入されるワイヤの外耳道挿入部分を覆い、外耳道方向の少なくとも1箇所において、鼓膜に向かって反り上がり前記外耳道の壁面に向かって起立する複数の支持毛が外周に沿って外側面に設けられるロッド部と、
前記ロッド部に設けられた前記支持毛の起立状態を調整する調整部と、
を有する、固定機構。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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