説明

耳鳴り治療用製剤

本発明は耳鳴りの治療及び予防のための経口投与様治療組成物の製造のためのブルーベリー抽出物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、ブルーベリー抽出物並びに抗酸化剤、及び酸化マグネシウム、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、マツヨイグサ油(evening primrose oil)及び葉酸から選択される微栄養素を含有する、耳鳴り治療用経口投与製剤に関する。
【0002】
循環障害、例えば、静脈瘤、痔核、下痢及び多くの眼病、例えば、白内障、糖尿病性網膜症、緑内障、黄斑変性及び夜盲症並びに眼の過度負担(コンピューター)の予防及び治療のためのブルーべリー(果実としてまたは(乾燥)抽出物として)の使用は広範囲に及ぶ。
【0003】
耳鳴りは、聴覚系の機能障害であり、耳鳴りの病理生理学利用できることに関して確認知識無しで異なるレベル及び構造に起因し得る。
用語 ”Tinnitus aurium” (ラテン語:「耳鳴り ”ear ringing”」又は短耳鳴り(short tinnitus)は、他の人々に聞こえ得る外部源でない音を患者が聞こえる症状に関する。特に、疾患が慢性の場合、耳中の継続的雑音による心理的緊張が相当である。病気の経過中、多くの患者は、睡眠障害、集中力障害、不安神経症及び抑鬱のような二次的症状を示す。多くの場合で、正常な生活が、もはや不可能であるか限られた範囲のみとなる。患者は職業障害又は一般障害に直面し得る。この緊張が原因で、多くの耳鳴り患者は自殺のおそれがある。
【0004】
原因は多因的な事象であることが考えられる。耳鳴りの病理生理学基準に関して確認された知識が得られないので、系統論理的医薬療法が不可能である。一般に、現在の治療手段は多方面からのアプローチに基づき、そしてストレス管理手段、特別の補聴器を用いる騒音マスキング及び手術も含む。しかし、これらの治療アプローチは満足した結果が得られず、耳鳴りの治療用有効製剤の急務な必要性がある。
【0005】
驚いたことに、特定の抗酸化剤及び微量栄養素と組み合わせたブルーベリー抽出物を含有する本発明の製剤が、耳鳴りの治療において非常に顕著な成功をもたらしたという臨床試験を示すことができた。被検者での試験は、2×3カプセルの1日投与からなる3ヶ月治療後、耳鳴りが顕著に減少するか又は全くなくなったことを示した。
【0006】
したがって、本発明は、新規で高度に有効且つ純粋に天然の医薬製剤又は食餌製剤を提供し、当該製剤は耳鳴り/急性聴力損失の予防及び治療に適している。慣用的に使用されていた製剤と対照的に、本発明の医薬製剤は天然且つ純粋に薬草配合物であり、当該配合物は逆症療法に対する消極的な態度の患者によっても受け入れられ、良好な耐用性示す。
【0007】
本発明のブルーベリー抽出物は、Vaccinium myrtillus、すなわち、ヨーロピアンブルーベリー(アングロサクソン慣用にしたがえば、”bilberry” とも称される)の実(berries)の乾燥抽出物である。
【0008】
本発明の特に好適な乾燥抽出物は、少なくとも25%のアントシアノサイドに規格化されている。
本発明にしたがって使用される典型的な抽出物は最高4.5%の水、最高5%の無機分(硫酸灰(sulfuric ashes))、最高5%までの遊離アントシアニジン及び25〜27.5%のグリコシドと結合したアントシアニジン(アントシアノサイド)を含有する。このような抽出物は、例えば、「Bilberry Purified Dry Extract」として市販されている。乾燥抽出物は、特に、薬局方指示(例えば、Bonati A.,J.Ethnopharmacol. 1991,April;32(1−3):195−7)に準拠する、パーコレーション、浸漬、ソックスレー法、温漬により製造される液体薬物からそれ自身公知の方法により得ることができる。
【0009】
特に、本発明にしたがって使用するブルーベリー抽出物は下記に簡略的に記載するようにして製造できる。すなわち、
新鮮ブルーベリーを圧搾してブルーベリージュース濃縮液を得、次いで、限外濾過に付し、エタノール抽出し若しくは水性アルコール抽出に付す。得られた抽出物を真空下濃縮し、ペーストを形成し、乾燥して粉末を形成し、次いで、粉砕して乾燥ブルーベリー抽出物を得る。
【0010】
この種の抽出はWO 05/092330に記載されている。
本発明の好適製剤は、錠剤又はカプセル剤のような投与単位当たり、50〜500mgのブルーベリー抽出物、10〜200mgのマグネシウム(酸化マグネシウムの形態)、0.2〜5mgのビタミンB1、0.2〜5mgのビタミンB2、0.2〜5mgのビタミンB6及び0.1〜1μgのビタミンB12を含有する。さらに好適な成分は葉酸(0.01〜10mg)及びマツヨイグサ油(10〜100mg)である。
【0011】
下記の処方は、より特に好適であり、特に、軟ゼラチンカプセルの形態(投与単位当たりの量)で好適である:
ブルーベリー抽出物 100〜200mg
マグネシウム(酸化マグネシウムの形態) 10〜20mg
ビタミンB1 0.2〜1mg
ビタミンB2 0.2〜1mg
ビタミンB6 0.2〜1mg
ビタミンB12 0.1〜1μg
葉酸 0.01〜1mg 及び
マツヨイグサ油 30〜60mg。
【0012】
下記の処方は、特に、軟ゼラチンカプセルの形態において最も特に好適である(投与単位当たりの量):
ブルーベリー濃縮物 150mg
マツヨイグサ油 50mg
マグネシウム(酸化マグネシウムの形態) 18.75mg
葉酸 0.05mg
ビタミンB1 0.312mg
ビタミンB2 0.625mg
ビタミンB6 0.396mg
ビタミンB12 0.225μg
さらに、本発明の食餌組成物又は医薬組成物は医薬佐剤、例えば、賦形剤(キャリヤー)、例えば、大豆油若しくは部分水素化大豆油、ビーズワックス、軟ゼラチンカプセル用バター脂及びレシチン、崩壊剤、結合剤、流量調節剤、潤滑剤、乳化剤、溶媒又は吸着剤等を含有できる。
【0013】
本発明の食餌組成物及び医薬組成物は当技術分野で標準的な方法にしたがって経口投与に適したいずれかの剤形処方できる。経口投与のための固体製剤、例えば、錠剤、硬ゼラチンカプセル及び軟ゼラチンカプセル等が好適である。軟ゼラチンカプセルが最適である。本発明では、軟ゼラチンカプセルは、2〜20minim.寸法の卵形軟ゼラチンカプセル、及び6〜22minim.寸法の偏長楕円形の軟ゼラチンカプセルが好適であり、10minim.寸法の卵形軟ゼラチンカプセルが最適である。これに関連して、剤形が特定の一次包装、例えば、プレススルー包装(PTP)やブリスター包装(すなわち、ブリスター化された)等で存在することも好適である。
【0014】
下記の結果は、ブルーベリー抽出物と特定の抗酸化剤及び微量栄養素とを組み合わせて含有する本発明の組成物が耳鳴りの治療に非常に顕著な治療成功を達成できることを明確に示す。
A.応用例
1. 患者1、女性、1948年生まれ
この患者はおおよそ2〜3年前から耳鳴りを患っている。彼女は左側に主にヒューという音として耳鳴りを感じる。彼女が言うには、彼女はこのことに関して医師に診断してもらっておらず、この症状に対して医薬品を投与していない。耳鳴りは彼女の日常生活を妨害していなかった。ただ、眠りにつく前のみ、彼女は耳鳴りを不快と感じた。
【0015】
この患者は約18ヶ月前(おおよそ、2005年の中頃)に本発明の組成物の投与を開始し、朝に2カプセル夕刻に2カプセル服用し、必ずしも定期的ではなかった。偏頭痛発作の場合、彼女は添付文書に示されている一日服用に固執する。
【0016】
結果:彼女が製剤の服用を開始後、6ヶ月で耳鳴りが消失した。しかし、彼女が本発明の製剤の服用を忘れると、源弱した耳鳴りを再度感じた。患者は組成物に十分に耐用性があった。最初、彼女は消化不良(便秘)になったが、すぐに、おさまった。
2. 患者2、女性、1952年生まれ
この患者は1993年以来耳鳴りを患っている。耳鳴りは、耳聴管、閾値音を聞く測定及びその他の方法により耳鼻咽喉科医により診断された。患者は左耳にヒューヒューと鳴る音として耳鳴りを感じる。彼女はこの症状に対して医薬品を服用しておらず、その他のいずれの治療を受けなかった。この耳鳴りは患者の日常生活に支障はない。彼女はノイズの程度は「穏やか」であると述べる。
【0017】
18ヶ月前から、患者は、定期的に、朝、本発明の組成物を3カプセル服用してきた。
結果:患者が本発明の組成物服用開始14日後から、既に、耳鳴りが改善した。現在、ノイズは未だあるが、減弱した。耳鳴りに関する耳中の圧力の感覚は完全に消失した。患者は組成物に十分に耐用性がある。
3.患者3、女性、1953年生まれ:
この患者は、おおよそ1997年以来、両耳の耳鳴りを感じており、ヒューヒュー鳴る音として感じる。彼女は、脊椎骨折及び歯の問題に続いて耳鳴りが始まったと述べている。彼女は耳鳴りに関する診断検査を受けていなかった。患者は穏やかな音楽療法以外に耳鳴り治療を受けていなかった。耳鳴りは、大きく騒がしいと記載されている。耳鳴りは部分的に患者の日常生活に支障をきたした。特に、夜中、非常にかき乱される耳鳴りを感じた。耳鳴りも、また、患者が彼女の家族でよりイライラさせられた。
【0018】
患者は2006年4月の上旬本発明の組成物を服用し始めた。最初、彼女は朝4カプセル、夜4カプセル服用し、次いで、処方を1度に3カプセルに変更した。
結果:患者は、2006年の中頃以来耳鳴りが完全に消失したと報告する。まず、朝夕の両方での4カプセルの開始時の用量下で耳鳴りが片側で改善し、続いて、朝夕の両方で本発明の組成物の3カプセル服用時他の耳の耳鳴りも消失した。
4.患者4、女性、1963年生まれ
この患者は、2005年11月以来、急性聴力損失によりもたらされた耳鳴りを患っていた。この耳鳴りは代わりの医者により診断された。患者は、大きなヒューヒュー(whistling)という音及びヒュー(whooshing)という音として殆ど彼女の右耳で耳鳴りを感じた。昼間中、ノイズは患者を邪魔しなかったが、夜間のノイズにより極度に邪魔されたと感じ、そのため、彼女はリラックスすることができず眠りに落ちることができなかった。鍼療法やマッサージ及び耳鳴りのために調剤された丸薬の投与のような治療手段は成功しなかった。
【0019】
患者は、2006年7月に本発明の組成物の服用を開始し、9月以降、定期的に、朝3カプセル夜3カプセル服用した。2006年10月以降、彼女は朝2カプセル及び夜2カプセルに処方を変えた。
【0020】
結果:まず、耳鳴りが次第に小さくなり、2007年の初めから耳鳴りが完全に消失した。
B.概括
本発明の組成物の投与後、耳鳴りが、4患者中3患者において消失し、数年間にわたって持続した。1患者の耳鳴りは顕著に改善され、彼女の耳の圧力の感じが消失した。すべての患者は、耳鳴りの消失及び改善が明らかに本発明の組成物の投与の結果であることを確認した。3患者は本発明の組成物に非常によく耐用性があり、1患者は、組成物の服用を開始したときに消化不良を起こしたが、それは止まった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
耳鳴りの治療及び/又は予防のための治療用組成物の製造のためのブルーベリー抽出物の使用。
【請求項2】
ブルーベリー抽出物がVaccinium myrtillusから得られる、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
ブルーベリー抽出物少なくとも25%のアントシアノサイド含量を有する乾燥抽出物である、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
組成物がブルーベリー抽出物並びに抗酸化剤、及びマグネシウム(酸化マグネシウムの形態)、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸及びマツヨイグサ油(evening primrose oil)から選択される微栄養素、場合により、薬学的に許容できるキャリヤー及びさらに佐薬を含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の使用。
【請求項5】
投与単位が:
ブルーベリー抽出物 5〜500mg
マグネシウム(MgOとして) 10〜200mg
含有する、請求項1〜4のいずれかに記載の使用。
【請求項6】
投与単位が:
ブルーベリー抽出物 50〜500mg
マグネシウム(酸化マグネシウムとして) 10〜200mg
ビタミンB1 0〜5mg
ビタミンB2 0〜5mg
ビタミンB6 0〜5mg
ビタミンB12 0〜1μg
マツヨイグサ油 0〜100mg及び
葉酸 0〜10mg
含有する請求項1〜4のいずれかに記載の使用。
【請求項7】
投与単位が:
ブルーベリー抽出物 50〜500mg
マグネシウム(酸化マグネシウムとして) 10〜200mg
ビタミンB1 0.2〜5mg
ビタミンB2 0.2〜5mg
ビタミンB6 0.2〜5mg
ビタミンB12 0.1〜1μg
マツヨイグサ油 10〜100mg及び
葉酸 0.01〜10mg
含有する請求項1〜4のいずれかに記載の使用。
【請求項8】
投与単位が:
ブルーベリー抽出物 100〜200mg
マグネシウム(酸化マグネシウムとして) 10〜20mg
ビタミンB1 0.2〜1mg
ビタミンB2 0.2〜1mg
ビタミンB6 0.2〜1mg
ビタミンB12 0.1〜1μg
マツヨイグサ油 30〜60mg及び
葉酸 0.01〜1mg
含有する請求項1〜7のいずれかに記載の使用。
【請求項9】
投与単位が:
ブルーベリー濃縮物 150mg
マツヨイグサ油 50mg
マグネシウム(酸化マグネシウムとして) 18.75mg
葉酸 0.05mg
ビタミンB1 0.312mg
ビタミンB2 0.625mg
ビタミンB6 0.396mg
ビタミンB12 0.225μg
含有する請求項1〜8のいずれかに記載の使用。
【請求項10】
投与単位が錠剤、硬ゼラチンカプセル又は軟ゼラチンカプセルの形態である、請求項1〜9のいずれかに記載の使用。
【請求項11】
投与単位がブリスター包装で与えられる、請求項1〜10のいずれかに記載の使用。
【請求項12】
組成物が2minim.〜20minim.の寸法の卵形軟ゼラチンカプセルの形態又は6minim.〜22minim.の寸法の楕円形軟ゼラチンカプセルの形態である、請求項1〜11のいずれかに記載の使用。
【請求項13】
組成物が10minim.の寸法の卵形軟ゼラチンカプセルの形態である、請求項1〜12のいずれかに記載の使用。

【公表番号】特表2009−529559(P2009−529559A)
【公表日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−558724(P2008−558724)
【出願日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際出願番号】PCT/EP2007/002294
【国際公開番号】WO2007/104566
【国際公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(508278217)
【Fターム(参考)】