説明

聴取力評価方法とそれに用いる回答用紙並びに聴力評価システム。

【課題】本発明は、商標の称呼類似判断方法を利用して、情報伝達能力を客観的に評価できる聴取力評価方法と、それに用いる回答用紙及び評価システムを提供することを課題とする。
【解決手段】 本発明は、任意の音声を被験者に聴取させ、それを正しく聴取できたか否かを検査する聴取力検査方法であって、予め回答用紙に表示した複数の単語からなる単語群から、任意の一単語を発声して被験者に聴取させ、その被験者に回答用紙の該当する単語群から、聴取した単語と同じ若しくは最も近い一単語を選択させて、その正否により聴取力を評価することとし、前記単語群が、互いに同じモーラ数で、同じ母音構成を有し、同じ発声順位にある一部分のみが異なる発声となる無意味な単語のみからなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、任意の音声を被験者に聴取させ、それを正しく聴取できたか否かを検査する聴取力検査方法それに用いる回答用紙並びに聴力評価システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に使用されている聴力検査は、定めた周波数の音の大きさにより、周波数別に聴力を検査するものであり、個体差を外乱なく明らかにする方法として、広く使用されている。
また、簡易な聴力テストとして、ささやき声が聞こえるか否かで判断するwhispered voice testも知られている。
しかし、いずれも音声による情報伝達が実際にどの程度可能であるのかを客観的に評価することは困難で、前述した評価方法に基づき補聴器を装着した難聴者が、補聴器により適格に音声認識できているのか否かを判別するのは困難であった。
このような問題を解決する方法として、特許文献1に示されるような単語了解度試験が知られている。
当該試験は、試験に使用する有意の単語の一般的な親密度に基づき、それを認識できるか否かの評価を行うものである。
しかし、このような方法は純粋な聴力の評価以外に、単語に対する被験者個々の親密度の違い、或いは記憶による自動補正に影響されやすい。
人の聴覚は、単純に聴力にのみ頼っているのではなく、既に存在する意味的な認識(記憶)にも影響され、聴力としては半分しか聞こえていない単語でも、意味を理解することは可能である。例えば、「アキハバラ」と聞き取れなくとも「アキバ」と聞き取れれば、それが「秋葉原」の意味であると認識する可能性は大いに存在する。
また、「アキバ」を「秋葉原」と認識するか否かは、その土地との親密度に大きく影響され、単に言葉のみならず他の記憶にも影響されることとなる。
また、このような有意の単語は、無意味な単語に比べ、記憶が容易である。
それに故に、環境条件が異なった複数の場面での聴取力の試験を、特許文献1に示すような方法で、同じ内容で、同じ被験者に行っても、その場面での影響を客観的に知ることは困難である。
このように、前記特許文献1を持ってしても単語聴き取り能力(聴覚的な情報受信力)を客観的に評価するのは、未だ困難といわざるを得ない。
さらに、このような可能性を全て排除し、正確に聞き取ること以外には意味を認識できない単語のみを抽出するとすれば、限られた単語数となる。
単語数が限られると、繰り返して評価する場合に、それらが記憶されざるを得なくなる。特に意味を持つ単語は、容易に記憶しえるものである。
【先行技術文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2880694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、このような実情に鑑み、商標の称呼類似判断方法を利用して、情報伝達能力を客観的に評価できる聴取力評価方法と、それに用いる回答用紙及び評価システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明1の聴取力検査方法は、任意の音声を被験者に聴取させ、それを正しく聴取できたか否かを検査する聴取力検査方法であって、予め回答用紙に表示した複数の単語からなる単語群から、任意の一単語を発声して被験者に聴取させ、その被験者に回答用紙の該当する単語群から、聴取した単語と同じ若しくは最も近い一単語を選択させ、その正否により聴取力を評価することとし、前記単語群が、互いに同じモーラ数で、同じ母音構成を有し、同じ発声順位にある一部分のみが異なる発声となる無意味な単語のみからなることを特徴とする。
発明2は、発明1の聴取力検査方法において、一単語群の中の異なる発声部分は、清音のみであることを特徴とする。
発明3は、発明1又は2の聴取力検査方法において、前記単語群を構成する単語のモーラ数が3から7であることを特徴とする。
発明4は、発明1から3のいずれかの聴取力検査方法において、異なる発声部分のモール数が各単語の全モーラ数の1/2以下で、単語の末尾又は中間に存在することを特徴とする。
発明5は、発明1から4のいずれかの聴取力検査方法において、異なる環境化において同じ被験者に対して同様な単語群を用いて検査することを特徴とする。
【0006】
発明6は、発明1から5のいずれかの聴取力検査方法に用いる回答用紙であって、発明1から5のいずれかの単語群が示され、共通した発声部分が互いに異なる複数の単語群がそれぞれ群毎に視覚判別可能にして表示されているか、一つの単語群が表示されていることを特徴とする。
発明7は、発明6の回答用紙において、被験者の過去の聴力検査データを含む個人情報を記入する部分が設けられていることを特徴とする。
【0007】
発明8は、発明6又は7の回答用紙を用いた聴取力検査システムであって、前記回答用紙の表示がコンピュータ画面に表示可能なユーザインタフェースとされていて、当該ユーザインターフェイスには、前記回答用紙の単語群毎に発声開始手段が、その単語群に含まれる単語毎に回答手段がそれぞれ設けられ、被験者が、コンピュータ画面上で、発声開始手段を起動させることで、その群に含まれる予め設定された単語を発声させる発声手段と、発声後一定時間内にその群に含まれる単語のいずれか最初に回答手段を起動させた一つの単語を記録する回答記録手段と、各単語群の発声単語と回答記録手段に記録された単語との一致不一致を判定する判定手段とが組み込まれていることを特徴とする。
発明9は、発明6又は7の回答用紙を用いた聴取力検査システムであって、前記回答用紙の表示がコンピュータ画面に表示可能にユーザインタフェースとされていて、当該y−ザインターフェイスには、、単語群毎に発声開始手段が、その単語群に含まれる単語毎に回答手段がそれぞれ設けられ、その発声開始手段と回答手段がコンピュータネットワークを介して特定のメインプログラムに連動され、当該メインプログラムには、前記発生開始手段からの開始信号を受信して、特定の発生信号を、開始信号を発信したサイトに送信する発声手段と、前記回答手段からの回答信号を受信して、その信号が直前に発信した発声信号の同一サイトからの同一単語群からのものである場合に、それが発声後一定時間内で、最初に回答信号である場合にその信号を記録する回答記録手段と、同一サイトの同一群の発声信号と前記回答記録手段に記録されたと単語とを比較してその正誤を判別する判定手段と、当該判定手段による判定結果を一連のサイトに発信する判定発信手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
特許庁発行の商標審査基準には、音声による類似判断の基準が示されている。
当該基準は、特許庁が長年行ってきた商標類似判断の経験を集約したものであり、少なくとも日本語を日常語とする者が、日本語で対話する場合に誤認しやすい要素を明らかにしたものである。
本発明は、このような客観性ある基準を聴取力の判断基準に用い、より客観的な単語聴取力の評価結果を得るようにしたものである。
さらに、記憶による聴覚補正(不明確に聞取った単語であっても、記憶されている意味ある単語であると自動的に修正してしまうこと。)を避けるために、無意味な単語のみを用いることとしたものである。
このようにした結果、同一の試験内容により複数の異なった場面での試験を行うと、その場面により聴取力に差異があることを評価することが出来た。
さらに、一回のテストで複数の単語群による試験を行うことで、その得点数により数値的に評価することができるようになるので、条件の変化により対応したさまざまな聴取力障害の検証にも利用しえるものである。
【0009】
また、回答用紙は、視覚的に単語群を識別できるようにすることで、複数の単語群により一度に評価することができ、その正解率という単純な手段で聴取力の優劣を数値的に評価することが出来る。
【0010】
さらにこのような評価法をインターネット等のコンピュータシステムを利用して実行するシステムとすることで、自己判断を可能とすると共に、多くの被験者を短時間で得るとが出来、当該評価方法による結果の統計的な分析資料を短時間で入手することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例に用いるための単語群の選択例を示す一覧表。
【図2】実施例1の先頭に異音がある例と中央に異音がある例を示す一覧表。
【図3】実施例1の末尾に異音がある単語群の例を示す一覧表。
【図4】実施例2の回答用紙の一例を示す正面図。
【図5】実施例2の別のテスト例を示す一覧表。
【図6】実施例3のシステムのユーザーインターフェイスを示す正面図。
【図7】実施例3のシステムのフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
特許庁発行の商標審査基準改訂第9版の第3 不登録事由、九、第4条第1項第11号(先願に係る他人の登録商標)の7.には、「商標の称呼の類否を称呼に内在する音声上の判断要素及び判断方法のみによって判断するときには、・・」として、音声による類似判断の基準が示されている。
当該基準は、特許庁が長年行ってきた商標類似判断の経験を集約したものであり、少なくとも日本語を日常語とする者が、日本語で対話する場合に誤認しやすい要素を明らかにしたものである。
本発明は、このような客観性ある基準を聴取力の判断基準に利用し、より客観的な単語聴取力の評価結果を得るようにしたものである。
そして、このような基準は我が国のみならず、各国の言語固有の判断基準を有するものであり、本発明は、それぞれの言語において、このような公的機関が蓄積した客観性の高い判断基準を本発明に基づき聴取力の評価に利用することは、容易に行えるものである。
【0013】
選択肢として用いる単語を無意味なものとしたのは、被験者が記憶しにくい単語とすることで、被験者の記憶補正をできるだけ避け、同じ設問で同じ被験者に対して繰り返しテストしても環境条件が同じであれば同様な結果を得やすくする爲のものである。
図1は使用する単語を選択する方法の一例を示すもので、3モーラの単語を、母音構成、共通モーラ及び異音の位置によって一行に整列したもので、それを5単語毎に区切ったものである。
当該表に背景を黒くして示す、物品名や科学構造あるいは人名、地名に至るまで、被験者が何らかの意味を連想する単語は削除することとした。
このようにして、被験者に何らの連想をも生じさせないようにする。
なお、この記憶補正をより確実に避けるには、以下のようにするのが好ましい。
1) 繰返しテストでは、聴取が困難な環境からより容易な環境でのテストになるように、テストの順番を配慮する。
2) 一単語群を構成する単語の数を増やす。5単語以上とするのが望ましい。
3) 単語のモーラ数を増やす。3モーラ以上が望ましい。
4) 複数の単語群でテストを構成する。10単語群以上が望ましい。
5) 繰り返しテストする場合は、テスト1回毎に新しい回答用紙を被験者に配布し、前回のテストの結果に影響されないようにする。
6) 回答用紙に記載する単語の文字は、カタカナ、ひらがなのいずれかに統一する。
このようにすることで、被験者に対して繰り返してテストしても、その時の聴取結果が回答用紙に率直に繁栄できるようにする。
【0014】
単語群を構成する単語が、互いに同じモーラ数で、同じ母音構成を有し、同じ発声順位にある一部分のみが異なる発声となる無意味な単語であっても、モーラ数が多く、異音モーラ数が少ないほど判別の困難性は増大する。
これを数式的に表現すると、単語の全モーラ数に対する異音モーラ数の割合が1/2以下であれば、それが少なくなればなるほど判別が困難になる。
この結果、環境条件等の変化による聴取力の変化を数値的に評価することができるようになる。
また、音声は、静寂な環境下で聴覚健常者をテストすると全問正解可能な明瞭な音質とすることが望ましい。
このような条件を満たしていない音声を用いたとしても、被験者それぞれについて、各環境条件での正解率を比較し、聴取力をその正解率に基づき評価する手法をとることで、環境条件と聴取力との相関関係を把握することは可能であるが、音声の明瞭性が低下するほど、正解率の差異が小さくなり、明確な評価が困難となる。
このような問題に対して、単語群の数を増加するなどで対応できる場合もあるが、テスト時間の増加は、被験者の集中力を阻害するので、一テストに要する時間が20分を超えるほど多くの単語群とするのは好ましくない。
前記環境条件は、聴取力に影響するのが明らかなもののみならず、聴取力に影響するか否かが不明なものについての確認にも使用可能である。
例えば、騒音による影響、補聴器の機種や調整具合による影響、補聴器用のループアンテナシステムの性能による影響のみならず、身体に与えられる振動、視覚的刺激による影響、臭覚的刺激による影響、さらには味覚、触覚等による影響を評価する場合にも使用可能である。
【0015】
また、一テストに複数の単語群を設定する場合は、判別が最も困難なもののみならず、判別性が異なるものを混在させる、あるいは、判別性の異なる複数のテストを行うなどして、より詳細に評価することも可能である。
複数モーラの単語は、総じて以下のように判別性が異なるものである。
1)異なる発声の語の位置による判別性の調整。
単語の頭部、中央部、末部のいずれが異なるかで、判別性は異なってくる。
図2から図4に示す単語群の例では、図2に示す先頭が異音となる単語群が他の図3,図4よりも容易に判別できる。また、図3に示す中央が異音となる単語群が図4に示す末尾が異音となる単語群より容易に判別できる。
いずれの箇所に異音が存在するかにより、判別性が異なるので、評価の目的に応じて、異音の位置を選定することが可能である。
2)一単語の同音モーラ数と異音モーラ数の違いによる判別性の調整。
例えば、図2から図3に示す単語群に共通音を一モーラを同じ箇所に追加することで、より判別性がより困難になる。
また、図2から図3に示す単語群に一モーラの異音を追加することで判別性はより容易になる。
このようにして、判別性を調整することが出来る。
ただし、異音モーラ数が同音モーラ数が大きいと判別性が高すぎて、聴取力の違いを明確には評価できないおそれがあるので、異なる発声部分のモール数が各単語の全モーラ数の1/2以下とするのが望ましい。
3)単語の全モーラ数の違いによる判別性の調整。
前記2)で示した同音モーラ数と異音モーラ数の関係が同じとしても、単語の全モーラ数が多くなるほど、その違いが判別しにくくなる。
ただし、発声速度にもよるが、それが息継ぎを要するような長さであったり、中間に音を区切る「ン」のような、発声が中断したように聞こえる音声が含まれると、それらは複数の単語の結合と認識され、かえって短い単語と同様な判別性を有することとなる。
このようなことを考慮した場合は、単語のモーラ数が7モーラ以下とするのが好ましい。
以上のように、本発明を実施するのは、評価の目的に合わせた判別性をもった単語を選定し、単語群を構成するのが望ましい。
【実施例1】
【0016】
本実施例は、単語群の作成方法と選定方法を例示する。
3モーラ単語を多数作成し、それを、図1に示すように、共通音、母音構成及び異音位置によって、群を構成する。
そして、その単語より意味のある単語(図中背景を黒くしてある)を選定してこれを削除する。
より判別性の困難な単語群とする場合は、異音が濁音、発音などを含む単語を除き、図2から3に示すように、異音位置別に一覧表を作成する。
テストの目的によっては、濁音を含む単語群を構成したり、発音を含む単語群を構成することも可能である。
この場合、5単語を一単語群とするように単語の数を調整する。
そして、必要に応じ、これらの表から、単語群を選定して用いた図4に示すような回答用紙を作成する。
なお、図4は、末尾に異音が存在する単語群を使用したが、評価目的によっては、中央、先頭に異音が存在する単語群を使用しても良いし、これら3種類の単語群を混ぜ合わせて使用してもよい。
【実施例2】
【0017】
本実施例は、実施例1で作成した回答用紙を用いた評価の実施例を示す。
図4に示す各単語群(問題)の内、発声する一単語を選定する。
発声は、明瞭かつ、できるだけ抑揚を付けないように静寂な場所で発声して、明瞭に再生可能なように記録する。
このようにして準備して、評価すべき環境下で、前記記録音声を再生して被験者に聞かせ、被験者に、聞こえた単語と同じと思う一単語にマークを付けさせて回答用紙に記録させる。
同じ被験者に、繰り返しテストを行う場合は、テストのたびに新たな回答用紙を被験者に支給し、同じ音声を再生してテストを行った。
図5は、図4の問題と同様な方法で作成した別の問題例を示す。
このようにして、補聴器を使用する被験者に対して、補聴器のマイクロホンを用いた聴取力と、補聴器にある磁気受信機能を介して聴取するループアンテナ方式との聴力の差異を、騒音下で比較した。
その結果、80%の被験者が、ループアンテナ方式が補聴器直接より10%以上の差異をもって正解率を高め、ループアンテナが明瞭に聞き取れるとの評価結果を得た。
【実施例3】
【0018】
本実施例は、コンピュータを用いて本評価方法を実施するシステムの例を示す。
図6に示すようにユーザーインターフェース(UI)を構成する。
ユーザーの個人情報を秘密に保持するために、予め登録したIDとパスワードにより本実施例のシステムを起動するようにする。
なお、ユーザーの個人情報としては、年齢、性別、難聴度合い、使用する補聴器や人工内耳などの聴力補助器具の使用の有無、あるいはその使用経過や頻度など、E−mailアドレス、ID及びパスワード等をサーバーメインホルダー(SMH)に記録する。
以下に図7に示すフローを参照して、本実施例のシステムを説明する。
[ステップ1]
(1)UI(1)にて、IDとパスワードを入力させ、サーバーメインホルダー(SMH)に記録されたものと同じ場合には、UI(2)を開く。一致しない場合は、新規登録画面を開く。
[ステップ2]
次に、UI(2)にて、Startボタンをクリックすると、サーバーメインホルダー(SMH)に保存した問題集より、一クール分の問題群(通常は10から20問)を、サブサーバ(SH)に保存する。
この一クール分の問題群は、前記個人情報に基づき、利用中のユーザーのレベルに合わせた判別性を持ったもののなかから選定するなり、前記UI(2)にレベル選択ボタンを追加して、そのレベルに基づき選定するのも可能である。
[ステップ3]
そして、当該サブサーバ(SH)に保存した問題群中の問題位置をUI(3)にて表示する。
UI(3)にて、発声ボタンをクリックすると、サブサーバ(SH)に保存した問題群から、問題1の発声信号をUI(3)に送信する。
これと同時に、発声ボタンクリック時からの経過時間を計測する。
[ステップ4]
そして、その経過時間が回答許容時間が経過するまでにUI(3)選択ボタンのいずれかがクリックされたときは、問題番号と共にその選択肢の番号を前記サブサーバ(SH)に保存する。そして、問題群の次の問題をUI(3)に表示する。
[ステップ5]
また、経過時間が回答許容時間を過ぎた場合は、UI(3)選択ボタンのクリック信号を待たずに、回答番号ゼロ(無回答)としてサブサーバ(SH)に記録し、問題群の次の問題をUI(3)に表示する。
[ステップ6]
前記ステップ4又は5において、問題群に次の問題が無い場合は、いずれもUI(4)を表示する。[ステップ7]
前記UI(4)にて、終了ボタンがクリックされると、当該問題群に対する回答内容と問題の発声単語とを比較して、正解数を演算し、問題群の全問題数の内の正解率を演算して、予め登録されているユーザーのE−Mailアドレスに正解率を送信する。
同時に、UIをログアウトして、一回の評価を終了する。
また、このようにして得られた回答データは、その正解とともに保存し、統計的な処理による当該評価方法の分析資料として、サーバーメインホルダー(SMH)に保存することも可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意の音声を被験者に聴取させ、それを正しく聴取できたか否かを検査する聴取力検査方法であって、予め回答用紙に表示した複数の単語からなる単語群から、任意の一単語を発声して被験者に聴取させ、その被験者に回答用紙の該当する単語群から、聴取した単語と同じ若しくは最も近い一単語を選択させることとし、前記単語群が、互いに同じモーラ数で、同じ母音構成を有し、同じ発声順位にある一部分のみが異なる発声となる無意味な単語のみからなることを特徴とする聴取力検査方法。
【請求項2】
請求項1に記載の聴取力検査方法において、単語群の異なる発声部分は、清音のみ又は濁音のみであることを特徴とする聴取力検査方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の聴取力検査方法において、前記単語群を構成する単語のモーラ数が3から7であることを特徴とする聴取力検査方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の聴取力検査方法において、異なる発声部分のモール数が単語の全モーラ数の1/2以下で、単語の末尾又は中間に存在することを特徴とする聴取力検査方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の聴取力検査方法において、異なる環境化において同じ被験者に対して同様な単語群を用いて検査することを特徴とする聴取力検査方法。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の聴取力検査方法に用いる回答用紙であって、請求項1から5のいずれかに記載の単語群が示され、共通した発声部分が互いに異なる複数の単語群がそれぞれ群毎に視覚判別可能にして表示されているか、一つの単語群が表示されていることを特徴とする回答用紙。
【請求項7】
請求項6に記載の回答用紙において、被験者の過去の聴力検査データを含む個人情報を記入する部分が設けられていることを特徴とする回答用紙。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の回答用紙を用いた聴取力検査システムであって、前記回答用紙の表示がコンピュータ画面に表示可能なユーザインタフェースとされていて、当該ユーザインタフェースには、前記回答用紙の単語群毎に発声開始手段が、その単語群に含まれる単語毎に回答手段がそれぞれ設けられ、被験者が、コンピュータ画面上で、発声開始手段を起動させることで、その群に含まれる予め設定された単語を発声させる発声手段と、発声後一定時間内にその群に含まれる単語のいずれか最初に回答手段を起動させた一つの単語を記録する回答記録手段と、各単語群の発声単語と回答記録手段に記録された単語との一致不一致を判定する判定手段とが組み込まれていることを特徴とする聴取力検査システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−183287(P2012−183287A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−66692(P2011−66692)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(398045784)
【Fターム(参考)】