説明

肉エマルジョン製品

【課題】肉エマルジョン製品の製造方法およびこの方法により製造した製品が開示される。
【解決手段】肉エマルジョン製品はタン白および脂肪を含み、肉エマルジョン製品に実際の肉様外観を与える多数の繊維様物質の一般的線状ストランドを有するボディから成る。肉エマルジョン製品はタン白および脂肪から形成した肉エマルジョンを細砕し、少なくとも132℃の温度に加熱し、エマルジョンを加工管に導入し、肉エマルジョンを少なくとも100psiの圧に加圧し、次いで肉エマルジョンを排出する工程から成る方法により製造できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に食品に関する。更に言えば、本発明は肉様の外観とテスクチャーを有する肉エマルジョン製品の製造方法およびこうして製造した製品に関する。
【背景技術】
【0002】
食品工業で肉エマルジョンを製造することは公知である。肉エマルジョンはボロナ、フランクフルト、その他のソーセージ製品の製造に広く使用される。さらに、このような肉エマルジョン製品はペットフードの製造に使用される。
【0003】
一般に、肉エマルジョン製品は赤身の牛および豚肉、および肉副生物のような生肉原料と氷、塩、スパイスおよびキュアリング塩の混合物を混合し、擂損し、乳化して、肉原料から溶解したタン白で被覆した微細脂肪粒子を含有するエマルジョンを製造するような方法で製造する。ソーセージ製品の場合、生成した肉エマルジョンは加工型として供する適当なケーシングに充填する。次にケーシングは高温で、例えば55C〜77Cで、処理する肉エマルジョンの容積により1〜8時間またはそれ以上の時間加熱する。
【0004】
肉エマルジョンを加熱することにより、含有タン白は凝固し、すなわち堅くなる。この結果、脂肪粒子はタン白マトリックスに捕捉され、堅い肉エマルジョン製品を形成する。生成した肉エマルジョン製品は均一で均質な塊りで、これは不連続の肉粒子を含有せず、かつ凝固した時ケーシングの形状を保持する。
【0005】
消費者に対し或る種の食品のコストを下げるために、外観、テクスチャーおよび物理的構造で天然肉の肉片に似た肉エマルジョン製品に対する要求が最近ある。このような製品はシチュー、肉パイ、キャセロール、缶詰食品およびペットフードのような食品の一層高価な天然肉片の代用品として部分的に又は完全に使用される。厚切れの肉製品は審美性および消費者へのアッピールでヒトの食品およびペットフードに非常に望ましい。これらの厚切れ製品は、形状、外観およびテクスチャーで天然の肉片に似せようとする一層経済的な製品を供する。これらの製品は工業的缶詰処理やレトルト処理に供する場合その形状、外観およびテクスチャーを保持することは非常に望ましい。
【0006】
このような天然肉擬似片を供する努力として、押出し−膨化技術を使用して植物タン白源からこのような製品を製造するものがある。このような製品は食品工業である程度許容されたが、これらは主として肉増量材としての使用に限定された。押出し−膨化方法で植物タン白源を使用して製造した製品は天然肉の外観およびテクスチャーに欠けるので、一般に肉の完全代替品として適さない。
【0007】
同様に、常法により製造した肉タン白をベースとする肉押出し製品は全く満足できるものではなかった。これらの製品は均一で均質であるが、天然の肉片の構造、テクスチャーおよび外観に欠ける。従って、これらの製品は擬似肉片の使用が望まれる用途に使用するには適当でない。
【0008】
このような肉エマルジョン製品を改良する1つの試みは米国特許第4,781,939号明細書に開示される。この特許はテクスチャー、外観およびコンシステンシィーが天然肉片に似た肉片の形の積層、非膨化製品が製造できる条件下で肉エマルジョンの加工を開示する。肉エマルジョン製品は外観、テクスチャーおよびコンシステンシィーが天然肉片に似た複数の並列し、手で分離できる肉様層を有する明白な肉片の形である。肉エマルジョンの肉片は人間の食品および動物飼料の双方で一層高価な天然肉片に対し部分的または完全な代用品として使用するのに適する。これらの製品は、高水分の缶詰食品の製造に必要な工業的缶詰および滅菌処理に供する場合、そのもとのままの状態および形状を保持する。
【0009】
米国特許第4,781,939号明細書に記載の方法により製造した製品は人間の食品および動物飼料の双方で、一層高価な天然肉片の代用品として使用できる肉エマルジョン肉片を供するが、このような製品は依然として肉様製品に全く似ているものではなく、真の肉片と同様の強い噛む/口当りを有するものではない。この点で、このような製品は複数の線状繊維束またはストランドを含む筋肉の肉に全く似ないものである。
従って、改良された肉エマルジョン製品およびその製造方法に対するニーズがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は肉エマルジョン製品の改良製造方法およびこうして製造した製品を供する。本発明によれば、肉エマルジョン製品はこれまで製造された肉エマルジョンと比較して、実際の明確な繊維を有するものが製造される。この明確な繊維は筋肉の肉に類似する非常に実際的な肉様のイメージを供する。生成した製品も一層強い噛む/口当りを有し、他の肉エマルジョン製品と比較してペースト状、かゆ状または脆さはない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一つの態様では、本発明は少なくとも一部、複数の繊維様物質により画定されるボディを含み、かつ少なくとも29重量%のタン白および7重量%以下の脂肪を含む、肉エマルジョン製品を供する。
【0012】
本発明の好ましい態様では、製品はペットフードである。
本発明の別の好ましい態様では、少なくとも一部のタン白は牛肉、豚肉、魚肉または家禽用由来である。
本発明の別の態様では、製品は約49%〜53重量%の水分を含む。
本発明の他の態様では、肉エマルジョンは少なくとも1つのタン白物質を含む。タン白物質は好ましくは製品重量で約25%〜約35%を含むことができる。
【0013】
別の態様では、本発明はタン白および脂肪を含み、かつ肉エマルジョン製品に実際の肉様外観を与える複数の繊維様物質の一般に線状のストランドを有するボディから成る肉エマルジョン製品を供する。
好ましいこのような態様では、タン白は肉エマルジョン製品の重量で約29%〜約31重量%を含む。
脂肪は好ましくは肉エマルジョン製品の重量で約4%〜約6%を含む。
本発明のさらに好ましい態様では、肉エマルジョンは約49%〜約53重量%の水分を含む。
【0014】
本発明のそれ以上の特徴では、実際の肉様のイメージを有する肉エマルジョン製品の製造方法が供される。この方法はタン白および脂肪を含有する肉エマルジョンを形成し、このエマルジョンを細砕および少なくとも132Cの温度に加熱し、エマルジョンを加工帯に導入し、そこで少なくとも100psiで加圧処理し、次いでエマルジョンを加工帯から排出する工程を含む。
【0015】
方法の好ましい態様では、エマルジョンを不完全な細断処理に供する。一つの態様では、不完全な細断工程はエマルジョンを圧縮ロールに通すことである。細断工程は加工帯から排出後に行なってもよい。
方法の別の好ましい態様では、肉エマルジョンは少なくとも29重量%のタン白および7重量%以下の脂肪を含む。
従って、改良された肉エマルジョン製品を供することは本発明の利点である。
本発明の別の利点は肉エマルジョン製品の改良製造方法を供することである。
さらに、本発明の利点は筋肉の肉に似せた肉エマルジョン製品を供することである。
本発明の更に別の利点は非常に実際的な肉様イメージを有する肉エマルジョン製品を供することである。
【0016】
本発明のそれ以上の利点は非常に実際的な肉様のイメージを有し、かつ高水分缶詰食品の製造に必要な工業的缶詰および滅菌処理に供する時、その本来の状態および形状を保持する肉エマルジョン製品を供することである。
本発明の付加的利点は乾燥でき、かつ乾燥ペットフードの製造に使用できる肉エマルジョンを供することである。
本発明の別の利点はフライングでき、かつ乾燥ペットフードまたはご馳走の製造に使用できる肉エマルジョン製品を供することである。
さらに、本発明の利点はペットフードに使用できる肉エマルジョン製品を供することである。
【0017】
本発明の別の利点はこれまで製造された一般的肉エマルジョン製品より一層強い噛む/口当りを有する肉エマルジョン製品を供することである。
本発明のそれ以上の利点は家禽肉、豚肉、牛肉、魚肉その他の肉に似せることができる肉エマルジョンを供することである。
本発明のこれらおよび他の利点は好ましい本態様の詳細な記載および図面に開示され、明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】先行技術の肉エマルジョン製品の写真である。
【図2】本発明の肉エマルジョン製品の1態様の写真である。
【図3】本発明の肉エマルジョン製品の製造方法の1態様の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は改良された肉エマルジョン製品およびその製造方法を供する。或る好ましい態様では、肉エマルジョン製品は缶詰ペットフード用に考案される。しかし、本発明は人間の消費用の肉エマルジョン製品の製造に適用できることは注目すべきである。肉エマルジョン製品は家禽、牛、豚および魚さえも含む任意の肉製品に似せることができる。
【0020】
以下に詳記するように、一般に本発明肉製品は肉、タン白、水および各種成分を乳化することにより製造される。このように製造したエマルジョンは次に高速エマルジョンミルに送り、そこでエマルジョンは急速加熱され、熱ゲル化させる。次に加熱エマルジョンは保持管中に排出し、そこで筋のある肉様構造に固化する。
【0021】
以下に詳記するように、本発明によれば、肉エマルジョン製品に非常に実際的な肉様イメージを与える改良された明確な繊維(直径の小さい可視繊維)を有する肉エマルジョン製品が製造される。この点について、生成した肉エマルジョン製品は肉エマルジョンに非常に実際的な筋肉の肉外観を与える繊維束またはストランドを有する。生成する家禽肉エマルジョン製品の場合、本発明製品は骨から手で引き離し、それ自体のブロス/ジュースに被覆された柔軟なゆっくり加熱されたチキンまたは七面鳥の外観を有すると信じられる。さらに、本発明によれば、肉エマルジョン製品は不規則な製品形状および寸法を有し、先行技術の製品より一層強い噛む/口当りを有し、かつペースト状、かゆ状または脆くない製品が製造される。
【0022】
図面を引用して、図1は先行技術の肉エマルジョン製品を説明する。写真で明らかなように、製品は繊維を全く含まず、むしろ均質構造を有する。
図2は本発明の肉エマルジョン製品を説明する。写真で分かるように、製品は一般に線状に配列した束の複数の延びた繊維のストランドを有する。これは図1の肉エマルジョンより一層実際的な肉様製品を供する。
【0023】
本発明方法による肉エマルジョン製品の製造では、哺乳動物、魚、または鳥および/または肉副生物を含み、必要な品質、成分コストおよび嗜好を有する天然肉物質の混合物を用意し、細砕し、乳化される。使用肉および/または肉副生物は広汎な成分から選択することができ、処方に使用する肉材料の種類および量は製品の意図する用途、製品の所望フレーバ、嗜好、コスト、成分の入手性等のような多数の考慮すべき事柄による。各種哺乳動物、鳥および魚の肉(すなわち、骨格組織および非骨格筋肉)および/または肉副生物(すなわち、屠殺した哺乳動物、鳥、または魚由来の肉以外の未加工清浄部分)の双方は肉材料として使用できる。したがって、本明細書で使用する肉材料とは冷凍材料を含む未脱水肉および/または肉副生物を意味する。
【0024】
製品が人間の消費用のものである場合、通例の肉エマルジョン製品の製造に使用する任意の肉および肉副生物は全屠体の牛肉および羊肉、無脂肪豚トリム、牛すね肉、子牛肉、牛および豚のホホ肉のような肉およびくちびる、胃袋、心臓および舌のような肉副生物を含み、本発明で使用できる。製品がペットフード製品として使用するために意図される場合、肉ミックスは上記肉材料以外に、機械的に除骨した牛、チキン、または魚、牛や豚の肝臓、肺、腎臓などのような動物飼料に使用が認められる任意の肉副生物を含有できる。一般に、肉材料は最高約15%、好ましくは約10重量%未満の脂肪を含有するように処方される。
【0025】
通例の肉エマルジョン製品に使用される添加物は肉材料と混合し、本発明の肉エマルジョンに含めることができる。これらの添加物は塩、スパイス、調味料、糖などを所望の呈味性を製品に供するのに十分な量で含む。さらに、例えばビタミン、抗酸化剤、プレビオチックスおよびミネラル、フレーバなどの機能性成分のような少量の他の乾燥成分も肉エマルジョンに添加できる。
【0026】
肉エマルジョンは1つ以上の乾燥タン白物質、例えば、小麦グルテン、大豆粉、濃縮大豆タン白、分離大豆タン白、卵白、および乾燥無脂乳を含み、エマルジョンの安定性および結合性を改良し、フレーバを付与しそして処方コストを低減することもできる。肉エマルジョンに乾燥タン白物質を加えることによりペットフードとして使用するための製品の製造に特に有利となる。乾燥タン白物質を使うことにより、製造者は、そのままでは肉エマルジョン製品の製造に使用するには許容限界性があるタン白対脂肪比およびミオシン対全タン白比を有する肉材料を使用できる。乾燥タン白物質が肉エマルジョンに含まれる場合、使用量は製品の意図する用途、エマルジョンに使用する肉物質の品質、成分コストに対する考慮などのような因子により、エマルジョンの約5%〜約35重量%に変化できる。好ましい態様では、乾燥タン白物質量は約25%〜約35重量%である。一般に、使用肉材料の脂肪含量および/または水分含量が増加すると共に、エマルジョンの乾燥タン白物質量は増加する。
【0027】
肉エマルジョンの処方は広く変化できるが、乾燥タン白物質を含むエマルジョンは、タン白の凝固により、エマルジョンの不安定性の徴候がなく堅い肉エマルジョンを形成するのに十分なタン白対脂肪比を有すべきである。さらに、エマルジョンのタン白含量は水の沸点以上の温度に加熱する場合、エマルジョンを凝固させ、短時間内に、すなわちこのような温度に加熱後約5分以内に、好ましくは3分以内に、堅いエマルジョンを形成するようなものでなければならない。したがって、肉材料および乾燥タン白物質(使用する場合)を含む添加物は次の割合で混合する。即ち、肉材料が肉エマルジョンの約50%〜75重量%、好ましくは約60%〜約70重量%で含むような割合。好ましい態様では、肉エマルジョンの出発成分は約29%〜約31重量%のタン白および約4%〜約6重量%の脂肪を含む。生成した肉エマルジョン製品は出発成分のものと実質的に同様のプロフィルを有すべきである。しかし、グレービィまたはブロスが製品に添加される場合、このプロフィルはグレービィ/ブロスの水分、タン白および/または脂肪含量により変化できる。
【0028】
さらに、肉エマルジョンは約45%〜80重量%の水分を含有するように処方すべきである。水分含量は肉エマルジョン、すなわち肉材料および添加物の約49%〜53重量%に調整することが好ましい。エマルジョンの正確な水分濃度は勿論エマルジョンのタン白および脂肪量による。
【0029】
使用するために選択した肉ミックスは磨砕機を通して肉材料を実質的に均一寸法の断片に減縮する。一般に、肉は1cm以下の磨砕プレートを備えた磨砕機を通すことが好ましい。満足できる結果は1cm以上の粒度に肉を磨砕することにより得られるが、このような更に大きい肉粒子の使用は一般に好ましくない。使用肉材料が凍結状態にある場合、これらは最初に予備破砕または断片に切断して磨砕機に送る断片の寸法を低減しなければならない。断片の寸法は肉磨砕機取入口の寸法によるが、通常凍結肉材料は約10cm平方の断片に切断される。
【0030】
磨砕後、肉粒子の混合物は混合タンクに送り、そこで肉は均質形になるまで混合する。好ましくは熱水ジャケット、蒸気注入などにより約1C〜約7Cの温度に加熱して肉ミックスのポンプ輸送を有利にする。次に磨砕肉粒子の均一混合物は、肉材料を乳化させ、肉エマルジョンを形成する条件下で細砕し、そこで肉混合物のタン白および水は脂肪小球をカプセル化したマトリックスを形成する。肉材料はミキサー、ブレンダー、グラインダー、サイレントカッター、チョッパー、エマルジョンミルなどを使用することによるような、肉の乳化に通常使用する任意の常法および装置により乳化でき、これらの装置は脂肪を破碎し、小球としてタン白スラリーに分散し、エマルジョンを形成することができる。
【0031】
一般に肉エマルジョンの温度は乳化工程中上昇する。この肉エマルジョンの加熱は、タン白の変性がこの工程で望ましくない割合で起こり始める点まで温度が上昇しない限り問題にはならない。乳化中の肉混合物の温度は方法のこの工程でタン白変性を最少化するために約49C未満に維持すべきである。本発明の好ましい態様によれば、肉材料はエマルジョンミルに通して肉材料を乳化させ、エマルジョンは約10C〜約49C、好ましくは約21C〜約38Cの温度に加熱する。
【0032】
肉エマルジョンに添加する、乾燥タン白物質(使用する場合)を含む添加物は乳化前肉ミックスに添加できる。別法では、添加物、特に乾燥タン白物質を肉の乳化後肉ミックスに添加することはしばしば好ましい。乾燥タン白物質の添加によりエマルジョンの粘度が増加するので、一層良い乳化が、肉ミックスを乾燥タン白物質の添加前に乳化する場合得られ、これは粘稠性の肉「ドウ」を形成する。
【0033】
この肉エマルジョンドウは順次細碎して、エマルジョンの微細度を高め、そして水の沸点以上の温度に急速加熱する。この温度でエマルジョンのタン白凝固は急速に進行するのでエマルジョンは凝固し、堅いエマルジョン製品が非常に短時間内に、例えば20秒以下で形成される。
【0034】
水の沸点以上、一般には約120C〜約163C、好ましくは約140C〜約154Cの温度に粘稠な肉エマルジョンを急速加熱すると、エマルジョンのタン白の凝固を生じてエマルジョンを凝固させ、加熱後約5分以内に、一般には数秒〜約3分で堅いエマルジョン製品を形成する。該方法のこの工程で、エマルジョンは約100〜約500psi、好ましくは200〜350psiの圧力下にある。圧力の増加と共に高温は製品に明確な繊維を供する。意外なことに製品の温度および圧力が高い程繊維の発現は良い。これは一層小さい、微細で長い繊維による線状整列を意味する。
【0035】
好ましくはエマルジョンは細碎している間、機械加熱および/または蒸気注入などにより高温に加熱する装置で加工する。好ましい態様によれば、約30C〜約40Cの温度の粘稠な肉エマルジョンはエマルジョンミルにポンプ輸送し、そこで肉エマルジョンは剪断処理してエマルジョンの微碎度を増加しほとんど同時に急速機械加熱および/または蒸気注入によりエマルジョンを約120C〜約163C、好ましくは140C〜約154Cに加熱する。こうして、エマルジョンは好ましくは約60秒未満でこのような高温に加熱される。エマルジョンがこの方法でこのような高温に加熱される場合、エマルジョンのそれ以上の有意な剪断および切断は避けるべきである。エマルジョンの温度を所望範囲内に調整するのは、エマルジョンミル中への供給割合、エマルジョンミルの回転速度などのような因子を調整して行なうことができ、容易に当業者は決定できる。
水の沸点以上、好ましくは約120C〜約163Cの範囲、好ましくは約140C〜約154Cの範囲の温度の熱い肉エマルジョンは容量型ポンプ、例えばギアまたはローブポンプにより、画定された加工帯を規定する保持管に移送する。製品は80psi〜約500psi、好ましくは約150psi〜約450psi、もっとも好ましくは200psi〜約350psiの高圧で加工帯にポンプ輸送する。このような高圧で、方法は乳化機の上部設計限度圧またはその近くで操作する。この理由で、好ましくは容量ポンプ(500〜2500psi以上の圧力限界)は乳化機後に直接クローズ・カップルされる。これにより高圧でなく高温を発現するために乳化機を使用できる。圧力はギアポンプ後に発現する。そのためこれは乳化機ハウジング内の圧力を60〜100psiに低減する。
【0036】
画定された加工帯は好ましくは延長管形である。肉エマルジョン中のタン白が十分に凝固してエマルジョンを凝固させ、堅いエマルジョン製品を形成するまで、エマルジョンの蒸気圧以上の圧で画定された加工帯にエマルジョンを保持し、画定された加工帯から排出する場合その形状および構造を保持する。このような高温で、タン白凝固は非常に急速に進行する。
【0037】
熱エマルジョンが十分に凝固して堅い製品を形成するのに必要な時間は多数の因子、例えばエマルジョンが加熱される温度、エマルジョン中のタン白の量および種類などによるが、数秒〜約3分、通列約1〜約1.5分の延長管内の滞留時間は一般にタン白を十分に凝固させるのに十分であり、その形状、本来の状態および物理的特徴を保持する堅いエマルジョン製品を形成する。延長管の滞留時間は延長管へのエマルジョンの流速を調整することにより、および/または延長管の長さを調整することにより調整できる。
【0038】
延長管の構造は製品の繊維構造を作成するのに役立つ。延長管は、管の円周は製品がそれ以上管中に進行するにつれて小さくなるようにその長さに沿って横断面直径を低減すべきである。実際に、約2.5m〜約6m、好ましくは3〜5mの長さおよび約12mm〜約75mmの内部直径を有する管は十分に機能して堅いエマルジョン製品を形成すると信じられる。管は長さに沿って、またはその一部で低減する横断直径を有するので、製品が管に入ると、管を流れる時絞られる。流速および製品上の異る圧力は繊維構造を作成するのに役立つ。例として、管材料は製品が管に入る開口で約62mmの直径を有し、円錐低減部を経て25mm直径に狭くなるものが使用される。各種横断面形状の管、例えば環状、正方形、長方形などが使用できる。
【0039】
管は冷却することが好ましい。管に通すときに製品を冷却できる。一般に管は外部ジャケットその他の要素により冷却できる。長方形管または円形3重管(冷却管内の製品管内に冷却管を有する)は製品の中心まで有効冷却に有利な好ましい設計である。冷却は横断面積の減少と同様に方法の安定性を高め、製品の粘度および流速に変動を生ずることにより明確な繊維および整列を増強することができる。画定された加工帯から排出される凝固肉エマルジョン断片は細長片形の製品で、約65C〜100Cの温度および約47%〜60%の水分含量を有し、断片の大きさはいろいろである。加工帯から排出すると、断片は蒸発冷却により60C〜93Cの範囲の温度に急速冷却する。望む場合、回転切断ナイフ、水ジェットナイフ、グリッドナイフなどのような適当な切断要素は延長管の排出端に取付け、製品を所望寸法、例えば約150〜約350mmの断片に切断できる。望む場合、製品は一層急速に冷却できるように中心に切り下げることができる。こうして形成した肉エマルジョン断片はすぐれた本来の姿および強度を有し、商業缶詰およびレトルト処理する場合、高水分含量を有する缶詰食品の製造に必要なその形状およびその特徴を保有する。
【0040】
製品の繊維状イメージを増強するために、同じ速度で回転する2つの長い軽く表面に模様をつけたシリンダー(ロール)から成る1セットの圧縮ロールを最終製品の再成形またはダイシング化前に使用できる。画定加工帯から排出される製品は回転シリンダー間の狭い調整可能な開口部に落とす。このシリンダーは繊維を開き、または一部分離しまたは引き離す。この不完全形の細断は線状繊維を強調する機能があることが分かった。
【0041】
画定加工帯から排出される肉エマルジョン断片はダイスに切断しそして乾燥機に送って大部分の水分を除去し、乾燥製品を集め、貯蔵する。水分の低減は断片を乾燥熱にさらすことにより達成することもでき、その結果生成した製品断片は繊維を示すが、一般にキブル様の外観を有する。乾燥熱はボディを焙煎し、焙焼し、あぶりまたはフライングすることにより供することもできる。好ましくはボディはフラッシュフライングする。その時間は油の温度範囲が150°〜200℃である場合、一般に1分未満、好ましくは15〜35秒の範囲である。
【0042】
別法では、「含水」製品の製造で、肉エマルジョン断片は延長管から直接缶詰作業に移し、そこで断片はソース、グレービィなどのような他の成分と一緒に缶に充填し、缶をレトルト処理する。いずれの場合にも、製品は望む場合大きさを変更できる。
【0043】
例として、缶詰ペットフード製品の製造では、適当なグレービィは水、澱粉、および調味料の混合物を加熱することにより製造できる。肉エマルジョン断片およびグレービィは望む割合で缶に充填し、缶は脱気密封し、次いで商業滅菌を行なうのに十分な時間−温度条件下でレトルト加熱する。通例のレトルト加熱方法は使用できる。一般に約40〜90分で約118C〜121Cのレトルト加熱温度は商業滅菌製品の製造に十分である。
図3は本発明の方法工程を一般に説明する流れ図を示す。
【0044】
ここに記載の好ましい本態様に対する各種変更および修正は当業者には明らかであることを理解すべきである。このような変更および修正は本発明の範囲から逸脱せずに、かつ付随利益を減少せずに行なうことができる。従って、このような変更および修正は添付特許請求の範囲により網羅されるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部、複数の繊維様構造により規定されたボディを含み、かつ少なくとも29重量%のタン白および7重量%以下の脂肪を含む、肉エマルジョン製品。
【請求項2】
タン白は家禽肉由来である、請求項1記載の肉エマルジョン製品。
【請求項3】
製品は約49%〜約53重量%の水分を含む、請求項1または2記載の肉エマルジョン製品。
【請求項4】
少なくとも1つのタン白物質を含む、請求項1から3のいずれか1項記載の肉エマルジョン製品。
【請求項5】
タン白物質は製品の約25%〜約35重量%を含む、請求項4記載の肉エマルジョン製品。
【請求項6】
製品はペットフードである、請求項1から5のいずれか1項記載の肉エマルジョン製品。
【請求項7】
タン白および脂肪を含み、かつ肉エマルジョン製品に実際の肉様外観を与える複数の一般に線状の繊維様物質のストランドを有するボディから成る、肉エマルジョン製品。
【請求項8】
タン白は肉エマルジョン製品の約29%〜約31重量%を含む、請求項7記載の肉エマルジョン製品。
【請求項9】
脂肪は肉エマルジョン製品の約4%〜7重量%を含む、請求項7または8記載の肉エマルジョン製品。
【請求項10】
肉エマルジョン製品は約49%〜約53重量%の水分を含む、請求項7から9のいずれか1項に記載の肉エマルジョン製品。
【請求項11】
製品はペットフードである、請求項7から10のいずれか1項記載の肉エマルジョン製品。
【請求項12】
タン白は少なくとも一部家禽肉由来である、請求項7から11のいずれか1項記載の肉エマルジョン製品。
【請求項13】
タン白および脂肪を含有する肉エマルジョンを形成する工程と、
肉エマルジョンを細砕し、少なくとも132℃の温度に加熱する工程と、
エマルジョンを加工帯に導入し、肉エマルジョンを少なくとも100psiに加圧処理する工程と、
肉エマルジョンを加工帯から排出する工程と、
を含む、実際の肉様イメージを有する肉エマルジョン製品の製造方法。
【請求項14】
肉エマルジョンを不完全な細断に処する、請求項13記載の方法。
【請求項15】
不完全な細断はエマルジョンを圧縮ロールに通す工程である、請求項14記載の方法。
【請求項16】
細断は、エマルジョンを排出した後に行なう、請求項14または15記載の方法。
【請求項17】
肉エマルジョンは少なくとも29重量%のタン白および7重量%以下の脂肪を含む、請求項13から16のいずれか1項記載の方法。
【請求項18】
加工帯は延長管を含む、請求項13から17のいずれか1項記載の方法。
【請求項19】
延長管を冷却する工程を含む、請求項18記載の方法。
【請求項20】
延長管は少なくともその長さの部分に沿って変化する横断面直径を有する、請求項18または19記載の方法。
【請求項21】
生成した肉エマルジョン製品を缶詰する工程を含む、請求項13から20のいずれか1項記載の方法。
【請求項22】
肉エマルジョンを乾燥し、そしてこれからキブル様断片を形成する工程を含む、請求項13から20のいずれか1項記載の方法。
【請求項23】
乾燥はフライングである、請求項22記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−31442(P2013−31442A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−174140(P2012−174140)
【出願日】平成24年8月6日(2012.8.6)
【分割の表示】特願2001−537572(P2001−537572)の分割
【原出願日】平成12年11月8日(2000.11.8)
【出願人】(590002013)ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー (31)
【Fターム(参考)】