説明

肉類加工品用改良剤、該改良剤を用いた肉類加工品の改質方法及び肉類加工品

【課題】 肉類の加工、加熱調理後の歩留と風味、食感に優れ、さらには加熱調理後、冷凍やチルド状態での保存を経た後の際加熱の後でも良好な風味と食感を損なうことがなく、安価に提供できる肉類加工品用改良剤、該改良剤を用いた肉類加工品の改質方法及び肉類加工品を提供する。
【解決手段】 オリゴ糖と澱粉質原料を肉類に添加することで風味、食感に優れ、加熱調理後、冷凍やチルド状態での保存を経た後の再加熱の後であっても良好な風味と食感を損なうことのない肉類加工品を提供することが出来る。そして、さらに、有機酸の可溶性塩、アルカリ剤、高分子多糖類のいずれか一種または二種以上を添加したものであることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肉類の加工、加熱調理後の歩留と風味、食感に優れ、更には加熱調理後、冷凍やチルド状態での保存を経た後の、電子レンジ加熱などの再加熱の後でも良好な風味と食感を損なうことがなく、安価に提供できる肉類加工品用改良剤、該改良剤を用いた肉類加工品の改質方法及び肉類加工品に関する。
【背景技術】
【0002】
牛肉、豚肉、鶏肉をはじめとする肉類と、魚などを始めとする魚介の肉類、更に、それを用いた加工食品は、肉本来の繊維感や噛み応えなどの食感を有しつつもソフトであり、パサつきが少なくジューシー、かつ肉本来の風味を有するものが好まれる。
【0003】
近年ではBSE問題、鶏インフルエンザ問題などに起因する原料供給不安も広がり、安価で安定した品質の原料肉も、以前より入手が困難になりつつある。
【0004】
このような中、老廃家畜、経産家畜、乳牛種や、海外より輸入の冷凍魚介から得られる肉は、安価ではあるものの、加熱調理のあとは、歩留が低くなる、パサついてジューシーさが乏しくなる、硬くて噛み切り難い、独特の臭みがあるなどの問題があり、おいしく喫食することは難しい。このような原料肉を用いて加工品を製造する場合、これまでに様々な改良方法が考案されてきた。
【0005】
例えば、下記特許文献1、2、3、4、5、6では、澱粉や澱粉加水分解物を利用した肉類の製造方法、改質剤、改質方法等を開示している。しかしながら、これらの技術で得た肉類もしくは肉類加工品は、加熱調理すると、肉本来の食感の弱い、均一な、食感となってしまい、肉類本来の、繊維感のある、ソフトでジューシーな食感は十分に得られない。
【0006】
また、下記特許文献7では、油脂、及びモノグリセリドとポリカルボン酸とのエステル及び/又はジグリセリドと、ポリカルボン酸とのエステルを含む組成物を肉類に添加している。しかしながら、この技術では、効果を十分に引き出すためには多量の上記組成物を添加することが必要となり、肉類本来の風味を損うことがあり、また、安定した、十分な効果が得られていないのが現状であった。
【0007】
また、下記特許文献8、9、10、11では、有機酸またはその塩類を、複数種類組み合わせて肉類に添加したり、それ以外の素材と組み合わせて肉類に添加している。しかしながら、これらの技術では、安定した効果を得ることが難しく、有機酸またはその塩類特有の欠点が肉類またはその加工品に呈してしまうことがあるため、満足のいく効果が得られていないのが現状であった。
【0008】
また、下記特許文献12では、魚肉及び/又は畜肉を冷凍、凍結乾燥する際のタンパク質の変性を抑制するため、原料肉に対し、マルトテトラオース及び/又はその還元物を主成分とする糖質、マルトトリオース及び/又はその還元物を主成分とする糖質、又はサイクロデキストリン及び重合度3〜10のオリゴ糖を主成分とする糖質を添加している。しかしながら、これも、安定した効果が得られるとはいえず、改善の余地があった。
【特許文献1】特開平9−308461号公報
【特許文献2】特開平10−99051号公報
【特許文献3】特開平11−266835号公報
【特許文献4】特許第3180148号公報
【特許文献5】特開平9−308462号公報
【特許文献6】特開2000−157218号公報
【特許文献7】特開平7−313105号公報
【特許文献8】特開平6−343423号公報
【特許文献9】特開2003−304836号公報
【特許文献10】特開2000−79号公報
【特許文献11】特開平11−133号公報
【特許文献12】特公平7−75515号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述のように肉類の加工方法についてはこれまでに様々な研究がなされているが満足のできる結果は得られてはいないのが実情であった。
【0010】
よって、本発明は、肉類の加工、加熱調理後の歩留と風味、食感に優れ、更には加熱調理後、冷凍やチルド状態での保存を経た後の、電子レンジ加熱などの再加熱の後でも良好な風味と食感を損なうことがなく、安価に提供できる肉類加工品用改良剤、該改良剤を用いた肉類加工品の改質方法及び肉類加工品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、オリゴ糖と澱粉質原料を原料となる肉類に同時に添加することで、それぞれが持つ機能を効果的に発揮し、更には、オリゴ糖、又は澱粉質原料を単独で添加した際には得られない、新たな効果が得られるということを見出した。
【0012】
すなわち、本発明の肉類加工品用改良剤は、(A)オリゴ糖と、(B)澱粉質原料を含むことを特徴とする。
【0013】
オリゴ糖と澱粉質原料を肉類に添加することで、それぞれが持つ機能を効果的に発揮し、加熱調理後の歩留と食感に優れ、更には加熱調理後、冷凍やチルド状態での保存を経た後、電子レンジ加熱などの再加熱によっても良好な風味と食感を損なうことがない肉類加工品とすることができる。
【0014】
また、本発明の肉類加工品用改良剤は、(C)有機酸の可溶性塩、(D)アルカリ剤、(E)高分子多糖類から選ばれた一種又は二種以上を更に含有することが好ましく、それによって前記のオリゴ糖と澱粉を併用したときに得られる前記の効果を、更に効果的に引き出すことができる。
【0015】
そして、(A)成分は、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、非還元グルコオリゴ糖、ニゲロオリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、パノースオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、イヌロオリゴ糖、大豆オリゴ糖、キシロオリゴ糖、トレハロースから選ばれた1種以上を主成分とすることが好ましく、重合度3〜7のマルトオリゴ糖が主成分糖であることがより好ましい。
【0016】
(B)成分は、酸処理、エステル化処理、エーテル化処理、架橋処理、油脂加工処理、湿熱処理から選ばれた1種又は2種以上の処理方法で加工した澱粉誘導体であることが好ましい。
【0017】
(C)成分は、酒石酸、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、酢酸、コハク酸、フマル酸、アスコルビン酸、グルコン酸、アジピン酸のアルカリ金属塩から選ばれた1種又は2種以上であることが好ましい。
【0018】
(D)成分は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、リン酸3ナトリウム、リン酸3カリウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素2カリウム、リン酸2水素ナトリウム、リン酸2水素カリウム、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、ポリリン酸ナトリウム、ポリリン酸カリウム、メタリン酸ナトリウム、メタリン酸カリウムから選ばれた1種又は2種以上であることが好ましい。
【0019】
(E)成分は、グアーガム、ローカストビーンガム、タラガム、タマリンドガム、グルコマンナン、キサンタンガム、大豆ファイバー、コーンファイバー、おからファイバー、アラビアガム、ペクチン、ジェランガム、プルラン、カードラン、寒天、アルギン酸ナトリウム、セルロース、カルボキシメチルセルロースから選ばれた1種又は2種以上であることが好ましい。
【0020】
そして、本発明の肉類加工品用改良剤では、肉類加工品用改良剤の固形分全量中における(A)成分と(B)成分は、質量比で(A)成分:(B)成分=1:9〜9:1であることが好ましい。
【0021】
また、肉類加工品用改良剤の(A)成分と(B)成分の固形分合計量を100質量部とした時、(C)成分の含有量は1〜50質量部、(D)成分の含有量は1〜40質量部、(E)成分の含有量は0.5〜30質量部であることが好ましい。
【0022】
本発明の肉類加工品の改質方法は、上記改良剤を肉類に添加することを特徴としており、肉類100質量部に対し、(A)成分0.05〜10質量部、及び(B)成分を0.05〜10質量部添加することが好ましい。
【0023】
更に、肉類100質量部に対し、(C)成分は0.01〜3質量部添加することが好ましく、(D)成分は0.005〜3質量部添加することが好ましく、(E)成分は0.005〜3質量部添加することが好ましい。
【0024】
そして、本発明の肉類加工品は、上記改質方法で得られた肉類加工品である。
【発明の効果】
【0025】
本発明の肉類加工品用改良剤は、オリゴ糖と、澱粉質原料を含むものであり、該改良剤を原料となる肉類に添加することにより、個々の成分の相乗作用によって、加熱調理後の歩留と風味、食感に優れ、更には加熱調理後、冷凍やチルド状態での保存を経た後の、電子レンジ加熱などの再加熱の後でも良好な風味と食感を損なうことがない肉類加工品を提供することが出来る。
【0026】
そして、更に、有機酸の可溶性塩、アルカリ剤、高分子多糖類、発酵調味料を含む改良剤を用いることで、より良い食感と、風味を備えた肉類加工品を提供することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の肉類加工品用改良剤は、オリゴ糖及び澱粉質原料を含むものである。
【0028】
そして、本発明において使用可能な肉類とは、牛肉、豚肉、羊肉、山羊肉、馬肉、家兎肉、鹿肉などの畜肉、鶏肉、アヒル肉、ガチョウ肉、七面鳥肉などの家禽肉など、魚、イカ、タコ、カニ、エビなどの魚介肉などであり、加熱などの処理が施されていない肉類を総称し、冷凍肉、チルド肉、生鮮肉なども含む。また、使用する部位については、特に限定しない。更に、使用する肉類の形状は、比較的大きな肉塊であっても、チョッパー等を用いて挽肉にされていても、フードカッター等を用いてカッティングしてもよい。
【0029】
本発明の肉類加工用改良剤で用いるオリゴ糖としては、様々な種類のオリゴ糖が使用できる。例えば、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、非還元グルコオリゴ糖、ニゲロオリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、パノースオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、イヌロオリゴ糖、大豆オリゴ糖、キシロオリゴ糖、トレハロース等のオリゴ糖が使用できるが、マルトオリゴ糖を主成分糖とするものが好ましい。マルトオリゴ糖としては、重合度2〜10のマルトオリゴ糖がより好ましく、重合度3〜7である、マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、マルトヘキサオース、マルトヘクタオースから選ばれたマルトオリゴ糖が最も好ましい。更には、上記オリゴ糖は単独で用いても、重合度の異なるオリゴ糖の混合物として用いても良い。
【0030】
本発明において、オリゴ糖は、シロップ状でも、スプレードライなど公知の方法で粉末状に乾燥したものでもよく、シロップ状のオリゴ糖の場合は、全固形分の合計が50%以上の濃度であることが好ましい。
【0031】
本発明の肉類加工用改良剤で用いる澱粉質原料は、特に限定はなく、例えば、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、ハイアミロースコーンスターチ、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、粳米澱粉、餅米澱粉、サゴ澱粉、甘藷澱粉など通常市販されているものを好適に使用することができる。
【0032】
また、澱粉質原料は未加工品であってもよいが、好ましくは、化学的又は/及び物理的に処理された加工品である。
【0033】
澱粉質原料の加工方法は、例えば、酸処理、エステル化処理、エーテル化処理、架橋処理、油脂加工処理、湿熱処理等が挙げられ、これら加工方法を1種または2種以上を選択して組み合わせて用いてもよい。
【0034】
酸処理に用いる酸処理剤としては、例えば、次亜塩素酸ナトリウム、過酸化水素等から選ばれた一種以上が好ましく用いられる。
【0035】
架橋処理に用いる架橋剤としては、例えば、オキシ塩化リン、ポリリン酸塩、メタリン酸塩、アジピン酸、アクロレイン、エピクロロヒドリン等から選ばれた一種以上が好ましく用いられる。
【0036】
エステル化処理に用いるエステル化剤としては、例えば、無水酢酸、酢酸ビニル、無水マレイン酸、無水コハク酸、1−オクテニルコハク酸、オルトリン酸、ポリリン酸、メタリン酸等から選ばれた一種以上が好ましく用いられる。
【0037】
エーテル化処理に用いるエーテル化剤としては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド等のアルキレンオキシドや、モノクロロ酢酸等が好ましく用いられる。
【0038】
油脂加工処理とは、澱粉に食用油脂およびその類縁物などを添加し、均一になるまで混合した後、必要に応じて乾燥し、更に加熱処理する処理方法である。
【0039】
湿熱処理とは、澱粉を糊化するには不十分な水分の存在下で加熱処理することを意味し、例えば特開平4−130102号に示されるように、減圧ラインと加圧蒸気ラインの両方を敷設し、内圧、外圧共に耐圧性の密封できる容器内に澱粉を入れ、減圧した後、蒸気導入による加圧加熱を行ない、あるいはこの操作を繰り返すことにより、澱粉を所定時間加熱した後、冷却する方法が好ましく採用される。
【0040】
そして、肉類加工用改良剤に含まれるオリゴ糖と澱粉質原料の含有量は、質量比でオリゴ糖:澱粉質原料=1:9〜9:1であることが好ましく、より好ましくは3:7〜7:3である。
【0041】
更に、オリゴ糖の肉類加工品への添加量は、原料肉類100質量部に対し0.05〜10質量部とすることが好ましく、より好ましくは0.1〜6質量部である。添加量が0.05質量部未満であると、本発明で期待する効果を十分に得ることができず、また、10質量部より多いと、肉類加工品の加熱調理時に、オリゴ糖の流出量が多くなってしまうため好ましくない。
【0042】
更に、澱粉質原料の肉類加工品への添加量は、原料肉類100質量部に対し、0.05〜10質量部とすることが好ましく、より好ましくは0.1〜6質量部である。添加量が0.05質量部未満であると肉類のソフト化、歩留の向上などの効果はほとんど得られず、10質量部より多いと、肉類加工品のジューシーさ、ソフトさが薄れてしまうため好ましくない。
【0043】
オリゴ糖は、前記の通りに原料肉類に配合することで、その効果を引き出すことが可能であるが、肉類加工品は加熱調理の際に焼き縮みを起こし、配合したオリゴ糖の一部、又は大部分が流出してしまうため、十分な効果が得られなかった。
【0044】
また、澱粉質原料を原料肉類に配合することで、加熱調理時に肉汁の流出を抑制し、その歩留を向上させることは可能であるが、特に畜肉類の加工品においては、食感が均一で噛み応えが弱く、ジューシーさに乏しいものになりがちで、肉本来の食感が薄れてしまう欠点があった。
【0045】
しかしながら、オリゴ糖と澱粉質原料を同時に配合することで、加熱調理の際の肉汁の流出を抑えつつ、肉本来の繊維感のある、ソフトでジューシーな食感を付与することができる。
【0046】
そして、本発明の肉類加工用改良剤は、オリゴ糖と澱粉質原料の他に、更に有機酸の可溶性塩、アルカリ剤、水溶性高分子多糖類、発酵調味料を含むものであることが好ましく、肉類加工品の食感、風味をより好ましく、そして効果的に改良することが可能である。
【0047】
本発明の肉類加工用改良剤で用いることのできる有機酸の可溶性塩とは、調味料やpH調整剤として使用可能な食品添加物の中から広く選択することができ、例えば、酒石酸、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、酢酸、コハク酸、フマル酸、アスコルビン酸、グルコン酸、アジピン酸などの塩類があり、好ましくは、酒石酸、乳酸、リンゴ酸、酢酸、グルコン酸の塩の中から選ばれた1種又は2種以上である。
【0048】
そして、肉類加工用改良剤中のオリゴ糖と澱粉質原料の固形分合計量を100質量部とした時、有機酸の可溶性塩の含有量は、1〜50質量部であることが好ましく、より好ましくは2〜25質量部である。
【0049】
更に、有機酸の可溶性塩の肉類加工品への添加量は、原料肉類100質量部に対し、0.01〜3質量部とすることが好ましく、より好ましくは0.1〜2質量部である。添加量が0.01質量部より少ないと、有機酸塩の効果をほとんど得ることができず、添加量が5質量部より多いと、有機酸独特の風味が肉類加工品に出てしまうなど、好ましくない影響が出てしまう。
【0050】
本発明の肉類加工用改良剤で用いることのできるアルカリ剤とは、一般的に食品と肉類加工品に使用されるものが用いられ、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどの炭酸塩類ならびに水酸化物塩類、リン酸3ナトリウム、リン酸3カリウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素2カリウム、リン酸2水素ナトリウム、リン酸2水素カリウムなどのオルトリン酸塩類、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、ポリリン酸ナトリウム、ポリリン酸カリウム、メタリン酸ナトリウム、メタリン酸カリウムなどの重合リン酸塩類が例として挙げることができる。
【0051】
本発明では、上記のアルカリ剤の中から1種以上を選択して用いることが好ましいが、なかでも、炭酸ナトリウム、リン酸3ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウムから1種以上を選択して用いることより好ましい。また、市販されている製剤化されたアルカリ剤を使用することも可能である。
【0052】
そして、肉類加工用改良剤中のオリゴ糖と澱粉質原料の固形分合計量を100質量部とした時、アルカリ剤の含有量は、1〜40質量部であることが好ましく、より好ましくは2〜25質量部である。
【0053】
更に、アルカリ剤の肉類加工品への添加量は、原料肉類100質量部に対し0.005〜3質量部とすることが好ましく、より好ましくは0.01〜2質量部である。アルカリ剤の含有量が0.005質量部より少ないと、アルカリ剤の効果をほとんど得ることができず、3質量部より多いと、使用したアルカリ剤独特の風味など、アルカリ剤の持つ欠点が肉類加工品に出てしまうため好ましくない。
【0054】
本発明の肉類加工用改良剤で用いる高分子多糖類としては、グアーガム、ローカストビーンガム、タラガム、タマリンドガム、グルコマンナン、キサンタンガム、大豆ファイバー、コーンファイバー、おからファイバー、アラビアガム、ペクチン、ジェランガム、プルラン、カードラン、寒天、アルギン酸ナトリウム、セルロース、カルボキシメチルセルロースなどの天然高分子多糖や合成高分子多糖類から広く選択することが可能であり、これらの中から1種以上を選択して使用することが可能である。なかでも、本発明では、カラギナン、グアーガム、タマリンドガム、タラガム、グルコマンナン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、コーンファイバーの中から1種以上を選択して用いることがより好ましい。
【0055】
そして、肉類加工用改良剤中のオリゴ糖と澱粉質原料の固形分合計量を100質量部とした時、高分子多糖類の含有量は、0.5〜30質量部であることが好ましく、より好ましくは1.5〜15質量部である。
【0056】
更に、高分子多糖類の肉類加工品への添加量は、原料肉類100質量部に対し0.005〜3質量部とすることが好ましく、より好ましくは0.01〜1質量部である。高分子多糖類の含有量が0.005質量部より少ないと、高分子多糖類の効果をほとんど得ることができず、3質量部より多いと、ジューシーさが弱まるなど、食感に悪影響を及ぼしてしまう。
【0057】
その他に副成分として、醤油、味噌、食酢、みりんや清酒タイプ発酵調味料、ワインタイプ発酵調味料などの発酵調味料類、ビーフエキス、ポークエキス、チキンエキスなどの畜肉エキス類、かつおエキス、帆立貝エキス、蛎エキス、昆布エキスなどの魚介エキス類、グルタミン酸ナトリウム、イノシン酸ナトリウムなどの単一化学調味料類などの各種調味料、食塩、植物性タンパク質、動物性タンパク質、ならびにこれらを加水分解したもの、発色剤、香辛料等を更に用いてもよい。
【0058】
本発明の肉類加工品用改良剤は、オリゴ糖及び澱粉質原料を必須とする上記原料を、含むものであれば良く、その製品形態としては特に限定されないが、好ましい形態としては、例えば粉末状または混合液状に製剤化したもの、各原料の性状により、粉末状と液体状を別々に製剤化したもの、用途や使用方法に応じて幾つかに分けて製剤化したしたものなどがある。
【0059】
次に、本発明の肉類加工品の改質方法について説明する。
本発明の肉類加工品の改質方法とは、加熱又は未加熱の原料肉類に対し、上記肉類加工品用改良剤を添加する処理方法である。
【0060】
原料肉類への添加方法としては特に限定はなく、上記改良剤をピックル液とし、これをインジェクション、タンブリング、カッティングする方法、上記改良剤を原料肉類に直接添加し、サイレントカッターなどでこれをカッティングする方法、上記改良剤と原料肉類を練り込む方法などが挙げられるが、この限りではない。
【0061】
なお、本発明の肉類加工品の改質方法では、上記原料を改良剤として調合して用いなくてもよく、改良剤の各原料を原料となる肉類にそれぞれ添加してもよい。改良剤の各原料の好ましい添加量は、前述した通りである。
【0062】
上記改質方法により得られた肉類加工品は、風味、食感に優れたものであり、例えば、ステーキ、焼肉、焼鳥、角煮、焼豚、ハム類、ベーコン類、ローストビーフ、カツ、生姜焼き、唐揚げなど、比較的大きな肉塊を用いて加工、調理するものや、ソーセージ類、ハンバーグ、ハンバーグパティ、ナゲット、つくね、肉団子、メンチカツ、コロッケ、中華まんの具材など、挽肉や細かいブロックを他の素材と一緒に練ることで得るものや、カッティングして加工するものなどにも適用できる。また、シチュー、カレー、筑前煮、肉じゃがなどの煮込み食品の具材や、肉野菜炒め、八宝菜、チンジャオロースなど、炒め物の具材などにも用いることができる。カマボコ、ハンペン、ちくわ、魚肉ソーセージ等の魚介類すり身を用いた加工品、魚肉フライ、魚肉ソテー等の加工品にも利用できる。また、肉類加工品としては、加熱調理前の状態で上記改良剤を添加した後加熱調理したもの、加熱調理をしないもの、半調理の状態のもので、チルドもしくは冷凍で流通させるものがあるが、特にこれらに限定しない。
【実施例】
【0063】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
【0064】
<試験例1>
表1に示す原料及び調合量で製造例1〜8のピックル液を調製した。ピックル液は、冷水に表1に記載の各成分を添加して混合液にした後、高圧ホモゲナイザーで、70barで加圧して均質化した。なお、表1に示す各原料の配合量は質量%で表す。
【0065】
なお、調味料として、食塩及びグルタミン酸ナトリウムを、オリゴ糖として、マルトトリオースが主成分糖で、固形分換算で60%以上含有する、固形分70%のオリゴ糖シラップ(以下よりオリゴ糖Aと記す)を、澱粉質原料として、酢酸エステル化処理をしたタピオカ澱粉(以下より澱粉Aと記す)を、有機酸の可溶性塩として、50%乳酸ナトリウム水溶液を、アルカリ剤として炭酸ナトリウムを、高分子多糖類としてキサンタンガムを用いた。
【0066】
また、原料肉類として、市販の冷凍牛肉ブロックを、冷蔵庫中で解凍したものを用いた。
【0067】
【表1】

【0068】
原料肉類100質量部に、製造例1〜8のピックル液を20質量部インジェクションした後、凍結して保存した。その後、この肉塊を冷蔵庫中で解凍した。
【0069】
解凍した肉塊を、1cm厚にスライスしてステーキ肉原料とし、一枚ごとの重量を測定した。このスライス肉を、約200℃に熱したホットプレートで中心温度が80℃になるまで焼成し、ステーキを作製した。このステーキの重量を測定し、次の方法によって焼成歩留を算出した。
「焼成歩留」=焼成後肉重量÷焼成前原料肉重量×100
【0070】
また、焼成直後のステーキ肉を試食し、「ソフトさ」、「ジューシーさ」、「肉の繊維感」、「風味」を10名の熟練パネラーにより官能検査を実施し、「5点」;良い、「4点」;やや良い、「3点」;普通、「2点」;やや悪い、「1点」;悪い、の5段階で評価した。更に、前記4項目を含めた、ステーキ肉のおいしさを総合的に評価し、これを「総合評価」とした。評価の結果は、各パネラーの点数を平均し、表2に結果を示す。





































【0071】
【表2】

【0072】
比較例1は、原料肉にインジェクション処理を施さず、そのままスライスして焼成し、評価を実施したものである。比較例1の肉類加工品は、硬く、ジューシー感に欠けており、牛肉独特の臭みが強かったため、総合評価も低くなった。比較例2の肉類加工品は、オリゴ糖を添加したことで焼成歩留、ソフトさ、ジューシーさ、風味は、比較例1より向上したものの、好ましいものではなかった。また、比較例3の肉類加工品は、砂糖と澱粉質原料とを併用したものであるが、焼成歩留は高くなったものの、ステーキには不自然な甘味が強く感じられた。比較例4の肉類加工品は澱粉質原料を添加したことで、ソフトさは向上したものの、その他の項目は十分でなく、総合評価も低くなった。比較例5の肉類加工品は有機酸の可溶性塩を添加したことで風味の改善に効果が見られたが、その他の項目では顕著な効果は見られなかった。
【0073】
一方、原料肉類にオリゴ糖と澱粉質原料を添加した実施例1の肉類加工品では、ソフトさ、ジューシーさ、繊維感のいずれも向上し、風味についても、牛肉独特の臭みが改善され、好ましい結果となった。実施例2の肉類加工品は、ソフトさ、ジューシーさが共に実施例1よりも向上し、繊維感も好ましく、総合評価も高い評点となった。更に、有機酸の可溶性塩、アルカリ剤、及び高分子多糖類の1種以上を含む実施例3〜4の肉類加工品はより食感、風味、焼成歩留の良いものであり、牛肉独特の臭みもを殆ど感じず、旨味のある、ステーキとして好ましい風味となった。なかでも、有機酸の可溶性塩、アルカリ剤、高分子多糖類の全て含んだ実施例4の肉類加工品は特に優れた評価が得られ、締まった食感になりつつも、ソフトさ、ジューシーさ、肉の繊維感、風味がいずれも好ましい評価となった。
【0074】
<試験例2>
表3に示す原料及び調合量で製造例9〜12のピックル液を調製した。ピックル液は、冷水に表3に記載の各成分を添加して混合液にした後、高圧ホモゲナイザーで、70barで加圧して均質化した。なお、表3に示す各原料の配合量は質量%で表す。
【0075】
なお、調味料として、食塩及びグルタミン酸ナトリウムを、オリゴ糖として、マルトヘキサオースとマルトヘプタオースが主成分糖で、固形分換算で40%以上を含有する、固形分が70%のオリゴ糖シロップ(以下よりオリゴ糖Bと記す)を、澱粉質原料として、リン酸架橋したコーンスターチ(以下より澱粉Bと記す)を、有機酸の可溶性塩として、コハク酸ナトリウムを、アルカリ剤として、ポリリン酸ナトリウムを、高分子多糖類として、キサンタンガムを用いた。
【0076】
また、原料肉類として市販の冷凍豚肉を冷蔵庫中で解凍したものを用いた。
















【0077】
【表3】

【0078】
原料肉類100質量部に、製造例9〜12のピックル液30質量部をインジェクションした後、凍結して保存した。その後、この肉塊を冷蔵庫中で解凍した。
【0079】
解凍した肉塊は、1cm厚にスライスしてトンカツ用肉とした。油脂加工コーンスターチを100質量部に対し、冷水160質量部を添加して均一なスラリーとして、トンカツ用肉100質量部に対してバッタースラリー30質量部を、肉の表面に均一に付け、更にその上からパン粉を均一にまぶし、約180℃で油ちょうしてトンカツを作製した。
【0080】
この揚げたて直後のトンカツを試食し、「ソフトさ」、「ジューシーさ」、「肉の繊維感」、「風味」を10名の熟練パネラーにより官能検査を実施し、「5点」;良い、「4点」;やや良い、「3点」;普通、「2点」;やや悪い、「1点」;悪い、の5段階で評価した。更に、前記4項目を含めた、ステーキ肉のおいしさを総合的に評価し、これを「総合評価」とした。評価の結果は、各パネラーの点数を平均し、表4に結果を示す。
【0081】
【表4】

【0082】
比較例6の肉類加工品は、ピックル液をインジェクションしていない無処理の原料肉を用い、前述の方法でトンカツを調製したものである。肉質が硬く、繊維感はあるものの、硬さの方が勝ったため、繊維感についても良い評価にはならなかった。また、ジューシーさもなく、パサパサとした食感を強く感じたため、総合評価も著しく低くなった。比較例7の肉類加工品は、オリゴ糖が配合されていないため、ソフトさを強く感じるものの、ジューシーさ、繊維感、風味の評価は低く、総合評価も低くなった。
【0083】
一方、原料肉類にオリゴ糖、澱粉質原料及び高分子多糖類を添加した実施例5の肉類加工品は、ソフトさとジューシーさが著しく改善され、更に有機酸塩を添加した実施例6の肉類加工品は、風味も旨味が増しており、臭みのないものであり、有機酸の可溶性塩とアルカリ剤とを添加した実施例7は、ソフトさとジューシーさに優れ、繊維感と風味が好ましく、とんかつとして好ましいものであった。
【0084】
<試験例3>
表5に示す原料及び調合量で製造例13〜17のピックル液を調製した。ピックル液は、冷水に表5に記載の各成分を添加して混合液にした後、高圧ホモゲナイザーで、70barで加圧して均質化した。なお、表5に示す各原料の配合量は質量%で表す。
【0085】
なお、調味料として、食塩及びグルタミン酸ナトリウムを、オリゴ糖として、ニゲロオリゴ糖が主成分糖で、固形分換算で50%以上を含有する、固形分が70%のオリゴ糖シロップ(以下よりオリゴ糖Cと記す)を、澱粉質原料として、リン酸架橋したワキシーコーンスターチ(以下より澱粉Cと記す)を、有機酸の可溶性塩として、リンゴ酸ナトリウムを、アルカリ剤として、炭酸水素ナトリウムを、高分子多糖類として、水溶性コーンファイバーを用いた。比較対照として、デキストリン(DE10)を使用した。
【0086】
また、原料肉類として市販の冷凍鶏肉を、冷蔵庫中で解凍したものを用いた。



























【0087】
【表5】

【0088】
原料肉類100質量部に、製造例13〜17のピックル液20質量部をタンブリング処理した後、凍結して保存した。次にこの肉塊を、冷蔵庫中で解凍した。解凍した肉塊は、3cm×3cm×3cmの立方体状に切り出し、唐揚げ用肉とした。
【0089】
この唐揚げ用肉に、唐揚げ粉を均一にまぶし、約180℃で油ちょうして唐揚げを作製した。そして、揚げたて直後の唐揚げを試食し、「ソフトさ」、「ジューシーさ」、「肉の繊維感」、「風味」を10名の熟練パネラーにより官能検査を実施し、「5点」;良い、「4点」;やや良い、「3点」;普通、「2点」;やや悪い、「1点」;悪い、の5段階で評価した。更に、前記4項目を含めた、ステーキ肉のおいしさを総合的に評価し、これを「総合評価」とした。評価の結果は、各パネラーの点数を平均し、表6に結果を示す。












































【0090】
【表6】

【0091】
比較例8の肉類加工品は、ピックル液を添加しない未処理の原料肉を用い、他は前記と同様に調製したものである。硬くてジューシーさが乏しく、鶏肉独特の臭みも強いため、総合評価も低くなった。また、オリゴ糖の代わりにDE10のデキストリンを用い、澱粉質原料と併用して添加した比較例9の肉類加工品は、加熱歩留は比較例8に比べ向上したが、ソフトさ、ジューシーさ、繊維感の改善効果は十分とは言えず、総合評価も悪くなった。
【0092】
一方、原料肉類にオリゴ糖、澱粉質原料及び高分子多糖類を添加した実施例8の肉類加工品は、肉の繊維感を感じつつも、ソフトさ、ジューシーさが向上し、臭みが殆ど無くなった。更に有機酸の可溶性塩又はアルカリ剤を添加した実施例9、10の肉類加工品は、更に風味が改善され、繊維の締まった食感になりつつも、ソフトさとジューシーさを併せもつ、旨味のある唐揚げとなり、有機酸の可溶性塩及びアルカリ剤を添加した実施例11の肉類加工品は、最も旨み、食感のよい唐揚げとすることができた。
【0093】
<試験例4>
表7に示す原料及び調合量で牛豚合挽きハンバーグを調製した。なお、表7に示す各原料の配合量は原料肉類(牛豚合挽き肉)100質量部に対する質量部で表す。


































【0094】
【表7】

【0095】
調味料として、食塩及びグルタミン酸ナトリウムを、香辛料として、白胡椒及びナツメグを、オリゴ糖として、オリゴ糖Aを、澱粉質原料として、油脂加工したコーンスターチ(以下より澱粉Dと記す)を、有機酸の可溶性塩として、クエン酸ナトリウムを、アルカリ剤としてピロリン酸ナトリウムを、高分子多糖類としてカラギナン(κ―タイプ)を用いた。なお、タマネギは、みじん切りにしたものを、卵は、全卵を使用した。
【0096】
また、原料肉類は、市販の牛豚合挽き肉(牛:豚=7:3の質量比で混合されたもの)を使用した。
【0097】
表7の調合量で原料をこね合わせたハンバーグ生地を、1個あたり120g測りとって、小判型の生ハンバーグを作製した。この生ハンバーグを、約200℃に熱したホットプレートで、中心温度が約80℃になるまで焼成し、ハンバーグを作製した。このハンバーグの重量を測定し、次の方法によって焼成歩留を算出した。
「焼成歩留」=焼成後ハンバーグ重量÷焼成前生ハンバーグ重量×100
【0098】
そして、焼きたて直後のハンバーグを試食し、「ソフトさ」、「ジューシーさ」、「弾力」、「風味」を10名の熟練パネラーにより官能検査を実施し、「5点」;良い、「4点」;やや良い、「3点」;普通、「2点」;やや悪い、「1点」;悪い、の5段階で評価した。同様にして、焼成後に冷凍し、それを電子レンジで解凍、加温した後のハンバーグについても試食し、「ソフトさ」「ジューシーさ」「弾力」「風味」を評価し、これらを総合して「再加熱後のおいしさ」として評価した。そして、焼成直後、及び冷凍したハンバーグの電子レンジ後のおいしさを総合的に評価し、これを「総合評価」とした。評価の結果は、各パネラーの点数を平均し、表8に結果を示す。
































【0099】
【表8】

【0100】
比較例10は、本発明のオリゴ糖と澱粉質原料を用いずに作製したハンバーグである。焼成後に肉汁が多く流出し、ジューシーさとソフトさが弱く、風味も特に優れなかった。また、冷凍後、電子レンジで再加熱すると、硬く、ジューシーさが弱くなり、風味も臭みが強く発したため、総合評価でも低い評点となった。比較例11は、オリゴ糖を使用せず、澱粉質原料のみを配合して作製した肉類加工品である。ソフトさ、弾力は比較例10にくらべ向上したものの、ジューシーさと風味は逆に低下した。また、電子レンジで再加熱すると、比較例10に近い、ジューシーさ、ソフトさ、弾力に乏しい食感で、臭みが強く発したため、総合評価も低くなった。
【0101】
一方、オリゴ糖と澱粉質原料とを配合した実施例12の肉類加工品では、ソフトさ、ジューシーさ、再加熱後の食感と風味のいずれも改善された。また、有機酸の可溶性塩と高分子多糖類を添加した実施例13では、弾力と風味が更に改善され、再加熱後も、好ましい食感と風味がよく維持されていた。更には、有機酸の可溶性塩、アルカリ剤、高分子多糖類と発酵調味料を添加した実施例14では、ソフトで弾力に富み、ジューシーで、旨味の増した好ましい風味となり、再加熱後もその状態がよく維持されていた。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明の肉類加工品用改良剤及びそれを用いた肉類加工品の改質方法によれば、加熱調理後の歩留と風味、食感に優れ、更には加熱調理後、冷凍やチルド状態での保存を経た後の電子レンジ加熱などの再加熱の後でも良好な風味と食感を損なうことがない肉類加工品を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)オリゴ糖と、(B)澱粉質原料とを含むことを特徴とする肉類加工品用改良剤。
【請求項2】
更に(C)有機酸の可溶性塩、(D)アルカリ剤、(E)高分子多糖類から選ばれた1種又は2種以上を含む請求項1に記載の肉類加工品用改良剤。
【請求項3】
前記(A)成分は、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、非還元グルコオリゴ糖、ニゲロオリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、パノースオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、イヌロオリゴ糖、大豆オリゴ糖、キシロオリゴ糖、トレハロースから選ばれた1種以上を主成分とする請求項1又は2に記載の肉類加工品用改良剤。
【請求項4】
前記(A)成分は、重合度3〜7のマルトオリゴ糖が主成分である請求項3に記載の肉類加工品用改良剤。
【請求項5】
前記(B)成分は、酸処理、エステル化処理、エーテル化処理、架橋処理、油脂加工処理、湿熱処理から選ばれた1種又は2種以上の処理方法で加工した澱粉誘導体である請求項1〜4のいずれか一つに記載の肉類加工品用改良剤。
【請求項6】
前記(C)成分は、酒石酸、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、酢酸、コハク酸、フマル酸、アスコルビン酸、グルコン酸、アジピン酸のアルカリ金属塩から選ばれた1種又は2種以上である請求項2〜5のいずれか一つに記載の肉類加工品用改良剤。
【請求項7】
前記(D)成分は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、リン酸3ナトリウム、リン酸3カリウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素2カリウム、リン酸2水素ナトリウム、リン酸2水素カリウム、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、ポリリン酸ナトリウム、ポリリン酸カリウム、メタリン酸ナトリウム、メタリン酸カリウムから選ばれた1種又は2種以上である請求項2〜6のいずれか一つに記載の肉類加工品用改良剤。
【請求項8】
前記(E)成分は、グアーガム、ローカストビーンガム、タラガム、タマリンドガム、グルコマンナン、キサンタンガム、大豆ファイバー、コーンファイバー、おからファイバー、アラビアガム、ペクチン、ジェランガム、プルラン、カードラン、寒天、アルギン酸ナトリウム、セルロース、カルボキシメチルセルロースから選ばれた1種又は2種以上である請求項2〜7のいずれか一つに記載の肉類加工品用改良剤。
【請求項9】
前記肉類加工品用改良剤の固形分全量中における、前記(A)成分と前記(B)成分は、質量比で、(A)成分:(B)成分=1:9〜9:1である請求項1〜8のいずれか一つに記載の肉類加工品用改良剤。
【請求項10】
前記肉類加工品用改良剤の(A)成分と(B)成分の固形分合計量を100質量部とした時、前記(C)成分の含有量は1〜50質量部、前記(D)成分の含有量は1〜40質量部、前記(E)成分の含有量は0.5〜30質量部である請求項2〜9のいずれか一つに記載の肉類加工品用改良剤。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一つに記載の肉類加工品用改良剤を、肉類に添加することを特徴とする肉類加工品の改質方法。
【請求項12】
肉類100質量部に対し、前記(A)成分を0.05〜10質量部、及び前記(B)成分を0.05〜10質量部添加する請求項11に記載の肉類加工品の改質方法。
【請求項13】
肉類100質量部に対し、前記(C)成分を0.01〜3質量部添加する請求項11又は12に記載の肉類加工品の改質方法。
【請求項14】
肉類100質量部に対し、前記(D)成分を0.005〜3質量部添加する請求項11〜13のいずれか一つに記載の肉類加工品の改質方法。
【請求項15】
肉類100質量部に対し、前記(E)成分を0.005〜3質量部添加する請求項11〜14のいずれか一つに記載の肉類加工品の改質方法。
【請求項16】
請求項11〜15のいずれか一つに記載の改質方法で得られた肉類加工品。

【公開番号】特開2006−67998(P2006−67998A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−199412(P2005−199412)
【出願日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(000231453)日本食品化工株式会社 (68)
【Fターム(参考)】