説明

肌用シート材

【課題】肌に接触した時に、肌用シート材から肌に保湿作用や肌に潤いを与える有効成分を補給する肌用シート材の提供。
【解決手段】肌に接触する肌用シート材であって、基材シート1に、トレハロースと海洋深層水を原料とするミネラル成分の複合体TMを保持させてなり、肌に接触した際に複合体TMを肌に補給可能とした肌用シート材。該肌用シート材は、基材シートにトレハロースを混合した海洋深層水を原料とするミネラル調整液2を添加し、必要に応じて水分を除去し、基材シートにトレハロースと海洋深層水を原料とするミネラル成分の複合体TMを保持させることにより得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は肌用シート材に関し、特には直接又は間接的に肌に接触する各種肌用シート材に、トレハロースとミネラル成分の複合体を保持させることにより、肌用シート材から肌に保湿作用や肌に潤いを与える有効成分としての複合体を移行させて補給するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から化粧用,美容用,清拭用,スキンケア用等において、清浄シート,フェイスマスク,目元シート,拭き取りシート,ティッシュペーパー,化粧用パフ,パーマ紙,パック用シート,脂取り紙その他の化粧おさえ用シート等の各種の肌用シート材が多用途に使用されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、清浄用のウエットシートとして、ウエットシートに含浸された薬液による肌あれを防止するために、ウエットシートに含浸させる薬液に従来の清浄用および抗菌性成分に加え、人の肌が有する自然保湿因子(NMF)に含まれているピロリドンカルボン酸のナトリウム塩のピロリドンカルボン酸ソーダ(PCA−Na)と水溶性のナトリウム無機塩またはカリウム無機塩、カルシウム無機塩、マグネシウム無機塩のうちいずれか1つまたは2つ以上の混合物から成るミネラル成分を添加するウエットシートが開示されている。特許文献2には、化粧綿の少なくとも一表面に肌の生体繊維に必須のミネラル成分を付着させることにより、ミネラル成分を肌に供給し、肌の美容と健康に有効な化粧綿が開示されている。
【0004】
また、乾燥からタンパク質やリン酸脂質を保護して、皮膚の水分保持を助ける保湿効果とともに、酸化分解によって高齢臭の原因であるノネナールを主成分とする揮発性不飽和アルデヒドを生成するパルミトオレイン酸の酸化分解を抑制することのできる体臭抑制効果を有するトレハロースが着目されている。特許文献3には、即効性と持続効果があり、かつ、保湿効果を有するシート状化粧料として、基材シートに担持されてなる化粧料が、(A)セラミド類及び/又はセラミド類似構造物と、(B)トレハロースを含有する水性組成物であり、かつ、上記化粧料における配合比率(B)/(A)が、重量比で10〜1000であるシート状化粧料が開示されている。
【0005】
更に、近時は海洋深層水の持つ清浄性と豊富なミネラル成分が需要者の注目を浴びており、海洋深層水の脱塩処理水,原水,濃縮水,にがり等が食品の分野や、美容,化粧,健康用品の分野を中心として多方面において活用されている。この海洋深層水は室戸岬沖その他の複数個所で実用的に取水されており、通常の海洋表層で見られる風波とか表層温度変化に伴う対流,混合も生じない環境下にある海水で、地上で使用されている各種の油類とか化学物質,農薬等の有害物質に起因する海洋汚染の影響を受けることがなく、水温は年間平均で13℃以下という低温であり、人体が必要とする多くの天然元素を含んでいる。しかも海水中の溶存有機物が非常に少なく、微生物的な観点から極めて清浄であるという特徴を有している。この海洋深層水は、海洋病原性微生物及び食中毒の原因となる細菌が少なく、総生菌数は表層水の10分の1から100分の1という結果が報告されており、各種食品に広く利用されている。
【特許文献1】特開平10−57268号公報
【特許文献2】実用新案登録第3005619号公報
【特許文献3】特開2005−298419号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1は、薬液による肌あれを防止するために、ミネラル成分を含浸させたウエットシートに関するものであり、特許文献2は、ミネラル成分を肌に供給するためにミネラル成分を付着させた化粧綿に関するものであるが、これらは例えばミネラルウォーター等を含浸させるものであって、マグネシウムやカルシウム等のミネラル成分で有りさえすればよく、単にミネラル成分をそのまま肌に供給することのみを目的とし、個々のミネラル成分以上の付加価値を与えるものではない。また、現代人の肌はミネラルの不足が懸念され、特に微量ミネラルの摂取が必要とされ、市場には多様なミネラル補給化粧品等が豊富に提供されている。しかしながら、これらのミネラル補給化粧品は、日常の手入れとは別に特別に使用する必要がある。
【0007】
更に、特許文献3はセラミド類とトレハロースからなる化粧料を基材シートに担持させたシート状化粧料に関するものであり、特定の化粧料が予め含浸されているため、使用者の肌に応じた最適の化粧料を使用することはできず、又ミネラル成分の補給には別途の化粧料を使用する必要があった。
【0008】
このように日常生活において、各種の肌用シート材が多用途に使用されているが、これを媒体として利用してハイブリッドの美肌成分、特にミネラル成分、就中、保湿効果の高いトレハロースと肌に有用なミネラル成分の複合体を、肌用シート材から肌に保湿作用や潤いを与える有効成分として補給するという発想,提案は皆無である。
【0009】
そこで本発明は上記従来の問題点に鑑みて、海洋深層水の持つ清浄性と豊富なミネラル成分に着目し、この海洋深層水と近時量産が可能になり肌の保湿作用,体臭抑制効果その他の有用性を有するトレハロースとの組み合わせにより、化粧時,化粧落とし,清浄時等において肌と直接又は間接的に接触する機会を利用して、肌用シート材として本来の用途に使用すると同時にトレハロースとミネラル成分の複合体を肌に補給することのできる肌用シート材を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記目的を達成するために、肌に接触する肌用シート材であって、基材シートに、トレハロースと海洋深層水を原料とするミネラル成分の複合体を保持させてなり、肌に接触した際に複合体を肌に補給可能とした肌用シート材を提供する。そのために、基材シートにトレハロースを混合した海洋深層水を原料とするミネラル調整液を添加し、或いは添加した後に水分を除去することにより、基材シートにトレハロースと海洋深層水を原料とするミネラル成分の複合体を保持させる。
【0011】
また、トレハロースをミネラル調整液に対して10重量%〜90重量%混合し、基材シートの坪量に対してトレハロースを混合した海洋深層水を原料とするミネラル調整液を5重量%〜100重量%添加させる。海洋深層水を原料とするミネラル調整液は、海洋深層水を原料とし、カルシウムとマグネシウムを1:2.5〜3.5の比率に保ちながら海洋深層水を非加熱で濃縮するとともに、ナトリウム含有量を硬度の略5%以下に抑えたものである。そして、トレハロースと海洋深層水を原料とするミネラル成分の複合体の相乗効果によって、肌に保湿作用及びミネラル成分を付与する。
【0012】
更に、海洋深層水を原料とするミネラル調整液にコラーゲン、或いはヒアルロン酸を混合する。基材シートはパルプ,コットン又はレーヨンを主原料とする不織布又は紙から構成する。そして、トレハロースと海洋深層水を原料とするミネラル成分の複合体を保持させた肌用シート材を乾燥状態とし、或いはトレハロースと海洋深層水を原料とするミネラル成分の複合体を保持させた肌用シート材に、所定の化粧料又は薬液を含浸させてなる。肌用シート材としては清浄シート,フェイスマスク,目元シート,拭き取りシート,ティッシュペーパー,化粧用パフ,パーマ紙,パック用シート又は脂取り紙その他の化粧おさえ用シート等とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明にかかる肌用シート材を各々の用途に応じて使用することにより、肌用シート材が接触した肌にトレハロースと海洋深層水を原料とするミネラル成分の複合体が移行して補給され、トレハロースの保湿作用によって肌の潤いが保たれ、又トレハロースには体臭抑制効果もあるため不快臭を抑えることができる。更に、皮膚細胞にとって不可欠の栄養成分であるミネラル成分、特にカルシウム,マグネシウム,カリウムを肌に補給することができ、ミネラル成分が肌に浸透することにより細胞が活性化され、又皮膚に溜まった老廃物を排出させる。そのため、化粧用,美容用,清拭用,スキンケア等の肌用シート材とすることにより、高い美容効果が期待でき、肌をしっとりともち肌に、ふっくらやわらかく、キメを細かくし、化粧持ちのよい状態に導くことができる。
【0014】
また、トレハロースと海洋深層水を原料とするミネラル成分は、両者の複合体として肌に補給されるので、相乗効果によって肌への吸収率が向上し、保湿作用や美容効果がより高まる。更に、肌用シート材を乾燥状態として提供することにより、既製の化粧料ではなく、使用者の肌にあった自らの化粧料を含浸させて使用することが可能となる。或いは、所定の化粧料や薬液を含浸させた状態で提供することにより、肌用シート材として本来の用途に使用すれば、同時にトレハロースと海洋深層水を原料とするミネラル成分の複合体を補給することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明にかかる肌用シート材の最良の実施形態を説明する。本発明にかかる肌用シート材とは、肌に触れさせて使用するシート状物であり、具体的には、清浄シート,フェイスマスク,目元シート,拭き取りシート,ティッシュペーパー,パック用シート,脂取り紙その他の化粧おさえ用シート等として使用するものである。これらは化粧用,美容用,清拭用,スキンケア用等として使用されているが、これらに限定されるものではない。また、本発明にかかる肌用シート材には肌だけに使用するもののみではなく、髪の毛や爪等の人体に使用するシート状物、例えばパーマ紙やマニキュア用シートやペディキュア用シートも含むものである。また、シート材は、平面的なシート状物に限らず袋状その他の立体的、或いはロール状等に加工されているものも含み、使用に際して肌と接触可能なものであれば、その形状は問わない。さらに、犬や猫,小鳥等のペットの肌に使用するものも含む。
【0016】
肌用シート材の基材シートとしては、トレハロースと海洋深層水を原料とするミネラル成分の複合体を保持することができるものであれば、特に制約はないが、製造工程上及び肌用シート材としての使用上から、原料繊維に親水性及び親油性を有する繊維が配合されていることが好ましい。具体的には、パルプ,レーヨン,綿などの親水性を持つ繊維単位での使用や、パルプなどとポリエステル(PET),ポリプロピレン(PP)等の耐熱性や油分を吸着する繊維との複合繊維での利用が考えられる。これらの繊維を主原料として、所定厚さ,密度の不織布又は紙を用いる。本実施形態ではコットン100%の不織布を使用した。なお、コットンに他の天然繊維、合成繊維を混合した基材シートでもよい。
【0017】
トレハロース(Trehalose)は、白色の結晶又は結晶性の粉末で無臭の天然糖質の物質である。広く天然に分布していて太古から生命と深く係わり、多くの動植物を始めとして海水中にも含まれており、生物のエネルギー源にもなっており、ストレス,老化など生命にとって過酷な環境に対して体や細胞を維持する働きを有している。1993年に澱粉から量産が可能になったトレハロースは1995年から高純度のものが工業的に大量生産され、現在では食品,化粧品の原料として広く利用されている。
【0018】
トレハロースは非還元性であり、アミノ酸・タンパク質との共存下で加熱しても、褐変(メーラード反応)を起こさず(非着色性)、熱や酸に対しても非常に安定で(耐熱・耐酸性)、相対湿度95%迄は全く吸放湿しない(難吸湿性)物性を有しているとともに、皮膚の水分保持を助ける保湿効果とともに、体臭抑制効果を有する。
【0019】
他方の海洋深層水を原料とするミネラル調整液は、海洋深層水を原料とし、カルシウムとマグネシウムを1:2.5〜3.5の比率に保ちながら非加熱で濃縮するとともに、人の健康及び該調整液を粉末化する際に阻害要因となるとともに過剰摂取が懸念されるナトリウム含有量を硬度の略5%以下に抑え、硫酸イオンを軽減した調整液である。その主要組成を表1に示す。
【0020】
【表1】

【0021】
本実施形態ではミネラル調整液の原料として室戸岬沖の海面下320メートル以深の深海から取水した海洋深層水を使用した。この室戸岬沖の海洋深層水中の生菌数は、表層水中のそれと比較して、1桁又はそれ以上少なくなっており、しかも病原生物はほとんど含まれていないため、海水に由来する魚病菌による病気に関する惧れは全くなく、食品や肌に触れる製品に採用した際の安全性が極めて高い。室戸海洋深層水の特長としては、低温安定性,無機栄養塩に富み、清浄性,ミネラル特性,熟成性,低温安定性に優れており、海の生き物の源となる植物プランクトンの栄養源となる「チッ素」「リン」「ケイ酸」が豊富であって海洋深層水はこれらの栄養素の貯蔵庫の役割を担っている点が挙げられる。また、清浄性の面からみると、清浄とは物理的清浄性,生物学的清浄性,化学的清浄性があり、室戸海洋深層水は何れの清浄性にも優れている。この海洋深層水の水温は季節を通じてほぼ一定であり、室戸岬周辺の表層水の水温は約16℃〜28℃、深層水の取水深度である約374メートルの水温は約9℃、陸上では10℃〜12℃程度になる。
【0022】
海洋深層水のミネラル特性に関して述べると、海洋深層水には70種類を超える元素が含まれており、マグネシウム,カルシウム,カリウム等の人間が摂取しなければならない主要元素も多く含まれている。マグネシウムは神経などの働きを正常に保つのに欠かせない元素であり、マグネシウムの不足は自律神経の失調や、心臓疾患などの原因になる。マグネシウムとカルシウムは密接な関係があり、一方が欠乏するとバランスを崩すことや、カリウムはナトリウムの排泄に効果的である。鉄や亜鉛も健康と深い関わりがある。
【0023】
ミネラルは骨や歯のほか、筋肉,血液,神経,臓器などを構成する重要な成分であり、細胞内外の体液に溶けた状態で存在しており、食物の消化や分解、吸収といった身体の代謝をスムーズに行うために不可欠である。ミネラルは体内では作ることができないので、食物等から摂取する手段しかない。海洋深層水のマグネシウム,カルシウム,カリウム,ナトリウムの含有量を表2に示す。
【0024】
【表2】

【0025】
表1と表2を比較すれば明りょうなように、ミネラル調整液は海洋深層水に対して、カルシウムが400mg/Lから3445mg/Lに、マグネシウムは1200mg/Lから10663mg/Lに、それぞれ含有量が増加するとともに、カルシウムとマグネシウムの比率を海洋深層水と同様に1:2.5〜3.5の範囲に保って、ナトリウムを10000mg/Lから、硬度の略5%以下の508mg/Lに減少させている。
【0026】
この海洋深層水を原料とするミネラル調整液にトレハロースを混合する。本実施形態では、トレハロース12重量%,ミネラル調整液88重量%の配合割合としてハンドリングの容易な液状とした。なお、トレハロースの混合割合はミネラル調整液に対して10重量%〜90重量%が適当である。粉末状のトレハロースの混合割合が増加するに従って濃度が高くなり、粉末状となっていく。トレハロース88重量%,ミネラル調整液12重量%の配合割合とした場合には粉末状となった。本実施形態で使用したトレハロースを混合した海洋深層水を原料とするミネラル調整液は、株式会社エイチプラスビィ・ライフサイエンスから商品名「ミネラルトレハ」として市販されているものを使用した。このミネラルトレハ(商品名)は液状或いは粉状であり、本実施形態では適当濃度の液状のものを使用したが、粉末状或いは濃度の高い場合は水に分散させて濃度調節を行う。本実施形態で使用したトレハロースを混合した海洋深層水を原料とするミネラル調整液のミネラル成分を表3に示す。
【0027】
【表3】

【0028】
本発明で用いたトレハロースを混合した海洋深層水を原料とするミネラル調整液を専門機関に依頼して試験に供した結果、Ames試験(変異原性試験)では、トレハロースを混合したミネラル調整液にサルモネラ菌及び大腸菌を用いた復帰突然変異試験において遺伝子の突然変の誘発はないものと判断され、染色体異常試験では、トレハロースを混合したミネラル調整液は染色体異常試験中に変異原性を誘発せず、急性経口毒性試験ではトレハロースを混合したミネラル調整液の投与による死亡例や臨床徴候の発現はなく、毒性はないものと判断された。
【0029】
前記したトレハロースを混合した海洋深層水を原料とするミネラル調整液を基材シートに添加する。図1は基材シートにトレハロースを混合した海洋深層水を原料とするミネラル調整液2(ミネラルトレハ/商品名)を添加してトレハロースと海洋深層水を原料とするミネラル成分の複合体を保持させる工程を示す概略図である。同図(A)に示すように、コットン100%からなる不織布により構成された基材シート1にトレハロースを混合した海洋深層水を原料とするミネラル調整液2を添加して、同図(B)に示すように調整液層3を形成する。次に同図(C)に示すように調整液層3の上面から加熱4を行って基材シート1内にトレハロースを混合した海洋深層水を原料とするミネラル調整液2を含浸定着させ、同図(D)に示すように水分5を蒸発させることで同図(E)に示すように基材シート1の繊維間及び一面にトレハロースと海洋深層水を原料とするミネラル成分の複合体TMが含浸して保持された基材シート1が肌用シート材Sとして完成する。
【0030】
本発明により得られた肌用シート材は、これを用いて、フェイスマスク,目元シート,拭き取りシート,ティッシュペーパー,化粧用パフ,パーマ紙,パック用シート,脂取り紙その他の化粧おさえ用シート等の所定の平面形状の肌用シート材、或いはロール状,袋状等の肌用シート材として各種形状に加工して広く利用に供することができる。なお、ミネラル調整液2の水分を除去することなく、ミネラル調整液を含浸したウエットの状態で肌用シート材として製品化することも可能である。また、ミネラル調整液2の水分を除去した乾紙状態の肌用シート材に所定の化粧料や薬液を含浸させたウエット状態の肌用シート材として製品化することもできる。
【0031】
上記したトレハロースと海洋深層水を原料とするミネラル成分の複合体は、図2に示すようにトレハロース分子中の2位と4位の水酸基がカルシウム及びマグネシウムと結びつくことで形成されている。また、基材シートのセルロース分子の形状は水素結合によるシート状になっており、これに対しデンプンから成るトレハロースの分子の形状は水素結合によるラセン状になっている。両者の構造は、ともに水酸基(OH基)間で水素結合により結びついているため、非常に安定な構造をしているが、分子の形状の違いで、セルロースは熱水にも冷水にも溶解しない性質を持ち、トレハロースは水に対して安易な溶解性を示す。よって、複合体は基材シートとは結合することなく、基材シートを構成する繊維間及び繊維状に担持されて保持されることとなる。そして、肌用シート材として、その用途に従って肌に接触した際には、トレハロースが水分に対して安易な溶解性を示すため、肌や化粧料,薬液の水分又は油分によって、複合体が肌に容易に補給される。また、複合体とすることによって、ミネラル成分の吸収率が向上する。
【0032】
トレハロースと海洋深層水を原料とするミネラル成分の複合体は、トレハロースの働きで、保湿効果や体臭抑制効果等を有するとともに、主要ミネラルの吸収効率が向上する。また、トレハロースと複合体を形成したことで、湿気に強く、安定的である。即ち、トレハロースとミネラル成分の個々の長所を有するとともに、これらが補完しあって更なる効果を奏する。更に、ミネラル成分は過剰摂取が問題となるナトリウムの含有量が硬度の略5%以下となっており、海水に近いミネラルバランス(カルシウム:マグネシウムの比率が約1:2.5〜3.5)で不足しがちな皮膚細胞にとって不可欠の栄養成分である必須ミネラル成分だけを効率的に摂取することが可能である。
【0033】
トレハロースがミネラル成分の吸収に及ぼす影響としては、ラットを使用した実験報告が行われている。これは、正常ラットとマグネシウム欠乏ラットに、それぞれマグネシウムを単体で摂取させた場合と、マグネシウムとトレハロースを同時に摂取させた場合を比較したものである。表4に示すように、正常ラットではマグネシウム単体の場合は吸収率が36.0%であるのに対し、マグネシウムとトレハロースを同時に摂取させた場合は、72.8%と2倍以上の吸収率となり、マグネシウム欠乏ラットの場合も77.5%から91.9%に大幅に向上している。上記実験報告は、体内からの吸収の実験であるが、肌用シートにかかる本発明でも、ミネラル成分がトレハロースと複合体を形成することによる肌への効果が期待される。
【0034】
【表4】

【0035】
海洋深層水を原料とするミネラル調整液にはコラーゲン、或いはヒアルロン酸を混合する構成も選択できる。コラーゲンとは、タンパク質の一種でアミノ酸が結合してできているものであり、肌の約70%がコラーゲンで形成されているとされ、肌のハリを保ち、シワのないなめらかな肌を維持する真皮を構成する主な成分である。そのため、若さと老化防止のために必要不可欠な栄養素である。化粧品配合規準のものとして、コラーゲンには、水溶性コラーゲン液状品又は粉末品の2種があるが、本発明ではミネラル調整液に対し、液状で配合させることが適当である。配合割合としては、コラーゲン(液状品)を、海洋深層水を原料とするミネラル調整液に対し、0.01重量%〜1重量%混合するようにする。
【0036】
ヒアルロン酸とは、人間の皮膚や関節などに多く含まれるゼリー状の成分で、細胞間のコラーゲン組織の隙間を水分で満たし、肌の潤いやハリを保つ効果があるといわれている。ヒアルロン酸スプーン1杯で、バケツ1杯分(1gで6L)もの水分を保持することができ、細胞同士の隙間を埋めたり、関節においては潤滑油の役目をしている。しかし、加齢とともに減少し、ヒアルロン酸が減ると水分維持ができなくなり、肌のシワが深くなったり、シワ、たるみが目立ちはじめる。いくらコラーゲンやビタミンCだけを補給しても、ヒアルロン酸が不足していては肌の保湿やハリは回復しない。化粧品配合規準のものとして、ヒアルロン酸ナトリウムがある。湿度に左右されず保湿性を一定に保つ特性を持つため、化粧品にはヒアルロン酸ナトリウム(液状品又は粉末品)の形で広く配合されているが、本発明ではミネラル調整液に対し、ヒアルロン酸ナトリウムを液状で配合させることが適当である。配合割合としては、ヒアルロン酸(液状品)を、海洋深層水を原料とするミネラル調整液に対し、0.01重量%〜1重量%混合するようにする。
【0037】
図3はコットン100%からなる不織布にトレハロースを混合した海洋深層水を原料とするミネラル調整液2を保持させる本発明の第1実施形態の概略図であり、先ず不織布により構成された複数枚の基材シート1,1をロータリー型ローラ6,6を用いて所望の厚紙状に成形した後、次工程でノズル7からトレハロースを混合した海洋深層水を原料とするミネラル調整液2を散水し、次にエンボス加工用ローラ8,8内を通して基材シート1に所定のエンボス加工を施す。そして次段の工程で乾燥機9により1の上面から所定時間の加熱処理を行って水分を蒸発させるとともに基材シート1の繊維間及び一面にトレハロースと海洋深層水を原料とするミネラル成分の複合体を含浸定着させ、次に押圧用ローラ10,10間を通すことで1の厚みを一定に調整した後、巻取ローラ11に巻き取って肌用シート材Sが完成する。
【0038】
図4は本発明の第2実施形態の概略図であり、上記第1実施形態と同一の構成部分に同一の符号を付して表示してある。上記したように先ずコットン100%の不織布により構成された複数枚の基材シート1,1をロータリー型ローラ6,6を用いて所望の厚紙状に成形した後、次工程でエンボス加工用ローラ8,8内を通して基材シート1に所定のエンボス加工を施し、次に転写ローラ13の回転に伴って予め密閉型容器12内に充填されているトレハロースを混合した海洋深層水を原料とするミネラル調整液2を1の裏面側に転写する。そして次段の工程で乾燥機9により基材シート1の加熱処理を行って水分を蒸発させるとともに1の繊維間及び一面にトレハロースと海洋深層水を原料とするミネラル成分の複合体を含浸定着させ、次に押圧用ローラ10,10間を通すことで基材シート1の厚みを一定に調整した後、巻取ローラ11に巻き取って肌用シート材Sが完成する。
【0039】
図5は本発明の第3実施形態の概略図であり、第1,第2実施形態と同一の構成部分に同一の符号を付して表示してある。即ち、前記例と同様にコットン100%の不織布により構成された複数枚の基材シート1,1をロータリー型ローラ6,6を用いて所望の厚紙状に成形した後、次工程でエンボス加工用ローラ8,8内を通して1に所定のエンボス加工を施し、次に上部が開口された容器14内に予め充填されているトレハロースを混合した海洋深層水を原料とするミネラル調整液2中へガイドローラ15に沿って移動させることで、1の表裏両面にトレハロースを混合した海洋深層水を原料とするミネラル調整液2を付着し、絞りローラ16,16間を通して余分な水分を除去した後、次段の工程で乾燥機9により1の加熱処理を行って水分を蒸発させるとともに基材シート1の繊維間及び表裏両面にトレハロースと海洋深層水を原料とするミネラル成分の複合体を含浸定着させ、次に押圧用ローラ10,10間を通すことで基材シート1の厚みを一定に調整した後、巻取ローラ11に巻き取って肌用シート材Sが完成する。なお、前記した第1実施形態〜第3実施形態に限らず、他の公知の手段、例えばフレキソ印刷等の手段によっても不織布にトレハロースと海洋深層水を原料とするミネラル成分の複合体を保持させることが可能である。
【0040】
上記各実施形態において、いずれも乾燥工程を経ることなく、ミネラル調整液を含浸したままのウエットの状態で肌用シート材とすることも、乾燥後に所定の薬液や化粧料を含浸させてウエットの状態で肌用シート材とすることもできる。
【0041】
上記各実施形態において、基材シート1の坪量に対してトレハロースを混合した海洋深層水を原料とするミネラル調整液2を5重量%〜100重量%添加させた。5重量%より少なく、或いは100重量%より多いと、基材シートへの添加が困難であり、又肌用シート材として利用する場合は、5重量%未満ではその効果が期待できないと考えられるためである。
【0042】
得られた肌用シート材は乾紙状態で製品として提供され、使用者は用途に応じて乾紙状態のままで、或いは使用者の肌に合った化粧料,美容液或いは水等を個々に自由に含ませて、清浄シート,フェイスマスク,目元シート,拭き取りシート,ティッシュペーパー,化粧用パフ,パーマ紙,パック用シート,脂取り紙その他の化粧おさえ用シート等の各種の肌用シート材として多用途に利用でき、トレハロースと海洋深層水を原料とするミネラル成分の複合体が肌に補給される。そして、肌補給されたトレハロースの保湿効果によって肌の潤いが保持されるとともに体臭も抑制される。更に、皮膚細胞にとって不可欠の栄養成分である必須のミネラル成分、特にカルシウム,マグネシウム,カリウムを肌に効果的に補給することができ、肘や膝,踝,踵などの部位の角化症,乾燥肌,荒れ肌,ひび割れなどの症状の改善などにも応用できる。また、ティッシュペーパーに利用することで、トレハロースとミネラル成分を付加し、保湿力を高めた特長あるローションティッシュペーパー(保湿ティッシュ)となる。
【0043】
また、ミネラル調整液を含浸させたウエット状態、或いは乾紙状態の肌用シート材に所定の化粧料や薬液、或いは水を含浸させたウエット状態でも、前記した乾紙状態の用途と同様に使用することができる。
【0044】
例えば、顔や手足の清浄シート,化粧料を含浸させたフェイスマスク,目元シート,メイク等の拭き取りシート,ティッシュペーパー,化粧用パフ,パーマ紙,パック用シート,脂取り紙その他のメイクや口紅を整えるための化粧おさえ用シート等の各種の肌用シート材として使用した場合、肌用シート材から肌に移行したトレハロースが肌の潤いを保つ保湿成分や体臭抑制成分として働き、同時に肌に、カルシウム,マグネシウム,カリウム等の皮膚細胞にとって不可欠の栄養成分であるミネラル成分をも供給することができる。特に、一般的に利用されているウエットティッシュペーパーに利用することで、日常的に手先等の皮膚を清浄/保湿に保つことができる。例えば、化粧用拭き取りシートやデオドラントシート,赤ちゃんのおしりふき,介護用(人体への体ふき)などに使用して効果が大きい。赤ちゃんの肌は一見みずみずしく見えるが実は乾燥しやすいデリケート肌ということで、おしりの洗浄/保湿を保つために有効である。
【実施例1】
【0045】
コットン100%の不織布からなる乾紙状態の基材シートに、トレハロース12重量%とミネラル調整液88重量%を混合してなるトレハロースを混合した海洋深層水を原料とするミネラル調整液を基材シートの坪量に対して10重量%添加し、水分を除去した後、顔の形をかたどったフェイスマスクを作製し、この乾燥状態のフェイスマスクに被験者が日常使用している化粧水を含浸させて、顔の右面に就寝前に5日間使用し、使用開始前と5日間経過後の水分量,油分量,弾力度,肌のバランスをそれぞれ測定した。なお、実施例1で使用した基材シートの物性規格を表5に示す。
【0046】
【表5】

【0047】
比較例として、実施例1と同一の基材シートに、トレハロース12重量%を混合した水溶液を基材シートの坪量に対して10重量%添加し、水分を除去した後、顔の形をかたどったフェイスマスクを作製し、この乾燥状態のフェイスマスクに被験者が日常使用している化粧水を含浸させて、顔の左面に就寝前に5日間使用し、使用開始前と5日間経過後の水分量,油分量,弾力度をそれぞれ測定した。なお、比較例をトレハロースの水溶液としたのは、トレハロースにはすでに保湿性が高まることが立証されているので、本発明にかかるトレハロースと海洋深層水を原料とするミネラル成分の複合体が、トレハロース単体での使用より優位性があることを立証するためである。
【0048】
生まれたての赤ちゃんの肌水分量は90%とも言われるように、いつまでも潤いのある肌保湿を保つためには、肌の水分量がきめ手となる。しっとり素肌力を向上させるには、正しい洗顔,肌に栄養・肌の保護,部屋の湿度,食事,適度な運動,睡眠時間など、毎日の生活習慣に深い関係がある。肌水分量とは、肌表面の水分量を測定することで、測定値により自分の肌質が診断される。肌質は大きく分けると、N:普通肌,D:乾燥肌,O脂性肌,OD:混合肌(乾燥性脂性肌)の4つに分類される。また、肌質は、肌の表面(角質層)の水分量と皮脂の分泌量を目安に分類される。よって、フェイスマスクとして使用の前後の水分量,油分量,弾力度を測定することにより、肌への保湿作用向上の有無を確認することができると考えた。
【0049】
測定器は株式会社モリテックス製のポータブル水分計,及び油分/水分/弾力計を用いた。測定方法は、実施例1及び比較例ともにフェイスマスクを使用した後に、洗顔を行い、肌の水分を完全に拭き取って肌が落ち着いた後に、頬骨下部分に測定器をあて、水分量(肌潤い度),油分量,弾力度を左右測定し変化を観察した。使用開始前のデータを表6に、使用後のデータを表7に示すとともに、これらのデータの内、水分量の変化をグラフ化したものを図6に、油分量のデータをグラフ化したものを図7に、弾力度の変化をグラフ化したものを図8に示す。
【0050】
【表6】

【0051】
【表7】

【0052】
表6と表7を比較すれば明りょうなように、実施例1,比較例ともに使用前に比べて、水分量が向上し、油分量が調節されるとともに、弾力度が向上している。理想的な素肌とは、水分/油分のバランスが保たれている状態であるため、単に水分量だけの向上が肌の潤い指数を高める要因ではなく、汗と皮脂の分泌が適当であることで肌のバランスが整えられる。油分の役割とは、肌表面を覆って水分が逃げないようにしたり、外部の刺激を受けないように肌を保護する機能を持つ。よって、水分に加え適度な油分がないと、バリア機能が低下し、ドライスキンによる皮膚のバリア傷害の問題に繋がりかねない。よって、総合評価として、顔の左右の水分量を比較すると、右面(実施例)側が、左面(比較例)に比べて微量ながらも確実に水分量,弾力度ともに向上している。弾力性の向上は、肌内部の細胞の働きが衰えて弾力性と柔軟性が失われることでの保水率の低下を防ぎ、水分の吸収を助ける効果をもたらす。よって、全てのモニターから肌の弾力度の向上が見られたことから、本発明にかかるトレハロースと海洋深層水を原料とするミネラル成分の複合体におけるトレハロースとミネラル成分の相乗効果が確認できた。
【0053】
この顕著な例が、50代Bのモニターのケースである。この50代Bの方は、肌バランス評価が使用開始前の「D:乾燥肌」から、5日間の使用後は「N:普通肌」に変化し、格段に肌状態がよくなっている。この方は、使用開始前のデータに示すように油分2%と他のモニターに比べて極端に少ない。このことが原因で、皮脂の分泌が不十分であり、肌の潤い指数が低下し、乾燥肌で悩んでいた。しかし、5日間の使用後には、水分量の向上は35.1%から36.4%と僅かであるが、油分量が2%から10%に向上し、弾力度も40%から81%に大きく向上して、全体として肌バランスが改善されている。
【0054】
なお、各モニターの方の使用後の生の反応としては次のようなものであった。
・以前よりも化粧の仕上がり・密着度合いが良くなった(ノリが良くなった)。
・肌がもちもちしてきた。
・測定値自体はあまり変化なかったが、プリプリ肌を実感している。
・左の肌には吹き出物ができたが、右の肌ではトラブルが起きにくくなった気がする。
・触った感じでは肌の違いについてはわかりにくいがしっとりした感触。
・ミネラルが入っている方が肌にいいというよいイメージがわく。
・見た目で右の方がハリが出たような気がする。
・第三者に聞いても、右の方がハリ・つやがあると答えられた。
・使用前に気になっていた右頬のガサガサが気にならなくなった。
・フェイスマスクの感触が、右用のパック材の方が柔らかく、ふっくらしていて感触がよい。
・右用のパック材の方が化粧水の浸透がよい。
・右頬の方が水分をよく含んだ感触だった(触った指が離れるとき右は後を引く感じ、左はサラッと離れる感じ)。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明によれば、得られた肌用シート材を肌に接触する各種の肌用シート材として使用することにより、肌用シート材が接触した肌にトレハロースと海洋深層水を原料とするミネラル成分の複合体が補給され、トレハロースの保湿作用によって肌の潤いが保たれ、又トレハロースには体臭抑制効果もあるため不快臭を抑えることができる。更に、皮膚細胞にとって不可欠の栄養成分であるミネラル成分、特にカルシウム,マグネシウム,カリウムを肌に補給することができ、ミネラル成分が肌に浸透することにより細胞が活性化され、又皮膚に溜まった老廃物を排出させる。また、トレハロースと海洋深層水を原料とするミネラル成分は、両者の複合体として肌に供給されるので、相乗効果によって肌への吸収率が向上し、保湿作用や美容効果がより高まる。更に、肌用シート材を乾燥状態として提供することにより、既製の化粧料ではなく、使用者の肌にあった自らの化粧料を含浸させて使用することが可能となる。或いは、所定の化粧料や薬液を含浸させた状態で提供することにより、肌用シート材として本来の用途に使用すれば、同時にトレハロースと海洋深層水を原料とするミネラル成分の複合体を補給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】基材シートにトレハロースと海洋深層水を原料とするミネラル成分の複合体を保持させる工程を示す概略図。
【図2】トレハロースと海洋深層水を原料とするミネラル成分の複合体の構造図。
【図3】本発明の第1実施形態の概略図。
【図4】本発明の第2実施形態の概略図。
【図5】本発明の第3実施形態の概略図。
【図6】水分量の変化を示すグラフ。
【図7】油分量の変化を示すグラフ。
【図8】弾力度の変化を示すグラフ。
【符号の説明】
【0057】
1…基材シート
2…トレハロースを混合した海洋深層水を原料とするミネラル調整液
3…調整液層
TM…トレハロースと海洋深層水を原料とするミネラル成分の複合体
6…ロータリー型ローラ
7…ノズル
8…エンボス加工用ローラ
9…乾燥機
10…押圧用ローラ
11…巻取ローラ
12…密閉型容器
13…転写ローラ
15…ガイドローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
肌に接触する肌用シート材であって、基材シートに、トレハロースと海洋深層水を原料とするミネラル成分の複合体を保持させたことを特徴とする肌用シート材。
【請求項2】
肌に接触する肌用シート材であって、基材シートに、トレハロースと海洋深層水を原料とするミネラル成分の複合体を保持させてなり、肌に接触した際に複合体を肌に補給可能としたことを特徴とする肌用シート材。
【請求項3】
肌に接触する肌用シート材であって、基材シートに、トレハロースを混合した海洋深層水を原料とするミネラル調整液を添加し、基材シートにトレハロースと海洋深層水を原料とするミネラル成分の複合体を保持させたことを特徴とする肌用シート材。
【請求項4】
肌に接触する肌用シート材であって、基材シートに、トレハロースを混合した海洋深層水を原料とするミネラル調整液を添加し、基材シートにトレハロースと海洋深層水を原料とするミネラル成分の複合体を保持させてなり、肌に接触した際に複合体を肌に補給可能としたことを特徴とする肌用シート材。
【請求項5】
肌に接触する肌用シート材であって、基材シートに、トレハロースを混合した海洋深層水を原料とするミネラル調整液を添加し、その後水分を除去することにより、基材シートにトレハロースと海洋深層水を原料とするミネラル成分の複合体を保持させたことを特徴とする肌用シート材。
【請求項6】
肌に接触する肌用シート材であって、基材シートに、トレハロースを混合した海洋深層水を原料とするミネラル調整液を添加し、その後水分を除去することにより、基材シートにトレハロースと海洋深層水を原料とするミネラル成分の複合体を保持させてなり、肌に接触した際に複合体を肌に補給可能としたことを特徴とする肌用シート材。
【請求項7】
海洋深層水を原料とするミネラル調整液は、カルシウムとマグネシウムを1:2.5〜3.5の比率に保ちながら海洋深層水を非加熱で濃縮するとともに、ナトリウム含有量を硬度の略5%以下に抑えたものである請求項3,4,5又は6記載の肌用シート材。
【請求項8】
トレハロースをミネラル調整液に対して10重量%〜90重量%混合した請求項3,4,5,6又は7記載の肌用シート材。
【請求項9】
基材シートの坪量に対して、トレハロースを混合した海洋深層水を原料とするミネラル調整液を5重量%〜100重量%添加させた請求項3,4,5,6,7又は8記載の肌用シート材。
【請求項10】
海洋深層水を原料とするミネラル調整液にコラーゲンを混合してなる請求項3,4,5,6,7,8又は9記載の肌用シート材。
【請求項11】
海洋深層水を原料とするミネラル調整液にヒアルロン酸を混合してなる請求項3,4,5,6,7,8,9又は10記載の肌用シート材。
【請求項12】
基材シートがパルプ,コットン又はレーヨンを主原料とする不織布又は紙からなる請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9,10又は11記載の肌用シート材。
【請求項13】
トレハロースと海洋深層水を原料とするミネラル成分の複合体によって、肌に保湿作用及びミネラル成分を付与する請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11又は12記載の肌用シート材。
【請求項14】
トレハロースと海洋深層水を原料とするミネラル成分の複合体を保持させた肌用シート材を乾燥状態としてなる請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12又は13記載の肌用シート材。
【請求項15】
トレハロースと海洋深層水を原料とするミネラル成分の複合体を保持させた肌用シート材に、所定の化粧料又は薬液を含浸させてなる請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12又は13記載の肌用シート材。
【請求項16】
肌用シート材が清浄シート,フェイスマスク,目元シート,拭き取りシート,ティッシュペーパー,化粧用パフ,パーマ紙,パック用シート又は化粧おさえ用シートである請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13又は14記載の肌用シート材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−297260(P2008−297260A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−146064(P2007−146064)
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(397040269)ハヤシ商事株式会社 (3)
【出願人】(000155908)株式会社林原生物化学研究所 (168)
【Fターム(参考)】