説明

肌用化粧シート及び肌用化粧シートの製造方法

【課題】本発明は、取扱いが容易な肌用化粧シートを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る肌用化粧シートは、ゲル化剤を含有するシート状のキセロゲル層を備え、含水率が5%以下である構成からなる。これによりキセロゲル層に化粧水等の水分を与えて湿潤化し、この湿潤化された層を肌部に貼付して使用することができる。そして、当該肌用化粧シートは含水率が5%以下で、キセロゲル層も乾燥状態であるため、従来の肌用化粧シートと異なりキセロゲル層からの水分の蒸発を防止する必要がなく、このため従来の肌用化粧シートに比べて包装等が容易であり、取扱い性が優れている。さらに、当該肌用シートはキセロゲル層を支持する基材層を備えると良く、これによりキセロゲル層が基材層によって支持される構造であるため、キセロゲル層の不用意な破損等を防止でき、取扱い性がより優れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肌用化粧シート及び肌用化粧シートの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
肌用化粧シートは、顔等の肌部に直接貼付して化粧用有効成分の浸透等を行うものであり、この種の肌用化粧シートとしては、化粧用有効成分をゲル体に含有させたものが発案されている(特開2009−91342号公報参照)。
【0003】
しかし、この特開2009−91342号公報所載の肌用化粧シートには、水分を多量に含んだゲル体を備えるため、上記公報所載の肌用化粧シートの保管方法が煩雑であり、具体的にはゲル体の水分が蒸発しないように気密に包装を行うことを要していた。また、このように気密に包装されているため、使用に際しての開封作業が煩雑であるという不都合を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−91342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような不都合に鑑みてなされたものであり、取扱いが容易な肌用化粧シート、及びこの肌用化粧シートの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、
本発明は、
ゲル化剤を含有するシート状のキセロゲル層を備え、
含水率が5%以下である肌用化粧シートである。
【0007】
当該肌用化粧シートは、キセロゲル層に水分を与えて湿潤化して、この湿潤化された層を肌部に貼付して使用することができる。具体的には、例えばキセロゲル層に化粧水を与えて、キセロゲル層を湿潤化してゲル層を得た後に、このゲル層を肌部に貼付して使用することができ、また、入浴中又は入浴後の肌部に当該肌用化粧シートを貼付して、肌部に被着する水分によってキセロゲル層を湿潤化して使用することも可能である。
【0008】
さらに、当該肌用化粧シートは含水率が5%以下であり、キセロゲル層も乾燥状態であるため、従来の肌用化粧シートと異なりキセロゲル層からの水分の蒸発を防止する必要がなく、このため従来の肌用化粧シートに比べて包装等が容易であり、取扱い性が優れている。
【0009】
当該肌用化粧シートは、上記キセロゲル層を支持する基材層をさらに備えることが好ましい。これにより、キセロゲル層が基材層によって支持される構造であるため、キセロゲル層の不用意な破損等を防止でき、取扱い性がより優れる。
【0010】
上記基材層は、上記キセロゲル層の一方の面側に積層され、その透湿度が1000g/m・24hr以下である構成を採用可能である。これにより、この基材層配設側(一方側)から透過する水分によってキセロゲル層が不用意に湿潤化してしまうことを防止することができる。また、使用に際して基材層配設側の反対側(他方側)から水分を与えてキセロゲル層を湿潤化することができ、この際にキセロゲル層に多量に水分を与えても水分が一方側から漏れだすことを上記基材層によって防止することができる。
【0011】
また、上記基材層は、キセロゲル層の一方の面に剥離可能に積層されていることが好ましい。これにより、キセロゲル層が湿潤化されて得られる層を基材から剥離した状態で
肌部に貼付することができる。具体的には、例えばキセロゲル層を湿潤化してゲル層を得て、このゲル層を肌部に貼付し、その後基材層を剥離することができる。
【0012】
上記基材層が、主成分としてエラストマー系材料を含む構成を採用することが可能である。これにより、基材層が残存している状態(剥離していない状態)でキセロゲル層が湿潤化して得られる層を肌部に貼付しても、肌部に沿って基材層が変形しやすく、使用者に違和感を与えにくい。
【0013】
このようにエラストマー系材料を主成分とする基材層は、その透湿度が1000g/m・24hr以上であることが好ましい。これにより、キセロゲル層を肌部に貼付している際に残存する基材層が使用者に違和感を与えにくく、またこの基材層によって保水効果も期待することができ、さらには使用に際して基材層配設側から水分を与えてキセロゲル層を湿潤化することも可能である。
【0014】
当該肌用化粧シートにあっては、キセロゲル層の湿潤状態の融点が15℃以上40℃以下であることが好ましい。これにより、キセロゲル層を湿潤化して得られるゲル層が肌部からの熱によって融解するため、肌部に水分やゲル化剤等を浸透又は付着させ易い。
【0015】
当該肌用化粧シートにあっては、キセロゲル層が、化粧用有効成分を含有することが好ましい。これにより、湿潤化して肌部に貼付したキセロゲル層によって肌部に化粧料有効成分を浸透又は付着させ易い。
【0016】
当該肌用化粧シートにあっては、キセロゲル層の厚さが1μm以上100μm以下であることが好ましい。キセロゲル層の厚さを上記範囲とすることで、湿潤した際に十分な量の水分をキセロゲルが保有でき、またキセロゲル層の重量が大きくなり過ぎず、肌部へ貼付した際の違和感が少ない。
【0017】
当該肌用化粧シートにあっては、キセロゲル層のゲル化剤として、ゼラチンが用いられていることが好ましい。これによりキセロゲル層の保水性及び生体に対する安全性を高くすることができる。
【0018】
当該肌用化粧シートにあっては、上記キセロゲル層が長尺シート状に形成され、上記キセロゲル層の短手方向に沿った複数の切断容易線を有することが好ましい。これにより、切断容易線に沿って切断することによって所望長さ分のキセロゲルシートの切断片を得て、この所望長さの切断片のキセロゲル層を肌部に貼付することができる。このため、当該肌用化粧シートを使用したい長さに切断して使用することができ、例えば全体が顔型に形成された化粧パックシートに比べて希望する箇所に無駄なく使用することができ、パック等に要する費用が高額となることを防止できる。
【0019】
上記のようにキセロゲル層が長尺シート状に形成された当該肌用化粧シートは、ロール状に巻回されていることが好ましい。これにより、ロール状の当該肌用化粧シートから所望長さ分の肌用化粧シートを引き出し、切断容易線に沿って切断して、当該肌用化粧シートを使用することができる。また、当該肌用化粧シートはロール状に巻回されているので、収容スペースが小さく、保管が容易である。
【0020】
また、本発明に係る肌用化粧シートの製造方法は、
ゲル化剤を含むキセロゲル層形成材料を配合する形成材料配合工程と、
上記キセロゲル層形成材料からシート状のゲル層を成形する成形工程と、
上記シート状のゲル層を乾燥して含水率を5%以下にする乾燥工程と
を有する構成を採用した。
【0021】
上記構成を採用することで、シート状のキセロゲル層を有し含水率5%以下の当該肌用化粧シートを製造することができる。このように製造された当該肌用化粧シートは、キセロゲル層に水分を与えて湿潤化して、この湿潤化されて得られる層を肌部に貼付して使用することができる。また、当該肌用化粧シートは含水率が5%以下であるため、取扱い性が優れている。
【0022】
当該肌用化粧シートにおいて、「肌用化粧シート」とは、肌部に貼付されて使用されるシートであって、文字通り化粧のほか、美容用途やスキンケア、肌を本来の状態に戻す目的で使用されるシートを含む概念である。「含水率」とは、当該肌用化粧シートに含まれる水の割合、すなわち当該肌用化粧シートの水以外の質量に対する当該肌用化粧シートに含まれる水の質量の割合を意味する。この含水率の計測方法は、肌用化粧シートの質量を測定し、そして減圧下(−750mmHg以下)で12時間真空乾燥させた後の乾燥後質量を測定して、乾燥前後の肌用化粧シートの質量の差の乾燥後質量に対する割合に100を乗じた数値を含水率としている(具体的に式で表わすと、(乾燥前質量−乾燥後質量)/乾燥後質量×100で計算される数値が含水率である)。「透湿度」とは、JIS Z0208カップ法に準拠して温度40℃、相対湿度90%で測定した測定値である。「融点」とは、キセロゲル層を湿潤化して得られたゲル層が加熱されてゾル化する温度を意味し、JIS K6503に準拠して測定される値である。層の「厚さ」とは、層の平均厚さを意味し、JIS K7130に準拠して測定される値である。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、本発明に係る肌用化粧シートは、従来のものに比して取扱いが極めて容易である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第一実施形態の肌用化粧シートを示す模式的斜視図である。
【図2】図1の肌用化粧シートの模式的断面図である。
【図3】本発明の第二実施形態の肌用化粧シートの模式的断面図である。
【図4】本発明の第三実施形態の肌用化粧シートの模式的断面図である。
【図5】本発明のその他の実施形態の肌用化粧シートの模式的正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[第一実施形態]
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の実施形態を詳説するが、まず本発明の第一実施形態の肌用化粧シート1を図1及び図2を参酌しつつ説明する。本実施形態の肌用化粧シート1は、長尺シート状に形成され、図1に示すようにロール状に巻回されており、図2に示すように基材層3の内面にキセロゲル層5が積層された多層構造体から構成されている。
【0026】
(基材層3)
基材層3は、シート状に形成され、具体的には合成樹脂シートから構成されている。この基材層3の表面(内面又は両面)に離型性を持たせる構成を採用することもできる。つまり、当該基材層3を、表面に離型処理が施された合成樹脂シートから構成することも可能である。ここで、離型処理としては、シリコーン処理を採用可能である。なお、離型処理としては、その他長鎖アルキル処理、フッ素処理等を採用することも可能である。また、基材層3の剥離性は、剥離処理に用いる薬剤の種類及び/又はその塗工量等を調節することによって制御することができる。
【0027】
上記シリコーン処理においては例えば水溶性シリコーンを用いることができ、この水溶性シリコーンのシリコーン化合物としては、特に限定されるものではなく、例えば、Si−H基含有シリコーン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、アルコキシ基含有シリコーン、シラノール基含有シリコーン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ビニルシリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、ポリグリセリン変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、メタクリル変性シリコーン、カルボン酸変性シリコーン、脂肪酸エステル変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、フロロアルキル変性シリコーン等を挙げることができ、これらの中から1種もしくは2種以上を組み合せて用いることができる。
【0028】
また、上記基材層3の両面の剥離強度は、キセロゲル層5の乾燥状態において、内面(キセロゲル層5の積層面)のキセロゲル層5に対する剥離強度が、外面のキセロゲル層5に対する剥離強度よりも大きい。なお、この剥離強度の相違は、基材層3の一方の面(内面)に未乾燥状態のゲル層を積層し、この積層したゲル層を乾燥してキセロゲル層5を形成し、この乾燥後にキセロゲル層5の一方の面(内面)に基材層3を重畳するよう当該肌用化粧シート1を巻回することで、各面の剥離強度が異なる積層構造が得られている。つまり、キセロゲル層5は基材層3の外面に積層されたゲル層が乾燥されて形成されるためキセロゲル層5と基材層3の外面との剥離強度は比較的高くなり、一方、上記のように基材層3の外面にキセロゲル層5が積層された当該肌用化粧シート1をロール状に巻回するに際してキセロゲル層5とその内側の基材層3とは特に接着等せずに単に積層(巻回)されるだけであるので、この基材層3の外面の剥離強度は内面の剥離強度よりも小さくなる。なお、各面における剥離強度を相違させるためには、上記手法によらず基材層3の各面の離型処理を異ならしめることによっても行うことができる。
【0029】
ここで、乾燥状態における基材層3の内面の剥離強度(キセロゲル層5に対する剥離強度)としては、0.02N/50mm以上2N/50mm以下であることが好ましい。この基材層3の内面の剥離強度の下限値は、0.06N/50mmがより好ましく、0.2N/50mmがさらに好ましい。一方、上記剥離強度の上限値は、1.5N/50mmであることがより好ましく、0.4N/50mmであることがさらに好ましい。上記剥離強度が上記下限値未満であると、キセロゲル層5と基材層3との接着力が小さ過ぎ、キセロゲル層5が基材層3から不用意に剥離するおそれがある。逆に、剥離強度が上記上限値を超えると、使用する際にキセロゲル層5と基材層3とを剥離することが困難となるおそれがある。つまり、例えばキセロゲル層5を湿潤化して得たゲル層を基材層3から剥離する場合に、この剥離に要する力が大きく過ぎてゲル層の破壊を招くおそれがある。なお、この基材層3のキセロゲル層5に対する剥離強度は、JIS K6854 2:1999に準拠し、引張試験器を用いて基材層3を剥離速度300mm/min、剥離角度180°、測定巾50mmで試験片から剥離して測定した測定値である。なお、剥離強度の測定方法は以下同様の方法によって測定した値である。
【0030】
また、上記基材層3は、低透湿性の層から構成されており、具体的には層厚方向に貫通する貫通孔が形成されておらず層厚方向に水蒸気等の揮発成分の透過が抑制されるよう構成されている。具体的には、この基材層3の透湿度は、1000g/m・24hr以下であることが好ましく、100g/m・24hr以下であることがより好ましく、50g/m・24hr以下であることがさらに好ましい。透湿度が上記上限値を超えると、この基材層3を透過する水分によってキセロゲル層5が不用意に湿潤化してしまうおそれがある。
【0031】
上記基材層3は、上述のように合成樹脂シートから構成したが、その他、合成樹脂シートと他の層との複層構造から構成することも可能である。つまり、この基材層3としては、プラスチックシート単体の場合のほか、紙、布、不織布等に合成樹脂層をラミネートした複層構造のものを採用できる。また、単層構造である場合であっても、上記合成樹脂シターに限定されず、ゴムシート、ネット、金属箔等からなる適当なシート状体を用いることができる。但し、基材層3としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリエチレンテレフタレート等からなる合成樹脂シートが、取扱い容易性等の観点から好適に用いられる。
【0032】
上記基材層3の厚さは、特に限定されないが、基材層3の厚さの下限値としては、10μmが好ましく、15μmがより好ましく、25μmがさらに好ましい。他方、基材層3の厚さの上限値としては、500μmが好ましく、300μmがより好ましく、100μmがさらに好ましい。基材層3の厚さが上記下限値未満であると、製造ライン等において取扱いが困難となるおそれがある。また、基材層3の厚さが上記上限値を超えると、基材層3の剛軟度が大きくなってしまい、剥離作業の困難性をもたらすおれそがあるためである。
【0033】
上記基材層3の剛軟度は、20mm以上150mm以下であることが好ましい。この剛軟度の下限値は、40mmがより好ましく、60mmがさらに好ましい。一方、上記剛軟度の上限値は、100mmがより好ましく、80mmがさらに好ましい。上記基材層3の剛軟度が上記下限値未満であると、例えばキセロゲル層5を湿潤化した得た後にこのゲル層を肌部に貼付する場合に、この貼付までの間に自重によって肌用化粧シート1が撓み過ぎて、基材層3からゲル層が不用意に剥離したり、ゲル層が破損するおそれがあり、この貼付の際のハンドリング性(取扱い性)が低下するおそれがある。逆に、上記基材層3の剛軟度が上記上限値を超えると、基材層3の柔軟性が低下し、例えば肌部への貼付後に基材層3を剥離する際に、基材層3が撓みにくく剥離し難くなるおそれがある。なお、「剛軟度」とは、JIS L 1096 6.19.1 A法(45°カンチレバー法)に準拠して測定される値である。
【0034】
<キセロゲル層5>
キセロゲル層5は、ゲル化剤を含有しており、長尺シート状に成形された湿潤状態のゲル層が乾燥されて構成されている。具体的には、このキセロゲル層5は、水にゲル化剤が添加されシート状に成形されゲル化され、その後乾燥されて含有していた水の大部分が蒸発されて構成される。ここで、キセロゲル層5は、当該肌用化粧シートの含水率が後述する上限値以下となるよう乾燥されている。なお、キセロゲル層5は、形成に際して溶媒として水を用いており、水によって湿潤化するので、肌部への貼付時にキセロゲル層5が肌部になじみ易くできる。
【0035】
また、キセロゲル層5は、湿潤状態の融点が15℃以上40℃以下に設けられていることが好ましい。このキセロゲル層5の融点の下限値としては、20℃がより好ましく、25℃がさらに好ましく、30℃が特に好ましい。一方、キセロゲル層5の融点の上限値としては、35℃がより好ましく、34℃がさらに好ましく、33℃が特に好ましい。上記キセロゲル5の融点が上記下限値未満であると、湿潤状態のキセロゲル層5が融解し易くなり過ぎ、肌部への貼付作業時のハンドリング性が低下するおそれがあるとともに、また当該肌用化粧シート1の保存等の取扱い性が煩雑となるおそれがある。逆に、上記キセロゲル層5の融点が上記上限値を超えると、キセロゲル層5が肌部に接触してもキセロゲル層5が融解せず、含有する化粧用有効成分を肌部に十分に浸透及び付着させることができないおそれがある。なお、キセロゲル層5の融点はゲル化剤の含有量又は二種以上のゲル化剤の混合によって調節することができる。
【0036】
上記ゲル化剤としては、例えば、ゼラチン、寒天、アルブミン、カラギーナン、ファーセレラン、タマリンド、ペクチン、マルメロ、澱粉等を用いることができ、これらの中から1種もしくは2種以上を組み合せて用いることができる。これらの中でも、弾力性が高く、保水性及び生体への安全性を有するゼラチンが特に好ましい。
【0037】
上記ゼラチンはコラーゲンの加含水率解タンパク質であり、牛骨、牛皮、豚皮、魚鱗等を原料とする。これらの中でも、生体への親和性と肌部への有効成分を有する、豚皮由来ゼラチン、魚鱗由来ゼラチンが好ましい。ゼラチンの製造方法については特に限定されず、公知のものを使用することができ、例えば、塩酸や硫酸などの無機酸に数十時間浸漬させて前処理した後にゼラチンを抽出する酸処理法、消石灰の懸濁液中に数ヶ月含浸させて前処理した後にゼラチンを抽出するアルカリ処理法等を用いることができる。また、上記酸処理法又はアルカリ処理法で製造したゼラチンを酵素処理によって低分子化したゼラチンを用いることもできる。
【0038】
また上記ゼラチンとしては、ゼラチン誘導体を用いることもできる。このゼラチン誘導体としては、公知の誘導体を使用することができ、例えば、ゼラチンの酸無水物付加体(例えばフタル化ゼラチン、コハク化ゼラチン、トリメリット化ゼラチンなど)、ラクトン付加体(グルコノ−δ−ラクトン付加ゼラチンなど)、アシル化ゼラチン(アセチル化ゼラチンなど)、エステル化ゼラチン(メチルエステル化ゼラチンなど)、ゼラチン有機酸塩等(ゼラチン−酢酸塩、ゼラチン−ステアリン酸塩、ゼラチン−安息香酸塩等)を挙げることができる。これらの中でも、生体への親和性の点から、コハク化ゼラチン、フタル化ゼラチン、トリメリット化ゼラチンが好ましい。
【0039】
上記ゲル体は、ゲル化剤として上記ゼラチン又はその誘導体を単独で、あるいは二種以上を混合して用いることができる。また、ゼラチンとその誘導体とを混合して用いてもよく、さらにコラーゲンを含有してもよい。
【0040】
上記のようにゼラチン又はその誘導体を用いる場合、ゼラチン又はその誘導体の重量平均分子量は5000以上60000以下であることが好ましい。この重量平均分子量の下限値は、10000がより好ましく、20000がさらに好ましい。一方、重量平均分子量の上限値としては、50000がより好ましく、40000がさらに好ましい。上記重量平均分子量が上記下限値未満であると、肌部への定着性、強度等が低下する。逆に、上記重量平均分子量が上記上限値を超えると、融解したゼラチンの肌部への浸透性が低下し、またキセロゲル層5の強度が高くなって肌部への貼付時のキセロゲル層5の感触が悪化するおそれがある。なお、重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定される値である。
【0041】
上記キセロゲル層5の厚さは、1μm以上100μm以下であることが好ましい。このキセロゲル層5の厚さの下限値としては、5μmがより好ましく、10μmがさらに好ましい。一方、キセロゲル層5の厚さの上限値としては、50μmがより好ましく、30μmがさらに好ましい。上記キセロゲル層5の厚さが上記下限値未満であると、十分な量の化粧用有効成分を含有させることができないおそれがある。逆に、上記キセロゲル層5の厚さが上記範囲より大きいと、キセロゲル層5の重量が増し、キセロゲル層5を肌部へ貼付した際の違和感が大きくなる。
【0042】
キセロゲル層5には、化粧用有効成分を含有させることが可能である。この化粧用有効成分としては、例えば肌部に浸透又は付着させることで皮膚を保湿し、滑らかにする働きを奏する化粧水成分や、乳液成分、美容液成分、薬剤などが挙げられる。
【0043】
上記化粧水成分としては、具体的には、例えば、多価アルコール類(グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3ブチレングリコール、ポリエチレングリコール等)、高級脂肪酸類(ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、エチルヘキサン酸、イソステアリン酸、イソパルミチン酸、イソトリデカン酸、イソノナン酸、ペンタデカン酸等)、糖類(ヒアルロン酸、マルチトール等)、増粘剤類(アルギン酸塩、セルロース誘導体、クインスシードガム、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸系ポリマー等)、防腐剤類(パラベン、フェノキシエタノール、サリチル酸、ソルビン酸、イソプロピルメチルフェノール等)、収斂剤類、紫外線吸収剤類、アミノ酸類、グリチルリチン酸誘導体類、植物エキス類、pH調整剤、香料、脂溶性ビタミン等を用いることができる。また、皮膚用外用剤として利用される成分も用いることができ、例えば、美白剤、血行促進剤等をあげることができる。
【0044】
上記pH調整剤としては、例えば、有機酸又はその塩を用いることができる。特に、防腐効果を有する有機酸又はその塩を用いることにより、防腐剤の使用量を低減することができる。
【0045】
なお、上記美容液成分としては、一般に美容液に用いられている化粧用有効成分を用いることができる。具体的には、例えば、コラーゲン、蜂蜜、セラミド、トレハロース、コエンザイムQ10、スクワラン、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンA、ビタミンK、アルジレリン、リコピン、油溶性肝草エキス、水溶性プラセンタエキス、アラントイン、海草エキス、アシル化ケフィライン水溶液、麦芽エキス、N−アセチル−L−チロシン、カッコン、ヒアルロン酸又はその塩類、トラネキサム酸、アイプライトエキス、ゴールデンシール、ローズ油、アミノ酸類、有機ゲルマニウム、マトリカイン、アロエエキス、ヨーグルトの乳清成分、カフェイン、ハイドロキノン等を用いることができる。また、これ以外の美白剤、血行促進剤、しわ防止剤、肌荒れ防止剤、消炎剤等の成分を含有させることができる。
【0046】
上記美白剤としては、例えば、フェルラ酸、L−アスコルビン酸及びその誘導体、ハイドロキノン誘導体(アルブチン等)、コウジ酸及びその誘導体、エラグ酸及びその誘導体、グリチルリチン酸ジカリウム、胎盤抽出物のほか、茶、丁子、営実、地楡、甘草、枇杷、橙皮、高麗人参、芍薬、山査子、麦門冬、生姜、松笠、桑白皮、厚朴、デイオスコレアコンポジタ根、インチンコウ、阿仙薬、黄ゴン、アロエ、アセロラ、アルテア、シモツケ、オランダガラシ、キナ、オリーブ葉、コンフリー、サクラ、ローズマリー、ロート等の植物抽出液等を挙げることができ、これらの中から1種もしくは2種以上を組み合せて用いることができる。
【0047】
上記血行促進剤としては、例えば、ニコチン酸トコフェロール、酢酸トコフェロール、ニコチン酸アミド、米胚芽油、ボダイジュエキス、マロニエエキス、ユズエキス等を挙げることができ、これらの中から1種もしくは2種以上を組み合せて用いることができる。
【0048】
上記しわ防止剤としては、一般に化粧料に用いられるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ポリウレタン、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリビニル系樹脂等の皮膜剤等を挙げることができる。
【0049】
上記肌荒れ防止剤としては、ヒアルロン酸産生促進、コラーゲン合成促進、グリコサミノグリカン合成促進等の効果を有し、一般に化粧料に用いられるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、レチノール、レチノイン酸、α−ヒドロキシ酸等を挙げることができる。
【0050】
上記消炎剤としては、グリチルリチン酸及びその誘導体(グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム、グリチルリチン酸ステアレート等)、グアイアズレン及びその誘導体(グアイアズレンスルホン酸エチル、グアイアズレンスルホン酸ナトリウム等)、酸化亜鉛、植物エキス(シソ、アロエ、コンフリー、ゲンチアナ、カミツレ、ムラサキ、キンギンカ、セージ、バーチ、トウキンセンカ、ニワトコ、ガマ、オトギリソウ等)等を挙げることができ、これらの中から1種もしくは2種以上を組み合せて用いることができる。
【0051】
また、上記乳液成分としては、一般に乳液に用いられている化粧用有効成分を用いることができ、例えば、保湿剤、油剤及び非イオン性界面活性剤の組合せからなる成分を用いることができる。
【0052】
上記保湿剤としては、例えば、多価アルコール類(ポリエチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等)、糖及び糖アルコール類(グルコース、果糖、蔗糖、ソルビトール、マンニトール等)、アミノ酸類(アスパラギン酸、アルギニン等)、ムコ多糖類又はその塩(ヒアルロン酸(ナトリウム)、コンドロイチン硫酸(ナトリウム)、デルマタン硫酸(ナトリウム)等)、タンパク質又はその分解物(コラーゲン、エラスチン等)、ピロリドンカルボン酸(ナトリウム)等のほか、天然物として、アロエ、アルニカ、イラクサ、イリス、ウスベニアオイ、オトギリソウ、カミツレ、サルビア、シラカバ、スギナ、セイヨウサンザイシ、セイヨウノコギリソウ、タイム、ニンジン、ハマメリス、パンジー、ヒナゲシ、ラベンダー、ローズマリー、レモン、ユーカリ、ダイズ等の植物抽出エキス、ビフィズス菌等の発酵エキス等を挙げることができる。これらの中でも、しっとり感、エモリエント効果を有する点から、多価アルコール(グリセリン、ジグリセリン、1,3−ブチレングリコール等)、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、水溶性コラーゲン、アロエ抽出エキス、ローズマリー抽出エキス等が特に好ましい。これらの保湿剤は、単独で使用してもよいが、しっとり効果を増強するために2種以上を組み合せて用いることが好ましい。
【0053】
上記油剤としては、例えば、炭化水素、油脂、脂肪酸、高級アルコール、合成エステル、シリコーン類等を用いることができる。具体的には、例えば、スクワラン、流動パラフィン、ワセリン、固形パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、セレシン、オリーブ油、アーモンド油、カカオ油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、アボガト油、ヒマワリ油、月見草油、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ベヘニル酸、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデシルアルコール、コレステロール、イソプロピルミリステート、セチルパルミテート、ペンタエリスリトールテトラ脂肪酸エステル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、コレステリルエステル、ネオペンチルグリコール脂肪酸エステル、ジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、メチルフェニルポリシロキサン、シクロメチコン等を挙げることができる。これらの中でも、流動パラフィン、オリーブ油、アーモンド油、セチルアルコール、ベヘニルアルコール、ペンタエリスリトールテトラ2−エチルヘキサン酸エステル、ネオペンチルグリコールジカプリル酸エステル、ジメチルポリシロキサン等が特に好ましい。これらの油剤は、単独で使用してもよいが、使用感を向上させるために2種以上を組み合せて用いることが好ましい。
【0054】
上記非イオン性界面活性剤としては、例えば、(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロック共重合体等を挙げることができる。これらの中でも、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル等が特に好ましい。これらの非イオン性界面活性剤は、単独で使用してもよいが、二種以上を組み合わせて使用してもよく、特にソルビタン脂肪酸エステルとポリオキシエチレン脂肪酸エステルとを組み合わせて使用するのが好ましい。
【0055】
上記乳液成分のpHは、25℃で3.0以上9.0以下が好ましく、5.0以上7.5以下が特に好ましい。pHはクエン酸、乳酸等の有機酸、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、モノエタノールアミン等の塩基で調整することができる。
【0056】
なお、上述したキセロゲル層5に含有される化粧用有効成分は、その種類等特に限定されるものではないが、乾燥によって成分変化を起こしにくいものが好適に用いられる。
【0057】
<肌用化粧シート1>
当該肌用化粧シート1は、上述のように長尺状に形成され、芯材2に巻回されている。換言すれば、当該肌用化粧シート1をロール状に巻回したロール体が構成されており、本実施形態において上記ロール体は、当該肌用化粧シート1と上記芯材2とから構成されている。なお、この芯材2は、外形が円柱状に形成されており、具体的には円筒形状の筒体から構成されている。また、芯材2の外表面(後述のキセロゲル層5との接触面)は、離型処理が施されており、この離型処理は上述の基材層3の離型処理と略同様の処理とすることができる。
【0058】
また、当該肌用化粧シート1は、上述のように上記キセロゲル層5と、このキセロゲル層5を支持するようキセロゲル層5の一方の面側に積層される上記基材層3とを備えている。この肌用化粧シート1は、上記キセロゲル層5の一方の面(外面)に上記基材層3が剥離可能に積層された二層構造からなる。なお、この肌用化粧シート1は、キセロゲル層5が内側となり基材層3が外側となるようロール状に巻回されている。
【0059】
当該肌用化粧シート1には、図1に示すように、肌用化粧シート1の短手方向に沿ってキセロゲル層5を切断するための複数の切断容易線1aが形成されている。この切断容易線1aは、肌用化粧シート1の短手方向に沿って形成されている。また、この複数の切断容易線1aは、長手方向略等間隔に形成されている。
【0060】
上記切断容易線1aは、短手方向に沿ったキセロゲル層5の切断が容易となるよう短手方向に沿って形成された部位であり、破断可能な弱化線から構成され、具体的にはミシン目から構成されている。ここで、この切断容易線としては、ミシン目のほか溝等のその他の弱化線を採用することができ、さらには鋏等によって切断する際に目印となるよう印刷された線から構成することもできる。
【0061】
また、この切断容易線1aは、肌用化粧シート1を切断するために基材層3及びキセロゲル層5双方に形成されており、具体的には基材層3及びキセロゲル層5を貫通する複数の貫通孔からなるミシン目から構成されている。なお、上記のように切断容易線1aを基材層3及びキセロゲル層5双方に亘って形成するものに限られず、例えば、基材層3のみに切断容易線を形成することも可能である。具体的には、例えば基材層3のみに弱化線を形成し、この弱化線に沿って基材層3を破断し、この破断に伴ってキセロゲル層5も切断されるよう構成することも可能である。さらには、基材層3に切断容易線として切離線(切り離された線)を設けておき、この切離線に沿って基材層3を離反して、この離反に伴ってキセロゲル層5が切断されるよう構成することも可能である。また、キセロゲル層5のみに切断容易線を形成し、キセロゲル層5を基材層3から剥離するとともにキセロゲル層5を切断容易線に沿って破断するよう構成することも可能である。
【0062】
当該肌用化粧シート1の短手方向の長さ(以下、幅ということがある)は、1cm以上10cm以下であることが好ましい。この肌用化粧シート1の幅の下限値は、3cmであることがより好ましく、5cmであることがさらに好ましい。一方、肌用化粧シート1の幅の上限値は、8cmであることがより好ましく、6cmであることがさらに好ましい。当該肌用化粧シート1の幅が上記下限値未満であると、基材層3に積層されたキセロゲル層5が不用意に破損してしまうおそれがある。逆に、上記幅が上記上限値を超えると、切断容易線1aに沿った切断作業が煩雑となるおそれがある。
【0063】
また、当該肌用化粧シート1には、長手方向略等間隔に上記複数の切断容易線1aが形成されている。この切断容易線1a同士の間隔(切断容易線1aとこの切断容易線1aに隣接する切断容易線1aとの長手方向の間隔)は、肌用化粧シート1の幅の1倍以上5倍以内であることが好ましい。当該肌用化粧シート1の幅に対する切断容易線1a同士の間隔の下限値は、1.2倍がより好ましく、1.4倍がさらに好ましい。一方、当該肌用化粧シート1の幅に対する切断容易線1a同士の間隔の上限値は、3倍がより好ましく、2倍であることがさらに好ましい。切断容易線1a同士の間隔が上記下限値未満であると、肌用化粧シート1の幅を比較的に長く設けなければ切断容易線1aに沿って切断される切断片の面積が小さくなり、また肌用化粧シート1の幅を長く設けると切断容易線に沿った切断作業が煩雑となるおそれがある。逆に、切断容易線1a同士の間隔が上記上限値を超えると、切断片の長辺が短辺よりも長くなり過ぎ、この切断片の取扱いが困難となり、特に肌部への貼付までの切断片のハンドリング性が悪くなる。
【0064】
なお、肌用化粧シート1の長手方向の長さ(以下、全長ということがある)は、特に限定されるものではないが、当該肌用化粧シート1をロール状に巻回した際にそのロール体の直径が一定範囲となるような長さであることが好ましい。このロール体の直径は、2cm以上7cm以下が好ましく、3cm以上5cm以下がより好ましい。なお、当該肌用シート1の厚さを仮に1mmと仮定すると、肌用化粧シート1の長さは15cm以上1m以下であることが好ましい。また、当該肌用化粧シート1の厚さを仮に10μmと仮定すると、肌用化粧シート1の長さは5m以上10m以下であることが好ましい。
【0065】
当該肌用化粧シート1は、厚さが特に限定されるものではないが、その厚さが11μm以上600μm以下であることが好ましい。当該肌用化粧シート1の厚さの下限値は、20μmがより好ましく、35μmがさらに好ましい。一方、当該肌用化粧シート1の厚さの上限値は、350μmあることがより好ましく、100μm以下であることがさらに好ましい。肌用化粧シート1の厚さが上記下限値未満であると、肌用化粧シート1の剛軟度が小さくなり過ぎ、肌用化粧シート1の取扱いが困難となり、特に肌部への貼付までの切断片のハンドリング性が悪くなるおそれがある。逆に、肌用化粧シート1の厚さが上記上限値を超えると、重量が増すことにより、肌用化粧シート1の取扱いが困難となり、特に肌部への貼付までの切断片のハンドリング性が悪くなるおそれがある。
【0066】
また、当該肌用化粧シートは、上述のようにキセロゲル層5が乾燥されて形成されるために、含水率が5%以下である。なお、当該肌用化粧シートの含水率の上限値は、3%以下が好ましく、1%以下がより好ましい。上記含水率が上記上限値を超えると、ロール条に巻回した際にキセロゲル層5が内側の基材層3に密着してしまい、ロール状から一枚引き出す際にキセロゲル層5が不用意に破損する等のおそれがあり、取扱い性が劣るおそれがある。
【0067】
<肌用化粧シートの製造方法>
当該肌用化粧シートの製造方法としては、ゲル化剤を含むキセロゲル層形成材料を配合する形成材料配合工程と、上記キセロゲル層形成材料からシート状のゲル層を成形する成形工程と、上記シート状のゲル層を乾燥する乾燥工程とを有する。また、当該製造方法は、肌用化粧シート1の短手方向に沿ってキセロゲル層5を切断するための切断容易線を形成する切断容易線形成工程と、肌用化粧シート形成工程により形成された肌用化粧シート1をロール状に巻回する巻回工程と、肌用化粧シート形成工程により形成された肌用化粧シート1を切断する切断工程とを有する製造方法を採用できる。
【0068】
上記形成材料配合工程は、水にゲル化剤及び化粧用有効成分を添加してキセロゲル層形成材料を配合する工程である。この形成材料配合工程は、例えば、熱した溶媒に粉末状のゲル化剤及び化粧用有効成分を配合する方法等を用いることができる。
【0069】
上記成形工程は、基材層3の一方の面にキセロゲル層形成材料を積層する工程であり、例えば形成材料配合工程で配合したキセロゲル層形成材料をゲル化させて基材層3上に積層する工程である。
【0070】
具体的には、この成形工程として、連続的に流される基材層3の上にキセロゲル層形成材料を塗工し、この塗工されたキセロゲル層形成材料を冷却することでゲル化させてゲル層を形成する方法等を採用することができる。このキセロゲル層形成材料を塗工する手段としては周知の方法が使用でき、例えば、スリットコート法、ロールコート法、ブレードコート法、エアーナイフコート法、フローコート法、グラビアコート法、スプレー法、バーコート法等を用いることができる。さらには、キセロゲル層形成材料を塗工する手段としては、例えばキセロゲル層形成材料を充填機から基材層3に滴下し、さらにキセロゲル層形成材料が滴下された基材層3を振動させて形成材料を均一な層状に形成することも可能である。
【0071】
なお、この成形工程は、上記方法のほか、キセロゲル層形成材料からシート状のゲル層を先に形成し、このシート状のゲル層と基材層とを貼り合わせる方法等を採用することも可能である。具体的には、例えば連続的に流される工程紙の上にキセロゲル層形成材料を塗工し、この塗工されたキセロゲル層形成材料を冷却することでゲル化させてシート状のゲル層を形成しておき、このゲル層の上に基材層を積層し、その後工程紙を剥離する方法を採用することができる。なお、基材層の積層は冷却する前の塗工されたキセロゲル層形成材料に行うことも可能である。
【0072】
上記乾燥工程としては、特に限定されず、例えば上記成形工程で得られた長尺シート体を熱風乾燥等、公知の乾燥方法を用いて乾燥することができる。この乾燥工程においては、得られる肌用化粧シートの含水率が5%以下となるよう乾燥している。
【0073】
上記切断容易線形成工程は、肌用化粧シート1の長手方向所定間隔をあけて複数の切断容易線1aを形成する工程である。この切断容易線形成工程は、乾燥工程の後に行うことができ、具体的には、連続的に形成される肌用化粧シート1に、その短手方向に沿った切断容易線を間欠的に形成している(複数の切断容易線を長手方向に所定間隔ごとに形成している)。
【0074】
なお、切断容易線形成工程は、乾燥工程の前や、乾燥工程と同時に行うことも可能である。具体的には、乾燥工程の前に行う場合には、予め切断容易線を形成した基材層を成形工程に用いる方法や、またキセロゲル層形成材料を塗工する際に工程紙を用い、この工程紙に切断容易線形成用の突条部を設けてゲル層に溝部(切断容易線)を形成する方法や、基材層等に塗工されたキセロゲル層形成材料に切断容易線を形成しつつ冷却する方法等を採用することが可能である。また、塗工されたキセロゲル層形成材料に切断容易線を形成しつつ乾燥する方法を採用することも可能である。
【0075】
上記巻回工程は、上記乾燥工程によって形成された肌用化粧シート1を芯材2に巻き付けて、肌用化粧シート1をロール状に巻回する工程である。また、上記切断工程は、上記積層工程によって形成された肌用化粧シート1を所望の長さに切断する工程である。なお、上記切断工程は巻回工程の後に行うことも可能(連続状の肌用化粧シートを一枚の肌用化粧シートに切断した後にロール状に巻回することも可能)であるが、巻回工程の後に切断工程を行う(肌用化粧シートを全長分巻回した後に肌用化粧シートを切断する)ことが好ましい。また、上記巻回工程は、先に上記全長以上の長さの肌用化粧シート1を巻回する一次巻回工程と、この一次巻回工程によってロール状に巻回された肌用化粧シート1から肌用化粧シート1を繰り出して全長分の長さの肌用化粧シート1を再度巻回する第二巻回工程とを有することも可能である。また、上記切断工程は、肌用化粧シート1を短手方向に切断するほか、長手方向に切断することも可能である。つまり、切断工程の前工程において基材層3等の幅を最終製品の肌用化粧シート1の幅以上としておき、この切断工程において最終製品の肌用化粧シート1の幅となるよう肌用化粧シート1を長手方向に切断することも可能である。
【0076】
<肌用化粧シート1の使用方法>
当該肌用化粧シート1は、上述のようにロール状に巻回された状態から一枚の状態から所望長さ分だけ引き出した後、切断容易線に沿って切断して切断片を得る。その後、この切断片のキセロゲル層5に水分を与えて湿潤化して得たゲル層を肌部に貼付して使用することができる。このようにゲル層を肌部に貼付した後に、基材層3を剥離することができる。そして、肌部にゲル層を貼付した状態としておくと、ゲル層に含有される化粧用有効成分を肌部に浸透又は付着させることができる。
【0077】
上述のようにロール状態から一枚の状態に当該肌用化粧シート1を引き出すに際して、肌用化粧シート1はキセロゲル層5の外面に基材層3が配設されているので、この基材層3によってキセロゲル層5の破損を防止できる。
【0078】
また、上述のようにロール状態から一枚の状態に引き出すに際して、引き出される最外層のキセロゲル層5は外側及び内側に基材層3が位置するものの、このキセロゲル層5は内側の基材層3から容易に剥離されつつ外側の基材層3とともに的確に引き出される。なお、使用前にキセロゲル層5が若干吸水して含水率が高まり、キセロゲル層5とその内側の基材層3との剥離強度が大きくなるとしても、基材層3の外面も剥離処理が施されているので、キセロゲル層5が内側の基材層3から容易に剥離することができる。つまり、上述のようにキセロゲル層5の乾燥状態において、キセロゲル層5と基材層3の外面との剥離強度が、キセロゲル層5と基材層3の内面との剥離強度よりも大きいので、キセロゲル層5が若干吸水して含水率が高まってもキセロゲル層5と基材層3の外面との剥離強度が、キセロゲル層5と基材層3の内面との剥離強度よりも大きいと推測されるため、上記のような状態のキセロゲル層5であっても内側の基材層3から容易に剥離されつつ外側の基材層3とともに引き出される。
【0079】
さらに、切断容易線1aが基材層3に形成され、基材層3とともにキセロゲル層5を切断できるので、この切断片はキセロゲル層5の外側に基材層3が配設された多層構造となり、この肌用化粧シート1の剛軟度が比較的大きく、肌部への貼付までの間にキセロゲル層5(又は湿潤化されたゲル層)が破損することを防止でき、この切断片のハンドリング性が高い。
【0080】
また、当該肌用化粧シート1は、使用したい長さに応じて切断容易線を選択して、この選択した切断容易線に沿って切断した切断片を用いることができるので、従来の肌用化粧シートに比して、パックに要する費用が高額となることを防止できる。
【0081】
そして、上記切断片のキセロゲル層5を湿潤化させて肌部に貼付することになるが、具体的には、キセロゲル層5に化粧水等の水分を与えて、キセロゲル層5を湿潤化した得た後にこのゲル層を肌部に貼付して使用することができる。また、入浴中又は入浴後の肌部に当該肌用化粧シート1を貼付して(キセロゲル層5側を肌部に貼付して)、肌部に被着する水分によってキセロゲル層5を湿潤化して使用することも可能である。
【0082】
上記のようにキセロゲル層5に水分を与えるに際しては、例えばキセロゲル層5の両面のうち基材層3が配設されていない面側から水分を供給することができる。そして、このように供給された水分によってキセロゲル層5が湿潤化することになる。この湿潤化に際して、上記基材層3がキセロゲル層5の裏面側(上記水分供給側の反対側)に位置するので、キセロゲル層5の裏面から水分が逃げることを防止でき、このためキセロゲル層5に効果的に水分を与えることができる利点を有するとともに、例えばテーブル等に上記切断片を載せた状態で水分供給してもテーブル等が濡れにくい利点を有する。特に、基材層3は一定の透湿性に形成されているので、水分を透過しにくく、上記利点がより効果的に発揮される。
【0083】
また、キセロゲル層5を湿潤化した得たゲル層は、キセロゲル層5に比べて剛軟度が低下して柔らかくなるものの、キセロゲル層5(ゲル層)が基材層3によって支持された構造であるので、ゲル層が撓むことによるゲル層の破壊が上記基材層3によって的確に防止されており、肌部への貼付までのハンドリング性高い。特に、基材層3は、所定の剛軟度に設けられているので、上記ハンドリング性がより高い。
【0084】
また、上述のように湿潤化した状態のゲル層が肌部へ貼付されるので、肌部には弾力を有する状態(湿潤化した状態)のゲル層が接触するため、肌部へ密着性が高く、このゲル層が肌部から熱を吸収し、清涼感を使用者に与えることができる。
【0085】
さらに、肌部への貼付後に上述のように基材層3を剥離することができるので、剛軟度を大きい基材層3を有する場合でも、ゲル層の肌部への密着性を損なわない。しかも、基材層3の内面(キセロゲル層5の積層面)は離型処理が施されているので、基材層3の剥離が容易且つ確実に行うことができる。
【0086】
また、切断片(当該肌用化粧シート1)はキセロゲル層5と基材層3との二層構造であるので、肌部に貼付した後基材層3を剥離すると、肌部には湿潤化したゲル層のみが貼付された状態となる。そして、このキセロゲル層5は融点が上記範囲に設けられているので、上記ゲル層が肌部の熱によって融解するため、融解後には不織布等の層状の残存物が肌部に残らず、これにより使用後に残存物を肌部から離脱して廃棄する手間が必要でない。
【0087】
さらに、当該肌用化粧シート1は上述のように使用できるほか、その保存等の面においても取扱いが容易である。つまり、キセロゲル層5が乾燥状態で当該肌用化粧シート1は含水率が5%以下であるため、従来の肌用化粧シートと異なりキセロゲル層5からの水分の蒸発を防止する必要がなく、このため従来の肌用化粧シートに比べて包装等が容易であり、取扱い性が優れている。しかも、基材層3は一定以下の透湿度であるため、基材層3によってキセロゲル層5の不用意な湿潤は防止することができ、特に基材層3はキセロゲル層5の外側に配設されているので、より効果的に不用意な湿潤を防止可能である。
【0088】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態の肌用化粧シートについて、図3を参酌しつつ以下説明する。なお、第二実施形態の肌用化粧シートが、第一実施形態の肌用化粧シートと略同一の構成及び機能を有する場合に、その説明を省略することがある。
【0089】
第二実施形態の肌用化粧シート21は、第一実施形態の肌用化粧シートと同様に、ロール状に巻回されている。第二実施形態の肌用化粧シート21は、キセロゲル層25と、このキセロゲル層25の一方の面(外面)に積層された基材層23と、この基材層23の一方の面(外面)に剥離可能に積層された剥離層27との三層構造から構成されている。なお、第二実施形態の肌用化粧シートの肌用化粧シート21は、剥離層27が外側となりキセロゲル層25が内側となるようロール状に巻回されているものについて説明する。
【0090】
上記基材層23は、肌用化粧シート21から剥離層27を剥離した際にキセロゲル層25側に残存する軟質層から構成されている。この基材層23は、主成分としてエラストマー系材料を含む層から形成されている。ここで、基材層23は両面に離型処理を施したものを採用することができる。この基材層23は、乾燥状態におけるキセロゲル層25と基材層23との剥離強度が、基材層23と剥離層27との剥離強度よりも大きくなるよう構成されており、このためキセロゲル層25と剥離層27とを分離した際に基材層23がキセロゲル層25側に残存することになる。
【0091】
上記剥離層27は、第一実施形態の基材層3と同様のシートを採用することが可能である。また、剥離層27は、その表面(内面又は両面)に離型処理を施したものを用いることができる。ここで、離型処理は第一実施形態で説明した離型処理と同様の処理を採用でき、特にシリコーン処理が好適に採用できる。また、基材層23は、上記剥離層27と微接着されており、具体的には粘着剤等により微接着されている。なお、微接着とは、不用意に剥離することがないが剥離する際に容易に剥離可能な程度に接着していることを意味し、上記粘着剤による接着のほか熱ラミネート等によって接着されている場合も含む。
【0092】
上記基材層23と剥離層27との剥離強度は、乾燥状態におけるキセロゲル層25と基材層23との剥離強度よりも小さく設けられ、また乾燥状態におけるキセロゲル層25と剥離層27との剥離強度よりも大きく設けられている。つまり、乾燥状態のキセロゲル層25の外面と基材層23の内面との剥離強度、基材層23の外面と剥離層27の内面との剥離強度、乾燥状態のキセロゲル層25の内面と剥離層27の外面との剥離強度の順に大きくなるよう設けられている。
【0093】
この剥離強度について以下具体的に説明する。微接着される基材層23と剥離層27との剥離強度は、0.01N/50mm以上1N/50mm以下であることが好ましい。この両層の剥離強度の下限値は、0.03N/50mmがより好ましく、0.1N/50mmがさらに好ましい。一方、この基材層23と剥離層27との剥離強度の上限値は、0.7N/50mmであることがより好ましく、0.2N/50mmであることがさらに好ましい。上記剥離強度が上記下限値未満であると、基材層23と剥離層27との接着力が小さ過ぎ、剥離層27が不用意に剥離するおそれがある。逆に、上記剥離強度が上記上限値を超えると、剥離層27を剥離する際に要する力が大きくなり、剥離層27を容易に剥離できないおそれがあり、ひいては剥離層27の剥離に際してキセロゲル層25を破損してしまうおそれがある。
【0094】
また、乾燥状態における基材層23の内面の剥離強度(キセロゲル層25に対する剥離強度)は、上記基材層23と剥離層27との剥離強度の1.5倍以上であることが好ましく、2倍以上であることがより好ましく、3倍以上あることがさらに好ましい。基材層23と剥離層27との剥離強度に対する基材層23の内面の剥離強度が上記下限値未満であると、剥離層27を剥離する際に基材層23が剥離層27とともに剥離されてしまうおそれがある。なお、上記基材層23の内面の剥離強度は、基材層23と剥離層27との剥離強度の30倍以内であることが好ましい。
【0095】
さらに、キセロゲル層25の乾燥状態における剥離層27の外面の剥離強度(キセロゲル層25に対する剥離強度)は、上記基材層23と剥離層27との剥離強度に対して、5%以上80%以下であることが好ましく、20%以上70%以下であることがより好ましく、40%以上60%以下であることがさらに好ましい。上記剥離層27の外面の剥離強度が上記上限値を超えると、ロール状に巻回された状態から肌用化粧シート21を引き出した際に引き出される肌用化粧シート21のキセロゲル層25の内側の剥離層27(ロール状側の剥離層27)がキセロゲル層25(引き出される側のキセロゲル層25)に追従して剥離されたり、キセロゲル層25が破損してしまうおそれがある。逆に、上記剥離強度が上記下限値未満であると、剥離層27の外面の離型性を高める必要からこの外面の離型処理にコストが嵩むおそれがある。
【0096】
上記基材層23は、種々のものを採用可能であるが、例えばエラストマー系材料を主成分とする形成材料をシート状に押し出して形成することが可能である。この基材層23の形成材料としてのエラストマー系材料としては、樹脂やゴムを採用可能である。この樹脂は特に限定されるものではないが、例えばウレタン樹脂を採用可能である。このウレタン樹脂としては、例えば、特公昭42−24194号、特公昭46−7720号、特公昭46−10193号、特公昭49−37839号、特開昭50−123197号、特開昭53−126058号、特開昭54−138098号の各公報に開示されたポリウレタン樹脂またはそれらの誘導体を用いることができる。かかる誘導体としては、例えば、イソシアネート末端を持つウレタンプレポリマーやそれらのブロック体(ブロックイソシアネートと呼ばれることもある)が挙げられる。また、上記エラストマー系材料としてのゴムも特に限定されるものではないが、例えばシリコーン系ゴムを採用することが可能である。ここで、シリコーン系ゴムは、シリコーンゴム単体であるものの他、シリコーンコンパウンド(例えば、ポリエチレン、ボリプロピレン、ポリビニルアルコール等の樹脂と、シリコーンゴムとをブレンドしたもの)を用いることも可能である。
【0097】
上記基材層23は伸縮性を有し、この基材層23の50%引張応力が、0.6N/cm以上4.0N/cm以下であることが好ましく、0.7N/cm以上3.0N/cm以下であることがより好ましく、0.8N/cm以上2.5N/cm以下であることがさらに好ましい。上記範囲であることにより、肌部へのフィット感を維持できるとともに、製造コストの増加するおそれが少ない。なお、この50%引張応力は、JIS−K7115に準拠して測定した値である。
【0098】
上記基材層23の厚さは特に限定されないが、下限としては、10μmが好ましく、20μmがより好ましく、30μmがさらに好ましい。一方、基材層23の厚さの上限としては、100μmが好ましく、80μmがより好ましい。基材層23の厚さが上記下限値未満であると、製造ライン等において取扱いが困難となるおそれがある。逆に、上記厚さが上記上限値を超えると、キセロゲル層25(又は湿潤化したゲル層)を肌部へ貼付した際に基材層23による違和感が生ずるおそれがある。
【0099】
上記基材層23の剛軟度は、特に限定されないが、下限値としては、10mmが好ましく、15mmがより好ましく、20mmがさらに好ましい。一方、基材層23の剛軟度の上限値としては、100mmが好ましく、70mmがより好ましく、40mmがさらに好ましい。基材層23の剛軟度が上記下限値未満であると、製造ライン等において取扱いが困難となるおそれがある。逆に、基材層23の剛軟度が上記上限値を超えると、肌部への貼付時において基材層23とキセロゲル層25との積層体が肌部の形状に沿って変形しにくく、キセロゲル層25が肌部に接触しない箇所が生ずるおそれがある。なお、「剛軟度」とは、JIS L 1096 6.19.1 A法(45°カンチレバー法)に準拠して測定される値である。
【0100】
また、上記剥離層27は上記第一実施形態の基材層3と同様に低透湿性の層から構成されている。
【0101】
これに対して、第二実施形態の基材層23は、上記剥離層27よりも高い透湿性を有している。具体的には、この基材層23は、その透湿度が、1000g/m・24hr以上であることが好ましく、2000g/m・24hr以上であることがより好ましく、5000g/m・24hr以上であることがさらに好ましい。これにより、キセロゲル層25を肌部に貼付している際に残存する基材層23が使用者に違和感を与えにくく、またこの基材層23によって保水効果も期待することができ、さらには使用に際して基材層23の配設側から水分を与えてキセロゲル層25を湿潤することも可能である。
【0102】
上記構成の第二実施形態の肌用化粧シート製造方法としては、化粧用有効成分を含むキセロゲル層形成材料を配合する形成材料配合工程と、キセロゲル層形成材料からなるゲル層をシート状に成形する成形工程と、上記シート状のゲル層を乾燥する乾燥工程とを有する。また、当該製造方法は、肌用化粧シート21の短手方向に沿ってキセロゲル層25を切断するための切断容易線を形成する切断容易線形成工程と、成形工程により形成された肌用化粧シート21をロール状に巻回する巻回工程と、成形工程により形成された肌用化粧シート21を切断する切断工程とを有する製造方法を採用できる。なお、上記製造方法における形成材料配合工程、乾燥工程、切断容易線形成工程、巻回工程及び切断工程は第一実施形態と略同様に構成できるので詳細な説明を省略する。
【0103】
上記肌用化粧シート形成工程としては、予め基材層23の一方の面に剥離層27を微接着し、その後基材層23の他方の面にキセロゲル層25を積層する方法を採用することができる。なお、この肌用化粧シート形成工程として、基材層23の一方の面にキセロゲル層形成材料を積層し、その後に基材層23の他方の面に剥離層27を微接着する方法を採用することも可能である。
【0104】
上記構成からなる第二実施形態の肌用化粧シートにあっては、第一実施形態と同様の利点を有するとともに、ロール状に巻回された状態において剥離層27とキセロゲル層25とが接触しているものの、剥離層27とキセロゲル層25との剥離強度が他の剥離強度よりも小さいので、ロール状に巻回された状態から肌用化粧シート21を引き出すに際して、剥離層27とキセロゲル層25とを容易に剥離して肌用化粧シート21を確実に引き出すことができる。また、基材層23と剥離層27との剥離強度が基材層23とキセロゲル層25との剥離強度よりも小さいので、上述のように引き出した肌用化粧シート21の基材層23から剥離層27を容易に剥離することができる。このため剛軟度の大きい剥離層27を有する場合であっても、キセロゲル層25の肌部への密着性を損なうことがない。
【0105】
また、剥離層27を剥離した後においても残存する基材層23によってキセロゲル層25を支持することができる。このため、肌部からの熱によって融解していくキセロゲル層25が、肌部からの熱量の相違によって他の部分よりも早く薄くなった部位が生じても、この薄くなった部位からキセロゲル層25に亀裂等が生ずることを基材層23によって抑制することができ、融解していくキセロゲル層25の形状維持に寄与することができる。
【0106】
[第三実施形態]
次に、本発明の第三実施形態の肌用化粧シートについて、図4を参酌しつつ以下説明する。なお、第三実施形態の肌用化粧シートが、第一又は第二実施形態の肌用化粧シートと略同一の構成及び機能を有する場合に、その説明を省略することがある。
【0107】
第三実施形態の肌用化粧シート41は、第一実施形態等の肌用化粧シート1と同様に、ロール状に巻回されており、基材層43とキセロゲル層45との二層構造からなる。
【0108】
第三実施形態のキセロゲル層45は、多層のマイクロ層(図示例では第一マイクロ層45a、第二マイクロ層45b及び第三マイクロ層45cの三層のマイクロ層)が積層されて構成されている。各マイクロ層45a,45b,45cの材料等の具体的構成は、第一実施形態のキセロゲル層45と同様の構成を採用できるため、第一実施形態と異なる構成のみについて以下説明する。
【0109】
上記複数のマイクロ層45a,45b,45cは、それぞれ異なる化粧用有効成分を含有し、具体的には、複数のマイクロ層45a,45b,45cが、化粧水成分、美容液成分及び乳液成分をこの順に内側のマイクロ層45aから外側のマイクロ層45cにかけて含有している。
【0110】
また、複数のマイクロ層45a,45b,45cを構成するゲル体の融点が、内側(肌部の貼付側)のマイクロ層45aから外側のマイクロ層45cに行くに従って高くなるよう設けられている。
【0111】
上記各マイクロ層45a,45b,45cの厚さは特に限定されるものではないが、厚さの下限値としては、1μmが好ましく、2μmがより好ましく、3μmがさらに好ましい。一方、各マイクロ層45a,45b,45cの厚さの上限値としては、50μmが好ましく、30μmがより好ましく、10μmがさらに好ましい。各マイクロ層45a,45b,45cの厚さが上記上限値未満であると、十分な量の化粧用有効成分を各マイクロ層45a,45b,45cに含有させることができないおそれがある。逆に、各マイクロ層45a,45b,45cの厚さが上記上限値を超えると、融解時に肌部に浸透せずに付着するゲル化剤の量が増え、肌部からの拭き取りの手間が生じるおそれがあり、さらにはキセロゲル層45の重量が増し、キセロゲル層45を肌部への貼付した際の違和感が大きくなる。
【0112】
上記キセロゲル層45の厚さの下限値としては、3μmが好ましく、6μmがより好ましく、9μmがさらに好ましい。一方、キセロゲル層45の厚さの上限値としては、100μmが好ましく、50μmがより好ましく、10μmがさらに好ましい。キセロゲル層45の厚さが上記範囲より小さいと十分な量の化粧用有効成分を含有させることができないおそれや、肌部への貼付時のハンドリングが困難になるおそれがある。逆に、キセロゲル層45の厚さが上記上限値を超えると、キセロゲル層45の重量が増し、キセロゲル層45を肌部へ貼付した際の違和感が大きくなる。
【0113】
上記構成の第三実施形態の肌用化粧シート製造方法としては、化粧用有効成分を含むキセロゲル層形成材料を配合する形成材料配合工程、キセロゲル層形成材料からなるゲル層をシート状に成形する成形工程と、上記シート状のゲル層を乾燥する乾燥工程とを有する。また、当該製造方法は、肌用化粧シート41の短手方向に沿ってキセロゲル層45を切断するための切断容易線を形成する切断容易線形成工程と、成形工程により形成された肌用化粧シート41をロール状に巻回する巻回工程と、成形工程により形成された肌用化粧シート41を切断する切断工程とを有する製造方法を採用できる。なお、上記製造方法における形成材料配合工程、乾燥工程、切断容易線形成工程、巻回工程及び切断工程は第一実施形態と略同様に構成できるので詳細な説明を省略する。
【0114】
上記形成材料配合工程は、各マイクロ層45a,45b,45cに対応したマイクロ層45a,45b,45c形成材料(キセロゲル層形成材料)を形成する工程を有している。具体的には、溶媒にゲル化剤及び各マイクロ層45a,45b,45cに対応した化粧用有効成分を添加してキセロゲル層形成材料をそれぞれ配合する工程を有している。
【0115】
また、上記肌用化粧シート形成工程は、上記マイクロ層形成材料によって複層のマイクロ層45a,45b,45cからなるキセロゲル層45を形成する工程である。具体的には、基材層43の一方の面に第一マイクロ層45aのマイクロ層形成材料を塗工して、この塗工されたマイクロ層形成材料を冷却してゲル化して第一マイクロ層45aを形成し、この第一マイクロ層45aの一方の面に第二マイクロ層45bのマイクロ層形成材料を塗工して、この塗工されたマイクロ層形成材料を冷却してゲル化して第二マイクロ層45bを形成し、この第二マイクロ層45bの一方の面に第三マイクロ層45cのマイクロ層形成材料を塗工して、この塗工されたマイクロ層形成材料を冷却してゲル化して第三マイクロ層45cを形成し、三層のマイクロ層45a,45b,45cからなるキセロゲル層45を形成している。なお、塗工方法等については既述の実施形態と同様とすることができる。
【0116】
なお、当該製造方法にあっては、各マイクロ層45a,45b,45cごとに成形工程及び乾燥工程を行うことも可能である。つまり、例えば基材層43の一方の面に第一マイクロ層45aのマイクロ層形成材料を塗工して、この塗工されたマイクロ層形成材料を冷却してゲル化して第一マイクロ層45aを形成し、この第一マイクロ層45aを乾燥し、そしてこの乾燥した第一マイクロ層45aの一方の面に第二マイクロ層45bのマイクロ層形成材料を塗工して、この塗工されたマイクロ層形成材料を冷却してゲル化して第二マイクロ層45bを形成し、この第二マイクロ層45bを乾燥し、そしてこの乾燥した第二マイクロ層45bの一方の面に第三マイクロ層45cのマイクロ層形成材料を塗工して、この塗工されたマイクロ層形成材料を冷却してゲル化して第三マイクロ層45cを形成し、この第三マイクロ層45cを乾燥し、これにより三層のマイクロ層45a,45b,45cからなるキセロゲル層45を形成することも可能である。
【0117】
上記構成からなる第三実施形態の肌用化粧シートにあっては、第一又は第二実施形態の使用方法と同様の使用を行うことができ、同様の利点を奏する。さらに、第三実施形態の肌用化粧シートにあっては、複数のマイクロ層45a,45b,45cがそれぞれ異なる化粧用有効成分を含有し、特に化粧用有効成分として化粧水成分、美容液成分及び乳液成分が用いられ、上記複数のマイクロ層45a,45b,45cが、これらの化粧水成分、美容液成分及び乳液成分を内側からこの順に含有しているので、当該肌用化粧シートのキセロゲル層45の内面を肌部へ貼付することによって、化粧水、美容液、乳液をこの順に肌部に浸透又は付着させ、通常のスキンケアの手順を一度に行うことができ、スキンケアの手間を削減することができる。
【0118】
また、複数のマイクロ層45a,45b,45cを構成するゲル体の融点が、内側のマイクロ層45a,45b,45cから外側のマイクロ層45a,45b,45cに行くに従って高いので、キセロゲル層45を肌部に貼付した際に、内側にあるマイクロ層45a,45b,45cよりも先に外側にあるマイクロ層45a,45b,45cが融解することを防止することができ、その結果、各マイクロ層45a,45b,45cが含有する化粧用有効成分を内側のマイクロ層45a,45b,45cから順に肌部へ浸透又は付着させることができ、上述のスキンケアを確実に行うことができる。
【0119】
[その他の実施形態]
上記した各実施形態は上記構成によって上記利点を奏するものであったが、本発明は上記各実施形態の構成に限定されるものではなく、本発明の意図する範囲内において適宜設計変更可能である。
【0120】
つまり、上記各実施形態においては肌用化粧シートがロール状に巻回されたものについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図5に示すように、顔型状に形成された肌用化粧シートであっても、本発明の意図する範囲内である。
【0121】
また、ロール状に巻回した場合にあっても、第一実施形態のような芯材を有するものに限定されるものではなく、例えば芯材を有さずに肌用化粧シートのみがロール状に巻回された構成を採用することも可能である。
【0122】
さらに、湿潤状態のキセロゲル層が肌部の熱によって融解するものについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばゲル体の融点が40℃を超えるものも本発明の意図する範囲内である。また、上記第三実施形態のマイクロ層45a,45b,45cにおいて、第一マイクロ層45a及び第二マイクロ層45bのゲル体の融点が40℃以下で、第三マイクロ層45cのゲル体について融点が40℃より高いものも本発明の意図する範囲内である。つまり、複数のマイクロ層のうち最外層(肌部への貼付側の反対側の層)以外のマイクロ層45a,45bが、所定の上限値(40℃)以下の融点であり、最外層のマイクロ層45cが、所定の上限値を超えた融点であるものも本発明の意図する範囲内である。また、この場合には、最外層のマイクロ層45cの厚さを100μmとすることも可能である。この場合、最外層のマイクロ層45cの厚さは、10μm以上200μm以下であることが好ましく、30μm以上150μm以下がより好ましく、50μm以上120μm以下がさらに好ましい。
【0123】
また、上述のように湿潤状態のキセロゲル層45が肌部の熱によって全て融解するものでない場合(キセロゲル層がマイクロ層を有さない単層の場合も含む)、キセロゲル層45の厚さの上限値は、1000μmであることが好ましく、800μm以下がより好ましく、600μm以下がさらに好ましい。キセロゲル層45の厚さが上記上限値を超えると肌部に貼付した際に装着感が損なわれるおそれがあるためである。
【0124】
さらに、第三実施形態のようなマイクロ層45a,45b,45cを備える構成を採用した場合、第二実施形態のような剥離層37を有する構成を採用することも適宜設計変更可能な事項である。
【0125】
また、上記各実施形態においては、キセロゲル層が化粧用有効成分を含有するものについて説明したが、本発明はこれに限定されない。つまり、本発明におけるゲル層は、例えば化粧用有効成分を含まずにゼラチン等のゲル化剤によってゲル化され乾燥された層であっても良く、このキセロゲル層に化粧用有効成分を含有させて肌部に貼付して使用することも可能である。
【0126】
さらに、上記各実施形態において、キセロゲル層が層状態を維持したまま肌部に貼付することについて説明したが、例えば基材層から湿潤状態のキセロゲル層を手によって掬い取り、この手に付着したキセロゲルを肌部に貼付することも可能である。
【0127】
なお、上記実施形態の説明において、キセロゲル層が湿潤化されてゲル層が構成されることについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、キセロゲル層を湿潤化した際にゾル状になるものであっても本発明の意図する範囲内である。
【0128】
また、上記各実施形態においては、基材層を有するものについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、基材層を有さずにキセロゲル層単層からなる肌用シートであっても本発明の意図する範囲内である。
【0129】
さらに、キセロゲル層を支持する基材層を設ける場合にあっても、基材層の素材等は特に限定されるものではない。また、例えば基材層として、第一及び第三実施形態において第二実施形態のような主成分としてエラストマー系材料を含む軟質層を採用したり、第二実施形態において第一実施形態のような合成樹脂シートを採用することも適宜設計変更可能な事項である。さらに、基材層がゲル層の一面(表面)に積層されるものに限定されるものではなく、例えば基材層として不織布を採用して、この不織布にキセロゲル形成材料を含浸させ、含浸したキセロゲル形成材料が冷却及び乾燥されることによって、キセロゲル層中に基材層が介在されている構造であっても本発明の意図する範囲内である。
【産業上の利用可能性】
【0130】
以上のように、本発明は、キセロゲル層に水分を与えて湿潤化し、このキセロゲル層を肌部に貼付して使用でき、例えば化粧パック等に用いられる肌用化粧シートとして好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0131】
1 肌用化粧シート
1a 切断容易線
2 芯材
3 基材層
5 キセロゲル層
21 肌用化粧シート
23 基材層
25 キセロゲル層
27 剥離層
41 肌用化粧シート
43 基材層
45 キセロゲル層
45a 第一マイクロ層
45b 第二マイクロ層
45c 第三マイクロ層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲル化剤を含有するシート状のキセロゲル層を備え、
含水率が5%以下である肌用化粧シート。
【請求項2】
上記キセロゲル層を支持する基材層をさらに備える請求項1に記載の肌用化粧シート。
【請求項3】
上記基材層が上記キセロゲル層の一方の面側に積層され、
この基材層の透湿度が1000g/m・24hr以下である請求項2に記載の肌用化粧シート。
【請求項4】
上記基材層が上記キセロゲル層の一方の面に剥離可能に積層されている請求項2又は請求項3に記載の肌用化粧シート。
【請求項5】
上記基材層が、主成分としてエラストマー系材料を含む請求項2に記載の肌用化粧シート。
【請求項6】
上記基材層の透湿度が1000g/m・24hr以上である請求項5に記載の肌用化粧シート。
【請求項7】
上記キセロゲル層の湿潤状態の融点が15℃以上40℃以下である請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の肌用化粧シート。
【請求項8】
上記キセロゲル層が、化粧用有効成分を含有する請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の肌用化粧シート。
【請求項9】
上記キセロゲル層の平均厚さが1μm以上100μm以下である請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の肌用化粧シート。
【請求項10】
上記キセロゲル層のゲル化剤として、ゼラチンが用いられている請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の肌用化粧シート。
【請求項11】
上記キセロゲル層が長尺シート状に形成され、
上記キセロゲル層の短手方向に沿った複数の切断容易線を有する請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の肌用化粧シート。
【請求項12】
ロール状に巻回されている請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の肌用化粧シート。
【請求項13】
ゲル化剤を含むキセロゲル層形成材料を配合する形成材料配合工程と、
上記キセロゲル層形成材料からシート状のゲル層を成形する成形工程と、
上記シート状のゲル層を乾燥して含水率を5%以下にする乾燥工程と
を有する肌用化粧シートの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−112625(P2013−112625A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258166(P2011−258166)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000165088)恵和株式会社 (63)
【Fターム(参考)】