説明

肌組織を測定する方法及び装置

【課題】偏光フィルタを介して光源(3)により照明される個人の肌(2)の領域の第1画像は、第1偏光フィルタ(4)を透過する光と同じ極性を有する可視光をフィルタリングするように備えられる第2偏光フィルタ(5)を介してディジタルカメラ(1)により得られる。
【解決手段】この画像は、その場合、決定された肌にある発色団の濃度に基づいて、照明された肌(2)の領域により反射される光の推定レベルを決定するように、肌(2)にある発色団と光の相互作用のモデル(15−20)及び光の検出レベルを用いるコンピュータにより処理される。その場合、偏光フィルタ(4)なしで、光源(3)により照明された個人の肌(2)の第2画像が得られる。肌組織を表す表面マップは、その場合、演算された発色団の推定される濃度に基づいて照明された肌の想定される外観と第1の得られた画像との間の差から導き出される個人の肌(2)の表面形状の変動のための照明強度の変動を表す形状データによりスケーリングされた第1画像と第2画像との差に基づいて決定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肌組織を測定する方法及び装置に関する。特に、本発明の実施形態は、肌組織を測定し、乾燥肌の領域を特定する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
肌を拡大して見るとき、その表面には細かい線及び皺がある。それらの構造の詳細な測定については、皺を減少させるようにデザインされた製品の研究及び消費者の教育の両方において関心がもたれている。肌の物理的なシリコンレプリカを作ることにより肌領域のトポロジを測定する標準的な技術は、ステレオ及び干渉縞投影に対してトレースされるものである。それらの技術の全ては優れた結果を得ることができるが、コスト及び取得時間のために、実験室の分析に対しては限定的である。それ故、詳細な肌のトポロジを測定する代替のシステムが要請されている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の特徴に従って、肌の表面組織を測定する方法であって:
肌の領域を偏光光で照明する段階;
照明された肌の領域から反射される光の第1の測定を得る段階であって、その測定された光は、前記肌の領域が照明される光に対して異なる極性を有する光である、段階;
照明のレベルにおける変動のためにもたらされる反射光レベルにおける変動を測定するように、肌に存在する発色団との光の相互作用のモデルを用いて、得られた光の測定を処理する段階;
照明された肌の領域から反射される光の第2の測定を得る段階であって、測定された光は、前記肌の領域が照明される光と同様の極性の光を有する、段階;並びに
照明された肌の領域から反射される光の前記第1の測定と前記第2の測定との間の差分、及び照明された肌の領域の表面組織の測定を得るように、照明のレベルにおける変動によりもたらされる反射光レベルにおいて前記決定される変動、を用いる段階;
を有する方法を提供する。
【0004】
本発明の他の特徴に従って、肌の表面組織を測定する装置であって、
肌の領域を偏光光により照明するように動作する光源;
照明された肌の領域により反射される光の第1の測定及び第2の測定を得るように動作する検出器であって、光の第1の測定は、前記光源が前記肌の領域を照明するように動作する光に対して異なる極性の光であり、光の前記第2の測定は前記肌の領域を照明するように動作する前記光源による光と同様の極性の光を有する、検出器;並びに
照明のレベルの変動によりもたらされる反射光レベルの変動を決定するように、肌に存在する発色団との光の相互作用のモデルを用いて、得られた光の第1の測定を処理し、
照明された肌の領域により反射される光の第1の測定及び第2の測定との間の差分、及び照明された肌の領域の表面組織の測定を得るように、照明のレベルにおける変動によりもたらされる反射光レベルにおける前記決定される変動、を用いる、
ように動作する処理器;
を有する、装置を提供する。
【0005】
本発明の更なる特徴及び実施形態については、添付図を参照して理解することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
肌と光の相互作用
背景として及び理解を助けるように、本発明の実施形態の記載の前に、肌の物理的な構造及び肌の光との相互作用について、先ず、図1を参照して簡単に説明する。
【0007】
図1に示すように、肌は、角質層としても知られている外側の角化層50と、表皮52と、肌のための血液供給55を有する乳頭真皮54及び結合真皮56とに分類される。
【0008】
光が皮膚に入射するとき、光の多くは、外側の角化層50に衝突するときにすぐ、反射する。しかしながら、入射光のある割合は角化層50を透過して進み、表皮52及び乳頭真皮54の構成物質と相互作用する。光が表皮52及び乳頭真皮54を透過し、その光が皮膚内に存在する種々の発色団、即ち、乳頭真皮内の血管55内の血液内に存在するヘモグロビン、メラニン、表皮52内のメラニン細胞57により生成される色素及びコラーゲンにより吸収されるとき、繊維性物質が皮膚全体に亘って存在している。入射光が結合真皮56に達するときまでに、光の散乱はかなり前進し、それ故、そのために結合真皮56は、どの点から見ても、光が反射しないようにみなされる。
【0009】
種々の波長を吸収する表皮52及び乳頭真皮54内に存在する発色団に加えて、皮膚内の特定の構造、例えば、その代表であるコラーゲンは、入射光を反射するようにする。
【0010】
皮膚内のコラーゲンと光の相互作用は、光が何れかのオリジナルの極性を失うようにするようなものである。皮膚の外側の外観は、それ故、角化層50によりすぐに反射された光と、表皮52及び乳頭真皮54内に存在する発色団と相互作用した弱まった光とが混合したものであるみなされる。
【0011】
上記のように、本発明は、皮膚の表面組織の測定を得るのに、肌の外観が肌の表面からの光の反射と、その表面の下の構造及び発色団との光の相互作用とに依存することを用いる。
【0012】
特定の実施形態
本発明の実施形態についての模式的なブロック図である図2を参照するに、光源3により照明される個人2の画像を得るように備えられている従来のディジタルカメラ1を有する皮膚組織測定システムが備えられている。
【0013】
第1偏光子4が備えられ、その場合、光源3が偏光光により個人2を照明するようにする光源3の前の第1位置と、光源が第2偏光子3を透過する光を伴わずに個人2を照明することができる第2位置との間で第1偏光子は移動可能である。第2偏光子5が、その場合、第2偏光子5が第1偏光子4により偏光された光をフィルタリングするように備えられた2つの偏光子4、5と共に、ディジタルカメラ5のレンズの前に備えられている。
【0014】
ディジタルカメラ1は、光源3により照明された個人2の画像を得、次いで、複数の機能モジュールに対して設定されるようになっている通信ネットワークを介して電気信号8を受け入れることにより、又はディスク7に備えられているソフトウェアにより設定されるコンピュータ6にそれらの画像を渡す。参照番号15乃至24は、ディスプレイ10に表示される出力画像を生成するように、ディジタルカメラ1から受け入れられる画像データをコンピュータ6が処理するようにする。
【0015】
特に、個人の表面の2つの画像が得られる。それらの画像の第1画像は、第1偏光子4を介して個人を照明する光源3により得られ、第2画像は、偏光子4がないときに得られる。それらの2つの画像は、その場合、範囲を示す第1画像から導き出される幾何学的データと共に処理され、照明強度は、表示のために表面マップ画像を演算するように、画像を横断して変化する。
【0016】
図5に示す機能モジュールは、請求される本発明の機能についての理解を助けるように、全く概念的であり、特定の実施形態においては、ソフトウェアについてのソースコードにおけるコードのブロックと直接、対応していないことが可能である。他の実施形態においては、図示している機能モジュールにより実行される機能は、異なるモジュール間で分けられることが可能であり、又は、異なる機能について同じモジュールの再使用により実行されることが可能である。
【0017】
本発明の実施形態においては、それらの機能モジュールには、RGB画像データを対応する極座標に変換する極座標変換ユニット15と、画像変換モジュール16と、血液及びメラニンの濃度を表すデータを生成するように極角座標を処理する変換テーブル17と、画像生成モジュール18及び発色団分布データを用いて画像データを生成するように実施可能である逆変換テーブル20と、表面形状における変化及び照明の変化のために個人の画像における外観の変化を特定する形状決定モジュール22と、表示スクリーン10における表示のために表面マップを生成するようにディジタルカメラから得られた画像及び形状データを処理する差分モジュール24と、がある。
【0018】
得られた画像データの処理
図2のコンピュータ6により実行される処理のフロー図である図3を参照するに、最初(S3−1)に、位置付けられた第1偏光子4と光源3により照明される個人2のディジタルカメラ1により画像が得られる。その場合、第2偏光子の存在は、皮膚の表面から直接反射される何れの光も第2偏光子5によりフィルタリングされるため、カメラ1により得られる画像は、画像化される皮膚の下地構造と光の相互作用に依存する。
【0019】
この実施形態においては、ディジタルカメラ1は、従来のディジタルカメラを有し、ディジタルカメラ1により生成される画像データは、大きい画素のアレイについて0乃至255の範囲内のRGB値を有し、ここで、RGB値は、赤色、緑色及び青色であるように現れる画像における各々の画素についてカメラ1の光受光部により受け入れられる範囲の光を示し、完全に黒色の画素は0,0,0のRGB値を有し、完全に明るい白色画素は、255,255,255のRGB値を有する。
【0020】
偏光光により照明される個人2の画像がカメラ12により得られているとき、その画像は、表面形状における大きなスケール変化のためにもたらされる照明における変化を示す幾何学的データを導き出すように処理される(s3−2乃至s3−5)。
【0021】
この処理は、画像における各々の画素についての従来のRGBデータを対応する極座標の集合θ,ψ,rに変換する(s3−2)極座標変換モジュールに得られた画像を渡すことにより達成され、ここで、極座標θ,ψは、ディジタルカメラ1により捕捉された画像における個々の画素により表される色相及び色度を実質的に示し、径方向の座標rは、画素の輝度を実質的に表す。
【0022】
この変換は、従来の方法で達成され、次の式のようである。
【0023】
θ=cos−1(B(R+B+G−1/2
ψ=tan−1(G/B)
r=(R+B+G1/2
その変換は、ディジタルカメラにより生成された画像についてのオリジナルの画素アレイにおける各々の画素に対して実行される。その変換の結果は、オリジナルの画像の各々の画素についての極座標の集合θ,ψ,rである。
【0024】
径方向の要素のアレイrは、その場合、画像生成モジュール18に直接、渡され、ここでは、演算される角極座標θ及びψのアレイは、この実施形態においては、画像変換モジュール16に渡される。
【0025】
極座標変換モジュール15が、画像についてのRGB値を極座標に変換した後、画像変換モジュール16は、個人の肌の表面における個々の点における血液及びメラニンの濃度を表す値を得るように、生成されたθ値及びψ値のアレイを処理する(s3−3)。
【0026】
この実施形態においては、このことは、π乃至−π、及び0乃至π/2間の値を有することに代えて、スケーリングされたθ値及びψ値が0乃至255の範囲内の整数値を有するように、θ値及びψ値を順次にスケーリングすることにより、アレイにおける各々の画素について、θ値及びψ値の各々の対を処理することにより達成される。それらのスケーリングされたθ値及びψ値は、変換テーブルであって、この実施形態においては、そのようなスケーリングされたθ値及びψ値をもたらすように血液及びメラニンの濃度の対とスケーリングされたθ及びψ座標の対を関連付ける255x255のルックアップテーブルにアクセスするように用いられる。この実施形態においては、変換テーブル17は、血液及びメラニンの濃度を種々のθ値及びψ値と関連付けたテーブルを有し、ここでは、θ値及びψ値は肌についての色空間の想定範囲内に入る。特定の画素についてのθ値及びψ値の組み合わせが、発色団の濃度データが変換テーブル17において記憶されている値の範囲外にある場合、この実施形態においては、変換モジュール16は、画素についてのθ値及びψ値により画素についての血液及びメラニンの濃度について返す。
【0027】
画像における画素の各々に対して血液及びメラニンについての発色団分布値が変換モジュール16により演算された後、この発色団分布データは、変換モジュール12により画像生成モジュール18に渡される。発色団分布値が画像生成モジュール18により受け入れられるとき、画像生成モジュール18は、その場合、血液及びメラニンの分布に依存する範囲に対して、個人の外観を表す個人2について導き出された画像を生成するように、逆変換テーブル20と共に処理する(s3−4)。
【0028】
この実施形態においては、最初に、画像生成モジュール18は、対応する想定されるθ及びψ色角度の対を生成するように、画像における各々の画素について受け入れられた発色団分布データを処理する。この実施形態においては、この変換は、画素について決定された血液及びメラニンの濃度の各々の有効な対を対応する想定されるθ及びψ値と関連付けるルックアップテーブルである逆変換テーブルにアクセスする画像生成モジュール18により達成される。
【0029】
逆変換テーブル20は、それ故、変換テーブル17に記憶されているままの血液及びメラニン濃度の測定に対してθ及びψ値を変換する関数に対応する逆関数を表すデータである。
【0030】
このようにして発色団分布データを処理し、極座標変換モジュール10により生成される画素についての半径方向座標にアクセスすることにより、画像生成モジュール18は導き出された画像を生成することができ、ここで、変換モジュール12が発色団分布値を決定することができる各々の画素画像は、極座標変換モジュール15により決定される特定の画素についての半径方向値に対応する半径方向値r並びに演算された色角度θ及びψの対により表される。
【0031】
この導き出された画像データは、その場合、受け入れられたθ,ψ,rのデータのアレイを等価のRGB値の画像に変換するように処理する幾何学的決定モジュール22に渡される。
【0032】
これは、各々の画素についてのθ,ψ,rのデータに対する次の式を適用することにより達成される。
【0033】
R=rsinθcosψ
G=rsinθsinψ
B=rcosθ
幾何学的決定モジュール22は、その場合、その画像における各々の画素についての形状項Kを、次式を用いて演算する(s3−5)。
【0034】
K=Roriginal/Rderived
ここで、Roriginalはオリジナルの画像における画素についての赤色チャネル値であり、Rderivedは、導き出された画像において演算されることができたR,G,Bデータがない画素全てについて、ヌル値に設定されるKと導き出された画像の対応する画素における赤色チャネル値である。
【0035】
導き出された画像とオリジナルの画像との間の差は、主に肌表面の形状における全体の変化による肌表面の照明強度における差のためにもたらされる。
【0036】
実施例として、図4Aは、個人の目の例示としての画像である。図4Bは、図4Aの画像について想定される血液及びメラニン分布を決定し、次いで、オリジナルの画像から導き出される極座標r値と共に決定された発色団分布の想定される外観に基づいて導き出される画像を生成することにより導き出される対応する画像の例示である。その処理の結果としての目の部分の辺りのそれらの2つの画像に示されているように、目の辺りの全体的な表面形状の多くが失われている。
【0037】
肌における発色団の濃度の存在に依存しない画像化された表面の全体的な形状からもたらされる照明の変化のために、外観における変化がもたらされる度合いを表す幾何学的データは、それ故、オリジナルの画像及び導き出された画像における対応する画素についての画素値の比を演算することにより得られる。
【0038】
図3を参照するに、全体的な表面形状のための照明変動を表す幾何学的データが決定された(s3−5)後、個人2の第2画像がディジタルカメラ12により得られる。第1画像とは対照的に、この第2画像は、偏光子4を透過することなく、光源が個人2を照明するように位置付けられた第1偏光子4により得られる。その得られた画像は、それ故、個人2の肌の表面からの直接の光の反射、及び肌に存在する発色団及び構造との光の相互作用の両方に基づいて、個人2の外観を示す。この第2画像は、偏光光により照明された個人のオリジナルの画像及び演算された幾何学的データと共に、差分モジュール24に渡される。
【0039】
それらの画像が差分モジュール24により受け入れられるとき、それらの画像は、ディスプレイのスクリーン10上の表示のための表面マップを生成する(s3−7)ように、幾何学的データと共に処理される。
【0040】
より具体的には、最初に、第1画像における対応する画素についての対応するR値と比較して第2画像の各々の画素についてのR値における差分が決定される。これは、モノクロ差分画像が演算されることを可能にする。そのような差分画像は、肌による表面散乱の結果を示す。しかしながら、このデータ自体は、その差分画像がまた、照明強度における変動に依存するために、肌組織の測定を与えない。このことを明らかにするために、決定された差分値は、それ故、全体的な表面形状のために照明における変動を示すK値により導き出され、ここでは、このK値は有効である。ヌルK値のみが利用可能である場合、表面測定は決定されない。演算されたKの幾何学的項を用いるその差分値の再スケーリングは、照明における変動のためにもたらされる変動を効果的に除去し、それ故、結果として得られる処理画像が、全体的な表面形状及び照明における変動に依存しない導き出された肌表面における変動を表すようにする。
【0041】
結果として得られる表面マップにおいては、肌の皺又は溝に対応する表面反射の生じない又は殆ど生じない画素は、溝又は皺の深さを表す測定の相対的サイズにより、より小さい値と関連付けられる。更に、得られたマップはまた、乾燥肌の領域の程度を測定するように用いられることが可能であり、その場合、そのような領域は、高度に変換された距離値、及びより大きい値の変動を有する領域を表す表面マップの領域に関連付けられる。
【0042】
代替の実施形態及び改善
上記の実施形態においては、光源3の前の偏光フィルタ4が、表面組織の測定を行うことが可能であるように、偏光光又は非偏光光により照明される個人2の画像が得られることが可能であるように、第1位置と第2位置との間で移動可能であるシステムについて説明している。他の代替の構成がそれらの画像を得るように利用することが可能であることを理解することができる。
【0043】
それ故、例えば、光源の前の偏光フィルタ4を取り除くことに代えて、カメラ1の前の偏光フィルタ5を取り除くことが可能である。代替として、偏光フィルタ4、5のどちらかを移動させるのではなく、偏光フィルタ4、5の両方を透過する光を伴わない画像を得るように、カメラ1か又は光源のどちらかが移動されることが可能である。
【0044】
好適な実施形態においては、偏光フィルタ4、5の一を取り除くことに代えて、偏光フィルタ4、5の一が、他と直交偏光されることに代えて、両方のフィルタ4、5が同じ偏光を共有する光が透過することを可能にするように、回転されることが可能である。そのような実施形態においては、そのような構成におけるフィルタ4、5により得られる画像は、個人の皮膚表面が照明される光と同じ偏光を有する光のみを有する。そのような画像と、直交偏光の構成におけるフィルタ4、5により得られる画像との間の差は、従って、表面反射によりもたらされる変動のために殆ど全体的にもたらされ、それ故、上記の方法で決定される照明強度の変動について正規化されることにより、表面組織のマップを決定するために特に適するものである。
【0045】
偏光フィルタ4、5の位置又は構成を移動させることに対する更なる代替として、ディジタルカメラの対が、偏光光及び非偏光光のそれぞれに基づいて、実質的に同様の画像を得るように備えられることが可能である。それら2つのカメラにより得られる画像は、その場合、アライメントされ、次いで、上記と類似する方法で処理されることが可能である。そのようなシステムの一有利点は、偏光画像及び非偏光画像を同時に得ることが可能であることである。
【0046】
上記の実施形態においては、形状項Kについては、赤色チャネルについての画素値における差分から導き出されるとして述べている。偏光フィルタの有無により得られる画像についての赤色チャネル値における差分は、その場合、表面形状における大きいスケール変動のためにもたらされる照明強度における差分について差分画像を正規化するように、この項を利用して再スケーリングされる。
【0047】
このようにして赤色チャネルデータを用いることは、赤色光が優先的に肌により反射され、それ故、このデータは他の色のチャネルについてのデータに比べてより高い信頼性を有するため、他の色のチャネルを用いることに対して好適である。他の実施形態においては、しかしながら、照明レベルスケーリング係数を、それらの色のチャネルの何れか又は何れかの組み合わせを用いて得ることが可能である。
【0048】
図を参照して説明している本発明の実施形態においては、コンピュータ装置及びコンピュータ装置において実行される処理を有するが、本発明はまた、コンピュータプログラム、特に、本発明を実現するように適合された担体におけるコンピュータプログラムに拡張されることができる。そのプログラムは、ソースコード又はオブジェクトコードの形式である、又は本発明に従った処理の実施で用いるために適切である何れかの他の形式であることが可能である。その担体は、プログラムを担持することができる何れかのエンティティ又は装置であることが可能である。
【0049】
例えば、その担体は、例えば、CD ROM又は半導体ROM等のROM、若しくは、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク又はハードディスク等の磁気記録媒体を有することが可能である。更に、その担体は、電気ケーブル又は光ケーブルを介して、若しくは無線手段又は他の手段により搬送することが可能である電気信号又は光信号のような送信可能媒体であることが可能である。
【0050】
ケーブル、他の装置又は手段により直接搬送されることが可能である信号においてプログラムが具現化されるとき、その担体は、そのようなケーブル、他の装置又は手段を有することが可能である。
【0051】
代替として、その担体は、プログラムが組み込まれている集積回路であることが可能であり、その集積回路は、関連処理を実行するように、又は関連処理の性能を用いるように適合されることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】肌の構造及び入射光とその構造の相互作用を示す肌の層における断面を示す模式図である。
【図2】本発明の第2実施形態に従った肌組織測定システムの模式的なブロック図である。
【図3】図2の肌組織測定システムにより実行される処理についてのフロー図である。
【図4A】個人の目の画像である。
【図4B】発色団分布以外の因子のために、外観における変動なしにオリジナルの画像により表される血液及びメラニンの推定される分布及び濃度を用いることにより生成される図4Aの個人の目の画像である。
【符号の説明】
【0053】
1 ディジタルカメラ
2 肌
3 光源
4 第1偏光フィルタ
5 第2偏光フィルタ
6 コンピュータ
7 ディスク
8 電気信号
10 ディスプレイ
15 極座標変換モジュール
16 画像変換モジュール
17 変換テーブル
18 画像生成モジュール
20 逆変換テーブル
22 形状決定モジュール
24 差分モジュール
50 角化層
52 表皮
54 乳頭真皮
55 血管
56 結合真皮
57 メラニン細胞

【特許請求の範囲】
【請求項1】
肌の表面組織を測定する方法であって:
偏光光により肌の領域を照明する段階;
前記照明された肌の領域により反射される光の第1測定を得る段階であって、前記測定される光は、前記の肌の領域が照明される前記光と異なる極性を有する光である、段階;
照明のレベルにおける変動のためにもたらされる反射光レベルにおける変動を決定するように、前記肌に存在する発色団と光の相互作用のモデルを用いて、前記得られた光の測定を処理する段階;
前記照明された肌の領域により反射される光の第2測定を得る段階であって、前記測定された光は、前記の肌の領域が照明される前記光と同様の極性の光を有する、段階;及び
前記照明された肌の領域の前記表面組織の測定を得るように、前記照明された肌の領域により反射される前記の光の第1測定と前記の光の第2測定との間の差分と、照明レベルにおける変動のためにもたらされる反射光レベルにおいて前記決定される変動と、を用いる段階;
を有する方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、照明のレベルにおける変動のためにもたらされる反射光レベルにおける変動を決定するように、前記肌に存在する発色団と光の相互作用のモデルを用いて、前記得られた光の測定を処理する段階は:
肌の照明領域における1つ又はそれ以上の発色団の濃度を決定するように得られた光の測定を処理する段階;
前記決定された発色団の濃度を有する前記の肌の照明のためにもたらされる光の推定される想定レベルを決定する段階;及び
前記の光の推定された想定レベルと得られた光の測定とを比較することにより、照明のレベルにおける変動のためにもたらされる反射光レベルにおける変動を決定する段階;
を有する、方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法であって、光の前記第1測定及び前記第2測定は連続的に得られる、方法。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の方法であって、光の前記第1測定及び前記第2測定は同時に得られる、方法。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一項に記載の方法であって、前記肌にある発色団と光の前記相互作用の前記モデルは、ヘモグロビン及びメラニンの1つ又はそれ以上と光の相互作用のモデルを有する、方法。
【請求項6】
肌の表面組織を測定する装置であって:
偏光光により肌の領域を照明するように動作する光源;
照明された肌の領域により反射される光の第1測定及び第2測定を得るように動作する検出器であって、光の前記第1測定は、前記光源が前記の肌の領域を照明するように動作する前記光に対して異なる極性の光であり、光の前記第2測定は、前記の肌の領域を照明するように動作する前記光源による前記光と同様の極性の光を有する、検出器;
処理器であって、
照明のレベルにおける変動のためにもたらされる反射光レベルにおける変動を決定するように、前記肌に存在する発色団と光の相互作用のモデルを用いて、得られた光の測定を処理するように、そして
前記照明された肌の領域により反射される光の前記第1測定と前記第2測定との間の差と、前記照明された肌の領域の前記表面組織の測定を得るように、照明レベルにおける変動のためにもたらされる反射光レベルにおいて前記決定された変動と、を用いるように、
動作する、処理器;
を有する装置。
【請求項7】
請求項6に記載の装置であって、前記処理器は:
肌の照明された領域の1つ又はそれ以上の発色団の濃度を決定するように、得られた光の測定を処理するように動作する発色団決定モジュール;
前記の1つ又はそれ以上の発色団の濃度を有する前記の肌の照明のためにもたらされる推定される光の想定レベルを決定するように動作する画像生成モジュール;
前記推定された光の想定レベルと前記得られた光の測定とを比較することにより、照明レベルの変動のためにもたらされる反射光レベルにおける変動を決定するように動作する形状決定モジュール;及び
前記照明された肌の領域により反射された光の前記第1測定と前記第2測定との間の差と、前記照明された肌の領域の前記表面組織の測定を得るように、照明レベルにおける変動のためにもたらされる反射光レベルにおいて前記決定された変動と、を用いるように動作する組織決定モジュール;
を有する装置。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の装置であって、偏光光により肌の領域を照明するように動作する前記光源は、第1偏光フィルタを介して肌の領域を照明するように動作する光源を有する、装置。
【請求項9】
請求項8に記載の装置であって、前記第1偏光フィルタは、前記光源が前記第1偏光フィルタを介して肌の領域を照明するように動作する第1位置と、前記光源が前記第1偏光フィルタなしで肌の領域を照明するように動作する第2位置との間で移動可能である、装置。
【請求項10】
請求項6乃至9の何れか一項に記載の装置であって、前記検出器は:
第2偏光フィルタを介して肌の照明された領域の画像を得るように動作するディジタルカメラ;
を有する、装置。
【請求項11】
請求項10に記載の装置であって、前記第2偏光フィルタは、前記ディジタルカメラが第2偏光フィルタを介して肌の照明された領域の画像を得るように動作する第1位置と、前記ディジタルカメラが前記第2偏光フィルタなしで肌の照明された領域の画像を得るように動作する第2位置との間で移動可能である、装置。
【請求項12】
請求項10に記載の装置であって、前記第1偏光フィルタ及び第2偏光フィルタの少なくとも一は、他の偏光フィルタによりフィルタリングされる偏光光と同様の極性を有する光をフィルタリングするように動作する第1位置と、他の偏光フィルタによりフィルタリングされる偏光光と同様の極性を有しない光をフィルタリングするように動作する第2位置との間で移動可能である、装置。
【請求項13】
請求項6乃至8の何れか一項に記載の装置であって、前記検出器は、第2偏光フィルタを介して肌の照明された領域の画像を得るように動作するディジタルカメラを有し、前記第2偏光フィルタは、前記光源により生成された前記偏光光と同様の極性を有する光をフィルタリングするように動作する第1位置と、前記光源により生成された前記偏光光と同様の極性を有しない光をフィルタリングするように動作する第2位置との間で移動可能である、装置。
【請求項14】
請求項6乃至9の何れか一項に記載の装置であって、前記検出器は:
肌の照明された領域により反射される光の第1測定を得るように動作する第1検出器であって、前記の光の第1測定は、前記光源が前記の肌の領域を照明するように動作する前記光に対して異なる極性の光である、第1検出器;及び
肌の照明された領域により反射される光の第2測定を得るように動作する第2検出器であって、前記の光の第2測定は、前記の肌の領域を照明するように動作する前記光源による前記光と同様の極性の光を有する、第2検出器;
を有する、装置。
【請求項15】
請求項6乃至14の何れか一項に記載の装置であって、前記肌にある発色団と光の前記相互作用の前記も出るは、ヘモグロビン及びメラニンの1つ又はそれ以上と光の相互作用のモデルを有する、装置。
【請求項16】
コンピュータ解釈可能命令を記憶するコンピュータ読み出し可能媒体であって、プログラム可能コンピュータにより処理されるときに、コンピュータが:
照明レベルの変動のためにもたらされる反射光レベルにおける変動を決定するように、肌にある発色団と光の相互作用のモデルを用いて、得られた光の第1測定を処理し;
前記の照明された肌の領域の表面組織の測定を得るように、肌の照明された領域により反射される光の得られる第1測定と得られた第2測定との間の差と、照明レベルの変動のためにもたらされる反射光レベルにおいて決定された変動とを用いる;
ようにする、コンピュータ解釈可能命令を記憶するコンピュータ読み出し可能媒体。
【請求項17】
請求項16に記載のコンピュータ読み出し可能媒体であって、照明レベルにおける変動のためにもたらされる反射光レベルにおける変動を決定するように、前記肌にある発色団と光の前記相互作用のモデルを用いて、得られた光の第1測定をコンピュータが処理するようにするプログラム可能コンピュータにより処理されるとき、前記コンピュータが:
照明された肌の領域の1つ又はそれ以上の発色団の濃度を決定するように、得られた光の測定を処理し;
前記の決定された1つ又はそれ以上の発色団の濃度を有する肌の前記照明のためにもたらされる推定された光の想定レベルを処理し;そして
前記推定された光の想定レベルと得られた光の測定とを比較することにより、照明レベルの変動のためにもたらされる反射光レベルにおける変動を決定する;
ようにする命令を有する、コンピュータ読み出し可能媒体。
【請求項18】
請求項16又は17に記載のコンピュータ読み出し可能媒体であって、前記肌にある発色団と光の前記相互作用の前記モデルは、ヘモグロビン及びメラニンの1つ又はそれ以上と光の相互作用のモデルを有する、コンピュータ読み出し可能媒体。
【請求項19】
請求項16乃至18の何れか一項に記載のコンピュータ読み出し可能媒体であって、コンピュータディスクを有する、コンピュータ読み出し可能媒体。
【請求項20】
請求項19に記載のコンピュータ読み出し可能媒体であって、磁気ディスク、光ディスク又は光磁気ディスクを有する、コンピュータ読み出し可能媒体。
【請求項21】
請求項16乃至18の何れか一項に記載のコンピュータ読み出し可能媒体であって、通信ネットワークにおいて信号を有する、コンピュータ読み出し可能媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【公開番号】特開2009−11824(P2009−11824A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−158984(P2008−158984)
【出願日】平成20年6月18日(2008.6.18)
【出願人】(508183302)アストロン クリニカ リミテッド (4)
【Fターム(参考)】