説明

肌色補正メークアップ化粧料

【課題】 明度の動きが少なく、皮膚の分光反射スペクトルにおける500〜600nmの窪み形成作用を有する作用を有するメークアップ化粧料用の色材を提供することができる。これにより、化粧した肌の(ADa/ADs)を好ましい範囲である1〜1.2の範囲に補正できる化粧料を提供する。
【解決手段】 長さが、100〜1000μmである、紫色に着色された異形断面繊維であって、前記異形断面の形状が井形である繊維をメークアップ化粧料に含有させる。紫色は赤色104号及び/又は赤色227号による染色によって行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料に関し、更に詳細には、第三者印象を向上するための肌色の補正に好適なメークアップ化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
人の外観印象、取り分け顔の外観印象は、その人を他人が認識する上で大きな影響を与えるものであり、この為良い印象を作ってもらうための努力が種々なされていると言える。その様な努力の一つに化粧行為がある。しかしながら、化粧行為が思うように効果を奏さないことは、化粧類分類の特許出願が非常に多いこと、特に、メークアップ化粧料或いはその素材に関する特許出願が非常に多いことを見れば容易に合点が行く。この大きな原因の一つは、人の皮膚が持っている光学効果と、メークアップ化粧料など、化粧料の持っている光学効果の間に埋めきれない断層が存することであると思われる。これまで、メークアップ化粧料はカバー力と色味と言った評価要素で規定されてきたが、この2つの要素では不充分であることが近年明らかになり、半透明拡散層の効果、色味の多重性等が重要な効果の一つであることが明らかにされてきている。その中の一つに肌の分光反射スペクトルにおける500〜600nmの特徴が存する。即ち、人の肌の分光反射スペクトルでは、500〜600nmにかけてスペクトルの窪みが観察される。この「窪み」とは、長波長側に向かって反射率が上昇していく分光反射曲線において、反射率が急激に低下する領域を指している。(例えば、特許文献1を参照)このスペクトルの窪みは、540nmと578nmに顕著な光の吸収域を持つ血液によって生じることが知られている。人種別に肌の分光反射率を測定したEdwardsとDuntlyは、白色人種ほど窪みが顕著であったことを報告している(例えば、非特許文献1を参照)。またBuckとFloelichは、肌の分光反射特性における人種差、男女差、季節差、年齢差などを報告している(例えば、非特許文献2を参照)。一方、照明業界では、被照射体の色を鮮やかに美しく見せる電球として、580nm近辺の光だけを除いたものが開発されている。又、化粧料に於いては有機の赤色の色素を利用して、この様な分光反射スペクトル上の窪みを化粧料によって形成せしめる試みも為されている。(例えば、特許文献2を参照)しかしながら、この様な手段により、従来に比べれば、第三者の外観印象を向上せしめる化粧技術は開発されたが、充分に満足できるわけではなかった。即ち、この様な窪みを有する分光反射スペクトルの特性を持つ肌色であっても、印象があまり好ましくない例も存することを本発明者らは見出している。即ち、分光反射スペクトルの窪み部だけでは語れない、別因子の存在を暗示するものであった。この点を究明した結果、本発明者らは、前記窪みの面積を明度で補正することにより、より推定値を現実値に近づけうることを見出している。このことは、メークアップ化粧料に於いて、従来の技術のように窪み部を赤色の有機色素で設けるだけでは、明度値を下げてしまい、適切な範囲から外れてしまうことになり、当初の「第三者が美しく見える肌」にはならない場合が存すること意味している。この為、明度値の動きが少なく、500〜600nmの窪み形成作用のある色材の開発が望まれていると言える。
【0003】
一方、井形断面形状を有する異形断面繊維を、肌の肌理を再現せしめ、自然で若々しい肌に見せる目的で化粧料に含有させる技術は既に知られている。(例えば、特許文献3を参照)しかしながら、長さが、100〜1000μmである、紫色に着色された異形断面繊維であって、前記異形断面の形状が井形である繊維を顔の全面に塗布すべきメークアップ化粧料に配合する技術は全く知られていないし、明度の動きが少なく、肌の分光反射スペクトルにおける500〜600nmの窪み形成作用を有する作用をかかる繊維が有していることも全く知られていなかった。
【0004】
【特許文献1】特開平10−17437号公報
【特許文献2】特開平10−101530号公報
【特許文献3】特開2005−132723号公報
【非特許文献1】E.A.Edwards & S.Q.Duntly, "The Pigments and Color of Living Human Skin", Am. J. Anat., 65(1), (1939)
【非特許文献2】G.B.Buck & H.C.Floelich, "Color Characterristics of Human Complexions", Ill.Eng. 43, (1948)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、この様な状況下為されたものであり、明度の動きが少なく、肌の分光反射スペクトルにおける500〜600nmの窪み形成作用を有するメークアップ化粧料用の色材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この様な状況に鑑みて、本発明者らは、明度の動きが少なく、肌の分光反射スペクトルにおける500〜600nmの窪み形成作用を有するメークアップ化粧料用の色材を求めて、鋭意研究を重ねた結果、紫色に着色した井形断面を有する繊維にその様な作用が存することを見出し、発明を完成させるに至った。即ち、本発明は、以下に示す通りである。
(1)長さが、100〜1000μmである、紫色に着色された異形断面繊維であって、前記異形断面の形状が井形である繊維を含有することを特徴とする、顔の全面に塗布すべきメークアップ化粧料。
(2)前記異形断面繊維が、赤色104号及び/又は赤色227号で着色されたナイロン繊維であることを特徴とする、(1)に記載のメークアップ化粧料。
(3)予め複数のパネラーを用い、肌の分光反射スペクトルと明度とを測定し、肌の分光反射スペクトルにおける、500〜600nmにおける窪み部分の窪み面積を計測し、該窪み面積と明度との回帰式を求めておき、化粧料の使用者の肌の分光反射スペクトルと明度(L1)を測定し、化粧料使用者の肌の分光反射スペクトルより計測された500〜600nmにおける窪み部分の窪み面積(ADa)と、予め求められている回帰式にL1の値を代入し求めた回帰式における窪み面積(ADs)との比(ADa/ADs)である値が1〜1.2の範囲になるように、使用者の肌の色を調整するための化粧料であることを特徴とする、(1)又は(2)に記載のメークアップ化粧料。
(4)長さが、100〜1000μmである、紫色に着色された異形断面繊維であって、前記異形断面の形状が井形である繊維を含有することを特徴とする、顔の全面に塗布すべきメークアップ化粧料に配合するための繊維。
(5)メークアップ化粧料の分光反射スペクトルにおける、500〜600nmのスペクトルパターン調整のための(4)に記載の繊維の使用。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、明度の動きが少なく、皮膚の分光反射スペクトルにおける500〜600nmの窪み形成作用を有する作用を有するメークアップ化粧料用の色材を提供することができる。これにより、化粧した肌の(ADa/ADs)を好ましい範囲である1〜1.2の範囲に補正できる化粧料が提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
(1)本発明の化粧料用の異形断面繊維
本発明の化粧料用の異形断面繊維は、長さが、100〜1000μmが好ましく、より好ましくは、200〜500μmである、紫色に着色され、異形断面の断面形状が井形であることを特徴とする。又、断面直径は1〜100μmが好ましく、10〜50μmがより好ましい。配合対象となる化粧料としては、メークアップ化粧料が特に好ましい。この様な異形断面繊維としては、4つの十字型の異形断面ノズルを内部に正方形が出来るように密接して組み合わせて紡糸することにより製造できるが、既に市販されている異形断面繊維に、有機染料で染色して用いることが好ましく例示できる。かかる繊維の素材としては、異形断面の繊維が既に知られているものであれば特段の限定無く使用することが出来、例えば、ナイロン、アクリル、ポリエステル、ポリ塩化ビニル等が好適に例示できる。特に好ましいものはナイロンである。ナイロンとしては6−ナイロンや6,6−ナイロンなどが好ましく例示できる。前記市販品としては、ナイロン繊維である、「マイクロアート」(ユニチカ株式会社製)が好ましく例示できる。このものを紫色に染色するには、赤色104号を用いて、繊維における最終含有量が0.025〜0.2質量%になるように染色するか、乃至は、赤色227号を用いて、繊維における最終含有量が0.05〜0.2質量%になるように染色することが好ましく例示できる。特に好ましくは赤色104号と赤色227号の両方で染色することであり、その好適な範囲は、個々の好適な範囲と一致する。特に好ましいのは、赤色104号と赤色227号とを等量ずつ、0.05〜0.15質量%含有する形態である。この様な構成を取ることにより、少ない含有量でありながら、分光反射スペクトルの500〜600nmの窪みを形成する作用を発現する。ファンデーションのような化粧料剤型でこの効果を維持するためには、化粧料全量に対して1〜30質量%、より好ましくは2〜20質量%含有することが好ましい。この含有量より換算すると、化粧料あたり、0.001〜0.03質量%の有機色素の含有で前記効果を奏するものであり、使用する色材量を減じることが出来る意味で、直接有機色素を含有させるのに比して、着色した繊維を含有させる形態の方が優れていると言える。又、有機色素は繊維上に染着しているため、肌との直接接触の可能性は低く、有機色素で時として問題となる安全性の問題も大きく改善する。
【0009】
又、前記分光反射スペクトルにおける500〜600nmの窪みを形成する色材として、知られているものは、有機色素のみであり、調整のためには0.1〜1質量%含有させなければならず、この様な配合量は明度を著しく減じるため、前記分光反射スペクトルにおける窪みは形成できても、(ADa/ADs)値は改善できない蓋然性が高い。それに反して本発明の繊維は、前記窪み形成に必要な有機色素量が0.001〜0.03質量%と少なくて済むため、明度への影響が殆ど存せず、容易にスペクトルパターンの調整が行える。この為に、分光反射スペクトルにおいて、窪みの存しないメークアップ化粧料に対して、かかる繊維を添加することにより、分光反射スペクトルの形状を改善でき、かかる繊維をメークアップ化粧料の分光反射スペクトルの調整に使用することが出来る。
【0010】
尚、500〜600nmの窪み具合と、明度のバランスを取り、第三者印象の好ましさの指標となる、(ADa/ADs)値は次のように算出することが出来る。
【0011】
予め複数のパネラーを用いて回帰式を作成するにあたって、該回帰式は正常値の指標となるので、選抜するパネラーは、母集団を代表する平均的なパネラーを揃えることも出来るが、第三者印象の好ましい人を選抜することが好ましい。この為には、美容師など、顔印象に接する機会の多い人を面談者として、面談にて予備の選抜を行うことが好ましい。斯くして選抜されたパネラーは、その属性に偏りがないこと確認した上で、肌の分光反射スペクトルを測定する。かかる測定には、通常市販されている分光反射光度計を使用することが出来る。又、同時に補完因子となる明度も算出しておくことが好ましい。明度は、マンセル表色系における明度を使用することも出来るが、L*a*b*表色系を用いることが簡便で好ましい。
【0012】
斯くして得られた分光反射スペクトルより、窪み部の面積を計測するが、窪み部としては、分光反射スペクトルの微分値より、500nm付近と、600nm付近の変曲点を求め、この2つの変曲点を結ぶ直線を描き、分光反射スペクトルと変曲点を結ぶ直線でかっ込まれる部分の面積を計測し、窪み部の面積とすることが原則であり、この様に測定することも出来るが、簡易的に、分光反射スペクトルにおける500nmの点と600nmの点を結ぶ直線と肌の分光反射スペクトルとで囲まれる部分の面積を求めて使用することが出来、この方が簡便で好ましい。即ち、この方法では次に示す式(1)で算出できる。(図1を参照)
【0013】
【数1】

式(1)
(式中、Rは反射率%、R500は500nmにおける反射率%、R600は600nmにおける反射率%を表す。)
【0014】
パネラーの例数を20〜30人使用して、ADの値と、明度値(L*)とを計測し、回帰分析を行い一次回帰式を作成する。充分な例数であれば、この時、相関係数の絶対値が0.7以上で回帰式が得られる。相関係数の絶対値が0.7以上であれば、回帰式はそのまま本発明の鑑別法に使用することが出来る。相関係数の絶対値が0.7未満の場合には、例数を増やし、相関係数を0.7以上になるように調整し、補正することが好ましい。
【0015】
前記の如くに用意された一次回帰式を利用して本発明の鑑別法は為される。即ち、鑑別されるべき被験者の肌の分光反射スペクトル前述の如く測定し、式(1)を用いて、被験者のAD値、即ち、ADa値と明度L*a値を得る。明度L*a値を前記一次回帰式に代入し、一次回帰式におけるLa*値に対応したAD値、即ちADs値を算出する。(ADa/ADs)を求め、この値が1〜1.2の範囲である場合には、第三者印象における好ましい肌の色であると鑑別される。即ち、回帰式を下回らず、回帰式より乖離しないことが好ましい第三者印象を形成する指標となる。
【0016】
(2)本発明の化粧料
本発明の化粧料は、前記本発明の繊維を含有し、メークアップ化粧料であることを特徴とする。本発明の化粧料は、本発明の繊維の前述の効果を利用するものであり、メーク効果を有しながら、自然な仕上がりを提供し、以て、化粧仕上がりの第三者印象を好ましい方向に向上せしめる効果を有する。本発明の化粧料の応用範囲は、メークアップ化粧料に分類されるものであって、本発明の効果の発現部位である、顔の全面に投与されるものであれば特段の限定無く、例えば、アンダーメークアップ、コントロールカラー、ファンデーション、粉白粉、固形白粉、サンケーキ、ツーウェイケーキ、紫外線防護化粧料等が好適に例示できる。又、剤型も特段の限定は受けず、水性分散剤型、油中水或いは水中油乳化剤型、オイルゲル剤型、成型されても良い粉体剤型などが好ましく例示できる。
【0017】
本発明の化粧料には、前記必須成分である、本発明の繊維以外に、通常メークアップ化粧料で使用される任意成分を含有することが出来る。この様な任意成分としては、例えば、マカデミアナッツ油、アボガド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類;流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類;オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類;セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール等;イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン;アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコーン油等の油剤類;脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類;塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類;イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類;ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類;ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、2,4−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等の多価アルコール類;ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類;表面を処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、;表面を処理されていても良い、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛の無機顔料類;表面を処理されていても良い、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類;レーキ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類;ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類;パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤;アントラニル酸系紫外線吸収剤;サリチル酸系紫外線吸収剤、;桂皮酸系紫外線吸収剤、;ベンゾフェノン系紫外線吸収剤;糖系紫外線吸収剤;2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類;エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類;ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6塩酸塩、ビタミンB6トリパルミテート、ビタミンB6ジオクタノエート、ビタミンB2又はその誘導体、ビタミンB12、ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類;α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類等;フェノキシエタノール等の抗菌剤などが好ましく例示できる。前記必須成分と任意成分とを常法に従って処理することにより、本発明のメークアップ化粧料は製造できる。
【0018】
以下に、実施例を挙げて、本発明について更に詳細に説明を加えるが、本発明がかかる実施例にのみ限定されないことは言うまでもない。
【実施例1】
【0019】
「マイクロアート」(ユニチカ株式会社製;20デニール相当)を秤量後、各種濃度の赤色104号、赤色227号の水溶液に12時間浸漬し、しかる後に48時間40℃で送風乾燥した後、500μmの長さに裁断し、次に示す色素の含有量の本発明の繊維を得た。これらの繊維をセルに充填し、分光反射スペクトルを測定した。分光反射スペクトルは図1〜4に示す。これらの繊維の分光反射スペクトルは何れも500〜600nmの窪みを形成していることが判る。窪みの形成具合では、赤色104号0.1質量%と赤色227を0.1質量%含有するものが好ましいことも判る。
【0020】
【表1】

【実施例2】
【0021】
実施例1の繊維15を用いて、下記の処方に従ってオイルゲル剤型のファンデーションを作成した。即ち、ロの成分を良く混合し、ロール掛けして粉体を均一に分散させたペーストを作成し、これをイのゲルに練り込んでオイルゲル剤型のファンデーションDを得た。ファンデーションDの繊維15をセチルイソオクタネートに置換した比較例(Without)も同様に作成した。これらのファンデーションをモデルに塗布し、分光反射スペクトルを計測し、L*を算出した。尚、このモデルの素肌の(ADa/ADs)は0.49であり、L*値は65.3で、顔色の悪い人であった。更に分光反射スペクトルより(ADa/ADs)を求めた。この値のもとになるADs値の算出は、肌の色が好ましいと判定された男女25名の統計データより回帰分析により求めた一次回帰式ADs=9L*−180を用いて算出した。この一次回帰式のもとになった計測データを散布図として図5に示す。ファンデーションDと比較例の分光反射スペクトルと(ADa/ADs)とL*値は図6に示す。これより、本発明の繊維を添加することにより、(ADa/ADs)値において、好ましい範囲から外れていたファンデーションを好ましい(ADa/ADs)値の範囲に調整できることが判る。更に、顔色の悪い、言い換えれば、第三者印象の好ましくない肌を好ましい肌に補正できることも判る。
【0022】
(ファンデーションD)

「シリコーンKSG−16」 59.3質量%
(信越化学株式会社製;(ジメチコン/ビニルメチコン)クロスポリマーのジメチコン溶液)

ルチル型二酸化チタン 11 質量%
黄色酸化鉄 1.7質量%
ベンガラ 0.1質量%
黒色酸化鉄 0.1質量%
セチルイソオクタネート 12.2質量%
δ−トコフェロール 0.1質量%
ソルビタンセスキイソステアレート 0.5質量%
繊維15 15 質量%
【0023】
(比較例)

「シリコーンKSG−16」 74.3質量%
(信越化学株式会社製;(ジメチコン/ビニルメチコン)クロスポリマーのジメチコン溶液)

ルチル型二酸化チタン 11 質量%
黄色酸化鉄 1.7質量%
ベンガラ 0.1質量%
黒色酸化鉄 0.1質量%
セチルイソオクタネート 12.2質量%
δ−トコフェロール 0.1質量%
ソルビタンセスキイソステアレート 0.5質量%
【0024】
前記の試験において、化粧料を塗布した直後に写真を撮影し、この写真を50名の無作為に抽出した被験者に見せ、好ましい肌の色であると思うか、好ましくない肌の色であると思うかを質問し、二者択一で答えてもらった。結果を下記の表2に示す。これより、本発明の化粧料は第三者印象を向上せしめていることが判る。
【0025】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明はメークアップ化粧料に応用できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】実施例1の繊維の分光反射スペクトルを示す図である。
【図2】実施例1の繊維の分光反射スペクトルを示す図である。
【図3】実施例1の繊維の分光反射スペクトルを示す図である。
【図4】実施例1の繊維の分光反射スペクトルを示す図である。
【図5】ADとL*値の散布図を示す図である。
【図6】実施例2の補正効果を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長さが、100〜1000μmである、紫色に着色された異形断面繊維であって、前記異形断面の形状が井形である繊維を含有することを特徴とする、顔の全面に塗布すべきメークアップ化粧料。
【請求項2】
前記異形断面繊維が、赤色104号及び/又は赤色227号で着色されたナイロン繊維であることを特徴とする、請求項1に記載のメークアップ化粧料。
【請求項3】
予め複数のパネラーを用い、肌の分光反射スペクトルと明度とを測定し、肌の分光反射スペクトルにおける、500〜600nmにおける窪み部分の窪み面積を計測し、該窪み面積と明度との回帰式を求めておき、化粧料の使用者の肌の分光反射スペクトルと明度(L1)を測定し、化粧料使用者の肌の分光反射スペクトルより計測された500〜600nmにおける窪み部分の窪み面積(ADa)と、予め求められている回帰式にL1の値を代入し求めた回帰式における窪み面積(ADs)との比(ADa/ADs)である値が1〜1.2の範囲になるように、使用者の肌の色を調整するための化粧料であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のメークアップ化粧料。
【請求項4】
長さが、100〜1000μmである、紫色に着色された異形断面繊維であって、前記異形断面の形状が井形である繊維を含有することを特徴とする、顔の全面に塗布すべきメークアップ化粧料に配合するための繊維。
【請求項5】
メークアップ化粧料の分光反射スペクトルにおける、500〜600nmのスペクトルパターン調整のための請求項4に記載の繊維の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−77098(P2007−77098A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−268853(P2005−268853)
【出願日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(000113470)ポーラ化成工業株式会社 (717)
【Fターム(参考)】