説明

肌質の評価方法

【課題】皮膚角質層に含まれる脂質分子の組成情報に基づいて、肌質を評価する。
【解決手段】皮膚角質層の採取物から調製した脂質試料を液体クロマトグラフ−質量分析法により分離検出し、保持時間と質量数/電荷比とイオン強度の3軸展開による多段マスクロマトグラムで解析することにより脂質分子の組成情報を得、脂質分子の組成情報と肌質とを関連づけ、この関連づけを活用して被験者の肌質を評価する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体クロマトグラフ−質量分析法を用いて得られた、皮膚角質層中の脂質分子、特にセラミド分子の種類や量などの組成情報に基づいて、肌質を評価する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、機器計測により肌質を評価する方法としては、皮膚角質層中のインターロイキン及びインターロイキン1レセプターアンタゴニストの存在量を指標とする方法(特許文献1)や、皮膚角質層中の神経成長因子(NGF)や神経栄養因子(NT−4)の存在量を指標とする方法が知られている(特許文献2)。
【0003】
一方、皮膚角質層の脂質は肌のバリアー機能や保水機能に関与することが知られており、肌質に大きな影響を与える成分であることがわかっている。なお、ここで脂質とは、長鎖脂肪酸あるいは炭化水素鎖を有する生物由来の分子をいい、脂肪酸、グリセリド、ワックスエステル、スフィンゴ脂質、リン脂質、コレステロール等が含まれる。中でも、スフィンゴ脂質の一種であるセラミドは、これらの機能に大きく関与する脂質であり、ある種のセラミドの低減は、アトピー性皮膚炎等の肌トラブルと関連のあることがわかっている。従って、皮膚角質層の脂質、特にセラミドを詳細に解析し、種類や量の組成情報を得ることができれば、肌質を正確に評価することが可能になるものと期待される。
【0004】
生体試料に含まれる脂質の解析方法としては、従来からシリカゲルプレートを利用した薄層クロマトグラフ法が多用されてきた。薄層クロマトグラフを用いた脂質の解析法によれば、脂質をクラス別あるいはタイプ別に解析することが可能であるが、脂質分子別の情報を得ることは困難であった。近年、この薄層クロマトグラフ法の欠点を克服した方法として、脂質を順相液体クロマトグラフで分離し、それをエレクトロスプレーイオン化法(ESI)でイオン化し、さらに質量分析装置で検出して、脂質分子の化学構造を同定する手法が報告されている(特許文献3)。
【0005】
【特許文献1】特開平10−216106号公報
【特許文献2】特開2004−28698号公報
【特許文献3】特開2003−28849号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献3の手法では、トータルイオンクロマトグラム(TIC)上の任意のピークのマススペクトルを解析して脂質の化学構造を同定するため、皮膚角質層中に含まれる種々の脂質分子、特にセラミド分子を網羅的に解析することは困難であり、かつ微量成分の存在も認知され難いため、皮膚角質層中の脂質分子、特にセラミド分子を詳細に解析することにより肌質を正確に評価する方法としては利用できない。
【0007】
このような課題に対し、本発明は、皮膚角質層に含まれる脂質分子、特にセラミド分子を網羅的に解析し、微量成分まで認知できるようにし、その結果得られたセラミド分子の種類や量などの組成情報に基づいて、肌質を評価する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、皮膚角質層の採取試料から調製した脂質試料を液体クロマトグラフで分離し、質量分析装置でイオン化して検出し、質量分析装置から出力されるデータを、保持時間と質量数/電荷(m/z)とイオン強度の3軸に展開した多段マスクロマトグラムにより解析すると、皮膚角質層に含まれる脂質分子、特にセラミド分子を網羅的に解析し、かつ微量成分まで認知でき、さらに、こうして得られる脂質分子の組成情報と肌質とを関連づけておくと、その関連づけに基づいて被験者の肌質を評価できることを見出した。
【0009】
即ち、本発明は、皮膚角質層の採取物から調製した脂質試料を、液体クロマトグラフ−質量分析法で分離検出し、その検出データを多段マスクロマトグラムで解析することにより脂質分子の組成情報を得、得られた脂質分子の組成情報と肌質とを関連づけ、
被験者の皮膚角質層の採取物から調製した脂質試料を液体クロマトグラフ−質量分析法で分離検出し、その検出データを多段マスクロマトグラムで解析することにより、皮膚角質層に含まれる脂質分子の組成情報を求め、得られた脂質分子の組成情報から、前記関連づけに基づき、被験者の肌質を評価する肌質評価方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の肌質評価方法によれば、微量成分を含めて皮膚角質層中の脂質分子を網羅的に解析して得られる脂質分子、特にセラミド分子の組成情報に基づいて肌質を評価するので、肌質を適確に評価することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、本発明を詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明の肌質評価方法で使用する、セラミド分子の解析システムの一例のブロック図である。このシステム1は、液体クロマトグラフ10、イオン化促進液送液装置20、質量分析装置30及び演算装置40からなっている。
【0013】
液体クロマトグラフ10は、2種の溶離液a、bを送液する高圧グラジエントポンプ11a、11b、脂質試料溶液dを導入するオートインジェクター12、ガードカラム13及び分離カラム14を備えている。
【0014】
ここで、脂質試料溶液dとしては、皮膚角質層の採取物から抽出等により調製したセラミドを含む試料溶液を使用する。
【0015】
皮膚角質層の採取方法としては、被験者に対する危険性が低く、負担が少ない方法が好ましい。このような採取方法としては、例えば、テープによる剥離方法(テープストリッピング法)を挙げることができる。
【0016】
テープで剥離した皮膚角質層の採取物から、セラミドを含む脂質試料溶液dを調製する方法としては、セラミドの溶解性が高く、かつテープが溶解し難い溶媒を用いて、採取物からセラミドを抽出することが好ましい。このような溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等をあげることができる。
【0017】
一方、溶離液a、bとしては、これらが良好に混合し、セラミドを適度に保持してタイプ別に分離することが可能であり、不揮発性の酸や塩を高濃度に含まないものが好ましい。溶離液a、bの組み合わせ例としては、例えば、溶離液aをヘキサン/イソプロパノールの混合液とし、溶離液bをヘキサン/イソプロパノール/水の混合液とすることができる。
【0018】
ガードカラム13は、分離カラム14の保護のために必要に応じて設けられるもので、分離カラム14と同一の充填剤が充填される。ガードカラム13及び分離カラム14の充填剤としては、例えば、シリカゲル、又はジオール基、CN基、NH基を結合したシリカゲル等の高極性カラムを用いることができる。
【0019】
液体クロマトグラフ10を以上のように構成することにより、セラミドを含む脂質を、極性の違いに基づいて分離することができる。
【0020】
質量分析装置30は、イオン化装置31と質量分離検出装置32からなる。
【0021】
イオン化装置31でのイオン化の方法としては、感度の点からエレクトロスプレーイオン化法(ESI)が好ましいが、この他、大気圧化学イオン化法(APCI)や大気圧光イオン化法(APPI)等も用いることもできる。
【0022】
質量分離検出装置32は、イオン化装置31で生成したイオンを、m/zごとに分離し、検出する。質量分離検出装置32としては、四重極(Q)型質量分析計、イオントラップ(IT)型質量分析計等の質量分析計、Q−TOF型、IT−TOF型等のハイブリッド型質量分析計、あるいはトリプル四重極型等のタンデム質量分析計(MS/MS)を用いることができる。
【0023】
イオン化促進液送液装置20は、イオン化促進液cを送液するためのポンプ21と、分離カラム14からの溶離液と混合するためのティーコネクター22を備えている。
【0024】
イオン化促進液cは、ティーコネクターを介して、分離カラム14からの溶離液と混合される。混合された溶液はイオン化装置31に送られ、イオン化される。
【0025】
なお、イオン化促進液cは、ヘキサンのような低極性溶媒を溶離液として用いた場合に、ESIで十分なイオン化効率が得られ難いのを改善するために用いられる。イオン化促進液cとしては、溶離液と良好に混合し、溶離液をイオン化させるのに適した表面張力、粘性、イオン生成能、溶媒和力等の性質を有するものを適宜選択する。例えば、ヘキサンを溶離液とした場合に、イオン化促進液cとしては、イソプロパノール、エタノール、メタノール等の極性溶媒が使用される。
【0026】
イオン化促進液cには、正イオンモードで[M+H]や[M+H−H2O]が高感度に検出され、負イオンモードで[M−H]や[M+HCOO] が高感度に検出されるように、ギ酸アンモニウム、酢酸アンモニウム等の塩を添加することができる。この他、イオン化促進液cには、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸等の揮発性の酸を添加してもよい。
【0027】
なお、以上の液体クロマトグラフ10及び質量分析装置30としては、これらが一体になった市販の液体クロマトグラフ−質量分析装置を使用することができる。
【0028】
演算装置40は、液体クロマトグラフ10における保持時間と、質量分析装置30で検出されたm/z及びイオン強度を、3軸に展開して多段マスクロマトグラムを形成する演算手段を有する。
【0029】
本発明の肌質評価方法では、質量分析装置30で検出した全てのデータを、保持時間とm/zとイオン強度の3軸に展開した、図2に示すような多段マスクロマトグラムを形成する。
【0030】
多段マスクロマトグラムの形成により、全てのセラミド分子を網羅的に捉えることが可能となり、同属体や微量成分の認知が容易になるので、保持時間とm/zの情報から、個々のセラミド分子を容易に同定することが可能となる。
【0031】
さらに、本発明の肌質評価方法では、セラミド分子の化学構造を同定するため、予め、複数のセラミド分子について、保持時間とm/zを対応させたデータベースを構築しておくことが好ましい。このデータベースに基づいて、任意の脂質試料の多段マスクロマトグラムから該脂質試料に含まれるセラミド分子を迅速に同定することが可能となる。
【0032】
また、本発明の肌質評価方法では、質量分析装置30にて選択イオンモニタリング法を行うことにより、複数の特定セラミド分子を高感度に検出することもできる。選択イオンモニタリング法による検出データについても、図2と同様な多段マスクロマトグラムを形成することができ、複数の特定セラミド分子を網羅的に捉えることが可能となる。
【0033】
図2は、実際に皮膚角質層の採取物から調製した脂質試料を上述のシステム1で解析した多段マスクロマトグラムの一例である。同図に示すように、この多段マスクロマトグラムによれば、脂質試料溶液dに11タイプのセラミドが含まれており、さらに、これらのセラミドの炭素数が異なる同属体も判別でき、脂質試料溶液dに含まれる種々のセラミド分子を網羅的に同定できることがわかる。なお、同図は正イオンモードにおける測定結果のみを示しているが、セラミドのタイプによって観測されるイオン種が異なり、[M+H]が観測されやすいものと、[M+H−H2O]が観測されやすいものとが存在するため、負イオンモードにおける測定結果も合わせて解析することが好ましい。
【0034】
セラミドの解析においては、各セラミド分子のピーク面積を比較するだけでも定量的な取り扱いが可能であるが、より正確に定量的な取り扱いをするために、脂質試料溶液dに内部標準物質を添加し、内部標準物質のピーク面積に対する各セラミド分子のピーク面積比を求めることが好ましい。より好ましくは、全セラミド分子の標準品を準備して、その絶対検量線から絶対量を算出することである。内部標準物質を用いる場合、皮膚角質層中にほとんど存在しないセラミド分子を用いることが好ましく、例えば、N−heptadecanoyl−D−erythro−sphingosineを使用する。
【0035】
なお、各セラミド分子の相対量を求める際には、剥離された角質層の面積、角質層の重量、タンパク量、細胞数等を測定し、これらのいずれかの値で除することにより、規格化することが好ましい。
【0036】
本発明の肌質評価方法では、以上のようにして解析される脂質試料中のセラミド分子の種類や量等の組成情報を、脂質試料の元となった被験者の肌質(普通肌、乾燥肌、脂性肌等)と関連づけておく。そして、評価対象となる被験者について、脂質試料中のセラミド分子の組成情報を同様の解析方法で求め、得られた組成情報から前記関連づけに基づいて当該被験者の肌質を評価する。
【0037】
本発明の肌質評価方法では、セラミド以外の脂質も同時に解析し、前記と同様に関連づけ、それに基づいて肌質を評価してもよい。例えば、セラミドを含むスフィンゴ脂質標準品の混合試料は、正イオンモードにおいて、図3に示す多段マスクロマトグラムのように解析される。図中、A〜Dはセラミド、EとFは糖セラミド、H〜Jはスフィンゴイド、Jはスフィンゴミエリンである。
【0038】
さらに、本発明の肌質評価方法では、使用する関連づけにおいて、皮膚角質層に含まれる脂質分子の網羅的な組成情報に加えて、皮膚の性状(経皮水分蒸散量、水分量、外観等)も参照できるようにすることが好ましい。これにより、肌質をより正確に評価することが可能となる。
【実施例】
【0039】
以下、実施例及び比較例により、本発明をさらに具体的に説明する。
【0040】
実施例
(1)皮膚角質層の採取
普通肌(経皮水分蒸散量が10μg/cm/hr以下)、及び、乾燥肌(経皮水分蒸散量が30μg/cm/hr以上)の被験者の前腕屈側部にテープを押し付け、角質層を剥離した。それぞれのテープを半分に切り分け、一方をセラミド分子の解析に供し、もう一方をタンパクの定量(BCA Protein Assay)に供した。
【0041】
(2)脂質分子の抽出
(1)で角質層を採取したテープに、N−heptadecanoyl−D−erythro−sphingosineを含むメタノールを加え、超音波を照射することにより脂質を抽出した。
【0042】
(3)セラミドの粗分画と試料溶液の調製
(2)のメタノール抽出液を窒素気流下で乾固し、これにクロロホルム/メタノール=99.5/0.5(v/v)を加えて溶解し、固相抽出用シリカゲルカートリッジに適用した。クロロホルム/メタノール=99.5/0.5(v/v)を十分に適用した後、クロロホルム/メタノール=95/5(v/v)を適用し、その溶出液を得た。
この溶出液を窒素気流下で乾固した後、ヘキサン/イソプロパノール/ギ酸=95/5/0.1(v/v/v)を加えて溶解し、試料溶液とした。
【0043】
(4)セラミドの分析条件
(4−1)液体クロマトグラフ−質量分析装置
液体クロマトグラフと質量分析装置が一体になった分析システムとして、横河アナリティカルシステムズ社、アジレント 1100シリーズ LC/MSDを使用した。
【0044】
(4−2)カラム、分離条件
カラム及び分離条件は次の通りとした。
分離カラム:ジーエルサイエンス社、Inertsil SIL 100A−3、1.5mmφ×150mm(3μm)
ガードカラム:ジーエルサイエンス社、Inertsil SIL 100A−3、1.5mmφ×10mm(3μm)
溶離液a:ヘキサン/イソプロパノール/ギ酸=95/5/0.1(v/v/v)
溶離液b:ヘキサン/イソプロパノール/50mmol/Lギ酸アンモニウム水溶液=25/65/10(v/v/v)
グラジエント条件:表1
【0045】
【表1】

【0046】
(4−3)イオン化促進液
次のイオン化促進液を使用した。
イオン化促進液:イソプロパノール/5mmol/Lギ酸アンモニウムメタノール溶液=50/50(v/v)
イオン化促進液流速:0.1mL/分
【0047】
(4−4)質量分析装置における分析条件
イオン化法:ESI
極性:正イオン
測定質量範囲:250〜1500
フラグメンター電圧:150V
Vcap電圧:3500V
ネブライザー圧力:20psig
乾燥ガス温度:300℃
乾燥ガス流量:8L/分
【0048】
(5)データ解析
得られたデータを、保持時間とm/zとイオン強度の3軸を有する多段マスクロマトグラムに展開した。その後、保持時間とm/zの情報からなるセラミド分子のデータベースを利用して各ピークを同定した。そして、各セラミド分子のピーク面積を求め、内部標準物質に対するピーク面積比を算出し、さらにタンパク量で除することにより、単位タンパク量当たりの各セラミド分子の相対量を算出した。
【0049】
図4に、普通肌の代表的な多段マスクロマトグラムを示し、図5に乾燥肌の代表的な多段マスクロマトグラムを示す。普通肌においては、図4に示すように、10タイプのセラミドを検出することができた。一方、乾燥肌においても、図5に示すように、10タイプのセラミドが検出されたが、そのプロファイルは普通肌(図4)と異なっていた。
【0050】
図6に、セラミドのタイプ別の相対量を示す。同図の結果から、普通肌と乾燥肌のセラミドのタイプ組成は大きく異なることが明確となった。
【0051】
図7に、セラミドNSの総炭素数(鎖長)別の相対量を示す。同図の結果から、乾燥肌では、総炭素数の大きい(鎖長の長い)セラミド分子が少なく、総炭素数の小さい(鎖長の短い)セラミド分子が多いことが明確となった。なお、図7と同様の傾向は、セラミドNDS、NH、ASでも認められた。
【0052】
比較例
実施例1で得られたデータを、公知のTICを用いた方法により表示したものを図8に示す。図8において、セラミドの溶出時間帯は5分から20分であるが、TICにおいて、保持時間に基づいてセラミドのピークを特定することが困難であることは明白であった。
【0053】
また、図9に、セラミドが溶出する5分から20分の保持時間帯の平均マススペクトルを示すが、極めて複雑なマススペクトルであるが故に、個々のセラミド分子を特定することが困難であり、微量のセラミド分子を定量することも困難であることは明白であった。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明の肌質評価方法は、皮膚角質層中の脂質分子、特に、セラミド分子の組成情報に基づき、個人毎の肌質を評価できるため、個人の特性に応じた化粧品を選定する上で、また肌質改善の化粧品を開発していく上で、有効に利用していくことができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】皮膚角質層中の脂質の解析に使用するシステムのブロック図である。
【図2】皮膚角質層に含まれるセラミドの多段マスクロマトグラムの一例である。
【図3】セラミドを含むスフィンゴ脂質標準品の混合試料の多段マスクロマトグラムである。
【図4】実施例による普通肌のセラミドの多段マスクロマトグラムである。
【図5】実施例による乾燥肌のセラミドの多段マスクロマトグラムである。
【図6】セラミドのタイプ別の相対量のグラフである。
【図7】セラミドNSの総炭素数(鎖長)別の相対量のグラフである。
【図8】TICとして表示した実施例1のデータである。
【図9】図8においてセラミドが溶出する保持時間帯(5〜20分)の平均マススペクトルである。
【符号の説明】
【0056】
1 皮膚角質層中の脂質の解析を実施するシステム
10 液体クロマトグラフ
11a、11b 高圧グラジエントポンプ
12 オートインジェクター
13 ガードカラム
14 分離カラム
20 イオン化促進液送液装置
21 ポンプ
22 ティーコネクター
30 質量分析装置
31 イオン化装置
32 質量分離検出装置
40 演算装置
a、b 溶離液
c イオン化促進液
d 脂質試料溶液

EOS:N−(ω−OH−acyl)acyl−sphingosine
EOP:N−(ω−OH−acyl)acyl−pytosphingosine
EOH:N−(ω−OH−acyl)acyl−6−OH−sphingosine
NDS:N−acyl−dihydrosphingosine
NS:N−acyl−sphingosine
NP:N−acyl−pytosphingosine
NH:N−acyl−6−OH−sphingosine
ADS:N−(α−OH−acyl)−dihydrosphingosine
AS:N−(α−OH−acyl)−sphingosine
AP:N−(α−OH−acyl)−pytosphingosine
AH:N−(α−OH−acyl)−6−OH−sphingosine

【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚角質層の採取物から調製した脂質試料を、液体クロマトグラフ−質量分析法で分離検出し、その検出データを多段マスクロマトグラムで解析することにより脂質分子の組成情報を得、得られた脂質分子の組成情報と肌質とを関連づけ、
被験者の皮膚角質層の採取物から調製した脂質試料を液体クロマトグラフ−質量分析法で分離検出し、その検出データを多段マスクロマトグラムで解析することにより、皮膚角質層に含まれる脂質分子の組成情報を求め、得られた脂質分子の組成情報から、前記関連づけに基づき、被験者の肌質を評価する肌質評価方法。
【請求項2】
脂質分子がスフィンゴ脂質分子である請求項1の記載の肌質評価方法。
【請求項3】
スフィンゴ脂質分子がセラミド分子である請求項2記載の肌質評価方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−108060(P2007−108060A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−300251(P2005−300251)
【出願日】平成17年10月14日(2005.10.14)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】