説明

肝斑判断支援システム

【課題】肝斑治療薬の購入検討者が、自身の顔の撮像データを送信することにより、顔のシミが肝斑であるか否かを適切に判断することができる肝斑判断支援システムを提供する。
【解決手段】利用者の端末電話30から、通信ネットワーク1を経由して送信される利用者の左横顔及び右横顔のカラーの撮像データを受信する撮像データ受信部12と、利用者の左横顔及び右横顔の撮像データが登録される利用者データベース13とを有する運用サーバ10と、運用サーバ10から受信した利用者の左横顔及び右横顔の撮像データにより、利用者の左横顔及び右横顔のカラー画像をディスプレイ23に表示する画像表示部22と、肝斑の判断結果が入力される肝斑判断結果入力部25と、肝斑の判断結果を示すEメールを利用者の携帯電話に送信する肝斑判断結果データ送信部26とを有する医療機関端末20とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肝斑治療薬の購入検討者による肝斑の判断を支援するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、皮膚疾患解析センタ装置が、利用者の端末から送信される患部の撮像データを通信ネットワークを介して受信し、受信した撮像データによる画像と、予めデータ格納部に格納された患部写真/疾患名予測の対応データによる患部写真とを対比解析して、両写真の類似性から疾患名を予測するようにした皮膚疾患解析システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記皮膚疾患解析システムにおいて、皮膚疾患解析センタ装置は、予測した疾患名を予めデータ格納部に格納された疾患名/対処方法の対応データに適用して、予測した疾患の対処方法を読出し、予測した疾患名とその対処方法のデータを、利用者の端末に送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−58398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
皮膚疾患の症状は様々であり、患部の写真から皮膚疾患名を適切に予測して、その皮膚疾患用の治療薬を服用する必要がある。
【0006】
例えば、主に女性の顔面に現れるシミの一種である肝斑について、近年、肝斑の治療に特化した肝斑治療薬が販売されており、この肝斑治療薬の服用により肝斑によるシミを改善することができる。しかし、肝斑以外のシミ(雀卵斑(ソバカス),日光黒子(老人性色素斑),太田母斑等)がある人が、自身のシミが肝斑であると誤認して肝斑治療薬を服用しても、期待したようなシミの改善が得られず、失望感を与えてしまう。
【0007】
そこで、本発明は、肝斑治療薬の購入検討者が、自身の顔の撮像データを送信することにより、顔のシミが肝斑であるか否かを適切に判断することができる肝斑判断支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記目的を達成するためになされたものであり、利用者の端末から、通信ネットワークを経由して送信される利用者の左横顔及び右横顔のカラーの撮像データを受信する撮像データ受信部と、前記左横顔及び右横顔の撮像データにより、利用者の左横顔及び右横顔のカラー画像を表示する画像表示部と、前記左横顔及び右横顔の撮像データに基づく、利用者の顔のシミが肝斑であるか否かの判断結果が入力される肝斑判断結果入力部と、前記判断結果を示す肝斑判断結果データを、通信ネットワークを経由して利用者の端末に送信する肝斑判断結果データ送信部とを備えたことを特徴とする(第1発明)。
【0009】
肝斑は、主として女性の顔面の左右対称の位置に生じる点において、他の種類のシミとは大きく異なる。そして、本願発明者らは、各種検討をした結果、利用者の顔の画像から肝斑によるシミを認識するときに、顔の正面の画像を用いるよりも、左横顔及び右横顔の画像を用いた方が、顔の左側面及び右側面の全体についてシミの位置を認識することができるため、肝斑によるシミの認識が容易になることを知見した。
【0010】
そこで、前記画像表示部は、利用者の端末から送信された左横顔及び右横顔の撮像データにより利用者の左横顔及び右横顔の画像を表示し、皮膚科医等の専門家がこれらの画像を観察することによって、利用者の顔のシミが肝斑であるか否かを診断できるようにしている。そして、前記肝斑判断結果入力部に入力された利用者の顔のシミが肝斑であるか否かの判断結果について、この判断結果を示すデータが、前記肝斑判断結果データ送信部により利用者の端末に送信されるため、利用者は、自身の端末で受信した該肝斑判断結果データの内容を確認することにより、自身の顔のシミが肝斑であるか否かを適切に判断することができる。
【0011】
また、第1発明において、利用者の端末から送信される肝斑判断依頼データを、通信ネットワークを経由して受信したときに、利用者の左横顔及び右横顔の撮像データの送信を指示する顔画像送信指示データを、通信ネットワークを経由して利用者の端末に送信する顔画像要求部を備え、前記撮像データ受信部は、前記顔画像送信指示データの受信に応じて、利用者の端末装置から送信される利用者の左横顔及び右横顔の撮像データを、通信ネットワークを経由して受信することを特徴とする(第2発明)。
【0012】
第2発明によれば、前記顔画像要求部により、利用者の端末に対して、利用者の左横顔及び右横顔の撮像データの送信を指示する前記顔画像送信指示データを送信することによって、利用者に左横顔及び右横顔の撮像データの送信を促して、前記画像表示部による利用者の左横顔及び右横顔の画像の表示を可能とすることができる。
【0013】
また、第2発明において、前記顔画像要求部は、正面からの角度が35度〜55度の範囲内の左横顔及び右横顔の撮像データの送信を指示する前記顔画像送信指示データを、通信ネットワークを経由して利用者の端末に送信することが好ましい(第3発明)。
【0014】
また、第2発明又は第3発明において、前記顔画像要求部は、少なくとも目から下の部分を含む左横顔及び右横顔の撮像データの送信を指示する前記顔画像送信指示データを、通信ネットワークを経由して利用者の端末に送信するが好ましい(第4発明)。
【0015】
第3発明及び第4発明によれば、肝斑によるシミが生じやすい顔の部分を含む左横顔及び右横顔の撮像データの送信を、利用者に促すことができる。
【0016】
また、第1発明から第4発明のうちのいずれかにおいて、前記顔画像要求部は、前記顔画像送信指示データと共に、利用者の左横顔及び右横顔を撮像するときの要望条件を示す撮像条件指示データを、通信ネットワークを経由して利用者の端末に送信することが好ましい(第5発明)。
【0017】
第5発明によれば、適切な撮像条件下での左横顔及び右横顔の撮像を利用者に促して、より鮮明な左横顔及び右横顔の撮像データを利用者の端末から送信させることができる。
【0018】
また、第2発明から第5発明のうちのいずれかにおいて、前記顔画像要求部は、前記撮像データ受信部が受信した利用者の左横顔及び右横顔の撮像データが、所定の必要条件を満たしていないときに、利用者の左横顔及び右横顔の撮像データの再送信を指示する顔画像再送信指示データを、通信ネットワークを経由して利用者の端末に送信することが好ましい(第6発明)。
【0019】
第6発明によれば、前記必要条件を満たす利用者の左横顔及び右横顔の撮像データを、利用者に促すことができる。
【0020】
また、第1発明から第6発明のうちのいずれかにおいて、前記撮像データ受信部により受信した利用者の左横顔及び右横顔のカラー画像から、所定の判定範囲内の色情報を有する特定色領域を抽出し、利用者の左横顔のカラー画像から抽出した第1の特定色領域と、利用者の右横顔のカラー画像から抽出した第2の特定色領域の位置の対称性に基づいて、利用者の顔のシミが肝斑によるものであるか否かを判断し、この判断結果を前記肝斑判断結果入力部に入力する画像処理部を備えることが好ましい。(第7発明)
【0021】
第7発明によれば、前記画像処理部により、利用者の顔の左右の位置の対称性を有する特定色の領域を、肝斑によるシミであると容易に判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の肝斑判断支援システムの構成図。
【図2】利用者の端末から運用サーバに、利用者の顔の撮像データをアップロードする処理の説明図。
【図3】利用者の顔の撮像範囲を示した説明図。
【図4】運用サーバから医療機関端末に、利用者の顔の撮像データをダウンロードする処理の説明図。
【図5】医療機関端末に表示される肝斑の判断用画面の説明図。
【図6】画像処理により肝斑判断の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施形態について、図1〜図6を参照して説明する。図1を参照して、本実施形態の肝斑判断支援システムは、インターネット等の通信ネットワーク1に接続された運用サーバ10及び医療機関端末20により構成され、利用者の携帯電話30(本発明の利用者の端末に相当する)から送信される利用者の顔の撮像データを用いて、利用者の顔のシミが肝斑であるか否かの判断を支援する「肝斑判断支援サービス」を提供する。
【0024】
ここで、運用サーバ10及び医療機関端末20は、上記「肝斑判断支援サービス」を提供するためのコンピュータプログラムを、運用サーバ10及び医療機関端末20を構成するコンピュータ上で実行することにより、「肝斑判断支援システム」として機能する。
【0025】
運用サーバ10は、通信ネットワーク1を経由して、利用者の携帯電話30及び医療機関端末20との間でデータ通信を行う。運用サーバ10はコンピュータ(図示しない)を用いて構成されており、このコンピュータに肝斑判断支援用のプログラムを実行させることによって、運用サーバ10は、利用者の携帯電話30に対して、利用者の顔の撮像データの送信を要求する顔画像要求部11、及び利用者の携帯電話30から送信される利用者の顔の撮像データを受信して、利用者データベース13に登録する撮像データ受信部12として機能する。
【0026】
医療機関端末20は、医療機関等において皮膚科医等の皮膚医療の専門家(以下、皮膚科医等という)が使用するコンピュータであり、このコンピュータに肝斑判断支援用のプログラムを実行させることによって、医療機関端末20は、運用サーバ10から利用者の顔の撮像データを受信する撮像データ受信部21、利用者の顔の画像をディスプレイ23に表示する画像表示部22、利用者の顔の撮像データに対する画像処理を行って肝斑を判断する画像処理部24、皮膚科医等による肝斑の判断結果と画像処理部24による肝斑の判断結果が入力される肝斑判断結果入力部25、及び肝斑の判断結果を示すデータを運用サーバ10に送信する肝斑判断結果データ送信部26として機能する。
【0027】
利用者が所持する携帯電話30はカラーカメラ機能を有し、利用者はこのカメラ機能により自身の顔を撮像して、カラーの撮像データを運用サーバ10に送信する。
【0028】
[第1実施形態]
図2〜図5を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。先ず、図2を参照して、利用者側の対応について説明する。運用サーバ10により提供されている「肝斑判断支援サービス」の利用者は、STEP1で携帯電話30から運用サーバ10のウェブサイトにアクセスする。このアクセスに応じて、運用サーバ10の顔画像要求部11は、STEP10で「肝斑判断支援サービス」の案内ページのデータを携帯電話30に送信する。
【0029】
ここで、「肝斑判断支援サービス」の案内ページは、利用者の顔の撮像範囲及び撮像条件等を表示するものであり、撮像範囲としては、図3(a)に示したように、利用者の左横顔50及び右横顔51と、顔の正面52という3パターンの画像の撮像を指示する。
【0030】
また、左横顔及び右横顔については、図3(b)に示したように、利用者の顔60の正面方向D1からの左方向D3の角度θ1、及び右方向D2の角度θ2が、35度〜55度(45度が最良)となる位置で撮像することを指示する。さらに、上下方向については、図3(c)に示したように、利用者の顔61の水平方向D4からの上方向D5の角度θ3、及び下方向D6の角度θ4が、0度〜15度(0度が最良)となる位置で撮像することを指示する。
【0031】
さらに、撮像範囲として、好ましくは顔全体、少なくとも目から下の部分を含むように、顔を撮像することを指示する。なお、「肝斑判断支援サービス」の案内ページのデータ中、このように左横顔及び右横顔の撮像を指示するデータが、本発明の顔画像送信指示データに相当する。
【0032】
また、撮像条件としては、照明(蛍光灯が望ましい)、撮像場所(室内が望ましい)、照明位置(天井設置が望ましい)、顔から携帯電話のカメラレンズまでの距離(50cm〜100cm、50cmが最適)、撮像画素数(300万画素以上)等が指示される。なお、「肝斑判断支援サービス」の案内ページのデータ中、このように撮像条件を指示するデータが、本発明の撮像条件指示データに相当する。
【0033】
「肝斑判断支援サービス」の案内ページを閲覧した利用者は、指示された撮像条件の下で、自身の顔の左横及び右横と正面の位置で携帯電話30を撮像操作する。これにより、携帯カメラ30は、STEP2で、利用者の左横顔及び右横顔と顔の正面を内蔵カメラにより撮像する。
【0034】
そして、利用者は、撮像した自身の左横顔及び右横顔と顔の正面の撮像データを添付したEメールの送信操作をし、携帯電話30は、この操作に応じて、STEP3で撮像データを添付したEメールを運用サーバ10に送信する。
【0035】
運用サーバ10の撮像データ受信部12は、STEP11で、利用者の携帯電話30から送信されたEメールを受信し、添付された撮像データが、必要条件(少なくとも左横顔及び右横顔の撮像データを含む、フォーカスが所定レベル以上、コントラストが所定レベル以上、明度が所定レベル以上等)を満たしているか否かを判断する。
【0036】
そして、撮像データ受信部12は、Eメールに添付された撮像データが前記必要条件を満たしていたときは、STEP12で、撮像データを利用者データベース13に登録して保持する。一方、Eメールに添付された撮像データが必要条件を満たしていなかったときには、STEP20で、顔画像要求部11が、撮像データの再送信を要求するEメールを利用者の携帯電話30に送信して、利用者に顔を撮り直して撮像データを再送信することを指示する。なお、このように、撮像データの再送信を要求するEメールのデータが、本発明の顔画像再送信指示データに相当する。
【0037】
次に、図4を参照して、皮膚科医等の側の対応について説明する。「肝斑判断支援サービス」に協力する皮膚科医等は、医療機関端末20により「肝斑判断支援サービス」のウェブサイトの閲覧操作をし、医療機関端末20は、STEP50で、この操作に応じて運用サーバ10にアクセスする。
【0038】
運用サーバ10は、医療機関端末20からのアクセスに応じて、利用者リストのデータを含むウェブページのデータを医療機関端末20に送信する。このウェブページのデータを受信した医療機関端末20は、ディスプレイ23に、図5に示した閲覧画面70を表示する。
【0039】
皮膚科医等は、閲覧画面70の利用者リスト71の中から、判定待ちとなっている利用者を選択する操作(「次患者」ボタン83,「前患者」ボタン84の操作等)をし、この選択操作に応じて、医療機関端末20は、STEP51で、選択された利用者の選択指示データを運用サーバ10に送信する。
【0040】
医療機関端末20から送信された選択指示データを受信した運用サーバ10は、STEP16で、選択された利用者の顔の撮像データを利用者データベースから抽出して、医療機関端末20に送信する。
【0041】
医療機関端末20の撮像データ受信部21は、運用サーバ10から送信された利用者の顔の撮像データを受信し、画像表示部22は、STEP52で、この撮像データにより、利用者の左横顔の画像72、右横顔の画像73、及び顔の正面の画像74を、ディスプレイ23に表示する。
【0042】
皮膚科医等は、ディスプレイ23に表示された利用者の左横顔の画像72、右横顔の画像73、及び正面の画像74を観察して、肝斑の特徴(褐色のシミが左横顔と右横顔の対称な位置に現れている(左右対称性)等)の有無により、利用者の顔のシミが肝斑であるか否かを診断する。
【0043】
そして、皮膚科医等は、診断結果に応じて、ディスプレイ23に表示されている、「肝斑の可能性が高い」ボタン80、「肝斑の可能性が低い」ボタン81、及び「診断不能」ボタン82のうちのいずれかを選択し、「決定」ボタン85を操作する。この操作に応じて、STEP53で、医療機関端末20の肝斑判断結果入力部25に、診断結果(肝斑の可能性が高い/肝斑の可能性が低い/診断不能)が入力される。なお、診断を中止するときは、「キャンセル」ボタン86を操作する。
【0044】
そして、STEP54で、肝斑判断結果データ送信部26が、診断結果を示すデータを運用サーバ10に送信し、このデータを受信した運用サーバ10は、STEP17で診断結果を利用者データベース13に追加する。
【0045】
また、STEP18で、運用サーバ10は、肝斑の診断結果を示すEメールを、利用者の携帯電話30に自動送信する。なお、このEメールに含まれる利用者の顔のシミが肝斑であるか否かの診断結果を示すデータが、本発明の肝斑判断結果データに相当する。
【0046】
なお、その後、運用サーバ10の利用者データベース13に蓄積されたデータを、一定期間経過後に自動的に、又は運用サーバ10の管理者の操作によって消去する設定とすることもできる。
【0047】
図2を参照して、利用者の携帯電話30は、STEP4で、肝斑の診断結果を示すEメールを、医療機関端末20から受信する。利用者は、このEメールを確認することで、自身の顔のシミが肝斑によるものであるか否かを、容易に判断することができる。そして、自身の顔のシミが肝斑によるものであると診断されていたときには、利用者は、肝斑に特化した治療薬を服用することで、満足のゆくシミの改善を期待することができる。
【0048】
[第2実施形態]
図1及び図6を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。上述した第1実施形態では、ディスプレイ23に表示された利用者の顔の画像を、皮膚科医等が観察して肝斑の診断を行ったが、第2実施形態では、画像処理部24により肝斑を判断する。
【0049】
画像処理部24は、利用者の携帯電話30から送信された利用者の左横顔の撮像データ90と右横顔の撮像データ91に対して、色情報が判定範囲内である画素を黒(0)とし、色情報が判定範囲外である画素を白(1)とする2値化処理を行って、左横顔の2値画像92と右横顔の2値画像93を生成する。
【0050】
ここで、色情報の判定範囲は、例えば、色の三属性(色相(Hue),明度(Value),彩度(Chroma))を軸としたマンセル票色により、色相−1YR〜9YR,明度−4.5〜8.5,彩度−C3〜C5、等に設定される。なお、HSV値、L*a*b*値等の他の標記法を用いてもよい。
【0051】
画像処理部24は、2値画像92における黒領域E1(本発明の特定色領域に相当する)と、2値画像93における黒領域E2(本発明の特定色領域に相当する)について、以下の(1)〜(3)の条件を満たしているか否かを判定する。
(1) 黒領域E1,E2の面積が、いずれも顔全体の面積の10%以上。
(2) 左横顔における黒領域E1の位置と、右横顔における黒領域E2の位置のずれが、所定範囲内(黒領域E1とE2が顔の中心線に対して、線対称性を有している)。
(3) 黒領域E1,E2が、頬骨部、眼周辺、頬部外側、及び口周囲のいずれかの部位に位置する。
【0052】
画像処理部24は、上記(1)〜(3)の条件が全て満たされるときに、利用者の顔のシミが肝斑であると判断し、判断結果を肝斑判断結果入力部25に入力する。そして、肝斑判断結果データ送信部26が、診断結果を示すデータを運用サーバ10に送信すると共に、診断結果を示すEメールを、利用者の携帯電話30に送信する。
【0053】
上記第1実施形態と同様に、利用者は、このEメールを確認することで、自身の顔のシミが肝斑によるものであるか否かを、容易に判断することができる。そして、自身の顔のシミが肝斑によるものであると診断されていたときには、利用者は、肝斑に特化した治療薬を服用することで、満足のゆくシミの改善を期待することができる。
【0054】
なお、本実施の形態では、運用サーバ10を介して、利用者の携帯電話30から医療機関端末20に利用者の顔の撮像データを送信する構成としたが、利用者の携帯電話30から医療機関端末20に対して、顔の撮像データを添付したEメールを直接送信する構成としてもよい。この場合には、例えば、以下の(1)〜(4)の手順により、利用者の携帯電話30と医療機関端末20との間でEメールの送受信による通信を行えばよいので、運用サーバ10を用いずに、医療機関端末20のみによって肝斑判断支援システムを構成することができる。
(1)利用者の携帯端末30から医療機関端末20に対して空メールを送信。
(2)医療機関端末20から利用者の携帯電話30に対して、撮像範囲及び撮像条件を指示するEメールを返信。
(3)利用者の携帯端末30から医療機関端末20に対して、左横顔,右横顔,及び顔の正面の撮像データを添付したEメールを送信。(ディスプレイ23に、左横顔,右横顔,顔の正面の画像を表示)
(4)医療機関端末20から利用者の携帯端末30に対して、肝斑の判断結果を示すEメールを送信。
【0055】
なお、本実施の形態では、図2のSTEP10で、利用者に対して、撮像範囲と撮像条件を指示したが、この指示を行わない場合であっても、本発明の効果を得ることができる。この場合には、利用者に対して、予め撮像範囲と撮像条件を指示したパンフレットを配布する等の運用とすればよい。
【0056】
また、STEP11及びSTEP12で、運用サーバ10の顔画像要求部11は、利用者の携帯電話30から受信した顔の画像データが適切なものであるか否かを判断して、適切でなかったときには、再送信を要求する処理を行ったが、この処理を行わない場合であっても、本発明の効果を得ることができる。
【0057】
また、本実施の形態では、利用者の端末装置として、カメラ機能付きの携帯電話30を示したが、端末装置がパーソナルコンピュータであって、利用者がデジタルカメラで撮像した顔の撮像データをEメールに添付して、パーソナルコンピュータから送信する構成であってもよい。
【符号の説明】
【0058】
1…通信ネットワーク、10…運用サーバ、12…撮像データ受信部、13…利用者データベース、20…医療機関端末、21…撮像データ受信部、22…画像表示部、23…ディスプレイ、24…画像処理部、25…肝斑診断結果入力部、26…肝斑判断結果データ送信部、30…利用者の携帯電話。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の端末から、通信ネットワークを経由して送信される利用者の左横顔及び右横顔のカラーの撮像データを受信する撮像データ受信部と、
前記左横顔及び右横顔の撮像データにより、利用者の左横顔及び右横顔のカラー画像を表示する画像表示部と、
前記左横顔及び右横顔の撮像データに基づく、利用者の顔のシミが肝斑によるものであるか否かの判断結果が入力される肝斑判断結果入力部と、
前記判断結果を示す肝斑判断結果データを、通信ネットワークを経由して利用者の端末に送信する肝斑判断結果データ送信部と
を備えたことを特徴とする肝斑判断支援システム。
【請求項2】
請求項1記載の肝斑判断支援システムにおいて、
利用者の端末から送信される肝斑判断依頼データを、通信ネットワークを経由して受信したときに、利用者の左横顔及び右横顔の撮像データの送信を指示する顔画像送信指示データを、通信ネットワークを経由して利用者の端末に送信する顔画像要求部を備え、
前記撮像データ受信部は、前記顔画像送信指示データの受信に応じて、利用者の端末装置から送信される利用者の左横顔及び右横顔の撮像データを、通信ネットワークを経由して受信することを特徴とする肝斑判断支援システム。
【請求項3】
請求項2記載の肝斑判断支援システムにおいて、
前記顔画像要求部は、正面からの角度が35度〜55度の範囲内の左横顔及び右横顔の撮像データの送信を指示する前記顔画像送信指示データを、通信ネットワークを経由して利用者の端末に送信することを特徴とする肝斑判断支援システム。
【請求項4】
請求項2又は請求項3記載の肝斑判断支援システムにおいて、
前記顔画像要求部は、少なくとも目から下の部分を含む左横顔及び右横顔の撮像データの送信を指示する前記顔画像送信指示データを、通信ネットワークを経由して利用者の端末に送信することを特徴とする肝斑判断支援システム。
【請求項5】
請求項1から請求項4のうちいずれか1項記載の肝斑判断支援システムにおいて、
前記顔画像要求部は、前記顔画像送信指示データと共に、利用者の左横顔及び右横顔を撮像するときの要望条件を示す撮像条件指示データを、通信ネットワークを経由して利用者の端末に送信することを特徴とする肝斑判断支援システム。
【請求項6】
請求項2から請求項5のうちいずれか1項記載の肝斑判断支援システムにおいて、
前記顔画像要求部は、前記撮像データ受信部が受信した利用者の左横顔及び右横顔の撮像データが、所定の必要条件を満たしていないときに、利用者の左横顔及び右横顔の撮像データの再送信を指示する顔画像再送信指示データを、通信ネットワークを経由して利用者の端末に送信することを特徴とする肝斑判断支援システム。
【請求項7】
請求項1から請求項6のうちいずれか1項記載の肝斑判断支援システムにおいて、
前記撮像データ受信部により受信した利用者の左横顔及び右横顔のカラー画像から、所定の判定範囲内の色情報を有する特定色領域を抽出し、利用者の左横顔のカラー画像から抽出した第1の特定色領域と、利用者の右横顔のカラー画像から抽出した第2の特定色領域の位置の対称性に基づいて、利用者の顔のシミが肝斑によるものであるか否かを判断し、この判断結果を前記肝斑判断結果入力部に入力する画像処理部を備えたことを特徴とする肝斑判断支援システム。

【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図1】
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【図2】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−245077(P2011−245077A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−122452(P2010−122452)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(306014736)第一三共ヘルスケア株式会社 (176)
【Fターム(参考)】