説明

肝炎予防又は治療剤

【課題】肝炎を予防又は治療する手段を提供することを課題とする。
【解決手段】セサミノールを含有する肝炎予防又は治療剤。肝炎を予防又は治療できれば、「肝炎→肝線維化→肝硬変→肝癌」という一連の症状悪化スキームを抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肝炎予防又は治療剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、特に日本国においては、様々な原因で肝炎を発症する人が増加している。肝炎患者としては、例えば、アルコールの大量摂取によりアルコール性肝炎を発症した患者や、B型又はC型肝炎ウイルス等のウイルスの感染によりウイルス性肝炎を発症した患者、あるいは、発生原因にアルコールが含まれないアルコール性肝障害に類似した進展を示す症例(いわゆる、非アルコール性脂肪性肝炎(Non-alcoholic steatohepatitis; NASH))を示す患者などが挙げられる。肝炎は、例えば上記例示のような原因で肝臓(肝細胞)が傷害されることで引き起こされ得る。
【0003】
いずれの肝炎も、悪化すれば、肝線維化症状が出、さらには肝硬変へと進行し、最終的には肝癌を発症するおそれがある。これら一連の肝障害の病状進行のメカニズムについては、未だ詳細に解明されていない部分も多い。しかし、いずれの肝炎であっても、「肝炎→肝線維化→肝硬変→肝癌」という一連の肝障害症状悪化スキーム(つまり、一連の肝障害症状悪化の流れ)をたどることがほとんどである。
【0004】
肝線維化及び肝硬変は、肝臓においてコラーゲンの産生が亢進されることで引き起こされると考えられている。そして、肝臓におけるコラーゲンの産生亢進は、肝炎が起こることで、肝臓に存在する肝星細胞活性化され、肝星細胞のコラーゲン産生能が亢進されることで起こると考えられている。従って、肝星細胞の活性化を抑制することで肝炎から肝線維化への進行を抑制することができ、肝線維化及び肝硬変を予防できる可能性が考えられている。
【0005】
ただ、肝炎そのものを予防又は治療することができれば、そもそも肝星細胞の活性化もコラーゲン産生亢進も起こらないと考えられるため、さらに効率よく上記一連の症状悪化スキームを抑制することができると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−61115号公報
【特許文献2】特開2008−167712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、肝炎を予防又は治療する手段を提供することを課題とする。上記のとおり、肝炎を予防又は治療することができれば、「肝炎→肝線維化→肝硬変→肝癌」という一連の症状悪化スキームを抑制できると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、驚くべき事に、セサミノールが肝炎の予防又は治療に有効であることを見出し、さらに改良を重ねて本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち、本発明は例えば以下の項に係る肝炎予防又は治療剤を包含する。
項1.
セサミノールを含有する肝炎予防又は治療剤。
項2.
前記肝炎が、アルコール性肝炎である、請求項1に記載の肝炎予防又は治療剤。
項3.
経口剤である、請求項1又は2に記載の肝炎予防又は治療剤。
【0010】
さらに、本発明は、例えば以下の項に係る各剤をも包含する。
項A−1.
セサミノールを含有する肝細胞傷害抑制剤。
項A−2.
セサミノールを含有する肝細胞生存率向上剤。
項A−3.
セサミノールを含有する肝細胞過酸化脂質蓄積抑制剤。
項A−4.
セサミノールを含有する肝細胞活性酸素産生抑制剤。
項B.
アルコール性肝炎患者を対象とする、請求項A−1〜A−4のいずれかに記載の剤。
項C.
経口剤である、請求項請求項A−1〜Bのいずれかに記載の剤。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、肝炎を予防又は治療することができる。特に、上記の項に記載の剤を摂取することにより、肝炎を予防又は治療することができる。さらに、肝炎を治療又は予防することにより、「肝炎→肝線維化→肝硬変→肝癌」という一連の肝障害症状悪化スキームを抑制できる。
【0012】
また、本発明により、肝細胞が傷害されるのを抑制することができる。またさらに、本発明により、何らかの要因により肝細胞が死滅する場合において、肝細胞生存率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】アルコールによって低下した肝細胞生存率に及ぼすセサミノールの効果を検討した結果を示す。アルファベットは4群間での有意差検定を行った結果を示す。具体的には、同じアルファベット間では有意差がなく、異なるアルファベット間に1%の有意差がある(p<0.01)ことを示す。(よって、コントロールに比べて100 mM EtOH群は有意に細胞生存率が低下し、0.05 μg/mlセサミノール添加群ではコントロールレベルにまで有意に回復したことを意味する。なお、EtOHはエタノールを示す。以下も同様である。)他の図においても、アルファベットの表記は異なるアルファベット間に有意差があることを示す。
【図2】血漿中に含まれるALT活性測定の具体的な手順を示す。
【図3】血漿中に含まれるALTの活性に及ぼすセサミノールの効果を検討した結果を示す。なお、アルファベットは5群間での有意差検定を行った結果を示す。具体的には、同じアルファベット間では有意差がなく、異なるアルファベット間に1%の有意差がある(p<0.01)ことを示す。
【図4】肝臓中α−平滑筋アクチン(α−SMA)発現量に及ぼすセサミノールの効果を検討した結果を示す。異なるアルファベット間には有意差がある(p<0.05)。
【図5】肝組織の病理組織標本作製手順を示す。
【図6】肝炎に対するセサミノールの効果を検討するため、肝組織の病理組織標本を観察した結果を示す。
【図7】各種培養細胞における過酸化脂質生産量をTBARS法により測定した結果を示す。
【図8】蛍光顕微鏡写真により活性酸素(H2O2)の発現をDCFH-DAを用いて検出した結果を示す。
【図9】セサミノールの経口摂取が、体重、摂食量、摂食効率に与える影響を検討した結果を示す。(*;p<0.05、 **;p<0.01)
【図10】肝臓中α−平滑筋アクチン(α−SMA)発現量に及ぼすセサミノールの効果を検討した結果を示す。
【図11】血漿中に含まれるALTの活性に及ぼすセサミノールの効果を検討した結果を示す。(**;p<0.01)
【図12】血漿中に含まれるASTの活性に及ぼすセサミノールの効果を検討した結果を示す。(**;p<0.01)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明について、さらに詳細に説明する。
【0015】
本発明の肝炎予防又は治療剤は、セサミノールを含有する。
【0016】
セサミノールは、以下の構造式を有する公知の化合物であり、例えばゴマ種子中に含有されることが知られている。
【0017】
【化1】

【0018】
また、セサミノールを効率よく生産する方法についても研究がなされており(例えば特開2006−61115号公報、特開2008−167712号公報参照)、容易に入手又は製造することができる。
【0019】
本発明の肝炎予防又は治療剤は、セサミノールそのものからなるものであってもよいし、本発明の効果を損なわない限りセサミノール以外の成分を含有してもよい。つまり、本発明の肝炎予防又は治療剤は、セサミノール100重量%からなるものであってもよいし、また本発明の効果を損なわない限り他の成分を含有するものであってもよい。他の成分を含有する場合、本発明は“肝炎予防又は治療組成物”ともいうことができる。他の成分の含有量は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されず、例えば0.01〜99.99重量%、好ましくは0.1〜99.9重量%が例示できる。“他の成分”としては、薬学的又は食品衛生学的に許容される基剤、担体、添加剤等が例示でき、さらに詳細には下述する成分が例示できる。なお、本発明の肝炎予防又は治療剤のセサミノール含有量は、特に、好ましくは0.00001重量%以上、より好ましくは0.0001重量%以上、さらに好ましくは0.001重量%以上、より更に好ましくは0.005重量%以上である。
【0020】
本発明の肝炎予防又は治療剤を投与する対象としては、特に制限されず、健常人及び肝炎患者が例示される。健常人には肝炎予防のため、肝炎患者には肝炎治療のため、本発明の肝炎予防又は治療剤を投与することができる。健常人の中でも、アルコール摂取量が多い人や肝炎ウイルス保因者など、肝炎リスクが高い人には、より好ましく予防のため投与することができる。また、肝炎患者に投与するにあたっては、肝炎の原因は特に制限されない。肝炎として、アルコール性肝炎、(例えばB型又はC型肝炎ウイルス等による)ウイルス性肝炎、非アルコール性脂肪性肝炎(Non-alcoholic steatohepatitis; NASH)等
が例示される。中でも、アルコール性肝炎が好ましい。
【0021】
肝炎は肝臓の炎症であり、肝細胞が傷害されることで引き起こされ得る。また、肝細胞が傷害されると、AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)やALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)が血液中に流れ出し、ASTやALTの数値が上がることがよく知られており、ASTやALTは肝炎マーカーとして広く利用されている。ALTのほとんどは肝臓に存在する一方、ASTは肝臓の細胞以外にも、心臓の筋肉や手足の筋肉、赤血球などにも含まれているので、ALTの方が特異性が高いと考えられている。制限はされないが、本発明の治療剤を投与する対象としての“肝炎”患者は、血中ALTが30IU/l(国際単位/l)以上であることが好ましく、40IU/l(国際単位/l)以上であることがより好ましい。
【0022】
また、本発明の肝炎予防又は治療剤は、人のみならず、健常な動物、又は肝炎の症状を呈する動物(特にペット及び家畜)も投与対象に含まれる。動物としては、例えばイヌ、ネコ、サル、マウス、ラット、ハムスター、牛、馬、豚、羊等が例示できる。
【0023】
本発明の肝炎予防又は治療剤の投与形態としては、特に経口投与又は注射投与(例えば皮下投与、筋肉内投与、経静脈投与、経動脈投与)が好適である。
【0024】
本発明の肝炎予防又は治療剤の投与又は摂取量は、適宜設定することができる。当該剤中のセサミノール量は、好ましくは成人一日あたり1〜1000mg、より好ましくは10〜500mg、の範囲となる量を目安とすることができる。なお、1日1回又は複数回(例えば、好ましくは2〜3回)に分けて投与又は摂取することができる。
【0025】
本発明の特徴の一つは、セサミノールを投与又は摂取することにより、肝細胞の傷害が抑制される点にある。よって、本発明の肝炎予防又は治療剤は、より詳細には、肝細胞傷害抑制剤を含む。すなわち、本発明は、セサミノールを含有する肝細胞傷害抑制剤を包含する。肝細胞の傷害の原因は特に限定されず、例えば、アルコール摂取、あるいはB型又はC型肝炎ウイルス等のウイルスによる感染等が例示される。中でもアルコール摂取が好ましい。つまり、本発明は、アルコール摂取による肝細胞傷害抑制剤を特に好ましく包含する。
【0026】
またさらに、なんらかの要因により肝細胞が傷害され死滅する場合において、セサミノールを投与又は摂取することにより、肝細胞の生存率を向上させることができる。よって、本発明の肝炎予防又は治療剤は、より詳細には、肝細胞生存率向上剤を含む。すなわち、本発明は、肝細胞を死滅させ得る何らかの要因(例えば、アルコール摂取、B型又はC型肝炎ウイルス等のウイルスによる感染、あるいはNASH等)存在下における肝細胞生存率向上剤をも包含する。特に、本発明は、アルコール摂取時の肝細胞生存率向上剤を好ましく包含する。
【0027】
なお、肝細胞傷害は様々な要因で起こり得るが、肝炎では活性酸素により肝細胞が傷害されることがしばしばである。過酸化脂質は細胞内で生じた活性酸素によって脂質が酸化されることによって産生する。脂質過酸化は細胞膜を構成する脂質に多く見られ、その結果、肝細胞は傷害される。本発明の肝炎予防又は治療剤は、経口投与又は摂取することにより、肝細胞において過酸化脂質が蓄積するのを抑制する効果を示す。さらには、肝細胞における活性酸素産生を抑制する効果を示す。よって、本発明は、セサミノールを含有する肝細胞過酸化脂質蓄積抑制剤、及びセサミノールを含有する肝細胞活性酸素産生抑制剤を好ましく包含する。
【0028】
本発明の肝炎予防又は治療剤(上記肝細胞傷害抑制剤及び肝細胞生存率向上剤を含む)は、医薬分野及び食品分野で好ましく用いることができる。
【0029】
本発明の肝炎予防又は治療剤を医薬分野にて用いる場合、当該剤(以下「本発明に係る医薬剤」と記載することがある)は、セサミノールそのものであってもよいし、これと他の薬理活性成分、薬学的に許容される基剤、担体、添加剤(例えば溶剤、分散剤、乳化剤、緩衝剤、安定剤、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤等)等が必要に応じて配合され、例えば錠剤、丸剤、散剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤、カプセル剤、注射剤、点滴剤等の医薬製剤に調製されたものでもよい。当該調製は、常法に従って行うことが出来る。このような本発明に係る医薬剤は、上述したように、特に経口投与又は経血管投与により、肝炎の症状の予防又は治療のために好ましく用いることができる。つまり、例えば、経口剤、注射剤、点滴剤等として好ましく用いることができる。なお、本発明に係る医薬剤のセサミノールの一日摂取量、摂取対象、セサミノール及び他の成分の含有量等の条件は、上述したのと同様であることが好ましい。
【0030】
本発明の肝炎予防又は治療剤を食品添加剤として用いる場合、当該剤(以下「本発明に係る食品添加剤」と記載することがある)は、セサミノールそのものであってもよいし、これと食品衛生学上許容される基剤、担体、添加剤や、その他食品添加剤として利用され得る成分・材料が適宜配合されたものでもよい。また、このような食品添加剤の形態としては、例えば液状、粉末状、フレーク状、顆粒状、ペースト状のものが挙げられるがこれらに限定されない。具体的には、調味料(醤油、ソース、ケチャップ、ドレッシング等)、フレーク(ふりかけ)、焼き肉のたれ、スパイス、ルーペースト(カレールーペースト等)等が例示できる。このような食品添加剤は、常法に従って適宜調製することができる。
【0031】
このような本発明に係る食品添加剤は、該食品添加剤が添加された食品を食べることにより摂取される。なお、当該添加は食品調理中又は製造中に行ってもよいし、調理済みの食品を食べる直前又は食べながら行ってもよい。当該食品添加剤はこのようにして経口摂取することにより、肝炎の予防効果を発揮する。なお、本発明に係る食品添加剤のセサミノールの一日摂取量、摂取対象、セサミノール及び他の成分の含有量等の条件は、上述したのと同様であることが好ましい。
【0032】
本発明の肝炎予防又は治療剤を肝炎予防用の飲食品として用いる場合、当該剤(以下「本発明に係る飲食品」と記載することがある)は、セサミノールと、食品衛生学上許容される基剤、担体、添加剤や、その他食品として利用され得る成分・材料等が適宜配合されたものである。セサミノールが配合されてなる肝炎予防用飲食品ということもできる。例えば、セサミノールを含む、肝炎予防用の加工食品、飲料、健康食品(栄養機能食品、特定保健用食品等)、サプリメント、病者用食品(病院食、病人食又は介護食等)等が例示できる。具体的な形態としては、タブレット剤、カプセル剤、ドリンク剤等が例示される。
【0033】
健康食品(栄養機能食品、特定保健用食品等)、又はサプリメントとして、本発明に係る飲食品を調製する場合は、継続的な摂取が行いやすいように、例えば顆粒、カプセル、錠剤(チュアブル剤等を含む)、飲料(ドリンク剤)等の形態で調製することが好ましく、なかでもカプセル、タブレット、錠剤の形態が摂取の簡便さの点からは好ましい。ただし、特にこれらに限定されるものではない。顆粒、カプセル、錠剤等の形態の当該飲食品からなる肝炎予防剤は、薬学的及び/又は食品衛生学的に許容される担体等を用いて、常法に従って適宜調製することができる。また、他の形態に調製する場合であっても、従来の方法に従えばよい。
【0034】
本発明に係る飲食品のセサミノールの摂取量、摂取対象、セサミノール及び他の成分の含有量等は、例えば上述したのと同様であることが好ましい。
【0035】
本発明は、肝炎患者に対し、本発明の肝炎予防又は治療剤を投与又は摂取することを特徴とする肝炎の治療方法をも提供する。また、本発明は、非肝炎患者(肝炎患者でない者の意味;健常者及び肝炎境界型の者を含む)に対し、本発明の肝炎予防又は治療剤を投与又は摂取することを特徴とする肝炎の予防方法をも提供する。これらの方法は、具体的には、前述の本発明の肝炎予防又は治療剤を投与又は摂取することで実施される。なお、当該方法における、肝炎予防又は治療剤に含まれるセサミノールの摂取量等の各条件は前述の通りである。
【0036】
さらに、本発明は、対象者(肝炎患者及び非肝炎患者を含む)に対し、セサミノール又はセサミノールを含む組成物を経口投与させ又は経口摂取させ、当該対象者の肝細胞が傷害されるのを抑制する方法(但し治療方法を除く)をも包含する。さらにまた、本発明は、当該対象者に対し、セサミノール又はセサミノールを含む組成物を経口投与させ又は経口摂取させ、何らかの要因(例えば上述した要因)により当該対象者の肝細胞が死滅する場合において、肝細胞生存率を向上させる方法(但し治療方法を除く)をも包含する。
【0037】
なお、これらの方法における“但し治療方法を除く”との記載には、医療従事者(特に医師)の監督、指導、手技等に基づいて行われる行為を除くとの意味合いがあり、ひいては、医療従事者が自ら行おうとしていることが特許侵害になり責任追及されるのではないかと恐れながら医療行為に当たらなければならない状況が発生することを除くとの意味合いがある。
【実施例】
【0038】
以下、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の例に限定されるものではない。なお、以下の例で用いたセサミノールは、特開2008−167712号公報に記載の方法に準じて調製したものである。より、具体的には、次の調製例のようにして調製した。
調製例
Paenibacillus sp. KB0549株(寄託番号:FERM P-21057)をゴマ脱脂粕(竹本油脂製)で培養させることにより、ゴマ脱脂粕中に含まれるセサミノール配糖体からセサミノールを製造した。具体的には、次のようにして行った。
【0039】
まず、トリプトン1.0%、酵母エキス0.5%、及びNaCl0.89%を加えたゴマ脱脂粕の温水抽出液でKB0549を増殖させ、KB0549培養液得た。当該培養液を、ゴマ脱脂粕10.0kg(加熱殺菌し水分70%、pH6.0に調整済み)に加え、固体発酵機(37℃)で間歇撹拌とエアレーションを6日間継続して発酵処理を行った。
【0040】
次に、こうして得られた、発酵させたゴマ脱脂粕を水分8.5%へと乾燥させた後、乾燥物重量に対して10倍容量の95%エタノールを加えて、50℃に加熱、撹拌させ、セサミノールの抽出を行った。得られた抽出液をフィルタープレスにより珪藻土ろ過を行い、固形分を除去して濾液82Lを得た。当該濾液82Lを真空濃縮機で4.1Lに濃縮した。得られた濃縮液に99.5%エタノールを4倍量以上加えて濾紙濾過で不溶物を除去後、エバポレーターで濃縮し、高濃縮液4.05Lを得た。
【0041】
当該高濃縮液中のセサミノールおよびセサミノール関連化合物は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)に供して同定した結果、濃縮液中にセサミノールが18.4g含まれていた。当該HPLC分析条件は次の通りである:
HPLC:HITACHI LaChrom
カラム:Wakosil-II 5C18HG(φ4.6*250mm、和光純薬)
展開溶媒:A;10%アセトニトリル+0.1%トリフルオロ酢酸、B;80%アセトニトリル+0.1%トリフルオロ酢酸、Bを10%〜100%の直線勾配(40分間)で展開。
流速:0.8ml/min
分析波長:280nm
セサミノールおよびセサミノール関連化合物の標準試料によって検量線を作成することで、当該高濃縮液中のセサミノールおよびセサミノール関連化合物の同定や含量算出を行った。
なお、さらに溶媒抽出やシリカゲルによるカラム精製、ゲル濾過精製などの手法を用いることで、さらにセサミノール含有割合を高めることもできる。
【0042】
実施例1.セサミノールによる、アルコール性肝炎モデル肝細胞の生存率の変化
10〜13週齢のWistar系雄性ラットの肝臓を門脈に留置したカテーテルを用いてコラゲナーゼ液で灌流した後、肝臓を採取して細分することによって細胞浮遊液を得た。その浮遊液を低速遠心することにより、分離した肝細胞を得た。
【0043】
当該肝細胞を、直径35 mmのプラスチックシャーレ上で10% FBS(牛胎児血清)を含むWilliams’ E培地で24時間前培養した。次に、新しい10%FBSを含むWilliams’ E培地に交換し、培地中のエタノール濃度が100 mMになるようにエタノールを添加して24時間培養(本培養)することによって、アルコール性肝炎モデル肝細胞を作製した。大量飲酒者の血中アルコール濃度は、100〜200mMであることが報告されているので、培地エタノール濃度を100mMとして作製した当該アルコール性肝炎モデル肝細胞は、肝炎患者の肝細胞をよく反映していると考えられる。
【0044】
また、エタノールを加える際、併せてセサミノール(0.01μg/mLまたは0.05μg/mL)を添加して培養した肝細胞も作製した。さらにまた、エタノールを全く添加しない以外は同様に培養した肝細胞(コントロール)も作製した。なお、培養は、いずれもインキュベーター内(37℃、5% CO2)で行った。
【0045】
これらの各肝細胞について、Neutral red法により細胞生存率を測定した。当該測定は、具体的には次のようにして行った。すなわち、本培養終了後、培地を除去して0.005% Neutral red色素液を1ml添加し、インキュベーター内(37℃、5% CO2)で2時間静置後、Neutral red色素液を除去し、細胞を1% Formaldehyde / 1% CaCl2 (1〜2 ml)で1回洗浄し、1% CH3COOH / 50% EtOHを1 ml添加し、室温で30分間放置した。その後、上清を1% CH3COOH / 50% EtOHで3〜4倍希釈し、分光光度計(V-530, JASCO)で540 nmの吸光度を測定した。コントロールの平均値を基準として、各肝細胞群の相対値を算出した。
【0046】
結果を図1に示す。エタノールは肝細胞の細胞生存率を有意に低下させるが、セサミノールをエタノールと同時に添加して培養すると、肝細胞の細胞生存率はコントロールレベルまで回復した。このことから、エタノールによって低下した肝細胞の生存率が、セサミノールにより回復することがわかった。つまり、セサミノールにより、肝細胞が傷害されるのを抑制することができ、また肝細胞生存率を向上させることができることがわかった。
実施例2.アルコール性肝炎モデルラットのALT活性の検討
<実験動物の調製>
10〜13週齢のWistar系雄性ラットに予備飼育として、コントロール食および水道水を1週間自由摂取させた。
【0047】
その後、本飼育開始日に下記表1に示したように5群(n=5)に分けた。また、各飼料は表2に示す割合で混合して調製した。なお、飲料として与える5% EtOHは3、4日ごとに調製した。飼育室は午前8時から午後8時まで蛍光灯で照射し、室温は23±1℃に保った。また、セサミノール食摂取用の飼料は、上記調製例で得た高濃縮液を用いて調製した。
【0048】
各群のラットに、各飼料と5%EtOH又は水を自由摂取させ、さらにオリーブ油又はCCl4を溶解させたオリーブ油を定期的に腹腔内投与した(オリーブ油はCCl4を溶解させる溶媒として使用)。CCl4を溶解させたオリーブ油は、0.4 ml/kg B.W.(Body Weight) のCCl4をオリーブ油と1:3(v/v)の割合で混合して(実際に投与されるCCl4濃度:0.1 ml/kg B.W.)調製した。また、腹腔内投与は、週2回(2日目及び6日目)行った(各群における食事、飲料、及び腹腔内投与の詳細については、表1を参照)。
【0049】
なお、EtOHを自由摂取させるだけではアルコール性肝炎モデルラットの作製に時間がかかることから、肝炎発症を促進する目的でCCl4の腹腔内投与を行っている。
【0050】
以上の条件で3週間飼育した。飼育1週間ごとに、6日目のCCl4投与48時間後の血液を尾静脈より採取した。最終回のCCl4投与から48時間後に解剖した。下大静脈から採血した後、各臓器を摘出した。臓器を生理食塩水 (0.9% NaCl溶液)で洗浄した後、重量を測定し肝臓のみを液体窒素で凍結させた。血液は、遠心分離して血漿を得た。血漿および肝臓は測定時まで-80℃で保存した。なお、動物の飼育および動物実験は、大阪市立大学動物管理規定に基づいて行った。
【0051】
【表1】

【0052】
なお、「E群」は「ET群」とも標記することがあるが、これらは同義である。
【0053】
【表2】

【0054】
表2において、各成分の量の単位はgである。また、表2中のセサミノールの数値はセサミノール濃縮液量(g)を表しており、用いたセサミノール濃縮液7.11g中にセサミノールが0.05g含まれていた。
【0055】
<血漿中ALT活性の検討>
上記のようにして得た各群ラットの血漿を用い、血漿中に含まれるALT活性の測定を行った。当該測定は、キット「トランスアミナーゼ CII‐テストワコー」(和光純薬)を用いて行った。当該キットは、POP・TOOS法に基づいてALT活性を測定するキットである。具体的な測定手順を図2に示す。また、測定結果を図3に示す。
【0056】
肝炎の指標となる血漿中ALT活性は、CCl4単独投与(T群)では上昇しないが、5%エタノールの飲水と併用すると(ET群)、飼育2週目より著しく上昇した。このことから、本件等で用いた程度の濃度のCCl4単独投与は、肝臓に影響はないが、当該投与とエタノールの飲用とを併用することで、肝炎を誘導することが確認できた。つまり、ET群はアルコール性肝炎モデルラットとして用い得ることがわかった。さらに、同様のCCl4投与及びエタノール飲用を行っても、セサミノール食を摂食させることによって、血漿中ALT活性は有意に低下した(1S群及び5S群)。このことから、セサミノールを経口摂取することで、肝炎を抑制できることが明らかとなった。
【0057】
実施例3.アルコール性肝炎モデルラットの肝臓中α-平滑筋アクチン(α-SMA)発現量の測定
上述の各群のラットの、肝臓中α-SMA量の測定を行った。肝臓中α-SMA量は肝線維化の指標となる。測定にはWestern blotting法を用いた。Western blotting法のためのサンプル調製およびWestern blotting法は、以下に示した通りに行った。
【0058】
<サンプル調製>
試験管(15×160 mm)に肝小片0.3±0.05 gと9倍量のライシスバッファーを加えた。氷冷しながらホモジナイザー(POLYTRON PT 1600 E)で30秒間ホモジナイズした。ホモジネートを遠心分離し(3000 rpm、4℃、10分間)、細胞残渣と核を沈降させた。液表面の油分を除去した後、上清を超純水で100倍希釈してタンパク定量用サンプルとした。
【0059】
<タンパク定量>
タンパク質定量用サンプル100 ml、又は標準溶液(1 mg/ml BSA)と、タンパク色素液(セルバブルーG)2.9 mlを混合し、紫外可視分光光度計(SHIMADZU, UVmini-1240)を用いて波長595 nmで吸光度を測定した。
【0060】
<Western blotting>
タンパク質量を揃えた各サンプルを、 ライシスバッファーで適当に希釈したホモジネートと×2 サンプルバッファーを1:1で混合した。これをゲルにアプライし、電気泳動してから、セミドライ ブロッティング装置(BIO-RAD, Trans-Blot SD)を用いて18 Vで50分間通電し、メンブレンにタンパク質を転写した。メンブレンを超純水で洗浄した後、ブロッキングバッファーに浸漬させてブロッキングを行った(4℃、一晩)。その後、TBS-Tで洗浄し、一次抗体を反応させた(1時間)。用いた一次抗体は次のとおりである。(βチューブリンはコントロールとして用いるため検出した。)
Mouse Anti-Human Smooth Muscle Actin, Clone 1A4 (DakoCytomation)
Tubulin beta rabbit polyclonal antibody (Thermo scientific)
一次抗体反応後、TBS-Tで洗浄し、さらに二次抗体を反応させた(1時間)。用いた二次抗体は以下の通りである。
Anti-mouse IgG biotin conjugated(Dako)
そして、二次抗体反応後、TBS-Tで洗浄し、Streptavidin/HRP(Dako)を反応させ(1時間)、TBS-Tで1回洗浄し、さらにTBSで洗浄した後、DAB発色液により発色させた。さらに、当該発色の(α-SMA/β-tubulin)比を求めた。
【0061】
結果を図4に示す。肝線維化の指標となるα-平滑筋アクチン (α-SMA)発現量は、CCl4単独投与(T群)ではコントロール群と差はみられないが、5%エタノールの飲水と併用する(ET群)と、α-SMA発現量が著しく増加した。このことから、ET群では肝線維化が発症していることがわかった。さらに、セサミノール食を摂食させた群(1S群及び5S群)では、α-SMA発現量はコントロールレベルにまで顕著に低下したことから、セサミノールの経口摂取により、肝線維化が抑制されたことが明らかとなった。
【0062】
上記の実施例2の結果も考慮すると、セサミノールを経口摂取することにより、肝炎が抑制され、肝炎が抑制されたことによって症状の進行が食い止められ、これによって肝線維化も抑制されたものと考えられた。
【0063】
実施例4.肝臓組織の病理組織学的解析
エラスティカ・ワン・ギーソン(EVG)染色により、上述の各群のラットの肝臓組織を染色した。EVG染色は結合組織を染色する手法であり、細胞質が黄色、弾性線維が黒紫色、膠原線維は赤色、核が紫色に染色される。
【0064】
病理組織標本は、肝組織の一部を採取し、 10%中性緩衝ホルマリン溶液で固定し、パラフィン包埋した後、パラフィン切片を作製してEVG染色を行って、作製した。当該作製の詳細手順を図5に示す。当該標本を顕微鏡下で観察した結果を図6に示す。
【0065】
ET群では、画像の多くの部分において赤色に染色されたコラーゲン線維及び肝細胞の泡沫変性(大きな白い泡沫)が観察されるが、その他の群では観察されない。このことから、ET群では肝炎及び肝線維化が進んでいることが裏付けられた。また、1S群及び5S群の画像はコントロール群(C群)の画像とほとんど変わらないことから、セサミノールを経口摂取することにより、肝炎が抑制されたことによって、症状の進行が食い止められ、これによって肝線維化も抑制されたであろうことも裏付けられた。
【0066】
実施例5.過酸化脂質産生量の解析
実施例1と同様にして、各種肝細胞を培養した。すなわち、培地中のエタノール濃度が100 mMになるようにエタノールを添加して24時間培養(本培養)することによって、アルコール性肝炎モデル肝細胞を作製するとともに、エタノールを加える際、併せてセサミノール(0.01μg/mLまたは0.05μg/mL)を添加して培養した肝細胞も作製し、さらに、エタノールを全く添加しない以外は同様に培養した肝細胞(コントロール)も作製した。
【0067】
これらの培養細胞における過酸化脂質産生量を、TBARS法によって測定した。TBARS法は、過酸化脂質が分解して生じる、代表的な二次的生成物であるマロンジアルデヒド(MDA)のチオバルビツール酸反応性物質(TBARS)を指標とした測定方法である。具体的には、サンプル中のMDAをチオバルビツール酸(TBA)と反応させ、形成されるTBARS(MDA-TBA付加物)の吸光度を測定することにより、サンプル中の過酸化脂質量を反映した値をえることができる。
【0068】
結果を図7に示す。エタノールは肝細胞における過酸化脂質産生量を有意に増加させるが、セサミノールをエタノールと同時に添加して培養すると、肝細胞の過酸化脂質産生量はコントロールレベルまで低下した。このことから、エタノールによる過酸化脂質の増加が、セサミノールにより抑制されることがわかった。
【0069】
実施例6.活性酸素産生量の解析
実施例5とほぼ同様にして得た各培養細胞を用いて、活性酸素の産生量を検討した。具体的には、蛍光顕微鏡写真により活性酸素(H2O2)の発現を2’, 7’-Dichlorodihydrofluorescin diacetate (DCFH-DA)を用いて検出した。DCFH-DAは細胞内に散在されると、細胞内エステラーゼにより脱アセチル化し非蛍光型 2’, 7’-Dichlorodihydrofluorescin (DCFH) になり、更に活性酸素により素早く酸化され、強く蛍光する 2’, 7’Dichlorodihydrofluorescein (DCF)に変化することから、当該蛍光を測定することで、活性酸素の産生量を解析することができる。
【0070】
より詳細には、次のようにして行った。すなわち、本培養において、培地にエタノールを加えてからの培養時間を6時間又は9時間とし、各培養細胞の本培養終了30分前に2.4 mM DCFH-DA液を5μL添加し、本培養終了後、培地を取り除き、PBS(リン酸緩衝生理食塩水)1mLで2回洗浄(氷上)し、カバーガラスを培養細胞に被せて、ボックス型蛍光撮影装置(OLYMPUS バイオイメージングナビゲータFSX100)により観察し、写真撮影した。なお、当該検討には、アルコール性肝炎モデル肝細胞、コントロール、及びアルコール性肝炎モデル肝細胞にセサミノールを0.5μg/mL添加して培養した細胞、の3種の細胞を用いた。
【0071】
結果を図8に示す。図8に示される蛍光強度から、アルコールにより、肝細胞で活性酸素の産生が亢進していること、及びセサミノールにより当該活性酸素の産生の亢進が抑制されること、がわかった。
【0072】
実施例7.体重及び摂食量
0.001%セサミノール摂食群(1S群)と0.005%セサミノール摂食群(5S群)の代わりに0.00001%セサミノール摂食群(0.01S群:0.00001%セサミノール食+5%エタノール+CCl4)と0.0001%セサミノール摂食群(0.1S群:0.0001%セサミノール食+5%エタノール+CCl4)を設けた以外は、上記表1に示したように群分けして、上記と同様にラットを飼育し、各群の体重増加量(Weight gain)、摂食量(Food intake)、及び摂食効率(Food efficiency)を測定した。体重および摂食量は2日おきに測定した。体重増加量は飼育終了時の体重から飼育開始時の体重を差し引いた量で表した。摂食量は、飼育期間中における1日平均摂食量を体重100gあたりで表した。摂食効率は体重増加量を総摂食量で除した値で表した。
【0073】
結果を図9に示す。当該結果から、セサミノールは、肝炎ラットの体重増加、並びに摂食量増加及び摂食効率増加にも寄与することが分かった。
【0074】
実施例8.アルコール性肝炎モデルラットの肝臓中α-平滑筋アクチン(α-SMA)発現量の測定2
0.001%セサミノール摂食群(1S群)と0.005%セサミノール摂食群(5S群)の代わりに0.00001%セサミノール摂食群(0.01S群:0.00001%セサミノール食+5%エタノール+CCl4)と0.0001%セサミノール摂食群(0.1S群:0.0001%セサミノール食+5%エタノール+CCl4)を設けた以外は、実施例3と同様にして、各群のラットの、肝臓中α-SMA量の測定を行った。結果を図10に示す。なお、図10の縦軸の単位「Density (arbitrary unit)」は、「Density (α-SMA/β-tubulin)」と同義である。
【0075】
実施例3の結果と同様に、本検討結果からも、セサミノールの経口摂取により、肝線維化が抑制されることが確認できた。
【0076】
実施例9.アルコール性肝炎モデルラットのALT活性及びAST活性の検討
0.001%セサミノール摂食群(1S群)と0.005%セサミノール摂食群(5S群)の代わりに0.00001%セサミノール摂食群(0.01S群:0.00001%セサミノール食+5%エタノール+CCl4)と0.0001%セサミノール摂食群(0.1S群:0.0001%セサミノール食+5%エタノール+CCl4)を設けた以外は、実施例2の<血漿中ALT活性の検討>と同様にして、ALT活性を測定した。さらに、トランスアミナーゼ CII‐テストワコー(和光純薬工業株式会社)を用いて、AST活性も測定した。
【0077】
ALT活性測定結果を図11に、AST活性測定結果を図12に、それぞれ示す。
【0078】
これらの結果も、セサミノールを経口摂取することで、肝炎を抑制できることを示していた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セサミノールを含有する肝炎予防又は治療剤。
【請求項2】
前記肝炎が、アルコール性肝炎である、請求項1に記載の肝炎予防又は治療剤。
【請求項3】
経口剤である、請求項1又は2に記載の肝炎予防又は治療剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−14572(P2013−14572A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−90408(P2012−90408)
【出願日】平成24年4月11日(2012.4.11)
【出願人】(506122327)公立大学法人大阪市立大学 (122)
【出願人】(592075884)清本鐵工株式会社 (10)
【Fターム(参考)】