説明

肝硬変進展抑制用食品及び薬剤

【課題】 効果が高く、副作用の心配がなく、摂取が容易な肝硬変進展抑制用食品及び薬剤を提供する。
【解決手段】 天然の蛋白質を構成するL−アミノ酸から構成され、L−グルタミン含有量が15〜60質量%で、平均分子量が200〜100,000のペプチドを、肝硬変進
展抑制用食品および薬剤とする。この食品または薬剤を摂取することによって、肝硬変の進展を抑制する効果が発揮される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、L−グルタミンに富むペプチドを含むことを特徴とする肝硬変進展抑制用食品及び薬剤に関する。
【背景技術】
【0002】
肝臓疾患の中でも肝硬変は大きな問題である。現在日本には約400万人(B型:約150万人、C型:約250万人)の慢性肝炎患者が存在する。慢性肝炎は肝硬変へと移行するが、その移行率は、B型肝炎で20%、C型肝炎で60%とされている。結果的に現在日本では、人口10万人当たり、B型肝炎から647人、C型肝炎から1723人の合わせて2370人が毎年肝硬変に移行しているとされている。また、肝硬変による年間の死亡者数は年間1万7千人に及んでいる。そこで、肝炎から肝硬変への進展を抑制する方法が求められているが、適切な方法がないのが現状である。
【0003】
肝硬変は、肝臓が線維化し硬化した状態である。ここで肝の線維化とは肝臓内の組織傷害に対する創傷治癒機転の結果、コラーゲンなどの細胞外マトリックス(extracellular matrix:ECM)が過剰に蓄積した病態である。
【0004】
通常、生体におけるコラーゲンは産生と分解を繰り返しながら一定のバランスを維持しているが、病的条件下ではそのバランスが崩れ線維化が生じる。肝線維化は主に肝炎ウイルスやアルコールによる炎症に伴って起こり、特に炎症が慢性化した際に著明となる。肝細胞が肝炎やアルコールによる障害を繰り返し受けると、門脈域の限界板をこえて線維化が進展し、小葉構造が破壊される。肝細胞が再生して再生結節とよばれる構造がつくられ、やがて肝硬変とよばれる線維化の進展した状態になる。
【0005】
肝における主要なECM産生細胞は肝星細胞であり、肝障害により増加する液性因子が複雑に作用しあって、星細胞が活性化し肝線維化が生じる。星細胞は肝臓におけるビタミンA貯蔵細胞(伊東細胞)として知られ、筋線維芽細胞ファミリーに属する。肝線維化過程では、星細胞はクッパー細胞や浸潤細胞からのサイトカインにより活性化され活性化細胞へと形質転換しコラーゲンなどのECMを著明に産生する。さらに肝臓中のコラーゲン分解酵素であるマトリックス分解酵素(matrix metalloprotease:MMP)の抑制因子(tissue inhibitor of metalloprotease: TIMP)、TGF−β(transforming growth factor-β)、PDGF(platelet-derived growth factor)などのサイトカイン、HGF(hepatocyte growth factor)などの成長因子を産生し、肝線維化の中心的な役割を果す。活性化星細胞は各種サイトカイン受容体の発現も増加し、サイトカインに対し高感受性になる。
【0006】
コラーゲンの産生、分解は各種サイトカインやマトリックス分解酵素とその抑制因子により複雑に調節されている。コラーゲンの分解・代謝にはMMPが関与するが、線維化が進むにつれ、MMP−2(基底膜成分の分解を担当)の活性型(プロテアーゼとして作用するMMP)の割合が低下し、コラーゲンのターンオーバーが抑制されることが知られてい
る。
【0007】
WO03/074071には、小麦グルテンを酵素的に部分加水分解して得られるグルタミンペプ
チドに、肝臓疾患の改善作用のあることが知られている。しかし、その詳しい作用については十分知られていない。
【特許文献1】WO03/074071
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
慢性肝炎であっても良好な状態を維持することが出来れば、生命予後並びに生活の質を大いに改善することが期待できる。そこで本発明の課題は、慢性肝炎から肝硬変への進展を抑制する食品及び薬剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明者は、肝臓に慢性的な炎症が起きている(慢性肝炎)状態におけるグルタミンペプチドの効果を鋭意研究した結果、グルタミンペプチドに慢性肝炎から肝硬変への進展を抑制する効果があることを発見した。さらに詳しくは、WO03/074071に記載された方法で製
造したグルタミンペプチドを、動物モデルに投与し、その生物学的な作用を詳細に検討した。その結果、グルタミンペプチドの投与は、重度の肝炎等の肝疾患の指標として用いることが多い血清中のGOT(Glutamic Oxaloacetic Transaminase)およびGPT(Glutamic
Pyruvic Transaminase)に変化が無い場合であっても、肝硬変の進展を抑制していることを発見し、本発明を完成したものである。
【0010】
したがって、本発明は、天然の蛋白質を構成するL−アミノ酸から構成され、L−グルタミン含有量が15〜60質量%で、平均分子量が200〜100,000であるペプチ
ドを含むことを特徴とする肝硬変進展抑制用食品に関する。当該ペプチドは、L−グルタミン含有量が20〜40質量%で、平均分子量が500〜20,000であるのが好まし
く、小麦粉グルテンを原料として製造されたペプチドが特に好ましい。
【0011】
なお、以下の記載において、本発明のグルタミン含有量の高いペプチドを「グルタミンペプチド」と称する。また、本明細書において、用語「ペプチド」および「グルタミンペプチド」は、天然の蛋白質を構成するL−アミノ酸から構成されるペプチドを意味する。故に、用語「L−アミノ酸」または「アミノ酸」は、天然の蛋白質を構成するL−アミノ酸を意味する。
【0012】
本発明のグルタミンペプチドを飲食品に含有させることにより、日常生活においてグルタミンペプチドをより容易に摂取できる。さらに、当該ペプチドは肝硬変進展抑制用薬剤として投与することもできる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、天然の蛋白質を構成するL−アミノ酸から構成され、L−グルタミン含有量が15〜60質量%で、平均分子量が200〜100,000であるペプチドを含
むことを特徴とする肝硬変進展抑制用食品および肝硬変進展抑制用薬剤が提供される。本発明において用いるグルタミンペプチドは安全性に優れており、長期間投与するのに適している。このため、肝硬変進展抑制用食品及び薬剤として極めて有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明のグルタミンペプチド、例えばWO03/074071に記載の方法で製造することができ
る。さらに小麦グルテン由来のグルタミンペプチドは、従来から既に市販されている(例えば日清ファルマ株式会社製の「グルタミンペプチドGP−1」、DMV社製の「グルタミンペプチドGPA」など)。これらのグルタミンペプチドはそのまま用いてもよいし、また場合により加水分解、分画などの処理を施してもよい。
【0015】
このようなグルタミンペプチドを、例えばパン、うどんなどの麺類、クッキー、せんべいなどの炭水化物系食品、お茶類、スープ類、ふりかけ、バター、ジャムなどのスプレッド類、流動食、ジュース類、ゼリー状飲料等に含ませた肝硬変進展抑制用食品を製造する。そのような食品としては健康食品、機能性食品として、一日当たりの投与量が管理できる形にするのが望ましい。成人1日当たりの摂取量は、グルタミンペプチドとして通常4〜80g、好ましくは6〜60gである。
【0016】
本発明のグルタミンペプチドを含む肝硬変進展抑制用薬剤は、グルタミンペプチドを定法により錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤、シロップ剤、ドライシロップ剤、液剤などの経口製剤とすることができる。その際の、成人1日当たりの投与量は、食品の場合と同じである。
【0017】
肝硬変の診断の指標とされる血液生化学分析値としては、例えば、ヒアルロン酸含量、アンモニア含量、チモール混濁度がある。
【0018】
ヒアルロン酸は、N−アセチルグルコサミンとD−グルクロン酸が重合した高分子量の粘液性ムコ多糖類で、他のグリコサミノグリカンとともに生体内の結合組織中に広く分布(臍帯、関節液、硝子体などにはとくに豊富に存在)しており、関節潤滑作用や細菌侵入に対する生体防御作用および電解質と水の調節作用を担っている。産生遊離されたヒアルロン酸は血流にのってリンパ組織へ移行し、さらに肝臓へ移り代謝される。一方、肝臓の線維化が進むと肝臓内の伊東細胞、線維芽細胞などのヒアルロン酸産生が亢進する。また、血中のヒアルロン酸の約90%以上を分解するとされている肝類洞内皮細胞は線維化に伴いその機能を失い、ヒアルロン酸の血中の濃度が増加する。臨床的には、肝硬変と非肝硬変の鑑別に有用性が高く、C型慢性活動性肝炎におけるIFN治療効果予測にも有用である。
【0019】
アンモニア(NH3)は、タンパク質の代謝過程でアミノ酸から脱アミノされて生じ、肝で
尿素合成に利用されるが、血中NH3の大部分は消化管(小腸粘膜と大腸内細菌)由来とさ
れる。NH3の解毒は肝細胞での尿素回路に依存し、尿素は腎より尿中に排泄される。し
たがって、肝臓機能の低下による尿素サイクル活性の低下、腸内におけるNH3産生の増
加および門脈副血行枝による門脈血の大循環系への流入などの場合には、血中NH3濃度
が高値となる。
【0020】
チモール混濁試験(thymol turbiduty test:TTT)は、硫酸亜鉛混濁試験(zinc sulfate turbidity test:ZNN)とともに一般に行われている膠質反応で、肝疾患の診断および経過の追跡に古くから用いられている。しかしながら蛋白比の変動により変化するという欠点もあるが、今なお急性肝炎の慢性化や慢性肝疾患の程度を知る指標として用いられている。TTT異常はIgG、IgMの増加(A型肝炎)、アルブミン減少、脂質、リポ蛋白の増加の場合にその頻度が高く、また胆汁うっ滞では特に糖蛋白の血中増加が本反応の修飾(抑制)を行う。
【0021】
GOTとGPTはともにピリドキサールリン酸(PALP)を補酵素とする代表的なアミノ基転移酵素である。肝胆道疾患、心疾患、筋疾患、溶血性疾患などの障害の程度、臨床経過などを知るためにもっとも一般的に用いられ、肝硬変の病状の進展を判断する目安として採用されることが多い。今回、本発明者等は、グルタミン含有量の高いペプチドを肝硬変となっている動物個体に摂取させた場合、グルタミン含有量の高いペプチドを摂取によってGOT、GPTには見るべき変化が無い場合でも、その他の指標となるデータの改善ができることを見出し、グルタミン含有量の高いペプチドを肝硬変進展抑制用食品および薬剤として用いるものである。
【0022】
以下に、実施例によりグルタミンペプチドの肝硬変進展抑制作用について、詳細に説明する。
【実施例】
【0023】
生物試験による結果の概要
肝炎から肝硬変への進展に対する効果を検討するために、ラット四塩化炭素による慢性肝炎モデルを用いた。このモデルでは、毎週2回、皮下的に四塩化炭素を投与することにより、肝臓に慢性的な炎症をおこさせるものであるが、20週以上継続することにより肝炎から肝硬変へ移行することが知られている。
【0024】
ラットへの四塩化炭素投与開始から3週間後に、試験群の飼料をグルタミンペプチド含有(4%及び8%)のものに切り替え25週間まで四塩化炭素投与を継続し、グルタミンペプチドを与えなかった対照群と比較した。その結果、血清中のGOTおよびGPTには殆ど差が無かったが、アンモニア、チモール混濁試験、ヒアルロン酸はグルタミンペプチド投与群で対照群よりも有意な低値を示した。また摘出した肝臓の状態は、対照群では硬化が進み、表面が滑らかでなく無数の結節で覆われた状態になっていたのに対して、グルタミンペプチド投与群ではより軽度であった。また、肝臓の萎縮は、グルタミンペプチド投与群ではより軽度であり、肝臓重量は対照群よりも大きかった。また対照群では半数以上の個体で腹水を観察したのに対して、グルタミンペプチド投与群では6例中0もしくは1例に腹水を認めただけであった。
【0025】
MMPの活性をゼラチン・ザイモグラフィーにより調べたところ、グルタミンペプチド投与群では対照群に比して活性型MMP−2が多く観察され、コラーゲンの代謝が活性化していることが示唆された。また肝臓中のコラーゲンを、可溶性画分、不溶性画分中のハイドロキシ・プロリン(Hyp)として測定した結果、グルタミンペプチド投与群では対照
群に比して、可溶性画分のHypが増えており、コラーゲンの代謝が活性化していることが示唆された。以下これらの生物試験について詳述する。
【0026】
肝硬変モデルラットを用いたグルタミンペプチドの投与試験
(1)試験方法
17匹の7週齢のSD系雄ラットを実験に用いた。各ラットに四塩化炭素とオリーブ油を等量混合した液(1ml/kg/回)を25週間にわたって、毎週2回(火曜日と金曜日)皮
下に投与した。
ラットには、最初の3週間は20%カゼイン食を与え、その後、各群の体重に差が無いように、対照群(n=5)、4%グルタミンペプチド群(n=6)、8%グルタミンペプチド群(n=6)に分けた。対照群には引き続き20%カゼイン食を与え、4%グルタミンペプチ
ド群にはカゼインの4%をグルタミンペプチドGP−1(日清ファルマ株式会社)に置き換えた試験食(4%GP食)を与え、8%グルタミンペプチド群にはカゼインの8%をGP−1に置き換えた試験食(8%GP食)与えた。試験に使用した飼料の詳細を表1に示す。
【0027】
【表1】

【0028】
用いたグルタミンペプチドは、WO03/074071に記載の方法にしたがって製造したもので
ある。WO03/074071に記載された方法によって測定したグルタミンペプチドの平均分子量
およびグルタミン含有量は、それぞれ、10,000および32質量%である。
試験期間中、ラットには飼料及び水を自由に摂取させた。試験最終日前日より絶食とし、採取日にエーテル麻酔下にて犠死せしめ、血液、組織などを分析に供した。
【0029】
(2)体重及び解剖所見
試験終了時の体重等を表2に示す。
【0030】
【表2】

【0031】
体重は、グルタミンペプチド投与群の方やや大きかったが統計的に有意ではなかった。解剖時に腹水の有無をチェックしたところ、対照群では5例中3例に腹水を認めたのに対して、4%グルタミンペプチド群で腹水を確認できたのは6例中0例、8%グルタミンペプチド群では6例中1例のみであった。
【0032】
また肝臓については、対照群の肝臓は表面が粗く、多数の結節が認められ、全体的に線維化していたのに対して、グルタミンペプチド投与群では、全体的に対照群よりも大きく、硬化の程度も対照群よりは軽度であった。表2に示されたように、グルタミンペプチド投与群の肝臓重量が対照群よりも大きいことが統計学的にも確認された(スチューデントのt検定、p<0.05)。
【0033】
(3)血液生化学分析
GOT、GPTはJSCC標準化対応法(三浦裕、日本臨床、53−増−266、1995)、アンモニアはOkada−Fujita変法(井廻道夫、日本臨床、53−増−478、1995)、チモール混濁試験 (TTT)は消化器学会肝機能研究班推奨法(門奈丈之ら、日本臨床、53−増−163、1995)、ヒアルロン酸はラテックス凝集免疫比濁法(島村朗ら、医学と薬学、44(6):1141−1146、2000)によりそれぞれ測定した。
分析した結果を表3に示す。
【0034】
【表3】

【0035】
GOTおよびGPTには、差が認められなかったものの、肝硬変の指標とされるアンモニア、チモール混濁法、ヒアルロン酸については、グルタミンペプチド投与群の方が、値が低かった。
【0036】
(4)肝臓中のマトリックス・メタロプロテアーゼ
各ラットの肝臓100mgを取り500mlのPBS(137 mM NaCl, 2.68 mM KCl, 8.1 mM
Na2HPO4, 1.47 mM KH2PO4, 5mM EDTA, pH 7.2)中でホモジナイズする。得られたホモジネートを遠心分離(10,000 g × 5 min)し、上清(可溶性画分)と沈殿(残渣)とに分
けた。可溶性画分の一定量をゼラチン・ザイモグラフィーにより分析することで、MMP−2およびMMP−9を測定した。ゼラチン・ザイモグラフィーとは、試料をゼラチン含有ゲルを用いたSDS−PAGEにより展開した後、ゲルを非イオン性界面活性剤を含む中性緩衝液に浸し、SDSを除去することによりMMP−2及びMMP−9をリナチュレーションせしめ、ゲル中のゼラチンを分解させることにより、CBB(Coomassie Brilliant Blue)で染色した後にゼラチンが分解された部分を染色されない活性バンドとして検出する方法である。この方法によれば、不活性型のMMPsもリナチュレーション過程で活性型に変換するので、検出が可能である。
【0037】
ゼラチン・ザイモグラフィーにより分析した結果を図1に示す。この結果から、グルタミンペプチド投与群では、肝臓中のMMP−2の活性型が多くなっており、コラーゲン分解が亢進していることが確認された。これは、活性型のMMPによって肝線維化の進展が抑制されていることを示すものである。
【0038】
(5)肝臓中のコラーゲン
各ラットの肝臓100mgを取り500mlのPBS中でホモジナイズする。得られたホモジネートを遠心分離(10,000 g × 5 min)し、上清(可溶性画分)と沈殿(残渣)とに
分けた。それぞれの画分の一定量ずつを群ごとに混合した後、Pico−Tagアミノ酸分析システム(日本ウォーターズ)により分析し、ハイドロキシプロリン(Hyp)の含量
を分析した。その結果、グルタミンペプチド投与群では、可溶性画分のHypが対照群よりも多いことが確認された(図2)。
【0039】
Hypはコラーゲンの30%を占めるアミノ酸であり、かつコラーゲンに特異的に存在するので、コラーゲンの量を反映している。このことから、グルタミンペプチド投与群では可溶性のコラーゲンが多く、コラーゲンの代謝が活性化していることが確認された。
以上より、グルタミンペプチドは、肝臓のコラーゲン代謝を活性化し、肝線維化を抑制することで、肝炎から肝硬変への進展を抑制することが明らかとなった。
【0040】
(6)投与量の検討
肝炎から肝硬変への進展を抑制させるためのグルタミンペプチドの投与量を決定すべく、異なった量のグルタミンペプチドを含む試験食を与えて上記の試験を繰り返した。その結果、ラットを用いた場合には、飼料(20%蛋白質)中に含ませるべきグルタミンペプチドの量は2〜20%、好ましくは3〜15%であることが判った。
【0041】
この投与量の検討の結果を元に成人1日当たりの摂取量を換算すると、通常、成人の蛋白質の1日所要量は80gとされているので、グルタミンペプチドとして4〜80g、好ましくは6〜60gとなる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】肝臓中のマトリックス・メタロプロテアーゼ試験の結果得られた、ゼラチン・ザイモグラフィーの結果を示す図である。なお、図において画像は反転してある。
【図2】肝臓中のコラーゲン試験の結果得られたハイドロキシ・プロリン含量を示す図である。図中Conは、カゼイン食を投与されたコントロール群、GP4は4%グルタミンペプチド食を投与された群、GP8は8%グルタミンペプチド食を投与された群である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然の蛋白質を構成するL−アミノ酸から構成され、L−グルタミン含有量が15〜60質量%で、平均分子量が200〜100,000であるペプチドを含むことを特徴とする肝硬変進展抑制用食品。
【請求項2】
L−グルタミン含有量が20〜40質量%で、平均分子量が500〜20,000のペ
プチドである請求項1記載の肝硬変進展抑制用食品。
【請求項3】
小麦粉グルテンを原料として製造されたペプチドである請求項1または2記載の肝硬変進展抑制用食品。
【請求項4】
天然の蛋白質を構成するL−アミノ酸から構成され、L−グルタミン含有量が15〜60質量%で、平均分子量が200〜100,000であるペプチドを含むことを特徴とする肝硬変進展抑制用薬剤。
【請求項5】
L−グルタミン含有量が20〜40質量%で、平均分子量が500〜20,000のペ
プチドである請求項4記載の肝硬変進展抑制用薬剤。
【請求項6】
小麦粉グルテンを原料として製造されたペプチドである請求項4または5記載の肝硬変進展抑制用薬剤。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−55022(P2006−55022A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−238217(P2004−238217)
【出願日】平成16年8月18日(2004.8.18)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成16年4月1日 日本栄養・食糧学会発行の「第58回 日本栄養・食糧学会大会 講演要旨集」に発表
【出願人】(301049744)日清ファルマ株式会社 (61)
【出願人】(000226998)株式会社日清製粉グループ本社 (125)
【Fターム(参考)】