説明

肝線維症または肝硬変の向上した診断方法

本発明は、肝病変の存在および/または重症度を診断し、かつ/または個体における肝病変に対する治療処置の有効性を監視し、それによりスコアを得る方法であって、少なくとも1つの血液検査と肝線維症を診断する物理的方法から得られた少なくとも1つのデータとの組み合わせを含み、前記データは、医用画像データおよび臨床的測定値からなる群から選択され、前記組み合わせを数学的関数によって行う方法に関する。本発明は、少なくとも1つの血液検査と肝線維症を診断する物理的方法から得られた少なくとも1つのデータとの数学的関数による組み合わせを少なくとも2回行ない、少なくとも2つの得られたスコアを診断上の信頼区間に基づくアルゴリズムにおいて組み合わせる方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、個体、特に有意もしくは高度な線維症または肝硬変を伴う病気に罹患している個体における、少なくとも1つの血液検査と肝線維症を診断する少なくとも1つの物理的方法との組み合わせによる肝線維症または肝硬変の向上した診断方法に関する。本発明の方法によって、SF指数またはC指数と呼ばれるスコアおよび場合によりその組み合わせが得られる。
【0002】
肝生検は、患者における肝疾患を診断するための歴史的な手段である。しかし、肝生検は侵襲的で高価なため、肝線維症の非侵襲的診断方法は肝生検に代わるものとして、ここ10年にわたってかなりの注目を集めている。第1世代の単純な血液線維症検査は、一般的な間接的血液マーカーをAPRI(5)またはごく最近ではFIB−4(6)のような単純な比に組み合わせたものであった。第2世代の計算試験は、Fibrotest(7)、ELFスコア(8)、FibroMeter(9)、Fibrospect(10)およびHepascore(11)のような、間接的および/または直接的な線維症マーカーをロジスティック回帰分析によって組み合わせたものであった。例えば、国際公開第03073822号には、生物学的変数および臨床的変数を含む特定の変数のレベルを測定し、前記変数を数学的関数において組み合わせて、多くの場合「線維症スコア」と呼ばれるスコアを得ることによる肝疾患およびその重症度の非侵襲的診断方法が記載されている。国際公開第03073822号の方法は、肝疾患または肝臓病の治療の有効性を監視するためにも有用である。
【0003】
肝線維症のさらなる非侵襲的診断方法は、例えば「肝硬度測定」(LSE)などの線維症の診断方法に有用なデータを収集する物理的方法(例えば、超音波検査弾性率測定法)(12)を使用することである。「Gastroenterology 2008; 134:960−974」に発表されている「Performance of Transient Elastography for the Staging of Liver Fibrosis: A Meta Analysis」という題名の最近の論文において、Friedrich−Rustらは肝線維症の病期分類のための短時間(transient)弾性率測定法の有効性を証明した。
【0004】
最後に、血液線維症検査は、診断精度を増加させ、かつ肝生検率を制限するために、逐次アルゴリズムに組み合わせられている(13〜16)。これらの逐次アルゴリズムは通常、第1段階としての血液検査およびその後の残りのグレーゾーンの不確定症例のための肝生検を含む段階的な診断に基づく。しかし、これらの多段階逐次アルゴリズムの臨床的適用は難しい。さらに、20〜50%の患者において肝生検がなお必要とされる。
【0005】
本発明の診断標的は、
− 線維症のクラス:
・ Metavirステージ≧2またはIshakステージ≧3として定義される有意な線維症
・ Metavirステージ≧3またはIshakステージ≧4として定義される高度な線維症
・ Metavirステージ=4またはIshakステージ≧5として定義される肝硬変、
− 肝臓組織全体と比較した線維性組織の表面で表わされる線維化面積などの線維化量または肝臓組織全体と比較した線維性組織の体積で表される線維化の3次元量、
− コルモゴロフ(Kolgomorov)次元のようなフラクタル次元で示される線維化の定量的構造(architecture)、
とすることができる。
【0006】
そのような診断上の技術的な問題に取り組んでいる当業者は、肝線維症の早期かつ正確な診断のための信頼性が高い方法の特定が現在行われており、肝線維症の診断を改善し、かつ肝疾患または肝臓病の治療の監視を改善し続けるという重要な医学上の必要性があることを知っている。さらに、生検の価格および侵襲性のために、肝生検の必要性を低下させることも必要である。診断方法は、その性能すなわち線維症の進行について試験した個体を正確に分類するその能力によって評価される。
【0007】
これまで当業者は、一方では血液マーカーおよび臨床マーカー(例えば、年齢、性別など)を組み合わせた血液検査を行ないながら、他方では画像化手段を行なってきた。血液検査および画像化手段はどちらも、それら自体の特定の利点を有すると見なされており、当業者は、患者のMetavirステージに応じて血液検査または画像化手段を使用してきた。
【0008】
出願人は驚くべきことに、血液検査からのスコアと画像化手段から得られたデータを組み合わせることにより、信じられないほど高い診断能(精度)を有するスコアが得られることに気付いた。本発明を実施する際に、出願人は初めて、肝疾患または肝臓病の様々な原因を有する患者の大集団(実施例2を参照)あるいは、例えば慢性C型肝炎に罹患している患者のような原因に関する同質集団(実施例1を参照)のいずれかにおいて、例えば肝硬度測定のような画像化データと5種類の血液検査の診断精度を比較し、次いで、それらの精度をそれらの同時的(synchronous)組み合わせの精度と比較した。
【0009】
出願人が本発明を着想した時点では、当業者は、血液検査から得られたスコアと画像化手段から得られたデータとの組み合わせが重要か否かという情報を有していなかった。例えば、AUROC(受信者動作特性曲線下面積)間の差、すなわち感度および特異度を組み合わせてこれまでに使用されてきた主要な診断情報によるこの組み合わせの統計的評価は発明日の時点ではまだ実施されていなかった。
【0010】
画像化手段から得られる対象データの一例は肝硬度測定(LSE)である。LSEは肝硬変の診断にとって良好な精度を有することが知られていたが、LSEの再現性は初期の線維症ステージでは低かった。このような理由から、LSEは主に肝硬変の診断のために使用されていた。
【0011】
血液検査は、初期の線維症ステージに対してLSEよりも高い再現性および精度を示している。
【0012】
驚くべきことに、出願人は、血液検査からの診断情報と画像化手段からのデータ、特に、限定されるものではないがFibroscan(商標)またはARFIデータ(例えば、LSEデータ)との組み合わせによって、有意な線維症から高度な線維症までの肝線維症および肝硬変の診断にとっていくつかの利点および予想外の正確な結果が得られることを見い出した。
【0013】
また、出願人は、血液検査からのスコアおよび画像化データ(好ましくはFibroscanデータ)を組み合わせたアンジェ(Angers)SFアルゴリズムと呼ばれる第1のアルゴリズムを組み立てた。これは、本出願の優先日の時点で、低い肝生検/精度の比に反映される非常に正確な分類および低い肝生検の必要性の点で、出願人に知られている代替手段の中で最善の解決法だと思われた。
【発明の概要】
【0014】
従って、本発明は、高い精度で個体における線維症の存在または重症度を評価するために、例えば二項ロジスティック回帰分析などの数学的関数によって得られる、血液検査スコアおよび好ましくはFibroscanデータである画像化データを評価のために組み合わせたスコアを導く、非侵襲的方法に関する。
【0015】
本発明で説明されている同時的組み合わせによって、血液検査および画像化手段の利点が累積され、それらの欠点が差し引かれ、それにより肝線維症に対する個々の診断精度が著しく上昇する。
【0016】
一実施形態では、本発明の方法は、少なくとも2つのスコアを得るために、本方法を数回、少なくとも二回繰り返すことを含む。本実施形態では、本発明の方法は、さらなる工程において、上に記載したような少なくとも2つのスコア(すなわち、例えば二項ロジスティック回帰分析などの数学的関数によって、血液検査スコアおよび画像化データ、好ましくはFibroscanデータを組み合わせて得られた2つのスコア)の組み合わせを含んでもよく、前記組み合わせは、診断上の信頼区間(実施例1の表5を参照)に基づくアルゴリズムにおいて実施される。このさらなる工程を実施することによって、線維症の非侵襲的診断のために、F≧2指数、F≧3指数、F4指数と呼ばれる3つの新しいスコア/分類が得られる。このさらなる工程の実施は産業上非常に着目されており、これによって精度が高まる。従って、本発明は、数学的関数によって、少なくとも1つの血液検査と肝線維症を診断する物理的方法から得られた少なくとも1つのデータとの組み合わせを少なくとも二回行ない、少なくとも2つの得られたスコアを診断上の信頼区間に基づくアルゴリズムにおいて組み合わせる方法にも関する。
【0017】
本発明の方法によって診断精度を向上させ、かつアルゴリズムにおける生検の必要性を著しく低下させる。
【0018】
従って、本発明は、肝病変の存在または重症度を診断し、かつ/または個体における肝病変に対する治療処置の有効性を監視する方法であって、少なくとも1つの血液検査と、超音波検査弾性率測定法(例えば、Fibroscan(商標)またはARFI)データおよび臨床的測定値を含む医用画像データからなる群から選択される肝線維症を診断する物理的方法から得られた少なくとも1つのデータとの組み合わせを含み、前記組み合わせを数学的関数によって行う方法に関する。第1の実施形態によれば、医用画像データはLSEデータである。別の実施形態によれば、臨床的測定値は、線維症を診断するための対象データである当業者に知られているような脾臓の測定値(特に長さ)である。
【0019】
数学的関数は当業者に知られている。数学的関数は、好ましくは二項ロジスティック回帰分析である。
【0020】
より具体的には、本発明の方法は:
a)個体の血液試料から、APRI、FIB−4、Hepascore、Fibrotest(商標)およびFibroMeterからなる群から選択されるスコアを得る工程と、
b)線維症に関するデータを収集するために肝線維症を診断する物理的方法を行う工程と、c)数学的関数(好ましくは二項ロジスティック回帰分析)において、スコアと物理的方法から得られたデータとを組み合わせて、それにより肝病変の存在および/または重症度の診断のための新しいスコアを得、かつ/または個体における肝病変に対する治療処置の有効性を監視する工程と、
を含む。
【0021】
好ましい実施形態では、当該組み合わせは同時的組み合わせである。同時的組み合わせは、工程a)のデータと工程b)のデータの、通常は二項ロジスティック回帰分析による新しいスコアへの1段階の組み合わせである。
【0022】
同時的組み合わせは、以下のように行われる。血液検査の結果および物理的方法からのデータ、好ましくはFibroscan(商標)またはARFIからのデータ(例えば、LSEデータ)を第1段階で記録する。次いで、それらの値をコンピュータ処理して組み合わせられたスコアを得る。
【0023】
出願人は、予想外にも、肝疾患または肝臓病の存在または重症度を立証する本発明の方法の実施から得られ、好ましくは血液検査および物理的方法からのデータ(好ましくはLSEデータであり、好ましくは超音波検査弾性率測定法から得られる)の同時的組み合わせから得られたスコアは向上した精度を有し、従って、逐次アルゴリズムにおける生検の必要性を低下させた(有意な線維症の診断のため:生検の必要性約20%、肝硬変の診断のため:生検の必要性約10%)ことに気付いた。本発明によれば、本発明の方法の精度は、75%よりも高く、好ましくは80〜99%、より好ましくは85〜95%、さらにより好ましくは約90%も高い。精度は、正確に分類された患者数を意味する。
【0024】
好ましくは、肝疾患または肝臓病は、有意な門脈−隔壁性(porto−septal)線維症、高度な門脈−隔壁性線維症、小葉中心性線維症、肝硬変、類洞周囲線維症であり、上記線維症はアルコール性または非アルコール性である。一実施形態によれば、個体は慢性C型肝炎患者である。
【0025】
本発明の一実施形態によれば、血液検査は、APRI、FIB−4、Hepascore、Fibrotest(商標)およびFibroMeter(商標)からなる群から選択されるスコアである。FibroMeter(商標)が好ましい。
【0026】
APRIは、血小板およびASTに基づく血液検査である。
【0027】
FIB−4は、血小板ASAT、ALTおよび年齢に基づく血液検査である。
【0028】
Hepascoreは、ヒアルロン酸、ビリルビンα2−マクログロブリン、GGT、年齢および性別に基づく血液検査である。
【0029】
Fibrotest(商標)は、α2−マクログロブリン、ハプトグロビン、アポリポタンパク質A1、総ビリルビン、GGT、年齢および性別に基づく血液検査である。
【0030】
FibroMeter(商標)は、その内容が慢性肝疾患の原因に依存する血液検査のファミリーであり、その詳細な診断標的を以下の表に示す:
【表1】


A2M:α2−マクログロブリン、HA:ヒアルロン酸、PI:プロトロンビン指数、PLT:血小板、Bili:ビリルビン、Fer:フェリチン、GIu:グルコース、F:線維症スコア(Metavir)、AOF:線維症の面積、NAFLD:非アルコール性脂肪肝疾患
【0031】
好ましくは、物理的方法は、超音波検査法、特にドップラー超音波検査法および超音波検査弾性率測定法および超音波検査速度測定法、IRMおよびMNR、特にMNR弾性率測定法もしくは速度測定法からなる群から選択される。好ましくは、データはLSEデータである。本発明の好ましい実施形態によれば、データはFibroscanから得られる。
【0032】
好ましい実施形態によれば、数学的ロジスティック回帰分析の関数は以下である:
スコア=a+a+a+...
(式中、a係数は定数であり、xは独立変数である)。
【0033】
このスコアはpロジットに対応し、pは有意もしくは高度な線維症または肝硬変の存在の確率である。
pは、以下のように計算する:
p=exp(a+a+a+...)/(1+exp(a+a+a+...))
または、p=1/(1+exp(−a−a−a−...))
(式中、aおよびxは、スコアの式のaおよびxに対応する)。
【0034】
病変(例えば有意な線維症)の存在は、ほぼ0.5に等しいか、最大のYouden指数(Se+Spe−1)に等しいか、あるいは最大の診断能に等しい診断閾値よりも高い確率pによって決定される(特に明記しない場合)。
【0035】
本発明の一実施形態によれば、有意な線維症のために本発明の方法の二項回帰で使用され得る係数は、3.9066(FM)+0.1870(FS)−2.8345(式中、FM:FibroMeter値、FS:Fibroscan値)である。
【0036】
本発明の別の実施形態によれば、肝硬変のために本発明の方法の二項回帰で使用され得る係数は、3.6128(FM)+0.1484(FS)−6.4999である。
【0037】
本発明のさらに別の実施形態によれば、高度な線維症のために本発明の方法の二項回帰で使用され得る係数は、3.3135(FM)+0.1377(FS)−4.2485(式中、FM:FibroMeter値、FS:Fibroscan値)である。
【0038】
二項ロジスティック回帰分析のスコア:慢性ウイルス性C型肝炎において特に観察された95%信頼区間で示すベータ係数は、例えば以下となり得る:
【表2】

ここでは
FM=FibroMeter(商標)
FS=Fibroscan(商標)
【0039】
本発明の好ましい実施形態によれば、血液のスコアはFibroMeterのスコアであり、物理的方法のデータは超音波検査弾性率測定法によるLSEデータである。試験した全ての集団において、FibroMeterは、LSEよりもAUROCが僅かに低いにも関わらず、有意な線維症の第1の独立予測因子として常に特定された。実際、FibroMeterによって、ロジスティック回帰分析では最も高い診断精度が得られた。さらに、FibroMeterは、一般的な血液検査の中で最も正確であり、かつロバストである可能性が高い(18)。出願人の研究における様々な評価の中で、FibroMeterとLSEの同時的組み合わせは、有意な線維症ならびに肝硬変の診断にとって最も正確であった。
【0040】
有利には、肝疾患または肝臓病の存在または重症度は2段階で診断し、第1段階はFibroMeter血液検査であり、第2段階は物理的方法からのデータ(好ましくはLSEデータ)の収集であり、ここでは、Fibrometer血液検査および前記データの組み合わせをロジスティック回帰分析によって行う。
【0041】
本発明の方法によれば、肝生検/精度の比は、0.10(肝硬変)〜0.22(臨床的に有意な線維症)の範囲であってもよいが、この比は、同時的組み合わせを使用しない古典的なアルゴリズムでは、0.25〜0.51の範囲である。
【0042】
一実施形態によれば、本発明の方法によって、有意な線維症指数(SF指数)と呼ばれる有意な線維症スコアが得られる。このスコアは、血液検査(好ましくはFibroMeter)および画像化データ(好ましくはLSEデータ)の両方を有する一群の患者における実験からの結果を用いて組み立てられた。
【0043】
本発明の別の実施形態によれば、本発明の方法によって、肝硬変患者の診断のために本発明の方法を実施するC指数と呼ばれる肝硬変スコアが得られる。
【0044】
本発明の方法によって得られる精度の利益については、出願人は、本発明の方法によって、特に有意な線維症の診断のための血液検査または物理的データ(例えばLSE)単独よりも著しく高いAUROC、および肝硬変のための適中率の利益が得られることに気付いた(例えば、実施例2の表4を参照)。
【0045】
SF指数については、この指数は、各線維症ステージにおける各単一の試験、すなわちF0/1ステージにおける血液検査およびF≧2ステージにおけるLSE(例えば図1を参照)によって得られる最も低い誤分類率を継承していた。さらに、SF指数は、血液検査とLSEとが一致しない症例の66%を解決した(例えば、実施例2の表5を参照)。最後に、SF指数によって、90%以上の適中率の区間に含まれる患者の割合が有意に増加した(例えば実施例2の表6を参照)。従って、SF指数は、逐次アルゴリズムにおける血液検査またはLSEよりも非常に有意に低い肝生検率を誘発した。さらに、SF指数によって決定される3つの単純な診断上の信頼区間(F0/1、F1±1およびF≧2)によって、肝生検を必要とせずに90.6%の精度で集団の100%において非侵襲的診断が行なわれた(例えば図3aを参照)。
【0046】
C指数については、この指数によって、LSE単独と比較して、肝硬変の診断精度において明白な有意な利益が得られなかったが(例えば、実施例2の表3、4を参照)、2つの利点が得られた:1)C指数は、LSEと血液検査が一致しない症例の68.4%を解決し(例えば、実施例2の表5を参照)、かつ2)90%以上の適中率を有する患者の割合が、LSEまたは血液検査単独による場合よりも有意に高く(例えば、実施例2の表6を参照)、その結果、当該アルゴリズムにおいて必要とされる肝生検率が非常に低下した(9%)。最後に、C指数によって、個々の診断上の3つの信頼区間(肝硬変でない、F≧2、および肝硬変である)を検討することで、肝生検を必要とせずに90.3%の精度で患者の100%において肝硬変の非侵襲的診断が可能となった。
【0047】
最近の予備研究(34)において実証されるような逐次アルゴリズムについては、出願人は、パドバ(Padova)アルゴリズムがボルドー(Bordeaux)およびアンジェアルゴリズムよりも有意に高い有意な線維症のための診断精度を有することを示した。しかし、この精度は主に、必要とされる高い肝生検率に起因するものであった。実際、アルゴリズムの臨床的対象を評価するためには、必要とされる肝生検率および肝生検を必要としていない患者の中で正確に分類された患者の割合が、全体の診断精度よりも適切な記述子である。その点で、アンジェアルゴリズムは、高い診断精度(91.9%)と最も低い必要とされる肝生検率(20.2%)との間で最善な解決法を提供した。最後に、アルゴリズムによって得られる明らかに誤分類された患者の一部は、実際には基準として使用される肝生検の誤分類(サンプリング誤差および観察者変動)に起因する可能性があることに気付かなければならない。
【0048】
本発明を実施するために行われる作業では、ボルドーおよびパドバアルゴリズムの有意な線維症または肝硬変の診断精度は、以前に公開されたものに類似していた(16、34、35)。従って、出願人は、アルゴリズムに関する以前の基準であったこれらのアルゴリズムの独立した外部検証を本明細書に提供する。興味深いことに、3つのアルゴリズムの精度は、アンジェCアルゴリズムによる肝硬変以外は、慢性ウイルス性肝炎患者とCLDの他の原因を有する患者との間で有意に異ならなかった。ボルドーおよびパドバアルゴリズムが慢性ウイルス性C肝炎に向けて作製されたものであるため、本発明はこれらの逐次アルゴリズムをCLDの他の原因にも応用できると述べている。
【0049】
従って、本発明の方法は、有意な線維症のための検査の診断精度を有意に上昇させ、かつ有意な線維症および肝硬変の適中率によって個々の診断の信頼性を増加させる。当該組み合わせは、非侵襲的検査間の一致しない結果を解決し、かつ肝生検(LB)との一致しない結果を減少させる。線維症または肝硬変が固有の二項診断標的である場合、当該組み合わせによって、有意な線維症または肝硬変の従来の診断におけるLBの必要性も低下する。また、以前の二項診断標的に中間の診断標的を加える信頼性が高い個々の診断の新しい方法は、あらゆるLBの必要性を抑えるか、あるいはかなり低下させる。最後に、血液検査スコア+画像化データの同時的組み合わせを含む単純な逐次アルゴリズムによって高い診断精度が得られると共に、特に肝硬変の診断のためのLBの必要性が10%未満まで低下した。
【0050】
また、本発明の一実施形態によれば、本発明の方法は、さらなる工程において、診断上の信頼区間に基づくアルゴリズムにSF指数およびC指数の組み合わせを含んでいてもよい(例えば、実施例1の表5を参照)。
【0051】
本発明は、図の考察と共に示される以下の実施例を考慮すれば、より良く理解されるであろう。
【0052】
図1〜図4は実施例2について示すものである。図5は実施例1について示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】Metavir線維症ステージの関数としての、FibroMeter、肝硬度測定(LSE)およびそれらの同時的組み合わせ(SF指数)の有意な線維症についての誤分類率(%)。最も高いYouden指数によれば、有意な線維症に使用される診断のカットオフは、FibroMeter:0.538、LSE:6.9キロパスカル、およびSF指数:0.753であった。
【図2】有意な線維症(アンジェSFアルゴリズム、パネル2a)または肝硬変(アンジェCアルゴリズム、パネル2b)の診断のための逐次アルゴリズム。FibroMeterおよびLSEを組み合わせた特定のスコア(有意な線維症に対してSF指数または肝硬変に対してC指数)を最初に使用し、不確定診断の場合は、その後に肝生検が必要とされた。
【図3】有意な線維症(パネル3a)または肝硬変(パネル3b)の診断上の信頼区間:X軸上のSF指数(3a)またはC指数(3b)の90%の陰性適中率(NPV)および陽性適中率(PPV)の閾値によって決定される区間の関数としてのY軸上の肝生検によるMetavir線維症(F)ステージの割合。診断上の信頼区間に含まれる患者の割合(%)はX軸上の括弧内に示す。
【図4】肝硬変の診断のための実用的なアルゴリズム(アンジェCアルゴリズム)。FibroMeterおよびFibroscan値を組み合わせたスコア(C指数)を第1段階で計算する。本研究によれば、第1の非侵襲的段階では、肝硬変は、患者の70.4%で認められず、20.2%で認められた。肝生検は、患者の9.4%でのみ、第2段階で必要とされた。
【図5】F≧2、F≧3およびF4指数の診断上の信頼区間。パネル1a:統計的診断カットオフ(0.500)、およびF≧2指数による有意な線維症の90%の陰性および陽性適中率の閾値による、Metavir線維症ステージ(F)の割合。パネル1b:統計的診断カットオフ(0.500)、およびF≧3指数による高度な線維症の90%の陰性および陽性適中率の閾値による、Metavir線維症ステージ(F)の割合。パネル1b:F4指数による肝硬変の95%の適中率の閾値による、Metavir線維症ステージ(F)の割合。
【実施例】
【0054】
以下の実施例は、適切な場合には図を参照しながら説明する場合もあるが、決して本発明の範囲を限定するとものとはみなされないものとする。
【実施例1】
【0055】
血液線維症検査およびFibroscan(商標)のような超音波検査弾性率測定法によって測定される肝硬度は、線維症の組織学的ステージにかなり相関している。この研究では、血液検査およびFibroscanの新規な組み合わせによって、肝線維症ステージの非侵襲的診断を向上させることを目標とした。
【0056】
方法:3つのセンター全体の慢性C型肝炎を有する349人の患者が研究に参加した。各患者に対して、肝生検および線維症試験:Fibroscan(FS)、Fibrotest、FibroMeter(FM、有意な線維症または肝硬変に対して)、Hepascore、FIB−4およびAPRIを行なった。肝線維症の基準はMetavirF病期分類であった。有意な線維症(F≧2)または肝硬変(F4)に独立して関連づけられる線維症試験は、349人の患者の1000個のブートストラップ標本に対して繰り返した段階的な二項ロジスティック回帰分析によって特定した。
【0057】
結果:診断標的の有病率は、有意な線維症:67.9%、肝硬変:11.8%であった。1000個のブートストラップ標本に対する多変量解析によって、FMおよびFSが有意な線維症または肝硬変に最も頻繁に関連づけられる試験であることが分かった。従って、二項ロジスティック回帰分析を使用することによって、FSおよびFMを組み合わせた2つの新しいスコア、すなわち有意な線維症の診断のためのF2スコアおよび肝硬変のためのF4スコアを得た。F2スコアによって、患者の55.6%において、90%以上の適中率で信頼性が高い有意な線維症の診断が得られた。F4スコアによって、患者の89.1%において、95%以上の適中率で信頼性が高い肝硬変の診断が得られた。最も高い診断精度のそれらの区間の関数としてのF2スコアおよびF4スコアを組み合わせたアルゴリズムによって、新しい診断分類(患者の割合)、すなわちF0/1(9.5%)、F1/2(17.2%)、F2±1(27.2%)、F2/3(33.2%)、F3±1(10.9%)およびF4(2.0%)を生成した。肝生検の結果によれば、この新しい分類によって、FM(67.6%、p<10−3)、FS(55.3%、p<10−3)およびFibrotest(33.2%、p<10−3)分類を上回る88.0%の診断精度が得られた。さらに、新しい分類の診断精度は、3つのセンター(92.9%、85.7%および86.3%、p=0.20)または25mm未満または25mm以上の生検を行なった患者間(それぞれ:87.2%対88.5%、p=0.72)で有意に異ならなかった。
【0058】
結論:慢性C型肝炎患者における肝線維症の非侵襲的診断は、FibroMeterおよびFibroscanの組み合わせによって向上した。試験の組み合わせから導き出された2つのスコアを用いる新しい分類は単一の線維症試験よりも非常に正確であり、それにより、肝生検を全く行なわずに88%の精度で患者の100%において非侵襲的診断が行なわれる。
【0059】
患者
調査群には349人の患者が含まれていた。Fibrostar研究の512人からの132人の患者が調査群にすでに含まれていた。従って、最終的に380人の患者が含まれていた検証群からこれらの患者を除いた。調査群および検証群の両方の特徴を実施例1の表1に詳述する。この2つの群の中で、肝生検の93.5%は信頼性が高いとみなされた。
【0060】
新しい分類の実施(調査群)
【0061】
血液線維症検査とLSEとを組み合わせた新しいスコア
【0062】
有意な線維症−有意な線維症の診断のために1000個のブートストラップ標本に対して繰り返した段階的な二項ロジスティック回帰分析によって最も頻繁に選択された線維症試験は、LSEおよびFibroMeterであった(実施例1の表2)。F≧2指数は、調査群の集団全体において行われる二項ロジスティック回帰分析においてこれらの2つの線維症試験を独立変数として含めて実施した。特に有意な線維症の診断のために設計されたF≧2指数の回帰スコアは、3.9066(FibroMeter)+0.1870(LSEの結果)−2.8345であった。F≧2指数は、FibroMeterおよびLSEよりも有意に高いAUROCを有していた(実施例1の表3)。
【0063】
高度な線維症−1000回のブートストラップ多変量解析によって最も頻繁に選択された線維症試験はLSEおよびFibroMeterであった(実施例1の表2)。これらの2つの線維症試験を含み、かつ特に高度な線維症の診断のために設計されたF≧3指数の回帰スコアは、3.3135(FibroMeter)+0.1377(LSEの結果)−4.2485であった。F≧3指数はFMおよびLSEよりも高いAUROCを有していたが、差はFibroMeterに対してのみ有意であった(実施例1の表3)。
【0064】
肝硬変−1000回のブートストラップ多変量解析によって最も頻繁に選択された線維症試験は同様にLSEおよびFibroMeterであった(実施例1の表2)。これらの2つの線維症試験を含み、かつ特に肝硬変の診断のために設計されたF4指数の回帰スコアは、3.6128(FibroMeter)+0.1484(LSEの結果)−6.4999だった。F4指数はFMおよびLSEよりも高いAUROCを有していたが、差はFibroMeterに対してのみ有意であった(実施例1の表3)。
【0065】
診断上の信頼区間
【0066】
有意な線維症−F≧2指数には、90%以上の陰性適中率(NPV)区間に32人(9.2%)の患者と、90%以上の陽性適中率(PVP)区間に161人(46.1%)の患者が含まれていた(実施例1の表4)。従って、F≧2指数によって、LSEでは33.8%(p<10−3)、そしてFibroMeterでは55.6(p=1.00)に対して、患者の55.3%において90%以上の精度で有意な線維症の信頼性が高い診断が可能となった。F≧2指数値の不確定区間、すなわち0.248超〜0.784未満は、0.500の統計的カットオフに従って2つの新しい区間に分割した。より低い区間(0.248超〜0.500未満)に含まれる患者の90.2%は、肝生検の結果に従ってF1/2ステージを有し、より高い区間(0.500以上〜0.784未満)に含まれる患者の96.8%は、F1/2/3ステージを有していた(図1a)。最後に、F≧2指数によって、4つのIRD、すなわちF0/1、F1/2、F2±1およびF≧2が得られた。これらの区間を使用することにより、肝生検を全く行なわずに患者の92.0%が適切に分類された(図1a)。FibroMeterによって、同じ4つのIRDを得、これにより患者の90.3%が適切に分類された(F≧2指数に対してp=0.263)。
【0067】
高度な線維症−F≧3指数には、高度な線維症のための90%以上の適中率の区間に、FibroMeterでは41.8%(p<10−3)、そしてLSEでは46.4%(p=0.235)に対して、174人(49.9%)の患者が含まれていた(実施例1の表4)。0.500の統計的カットオフに従ってF≧3指数の中間区間を分割して、F≧3指数によって4つのIRD(F≦2、F2±1、F≧2、F≧3、図1b)を得、それにより、肝生検を全く行なわずに患者の91.7%が適切に分類された。最も高いYouden指数(9.2kPa)に対応するカットオフによってその中間区間を分割して、LSEによって同じ4つのIRDを得、それにより患者の91.1%が適切に分類された(F≧3指数に対してp=0.860)。
【0068】
肝硬変−F4指数には、肝硬変のための95%以上の適中率の区間に、FibroMeterでは65.9%(p<10−3)、そしてLSEでは87.4%(p=0.096)に対して、313人(89.7%)の患者が含まれていた(実施例1の表4)。0.500のカットオフに従って中間区間を分割することによって2つの異なる群を区別することはできなかった。最後に、F4指数によって、3つのIRD(F≦3、F≧2およびF4)を得、それにより患者の95.1%が適切に分類された(図1c)。
【0069】
新しい分類
第1の分類(分類A)は、それらのIRDと共に使用されるF≧2およびF≧3指数から導き出された(実施例1の表5)。分類Aには、6つのクラス、すなわちF0/1、F1/2、F2±1、F2/3、F≧2およびF≧3が含まれていた。それにより、調査群において86.2%の診断精度が得られた。第2の分類(分類B)は、F≧2およびF4指数のIRDから導き出された(実施例1の表5)。分類Bには、6つのクラス(F0/1、F1/2、F2±1、F2/3、F≧2、F4)が含まれ、それにより、88.3%の診断精度が得られた(分類Aに対してp=0.143)。第3の分類(分類C)は、FibroMeterに関する有意な線維症のためのIRDおよびLSEに関する高度な線維症のためのIRDから導き出された(実施例1の表5)。FibroMeterおよびLSEのRDIの結果は2人の患者において一致せず、よって診断は不確定となった(実施例1の表5)。分類Cには、最終的に8つのクラス(F0/1、F1、F1/2、F2、F2±1、F2/3、F≧2、F≧3)が含まれ、84.0%の診断精度が得られた(分類Aに対してp=0.229)。
【0070】
分類の検証(検証群)
線維症試験の分類の診断精度−新しい分類AおよびBによって適切に分類された患者の割合は、検証群において有意に異ならなかったが(それぞれ、84.2%対82.4%、p=0.149)、FibroMeter、LSEおよびFibrotestのその割合よりも有意に高かった(実施例1の表6)。1人の患者では、70.3%の診断精度が得られた分類Cによる診断は不確定であった。すでに公開されている分類の中で、FibroMeterによって最も高い診断精度(LSEおよびFibrotestに対して69.7%、p<0.029)が得られ、Fibrotestによってそれ以下の精度が得られた(他の分類に対してp<10−3)。最後に、検証群におけるそれらの診断精度に従って、当該分類を、A、B>C>FibroMeter>LSE>Fibrotestのように順序づけした(実施例1の表6)。
【0071】
影響を与えている要因−研究集団全体において、独立変数としての年齢、性別、生検長さ、MetavirFおよびIQR/中央値を含む段階的な二項ロジスティック回帰分析を行った。分類Aによる誤分類は、IQR/中央値の比にのみ独立して関連づけられた。検証群では、分類Aによって、0.21超のIQR/中央値を有する患者における70.1%の精度に対して、0.21未満のIQR/中央値を有する患者において88.2%の診断精度が得られた(p=0.010)。0.21未満のIQR/中央値を有する患者の小群では、分類Aは、分類B(85.5%)に対してp=0.007、他の分類に対してp<10−3を有する最も高い診断精度を有していた。
【0072】
臨床診療における抗ウイルス療法のための管理−FibroMeter分類:≧F2/3、LSE:≧F2、Fibrotest:≧F2、分類AおよびB:≧F2±1および分類C:≧F2であった場合は、抗ウイルス療法が検討された。分類Aを使用することにより、検証群の患者の12.1%に対して抗ウイルス療法が検討されたが、彼らは、肝生検では、線維症なし/軽度の線維症という診断であった(実施例1の表7)。他方、患者の9.7%は、肝生検で有意な線維症と診断されたが治療されなかった。最後に、分類Aによって、抗ウイルス療法のために適切に管理された患者の割合が最も高かった(他の分類に対して78.2%、p<0.040)。
【0073】
実施例1の表1:参加した患者の特徴
【表3】

LSE:肝硬度測定、kPa:キロパスカル、IQR:四分位数間領域
【0074】
実施例1の表2:ブートストラップした段階的な二項ロジスティック回帰分析における診断標的の関数としての候補予測因子の選択
【表4】

【0075】
段階的な二項ロジスティック回帰分析を、調査群からの349人の対象の1000個のブートストラップ標本に対して行なった。上記表は、任意の線維症試験が1000回の多変量解析から選択された回数を示す。各診断標的に対して、LSEおよびFibroMeterが主に選択された変数であった。
【0076】
表3:診断標的および患者群の関数としてのFibroMeter、LSEおよびそれらの同時的組み合わせのAUROC
【表5】

【0077】
実施例1の表4:患者群および線維症試験の関数としての有意な線維症(Metavir:F≧2)の90%以上の陰性適中率(NPV)および陽性適中率(PPV)ならびに肝硬変(Metavir:F=4)の95%以上の適中率によって定義される診断上の信頼区間に含まれる患者の割合
【表6】

NPV90%以上およびPPV90%以上のカットオフを調査群において計算し、検証群および集団全体において検証した。
有意な線維症。NPV90%以上のカットオフ:FibroMeter:≦0.110、Fibroscan:≦3.2、F≧2指数:≦0.248、PPV90%以上のカットオフ:FibroMeter:≧0.608、Fibroscan:≧9.2、F≧2指数:≧0.784。高度な線維症。NPV90%以上のカットオフ:FibroMeter:≦0.554、Fibroscan:≦6.8、F≧3指数:≦0.220、PPV90%以上のカットオフ:Fibroscan:≧32.3、F≧3指数:≧0.870。肝硬変。NPV95%以上のカットオフ:FibroMeter:≦0.757、Fibroscan:≦14.5、F4指数:≦0.244、PPV90%以上のカットオフ:Fibroscan:≧34.1、F4指数:≧0.817、PPV95%以上のカットオフ:Fibroscan:≧35.6、F4指数:≧0.896。
有意な線維症のためのSF指数、高度な線維症のためのX指数および肝硬変のためのC指数。
【0078】
実施例1の表5:いくつかの線維症試験(F≧2およびF≧3指数、F≧3およびF≧4指数、FibroMeterおよびFibroscan)の診断上の信頼区間の解釈から導き出された線維症の非侵襲的診断のための3つの新しい分類の実施。新しい分類はイタリック体で示す(括弧内:肝生検の結果による新しい分類の各クラスにおける適切に分類された患者の割合)。灰色のセルは一致しない結果に対応する。
【表7】

【0079】
実施例1の表6:患者群の関数としてのいくつかの線維症試験の分類の診断精度(適切に分類された患者の割合)
【表8】

6つのクラス(de Ledinghen, GCB 2008)、4つのクラス(Ziol 2005)、
4つのクラス(Stebbing 2009 + ≧9.6kPa, F≧3について)、
3つのクラス(Stebbing 2009)
【0080】
実施例1の表7:線維症試験の分類の結果による抗ウイルス療法のための患者の管理(検証集団における患者の割合、%)
【表9】

抗ウイルス療法のための指標:分類AおよびB:≧F2±1、分類C:≧F2、FibroMeter:≧F2/3、Fibroscan(VDL):≧F2、Fibroscan(ZiolおよびStebbingの4つのクラス):≧F2、Fibroscan(Stebbingの3つのクラス:≧F2/3、Fibrotest:≧F2
【実施例2】
【0081】
患者
アンジェおよびボルドー(フランス)の大学病院における経皮的肝生検のために入院している390人の慢性肝疾患(CLD)患者が研究に参加した。194人の患者が、2004年4月から2007年6月までアンジェ施設において参加し(A群、調査群)、196人の患者が2003年9月から2007年4月までボルドー施設において参加した(B群、検証群)。肝硬変の合併症(腹水、静脈瘤の出血、全身性感染および肝細胞癌)を有する患者は含まれていなかった。血液線維症検査およびLSEによる肝線維症の非侵襲的評価を肝生検前の1週間の間に行なった。
【0082】
方法
【0083】
組織学的肝線維症の評価
経皮的肝生検は1.4〜1.6mmの直径の針を用いるMenghini法を使用して行なった。各施設では、肝線維症は、(アンジェにおける総意による)Metavir病期分類に従って、肝臓学を専門とする上級病理学者が評価した。有意な線維症は、MetavirステージF≧2によって定義した。生検の長さが15mm以上であり、かつ/または門脈路の数が8つ以上の場合、肝線維症の評価は信頼性が高いとみなされた(17)。
【0084】
線維症血液検査
血液検査(APRI、FIB−4、Fibrotest、HepascoreおよびFibroMeter(FM))は、公開されている式または特許に従って計算した。FibroMeterに対しては原因別の式を使用した(9、18、19)。全ての血液アッセイは各施設の同じ研究室で行なった。これらの試験の研究室間の再現性は優れていた(20)。
【0085】
肝硬度測定
LSE(FibroScan(登録商標)、EchoSensTM、フランスのパリ)は経験豊富な観察者(研究前のLSE:50件超)が行ない、患者のデータは盲検であった。他の文献(21、22)に詳述されているように、LSE条件は製造業者によって推奨されている条件であった。10個の有効な測定値が記録されるとLSEは停止された。LSEの結果はkPaで表し、LSEの範囲内で実施された全ての有効な測定値の中央値に対応していた。四分位数間領域(kPa)は先に述べたように定義した(21)。
【0086】
統計的解析
特に明記しない限り、定量的変数は平均±標準偏差として表した。必要であれば、線維症試験の診断カットオフ値は、最も高いYouden指数(感度+特異度−1)に従って計算した。この技術によって、適切な診断カットオフを選択することで、高感度と高特異度とが平衡した診断精度を最大にすることができる。ここで、診断カットオフとは、診断標的(有意な線維症または肝硬変)を有するか否かで患者を区別する血液検査またはLSEの値である。
【0087】
線維症試験の精度−線維症試験の性能は、主に受信者動作特性曲線下面積(AUROC)として表した。信頼性が高い個々の診断は、従来の陰性適中率(NPV)および陽性適中率(PPV)によって、あるいは、診断上の信頼区間の最近報告されている方法(18)のいずれか一方によって決定した(正確な定義については付録を参照)。AUROCは、Delong法(23)によって比較した。
【0088】
線維症試験の同時的組み合わせ−血液検査およびLSEの組み合わせを、3つの集団、すなわちA、BおよびA+B群において研究した。各集団において、従属変数としての肝生検および独立変数としての血液線維症検査およびLSEの結果に基づいて決定された有意な線維症を用いて前進二項ロジスティック回帰分析を行った。次いで、多変量解析によって得られた回帰スコアを使用することにより、有意な線維症の診断のための新しい線維症試験を実施した。肝硬変の診断のために同じ方法論を使用した。
【0089】
標本サイズ−標本サイズは、調査集団におけるFMと同時的組み合わせとの間で有意な線維症の診断に対する有意差を示すように決定した。αリスク:0.05、βリスク:0.20、有意な線維症の有病率:0.70、AUROCの相関:0.70、および両側検定という条件で、標本サイズは、FM:0.84、同時的組み合わせ:0.90というAUROCの仮定に対して159人の患者であった。統計解析のために使用したソフトウェアプログラムは、Windows(登録商標)版SPSSバージョン11.5.1(SPSS社、米国イリノイ州シカゴ)およびSAS9.1(SAS Institute社、米国ノースカロライナ州カリー)であった。
【0090】
結果
【0091】
患者
390人の患者の特徴を実施例2の表1にまとめる。患者の平均年齢は52.4歳であり、67.9%は男性であり、74.4%は有意な線維症を有していた。患者の89.5%が信頼性が高いとみなされる肝生検を受けた。12人の患者において肝硬度測定に失敗した(総合的な失敗率:3.1%)。研究に参加した390人の患者のうち332人が全ての5種類の血液検査およびLSEを受けた。
【0092】
実施例2の表1:対象患者の特性
【表10】

IQR:四分位数間領域(キロパスカル)
A群とB群との間のt検定またはχによる
【0093】
有意な線維症の診断
【0094】
血液検査およびLSEの精度(実施例2の表2)
LSEのAUROCは、有意な線維症の診断のためのHepascore、FIB−4およびAPRIのAUROCよりも有意に高く、かつFibroMeterおよびFibrotestのAUROCとは有意に異ならなかった。
【0095】
実施例2の表2:5種類全ての血液検査およびLSEを行なった332人の患者における、診断標的の関数としての血液検査および肝硬度測定(LSE)のAUROC
【表11】

Delong試験による
【0096】
同時的組み合わせ
非侵襲的試験の組み合わせ(実施例2の表3)−試験した3つの集団のそれぞれにおいて、第1段階で、肝生検によって定義される有意な線維症をFibroMeterによって独立して診断し、第2段階で肝硬度測定を行なった。A群(調査群)において行われた二項ロジスティック回帰分析によって得られた回帰スコアは、3.6224(FM)+0.4408(LSEの結果)−3.9850であった。このスコアは、有意な線維症の指数(SF指数)と呼ばれるFibroMeterと肝硬度測定との診断上の同時的組み合わせを実施するために使用した。次いで、この新しい線維症試験を検証群:B群(ボルドーセンター)およびA+B全体(pooled)群で評価した。
【0097】
実施例2の表3:患者群の関数としての有意な線維症または肝生検によって定義される肝硬変に独立して関連づけられる線維症試験(A:アンジェ、B:ボルドー)。
【表12】

LSE:肝硬度測定、
昇順段階による有意な線維症または肝硬変に独立して関連づけられる変数(第1段階が最も正確な変数である)
第2段階に関する累積診断精度
【0098】
SF指数の性能(実施例2の表4)−SF指数のAUROCは、A群とB群との間で有意に異ならなかった。SF指数のAUROCは、集団全体において、FibroMeter(FM)または肝硬度測定(LSE)のAUROCよりも有意に高かった。図1は、SF指数がより良好な性能プロファイルを有していたことを示す。すなわち、その誤分類率は、MetavirF≦1ステージにおけるLSEよりも有意に低く、かつMetavirF≧2ステージにおけるFMよりも有意に低かった。
【0099】
実施例2の表4:同時的組み合わせのAUROC(FM+LSE指数)。診断標的および患者群の関数としてのFibroMeter(FM)および肝硬度測定(LSE)のAUROCによる比較(A:アンジェ、B:ボルドー)
【表13】

有意な線維症のためのSF指数、肝硬変のためのC指数
Delong試験による
【0100】
実施例2の表4に示すように、SF指数は、各線維症ステージにおける各単一の試験、すなわちF0/1ステージにおける血液検査およびF≧2ステージにおけるLSEによって得られる最も低い誤分類率を継承していた(再度図1を参照)。
【0101】
LSEとFMとの不一致−診断標的に対する線維症試験間の不一致は、最も高いYouden指数によって決定される診断のカットオフに従って計算した。FMおよびLSEは、その88.9%が肝生検に従って正確に分類された279人(73.0%)の患者において一致した(F≦1:77.0%、F≧2:94.3%)。FMおよびLSEは、103人の残り(27.0%)の患者において一致せず、そのうちの68人(66.0%)は肝生検の結果に従ってSF指数によって正確に分類された(実施例2の表5)。最後に、SF指数によって316人(82.7%)の患者が正確に分類され、かつ33人(8.6%)の患者において正確な分類が向上した(すなわち、FMとLSEとの不一致がSF指数によって解決された)。
【0102】
さらに、SF指数は、血液検査とLSEとが一致しない症例の66%を解決した(実施例2の表5)。
【0103】
実施例2の表5:不一致。集団全体における有意な線維症または肝硬変の診断のためのFibroMeter(FM)と肝硬度測定(LSE)との不一致に対するFM+LSE指数の影響
【表14】

最も高いYouden指数による有意な線維症または肝硬変のために使用されるそれぞれの診断上のカットオフ値:FM:0.538および0.873、LSE:6.9および13.0キロパスカル、FM+LSE指数:0.753(SF指数)および0.216(C指数)
肝生検に従って正確または不正確と表される有意な線維症のためのSF指数または肝硬変のためのC指数による分類
肝生検に基づく両試験の分類。「不一致」とは、一方の試験が正しく、他方の試験が正しくないことを意味する
好ましい効果(68)−好ましくない効果(35)=向上(33)
好ましい効果(54)−好ましくない効果(25)=向上(29)
【0104】
患者の100%を確実に分類する方法
新しい逐次アルゴリズム−SF指数は、90%以上の適中率の古典的な区間(正確な定義については付録を参照)、特に90%以上のNPV区間に、FMまたはLSEよりも有意に多くの患者を含んでいた(実施例2の表6)。患者の81.7%において90%以上の適中率を有するSF指数、および患者の残りの18.3%で必要とされる肝生検を用いることによって、患者の91.9%において肝生検に基づく有意な線維症の正確な診断が得られた(実施例2の表6)。この2段階の逐次アルゴリズムをアンジェSFアルゴリズムと呼んだ。
【0105】
SF指数の診断上の信頼区間−この最近報告されている方法(18)によって、診断標的を変えることにより90%の適中率の以前の区間の間の区間における精度は90%以上となる。目的は、全ての患者にとって信頼性が高い診断を提供することである。SF指数の90%以上の適中率によって決定される不確定区間では、Metavir線維症ステージの割合は、肝生検によれば、F0:20.0%、F1:40.0%およびF2:32.9%であった(図3a)。従って、3つの診断上の信頼区間、すなわち90%以上のNPV区間におけるF0/1、中間の区間におけるF1+1(正確な分類:92.9%)、および90%以上のPPV区間におけるF≧2(F3+1)を得ることができた。最後に、この新しい分類によって、肝生検を全く用いずに患者の90.6%が正確に分類された。
【0106】
アルゴリズムの比較(実施例2の表7)−アンジェSFアルゴリズムをボルドー(24)およびパドバ(16)で以前に公開されたアルゴリズムと比較した。試験した集団は、Fibrotest、FibroMeter、APRIおよびLSEを受けた332人の患者であった。パドバアルゴリズムは、必要とされるLBの割合が有意に高いため、他のアルゴリズムと比較して有意に高い精度(95.2%)を有していた。アンジェアルゴリズムは、他のアルゴリズムと比較して必要とされる肝生検の割合が有意に低かった。従って、アンジェSFアルゴリズムは、非常に低い肝生検/精度の比に反映される、非常に正確な分類と低い肝生検の必要性との間における、最もよい妥協案であった。
【0107】
肝硬変の診断
【0108】
血液検査およびLSEの精度(実施例2の表2)
LSEは、肝硬変の診断のための血液検査よりも有意に高いAUROCを有していた。
【0109】
同時的組み合わせ
非侵襲的検査の組み合わせ(実施例2の表3)−肝硬変の診断のための線維症試験の最も的確な組み合わせはLSE+FMであった。A群(調査群)において行われた二項ロジスティック回帰分析によって得られた回帰スコアは、0.1162(LSEの結果)+1.9714(FM)−4.6616であった。このスコアは、肝硬変指数(C指数)と呼ばれるLSEおよびFMの診断上の同時的組み合わせを実施するために使用した。次いで、この新しい線維症試験を検証群:B群(ボルドーセンター)およびA+B全体群において評価した。
【0110】
C指数の性能(実施例2の表4)−C指数のAUROCは、A群とB群との間で有意に異ならなかった。試験した各群において、C指数はFMよりも有意に高いAUROCを有していたが、LSEのAUROCとの差は有意ではなかった。
【0111】
LSEとFMとの不一致−FMおよびLSEは、その90.8%が肝生検によって正確に分類された303人(79.3%)の患者において一致した(F≦3:94.7%、F4:82.1%)。FMおよびLSEは、残りの79人(20.7%)の患者において一致せず、そのうちの54人(68.4%)は肝生検の結果に従ってC指数によって正確に分類された(実施例2の表5)。最後に、C指数によって、329人(86.1%)の患者が正確に分類され、かつ29人(7.6%)の患者において正確な分類を向上させた(すなわち、FMとLSEとの不一致がC指数によって解決された)。
【0112】
100%の患者を確実に分類する方法
新しい逐次アルゴリズム(実施例2の表6)−C指数は、90%以上の適中率の古典的区間にFMまたはLSEよりも有意に多くの患者を含んでいた。患者の90.6%における90%以上の適中率を有するC指数、および患者の残りの9.4%において必要とされる肝生検を用いることによって、患者の91.9%において肝生検に基づく肝硬変の正確な診断が得られた(実施例2の表6)。この2段階の逐次アルゴリズムをアンジェCアルゴリズムと呼んだ(図4)。
【0113】
C指数の診断上の信頼区間−C指数の90%以上の適中率によって決定される不確定区間では、Metavir線維症ステージの割合は、肝生検によれば、F2:11.1%、F3:22.2%およびF4:58.3%であった(図3b)。従って、診断上の3つの信頼区間、すなわち90%未満のNPV区間における肝硬変なし(F≦3)、中間の区間におけるF≧2(F3±1)(正確な分類:91.6%)、および90%以上のPPV区間における肝硬変(F4)を得ることができた。最後に、この新しい分類によって、肝生検を全く用いずに患者の90.3%が正確に分類された。
【0114】
実施例2の表6:新しい逐次アルゴリズム。線維症試験の関数としての、集団全体における有意な線維症または肝硬変の診断のための90%以上の適中率の区間に含まれる線維症試験によって正確に分類された患者の割合
【表15】

診断が不確定なままであり(NPVおよびPPV90%未満)、従って肝生検を必要とする患者の割合。マクマネー(McNemar)検定による患者の割合の比較。有意な線維症:LSE対FibroMeter:p=0.006、SF指数対FibroMeterまたはLSE:p<10−3、肝硬変:FibroMeter対C指数またはLSE:p<10−3、C指数対LSE:p=0.02
集団全体の中で、90%以上の(陰性および陽性)適中率の区間によって正確に分類された患者の割合。マクマネー検定による患者の割合の比較。有意な線維症:LSE対FibroMeter:p=0.005、SF指数対FibroMeterまたはLSE:p<10−3、肝硬変:FibroMeter対C指数またはLSE:p<10−3、C指数対LSE:p=0.007。
アルゴリズムは2段階手順によって定義されている。すなわち、線維症試験が90%以上の適中率の区間と共に最初に使用され、その後、不確定の診断の区間に含まれる患者のために肝生検が必要とされる。従って、アルゴリズムの精度は、集団全体における線維症試験によって正確に分類された患者(4つ目の結果列)と肝生検の必要性(2の目の結果列)との合計として計算し、ここでは、精度は定義上100%である。肝硬変のためのFibroMeterとC指数との間のマクマネー検定による割合の比較:p=0.04、他:p:NS。
【0115】
逐次アルゴリズムの比較(実施例2の表7)−ボルドーアルゴリズムは、他のアルゴリズムと比較して肝硬変に対して有意により高い精度を有していた。しかし、アンジェCアルゴリズムは、他のアルゴリズムと比較して、必要とされる肝生検率が有意に低かった。従って、有意な線維症については、アンジェCアルゴリズムは、非常に低い肝生検/精度の比に反映される、非常に正確な分類と低い肝生検の必要性との間における、最もよい妥協案であった。
【0116】
実施例2の表7:有意な線維症または肝硬変の診断のための、アンジェ(本研究)、ボルドー(24)およびパドバ(16)の逐次アルゴリズム間の精度および肝生検(LB)の必要性の比較。試験した集団は、FibroMeter、Fibrotest、APRIおよびLSEを合わせて受けた332人の患者である。灰色のセルは、最も重要な結果を示す。
【表16】

以下の列からその割合を推論することができる肝生検を使用しない患者に含まれる血液検査の精度(%)。一対比較法は不可能であった。
アルゴリズムによって必要とされる肝生検の割合(%)。マクマネー検定による割合の比較。有意な線維症:アンジェ対ボルドー:p=0.02、パドバ対アンジェまたはボルドー:p<10−3、肝硬変:アンジェ対ボルドーまたはパドバ:p<10−3、ボルドー対パドバ:p=0.129
マクマネー検定による患者の割合の比較。有意な線維症:パドバ対アンジェ:p=0.02またはボルドー:p=0.007、アンジェ対ボルドー:p=0.50、肝硬変:ボルドー対アンジェ:p=0.04またはパドバ:p<10−3、アンジェ対パドバ:p=0.007
比:必要とされる肝生検(2つ目の結果列)/血液試験の精度(1つ目の結果列)の割合
【0117】
参考文献
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
肝病変の存在および/または重症度を診断し、かつ/または個体における肝病変に対する治療処置の有効性を監視し、それによりスコアを得る方法であって、少なくとも1つの血液検査と肝線維症を診断する物理的方法から得られた少なくとも1つのデータとの組み合わせを含み、前記データは、医用画像データおよび臨床的測定値からなる群から選択され、前記組み合わせを数学的関数によって行う方法。
【請求項2】
a)個体の血液試料から、APRI、FIB−4、Hepascore、Fibrotest(商標)およびFibroMeterからなる群から選択されるスコアを得る工程と、
b)線維症に関するデータを収集するために肝線維症を診断する物理的方法を行う工程と、
c)数学的関数、好ましくは二項ロジスティック回帰分析において、前記スコアと前記物理的方法から得られたデータとを組み合わせ、それにより肝病変の存在および/または重症度の診断のための新しいスコアを得、かつ/または個体における肝病変に対する治療処置の有効性を監視する工程と、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記医用画像処理は、超音波検査法、特にドップラー超音波検査法および超音波検査弾性率測定法および超音波検査速度測定法、IRMおよびMNR、特にMNR弾性率測定法もしくは速度測定法から選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記医用画像処理によって肝硬度を測定する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
臨床的測定値は脾臓の長さの測定値からなる群から選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記肝疾患または肝臓病は、有意な門脈−中隔線維症、高度な門脈−中隔線維症、小葉中心性線維症、肝硬変、類洞周囲線維症であり、前記線維症はアルコールまたは非アルコール性である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
血液検査は、APRI、FIB−4、Hepascore、Fibrotest(商標)およびFibroMeterからなる群から選択されるスコアである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記数学的関数は、ロジスティック回帰分析、好ましくは二項ロジスティック回帰分析である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記個体は慢性C型肝炎患者である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
数学的関数による少なくとも1つの血液検査と肝線維症を診断する物理的方法から得られた少なくとも1つのデータとの前記組み合わせを少なくとも二回行ない、かつ前記少なくとも2つの得られたスコアを診断上の信頼区間に基づくアルゴリズムにおいて組み合わせる、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−518507(P2012−518507A)
【公表日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−551498(P2011−551498)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【国際出願番号】PCT/EP2010/052506
【国際公開番号】WO2010/097472
【国際公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(511187166)ユニバーシティ ダンガース (2)
【出願人】(511187177)センター ホスピタリア ユニバーシタイア ダンガース (2)
【Fターム(参考)】