説明

肝胆道系障害改善剤

本発明は、プロアントシアニジンを有効成分として含有することを特徴とする肝胆道系障害改善剤を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロアントシアニジン(proanthocyanidin)を有効成分とする肝胆道系障害改善剤に関する。また、本発明はプロアントシアニジンを有効成分とする肝胆道系障害改善用健康食品に関する。
【背景技術】
【0002】
プロアントシアニジンは植物中に含有されるポリフェノールの一種で、抗酸化作用などの種々の活性を有することが知られている(非特許文献1および非特許文献2)。プロアントシアニジンは、その作用として、スーパーオキシドラジカル消去活性が知られ、抗酸化作用をもつビタミンCとの相乗作用が報告されている(非特許文献1)。また、臨床作用として、慢性膵炎に対する治療効果が知られている(非特許文献1および非特許文献2)。
一方、肝胆道系障害として、例えば、急性肝炎、肝硬変、薬物性肝障害、アルコール性肝障害、肝内胆汁うっ滞、閉塞性黄疸などあり、これらの障害が存在すると血中のAST(GOT)値、ALT(GPT)値、アルカリフォスファターゼ(Al−P)値などが上昇することも知られている。
【0003】
【非特許文献1】バグチ・ディー(Bagchi D.)ら、トキシコロジー(Toxicology)、2000年,第148巻、p.187−189
【非特許文献1】フレモント・エル(Fremont L.)ら、ライフ・サイエンス(Life Sciences)、1999年,第64巻、p.2511−2521
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、新規な肝胆道系障害改善剤を提供するものである。また、他の目的は、新規な肝胆道系障害改善用健康食品を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、プロアントシアニジンが優れたGOT低下作用、GTP低下作用、アルカリフォスファターゼ低下作用および中性脂肪(トリグリセライド)低下作用を有し、肝胆道系障害の改善に有効であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、
(1)プロアントシアニジンを有効成分として含有することを特徴とする肝胆道系障害改善剤、
(2)プロアントシアニジンが、オリゴメリックプロアントシアニジンであることを特徴とする上記(1)に記載の肝胆道系障害改善剤、
(3)プロアントシアニジンが、松樹皮由来抽出物であることを特徴とする上記(1)に記載の肝胆道系障害改善剤、
(4)錠剤、ピル、カプセル、顆粒、粉末、散剤、液剤の形態で使用されることを特徴とする上記(1)に記載の肝胆道系障害改善剤、
(5)プロアントシアニジンを有効成分として含有することを特徴とする肝胆道系障害改善用健康食品、
(6)健康食品が固形食品、ゲル状食品または飲料であることを特徴とする上記(5)に記載の肝胆道系障害改善用健康食品、
(7)飲料が清涼飲料または茶飲料であることを特徴とする上記(6)に記載の肝胆道系障害改善用健康食品、
(8)プロアントシアニジンが、オリゴメリックプロアントシアニジンであることを特徴とする上記(5)に記載の肝胆道系障害改善用健康食品、
(9)プロアントシアニジンが、松樹皮由来抽出物であることを特徴とする上記(5)に記載の肝胆道系障害改善用健康食品、
(10)プロアントシアニジンを哺乳動物に投与することを特徴とする肝胆道系障害の改善方法、
(11)プロアントシアニジンが、オリゴメリックプロアントシアニジンであることを特徴とする上記(10)に記載の肝胆道系障害の改善方法、
(12)プロアントシアニジンが、松樹皮由来抽出物であることを特徴とする上記(10)に記載の肝胆道系障害の改善方法、
(13)肝胆道系障害の改善のための医薬または健康食品を製造するためのプロアントシアニジンの使用、
(14)プロアントシアニジンが、オリゴメリックプロアントシアニジンであることを特徴とする上記(13)に記載の使用、および
(15)プロアントシアニジンが、松樹皮由来抽出物であることを特徴とする上記(13)に記載の使用、に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の組成物(肝胆道系障害改善剤および肝胆道系障害改善用健康食品)は、血中のGOT値、GPT値、アルカリフォスファターゼ値を低下させることができ、急性肝炎、肝硬変、薬物性肝障害、アルコール性肝障害、肝内胆汁うっ滞、閉塞性黄疸、C型慢性肝炎、B型慢性肝炎、原発性胆汁性肝硬変(PBC)、原発性硬化性胆管炎(PSC)、自己免疫性肝炎(AIH)、脂肪肝、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)などの肝胆道系障害を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】松樹皮抽出物の1週間継続摂取によるAST(GOT)値に対する影響を示す。*は松樹皮摂取前に対する有意差p<0.05を示す。
【図2】松樹皮抽出物の1週間継続摂取によるALT(GPT)値に対する影響を示す。***は松樹皮摂取前に対する有意差p<0.001を示す。
【図3】松樹皮抽出物の1週間継続摂取によるアルカリフォスファターゼ(Al−P)値に対する影響を示す。*は松樹皮摂取前に対する有意差p<0.05を示す。
【図4】松樹皮抽出物の1週間継続摂取による中性脂肪(トリグリセライド)値に対する影響を示す。**は松樹皮摂取前に対する有意差p<0.01を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明において使用するプロアントシアニジンとは、フラバン−3−オールおよび/またはフラバン−3,4−ジオールを構成単位とする重合度が2以上、好ましくは2〜10量体、さらに好ましくは2〜4量体の縮重合体からなる化合物群、誘導体およびそれらの立体異性体を指称する。プロアントシアニジンのうち、フラバン−3−オールおよび/またはフラバン−3,4−ジオールを構成単位とする重合度が2〜4の縮重合体をOPC(オリゴメリックプロアントシアニジン;oligomeric proanthocyanidin)という。OPCは強力な抗酸化物質であり(参照:特公平3−7232)、植物の葉、樹皮、果物の皮もしくは種子の部分に豊富に含有されている。具体的には、ブドウ、松の樹皮、ピーナッツの薄皮、イチョウ、ニセアカシアの果実、コケモモ、ブルーベリー、イチゴ、アボガド、大麦、小麦、大豆、黒大豆、カカオなどに含まれている。また、西アフリカのコーラナッツ、ペルーのラタニアの根にもOPCが含まれていることが知られている。OPCはヒトの体内では生成することができない物質である。
【0010】
本発明に係る肝胆道系障害改善剤などの組成物に含有されるプロアントシアニジンとしては、原料の由来あるいは原料の利用部分、製造法、精製法については何ら制限されないが、上記の樹皮、果実もしくは種子の粉砕物、またはこれらの抽出物のような食品原料を使用することができる。特に松樹皮、さらに好ましくはOPCが豊富に含まれているフランス海岸松樹皮の抽出物を用いることが好ましい。フランス海岸松樹皮はプロアントシアニジンの原料として好ましく用いられる。
【0011】
プロアントシアニジンは、公知の方法[例えば、特公平3−7232号公報に記載の方法あるいは松の樹皮からの抽出法;アール・ダブル・ヘミングウェイ(R.W.Hemingway)ら、フィトケミストリー(Phytochemistry),1983年,第22巻、p.275−281]あるいはそれに準じた方法を採用することによって上記各種植物体から容易に得ることができる。
【0012】
以下、OPCを豊富に含む松樹皮の抽出物を例にあげて、プロアントシアニジンの調製方法を説明する。
【0013】
松樹皮抽出物は、松樹皮を水または有機溶媒で抽出して得られる。水を用いる場合には、温水または熱水が用いられる。抽出に用いる有機溶媒としては、食品あるいは薬剤製造に許容される有機溶媒が用いられ、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ブタン、アセトン、ヘキサン、シクロヘキサン、プロピレングリコール、含水エタノール、含水プロピレングリコール、エチルメチルケトン、グリセリン、酢酸メチル、酢酸エチル、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、食用油脂、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,2−トリクロロエテンなどがあげられる。これらの水および有機溶媒は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。特に、熱水、含水エタノール、含水プロピレングリコールが好適に用いられる。
【0014】
松樹皮からプロアントシアニジンを抽出する方法は、特に限定されないが、例えば、加温抽出法、超臨界流体抽出法などが用いられる。
【0015】
超臨界流体抽出法は、物質の気液の臨界点(臨界温度、臨界圧力)を超えた状態の流体である超臨界流体を用いて抽出を行う方法である。超臨界流体としては、二酸化炭素、エチレン、プロパン、亜酸化窒素(笑気ガス)などが用いられ、とりわけ二酸化炭素が好適に用いられる。
【0016】
超臨界流体抽出法は、目的成分を超臨界流体によって抽出する抽出工程および目的成分と超臨界流体とを分離する分離工程からなる。分離工程は、圧力変化による抽出分離、温度変化による抽出分離、または吸着剤、吸収剤を用いた抽出分離のいずれを行ってもよい。
【0017】
また、エントレーナー添加法による超臨界流体抽出を行ってもよい。この方法は、超臨界流体に、例えば、エタノール、プロパノール、n−ヘキサン、アセトン、トルエンなどを2〜20%程度添加し、得られた抽出流体で超臨界流体抽出を行うことによって、OPCなどの被抽出物の抽出流体に対する溶解度を飛躍的に上昇させる、あるいは分離の選択性を増強させる方法であり、効率的に松樹皮抽出物を得る方法である。
【0018】
松樹皮からの抽出は、上記の方法以外に、液体二酸化炭素回分法、液体二酸化炭素還流法、超臨界二酸化炭素還流法などにより行ってもよい。
【0019】
以上のようにして得られたプロアントシアニジンは、液状もしくは半固形状の形態で得られるが、このものから抽出溶媒を減圧留去、スプレードライ、凍結乾燥等の公知の方法によって除去すれば、そのままプロアントシアニジン含有濃縮物や乾燥物として使用することができる。さらに精製するには、カラムクロマトグラフィー、向流分配法等の公知の精製手段を採用して、目的を達成することができる。
【0020】
本発明の肝胆道系障害改善剤などの組成物中のプロアントシアニジンは、水によく溶解し、生体への吸収性が高い。酸性、中性、アルカリ性のいずれの条件においても安定性が高く、その機能を維持した状態で飲食物に配合することが容易である。また、摂取開始後短期間で効果が期待でき、少量の摂取でも十分な効果を得られるため、飲食物としての摂取許容量および摂取形態に制限のある幼児や老人等への食事素材として、利用価値が高い。
【0021】
本発明の肝胆道系障害改善剤などの組成物は、肝胆道系障害を改善させるためのいかなる用途の組成物であってもよく、例えば飲食品、健康食品、機能性食品、医薬組成物等であってよい。いずれの用途においても、組成物は、錠剤、ピル、カプセル、顆粒、粉末、散剤、液剤等の固形または溶液の形態に公知の方法により適宜調製することができる。即ち、本発明の肝胆道系障害改善剤として有用な固形製剤または液状製剤は、プロアントシアニジンと所望により種々の添加剤とを混合し、従来充分に確立された公知の製剤製法を用いることにより製造される。例えば賦形剤、pH調整剤、清涼化剤、懸濁化剤、希釈剤、消泡剤、粘稠剤、溶解補助剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、抗酸化剤、コーティング剤、着色剤、矯味矯臭剤、界面活性剤、可塑剤または香料などと混合した上記組成物として用いてよい。
【0022】
上記賦形剤としては、例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール或いはキシリトールなどの糖アルコール、ブドウ糖、白糖、乳糖或いは果糖などの糖類、結晶セルロース、カルメロースナトリウム、リン酸水素カルシウム、コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、デキストリン、βーシクロデキストリン、軽質無水ケイ酸、酸化チタン、またはメタケイ酸アルミン酸マグネシウムなどが挙げられる。
【0023】
上記pH調整剤としては、例えばクエン酸、リンゴ酸、リン酸水素ナトリウムまたはリン酸二カリウムなどが挙げられる。
上記清涼化剤としては、例えば1−メントールまたはハッカ水などが挙げられる。
上記懸濁化剤としては、例えば、カオリン、カルメロースナトリウム、キサンタンガム、メチルセルロースまたはトラガントなどが挙げられる。
上記希釈剤としては、例えば精製水、エタノール、植物油または乳化剤等が挙げられる。
上記消泡剤としては、例えばジメチルポリシロキサンまたはシリコン消泡剤などが挙げられる。
【0024】
上記粘稠剤としては、例えばキサンタンガム、トラガント、メチルセルロースまたはデキストリンなどが挙げられる。
上記溶解補助剤としては、例えばエタノール、ショ糖脂肪酸エステルまたはマクロゴールなどが挙げられる。
上記崩壊剤としては、例えば低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチまたは部分アルファー化デンプンなどが挙げられる。
【0025】
上記結合剤としては、例えばメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニールピロリドン、ゼラチン、アラビアゴム、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、プルラン、アルファー化デンプン、カンテン、トラガント、アルギン酸ナトリウムまたはアルギン酸プロピレングリコールエステルなどが挙げられる。
【0026】
上記滑沢剤としては、例えばステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ポリオキシル、セタノール、タルク、硬化油、ショ糖脂肪酸エステル、ジメチルポリシロキサン、ミツロウまたはサラシミツロウなどが挙げられる。
上記抗酸化剤としては、例えばアスコルビン酸、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、没食子酸プロピル、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、トコフェロール、アスコルビン酸またはクエン酸などが挙げられる。
【0027】
上記コーティング剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルボキシメチルエチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、アミノアルキルメタアクリレートコポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、メタアクリル酸コポリマー、ポリビニルアセタートジエチルアミノアセテートまたはセラックなどが挙げられる。
上記着色剤としては、例えばウコン抽出液、リボフラビン、酸化チタンまたはカロチン液などが挙げられる。
【0028】
上記矯味矯臭剤としては、例えばクエン酸、アジピン酸、アスコルビン酸、果糖、D−ソルビトール、ブドウ糖、サッカリンナトリウム、単シロップ、白糖、ハチミツ、アマチャ、カンゾウ、クエン酸、アジピン酸、アスコルビン酸、オレンジ油、トウヒチンキ、ウイキョウ油、ハッカまたはメントールなどが挙げられる。
上記界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン、ポリソルベート類、ラウリル硫酸ナトリウム、マクロゴール類またはショ糖脂肪酸エステルなどが挙げられる。
上記可塑剤としては、例えばクエン酸トリエチル、ポリエチレングリコール、トリアセチンまたはセタノールなどが挙げられる。
上記香料としては、例えば、動物性香料或いは植物性香料等の天然香料、または単離香料或いは純合成香料等の合成香料などが挙げられる。
【0029】
製剤中のプロアントシアニジンの量は、製剤全体に対して、通常約1〜80重量%、好ましくは約2〜50重量%である。
飲食品の場合は、飲食品製造時にプロアントシアニジンまたは上記プロアントシアニジン含有製剤を配合することにより製造される。例えば、パン、チューインガム、クッキー、チョコレート、シリアル等の固形食品、ジャム、アイスクリーム、ヨーグルト、ゼリー等のジャム状、クリーム状またはゲル状食品、ジュース、コーヒー、ココア、緑茶、ウーロン茶、紅茶等の飲料等あらゆる食品形態にすることが可能である。また、調味料、食品添加物等に配合することもできる。飲食品への配合量は特に限定されないが、プロアントシアニジンとして、通常約0.0001〜80重量%、好ましくは約0.005〜50重量%である。また、特に飲料の場合は、1mg/L〜20g/L、好ましくは2mg/L〜10g/Lである。
【0030】
本発明の肝胆道系障害改善剤の投与方法は、経口でも非経口であってもよい。また、本発明の肝胆道系障害改善剤の投与量は、その種類、その剤型、また患者の年令、体重、適応症状などによって異なるが、例えば内服剤の場合は、成人1日1〜数回、1回量約1〜500mg、好ましくは3〜300mg程度投与するのがよい。また健康食品として摂取する場合も、副作用の心配がないことから内服剤と同等の量を摂取しても問題ない。
【0031】
以下、OPTを豊富に含む松樹皮抽出物を例にあげて、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【実施例1】
【0032】
プロアントシアニジンを40重量%以上(OPCとして20重量%以上)含有し、かつカテキンを5重量%以上含有するフランス海岸松樹皮エタノール抽出物を8重量%、結晶セルロース22重量%、乳糖66重量%、ショ糖エステル3重量%、二酸化ケイ素1重量%配合する錠剤(1錠あたり250mg)を製造した。
【実施例2】
【0033】
喫煙成人男性14名(33〜48歳、平均37.5歳)を被験者とした。被験者に日常の生活習慣を変えることなく、実施例1で製造した錠剤を1日2錠1週間継続摂取させた。摂取開始直前と摂取開始1週間後に採血し、血中のAST(GOT)、ALT(GPT)、アルカリフォスファターゼ、中性脂肪(トリグリセライド)を測定した。その結果は、下記表1〜2および図1〜4のとおりである。
【0034】
【表1】

【0035】
【表2】

【実施例3】
【0036】
健康診断により肝機能の低下が気になる人を被験者として、実施例1で製造した錠剤を1日2錠、継続摂取させた。摂取開始時の腹部エコー診断において脂肪肝が認められた男性被験者7名について経時的にエコー診断を実施したところ、5名の被験者で錠剤摂取により摂取前と比較して改善が認められた。また、3名の被験者で肝深部エコーの減衰および肝脈管の不明瞭化が改善された。なお、軽度の被験者2名については脂肪肝がほぼ回復した。本結果より錠剤摂取期間の延長に伴って肝臓に蓄積した脂肪が減少し脂肪肝の程度が軽症化していることが確認された。その結果は、下記表3のとおりである。
【0037】
【表3】

【0038】
表3の1〜5の数字ならびに軽度、中程度および高度の文言は下記内容を意味する。
0:所見なし 1:軽度 2:軽度〜中程度 3:中程度 4:中程度〜高度 5:高度
軽度:肝腎コントラスト比の増加のみ観察される。
中程度:肝腎コントラスト比の増加、および肝内脈管の不明瞭化が観察される。
高度:肝腎コントラスト比の増加、肝内脈管の不明瞭化、および肝深部のエコー減衰が観察される。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明にかかる肝胆道系障害の改善剤または改善用健康食品は、医療分野であるいは健康食品分野で、肝胆道系障害の改善、治療および/または予防に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロアントシアニジンを有効成分として含有することを特徴とする肝胆道系障害改善剤。
【請求項2】
プロアントシアニジンが、オリゴメリックプロアントシアニジンであることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の肝胆道系障害改善剤。
【請求項3】
プロアントシアニジンが、松樹皮由来抽出物であることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の肝胆道系障害改善剤。
【請求項4】
錠剤、ピル、カプセル、顆粒、粉末、散剤、液剤の形態で使用されることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の肝胆道系障害改善剤。
【請求項5】
プロアントシアニジンを有効成分として含有することを特徴とする肝胆道系障害改善用健康食品。
【請求項6】
健康食品が固形食品、ゲル状食品または飲料であることを特徴とする請求の範囲第5項に記載の肝胆道系障害改善用健康食品。
【請求項7】
飲料が清涼飲料または茶飲料であることを特徴とする請求の範囲第6項に記載の肝胆道系障害改善用健康食品。
【請求項8】
プロアントシアニジンが、オリゴメリックプロアントシアニジンであることを特徴とする請求の範囲第5項に記載の肝胆道系障害改善用健康食品。
【請求項9】
プロアントシアニジンが、松樹皮由来抽出物であることを特徴とする請求の範囲第5項に記載の肝胆道系障害改善用健康食品。
【請求項10】
プロアントシアニジンを哺乳動物に投与することを特徴とする肝胆道系障害の改善方法。
【請求項11】
プロアントシアニジンが、オリゴメリックプロアントシアニジンであることを特徴とする請求の範囲第10項に記載の肝胆道系障害の改善方法。
【請求項12】
プロアントシアニジンが、松樹皮由来抽出物であることを特徴とする請求の範囲第10項に記載の肝胆道系障害の改善方法。
【請求項13】
肝胆道系障害の改善のための医薬または健康食品を製造するためのプロアントシアニジンの使用。
【請求項14】
プロアントシアニジンが、オリゴメリックプロアントシアニジンであることを特徴とする請求の範囲第13項に記載の使用。
【請求項15】
プロアントシアニジンが、松樹皮由来抽出物であることを特徴とする請求の範囲第13項に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【国際公開番号】WO2005/013970
【国際公開日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【発行日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−512988(P2005−512988)
【国際出願番号】PCT/JP2004/011452
【国際出願日】平成16年8月10日(2004.8.10)
【出願人】(000001904)サントリー株式会社 (319)
【Fターム(参考)】